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(指導課)

1 医療計画について

(1)医療法改正に伴う基準病床数の算定式について

 医療法改正(第4次改正)は、平成12年12月6日に公布され、本年3月1日施行予定である。
 医療計画に関係する改正事項は以下のとおりである。

(1)「必要病床数」を「基準病床数」と改める。

(2)新たな病床区分が定着する間での移行期間中は、療養病床、一般病床全体として基準病床数を設定する。

(3)病床区分定着後は、療養病床、一般病床それぞれの種別に応じ算定した数を合算した数を標準として基準病床数を設定する。

 (2)の移行期間中の基準病床数の算定式については、

(I)入院率、流入・流出患者数について一定の範囲において、地域の実情に応じ都道府県知事の裁量により設定することができることとする

(II)精神病床、結核病床については、現行の算定式の考え方とすることとした。

 新しい算定式は、本年3月1日以降作成される医療計画に適用されるものであるが、各都道府県においては、今回の改正の趣旨を踏まえ、地域の実情がより反映された医療計画を作成するようお願いする。
 また、今回の改正により基準病床数の変化の大きい地域の実情に配慮する必要がある場合は、ご相談いただけるようお願いする。

(2)医療計画の見直しについて

 医療計画の記載内容については、平成10年4月の法改正施行により、充実を図ったところであるが、施行後、医療計画を見直したところにおいては、改正内容を十分踏まえた計画となっていない状況が見受けられる。
 今回の基準病床数の算定方法の見直しを踏まえ、できるだけ早い時期に医療計画の見直しを行うようお願いするとともに、その際には、特に各医療圏の実情に基づくことが重要と考えるので、事前の調査・分析等を十分に行い計画作成に当たられたい。
 また、医療計画の見直しに当たっては、事務局試案が作成された時点で、指導課にご相談いただけるようお願いする。

(3)地域医療連携推進事業について

 地域医療連携推進事業については、医療計画の着実な実施・推進を図るための方策の一つとして実施しているところであり、各都道府県においてご活用願いたい。

(4)特定の病床の特例について

 医療法施行規則第30条の32の2第1項に規定する特定の病床の特例については、いわゆる病床過剰地域において適用されるものであるが、その適用に当たっては、地域の既存の医療機能を強化してもなお、必要と認められるものであることなどを確認した上、適切に行われるものであることに留意願いたい。
 なお、取扱いについては、従来からお願いしているとおり、事前に指導課へご相談いただいているところであるが、十分な時間的余裕をもってお願いする。
 また、特例により許可された病床について、特例の要件に照らし適 切でない運用をされている場合には厳格に指導されたい。

(5)医療計画における勧告等について

 平成10年7月27日付けの通知により、医療計画における勧告等についての取扱いを示したところであるが、その適正な手続きに今後とも十分配慮されたい。


2 へき地保健医療対策について

(1)へき地保健医療対策については、平成8年度から5か年を計画期間とする「第8次へき地保健医療計画」に基づき各種施策を実施しているところであるが、平成13年度より、現在策定中の「第9次へき地保健医療計画」に基づき、新たな施策を推進することとしている。
 第9次計画の主要な施策としては、

(1)各都道府県において、へき地医療を支援する中核的な病院に「へき地医療支援機構」を構築し、へき地診療所への医師等の派遣調整等の広域的なへき地医療支援を実施。
(2)へき地診療所等への代診医等の派遣、研修等の診療支援事業等が実施可能な病院を都道府県単位で「へき地医療拠点病院群」として再編成し、へき地医療支援機構の指導・調整の下に各種事業を実施。
(3)「へき地医療情報システム」の構築により、へき地診療所やへき地医療を支援する病院群、行政機関などの関係機関を情報ネットワークで結び、へき地において必要な医師等の派遣の広域的な調整やへき地医療に関する情報交換等を推進。
等の施策を推進することとしているので、積極的な取り組みをお願いしたい。
 なお、「第9次へき地保健医療計画」については、平成13年4月を目途に、都道府県宛通知する予定であるので、留意願いたい。

(2)また、へき地中核病院運営費補助金については、平成11年度決算検査報告において、へき地診療所から徴収していた「医師派遣に必要な経費」を「寄付金その他収入」として控除額に計上していなかったため、補助金の交付が過大となっているとの指摘を受けたところである。
 各都道府県におかれては、このような事例が生じることのないよう事業計画の審査等について、厳正かつ的確に行うなど、より一層の適正化に努められたい。


3 救急・災害医療対策について

(1)救急医療体制の充実

 救急医療は、社会環境、疾病構造の変化等と密接に関連して近年ますますその重要性が高まっており、救急医療体制の一層の質的な充実を図ることが重要である。
 こうした状況において、平成13年度においては、メディカル・フロンティア戦略の一環として、心筋梗塞・脳卒中の救急医療体制について充実・強化を図るとともに、引き続き救命救急センターの質的充実、小児救急医療体制の確保のための支援を実施していくこととしている。

(1) 平成13年度より、メディカル・フロンティア戦略の一環として、心筋梗塞・脳卒中の救急医療体制の充実・強化を図るため、ドクターヘリを全国6ヶ所の救命救急センターに導入、救命救急センターへの心臓病・脳卒中専門医の配置、CCU(心臓病の集中治療室)、SCU(脳卒中の集中治療室)専用機器等の整備、初期・二次救急医療施設の医師の研修、救急搬送体制の質的な充実を図るためのメディカルコントロール体制の構築について、支援を実施していくこととしている。

(2) 救命救急センターの質的充実については、平成11年度より行っている診療体制や患者の受け入れ状況等の評価制度を引き続き実施していくこととしているので、地域の救命救急医療の充実のため、A評価に向けた救命救急センターの質的充実をお願いする。

(3) 小児救急医療を支援することを目的として、平成11年度に創設した小児救急医療支援事業については、平成13年度において、補助基準単価の増額を図るとともに、地域の小児救急医療体制を確保するための調整費(協議会経費)を計上しているので、各地域での積極的な取り組みをお願いする。
 特に、小児救急医療体制が十分ではない地域にあっては、必ず関係者が小児救急医療体制の確保のための協議会を設けるなど、小児救急医療の確保に努められるようお願いする。

(4) 在宅当番医制事業については、平成11年度決算検査報告において、会計検査院から指摘されたところである。
 当該事業の事務処理等については、昨年3月31日及び10月24日に通知したところであるが、引き続き都道府県における実績報告書等の確認、市町村等に対する実績の確認の指導をお願いする。

(2)災害医療対策について

(1) 阪神・淡路大震災による被害が甚大であったことに鑑み、これを教訓として、平成8年5月10日健政発第451号「災害時における初期救急医療体制の充実強化について」を通知し災害拠点病院の整備、現行の救急医療情報システムを拡充強化する広域災害・救急医療情報システムの整備等の施策を進めている。

(2) 基幹災害医療センター等の災害拠点病院の指定については、概ね終了したが、施設・設備の整備に加え、災害時に地域の災害医療の拠点として十分に機能するよう、防災マニュアルを作成し、地域の医療機関・行政機関等との連携を深めるとともに、運用面の充実に努め、各関係機関に対する一層の指導をお願いしたい。
 また、広域災害・救急医療情報システムの設置については、現在31か所にとどまっているので、未導入府県にあっては早急な整備をお願いする。

ア 未導入府県

岩手県、宮城県、山形県、埼玉県、京都府、鳥取県、
島根県、徳島県、高知県、福岡県、鹿児島県、沖縄県

イ 平成13年4月導入予定府県

岐阜県、大阪府、愛媛県、宮崎県

(3)化学物質による中毒事故発生時における対応策について

 平成10年8月の和歌山市における事件以降、毒物混入事件が続発しており、平成13年度においても引き続き、地域における緊急時の連絡体制の整備、救命救急センターの機能強化及び(財)日本中毒情報センターとの連携体制の確保等の中毒に関する医療提供体制の整備について、特段の御配慮をお願いする。


4 医療施設等施設・設備整備事業について

(1)医療施設等施設整備費については、平成13年度予算案において220億円、対前年度約48億円の減となっているが、近年の執行状況を踏まえ、今年度の執行において、補正予算の活用を含め、平成
 13年度に予定されている補助事業の前倒しを図ること等により、来年度に必要な事業には支障は生じないものと考えている。
 また、設備整備費については、平成12年度とほぼ同額の約36億円を確保したところである。

(2)平成13年度予算案においては、従来からの事業に加え、メディカル・フロンティア戦略の一環として、救命救急センター等へのCCU(心臓病の集中治療室)・SCU(脳卒中の集中治療室)専用機器等の整備事業、へき地医療拠点病院群整備事業、遠隔医療補助事業、看護婦宿舎整備の補助対象拡大等の計上を行っているところである。
 また、平成12年度第1次補正予算において実施している「介護力強化型病院等転換促進事業(医療施設近代化施設整備事業)」及び「医療施設耐震工事等施設整備事業」については、平成13年度においても引き続き実施することとしているので、併せて周知願いたい。

(3)平成12年度補正予算に係る事業を含めた平成12年度事業について、事業計画書の提出をお願いしているところであるが、必要に応じて2月末までは受け付けることとしているので、ご協力願いたい。

(4)補助金の執行事務については、平成9年4月「医療施設等施設整備費の国庫補助にかかる協議等について」の通知により、国庫補助協議対象施設決定方法の明確化、建設工事契約の適正化及び現地調査の実施をお願いしているところであるが、平成13年度の執行に当たっても、引き続きこの趣旨に添って適切に指導願いたい。
 なお、医療施設近代化施設整備事業については、平成11年度決算検査報告において、補助の対象とならない法人理事長室の整備費を対象経費に含めたことにより、補助金の交付が過大となっているとの指摘を受けたところである。
 各都道府県におかれては、このような事例が生じることのないよう事業計画等の審査等について、厳正かつ的確に行うとともに必要に応じて補助事業の公開を行うなど、より一層の適正化に努められたい。


5 医療施設経営安定化推進事業について

 医療施設の実態把握、それに基づく解決方法の研究等を実施し、これによって得られた結果を、医療施設経営者に提示することにより、医療施設の経営改善のための自助努力を支援し、もって、医療施設の質的向上とともに健全な経営の安定化を図ることを目的として、本事業を実施しているところである。
 昨年7月に、医療機関の経営実態及び経営改善事例並びに特別医療法人の収益業務を対象として行った調査研究の結果報告を各都道府県あて送付しているところであり、病院の経営管理指導を所管される部署にあって、その結果の有効活用をお願いするものである。


6 医療法人の運営管理指導等について

(1)医療法人は、医療法の非営利性に基づく組織体として法人格を与えられたものであり、健全な医療事業の経営と適切な法人運営を維持することが要請される。このことは、なによりも自らの不断の努力によるべきものであるが、同時に十分な指導監督が必要である。
 このため、各都道府県医療法人主管部局においては、医療監視担当部局のみならず、保険、精神保健、福祉担当部局等関係部局と常に連携を密にした指導監督をお願いする。また、平成2年3月1日健政発第110号「病院又は老人保健施設等を開設する医療法人の運営管理指導要綱の制定について」及び平成5年2月3日総第5号・指第9号「医療機関の開設者及び非営利性の確認について」等により、法人の運営に第三者が関与、あるいは法人が主体的に運営を行っていない等の疑いが生じた場合には、決算届け等の財務諸表を精査するとともに、実地に医療法人への立入検査を実施するなど、今後とも医療法人の適正な法人運営の確保をお願いする。

(2)平成10年4月より特別医療法人制度が施行され、平成12年末現在、10法人が認可された旨の報告を受けている。この制度は、一定の要件を満たし公的な運営が確保されている医療法人を特別医療法人として位置付け、その収益を医業経営に充てることを目的とした収益業務を実施することができるとし、地域における医療の安定的な提供体制を整備するために設けられたものである。その趣旨を踏まえた上でより一層の特別医療法人の普及、定着を図られたい。

(3)医療法人が病院等をすべて休止又は廃止した後、正当な理由もなく引き続き1年以上病院等を開設しないときは、都道府県知事は、設立認可を取り消すことができることとなっている。休眠医療法人の整理については、医療法人格の悪用を未然に防ぐ上で重要なものであり、実情に即して、設立認可取消処分を検討するなど厳正に対処されたい。

(4)過去に一部地域において、医療法人等の職員採用時に調査会社による就職差別につながるおそれのある身元調査事案が発生した。一般に職員採用選考時において、応募者の本籍、生活状況、家族の職業などを調査することは、応募者の適正と能力を判断する上で必要のない事項を把握することとなり、結果として、就職の機会が閉ざされるという就職差別につながるおそれがあるものである。
 このため、医療法人等の関係団体に対し、身元調査を行うことなく、応募者の適正と能力を基準として採用選考を行うよう機会を捉えて指導・啓発を行われたい。


7 医療機能評価について

(1)財団法人日本医療機能評価機構においては、病院等の医療施設の機能について、学術的な観点から中立的な立場で評価を行い、その改善を支援することを目的として、病院機能評価事業を実施しているところである。

(2)評価機構においては、地域における役割を適切に担い、医療の質の向上とサービス改善に取り組み、一定の基準を満たしていると認められる場合には、認定証を発行することとしており、平成12年12月末日現在、412の病院が認定証の発行を受けている。

(3)病院機能評価事業にかかる情報公開については、評価機構より、評価項目及び評価認定病院名等をインターネット(URL:http://www.jcqhc.or.jp/)により公表している。
 また、今回の医療法改正に伴い、医療機関が広告できる事項として、病院機能評価の評価結果が追加されたところである。

(4)昨今、問題となっている医療事故について、その防止策や医療機関の安全管理体制について、機能評価に反映されるよう、評価項目や評価手法の見直しを、同機構に対し要望しているところである。

(5)なお、行政改革推進本部規制改革委員会から「機能評価の普及の観点から、国公立病院、国公立大学病院等については、今後とも率先して、評価の受審を行うようにすべきである。」との見解(「規制改革についての見解(平成12年12月12日)」)が示されているところである。


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