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2018年7月4日 第35回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成30年7月4日(水) 16:00~18:00

 

○場所

航空会館 大ホール(7階)
東京都港区新橋 1-18-1

○出席者

出席構成員

新構成員、伊藤構成員、大森構成員、岡部構成員、落合構成員
合田構成員、後藤構成員、佐藤構成員、田村構成員、長島構成員
平林構成員、藤原構成員、堀田構成員、村島構成員、横谷構成員
 

出席参考人

石川参考人、勝野参考人、花岡参考人、山本参考人、米盛参考人

○議題

第II回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第III回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第IV回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第I回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
要望品目の医療上の必要性について
開発要請品目の公知申請への該当性について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
定刻より少し早いですが、委員の皆様がおそろいですので、ただいまより第35回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催します。会議に先立ちまして、本検討会議の構成員に変更がありましたので、新たに御参画いただくことになりました構成員を御紹介申し上げます。

 50音順に御紹介させていただきます。信州大学医学部附属病院薬剤部長の大森栄委員です。本日は御欠席ですが、国立循環器病研究センター理事長の小川久雄委員です。日本医師会常任理事の長島公之委員です。順天堂大学膠原病内科教授の田村直人委員です。国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センターセンター長の平林容子委員です。本日は御欠席ですが、聖マリアンナ医科大学小児科学教授の山本仁委員です。以上です。本日は五十嵐構成員、岩田構成員、小川構成員、平安構成員、山本構成員より御欠席との御連絡を頂いております。現在のところ15名の先生方に御出席いただいております。また、ワーキンググループの検討状況を御報告するに当たりまして、各ワーキンググループのメンバーから石川参考人、勝野参考人、花岡参考人、山本参考人、米盛参考人に御出席いただいております。

 続きまして、事務局に人事異動がありましたので、御報告します。医政局研究開発振興課治験推進室長の吉田です。冒頭のカメラ撮影はここまででよろしくお願いします。それでは堀田座長、以降の議事進行をよろしくお願いします。
 

○堀田座長
 皆様、こんにちは。大変蒸し暑い中、お集まりいただきまして、定刻よりも早く始めることができ、皆様の御協力に感謝いたします。さて、新しい年度になり、新メンバーもそろい新年度の第1回に当たる検討会議を始められることになりました。まず、本日の配布資料の確認を事務局からお願いします。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 配布資料の確認をさせていただきます。本日、席上に座席表、議事次第、配布資料一覧、資料1として「検討会議における検討の進め方」、資料2-1から資料2-4ですが、第I回から第IV回の「要望に係る専門作業班(WG)の検討状況の概要等について」ということで、4綴りの資料があります。そして、資料3-1から資料3-4ですが、医療上の必要性に関する専門作業班(WG)の評価ということです。そして、資料4-1と資料4-2が「公知申請への該当性に係る報告書()」です。資料5-1が「企業から提出された開発工程表について」です。また、企業から提出された開発工程表の概要につきましては、第I回から第IV回までの要望を、それぞれ資料5-2から資料5-5までの資料でまとめています。資料6ですが、こちらが開発企業の募集を行った医薬品のリストです。資料7は「公募品目にかかる状況の再調査等について」という資料です。最後に参考資料として、一まとめで、参考資料1の開催要綱に続きまして、構成員名簿、専門作業班(WG)の設置について、WGメンバーの名簿、医療上の必要性の評価の基準について、開発要請先企業の指定の考え方について、人道的見地から実施される治験の制度該当性基準について、執行部に所属している学会についてということで、参考1から参考6までの資料を一綴りにしています。

 また、資料の一番上に置いてあったかと思いますが、参考資料2と参考資料6については、本日、最新版に差し替えがありますので、そちらを配布しています。この参考資料6につきましては、各構成員の先生方が執行部に所属している学会について、お示しさせていただいておりまして、前回会議の資料を本日現在に更新した内容となっています。本会議の公平性の観点から、当面は構成員のうち、当該学会の執行部に在籍する方は、当該要望に係る背景事情等の説明は行うものの、議決には参加しないということとなっています。本資料の内容に誤り等がありましたら、この時点でお知らせいただければと思います。


○堀田座長
 ありがとうございました。資料に落丁等はありませんか。もしありましたら、お知らせ願います。それでは、ないようですので、ただいまから議事に入ります。まず前回会議を323日に開催していますが、事務局からその後の進捗状況について御説明をお願いします。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 資料1を御覧ください。「検討会議における検討の進め方」ですが、前回から変更した部分を御説明します。この資料の右下にあります開発要請の件数ですが、本年5月末までに、新たに開発要請、開発企業の募集を行った品目がありますので、件数の更新を行っています。企業に開発要請を行ったものについて、第III回の要望は50件と書いてありますが、前回は45件でしたので、こちらの点について更新しているほか、第IV回の要望の件数は前回9件と御報告していましたが、そちらを10件に更新しています。それ以外につきましては、変更はありません。資料1の裏面につきましても、同様に変更を行っています。資料1については以上です。

 続きまして、未承認薬・適応外薬の開発要望、第I回から第IV回までの要望につきまして、事務局から資料順に説明させていただきます。資料2-1を御覧ください。第II回要望に関する資料です。前回会議までに、この1ページ目の上段の表、右上の所に未承認薬が26件、適応外薬が78件、計104件について、医療上の必要性が高いとの評価を頂いたところです。前回会議時点で検討中であった品目1件につきましては、今回会議までに進捗がありませんので、引き続き検討中という状態です。具体的な品目につきましては、3ページ目に書いてありますチオペンタールナトリウムの痙攣重積症に関することです。医療上の必要性についてはこちらです。

 続いて2ページを御覧ください。こちらは開発要請又は開発企業募集を行った品目の状況を示したものです。前回会議時点で検討中のものは、資料中ほどの赤枠で囲んでいる10件ですが、今回会議までに進捗はなく、いずれも引き続き検討中ということで、具体的な品目については、この資料の4ページ目、別添2の各品目につきまして、現在引き続きワーキンググループで検討を行っているというものです。それぞれの状況については概略等、表の中での説明を御覧ください。資料2-1については以上です。

 続きまして、資料2-2を御覧ください。こちらは第III回要望に係る専門作業班の検討状況の概要です。第III回要望については前回会議までに、1ページ上段の表右上の合計欄ですが、未承認薬13件、適応外薬42件の計55件につきまして、医療上の必要性が高いと評価を頂いています。前回会議時点で検討中のものは、この赤枠の11件ですが、抗がんWGにおいて1件、医療上の必要性が高いと評価されています。こちらにつきましては、資料3-3で御報告いただきます。医療上の必要性に関する品目の詳細につきましては、35ページに個別の品目につきまして、説明を記させていただいております。医療上の必要性に関する検討状況は以上です。

 続いて2ページ目を御覧ください。こちらは開発要請又は開発企業募集を行った品目の状況をお示ししたものです。2ページ目の資料の中ほどですが、前回会議時点で検討中のもの12件と、新たな要望5件、既に開発に着手しているもの1件を加えた18件が、現在ワーキンググループのほうで検討を行っているものでして、これらのうち3件につきまして、今回新たに「公知申請が妥当であるもの」と評価されましたので、引き続き検討を行っているものは14件ということになります。この「公知申請が妥当であるもの」と評価された3件につきましては、資料4-1、資料4-2で御報告いただくこととしています。

 残る検討中のものの詳細等につきましては、同じ資料の6ページから10ページまでに、別添として一覧にしているので、御参考にしていただければと思います。また、灰色に塗られている部分につきましては、前回からの変更点ということとなります。

 続いて資料2-3は、平成2771日から平成291130日までの第IV回要望についての進捗状況を取りまとめたものになります。第IV回要望については、前回会議までに、1ページ上段、表の右上の合計ですが、未承認薬3件、適応外薬6件、迅速実用化3件の合計12件について、医療上の必要性が高いとの評価を頂いています。前回会議時点で検討中だった34件について、検討を行っておりまして、下段の表になりますが、このうち循環器WGにおいて1件、精神・神経WGにおいて1件、抗がんWGにおいて3件、小児WGにおいて3件が、医療上の必要性が高いと評価されており、抗がんWGにおいて1件が医療上の必要性が高くないと評価されています。これらについては、資料3-1から資料3-4で御報告いただきます。医療上の必要性に関して、検討中の品目の詳細につきましては、資料の38ページの別添1の表でまとめられています。第IV回要望の医療上の必要性については以上です。

 続いて2ページ目を御覧ください。こちらは、開発要請又は開発企業募集を行った品目の状況をお示ししています。資料下段の「4.前回検討会議から本会議までの開発要請と公知申請の妥当性の確認に係る進捗状況について」の1つ目のポツですが、前回会議で医療上の必要性が高いと評価された1品目について、平成30330日に開発要請を行っています。前回会議時点での検討中のものは、資料の中ほどに6件ありますが、検討中の品目はこの6件と併せて7件という状態です。これらについては、今回会議までに進捗はなく、いずれも引き続き検討中という状況です。これらの具体的な品目につきましては、この資料の9ページ目以降、別添2に一覧として取りまとめているので、現在の状況について御参考にしていただければと思います。

 続いて資料2-4につきまして、説明させていただきます。こちらは第I回要望に係る専門作業班の検討状況の概要ということですが、経緯を説明しますと、前回の第34回の会議で、開発企業が確認された品目というものを報告させていただきました。資料2-4を開いていただきまして、「3,4-ジアミノピリジンにかかる開発要請について」という、前回の資料8-1を付けさせていただきましたが、この中で対象企業に開発要請を行うこととしたいと記されておりますとおり、こちらの3,4-ジアミノピリジンにつきまして、開発要請先に開発要請を行ったところ、現在ワーキンググループにおいて公知申請の妥当性を検討することになったと、そういった状況を説明するものです。少々長くなりましたが、説明は以上です。


○堀田座長
 前回からの進捗をざっと述べていただきまして、資料が多いので、フォローが難しいかもしれません。特に新しく構成員になられた先生方は、遠慮なく御質問等を頂ければと思います。ただいまの報告について、何か御意見や御質問はありますか。

 検討中のものは検討が進むと表の上の段に上がっていきますので、その点は入り繰りがあるので、下から上がってくるものと、上に抜けていくものとのバランスになります。ここまではよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは続きまして、要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況について、ワーキンググループからの報告を受けたいと思います。まず最初は、循環器WGの山本先生からお願いします。


○山本参考人
 循環器WGの山本です。まず資料3-11ページ、要望された医薬品ですが、リツキシマブ(遺伝子組換え)です。以下、「本薬」とさせていただきます。要望は日本血液学会から、血栓性血小板減少性紫斑病、これは「TTP」と略させていただきます。TTPに関する要望が提出されています。

 まずTTPですが、全身の微小血管に血小板血栓が形成されまして、血小板数の減少、溶血性貧血に加えて、血小板血栓による脳卒中や心筋梗塞等を引き起こす、致死的な疾患であることから、医療上の必要性については「ア」に該当すると判断しています。

 次に医療上の有用性についての該当性ですが、こちらは欧米等6か国において、本薬はTTPの効能・効果で承認は得られていませんが、後天性TTPに対する本薬の投与について、米国では保険償還がなされています。また、英国及び本邦の診療ガイドラインで推奨されているということで「ウ」、「欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断しています。

 以上により、本薬の医療上の必要性は高いとワーキングでは判断しました。なお、日本血液学会からの要望では、要望効能・効果は「TTP」ということになっていますが、本薬の作用機序及び国内外の診療ガイドラインの記載等を踏まえますと、本要望における検討対象には、先天性TTPは含まないことが適切と考えています。循環器WGからの報告は以上です。


○堀田座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの循環器WGからの報告に、何か御質問、御意見がありましたらお願いします。いかがでしょうか。非常に希少な疾患ではありますし、軽症から重症までかなり幅がありそうに思うのですが、その辺りはどうなのでしょうか。これは、自己免疫疾患と位置付けられているのでしたか。


○山本参考人
 はっきりした自己免疫疾患ということでもないと思いますが、未だに原因としては。


○堀田座長
 不明なところも。


○山本参考人
 はい、議論のあるところだと思います。


○堀田座長
 最近、これと名前はよく似ているけれど、ITPのほうがリツキシマブの承認を受けたところですが、ITPは明らかに自己免疫疾患という位置付けになっています。よろしいでしょうか。それでは、ただいまのワーキンググループからの報告は御了解いただけますか。ありがとうございます。続きまして精神・神経WGから勝野先生、よろしくお願いします。


○勝野参考人
 資料3-21ページを御覧ください。ミダゾラムにつきまして、日本小児麻酔学会より、麻酔前投薬に関する要望が提出されています。本邦ではミダゾラムの注射剤が麻酔前投薬を効能・効果として承認されていますが、今回の要望は小児を対象としたシロップ剤を要望するものです。

 適応疾病の重篤性については、小児の周術期においては、親との分離による不安等が取り除かれないことにより、麻酔導入に協力的でないことや、患児が啼泣したままで麻酔導入を行うことにより、気管挿管操作の障害、分泌物による気道閉鎖、誤嚥及び不整脈等を起こすことがあります。以上から「ウ」と判断しました。

 医療上の有用性について。ミダゾラムのシロップ剤が米国及びドイツで、小児における麻酔導入前の鎮静等を効能・効果として承認されており、イギリスのガイドラインにおいて、小児患者に対して麻酔前投薬の目的で広く使用される薬剤としてミダゾラムが記載されています。また、本邦のガイドラインにおいても、麻酔前投薬の目的でミダゾラムを経口投与する旨の記載があること、及び本邦では市販の注射剤を経口剤に院内製剤化している旨の報告があることから、ミダゾラムの経口剤が承認されれば、国内における有用性も期待できるため、「ウ」と判断しました。精神・神経WGからは以上になります。


○堀田座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの精神・神経WGの報告について、御質問、御意見はいかがでしょうか。特に小児の先生から何か追加でコメントがあればいかがですか。

 これは注射薬として大人では使っているわけですが、子供に適応がないということでの申請だと思います。シロップ剤を要望されているとなると、新しい製剤の開発をしなければいけないという具合になるのかと思いますが、その辺は事務局としてはどういう扱いですか。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 事務局より回答させていただきます。現時点で御判断いただいているのは、医療上の必要性ということですので、この後、企業に開発要請を掛けるということになります。その際に、そういったワーキンググループの意見につきましては、合わせて説明をさせていただきますが、開発要望に関してどうなるかは、またその後、調整を踏まえて、改めて報告させていただくことになろうかと思います。


○堀田座長
 あくまでこれは医療上の有用性が高いかどうかという判断でいえば、高いということで、この場はここまでの結論でよろしいかと思いますが、開発要請となったときには、剤形が問題となるというのか、調整の必要があるということです。よろしいでしょうか。


○伊藤構成員
 邪魔をするといけないから黙っていようと思ったのですが、検査をする場合の前の処置でも、小児は困っていることが多いのです。いろいろな画像診断とか、そういうもので、検査処置の前のときに、そういうものに何がいいかというのは困っていることが多いのですが、そういうものも含まれるということにはならないのですね。これは麻酔の要望ですから。


○堀田座長
 これは全身麻酔を前提にしているのですね。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 はい、今回の小児麻酔学会の御要望としては、麻酔前の投与という範囲になります。


○伊藤構成員
 難しいですよね。


○合田構成員
 これは英国や米国など、海外ではシロップ剤というのは出ていないのですか。剤形としては完全に新規になるということですか。


○堀田座長
 それはいかがでしょうか。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 少し事務局のほうで確認させていただいて、もし会議内で回答できれば、改めて回答いたします。


○堀田座長
 そうですね。分かったらまた教えていただくということにして、この場では必要性が高いということについては問題ないですね。ありがとうございます。続きまして、抗がんWGから米盛先生、報告をお願いします。


○米盛参考人
 抗がんWGにおいて検討した品目について御説明させていただきます。資料3-3を御覧ください。14ページの品目は再発・難治性急性骨髄性白血病に対するフルダラビンリン酸エステル、G-CSF製剤、シタラビンなどの併用レジメンに関する要望です。併用レジメンのうち再発・難治性急性骨髄性白血病の効能・効果の承認の得られていないフルダラビンリン酸エステル及びG-CSF2品目について成人と小児のそれぞれに対して要望が出され、計4件の要望をまとめて評価しました。重篤性については、再発・難治性急性骨髄性白血病は致死的な疾患であり、「ア」に該当すると判断しました。医療上の有用性については、診療ガイドライン及び教科書の記載内容、海外臨床試験などから、本レジメンは再発・難治性急性骨髄性白血病患者に対して欧米等において標準的療法に位置付けられていると考えられ、「ウ」に該当すると判断しました。

 5ページ目を御覧ください。胃癌に対するパクリタキセルの腹腔内投与の要望が未承認薬迅速実用化スキーム対象品目として提出されております。本要望は、要望要件のうち「先進医療Bで一定の実績があるもの」に該当すると説明されており、提出された先進医療Bの臨床試験結果を中心に評価いたしました。重篤性については、胃癌は致死的な疾患であり「ア」に該当すると判断しました。

 提出された公表文献などを含め医療上の有用性の評価に当たって最も考慮した臨床試験は、先進医療Bで実施された第III相試験であります。当該試験結果は報告書に記載しております。当該試験は、腹膜播種を有する胃癌患者を対象として、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(通称「S-1)とパクリタキセルの静脈内及び腹腔内への併用投与による治療法と、胃癌における標準的な治療法であるS-1とシスプラチンの併用投与、「SP療法」と我々は言いますが、これを比較する試験です。

 主要評価項目である全生存期間のフルアナリシスセット(FAS)を対象とした主解析の結果、本報告書に記載のとおり、全生存期間の中央値で2.5か月の差が認められたものの、腹腔内投与群のSP療法に対する優越性は検証されませんでした。

 抗がんWGでは、胃癌に対するパクリタキセルの腹腔内投与が有効であるとは結論づけられないと評価した先進医療技術審査部会の評価委員と同様に、本検討会議の評価基準である、「既存の療法に比べて明らかに優れている」とまでは言えないと判断しました。以上を踏まえ、医療上の有用性は「エ」に該当すると判断しました。

 なお、上記の判断以外に抗がんWGで出た意見を備考に記載しております。1つは、要望者からは複数の用法・用量が要望されており、1回当たりの投与量は20mg40mgとなっている一方、40mgへの増量の効果は明らかでないと要望者自身も考察していることを踏まえ、今後は臨床試験などにより、要望する用法・用量の臨床的有用性をより明確に示すべきということを記載しました。

 もう1つは、服腔内投与は新投与経路に該当するため、要望された用法・用量の薬事承認のためには、非臨床試験を含め腹腔内投与の情報を得ておく必要がある旨を記載しております。説明は以上になります。


○堀田座長
 2つの品目に対しての報告ですが、最初のフルダラビンリン酸エステルとG-CSF製剤のフラグ療法と言われるコンビネーション治療ですが、これについて御質問や御意見を頂けますでしょうか。この併用療法は既に実地では非常に広く使われているものですね。ただ、薬事承認は得られていない状況で行われている。特に日本だけではなく、海外でも行われているということです。通常のG-CSFの使い方は白血球を増やす薬として開発されましたけれども、この場合は、むしろ白血球を増やすというよりは、白血病細胞を活性化して、それを抗がん剤で叩くという発想の薬の使い方です。よろしいでしょうか。

 では、フルダラビンリン酸エステルとG-CSF製剤については、ワーキンググループの報告を承認とさせていただいてよろしいですね。

 2番目のパクリタキセルの腹腔内投与についてはいかがでしょうか。これは先進医療Bでやってきたものですが、結果として第III相試験が必ずしも有意が証明されなかったということですが、これについて何か御意見を頂ければと思います。もう少し追加した試験をやるべきだと書いてありますけれども、やれば有意になる可能性はまだまだ残っているということなのですか。米盛先生、どうお考えですか。


○米盛参考人
 腹腔内投与の化学療法については、余り卵巣がん以外のエビデンスというのがなかなか出てきていない状況です。新たに試験をすることによって有意な、臨床的に有用な結果が出るかどうかというのは全領域を見ていると難しいのかもしれませんが、それはまた新しい薬剤の開発とか、いろいろな工夫によって解決することもあるかもしれません。


○堀田座長
 卵巣がんでも試験をやっていましたね、あれは結果は出ましたか。


○米盛参考人
 卵巣がんにおいては腹腔内投与の治療によって有用性が証明されていますので、海外を含め、腹腔内投与については実施されているという状況がありますが、やはり経静脈的投与の治療法が最も利便性を含め汎用されているのは実際事実だと思います。


○堀田座長
 そうすると、証明されたのは、静脈内投与との比較で有効性が高かったというように理解していいのですよね。


○米盛参考人
 そうですね。


○堀田座長
 それでも、いわゆるプラクティスで標準治療にはなるのですか。


○米盛参考人
 1つの選択肢として提示されておりますが、広く国内外で最もよく使われているものは、それでも経静脈的な投与の治療法がやはり卵巣がんでは行われています。ですので、必ずしも臨床試験の結果がそのままプラクティスに広く使われるということにはならないこともあるので、いろいろな状況を加味しながら総合的に医療の中で判断されることだと思います。


○堀田座長
 では、藤原先生。


○藤原構成員
 この品目は先進医療会議とか、先進医療技術審査部会でも結構議論になったものですし、その後、患者申出療養にも第1号か、第2号かぐらいになった品目です。今、パクリタキセルだけではなく、ドセタキセルという類薬も腹腔内投与にするとか、様々な腹腔内投与を含むレジメンが先進医療として走っているところなのですが、その大前提はパクリタキセル腹腔内投与が薬事承認され保険適用につながっていくということがある程度道筋が見えるということだと思います。この辺り、現行走っている先進医療をやられている先生たちに、早く動物での毒性試験をやりなさいとか、ヒトでの薬物動態試験を追加しないと、また袋小路に入りますよというようなことは言わなくていいのかなと思いますけれども。


○堀田座長
 今のはどうなのでしょうか。


○大森構成員
 ここにある最後のところで、薬物動態試験というのは、薬の効果を判定する際の1つの指標として重要であり、動態の変化というのは効果変動の指標にもなります。毒性試験とおっしゃっている部分につきましては、いわゆる安全性を担保するような部分の情報にもなるかと思います。従いまして、こういうものはきちんと出した上で、かつ、この前半の部分にあるようにドーズ・ファインディング・スタディも明確に行われていないということですので、実際レジメンそのものをきちんともう一度精査したほうがよろしいのではないかと思います。


○堀田座長
 ほかに御意見はありますでしょうか。


○落合構成員
 卵巣がんで、パクリタキセルの腹腔内投与が静脈内投与よりも良かったという成績というのは、実際、私は余り存じ上げないのですが、腹腔内投与で卵巣がんでいいのはプラチナ製剤だけであって、全ての試験はパクリタキセルは静脈投与だと理解しています。もちろん、今、現行で走っている臨床試験はシスプラチンではなくカルボプラチンの腹腔内投与、プラス、i.v.のパクリタキセルということで、欧米の試験で腹腔内投与がNCIで、是非、これも1つの選択肢として考えろというのは、プラチナ製剤ではないかと私は理解しています。そこら辺はどうでしょうか。


○米盛参考人
 先ほどの説明のときに、言葉足らずで申し訳ありませんでした。先ほどの卵巣がんでの話は先生のおっしゃるとおりシスプラチンのことで、腹腔内投与法で有用性があると言われているのは先生がおっしゃるようなエビデンスの話で、パクリタキセルではないということは確かです。パクリタキセルと発言してはいないのですが、シスプラチンという枕詞を追加すべきでした。すみません。


○堀田座長
 ありがとうございます。卵巣がんについては今回の主題ではありませんけれども、胃癌についてのパクリタキセルの腹腔内投与が有用性があるかどうかという視点で考えると、今は根拠が不十分であるということで、皆さん、よろしいでしょうか。特に異議がなければ、ワーキンググループの報告を承認とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

 続いて、小児WGになります。石川先生、よろしくお願いいたします。


○石川参考人
 小児WGのほうから御報告させていただきます。資料3-4です。2つありますので、続けてお話させていただきます。

 1つ目は、β-グルクロニダーゼです。日本先天代謝異常学会、ムコ多糖症VII型患者家族の会からの要望が出ております。β-グルクロニダーゼについては、小児WGにおける検討の結果、医療上の必要性が高いと判断しております。要望された効能・効果は、ムコ多糖症VII型に見られる諸症状の改善、特に6分間歩行距離の延長、努力肺活量の改善、関節可動域の改善となっております。

 重篤性については、ムコ多糖症VII型は進行性の遺伝性の疾患であり、病態の進行により失われた機能を完全に取り戻すことはできないと考えられております。以上から、「イ」の基準に該当すると判断しました。また、有用性については、本邦において、ムコ多糖症VII型を適応とした既存の医薬品はありません。その点から、「ア」の基準に該当すると判断しております。

 次ページ、コール酸の内容です。要望は、日本小児栄養消化器肝臓学会、日本先天代謝異常学会になります。コール酸について、小児WGでの検討の結果、やはり医療上の必要性が高いと判断しております。要望された効能・効果は先天性胆汁酸代謝異常症になります。

 重篤性については、先天性胆汁酸代謝異常症は、胆汁酸生合成経路の遺伝子酵素欠損により生じる重篤な胆汁うっ滞性肝疾患で、黄疸、灰白色便、肝腫大が主な症状になります。これは早期発見されれば、一次胆汁酸補充療法により予後は良好であることが多いということもありますが、発見が遅れて肝障害が進行すれば、肝硬変に進展して死に至る場合も報告されております。その点から「ア」の基準に該当すると判断しております。

 有用性については、本邦において、先天性胆汁酸代謝異常症に対して承認されている薬剤はありません。その点から「ア」の基準に該当すると判断しております。以上でございます。


○堀田座長
 ありがとうございます。小児領域からは2つの品目が出されております。まずはβ-グルクロニダーゼについて御質問、御意見を頂ければと思います。ほかにこれの代替薬はないと考えてよろしいですね。特にこういう希少で重篤な疾患に対してはきちんとやっていかないといけないと思いますので、特に御異議がなければ、必要性は高いということでよろしいですか。ありがとうございます。これについては、ワーキングの報告のとおり有用性が高いということで、了承とさせていただきます。

 2番目のコール酸についてはいかがでしょうか。


○横谷構成員
 コール酸について、医療上の必要性に関わる基準への該当性に関して全く異論はありませんけれども、備考に書かれている、診断の方法が保険適用になっていないということについて、極めてまれな疾患ですけれども、正しく診断することがこの薬剤の適正な有効な治療に結び付くと思われるので、事務局にお聞きしたいのですが、この診断方法について開発が進む過程の間に、保険局医療課への何か橋渡しができる可能性とか、あるいは学会に対してこういう用意はしたほうがいいのでは、こういうルートで提案したほうがいいのではないかという働き掛けなどの可能性について、あればお聞きしたいと思います。


○医政局研究開発振興課長
 基本的には、難病系の遺伝子の診断に関しては、前の改定、そして今回の改定でもどんどん広がってきておりますので、その学会の要望、それから難病の委員会、厚生労働省の審議会のほうで示された方法によって診断する場合には保険の適用を認めるという形で動いておりますので、そういう形で学会でまとめて要請していけば、保険の適用の道が広がると思っております。


○横谷構成員
 遺伝子診断については、この疾患は小児慢性特定疾病の1つですので、難病と同じ担当部署で扱って、難病と同じ流れになってきていますけれども、診断の手引にその診断法が必須であることが書き込まれることによって、恐らく、言われたような診断法が保険適用を受ける近道になると思うのですが、今の診断の手引を見ると、8種類の酵素欠損に対する遺伝子診断のことが書かれていますけれども、どちらかというと、質量分析による診断法のほうが書かれておりまして、例えば質量分析による診断法とかは、難病あるいは小児慢性特定疾病で手引に書かれているからといって、必ずしもすぐに保険適用になるとは限らないように感じているのですが、それについては。


○医政局研究開発振興課長
 そこは、いろいろな診断方法があると思いますが、難病の手引の見直しを、あれは確か委員会のほうでずっとされているかと思いますので、そちらのほうで入っていけば、保険のほうに収載される可能性は当然あると思います。


○横谷構成員
 そうすると、どちらかというと難病対策課との連携の下に保険適用については進めていったほうがいいのではないかという御意見ということ。


○医政局研究開発振興課長
 そういうことです。


○堀田座長
 伊藤先生、どうぞ。


○伊藤構成員
 先天性の胆汁酸代謝異常症と一括りにされると、非常に違和感を感じます。やはり一つ一つ疾患名を挙げて、酵素欠損の病名はちゃんとありますから、そこのものを出してやっていかないと、やはり何となく一括りというのは、問題があると思います。胆汁酸はコレステロールからコール酸とケノデオキシコール酸のほうが一次胆汁酸になる代謝がありますけれども、それ以後の代謝もありますから、先天性代謝異常症と一括りにすること自体が問題あります。やはり次に詰めていかれると思いますけれども、どの疾患に効果があるかはちゃんとしていかないといけないと思います。


○堀田座長
 今のお話だと、先天性の胆汁酸代謝異常といっても当然ながら1種類ではないということで、それにそれぞれの診断の方法というか、それが用意されないといけないということですか。


○伊藤構成員
 いや、診断方法は分かっていて、臨床レベルでやってくれますから、それは今でもちゃんと診断できます。しかし、やはりコール酸が効果があるということを考えた場合に、一般的にはその適応疾患の名前が付いていますから、先天性胆汁酸代謝異常症で一括りにしてはいけないということです。


○堀田座長
 分かりました。コール酸の必要性が高いとしても、診断名を特定するということと合わせてやっていかないといけないということだと思います。必要性に関しての皆様方の判断は、必要性は高いということでよろしいでしょうか。特に御異議がなければワーキンググループの報告を了承したいと思います。ありがとうございます。事務局、どうぞ。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 事務局でございます。先ほど御質問いただいたミダゾラムの液剤は、諸外国はどうであるかという御質問ですが。


○堀田座長
 先ほどの追加の情報ですね。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 申請者調べですが、米国、ドイツにおいて両方とも液剤があると、米国のほうは「シロップ」と書いてあり、ドイツも恐らくシロップであろうというような情報を頂いております。


○堀田座長
 よろしいですか。次は資料4-1、公知申請への該当性に係るワーキンググループからの報告をしていただきます。まず、花岡先生、よろしくお願いいたします。


○花岡参考人
 それでは、資料4-1を御覧ください。代謝・その他WGからアザチオプリンの公知申請への該当性に係る御報告をいたします。

 本要望は、日本肝臓学会からの自己免疫性肝炎の効能追加に係る要望です。要望内容に関する医療上の必要性については報告書の1ページを御覧ください。適応疾病の重篤性に関しての該当性は、自己免疫性肝炎は、無治療の場合には死亡する可能性があることから「ア」と判断しています。また、医療上の有用性についての該当性ですが、欧州では自己免疫性肝炎を効能・効果として、アザチオプリンとステロイドとの併用療法及びアザチオプリン単独療法が承認されており、また、米国肝臓学会のガイドラインにおいて、自己免疫性肝炎に対する治療法としてアザチオプリンとステロイドとの併用療法が記載されていることから、「ウ」に該当すると判断し、本要望について開発要請が行われています。

 次に、公知該当性について御説明いたします。25ページを御覧ください。3.欧米等6か国の承認状況等についての項を御覧いただくと、先ほど申し上げたように、アザチオプリンは、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアにおいて自己免疫性肝炎の効能・効果で承認され、成人及び小児に対して用法・用量が設定されています。

 12ページを御覧ください。学会又は組織等の診療ガイドラインへの記載状況です。米国、カナダでは承認されていませんが、米国肝臓学会ガイドラインでは、自己免疫性肝炎の治療としてアザチオプリンとステロイドとの併用療法が記されています。また、欧州ガイドラインにおいてもアザチオプリンとステロイドとの併用療法及びアザチオプリン単独療法が推奨されています。

 国内の自己免疫性肝炎診療ガイドラインにおいては、自己免疫性肝炎に対する治療として、再燃を繰り返す例や副作用のためプレドニゾロンを使用しにくい例においては、アザチオプリンの使用を考慮する旨の記載が記載されています。

 有効性について、18ページを御覧ください。自己免疫性肝炎患者を対象として海外のランダム化比較試験においてアザチオプリンとステロイドとの併用療法、アザチオプリン単独療法における有効性が確認されています。国内においてはランダム化比較試験は実施されておりませんが、アザチオプリンとステロイドとの併用療法によって寛解に至ったことが報告されています。また、小児の自己免疫性肝炎の患者についても、アザチオプリンとステロイドとの併用療法により臨床症状などの消失及びASTの正常化が認められたと報告されています。

 安全性について、20ページで、要望内容に係る外国人におけるエビデンス及び日本における安全性の総合評価の項を御覧ください。海外におけるランダム化比較臨床試験及び小児海外臨床試験において認められた有害事象は、関節痛、筋肉痛、悪心、骨髄抑制、リンパ球減少症等でした。国内臨床試験では、アザチオプリンに関連する重篤な有害事象は報告されていません。公表文献等に記載されているアザチオプリンの安全性に関する内容は、いずれもアザチオプリンの既承認の効能・効果において添付文書で注意喚起されており、新たな問題となるような有害事象は認められていないことを確認しました。

 以上より、アザチオプリンの成人及び小児の自己免疫性肝炎に対する有効性及び安全性は医学薬学上、公知であると判断しました。

 次に、効能・効果についてです。21ページの8.効能・効果及び用法・用量の記載の妥当性についての(1)効能・効果についてを御覧ください。海外で自己免疫性肝炎に対して承認されている国における効能・効果を国内外のガイドラインにおける記載内容、公表論文等の記載内容等から、「自己免疫性肝炎」を効能・効果として設定することが妥当と考えました。また、国際的な教科書及び国内外のガイドラインにおいて、自己免疫性肝炎の治療は、ステロイドによる薬物療法が基本であり、副作用や合併症でステロイドの使用ができない例や、ステロイド治療で効能・効果が不十分な例においてアザチオプリンが投与される旨の記載があること、また、国内外の公表文献においても本剤は一般的にステロイド等と併用することが多いことから、アザチオプリンの添付文書の<効能・効果に関連する使用上の注意>に、「本剤を自己免疫性肝炎に投与する場合には副腎質ステロイドとの併用を考慮する」旨を記載することが適切と考えました。

 21ページの(2)用法・用量についての項を御覧ください。海外で自己免疫性肝炎に対して承認されている国における用法・用量は、成人及び小児に対して「13mg/kg/日」です。また、国内外のガイドライン及び国内における公表文献については、主に12mg/kgに相当する50100mg/日とされています。これらを踏まえて、用法・用量には、1日量としてアザチオプリン12mg/kg相当量、通常、成人には50100mgとすることが適切と考えました。また、海外の承認状況においては、「治療効果が認められた場合はその効果を維持できる最低用量まで減量する」旨及び「36か月以内に患者の病態に改善が見られない場合には投与中止を検討する」旨が記載されていることを踏まえ、アザチオプリンの添付文書の<用法・用量に関連する使用上の注意>に、「自己免疫性肝炎に投与する場合、治療効果が認められた際には効能を維持できる最低用量まで減量することを検討する」旨及び「6か月投与しても治療効果があらわれない場合には、投与継続の要否を検討する」旨を記載することが適切と考えました。説明は以上でございます。


○堀田座長
 ありがとうございます。それでは、アザチオプリンの自己免疫性肝炎に対する公知申請についての報告ですが、いかがでしょうか。


○村島構成員
 これは田村構成員からの御発言のほうが適切かもしれないのですが、近年、自己免疫疾患の治療においてはステロイドの副作用を考え、免疫抑制剤を使ってなるべくステロイドを減らすべきという流れにありますので、これが使えるようになるのは大変朗報だと思いますので、賛成いたします。1つだけちょっと理解できなかった所がありまして、17ページの上から5行目です。「副腎皮質ステロイドの副作用は多岐にわたり、閉経後の女性や精神的に不安定な患者」等々と書いてあって、病状の悪化が懸念されるというのですが、精神的に不安定な患者から後は病状の悪化につながるのでいいのですけれども、閉経後の女性の病状の悪化というのがちょっとよく理解できなかったので、この辺を御説明いただければと思います。


○花岡参考人
 先生が御指摘の点に関しては、16ページの7.の「自己免疫性肝炎診療のクリニカル・クエスチョン」というところからの抜粋です。そこの中に、閉経後の女性ということが記載ということです。これについて恐らくいろいろ御議論はあるかと思いますので、これは一応そのまま抜粋して載せてしまったということですので、場合によっては削除させていただきたいと思います。


○村島構成員
 すみません、どこにありますか。


○花岡参考人
 16ページの7.以降が。


○村島構成員
 今の説明ですが、閉経後の女性が唐突にここに出ていて、病状の悪化につながらないということでの質問だったのですが、ガイドラインのどこに書かれているのですか。元のガイドラインは、ここに載っていないということですね。


○花岡参考人
 これは、ガイドラインをそのままここに載せたということですので、ちょっとすみません。ガイドラインの記載自体についてこれが妥当かどうかというのは、議論はあるかと思います。


○堀田座長
 村島さんがおっしゃるとおり、この文章の掛かる所がこれは病状ではないということですよね。


○村島構成員
 そうですね、病状ではないですよね。


○堀田座長
 それに対して何か悪影響があるとしたら、具体的に書くべきだということですよね。


○花岡参考人
 ですから、ちょっとここの書き方はおっしゃるとおりで、おかしいかとは思っています、すみません。


○堀田座長
 田村先生、何かありますか。


○田村構成員
 特にありません。免疫抑制剤の中で安全性が高いものなので、膠原病でも同じ自己免疫疾患でステロイドの減量のためにやはりよく使いますので、必要なものだと考えます。


○堀田座長
 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。そもそもこの古い薬が今頃出てきた理由は何ですか。新しい光が当たったのでしょうか。


○花岡参考人
 私たちワーキングでは、要望者の要望に合わせて精査ということですので、御承知のように、先生がおっしゃるように海外で承認されているレベルでということで、今確かガイドラインでなっているものを主に審議していると思うので、承認されているものについては大分前の段階で審議されるべきだったというのは確かに感じるところではあります。ただ、挙がってきたものについては、昨今のステロイド減量という意味では非常に役に立つ薬剤という評価をさせていただいているところです。


○堀田座長
 ありがとうございました。そういう話を聞きたかったです。このように、古い薬でももう一回光が当たったり、あるいは今だからこそ必要ということもありますから、そういったものはできるだけ公知で進めるようにできればと思います。よろしいですか。

 それでは、次のテモゾロミドのユーイング肉腫に対する、これは米盛先生、よろしくお願いいたします。


○米盛参考人
 テモゾロミドの公知申請への該当性に係る報告書について御説明いたします。要望内容については、資料4-21ページを御覧ください。再発・難治性のユーイング肉腫に対するテモゾロミドの要望が提出されています。本要望は成人及び小児に対して、また、カプセル剤と注射剤の両製剤に対して提出されています。

 海外の状況ですが、欧米など6か国では承認されていないものの、16ページ以降に記載のとおり、複数の診療ガイドラインで再発・難治性のユーイング肉腫に対するテモゾロミドとイリノテカンの併用投与が記載されています。診療ガイドラインに引用されている公表論文の内容については、19ページ以降に記載いたしました。また、21ページに記載のとおり、総説や教科書においても再発・難治性のユーイング肉腫に対するテモゾロミドとイリノテカンの併用投与が記載されております。

 国内の使用状況については、22ページ以降を御覧ください。要望者により、使用実態調査が実施され、当該調査の結果を記載しています。23ページの中ほどに記載のとおり、再発・難治性のユーイング肉腫の患者さんに対して最も多く用いられた用法・用量は、テモゾロミド100mg/㎡を5日間投与し、イリノテカン20mg/㎡の5日間を2週繰り返す用法・用量であり、342歳の患者さんにおいて当該併用投与の使用が認められました。以降、この用法を「コアレジメン」と呼びます。

 公知申請の該当性の判断については、24ページ以降に記載しております。まず、有効性について、海外臨床試験成績、本邦の臨床使用実態及び国際的な教科書並びに診療ガイドラインの記載内容等を踏まえ、再発・難治性のユーイング肉腫に対するテモゾロミドとイリノテカンの併用投与の有効性は、医学薬学上公知と判断いたしました。

 また、安全性については、コアレジメンとテモゾロミドの既承認の用法・用量における有害事象の発現状況を比較いたしました。24ページ上部の表を御覧ください。コアレジメンにおける有害事象の発現状況を左側、既承認の用法・用量における有害事象の発現状況を右側に記載しており、コアレジメンでは御覧のとおり、Grade3以上の有害事象は、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少、発熱性好中球減少及び下痢の発現率が20%以上高い結果が得られています。一方、表の中央に記載したとおり、イリノテカンを減量した場合にはコアレジメンと比較して有害事象の発現率が低くなる傾向が認められました。併用薬であるイリノテカンの用法・用量は、成人、小児のユーイング肉腫を含む小児悪性固形腫瘍の効能・効果に対して既に承認されております。

 コアレジメンにおける発現率が高かった事象については、イリノテカンの添付文書の注意喚起に基づき、用量調節を行うことにより有害事象への対応が可能と考えることから、テモゾロミド及びイリノテカンの国内添付文書で注意喚起されている事項に引き続き注意喚起が行われ、がん化学療法の治療に精通した医師により有害事象の観察や管理などの対応が適切に実施されるのであれば、日本人の患者さんにおいて再発又は難治性のユーイング肉腫に対するコアレジメンの用法・用量は忍容可能であると考えております。

 以上により、再発・難治性のユーイング肉腫に対するテモゾロミドの臨床的有用性は、医学薬学上の公知であると判断し、また、本薬の注射剤とカプセル剤とで生物学的同等性が示されていることから、両製剤とも公知申請の対象であると判断いたしました。

 効能・効果については27ページ以降に記載のとおり、「再発又は難治性のユーイング肉腫」と設定することが適切と判断いたしました。用法・用量については28ページに記載のとおり、コアレジメンの内容を設定することが妥当と判断いたしました。説明は以上です。


○堀田座長
 ありがとうございました。それでは、このテモゾロミドの再発・難治性のユーイング肉腫についての公知申請の妥当性の報告について、御意見を頂きます。いかがでしょうか。特に問題はないですか。これは、当然イリノテカンとの併用が条件でということになりますね。


○米盛参考人
 本薬の公知申請の対象になるものは、テモゾロミドとイリノテカンの併用と考えております。


○堀田座長
 ということで、コンビネーションの治療法としての公知申請という形を取るということになります。


○藤原構成員
 先ほど最後のほうで聞きそびれたかもしれないのですけれども、テモゾロミドのゾロは錠剤も出ていると思いますが、それはOKなのですよね。多分こういうのは、小児の家族の方々が結構大変なので、ゾロがちゃんと出ていればそちらを使ったほうが楽なこともあるのですけれども、ここのところはどう判断されているのですか。


○堀田座長
 これは、当局側としてはどういう対応になるのでしょうか。あくまで先発薬でという話になるのですか。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 事務局です。先発薬の承認がなされれば、それに合わせて後発薬も同様に申請をしていただくという流れになりますので、いずれかのタイミングで後発薬についても同様の効能・効果がそろう状態になります。


○堀田座長
 時間差が付くだろうと。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 付く可能性もあります。


○堀田座長
 いきなり後発薬で公知申請というわけではないのでしょうね、きっと。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 その辺りは、これからの事務局での作業の中で、余り後発の追加が遅れないように段取りを考えていきたいと思います。


○堀田座長
 この問題は、ここでの議論とはちょっと筋が違う話にはなりますけれども、どのように考えるかというのは整理する必要がありそうですね。ありがとうございます。


○佐藤構成員
 前回も同じような発言をさせていただいたのですけれども、海外のガイドラインで2つは標準的な治療はないと書かれているのです。1つのガイドラインだけで、治療選択肢の1つとして挙げられているものを公知として認めていいのかということは、やはりもう一度検討したほうがいいと思います。多分、希少疾患でしょうから、治療法がないところでこういった薬剤を承認に持っていくというのはいいことだとは思うのですが、公知という名前で、これまで海外で承認されているものと同等の扱いでここで申請をするというのは、ちょっとやはり抵抗を前回から感じているのですけれども。


○堀田座長
 おっしゃるところは、もっともな点です。医学薬学上公知というのは第III相試験で有効性が証明されているとかの条件があるわけです。一方、希少疾患で、余り頑健性のあるデータはないけれども、医療上必要性が高いという場合に、今更この薬を治験をやるかといったら、困難だということを踏まえると、公知に持っていかざるを得ないのかなと思います。そういう意味では少し変則的ではありますが、ある種の人道的な観点も入れるということになると思います。御指摘の点は、今後とも議論の対象としていきたいと思います。事務局としていかがですか。


○合田構成員
 多分この話は、言葉の問題ですよね。公知に準じるとか、何かそういうような言葉をシステム上に作っていただけるといいのかもしれないと思います。


○堀田座長
 そういうことですね、おっしゃるとおりです。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 承認という言葉が国内と海外で若干意味が違うところがありまして、海外では添付文書に書かれていない範囲でも使用できるケースもあり、完全に一致するのかと言われるとなかなか難しいところはあります。私どもは、海外の承認でなければ公知にはならないと考えずに、これまでもいろいろとこの会合をやってきたと思います。ただ、通知では効能・効果等があることを医学薬学上公知であると認められると示しているところもありますので、表現については引き続き検討させていただければと思います。恐れ入ります。


○堀田座長
 ということで、この場はちょっと収めさせていただきます。第III相試験とかメタアナリシスではっきりしているようなものは、公知としてもう大体片付いてきており、今は小児領域や希少疾患が中心となる違うステージに来ているので、そういう点で要望がちょっとそぐわないという点も出てきていると思います。ありがとうございました。それでは、このワーキンググループの報告は承認としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 続いて、企業から提出された開発工程表等について、事務局より説明をお願いいたします。


○医政局研究開発振興課治験推進室長
 資料5-1を御覧ください。企業から提出された開発工程表についてです。現在、企業に対して開発要請を行っている要望、具体的には第I回要望が183件、第II回要望が96件、第III回要望が44件及び第IV回要望が10件ということで、これらについて531日現在の開発状況について、全ての開発要請先の企業から開発工程表が提出されましたので、御紹介いたします。

 資料5-2です。資料5-2は、第I回要望についてです。ここに表がありますが、これについては、まず一番右側の第4回開発要請分の所で、新たに公知申請予定のもの、また、治験計画届提出予定のものが新たな要請を請けて合計2件追加になっております。具体的な進捗は26ページにありますように、要望番号1番として、先ほど別のところでも御議論になったAmifampridine(INN)、これは3,4-ジアミノピリジンのことですが、この3,4-ジアミノピリジンについて公知申請を予定しているということで、ここに加わっています。28ページです。成分名はペグアスパラガーゼ、これが治験計画届を提出する予定となっております。

 資料5-3は、第II回要望分です。表の一番右側の第5回開発要請分の所、ここの治験計画届提出済みの所が前回0件だったのが、新たに2件となっております。詳細については16ページです。下のほうの表ですが、ベンジルペニシリンベンザチン、注射剤の剤形追加で成人と小児それぞれありますが、これについて治験計画届が提出済みということになりました。

 資料5-4は、第III回要望分です。まず、左から2番目の第36回開発分の所について、承認申請済みが前回1件だったところが3件になりました。右側のカラムの第710回の開発要請分については、承認済みの所が前回2件だったのが1件増えて、3件となっています。その隣が第11回開発要請分ということで、承認申請済みの所が前回0件から3件増えて、3件となっています。また、その隣の第12回開発要請分ということで、これは新たな要請を受けて公知申請予定のものが1件、治験計画届提出予定のものが2件ということで、合計3件が追加になったところです。

 具体的な詳細を御紹介いたします。6ページの一番下の表ですが、ボルテゾミブというのがありまして、今年3月に承認済みとなっております。8ページの上から2つ目の表ですが、成分名ブスルファン、その下の表の成分名ドブタミン塩酸塩、これらが承認申請済みということになっています。9ページの下のほうの表ですけれども、オキサリプラチン、フルオロウラシル、レボホリナートカルシウム、これらが前回の結論から公知申請ということで、承認申請済みとなっております。

 続いて、15ページのメトトレキサートが公知申請を予定しているということになっております。18ページのリツキシマブ(遺伝子組換え)は、開発内容が2件あり、それぞれ治験計画届を提出予定となっています。

 資料5-5は、第IV回の要望分です。これについては、表の真ん中にある第3回開発要請分について前回承認申請済みが0件だったところが1件となっております。右側の第5回開発要請分においては、新たに公知申請予定のものが1件追加になっています。具体的には、3ページの表にありますタウリンが承認申請済みとなっております。4ページですが、下のほうの表の成分名ベバシズマブ(遺伝子組換え)が公知申請予定となっています。

 続いて、資料6を御覧ください。資料6は、開発企業の募集を行った医薬品のリストの更新版です。各要望ごとに御紹介いたしますと、まず第I回要望募集分については、№10の亜セレン酸ナトリウムが新たに承認申請中という状況になりました。その下の№16の安息香酸ナトリウム・フェニル酢酸ナトリウム配合剤については、今まで企業名が未公表だったのですが、企業判断によって企業名が新たに公表されています。№173,4-ジアミノピリジンについては先ほど御紹介しましたように、元は開発企業の募集を行った品目だったのですが、開発要請に移行したところです。

 2ページは、第II回要望募集分です。№5のメチロシンについては承認申請中となっています。また、その表の一番下にあります№1415のチオテパにつきましては、対象疾病に関して前回の検討会において要望学会と企業側で摺合せを行い、要望範囲を限定することで開発を速やかに進めるため、変更が了解されたところです。ここでは531日現在の情報を記しているために「承認申請準備中」と書いてありますけれども、その後、小児固形癌については承認申請がされたということですので、その点を御報告いたします。その下の表の第III回要望募集分です。№4のイベルメクチンについては、新たに手挙げ企業が現れましたので、それについて追加記載したものです。

 3ページは、第IV回要望募集分です。№2のヘリウム酸素混合ガスについては、治験実施中ということになりました。説明は以上です。


○堀田座長
 ありがとうございました。これまでに第III回に及ぶ要望の最終的に開発企業が特になくて、公募した形を取っているものもあります。しかし、実は日本の中で法人がなかったり、いろいろな問題がある中で、ようやくここまで対処してきたと言えます。第I回要望では僅かに残っていますが、承認にまでこぎ着けたものもあるという状況かと思います。これまでの報告につきまして、何か御質問や御意見はございますでしょうか。


○藤原構成員
 第IV回要望の4ページの脳放射線壊死に起因する脳浮腫の治療のベバシズマブの公知申請予定の所なのですが、これは、脳放射線壊死を診断するために、メチオニンペットという方法論を多分使わないといけないと思うのですが、そっちのほうは確か承認がなかったように思いますが、それは同時に開発要請などはされているのでしょうか。診断がつかずに薬だけ通っても困るので、それは見ておいたほうがいいかなと思います。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 事務局でございます。確か、前々回かの未承認薬検討会議で御指摘いただいた内容と事務局では認識しておりまして、詳細は申し上げることはできないのですが、別途、検討が進んでいる状況でございます。


○堀田座長
 そのほかはいかがですか。何でも御自由に。よろしいでしょうか。それでは、資料7に移ります。これも事務局から説明をお願いします。


○医政局研究開発振興課治験推進室長
 資料7を御覧ください。「公募品目にかかる状況の再調査等について」という題のペーパーでございます。本会議で検討を行った結果、開発要請を行った333品目のうち271品目がこれまでに承認され、また公募を行った品目につきましても、41品目中17品目が承認を取得している状況でございます。他方、この会議は第1回から8年以上が経過しておりまして、現在でも承認に至っていないものの中には、いろいろな新薬の承認や医療環境の変化、あるいは新たなエビデンスの構築等に伴い、医療上の必要性等が変化しているものが含まれている可能性がございます。特に、先ほどの資料6に示している開発の公募品目に関しましては、応募した企業による自主的な取組により開発が進められていることから、開発を適切に進められるように、事務局としても必要な対応を検討して、この会議に報告すべきと考えております。

 そこで、進捗管理上の状況の再整理を行って、必要な対応について検討を行うことにしたいと思っておりますが、いかがでしょうかということです。具体的には、まず、開発公募に対して応募を行った企業を対象に、取組が困難な事情があれば、具体的な課題について詳細な資料提出を求めること。また2つ目は、企業名未公表の応募企業があることを踏まえ、具体的な問題点について、次回以降の検討会議で対応案とともに整理を行うこと。3番目として、本会議での議論を踏まえて、必要な対応を事務局で実施し、進捗について検討会議に適宜報告するということです。

 また、開発要請が行われた品目についても、医療上の必要性に係る検討や、開発に必要な試験等に係る検討に長期間を要している案件がありますので、上記に合わせて事務局で検討状況の確認を行って、本会議に報告したいと思っております。以上でございます。


○堀田座長
 ありがとうございます。言い方は悪いのですが、前々から、焦げ付いてしまってなかなか進まないケースにどう対応するかということがあります。一定程度が経過したら、棚卸しをやるべきではないかと私は前から言っていましたが、何年か経過する中で医療状況の変化があるのであれば、それに対応して見直すこともあってもいいのかなと思いますし、事務局の提案もそれに沿ったものだと思っています。何か補足説明はありますか。特にありませんか。一度、学会等に現時点での要望内容の状況を確認して、この検討会議の場に出して、今後の対応について御検討願いたいと思います。こういった方針でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 そうしましたら、これで一応、今日の予定した議題は終了になりますが、全般にわたりまして、御発言があれば頂きたいと思います。いかがでしょうか。局長あるいは審議官、一言お願いします。毎回無理に言わせてるようで恐縮ですが、よろしくお願いします。


○大臣官房審議官(医薬担当)
 先生方、今日は長時間、本当にありがとうございました。最近の状況ですが、新薬の開発の在り方が世の中で大きく変わってきているような状況もありまして、70年の歴史のあるランダム化比較試験が、ゴールデンスタンダードとは言われてきているけれども、昨年の夏ぐらいから、それだと、その試験に参加できる患者さんはかなり厳しいクライテリアに合う人だけが選ばれて、データが得られる。でも、実際の臨床現場では、そういうコンディションの患者さんだけではなくて、もっと複雑な、合併症があるとか、あるいは治療のタイミングとしても、必ずしもベストのタイミングではないような方にも現実にはお使いになっていると。こういうリアルな医療現場の状況で、どのような薬の効き目や副作用が出ているのかといったことについても、薬の評価をする際に、もっと使っていくべきではないかというような提案がいろいろな専門家から出されています。

 こういったものは確かに、これまでのこういう場において、医療上の必要性のある医薬品がなかなか開発しにくくて、なかなかクリーンなデータにならないけれども、今日、佐藤先生の御指摘にあったように、確立された標準的治療がないとなっているような領域でも、現実には使われているものがあるというようなこと、こうしたものを何とかデータとして生かしていけないかということで、世界的にも取組がなされるようになりつつあるという状況です。

 そして、それに対応するインフラとして、電子的に集積されている医療機関における診療情報を利用して、評価していけないかということで、諸外国でもデータベースインフラを使った評価、それから、疾患単位で患者さんのレジストリーを作っている取組、これはこれで欧米においても長いことトライされてきていて、レジストリーと電子診療情報を対象としたデータベースインフラ、こうしたものを組み合わせて評価していくやり方について、リアルワールドデータとかリアルワールドエビデンスというような呼び方で、評価に加えていこうという動きが進んでいます。

 こうした背景の下、日本の国内でも、これは医政局の研発課が事務局を務めていただいていますが、いったい日本では疾患レジストリーがどれくらいあって、それをどのように生かしていこうかということを含めた開発インフラの推進会議を進めておりますし、厚生労働省でも、幾つかのナショナルセンターで取組がなされているものをクリニカルイノベーションネットワークという呼び名で、レジストリーのインフラを使った新薬の評価も視野に入れた検討がなされています。

 もう一方、電子医療情報を使ったデータベースインフラにつきましては、今年4月からいよいよ本格的に、特に医薬品の安全性の評価に活用しようということで、MID-NETという名前ですが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)がデータベースインフラを構築してきたものがいよいよ本格的に運用されるようになって、約400万人を少し超えるぐらいの患者さんのデータを使った評価を可能にして、動き出しています。こうしたものが日本においても動き出していること、そうしたものを活用して、実際の医療現場で使われながら、そこで得られる有効性や安全性のデータを利用できる形にしていこうという取組が進み始めております。

 この会議においても、データが十分ないと悩みに悩んでいるような案件、こうしたものについても、まず一定の条件を付けた格好で使えるようにし、その使っていく中で更にデータを集めて、評価を固めていくような対応も可能になりつつあります。こうしたことが全体相まって、今はエビデンスが必ずしも十分ではないけれども、医療現場で本当に必要とされている薬、あるいは医療機器もそうですが、こうしたものが使える道を開いていこうという取組がなされていること、これを御紹介させていただきました。具体的なデータや資料はそれぞれの関係の検討会等で御披露申し上げておりますので、御関心のある先生がいらっしゃいましたら、事務局のほうにも問合せいただければ御紹介できると思いますが、少しずつ光が差してきている状況を御紹介させていただきました。ありがとうございました。


○堀田座長
 ありがとうございました。


○医薬・生活衛生局長
 今の動きについて一言、御理解いただければと思っていることを申し上げます。この411日から厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会が動き始めております。5年前に薬事法が今の医薬品医療機器等法に改正されましたので、5年たって、医師のPDCAサイクル的に見直しをして、必要な制度改正を行うのであれば検討していこうという作業を進めております。その中で、承認につきましても、医薬品医療機器、それから、再生医療等製品、承認制度が幾つかありますが、昨年来、先駆けあるいはその少し前から、条件付き早期承認制度が、事実上、これまでやってきた制度ですが、これをきちんと法律の中で位置付けて、ある意味、いつやめてもおかしくないといった取扱いから、正面にきちんと据えて、制度としてこれを取り上げてやっていくことを検討していただいております。

 その中で、私が言われて少しつらかったと思っているのが、「これは規制緩和ですか」というような言われ方をされたのですが、我々は決して今回の承認制度、先駆けであるとか、条件付き早期承認制度を導入することが規制緩和だとは思っておりません。アンメットなニーズに対して、どのような形で患者さんたちが最新の医学にアクセスできるようにするのかというときに、今、審議官から御説明しましたように、ゴールデンスタンダードだけを求めてもしょうがないと、その部分を少し緩和する、緩和するという言い方はつらいのですが、ゴールデンスタンダードから若干外れる部分がある部分を代わりに承認した後で、安全対策をより強化することで、安全性に配慮した形で、より早い段階で患者さんたちが成果を享受していただけるような形のバランスの取り方をするという考え方を、この医薬品の中でもしっかり取り入れていこうと。

 それに近い考え方は前回の薬機法改正のときに、再生医療等製品につきましては、条件付き・期限付きで早期承認制度を導入しております。これは、制度が、ある意味では仮免許なのですが、今回、医薬品医療機器でやろうとしているのはきちんとした免許で、承認ではありますけれども、そのバランスの取り方が、たとえ話で言えば、石橋を本当に何回も叩いてみて、トンカチで叩いてみて、絶対に崩れないことが分かってから渡りましょうというのが、多分、ゴールデンスタンダードの基本的な考え方だと思いますが、そこから生じる、最近の医学の進歩とか、それから、非常に厳しい患者さんたちの状況を考えたときに、前段におけるチェックの所と後段のチェックの所のバランスの取り方を変えることによって、今申し上げたような、医学・薬学へのアクセスをより簡易にしておこうというような制度でやろうと思います。

 我々の言葉足らずなのかもしれませんけれども、メーカーの方々に対して、規制緩和をしているのではないかというような御指摘があったりしますが、我々は決してそういうつもりではありませんし、それによって、過去、我々が薬害を引き起こしてしまったという反省もありますので、安全対策は何としても守らなければいけないと。しかし、そこをどういう形で医学の進歩とバランスを取るのかという議論をしているということで、御理解いただければと思います。

 その他幾つか、研究開発の生産性の向上、そういう意味での生産性の向上を上げるための制度改正なども考えておりますので、また何かお気づきの点などがありましたら、いろいろな場で御指摘いただければ有難いと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。


○堀田座長
 それではお二方、どうもありがとうございました。毎回、最後に少しずつコメントを頂いて、全体の開発の状況等、勉強になりますが、今日はこれで終了したいと思います。事務局のほうから、今後の予定等につきまして御説明ください。


○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
 本日は長時間にわたり御議論いただき、ありがとうございました。資料に関しまして、1点だけ誤りがありまして、この場を借りて御説明させていただきます。参考資料2の構成員の所ですが、本日御参画いただいた花岡参考人のお名前が書かれておらず、大変失礼いたしました。ホームページ掲載版等におきましては、そちらを修正の上、掲載させていただくことをこの場を借りて申し上げます。申し訳ございませんでした。

 次回は、1017()を予定しております。1517時の予定です。御多用のところ恐縮でございますが、御参集いただきますよう、よろしくお願いいたします。


○堀田座長
 ありがとうございました。それでは、これで第35回検討会を終了いたします。

 

(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

  03-5253-1111(内線 4165、4229)

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