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2021年12月20日 第49回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

令和3年12月20日(月) 14:00~17:00

 

○場所

厚生労働省医薬・生活衛生局(オンライン会議場)
共用第9会議室
東京都千代田区霞が関1-2-2

○出席者

出席構成員

新構成員、伊藤構成員、岩田構成員、大江構成員、大森構成員、小川構成員、落合構成員
合田構成員、田村構成員、平林構成員、堀田構成員、宮川構成員、村島構成員、柳原構成員
山本構成員、横谷構成員
 

出席参考人

戸高参考人、海野参考人、梶原参考人、米盛参考人、中村参考人

○議題

開発要請品目の公知申請へのが該当性について
個別品目の特定用途医薬品の指定への該当性について
その他

○議事


○柳沼補佐 それでは、定刻を少し遅れてしまいましたけれども、申し訳ございません。ただいまより、第49回「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を開催いたします。
 今回も、新型コロナウイルスの感染防止対策の観点から、ウェブ会議形式での開催とさせていただきます。また、本会議は公開の会議であることから、ウェブ会議の様子をYouTubeにてオンライン配信しております。御了承をお願いします。
 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 会議を開始するに当たって、注意事項を御説明いたします。
 発言される場合は、画面のマイクのボタンを押して、ミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいてください。
 接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りした連絡先まで御連絡をいただければと思います。
 また、会場にお越し頂いたいただいた委員が御発言されたい場合は、挙手していただき、座長に指名された後に、卓上の集音マイクから御発言ください。
 本日は、五十嵐構成員、岡部構成員、山口構成員より御欠席、小川構成員、落合構成員より16時までの御参加、また、平林構成員より遅れて参加するとの御連絡をいただいておりまして、現在のところ、16名の先生に御出席をいただいております。
 また、事務局ですけれども、医薬品審査管理課長は公務のため、遅れて参加することとしております。申し訳ございません。
 また、WGの検討状況の報告が本日ございますけれども、循環器WGのメンバーから戸高参考人、海野参考人、梶原参考人に御出席いただいております。また、抗がんWGのメンバーから米盛参考人に、小児WGから中村参考人に御参加いただいております。
 それでは、堀田座長に以降の議事進行をお願いいたします。

○堀田座長 堀田でございます。皆さん、こんにちは。ちょっとスタートが遅れましたけれども、ただいまから始めます。今日は案件の数が結構ありますので、いつもよりは少し時間がかかるかもしれませんが、てきぱきと進めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず本日の会議資料の確認を事務局からお願いします。

○柳沼補佐 事務局でございます。
 事前に送付いたしました資料を御用意ください。電子ファイルは1つにまとめて、右側に通し番号を振っております。
 本日の資料の一覧が2ページにございますけれども、資料1が検討の進め方、資料2が不妊治療に係る要望の検討状況になります。併せて、資料3ですけれども、公知該当性に係るWGの報告案ということで、今回9件ございますけれども、6件が不妊治療関係、3件がそれ以外ということになります。また、資料4でございますけれども、特定用途医薬品に係る基準の該当性に関するWGの評価ということで、小児関係の議題が1つございます。
 以上の資料を1つのPDFファイルとして配付しております。
 また、開催要綱、構成員名簿、ワーキングメンバーの名簿などを1つづりで参考資料としてまとめておりますので、適宜参考にしていただければと思っております。
 今回、特に不妊治療の関係は、参考資料8に「不妊治療における診療の流れ」という資料がございますので、こちらのほうを適宜御参照ください。
 また、補足資料としまして、特定用途医薬品に関する資料を追加してございます。
 参考資料の15ページに参考資料7として、構成員が執行部に所属されている学会に関する資料をつけています。本会議の公平性の観点から、当面、構成員のうち、学会の執行部に在籍する方は、当該学会からの開発要望については、要望に係る背景事情等の説明は行うものの、議決には参加しないこととしております。
 本資料は、現時点での内容に更新しておりますけれども、誤り等がございましたら、この時点でお知らせいただければと思います。
 これらの資料に基づいて、本日の審議を進めていただきたいと思います。
 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、公知申請の該当性に係る報告書(案)につきまして、まずは循環器WGから、戸高先生に不妊治療に関係する御報告をお願いいたします。
 なお、本日は、同WGから、海野先生及び梶原先生に御同席いただいておりますので、適宜補足をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○戸高参考人 よろしくお願いいたします。循環器WG座長の戸高から御報告いたします。
 まず、本日の6品目の一覧でございます。資料2-1、5/221ページを御覧ください。
 横長の資料ですが、6品目です。全て不妊症に係るお薬ですけれども、お示ししております。これらの品目はいずれも日本生殖医学会から要望された品目で、前々回の9月に開催された本会議で医療上の必要性が高いと判断いただいた品目となります。本日は、これらについて公知に該当するかどうかということを御審議いただきたいと思います。
 では、最初の品目です。資料3-1、7ページを御覧ください。
 最初の品目がヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、いわゆるHCGの生殖補助医療に係る卵胞成熟及び黄体化の公知申請の該当性について説明いたします。
 有効性について、まとめを20ページに書いてございますので、御覧いただければと思います。
 本薬は、イギリス、ドイツ及びフランスにおいて、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化に係る効能・効果で承認されています。また、海外臨床試験では、本邦既承認の遺伝子組換えのHCG、リコンビナントのHCGと本薬が同等の有効性を有することが確認されております。これは73ページにまとめてあります。
 以上に加え、国内外のガイドラインや教科書の記載内容及び公表文献で確認できた国内の使用実態からも、本邦の医療現場では、海外と同様、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化を目的として本薬が標準的に用いられていると判断できます。
 以上より、生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化に関する本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性については、21ページから22ページを御覧ください。
 海外の臨床試験及び国内の副作用報告で、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が主な副作用として報告されています。しかしながら、本邦の医療現場では、OHSSは不妊治療時に注意すべき有害事象であり、血清エストラジオール濃度や超音波検査等の必要な検査を行い、本薬投与の可否を慎重に判断する等のリスク管理の方策が定着しております。OHSS以外の事象の大半は、既承認の効能・効果で既に注意喚起がなされているものとなります。したがいまして、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下で使用し、OHSS等の副作用が適切に管理されるのであれば、本薬を生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化を目的として日本人患者に投与した際の安全性に、大きな臨床的問題はないと判断いたしました。
 続きまして、効能・効果でございます。23ページを御覧ください。
 以上の有効性・安全性の検討を踏まえ、効能・効果は、要望どおり、このように設定することが妥当と判断いたしました。
 用法・用量についてでございます。23ページ~25ページにまとめております。
 投与量について、本薬の複数の用量群を設定した海外臨床試験におけるOHSSの発現頻度・発現割合は、統計学的な有意差はないものの、5000単位と比べて1万単位で高かったことを踏まえると、通常用量は5000単位とし、患者の状態に応じて1万単位の投与を可能とすることが妥当と判断いたしました。
 また、投与経路について、皮下投与が今回追加されています。イギリス、ドイツやフランスにおける本薬の承認用法は筋肉内投与でございます。しかしながら、国内外のガイドラインの根拠文献にも、皮下投与による本薬の有効性及び安全性を示した海外の臨床試験成績も含まれております。
 海外の臨床試験でございますが、本薬の筋肉内投与と皮下投与で薬物動態は同様であり、有効性及び安全性も異なる傾向は認められておりません。また、国内の検討は、本薬投与後に、生殖補助医療ではなく、一般不妊治療に行われたものでございますが、有効性及び安全性について、投与経路による大きな差異は示されていません。加えて、本邦でも生殖補助医療における本薬の筋肉内投与及び皮下投与での使用実態が確認できました。
 以上より、本要望内容において、本薬の投与経路は筋肉内投与または皮下投与とすることが妥当と考えました。
 そのため、用法・用量は23ページに示した内容とすることが適切と判断いたしました。
 以上のように、国内外にある情報を基に、本要望に係る効能・効果と日本人の用法・用量が設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 説明は以上です。御議論のほど、何とぞよろしくお願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのヒト絨毛性性腺刺激ホルモンにつきまして、皆様から御意見、御質問いただきます。どうぞ御発言ください。どなたか質問あるいは追加発言ございませんか。
 海野先生、梶原先生、何か追加ございますでしょうか。はい。

○海野参考人 海野でございます。
 HCGは、一般不妊治療を含めて、非常に多くの用途で用いられているお薬でございまして、この生殖補助医療においても、特に今回の申請内容に問題はないのではないかと考えております。
 ただ、用量を5000単位にするか1万単位にするかということと、筋注と皮下注ということに関しては、WGでいろいろ議論した結果、本日御報告したような報告書(案)として作成させていただいております。

○堀田座長 ありがとうございます。
 そのほか御発言ございますでしょうか。
 そうれでは、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンについては、公知申請を認めることでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 ありがとうございます。
 特に御異議がなければいようですので、これは承認といたします。
 続いて、戸高先生、同じものですが、効能。効果が違うというところで、2番目のIV-124について、お願いします。

○戸高参考人 資料3-2、29ページを御覧ください。
 今、座長のほうからも御説明がありましたように、同じくHCGに関するものですが、この案件は、一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化、その他の効能の御要望でございます。
 有効性については、44ページを御覧ください。
 本薬の効能につきまして、欧米等6か国で承認されてございます。一般不妊治療の排卵誘発及び黄体化に係る効能・効果で承認されております。
 遺伝子組換えヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、リコンビナントのHCGの有効性・安全性を評価した国内外の臨床試験で、本薬は対照薬として設定されております。これら試験の結果等から、本薬が排卵障害患者における一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化に関する有効性を有することが確認できます。
 加えて、原因不明不妊や男性不妊を対象とした臨床試験、国内外のガイドラインや教科書の記載内容に加えまして、国内の使用実態から、本薬は不妊の原因による一般不妊治療において、排卵誘発を行う際に標準的に用いられていると判断できます。
 以上より、一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化に関する本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性については、44~46ページを御覧ください。
 本薬の投与時には、主としてOHSSの発現及び多胎妊娠に注意を要しますが、いずれの事象も本薬の既承認の適応での使用において既に注意喚起がされていることに加え、これらの事象の管理方法について、本邦の医療現場で定着していることを踏まえると、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下で使用されるのであれば、これらの事象は臨床的に大きな問題とはならないと判断いたしました。
 効能・効果については、47~48ページを御覧ください。
 以上の有効性及び安全性の検討を踏まえ、効能・効果は、一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化とすることが妥当と判断いたしました。
 用法・用量について、48~49ページを御覧ください。
 これは先ほどと同じ議論になるのですが、OHSS発現割合は、統計学的に有意差はないものの、5000単位と比べ1万単位で高かったことを踏まえると、通常用量は5000単位とし、患者の状態に応じて1万単位の投与を可能とすることが妥当と判断いたしました。
 投与経路につきましては、これもほぼ同じなのですが、本薬については、カナダで皮下投与も承認されてございます。といったことも加えて、使用実態等、薬物動態等の成績もございますので、皮下投与も含めて本邦で投与経路とすることが妥当と判断いたしました。
 このため、用法・用量は、48ページで示した内容とすることが適切と判断いたしております。
 以上のように、国内外にある情報を基に、本適応に係る効能・効果と、日本人での用法・用量が設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 以上でございます。よろしく御議論のほど、お願いいたします。

○堀田座長 戸高先生、ありがとうございました。
 それでは、ただいまのHCGにつきまして、効能・効果の対象が異なりますけれども、何か御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。排卵誘発効果ですね。いかがでしょうか。
 基本的には、用法・用量もほぼ同じで、皮下注、筋注も可とするという内容でございますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 特に御異議がなければ、これもWGの報告を承認したいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、3番目になりますが、ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン、これは生殖補助医療における調節卵巣刺激ということでございますが、戸高先生、よろしくお願いします。

○戸高参考人 引き続きお願いします。
 資料3-3でございます。54ページを御覧ください。ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)でございます。
 有効性について、70ページを御覧ください。
 本薬は、欧米等6か国において要望内容に係る効能・効果で承認されています。海外臨床試験において、調節卵巣刺激に本薬を用いた採卵数及び妊娠率は、本邦既承認のフォリトロピンα、リコンビナントのヒューマンFSHαに劣らないことが示されており、そのほかの国内外の臨床試験においても本薬の有効性は示されています。
 また、国内外のガイドラインや教科書の記載並びに国内の公表文献等から、本邦の医療現場で本薬が生殖補助医療における調節卵巣刺激に広く使用されている実態が確認できます。
 以上より、生殖補助医療における調節卵巣刺激に関する本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性につきまして、71ページ~72ページを御覧ください。
 海外臨床試験や企業が収集した国内副作用報告等から、生殖補助医療における調節卵巣刺激での本薬使用時に、主にOHSSとその関連事象、血栓症、卵巣腫大等が報告されています。既に説明のとおり、OHSSの管理方法等は本邦の医療現場に定着してございます。
 また、それ以外の副作用については、多くは既承認の効能・効果で既に注意喚起されております。
 以上から、安全性についても、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下、これらの副作用が適切に管理されれば、臨床的に大きな問題とはならないものと判断いたしました。
 効能・効果について、73ページを御覧ください。
 以上の有効性及び安全性の検討を踏まえ、効能・効果は、要望のとおり、生殖補助医療における調節卵巣刺激とすることが妥当と判断いたしました。
 用法・用量については、74~75ページを御覧ください。
 開始用量を150または225単位とすることは、海外承認用法・用量、海外臨床試験、国内外のガイドラインや教科書と同様であること、国内の使用実態に係る文献調査では、大部分が150~300単位の範囲で大きな問題なく使用されていたことを踏まえ、妥当と判断いたしました。
 投与開始時期について、要望内容では、月経周期の2日目または3日目とされていますが、海外の承認用法・用量及び国内外の公表文献では、本薬と組み合わせて使用する薬剤に応じた投与開始時期が設定されています。そういったことから、投与開始時期をこの用法・用量の中で明確に規定することではなく、本薬と組み合わせて使用する薬剤に応じて適切に判断する旨を注意喚起のほうに記載することが妥当と判断いたしました。
 国内外の情報から、本薬は投与開始5日間を固定用量で投与し、その後は超音波検査等で確認した卵巣反応に応じて、最大150単位の幅で用量調整しながら用いること。1日最大用量を450単位とすることが標準的であることから、それらの内容を用法・用量または用法・用量に関連する注意喚起をすることは妥当と判断いたしております。
 投与経路については、要望内容では、既承認の筋肉内投与に加えて皮下投与が含まれております。海外公表文献から、本薬を皮下または筋肉内投与したときの薬物動態は同様であり、有効性及び安全性は両投与経路で大きく異なる傾向は認められませんでした。
 加えて、英国、ドイツ、フランスでは、皮下及び筋肉投与、双方が承認されており、国内公表文献において皮下投与での報告が確認できることも踏まえ、投与経路を皮下または筋肉内投与とすることは妥当と判断いたしました。
 以上のように、国内外の情報を基に、本要望に係る効能・効果と日本人での用法・用量は設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 よろしく御議論をお願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、皆様から御質問、御意見をいただきます。いかがでしょうか。特に御意見ないですか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 それでは、特に御異議がなければいようですので、WGからの報告を了解いただけるものとします。ありがとうございました。
 それでは、4番目になりますが、ナファレリン酢酸塩水和物、生殖補助医療における早発排卵の防止という効能でありますけれども、戸高先生、引き続きよろしくお願いします。

○戸高参考人 よろしくお願いいたします。
 資料3-4、82ページを御覧ください。
 ナファレリン酢酸塩の生殖補助医療における早発排卵の防止でございます。ちなみに、次の3-5のブセレリンも全く同じ効能となっております。
 まず、ナファレリンにつきまして、有効性について93ページを御覧ください。
 生殖補助医療における調節卵巣刺激では、排卵前に採卵するということでございますが、卵胞発育の過程でLHサージが起きると意図しない排卵が生じる可能性がございます。それを早発排卵と呼んでおりますが、それを抑制するためにLHサージ惹起を抑制する必要があります。
 本薬ナファレリンはGnRHアゴニストなのですが、このGnRHアゴニストは下垂体のGnRH受容体の脱感作を生じさせることによりLHサージを抑制し、調節卵巣刺激及びその後の採卵を可能とすると考えられています。
 本薬は、イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアで生殖補助医療における早発排卵の防止に係る効能・効果で承認されております。また、国内外の臨床試験では、本薬の有効性は確認されており、国内外の教科書及びガイドラインでは、生殖補助医療における早発排卵の防止のために、本薬の使用が推奨されています。
 加えて、公表文献等から、本邦の医療現場で本薬は早発排卵の防止に広く使用されている実態が確認されています。
 以上より、日本人に対する本薬のARTにおける早発排卵の防止に関する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性については、93ページを御覧ください。
 海外臨床試験及び企業が収集した副作用報告では、本薬との因果関係が否定されていない重篤な副作用として、OHSS及び卵巣嚢胞が報告されています。本薬はGnRHアゴニストであり、脱感作が生じるまでは一過性に外因性のゴナドトロピンの分泌を増加することから、併用する卵巣刺激薬とともにOHSSの発症要因となり得ます。
 また、卵巣嚢胞については、既承認の効能・効果での本薬の使用に際しても発現が知られている事象となります。
 以上より、日本人患者に、本薬をARTにおける早発排卵の防止に使用した際の安全性は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下、適切に管理されれば、臨床的に大きな問題とはならないものと判断いたしました。
 効能・効果につきまして、95ページを御覧ください。
 以上の有効性及び安全性の検討を踏まえ、効能・効果は、生殖補助医療における早発排卵の防止とすることが適切と判断いたしました。
 用法・用量については、同じく95ページを御覧ください。
 イギリス、ドイツ、フランス、オーストラリアでの承認用法・用量は、海外の臨床試験成績に基づき、1回200μg、または400μgを1日2回投与とされています。
 一方で、有用性が確認できた国内の臨床試験及び本邦の使用実態で用いられていた本邦の用法・用量は、1回200μgを1日2回投与でした。要望学会からも、1回400μgの1日2回投与の国内の実態を確認できなかった旨、御連絡を受けているところでございます。したがいまして、要望された用法・用量は、1日に200または400を1日2回ですが、国内外の臨床試験で有用性が認められ、かつ国内の使用実態が確認された1回200μgの1日2回投与を用法・用量とすることは妥当と判断いたしました。
 以上のように、国内外にある情報を基に、本要望に係る効能・効果と日本人での用法・用量は設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 よろしく御議論お願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございました。
 ただいまのナファレリン酢酸塩水和物に関するWGの報告につきまして、御意見、御質問がありましたらよろしくお願いいたします。点鼻薬ということで、次に同様のものもありますけれども、まずは1つずつ御審議いただきたいと思います。特に御意見なかったでしょうか。医療上の有用性の検討ときには、いろいろ質問が出たのですけれども、公知申請のほうでは、皆さん、声が余り出てこないようですが、いかがでしょうか。
 海野先生、梶原先生、何か追加の御発言ありますか。

○海野参考人 海野ですが、特にはございません。
 この用量の件は、国内の現状では、今回の提案でよろしいのではないかとWGでは判断しております。

○堀田座長 特になければ、これも承認とさせていただきたいと思います。
 続いても点鼻薬でありますので、またそこで何か議論があればお願いいたします。
 次のIV-129につきましては、ブセレリン酢酸塩であります。効能・効果は同じで、同じ点鼻薬でございます。
 戸高先生、よろしくお願いします。

○戸高参考人 よろしくお願いします。
 資料3-5、99ページを御覧ください。ブセレリンでございます。
 今、座長から御紹介があったとおりで、ほぼ同じような形でございます。
 有効性について、111ページを御覧ください。
 イギリスにおいて、本薬は生殖補助医療における早発排卵の防止に係る効能・効果で承認されています。
 海外のガイドライン及び教科書においても、要望内容での本薬の使用が推奨されてございます。
 また、国内外の臨床試験において、本薬の早発排卵の防止に対する有効性は確認されています。
 国内のガイドライン及び教科書の記載内容並びに公表文献からも、本邦の医療現場では本薬が生殖補助医療における早発排卵の防止を目的として使用されていると判断できます。
 以上より、本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性について、112ページを御覧ください。
 国内外の臨床試験で認められた重篤な有害事象は、いずれも本薬との因果関係は否定されております。企業が収集した副作用報告において、因果関係が否定されていない重篤な副作用として、再三出ていますが、OHSSが報告されています。
 本薬はGnRHアゴニストであり、先ほど説明したナファレリンと同様、脱感作が生じるまで一過性に外因性のゴナドトロピンの分泌が増加いたしますので、OHSSの要因となっております。
 これも全く同じ説明になりますが、不妊治療に十分な知識と経験のある医師の下、適切に管理されるのであれば、本薬をこの目的として日本人患者に投与した際の安全性は、臨床的に大きな問題とはならないものと判断いたしました。
 効能・効果について、113ページを御覧ください。
 以上の有効性及び安全性の検討を踏まえ、効能・効果は要望のとおり、生殖補助医療における早発排卵の防止と設定することが妥当と判断いたしました。
 用法・用量については、113ページを御覧ください。
 本薬の1日用量について、イギリスの添付文書では、投与量は600μgであり、患者によっては下垂体脱感作を達成するために1200μgまで必要となる場合があると記載されています。
 また、海外臨床試験及び国内使用実態に係る公表文献において、1日1200μgは十分な効果が得られないときの選択肢として設定されているということを踏まえますと、通常用量は英国の承認用量や国内外臨床試験で有用性が確認できた1日600μgとし、効果不十分な場合に1200μgまで増量可能とすることが妥当と考えました。
 以上に加え、本薬は用量依存的な有効性が期待でき、用量の増加に伴う安全性の懸念の報告はないことや、本邦での使用実態も考慮して、900μgといった用量も通常用量の選択肢に含めることが妥当と考えました。
 また、海外の承認内容及び国内外の臨床試験における1回用量については、1日投与量が600μgの場合は、海外でも1回150、国内では1回300が用いられ、1日が600を超える場合には国内外ともに1回300であったことを踏まえ、本薬の1回用量は要望どおり300μgとすることは妥当な範囲と考えました。
 したがいまして、用法・用量は113ページに示した内容とすることが適切と判断いたしました。
 以上、国内外の情報を基に、本要望に係る効能・効果と日本人の用法・用量が設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 よろしく御審議お願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのWGからの報告、ブセレリン酢酸塩でありますけれども、何か御質問、御意見がありましたらよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。先ほどのナファレリンについて戻っていただいてもいいですが、用法・用量について何か御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。
 片側ずつというのと両側という投与方法の違いがありますけれども、点鼻の量そのものは、十分に吸収できる量ということなのでしょうか。両側でに点鼻したほうが効果が高いということは特にないのでしょうか。

○戸高参考人 PMDAさん、どうですか。一応、150を片鼻腔ということで指定されています。300の場合は両鼻腔ということになります。それが1回ですね。両鼻に150ずつで1回300という形になっていますので、片方の鼻腔に2回ということは推奨されてございません。ですので、すみません、手元にそういう資料を今、持ち合わせておりませんが、恐らく片側に150でやったほうが吸収とかがスムーズで、そのとおり行くという形で設定されているものと推察いたします。すみません、手元にデータがございません。

○堀田座長 ありがとうございました。
 2回の場合は両側にという話ですね。恐らく同じ側にやっても、量によっては流れてしまって吸収できないということもあるかもしれません。
 宮川先生。

○宮川構成員 大変基本的なところで申し訳ありませんけれども、ロング法とショート法というのは、これは臨床現場で選ばれることだろうと思いますが、意味合いというのはどういう意味合いがあるのか、基本的なことで大変申し訳ございませんが、教えていただければと思います。

○堀田座長 どなたにお答えいただきましょうか。お願いします。

○梶原参考人 一般的には、ロング法が主体で使われているのですけれども、ショート法を主に使うのは、反応性が悪い患者さんに対してはショート法。感作が起きる前に一時的にGnRHが分泌されてきますので、特にショート法の場合には、これと一緒にゴナドトロピンを投与しますので、反応性が悪い人に対してはショート法を使っております。ただし、日程のコントロールがしにくいということで、一般的にはロング法を我々は使っております。こんな説明でよろしいでしょうか。

○宮川構成員 ありがとうございました。よく理解できました。

○堀田座長 その他、御質問、御意見いかがでしょうか。
 それでは、このブセレリン酢酸塩の点鼻について、WGの報告を承認とさせていただきますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 特になければいようですので承認とさせていただきます。
 では、最後になります。IV-134、アロマターゼインヒビターのレトロゾールでありますけれども、多嚢胞性卵巣症候群の排卵誘発ということです。WGから戸高先生、よろしくお願いいたします。

○戸高参考人 よろしくお願いします。
 資料3-6、不妊症関連の本日最後のものでございます。
 118ページを御覧ください。
 135ページに有効性についてまとめてございます。
 本薬は、欧米等6か国において多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発に係る効能・効果では承認されてございません。しかしながら、多嚢胞性卵巣症候群を対象とした海外臨床試験において、本薬は本邦既承認のクロミフェンと同程度の有効性、排卵率、妊娠率などを有することが示されており、国際的なガイドラインや教科書では、本薬はクロミフェンと並んで多嚢胞性卵巣症候群患者における排卵誘発に使用する薬物療法の一つであると位置づけられています。
 また、国内の公表文献からも、多嚢胞性卵巣症候群患者に本薬を投与したときの有効性が確認され、国内のガイドラインや教科書の記載の内容等を踏まえますと、日本人の多嚢胞性卵巣症候群患者の排卵誘発に対して、本薬の有効性について問題なく使用されている実態があるものと判断できます。
 以上より、日本人の患者における排卵誘発に対する本薬の有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性については、136ページを御覧ください。
 本薬を同症候群患者における排卵誘発に使用した際に主に認められた事象については、既承認の効能・効果で使用した際にも発現することが知られております、ほてり、疲労感及びめまい等の事象でした。また、海外臨床試験では多胎妊娠の発現が認められましたが、その発現割合は本薬とクロミフェンで同程度であり、現状と比較して大きな問題となるような発現状況ではないと判断いたしました。
 さらに、本薬は非臨床試験において催奇形性が示唆されております。2005年の全国生殖医学会の学術集会では、本薬による排卵後に妊娠した女性から出生した児に先天異常が認められたとの報告があったことなどから、本薬は、既承認の閉経後乳がんの効能・効果では、妊婦への投与は禁忌とされています。
 しかしながら、これは前々回の会議でも指摘したところでございますが、2005年以降に報告された海外臨床試験や国内外の観察研究で、クロミフェン投与例や自然妊娠例と比較して、本薬投与例のうちの先天異常の発現割合が高いことを示唆する報告はないこと。及び、排卵誘発を目的とした本薬の投与期間は、妊娠成立前の5日間であること等から、本薬の有効性を考慮すると、同症候群患者の排卵誘発での使用において、本薬の潜在的な催奇形性リスクが本薬の有用性を直ちに否定するものではないと判断いたしました。
 ただし、本薬の催奇形性を患者に適切に情報提供した上で、妊娠初期の意図しない本薬の投与を避けるために、各周期の本薬の投与前に妊娠検査で妊娠していないことを確認すること、患者の基礎体温を測定すること等の注意喚起をする必要があると判断いたしております。
 効能・効果につきまして、138ページを御覧ください。
 同症候群における排卵誘発を目的とした本薬投与の有効性及び安全性の経緯等を踏まえ、本薬の効能・効果は、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発とすることが適切と判断いたしました。
 用法・用量については、139ページを御覧ください。
 国際的なガイドラインには、本薬の推奨用法・用量は明記されてございませんが、その根拠となる海外臨床試験のほとんどで、月経開始3日目から本薬2.5mg/dayの5日間投与、効果不十分な場合に5mg/dayの5日間投与に増量する規定で行われ、有用性が示されています。
 また、国内のガイドラインも海外臨床試験と同一の用法・用量が記載されており、国内の使用実態でも本薬2.5mg/dayの5日間投与、効果が不十分な場合に5mgに増量することで排卵や妊娠が確認されていることから、用法・用量は139ページにお示ししたものとすることが適切と判断いたしました。
 以上のように、国内外にある情報を基に、本要望に係る効能・効果と、日本人での用法・用量は設定できると考え、本要望内容は医学薬学上公知と判断いたしました。
 よろしく御議論をお願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、レトロゾールのWGの報告について、何か御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。これは今までのものとは少し違って、乳がんに使う抗腫瘍薬としての一側面があって、長期に使ったり、妊婦に使ったりすると催奇形性の懸念があるという報告があるのですが、妊娠前に短期間使うということでは、安全性に懸念は今のところ報告されていないというのがWGの報告だったと思います。
 この辺については、いかがでしょうか。どうぞ、お願いいたします。

○村島構成員 国内外の観察研究の一部に妊娠と薬情報センターのデータも多分入っているかと思いますけれども、相談現場から見たときに、催奇形性のリスクに関しては、今のところ余り懸念していないというところが正直なところですので、今の御発表でいいと思いますが、いつも思っていることなのですが、このようなお薬を投与するときに妊娠していないことを確認してからというときに、尿検査をしてとか、いろいろ注文が入ることがあるのですが、不妊治療をやっている先生たちの現場にそれが即しているのかどうかが疑問なので、産婦人科の先生方の御意見を伺いたいと思います。御本人への確認と、不妊の専門家であれば、そういうことは重々分かっていての診療だと思っているのですが、いかがでしょうか。

○堀田座長 もっともな御指摘だと思いますが、不妊治療に関係の先生、どなたか何か御意見ありますでしょうか。コメントをいただければ。
 お願いします。

○梶原参考人 梶原ですけれども、その辺のことは本当に注意しなければいけないことだと思いますし、特に我々、患者の申出で月経ですということは、個人的に私はほとんど信じていないです。基礎体温とかを必ず確認した上で、それで子宮外妊娠を見逃したといったことがありますので、必ず私は基礎体温とか、そういったものを確認して、怪しいと思った場合には、本人が妊娠じゃないと言っていても妊娠反応をやったりすることがあるのですけれども、実際、そのことが全体的に行き渡っているかというと、少なくとも不妊に関わっている先生たちは、多分僕と同じような認識でやっていると信じています。
 以上です。

○堀田座長 どうぞ。

○村島構成員 全例に尿検査で陰性を確認してからみたいな表現は、ちょっとやり過ぎかなと思うのですが、先ほどの御説明だとどうでしたか。

○堀田座長 戸高先生、その辺に関していかがでしたか。妊娠の確認というところ。

○戸高参考人 そのような発言になっていたかと思います。各周期の本薬の投与前に妊娠していないことを確認することということを、今のところ書こうとしていると思います。
 もう一つの議論としてWG内であったのが、これを一体いつまで続けるのか。何周期までやるのかということもありまして、それとも少し関係するのですけれども、この方法がうまくいかないのであれば、この方法を延々と続けるのではなく、患者さんの年齢等を考慮して、次の方法、よりよい方法に移るべきではないかということも含めまして、この方法をやるのであれば、しっかりとしたそういった催奇形性の問題があるから、検査した上でやったほうがいいのではないかという議論に落ち着いて、このような形になったと記憶しております。
 ですので、添付文書にどのように落とし込むかというのは、まだもう少し考慮の余地はあるかと思うのですが、いかがでしょう。先ほどの梶原先生のお話ですと、最終的に疑わしい場合にはそこまでやるということなので、全例にしなければいけないというよりは、妊娠検査等で妊娠していないことを確認することみたいに「等」という言葉をつけて、少し逃げ道をつくってもいいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。PMDAさん、どうでしょうか。

○堀田座長 PMDAの方、どなたか御発言いただけますか。書き方の問題として、村島先生がおっしゃるように、全例必ず妊娠検査というのではなくて、必要に応じてということで書いていただければと思います。よろしいですか。
 どうぞ。

○PMDA PMDAから発言させていただければと思います。
 先生方、御議論ありがとうございます。最終的な添付文書の書きぶりに関しましては、この後、申請された際に審査の中で本日いただいた御意見を踏まえて検討させていただきたいと思います。
 以上でございます。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、そのほかの御意見はありますでしょうか。
 私からちょっと教えていただきたいのですが、この多嚢胞性卵巣症候群自体がレトロゾールでよくなるものなのか。排卵誘発のみに有効だという意味なのでしょうか。原疾患に対しては、どういうアプローチを通常やるのでしょうか。
 落合先生、何か。

○落合構成員 落合です。
 多嚢胞性卵巣症候群そのものに対する治療、これは限られた治療が幾つかありますけれども、外科的な治療ですとか。では、薬を使って治せるかというと、これは根本的な治療にはならないと思いますが、梶原先生、海野先生、そういう考えでよろしいでしょうか。

○梶原参考人 梶原ですけれども、落合先生のおっしゃるとおり、根本的な治療じゃなくて、あくまでも効用として排卵が惹起されるという理解でよろしいと思います。

○堀田座長 クロミフェンでも有効なのでしょうか。それとも、この多嚢胞性卵巣症候群ではレトロゾールでないと効かないのでしょうか。そこはどうですか。

○梶原参考人 文献的には同等の効果なのですけれども、私の臨床的なこれまでの経験で言うと、例えばクロミフェンが無効例に対して、このレトロゾールを使った場合に排卵が惹起されるようなことなどもありますし、あと、例えばクロミフェンは抗エストロゲン作用によって子宮の内膜が薄くなりますので、頻回に使うことはなるべく避けようということになっているのですけれども、このレトロゾールの場合には子宮の内膜が薄くなるという副作用がないので、回数はある程度制限して使わなければいけないのですけれども、クロミフェンよりは使いやすいというところも実際あります。

○堀田座長 ありがとうございます。
 それでは、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 特に御異議がなければ、WGの報告を承認したいと思います。ありがとうございました。
 ここまでが不妊治療に関係する公知申請の該当性の審議であります。戸高先生、海野先生、梶原先生、どうもありがとうございました。
 続きまして、対象が変わりますけれども、抗がんWGから、米盛先生にフルダラビンについての報告をお願いしたいと思います。米盛先生、お願いします。

○米盛参考人 抗がんワーキングのほうから、フルダラビンリン酸エステル及びG-CSFの公知申請の該当性に係る報告書について御説明いたします。資料3-7及び3-8を御覧ください。
 要望内容について、両資料の1ページ目を御覧ください。フルダラビンリン酸エステル、シタラビン及びG-CSFの併用投与、以下、FLAG及びFLAGとイダルビシン塩酸塩(以下、「IDA」)の併用投与(以下「FLAG-IDA」)が再発または難治性の急性骨髄性白血病(以下、「AML」)に対して要望されており、これらの併用薬の中で適応外使用に当たるフルダラビンリン酸エステル及びG-CSFについて要望書が提出されております。なお、G-CSFについては、レノグラスチム(遺伝子組換え)及びフィルグラスチム(遺伝子組換え)が要望されております。
 以降は、基本的にフルダラビンリン酸エステルの報告書、資料3-7になりますが、それを基に説明させていただきます。
 続いて、海外の状況について、資料3-7の2ページ以降に記載のとおり、海外での承認はございません。なお、G-CSFについての海外の承認もございません。
 海外診療ガイドラインでの記載について、3ページ以降に記載しており、NCCNガイドライン、PDQガイドライン及びELNガイドラインにおいて、FLAG及びFLAG-IDAに関する臨床試験の論文が引用されております。
 公表論文などの内容については、6ページ以降に記載いたしました。
 6ページから、成人AML患者を対象とした試験。
 9ページ以降が、小児AML患者を対象とした試験です。
 また、12ページ以降に記載のとおり、詳説や教科書においても、FLAG及びFLAG-IDAの臨床試験結果などが記載されております。
 本邦での臨床使用の実態調査については、13ページ以降を御覧ください。
 13ページからが成人。
 15ページからが小児の調査結果となっており、それぞれFLAG及びFLAG-IDAの使用実態が確認されました。
 有効性において、当該使用実態調査では、CRなどの確認がされております。
 また、安全性について、当該使用実態調査において、新たに注意喚起が必要な有害事象は認められませんでした。
 公知申請の該当性の判断については、17ページ以降に記載しております。
 まず、有効性について、海外臨床試験成績、本邦の臨床使用実態並びに国際的な教科書及び診療ガイドラインの記載内容を踏まえ、成人及び小児の再発または難治性AMLに対するFLAG及びFLAG-IDAの有効性は、医学薬学上公知と判断しております。
 続いて、安全性について、国内外の臨床試験などにおける有害事象の発現状況については、18ページ以降に記載しております。
 これらの報告において、新たな注意喚起が必要な事象は認められませんでした。
 以上に加え、要望された用法・用量は、既に本邦で承認されている用法・用量の範囲内であり、日本人に対する安全性について一定のエビデンスが蓄積されることを考慮すると、造血器悪性腫瘍の治療に精通した医師により、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、成人及び小児の再発または難治性AMLに対するFLAG及びFLAG-IDAは忍容可能と考えております。
 効能・効果について、フルダラビンリン酸エステルは、資料3-7の19~20ページに記載のとおり、再発または難治の急性骨髄性白血病と設定することが適切と判断しております。
 また、G-CSF製剤において、資料3-8の20ページに記載のとおり、G-CSFは、AMLに対する腫瘍増殖抑制作用は有していないものの、成人及び小児の再発または難治AMLに対するFLAG及びFLAG-IDAの臨床的有用性は、医学薬学上公知であること。及び、抗悪性腫瘍薬と併用することで、AMLに対するG-CSF製剤の有効性が期待できることから、効能・効果を、再発または難治性の急性骨髄性白血病に対する抗悪性腫瘍剤との併用療法と設定することが適切と判断しております。
 また、用法・用量について、フルダラビンリン酸エステルは、資料3-7の20ページ以降に記載のとおり、ほかの抗悪性腫瘍剤等との併用投与である旨を明記上した上で、要望内容と同様の用法・用量を設定することが適切と判断しております。
 また、G-CSF製剤について、資料3-8の20ページ、21ページに記載のとおり、フルダラビン、シタラビンなどの抗悪性腫瘍剤併用化学療法において、G-CSF製剤を併用することを明記した上で、要望内容と同様の用法・用量を設定することは適切であろうと判断しております。
 説明は以上になります。

○堀田座長 ありがとうございました。
 これはFLAG療法という併用療法の一部のフルダラビンについての御報告をいただいたわけですが、FLAGのGというのはG-CSFで、次にかかるものと一連のものですが、この対象としてフルダラビンの適応というところを御審議いただくわけであります。
 ただいまのWGの報告につきまして、何か御質問、御意見ありましたら、よろしくお願いします。
 海外では承認がないと書いてありますけれども、実際のところ、この化学併用療法というのは20年以上前から再発・難治の急性骨髄性白血病では割とやられている実態があり、血液学会もしくは小児血液がん学会の実態調査でも、そういったことが示されているのだろうと思います。
 いかがでしょうか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 それでは、このフルダラビンにつきまして、WGの報告を承認したいと思います。
 続いてのレノグラスチム、フィルグラスチムについても、この一連のものです 、G-CSFについては、これももう報告いただいたということでよろしいですか。

○米盛参考人 そのとおりです。同じ内容になります。

○堀田座長 FLAG療法の中の2つという意味合いでよろしいですね。この場合、問題は、G-CSFは急性骨髄性白血病の白血病細胞、すなわち芽球を刺激する作用があるということです。通常は、化学療法後に少し残っているかもしれない白血病細胞を刺激する可能性があるということで、一般診療では使っていないものですが、FLAG療法では、day 0の段階でG-CSFを投与して白血病細胞を細胞周期に引っ張ってきて、そこでフルダラビン、シタラビンを効かせるというコンセプトの治療ですから、今までのG-CSFの使い方とは違う効能というところを御理解いただければと思います。
 米盛先生、ということでよろしかったですか。

○米盛参考人 御説明いただいたとおりです。ありがとうございます。

○堀田座長 ということですが、よろしいでしょうか。通常、抗がん剤を使った後に、白血球減少に対してG-CSFが使われるわけですが、この場合はそういう目的ではなくて、白血病の感受性をむしろ高める作用があって、それに対して抗がん剤がより有効になるというコンセプトの治療であります。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 特に反対がなければ、WGの報告を承認したいと思います。
 引き続き、米盛先生にベバシズマブについて御報告をお願いいたします。

○米盛参考人 ありがとうございます。
 ベバシズマブ、資料3-9になりますが、公知申請の該当性に係る報告を御説明させていただきます。
 要望内容について、1ページ目を御覧ください。
 卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kg、2週間間隔投与の要望が提出されております。
 また、併用薬については、リポソーム化ドキソルビシンが要望されております。
 欧米6か国の承認状況などについては、2~16ページに記載しており、欧米6か国で卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与は承認されております。
 海外の臨床試験成績は、16~17ページに記載したように、卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与に対して、企業側での臨床試験(AURELIA試験)が実施されております。
 AURELIA試験を含む公表文献などの内容については、17ページ以降に記載いたしました。
 総説や教科書においては、19ページ以降に記載のとおり、AURELIA試験などに基づき、卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与は可能である旨が記載されております。
 本邦での臨床使用実態調査については、21ページ以降を御覧ください。
 卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与の使用実態が確認されております。
 有効性について、当該使用実態調査では、奏効及び部分奏効が確認されております。
 また、安全性について、当該使用実態調査において、新たに注意喚起が必要な有害事象は認められませんでした。
 公知申請該当性の判断について、23ページ以降に記載しております。
 まず、有効性について、AURELIA試験などの欧米など6か国での承認状況、海外臨床試験成績、国際的な教科書による診療ガイドラインの記載内容、並びに本邦の臨床使用実態を踏まえ、卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与の有効性は、医学薬学上公知と判断しました。
 続いて、安全性について、国内外の臨床試験などにおける有害事象の発現状況については、24ページ以降に記載しております。これらの報告において、新たな注意喚起が必要な事象は認められておりません。
 以上に加え、要望内容に関わるベバシズマブの用法・用量は、本邦において手術不能または再発乳がん、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん等の効能・効果に関わる用法・用量として既に承認されており、日本人の安全性に関する一定のエビデンスが蓄積されていることを考慮すると、がん化学療法に精通した医師により、有害事象の観察や管理等の適切な対応がなされるのであれば、卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与の用法・用量は忍容可能と判断しております。
 以上の検討を踏まえ、要望された卵巣がんに対するベバシズマブ10mg/kgの2週間間隔投与の用法・用量は、臨床的有用性は医学薬学上公知であると判断しております。
 効能・効果については、25~26に記載のとおり、既承認の効能・効果から変更する必要はないと判断しております。
 また、用法・用量については、26ページ以降に記載のとおり、AURELIA試験と同様の用法・用量を設定することが適切であると判断しております。
 説明は以上になります。

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、ベバシズマブ、これはたくさんのがん種に対して既に効能・効果を持っていますけれども、今回、卵巣がんということであります。ただいまのWGの公知申請の該当性についての報告に何か御発言、御意見ありましたら、よろしくお願いいたします。
 大江先生、どうぞ。

○大江構成員 大江ですけれども、これは先発品だけが対象で、バイオシミラーは対象にならないという理解でよろしいですか。

○米盛参考人 これについては、要望のとおりで、バイオシミラーは対象になっていないと考えています。

○大江構成員 ありがとうございます。

○堀田座長 そのほかはいかがですか。よろしいでしょうか。
 落合先生、何か御発言ありませんか。

○落合構成員 米盛先生、ありがとうございました。私、今の御発表に特に追加する点はなく、公知申請は妥当だと考えます。

○堀田座長 よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 それでは、特に御意見、御異議がなければいようですので、WGの報告を承認したいと思います。ありがとうございました。
 米盛先生、ありがとうございました。
 続きまして、話題が変わりますけれども、これから議題2の「特定用途医薬品に係る基準への該当性」という話題に移ってまいります。その前に、今回、初めての審議になりますので、まず最初に、事務局から、特定用途医薬品について、前に一度説明を伺っているのですけれども、もう一回確認ということで、改めて御説明をお願いします。

○柳沼補佐 事務局でございます。御説明いたします。
 資料は、資料4、218/221ページからと、参考資料がございまして、そちらのほうは参考資料6というのがございます。12ページです。併せて、追加的にお配りいたしました補足資料、今、画面のほうを御覧いただけると載っているもの、こちらの3点、御用意いただければと思います。
 特定用途医薬品制度は、令和元年の薬事法改正で導入されまして、昨年の8月に施行された医薬品の指定制度でございます。小児に対する用法・用量が設定されていないとか、AMRの関係でニーズがあるとか、現状において医療上のニーズが著しく充足されていない医薬品を指定して、開発助成や優先審査といった方策によって、その研究開発を促進させようというものでございます。
 品目の指定に当たっては、指定要件に該当するかどうか本検討会で御意見をいただくということにしております。その該当性の基準が参考資料6のほうにございます。こちらにありますように、今回御議論いただくのは小児の疾病の診断、治療・予防を用途とするものに関する御議論になりますけれども、該当性の要件としてア、イ、ウと3点ございます。
 アとして、対象とする用途に関して開発を行う必要があること。
 イとして、対象とする用途の需要が著しく充足していないこと。
 ウとして、対象とする用途に対して特に優れた使用価値を有すること。
 この3つの観点で御評価いただければと思っております。
 本検討会議で該当性評価が行われた後、その結果をこの要望された医薬品の製造販売業者のほうに通知いたしまして、企業のほうで本検討会議の評価結果なども踏まえて、厚生労働省に対して指定申請が行われるというプロセスになります。最終的には、薬事・食品衛生審議会の意見も聞いた上で、厚生労働大臣による特定用途医薬品の指定が行われるということになります。
 その後、開発が進んで承認申請が行われましたら、優先審査の対象として審査をしていくということになります。
 以上の内容ですけれども、補足資料の1ページ目に法令上の規定があり、2枚目に実際にこれに指定された場合のメリットというのが並べて書いてありまして、優先審査、研究開発税制助成、再審査期間の付与といったもので、インセンティブもしくは行政側の支援というものが与えられて研究開発を促進しようとする制度でございます。
 簡単ですが、以上になります。

○堀田座長 ありがとうございました。
 ただいま、定義について御説明していただきました。今日は、これから具体的な審査審査審査審査議に入るわけでありますが、特定用途医薬品については、これまでの医療上の必要性の高い品目の要望については、学会や個人からだったのですが、もっと広い範囲からの要望が取れる出せということでしたね。

○柳沼補佐 はい。

○堀田座長 ですから、製薬企業も入るということで理解したいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、この特定用途医薬品に係る基準の該当性について、小児WGから中村先生に御報告いただきます。よろしくお願いいたします。

○中村参考人 それでは、資料4に基づきまして、提出された特定用途医薬品の基準の該当性について、小児WGにおける検討結果を御報告させていただきます。
 なお、WGにおける議論に当たりましては、精神・神経WGの一部の先生からも専門的な見地に基づき意見をいただきました。
 資料の2ページ目、全体ですと219/221ページを御覧ください。
 今般、ファイザー株式会社よりデクスメデトミジン塩酸塩(以下、「本剤」)について小児における非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静を予定効能・効果とした開発提案がなされました。
 事務局より説明がありましたように、今回初めての特定用途の対象となります。特定用途医薬品の各指定要件につきましては、先ほどの参考資料6を適宜御参照ください。
 WGでの評価結果について、219/221ページの特定用途医薬品の該当性に関するWGの評価というところを御覧ください。
 上が、指定要件ア、対象とする用途に用いるために必要な開発の該当性についてです。
 小児では、成人と異なり行動制御ができず、処置及び検査に対し自発的な安静を得ることが困難であることから、疼痛や侵襲の有無によらず処置及び検査時に体動を抑制するための鎮静が必要になることがあります。今般の開発提案は、小児における非挿管での非侵襲的な処置及び検査時の鎮静に係る本剤の用法・用量の追加を目的としたものであることから、指定要件ア(1)に該当すると判断いたしました。
 次に、指定要件イ 対象とする用途の需要が著しく充足していないことへの該当性についてでございます。
 本邦では、小児における検査時等の鎮静に関する効能・効果を有する医薬品としてトリクロホスナトリウム及び抱水クロラールが承認されております。しかしながら、これらの薬剤は投与後作用発現までに30~60分を要するため、速やかな鎮静の導入には適さず、また投与後2~8時間まで作用が持続するため、検査等終了後の速やかな覚醒が困難であり、患者さんの負担になっています。また、投与経路が経口投与または経直腸投与であるため、検査等の実施において安静を要する間に途中覚醒した場合の追加投与が困難で、途中覚醒を防止するために投与量を増やすことは呼吸抑制等の合併症のリスクを高める可能性があります。
 さらに、トリクロホスナトウリム単剤では十分な鎮静が得られないことがありまして、30%では他剤の追加投与が必要であったことも報告されています。複数の鎮静薬を併用することは、鎮静の合併症リスクを高める可能性があるため、安全性の観点からも望ましくありません。小児における検査等のうち、特にMRI検査は体動の完全な抑制が必要であり、検査時間も長く、かつ安全性上の問題が生じた際に検査室内での応急処置等の可能な対応も限られることから、単剤で適切なレベルの鎮静が得られる鎮静薬が望まれています。
 以上より、小児におけるMRI検査等の非侵襲的な検査等時の鎮静においては、単剤で速やかな鎮静の導入及び安定した維持並びに検査等後の速やかな覚醒が可能であり、鎮静の合併症リスクが低い鎮静薬が必要とされている。つまり、既存の治療薬より医療上の有用性が高いものが必要とされていると考えられることから、指定要件イの(2)に該当すると判断いたしました。
 最後に、指定要件ウ、対象とする用途に対して特に優れた使用価値を有することの該当性についてで、まず、指定要件ウの適応疾患が重篤である、または重篤な疾患に対して指示的に用いるものへの該当性についてでございます。
 小児において鎮静を要する非侵襲的な検査等として、MRI検査、CT検査、経胸壁心エコー検査、脳波検査等が想定されております。提案者が主に想定している本剤の用途であるMRI検査の対象となる疾患には、てんかん、脳腫瘍、水頭症、先天性心疾患、腹部腫瘍等の重篤なものが一定程度含まれ、診断の遅れや不正確な診断によりさらに重篤化するおそれがございます。今般提案された用途は、これら重篤な疾患を含めた疾患の診断や治療に不可欠な検査を迅速かつ正確に行うために用いるものであることから、(1)に該当すると判断しました。
 次に、指定要件ウの(2)、国際的なガイドライン等で標準的な治療薬として確立しているもの、またはランダム化比較試験の結果等で高いエビデンスが得られているものへの該当性についてでございます。
 提案された用途に対して、本剤は欧米等6か国のいずれにおいても承認されておらず、標準的な鎮静薬として推奨している国際的なガイドラインも存在しないため、指定要件のうち、前者である標準的な治療法として確立しているものには該当しないと判断しました。一方、海外において実施された小児のMRI検査等の鎮静に対する複数の前向きの無作為化比較試験において、本剤投与開始後鎮静達成までの時間は約7~19分、本剤投与終了後覚醒までの回復時間は約10~30分であり、また、本剤は呼吸等への影響が少ないことが報告されていることから、小児における検査時等の鎮静に対し、速やかな鎮静の導入及び検査等後の覚醒を含めた本剤の臨床的有用性が示唆されている。
 加えて、海外の教科書において、検査や処置時の鎮静に本剤は単剤で安全に使用できることが記載されており、本邦のガイドラインにおいて適応外であることや、小児患者における薬物動態・安全性が確立されているわけではないとされた上で、MRI検査等の鎮静薬として呼吸抑制が軽微ため安全である旨が記載されております。これらの臨床試験成績、教科書及びガイドラインの記載等を踏まえると、適切な注意喚起の下であれば、本剤を小児におけるMRI検査等の非侵襲的な検査等時の鎮静に用いることの臨床的有用性が期待できることから、指定要件ウ(2)に該当すると判断しました。
 以上から、小児WGの検討の結果、今回提案は指定要件ア、イ、ウのいずれにも該当すると考えられることから、特定用途医薬品の基準に該当するものと判断いたしました。
 なお、今回提案された用法・用量は、さきに述べました海外で実施された試験における、本剤の用法・用量と一部異なるものでありまして、現在、提案者によって、小児患者を対象として提案された用法・用量も含めて、MRI検査時の鎮静に対する本剤の臨床推奨用量を検討するための無作為化二重盲検比較試験が本邦を含む国際共同試験として実施中であります。今後得られる予定の試験成績を含めて、今般開発提案された用途に対する承認審査において用法・用量の適切性を検討する必要があると考えております。
 以上でございます。

○堀田座長 ありがとうございました。
 ただいまWGから指定要件への該当性について報告をいただきました。医薬品の対象はあくまで既承認薬で適応外ということで、未承認は対象にしないということです。
 ただいまの報告につきまして、何か御質問や御意見がありましたら、どうぞよろしくお願いします。
 山本先生。

○山本構成員 山本です。
 現在、臨床の現場で使われているのはトリクロホスナトウリムが非常に多いのですけれども、うまく鎮静が得られなくて検査が失敗してしまうということがたびたびあります。ですから、こういう安全性・有効性がもし確立するようであれば、ぜひその選択肢の一つとして進めていただければと思います。
 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。
 横谷先生。

○横谷構成員 横谷です。
 山本先生もおっしゃったように、実際に現場で非常に難しい鎮静であることもしばしばあるということからすると、有効性と安全性が証明された新たな薬剤として、こういう薬が、特に特定用途医薬品として開発されていくことに関して、その該当性があるというWGからの報告は大変ありがたいと思いますし、非常に丁寧に説明してくださって、ありがとうございました。
 1つ、この薬剤は、今までの使用からすると、集中治療とか小児麻酔の専門家がしばしば用いていた薬剤だと思いますし、そういった専門家からすると、安全・有効に使える薬剤として高い位置にあると思いますけれども、この薬剤を開発する上で、実際は小児科医等が鎮静していることが多い中で、そういう現状に照らして、どのように普及していくか、どのような条件であれば、例えばそういった小児麻酔や集中治療の専門家以外も使うことができるのか、あるいは使うことができないとしたほうがいいのかということも考えながら開発していただけるとありがたいと思います。
 特に、広くMRI等の深鎮静が小児科によって行われることを考えると、非常に高い条件を求めたとしても、小児科医もそれに参加して、そしてより安全で有効な、こういった薬剤の利用ができるという方向でこういった薬剤が開発されていくことを期待したいと思います。
 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。
 そのほかに御意見いかがでしょうか。小川先生の顔が見えます。
 その前にどうぞ、岩田先生。

○岩田構成員 国立がん研センター、岩田ですけれども、私もこういう小児の鎮静を要する検査は非常に苦労した覚えがあるのですけれども、比較的即効性で呼吸抑制の少ない薬というのは、検査にとっても重要だと思います。
 ちょっと聞き漏らしたかもしれないのですけれども、もしこれで申請が認められた場合、先ほど臨床試験をやるようなお話しをされていましたけれども、具体的にはどんなことが求められそうなのでしょうか。

○堀田座長 これは事務局のほうからお答え願います。

○事務局 医薬品審査管理課でございます。
 今後ですけれども、先ほど中村参考人から説明がございましたように、現在、無作為化二重盲検比較試験が国際共同試験として行われてございます。こちらの結果が近く出てくるようにも聞いておりますので、その結果をもってして、最終的な用法・用量の適切性などについては検討されていくものと考えてございます。
 以上となります。

○岩田構成員 ありがとうございます。
 その試験には日本も参加していると考えてよろしいですか。

○事務局 そのとおりでございます。

○岩田構成員 ありがとうございました。

○堀田座長 既に国際共同試験には日本も参加して進んでいるので、その結果がもうすぐ出てくる可能性があるということですね。
 その他、御意見いかがでしょうか。

○小川構成員 先ほど御指名がありましたので、私も意見を言わせていただきます。
 おっしゃるとおり、現場としては、私、小児科医じゃございませんけれども、小児科の先生から早く使えるようになることを望まれている先生が多いと聞いておりますので、ぜひそのような試験の結果で早く適応を取っていただきたいと、そういうふうに思っております。小児のいろいろな事故とかを防ぐ意味でも、早く適応を取るべきじゃないかと思っています。
 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ありませんか。応援の御意見でも結構でございます。
 小児と感染症の抗菌薬等が、この特定用途医薬品の対象になるわけでありますが、特に医療ニーズが充足していないという面が強調されているので、そういう面では非常に理にかなったものだろうと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)

○堀田座長 ありがとうございました。
 それでは、このWGの報告を承認とさせていただきたいと思います。
 以上で今日の審議事項は終了かと思いますが、この際、まだ少し時間はあるようですので、何か御要望や会議の進め方について御意見がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、本日の予定を終了しますので、事務局のほうから何か連絡事項がありましたら、お願いいたします。

○柳沼補佐 事務局でございます。本日も長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございます。
 事務的な連絡ですけれども、次回検討会議の日程、開催形式につきましては、決定次第、また御連絡いたします。よろしくお願いいたします。
 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。
 それでは、皆さん、本日もどうもありがとうございました。また次回、よろしくお願いいたします。
 本日はこれにて終了とさせていただきます。

 

 

(了)

<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

  03-5253-1111(内線 4221)

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