ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 平成30年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会議事録(2018年9月25日)

 
 

2018年9月25日 平成30年度第8回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

平成30年9月25日(火)17:00~

 

○場所

田中田村町ビル8階8E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)

○議事

 

○医薬安全対策課長 お待たせいたしました。定刻より、まだ少し前でございますが、そろそろ本日の会議を始めたいと思います。
 平成30年度第8回「医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催させていただきます。
 本日、御出席の先生方及び参考人の先生方におかれましては、御多忙の中、そして、足元の悪い中、御出席いただきましてまことにありがとうございます。本日も円滑に審議を進めてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いします。
 本日の調査会に関しましては、御案内のとおり公開で行っております。現時点でカメラ撮り等を議事に入る前ということでさせていただいておりますので、傍聴の方々におかれましては、御理解、御協力のほど、お願いいたします。あわせて、傍聴の方には、お手元に留意事項の紙をお配りしておりますので、そちらの遵守もお願いします。
 次に、本日の委員の出欠状況について報告をいたします。現時点で、本安全対策調査会の先生方、6名全員に御出席をいただいております。したがいまして、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立しておりますことを報告申し上げます。なお、望月委員からは、1時間ほどで御退席されると伺っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に、本日出席いただいております参考人の先生方を紹介させていただきます。名簿順とは若干前後いたしますが、まず、議題1の関係で出席いただいています先生につきまして紹介申し上げます。
 国家公務員共済組合連合会の上田先生でございます。
 慶應義塾大学の岡村先生でございます。
 鹿児島市立病院の宮田先生でございます。
 議題2の関係で、お二方、参考人の先生に出席いただいております。紹介申し上げます。
 国立医薬品食品衛生研究所の広瀬先生でございます。
 長崎大学大学院の堀口先生でございます。
 それでは、この後、議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りに関しましてはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○医薬安全対策課長 よろしければ、以後の進行に関しまして、五十嵐座長にお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 それでは、議事を進めます。
 まず、事務局から審議参加に関します遵守事項につきまして御説明をお願いいたします。
○事務局 議事参加について御報告いたします。
 本日、御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の対象品目、競合品目の製造販売業者及び議題2の審議により影響を受ける企業からの過去3年度における寄附金・契約金などの受け取り状況を御報告いたします。
 議題1についての競合品目・競合企業及び議題2の影響企業につきましては、事前にリストを各委員にお送りして確認をいただいております。
 柿崎委員より、MSD株式会社及びあすか製薬株式会社から50~500万円以下の受け取り、アステラス製薬株式会社、興和株式会社、アストラゼネカ株式会社、大日本住友製薬株式会社及びEAファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。
 舟越委員より、アステラス製薬株式会社、MSD株式会社、第一三共株式会社、アストラゼネカ株式会社、ファイザー株式会社、大日本住友製薬株式会社、マイランEPD合同会社、キッセイ薬品工業株式会社、あすか製薬株式会社及びEAファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。
 望月委員より、アストラゼネカ株式会社、あすか製薬株式会社及びEAファーマ株式会社から50万円以下の受け取り。
 上田参考人より、アステラス製薬株式会社、MSD株式会社及び興和株式会社から50万円以下の受け取り。
 岡村参考人より、アステラス製薬株式会社、MSD株式会社及び第一三共株式会社から50万円以下の受け取り。
 宮田参考人より、第一三共株式会社から50~500万円以下の受け取り、アステラス製薬株式会社、興和株式会社、アストラゼネカ株式会社及びキッセイ薬品工業株式会社から50万円以下の受け取りと御申告いただいたほかは受け取りの申告がございませんでした。
 よって、議題1の審議につきましては、柿崎委員におかれましては、意見を述べることはできますが議決に加わることはできません。なお、その他の委員におかれましては、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても意見を述べることができます。
 議題2につきましては、薬事分科会審議参加規程第18条に基づき、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議においては、影響企業からの寄附金・契約金等の受取額にかかわらず、申告書を会議終了後、厚生労働省ホームページに掲載することをもって審議及び議決に加わることができるため、全ての委員におかれまして、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、参考人におかれましても意見を述べることができます。
 これらの御申告につきましては、ホームページで公表させていただきます。
 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告させていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。
 今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出していただいており御負担をおかけしておりますが、引き続き、御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 審議参加に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の御報告は以上になります。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 ただいま事務局から説明がありましたけれども、審議参加に関する遵守事項につきましては、皆さん、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 特に御異議ないようですので、競合品目、競合企業及び影響企業の妥当性を含めて、皆様から御了解をいただいたものとします。
 では、事務局から配付資料の説明をお願いいたします。
○事務局 「配布資料一覧」がございますので、そちらで御説明いたします。
 まず、議事次第の裏が「配布資料一覧」となってございます。資料1-1の前に、委員、参考人の一覧がございます。
  資料1-1 HMG-CoA還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤の原則併用禁忌について
  資料1-2 調査結果報告書
  資料1-3 HMG-CoA還元酵素阻害剤(スタチン)とフィブラート系薬剤の併用に関する添付文書改訂の要望書(日本動脈硬化学会)
  資料1-4 資料1-1に記載している論文
  参考資料1 HMG-CoA還元酵素阻害薬及びフィブラート系薬剤の添付文書
  資料2-1 あすか製薬株式会社が製造販売するバルサルタン錠「AA」の服用による健康影響評価とその他の医薬品への影響について
  資料2-2 原薬中に発がん性物質N-ニトロソジメチルアミンが検出されたあすか製薬株式会社が製造販売するバルサルタン錠「AA」の服用によるリスク評価(国立医薬品食品衛生研究所)
  資料2-3 バルサルタン製剤における発がん物質の検出に対する対応について
        (9月7日付け事務連絡)
  資料2-4 海外当局の対応状況
  資料2-5 デンマークにおけるコホート研究に関する論文
  参考資料2-1 バルサルタン錠「AA」の添付文書
  参考資料2-2 バルサルタン錠「AA」に係る製品回収及びN-ニトロソジメチルアミン摂取に伴うリスク評価に関する報告書(あすか製薬株式会社)
 続きまして、「競合品目・競合企業リスト」「影響企業リスト」がございます。
 本日の「配布資料一覧」には記載がございませんが、その下に、
  当日配付資料1 あすか製薬株式会社が自主回収を行ったバルサルタン錠「AA」の原薬から新たに別の発がん性物質が検出された件について
  当日配付資料2 日本食品分析センターにおけるバルサルタン原薬中のN-ニトロソジエチルアミン(NDEA)の分析結果
という2つの当日配付資料がついてございます。
 以上が資料となります。漏れや落丁等がございましたら事務局までお申し出ください。よろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。資料の過不足はございませんか。
 では、議題1「HMG-CoA還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤併用時の安全性について」の審議を始めます。
 事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1に沿って御説明を申し上げます。
 HMG-CoA還元酵素阻害薬(通常スタチンと呼ばれる一連の医薬品)は「高コレステロール血症」「家族性高コレステロール血症」等を効能・効果としており、フィブラート系薬剤は「高脂血症(家族性を含む)」等を効能・効果としております。
 両剤の併用に関しましては、添付文書の「原則禁忌」の項におきまして、「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること[横紋筋融解症があらわれやすい]」と注意喚起をされております。スタチン、フィブラートには多数の薬剤がございますが、いずれもこのような原則禁忌が記載をされております。
 これに関し、今般、動脈硬化学会より、スタチンとフィブラートの併用について、原則禁忌を見直すよう要望が出されております。こちらの要望書は資料1-3にございます。
 こちらの要望の背景といたしましては、
・欧米において、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に対しても一部の薬剤を除き、スタチンとフィブラートの併用が可能とされていること。
・動脈硬化性疾患の予防・治療には、高LDLコレステロール血症だけではなく、高トリグリセリド血症及び低HDLコレステロール血症に対する治療の重要性が注目されており、それぞれに適応されるスタチンとフィブラートの併用が臨床現場で求められていること。
これらが挙げられております。
 「2.調査結果」でございます。
 本件につきましては、PMDAにて調査を行い、報告書が作成されております。そちらが資料1-2となっております。この概要について説明を申し上げます。
 「(1)海外の規制状況」でございます。
 腎機能に関する臨床検査値異常が認められる患者におけるスタチンとフィブラートの併用に関する禁忌設定は、EU・米国ともございませんでした。なお、EU・米国ともに、腎機能の状態にかかわらず、gemfibrozilとシンバスタチンの併用は禁忌とされております。なお、gemfibrozilは国内では承認されておりません。また、EUでは、ロスバスタチンの40mgとフィブラートの併用が禁忌とされておりますが、米国では禁忌となっておりません。
 「(2)国内外ガイドライン」でございます。
 国内承認薬、国内承認用量内において、腎機能に関する臨床検査値異常が認められる患者でのスタチンとフィブラートの併用は禁忌とされておりません。
 「(3)製造販売後調査、国内副作用報告」でございます。
 腎機能に関する臨床検査値異常が認められ、かつ、スタチンとフィブラートを併用した症例は少なく、安全性に関する情報は限定的ではありますが、併用した場合に横紋筋融解症が発現したとの報告が得られております。なお、スタチン、フィブラート、それぞれの単独の使用においても横紋筋融解症の発現は報告されております。
 「3.今後の方針」でございます。
 上記の調査結果を踏まえまして、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者におけるスタチンとフィブラートの併用については、必要な注意喚起を継続しつつ、「原則禁忌」から「重要な基本的注意」に記載を変更してはどうかと考えております。
 添付文書の具体的な文言につきましては、資料1-2の27ページをごらんください。
 こちらはアトルバスタチンの例でございますが、他の剤もおよそ同様の記載となっております。現在、「原則禁忌」に記載がございます内容を削除いたしまして、「重要な基本的注意」に記載をする。併用する場合には、定期的な腎機能検査等を実施し、悪化を認めた場合には投与を中止するという注意喚起を記載してございます。
 資料1-1に戻りまして、今回の見直しに当たりましては、以下のような報告もあわせて考慮し、変更後の注意喚起のあり方を検討してはいかがかと考えております。
 1つ目でございますが、米国において、1999年にgemfibrozilとセリバスタチンの併用が禁忌とされ、2001年にはセリバスタチンが販売停止となってございます。セリバスタチンについては、日本も同年に販売停止となっております。
 セリバスタチンでございますけれども、米国で報告された横紋筋融解症の死亡症例31例のうち、12例でgemfibrozilが併用されていたことが示されております。こちらは、資料1-4の8ページをごらんください。当時、FDAが「The New England Journal of Medicine」に投稿したものでございますが、8ページの表をごらんいただきますと、それぞれのスタチンの横紋筋融解症の発症率などが記載されてございます。こういった発生頻度につきましては、スタチンでそれぞれ大きく異なり、セリバスタチンで著しく高かったことがわかります。
 2点目でございます。2型糖尿病を対象としました大規模試験ACCORDの脂質に関するサブグループ試験でありますACCORD-Lipidにつきましては、資料1-4の9ページから論文をつけております。こちらも「The New England Journal of Medicine」の論文でございます。
 この試験では、フェノフィブラートとシンバスタチンの併用で、横紋筋融解症を含む筋肉障害について、プラセボとシンバスタチン併用群で有意な差がなかったことが、2,500人以上の患者に対して平均4.7年間フォローアップを行った中で示されております。
 事務局からの説明は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 この件に関しまして、日本動脈硬化学会から要望書が出ております。それは資料1-3にございますので、ごらんいただきたいと思います。
 本日は参考人といたしまして、この要望書の内容等につきまして御意見をいただきたいと思います。3名の先生方においでいただいておりますので、順番にお話を伺ってよろしいでしょうか。
 上田先生からお願いいたします。
○上田参考人 枚方公済病院の上田でございます。
 要望書の解説をさせていただきます。
 我が国の動脈硬化性疾患の予防治療で、まず、高コレステロール血症、高LDLコレステロール血症の治療は、遠藤章先生が開発されたHMG-CoA還元酵素阻害薬、いわゆるスタチンが主流となって、第1選択薬として使われているのは全世界的に共通の事実であります。
 一方で、高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症というのも動脈硬化性疾患のリスクファクターとして明らかにされておりまして、実際にメタボリックシンドロームの診断基準に高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症が含まれていることからも自明の事実であります。
 高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症の治療薬として、現在、一番使われている、有効な薬剤としてはフィブラート系薬剤があります。フィブラート系薬剤は、1981年に我が国で発売されたクリノフィブラートを初め、1995年にベザフィブラート、2005年にフェノフィブラートが発売されて広く使われております。
 実際に併用が必要な患者は非常に多くて、LDLコレステロール血症を是正しても動脈硬化性疾患を完全に抑えることができない。それには、やはり中性脂肪を下げる、あるいはHDLコレステロールを上げるというのが必要になってくるので、スタチンとフィブラートの併用は、臨床の場においては非常に有効な治療法として、先ほど出ましたセリバスタチンとgemfibrozilが1999年に副作用が非常に強くて発売停止になったとき以来、あつものに懲りてなますを吹く的な対応で、原則禁忌とされてしまっていますけれども、2000年ぐらいまでは一般に併用されていた事実があります。
 我々が使っていて、実際に横紋筋融解症で亡くなったという経験はほとんどありませんし、併用でふえたというデータは、まだ余り数は多く集まっていないと思うのですけれども、恐らくその辺は、実際にこれから症例が増えたとしても、併用で横紋筋融解症を起こしてきたという症例はそんなに多くはないのではないかと考えます。我々の経験からも、そういうように考えますし、外国のデータからも禁忌になっていないことも含めて、先ほどの解説にありましたけれども、禁忌というのは完全に我が国だけのことですので、今回、その辺を撤廃していただきたいというのが要望です。
 もう一点、腎機能が落ちている患者に使う場合で、腎機能の縛りなのですが、現在、血清クレアチニン値で表現されていますけれども、日本腎臓学会あるいは日本腎臓病薬物療法学会の意見もあわせて、eGFRを使うのが妥当ではないかという点も含めて検討していただけたらと思います。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
 岡村先生、お願いします。
○岡村参考人 私は、公衆衛生・疫学の立場からということになるのですが、まず、一般の集団、患者ではない人で、コレステロールだけが高い場合と中性脂肪が高い場合でリスクに差があるかどうかということになりますが、実際に日本で数千人を10年以上追跡したような研究がありますけれども、例えばコレステロールが単独で高い場合、心筋梗塞の発症リスクが1.5~2倍ぐらいに上昇するのですが、これに中性脂肪の上昇が加わると、2.5~3倍ぐらいにリスクがはね上がることがわかっております。
 これは年齢構成にもよるのですが、例えば男性の集団であると、中層年期になると、むしろLDLが単独で高いよりもLDLと中性脂肪の両方が高い方のほうが数が多くなってきます。先ほど上田先生が言われたことですが、その人たちにどういうように対処していくかが非常に重要です。もちろん生活習慣の改善等ということで、特定健診、保健指導等もやっておりますが、どうしてもそれだけでは制御できない方もいらっしゃいますので、最初の治療として、一次予防の手段としても非常に大事であろうと考えております。
 できる対処法ということがありますが、今の書き方ですと、一般で使うのに非常にためらうところが出てしまいますので、そこは書きぶりをどうするかというのはもちろんありますが、少なくとも便益がリスクを上回っている方に対しましては、禁忌ではなくて使用する形でもいいのではないかと考えるところでございます。
 あとは重複しますので、簡単ですけれども、これで終わらせていただきます。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 宮田先生、お願いいたします。
○宮田参考人 鹿児島市立病院の宮田でございます。
 私は、3月まで鹿児島大学におりまして、10年以上、高脂血症の講義をしております。今まで2人の参考人からもありましたように、特に2型糖尿病の方はトリグリセライドが高くて、そういう人がLDLコレステロールも高い場合はスタチンとフィブラートを併用せざるを得ないということで、これは動脈硬化学会もガイドラインで推奨していることなのですけれども、この添付文書に「原則禁忌」と書いてありまして、国家試験でも1題、フィブラートとスタチンを併用して横紋筋融解症が出たという問題が出ておりますので、学生には、国家試験上は併用は禁忌ですと講義で言わざるを得ない状況です。学生には、皆さんは前途洋々たる未来があるので、併用したいときには医師免許をかけずに私に紹介してくださいと言って、私に紹介されてスタチンとフィブラートの併用をやっているという状況でございます。
 欧米では併用がほぼ認められている状況が、日本では原則禁忌となっていることで、臨床では広く使いづらいという状況です。これは、患者さん方が大変な不利益をこうむっているということを皆さんには認識していただきたいと思います。少なくとも「原則禁忌」というところを外していただいて、「慎重投与」でもいいですので、とにかく臨床の現場で併用できる状況にしていただければありがたいと思います。
 以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 お三方の先生から貴重な意見をいただきました。ありがとうございました。
 この件につきまして、委員の先生方から御意見あるいは御質問をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
 柿崎委員、どうぞ。
○柿崎委員 参考人の先生にお伺いしたいのですが、添付文書では腎機能に関する異常が認められた場合には原則禁忌となっていますけれども、実際の現場では「腎機能に関する」云々というのがなくて、スタチンとフィブラートを併用すると保険で査定されるのではないかとか、いろいろ懸念して、私も余り併用しないようにしているのですけれども、先生は先ほど、私のところに紹介してくださいというお話だったのですが、併用されてほとんど問題ないのでしょうか。
○宮田参考人 私は多数例併用しておりますけれども、問題ありません。ただ、先生がおっしゃいますように、腎機能の悪い人には気をつける必要がありますし、そこはどの値でということは、クレアチニン値でいうと2ぐらいまでの人は併用して問題ないかと思います。
 重要なことは、併用した後、1カ月以内に腎機能及びCKを採血して横紋筋融解症にならないか、あるいは腎機能が悪くてそういうようにならないかということを必ず確認するようにしておりますし、併用する場合は、1カ月以内には採血をして確認することは重要かと思います。
○柿崎委員 先ほどeGFRで切ってはという御意見があったのですけれども、クレアチニン値は2を目安にということですけれども、eGFRだとどの辺を目安にすればよろしいのでしょうか。
○上田参考人 Chronic Kidney Disease(CKD)の基準としては、3カ月以上、60を切っている場合となっていますけれども、実際のところ、60というのはなかなか厳しい数字なので、その辺の数字的にはこれから築いていく必要があると思うのですけれども、感覚としては30~40ぐらいでいいのではないかと思っています。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 望月委員、どうぞ。
○望月委員 スタチンとフィブラートの併用が、臨床上、必要なケースがとても多いということは、今までの先生方の御説明でよく理解できました。
 これは事務局にお聞きすればいいと思うのですが、資料1-2「調査結果報告書」の11ページの「3.公表文献」の説明のところです。
 AERSのデータから2004~2009年の横紋筋融解症の症例を収集して、後向きで解析をされている結果で、先ほどから議論になっている腎機能障害の影響についてのところなのですけれども、AERSのデータなので報告バイアスとかいろいろあるとは思うのですが、ここの数字を見てしまうと、腎機能障害合併例では相当注意したほうがいいのかなという感覚を持ってしまうのです。
 最後の3行ぐらいで、腎機能障害の合併例で致死的転帰の割合が13.5%で、非合併例では6.6%ということで、95%CIも重なっておらず、統計学的に有意差がついている。これはスタチン単独ですけれども、裏側にスタチンとフィブリン酸誘導体の併用の場合も、腎機能障害合併例では10.5%で、非合併例では0.0%ということで、これも統計学的に有意になっている。
 AERSのデータなので、こういう解析のデータがどこまで信頼できるのか、私もよくわからない部分もありまして、ここはどう解釈をしたらいいのかというのをちょっと御説明いただけたらと思います。
○安全第二部長 PMDAから御説明させていただきます。
 望月委員御指摘のとおり、ここはAERSの、日本でいうと副作用自発報告のデータですので、そこは限定的に解釈をする必要はあるとは考えております。
 このデータだけで何か結論づけたことを言うのは難しいと思うのですが、PMDAの報告書の中では、このほかに国内での製造販売後の調査などの状況も踏まえて、市販後に得られている併用例で、原則併用禁忌となっている腎機能の悪い方に関するデータとしては非常に少ない状況もあるのですけれども、海外の添付文書の状況なども踏まえまして、一定の注意はしながらも原則禁忌は解除というか、今後、添付文書が変わっていくということも踏まえまして、「原則禁忌」から「慎重投与」として、「重要な基本的注意」等において一定の注意はしていくのが適当ではないかというのが全体の報告となっております。
○望月委員 日本での経緯としては、併用禁忌でもなく、原則禁忌でもなくスタートして、自発報告でたくさん集まってきた中の解析をすると併用例が多かったということで、注意喚起をするということで原則禁忌になったという歴史が最初のほうに書かれています。その経緯から考えると、きちんと原則禁忌にしておくことで併用されないということで、自発報告では併用例の横紋筋融解症はほとんど報告されていないというのが自然な解釈かなと思っているのです。
 確かに併用で問題ない等々の記述はあるのですが、先ほどの2型糖尿病のACCORDのサブ解析のスタディーを見ると、バックグラウンドの患者たちはほとんど腎機能が悪くない方たちですよね。そうすると、腎機能が悪い人たちでは、幾らAERSのデータが自発報告なので報告バイアスがあるといっても、これだけはっきり差が出ているので、腎機能が悪い人たちでどういう注意喚起をしなければいけないかというところはよく考えておかなければいけないかなと、これからは読み取れるなと私は思っています。
 「原則禁忌」を外すことに関してよりも、むしろ腎機能が悪い人たちで併用する場合の注意喚起をどのようにしていくかが大事なところかなと思いました。
 
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 「原則禁忌」を外すことについては、特に反対ではない。むしろ腎機能が低下している人たちをどうするか、どういう注意喚起をするか、あるいは、さらに、その後どういうフォローをするかが大事だという御意見でよろしいですね。
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 参考人の先生方から何か追加の御意見はございますか。
 上田先生、どうぞ。
○上田参考人 特にスタチンですけれども、治験の期間に横紋筋融解症の症例はほとんど出ていないのです。出ている症例は腎機能が悪い症例に限られていたと記憶しています。ですから、併用云々以前に、腎機能が悪い症例については、スタチンでもフィブラートでも注意喚起は必要だと思います。併用云々よりも腎機能の悪い人については注意を払って投与しましょう程度のことでいいのかなと思います。
○五十嵐座長 ほかの先生方はいかがですか。
 宮田先生、どうぞ。
○宮田参考人 通常、我々はスタチンもフィブラートも投与するときには腎機能をチェックするというのが当然なのですけれども、一般の先生方がそこをされているとは限りませんので、併用する場合は腎機能を必ずチェックして、eGFRなのか、クレアチニン値なのかわかりませんけれども、そのあたりで何々以上の場合は併用は避けるというような文言がいいのかなと思います。
 もう一つ、今、原則禁忌の中では「併用がやむを得ない場合は」という表現で書いてあるのですけれども、もし可能であれば「有益性が有害性をまさる場合には併用できる」という表現に変えていただければ、一般の臨床医が使いやすくなるのかなと思います。
○五十嵐座長 私から質問ですけれども、腎機能は事務局案の改訂案のことなのですが、これをごらんいただきますと、「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者」という言葉が出ているわけですが、今、先生方がおっしゃったように、eGFRだとか、血清クレアチニンの値は示されていないわけです。
 その点に関してなのですが、今までの治験で、例えばeGFRが幾つ以上だと横紋筋融解症が明らかに高くなるとか、そういうデータが、日本あるいは外国にはあるのでしょうか。もっと言いますと、eGFRあるいは血清クレアチニンの値を明記できるほどのサイエンティフィックなデータがあるのかどうかについて知りたいのですけれども、いかがですか。
○上田参考人 実際に腎機能の制限が明記されているのは、フィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートで、それぞれ2.0、2.5か何かになっているのですけれども、それは全く根拠がないのです。恐らく治験の段階の振り分けの時点で、クレアチニン値が2を超える場合、あるいは2.5を超える場合には治験に組み込まないというのがスタートラインだったと思うのです。
 eGFRにしても、実際のデータとしてはどれぐらいが妥当かというデータは、少なくとも日本ではないと思います。
○五十嵐座長 逆に、厚生労働省の案の文言のほうがより厳しい言い方かもしれないですね。血清クレアチニン値として具体的な数値を示さず、「腎機能検査に以上がある場合」とした方が、一見曖昧な表現のようで、実は厳格な意味をもうのではないかと、私は思いました。
 それから、先生方がおっしゃるように、しっかりとしたエビデンスがないのだったらこれでもいいのかなとも感じました。この表現の仕方についてはいかがですか。先生方、何か御意見がありますか。
○宮田参考人 現時点では、原則禁忌から外れることが重要でありまして、もし併用で横紋筋融解症を起こして不幸な転帰になるような患者はなるべく避けるべきだと思いますので、私個人としては、現時点の「腎機能に関する検査値異常が認められる」という厳しい表現で構わないと思います。
 もし併用が原則禁忌から外れれば、臨床の場で併用されるようになりますし、その中で市販後調査とかを行いながら、今、御質問にありました、どのぐらいの腎機能では危ないのかというのが、データを集めることでわかってきますので、第一歩としてはこのような厳しい表現でも私は構わないかと思います。
○五十嵐座長 委員の先生方はいかがですか。
○柿崎委員 原則禁忌から外れるとかなり併用症例が増えるかと思うのですけれども、薬剤の中にはジェネリック医薬品になっているものもありますので、例えば1カ月目にCKとか腎機能を測るとか、腎機能障害例に注意しなければいけないという啓発に関しては、先発メーカーがやるべきなのか、あるいは何かほかの方法でやるべきなのか、あるいは学会でやるべきなのか、何かお考えがあったら教えていただければと思います。
○宮田参考人 これはまだ学会で話し合ったわけではありませんので、私の個人的な意見で、ほかの参考人の先生方も意見があるかもしれませんけれども、「原則禁忌」が外れれば動脈硬化学会で上田先生が広報委員長をされていますし、プレスセミナーも定期的に動脈硬化学会でやっていますので、まずはそういうところで広報活動をいたします。そのあたりは動脈硬化学会のホームページで公開したり、学会員を通じて講演会などで一般の臨床の先生方に啓蒙や広報をしていくことになるかと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 もう一つ、宮田先生から「治療上やむを得ない」という文言が、もう少しやわらかな表現にできないかという御指摘を戴いています。これにつきましてはほかの先生方も同じような御意見でしょうか。
○岡村参考人 受け取り方の問題なのですが、本当に追い詰められて、ほかの手段がない場合みたいな、文言的には結構瀬戸際みたいな感じに聞こえてしまうので、有益性と有害性の便益というところを書くというのが、先ほど宮田先生も言われたと思いますけれども、それが一番公平な書き方になるのかなと思います。
 先ほどの広報の件も含めまして、学会のガイドラインの広報等もやっていますので、そこでも注意喚起とかはできますし、むやみやたらに増えるのではなくて、慎重にちゃんと見ながら、こういうように使っていきましょうという啓発が恐らくできるのではないかなと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 この点については、委員の先生方、いかがですか。
 参考人の先生方は、「有益性と有害性を評価した上で、必要があると判断される場合には」という文言に変えたほうがいいという御意見です。
 舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 例えば慎重投与とかにして、市販後調査にしろ、そういったものからこれからリスクの評価をしていくとなると、現場的には「リスクのほうが上回る」「有益性が上回る」という言葉はなかなか使いづらいのではないかという印象を受けました。
 逆に言えば、このまま落としてもらって、そこから一定期間様子を見ていく。そこからエビデンスが出てきたら、そこでまた一旦考えるという形のほうがいいのかなと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 委員の先生方も、それでよろしいですか。
 確かに先ほどの望月委員の御質問は、スタチンとフィブラートを併用すると横紋筋融解症は10倍以上になるからという御指摘がありましした。そこまでなくても、ほかの文献を見ても5.5倍だとか、横紋筋融解症のリスクが上がることは確かなのです。それをどういうように注意するかという点にかかわってくると思います。委員の先生方としては、今回の場合、「治療上やむを得ない」という文言でよろしいですか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 それでは、御議論をまとめさせていただきたいと思いますが、何か追加はございますか。よろしいですか。
 スタチンとフィブラートの併用に関しましては、現行の添付文書では「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること[横紋筋融解症があらわれやすい]」と記載がされています。欧米では、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者にもスタチンとフィブラートが併用されておりますので、日本でも実際に臨床の現場では併用したいとドクターが判断されるニーズが多々あるというように、今日、お伺いしました。
 添付文書の「原則併用禁忌」の記載事項を「重要な基本的注意」に移行した上で、必要な注意喚起を継続することが必要だというお話をいただきました。もしこれが認められた場合には、動脈硬化学会など、学会が中心になりまして、腎機能の評価が必要である等の横紋筋融解症発症に関する啓発をしたいと伺いました。そのためには、見直し後のフォローアップをきちんと行って、このような調査会で報告をいただくことが必要だと理解しております。
 そのようなまとめでよろしいでしょうか。
 では、議決をとりたいと思います。柿崎委員は議決への参加ができませんので、御遠慮していただきたいと思います。
 皆さん、機構案でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 スタチンとフィブラート系薬剤の添付文書については、事務局の提案どおり、「使用上の注意」を改訂することにします。
 御討議をいただきまして、ありがとうございました。
 何か事務局からございますか。
○事務局 今後の予定でございますけれども、ただいまの議論を踏まえまして、スタチンとフィブラート系薬剤の製造販売業者に対しましては「使用上の注意」を改訂するよう指示をいたします。
○五十嵐座長 上田先生、岡村先生、宮田先生におかれましては、貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございました。遠いところから来ていただきまして、感謝申し上げます。
 これ以降の議題は特に御意見を求める予定はございませんので、御退席されても結構です。どうもありがとうございました。
(上田参考人、岡村参考人、宮田参考人、退室)
○五十嵐座長 続きまして、議題2「N-ニトロソジメチルアミンの混入の可能性がある医薬品の発がん性に係るリスク評価について」の審議をします。
 事務局から、リスク評価についての説明をお願いいたします。
○事務局 資料2-1をご覧ください。
 「1 背景」でございますが、本年7月6日にあすか製薬が、中国のHuahaiという製造所で製造しているバルサルタン原薬において、ヒトに対し発がん性があるとされるN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたことから、同社が製造販売するバルサルタン錠「AA」の自主回収を行った旨、公表しました。
 これを受けまして、これまでバルサルタン錠「AA」を服用された方の健康影響について評価を行い、それを踏まえ対応を検討する必要がございます。また、バルサルタン錠「AA」は既に薬価削除と承認整理されておりまして、本年8月には回収を終了しております。
 海外におきまして、Huahai以外の製造所で製造されたバルサルタン原薬におきましてもNDMAが検出され自主回収に至った事例が公表されておりまして、国内に流通する医薬品への影響について注視する必要がございます。
 「2 NDMAが検出された原因」でございますが、これはバルサルタンのテトラゾール環の合成過程でNDMAが副生成物として生成されたと推定されておりまして、科学的にもそういう可能性があるという見解を国立医薬品食品衛生研究所の専門家からもいただいております。
 「3 バルサルタン錠『AA』の服用による健康への影響評価」ですが、当該製剤に含まれるNDMAの分析結果をもとに、国衛研におきまして健康影響評価を行っていただきました。そのリスク評価を資料2-2として添付しております。
 結論を申し上げますと、最もNDMAの混入濃度が高い原薬から製造された160mg錠を、販売期間4年間服用したときの発がんリスクは1万5,000人から3万人に1人が、将来、その暴露によりがんを過剰に発症する程度のリスクに相当すると評価されております。
 なお、ナショナルデータベースによりますと、販売開始の平成26年6月から平成28年3月までの期間にバルサルタン錠「AA」の処方記録のあった患者の人数は約1万9,000人と推計されております。
 「4 バルサルタン錠『AA』を服用された方への対応」でございます。
 1番目として、回収対象の製剤を服用されている方につきましては、7月6日の自主回収の公表時に、あすか製薬より、服用による即時的リスクよりも治療中断によるリスクのほうが高いことが考えられたために、自己判断による服用中止をせず、直ちに医師に相談するよう注意喚起を行っております。同日、厚生労働省のホームページでも公表を行っております。
 2番目ですが、厚生労働省より、当該製剤を服用されている方に対しましては、ほかのバルサルタン製剤への切りかえなど、必要な対応につきまして、医師、薬剤師に相談することの周知を9月7日に自治体宛てに通知しております。その通知文書は、資料2-3として添付してございます。
 3番目ですが、海外におきましても回収対象の製剤の服用による即時的なリスクはないと評価されておりまして、医師や薬剤師に相談なく、当該製剤の服用を中止しないよう注意喚起を行っております。また、バルサルタン製剤服用による発がんリスクについて公表されており、現時点で、それ以上の追加の安全対策措置は行っておりません。
 海外の対応状況をまとめたものを資料2-4として添付しておりますので、ご覧いただければと思います。
 「5 その他の医薬品への影響」でございますが、海外ではHuahai以外の製造所におきましても、Tianyuなど幾つかの製造所で製造された原薬においてNDMAが検出されたことを受けまして、当該原薬を使用している製剤の回収が行われている国がございます。我が国では、Tianyuで製造された原薬を使用している製剤がございますが、国衛研や原薬の国内管理人であるコーア商事株式会社におきまして分析を行っていただいたところ、NDMAは検出されなかったという結果になっております。
 また、2でお示ししました推定原因を踏まえまして、国内全てのバルサルタン製剤の製造方法を確認しまして、NDMAが検出された方法と比較しましても、上記以外のバルサルタン製剤についてはNDMA生成の可能性は相当低いと考えてられております。
 「6 今後の対応(案)」でございますが、バルサルタン錠「AA」を服用された方に対しまして、服用による健康影響評価の結果について、必要に応じ情報提供がなされるようにしておくこととしてはどうか。あすか製薬から医療関係者に対しまして、以下の内容、すなわちバルサルタン錠「AA」は自主回収が終了し、市場には流通していないこと。最大用量の160mg錠を販売期間の4年間服用したときの発がんリスクは1万5,000人から3万人に1人が生涯その暴露により過剰にがんを発生する程度のリスクに相当すること。一般的に2人に1人は生涯にがんに罹患する可能性があること。より低用量のバルサルタン錠「AA」を服用している場合や服用期間が短い場合はリスクが低くなる、ということを文書にて周知してはどうかと考えております。
 「その他の参考情報」としまして、資料2-5に文献を添付してございますが、Huahai社製のバルサルタン原薬を使用した製剤の服用患者と、それを服用していない者を比較したコホート研究がデンマークで行われております。結論としましては、がん全般を対象としましたリスクの差は見られなかったとされています。また、著者は長期の発がんリスクを評価するためには、より長期の追跡期間が必要であるとも述べられております。
 資料2-1は以上でございます。
 一番下に当日配付資料1と当日配付資料2を添付してございますので、そちらをご覧ください。
 当日配付資料1「あすか製薬株式会社が自主回収を行ったバルサルタン錠『AA』の原薬から新たに別の発がん性物質が検出された件について」でございます。
 つい先日、9月13日に、EMA、FDA、カナダ保健省がHuahaiで製造されたバルサルタン原薬の一部のロットにおきまして、発がん性があるとされるN-ニトロソジエチルアミン(NDEA)が検出された旨、公表されました。
 我が国ではHuahaiが製造するバルサルタン原薬を使用している製剤は、あすか製薬のバルサルタン錠「AA」のみとなっております。
 厚生労働省では、あすか製薬に対して、全ての原薬ロットにおいてNDEAの分析を行うよう指示しておりまして、その結果、これまで同社が使用した原薬の9ロット中5ロットにおきましてNDEAが検出されております。この資料の中に一覧表として書いております。
 なお、バルサルタン錠「AA」は既に回収が終了し、現在、市場には流通しておりません。
 下のほうにNDEAの毒性情報も記載してございますので、御参照いただければと思います。
 簡単でございますが、以上でございます。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 本件に関しましては、リスク評価を、国立医薬品食品衛生研究所の広瀬先生が実際に解析をしていただいたと伺っておりますので、今日、それに関しまして御説明とコメント等をいただきたいと思っています。あわせて、NDMAに加えまして、発がん性があるNDEAも検出されたということですので、既に行われましたリスク評価への影響についても御意見をいただけますと幸いです。
 広瀬先生、どうぞよろしくお願いします。
○広瀬参考人 バルサルタンの原薬中に認められたニトロソジメチルアミンのリスクについて、資料2-2は詳細過ぎるかもしれませんけれども、簡単に概略を説明させていただきます。
 NDMAは、よく知られたニトロソ化合物で、有名な発がん物質であります。産業用そのものとしてはもうつくられていないと思いますが、試薬等ではよく使われる実験試薬であります。この物質は、いろいろな化学反応の副生成物として生成する可能性があるということが知られています。今回も、原薬の製造過程の中で発生したものと考えられているところです。
 一方では、主にいろいろな産業の汚染物質の環境への排出であるとか、あるいは食品でも、魚と窒素の多い野菜類を同時に摂取することでごく微量できることが知られているということで多少関心のあるところで、実は古くから発がん性についてはかなり詳しく研究されてきたところになります。
 毒性については、典型的なニトロソ化合物で、メチル化あるいはDNAをアルキル化することによって発がん性が起きることが知られているわけですけれども、その詳細な解明については2ページ目の「NDMAの発がんリスク評価」のところに書いてあります。こういった発がん物質については、環境汚染物質も、多くの発がん性物質もそうなのですけれども、DNAの障害がごく微量な濃度でも起きるといった仮定に立ちまして、いろいろな基準値、規制値等が決められているところであります。
 そのリスクを計算するために、ヒトのデータがあるのが理想ではありますけれども、こういう環境汚染物質あるいは工業用の物質については医薬品のようなヒトのデータがありませんので、現にこの物質についてはメカニズムから明らかに国際がん研究機関では発がん性物質と、グループ2Aが「おそらく」という意味は、ヒトでのデータがないのでこういったランクづけになっているということですけれども、メカニズムから明確な発がん性がありそうだという物質になっているところであります。
 そういった物質につきましては、毒性発現に関して閾値のない毒性評価が行われまして、低用量への数理モデルを用いた外挿によってリスクを計算することが通常行われます。この物質は有名な物質ということもありまして、通常このような実験は行わないのですけれども、実に15群の、対象群を含めると雌雄各240匹の大規模な実験が行われて、リスクの算定のもととなる研究が行われています。この実験をもとにリスクの解析を行いました。
 話が少し細かくなって恐縮なのですけれども、こういった動物実験から低用量の外挿をする手法は、最近、医薬品中のDNA反応性不純物の評価ガイドラインが制定されまして、そのガイドラインの中で、動物実験あるいはそういった実験結果を用いたリスクの評価のやり方が幾つか知られているところです。
 1つは、TD50と呼ばれる、腫瘍が50%発生する用量から直線外挿を行って、10万分の1あるいは100万分の1のリスクを計算して、不純物の規格に使用しようといったリスク評価が行う方法です。一方、この中でも記載されていますし、WHOあるいは食品の安全の中でも使われている方法の一つとして、10%のベンチマーク用量、これは10%の発がんリスクを数理モデルで外挿いたしまして、95%の信頼下限値を求めます。この値から同じく直線外挿で低用量でのリスクを計算するという、2つの大きな手法があることが知られています。今回のリスク評価では、この2つの手法を用いまして計算をいたしました。
 TD50を使う手法で計算いたしますと、NDMAの50%の発がんを引き起こす濃度は、2ページの下に書いてありますけれども、95.9µg/kg/day、体重当たり、1日当たり95.9µgの濃度を投与すると50%発がんするという用量であります。これは一生涯暴露したときの50%発がんリスクなので、今回の場合、この発がん物質が検出されたバルサルタン錠は最大4年間服用しているリスクがあるといったところを加味いたしまして、しかも、160mgと最も高濃度で含まれる錠剤を毎日摂取したといったことでリスクを計算すると、6.4×10-5、10万人に6人、言いかえますと、1.5万人に1人ぐらいのリスクになるという推定になるということが計算できました。
 もう一方のリスク評価の方法で、BMDL10を用いたリスク評価が3ページの上に書いてありますけれども、この手法を用いて行いますと、同じような仮定をすると、3×10-5、10万人に3人、3万人に1人というリスクが計算できたわけです。
 後は別の評価法として、NDMAは発がん性として肝臓がん、しかも、肝臓にも複数の種類を引き起こすわけですけれども、そういったについてBMDL10を求めて複合的発がん性を少し加味した計算も試しに行いました。その値は5×10-5と、先ほどの2つのリスク計算の間に入った結果となりました。
 いずれにいたしましても、今回のNDMAの混入による160mgを4年間毎日服用したときのリスクは、1万5,000人から3万人に1人が生涯その暴露で過剰に発がんするリスクがあるということが計算できたわけです。
 追加といたしまして、新たに調べましたNDEA(N-ニトロソジエチルアミン)につきましても、結果は示してありませんけれども、簡単に試算いたしましたことを説明いたします。
 当日配付資料1にありますけれども、この物質についてのリスクを計算する上でキーになるデータは、一番下に書いてありますが、ラットの毒性データからTD50の値は0.0265mg/kg/dayです。これは先ほどのNDMAの値に比べると約3~4分の1低い値ということです。逆に言いますと、3~4倍ぐらいNDMAより強い発がん物質であることがわかりました。
 ただ、検出量を見ていただきますとわかりますように、NDMAに比べて、10分の1、100分の1以下の検出量であるといったこともありまして、これを加味した計算を資料2-2で用いたものと同様のことを行ってみますと、100万人に1人ぐらいのリスク増加するにすぎないということが計算上わかりました。詳細は示していませんが、最終的には両方暴露したリスクを評価するわけですけれども、1万5,000人から3万人に1人といったリスクの試算にはNDEAの混入のインパクトはそれほどないと考えられます。
 以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
 NDEAも新たに検出されましたけれども、位が1桁か2桁違うので、NDMAのがんのリスクを大きく動かすものではないと理解してよろしいですね。
○広瀬参考人 そのように思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 このリスク評価について、委員の先生方の御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。質問でも結構です。
 柿崎委員、どうぞ。
○柿崎委員 資料2-1の2ページ目の「5 その他の医薬品への影響」のところなのですけれども、Huahai以外の会社で、Tianyu、Hetero Labs、Zhuhaiとかあります。これは名前から見ると、みんな中国の会社みたいな感じがするのですけれども、中国の会社なのでしょうか。
○事務局 TianyuとRunduPharmaceuticalは中国の会社になります。Hetero Labsはインドの会社になります。
○柿崎委員 バルサルタンの原末は、中国でつくられているケースが多いのですか。ほかの国は余りつくっていないのですか。
○事務局 今すぐわからないので、お答えできないです。
○柿崎委員 Tianyuという会社でつくった原末からはNDMAは出なかったということなのですが、NDEAも出なかったのでしょうか。
○事務局 資料2-1の2ページ目の5で書かれている輸入元のコーア商事様でNDEAについても同様に分析をしていただいておりまして、結果としては検出されなかったという報告をいただいております。
○柿崎委員 バルサルタンのジェネリックは何社ぐらいから発売されているのですか。これはかなりの数がありますよね。原末は各会社によって仕入れ先が違うわけですか。
 中国は原末の単価が安いとか、そういうことはあるのですか。
○監視指導・麻薬対策課長 経済的なことは余りあれなのですけれども、そういう面もあるのかもしれません。
 全般的には海外で原薬をつくられているケースもかなりの数はあるだろうと推測しております。国内での生産もあると理解しています。
○五十嵐座長 ほかはいかがですか。
 伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 今の柿崎委員の御質問にもあったのですけれども、患者としては、ほかのバルサルタンを飲んでいる方とか、あるいはバルサルタン以外の薬でも、もしこの製造所でつくっているものがあったらどうかとか、いろいろ不安になるのではないかなと思うのですけれども、そういった情報については、今回、患者向けに情報発信するとか、何かそういう手段は考えられないのでしょうか。
○事務局 今回、NDMAが検出された原因が、バルサルタンの合成過程固有によるものでございますので、少なくともこれまであすか製薬のバルサルタン錠「AA」を服用された方につきましては、医師、薬剤師の方から、今回の結果を適切に情報提供されるような形で、あすか製薬様からお知らせ文書なりを発出していただくという対応案を示しているところです。
○伊藤委員 それ以外のバルサルタンを飲んでいる方とか、この製造所はバルサルタンだけなのかということが一般の方も心配になるかなという気がしたのですけれども、そういったことに向けた対応は難しいのでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長 今の御質問に関して、現在問題になっているNDMAもNDEAも検出されたHuahaiについては、うちでは、バルサルタンのこの製剤だけなのです。しかも、発売期間も非常に短くて4年間で、回収も終わり、薬価削除、承認整理までしてしまっているという状況下であります。そういう意味では、服用している方の特定がどこまでできるのかということもありますし、今、広瀬先生からお話があったように、実際に使ったと追跡されるナショナルデータベースからの推計では1万9,000人程度で、計算的にはこの中でお一人出るかどうかということになっているわけでございます。
 そういったケースに関しまして、患者個々をどこまで追跡してやっていくのかということはいろいろ議論があるだろうと思います。また、そこら辺はリスクコミュニケーションの御専門の堀口先生にも少し御意見をいただきたいと思いますけれども、私どもとしては、今回のケースに関しまして、まずはあすか製薬のものを処方された医師、薬剤師に、何かのときに対応できるように情報提供することが第一であろうということで案をつくらせていただいたということでございます。それ以上の措置が本当に必要かどうかは、また御議論いただければと思います。
○伊藤委員 その製造所でつくられているのは、このバルサルタンだけだという情報を提供するのはまずいのでしょうか。
○事務局 今のところ、NDMAが検出されたのはこの製剤だけでございますので、その辺はどこまでやるかという問題がありますけれども、現時点でわかった情報のみ注意喚起させていただくということでどうかとは考えております。
○伊藤委員 わかりました。
 安心していただく手段としては、例えばFDAの対応状況の最後のほうにあるのですけれども、食品にこんなに含まれているんだとか、そういう情報を提供いたしますと何となく安心するのかなという気もしたのですけれども、いかがでしょうか。
○五十嵐座長 堀口参考人、どうぞ。
○堀口参考人 伝え方について、私見を少し述べさせていただきます。
 先ほどの議題1を聞いていましても、添付文書の文言を医師がどのように解釈するのかというお話だったのかなと思っております。議題2に関しましては、バルサルタンを服用している方々が、どのように認識するのかなということが課題だと私の頭の中では整理しております。
 バルサルタンという用語を、例えばツイッター上で検索いたしますと、最初に出てくるのは論文撤回の、論文の不正のものが出てきておりまして、あすか製薬という名称を一緒に検索しない限り、回収の話が、今現在、ほとんど上がってこない状況になっております。
 いろいろ解釈の方法はありますけれども、どう解釈するか。
 7月に厚生労働省から情報提供されたときに、1カ月以上たっていて、そのときニュースになっているのは事実ですけれども、現在、非常に混乱している状況を病院内でもし感じていないのであれば、厚生労働省の最初の情報提供はうまくいったのではないかと思います。ただ、今回、NDMAだけでなく、NDEAとか、追加の情報が出てきておりますので、既に回収は終わっておりますけれども、あすか製薬の製品を服用されていた方々に対して正確な状況を伝えることが重要なのではないかと思います。
 資料2-1の3ページに「6 今後の対応(案)」がありますが、ツイッター上の情報などを見ましても、今、非常に混乱しているという状況でなければ、情報提供のツールなり、方法なり、内容を専門家の側で固めておくことが重要かなと思います。その内容に関しまして、4つのポチが書いてあるのだと思うのですけれども、先ほど広瀬先生からもリスク評価の結果を発表していただきましたが、この4つのポチの中で足りない情報は、現状としてはあすか製薬のもののみ認められているという内容であったり、「1万9000人が服用していて」という、日本人の服用している方の総数が抜けているので、それが書いていなければ1億2000万人分の1万5,000人かなと思ってしまうので、N数が抜けている。先ほど伊藤委員から、そもそも食品の化学物質に関するお話がありましたが、食品の中でNDMAなどを情報提供したことが、私の20年ほどの中では記憶にございません。また、現在、労働衛生の分野においてもこれは使われていないということなので、産業衛生の分野でも情報提供しているものではないとすれば、やはりターゲットを絞って情報提供をしたほうが社会的混乱を招かないのではないかと考えます。
 現在、食品の中で生成されてしまって、これまで私たちが摂食してしまっているものとしては、アクリルアミドについて、ここ数年、情報提供しておりますけれども、アクリルアミドに関しましても、非常に不安とか、質問が多々押し寄せているとか、そういうことはほとんど聞かれておりません。また、リスクを比較することにおいては、余り違うもので比較をしないほうがいいと思います。どのようなものと比較するかというランキングの論文等もありますので、比較につきましては、情報提供を準備するときに、再度、詳細に御検討されるのがよろしいかと思います。
 以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございました。
 委員の先生方、ほかにはいかがですか。よろしいですか。
 舟越委員、どうぞ。
○舟越委員 今回のは、合成過程でやむを得なく出てしまったということで、薬剤師が一番気になっているのは、ジェネリックの使用推進がある中で、たまたまこの企業の合成過程で、ジェネリックとして別の合成過程を踏んだら偶発的に出てしまったものだということが、このお知らせ文書が医療関係者に向けてであれば、医師、薬剤師、看護師を含めてこの文書を見るわけなので、そのときに、やはりジェネリックはというようなことにだけはならないでいただきたいなと思います。これが問題のあるつくり方をしていたというのであれば話は別ですけれども、その辺は文書の中で十分表現していただけたらなと思っています。
 先ほどの食品のことは、現場で薬剤師でやっているときには、ランキングは、今、私は知り得ていないのですけれども、テレビとか、そういったメディアでは、放射線も含めて、食品とかいろいろなことに、マスメディアでは例えで報じられるので、スポットで来る患者からはそういったことを聞かれたり、御家族から聞かれたときに、例えの部分があると安心かなと思います。このリスクだと、ポチの2つ目と3つ目が余りにも極端です。1万9,000人だけが飲んだから基本的にこれぐらいのリスクですよ、あとは、がんは2人に1人はなりますよというと、この2つを読み上げたときに随分極端かなと思ったので、そこだけ印象としてコメントさせていただきました。
 以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 資料2-1は、医療関係者に対しての周知ということですね。先ほどの御指摘には、一般の方に対しての御指摘も含まれていたと理解しました。
○堀口参考人 一般の人というか、一般の人がいて、服用の人がいて、その人への情報提供は薬剤師が一番かなと思っています。生活習慣病の一環なので、多分、患者は薬剤師に御相談をされる。そうしたときに、薬剤師が説明しやすいようなものを、例えば厚生労働省から、こういう説明が好ましいとか、このような言葉は使わないで説明してほしいということを御提示するのがよろしいかなと思います。
 先生におっしゃっていただいたとおり、がんは2人に1人というのと、この薬剤に関してのものはちょっと違うのかなとは思います。なので、ここは少し整理をしたほうがよろしいかと思います。
○五十嵐座長 いろいろ御意見をいただいていますけれども、委員の先生方から何かほかにありますか。
 リスク評価についての議論をまとめたいと思いますが、よろしいですか。
 NDMA、NDEAは合成過程で生じたと推定されています。バルサルタン錠「AA」は、専門用語では承認整理とおっしゃっていましたけれども、薬価削除もされているのですが、既に1万9,000人の方たちが服用している可能性があるということで、この方たちへの情報提供を行うことが必要ではないかという御意見だと思います。
 バルサルタン錠「AA」の服用による、我が国における最大のリスクを計算すると、最もNDMA濃度の高い原薬から製造された160mg錠を4年間服用した場合の発がんのリスクは、1万5,000人から3万人に1人が生涯、この「生涯」というのも70年だそうですので、これでいいのかどうかはまた考えなければいけないかもしれませんが、生涯を70年とした場合には、暴露により過剰にがんが発症する程度であるというリスク評価をいただいております。
 NDEAが検出されたということも新たに情報提供されましたけれども、そのリスクは低いということなので、このリスクを加えたとしても最終的な発がんのリスクの評価はほとんど変わらないと広瀬先生から御説明をいただきました。
 バルサルタン錠「AA」以外のバルサルタン錠についても、NDMA生成の可能性を評価して、これも検査をされたそうですけれども、NDMAの生成の可能性は相当程度低いという御報告であったと思います。
 海外のデータもお示しいただきましたけれども、これから先、同じような研究が出てくるかもしれませんので、恐らくこれからも諸外国と連携することが必要ではないかと思います。
 リスクの評価として、そのようにまとめたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 堀口先生からリスクコミュニケーションの観点から、特に資料2-1の3ページの医療関係者に対する周知内容を少し考えていただきたいという御意見をいただきました。
 ここに書かれていないのは、今回、あすか製薬の製品のみが問題であるという点と、我が国で既にこれを服用した人が最大で1万9,000人ぐらいであるということも書いていただきたい。NDEAの影響も考えたけれども、これはほとんど無視してもいいだろうという御意見をいただいています。
 一方、堀口先生がおっしゃるのは、食品中のNDMA濃度を参考として入れることは必ずしも必要ないかもしれないという御意見でしたけれども、舟越委員からは、特に患者から聞かれた場合に比較対象になる可能性があるので入れたほうがいいのではないかという御意見をいただきました。
 今回の件で、ジェネリック全体が非常に危険であるという誤解が広まらないような配慮もしていただきたいという御指摘をいただいたと思います。
 こういうまとめ方にしたいのですが、堀口先生、何か追加でありますか。
○堀口参考人 追加としては、「大丈夫です」という言葉を使うと非常に誤解されてしまいますので、薬剤師が説明するときに使ってしまうと誤解をしてしまうような単語とか、用語を、この言葉は使わないで説明してねという注意事項が加わっていればいいのではないかと思います。
○五十嵐座長 事務局、それについて何か御意見ありますか。
○監視指導・麻薬対策課長 どちらにしても「6 今後の対応(案)」について、今、座長にまとめていただきまして、堀口参考人からも御意見をいただきましたので、また、文章の中で工夫していきたいと思います。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 それでは、この議論はこれでよろしいでしょうか。何か特別なことはありますか。
 では、あすか製薬から医療関係者に対して、バルサルタン錠「AA」服用による健康影響についての文書をつくっていただきまして、必要に応じて医療関係者から患者へ、これは堀口先生の御意見だと薬剤師にやってもらうのがいいという御指摘をいただきましたけれども、適切な医療情報が提供されるようにしていただきたいと思います。文章に関しては、少し考えていただく。
 今後の手続について、事務局から御説明お願いいたします。
○事務局 御議論いただき、ありがとうございました。
 ただいまの御議論を踏まえまして、あすか製薬に対して、医療関係者向けの文書を作成し、配布するよう指示します。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
 今日の予定はこれで終了となりますけれども、何か追加事項はございますか。
 事務局、どうぞ。
○監視指導・麻薬対策課長 今日のおまとめの関係で、基本的にはあすか製薬を介して指示をしようと思うのですが、先ほど薬剤師のお話もございましたけれども、行政からも関係者への必要な連絡などをしっかりさせていただきたいなと思います。
○五十嵐座長 ぜひお願いします。
 よろしいですか。
 それでは、今日の調査会はこれで終了します。どうもありがとうございました。
 

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