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疾病対策課

1.エイズ対策

(1)エイズ対策の総合的な推進について

 後天性免疫不全症候群(エイズ)は、性的接触による感染が増加するなど依然として感染の拡大が続き、地域的、年齢的にも広がりを見せており、さらなる対策の充実・強化が必要な状況となっている。
 各都道府県等にあっては、患者・感染者に対する偏見や差別を解消し、人権を尊重することが重要であるとの考えを常に念頭に置き、地域の実情にあったエイズ対策を引き続き積極的に推進していただくようお願いする。

(2)エイズ対策促進事業等について

 都道府県等におけるエイズ対策の補助事業であるエイズ対策促進事業の1つである「検査、相談事業」の経費については、平成14年度予算案において組み替えを行い、「特定感染症検査等事業」に統合して「性感染症・HIV・ウイルス性肝炎検査・相談事業(仮称)」として実施することとしている。この変更は、保健所における検査体制の充実・強化を目的としたものであり、これによってHIV相談・抗体検査を受ける者が、「性感染症に関する特定感染症予防指針」に規定された疾患の検査及び肝炎ウイルスの検査も併せて受けることができるようになる。
 今後とも、各都道府県等においては、エイズ対策の一層の充実のため、これらの事業の円滑な実施が図られるよう御協力をお願いする。

平成13年度予算(組み替え前)と平成14年度予算案(組み替え後)の説明図

2.難病対策

 平成14年度においては、引き続き重症難病患者に対する入院施設確保事業や在宅療養支援の着実な推進、クロイツフェルト・ヤコブ病等神経難病患者の診断支援の実施や特定疾患治療研究事業(医療費公費負担)の対象患者の判定の基礎となる調査票の電子化の推進を図るほか、特定疾患治療研究事業において、患者一部自己負担水準は据え置きとしつつ、対象疾患の追加を図るなど、難病対策の一層の推進を図ることとしている。

(1)地域における保健医療福祉施策の推進について

ア 難病特別対策推進事業について

(ア)クロイツフェルト・ヤコブ病等診断の困難な神経難病の早期確定診断を行うとともに、当該神経難病患者等の療養上の不安を解消し、安定した療養生活を確保するため、一般診療医の要請により都道府県等に配置した専門医による在宅医療支援チームの派遣体制の整備をお願いする。なお、特にクロイツフェルト・ヤコブ病については、平成13年度より各都道府県に専門医を配置したのでその積極的な活用をお願いする。

(イ)また、平成13年度より、特定疾患治療研究事業の申請時に必要な臨床調査個人票を電子化し全国的に統一することにより、難病研究の促進及び対象患者の認定業務の省力化等を図ることとした。平成14年度においても引き続き、都道府県ごとに対象患者の判定の基礎となる調査票の電算処理(入力)を適格にお願いする。

(ウ)さらに、難病患者の適時・適切な入院受け入れを行うため、都道府県ごとに拠点・協力病院による難病医療体制を確保する事業を推進しているところであり、未整備の都道府県にあっては、引き続き整備促進にご協力をお願いする。

(エ)同じく難病患者の生活の質の向上を図るため、患者ごとに在宅療養支援計画の策定・評価や重症患者への訪問相談事業の実施など、在宅療養支援事業を推進しているが、各都道府県にあっては、引き続き地域の実情に応じた積極的な支援について特段のご配慮をお願いする。

イ 難病患者等居宅生活支援事業について

 介護保険法、老人福祉法及び身体障害者福祉法等の施策の対象とならない難病患者及び慢性関節リウマチ患者に対するホームヘルプサービス等の介護サービス事業について、障害者プランに基づき引き続き推進することとしているので、各都道府県にあっては、事業の実施にあたり、保健所を通じ、管下市町村に対し、積極的に協力を行うなど、本事業の実効ある実施方特段のご配慮をお願いする。

ウ 難病情報センター事業について

 難病患者やその家族、並びに医療関係者が求めている最新の医学・医療情報の提供を図る本センター事業については、平成8年度の創設以来、順次内容の充実を図ってきているが、各都道府県にあっては、管下保健所を通じ、インターネットの活用が困難な難病患者への情報提供を行うなど、本事業の積極的な活用方について特段のご配慮をお願いする。

(2)特定疾患治療研究事業の推進について

 特定疾患治療研究事業(医療費公費負担)については、平成10年度に導入した患者一部自己負担水準は据え置きとしつつ、対象疾患を1疾患追加(46疾患→47疾患)するなど、引き続き本事業を推進していくこととしているので、各都道府県にあっては、よろしく御協力お願いする。

(3)難病対策委員会について

 昨年9月に設置された同委員会については、昨年中に3回開催してきたところであり、本年度中に同委員会の結論を出す予定としていたところであるが、これまでの審議状況から見ても、本年3月末までに結論を出すのは厳しい状況にある。各都道府県の皆様方も委員会の動向は、気になるところと思われるが、ホームページ掲載の議事録により同委員会での検討状況をご確認いただきたい。

3.リウマチ・アレルギー対策

 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症等のリウマチ・アレルギー疾患を有する患者は、国民の30%にのぼると言われており、放置出来ない重要な問題となっている。厚生労働省においては、平成4年度から研究班を設置し、病因及び病態の解明、治療法等の研究の推進を図ってきたところである。 これら研究の成果として、平成13年度中には、リウマチ・アレルギー白書を作成し、都道府県等へ配布することとしているので、有効な活用方について特段のご配慮をお願いする。

(1)免疫アレルギー疾患に関する研究等の推進

 リウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症、膠原病等の免疫アレルギー疾患の病因及び病態の解明、治療法等の開発に関する研究の推進を図ることとしている。

(2)免疫アレルギー疾患に関する正しい情報の普及

 免疫アレルギー疾患に関しては、民間療法も含め膨大な情報が氾濫しており、正しい情報の取捨選択が困難な状況である。これらの問題を解消し、また、正しい情報を整理し普及すること等を目的としてリウマチ・アレルギー対策委員会を中心に、疾患に関する情報の収集・整理をするとともにリウマチ、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症について地域における相談体制を整備するため、保健婦等従事者を対象とした四疾患相談員の養成研修会を昨年に引き続き開催することとしているので、都道府県にあっては、職員の参加について特段のご配慮をお願いする。

4 ハンセン病対策

(1)ハンセン病対策の現状について

 厚生労働省においては、平成8年のらい予防法廃止後においても、入所者対策、入所者親族対策、在宅治療対策及び普及啓発対策を各都道府県と連携しながら、引き続き実施するとともに、平成10年3月より社会復帰者支援事業を実施してきたところである。
 しかしながら、平成10年に「らい予防法」に基づく施設入所施策に対して国家賠償請求訴訟が提起され、平成13年5月の熊本地裁判決で国が敗訴したところであり、この判決に対して、同23日に内閣として控訴しないことを決定し、同25日に内閣総理大臣談話及び政府声明を発表したところである。
 また、総理大臣談話に基づき、ハンセン病問題の早期かつ面的な解決を図るため同年6月15日に議員立法として「ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律」が成立し、同22日に公布・施行されたところである。
 遺族原告及び入所歴なき原告については、別途係争中であったが、同年12月7日の熊本地裁の和解勧告を受け、現在和解交渉中である。

(2)ハンセン病問題の全面的な解決に向けた新たな施策について

 ハンセン病問題の全面的な解決に向けて、平成13年6月に設けたハンセン病問題対策協議会における5回に及ぶ協議等を踏まえ、平成14年度より従来の施策に加え、新たな施策を実施することとしている。
 しかし、これら施策の実施を含め、ハンセン病問題の全面的な解決のためには、厚生労働本省、国立ハンセン病療養所及び各都道府県の連携及び協力・支援等が不可欠であり、特段の御協力をお願いしたい。
 具体的には、(1)ハンセン病療養所退所者(以下、「退所者」という。)や退所希望者に対する相談窓口の設置、(2)退所者に対する公営住宅の斡旋・優先入居、(3)ハンセン病療養所死没者(以下、「死没者」という。)の納骨、改葬に対する支援、(4)公立病院における医療費一部負担への補助、(5)死没者の追悼式の開催などについての御検討をお願いしたい。
 なお、厚生労働省としては、退所者に対する住宅確保を支援するための施策として、国土交通省とも協議の上、らい予防法廃止までの間にハンセン病療養所に入所したことがある方は、単身者であっても公営住宅に入居できるように公営住宅法施行令の一部を改正したところである(施行日 平成13年12月28日)。

[平成14年度に実施を予定している新たな施策等]

1)名誉回復のための施策

 ハンセン病患者・元患者の名誉回復を図る観点から、更なる啓発普及の充実を図る。
  ・謝罪広告の掲載
  ・中学生を対象に啓発パンフレットの作成配布
  ・ハンセン病対策の歴史的事実検証会議の設置

2)福祉の増進等のための施策

 引き続きハンセン病療養所入所者の療養を確保し、入所者家族及び退所者の福祉に関する措置を講じるとともに、新たに退所者給与金制度を創設する。
3)死没者に対する追悼の意を表するための施策

 ハンセン病療養所において生涯を終えることとなった死没者に対し、納骨堂から遺骨の出身地墓地への改葬のために要する費用を補助する。


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