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3.介護保険施設等に対する指導について

(1)市町村(保険者)指導について

 介護保険制度の実施主体である市町村(保険者)に対する各都道府県のこれまでの指導結果をみると、概ね適正な業務等の運営が行われているが、一部には要介護認定の法定期限内処理、苦情処理、保険料の徴収事務等に改善すべき問題点がみられるところであり、各都道府県におかれては、引き続き、すべての市町村(保険者)に対し、原則年1回の実地指導をお願いしたい。

(2)介護保険施設等の適正な運営の確保について

 平成12年4月の制度発足以降、介護保険施設等においては、概ね適切に介護サービスの提供が行われているが、一部には施設整備に絡む不正、不適切な介護サービスの提供、不正な介護給付費の請求など、極めて憂慮すべき不祥事が起きている。平成12年4月から平成13年12月までの間に不正請求や指定基準違反などにより指定取消等となったものは、全国で20事業者24事業所となっている。
 このため、特に次の点に留意して今後の指導・監査を実施されるようお願いしたい。

(1) 都道府県・保健所政令市等における指導体制の確立

 国が実施した13年度(4月〜12月まで)の都道府県・保健所政令市等への指導・助言の結果、一部について指導体制が不十分なところが認められたので、以下の点に留意願いたい。

ア 指導・監査体制の確立

 各都道府県・保健所政令市等においては、介護保険施設等に対して、より実効のある指導・監査ができるような組織とするとともに人的配置にも配慮するなど本庁の指導・監査体制の確立に努めること。

イ 指導・監査諸部門との連携

 介護保険サービスの質の確保、介護給付の適正な確保の観点から、関連する社会福祉法人監査担当部門、老人福祉監査担当部門、医療監視担当部門、医療保険監査担当部門等との連携を緊密に図ること。

ウ 統一的な実施の確保

(ア)指導・監査にかかる事務を福祉事務所等本庁以外の機関に委任している都道府県・保健所政令市等にあっては、指導方針、指導内容等について各担当者が共通認識のもとに統一的な実施が図られ指導に差異が生じないよう十分留意するとともに、当該実施機関による指導結果等についても的確な把握に努め、その内容を十分精査分析した上で、必要に応じ当該実施機関に対し十分な指導を行うこと。

(イ)指定等事務部門と指導・監査担当部門が異なる都道府県及び保健所政令市にあっては、指定事業者について是正改善の指導を行う場合には、当該都道府県の指定等部門と十分な連携を図ること。

(2) 適切な指導・監査の実施

ア 的確な事実の把握

 介護保険施設等の指導・監査に当たっては、関係書類等の収集・分析及び開設者や従業者等からの事情聴取などの事実確認を的確に行うことが必要である。すなわち、把握された事実が介護保険法等の法令に照らして適正かどうかを検証する必要がある。また、指定取消という行政処分を視野に置いた場合には、指定の取消しを規定した介護保険法関係条文に該当しているかどうかを検証する必要がある。

イ 適切な是正改善指導と厳正な対応

 こうした事実を確認した上、事案の軽重等を勘案し、改善のための行政指導や指定の取消しを行う必要がある。
 介護保険制度の安定した信頼性の高い運営の確保のためには、是正改善指導を通じて事業を育成するという姿勢がまず必要であるが、悪意をもって介護報酬の不正請求を繰り返すなど明らかに指定の取消事由に該当する場合には、毅然とした行政処分による対応が必要である。

ウ 指定の取消し等の場合のお願い

 当分の間、全国的に整合性のとれた指導・監査の実施を確保する観点から、指定取消等の介護保険法に基づく行政処分の必要性が考えられる場合には、速やかに当室あてに連絡するようお願いしたい。

(3)国における指導について

 国と各都道府県・保健所設置市等との合同指導については、平成12年5月12日付老人保健福祉局長通知において示した指導指針に基づき、本省及び全国7か所の地方厚生局において業務の役割を分担し、今年度から実施しているところであるが、平成14年度においても引き続き実施するので、それぞれの部署と十分な連携と協力をお願いしたい。
 なお、平成14年度の本省及び地方厚生局における指導の詳細な時期、方法等については、2月に開かれる課長会議において示す予定としているので了知されたい。


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