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(歯科保健課)

1.8020運動等歯科保健対策(健康日本21関連)について

 高齢社会を迎えた今日、国民すべてが健康で明るく快適に過ごせる社 会づくりを進めていくことが重要な課題であるが、歯の喪失等は、物が 食べにくい、会話が不明瞭になることが生じる等豊かな生活を送る上で 大きな影響を与えることとなる。
 そこで、生涯を通じた歯科保健活動を推進していくため、80歳にな っても自分の歯を20本以上保つことを目標とした8020(ハチマル ・ニイマル)運動を進めている。
 また、平成12年3月国民の健康寿命の延長を主眼として発表された 「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」において歯 の健康における具体的な数値目標が定められており、ここにおいても8 020達成者を、現行の11.5%から2010年まで20%以上とす るよう目標が設定されている。
 これらを踏まえ、各都道府県等におかれても、本運動の一層の推進に努められたい。
 なお、厚生労働省としては、以下の事業を実施している。

(1) 8020支援事業の推進について

 歯の健康寿命の延長を図る8020運動の積極的な全国展開を図るため、都道府県等の創意工夫により地域における8020運動に対する普及啓発を行うとともに、歯科保健の円滑な推進体制を整備するため、平成12年度から実施している「8020運動推進特別事業」を引き続き実施する。
 また、平成8年度から「高齢者の口腔保健と全身的な健康状態の関係についての総合研究」、平成12年度から「歯を長持ちさせる予防・治療技術の開発等に関する研究」さらに平成13年度からは「痴呆性老人への歯科保健医療の推進のための研究」等の研究を行うこととしている。

(2) 歯科における要介護者対策の推進について

 平成12年度より介護保険法の施行等に伴い、歯科における要介護者対策並びに市町村・都道府県における歯科保健サービスの推進を図るため、次の事業を実施している。

ア 介護保険等対応歯科保健医療推進事業
歯科健診、歯科治療等の歯科保健医療サービスを受ける機会に恵まれない状況にある要介護者等に適切な歯科保健医療サービスを提供する歯科医師及び歯科衛生士の研修と在宅歯科保健事業を実施する。
イ 歯科保健推進事業費
事業のメニューは、平成12年度に引き続き、成人歯科保健事業、かかりつけ歯科医機能支援事業及び、障害者等歯科保健サービス基盤整備事業としている。
ウ 要介護者等歯科治療連携モデル事業
地域において要介護者等に対する歯科治療に伴いショック等を起こし易い全身的リスク度の高い患者の病院歯科への搬送を含め、病診連携のシステム開発等の高次の歯科治療の後方支援体制の整備を行うことを目的として実施する。

(3) 歯科保健関係行事について

 国民の歯科保健に対する関心をより向上させるために、各地域で歯 の健康づくりを推進していくことが重要であることから、歯の衛生週 間(6月4日〜10日)や第22回全国歯科保健大会(10月27日 鹿児島県で開催予定)等の実施を通じ、歯科衛生思想の普及啓発を行 うとともに地域における歯科保健事業の積極的な推進を図ることとし ているので、各都道府県におかれてもその推進に努められたい。

(4) 保健所等に勤務する歯科医師及び歯科衛生士について

 歯科保健対策の推進を図るためには、歯科医師及び歯科衛生士を都道府県、政令市、市町村、保健所等に配置することが必要であり、成人歯科保健や母子歯科保健の充実に伴い、従事者数は増加してきているものの、まだ不十分であり、今後とも十分配慮願いたい。
  市町村における配置は無論のこと、特に、現在未配置の県にあって は、是非とも協力方よろしくお願いする。


2.へき地等歯科医療対策について

 へき地医療対策としての、(1)無歯科医地区及び離島住民に対する歯科巡回診療事業、(2)過疎地域における歯科診療所の整備、(3)へき地中核病院設備整備事業(歯科医療機器分)、また、救急医療対策として、(1)休日等歯科診療所の運営事業費及び設備整備、(2)歯科の在宅当番医制の助成については、平成13年度においても引き続き行うこととしている。


3.歯科医師の臨床研修について

(1) 歯科医師の臨床研修については、必修化を図るための歯科医師法改 正を含む「医療法等の一部を改正する法律案」が第150回国会で成 立し、診療に従事しようとするすべての歯科医師は卒後1年以上、臨 床研修を受けなければならないこととなった。
 今後、平成18年4月からの施行までの間に、歯科医師の資質の向 上、全人的医療の推進という趣旨を踏まえた真に実効性のある改正となるよう、(1)研修医が研修すべき事項・目標、(2)そのための研修プロ グラム、(3)研修修了の認定方法、(4)臨床研修施設の指定基準等につい て、具体的な検討を進めることとしている。

(2) 歯科医師臨床研修指定施設として、平成12年4月1日現在、歯科 大学・歯学部附属病院及び医科大学・医学部附属病院以外の一般病院 及び歯科診療所の合計277施設が指定され、臨床研修が実施されて いるところである。
 今年度は既に昨年12月に歯科医師臨床研修部会が開催されており 、4月に123施設を新たな臨床研修施設として指定を行うこととし ている。

(3) 歯科医師臨床研修は開始後、間もないことから、実施率が6割程度 に留まっており、また、研修歯科医を受け入れる臨床研修施設も不足 の状況にあるため、平成18年4月の歯科医師臨床研修の必修化に向 けて早急に、その拡充を図る必要がある。
 各都道府県におかれては、歯科医師臨床研修施設の指定基準等に留意のうえ、臨床研修施設の指定申請に関する歯科医療機関への周知等 について格段の御協力をお願いしたい。
 なお、毎年8月末を指定申請の締切りとしているので、期日につい てもご留意いただきたい。


4.フッ化物応用に関する動向について

 平成11年11月に日本歯科医学会が「フッ化物応用についての総合的な見解」としてフッ化物利用を推奨する答申をとりまとめており、この見解を受け、歯科保健課では、平成12年度より3カ年の計画で厚生科学研究班を発足させ、むし歯予防を目的としたフッ化物の全身・局所応用に関してのより具体的な指針を得るべく「歯科疾患の予防技術・治療評価に関するフッ化物応用の総合的研究」を開始しているところである。
 また、平成12年12月に日本歯科医師会では、う蝕の発生を安全かつ経済的に抑制する手段として水道水フッ化物添加が、各種フッ化物応用の中で、有効性、安全性、至便性、経済性等に対する、公衆衛生的に優れた方法であると認識し、水道水への添加という手段の性格上、これの実施は、最終的には、地方自治体の問題であり、その経過においては、地域の歯科医師会をはじめとする関連専門団体、地域住民との合意が前提であると見解を出している。
 今後、自治体から水道水質基準(0.8mg/l)内でのフッ化物添加について技術支援要請があれば、水道事業者、水道利用者、地元歯科医師会等の理解等を前提に、厚生科学研究の成果を活用する等により歯科保健行政の一環として応じてまいりたい。


5.歯科疾患実態調査について

 8020運動の効果判定を行うとともに、今後の効果的な歯科保健対策の推進方策及び歯科医療提供体制等を見直す際の基礎資料を得るため平成11年11月に実施した「歯科疾患実態調査」については調査にご協力いただいたことに感謝する。調査結果概要については昨年6月にとりまとめ公表を行ったところであり、まもなく「平成11年歯科疾患実態報告」がとりまとめられる予定である。



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