都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等の評価について（平成23年度）

　定期的な内部点検として、平成23年度「法令遵守チェックリスト」（以下「チェックリスト」という。）を用いて、各労働局の実施状況について点検と検証が実施され、各労働局長より報告されたところである。
　その報告をみると、都道府県労働局法令遵守要綱（平成23年５月31日改定）に基づき、法令遵守の徹底について各労働局とも総じてその取組が適正に実施されているものの、依然として同様の問題が発生していることから、当該内部点検の結果が組織全体で共有され、法令遵守の徹底を全ての職員、非常勤職員に浸透させることが必要である。

○　適正な会計経理事務等の徹底

○　法令遵守に係るチェック体制の強化

○　行政文書の保存

○　保有個人情報の管理

　平成23年度一般会計監査指導は、26労働局において実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は平成22年度に比し減少しているものの、以下のように、事務処理に問題が認められたことから、引き続き、適正な会計経理事務について徹底が必要である。

• ○　予算執行機関の補助者について、設置基準に規定がされていない又は任命していない。また、支出負担行為差引簿等の管理事務が設置基準に定められていない。
• ○　支出手続等において、検査調書が作成されていない。
• ○　資金前渡官吏等の事務処理において、資金前渡官吏の官印を押印後、小切手を破棄している。
• ○　契約に関して、総価契約により契約を締結すべきところ、月額単価による契約が取り交わされている。
• ○　物品管理に関して、物品が損傷しているにも係わらず、損傷報告が行われていない。また、借上げ物品について、物品管理簿に記載していない。

　平成23年度都道府県労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、20労働局において実施されたところ、一部の労働局において、以下のように、事務処理に問題が認められたことから、引き続き、適正な管理事務について徹底が必要である。

• ○　平成23年４月に職員による酒気帯び運転による人身事故が発生していることに関し、事故発覚直後に安全運転の徹底等についての文書指示を発しただけで、研修実施等も監察時点まで行われていないことから、事案の重大性のみならず法令遵守に対する職員等の意識付けの徹底に向けた取組も不十分である。
• ○　漏えい事案について、発生件数が目立って増加していることや、同一の署所において連続して発生していること等がみうけられるため、再発防止に向けた実効ある取組に努める必要がある。
• ○　平成22年度において、会計経理等に係る定期監査を10月に実施しているが、監査を行ってから文書で指導するまで、特段の理由なく４か月もの期間を有している。
• ○　内部監査指摘事項の中に「現金出納簿が鉛筆書きで記載してある」など、会計処理の基本にかかわる指摘がみられたため、毎回の内部監査が会計処理の適正化に繋がるよう、監査結果を踏まえた指導を徹底する必要がある。

　上記１から３を踏まえ、本省においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のように総括的に評価するとともに、改善措置を講ずるよう指示することとする。

• 　各労働局において、法令遵守の徹底に係る取組は、概ね適正に実施されていると総括的に評価できるが、ハローワークにおいて国民の信頼を損なう情報漏えい事件が発生するなど、法令遵守の基本ともいうべき公務員倫理の徹底に万全を期す必要がある。
  　なお、問題点がみられる労働局においては、次の改善措置を始め、所要の対策を講ずることとする。
  

• [1]　予算執行職員の補助者を適切に任命し、適正な会計事務処理体制を徹底すること。【会計組織における適正な管理体制の確立】
• [2]　物品管理官等に対して、物品管理簿への正確な記載を徹底するよう指導すること。【物品の購入等に係る会計事務手続等の適正化】
• [3]　勤務時間管理員に対して、超過勤務命令簿等の記載を適正に行うよう指導すること、適正な勤務時間管理及び業務調整等による業務処理体制の確保等について、超過勤務に係る問題点の把握・分析の上、必要な措置を講ずること、【勤務時間管理及び超過勤務手当の支給の適正化】
• [4]　都道府県労働局法令遵守委員会の開催においては、効果的な開催となるよう時期・回数の見直しを図ること。【法令遵守に係るチェック体制の強化】
• [5]　厚生労働省文書管理規則に基づき、行政文書の保存、管理を適正に行うこと。【行政文書の保存】
• [6]　個人情報が記録されている外部電磁的記録媒体を適切に管理する等保有個人情報の管理を一層徹底すること。【保有個人情報の管理】
• [7]　会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事案は、その後の会計事務監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう徹底を図ること。

　以上の改善措置の取組状況を確認するため、地方支分部局法令遵守室員が計画的に実地にて検分することとする。

　平成23年度に係る各労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等については、本省地方課において、総括的に評価を行ったところである。
　当該評価結果については、平成２４年７月５日に外部の有識者が参画する「第　　１８回地方支分部局法令遵守委員会」を開催し、委員会委員より、「法令遵守の徹底に係る取組みが一定の効果を得ている。」という評価をいただいたものの、下記のような幾つかの改善点や今後の取組みへのアドバイスをいただいたところである。

• ○　超過勤務に係る職員管理について、健康面の配慮のみならず、業務量の偏りや人員配置など組織全体で改善を図ること
• ○　保有個人情報の管理についても重視し、更に、徹底を図ること
• ○　内部点検について、実施方法が形式的にならないよう工夫するとともに、点検項目についても、随時、見直しを行うこと

（厚生労働省大臣官房地方課　03-5253-1111(内線7273)）