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都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等の評価について(平成27年度)

 厚生労働省大臣官房地方課は、平成27年度の都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行ったところです。
 また、当該評価結果については、外部の有識者が参画する地方支分部局法令遵守委員会で意見を頂き、その結果とともに、平成28年9月7日付けで都道府県労働局長あて通知したところです。

厚生労働省大臣官房地方課

 平成28年1月28日付け地方課長通達「平成27年度における内部点検の実施方法について」の記の2の(3)に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。

1 定期的な内部点検結果について

 各労働局における法令遵守の実施状況に係る定期的な内部点検は、「平成27年度 法令遵守チェックリスト」を用いて、各労働局長自ら点検と検証を実施し、当課に報告してきたところである。
 その報告をみると、都道府県労働局法令遵守要綱(平成23年5月31日改定)に基づき、各労働局とも総じて適正に実施し、その効果が定着してきていることが認められる。
 しかし、依然として問題が発生している労働局がみられることから、引き続き、内部点検結果が組織全体で共有され、法令遵守の徹底を全ての職員、非常勤職員に浸透させることが必要である。

  • ○ 公務員倫理の徹底と綱紀保持
    勤務時間中の私用、守秘義務違反等の不適切な行為があった。
  • ○ 適正な会計経理事務等の徹底
    (公印等の適正な管理)
     ・小切手等受払簿における小切手残枚数の未記載等の事例があった。
    (公共調達の適正化)
     ・入札参加業者にのみ公告と異なる工期を示して入札を行う等の事例があった。
     ・調達に係る文書を発出する場合の決裁において電子決裁システムを使用していない事例があった。
    (物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化)
     ・物品の亡失、損傷のほか物品管理が不十分な事例があった。
    (謝金、旅費等の支出の適正化)
     ・旅費の積算が適切になされていない事例があった。
    (勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化)
     ・職員や相談員等の勤務時間管理が規則等に基づき適正に行われていない事例があった。
  • ○ 行政文書の保存
    行政文書の保存期限の誤認による廃棄が行われた事例があった。
  • ○ 保有個人情報の管理
    書類の誤送付、誤交付、紛失等保有個人情報の漏えい事案が発生している事例があった。

2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室における平成27年度一般監査指導は、28労働局(平成26年度は33労働局)に対して実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は、101件と前年度(96件)と比較して増加している。
 前回監査と同じ指摘を受ける労働局もあり、監査で指摘を受けた事項については引継ぎを的確に行い再発防止を徹底する必要が認められる。
 その他、依然として、以下の事項等について問題点が認められたことから、引き続き、適正な会計経理事務について徹底することが必要である。

  • ○ 請求のあったときに支出負担行為が行われていない。
  • ○ 航空機を使用した旅行について搭乗半券等を証拠書類に添付していない、パック商品使用の証明を添付していない、パック商品不使用の理由書を徴取していない等。
  • ○ 旅客施設使用料を日当の範囲で賄わず別途支給している案件のほか、適正な旅費が支給されていない。
  • ○ 予決令で定める契約書に記載すべき事項や暴力団排除条項が記載されていない。
  • ○ 見積書を徴取せずに変更契約を締結するなど変更契約の手続きが不適切。
  • ○ 仕様書記載内容が不十分であったため、契約締結後に仕様書・契約金額及び納入期限を変更契約をしている。
  • ○ 建物賃貸借について総価契約とすべきところ月額単価による契約が取り交わされている。

3 管理事務及び企画調整事務に係る中央監察結果について

 平成27年度における労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、25労働局に対して実施された。一部の労働局においては、以下のような問題が認められたことから、引き続き、適正な管理事務について徹底を行う必要がある。

  • ○ 平成26年度において、個人情報漏えい及び官用車による交通事故等が多発しているにもかかわらず、年3回開催される法令遵守委員会において、これらに関する事項について協議されていないなど、同委員会の協議対象とすべき事項が協議されていないもの。
  • ○ 土曜日、日曜日及び祭日における管理職員を含む職員の登庁状況について、施設の施錠を行った者のみ把握し、その他の登庁者の状況に
  • ついて把握していないもの。
  • ○ 平成27年度非常勤職員の採用に際し、面接の実施にあたっては、募集署所等の所属職員以外の職員が関与するとされているが、一部の部署においてこれが行なわれていないもの。
  • ○ USB等外部電磁的記録媒体について[1]平成27年10月及び11月の2か月間において、開庁日をまたいだ返却の実態が使用件数の3分の1について認められるもの、[2]1か月を超える長期間の庁外への持ち出しも含め、保管場所に返却することなく使用している状況が認められるなど、管理状況が不適切であるもの。

4 本省における評価について

 上記1から3を踏まえ、当課においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価するとともに、改善措置を講ずるよう指示することとする。

(1) 総括的な評価について

  •  各労働局における法令遵守の徹底に係る取組は、概ね適正に実施されていると総括的に評価できるが、会計法令の習熟の必要性や適切な引継ぎ・研修、勤務時間管理の適正化、保有個人情報の厳正な取扱い及び漏えい防止対策など、引き続き取り組むべき課題もみられた。
     このため、特に問題点があると認められた労働局に対しては、下記(2)の改善措置を始め、所要の対策を講じさせることとする。

(2) 改善措置について

  1. 職員に対して、公務員倫理や服務規律に関する意識の向上に必要な措置を講ずること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
  2. 会計法令等に関する知識の習得、法令遵守保持のための必要な措置を講ずること。【適正な会計経理事務等の徹底】
  3. 職員や相談員等の勤務時間管理に当たり、規則等に基づく管理と適正な手続きを徹底すること。【勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化】
  4. 保有個人情報の取扱いについて、実効性のある漏えい防止対策を実施すること。【保有個人情報の適正な管理】
  5.  会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事項は、その後の監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう徹底すること。

 以上の改善措置の取組状況を確認するため、大臣官房地方課地方支分部局法令遵守室員が、計画的に実地にて検分することとする。

地方支分部局法令遵守委員会における委員の主な意見(平成27年度)

 平成27年度における各労働局の法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等については、本省大臣官房地方課において、総括的に評価を行ったところである。
 当該評価結果については、平成28年8月4日に開催された外部の有識者が参画する「第26回地方支分部局法令遵守委員会」において、各委員より、下記のような改善点や今後の取組への助言をいただいたところである。

  • ○ 局長や署所長が法令遵守の意識を持って組織運営にあたるかどうかが、ミスや法令遵守が徹底されるかどうかに影響する。管理職の法令遵守の意識、危機管理について十分な研修が必要。
  • ○ 基本的な業務ができていないものが見受けられる。人事異動時の研修や周知という基本的なところの徹底が必要。
  • ○ 違法性があるものではなく、手続のルールに則っていないという手続きミスの指摘が多い。手続きを簡略化するよう見直す観点も必要でないか。
  • ○ 好事例を吸い上げて研修やマニュアルの充実を図るべき。また、繰り返しミスをしやすいところを中心に研修し、少しずつ全体に広げれば良いのではないか。
  • ○ 何度も同じ指摘を受ける場合は、注意を受けるという意識を持つことも必要。
  • ○ セクハラ・パワハラ、処遇等に対する不満等について、法令違反等の判断とは別に、労務管理の観点から、問題に対する指導の徹底や部下職員等の納得という点も十分踏まえての配慮が必要。
  • ○ 内部通報を是正の機会にできるか否かは組織の力量である。大変な問題になる前に、指摘を無視せず、問題意識として十分捉え、心して取り組まなければならない。
  • ○ 通報に至らないよう、管理職として職場の職員・部下と日常的なコミュニケーションをとり、普通の上司・部下の報告ルートで情報が上がって解決することが基本となるので、コミュニケーションをしっかりとることが一番重要。

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