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2018年8月3日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

○日時

平成30年8月3日(金)14:00~

 

○場所

新橋会議室8E

○出席者

出席委員(18名)五十音順

◎五十嵐   隆、 石 井 明 子、 伊 藤 清 美、  乾    英 夫、
  薄 井 紀 子、 城 守 国 斗、 後 藤 功 一、  小 松 康 宏、 
  小宮根 真 弓、 佐 藤    薫、 佐 藤 泰 憲、  清 水    渉、
  戸 部 依 子、 舟 越 亮 寛、 宮 﨑 義 継、○望 月 眞 弓、
  萬    知 子、 脇 田 隆 字
 

欠席委員(6名)

 柿 崎    暁、 金 澤    實、 斎 藤    充、 三 村    將、
 村 島 温 子、 矢 野    哲
  (注)◎部会長 ○部会長代理
 

行政機関出席者

 宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
 森    和 彦 (大臣官房審議官)
 関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
 江 野 英 夫 (安全使用推進室長)
 森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
 他

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、平成30年度第1回医薬品等安全対策部会を開催いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、暑い中、そして御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本日の部会は公開で行います。カメラ撮りに関しましては、議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。傍聴されている方々におかれましては、お手元にお配りしています留意事項の厳守をお願いいたします。
なお、厚生労働省ではクールビズを実施しております。事務局は軽装で失礼させていただいておりますので、委員の先生方あるいは傍聴の方々も含めましても、上着をお召しになられている方は適宜お脱ぎいただく等御対応をお願いしたいと思います。
本日の出欠状況ですが、柿崎委員、金澤委員、斎藤委員、三村委員、村島委員、矢野委員の6名の先生方より欠席との連絡を頂いております。そして、先ほどお話しましたとおり、小松委員が今こちらに向かっていると思いますが、現在不在ということで、本部会の定員は全体で24名でして、そのうち欠席の方6名と小松委員で7名不在ですが、17名出席していただいていますので、定足数を満たしていることを御報告させていただきます。
次に、本日の部会から委員として御参画いただくことになりました4名の先生方を御紹介いたします。まずお一人目ですが、公益社団法人日本医師会常任理事でいらっしゃった今村委員の後任として、日本医師会の常任理事であります城守国斗委員が着任されております。一言御挨拶をお願いいたします。
○城守委員 城守です。何とぞよろしくお願い申し上げます。
○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。次に、一般社団法人日本病院薬剤師会の専務理事でおられました遠藤委員の後任として、亀田総合病院薬剤部長の舟越亮寛委員が着任されています。一言お願いいたします。
○舟越委員 亀田総合病院から来ました舟越と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。次に、国立感染症研究所ハンセン病研究センターのセンター長でいらっしゃった石井則久先生の後任として、同研究所の真菌部長であります宮崎義継委員に着任していただいております。御挨拶をお願いいたします。
○宮崎委員 宮崎です。ハンセン病研究センター長と真菌部長を兼任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。次に、国立感染症研究所所長でいらっしゃった倉根一郎委員の後任として、同研究所の所長であります脇田隆字委員が着任しています。一言お願いいたします。
○脇田委員 4月に所長を拝命いたしました脇田と申します。よろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 よろしくお願いいたします。
ただいま紹介しましたとおり、これまで遠藤委員に部会長代理をお願いしておりましたが、今回の退任に伴い、本日改めて部会長代理を選出する必要があります。薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規程に基づきますと、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指定する方がその職務を代理することとなっており、部会長代理につきましては部会長から御指名いただくこととなっておりますので、部会長の五十嵐委員より指名をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 それでは、これまでこの部会での御経験も十分おありの望月先生にお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 望月先生はお席の方を移動していただいて、移動後に一言御挨拶を頂ければと思います。
○望月部会長代理 慶應義塾大学の薬学部の教授で、病院の薬剤部長を兼務しております望月と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬安全対策課長 ありがとうございました。それでは、ここから議事に入りますので、冒頭のカメラ撮りをされている方はここまでとさせていただきます。御理解、御協力をお願いいたします。この後の進行は部会長の五十嵐委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 では、早速議事に入ります。初めに、この審議の参加に関する遵守事項について事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議事参加に関する遵守事項について御報告いたします。本日の議題は、全て報告事項であり、審議事項はございませんので、利益相反状況についての報告はございません。
続いて、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと規定しております。今回、全ての委員の皆様より薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。議事に関する遵守事項についての説明、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果の報告は以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から配布資料の説明をお願いいたします。
○事務局 資料については、前回部会に引き続きペーパーレス化を実施しており、各委員におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレットでの会議が初めての先生もいらっしゃいますので、まず初めにタブレット端末の操作方法について説明いたします。
○事務局 タブレットの使用方法について御説明いたします。ペーパーレス審議会等タブレット操作説明書をお手元に御用意いただき、併せて御確認ください。まず、タブレット操作説明書の1ページを御覧ください。タブレットの側面にあります電源ボタンを押して電源を入れていただき、画面が表示されましたら画面を上にスライドしてください。サインインのボタンが表示されましたらタップしていただき、ロックを解除してください。すると、議事次第が表示されますことを御確認ください。表示されない場合は、事務局員にお声掛けください。
2ページの資料の切り替え方法について御説明いたします。資料を切り替える際は、まず画面下の黄色いフォルダアイコンをタップしてください。すると、資料一覧が表示されます。参照したい資料をタップすることで、資料が表示されます。資料の閲覧方法ですが、資料を指でスライドさせることで資料をめくることが可能です。その他操作方法については、操作説明書に記載しておりますので、各位御参照ください。
なお、セキュリティ上一定時間操作しておりませんと、画面がスリープになるよう設定しております。スリープ状態になりましたら、再度1ページの起動の操作をしていただくようお願いいたします。御不明な点、また、タブレットに不具合等ございましたら事務局員にお申出ください。
続いて、配布資料の御説明をいたします。構成員、参考人の皆様は画面下の黄色いフォルダアイコンをタップしていただき、資料一覧を御覧ください。傍聴の皆様におかれましては議事次第、資料一覧の2ページを御覧ください。本日の資料は、議題1については資料1-1~1-8、議題2については資料2-1~2-6及び参考資料、議題3については資料3-1及び3-2、議題4については資料4-1及び4-2、議題5については資料5となっております。
また、議事次第、資料一覧、委員名簿、座席表もございますので、適宜御参照ください。不足資料がございましたら事務局までお申出ください。説明は以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。何か御質問はございますか。では、議事に入りたいと思います。まず議題1、「医薬品等の市販後安全対策について」事務局から資料の説明を頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○事務局 資料1-1、「平成29年度の安全対策について」御説明いたします。まず1ページの「1.過去5年間(平成25年度から平成29年度)の副作用等の報告数の推移」を御覧ください。副作用等については、医薬品医療機器法第68条の10第1項の規定により、製造販売業者は医薬品等の副作用による疾病の発生等を知った際は、報告することが義務付けられております。また、医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者についても、同条第2項の規定により、医薬関係者が保健衛生上の危害の発生、拡大を防止するために必要があると認める際は、副作用等を報告することが義務付けられています。
(1)では、医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品を含む医薬品の国内副作用等報告についてお示ししております。平成29年度の製造販売業者からの副作用報告は60,872件、医薬関係者からの副作用報告は7,624件でした。
(2)では、平成26年11月より報告の対象となったコンビネーション医薬品の不具合報告、(3)では、平成26年4月より報告の対象となった医薬部外品、化粧品の報告について件数をお示ししております。
2ページの「2.安全対策上の措置数の推移」では、厚生労働省が行った過去5年間の使用上の注意改訂指示等、安全対策上の措置数の推移を示しております。平成29年度は、合計219件、「使用上の注意」の改訂指示をいたしました。
3ページの「3.平成29年度の安全対策について」では、(1)には平成29年度の当部会の開催結果概要、(2)には安全対策調査会の開催結果概要をお示ししています。8ページの(3)では、当課が発行しております医薬品・医療機器等安全性情報に掲載した記事をお示ししています。
続いて、9ページです。機構のホームページに掲載しております過去5年間の副作用報告の公表数をお示ししています。10~15ページには、機構のホームページに公表した副作用報告のうち、因果関係が否定できない死亡症例のラインリストをお示ししています。また、16ページ以降に因果関係不明なものも含め、公表した全ての死亡症例のラインリストをお示ししております。資料1-1については以上です。
続いて、資料1-2、「医薬品等の使用上の注意の改訂」について御説明いたします。平成30年3月に開催された平成29年度第3回医薬品等安全対策部会終了後から本日までの間に、改訂指示通知を発出した品目の一覧をお示ししております。これらの使用上の注意については、本部会の先生方に事前に御確認いただいたものであり、また改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページと医薬品・医療機器等安全性情報にも掲載しています。資料1-2については以上です。
○事務局 続いて、資料1-3を御覧ください。ワクチンの安全性に関する評価についてです。本年3月23日、5月28日、7月23日に開催された安全対策調査会と厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会との合同会議において、ワクチンの安全性について評価を頂きました。まず、1ページの1のHPVワクチンの報告状況です。昨年9月から本年4月末までの報告状況について集計した結果が表1のとおりになりますが、安全性への懸念となる症例集積は認められませんでした。また、HPVワクチンの情報提供に関する評価についてですが、HPVワクチンの情報提供に関する評価の視点や方法について審議がなされております。
麻しん、風しん等の各ワクチンの報告状況です。昨年9月から本年4月末までの報告状況について集計した結果が表2のとおりになります。これまでと比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を採る必要はないとの評価を頂いております。(2)死亡症例については、今回の評価対象期間中に14例の症例が報告されましたが、専門家による評価の結果、いずれの症例もワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められていないとの評価を頂いています。
続いて、3のインフルエンザワクチンの報告状況です。2017/2018年シーズンの報告状況について、2016/2017年シーズンとの比較を表3にお示ししております。2016/2017シーズンと比べ、特段高いという状況ではなく、新たな安全対策措置を採る必要はないとの御評価を頂いています。(2)死亡症例については、対象期間内に9例の報告があり、専門家による評価の結果、うち1例はワクチン接種と死亡との因果関係が否定できないと評価いただいています。
続いて、4の百日せき、ジフテリア等の報告状況です。昨年11月から本年2月末までの報告状況について集計した結果が表4のとおりです。これまでと比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を採る必要はないとの評価を頂いております。4ページの(2)死亡症例の評価についてです。今回の評価対象期間中に、同時接種症例で3例死亡症例が報告されましたが、専門家による評価の結果、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められないと評価いただいています。
最後に、5の「予防接種に関する基本的な計画」におけるPDCAサイクルに係る検討についてです。こちらは、副反応疑い報告制度に基づくワクチンの安全性の評価に関する取組状況や課題について審議がなされております。資料1-3は以上です。
○事務局 資料1-4です。議題1-4、「アドレナリン製剤の使用上の注意の改訂について」御説明いたします。アドレナリン製剤は、皮膚や粘膜の血管を収縮させ、昇圧作用を示すα1刺激作用、心拍数、心筋収縮力及び心拍出量を増加させ、強心作用を示すβ1刺激作用、骨格筋、冠動脈を含む内臓の血管の拡張等の作用を示すβ2刺激作用を有しており、アナフィラキシーの補助治療に使用される自己注射タイプのエピペンや、アナフィラキシーショックを含めショックの補助治療等に効能を有し、医療機関で使用されるタイプのボスミンなどが製造販売されております。
これらアドレナリン製剤の添付文書では、リスペリドンやアリピプラゾール等のα遮断作用を有する抗精神病薬との併用により、α1受容体が遮断され、アドレナリン製剤のβ2受容体刺激作用が優位になることで昇圧作用の反転による血圧低下が生じるおそれがあるため、併用が禁忌とされておりました。この併用禁忌に対して、平成29年6月に日本アレルギー学会より欧米の添付文書やガイドラインでアドレナリン製剤とα遮断作用を有する抗精神病薬との併用が禁忌とされていないことや、食物アレルギーによるアナフィラキシーと自閉症等の発達障害の合併症例が増加傾向にあり、医療現場でも併用する機会が増えてきていることから、禁忌を解除する要望書が提出されました。
この要望書を受けて、アドレナリン製剤とα遮断作用を有する抗精神病薬との併用に関する安全性について調査した結果を(1)から(3)にまとめております。まず、(1)についてですが、米国及び英国のアドレナリン製剤の添付文書においてα遮断作用を有する抗精神病薬は併用禁忌となっておらず、相互作用の項において、併用により昇圧反転を引き起こす旨のみ記載されている状況。2点目は、国内外のガイドライン等において、アドレナリン製剤の投与はアナフィラキシー治療の第1選択とされており、α遮断作用を有する抗精神病薬との併用について禁忌に関する記載はない。3点目の国内における副作用報告の集積状況については、アドレナリン製剤とα遮断作用を有する抗精神病薬との併用による血圧低下関連症例は5例報告されておりますが、いずれも回復している状況です。
以上の調査結果を踏まえ、3ページからの別紙1に示すとおり併用の禁忌を削除し、4ページに示すとおり併用注意の項にて薬理学的に昇圧反転が起こる可能性がある旨の改訂をしております。また、7ページ以降になりますが、アドレナリン製剤の添付文書の改訂に合わせて、α遮断作用を有する抗精神病薬の添付文書も改訂しています。議題1-4については以上です。
○事務局 続きまして、プロポフォール製剤の使用上の注意の改訂について御説明いたします。資料1-5を御覧ください。品目の概要です。本剤は「全身麻酔の導入及び維持」及び「集中治療における人工呼吸中の鎮静」を効能・効果とする全身麻酔・鎮静用剤です。改訂の背景は、本薬は妊産婦に投与した場合に、臍帯静脈及び臍帯動脈血中に本薬が認められ、胎児へ移行することが報告されていること、また、新生児において、筋緊張低下等が見られたことが報告されていたことから、承認時より妊産婦への投与を「禁忌」としてきました。これに対して、平成28年2月、公益社団法人日本麻酔科学会より要望書が提出され、学会からの要望内容は、(1)本薬の海外添付文書では妊産婦は禁忌に設定されていないこと、(2)欧米では妊産婦に対するプロポフォールの使用は標準的治療法に位置付けられていることから、妊産婦に対しても本薬の投与が可能となるよう添付文書の改訂を要望するというものです。
「3.調査会での検討結果」です。調査会は本年3月15日に開催された安全対策調査会において、日本麻酔科学会の参考人御出席の下に御審議いただき、こちらに記載されます(1)~(4)の理由により、「禁忌」の項から妊産婦を削除し、妊産婦への投与は治療上の有益性が危険性を上回る場合に投与する旨の注意喚起に変更することで差し支えないと判断されました。理由は、(1)胎児への移行は認められるものの、本邦における相当の臨床使用実績があり、本邦の副作用報告で認められた新生児の呼吸抑制等は、いずれも適切な処置により回復し、重篤な転帰に至った症例はないこと。(2)本邦の学会ガイドラインにおいて、本薬は帝王切開における全身麻酔薬、妊娠中の産科以外の手術に対する全身麻酔薬及び集中治療における人工呼吸中の鎮静薬の選択肢とされていること。(3)米国ガイドライン等において、本薬は帝王切開における全身麻酔薬の選択肢とされていること。(4)催奇形性に係る知見は得られていないことといったものが主な理由です。具体的な改訂内容につきましては、3ページの別紙1に記載しておりますので、こちらを御確認ください。
以上の結果を踏まえ、厚生労働省ではプロポフォール製剤について、使用上の注意の改訂を指示する通知を、4ページの別紙2のとおり、平成30年3月27日に発出しております。資料1-5の説明は以上です。
○事務局 続きまして、免疫抑制剤の使用上の注意改訂について御説明いたします。資料1-6を御用意ください。1.品目の概要です。一般名として、タクロリムス水和物、シクロスポリン、アザチオプリンの3剤となりまして、効能・効果は臓器移植における拒絶反応の抑制等になっております。
2.背景です。厚生労働省の委託事業として国立成育医療研究センターでは、妊娠と薬情報センター事業を実施し、妊婦等の服薬についての相談業務を実施しています。また平成28年度から、当該センターに蓄積された情報の整理・評価を行い、妊婦等への医薬品投与に関する情報の添付文書への反映を推進する取組を行っているところです。近年、免疫抑制剤による臓器移植患者の長期予後の改善等に伴い、妊娠可能年齢の患者の妊娠中における治療継続が課題となっており、当該センターでの相談件数も、当該免疫抑制剤3剤関係で、平成17年10月以降295件に上るなど、医療上の必要性が指摘されております。これらの状況も踏まえ、当該センターの専門家によるワーキンググループにより、国内外の安全性情報の評価・分析に基づいて、当該免疫抑制剤3剤の添付文書における妊婦等への注意喚起について見直しが検討され、報告書が取りまとめられました。
3.として、妊娠と薬情報センターのワーキングでの検討内容をお示ししております。ワーキングでの評価・分析により、当該免疫抑制剤3剤において、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨を注意喚起した上で、禁忌を解除することが適当であるとの結果が得られております。理由の1点目は動物試験では過去に催奇形性が報告されているが、センターで網羅的に収集し評価した海外の疫学研究の結果では、免疫抑制剤を投与された妊婦において、胎児の先天奇形の発生率が優位に上昇したという報告はないこと。2点目は国内外のガイドライン等において、妊娠中であっても使用可能な医薬品とされていること。3点目は欧米等6か国の添付文書において、妊婦への投与は禁忌とされておらず、潜在的有益性が胎児への潜在的危険性を上回る場合にのみ投与できるとされていることです。
ワーキングでの検討を元に機構から以下の添付文書の改訂案が提案されております。1点目は妊婦又は妊娠している可能性のある女性に対する禁忌を解除する。2点目は妊婦、産婦、授乳婦等への投与の項において、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する旨の注意喚起を記載するというものです。
続いて、4.調査会での検討結果です。別紙1にお示していますのが改訂案になりますので、併せて御覧ください。平成30年6月26日に開催された安全対策調査会において、上記の内容が了承されております。5.調査会の結果を受けて実施した措置ですが、厚生労働省では当該免疫抑制剤3剤について、添付文書の改訂指示通知を、平成30年7月10日に発出しております。以上となります。
○事務局 続きまして、抗インフルエンザウイルス薬の安全対策について、資料1-7-1及び1-7-2を御覧ください。まず、資料1-7-1の1ページから、経緯を御説明いたします。平成19年にタミフルを服用した中学生の転落死2例が大きく報道されたことを受け、タミフル服用と異常行動との因果関係は不明であるものの、異常行動に関する注意喚起を医療機関に対して行いました。併せて添付文書の警告欄に予防的措置として、タミフルの10代患者への原則使用差し控え措置を記載しております。その後、平成21年に、タミフルの服用と異常行動等との関係に関して、安全対策調査会及びその下に設置したワーキンググループにおいて報告書を取りまとめました。その結果として、タミフルと異常行動との関係について明確な結論を出すことは困難ということで、引き続きタミフルに対する10代患者への原則使用差し控え措置は継続されることとなりました。
一方で、タミフル以外の抗インフルエンザウイルス薬、リレンザ、ラピアクタ、イナビルに関しては、10代患者への原則使用差し控え措置はなく、異常行動の発現のおそれに関する注意喚起が添付文書の重要な基本的注意の欄に記載されています。タミフルが他の抗インフルエンザウイルス薬よりもより強い注意喚起が行われているという状況です。
その後、安全対策調査会において、毎年前年の流行シーズン中の異常行動等の副作用報告状況、あるいは川崎市健康安全研究所の岡部先生に行っていただいている疫学調査の結果などを踏まえ、その次のシーズンに向けた安全対策の在り方を審議してまいりました。そこではタミフルの10代患者への原則使用差し控え措置を含めた安全対策措置は継続という結論を得ていた一方で、約10年にわたる知見を踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬全体の議論も必要という御指摘を頂いておりました。このような経緯を踏まえ、平成21年に1度取りまとめられました報告書以降の知見を改めて整理しまして、本年5月16日及び7月13日の安全対策調査会において、今後の抗インフルエンザウイルス薬の安全対策を御議論いただきました。
2ページをお願いします。その調査会での議論の方向性について説明します。平成21年に取りまとめられた報告書以降の知見を改めて整理し、報告書をまとめました。具体的には資料1-7-2として報告書を付けておりますので、御参照ください。その報告書でまとめられた非臨床研究あるいは疫学研究といった科学的な知見を総括した結果、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無、あるいはその薬の種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時には異常行動が発現する、また、タミフル及びその他の抗インフルエンザウイルス薬ともに、発現頻度は10代と更に小さい10歳未満とで明確な差はないことが確認されました。
それらの知見を踏まえ、薬剤と異常行動との因果関係の否定は困難で、因果関係についていまだ不明と言わざるを得ない状況ではありますが、タミフルのみ積極的に10代患者への原則使用差し控えの予防的措置を取る必要性は乏しいという御議論を頂きました。また、今後はタミフルのみに強い注意喚起を継続するのではなく、いずれの薬剤の服用時も含め、重度の異常行動については就学以降の小児、未成年者の男性で報告が多いといったことも踏まえ、インフルエンザ罹患時の患者全般に幅広く異常行動のリスクがあることを注意喚起できるよう、より一層の医療関係者あるいは保護者への周知徹底を図るべきという御意見を頂きました。その際に、全ての抗インフルエンザウイルス薬で整合性のある注意喚起とすべきという御意見を頂き、その理由として、タミフルのみ注意喚起を強めているという状況が、他の薬剤の方が安全だという誤った認識が生まれるのではないかといった懸念、あるいは、学会のガイドライン等でも重篤な患者にはタミフルの投与の必要性が指摘されており、10代への原則使用差し控え措置があることにより、治療機会の損失につながるのではないかといった懸念があるという御議論を頂いたところです。
これらの2回の安全対策調査会での御議論を踏まえ、抗インフルエンザウイルス薬全体の添付文書の改訂、インフルエンザ罹患時の異常行動に関する注意喚起の徹底の2点についても御議論いただきまして、具体的には、3、4ページに添付文書の改訂文言を載せておりますけれども、これまで警告欄に記載をしていましたタミフルの10代患者への原則使用差し控え措置は削除する、また、タミフルのみ警告欄に記載していました異常行動に関する注意喚起については、全ての抗インフルエンザウイルス薬で重要な基本的注意の項でそろえるという改訂を今後したいと考えております。
5、6ページはインフルエンザ罹患時の注意喚起として、5ページが医療従事者向け、6ページが患者あるいはその御家族向けです。情報提供の資材についても御議論いただき、このような資材の形で、関連学会あるいは製造販売業者、それから日本医師会、日本薬剤師会等の職能団体などを通じて注意喚起をすべきとの御議論を頂いたところです。抗インフルエンザウイルス薬の安全対策については以上です。
○事務局 議題1-8について、資料1-8を御覧ください。TERMS及びRevMateの改訂についてになります。まず、TERMS・RevMateについて簡単に御説明いたします。多発性骨髄腫の治療薬であるサリドマイドとその類似の化学構造を有するレナリドミドとポマリドミドは催奇形性を有することから、承認時に胎児ばく露防止を目的とした安全管理手順として藤本製薬が製造販売するサリドマイドはTERMS、セルジーン株式会社が製造販売するレナリドミドとポマリドミドはRevMateの実施が義務付けられています。このTERMS・RevMateとは、胎児ばく露を防止するために医療関係者、患者それぞれが本剤の催奇形性のリスクを理解し、妊娠の可能性がある女性には処方前に妊娠検査を行うほか、第三者に薬剤が渡ることがないよう適切に薬剤管理が行われ、医療関係者、患者ともに定期的に薬剤管理等が遵守できているか確認し、処方は病院に限定するなど、厳格な安全管理手順となっています。
16ページの参考資料に沿って、TERMS・RevMateの流れについて御説明します。まずマル1~マル4は処方を行うまでの手順になりますが、医師、薬剤師、患者は必要な教育を受けた上で、藤本製薬のTERMS管理センターに登録が必要となります。マル5~マル11は処方時の手順になりますが、医師、薬剤師は患者に対して診察時や薬剤交付の際などに、催奇形性に関する説明、妊娠検査、残薬数の確認などを行います。
次の17ページのRevMateもTERMSと同様の流れになります。最初の1ページに戻り、1の背景の中ほどに記載していますが、このTERMS・RevMateには、それぞれ医師、病院薬剤師、患者会、被害者の会等から構成される第三者評価委員会が設置されており、定期的に会議を開いてTERMS・RevMateが適切に運用されているか議論をしております。今般、両第三者評価委員会の調査や意見を踏まえ、今年4月に第8回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会において、TERMS・RevMateの改訂の必要性について審議を行いました。この検討会の議論と今年5月から6月に実施しましたパブリックコメントで寄せられた意見を踏まえ、6月末の安全対策調査会にて、TERMS・RevMateの改訂案について審議を行い、改訂案が了承されております。
主な改訂点について説明します。まず1点目は、(1)薬剤管理者の要件の見直しです。薬剤管理者とは、患者以外の者で誤飲防止や不要になった薬剤を返却するなど、患者に代わって薬剤の管理を行う者で、患者自身で適切に管理できるのであれば薬剤管理者の設置は省略できるという手順となっております。この薬剤管理者に関して、RevMate第三者評価委員会によるアンケート調査から、薬剤管理者を設置していない患者に対して、患者本人が薬剤管理できなくなってきた場合などに設置するタイミングの指標がない、管理者になり得る人がいないといった意見が挙げられていました。また今後、高齢化の進行等により患者自身で薬剤管理することが困難な患者が増え、薬剤の処方を受けている患者が介護施設等に入所するなどのケースも想定されるため、今回新たに薬剤管理者の要件を見直しました。満たすべき要点として、3点になります。マル1本剤が胎児に障害を起こす可能性があることを理解している者。マル2処方された本剤を患者以外に共有したり、譲ってはならないことを理解している者。マル3患者と定期的に接する機会がある者。以上の要件を全て満たすと処方医師が判断した患者の身近な者(家族、親戚、近隣住民)、医療関係者又は介護職員等としております。
続いて2ページの、残薬の回収についてです。こちらは平成30年2月に開催されたTERMS第三者評価委員会においての企業からの報告です。死亡した患者の残薬を回収するために、企業が薬剤師に対して患者の個人情報の取得を試みたという薬剤紛失事例の報告に対して、TERMS第三者評価委員会の委員より、現実的かつ社会的に許容可能な対応を検討する必要があるのではないかと指摘がありました。検討会では独居の方が亡くなり、そこに誰かが踏み込んでその薬をわざわざ見つけて飲むというのは非常に考えにくい。患者の同意なしに医療関係者や企業が居宅を訪問することは問題ではあるが、原則回収すべきであるなどの意見もあり、枠囲みの箇所になりますが、TERMS・RevMateにこの文言を追記しております。
3点目、TERMSに関する女性患者Cの同意書の改訂についてです。まず、女性患者Cについて、TERMS・RevMate両方の手順とも患者群を男性患者A、妊娠可能性がない女性患者B、妊娠の可能性がある女性患者Cの3つの群に分けております。5ページの別紙1を御覧ください。こちらはTERMSの妊娠の可能性がある女性患者Cの同意書になります。四角で囲った箇所の「また、必要に応じてパートナーの情報を藤本製薬に提供することを承諾します」という記載について、TERMS第三者評価委員会から、女性患者Cのパートナーの情報を企業に提供することによって、胎児ばく露防止につながるとは考えにくく、削除すべきとの指摘があったことから、現行のRevMateにこの記載がないことも考慮し、この文言を削除いたしました。
続いて3ページに戻りまして、4点目の改訂、定期確認票の運用の見直しについてです。まず、7ページの別紙2を御覧ください。こちらはTERMSの定期確認票になります。定期確認票とは、薬剤管理や避妊に関する確認事項を患者自身が記入し、医師に報告するものです。男性患者Aは2か月ごとに、妊娠の可能性のある女性患者Cは毎月、薬剤管理と避妊に関する事項を医師に報告して、妊娠の可能性がない女性患者Bについては、6か月ごとに薬剤管理に関する事項のみ医師に報告しております。定期確認票の流れについては、14ページの別紙3を御覧ください。まず薬剤師など医療関係者が患者に対して、次回来院時に定期確認票に必要事項を記入し提出するよう依頼します。患者は次の診察時に定期確認票を医師に提出し、医師は定期確認票の内容を確認した上で、薬剤師に渡します。薬剤師は定期確認票の内容を確認した上で、患者に薬剤を交付します。以上が医療機関の中での定期確認票の流れになります。
3ページに戻ります。定期確認票の運用の改訂についてです。現行の定期確認票は患者が医師に提出する流れとなっていましたが、RevMate第三者評価委員会で行った医師、薬剤師を対象にしたアンケート調査によると、医師、薬剤師ともに定期確認票の提出は「薬剤師」が最も良いと考えていることが明らかになりました。このアンケート結果を踏まえ、定期確認票の提出先に医師のほかに、薬剤師も追加することとしております。
続いてマル2の平成30年4月の検討会、第8回サリドマイド及びレナリドミドの安全管理に関する検討会において、定期確認票の必要性に関しても議論がなされました。現行の手順では、薬剤管理や避妊が適切に行われているかを患者自身が記入する定期確認票のほかに、医師と薬剤師が記入する遵守状況確認票というものを用いた確認の二重にチェックしている状況で、この確認が医師、薬剤師による遵守状況確認票を用いたチェックのみでよいのではないかという案がございましたが、多くの委員から、定期確認票の効果に関するデータがない中で、定期確認票の必要性に関して判断することが困難という意見がございました。この意見を踏まえ、今後定期確認票の効果に関する調査研究を実施することになっております。なお、妊娠の可能性がない女性患者Bについては定期確認票を半年に1回、薬剤管理に関する確認を行っているのみであるため、薬剤管理の確認は医療関係者が診察時ごとに遵守状況確認票を用いて適切に管理することでよいという結論になっております。
以上を踏まえた改訂の概要は枠で囲った部分のとおり、男性患者A、妊娠の可能性のある女性患者Cの定期確認票の提出先を、医師又は薬剤師とする。妊娠の可能性がない女性患者Bの定期確認票は廃止し、これまで定期確認票で確認していた患者の薬剤管理の遵守状況については、遵守状況確認票を用いて医療関係者が確認するとなっております。
なお、RevMateで使用されていた端末が変更になることに伴い、システムの改修を予定しております。そのシステム改修に伴う事務的な改訂を含めて、TERMS・RevMateともに年明け1月辺りに改訂を予定しております。TERMS・RevMateの改訂に関する報告は以上になります。議題1は以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。資料1-1~1-8までの御説明について、何か御質問、御意見等はございますか。
○薄井委員 慈恵医大の薄井です。最初の平成29年度の安全対策で、インフルエンザのワクチンの死亡例で関連性があるのは1例と御報告があったのですが、その理由を簡単で結構ですので、教えていただきたいと思います。
○事務局 事務局よりお答えいたします。本症例ですが、80歳代女性で、ワクチン接種後に下痢、嘔吐、血圧低下、アナフィラキシー等の症状を発現したということでして、時間的なところからも因果関係が否定できないと評価された症例です。
○薄井委員 ありがとうございます。そうしますと、その方については、それ以外のものは時間的な経過からすると考えにくいという判断でよろしいですか。
○事務局 はい、特にそれ以外の症例については、否定できないという評価に至った症例はありません。
○薄井委員 ありがとうございます。
○五十嵐部会長 ほかはいかがでしょうか。
○薄井委員 インフルエンザつながりでもう一つあります。資料1-7で頂いた、これも以前に議論をしたことは覚えているのですが、異常行動については様々な方法で、きちんと国民の皆さんに知っていただくことを徹底するというお話があったと思います。冊子や書類も作っていただいて、非常に良いと思うのですが、このような内容が親御さんをはじめ、実際に管理やケアをする方々に、きちんと伝わらなければいけないと思うのです。その場合に何が最も有効なのかと人に聞きましたら、親御さんは学校から配布されたプリントを必ず読むようなのです。もちろん、医療機関、色々な所に行くのもいいのですが、学校の協力も得て、そういう季節になった際に、親御さんにそういうプリントを渡すという方法もとっていった方がよいのではないかと思います。と言いますのは、こういうことが起こることをきちんと分からない、知らない方々が非常に多く、ここは親御にきちんと知っていただかなくてはいけないのではないかと思いましたので、意見を出させていただきました。
○事務局 御意見ありがとうございます。2ページの下の方にも簡単に記載をしておりますが、文部科学省とも毎年連携をさせていただいており、今回、情報提供資材を改めて作成しましたので、その周知の仕方も含めて改めて文科省とも連携してやっていきたいと思います。
○薄井委員 文科省まで行っても、学校や下の所にきちんと行かないと何の意味もないような気がしますので、是非、どうぞよろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。
○五十嵐部会長 重要な点で、これも前回の委員会の際に同じような御指摘を頂いたと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ほかはよろしいですか。それでは、議題1の報告は終了とします。
議題2、「医薬品等の副作用等報告の状況について」事務局から資料の説明をお願いします。
○事務局 資料2について御説明します。資料2-1を御覧ください。医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用等の報告について、御説明いたします。まず、報告期間についてですが、前回報告期間は平成29年8月1日から平成29年11月30日まででしたので、今回の報告期間は平成29年12月1日から平成30年3月31日までです。
1.製造販売業者からの報告について御報告いたします。(1)には、国内症例の副作用等報告について、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、化粧品における報告件数をお示ししており、その内訳は資料2-2にまとめてお示ししております。なお、医薬品たるコンビネーション製品とは、インスリンペン注等、機械器具等と一体的に販売するものとして承認を受けた医薬品をいいます。(2)には、外国からの副作用等報告について、医薬品、医薬品たるコンビネーション製品における報告件数をお示ししております。(3)には、外国での新たな措置の報告件数をお示ししており、その内容は資料2-3にお示ししております。(4)には、研究報告の報告件数をお示ししており、報告された文献等のリストは資料2-4にお示ししております。
2ページへまいります。2.医薬関係者からの報告について御報告いたします。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告とワクチン類の副反応報告とに分けてお示ししており、これらのうち重篤症例については、企業若しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が詳細調査を行うこととしておりますので、重篤なものの件数及びそのうち機構が詳細調査を行った報告の件数についてもお示ししております。なお、機構が詳細調査を行った報告の内訳については、資料2-5にまとめてお示ししております。
最後に、3.副作用救済給付又は感染症救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告について、御報告いたします。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付についてお示しております。なお、その内訳は資料2-6にまとめてお示ししております。簡単ですが、以上で資料2の説明を終わります。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。医薬品等の副作用等の報告でしたが、何か御質問はございますか。よろしいですか。それでは、議題2の報告はこれで終了します。
続いて議題3、「医薬品の感染症定期報告の状況について」事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題3、「医薬品の感染症定期報告の状況について」御報告させていただきます。資料は、タブレットの資料3-1、3-2です。感染症定期報告について、制度の概要について御説明いたします。医薬品医療機器等法に基づく副作用等報告においては、製造販売業者から、その製造販売をする医薬品によるものと疑われる副作用・感染症を報告することが義務付けられております。他方で、血液製剤やワクチン等の生物由来製品については、その原料はヒトその他の生物に由来するため、細菌、ウイルス等が含まれている可能性が完全には否定できません。また、その感染症自体の性質として、時間の経過に伴い軽減することなく一定期間後に症状が顕在化してくる可能性もあります。このような性質も踏まえ、生物由来製品については、製品への直接的な影響が不明であるものも含め、定期的に製品の原料、材料による感染症に関する報告を行うことを義務付けられており、これが感染症定期報告です。なお、感染症定期報告で寄せられたものについては、本医薬品等安全対策部会のほか、血液事業部会運営委員会において報告を行っております。以上が感染症定期報告の概要です。
続いて、資料3-1を御覧ください。今回の報告は、昨年11月1日から本年3月31日に報告されたものをまとめております。資料3-1と資料3-2がありますが、3-2は重複を含む期間中の全ての報告で、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものを資料3-1にまとめております。
詳細な説明は省略いたしますが、今回新たに報告された文献は69件あり、全体の傾向として、今回についてはインフルエンザの関係が14件、B型肝炎の関係が7件報告されております。これらの報告については、国立感染症研究所の脇田委員と宮崎委員、国立医薬品食品衛生研究所の石井委員に事前に御確認いただき、御意見、コメントを頂いております。今回については、全ての委員より事前のコメントがありましたので、事務局より概要を御紹介するとともに、コメントに対する回答をさせていただきます。
脇田委員、宮崎委員より、「1ページの1番について、本患者は、輸血前のHBsAbは78IU/mlで、日本で感染防御されるというクライテリア10IU/mlを大きく上回っているのに、感染が起こったと推定される。CHOP療法前後の悪性リンパ腫患者など、ハイリスク患者のHBV感染リスクの評価や対応について、今後、議論が必要と思われた」とのコメントを頂いております。
本コメントについて、事務局から回答させていただきます。本邦では、生物由来原料基準にて、献血血液のHBVウイルスに対する核酸増幅検査(NAT)を求めているところです。また、CHOP療法に使用される抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)については、骨髄抑制作用に伴う感染症について、頻回に臨床検査を行うこと及び感染症の発現に留意する旨を、添付文書にて注意喚起しております。引き続き、感染症定期報告なども含めて、状況に注目していきたいと考えております。
続いて、2ページの10番、12番、14番のE型肝炎に関する報告に関連して、脇田委員、宮崎委員、石井委員より、本邦におけるHEV NAT検査の必要性、HEV予防のための食事指導、輸血によるHEV媒介の可能性の周知啓発の必要性に関して、コメントを頂いております。
献血血液に対するHEV検査については、血液事業部会安全技術調査会での議論を経て、現在、日本赤十字社がHEVスクリーニングとして4価NATの導入を検討しているところです。また、日本赤十字社は、4価NAT導入までの期間は、献血者に対するHEVの経口感染リスクの注意喚起による自主的な献血辞退を促す対策を導入していると承知しております。具体的には、献血会場におけるポスター掲示等により、加熱不十分な豚肉、猪肉、鹿肉、ジビエ等の喫食によるHEV感染リスク及び献血血液への影響についての周知を、本年3月より開始しております。併せて、献血者の体調や肝炎にかかる問診を徹底することとしております。さらに、医療機関等に対しては、改めて輸血後にE型肝炎が発生することがあること、また、感染が疑われた場合は適切な対応が必要であることを周知しているところです。
続いて、6ページの45番について、石井委員より、「献血血液に対する現行のパルボウイルスの検査方法あるいは判定基準について、見直しが必要でないか」との御意見を頂いております。
パルボウイルスについては、生物由来原料基準に規定はありませんが、日本赤十字社において、化学発光酵素免疫法を用いた検査を行っているところと承知しております。現時点で検査法を見直す等の動きは把握しておりませんが、先に申し上げたとおり、血液事業部会にも本感染症定期報告の状況は報告しており、今後、必要な場合には血液事業部会において議論されることになると承知しております。事務局からは以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。それでは、何か御質問、御意見は特にございませんか。ありがとうございました。それでは、議題3の報告はこれで終了します。
続いて、議題4、「医薬品等の回収報告の状況について」御説明をお願いします。
○事務局 議題4、「医薬品・医療機器等の回収報告の状況について」、資料4-1及び資料4-2に基づいて御説明します。医薬品医療機器法第68条の11に基づき、医薬品等の製造販売業者等は、その製造販売をして承認を受けた医薬品等を回収する際は、回収に着手した旨及びその回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされております。また、製造販売業者等から回収の着手の報告がなされた場合には、全ての事例をインターネット等で公開するところです。本件については、医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会への報告を行うものです。
資料4-1の1ページの1は、回収件数年次推移です。平成29年度に関しては、表の上から医薬品が129件、医薬部外品が17件、化粧品が80件、医療機器、再生医療等製品とずっとあり、全体で624件となっています。平成28年度及び過去の件数と比較して、報告数に大きな変動はないと考えられます。
2ページは、平成29年度の医薬品・医療機器等の回収件数及びクラス分類を示しております。医薬品についてですが、クラスIの回収が24件、クラスIIの回収が96件、クラスIIIの回収が9件の計129件、医薬部外品は、クラスIが0件、クラスIIが16件、クラスIIIが1件の計17件、化粧品は、クラスIが0件、クラスIIが59件、クラスIIIが21件の計80件となっています。医薬品のクラスI回収の内訳ですが、いずれもロットを構成しない医薬品であって、同種他製品に影響が及ばず、かつ、当該医薬品が他者に使用されないことが確実なものでした。具体的には、血液製剤について、献血いただいた後に様々な情報に基づき当該献血を原料にして作られた製剤について、投与前に事前に回収されたものです。
資料4-2は、それぞれの製品名及び回収理由が記載されており、クラスIについては1~3ページ、クラスIIが4~22ページ、クラスIIIについては23、24ページに記載しております。以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございました。何か御質問はございますか。よろしいですか。それでは、議題4の報告は以上で終了します。
続いて、議題5、「その他」に入ります。資料の説明をお願いします。
○事務局 資料5、「後発医薬品の添付文書等における情報提供の充実について」を御説明いたします。後発医薬品については、添付文書等における情報提供の充実を目的として、平成18年3月24日付けで、「後発医薬品における情報提供の充実について」の通知が発出され、後発医薬品の添付文書における留意事項等をお示ししております。また平成29年6月8日に、「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」の通知が発出され、新しい記載要領に基づく後発医薬品の添付文書等においては、「使用上の注意」及び「取扱い上の注意」の記載は、原則として先発医薬品の記載と同一とすることといたしました。
さらに、「臨床成績」等の項についても、先発医薬品で記載されております臨床成績を記載したいとの後発医薬品側の要望等も踏まえ、後発医薬品の添付文書等における更なる情報提供の充実を目的として、「薬物動態」、「臨床成績」及び「薬効薬理」等の項においても、先発医薬品の添付文書等に記載されている情報と同等の情報提供を行うなど、後発医薬品の添付文書等において留意すべき点を取りまとめ、平成30年4月13日に通知を発出いたしました。この通知の施行については、新記載要領が施行される予定の平成31年4月以降としておりますが、本通知の発出日以降、情報提供を開始しても差し支えないものとしております。資料5については以上です。
○五十嵐部会長 ありがとうございます。後発医薬品の添付文書を今後さらに充実すべきであるとの通知が出されたと理解しました。何か御質問はございますか。よろしいですか。それでは、本日の議題は以上で終了します。事務局から何か連絡事項等はありますか。
○事務局 特にはありません。次回の部会の開催日程は、11月30日(金)15~17時の予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
○五十嵐部会長 では、本日の部会はこれで終了とします。どうもありがとうございました。

(了)

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課 課長補佐 太田(内線2752)

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