ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録(2018年11月30日)

 
 

2018年11月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

○日時

平成30年11月30日(金)15:00~

 

○場所

航空会館501及び502会議室(5階)

○出席者

出席委員(18名)五十音順

◎五十嵐   隆、 石 井 明 子、 乾    英 夫、 柿 崎    暁、
  金 澤    實、 城 守 国 斗、 後 藤 功 一、 小 松 康 宏、
  小宮根 真 弓、 佐 藤    薫、 佐 藤 泰 憲、 清 水    渉、
  舟 越 亮 寛、 三 村    將、 宮 﨑 義 継、 村 島 温 子、
○望 月 眞 弓、 脇 田 隆 字
 

欠席委員(6名)

伊 藤 清 美、 薄 井 紀 子、 斎 藤    充、 戸 部 依 子、
矢 野    哲、 萬    知 子
  (注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
江 野 英 夫 (安全使用推進室長)
磯 部 総一郎 (監視指導・麻薬対策課長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、平成30年度第2回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会を開会いたします。本日御出席の先生方におかれましてはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。本日の部会はいつものとおり公開で行っております。カメラ撮りの方は議事に入る前までとさせていただいておりますので、傍聴の方におかれましては、御理解と御協力を引き続きよろしくお願いいたします。留意事項の遵守もよろしくお願いしたいと思います。

 次に、本日の先生方の出席状況ですが、伊藤先生、薄井先生、斉藤先生、戸部先生、矢野先生、萬先生の6名から、あらかじめ欠席の御連絡を頂いております。そして今、柿崎先生が御到着ですが、あらかじめ三村先生から遅れてくるとの御連絡を頂いておりますので、本部会の先生方全員で24名ですけれども、うち6名が欠席、三村先生が遅れてということで、今出席いただいている先生は17名となっておりますので、本日のこの会議が薬食審の規定により成立していますことを報告いたします。

 それでは、議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りをされている方はここまでとさせていただきます。この後の進行につきましては、部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 では早速議事に入りたいと思います。まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等について御説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加に関する遵守事項について御報告いたします。本日の議題は全て報告事項であり、審議事項ではございませんので利益相反状況についての御報告はございません。

 続きまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して、何か御質問等はございますか。よろしいですか。それでは、資料について、御説明を事務局からお願いします。

○事務局 事務局より、本日の資料について御説明いたします。厚生労働省では業務全体において、ペーパーレス化の取組を推進しており、本部会は今回もタブレットで閲覧する方式で実施いたします。お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレットでの審議会が初めての先生もいらっしゃいますので、まず初めにタブレット端末の操作方法について御説明いたします。お手元にはタブレットと操作説明書を配布しております。いずれも審議会終了後には事務局にて回収いたしますので、机の上に置いたまま退室してください。また、タブレットにはカバーが付いております。このカバーを外さないようにお願いいたします。それでは、タブレットの表面にある丸いホームボタンを押していただき、画面が表示されましたら、再度ホームボタンを押してロックを解除してください。するとホーム画面が表示されますことを御確認ください。表示されない場合は事務局員にお声かけください。

 続いて、ファイルブラウザと書かれた青いアイコンをタップして資料一覧が表示されることを御確認ください。資料を閲覧する際は各資料のアイコンをタップしてください。資料のページをめくる際は指を画面上でスライドさせてください。資料を切り替える際は画面左上のマイプライベートファイルの文字をタップすることで資料一覧のページに戻ることができます。その他の操作方法については、操作説明書に記載しておりますので各位御参照ください。なお、一定時間操作しておりませんと画面がスリープになるように設定しております。スリープ状態になりましたら、再度起動の操作をしていただくようお願いいたします。また審議中、誤って別のアプリケーションを開いてしまった際には、ホームボタンを押すことでホーム画面に戻ることができます。御不明な点等ございましたら事務局員にお申出ください。

 続きまして、資料の御説明をいたします。資料一覧のページを開いてください。本日の資料は、議題1について資料1-1~資料1-6、議題2について資料2-1~資料2-6、議題3について資料3-1、資料3-2となっております。また、委員一覧もございますので適宜御参照ください。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。扱いの点等で何か御質問等ございますか。大丈夫ですか。では、議題1、「医薬品等の市販後安全対策について」の説明を事務局からお願いいたします。

○事務局 資料1-1、医薬品等の使用上の注意の改訂について御説明いたします。平成30年8月3日に開催されました平成30年度第1回医薬品等安全対策部会終了後から本日までの間に、改訂通知を発出した品目の一覧をお示ししております。資料には、改訂内容、改訂理由、直近3年度の国内副作用症例の集積情報等をまとめております。これらの使用上の注意の改訂については、本部会の先生方に事前に御確認いただいたものです。また改訂時に、PMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページと「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載しております。資料1-1については以上です。

○事務局 続きまして、資料1-2は、「ワクチン・抗インフルエンザウイルス薬の安全性に関する評価について」です。本年9月21日及び1126日に開催されました安全対策調査会と予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会との合同会議、並びに11月5日に開催の安全対策調査会において、ワクチン及び抗インフルエンザウイルス薬の安全性について評価を頂きましたので御報告させていただきます。

 まず、1ページの1のHPVワクチンは、本年5月から8月末までの報告状況を表1のとおりにまとめております。安全性への懸念となる症例集積は認められませんでした。続いて、2の麻しん、風しん等です。()各ワクチンの報告状況についてですが、こちらも本年5月から8月末までの報告状況について、表2のとおりにまとめております。これまでの報告状況と比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置をとる必要はないと評価を頂いております。2ページの()死亡症例の評価については、今回の評価対象期間中に5例報告されていますが、専門家による評価の結果、いずれの症例もワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められていないという評価を頂いております。

 3番目の百日せき、ジフテリア等の報告状況です。本年3月~6月末までの報告状況は、表3のとおりです。こちらもこれまでと比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置をとる必要はないという評価を頂いております。3ページの()死亡症例の評価についてですが、今回の評価対象期間中に、同時接種症例で1例の死亡症例が報告されていますが、専門家による評価の結果、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められないという評価を頂いております。また、13価肺炎球菌及びヒブワクチンの6か月間の10万接種当たりの死亡例の報告頻度も調べておりますが、対応を速やかに検討する目安とされている10万接種当たり0.5を下回っていることを確認しております。

 続いて4.抗インフルエンザウイルス薬の副作用報告状況です。()は、川崎市健康安全研究所の所長の岡部先生が毎年行っている研究の結果ですが、2017/2018シーズンの研究の結果は、これまでと同様抗インフルエンザウイルス薬の使用の有無、種類にかかわらず重度の異常な行動が発生していたという報告を頂いております。()死亡症例及び異常な行動の報告数です。具体的な数値は、次の4ページの表4にまとめています。2016/2017シーズンと比べても、2017/2018シーズンで特に変わったという状況ではありません。また、死亡症例については16例ありましたが、いずれも情報不足等で因果関係は評価できませんでした。()今後の対応ですが、今御説明いたしましたように、傾向については大きな変化はないということで、インフルエンザ罹患時における異常行動による重大な転帰の発生を防止するために、これまで同様、引き続き抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無又は種類にかかわらず、異常行動の注意喚起に努めていく必要があるとされています。なお、前回の安全対策部会でも御報告させていただきましたけれども、注意喚起資材を作成しており、前回は文字だけの情報で御報告しておりましたが、今回は5、6ページのように厚生労働省としてデザイン等も加えた上で注意喚起資材を作成しておりますので御活用いただければと思います。資料1-2については以上です。

○事務局 続いて資料1-3について御説明いたします。まず、1.背景です。スタチンとフィブラートの併用に関しては、これまで添付文書の「原則禁忌」の項で、「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること(横紋筋融解症があらわれやすい)」と注意喚起されていました。一方で、日本動脈硬化学会より、欧米において、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に対しても一部の薬剤を除きスタチンとフィブラートの併用は可能とされていることや、スタチンとフィブラートの併用が臨床現場で求められていることから、スタチンとフィブラートの併用に関して「原則禁忌」を見直すよう要望されました。

 2.調査会での検討結果です。()海外の規制情報としては、EU・米国において、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者におけるスタチンとフィブラートとの併用に関する禁忌の設定がありません。()国内外ガイドラインでは、国内承認薬、国内承認用量内において、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者でのスタチンとフィブラートとの併用は禁忌とされておりません。()製造販売後調査、国内副作用報告では、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められ、かつ、スタチンとフィブラートを併用した症例は少なく、安全性に関する情報は限定的ですが、併用した場合に横紋筋融解症が発現したという報告が得られています。調査会では、これらの理由から、腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者におけるスタチンとフィブラートとの併用に関する注意喚起について、引き続き横紋筋融解症に関する注意喚起を継続した上で、原則禁忌から重要な基本的注意に移行することが適当と判断されました。具体的な改訂内容については3ページ以降の(別紙1)を御確認ください。「原則禁忌」の記載を「重要な基本的注意」に移行いたしました。また、併用する場合には定期的に腎機能検査等を実施するよう注意喚起する内容を記載しております。

 次に、3.調査会の結果を踏まえた対応として、1016日付けで、45ページ以降の(別紙2)の通知を発出し、また同日付けで、55ページの(別紙3)の通知を日本動脈硬化学会宛てに発出し、引き続きスタチン及びフィブラートの適正使用並びに症例情報の収集等を通じた安全確保への協力を依頼いたしました。資料1-3については以上です。

○事務局 続いて、資料1-4の「要指導医薬品のリスク評価について」御説明いたします。初めに、4ページ、「スイッチOTC薬等のリスク評価について」をご覧ください。要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価については、平成2512月に開催された医薬品等安全対策部会において決定されたご覧の手続に則り、行うこととしております。要指導医薬品のうち、スイッチOTC薬及びダイレクトOTC薬については、一定期間の経過後、一般用医薬品に移行することとなります。移行する際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためにリスク評価を行う必要があります。このリスク評価については、2.にあるように、製造販売後調査及び副作用報告に基づいて、重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認するものですが、3.に基づき、この手続の確認は安全対策調査会で行い、その結果を本部会に御報告することとなっております。本日はこの手続に則り、本年8月28日及び11月5日の安全対策調査会における確認結果を部会に報告するものです。

 1ページにお戻りください。フッ化ナトリウムについて御説明いたします。販売名は、マル1エフコート及びマル2クリニカ フッ素メディカルコートです。エフコートは、平成27年9月18日に製造販売を開始しており、その後、有効成分、用法・用量、効能・効果等に同一性を有するものとして、クリニカ フッ素メディカルコートが承認され、平成29年9月27日に製造販売を開始しております。クリニカ フッ素メディカルコートは、製造販売開始から11か月ほど経過しており、特別調査の症例数も1,000例には達してはいませんが、先行して製造販売されているエフコートの製造販売後調査期間に合わせて中間報告書を提出いただいております。効能・効果は、むし歯の予防です。用法・用量は、お示しのとおり1日1回食後又は就寝前に洗口いたします。1回に口に含む液量は、年齢等による口腔の大きさを考慮し、通常4~5歳で5mL、6歳以上で7~10mLです。

 製造販売後調査概要を御覧ください。まず、エフコートについてです。特別調査ですが、個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配り、アンケートによる調査を実施するものです。この特別調査では調査症例数1,195症例で、副作用が0件でした。使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用が35例、38件で、内訳は口内・舌・口唇のピリピリ感が7件、口渇3件、歯の変色・着色が2件、味覚異常2件などでした。このうち重篤と判断された症例はございませんでした。

 次に、クリニカ フッ素メディカルコートについてです。特別調査では、調査症例数が371症例、副作用4例4件で、内訳は適用部位刺激感が2件、舌の感覚麻痺が1件、下痢が1件でした。このうち重篤と判断された症例はございませんでした。一般調査では、報告された副作用は6例6件で、内訳は適用部位刺激感が5件、適用部位疼痛が1件でした。このうち重篤と判断された症例はございませんでした。

 医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく報告は、エフコート及びクリニカ フッ素メディカルコートの報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用の報告はありませんでした。また、使用上の注意の改訂の指導等もありませんでした。以上の内容について、参考人として、歯科の専門家の参加の下で8月28日の調査会において審議を行い、特段の懸念事項もないことから、要指導医薬品から一般用医薬品へ移行することは問題ないと評価されております。9月18日付けでこちらは第1類医薬品に移行しております。

 続いて3ページ、トリメブチンマレイン酸塩について御説明いたします。販売名は、セレキノンSです。効能・効果は、過敏性腸症候群の諸症状の緩和です。用法・用量は、15歳以上で1日3回、食前又は食後に1錠を水又はお湯でかまずに服用します。製造販売後調査概要です。特別調査では、調査症例数4,145症例で、副作用が3345件でした。内訳は腹痛7件、便秘6件、下痢6件などでした。このうち重篤と判断された症例はございませんでした。一般調査では、報告された副作用は8例10件でした。内訳は下痢が2件、浮動性めまい2件などでした。このうち重篤と判断された症例はございませんでした。医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、報告書のデータロック後に報告された重篤な副作用報告はありませんでした。また、こちらも使用上の注意の改訂、指導はありませんでした。以上の内容については、参考人として、消化器内科の専門家の参加の下で11月5日の調査会において審議を行い、特段の懸念事項もないことから、要指導医薬品から一般用医薬品へ移行することは問題ないと評価されております。こちらにつきましては、1月10日付けで第1類医薬品に移行する予定です。資料1-4については以上です。

○事務局 続いて、資料1--1を御覧いただきたいと思います。背景として、平成30年7月に、あすか製薬が、中国のHuahai社で製造されているバルサルタンの原薬で、N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出されたので、同社が製造販売するバルサルタン錠「AA」の自主回収を行った旨を公表しました。また、平成30年9月に欧州医薬品庁などが、Huahai社製造のバルサルタン原薬で、N-ニトロソジメチルアミン(NDEA)が検出されたので公表しております。あすか製薬が原薬の各ロットについて分析を行った結果が、この表に掲げられているとおりです。NDMAとNDEAがそれぞれ検出されています。

 これを受けまして、次ページ、2番目のNDMAが検出された原因としては、バルサルタンのテトラゾール環の合成過程でNDMAが副生成物として生成されたと推定されておりまして、国立医薬品食品衛生研究所からも、そのような可能性はあるという見解を頂いております。

 3番目の健康への評価です。分析結果を基にしてバルサルタン錠「AA」の服用による健康への影響評価を国立医薬品食品衛生研究所で行っていただいたところ、最も高い濃度の原薬から製造された160mg錠を4年間服用したときのリスクは、1万5,000人~3万人に1人が、その暴露により生涯過剰にがんを発症する程度のリスクに相当するという評価でした。また、NDEAについては、NDMAに比べて微量でありまして、合算しても結果に影響するとは考え難いという評価を頂いております。

 4番目は、服用された方への対応です。服用中断によるリスクの方が高いということが示唆されたので、自己判断による服用中止をせずに、医師に相談するように注意喚起をし、その他のバルサルタン製剤への切り替えなどについても、医師や薬剤師に相談することを周知する等の対応をしております。

 5番目が、その他の医薬品への影響です。海外では、Huahai社以外の製造所においても、NDMAが検出されたことを受けて回収などを行われている製造所があります。我が国では、そのうちTianyu社で製造された原薬を用いているものがありますが、国立医薬品食品衛生研究所や原薬等国内管理人の方で分析した結果、NDMAは検出されておりません。その他の原薬についてもNDMAの推定原因を踏まえて製造方法も確認しておりまして、NDMAの生成の可能性は相当低いものと考えられております。国内では、あすか製薬のバルサルタン錠「AA」以外からはNDMAやNDEAが検出されていないという状況にあります。

 6ページ、安全対策調査会での検討結果ですが、以上について報告しまして、安全対策調査会で、必要に応じて情報提供がなされるように、以下の内容の周知を行うこととまとめられております。以下の内容を掻い摘んで申し上げると、NDMAとNDEAが検出されたバルサルタン製剤は、バルサルタン錠「AA」のみであることや、最大用量の160mg以上を服用したときのリスクは1万5,000人~3万人に1人が過剰にがんを発症する程度のリスクであることや、NDEAも検出されていますけれども微量であり、評価結果に影響するとは考え難いということです。資料1--1については以上でございます。

○事務局 続いて、資料1--2です。ただいま申し上げました事案を踏まえて、NDMA、NDEAを事業者が製造管理するための指標の設定を行っております。資料としては、資料1--2を御覧ください。1.経緯です、先ほどの資料1--1の説明と同様で詳細は省略いたしますが、国内では推定原因を踏まえた製剤の確認、現状、日本への波及については限定的な状況ではありますが、国際的には、まだ調査等が続いている状況です。こうした状況を踏まえて、事業者がNDMA、NDEAを管理するための指標を設定することを検討しまして、11月5日の調査会で報告しております。なお、管理指標を設定することについては、国立医薬品食品衛生研究所などの専門家に、事前に御意見を伺った上で検討いただいたものです。

 具体的な考え方ですが、2.発がん性を有する不純物の管理の考え方については、既に国際的に調和された「ICH-M7」というガイドラインが存在しております。ただ、ICH-M7というガイドラインはまだ新しいガイドラインで、現状、適用されている製品は僅かな状況ではありますが、NDMA、NDEAの生成リスクのある有効成分の原薬に対して最新のリスクの管理の考え方を適用したというところです。

 3.管理指標の設定は、ICH-M7のガイドラインですが、生涯における発がんリスクが無視できる水準となるように想定される不純物の許容接種量を設定し、その接種量を超えないように原薬あるいは製剤中の不純物の限度値を設定するといったところが基本的な考え方です。NDMA、NDEAについては、既に既知の変異原性物質でして、国際的に用いられている信頼のおける発がん性のデータベースなどを根拠データとして、2ページの一番上にあるように、それぞれの許容接種量が算出されることとなっております。こちらの数字については、諸外国においても現在こうした数字で管理を行っているという状況です。それから、具体的に()は、個々の成分について限度値がどうなるかというところです。NDMA、NDEAの測定法の現在の定量限界を考慮すると、原薬に対して限度値を設定することが妥当であると考えられておりまして、()の所で得られた数字を日本の1日最高用量で割り返す形で、それぞれ限度値というのが算出することができます。幾つかのサルタン系の医薬品原薬について算出したものが、()の所にある表のとおりとなっております。

 この管理に当っての不純物の測定ですが、こうした限度値以下であるということを確認できる水準で行う必要がありまして、国内ではGC/MS法が主に用いられていますが、海外ではGC/MSに加えて、LC/MS/MSといったような各種試験法が公表されています。このように国際的に調和されたガイドラインに基づいて国際的に科学的な妥当性の認められた考え方でリスク管理を行っていくというものです。

 最後に、管理対象の範囲と対応です。これまで国内においてもNDMA、NDEAの生成リスクのある医薬品への対応は個別に取ってきていたところですが、国際的な動向を踏まえてサルタン系の医薬品を製造する事業者を広く対象としまして、本考え方に基づいた製造管理をするという形での通知を出しております。説明は以上でございます。

○事務局 続いて、資料1-6、乾燥BCGワクチンの添付溶剤の品質問題に対する対応について御覧いただきたいと思います。1.経緯です。平成30年8月にBCG社から、そのワクチンの添付溶剤の生理食塩液の純度試験で規格値を超えたという報告がありまして、その後、ヒ素の定量試験を行ったところ、最大で0.26ppmが入っていることが分かったというものです。2番目は、ヒ素が検出された原因や対策です。原因を究明した結果、アンプル容器にヒ素が含有しておりまして、生理食塩液を充填後に熱をかける工程で、ヒ素がアンプル容器から溶け出て混入したためであることが判明しております。当該事実の判明後、市場への出荷を控えておりまして、他のアンプル容器のメーカーより、材質を変更したアンプル容器を納入して速やかに製造を開始しております。3番目は、健康への影響評価です。これも国立医薬品食品衛生研究所で、健康への影響評価を行っていただきました。その結果、最大0.26ppmのヒ素が入ったワクチンを接種した場合、また全量を注入された場合においても、1日許容量の約38分の1から77分の1になるということから、安全性においても問題ないレベルと評価されています。また、生理食塩液については、変更後のアンプル容器を用いて実製造を行われていますけれども、いずれもヒ素の規格には適合しているということです。

 4.安全対策調査会における検討ですが、以上について安全対策調査会に報告させていただいたところ、この問題となっているアンプル容器が使用された生理食塩液は、以前から使用されているものですけれども、最大0.26ppmのヒ素が含まれるワクチン接種し、仮に全量が入ったとしても、許容1日曝露量に照らすと、安全性に問題ないレベルであるということが確認されました。また、安全性に問題ないとは言え、新しい製品への切り替えや交換を速やかに行うべきで、今後は最終製品中のヒ素の濃度を確認することによって品質を確保すべき、また、医療機関等における混乱が生じないよう周知・徹底すべきということを対応すべきとされて、取りまとめを行っていただいております。

 5.その後の対応状況です。調査会での議論を踏まえて、11月6日及び7日に、BCG社に対して、添付した製品への切り換えを速やかに行うとともに医療機関の保有する製品との交換を速やかに行う、承認書の規格値を超えないことを確認する措置を講じること、医療機関などに対して調査会で議論された内容の周知を徹底するということを指導しております。11月8日には、自治体などに対してこの議論の取りまとめや、指導内容について周知を行ったりしています。1114日には、BCGワクチンの取扱いについて、新たな製品の供給時期や、供給される前の対応や、定期接種の接種時期について留意事項を自治体などに周知しております。1116日には、BCG社は新しい製品の出荷を開始したということです。以上でございます。

○五十嵐部会長 それでは、ただいまの説明に関して、何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか。

○乾委員 資料1-2のインフルエンザの患者さんへの注意喚起ということで、医療従事者向けと、患者と家族向けということで、非常にきれいなパンフレットを作っていただいたのですが、作って終わりではないというのは当然のことだと思いますけれども、この活用というのを前回の部会でも御意見が出て、学校との連携等が出ていたと思います。具体的にはどういう、ホームページに挙げるだけではないのだと思いますので、その辺で何か教えていただけたらと思います。よろしくお願いします。

○事務局 御意見ありがとうございます。例年もそうなのですが、こういった注意喚起については、まずは製造販売業者、それから、都道府県を通じて、そして日本薬剤師会も含めて団体に、こういった注意喚起をしてくださいということで通知を発出させていただいております。その中で学校関係者という意味では、文部科学省宛ての通知も発出しております。あとは、厚生労働省からの直接の発信という意味では、ホームページ上にインフルエンザ全体の感染症対策を示しているページがあります。そこに、この注意喚起資材を載せるように、今はまだできていないのですが、今後させていただく予定にしています。

○乾委員 ありがとうございます。医療機関や薬局では、そういう患者さんには当然ながら、その他の地域住民の方にも啓発する機会はありますけれども、インフルエンザによる異常行動による死亡がゼロになるように、より具体的に進めていただけたらというところで質問させていただきました。よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○宮崎委員 今の乾燥BCGワクチンのヒ素のことで教えていただきたいのですが、実際には安全対策上は問題がなかったということで問題ないと思いますが、この規格値が0.1ppmで、実際に2倍以上の値が検出されたということがありましたが、実際に問題がないということです。それはそれでいいと思いますが、そこら辺の数値の設定の仕方というのが難しいところではないかと思いました。0.1というのは工業的にといいますか、技術水準的にはその程度のことが可能なので、こういった数値が設定されているという理解でよろしいのでしょうか。安全対策に今すごく重要というわけではないので、今でなくても構いませんけれども。

○監視指導・麻薬対策課長 これは日本薬局方の規格なのです。日本薬局方の規格でありますが、基本的には、例えば重金属の設定など、幾つかこういうもの、今、そういう意味では毒性が知られているものについて不純物としての規格が設定されています。基本の考えは、極力低くするということが前提で、過去に、かなり前から、このレベルを設定されたのは事実ですけれども、可能な限り低くするという考え方で設定されているというのは現在の日本薬局方の規格の考え方だろうと認識しています。

○宮崎委員 経験的にできる範囲でされているということで理解いたしました。ありがとうございます。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいでしょうか。

 それでは、議題2の医薬品等の副作用等報告の状況について、資料の説明をお願いします。

○事務局 資料2-1から資料2-6について御説明いたします。資料2-1を御覧ください。医薬品医療機器法の第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用等報告について御説明いたします。まず、報告期間についてです。前回の報告期間は、平成2912月1日から平成30年3月31日まででしたので、今回の報告期間は、平成30年4月1日から平成30年7月31日までです。

 1.製造販売業者からの報告について御報告いたします。()には、国内症例の副作用等報告について、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、化粧品における報告件数をお示ししており、その内訳は資料2-2にまとめてお示ししております。なお、医薬品たるコンビネーション製品とは、インスリンペン注等、機械器具等と一体的に販売するものとして承認を受けた医薬品を言います。()には、外国からの副作用等報告について、医薬品、医薬品たるコンビネーション製品における報告件数をお示ししております。()には、外国での新たな措置の報告件数をお示ししており、その内容は資料2-3にお示ししております。次ページ、()には、研究報告の報告件数をお示ししており、報告された文献等のリストは資料2-4にお示ししております。

 次に、2.医薬関係者からの報告について御報告いたします。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告と、ワクチン類の副反応報告とに分けてお示ししており、これらのうち、重篤症例については、企業若しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が詳細調査を行うこととしておりますので、重篤なものの件数及び、そのうち機構が詳細調査を行った報告の件数についてもお示ししております。なお、機構が詳細調査を行った報告の内訳については、資料2-5にまとめてお示ししております。

 最後に、3.副作用救済給付又は感染症救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告について御報告いたします。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付についてお示ししております。なお、その内訳は、資料2-6にまとめてお示ししております。以上で、資料2の説明を終わります。

○五十嵐部会長 では、資料2の全般に関して、何か御質問等はありますでしょうか。特によろしいですか。

 それでは、議題3、医薬品の感染症定期報告の状況について、資料の説明をお願いします。

○事務局 議題3、感染症定期報告について御報告いたします。資料はお手元のタブレットの資料3-1と、資料3-2になります。まず、感染症定期報告について、制度の概要を御説明いたします。

 医薬品医療機器等法に基づく副作用等報告におきましては、製造販売業者から、その製造販売をする医薬品によるものと疑われる副作用・感染症を報告することが義務付けられております。他方で、血液製剤やワクチン等の生物由来製品については、その原料は、ヒトその他の生物に由来するため、細菌、ウイルス等が含まれている可能性が完全には否定できません。また、その感染症自体の性質として、時間の経過に伴い軽減することなく一定期間後に症状が顕在化してくるという可能性もあります。このような性質を踏まえて、生物由来製品については、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、定期的に、製品の原料、材料による感染症に関する報告を行うことを義務付けており、これが感染症定期報告です。

 なお、感染症定期報告で寄せられたものについては、本医薬品等安全対策部会のほか、血液事業部会運営委員会において報告を行っております。以上が、感染症定期報告の概要です。

 続いて、資料3-1を御覧ください。今回の報告は、本年4月1日から7月31日に報告されたものをまとめております。資料3-1と資料3-2がありますが、資料3-2は、重複を含む期間中の全ての報告になり、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものを資料3-1にまとめております。詳細な説明は省略いたしますが、今回新たに報告された文献は56件ありました。全体の傾向として、今回についてはインフルエンザの関係が11件、HIV感染、A型肝炎が7件、E型肝炎の関係が6件報告されています。これらの報告については、国立感染症研究所の脇田委員、宮崎委員、国立医薬品食品衛生研究所の石井委員に事前に御確認いただき、御意見、コメントを頂いております。

 今回について、全ての委員より事前のコメントがありましたので、事務局より概要を御紹介するとともに、コメントに対する回答をさせていただきます。2ページのE型肝炎に関する報告について、脇田委員、宮崎委員より、「日本における血液製剤のHEVのNAT検査の導入が急がれる」、石井委員より、「本邦における献血血液のHEV検査導入の検討状況について御説明をお願いします」とのコメントを頂いております。本コメントについて、事務局から回答させていただきます。先の部会でも御説明したとおり、献血血液に対するHEV検査については、血液事業部会安全技術調査会での議論を経て、現在、日本赤十字社がHEVスクリーニングとして、4価NATの導入を検討しているところです。本件については試薬の開発等に時間を要すると承知しておりますが、検討が進みましたら、本部会でも御報告させていただきたいと考えております。

 次に、3ページの16番、HIV感染に関する報告について、石井委員より、「日本でも検討がなされているかの説明をお願いします」との御意見を頂いております。本コメントについて、事務局から回答させていただきます。本邦では、HIVについて抗体検査とNATを導入しており、さらに感染ごく初期のものを検出するために問診にて6か月以内にリスク行為のあった者及び過去にHIV検査の結果が陽性だった者については、献血できないこととなっております。現時点で献血延期期間について見直す等の動きは把握しておりませんが、先に申し上げたとおり、血液事業部会にも本感染症定期報告の状況は報告しておりますので、今後、必要な場合は、血液事業部会において議論されることになると承知しております。

 次に、4ページの35番、日本脳炎B型に関する報告について、石井委員より、「日本では同様の報告がないか、また、輸血用血液のJEV検査の必要がないか御説明をお願いします」とのコメントを頂いております。本コメントについて、事務局から回答させていただきます。本邦において、把握している限りにおいて同様の報告はなく、現時点で追加の対応を取るという動きも把握しておりません。ただ、本報告についても血液事業部会に報告しておりますので、必要な場合には血液事業部会において議論されることになると承知しております。事務局からは以上でございます。

○五十嵐部会長 何か御質問等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、予定しておりました本日の議題は、これで終了になります。事務局から何か連絡事項等はありますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐部会長 それでは、本日の部会は、これで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

( 了 )

 

 

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課 課長補佐 太田(内線2752)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会)> 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録(2018年11月30日)

ページの先頭へ戻る