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2018年6月26日 平成30年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局 医薬安全対策課

○日時

平成30年6月26日(火)15:00~

 

○場所

AP新橋虎ノ門 会議室A
(東京都港区西新橋1丁目6番15号 NS虎ノ門ビル 11階)

○議事

(1)免疫抑制剤の使用上の注意の改訂について
(2)TERMS及びRevMateの改訂について

 

 

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、平成30年度第3回「医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。
本日、御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中、お集まりをいただきましてありがとうございます。
本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いをいたします。
傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧騒に当たる行為はしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。
本日の委員の出欠状況でございますが、全ての委員に御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立することを始めに御報告申し上げます。
今回、参考人といたしまして、日本移植学会より藤田保健衛生大学医学部移植再生医学主任教授の剣持先生、国立病院機構相模原病院薬剤部主任薬剤師の中島先生、国立研究開発法人国立生育医療研究センター周産期・母性診療センター主任副センター長、妊娠と薬情報センター長の村島先生に御出席をいただいてございます。どうぞよろしくお願いをいたします。
それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○医薬安全対策課長 以後の議事進行は、五十嵐座長にお願いをいたします。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
早速、議事をこれから始めます。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。
○課長補佐 それでは、議事参加について御報告いたします。
本日、御出席の委員及び参考人の先生方の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金、契約金などの受け取り状況を報告いたします。
本日の議題に関して、競合品目・競合企業については、事前にリストを各委員と参考人にお送りして確認をいただいておりますが、遠藤委員よりセルジーン株式会社及び中外製薬株式会社から50万円以下の受け取り、柿崎委員よりブリストル・マイヤーズスクイブから500万円を超える受け取り、アステラス製薬株式会社から50万円以下の受け取り、望月委員より田辺三菱製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、中外製薬株式会社から50万円以下の受け取り、剣持参考人よりアステラス製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、中外製薬株式会社から50万円を超える500万円以下の受け取り、旭化成ファーマ株式会社から50万円以下の受け取り、中島参考人より田辺三菱製薬株式会社から50万円以下の受け取り、村島参考人よりアステラス製薬株式会社、田辺三菱製薬株式会社、中外製薬株式会社から50万円を超える500万円以下の受け取り、旭化成ファーマ株式会社から50万円以下の受け取りと御申告をいただいたほかは受け取りの申告がございませんでした。
よって、柿崎委員におかれましては、議題(2)のTERMS及びRevMateの改訂に係る審議において、審議に御参加いただくことはできませんので、議題(1)が終了しましたら御退席のほどをよろしくお願いいたします。
そのほかの委員におかれまして、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても意見を述べることができます。これらの申告についてはホームページで公表させていただきます。
続きまして、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、署名を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
また、今回の議題(1)の「免疫抑制剤の使用上の注意の改訂について」は、厚生労働省から生育医療センターへの委託事業に基づくものであるため、公平性の観点から本議題の進行につきましては、生育医療センター総長の五十嵐先生にかわり、遠藤先生にお願いしたいと思います。五十嵐先生は本議題について意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを報告いたします。
事務局からの報告は以上です。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
今の御説明につきまして、特に何か御質問等はございますでしょうか。審議参加に関する遵守事項については御了解いただけたでしょうか。
(「はい」と声あり)
○五十嵐座長 ありがとうございます。
では、御了解いただけましたので、競合品目・競合企業の妥当性、審議の進行を含めて、全て御了解があったとしたいと思います。
続いて、事務局からきょうの配付資料の確認をお願いしたいと思います。
○課長補佐 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
お手元の議事次第をめくっていただいて、「配布資料一覧」をごらんください。これに沿って説明させていただきます。
資料1-1 免疫抑制剤の使用上の注意の改訂について(概要)
資料1-2 タクロリムスの調査結果報告書
資料1-3 シクロスポリンの調査結果報告書
資料1-4 アザチオプリンの調査結果報告書
資料2-1 サリドマイド製剤、レナリドミド製剤及びポマリドミド製剤について
資料2-2 TERMS及びRevMateについて
資料2-3 TERMS及びRevMateの改訂について
資料2-4 TERMS改訂案
資料2-5 RevMate改訂案
資料2-6 パブリックコメントの結果
資料2-7 パブリックコメントの概要
あと、参考資料1、参考資料2、「競合品目・競合企業リスト」となっております。
先生方の机上配付資料で、サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会の平成26年12月の報告書を配付させていただいております。
以上が資料になります。漏れ、落丁等がありましたら御連絡ください。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
皆さん、資料に過不足等はございませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題(1)につきましては、遠藤先生に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○遠藤委員 それでは、議題(1)「免疫抑制剤の使用上の注意の改訂について」に入りたいと思います。
事務局から説明をお願いします。
○医薬安全対策課 それでは、「免疫抑制剤の使用上の注意の改訂について」御説明いたします。
資料1-1を御用意ください。
まず、今回の検討に至った背景、経緯について御説明いたします。
厚生労働省の委託事業として、国立成育医療研究センターでは「妊娠と薬情報センター」事業を実施し、妊婦等の服薬についての相談業務を提供しています。また、平成28年度から、当該センターに蓄積された情報の整理・評価を行い、妊娠等への医薬品投与に関する情報の添付文書への反映を推進する取り組みを行っているところです。
近年、免疫抑制剤による臓器移植患者の長期予後の改善等に伴い、妊娠可能年齢の患者の妊娠中における治療継続が課題となっており、当該センターでの相談件数もタクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリンの免疫抑制剤3剤関係で、平成17年10月以降で295件に上るなど医療上の必要性が指摘されております。
当該免疫抑制剤3剤は、臓器移植における拒絶反応の抑制、膠原病等の自己免疫疾患等に対して適応を有しておりますが、いずれも妊婦、または妊娠している可能性のある婦人は添付文書において禁忌となっております。これらの状況を踏まえ、当該センターの専門家によるワーキンググループにより、国内外の安全性情報の評価・分析に基づき、免疫抑制剤3剤の添付文書における妊婦等への注意喚起について見直しが検討され、報告書が取りまとめられました。
次に、「2.妊娠と薬情報センターのWGでの検討内容」について御説明いたします。
詳細は、後ほど参考人の先生からもコメントをいただけるかと思いますが、ワーキンググループでの評価・分析により、当該免疫抑制剤3剤において、妊婦または妊娠している可能性のある女性に対し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨を注意喚起した上で、禁忌を解除することが適当との結果が得られております。
その根拠としては、以下3点をお示しするとおりです。
まず、動物試験では、過去に催奇形性が報告されておりますが、センターで網羅的に収集し、評価した海外の疫学研究の結果では、免疫抑制剤を投与された妊婦において、胎児の先天奇形の発生率が有意に上昇したという報告はございません。
国内外のガイドライン等において、妊娠中であっても使用可能な医薬品とされていること。
欧米等6カ国の添付文書において、妊婦への投与は基本的に禁忌とされておらず、潜在的有益性が胎児への潜在的危険性を上回る場合にのみ投与できるとされていること。
このようなワーキングでの検討をもとに、PMDAから別紙1~3にお示しするような添付文書の改訂案が提案されております。
改訂箇所としましては、「妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対する禁忌を解除する」。そして、「『妊婦、産婦、授乳婦等への投与』の項において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨の注意喚起を記載する」というものでございます。
資料1-1の別紙1、2~4ページにタクロリムス水和物の改訂案の【禁忌】の項から「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」を削除し、「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項に「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」との注意喚起を追記する改訂案としております。また、これまでは非臨床試験のデータしか記載しておりませんでしたが、最新の治験に基づき、臨床使用におけるデータを追記する改訂案としております。
資料1-1の別紙2、5~6ページは、シクロスポリンの改訂案をお示ししております。改訂内容は、先ほど御説明したタクロリムス水和物と同様のものとなっております。
資料1-1の別紙3、7~8ページは、アザチオプリンの改訂案をお示ししております。さきの2剤と同様の改訂に加え、本剤においては遺伝毒性も有するため、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項において、妊娠する可能性のある女性、パートナーが妊娠する可能性のある男性については、妊娠を避けさせることが望ましい旨を注意喚起する改訂案としております。
資料1-1の1ページの下段、「3.安全対策調査会の論点」の部分を御確認ください。本調査会におきましては、これまで御説明した内容を踏まえ、当該免疫抑制剤3剤について、別紙1~3のとおり添付文書の改訂を行い、製造販売業者に指示してよいか、また、本改訂に伴い、どのような注意喚起が必要かというところについて御審議いただきたいと考えております。
資料1-2から資料1-4については、これまで御説明した内容を薬剤ごとにまとめたものになっておりまして、資料の構成としましては、医薬品・医療機器総合機構による調査結果報告書、ワーキングの報告書、対象薬剤の添付文書という順となっております。
御説明は以上となります。
○遠藤委員 ありがとうございます。
本件につきましては、妊婦と薬情報センターのワーキンググループより参考人として、中島先生と村島先生に御出席いただいておりますので、お二方よりワーキングでの検討内容について補足で御説明をいただけますでしょうか。よろしくお願いします。
○中島参考人 それでは、私のほうから今回の資料について、補足の説明をしたいと思います。
まず、タクロリムスについてになります。
資料1-2、19ページの下の「3.海外添付文書における記載状況」というのがありまして、海外でどのような添付文書の記載になっているのかを資料でまとめております。こちらに記載しておりますとおり本薬を含有する経口剤、注射剤及び軟こう剤において、海外の6カ国を取り上げました。米国、英国、ドイツ、フランス、カナダ、オーストラリアのほうで確認した結果ですけれども、妊婦への投与が「禁忌」となっていることはなかったという形になっております。
経口剤と注射剤の添付文書に関して、この規制以外に書かれていることとしまして、タクロリムスは胎盤を通過するということ。妊娠中にタクロリムスを使用していた場合に、新生児に高カリウム血症や腎機能障害などと関連するという記載が書かれている。だから、潜在的なベネフィットが胎児への潜在的リスクよりも大きい場合にのみ使用すべきなどということが書かれています。
19ページの下のところに書いてありますけれども、「新生児における高カリウム血症、妊娠37週未満の早産のリスクがある」などという記載がある添付文書もございます。
20ページの上のところにも同じように書いてありまして、こちらはオーストラリアの添付文書のことが記載されているのですけれども、やはり同様に腎機能障害と関連するということなどが書かれております。
20ページの下のところにあります「5.臨床使用に関する報告」というところは、本薬と妊娠に関する公表文献について、システマチック・レビューを行った結果を記載してございます。こちらは細かく検索用データベースとして使ったもの、検索語などが記載されておりますけれども、抽出した公表文献が2,891件ありまして、その中から除外基準に従って除外し、68件を選定し、さらにその中から内容を限定して本剤の資料としております。胎盤透過性についてということが記載されているということ。
21ページの上のところですけれども、胎盤透過性のことも書かれています。
次の段には、先天奇形は認められなかったとの複数の報告があるということを記載しております。
その真ん中あたりになるのですけれども、移植領域以外においては、妊娠中のループス腎炎に対する緩解維持または増悪治療のためにタクロリムスを使用した9例においては、全例が生産で先天異常は認められず、出生時体重も妊娠期間に相当していたと報告されているということが記載されておりまして、先天奇形については大きく報告されたものはないような形となっております。
その下になるのですけれども、「評価例数は少ないものの、児に先天奇形以外の有害事象が認められた報告として」ということで、血清カリウム値の上昇などが記載されています。
資料としてまとめているのは、軟こう剤、点眼剤などについて「妊婦への使用ではないものの」ということで、一般の方に使われた場合の血中濃度のデータなどが示されております。
タクロリムスについては以上になります。
資料1-3「シクロスポリンの使用上の注意の改訂について」の資料になります。
15ページ、下の段の「3.海外添付文書における記載状況」となっております。こちらも調べておりますけれども、先ほどと同じ6カ国を調べた中で、同様に妊婦への投与は「禁忌」とはされていないとなっております。
そこから3行ぐらい下になるのですけれども、早産のリスクが高まるなどということが米国の添付文書などに記載されております。その後、英国、ドイツ、フランスの添付文書にも、37週未満の早産のリスクがあるということで、早産のリスクについての記載が確認されるようになっております。
17ページ、上の段が「5.臨床使用に関する報告」ということで、本剤に関する公表文献を調べて、システマチック・レビューを行った結果が記載されております。抽出した公表文献は1万603件になっておりますけれども、この中から除外基準に従って除外し、選定されたものが107件となっております。
本剤は、やはり胎盤通過性があるということが記載されていたというまとめになっております。
妊娠転帰または児への影響に関する臨床報告については、臓器移植後妊娠例を対象としたものを中心に、先天奇形は認められなかったとする複数の報告がございます。そのほか、移植の後の登録機関になるのですけれども、こういったところの集計結果からさまざまなデータが評価されております。流産の割合、人工妊娠中絶の割合、子宮外妊娠の割合など、このような報告となっております。
シクロスポリンについては以上となります。
資料1-4をごらんいただきたいと思います。アザチオプリンの使用上の注意に関するものになります。
9ページ、下の段の「3.海外添付文書における記載状況」となっております。同様に6カ国添付文書を調べておりますけれども、すぐ書いてあるところですが、「米国においては、妊娠中の関節リウマチ患者への投与は『禁忌』とされているが、腎移植における拒絶反応の予防に対しては、『妊娠中の女性に投与すると、胎児に害を及ぼすことがある』『慎重にリスクとベネフィットを勘案することなく、妊娠中に投与すべきではない』」という形でありまして、これはリスクベネフィットを慎重に勘案することが重要と我々は考えて資料としております。
10ページにも、添付文書の記載のところが書いてあります。上から2段目のところで、イギリスのところでも「『禁忌』の項に、『妊娠している可能性のある患者、又は妊娠する可能性のある患者には、慎重にリスクとベネフィットを勘案することなく、イムランによる治療を開始すべきではない』」などのリスクベネフィットを慎重に検討する旨が記載されているという形になっております。そのほか、この中には血液像の変化などについての記載もございます。
11ページの右下、「5.臨床使用に関する報告」のところをごらんいただきたいと思います。ほかの薬剤と同様に本薬剤の妊娠に関する公表文献について、システマチック・レビューを行っております。抽出した公表文献が6,558件あったのですけれども、その中から除外しまして、最終的には98件選定して評価を行っております。
まず、妊娠中にアザチオプリンを使用していた場合に胎盤通過性が認められたようなデータが記載されております。
それから、妊娠転帰または児への影響に関する臨床報告ということで、アメリカ、英国、フランス、イスラエルなどのデータが記載されている形となっております。児の奇形については有意な関連が認められなかったという形になっております。しかしながら、全体として、早産や体重に関するものなどのリスクについて、コメントがあるものも散見されるような形となっておりました。
12ページの下の段落になるのですけれども、評価例数が少ないものとして、児に有害事象が認められた報告としてということで、幾つかの認められた有害事象が記載となっております。
そのほか、アザチオプリンに関しては13ページの右側、上から2番目の段、発達についてなどの評価も行われておりまして、SLEの妊婦から出生した児のうち特別な教育支援を有した率が高かったとするような研究があります。一方で、IQについて評価したような研究があるのですけれども、こちらについては大きな影響が認められなかったとする報告もありまして、これはさまざまな御報告があるという形になっております。
以上、たくさんの資料があったのですけれども、ここまでとさせていただきたいと思います。
○遠藤委員 それでは、村島先生、お願いします。
○村島参考人 私からは、臨床的有用性につきまして、国内外のガイドライン並びに妊娠と薬情報センターの相談業務経験をもとに説明いたします。
まず、この3剤につきましては、日本産婦人科学会並びに日本産婦人科医会が編集しています産科ガイドラインにおいて移植後、並びに他の医薬品で治療効果が不十分な自己免疫疾患及び類縁疾患においては、妊娠中であっても投与される医薬品として推奨されています。なお、先ほど事務局の説明に補足させていただきますと、なぜ、このガイドラインに移植後以外の自己免疫疾患及びその類縁疾患についても言及されているのか、という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思いますけれども、妊娠と薬情報センターの相談事例を見ますと、その多くは自己免疫疾患及びその類縁疾患となります。多分移植後の患者さんは既に当然のものとして、相談に及ばないのだろうということを現場からは推測しています。
それを前置きにしまして、各薬剤の臨床的有用性について御説明いたします。
まず、タクロリムスについてですが、資料1-2の21ページにガイドライン、並びに22ページの下段のほうに「8.禁忌解除の妥当性」について書いてありますが、かいつまんで御説明します。
本剤は移植後、SLE、炎症性腸疾患、重症筋無力症などに用いられます。移植後はもちろんのこと、自己免疫疾患においても妊娠中に緩解状態を維持しないと、母体のみならず児への悪影響も必発であり、国内外のガイドラインにおいて、妊娠中の使用は推奨あるいは許容されるとなっています。また、先ほどの中島参考人からの説明にもありましたように、ヒトでは明らかな先天異常が示されていないことから禁忌解除は妥当と考えます。もちろんリスクベネフィットを十分に勘案すべきなのは言うまでもございません。
シクロスポリンについてですが、資料1-3の17ページの下段にガイドライン、18ページの下段に「8.禁忌解除の妥当性」について記載してあります。本剤は移植後以外には、ベーチェット、乾癬、再生不良性貧血、ネフローゼ症候群に用いられます。これらにおいても、タクロリムスと同様の理由で禁忌解除は妥当と考えます。
アザチオプリンですが、資料1-4の13ページ下段にガイドライン、14ページの下段に「8.禁忌解除の妥当性」について記載してありますが、本剤は移植後以外には、炎症性腸疾患、SLEなどに用いられます。これらの疾患においても、前2剤と同様の理由で禁忌解除は妥当と考えます。
最後に、多くの自己免疫疾患を対象としていますリウマチ学会の立場から意見を述べさせていただきます。自己免疫疾患の多くは、これまでステロイド剤を中心とした治療が主流でしたが、最近では、その副作用を最小化するために免疫抑制剤を併用しながらステロイド剤を極力減らす治療方法がとられつつあります。すなわち緩解状態の患者の多くは、少量のステロイド剤と免疫抑制剤とで治療されていることになります。このような症例が妊娠後も緩解を維持するためには、そのままの治療方法を継続する。すなわち免疫抑制剤も継続することが最善の治療となります。また、妊娠中のステロイド剤の使用は、妊娠糖尿病、妊娠高血圧症候群、前期破水などのリスクを上昇させると言われており、妊娠中であっても免疫抑制剤等を併用して、ステロイド剤をなるべく減らしたほうがよいとのエキスパートオピニオンが出されてもいます。
先ほど早産が多いとか、幾つか赤ちゃんの発達がというレビューの結果が示されましたけれども、多分これは剣持先生からの御説明もあると思いますが、そもそもSLEを初めとする自己免疫疾患の類いは赤ちゃんのお腹の中での成長がちょっとおくれるとか、早産が多い、基礎疾患にそれが引っ張られている可能性も否定できませんので、そういうことも含めまして、以上によりまして、移植後以外の自己免疫疾患及びその類縁疾患の適応症につきましても、妊娠中において、これら3剤の禁忌が解除され、有益性投与となることにつついて賛成いたします。
以上です。
○遠藤委員 ありがとうございます。
続いて、使用側のお立場として、移植学会より剣持先生から御意見をいただけますでしょうか。
○剣持参考人 移植学会を代表しまして、意見を述べたいと思いますが、まず、この改訂について、以前から移植学会としては要望しておりまして、大変すばらしいことだと思います。
一つは、ほかの妊婦への投与と違いまして、移植患者妊婦への投与というのは、ここでは胎児への影響というものが中心になっていますけれども、母体というレシピエント、移植臓器の3つにどういう影響があるかというのを考えて、どうしても胎児への影響が少しでもある場合には禁忌となりますと、妊娠したレシピエントに対して免疫抑制剤を投与しなければどうなるかというと、移植臓器が廃絶をいたしますので、結果的には妊娠も継続できないということになります。
現状では、そういうことはなくて、既に腎移植でも、日本で500例あるいは600例以上の妊娠、出産がありますし、肝臓でも35例以上がございます。私の専門の膵臓でも、もう4例の妊娠、出産例がありましてプロトコールもできております。したがって、もちろんリスクがあるということは承知しておりますけれども、そのリスクベネフィットを考えて投与するということは非常に妥当であると思います。
それから、患者のニーズが非常に大きいということがあります。実は透析患者さんよりも腎移植患者さんのほうが流産率は明らかに低いということがありまして、実は患者さんは知っていまして、透析患者さんは妊娠、出産をするために腎移植をするということも今起こっておりますので、ここで免疫抑制剤が禁忌になっておりますと、そういうことが現実的にできないということになります。我々移植医はわかるのですけれども、例えばその患者さんがほかの病院に行ったときに、これは禁忌薬だということになりますと、非常に不安が大きくなるということで、現実に即した改訂ではないかなと考えております。
先ほど、村島参考人が言った低出生体重児とか早産が多いということですが、これは移植関連で見ますと、どうしても移植患者さんで特殊な患者さん、ちょっとリスクの高い妊娠ということになりまして、帝王切開の率が非常に高いのです。ある程度帝王切開ができるというところになりますと自然分娩でもできるのですけれども、どうしても今のところは帝王切開で早く児を出してしまうというところが多いので、低出生体重とか早産が多いというところに寄与しているのではないかと思います。
いずれにしても、今回の添付文書の改訂は医療関係者のみならず、受ける患者さんに対しての安心感も非常にありますので、非常に妥当であると。かつ、移植学会としては推進したいと思っております。ただ、もちろん全くリスクがないわけではないので、その旨はきちんと説明をしてという現実にやっていることをまた繰り返して、行っていきたいと思います。
意見を申し上げていいですか。
○遠藤委員 はい、どうぞ。
○剣持参考人 今、全く出てきていなかったのですけれども、授乳はしないということと、男性の患者さんには避妊をということが中に書かれていて、これは今回のことではないのですけれども、これもいろいろなコントロバーシャルな意見がありますので、例えば海外では授乳をそのままさせているところもありますので、授乳というのも非常に大きなことなので、これは今後の課題として、また提案はさせていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤委員 ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局の説明と参考人の先生方の御意見に対して、御意見、御質問等はございますでしょうか。
望月委員。
○望月委員 2点ございます。
ただいま、移植後の患者さんの妊婦さんに使うケースと非移植患者さんに使うケースで御説明いただいて、参考人からの説明はよく理解できたのですけれども、海外の添付文書の書きぶりが移植後にはこうこう、それで移植後でない、非移植患者さんの場合では、ほかによい治療法がない場合には使えるが、これをファーストラインで推奨するものではない的な書き方になっています。今回の改訂の御提案だと、そこの色合いの違いの点で日本は移植患者と非移植患者で分けて記載していないため、日本が踏み込む感じになる可能性があるかなと思ったので、そこをちょっと教えていただきたく思います。これは事務局でしょうか、参考人に聞いたほうがいいでしょうか。
○遠藤委員 参考人の先生方、お答えいただけますでしょうか。
○村島参考人 全ての薬剤ですか。
○望月委員 例えば、最初に気がついたのはシクロスポリンの15ページの真ん中辺で、英国、ドイツ、仏国、カナダにおいては、シクロスポリンを含むレジメンも含んだ移植後の免疫抑制療法という書きぶりがあって、その後は移植患者かどうかがわからない書き方になっているので、ちょっと不明なのですが、さらにそれを読み進めますと、豪州では、移植後の妊婦さんの早産のリスクを書いた後、最後にそのページの終わりに「非移植患者では、代替治療が可能な場合、妊娠下のシクロスポリンは推奨されない」と注意喚起があるという書き方になっています。
タクロリムスは、余り移植という限定は書かれていなかったような記憶があります。
アザチオプリンに関しては、そもそも若干リスクが高いということを説明するような改訂内容にはなっておりますが、アザチオプリンの9ページでは、「米国においては、妊娠中の関節リウマチ患者への投与は『禁忌』とされているが、腎移植における拒絶反応の予防に対しては」云々という書き方になっていたり、多少色合いが今回の日本の御提案と違っている感じがいたしまして、ここについて、ちょっと日本が踏み込む部分もあるかなと思いましたので教えていただきたいと思いました。
○村島参考人 まず、アザチオプリンに関しますと、日本では関節リウマチの適応がありませんので、それについては考えるというか検討する余地はないかなと一つは考えます。
あとは、それ以外のアザチオプリンに関しては、添付文書もリスクについてもかなり重視しておりまして、臨床の現場でよく勘案しろという文言になっておりますので、アザチオプリンについては該当しないかなというか、このままでいいのかなと思いますが、シクロにつきましては何かありますか。
○中島参考人 実際に、適応によって記載のされ方、規制の仕方、注意喚起の仕方を海外では書かれているということで、日本では、それを全て同じ書き方で踏み込んだように見えるということだと思うのですけれども、我々が調べた中では、リスクそのものが各疾患によって違うことではないだろうと考えたところだと思うのです。リスクベネフィットの中で、ベネフィットがどう上回るかというところの臨床的な判断ということで考えるべきところなのだろうなと。我々はリスクそのものをまず中心として見たので、禁忌という規制自体を外していくことが重要と考えたので、一つの記載の方式となっているわけなのですけれども、ここの部分が本日は移植の専門の先生方が来られておりますので、そういった意見を頂戴しながら規制を分けるべきかどうかは検討いただきたいなと思うところです。我々はリスクを中心に一つとして記載したような形となっています。
○村島参考人 やはり適応疾患によってリスクはさまざまですので、この疾患は移植後ではないから要らないだろうということはないはずなのです。臨床現場が本当にそのお薬を必要とするかというのは一例一例考えるべきもので、添付文書がそこまで踏み込むことによって臨床現場で遠慮が生じると、患者さんにとって不利益も生ずるだろうということで、この件に関してはかなりワーキンググループでも検討したのですが、適応症で分けるべきではないだろうという結論に達しました。
○望月委員 ありがとうございます。
適応症で分けて書いていなくても、有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与することというところで、それぞれのお立場で理解をしていただくということで了解いたしました。
もう一点なのですけれども、先ほど剣持参考人も少し言及されていたのですが、それぞれに早産のリスクですとか、あるいは低出生体重児のリスクですとか、物によっては高カリウム血症が新生児に発生するリスクとかいろいろございますので、患者さんにきちんとそういったリスクも説明して投与を進めていくということなのですが、これは事務局に御質問したらいいかなと思っているのですけれども、今回「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」のところを抜粋していただいてあるので、そこがちょっと読めないのですが、よくある例として患者さんにきちんと説明をしなさいという場合には「重要な基本的注意」とかに書かれていたりするのですけれども、今回は余りそういう対応をするというふうにはお考えにならなかったのか。ならなかったとすれば、どういう理由でならなかったのか。あるいはあるのかもしれないのですが、今はここの抜粋のページしか見ていなくて、申しわけございません、気づいていないかもしれません。
○望月委員 事務局のほうでお答えいただけますか。
○医薬安全対策課長 御質問いただきまして、ありがとうございます。
添付文書は、今回分厚い資料の後ろのほうに一応全対象医薬品のものをつけさせていただいております。御指摘のようにシクロスポリンにしても、例えば後ろにサンディミュンカプセル等の添付文書がついてございますけれども、先生がおっしゃるように、「重要な基本的注意」のところにあえてインフォームド・コンセント的なことを行うべきかとうかということを特段注意喚起しているものではありませんが、先ほどのアザチオプリンの資料1-1の7ページ、別紙3のところをごらんいただきますと、「妊娠する可能性のある女性には、本剤が有するリスクを説明すること」という記載を入れています。特にアザチオプリンについては、先ほど事務局から説明させていただきましたように、催奇形性の部分のみならず遺伝毒性の部分があるということで、これについては上乗せ的に説明をするような形でここに書いてあります。
それ以外の部分において、基本的に医療のあり方としてこういう薬剤をこういった患者さんにお使いいただく部分において、説明と同意を行うのは医療法上当然のことでありますので、こういう特段のリスクが上乗せ的にあるアザチオプリン以外のものについては、特段そこでインフォームド・コンセントということを改めて記載するものではなく、免疫抑制剤をお使いいただく医療の中で適切に対応をいただくということを前提にこの添付文書については記載をさせていただいている、そういうことで御理解をいただければと思っております。
○遠藤委員 望月委員、よろしいですか。
○望月委員 アザチオプリンに関しては、きちんと書かれているということですので結構だと思います。
○遠藤委員 そのほかに御意見、御質問等はございませんでしょうか。
○医薬安全対策課長 事務局から1点補足をさせていただきます。
先ほど、剣持参考人から御指摘もございましたが、授乳婦の件につきましては、タクロリムスとアザチオプリンについてはもともと授乳婦に関する禁忌はございませんので、授乳婦に関する禁忌の記載があったのはシクロスポリンだけだったのですが、そこについては今回ほかの2剤とそろえて、明示的に授乳婦の禁忌の部分をとらせていただくということでございますので、基本的にこれで3剤は全部並びが同じになる形にさせていただくことでございます。
あと、男性パートナーのところはシクロスポリンとタクロリムスは、今回記載から何もなくなる格好ですけれども、アザチオプリンについては先ほどの遺伝毒性の関係があって、上乗せ的に妊娠する女性について、その妊娠を避けさせることが望ましいとか、パートナーに関する注意喚起もさせていただいているという状況でございます。
○遠藤委員 ありがとうございます。
剣持参考人、お願いします。
○剣持参考人 授乳婦に対する禁忌の問題ではなくて、授乳をできるかどうかということに関して、授乳をしないことというのは残っていますね。授乳婦に対する禁忌ではなくて、たしか私が見たときに授乳はしないようにするのが望ましいというのがなかったでしたか。それがとられているのであれば、それはそれでいいのですけれども。
○医薬安全対策課長 今の部分については、禁忌から確かに除くことにはなるのですが、授乳を避けさせるという部分については今回残るのですけれども、注意喚起という観点で書かせていただいているということで御理解をいただければと。
○剣持参考人 わかりました。
○遠藤委員 よろしいでしょうか。
柿崎委員。
○柿崎委員 先ほど、剣持参考人から移植後の患者さんの血中濃度のモニタリングなどのプロトコールがあると伺ったのですけれども、こういったものは学会である程度統一されたガイドラインなり指針なりみたいな形になっているのですか。
○剣持参考人 例えば免疫抑制剤で、今、メーンで使われている代謝拮抗剤はセルセプトという薬だと思いますけれども、それはもう催奇形性因子がすごくありますので、それをアザチオプリンにかえる。腎移植の場合ははっきりしたものがありまして、まず、腎機能がクレアチニンで決まっていて、腎生検をして、拒絶反応がないということ、たんぱく尿がないとか高血圧がないとかいろいろありますけれども、その時点でセルセプトがほとんど今は使われていますからセルセプトをアザチオプリンにかえて、降圧剤でもARBとかACE阻害剤も胎児毒性がありますから、これもかえてというものは、基本的には学会でつくっておりますので、それに従って、全部の施設がそれでやっているかどうかはわかりませんけれども、ほとんどの施設がそういうふうにやって、計画妊娠、出産をしているというのが現状だと思います。
○柿崎委員 その学会の、というのは、各学会なのですか、それとも移植学会全体としてのものですか。
○剣持参考人 今、移植学会では、実は私が委員長でガイドラインをつくっているのですけれども、まだそれは発表されていないのですが、その中には盛り込まれる予定ですけれども、学会レベルでということでいいのではないですか。
○柿崎委員 そういったガイドラインができると、皆さんが使いやすくなっていいかなと思います。
○剣持参考人 ちょっとおくれているのですが、今、編纂中ということです。
○遠藤委員 よろしいでしょうか。
伊藤委員。
○伊藤委員 一応確認させていただきたいのですけれども、今、3つの薬から一律で禁忌を外すという流れだと思うのですが、妊婦の方にも免疫抑制剤が必要であるというお話は先ほどの御説明でよく理解したのですけれども、適応も少し違うみたいですし、アザチオプリンに遺伝毒性があったり、少し危険性が高いというお話だったのですが、やはりアザチオプリンでないとだめなケースもあるから、一律でそういう変更をしたいということでよろしいのでしょうか。
○村島参考人 私のほう、リウマチ学会の立場から言わせていただきますと、今、セルセプトというものが特にループス腎炎には免疫抑制剤としての立ち位置にあるのですが、剣持先生もおっしゃるように催奇形性が明らかなので、商品名のセルセプトと言っていいのですか。
○医薬安全対策課長 いいです。構いません。
○村島参考人 ミコフェノール酸モフェチルですが、それを使っている女性は、妊娠を考えたらアザチオプリンに変更するというのが海外のレコメンデーションとレジメンになっているのです。そうしますと、かなりアザチオプリンの重要性というのはまだまだ現場には残されていると思います。
○伊藤委員 わかりました。ありがとうございます。
○遠藤委員 よろしいですか。
そのほかはよろしいでしょうか。
それでは、議決をとりたいと思います。
これまでの御議論をまとめると、タクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリンの免疫抑制剤3剤について、1つ目が動物試験では過去に催奇形性が報告されているが、妊娠と薬情報センターで網羅的に収集し、評価した海外の疫学研究の結果では、免疫抑制剤を投与された妊婦において、胎児の先天奇形の発生率が有意に上昇したという報告はないこと。
2つ目として、国内外のガイドラインなどにおいて、妊娠中であっても使用可能な医薬品とされていること。
3つ目として、欧米など6カ国の添付文書において、妊婦への投与は基本的に禁忌とされておらず、潜在的有益性が胎児への潜在的危険性を上回る場合にのみ投与できるとされていること。
これらに加えて、臓器移植後、自己免疫疾患患者の妊娠、出産においては、母体の適切な治療の継続が必要とされており、治療上の有益性が危険性を上回ると考えられる場合が想定されることとなり、以上を踏まえて、事務局の提案どおり使用上の注意を改訂することでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○遠藤委員 御異議なしとさせていただきます。
それでは、今後の予定について、事務局から説明してください。
○医薬安全対策課 御議論いただき、ありがとうございました。
それでは、ただいまの御議論を踏まえまして、タクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリン含有製剤の製造販売業者に対し、使用上の注意を改訂するよう指示をいたします。
○遠藤委員 ここまでの御議論において、御意見、御質問等はございますでしょうか。
それでは、参考人の先生方におかれましては、貴重な御意見をありがとうございました。
以降の議題につきましては、特に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席いただいて差し支えありません。ありがとうございました。
以後の進行につきましては、五十嵐先生にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○五十嵐座長 続きまして、議題(2)に移りたいと思います。「Terms及びRevMateの改訂について」審議をしたいと思います。
柿崎先生におかれましては、ブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社から500万円を超える受け取りがありますので、議題(2)の審議には御参加いただけませんので、御退席のほどよろしくお願いいたします。
(柿崎委員退室)
○五十嵐座長 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○医薬安全対策課 議題(2)「TERMS及びRevMateの改訂について」御説明いたします。
資料2-1をごらんください。サリドマイドは昭和30年代に催眠鎮静薬として販売されまして、当時妊娠中の女性が服用することで胎児に重篤な先天異常を引き起こすことが判明したことから、世界各国で販売中止と回収が行われた薬剤でございます。
その後、1990年代後半になり、多発性骨髄腫に対するサリドマイドの有効性が報告されるようになり、日本国内でも主に医師の個人輸入により、サリドマイドが使用されるようになってまいりました。
平成10年には、米国においてサリドマイドの製造販売が承認され、その後、平成20年には日本においても、多発性骨髄腫の治療薬として再承認されました。その際には、胎児暴露防止を目的とした安全管理手順、TERMSの実施が義務づけられております。
「(2)レナリドミド及びポマリドミドについて」ですが、こちらも同じく多発性骨髄腫に対する治療薬として、新たに開発された薬剤でございまして、サリドマイドと同様の構造を有しておりまして、動物実験においてサリドマイドと同様に催奇形性を有することが確認されております。
そのため、平成22年にレナリドミドが国内で承認された際には、TERMSと同様の管理手順としてRevMateの実施が義務づけられており、平成27年にポマリドミドが承認された際に、レナリドミドと同様にRevMateで管理することが義務づけられました。
下の表には、サリドマイド及びレナリドミドの概要についてまとめさせていただいております。
資料2-2は、TERMS、RevMateについての概要ですが、TERMSはサリドマイドの製造販売承認審査の過程において、被害者団体のいしずえより、米国で実施されている管理手順STEPS以上の確実性を持って、日本での安全管理を行うべきであり、その検討には厚生労働省も積極的に関与すべきといった要望がございました。
それを受けまして、平成20年に「サリドマイド被害の再発防止のための安全管理に関する検討会」を設置しまして、米国のSTEPSを参考としながらTERMSが検討され、その実施が製造販売承認の条件とされたところです。
RevMateについてですが、レナリドミド、ポマリドミドについても、サリドマイドと同様催奇形性があることから、TERMSと同じく承認時の条件として、RevMateの実施が義務づけられております。基本的な枠組みはTERMSと共通となっております。また、TERMS、RevMateの実施状況について、(3)の表にお示ししているとおりでございます。
2ページ目は、TERMSとRevMateの登録患者の年齢別、患者分類別の人数の表とグラフを記載しております。ここでの患者分類のA、B、Cについてですが、Aは男性患者、Bは妊娠可能性のない女性患者、Cは妊娠の可能性のある女性患者でございまして、TERMS、RevMateとともに同じような年齢分布となっております。
3ページ目は、TERMSの仕組みを1枚の図であらわしたものでございます。丸1~丸4が処方を行うまでの手順になりますが、医師、薬剤師、患者は必要な教育を受けた上で、TERMS管理センターに登録が必要となります。ただし、患者の個人情報を企業が持たないようIDで管理されております。丸5~丸11になりますが、処方時の手順になります。医師、薬剤師は患者に対して、診察時や薬剤交付の際等に催奇形性に関する説明、妊娠検査、残薬数の確認などを行います。
4ページ目がRevMateになりますが、こちらもTERMSと同様の流れになります。
5ページ目からがTERMS、RevMateのこれまでの改訂の経緯でございまして、6ページの最後のところなのですが、本日の調査会で御審議いただく前に今年の4月5日に第8回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会を開催しまして、ここに記載されている(1)~(4)に関する改訂について審議を行いました。TERMS、RevMateの改訂に関して資料2-3をごらんいただき、そちらで説明させていただきます。
まず、今回の改訂の経緯ですが、TERMS、RevMateにはそれぞれ血液内科医、産婦人科医、病院薬剤師、被害者の会、患者会等を構成員とした第三者評価委員会が組織されておりまして、TERMS、RevMateが適切に運用されているかを確認しております。今回、両第三者評価委員会から提言書等が取りまとめられたことを受けまして、先ほどお話ししました4月5日の第8回検討会で、TERMS、RevMateの改訂の必要性について審議しまして、その結果を踏まえ、TERMS、RevMateの改訂案を作成し、5月11日から6月9日にパブリックコメントを実施しました。パブリックコメントの意見も踏まえたTERMS、RevMateの改訂案は資料2-4、資料2-5になりますが、改訂について資料2-3に沿って説明させていただきます。
初めに、2の(1)「薬剤管理者の要件の見直しについて」御説明させていただきます。
薬剤管理者とは、患者以外の者の誤飲防止や不要になった薬剤を返却するなど、患者にかわって薬剤の管理を行うもので、患者自身で適切に管理できるのであれば薬剤管理者の設置は省略できるとなっております。この薬剤管理者に関してRevMate第三者評価委員会によるアンケート調査から、薬剤管理者を設置していない患者に対し、患者本人が薬剤管理できなくなってきた場合などに設置するタイミングの指標がない、管理者になり得る人がいないといった意見が挙げられておりました。
また、今後高齢化の進行等により、患者自身で薬剤管理することが困難な患者が増え、薬剤の処方を受けている患者が介護施設等に入所するなどのケースも想定されるため、以上を踏まえた薬剤管理者について、枠で囲った箇所になりますが、こちらの薬剤管理者の要件を設定させていただきました。
満たすべき要件として3点になりますが、「本剤が胎児に障害を起こす可能性があることを理解している者」。
「処方された本剤を患者以外に共有したり、譲ってはならないことを理解している者」。
「患者と定期的に接する機会がある者」。
以上の要件を全て満たすと、「処方医師が判断した、患者の身近な者(家族、親戚、近隣住民)、医療関係者又は介護職員等」としております。なお、2行目の「下記の要件を全て満たすと処方医師が判断した、患者の身近な者」の文言についてですが、4月の第8回検討会の際は「全て」という文言を記載していなかったのですけれども、パブリックコメントにおいて全てを明記すべきという意見が複数寄せられておりましたので、趣旨は変わりませんので「全て」という文言を追記させていただきました。
「(2)残薬の回収について」説明させていただきます。
3ページは、平成30年2月に開催されましたTERMS第三者評価委員会において、企業から死亡した患者の残薬を回収するために、企業が薬剤師に対して患者の個人情報の取得を試みたという薬剤紛失事例の報告に対して、委員より現実的かつ社会的に許容可能な対応を検討する必要があるのではないかとの指摘がありました。
検討会では、独居の方が亡くなり、そこに誰かが踏み込んで、その薬をわざわざ見つけて飲むというのは非常に考えにくいという意見や、患者の同意なしに医療関係者や企業が居宅を訪問することは問題ではあるが、原則回収すべきであるなどの意見もあり、枠で囲った箇所になりますが、「ただし、独居の患者が亡くなった場合など、残薬の回収が困難な場合であって、第三者曝露のリスクが見込まれない場合にはこの限りではない」という文言を追記しました。
「(3)TERMSに関する女性患者Cの同意書の改訂」について説明させていただきます。
5ページの別紙1が女性患者C、妊娠の可能性のある患者の同意書になりますが、現行のTERMSには「また、必要に応じて、パートナーの情報を藤本製薬株式会社に提供することを承諾します」という記載がございます。TERMS第三者評価委員会からはこの文言について、女性患者Cのパートナーの情報を企業に提供することにより、胎児暴露防止につながるとは考えにくく、削除すべきと指摘があり、第8回の検討会においても文言の削除について了承されております。こちらについては、現行のRevMateに記載はないので、RevMateに合わせる形の改訂となります。
4ページ、「(4)定期確認票の運用の見直し」についてです。
まず、定期確認票についてですが、7ページの別紙2はサリドマイドの定期確認票になります。定期確認票は薬剤管理や避妊に関する確認事項を患者自身が記載し、医師に報告するものです。妊娠の可能性がある男性患者Aについては2カ月ごとに、妊娠の可能性のある女性患者Cは毎月、薬剤管理と避妊に関する事項を医師に報告し、妊娠の可能性がない女性患者Bについては、6カ月ごとに薬剤管理に関する事項のみを医師に報告しております。
定期確認票の流れにつきましては、15ページの別紙3をごらんください。
まず、薬剤師など医療関係者が患者に対して、次回来院時に定期確認票に必要事項を記入し、提出するよう依頼します。続いて、患者は次の診察時に定期確認票を医師に提出し、医師は定期確認票の内容を確認した上で、薬剤師に渡します。薬剤師は定期確認票の内容を確認した上で、患者に薬剤を交付します。医療機関の中での定期確認票の運用は以上になります。
4ページに戻っていただきまして、この定期確認票の運用の改訂について御説明させていただきます。
改訂は2つございまして、1点目は定期確認票の提出先についてです。これまでは先ほど御説明したとおり患者が医師に定期確認票を提出する流れとなっておりましたが、RevMate第三者評価委員会のアンケート調査によると、医師、薬剤師ともに提出先は薬剤師が最もよいと考えていることが明らかになりました。このアンケートを踏まえまして、定期確認票の提出先を医師のほかにも薬剤師を追加することとし、検討会でも了承が得られました。
丸2は定期確認票をなくし、遵守状況確認票を用いて、患者の遵守状況を確認するというものになります。定期確認票は患者が記入するものに対して、遵守状況確認票とは医師と薬剤師が記入するものでございまして、医師と薬剤師が患者に対して、本剤の催奇形性のリスク等について説明し、患者が本剤の薬剤管理や避妊の必要性等を理解しているかを確認する用紙があり、その用紙を用いて診察時ごとに必要な説明と確認を行っております。
本件は、平成26年12月に取りまとめられました本検討会の報告書によるものですが、この時点では、患者の遵守状況の確認方法は患者自身が企業に定期確認票を送るというものでしたけれども、このときの検討会では2つの提案がなされておりました。1つ目が定期確認票を廃止し、医療関係者が遵守状況確認票を用いて、患者の遵守状況を確認する。
2つ目が現在の手順になりますが、企業に送っていた定期確認票を処方医に渡すという方法です。本検討会の報告書によると、1つ目の定期確認票を廃止する案が支持されておりましたが、これまで企業を介していたものが全て医療機関で行うようになるという点で大きな改訂になるため、この時点では、段階的な改訂を行うべきという結論になりました。一方で平成27年9月の安全対策調査会では、1つ目の患者の遵守状況の確認を医療機関にまとめる案について、引き続き検討すべきとの意見も出されておりました。ことしの4月の第8回の検討会におきまして、定期確認票の廃止について再度審議したところ、定期確認票の効果に関するデータがない中で、定期確認票の必要性に関して判断することが困難という意見が多数あったことから、今後、定期確認票の効果に関する調査研究を実施し、その結果を踏まえて、定期確認票について再度検討したいと考えております。
また、検討会の議論では、妊娠の可能性がない女性患者Bについては、定期確認票が半年に1回薬剤管理に関する確認を行っているのみなので、薬剤管理の確認は医療関係者が診察時ごとに遵守状況確認票を用いて、適切に管理することがよいのではないかという結論になりました。
以上を踏まえた改訂の概要が枠で囲った部分のとおり、男性患者A、妊娠の可能性のある女性患者Cの定期確認票の提出先を医師または薬剤師とする。
妊娠の可能性のない女性患者Bの定期確認票は廃止し、これまで定期確認票で確認していた患者の薬剤管理の遵守状況については、遵守状況確認票を用いて医療関係者が確認する。
以上が第8回の検討会の審議結果になります。
この検討会の審議を踏まえたTERMS、RevMate改訂案についてパブリックコメントを実施し、寄せられた意見については資料2-6でございます。こちらは5月11日から6月9日の期間に実施したもので、寄せられた意見は全部で27件になります。
資料2-7は、資料2-6の意見の概要を作成したもので、各意見をそれぞれの改訂に関する意見として分類し、回答をしております。
議題(2)については以上になります。
TERMS、RevMateの改訂について、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして、御意見、御質問をいただきたいと思います。
4つ改訂しようという御提案なのですけれども、いかがでしょうか。
どうぞ。
○遠藤委員 私は検討会の委員でもあるので、検討会の議論のことを少し御説明させていただこうと思います。
この4点のうち、定期確認票以外のところについては、ほぼ事務局の説明にあったような内容で、異論は余りなかったと私は認識しています。
定期確認票については、多少それぞれの立場で意見が違っていたと認識しています。被害者団体からは、患者が妊娠回避の過程での薬剤管理については、定期的に確認し、報告することの意味は単なる知識のリマインドではないこと。いつもそういう主張をされています。患者自身が医療機関ではなく、みずからの行動を振り返って自宅で、医療関係者が見ていないところで書くということが非常に重要だということを御意見としておっしゃっていました。そのため、引き続き定期確認票を活用すべきではないかという御意見でした。
患者会の御意見は、今回の中にもありましたけれども、第三者評価委員会のアンケート調査によると、定期確認票のエビデンスを求める意見がかなり多かったということ。それから、定期確認票を廃止すべく定期確認票の効果の有無の確認と、それが必要かどうかについて検討すべきではないかという御意見がありました。
今回が8回目の検討会だったのですが、第7回までの検討会のときにも先ほどの事務局の説明にありましたように、TERMSやRevMateを特殊な形ではなく、医療の中で医療者と患者の中できちんと確認をしていくべきだという意見があって、将来的にはそうすべきだという意見だったと私も認識していたのですが、今回の第8回ではかなり意見が違っていました。
検討会の議論の中では、定期確認票の効果を判断するデータがないため、必要性について議論することは難しいという御意見が幾つかありました。妊娠の可能性がある男性患者Aと女性患者Cについては定期確認票による確認を行うということと、先ほどの説明もありましたように、女性患者Bについては診察時に遵守状況確認票を用いて行うことがいいのではないかと。
遵守状況確認票で毎回の診察時ごとには確認をしているので、定期確認票がなくてもある程度の確認はきちんとされているというのを前提だと私は認識していました。女性Bについては半年に1回が毎回きちんと同じような内容を確認するということなので、これはなくても確かにいいのかなと思います。
私の説明は以上です。
○五十嵐座長 どうもありがとうございます。
いかかでしょうか。補足の説明をいただきましたので少し理解が深まったと思います。
どうぞ。
○望月委員 私も定期確認票のところがちょっとわからなくて、今、遠藤委員の説明でわかった部分があります。ありがとうございました。
その上でなのですが、まず、1つ目の定期確認票の提出先が医師となっているものはどうかということに関する調査なのですけれども、医師と薬剤師だけに聞いているのですが、患者さん本人はどのように思われているのでしょうか、というところが1点知りたいなと思ったのですけれども、それはとっていらっしゃらないですか。
○遠藤委員 今、調べていただいている間に少し説明させていただきます。病院で薬剤師外来といって、医師の診察の前に薬剤師が服薬の確認をしている病院があるので、そういうところの意見は医師の前に薬剤師が確認するので、そのときに遵守状況の確認や定期確認票を出してもらっていいのではないかという御意見があって、薬剤師が先に受け取ってもいいのではないかということでした。ただ、患者のところは私も覚えていないので、今調べていただいています。
○望月委員 調べていただいている間にもう一点、先ほどの遠藤委員の説明で何となく確認できたのですが、この定期確認票でないと、医師は患者さんが正しく服用できていて、残薬もなく、きちんと管理できているということを確認する術はほかにあると理解をしていて、薬剤師に定期確認票が出てしまった場合にその内容について、医師にどんなふうに伝わるのかがよくわからなかったので、この定期確認票の内容が、医師を通じると、医師から薬剤師に流れてくるような矢印になっていたのですが、そこがちょっと見えなかったので、これ以外の方法で正しく薬を飲み、管理できているという確認の術があれば、必ずしもそこがどうしてもまたぐるっと回らなくてもいいのかなと思ったのですけれども、そのあたりはどうなのでしょうか。
○遠藤委員 資料2-3の16ページにありますように、これは定期確認票を薬剤師に提出するということですが、丸7に「薬剤師が必要に応じ、患者の遵守状況等について医師に報告」となっています。先ほど私が言った薬剤師外来などは必ず薬剤師が患者さんと面談をして、そこの結果を必ず医師の診察時に伝わるようにしていますので、定期確認票を見て、仮に患者さんがきちんと遵守していないということがあれば、当然それは医師に連絡することになりますので、どちらが先に受け取っても結果は一緒で漏れはないと思っています。
○望月委員 わかりました。現行手順だとそういう流れではないけれども、薬剤師に渡す場合には戻るルートがあるということで理解をいたしました。ありがとうございます。
○五十嵐座長 患者さん側の御意見はわかりましたか。
○課長補佐 参考資料2にアンケート調査の結果をつけているのですが、その資料の76ページに患者さんの結果が出ておりまして、「Q18 患者さんにとってどのような提出方法が望ましいか」ということで、こちらも半数の49%が「薬剤師に手渡し」で、「患者さんご自身で製薬企業へ郵送」というのも29%ありますが、「医師へ手渡し」は17%という結果が出ております。
○望月委員 わかりました。ありがとうございます。
○五十嵐座長 患者さんの半数は、薬剤師さんを希望しているという結果ですね。
○課長補佐 はい。
○五十嵐座長 御確認いただきまして、ありがとうございます。
そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうすると、4点改訂があるわけですが、まず、薬剤管理者の要件の見直しにつきましては、皆さんから御意見は特になくて、薬剤管理者の設置のタイミングが今までは不明確であるので、という医療現場からの意見があり、さらにこれから高齢化が進みますので、患者自身で薬剤管理を行うことが困難となるケースとか、あるいは患者さんがいろいろな介護施設に入るようなこともふえますということを考慮して、薬剤管理者になり得る人の条件とか範囲を今回明らかに直したわけです。これについてはよろしいでしょうか。
残薬につきましても、亡くなった患者さんのお家に行って、残った薬剤をとってくるということを実際にやらなければいけないという御意見もあるようですけれども、それは現実には非常に難しいわけであります。企業が薬剤師に対して、患者の個人情報のために接触を試みたことがあったということなので、TERMSの第三者評価委員会の委員から残薬の回収に関しては、より現実的な対応をとることを検討していただきたいという御指摘があったようです。この点については、原則残薬は回収するけれども、残薬の回収が先ほど例として出したような場合のように、困難かつ第三者暴露が想定されない場合に限っては、この限りではないと規程を新たにつくったということであります。これもよろしいでしょうか。
3番目としては、TERMSに関する女性患者Cの同意書の改訂ということであります。これは女性患者Cのパートナーの情報を企業に提供するということになっている薬剤があるわけですが、それをやったとしても、胎児暴露の防止につながるということは考えにくいので、今回、同意書から外そうということであります。これもよろしいでしょうか。ありがとうございます。
最後の4番目ですが、定期確認票の運用を見直そうということであります。これは先ほど御議論がございました。RevMateの第三者評価委員会のアンケート調査において、定期確認票の提出先は薬剤師が最もよいという意見が多数あったことから、提出先に医師だけではなくて、薬剤師をも追加するという改訂をしたいということであります。
2番目の改訂は、女性患者Bの定期確認票につきまして、検討会の審議では医療関係者が薬剤管理について十分確認をするということで、女性患者Bの定期確認票は廃止する。そのかわりに遵守状況確認票を使って、医療関係者が毎回確認するという改訂を行いたいということであります。
3番目としては、検討会での議論で定期確認票の効果に関して判断することが困難な状況であるという意見があったことから、厚生労働省にて調査研究をこれから行って、定期確認票の効果について検証する。その結果を待って、また検討したいという改訂でございますけれども、このような方針を今回委員の先生方はお認めいただけますでしょうか。よろしいですか。
どうぞ。
○望月委員 当初からちょっと不安に思っていたところが、残薬を患者さんが亡くなられた等で回収できないというところは非常によく理解できて、平たく言うと、第三者暴露のリスクが見込まれない場合に限っては回収しなくてよいということだと思うのですけれども、第三者暴露のリスクが見込まれないような廃棄処分の仕方みたいなものは、どういう形を想定されているのかというところを確認するのを忘れておりました。
○五十嵐座長 どうぞ、お願いします。
○医薬安全対策課長 事務局でございます。
今、望月委員から御質問をいただいたところですけれども、例えば独居の方で亡くなって、最近は遺品回収業者が入ってしまうケースがあります。そういう場合ですと、もう遺品がどこに行ったのかがよくわからない状況になるのと、逆にその業者が回収するということによって、第三者、ほかの方にそれが行き渡る心配はないだろうという状況もあるわけでございまして、一番あり得るケースというのはそういう場合を想定しているということでございます。
○五十嵐座長 よろしいですか。
○望月委員 はい。
○五十嵐座長 どうぞ。
○佐藤委員 この定期確認票なのですけれども、薬剤管理者の方が書かれるのか。今後の調査ということだと思うのですが、自分で管理ができない場合を想定したときに、整理がかかわってくるのかなと思いました。そのあたりも今後整理をされたほうがいいのではないかと思います。結局、残薬の管理と全てがつながってくることだと思います。
○五十嵐座長 どうぞ。
○医薬安全対策課長 ありがとうございます。
定期確認票の記入については、原則本人がするということになっているのですが、御指摘のように御高齢の方とか、自ら薬剤の管理ができない方に本当に書かせられるのかどうかというところはございます。
今回の患者Bについては、定期確認票を廃止ということですけれども、全体のサリドマイド、レナリドミド等の患者の分布を見ていただきますと、患者Bのところは特に高齢の方が多いという状況になっていまして、そういう意味でも、この定期確認票の実効性ということからすると、Bの廃止については妥当なのではないかなというふうには考えています。
ただ、患者Aとか患者Cの部分については引き続き残るということで、これはこれから実施していく研究班の中でも先生から御指摘いただいたような部分が一応検討課題というか、そこを検証していく必要があるのではないかなというふうには考えておりますので、研究班で調査をする上では、いただいた意見も参考に対応させていただきたいと思います。
あと、事務局から訂正がございます。今、座長におまとめいただいて、その後にこれを申し上げるのは恐縮なのです。先ほどの事務局からの回答に誤りがございました。先ほどのレナリドミドの資料の76ページで、「Q18 患者さんにとってどのような提出方法が望ましいか」で49%が薬剤師というところを御紹介させていただいたのですが、これは医師の調査の結果でございまして、患者の調査項目の中には、提出先に関する問いはもともと入ってございませんでしたので、患者さんについてのデータはありません、というのが本来のお答えするべきところでした。大変申しわけございません。おわびを申し上げます。
○五十嵐座長 わかりました。
そうすると、最初のところは、患者さん側の御意見はないという条件のもとで、薬剤師さんを追加するということについてはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。では、そのように修正したいと思います。
そのほかにいかがですか。
そういうことで、事務局の御提案どおりTERMSとRevMateを改訂するということにつきまして、皆さんの御賛同をいただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○五十嵐座長 わかりました。ありがとうございます。
御異議なしとさせていただきたいと思います。
今後の予定を、事務局から御説明をお願いいたします。
○課長補佐 大変申しわけございませんが、事務局より資料の修正をさせていただければと思います。最後の一枚の「競合品目・競合企業リスト」をつけていると思いますが、セルジーン株式会社のレブラミドカプセルについてのリストの修正でございます。競合品目が3つありますが、真ん中の「ダラザレックス/ダラツムマブ」は関係のない品目ですので削除。競合品目2としてはカイプロリスが入っておりまして、競合品目3として「エムシプリシティ/エロツズマブ」がブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社の品目になりますので、この点で柿崎委員が御退席になられています。
修正点は以上になります。
○五十嵐座長 ありがとうございます。
「競合品目・競合企業リスト」の最後から2ページ目のところですね。よろしいですか。
どうぞ。
○医薬安全対策課 最後に議題(2)の今後の進め方について、御説明させていただきます。
○五十嵐座長 お願いします。
○医薬安全対策課 TERMS、RevMateの改訂についてなのですが、今回の御議論を踏まえまして、TERMS、RevMateの改訂の時期なのですけれども、RevMateで使用されていた端末が変更になりまして、今後はシステムの改修を予定しております。そのシステムの改修に時間を要するため、年明けにTERMS、RevMateの改訂を予定しております。また、システム改修に伴いましてRevMateの事務的な改訂箇所もありますので、そちらは事務的な話なので、こちらで改訂させていただきまして、年明けに改訂させていただく予定となっております。
以上になります。
○五十嵐座長 ありがとうございました。
それでは、本日予定されている議題はこれで終了になりますけれども、事務局あるいは委員の先生方、何か御意見はございますか。よろしいですか。
○医薬安全対策課長 それでは、最後に私から1点御紹介をさせていただきますが、私の記憶ですと、平成21年の改選からだったかと思いますけれども、遠藤委員に長年この調査会で御活躍をいただいていたところではございますが、今回の調査会で御退任ということで承ってございます。本当に遠藤先生におかれましては、長年この調査会、そして、医薬安全対策行政に御協力をいただきまして、本当に感謝を申し上げたいと思ってございます。
御退任に当たりまして、遠藤先生、一言御挨拶をいただければと思っております。
○遠藤委員 8~9年ぐらいこの調査会の委員をさせていただきまして、私自身が非常に勉強になり、医薬品の安全対策がとても重要なことがよく理解できました。さまざまな医薬品の安全対策にかかわらせていただいたことは私自身もすごく勉強になりましたし、薬剤師としての意見も言えましたので、そういう意味で少しはお役に立てたのかなと思います。また、きょうは最初で最後の座長代理もさせていただきまして、わずかですが、五十嵐先生のお役に立てたかなと思います。
この調査会は、非常に日本の薬事行政にとって、我々薬剤師などの医療に対しても非常に重要な調査会ですので、五十嵐先生を初め、残られた委員の方々はこれからもこの調査会の中で医薬品の安全対策に対して、御活躍いただければと思います。
事務局の方には、私を今までずっと支えていただきまして、本当にありがとうございます。
どうもありがとうございました。(拍手)
○五十嵐座長 遠藤先生、長いこと本当にありがとうございました。
それでは、きょうの調査会はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。
 

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