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疾病対策課

1.エイズ対策

(1) エイズ対策の総合的な推進について
 後天性免疫不全症候群(エイズ)は、性的接触による感染が増加するなど依然として感染の拡大が続いており、さらなる対策の充実・強化が必要な状況となっている。
 各都道府県等にあっては、青少年や同性愛者等の個別施策層が検査を受けやすくするため、土日や平日夜間における検査の実施等、地域の実情を踏まえ、より利便性に配慮したエイズ対策を今後も積極的に推進していただくようお願いする。
 
(2) 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について
 血友病患者等に対する治療研究事業である「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業」については、患者等からの申請時に、医師の診断書、特定疾病療養受療証の写し等を提出させることとしているところであるが、事業のより適正かつ円滑な実施のため、引き続き御配慮いただくようお願いする。
 
(3) 第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議について
 平成15年11月27日から12月1日までの間、神戸市において、「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」が開催されることとなっている。
 本会議は、アジア・太平洋地域最大のエイズ会議として、患者、感染者、研究者、医療従事者、政策担当者等による、HIV/AIDSをめぐる諸問題克服のために必要な情報と経験の交流が図られるものであり、関係者の参加等について御配慮いただくようお願いする。


2.難病対策

 平成15年度においては、重点事項に掲げた難病対策の見直しにより事業の一層の推進を図るとともに、引き続き重症難病患者に対する入院施設確保事業や在宅療養支援の着実な推進、クロイツフェルト・ヤコブ病等神経難病患者の診断支援の実施、難病患者等居宅生活支援事業及び難病情報センター事業等を推進することとしている。

(1) 難病特別対策推進事業について
クロイツフェルト・ヤコブ病等診断の困難な神経難病の早期確定診断を行うとともに、当該神経難病患者等の療養上の不安を解消し、安定した療養生活を確保するため、一般診療医の要請により都道府県等に配置した専門医による在宅医療支援チームの派遣体制の整備をお願いする。なお、特にクロイツフェルト・ヤコブ病については、平成13年度より各都道府県に専門医を配置しているのでその積極的な活用を引き続きお願いする。
また、平成13年度より、特定疾患治療研究事業の申請時に必要な臨床調査個人票を電子化し全国的に統一することで、難病研究の促進及び対象患者の認定業務の省力化等を図ることとした。平成15年度においても引き続き、都道府県ごとに対象患者の判定の基礎となる調査票の電算処理(入力)を的確にお願いする。
さらに、難病患者の適時・適切な入院受け入れを行うため、都道府県ごとに拠点・協力病院による難病医療体制を確保する事業を推進しているところであり、未整備の都道府県にあっては、引き続き整備促進にご協力をお願いする。
同じく難病患者の生活の質の向上を図るため、患者ごとに在宅療養支援計画の策定・評価や重症患者への訪問相談事業の実施など、在宅療養支援事業を推進しているが、各都道府県にあっては、引き続き地域の実情に応じた積極的な支援について特段のご配慮をお願いする。
(2) 難病患者等居宅生活支援事業について
 介護保険法、老人福祉法及び身体障害者福祉法等の施策の対象とならない難病患者及び関節リウマチ患者に対するホームヘルプサービス等の介護サービスについて、新障害者プランにおいても引き続き推進することとしているので、各都道府県にあっては、事業の実施にあたり、保健所等を通じ管下市町村に対し積極的に協力を行うなど、本事業の実効ある実施について特段のご配慮をお願いする。
 
(3) 難病情報センター事業について
 難病患者やその家族、並びに医療関係者が求めている最新の医学・医療情報の提供を図る本センター事業については、平成8年度の創設以来、順次内容の充実を図ってきており、今年度においては月平均約53万件のアクセスがなされているところである。各都道府県にあっては、管下保健所等を通じ本事業の積極的な活用をお願いするとともに、インターネットの活用が困難な難病患者への情報提供についても特段のご配慮をお願いする。


3.リウマチ・アレルギー対策

 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症等のリウマチ・アレルギー疾患を有する患者は、国民の30%にのぼると言われており、放置出来ない重要な問題となっている。このため、厚生労働省においては、平成4年度から研究事業を開始し、病因及び病態の解明、治療法等の研究の推進を図ってきたところである。これら研究の成果として、免疫アレルギー疾患等の治療法の評価、既存の治療法の適応と有効性の再評価等に関する研究を実施して知見の集積を図るとともに、「喘息予防・管理ガイドライン」、「アトピー性皮膚炎治療ガイドライン」及び「リウマチ・アレルギー研究白書」等を作成し、適切な予防方法及び治療方法の普及啓発に努めてきたところである。

(1) 免疫アレルギー疾患に関する研究等の推進
リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、膠原病等の免疫アレルギー疾患の病因及び病態の解明、治療法等の開発に関する研究の推進を図ることとしている。
 
(2) 免疫アレルギー疾患に関する正しい情報の普及
 免疫アレルギー疾患に関しては、民間療法も含め膨大な情報が氾濫しており、正しい情報の取捨選択が困難な状況である。これらの問題を解消し、また、正しい情報を整理し普及すること等を目的としてリウマチ・アレルギー対策委員会を中心に、疾患に関する情報の収集・整理をするとともにリウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症について地域における相談体制を整備するため、保健師等従事者を対象とした四疾患相談員の養成研修会を引き続き開催することとしているので、都道府県にあっては、職員の参加について特段のご配慮をお願いする。


4.ハンセン病対策

(1) ハンセン病問題の経緯について
 厚生労働省においては、平成8年のらい予防法廃止後においても、入所者対策、入所者親族対策、在宅治療対策及び普及啓発対策を各都道府県と連携しながら、引き続き実施するとともに、平成10年3月より社会復帰者支援事業を実施してきたところである。
 しかしながら、平成10年に「らい予防法」に基づく施設入所施策に対して国家賠償請求訴訟が提起され、平成13年5月の熊本地裁判決で国が敗訴したところであり、この判決に対して、同23日に内閣として控訴しないことを決定し、同25日に内閣総理大臣談話及び政府声明を発表したところである。
 また、総理大臣談話に基づき、ハンセン病問題の早期かつ面的な解決を図るため同年6月15日に議員立法として「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」が成立し、同22日に公布・施行されたところである。
 遺族原告及び入所歴なき原告については、平成14年1月28日に基本合意書を締結し、現在和解中である。
 
(2) ハンセン病問題の全面的な解決に向けた新たな施策について
 厚生労働省においては、ハンセン病問題の全面的な解決に向けて、退所者に対する住宅確保を支援するための施策として、国土交通省と協議の上、公営住宅法施行令の一部を改正することにより、らい予防法廃止までの間にハンセン病療養所に入所したことがある方は、単身者であっても公営住宅に入居できるようにしたほか(施行日平成13年12月28日)、平成13年6月に設けたハンセン病問題対策協議会における5回に及ぶ協議も踏まえ、平成14年度より従来の施策に加え、新たな施策として、退所後の福祉の増進をはかる観点から「国立ハンセン病療養所等退所者給与金」事業を、死没者の名誉回復を図る観点から、「国立ハンセン病療養所等死没者改葬費」事業を、ハンセン病患者・元患者の名誉回復を図る観点から、謝罪広告の掲載(同年3月及び5月)や、中学生を対象に啓発パンフレットの作成配布(現在作成中)、ハンセン病問題に関する事実検証会議などを実施しているところである。
 これら施策の実施を含め、ハンセン病問題の全面的な解決のためには、厚生労働本省、国立ハンセン病療養所及び各都道府県の連携及び協力・支援等が不可欠であり、特段の御協力をお願いしたい。
 特に、(1)ハンセン病療養所退所者(以下、「退所者」という。)や退所希望者に対する相談窓口の設置、(2)退所者に対する公営住宅の斡旋・優先入居、(3)ハンセン病療養所死没者(以下、「死没者」という。)の納骨、改葬に対する支援などについての御検討を引き続きお願いしたい。



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