目次  前ページ  次ページ

(医事課)

1.医師臨床研修の必修化について

 医師の臨床研修については、必修化を図るための医師法を含む 「医療法等の一部を改正する法律」が昨年の第150回臨時国会で成立し、診療に従事しようとするすべての医師は卒後2年以上、臨床研修を受けなければならないこととなった。
 今後、平成16年4月からの施行までの間に、医師の資質の向上、全人的医療の推進という改革の趣旨を踏まえた、真に実効性のある改正となるよう、

(1)研修医が研修すべき事項・目標
(2)そのための研修プログラム
(3)研修修了の認定方法
(4)臨床研修病院の指定基準

などについて、具体的な検討を進めることとしている。


2.障害者に係る欠格条項の見直しについて

(1)医師免許をはじめとする医療関係資格制度に定められた「目の見えない者」「耳の聞こえない者」「口のきけない者」「精神病者」といった障害者に係る欠格事由については、平成11年8月における障害者施策推進本部決定(「障害者に係る欠格条項の見直しについて」)に基づき、見直しに向けた検討を行ってきた。

(2)平成12年12月、医療関係者審議会医師部会、歯科医師部会及 び保健婦助産婦看護婦部会合同部会は、医師法、歯科医師法及び保健婦助産婦看護婦法に規定された、障害を特定した欠格事由である、「目が見えない者」「耳が聞こえない者」「口がきけない者」及び「精神病者」の条項は廃止し、障害を特定しない相対的欠格事由に改めるとともに、「素行が著しく不良な者」「伝染性の疾病にかかっている者」についても削除すべきとの結論を出した。

(3)厚生労働省所管の資格制度のうち、30制度が障害者に係る欠格 条項を有しており、いずれも見直す方向で検討を行ってきた経緯があることから、審議会での議論等を踏まえつつ、厚生労働省として一括改正法案を今回の通常国会に提出することとし、法制面も含めた所要の準備作業を進めているところである。


3.カルテ等の診療情報の提供の在り方について

平成11年7月にとりまとめられた医療審議会の「中間報告」において、診療情報の積極的な提供や診療記録の開示を医療現場において普及・定着させていくため、医療従事者の自主的な取組みの推進や診療録等の記載の適正化、教育の充実などの環境整備の推進が重要である旨が提言された。
このため、厚生労働省としては、昨年度に引き続き平成13年度においても、

(1)診療情報の提供に関する苦情窓口の設置に必要な研修など、社団法人日本医師会が行っている自主的取組みに対する支援
(2)臨床研修病院等の指導医・指導歯科医に対する研修や診療録管理に従事する者に対する研修の実施
などに取組むこととしている。
 また、「医療法等の一部を改正する法律」により、「診療録その 他の医療に関する諸記録に係る情報を提供することができる旨」を 広告できる事項として追加したところであり、このような取組みに より、診療情報の提供を医療の現場に普及・定着させていきたいと 考えている。


4.医師、歯科医師等の処分について

(1)平成12年11月に医道審議会が開催され、3名の医師及び1名 の歯科医師に対し免許取消しの処分、18名の医師及び10名の歯科医師に対し1月から5年の業務停止の処分を行ったところである。
また、新たに33名の医師、歯科医師に対しては、意見の聴取等の手続を行うこととなり、関係都道府県にその実施を依頼し、結果のご報告をいただいているところである。
なお、これら本人からの意見聴取等の手続が終了したものについては、次回の審議会において再度審議され処分等が決定されることとなる。

(2)医師、歯科医師として不適切な行為のあった者に対する処分については、今後も厳正な態度で望むこととしているので、各都道府県におかれても医師法(歯科医師法)第3条又は第4条に該当する事案及び医師、歯科医師としての品位を損するような行為のあった場合には、これらを的確に把握し、速やかに報告されるよう御協力をお願いする。

(3)診療放射線技師等その他の医療関係職種については、昨年5月、業務に関する犯罪又は不正な行為等を行ったものに該当するとして9名の処分を行ったところである。
引き続き、報告されている処分対象事案について、現在、不利益処分予定者に対する聴聞等を行っているところであり、当該手続終了後速やかに処分等を決定する予定である。
今後とも、処分対象事案の把握及び報告について、御協力をお願いする。


5.医師、医療関係職種の養成について

(1)医師の需給については、高齢化のピーク時においてその均衡が達成されるよう、現在の新規参入医師数の概ね10%削減を目指す必要性が、「医師の需給に関する検討会報告書」(平成10年5月)において提言されている。
 こうした報告を受けて厚生労働省では、文部科学省をはじめ関係者に対し医科大学(医学部)の入学定員の削減を要請してきたところであり、特に公立大学の取り組み方について、引き続き、よろしくお願いする。

(2)医師国家試験は、医師として医療に第一歩を踏み出しその任務を果たすのに必要な知識、技能を問う試験であり、このような趣旨に照らし、医師国家試験は妥当な範囲と適切なレベルを保つことが要請されている。
このため昭和21年の第1回国家試験実施以来これまで十数次にわたる改善が行われてきており、平成11年4月の「医師国家試験改善検討委員会報告書」を踏まえ、本年の国家試験から、出題数の増加と出題内容の改善等及び試験問題の公募・プール制の導入等を実施することとしている。

(3)理学療法士、作業療法士については、従来から需給計画を策定して、その養成・確保を進めてきたところであるが、平成12年4月から介護保険法の施行等、理学療法士、作業療法士を取り巻く状況の変化に伴い、平成12年11月、医療関係者審議会理学療法士作業療法士部会において平成16年を目処に、新たに需給推計が行われたところである。
 この意見書において、需要と供給は平成16年以降2年から3年以内に均衡に達し、理学療法士、作業療法士が過剰になることが予測されると指摘されており、その養成にあたっては地域の実情に十分配慮しながら進められるよう、よろしくお願いしたい。
 また、理学療法士作業療法士養成施設の整備にかかる補助金の執行に当たっては、平成10年、会計検査院により理学療法士等養成施設整備費補助金を工事請負契約書の改ざん等により、過大に受給している例が国会報告されたところであるが、今後、この様なことがないよう平成9年9月30日付け健政発第427号により通知している内容等を再確認するとともに補助事業者への指導方、引き続き、よろしくお願いする。

(4)臨床検査技師学校養成施設におけるカリキュラムについては、平成12年3月7日付けをもって臨床検査技師学校養成施設指定規則を改正し、同年4月から施行したところである。
 また、診療放射線技師養成施設のカリキュラム、専任教員の見直しについては本年4月を目処に診療放射線技師学校養成施設指定規則の改正を予定しているところであり、改正に当たっては、臨床検査技師養成施設と同様に貴管下の関係者に対する周知徹底について、よろしくお願いする。
 なお、他の医療関係職種についても、順次検討を行い、今後、同様の規則改正等を進める予定である。


トップへ
目次  前ページ  次ページ