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2018年11月5日 平成30年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

平成30年11月5日(月)18:00~

 

○場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)

○議事

○医薬安全対策課長 ただいまから平成30年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開会いたします。本日御出席の委員の先生方、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、そして、夜遅い時間にもかかわらずお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の調査会は、御覧のとおり公開で行っております。そして、冒頭カメラ撮りを行っておりますが、議事に入る前までとさせていただいておりますので、カメラ撮りされている方々におかれましては、御理解と御協力のほどお願いいたします。それから、傍聴の方のお手元に、留意事項の厳守ということでお願いしていると思いますので、そちらもお守りいただければと思います。
続きまして、本日の調査会の委員の先生方の出欠状況を報告します。本日、佐藤委員より欠席との御連絡を頂いておりますので、本調査会の委員6名中5名の先生方に出席していただいております。したがいまして、本日この調査会に関しましては、薬事・食品衛生審議会の規程によりまして成立しておりますことを報告申し上げます。
続きまして、本日御出席いただいています参考人の先生方を紹介いたします。お名前だけの紹介ということで、お許しいただければと思います。まず、議題1の関係で小早川先生、議題2の関係で岡田先生、岡部先生、水口先生、桃井先生、4名の先生方に出席いただいております。議題3の関係になりますが、本間先生に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御理解、御協力のほどお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、以後の進行を五十嵐先生、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。では、早速議事に入ります。初めに、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、議事参加について報告申し上げます。本日御出席の委員及び参考人の方々の、過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄付金、契約金などの受取り状況を報告します。本日の議題に関して競合品目・競合企業については、事前にリストを各委員にお送りして確認を頂いておりますが、柿崎委員より第一三共株式会社、塩野義製薬株式会社及び興和株式会社から50万円以下の受取り、舟越委員より中外製薬株式会社、田辺三菱製薬株式会社、第一三共株式会社及び興和株式会社から50万円以下の受取り、望月委員より中外製薬株式会社及び田辺三菱製薬株式会社から50万円以下の受取り、岡田参考人より第一三共株式会社及び塩野義製薬株式会社から50万円以下の受取り、岡部参考人より第一三共株式会社から50万円以下の受取りと申告いただいたほかは、受取りの申告はございませんでした。よって全ての委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても意見を述べることができます。これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。
続きまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告します。薬事分科会規程第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならないと規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を申告いただいておりますので報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を提出いただいており御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。ただいま、事務局からの審議参加に関する遵守事項の説明がありましたけれども、よろしいでしょうか。特に異議がないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めまして御了解いただいたものとしたいと思います。
それでは、事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局より本日の配布資料について説明します。厚生労働省では、業務全体においてペーパーレス化の取組を推進しており、本調査会も、今回より資料はタブレットで閲覧する方式で実施します。各委員、参考人におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレットでの審議会が初めての先生もいらっしゃいますので、まず初めにタブレット端末の操作方法について説明します。お手元には、タブレットと操作説明書を配布しております。いずれも審議会終了後に事務局にて回収いたしますので、机上に置いたまま退出してください。また、タブレットにはカバーが付いています。このカバーを外さないようにお願いいたします。
それでは、タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されましたら、再度ホームボタンを押して、ロックを解除してください。すると、ホーム画面が表示されますことを御確認ください。表示されない場合は、事務局員にお声掛けください。
続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップし、資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際は、各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際は、指を画面上でスライドさせてください。資料を切り換える際は、画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで、資料一覧のページに戻ることができます。その他の操作方法については、操作説明書に記載しておりますので、各位御参照ください。なお、一定時間操作しておりませんと、画面がスリープになるよう設定しております。スリープ状態になりましたら、再度起動の操作をしていただくよう、お願いいたします。また、審議中誤って別のアプリケーションを開いてしまった際には、ホームボタンを押すことでホーム画面に戻ることができますので、再度ファイルブラウザのアイコンをタップしてください。御不明な点等ございましたら、事務局員にお申し出ください。
続きまして、配布資料の説明をします。委員、参考人の皆様は、資料一覧のページ、傍聴の皆様におかれましては、議事次第、資料一覧の2ページ目です。本日の資料は、議題1について資料1-1、1-2、議題2について資料2-1から2-7、及び参考資料2-1から2-5。参考資料2-5については委員、参考人限りの資料としております。議題3については、資料3-1、3-2、参考資料3となっております。また、委員、参考人一覧、競合品目・競合企業リストもございますので、適宜御参照ください。以上で、配布資料の説明は終わります。
○五十嵐座長 説明ありがとうございました。何かトラブルや困ったこと、ございますか。大丈夫ですか。それでは、議題1、要指導医薬品のリスク評価についてです。個別成分の審議の前に、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について事務局から説明をお願いしたいと思います。
○事務局 資料1-1、要指導医薬品のリスク評価についてです。表に記載されている品目は、現在、要指導医薬品に指定されており、この度、製造販売後調査の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。
初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について簡単に説明します。2ページです。スイッチOTC薬等のリスク評価手続については、平成25年12月に開催された医薬品等安全対策部会において決定したものです。本日の審議は、この部会決定に基づいて実施することになります。
背景から順に説明します。平成25年の旧薬事法改正により、適正使用のために、薬剤師による対面による情報提供や、薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうちスイッチOTCやダイレクトOTCについては、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなるため、移行の際には一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。2.にありますとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については、原則3年間の製造販売後調査終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において、製造販売後調査の中間報告の結果などを基に、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認することとなります。この確認については、3.に記載されているとおり、本安全対策調査会にて行うこととしており、また、本日の審議結果については、医薬品等安全対策部会に報告することとしております。
要指導医薬品から一般用医薬品への移行の流れを説明します。4ページです。企業は、承認後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品と区分されます。調査期間中、1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売後2年以上経過し、特別調査の目標症例数、内服薬ですと3,000例、外用薬ですと1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。中間報告書をもって、安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否について評価します。一般用医薬品への移行が認められた場合、製造販売後調査期間が終了した時点で第1類医薬品に移行します。なお、今回のトリメブチンマレイン酸塩につきましては、製造販売から3年間で目標症例数に達しなかったため、製造販売後調査の期間が1年6か月延長され、合計4年6か月の製造販売後調査が行われております。製造販売後調査終了後の1年の間に企業から提出される最終報告などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を、安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することとなります。
繰り返しになりますが、今回お願いする評価は、第1類医薬品としての販売の可否についての評価になります。説明は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。トリメブチンマレイン酸塩の審議を始めます。この薬剤に関する説明を、事務局からお願いします。
○事務局 トリメブチンマレイン酸塩について説明します。資料1-2です。販売名は、セレキノンSです。効能・効果は過敏性腸症候群の諸症状の緩和で、以前に医師の診断・治療を受けた人に限ります。用法・用量は、15歳以上で1日3回、食前又は食後に1錠を水又はお湯でかまずに服用します。製造販売後調査の概要です。特別調査とは、個別に薬局と契約をして、モニター店舗でアンケート調査票を配って、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では、調査症例数4,145症例で、副作用が33例45件ありました。内訳は、腹痛が7件、便秘6件、下痢6件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。使用者、若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査は、報告された副作用は8例10件でした。内訳は、下痢2件、浮動性めまい2件などでした。このうち重篤と判断された症例はありませんでした。次に、医薬品医療機器等法第68条の10第1項に基づく報告です。報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はありませんでした。また、使用上の注意の改訂の指導はありませんでした。資料の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。今日は、参考人として小早川先生においでいただいております。御意見をお願いしたいと思います。
○小早川参考人 今回、3年間の副作用の情報が集まってきたということで、副作用の一覧を見ていただきますと、多くは腹痛や下痢、便秘、もともと過敏性腸症候群自体が、下痢、便秘等に伴って腹痛や腹部不快感が出る疾患ですので、ここで報告されたほとんどの副作用が、本疾患によるものか本剤によるものかは微妙なところですけれども、予測される範囲の副作用ではないかと考えます。そのほか特に重篤な副作用も報告されておりませんし、副作用の発現頻度という観点からも非常に少ないと判断できると思いますので、特に問題になるようなことはないのではないかと考えます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。事務局の説明と小早川参考人の御意見を頂きましたが、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
○柿崎委員 同系統の医薬品で、既に一般用医薬品へのリスク評価が終わっている薬剤はあるのでしょうか。
○事務局 同系統と申しますか、過敏性腸症候群ということでは、こちらの剤のみかと認識しております。
○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。特にないようですね。それでは、議決を取りたいと思いますが、よろしいですか。トリメブチンマレイン酸塩につきましては、事務局の提案どおり一般用医薬品第1類として適切とすることでよろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○五十嵐座長 特に異議がないようです。ありがとうございました。小早川先生におかれましては、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。これ以降の議題につきましては、特に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席いただいてもかまいません。ありがとうございました。
それでは、事務局、今後の流れについての話をお願いいたします。
○事務局 御審議いただきありがとうございました。製造販売後調査終了までの間、報告される副作用報告等を評価し、本日審議いただいた結果に変更がないことを確認しつつ、一般用医薬品に移行する手続を進めてまいります。また、本日の結果については、次の医薬品等安全対策部会に報告します。どうもありがとうございました。
○五十嵐座長 ありがとうございました。ここまでにつきまして、何か御意見、御質問ありますか。よろしいですか。
では議題2、抗インフルエンザウイルス薬の安全性について、審議に入ります。事務局から、経緯と抗インフルエンザウイルス薬の使用量等につきまして説明をお願いします。
○事務局 では、まず、経緯について簡単に御説明をいたします。この抗インフルエンザウイルス薬の安全対策につきましては、本年5月16日、及び本年7月13日の2度の安全対策調査会におきまして総括的な御議論を頂いたところです。その中で、本日の資料でいいますと、参考資料2-1にタミフルと異常行動等の関連に係る報告書ということで、平成21年以降の非臨床研究、あるいは疫学研究などの科学的な知見をおまとめいただきました。
また、それらの知見から抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無、あるいは種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には異常行動が発現することが確認されまして、まず、1点目としてタミフルの10代の患者への原則使用差し控え措置というのは、現状、必要性に乏しいのではないかということ、2点目として、全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起を行うべきということが示されました。
それを受けまして本年、8月21日付けで全ての抗インフルエンザウイルス薬の添付文書を改訂するよう通知を発出し、本日の資料の参考資料2-4で、抗インフルエンザウイルス薬の添付文書を示しております。その添付文書においては8月21日付けの通知の内容が反映されている状況です。
さらに、前回の安全対策調査会におきましては、インフルエンザ罹患時の異常行動に関する注意喚起をこれまで以上に徹底するべきという御意見も頂きまして、注意喚起用の資材のひな形を御議論いただきました。そのときは、文字だけのひな形を御議論いただいたところですが、参考資料2-2で医療従事者及び患者等に対する注意喚起資材ということでお示しをしておりますが、厚生労働省として、頂いたひな形にデザイン等を付ける形で注意喚起資材を作成いたしました。ですので、これをもちまして、この冬からのインフルエンザシーズンは注意喚起を行うことを予定しております。
続きまして、抗インフルエンザウイルス薬の使用量ということですけれども、参考資料2-3を御覧ください。こちらは各製造販売業者がデータベースの情報等を用いて作成しました昨シーズンの抗インフルエンザウイルス薬の使用状況についての資料です。2017/2018シーズンの処方につきましては、全推定処方患者数で申し上げますと、タミフルが約377万人、リレンザが約270万人、ラピアクタが約32万人、イナビルが約612万人となっておりまして、ゾフルーザについては、昨シーズン終盤から使われ始めたものと認識しておりますが、約3.7万人が使用している状況です。
また、昨シーズンは先ほど申し上げた8月の注意喚起が反映されていない状況ですので、タミフルに対して10代の患者への原則使用差し控え措置はまだ行われている状況でしたことから、0~9歳の推定処方患者数ではタミフルの使用割合が高くなっている一方で、10代の使用患者数ではイナビル、あるいはリレンザがタミフルに比べて多くなっていた状況です。以上、簡単ではございますが、経緯と処方量に関して御説明を終わらせていただきます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。引き続き、岡部先生から資料2-1、インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究2017/2018シーズン報告について御報告をお願いします。
○岡部参考人 川崎市環境安全研究所の岡部です。資料2-1を御覧いただくと、インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究となっています。5月の調査会では、2016年から2017年シーズンまでしかまとめていませんでした。先シーズン、今年のシーズンと言っていいと思うのですけれども、この間のシーズンの分の集計ができたので、それについて本日は御報告をすることになります。かなり前回と重複するところもあるので、少し飛ばしながらやらせていただきたいと思います。
資料の2ページ目、研究班の構成、報告内容となりますが、ページの3が報告内容として、重度の分析、突然走り出す、飛び降りのみの分析となっているので、これも同じです。インフルエンザシーズン2017/2018シーズン、4ページ目になりまして、これの全体の状況があります。図1は、この間のシーズンの全体の動きで、赤い線の18と書いてあることから、今年は特にインフルエンザ患者数が多かったことが分かると思います。調査概要は今までと同じなので飛ばします。
10ページ目、重度の異常な行動全て、これは全部引っくるめたものになります。次のページの図2-1、11ページを見ていただくと、従来どおりですけれども、ピークと異常行動。異常行動の発生状況は棒グラフで書いてあります。棒グラフと折れ線グラフがほぼ一致した形になっているのが従来どおりです。図の2-2が異常行動の発熱週と発生動向調査。これもこれまでの2016/2017、それから2015/2016とだんだん遡っていくわけです。12ページ、13ページを見ていただくと、過去の状況がこれに表されているので、傾向としては類似しています。
図3-1、14ページになりますが、これが報告いただいた患者さんの年齢になります。この間のシーズンにおいては、n=94で、平均値が9.75、中央値10歳です。それの過去の状況が15ページ、16ページと続きます。これも全体の状況から言うと多少の右左への動きがありますけれども、やはり小学校以上の年齢から発生するというところも、特に従来と変わりがありませんでした。
患者さんの性別が17ページ図4-1にあります。従来より少し女子が増えている感じはありますが、やはり男子に多かったという傾向は従来どおりです。同じように過去のシーズンを遡ると18ページ、19ページ、図4-2、図4-3に表されているように、いずれも男女差では男児のほうが多い傾向にあります。全ての異常行動の発現における性差といったことが20ページ、21ページと続いています。これは今までのことを年齢数でもう少し細かく区切ってみても、全体の状況が変わらないということがあります。
それから発熱から異常行動発現までの日数と、熱が出てからいつ異常行動が出たかということですが、これが22ページから表されています。2017/2018シーズンについて、発現日についてnと括弧内は%という形で表してあって、それから発熱後1日以内に起きているのか、2日目か3日目かという形に書いてあります。これで見ると発熱後1日以内が26.09%、2日目で50.0%。これは走り出しと飛び降りのみで限定すると、発熱後1日以内が32%、2日目が52%ということでほとんどが発熱をした日から2日目以内に異常行動が出ている傾向が見られます。これも全体と、今までと変わりないことが、過去に遡った分が表2-2、23ページに表されています。これも発熱後1日以内、2日目という所を横にずっと見ていっていただくと、これでほとんどが占められていることが分かります。ただし、3日目以降でも出ないわけではないというのが、やはり注意が必要なところだろうと思います。
24ページになりますと、今度は発熱日数とタミフルの服用が無し・有り、それから抗インフルエンザウイルス薬、アセトアミノフェン等の有る・無しとで分けています。これはいずれもタミフルだけに限らず、抗インフルエンザウイルス薬が使用されている状況が表されていることになります。最高体温は、これは高いときに出ているということなので省略をします。
28ページ、図6-1、ワクチン接種の有無については、前回の場合には無しが一番多く、それから1回接種、あるいは2回接種がグラフ上に表されております。これも大体、全体の傾向として29ページ、30ページを見ていただければ分かると思います。ただ、年によっては無しのほうが非常に多いといった年も1シーズン、2シーズン見られています。
31ページのインフルエンザ迅速診断キットの実施の有無は、これはほとんどが実施をされているという状況が表されています。このシーズン、2017/2018シーズンに限っては、少しだけ、キットの診断がなかったというのが3%ありますけれども、ほぼ99%前後ぐらいが常に検査を受けていることになります。迅速診断キットによる検査結果、34ページ以降です。これは毎シーズンのインフルエンザの型別によってバランスが崩れますので、この間のシーズンはB型が多かったということになりますから、この34ページのえんじ色が一番多い。これはシーズン別に見てみますと、35、36ページは毎シーズンの状況に一致をしていることになります。
図9-1、異常行動と睡眠の関係、37ページ以降になります。異常行動が起きるタイミングですけれども、いずれのシーズンも異常行動は眠りから覚めて直ちに起こっているというのが同様の傾向です。多少のパーセントの動きがありますけれども、過去の状況の38、39ページを見ていただければ、大体同じ状況であることがお分かりいただけると思います。
図10-1から一番関心のあるところである、異常行動を起こした患者にどういう薬が使われていたかということになります。40ページ、これが2017/2018シーズンの服用された薬、あるいは不明ということで表されています。色別になっています。これもプラスマイナス多少の差はありますけれども、ブルーのリレンザのみが9%であったり、リレンザ+アセトアミノフェン7%、タミフルのみ12%と、左のほうにずっと回っています。この中で全ての薬がこれが使われていたのと同時に、このグレーの全て服用なしが17%、アセトアミノフェンのみが2%で、今までと同様に全て服用なし、ないしアセトアミノフェンのみでも現れています。
それから、昨シーズンから商品名で言うとゾフルーザという抗インフルエンザウイルス薬が使われておりますので、これについてどうだろうかというようなこともありました。昨シーズンは後半というか、ほぼ終わりの頃からゾフルーザが認可され使われているので、n数は極めて少ないわけですけれども、2例の異常行動の報告があります。それから、お配りされているこの図から言うと、その他2例、2%というのがあります。これは、1つはラピアクタ+アセトアミノフェン、1つがラピアクタのみということです。ここは少し修正をして、今までですと、少数なのでその他だけで括っていたのですけれども、ゾフルーザが出ているということなので、アセトアミノフェンについても最終的にはちゃんと記載をするようにするべきだと考えています。
過去に遡った分は41ページ、42ページと続くわけですけれども、従来も新しい薬が入ってくるとそれを入れるということなので、昨シーズン以降、昨々シーズン以降は当然ながらゾフルーザは入っていなかったということになります。今のバランスはそこでいいですね。いずれかが不明という所でプラスマイナスが相当大きく変更するときは、シーズンによって違いがあります。図10-7の45ページは、それぞれの薬を使った、有り・無しということが一覧表になっていて先ほどの表と類似していますので、ここは省略をいたします。
48ページ、図11-1、異常行動の分類ということで、これも従来どおりです。幾つかの異常行動が複数回答で記載されているものでいろいろここに書いてあります。データとしてはこの中から突然走り出す、飛び降りだけを絞って別に表しています。傾向としては全体に同じになるということになります。図49ページ、50ページも同じような状況なので、これについては省略をいたします。
52ページ以降が、先ほどの重度のうち、突然走り出す、飛び降り、いろいろな症状の中からここだけを限定しています。全体を括ったものと、この2つだけを取り出したものとしては傾向はほぼ同じと。数字の多少のプラスマイナスはありますけれども、ほぼ同じということでここは省略をさせていただきます。
84ページにビックデータでナショナルデータベースでの発症率との比較という報告を本来はしなくてはいけないのですけれども、これについては2009/2010シーズンから2016/17シーズンの7シーズンについてまとめようとはしております。追加申請に対してデータがまだ整っていないということで、これは多分、年度内には出てくると思うので、それの報告を次回にお示ししたいと思います。したがって今回は、これについて言及することは失礼させていただきます。
まとめ(1)を御覧ください。これは確認の意味で少し読ませていただきます。重度な異常の報告数、これは過去12シーズンで最も多かったとあります。インフルエンザのまとめというのが10年ごとになっているので一応、10年ごとでまとめますと、今回の重度の異常な行動の報告数というのは過去10シーズンで見ますと3番目に多かったことになります。つまり過去12シーズンの前のほうは、新型インフルエンザのばっと増えたときがあるので多少、数としては多かったことになります。ですから、季節性インフルエンザで見てみるとというふうな理解ができるのではないかと思います。年齢については、これは9歳、13歳が最も多く、男性が63%、女性が37%。それから3つ目のポツで、重度の異常な行動の発生状況については、従来のインフルエンザ罹患者における報告とおおむね類似しております。4番目のポツに少し修正があるので修正を含めながらお話をしたいと思います。重度の異常な行動の服用薬別の報告件数はタミフル、括弧内で他薬の併用を含むとなります。タミフルについては33件とありますが、これは23件(12件)に修正をお願いします。どうもこれは画面だと修正できないのです。
○事務局 調査会後に修正いたします。
○岡部参考人 後で修正が出てくるということで御承知ください。それからアセトアミノフェン35件(20件)、リレンザ16件(8件)、イナビルが26件(15件)、ゾフルーザがここに入って2件(1件)で、先ほどのその他ということになるわけですけれども、ここにラピアクタ2件(1件)を入れていただくというところが追記になります。これらの医薬品の服用がなかったのは16件(12件)です。最後の黒いポツの所が、2014/2015シーズンまでは調査票の各薬剤の使用の有無について「有」のみに記載があり、「無」若しくは「不明」に記載がない回答がありました。これらは他の調査薬剤の使用状況の一部が不明な症例として、いずれかが不明として取り扱っているという説明がここに書いてあります。最後の赤いポツが、先ほどNDBを用いた使用薬剤ごとについては、後で追加をするということでまとめさせていただいております。
まとめ(2)が86ページ、結論になります。したがって、これまでと同様に抗インフルエンザウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については特定の関係に限られるものではないと考えられると。2番目が、報告内容には飛び降りなど結果として重大な事案が発生しかねない報告もあった。3番目が、以上のことからインフルエンザ罹患時における異常行動による重大な転帰の発生を抑止するために、次の点に対する措置が引き続き必要であると考えられる。抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して注意喚起を行うこととあり、それで小さいポツとなって2018/2019シーズン、来たるシーズンですけれども、今度はタミフルの後発品が出てくるというのがあります。ゾフルーザに加えてこの薬に関する調査、それからNIとありますけれども、これはノイラミダーゼイヒビター阻害剤等の処方有り、使用無し、一般用医薬品のアセトアミノフェンの使用状況などについても把握できるように工夫をしたいと考えております。以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。 後ほど、抗インフルエンザウイルス薬全体の安全性に関する議論をいたしたいと思いますが、これは各医薬品の服作用報告状況を事務局から後ほど頂きますので、今回はまず、岡部先生からの御説明分に関しまして、御質問、あるいは御意見を頂きたいと思います。何かございますでしょうか。基本的にはこれまでと同じような傾向が見られたという総括でよろしいでしょうか。
○岡部参考人 それで結構だと思います。ただ、新しいものが増えてその調査内容を入れて、n数が少ないけれども異常行動の報告はあったということが追加になると思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。よろしいですか。それでは、資料2-2以降につきまして事務局から御説明を頂きたいと思います。
○事務局 説明の前に、先ほど岡部先生から御報告を頂いた資料2-1に幾つか修正を頂きましたので、それらはこの調査会後にホームページに掲載しているものは差替えをしたいと思います。
では、資料2-2です。内容に入る前に、1点御報告です。下のほうに★を付けて書いてある内容ですが、先ほど、経緯でも御説明したとおり、この8月に通知を出しまして、全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起とするということになりまして、現状ではこのタミフルにのみ、例えば研究報告資料2-2のような形の資料や、あるいは、次の資料2-3では、販売開始からの全例の死亡症例に関する情報の集計といったものを載せていますが、ここは整合性のある注意喚起とすることに合わせ、来年度2018/2019シーズン以降の報告をさせていただくときには、この資料は割愛させていただきたいと思っています。
資料2-2の内容に移ります。今回、研究報告は3報あります。1つ目は、経緯でも御説明した、5月及び7月にまとめていただいた報告書の中でも大変御議論いただいた、福島先生の論文です。内容は省略させていただきます。2番目の報告は、タミフルと自殺との関連を評価したもので、タミフルのばく露あるいはインフルエンザ発症が自殺関連事象の発現リスクを増加させないということが示唆されたものです。最後の3番目の報告は、中村先生の名前で記載させていただいていますが、先ほど御報告いただきました岡部先生の過去の報告内容が論文化されたものということです。
続きまして、資料2-3です。ここからは、各剤ごとの国内副作用報告状況をまとめた資料です。まず、2-3がタミフルです。2017/2018シーズンに製造販売業者から寄せられた副作用報告をまとめています。
1ページを御覧ください。2017/2018シーズンの報告状況をまとめています。本剤推定使用患者数は約377万人、報告された重篤な症例が106例(137件)で、うち異常行動については、2ページの中ほどの表の中に書いたとおり、36件です。3ページからは、参考としまして、1シーズン前の2016/2017シーズンの副作用報告をまとめています。こちらは、推定使用患者数が約313万人でしたが、重篤な副作用報告数は104例(150件)、異常行動は35件でした。2016/2017シーズンと比較しましても、2017/2018シーズンで大きな変化はありませんでした。
続きまして、5ページからは、異常な行動が記録されている事例の概要で、今回は19ページまでにわたります。2017/2018シーズンに報告された異常な行動です。ここで言う「異常な行動」とは、報告された副作用名にかかわらず、急に走り出す、あるいは、部屋から飛び出すなど、飛び降りや転落などに結び付く恐れのある行動ということで、動きのある異常な行動をピックアップしています。経緯などをそれぞれまとめていますが、今回は38症例あり、「小児あるいは10歳代」と書かれた症例は9症例でした。
少し飛びまして、20ページからが死亡症例の報告です。今回は7例が報告されていますが、その中で異常な行動が報告されている症例はありませんでした。いずれの症例につきましても、専門家からは、情報不足等により被験薬と死亡との因果関係は評価できないと評価されています。
続いて、22ページです。これは死亡症例の因果関係評価を平成16年度以降にまとめたものです。全部で106症例ありましたが、そのうちA評価(被疑薬と死亡との因果関係が否定できない)はこれまでに4症例、B評価(被疑薬と死亡との因果関係が認められない)というものが14症例、C評価(情報不足等により被疑薬と死亡との因果関係が評価できない)が88症例です。先ほど報告させていただいた2017/2018シーズンのものは全てC評価です。
23ページ以降は、販売開始以降の死亡症例に関する情報を集計したものです。御参考までに御確認いただきたいと思います。
続きまして、資料2-4、リレンザです。1ページが、2017/2018シーズンの報告状況です。推定患者数が約270万人で、重篤な報告症例は21例(29件)、うち異常行動が3件でした。2ページが、2016/2017シーズンの報告ですが、推定使用患者数が約197万人、重篤な報告数が33例(67件)で、異常行動は7件ということで、こちらも大きな変化はありませんでした。
4ページからは、異常な行動についてまとめたものです。今回の報告としては3症例ありまして、そのうち10歳代の症例が2症例ありました。なお、リレンザにつきましては、死亡症例の報告はありませんでした。
続いて、資料2-5、ラピアクタの報告状況です。まず、1ページは昨シーズンの副作用報告状況ですが、推定使用患者数が約32万人、重篤な報告症例は35例(43件)、うち異常行動が1件でした。2ページからは2016/2017シーズンですが、こちらは使用患者数約27万人、重篤副作用報告数が42例(63件)、異常行動は同じく1件で、こちらも両シーズンで大きな変化はありませんでした。
4ページに、異常な行動のリストを載せています。1症例ありまして、これは70歳代の症例です。
最後の5ページに、死亡症例を載せています。3症例ありましたが、いずれも高齢者の症例で、異常な行動が報告されている症例はありませんでした。こちらも、全ての症例について、情報不足等により被験薬と死亡との因果関係は評価できないと評価を頂いています。
続きまして、資料2-6、イナビルです。同じような構成になっていますが、1ページ、2017/2018シーズンの使用患者数は約612万人、重篤な報告症例が36例(59件)で、うち異常行動は5件でした。3ページが2016/2017シーズンですが、推定使用患者数約475万人、重篤副作用報告が24例(31件)、うち異常行動が4件です。こちらも特段の変化は見られていません。
4ページが、異常な行動が記録されている事例ですが、今回は4症例ありまして、そのうち10歳代の症例が3例ありました。一部御紹介させていただきたいと思います。№3に記載されている症例、10歳代男性の症例ですが、本剤吸入翌日に自宅マンションのベランダ(8階)から飛び降りて亡くなられたという事例です。もう1つ、御紹介させていただきますが、№4の症例は同じく10歳代の男性で、こちらは、本剤吸入約半日後、2階の窓から飛び降りようとして家族によって制止されたというような症例です。
5ページ、死亡症例です。4例ありまして、その中に1つ、№3に異常行動を示した症例を書いていますが、これが先ほど御紹介したものと全く同一の症例です。いずれにしましても、評価としましては、情報不足等により因果関係は評価できないと評価いただいています。
最後の資料です。資料2-7、ゾフルーザです。まず、1ページ、2017/2018シーズンの報告状況ですが、推定使用患者数は約3.7万人、製造販売業者からの重篤な報告症例が19例(26件)、異常行動は2件でした。この剤につきましては、昨シーズンから使われ始めたということで比較はできませんので、このような形で報告いたします。
2ページ、異常な行動については2症例ありまして、いずれも10歳代の症例です。№2を御紹介いたしますが、10歳代男性の症例で、本剤投与翌日、2階の窓から下のプレハブの屋根に飛び降りたといった症例です。
3ページは死亡症例です。2例ありまして、この中で異常な行動が報告されている症例はありませんでした。評価につきましても、先ほどと同様、情報不足等により因果関係が評価できないと評価されています。以上、御説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ただいまの事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見を頂きたいと思います。特に、先ほどの岡部先生の調査結果も併せまして、皆さんが一番注目している異常行動について、御議論を頂きたいと思います。いかがでしょうか。
今までの御報告を拝聴しますと、抗インフルエンザウイルス薬の服用と異常行動との因果関係を示唆するような結果は今回も出ていないと伺ったのですが、その点につきまして、いかがでしょうか。
○舟越委員 資料についての質問です。資料2-3の21ページですが、タミフルだけ海外からのWebでの情報が2件上がっていますが、タミフルだけこういった形で上がってくるのですか。
○事務局 こちらの2症例につきましては、日本人の症例であることまでは確認できているので、国内副作用症例としてあげてはいますけれども、それ以上の詳細は企業のほうも把握できていないということで、例えばいつの時期の症例かとか経過がどうだったということは分からないものになります。少なくとも昨シーズンの間に企業が情報を入手したため報告をしてきたというものです。
○舟越委員 国内の副作用報告としては上がっていないけれども海外のWebでは上がっているという形なのですか。
○事務局 昨シーズンではないこれまでのシーズンでこういった症例があったという可能性はありますが、それと同一の症例かどうかが判断できないために、こういう形で御報告をさせていただいています。
○舟越委員 分かりました。
○五十嵐座長 21ページのケース6と7は同じ方なのでしょうか。年齢が14歳の子、2人とも14歳ですが、別々なのでしょうか。
○事務局 別々の報告で上がってきているので、同じかもしれないのですけれども、そこの判断ができないということになります。それから、先ほど舟越先生から、タミフル以外でもというお話もありましたが、もちろん、同じような情報があがってきた場合には、タミフル以外でも、こういう報告をさせていただくものと認識しています。
○五十嵐座長 そのほか、いかがでしょうか。
○望月委員 岡部先生の調査は、全ての医療機関で重度の異常な行動を示した患者さんたちは基本的に全て報告されているだろうという前提で、こちらの、今御説明された国内副作用症例は、いわゆる自発報告として報告されたもの、企業報告ですね。私自身は、岡部先生のデータの人数のほうが比較的信頼性が高いのではないかと思ってはいるのですけれども、その辺の違いなど分析されていますでしょうか。
○岡部参考人 少なくともアンダーレポートは生じていると思いますが、重複して報告したり、あるいは、シーズン外のもの、年度の違うものが後になって報告されるというようなことは、この研究班のお願いからは出てきていないと思います。ただ、全ての先生が必ず全部見ているかというと、それは全く分からないので、お願いしているという状況が我々の研究対象になります。
○事務局 若干補足させていただきます。岡部先生のほうで取っていただいているデータは、あくまでもインフルエンザにかかった方で異常な行動を起こした方に対するアンケートということで、薬の観点から調べているわけではなく、異常な行動を起こしたら報告してくださいと言っているものです。一方で、我々が集計しているものは、あくまでも、タミフルであればタミフルという薬を飲んだという事実があった上で、企業が知ったものが報告されているということで、少し観点が違うのではないかと思っています。
○五十嵐座長 そのほかは、いかがでしょうか。よろしいですか。
○桃井参考人 この会議は、薬物、抗インフルエンザ薬に関する安全性に関する審議会なので、直接は関係ないのですけれども、抗インフルエンザ薬の使用に関して間接的に関係していると思われるのは、2014年4月にコクラン・レビューで抗インフルエンザ薬の有効性に関する非常に膨大なレビューが出されて、それに伴い様々な勧告が出されています。参考資料2-2で、こういう注意喚起が非常に分かりやすく絵を伴って出て、情報提供をするというのは大変すばらしいことで、大変分かりやすい資料だと思います。同時に、その薬の有効性に関する最新の情報提供も、どこかでしっかりと出しませんと、タミフル解禁だ、使えるぞという受取り方が一般になってしまい、まして、日本は世界中のかなりの部分のタミフルを消費しているという異常な処方量がある国ですので、こういう医療は果たして適正なのかという議論が起こってもよいはずなのです。医療費の面から言っても、また、副作用に関する安全性の議論が延々となされていることから言っても、一般的に、使わないでよい薬は使わないほうが望ましいわけです。この0.7日症状を短縮するという有効性に関するコクラン・レビューのデータに関して医療者側は十分知っていると思いますけれども、国民が十分な情報提供をされて、使うか使わないかに関する判断が十分できているとは言い難い状況にあるように思います。今の医療では、発熱の患者さんがインフルエンザ流行期に来たら、まず迅速診断をして、1日目に出ないから2日目にもう1回来てもらって、ウイルスを医療機関でまき散らして、プラスに出たら処方をしてというのが普通の診療になっています。これが果たして適正な医療なのかということを、どこかできちんと情報として提供していただきたいと思うのです。これに関しては保健行政のどこかで議論がなされているのでしょうか。
○医薬安全対策課長 非常に大切な御意見をありがとうございます。本日ここで御議論いただいていますのは、桃井先生からも御指摘あったように、薬の側面からという中での話になってくるわけですが、広く捉えれば、先生の御意見は、インフルエンザという感染症対策をどうするかといったことだと思いますので、関係部局と相談させていただきまして、我々が得ている情報等をそれぞれ持ち寄りまして、少し考えさせていただくことになると思います。
○五十嵐座長 日本小児科学会の新興・再興感染症対策小委員会、予防接種・感染症対策委員会では、毎年シーズンの前にインフルエンザの治療指針をまとめて出しています。これは医療関係者、小児科医向けの指針ですが、作成の作業に岡田先生も関係されていらっしゃるのですね。
○岡田参考人 はい。
○五十嵐座長 これは簡単に言うと医者向けのガイドラインです。例えば学会として何か一般向けの方にアナウンスする動きはありますか。
○岡田参考人 この委員会は私が委員長をやらせていただいています。会員向けに当該シーズンのインフルエンザ治療指針を出しています。保護者向けには、「知っておきたいわくちん情報」としてインフルエンザおよびワクチンのことは出しています。インフルエンザワクチンの有効性については、十分に周知できていないと思います。むしろ治療指針の中に、さきほど桃井先生が言われたように、全ての患者さんに抗インフルエンザ薬を使わなくてもよいとして、会員向けには出しています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。この点につきましては、アカデミアも協力して、厚生労働省と一緒に対応を考えていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。この点につきまして、よろしいですか。それでは、まとめさせていただいてよろしいでしょうか。
今回、2017/2018シーズンのインフルエンザ罹患時の異常行動研究の報告、それから、抗インフルエンザウイルス薬の副作用報告状況の報告を頂いたということで、まとめといたしましては、抗インフルエンザウイルス薬の服用と異常行動との因果関係を示唆する結果は今回も得られていないと考えられます。本年5月と7月のこの調査会で御議論いただいたわけですが、全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起を行いつつ、抗インフルエンザウイルス薬を服用していない方も含めて、インフルエンザ罹患時の注意喚起を引き続き徹底することが適当であると考えたいと思います。今後も引き続き抗インフルエンザウイルス薬の関連情報を収集することとし、新たな報告等が得られた場合には、その情報に基づいて適切な評価を実施していくことが必要であると考えます。
そして、もう1つ、一般の方向けの抗インフルエンザ薬の使い方あるいは有効性についての啓発を考えたいと、そのようにまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、御異議ないということにしたいと思います。岡田先生、岡部先生、水口先生、桃井先生におかれましては、貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。これ以降の審議に関しましては御退席されても差し支えございません。どうもありがとうございました。何かございますか、どうぞ。
○岡田参考人 異常行動ではないのですけれども、2つの吸入薬に関してです。2年前のこの審査会で、乳糖アレルギーのことが問題になりました。今回もそれぞれ、1~2例、アナフィラキシーとして報告されていました。これらのケースの中に、乳糖アレルギーが疑わしい例があるのかどうか。また、その例がアナフィラキシーなのかどうかということなどを資料として出していただきたいと思います。以前に、注意喚起をしていただいたのに、まだそういう状況が続いているのかどうか、注意喚起の効果をどこかに記載していただければ有難いと思います。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○医薬安全対策課長 御指摘賜りましたので検討させていただきますが、本日も資料2-3以降、それぞれ医薬品ごとに報告いたしました副作用報告につきましては、企業からの報告等を中心としていますが、その根っこには医療機関の協力があって得た情報がまとめられていますので、乳糖との関連についてどのぐらい細かい情報が医療機関から上がるかによって、厚労省への報告として情報量がどの程度集まるかにもよりますので、そういう観点でも収集した情報について内容を見させていただきたいと思います。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。
○岡部参考人 参考人の退席の件ですが、この後の議題がワクチン関係なので、いてくれないかという依頼を事務局から頂きました。退席した形だと発言はないわけですが、このまま参考人としているならば、その議題についても発言できるのか、その辺だけ明確にしていただけますか。私の興味としては、いたいと思いますが。
○五十嵐座長 議題3でも、おいでいただけるというお話ですが、その際にどのように対応いたしますか。
○医薬安全対策課長 進行上の話なので私から申し上げます。一応、参考人として当初考えていましたのは今の議題なのですが、先ほど五十嵐座長が言われた趣旨は、この後の議題も、帰られてもよいけれども、裏返せば、残っていただいて構わないという中で、当然、今の岡部先生のお話のようにワクチン関連の議題ということですので、そのままいていただいて、議事に参加していただき、発言も適宜、必要あれば頂きたいと思っています。
○五十嵐座長 座長としても、御意見を頂きたいと思います。委員の先生方、よろしいですね。皆さんの御了解を頂いたということにしたいと思います。
では、議題3「その他」について、これから審議したいと思います。本日は報告事項が2件あります。まず、乾燥BCGワクチンの添付溶剤の品質問題に対する対応について、事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 それでは、資料3-2を御覧ください。まず、1の「経緯」です。平成30年8月9日、日本ビーシージー製造株式会社より、乾燥BCGワクチンの使用時に溶解するための溶剤、日本薬局方の生理食塩液0.15mL入りですが、このヒ素の測定を行ったところ、日本薬局方に定められている純度試験の規格の0.1ppm以上になったということで、最大0.26ppmになった旨の報告がありました。この辺りを補足しますと、まず平成30年8月9日に、比色法により定性値で0.1ppmを超えて検出された旨の報告がありまして、その後に定量分析を行った結果、8月下旬に、定量値が最大0.26ppmになったという報告がありました。
次に、2番目の「原因と対策」です。まず、ビーシージー社による原因究明の結果、規格値以上となったのは、生理食塩液をアンプル充填した後に熱をかける工程により、ヒ素がアンプルから溶け出て生理食塩液に混入してしまったためと判明しております。また、これまで原因が明らかになっていなかった理由としては、承認書では、充填前に純度試験を行うこととされておりますので、充填後の生理食塩液では確認せずに、充填前の生理食塩液がヒ素の規格に適合していることを確認していたためです。なお、乾燥BCGワクチンの規格は適合しております。これらの当該事実判明後、同社は市場への出荷を控えております。一方、乾燥BCGワクチンは代替製品がなく、市場に出荷済の在庫が11月中旬に消尽する見込みですので、他のアンプル製造メーカーからヒ素が溶け出ないアンプルを納入して、速やかに新しい生理食塩液の製造を開始しております。そして、11月中旬から下旬には乾燥製剤に新しいアンプルを用いた生理食塩液を添付して、出荷を再開する予定です。
次に、3番目の「ヒ素の曝露による健康への影響評価」です。これにつきまして、国立衛研の安全性予測評価部において、BCGワクチンの生理食塩液に含有されるヒ素の曝露による健康への影響について、評価を行っていただきました。詳細は別紙に付いていますが、この評価の結果、生理食塩液0.15mL中に最大0.26ppmのヒ素が入ったワクチンを接種した場合、ICH Q3D、医薬品の元素不純物ガイドラインでのヒ素の許容一日曝露量が15μg/day、体重50kg当たりですが、このアンプル中のヒ素が全量注入された場合におきまして、ワクチンの接種対象児の体重5~10kgの換算で、一日許容量の約38分の1~77分の1となりますので、安全性において問題のないレベルと評価しております。また、生理食塩液につきましては、変更後のアンプルを用いて試作を行うとともに、その後、実製造を行っておりますが、いずれもヒ素の規格は適合しております。なお、アンプル変更に伴う乾燥BCGワクチンの品質・有効性の影響がないことの確認を実施しています。
4番目の「今後の対応」です。ビーシージー社は11月中旬から下旬より、新たな製品を段階的に出荷予定でして、医療機関へ周知するとともに、新たな製品との交換を実施する予定です。簡単ですが、以上でございます。
○五十嵐座長 ありがとうございます。これは資料3-2-1と3-2-2、両方とも御説明は終わったということでよろしいですか。
○事務局 はい。
○五十嵐座長 ありがとうございます。それでは、ただいまの御報告に対して、御質問、御意見を頂きたいと思います。
○望月委員 熱をかける工程でアンプルから溶け出したものが生食中に混入してしまったということで、今、ヒ素が溶け出ないアンプルを使って新しい生食の製造を開始しているということですが、今回、ヒ素が溶けてしまったアンプルと同じアンプルを使われているような製品は世の中に出されているのでしょうか。
○事務局 一応いろいろ調べているのですが、その時々によって製造元とかが変わったりしております。今のところ、材質とか、同じアンプルを使っていたり使っていなかったりとかありますが、この日局生理食塩液 ヒ素の規格、0.1ppmに適合していないという話は聞いていないです。このBCGワクチンのみです。
○望月委員 BCGワクチンの場合、中身の製品ではなくて外側の、言ってみれば、包装みたいな部分の問題なので、包装の規格をかなりきちんと評価したものを使うような、規格の中にアンプルみたいな部分も含められたものになっているかによるのですが、材質として、必ずこのぐらいの量が溶け出さないとか溶けるとかは、そこの段階でチェックされるような仕組みになっているのかどうかによって、今回のようなことを防げる可能性もあるかと思いますが。
○事務局 日局の生理食塩液に適合しているというというような承認になっていたと思いますので、その辺りはもともと局方の試験で適合している、というようなことで認可を受けていると承知しております。
○監視指導・麻薬対策課課長 今のお話で、実は会社側からも今回の原因の状況もいろいろお聞きして、今回幾つかデータも拝見しました。BCG社でも、このBCGのほかにツベルクリンがあったり、イムノブラダーという製品がありまして、それでも生理食塩液を付けております。実は今回の問題は0.15ccという、非常に微量の生理食塩液を入れたアンプルの問題でして、いろいろなデータ、ほかのツベルクリンとかイムノブラダーは別に問題、超えているかは、彼らも非常に調べていて、そういうことはないのですが、量が多くなってくると事実上そういった影響がほとんどなくなって、一滴の非常に少量の場合に、もともとはその前の、つまり、最終製品で測定するのは非常にやりにくい状況がありまして、充填前の状況の水のデータを取って、まさかこういったアンプルの影響、こういうのが影響するとは思っていなかったのが今回の問題だったわけです。そういう意味で、実は会社のほうのアンプルそのものが、確かに先生のおっしゃるように、アンプルそのものの管理が甘かったものと私どもも認識しております。ですから、私どもとしてはこの状況が分かった段階で、すぐにアンプルのチェック、それから、改良を指示させていただきました。そういう意味では、確かに先生のおっしゃるように、アンプルの管理は十分でなかったので、その改善は求めた。最終的に、我々の規格の問題でいけば、入っている生理食塩液がどうなのかという問題がありますから、それが日本薬局方の規格に合うことを求めていくということかと思います。
○五十嵐座長 よろしいですか。製品としてでき上がったもののヒ素の濃度をしっかり把握するように変更したわけですね。
○監視指導・麻薬対策課課長 はい。
○五十嵐座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
○岡部参考人 発表を伺って、また、資料を拝見すると、人体の安全性については多分問題はなかろうというのは、国立医薬品食品研究所のほうでもチェックしているので、そこは納得できるのですが、BCGに関しては、確か2年前に薬液と溶解液のことでBCG社は問題を起こして勧告を受けていると思います。その品質管理上の全体の過程について問題がないかどうか、確認をしておいたほうがいいのではないかという意見があります。
それから、もう一点のほうは、これはメディアなどにかなり流れています。もちろん資料がオープンになっているから、それを見ているのではないかと思いますけれども、例えばワクチン関係、今、BCGは個別ですから、そこの臨床家が全部あらかじめチェックするわけでもないし、学会のほうにも先生のほうにもなかったですね。ですから、一般の現場でかなりインパクトがありそうなものについては、コミニケーションのやり方についてもうちょっと検討をしていただかないと、よけいな不安といろいろな状況に結びつくのではないかと思います。もちろん隠蔽とか何とかという話ではなくて、インパクトのあるような情報については、然るべき所にはあらかじめ早急に連絡をしていただければ、と思います。私は自治体にもいますが、自治体から聞かれて、さあどうだということもありますので、その点の御配慮をお願いします。
○監視指導・麻薬対策課課長 今の岡部先生の御指摘に関して、いわゆるリスクコミニケーションだと思います。我々としては、先生に言っていただいたように、リスク評価をして、このレベルではこれは安全だろうということはありました。例えば、問題がヒ素でしたので、今回、資料がアップされて、こういう報道がされましたが、その前から、そういったものを関係する先生方とどういうふうにやっていくのかについては、反省するべき部分だろうと思いますので、私たちは今後、こういった分野の行政を進めていく上で、そういうこともしっかり考えてやっていきたいと思います。また、ビーシージー社に関しては、これまでも幾つかいろいろ、古くからの製剤でありますが、確かにそういった議論もあったかと思います。それに関して、私どもも定期的にGMPの査察に入りまして、最近では無通告で査察にしっかり入るようにすることもあって、そういったものに定期的に入っておりますので、そういった中で、そういったことについても適切に監督・指導していきたいと思います。
○五十嵐座長 よろしいでしょうか。
○岡田参考人 日本小児科学会を岡部先生と一緒にやらせていただいていますが、すでにいくつか会員から問合せが来ています確認ですが、BCGの生理食塩液は最初からずっとこういう状況になっているのですか。
○監視指導・麻薬対策課課長 今日の御説明にもあったように、充填前のバルクといいましょうか、水が0.15ccということもあって、アンプルに充填する前の水の段階で、ヒ素の試験にも適合することを会社はずっと確認してきたわけです。それが今回のものでいくと、最大で0.26ppmという数字ですが、そのレベルのものが、ガラスアンプルに充填された段階で測ってみるとそうであるわけです。そういう意味では、水としてはもともとそういうものであったと思っておりまして、それに関して、過去からそうであったであろうということでいいですね。そういうふうに思っています。
○岡田参考人 そのアンプルが変わったのはいつなのですか。それはずっと使われているのですか。
○監視指導・麻薬対策課課長 現在のアンプルに切り換えるのが今月11月です。
○岡田参考人 それまでは、ヒ素はずっと溶け出していた可能性があるのですね。
○監視指導・麻薬対策課課長 それは否定できません。ただ、溶け出ているといっても、実は現在、市場にあるロット、35ロットを全部調べて、最大が0.26ppmで、低いもので0.1ppmの程度の範囲と、そういう分布でした。ただ、35ロットで調べた最大の0.26ppmに関しても、ICH Q3Dで実際にヒ素の許容曝露量が出ておりますが、それから見ても今回の曝露量は極めて低いのが現状です。ですから、それは過去にあったとしても、こういうワンショットのもので使われたときには、健康への影響としては問題ないという理解です。
○岡田参考人 分かりました。小児科学会、ワクチン学会も含めて、学会として、会員には安全性に関して、周知させていただければと思います。
○監視指導・麻薬対策課課長 よろしいでしょうか。先生のおっしゃるように、今回のものは、ヒ素がある意味でかなり報道でクローズアップされまして、毒性物質であることは非常に明らかではっきりしていることもあって、現場の皆様の混乱を生じさせてしまったと私どもも認識しています。そういうことで、また、こちらの調査会のほうでも、各方面にもきちっと正確なことを伝えることが大事だと思いますので、そういったものの取りまとめをお願いできれば幸いだと思いますし、また、そういったものを頂ければ、私どもは各方面に文書できちっとお伝えして、御説明していきたいと思います。
○岡田参考人 そういう意味では、学会としてはきちっとした形で文書を頂けると、会員に向けて周知ができるかと思いますから、どうぞよろしくお願いします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。0.26ppmを含有する生理食塩液を使ったものを皮膚に塗って、接種するわけです。一部は皮下に入り、皮膚にはその液が付着します。それが皮膚から身体の中に全部入ったとしても、身体に対する安全性には問題がないという御説明については、皆さんは御了解いただけますか。よろしいですね。この点を御確認いただいたことにしたいと思います。そのほかはいかがでしょうか。
○望月委員 問題がないことは、私も先ほどの御説明でよく分かりました。先ほどの御指摘もあったように、医療機関サイドに情報提供を頂く際に、恐らく医療機関のほうで疑問に思う点としては、ガラスとかのアンプルとか、バイアルとか、これと同じ類の他の製品は、そもそもヒ素に関しては問題ないと考えていいかどうか、医療機関側では疑問に思うだろうなと思います。そこの情報提供は必要と思いますが、併せて、世の中のヒ素含有食品とかはいっぱいあると思いますが、そういうものに比べてどの程度であるとか、そういう情報も医療機関側に頂けると、リスクコミニケーションとしては、患者さんに説明したり、あるいは、医師にそういう情報を提供するときにお伝えしやすくなるかもしれないと思います。可能でしたら、そういうことも教えていただけると有難いかと思います。
○五十嵐座長 情報提供をするに当たり、食品や飲料水中に含まれているヒ素の量についても情報提供があるという御指摘だったと思います。ありがとうございます。ほかはよろしいですか。それでは、まとめさせていただいてよろしいですか。
今回、乾燥BCGワクチンに添付した生理食塩液が最大0.26ppmという、従来の承認書で規定している日本薬局方では、生理食塩液の規格値は0.1ppm以下ですが、これを超える製品が見つかったという報告がありました。安全対策調査会としては、最大0.26ppmのヒ素が含まれるBCGワクチンを接種し、仮にヒ素が全量体の中に入った場合でも、対象児の許容一日曝露量と照らし合わせると、安全性には問題がないレベルであることが確認されました。しかしながら、安全性に問題がないとはいえ、生理食塩液の規格値0.1ppmを超えていることは事実ですので、11月中旬から下旬以降に、新しい製品への切換えあるいは交換を速やかに行っていただきたいと思います。
それから、本件に関しては、十分な情報が伝わらないことによって医療機関等に混乱が生じないように、乾燥BCGワクチンを接種する医療機関等に対し、上記の内容の周知を徹底する必要があると考えます。それから、今回、こういう問題が起きたときの対応につきましては、関係機関あるいは学会にも周知することを考えていただきたいという要望を頂きました。ということで、各委員の先生方には今まとめた内容を正確に確認していただきたいと思います。もう1つ、その他の議題がありますので、それが終わるまでに事務局には文章にしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。今日はそれを最後に、確認させていただきたいと思います。よろしいですか。ありがとうございます。
それでは、もう1つのその他の議題について審議したいと思います。「NDMA及びNDEAの管理指標の設定について」、事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 NDMA及びNDEAの管理指標の設定について、お手元の資料3-1に基づき説明させていただきます。本件につきましては、9月25日に開催されました本調査会において、リスク評価等を御審議いただいているところです。今回はNDMA及びNDEAに対して、管理をしていくに際しての指標を設定していくことについて、報告させていただくものです。
管理指標を設定することについては、前回リスク評価を御検討いただいた、国立医薬品食品衛生研究所の広瀬先生や、本日参考人としてお越しいただいております本間先生などの専門家に、事前に御意見を伺って、管理指標の設定の仕方について御検討いただいたものです。
まず、1.経緯です。前回報告している内容ではありますが、中国の製造所でありますHuahaiにおいて製造されたバルサルタン原薬において、N‐ニトロソジメチルアミン(NDMA)、それからN‐ニトロソジエチルアミン(NDEA)といった発がん性物質が検出され、世界的にこうした原薬を使用した製剤の回収が行われているところです。また欧米においても、イルベサルタンの原薬において、合成経路由来と推測されるNDEAの検出が報告されています。こうした状況を踏まえて、合成経路の類似している他のサルタン系医薬品についても、発がん性物質混入の有無の調査が世界的にも行われてきており、その結果、国際的には一部の他のサルタン系医薬品から、発がん性物質が検出されております。前回、報告させていただいたとおり、現状日本への波及については限定的な状況ですが、事業者がNDMA、それからNDEAを管理するための指標について、今回設定するということを検討するものです。
2.です。NDMA及びNDEAの管理の考え方です。発がん性を有する不純物の管理の考え方については、別紙にも示しておりますが、既に国際的に調和されたICH‐M7というガイドラインが存在しています。別紙については資料の4ページですが、簡単に説明させていただきますと、ICH‐M7ですが、低レベルでDNAに直接損傷を与える変異原性物質を対象としていて、そうしたものに対しその許容限度値を定め、それを管理していくというガイドラインです。一番下のところの○にありますように、これは新しいガイドラインで、現状適用されている製品は僅かな状況ではあります。NDMA及びNDEAの生成リスクのある有効成分の原薬に対して、こうした最新のリスクの管理の考え方を適用して、NDMAそれからNDEAを管理するための指標の設定を行うということです。
3.に移りまして、実際の管理指標の設定についてです。まず(1)です。M7のガイドラインですが、こちらについては生涯における10万分の1未満の発がんリスクを無視できるものとして、この水準となるように想定される不純物の許容摂取量を設定するということです。その上で、許容摂取量の値を超えないように、原薬又は製剤中の不純物の許容限度値を設定して、製造工程を管理するというのが、基本的な考え方です。2ページ目に移ります。NDMAとNDEAについては、既に既知の変異原性の物質で、別紙の表にあるとおり、ICH‐M7においては、クラス1というものに分類され、化合物特異的な許容限度値以下で管理することとされています。国際的に用いられている発がん性データベースの根拠データですけれども、そういった動物試験の結果に、M7のガイドラインの考え方を外挿して許容摂取量を算出するということを行うと、NDMAにおいては、ヒトの値として0.0959μg/dayということになります。この数字ですが、先般の調査会において、リスク評価に使用された数字と同一になっております。また、この数字は、米国FDA等でもNDMAのリスク評価に用いられるとともに、NDMAのアクセプタブルレベルとして、FDAのWebサイトにも掲載されているものです。同様の考え方に基づいて、NDEAで許容摂取量を算出しますと、0.0265μg/dayとなります。これも同様に根拠データについては、先般の調査会で使用された数字と同一のものを使用しています。
その上で(2)では、不純物の限度値の設定です。このNDMA、NDEAの現状の検出量や検出限界を踏まえますと、原薬に対して限度値を設定することが妥当であると考えられます。(1)で得られた許容摂取量に対して、日本における1日最高用量を用いて割り返す形で算出しますと、例えばバルサルタンにおいては、NDMAで0.599ppm。NDEAで0.166ppmと算出されることとなります。その他、幾つかのサルタン系薬品についても算出しますと、2ページの下から3ページ上にかけての表のとおりの数字となります。なお、管理に当たっての不純物の測定ですが、こうした限度値以下であることを確認できる水準である必要があります。国内ではGC/MS法が主に用いられていますが、海外ではGC/MSやLC/MS/MS法など、各種試験法は公表されています。このように、国際的に調和されたガイドラインに基づいた対応を行うことで、科学的にも妥当性の認められた最新のリスク管理を行うことができることになります。仮に今後NDMA、NDEA以外の発がん性物質の混入が国際的に判明した場合であっても、こうした考え方に基づくことで、迅速な対応を図ることができると考えられます。
最後に管理対象の範囲と対応です。前回の調査会でも報告しましたとおり、現状国内においては、このNDMA及びMDEAの生成リスクのある医薬品への対応は既に取っているところです。引き続き、国際的な動向も踏まえて、サルタン系医薬品を製造販売する事業者等を対象として、安全性管理の観点から、本考え方に基づく管理値以下であることを求めることとしています。本資料に関する事務局からの報告は以上となります。御意見をどうぞよろしくお願いします。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。今日は、本間先生に参考人としておいでいただいています。追加でコメントを頂けましたら幸いです。よろしくお願いします。
○本間参考人 本間です、よろしくお願いします。今事務局から説明があったとおりで、追加の説明というのは特にありませんが、許容値の設定に関してNDMAのほうは0.0595、NDEAのほうが0.0265となっています。これは先ほど説明がありました発がん性データベース、これはCarcinogenic Potency Databaseと言われる、米国のカリフォルニア大学バークレー校のドクターゴールド氏によって管理されています。数年前にゴールド氏が亡くなってから、そのデータベースは現在NIHに移っています。ここには国際的に信頼できる発がんデータが蓄積されており、多くの機関はこのデータを基にこのようなリスクの評価を行っています。
TD50値というのは、動物の半数にがんを引き起こす量とされています。これがラット若しくはマウスで行われた実験を主に使いますが、最も低い値を保守的な値として使っています。TD50値はラットの50%に発がん性を引き起こす量ですけれども、これを人間の体重が50kgとして10万分の1のリスクに直線外挿すると、このようなNDMA0.05959、NDEA0.0265という値になっています。
先ほどM7の説明がありました。別紙のほうに、こちらに関しては既知の変異原性発がん性物質として、発がん性データがありますので、このような管理がされています。一般的に、発がん性物質の管理については、このCPDBにあるデータベースを元にして、世の中の化学物質の10%に発がん性があると仮定して、その99%、10万分の1の発がんリスクで担保できる量として、TTCという概念を使っています。TTCというのは、先ほどありました参考資料に書いてありますけれども、これが一般的に1.5μg/dayです。
今回の許容値については、それよりはるかに低い値ということになりますので、これら変異原性不純物が、通常の発がん性物質よりも強いものと考えられています。したがって、TTCではなくて、このような化合物特異的な発がん性データに基づいた管理値、許容値を設定することは妥当と考えられます。私からは以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいまの御報告、それから御意見について、何か御質問、御意見はいかがでしょうか。
○柿崎委員 管理指標の設定とちょっと違うのですけれど、このイルベサルタンの原末は国内に入っているのでしょうか。
○事務局 お答えいたします。今この資料に記載されている、海外で発がん物質が検出されているイルベサルタン原薬についてですが、国内にも一部の製剤で使用されているものがあります。そのようなものについては、直ちに分析指示をしているところで、一部まだ分析中ではございますが、現時点で問題となるレベルの発がん性物質が検出されているものはございません。
○柿崎委員 あと、サルタン系の薬剤は同様なリスクがあるわけですけれども、オルメサルタンとロサルタンに関しては、まだ全く海外からも報告はないのでしょうか。
○事務局 今回、発がん物質が検出されている原因というのが、製造過程で特定の原材料等を使っているということですので、バルサルタンやイルベサルタンに限らず、他のサルタン系高血圧薬についても、全て網羅的に調査をしているところです。そのような合成過程で、発がん性物質が生成されるリスクのあるようなものについては、全て分析指示を行っているところで、まだこちらも一部分析中のところはあるのですけれども、現時点で、直ちに安全性が問題になるようなものは見つかっていません。
○五十嵐座長 最終的な調査結果が出た段階で、報告は改めてあるのでしょうか。
○事務局 調査結果については、全て出そろった段階で御報告したいと思いますし、安全性に問題のあるようなものが見つかった場合には、それは調査を待たずに、直ちに回収等の安全性上の対応を取りたいと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。そのような対応と取る方針を伺いました。いかがでしょうか。よろしいですか。それではNDMAとNDEAの管理指標の設定についての御報告を頂いて、皆さん納得していただいたと思いますので、この議論はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。
○医薬安全対策課長 今の議題が終了したということでよろしければ、先ほどのBCGワクチンの関係の資料を、今打ち終えて印刷している最中で、先生方に見ていただくものを今持ち上がってくる予定ですので、少しお待ちいただければと思います。数分という時間だと思います。お願いします。
○五十嵐座長 では、もう少しお待ちください。
○医薬安全対策課長 すみません、事務的な連絡ですけれども、今打ち終えたものを委員に配布しています。多分この内容を御覧いただいて、少し文言修正があるかと思いますので、傍聴の方におかれては、修正された後、最終的なものをこの後速やかにお渡ししたいと思いますので、ちょっとの間、お手元に資料なしでお聞きいただければと思います。すみません、御勘弁ください。
○五十嵐座長 準備できましたか。よろしいですか。読み上げていただけますか。
○事務局 それでは御手元に配布いたしました紙を読み上げさせていただきます。「乾燥BCGワクチン(経皮用・1人用)の添付溶剤(生理食塩液)の品質問題に関する議論のとりまとめ」。平成30年11月5日、医薬品等安全対策部会安全対策調査会。
今回、乾燥BCGワクチンに添付した生理食塩液が、最大0.26ppmという承認書で規定している日本薬局方生理食塩液の規格値(0.1ppm)を超える製品が見つかったとの報告があった。安全対策調査会として、最大0.26ppmのヒ素が含まれるBCGワクチンを接種し、仮にヒ素が全量注入された場合でも、対象児の許容一日曝露量に照らすと、安全性に問題ないレベルであることが確認できた。安全性に問題ないとは言え、生理食塩液の規格値(0.1ppm)を越えていることから、11月中旬~下旬以降新しい製品へ切り換え、交換を速やかに行うべきである。ついては本件に関して、十分な情報が伝わらないことによって、医療機関等における混乱が生じないよう、乾燥BCGワクチンを接種する医療機関及び関係学会、関係団体、自治体等に対し、上記の内容の周知を徹底する必要がある。
○五十嵐座長 ありがとうございます。いかがでしょうか、この文言、文面について御意見。
○柿崎委員 一番最初の文章ですけれども、0.26ppmとか0.1ppmとかは何の濃度が0.26かというのが分からないので、どこかにヒ素という言葉が入ったほうがいいのではないかと思います。
○五十嵐座長 生理食塩液中のヒ素の濃度が最大の場合でもと、記載していただきたいということですね。ありがとうございます。
○医薬安全対策課長 逐条的にすぐ直したいと思いますので、改めて今の御意見を踏まえて、座長もおっしゃられたことを繰り返しますが、1行目です。今回、乾燥BCGワクチンに添付した生理食塩液中に、ヒ素の濃度が最大0.26ppm、というつながりでよろしいでしょうか。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
○桃井参考人 先ほどの議論の中で、この問題が長いこと明確というか分からなかったのは、熔封前の生食中の濃度を提出していたためで、今後は熔封後をチェックするという御発言があったように記憶しているのですけれど、これは極めて重要なことなので、それもきちんと明記していただく必要があるように思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。これは先生、4つある○の中のどこに今の文言を入れたらよろしいですか。
○桃井参考人 その辺はお任せします。
○五十嵐座長 3番目と4番目の間ですか。
○舟越委員 熔封後でなければいけないという規定は、元々日本薬局方にあるのですか。
○監視指導・麻薬対策課長 そのようには書いてありません。日本薬局方には、そのように書いてありませんけれども、当然それは最終製品の規格と理解するのが普通であろうということでやっています。ただ、先ほどから申し上げたように、本製品に関しては0.15ccといういわゆる技術上の問題がありまして、充填前のバルクで検査をするということでずっと言ってきた、書いてきたので、そういう点ではやってきたことが間違いがあるわけではないのも事実です。ただ、非常に少量の生理食塩液の場合、そういうことが起こるということが、なかなか分からなかったというのが現実で、それが今回改めて確認する際に分かったので、速やかな報告があってこういった対応があったということを御理解いただければと思います。
○五十嵐座長 桃井先生が御指摘になった文言は、どのようにまとめますか。
○医薬安全対策課長 すみません、とりあえず4つ○が付いている文章の、3つ目と4つ目の間に入れる形で今述べさせていただきます。○を1つ起こしまして、今後は最終製品でヒ素の試験を行うことによって、品質を確保すべきである。ここに入れることにより、一番最後の文章が、上記の内容について医療機関・学会等に周知となっていますので、今の追加しようとしている文章も含めて、周知する対象になってくるという構成になります。そこの場所が妥当かどうか含めて、また御意見いただければと思います。
○五十嵐座長 もう一回読んでいただけますか。新しい4つ目の○ですね。
○医薬安全対策課長 今後は最終製品でヒ素の試験を行うことによって、品質を確保すべきである。
○五十嵐座長 皆さんよろしいですか。
○岡部参考人 先ほど、岡田先生からも質問があったのですけれども、いつからというのがやはり気になって、最近の出来事なのか、過去の出来事なのか、先ほどの御返事だと分からないわけですね。そうだとすると、例えば2番目の○のときに、同製品は以前より使用されていた可能性があるが、安全対策調査会としては、こういう状況なので以前から問題ないと考えられるとか、もし可能ならば、明言したほうが不安としては少ないと思うのです。
○五十嵐座長 ありがとうございます。2番目の○の文頭に、同製品は以前より使用されていたものであるが、という文章を入れるということですね。ありがとうございます。入ったほうがより具体的で、理解しやすいと思います。
それから私は2つ目の○の2行目の「仮にヒ素が全量注入された場合」という文言が、実態を示していないと思います。実際の接種は、懸濁液を皮膚に塗って、9本の針付きの管針を接種皮膚面に垂直に圧迫する事を2回行います。注入という表現は注射で皮下に入れるという印象を与えるので、「全量体内に入った場合でも」とするのが、より正しい表現なのではないかと思います。岡田先生、注入のままでいいですか。
○岡部参考人 先生のほうがいいと思います。
○五十嵐座長 それではもしよければ、2つ目の○は、「同製品は以前より使用されていたものであるが、」と文頭に文章を入れていただいて、2行目の「仮にヒ素が全量注入された場合」というところの「注入された」を、「体内に入った場合でも」としていただけますか。針からの穿刺で直接皮下に入る部分と、塗られた皮膚から体内に入る可能性があるります。両方の経路から体の中に入るという言葉で、「体内に入った」という表現を提案したのですが、それでよろしいですか。ありがとうございます。その他はいかがですか。
この内容でよろしければ、事務局に今後の対応をお任せしたいと思います。よろしくお願いします。後ほど修正して印刷したものを、今日御出席の関係者の方には皆さんお配りするということですので、少し待っていただきたいと思います。何かありますか。よろしいですか。では、乾燥BCGワクチンの添付溶剤の品質の問題に対する対応については、これで審議を終了したいと思います。
以上で今日予定していた事項は、終了となりますけれども、事務局から何かありますか。
○医薬安全対策課長 一点よろしいですか。事務局から今後の予定等含めて述べる前に、この場で修正いただいた関係ですが、一応全てこの場で頂いた意見を我々は把握できていると思いますので、修正次第先生方にはメール等で送りたいと思います。また、この文書については、関係機関含めて文書確定ということでお知らせしますので、座長に念のため確認いただいた上で、傍聴の方含めてその内容についてはお知らせするということで、この調査会終了後そういう対応を取りたいと思いますが、いかがでしょうか。
○五十嵐座長 皆さんそれでよろしいですか。ありがとうございます。それでは、今日は少し時間を超過しましたが、これで調査会を閉会としたいと思います。どうもありがとうございました。
 

 

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