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臓器移植対策室

1.臓器移植対策

(1)臓器移植の普及啓発について

(1) 「臓器の移植に関する法律」(以下「臓器移植法」という。)においては、臓器提供の要件として、心停止下での腎臓及び眼球の提供を除き、本人が生前に臓器提供の意思を書面により表示していることを定めており(臓器移植法第6条第1項)、このため「臓器提供意思表示カード」や医療保険の被保険者証又は運転免許証に貼付することのできる「臓器提供意思表示シール」の普及を図ることが重要な課題となっていることから、引き続きこれらのカード及びシールの普及について御協力をお願いしたい。
 具体的には、既に発出している平成9年10月8日付内かん、平成10年5月7日付健医地発第40号・健医疾発第39号通知、平成10年12月10日付内かん、平成12年5月19日付健医疾発第48号通知及び平成13年4月10日付健臓発第9号のとおり、臓器提供意思表示カードを移植医療担当部局及び保健所に配備して照会に対し適切に対応されることや、カード及びシールについて警察本部運転免許担当部局との連絡を密にし運転免許試験場等への円滑な配備を行うこと、視覚障害者用の臓器提供意思表示カードを障害者福祉担当部局とも連携の上関係機関に配備することのほか、国民健康保険部局とも連携の上被保険者証用のシールの普及に御尽力いただくこと等について引き続き御協力をお願いする。

(2) 臓器移植に関する普及広報については、各地方公共団体においても各種の活動に御尽力いただいているところであるが、国及び地方公共団体の責務として国民への移植医療の理解を深めていくことが法律上も明文化されている(臓器移植法第3条)ところであり、引き続き臓器移植の普及啓発への御協力をお願いしたい。
 特に、毎年10月の「臓器移植普及推進月間」においては、関係機関と連携の上報道機関等も活用しながら、重点的に取り組んで国及び地方公共団体の責務いただくようお願いする(なお、平成13年度においては10月20日に秋田県秋田市で全国大会を開催)。
 また近年、心停止後の腎臓及び眼球の提供による腎臓移植及び角膜移植が減少傾向にある。これは、心停止後の眼球及び腎臓の提供については臓器移植法附則第4条により、遺族の承諾のみに基づいて行うことができることとされているが、国民や医療従事者の間に遺族の承諾のみに基づいて行うことはできないとの誤解があることがその要因の一つと考えられている。各都道府県におかれては、こうした誤解を解くため、一層の普及啓発に努められたい。

(2)関係医療機関の臓器提供に対する理解及び協力の確保について

(1) 脳死下での臓器提供については「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)」において提供可能な施設を限定しているが、平成13年9月27日現在、施設内での整備を整えた臓器提供施設は414施設(公表について同意した施設329施設)である。
 また、都道府県臓器移植連絡調整者(都道府県コーディネーター)にあっては、今後とも都道府県内の関係医療機関の医療従事者等に対し、臓器移植に関する普及啓発活動を行い臓器提供のための体制を整えていただくなど、各都道府県内の臓器提供体制の拡充に努めるとともに、心停止下での腎臓移植も含めて臓器提供に協力いただいている施設等を定期的に巡回するなど、臓器提供に対する一層の理解及び協力が得られるようよろしくお願いしたい。

(2) 腎臓のレシピエント選択基準について、平成13年12月に移植成績の向上と地域における献腎へのインセンティブ向上の観点から、より地域性を重視したルールに改正したところ、この新基準についても、都道府県コーディネーター等により医療機関等関係者に対して普及啓発に努めていただくようお願いする。
 なお、ドナー適応基準及びレシピエント選択基準の見直しを行った際には逐次都道府県コーディネーターに日本臓器移植ネットワークの各ブロックセンターよりお知らせしているところであるので、都道府県コーディネーター等を通じ最新の基準について関係者の間に周知徹底していただくようお願いする。

2.造血幹細胞移植対策

(1)骨髄移植対策

 白血病や重症再生不良性貧血等の血液難病患者に対する有効な治療法の一つとして、造血幹細胞を移植する骨髄移植及びさい帯血移植がある。
 骨髄移植の推進を図るために、平成3年12月から「日本骨髄バンク」事業を実施しているが、平成13年11月末現在で骨髄ドナー登録者数は14万6千人を超え、骨髄バンクを介して行われた移植件数も累計で3千7百例に上っている。各都道府県におかれては、従前より普及啓発活動等により同事業の推進に御協力いただいているが、同事業を円滑に推進するためには骨髄提供者の確保が依然として重要課題となっている。このため、来年度においても「ドナー登録者30万人」の目標に向け、一人でも多くの方に骨髄移植の機会を提供できるよう、同事業への一層の御尽力をお願いしたい。
 都道府県で実施されている事業のうち、保健所におけるドナー登録受付事業については、各都道府県の御協力により全都道府県で実施されているところであり、この点につき御礼申し上げるとともに、受付時間の延長等、受付事業の一層の充実をお願いしたい。また、集団登録業務についても、移動献血会場においてドナー登録会を行う「移動献血併行型ドナー登録会」の実施に御協力いただく等、地域の実情に応じた積極的な取組をお願いする。さらに、関係者からなる連絡調整の場を設けていただくなど、医療関係者、ボランティア等との連携の確保に努められたい。
 特に毎年12月の「骨髄バンク推進月間」においては、各都道府県の御協力を得ながら多くの骨髄提供希望者を確保するための取組を行っているところであるが、今後とも同月間において各事業について重点的に取り組んでいただくようお願いする。
 さらに、「骨髄ドナー休暇」制度については、既にほぼ全ての都道府県及び市町村において制定されているが、制定していない県におかれては制定していただくようお願いするとともに、未だ制定していない市町村に対し、その制定につき御理解御協力いただくよう働きかけをお願いしたい。

(2)さい帯血移植対策

 さい帯(へその緒)及び胎盤に含まれている血液から分離した造血幹細胞を移植するさい帯血移植について、厚生労働省としては、「日本さい帯血バンクネットワーク」(平成12年度設立)を中心に、保存個数2万個程度を目標に安全なさい帯血移植実施体制の緊急整備を図ることとしている。平成13年12月末現在までに約7千個の保存をしてきているが、平成14年度予算において、今までの9バンクに加え宮城県さい帯血バンクを設立することなどにより、目標である2万個程度の保存に向けた予算を確保したところである。


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