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5 社会福祉施設の整備及び運営について(福祉基盤課)

(1) 社会福祉施設整備に係る予算(案)の状況
 社会福祉施設等施設整備費
(ア)  施設整備費については、平成14年度補正予算(案)において570億円、 さらに平成15年度予算(案)として1,227億円、合わせて1,797億円を予算計上し、特別養護老人ホーム等の介護関連施設、待機児童解消のための保育所、障害者関連施設等に係る施設整備の着実な推進を図ることとしている。

(イ)  国庫補助基準単価の改定
 国庫補助基準単価については、公共工事コスト縮減の実績や建設単価の動向等を総合的に勘案し、平成15年度予算(案)から改定する。
 なお、平成15年度事業分のうち、平成14年度以前からの継続事業については、当該事業開始年度の基準単価を適用することとする。

(ウ)  その他の改定事項は次のとおり。なお、(1)から(3)までについては、平成14年度補正予算(案)から適用する。
(1)  PFI−BTO方式で整備する在宅関係施設の地方自治体による買取費用に対する補助
 地方自治体がPFI制度を活用し、PFI事業者に貸与することを目的として居宅サービスを提供する施設の整備を行う場合の買取費用について、国庫補助の対象に追加する。
 ○ 補助対象の追加
 (従来)
・ケアハウス
 →  (追加)
・老人デイサービスセンター(居住部門を含む。)
・痴呆性高齢者グループホーム
・老人短期入所施設
・在宅複合型施設
(2)  特定保育事業のための保育室等を整備する場合の加算の創設
 保育所において特定保育事業のための保育室等を整備する場合の費用を補助対象とする。
 ○ 改善内容 1施設当たり 55.8平方メートルを面積加算
 ※平成15年度からは、1施設当たり10,100千円を加算
(3)  保育所整備における学校余裕教室活用促進事業の拡充
 公立学校の余裕教室等を保育所に転用する場合と同様に、廃止される公立学校の建物を保育所に転用する場合についても補助対象とする。
 ○ 補助対象の追加
 (従来)
・公立学校の余裕スペース
 →  (追加)
・廃止される公立学校の建物
(4)  国庫補助申請に係る事務負担軽減に伴う補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化
 国庫補助申請に係る事務負担軽減のため、昨年度改善した介護関連施設以外のすべての施設について、補助基準単価及び補助金算定方法の簡素・合理化を行う。
(5)  構造改革特区においてPFI−BTO方式で整備する特別養護老人ホームの地方自治体による買取費用に対する補助
 構造改革特区内の特別養護老人ホーム不足区域において、地方自治体がPFI制度を活用し、PFI事業者に貸与することを目的として特別養護老人ホームの整備を行う場合の買取費用について、国庫補助の対象とする。
(6)  老人短期入所施設(小規模生活単位型)の整備費補助の創設
 ユニットケアを行う「小規模生活単位型」の老人短期入所施設に対する整備費補助を創設する。
(7)  母子生活支援施設の母子家庭等子育て支援室加算の創設
 母子生活支援施設において、保育機能の充実を図り、地域で生活する母子家庭等の児童を受け入れることにより、その自立を支援する。
 ○改善内容 1人当たり 1,740千円を加算
(8)  救護施設及び更生施設の補助基準の改善
 救護施設等の入所者処遇向上のための補助基準の改善を図る。
 ○改善内容 1人当たり 5,700千円 → 6,000千円
(9)  支援費制度施行に伴う身体障害者更生施設等の補助基準の改善
 平成15年度の支援費制度の施行に伴い、身体障害者更生施設及び身体障害者授産施設について、施設利用者の障害の程度を勘案して、補助基準の改善を図る。
 ○ 改善内容 1人当たり
 (例) 肢体不自由者更生施設  6,300千円  →  6,500千円
身体障害者授産施設  6,700千円  →  7,000千円
(10)  児童福祉施設等における木製遊具の整備について(林野庁との連携施策)
 林野庁との連携により、児童福祉施設等において、木材の特性をいかした遊具を整備する場合、木造公共施設整備事業(林野庁)により、補助対象とする。

 社会福祉施設等設備整備費
 設備整備費については、施設整備量に対応した必要な額を確保した。

(2) 平成15年度の整備方針等
 基本的整備方針
 平成15年度においては,次の事項を基本として整備を図ることとしているが、限られた財源を効率的かつ有効に活用する見地から、施設整備の事業内容を十分吟味した上で、必要な整備を行うこととしている。
 各都道府県市におかれては、来年度に予定している整備計画の十分な精査を行い、真に必要と認められる整備について厳選した対応に努められたい。
 また、「社会福祉法人の認可について」(平成12年12月1日障第890号、社援第2618号、老発第794号、児発第908号)、「社会福祉法人の認可等の適正化並びに社会福祉法人及び社会福祉施設に対する指導監督の徹底について」(平成13年7月23日雇児発第488号、社援発第1275号、老発第274号)等を踏まえ、協議対象施設の選定及び法人審査についても万全を期されたい。
(ア)  介護関連施設については、平成15年度から始まる各都道府県の第2期介護保険事業支援計画等に沿った取組に対して必要な整備を計画的に行う。

(イ)  保育所の整備については、平成11年12月19日大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治大臣合意による「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画」(新エンゼルプラン)に基づく多機能保育所等の整備に加え、平成13年7月10日に閣議決定された「仕事と子育ての両立支援策の方針について」による「待機児童ゼロ作戦」に基づく、保育所受入れ児童数の増大を図るための保育所の緊急整備を推進する。

(ウ)  障害者関連施設については、平成14年12月24日障害者施策推進本部により、障害者基本計画「重点施策実施5か年計画」として策定した「新障害者プラン」に基づき、平成19年度末の整備目標に向けて計画的に整備を推進する。

(エ)  施設入所者等の安全性を確保する観点から、老朽施設の改築、大規模修繕等の整備を推進する。
 なお、この場合、建設後の経過年数及び老朽度を重視するとともに、地震等の防災対策にも十分配慮する。

(オ)  地域におけるデイサービスセンター等の施設の確保に際して、既存の社会資源を有効に活用する観点から、公立学校の余裕教室等のデイサービスセンター等への転用を推進する。

(カ)  以上のほか、原則として、次の内容のものを優先的に整備する。
(1)  施設利用者に対するサービス提供にとどまらず、広く地域に開かれた在宅福祉の推進拠点としての機能を果たすもの。
(2)  施設入所者等の居住環境、保健衛生等処遇の一層の向上を図るため、大部屋解消等の整備を推進するもの。
(3)  土地の有効活用等を図るもの。
 特に、都市部における用地取得の困難性から施設の高層化を図るなど高齢者等が利用する社会福祉施設を中心市街地等の利用しやすい場所に整備を図るものや、文教施設等の利用も含め各種施設の合築、併設を行うもの。
(4)  過疎、山村、離島等において、適切な入所者処遇と効率的な施設運営が確保できるもの。
(5)  地すべり防止危険か所等危険区域に所在する施設の移転改築整備を行うもの。
(6)  木材の積極的活用を図るもの
入所者等の精神的なゆとりと安らぎのある生活環境づくりや資源循環型社会の構築に寄与していくため、施設の木造化、内装等への木材の利用や木製品の利用等その積極的な活用を行うもの。

(3) 社会福祉施設整備業務の再点検
 平成9年3月31日に取りまとめた「施設整備事業等の再点検のための調査委員会報告書」で明らかにしたとおり、補助金交付対象施設の明確化、各都道府県市が行う公共工事に準じた契約手続、一括下請負の禁止などを補助金の交付の条件とすることによる建設工事の適正化等の措置を講じ周知徹底を図っているところである。
 各都道府県市におかれては、施設整備業務の更なる再点検、都道府県部課長会議等での指導の徹底や未然防止策の検討など再発防止対策に万全を期されたい。

(4)

社会福祉施設の運営
 社会福祉基礎構造改革により、社会福祉施設の一部について措置制度から利用契約制度へと転換することとされ、平成15年度には支援費制度が施行されることから、円滑な制度の移行に向け、管内市町村及び社会福祉施設に対して、十分な指導をお願いしたい。

 施設の役割と適正な運営管理の推進
(ア)  平成15年度社会福祉施設の運営に要する経費は、措置費だけでも総額2兆円(利用者の自己負担を含む。)を超える事業規模であり、支援費制度の施行や少子高齢化社会への対応等により社会福祉施設に対する国民の期待と関心はますます大きいことから、適正かつ効率的な施設運営に努めることはもちろんのこと、高齢者、障害者等の多様なニーズにこたえるため、更なるサービスの質の向上に努める必要がある。
 また、社会福祉施設は、地域の福祉資源として福祉活動等の拠点としての機能が求められており、施設のもっている設備や専門的機能、介護等の情報を地域社会に提供していくことが重要となっている。さらに、サービスの質の確保や社会福祉施設職員の資質の向上及び人材確保が一層重要になることから、これらについても留意した適切な指導を願いたい。

(イ)  社会福祉施設の運営費の運用及び指導については、従来適正な指導をお願いしているところであるが、運営費の不正使用などの不祥事により社会福祉施設に対する国民の信頼を損なうことのないよう、指導監査の結果を踏まえた運営の指導に当たる等、指導監査担当課等との連携を図り、適正な施設運営について引き続き指導を願いたい。

(ウ)  福祉サービスにおいては利用者の安心や安全を確保することが基本であり、事故防止対策を中心とした福祉サービスにおける危機管理体制の確立が急務となっている。
 このため、社会・援護局福祉基盤課に設置した「福祉サービスにおける危機管理に関する検討会」において、福祉サービスにおける危機管理に関する取組について検討を行い、昨年3月に指針としてまとめたところである。
 指針においては社会福祉施設において危機管理に取り組む際の視点と具体的対応等を提示しており、社会福祉法人等の取組の参考となるよう、管内社会福祉施設に周知するなど、今後の福祉サービスの質の向上に向け御活用願いたい。
  ※厚生労働省ホームページにおいて掲示
     (https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/03/s0328-1.html)

(エ)  福祉サービスに係る苦情については、本来、当事者である利用者と事業者との間で自主的に解決されることが望ましいという趣旨から、社会福祉法第82条において、すべての社会福祉事業の経営者に利用者からの苦情の適切な解決に努めることを求めているところである。その具体的な方法としては、苦情解決責任者等を設置するとともに、外部の第三者を交えての解決が望ましいと考えている。
 特に社会福祉施設における苦情解決体制については、「社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みの指針について」(平成12年6月7日障第452号・社援第1352号・老発第514号・児発第575号厚生省大臣官房障害保健福祉部長、社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)が示され、また、最低基準に利用者からの苦情への対応について規定しているところである。さらに、措置費においても苦情解決に係る経費を計上しているところであるが、その取組状況をみると、苦情受付窓口の設置等の体制が十分に整っていないところである。
 ついては、制度の重要性を認識するとともに、管内社会福祉施設に対し苦情受付窓口の設置など、利用者等からの苦情の適切な解決が行える体制を整備できるよう、指導、助言等の徹底をお願いしたい。
 なお、平成15年度予算(案)における運営適正化委員会設置運営事業に、施設に設置される第三者委員を対象にした専門研修を行うための経費を新たに算入したところであり、その十分な活用を図られたい。

  公営 私営
苦情受付窓口設置率 31.6% 69.1% 54.7%
苦情解決責任者設置率 26.4% 64.8% 50.1%
第三者委員設置率 11.0% 37.7% 27.5%

 社会福祉施設の感染症予防対策
 社会福祉施設における感染症予防対策については、従来特段の指導をお願いしているところであるが、今後も引き続き十分な対応を図ることが必要である。
 特に、インフルエンザの対応については、常日ごろからの入所者等の基礎体力の維持を図るための栄養状況への十分な配慮や本人の意思による予防接種の推進など予防対策について周知徹底しているところであるが、毎年冬季に流行を繰り返し、患者数の多さや、症状の重篤性から国民の健康に対して大きな影響を与えている感染症であり、近年は、集団感染、高齢者の死亡及び乳幼児における脳炎・脳症の問題が指摘されている。
 インフルエンザ様疾患発生報告(平成15年1月11日現在)によると患者数の合計は、18,514人(昨年同時期1,860人)となっており、社会福祉施設等においても十分な注意が必要とされているところである。
 また、一部の社会福祉施設において国の基準値を大幅に超えるレジオネラ菌が検出されており、一部の入浴施設においては、レジオネラ症集団感染により、数名の死者を含む極めて多数の患者が生じたことから、社会福祉施設においても十分な衛生管理が必要である。
 ついては、「社会福祉施設等における今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」(平成13年11月12日社援基発第41号)を始め、「社会福祉施設におけるレジオネラ症防止対策について」(平成11年11月26日社援施第47号)等によって、引き続き管内社会福祉施設に対し感染症予防について適切な指導を願いたい。

 福祉経営指導事業
 本事業は、社会福祉基礎構造改革など福祉をめぐる施策の変化に、社会福祉施 設等が適切に対応するために、重要な役割を果たすものである。
 特に、入所者や職員の処遇に関する問題及び経営の効率性の向上についての助言、適切な経理処理の指導等、引き続き事業の実施が期待されているものである
 平成15年度予算(案)においては、厳しい財政事情の中、前年度と同水準としているので、引き続き、指導員の資質の向上を図り、適切な指導、助言等を行うことができる体制を確保するなど、効果的な事業運営の指導を願いたい。

(5) 社会福祉施設の防災対策
 社会福祉施設の防災対策の取組
 社会福祉施設の防災対策については、入所者の安全確保の観点から、「社会福祉施設における防火安全対策の強化について」(昭和62年9月18日社施第107号社会局長、児童家庭局長連名通知)等の趣旨を踏まえ、管内社会福祉施設に対し指導を願っているところである。施設の運営上、入所者の安全確保は最重要課題であることを再認識いただき、スプリンクラー設備及び屋内消火栓設備の整備、夜間防火管理体制の整備など、施設における具体的・効果的な防災対策に万全を期すよう管内社会福祉施設に対する指導の一層の徹底に努められたい。
 施設整備費においても、入所者の防災対策及び処遇の改善の観点から、防災対策に配慮した整備を優先的に採択することとしており、また、防災対策に関する事業の拡充等を図っているので、積極的な活用を図られたい。
 また、措置費においても、地域住民との連携による合同避難訓練や避難用具の整備等を行う総合防災対策強化事業を施設機能強化推進費のメニュー事業として算入しているところであり、これらの制度の積極的な活用を図り、社会福祉施設の防災対策の充実をお願いしたい。

 地すべり防止区域等に所在する社会福祉施設の防災対策
 地すべり防止区域等災害発生のおそれがあるとして指定されている地域等に所在している社会福祉施設については、「災害弱者関連施設に係る土砂災害対策の実施について」(平成11年1月29日社援第212号)をもって、関係省庁と連携して、社会福祉施設の立地状況を踏まえた総合的な土砂対策を講じるよう通知しているところであるが、各都道府県市におかれても、関係部局との連携を強化し、指定区域等に所在する社会福祉施設の防災対策に留意されたい。

 被災施設の早期復旧
 社会福祉施設等災害復旧事務の取扱いについては、「社会福祉施設災害復旧費国庫負担(補助)の協議について」(平成7年3月30日社援施第76号社会・援護局長、老人保健福祉局長、児童家庭局長連名通知)により、災害発生後速やかに福祉基盤課に報告をお願いするとともに、災害復旧事業の早期整備を図り、施設運営に支障が生じないよう指導の徹底をお願いしたい。

(6) 福祉サービスの第三者評価事業
 第三者評価事業の現状
 第三者評価事業は、個々の事業者が事業運営における課題を把握しサービスの質の向上に結び付けるとともに、利用者の適切なサービス選択に資することを目的とするものである。
 昨年8月には、第三者評価事業に従事する評価調査者を養成するため、第三者評価事業の実施について予定又は検討している団体を対象に評価調査者養成研修会を全国社会福祉協議会主催で実施し、また、現在この研修会に参加した団体のうち第三者評価事業の実施に向けて具体的な準備作業を進めている団体において実地研修を実施しているほか、評価を受ける事業所をモニターとして活用するモニター事業や、WAM NETを通じた第三者評価機関及び評価結果の情報公開(現在システム構築中)も併せて実施しているところである。

 平成15年度予算(案)
 平成15年度予算(案)においては、新たに、各都道府県内における第三者評価機関の立ち上げ及び充実に関する費用を補助する第三者評価機関育成支援事業を実施することとしており(平成15年度 16都道府県)、平成17年度までに全都道府県での第三者評価体制の充実を目指すこととしている。また、実地研修及びモニター事業については、平成15年度予算(案)において都道府県事業として実施することとしているので、これらの事業の積極的な活用を図られたい。

 第三者評価事業の実施状況
 第三者評価事業の実施状況については、全国の都道府県、政令指定都市、中核市のうち24都道府県市において実施又は実施見込みとなっている。今後とも第三者評価事業の普及啓発と推進に向けて特段の御配意をお願いしたい。
  ※厚生労働省ホームページにおいて掲示
     (https://www.mhlw.go.jp/topics/2002/11/tp1101-2.html


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