この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とすること。(第一条関係)
二 用語の定義
1 確定拠出年金
「確定拠出年金」とは、企業型年金及び個人型年金をいうものとすること。(第二条第一項関係)
2 企業型年金
「企業型年金」とは、厚生年金保険の適用事業所の事業主が単独で又は共同して、第二に定めるところにより実施する年金制度をいうものとすること。(第二条第二項関係)
3 個人型年金
「個人型年金」とは、国民年金基金連合会(以下「連合会」という。)が、第三に定めるところにより実施する年金制度をいうものとすること。(第二条第三項関係)
4 被用者年金被保険者等
「被用者年金被保険者等」とは、次に掲げる者であって、六十歳未満のものをいうものとすること。(第二条第六項関係)
5 確定拠出年金運営管理業
「確定拠出年金運営管理業」とは、次に掲げる業務(以下「運営管理業務」という。)の全部又は一部を行う事業をいうものとすること。(第二条第七項関係)
6 企業型年金加入者
「企業型年金加入者」とは、企業型年金において、その者について企業型年金を実施する厚生年金保険の適用事業所の事業主により掛金が拠出され、かつ、その個人別管理資産について運用の指図を行う者をいうものとすること。(第二条第八項関係)
7 企業型年金運用指図者
「企業型年金運用指図者」とは、企業型年金において、その個人別管理資産について運用の指図を行う者(企業型年金加入者を除く。)をいうものとすること。(第二条第九項関係)
8 個人型年金加入者
「個人型年金加入者」とは、個人型年金において、掛金を拠出し、かつ、その個人別管理資産について運用の指図を行う者をいうものとすること。(第二条第十項関係)
9 個人型年金運用指図者
「個人型年金運用指図者」とは、個人型年金において、その個人別管理資産について運用の指図を行う者(個人型年金加入者を除く。)をいうものとすること。(第二条第十一項関係)
10 個人別管理資産及び個人別管理資産額
「個人別管理資産」とは、企業型年金加入者、個人型年金加入者等に支給する給付に充てるべきものとして、一の企業型年金又は個人型年金において積み立てられている資産をいい、「個人別管理資産額」とは、その額として政令で定めるところにより計算した額をいうものとすること。(第二条第十二項及び第十三項関係)
1 企業型年金規約
厚生年金保険の適用事業所の事業主は、企業型年金を実施しようとするときは、労使合意に基づいて、企業型年金に係る規約を作成し、当該規約について厚生労働大臣の承認を受けなければならないものとすること。(第三条第一項関係)
(2) 承認の基準等
厚生労働大臣は、(1)の承認の申請があった場合において、当該申請に係る規約が一定の要件に適合すると認めるときは、承認をするものとすること。(第四条第一項関係)
2 運営管理業務の委託等
二 企業型年金加入者等
1 企業型年金加入者
企業型年金が実施される厚生年金保険の適用事業所(以下「実施事業所」という。)に使用される被用者年金被保険者等は、企業型年金加入者とするとともに、実施事業所に使用される被用者年金被保険者等が企業型年金加入者となることについて企業型年金規約で一定の資格を定めたときは、当該資格を有しない者は、企業型年金加入者としないものとすること。(第九条関係)
2 企業型年金運用指図者
次に掲げる者は、企業型年金運用指図者とすること。(第十五条第一項関係)
3 事業主、企業型年金加入者又は企業型年金運用指図者から記録関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関(以下「企業型記録関連運営管理機関」という。)等への通知又は申出義務及び企業型記録関連運営管理機関等の企業型年金加入者等に関する原簿の保存義務に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第十六条から第十八条まで関係)
三 掛金
1 事業主掛金
事業主は、企業型年金加入者期間の計算の基礎となる各月につき、掛金を拠出するものとすること。(第十九条第一項関係)
2 拠出限度額
各企業型年金加入者に係る事業主掛金の額は、拠出限度額(一月につき拠出することができる事業主掛金の額の上限として、企業型年金加入者の厚生年金基金の加入員の資格の有無等を勘案して政令で定める額をいう。)を超えてはならないものとすること。(第二十条関係)
四 運用
1 事業主の責務
事業主は、その実施する企業型年金の企業型年金加入者及び企業型年金運用指図者(以下「企業型年金加入者等」という。)に対し、これらの者が行う4の運用の指図に資するため、資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(第二十二条関係)
2 運用の方法の選定及び提示
3 運用の方法に係る情報の提供
企業型運用関連運営管理機関等は、2の(1)により提示した運用の方法について、これに関する利益の見込み及び損失の可能性その他の企業型年金加入者等が4の運用の指図を行うために必要な情報を、当該企業型年金加入者等に提供しなければならないものとすること。(第二十四条関係)
4 運用の指図
企業型年金加入者等は、企業型年金規約で定めるところにより、積立金のうち当該企業型年金加入者等の個人別管理資産について運用の指図を行うものとすること。(第二十五条第一項関係)
5 個人別管理資産額の通知
企業型記録関連運営管理機関等は、毎年少なくとも一回、企業型年金加入者等の個人別管理資産額を当該企業型年金加入者等に通知しなければならないものとすること。(第二十七条関係)
五 給付
1 通則
2 老齢給付金
(イ) 六十歳以上六十一歳未満の者 | 十年 |
(ロ) 六十一歳以上六十二歳未満の者 | 八年 |
(ハ) 六十二歳以上六十三歳未満の者 | 六年 |
(ニ) 六十三歳以上六十四歳未満の者 | 四年 |
(ホ) 六十四歳以上六十五歳未満の者 | 二年 |
(ヘ) 六十五歳以上の者 | 一月 |
3 障害給付金
4 死亡一時金
六 事業主等の行為準則
1 事業主の行為準則
2 資産管理機関の行為準則
資産管理機関は、法令及び資産管理契約を遵守し、企業型年金加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならないものとすること。(第四十四条関係)
七 企業型年金の終了
企業型年金の終了に関し必要な事項を定めるものとすること。(第四十五条から第四十八条まで関係)
八 雑則
1 事業主の運営管理業務に関する帳簿書類の作成及び保存義務並びに企業型年金に係る業務についての報告書の提出義務、厚生労働大臣の事業主に対する報告の徴収等及び監督並びに厚生年金基金の資産管理契約に係る業務の特例に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第四十九条から第五十三条まで関係)
2 他の制度の資産の移換
企業型年金の資産管理機関は、当該企業型年金の実施事業所において実施される企業年金制度又は退職手当制度に係る資産の全部又は一部の移換を受けることができるものとすること。(第五十四条第一項関係)
1 個人型年金規約
2 運営管理業務の委託等
1 個人型年金加入者
次に掲げる者は、連合会に申し出て、個人型年金加入者となることができるものとすること。(第六十二条第一項関係)
2 個人型年金運用指図者
3 確定拠出年金運営管理機関の指定
個人型年金加入者及び個人型年金運用指図者(以下「個人型年金加入者等」という。)は、自己に係る運営管理業務を行う確定拠出年金運営管理機関を指定し、又はその指定を変更するものとすること。(第六十五条関係)
4 個人型年金加入者等の連合会への届出義務及び連合会又は個人型年金加入者等が指定した記録関連業務を行う確定拠出年金運営管理機関の個人型年金加入者等に関する原簿又は帳簿の保存義務に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第六十六条及び第六十七条関係)
三 掛金
1 個人型年金加入者掛金
個人型年金加入者は、個人型年金加入者期間の計算の基礎となる各月につき、掛金を拠出するものとするとともに、掛金の拠出は、国民年金法の保険料の納付が行われた月(障害基礎年金の受給権者等であることを理由に同法の保険料を納付することを要しないものとされた月を含む。)についてのみ行うことができるものとすること。(第六十八条第一項及び第二項関係)
2 拠出限度額
個人型年金加入者掛金の額は、拠出限度額(一月につき拠出することができる個人型年金加入者掛金の額の上限として、個人型年金加入者の種別(第一号加入者(個人型年金加入者であって、二の1の(1)に掲げるものをいう。)又は第二号加入者(個人型年金加入者であって、二の1の(2)に掲げるものをいう。以下同じ。)の区別をいう。)並びに国民年金基金の掛金及び農業者年金基金の保険料の額を勘案して政令で定める額をいう。)を超えてはならないものとすること。(第六十九条関係)
3 個人型年金加入者掛金の納付
個人型年金加入者は、個人型年金規約で定めるところにより、毎月の個人型年金加入者掛金を連合会に納付するものとするほか、第二号加入者は、当該納付をその使用される厚生年金保険の適用事業所の事業主を介して行うことができるものとすること。(第七十条第一項及び第二項関係)
四 個人型年金の終了
個人型年金は、連合会が解散するに至った日に終了するものとすること。(第七十二条第一項関係)
五 企業型年金に係る規定の準用
第二の四は積立金のうち個人型年金加入者等の個人別管理資産の運用について、第二の五は個人型年金の給付について、第二の六の1は連合会について準用するものとすること。(第七十三条関係)
六 雑則
連合会の業務の特例、個人型年金規約策定委員会、区分経理、国民年金基金の業務の特例、個人型年金についての事業主の協力等及び国民年金法の適用に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第七十四条から第七十九条まで関係)
次に掲げる者が甲企業型年金の企業型年金加入者の資格を取得したときは、それぞれに定める者は、当該資格を取得した者の個人別管理資産を甲企業型年金の資産管理機関に移換するものとすること。(第八十条第一項関係)
1 乙企業型年金の企業型年金加入者又は企業型年金加入者であった者(乙企業型年金の障害給付金の受給権を有する者並びに3及び4に掲げる者を除く。) 乙企業型年金の資産管理機関
2 個人型年金加入者(個人型年金の障害給付金の受給権を有する者及び4に掲げる者を除く。) 連合会
3 個人型年金運用指図者(個人型年金の障害給付金の受給権を有する者及び4に掲げる者を除く。) 連合会
4 四の規定により個人別管理資産が連合会に移換された者 連合会
二 個人型年金加入者となった者の個人別管理資産の移換
企業型年金の企業型年金加入者であった者(当該企業型年金の障害給付金の受給権を有する者を除く。)が個人型年金加入者となる旨の申出をしたときは、当該企業型年金の資産管理機関は、当該申出をした者の個人別管理資産を連合会に移換するものとすること。(第八十一条第一項関係)
三 個人型年金運用指図者となった者の個人別管理資産の移換
企業型年金の企業型年金加入者であった者が個人型年金運用指図者となる旨の申出をしたときは、当該企業型年金の資産管理機関は、当該申出をした者の個人別管理資産を連合会に移換するものとすること。(第八十二条第一項関係)
四 その他の者の個人別管理資産の移換
企業型年金の資産管理機関は、次に掲げる者の個人別管理資産を連合会に移換するものとすること。(第八十三条第一項関係)
1 当該企業型年金の企業型年金加入者であった者であって、その個人別管理資産が当該企業型年金加入者の資格を喪失した日が属する月の翌月から起算して六月以内に一から三までの規定により移換されなかったもの(当該企業型年金の企業型年金運用指図者を除く。)
2 当該企業型年金が終了した日において当該企業型年金の企業型年金加入者等であった者であって、その個人別管理資産が一から三までの規定により移換されなかったもの
二 国は、事業主及び連合会に対し、確定拠出年金の実施に関し必要な指導及び助言を行うことができるものとすること。(第八十七条関係)
確定拠出年金運営管理業は、主務大臣の登録を受けた法人でなければ、営んではならないとともに、銀行その他の金融機関は、他の法律の規定にかかわらず、登録を受けて確定拠出年金運営管理業を営むことができるものとすること。(第八十八条関係)
二 業務
1 標識の掲示及び名義貸しの禁止
確定拠出年金運営管理機関は、営業所ごとに、公衆の見やすい場所に、主務省令で定める様式の標識を掲示しなければならないものとするとともに、自己の名義をもって、他人に確定拠出年金運営管理業を営ませてはならないものとすること。(第九十四条第一項及び第九十五条関係)
2 書類の閲覧
確定拠出年金運営管理機関は、主務省令で定めるところにより、その業務の状況を記載した書類を営業所ごとに備え置き、加入者等の求めに応じ、これを閲覧させなければならないものとすること。(第九十六条関係)
3 加入者等の運用の指図に資する措置
確定拠出年金運営管理機関は、事業主又は連合会の委託を受けて、第二の四の1による資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を行うことができるものとすること。(第九十七条関係)
4 確定拠出年金運営管理機関の行為準則
三 監督
確定拠出年金運営管理機関の業務に関する帳簿書類の作成及び保存義務並びにその業務に関する報告書の提出義務、主務大臣の確定拠出年金運営管理機関に対する報告の徴収等及び監督、登録の抹消等に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第百一条から第百七条まで関係)
四 雑則
厚生年金基金及び国民年金基金の業務の特例並びに国に対する特例に関し、所要の規定を設けるものとすること。(第百八条及び第百九条関係)
この法律は、一部の事項を除き、平成十三年十月一日から施行するものとすること。(附則第一条関係)
二 脱退一時金
当分の間、一定の要件を満たす者については、脱退一時金の支給を請求することができるものとするとともに、その請求があったときは、連合会は、その請求をした者に脱退一時金を支給するものとすること。(附則第三条第一項及び第二項関係)
三 確定拠出年金を実施する場合における厚生年金基金に関する特例
厚生年金基金設立事業所の事業主が企業型年金を実施する場合に、その企業型年金加入者たる加入員であった期間を厚生年金基金の給付の額の計算の基礎としないこととするため、所要の規定の整備を行うほか、厚生年金基金の資産を企業型年金に移換することができるものとすること。(附則第五条関係)
照会先: 厚生労働省年金局企業年金国民年金基金課 厚生労働省代表 03−5253−1111(内線3370) 夜間直通 03−3502−6878 担当:尾崎、今井、立石、塩生