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2019年10月30日 第13回社会保障審議会年金部会

年金局

○日時

令和元年10月30日(水)16:00~18:00

 

○場所

東京都港区新橋1-12-9

 AP新橋 3階(Aルーム)

○出席者

神 野 直 彦(部会長)
小 野 正 昭(委員)
菊 池 馨 実(委員)
権 丈 善 一(委員)
駒 村 康 平(委員)
小 室 淑 恵(委員)
永 井 幸 子(委員)
原 佳 奈 子(委員)
佐 保 昌 一(委員)
牧 原     晋(委員)
諸 星 裕 美(委員)
山 田     久(委員)
細 田     眞(委員)
米 澤 康 博(委員)

○議事

○神野部会長 それでは、定刻を少々前でございますけれども、ただいまから、第13回「年金部会」を開催したいと存じます。
不幸な災害が引き続いて生じておりますけれども、被災された皆様方にお見舞い申し上げるとともに、万障を繰り合わせて御出席くださいました委員の皆様方に深く感謝を申し上げる次第でございます。
私のほうは、陛下の即位礼の日に、おっちょこちょいなものですから、柱で左目を打ちまして、最初、お岩さんみたいになったのですが、次の日にパンダみたいになって、今は徐々に血が引きつつあるという状態で、お見苦しいところをおわび申し上げたいと思います。
前回の開催以降、委員の異動がございましたので、御報告をさせていただきます。
本日までにずっとお務めいただきました平川委員が御退任され、新たに佐保委員が御就任されていらっしゃいます。
それでは、佐保委員から一言御挨拶をいただければと思います。よろしくお願いします。
○佐保委員 連合の佐保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○神野部会長 それでは、本日の委員の出欠状況でございます。阿部委員、植田委員、高木委員、武田委員、出口委員、藤沢委員から御欠席との御連絡を頂戴しております。
また、駒村委員、米澤委員から、おくれて御出席していただけるとの御連絡も頂戴していることを御報告申し上げます。
御出席いただきました委員が3分の1を超えておりますので、この会議は成立していることを初めに申し上げておきたいと思います。
それでは、議事に入ります前に、資料の確認について事務局からお願いいたします。
○総務課長 総務課長でございます。
厚生労働省におきましては、毎回でございますけれども、審議会等のペーパーレス化を推進しておりまして、本日の部会におきましてもペーパーレスで実施させていただいております。
なお、傍聴される方には、あらかじめ厚生労働省ホームページでお知らせしておりますとおり、御自身のタブレット等の携帯端末を使用して、厚生労働省ホームページから資料をダウンロードしてごらんいただくこととしております。
本日は、資料といたしまして、資料1「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項について」、資料2「現行の厚生年金保険法の規制に基づく標準報酬月額等級の改定について(報告事項)」、参考資料として関係資料をつけております。もし不備等がございましたら、事務局にお申しつけください。
事務局からは、以上でございます。
○神野部会長 資料を御確認いただければと思います。不足はございませんでしょうか。
それでは、大変恐縮でございますけれども、ここでカメラの皆様方には御退室をお願いしたいと思います。御協力を頂戴できれば幸いでございます。よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○神野部会長 では、ただいまから議事に入らせていただきます。
お手元の議事次第を御参照いただければと思いますが、本日は「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項」、2番目に文字どおり「その他」という2つを用意しております。2番目の「その他」は報告事項でございます。
この部会では、前回まで「高齢期の就労と年金受給の在り方」をテーマにいたしまして、さまざまな観点から熱心な御議論を委員の皆様方から頂戴したところでございます。
本日は、議題(1)「その他の制度改正事項及び業務運営改善事項」について、御審議を頂戴する予定にしております。また、議題の「その他」についてでございますが、これは「現行の厚生年金保険法の規定に基づく標準報酬月額等級の改定」について取り上げさせていただきますが、これは報告事項でございます。議題(1)と議題(2)について、事務局から一括して資料を御説明いただいた上で、御議論ないしは御質問を頂戴することにさせていただきます。
それでは、事務局のほうから資料1、2につきまして御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○年金課長 年金課長でございます。
それでは、まず資料1をおめくりいただきまして、2ページでございます。こちらは厚生年金保険の適用関係に関してでございますけれども、「現行制度と課題」にございますように、現在、厚生年金保険と健康保険は一括適用ですけれども、適用の条件が2カ月以上の方を原則としておりまして、2カ月以内の期間が定められているような方は原則適用しないという形になっております。
ただ、その下にもございますけれども、2カ月以内の雇用契約でございましても、例えば更新という形で反復継続するような場合には、引き続き使用されるということで、この方々には適用して被保険者になっていただいております。その際、最初の2カ月は、2カ月を超えていないということで適用になってございません。
3ページのイメージ図をごらんいただきたいのですけれども、イメージ図の上段のように、2カ月以内の雇用契約ですと最初の2カ月間は被保険者ではありません。ただ、引き続き2カ月を超えるようになってまいりますと、2カ月を超えた3カ月目から適用するという形になってございます。これを下の「改正後」のような形にしたいということでございます。
2ページに戻らせていただきまして、見直しの方向性です。
雇用の実態に即して適用していったほうがいいのではないかということで、現在、雇用保険法、あるいは私どものほうでも短時間被保険者501人以上企業につきましては、雇用の実態から見て、一定の期間を超えると見込まれる場合には最初から適用するという扱いにしておりますので、厚生年金と健康保険のフルタイムワーカーの方々に対する適用の仕方も、2カ月以内の雇用契約であっても、実態を見て2カ月を超えて雇用する見込みがある場合には最初から適用するというふうに法律を変えさせていただいたらどうかという提案でございます。
下に※印が2つございます。雇用保険法第6条第2号の書きぶりですと、「同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込まれない者」、この方々だけが適用除外という形になっております。
似たような規定でございますけれども、下の私どもの厚生年金保険法の短時間労働者の適用の特例というものでも、「当該事業所に継続して1年以上使用されることが見込まれないこと」、これが適用除外の条件になっておりますので、同様の改正を2カ月のフルタイムワーカーに対する適用においても同様の規程となるように改正したらどうかということでございます。
3ページに参りまして、その結果、先ほど見ていた下の図のような適用関係になるわけでございます。その具体の適用の仕方は、3のイメージのところの下線の部分でございますけれども、雇用期間が2カ月以内の場合であっても、契約が「更新される旨」あるいは「更新される場合がある旨」が明示されている場合とか、同じような雇用契約に基づき雇用されている同一事業所の方々で、更新が行われるなどによりまして通常2カ月を超えて雇用されている実績があって、新しく雇用された方もそういう雇用実態になるだろうというような見通しが立っている場合には、今後は「改正後」のように最初の時点から適用するようにしたらどうかという提案でございます。
続きまして、4ページをごらんいただきたいと思います。こちらは、税制改正の動向を踏まえての改正の御提案でございます。具体的な改正内容でございますけれども、今、国民年金の保険料の申請全額免除の基準は個人住民税非課税の基準に準拠しております。平成31年度の税制改正大綱におきまして、令和3年度分の個人住民税から、児童扶養手当受給者である未婚のひとり親の方が個人住民税の非課税措置の対象に加えられることになっております。したがいまして、国民年金の保険料の申請全額免除の基準も、その対象に地方税法上の未婚のひとり親、地方税法上の名称では「単身児童扶養者」という名称になってございますけれども、この方々を追加させていただいたらどうかということでございます。
また、もう一つ下のほうですけれども、既に個人住民税の非課税措置の対象には寡夫も含まれているわけでございます。国民年金法に関しましては、委員の方々は御案内のように、遺族基礎年金におきましても、長らく父子家庭は支給の対象外となっていたわけですけれども、先般の改正でこの方々にも拡大するなど、男女差の解消を図りつつございますので、この際、あわせて寡夫のほうも追加させていただいたらどうかというものでございまして、下の赤字のような改正をイメージしてございます。
○国際年金課長 引き続きまして、5ページにつきまして国際年金課長より説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
5ページ、脱退一時金制度の見直しの方向性についてでございます。まず、現行制度につきましては、1のところにございますが、短期滞在の外国人の場合には保険料納付が老齢給付に結びつきにくいという問題がございますため、社会保障協定が締結されるまでの当分の間の暫定的・特例措置として、平成6年改正より設置されたものが脱退一時金でございます。具体的には、短期滞在の外国人の方に対しまして、3年を上限に被保険者であった期間に応じて支給が行われたところでございます。関係資料集の1ページ目に、その受給要件、支給額等の制度の概要を記載しているところでございます。
次に、見直しの方向性についてでございます。昨年成立し、本年4月に施行された改正入管法によりまして、生産性向上あるいは国内人材の確保のために取り組みを行っても、なお人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れる仕組みである特定技能1号、2号という入管法上の資格が創設されましたが、こうしたことから、日本に在留する外国人あるいはこれから在留する予定の外国人の状況にさまざまな変化が生じてきているところでございます。このような状況の変化を踏まえまして、今般、脱退一時金の支給上限年数につきまして、現行の3年から5年に引き上げることを検討しているところでございます。
外国人を取り巻く状況の変化の具体的なところにつきましては、2のところに記載していますが、1つは期間更新に限度のある在留資格における在留期間の上限が、特定技能1号の創設により5年となります。それから、平成6年の制度創設当時と比較して、日本に3~5年滞在した者の割合が外国人出国者全体の5%から16%に増加しているということがございます。この間の推移につきましては、関係資料集の7ページに記載しているところでございます。
仮にこうした見直しを行った場合、これを平成30年度の支払いの実態に当てはめますと、【見直しに当たっての留意事項】の最初の○のところに書いておりますが、被保険者期間5年以下で、脱退一時金受給者の約99%をカバーすることとなります。そのデータにつきましては、関係資料集の8ページにも示しています。この割合は過去5年間で上昇してきております。
【見直しに当たっての留意事項】の最後の○のところに3点記載していますが、1つは老齢基礎年金の受給資格期間の短縮により、外国人を含めた年金を受給できる可能性が上昇という点。2点目としては、マル2でございますが、長期間日本で就労する外国人の年金権の確保。マル3としては、年金の通算措置を含みます社会保障協定の締結の拡大の方向にあること。こういった点にも留意する必要があると考えております。
○事業管理課長 続きまして、6ページをお願いいたします。事業管理課長でございます。
年金生活者支援給付金制度の所得・世帯情報の照会の対象者の見直し等につきまして御説明いたします。
年金生活者支援給付金につきましては、10月に施行されておりまして、12月に初回払いというところでございます。現在、手続を進めさせていただいているところでございます。
これにつきまして、今年度でございますけれども、施行初年度につきましては、支給要件の判定を行うに当たりまして、機構が事前に市町村から所得・世帯情報を取得いたしまして、市町村から提供いただいた所得・世帯情報を施行初年度、準備行為として支給要件に該当し得る者も含めて幅広く取得した上で判定を行い、支給要件に実際に該当する方に対しましては9月から簡易な請求書(はがき型)を送付しております。はがきにお名前を書いて返送いただければ、それで請求できるというような非常に簡易なものでございます。
しかしながら、法施行後におきましては、所得情報等の調査の対象といたしまして、現在の法律によれば、受給資格者しか情報がとれないという規定になっておりまして、このため、例えば今年度は支給対象にならなかったのですけれども、来年度の所得において今年度より低下したということで新たに対象になる方々がいらっしゃると思うのですけれども、こうした新たな支給対象になり得る方に対しまして、事前に所得情報を得て簡易なはがき方の請求書を送付することができないという仕組みになってございます。
こうしたことから、みずから要件に該当することを確認することが難しい方々、高齢の方々等がいらっしゃいますので、請求漏れになる可能性もあるのではないかということが心配されるわけでございます。このため、法37条での所得情報の対象者の範囲を受給資格者になり得る方まで含めて幅広く事前に入手をして、事前の判定をして御案内を差し上げたいということでございます。
見直しの方向性でございますけれども、マル1にございますように、今申し上げた世帯情報の取得の対象者について、支給対象者になり得る方まで拡大をいたすというのが1点目でございます。
ただ、※にございますように、これは仮に法律がお認めいただければということですけれども、令和2年度、初年度においては法施行後に所得情報を得ることになります。このため、施行後に所得情報を得てから実際にはがきをお送りして御返送いただくまでの期間が相当ございますので、初年度に限っては経過措置を検討する必要があると考えております。
また、マル2でございますけれども、簡易な請求書の送付を可能とするということに伴いまして支給サイクルの見直しを行いたいと考えております。所得情報の切りかえ時期が、今の法律ですと8月から切りかわるわけですけれども、これを2カ月おくらせて10月~翌年9月という形に変更したいと考えております。
具体的には次の7ページ目でございます。まず、上の段が「改正前」でございますけれども、現行の法律によりますと、所得サイクル情報の切りかえは、7月以前は前年の所得でございます。7月分の手当は前々年の所得に基づいて判定され、8月以降、直近の所得であるところの前年所得が適用されていくという支給サイクルになっております。
改正をしないとして現在の制度を前提にすると、既に受給対象になっておられる方々については事前に市町村から情報がとれるのですけれども、新規に該当することになった方につきましては、7月、8月においてみずから市町村民税の課税額、所得額などの確認をして、御自身で該当するということを判断された上で請求いただくという手続が必要になりまして、これが御本人にとっては非常に御負担があるのではないかということでございます。
したがって、改正後におきましては、下の欄にございますように、9月、10月の要件判定を事前にして、該当の方には事前にはがきを送らせていただき、これを御返送いただくという数カ月の期間を加えるということにいたしまして、そうした手続を加えることによって、今度の所得の期間につきましても、これに合わせて2カ月おくらせて10月からとしたいと考えております。
なお、この所得サイクルの変更につきましては、一定の周知が必要だということから令和3年度からの施行といたしまして、令和2年度につきましては「改正前」とある上の所得サイクルが適用されますけれども、先ほど申し上げましたように、仮に法律を立法府でお認めいただいて施行されますと、数カ月以上は、所得情報をとって、判定をして、はがきを送らせていただくというプロセスが必要になりますので、実際のお手続が秋以降になってしまうという実態が懸念されますので、この場合は、秋以降手続されたとしても、8月までさかのぼって給付できるようにするという趣旨の経過措置を何らか検討したいと考えているところでございます。
8ページ目は、先ほど申し上げました所得情報をとれる範囲の規定でございます。これは年金生活者支援給付金受給者についてのみとれると37条等で規定されておりますので、これを対象になり得る方というところも含めて拡大することによって、今のようなことを実現したいと考えております。
9ページ目、国民年金手帳から基礎年金番号通知書への切りかえということでございます。国民年金手帳につきましては、従来、制度発足時のものでございますけれども、保険料納付の領収の証明という機能と、基礎年金番号導入後におきましては番号の本人通知という機能も果たしてきたわけでございますが、既に多くはシステムで管理をされているということと、個人番号、マイナンバーも普及してきていることもございまして、必ずしも手帳という形式での管理の必要性がなくなってきているところでございます。
また、かつて多くの手続で年金手帳の添付をお願いしていたわけですけれども、現在、基礎年金番号を明らかにする書類ということで手続を可能にはしているわけですけれども、例えば給与事務等で個人番号を確認されているような事業者などにおきましては、必ずしも今の年金制度の手続でも、個人番号を書いていただければ、基礎年金番号を記載していただかなくても大丈夫ということになっておりまして、こうしたいろいろな環境の変化というものがございますので、手帳の役割自体を見直し、基礎年金番号の本人通知というところに特化した形にできないかというところでございます。
見直しの方向性は、今、申し上げたところでございまして、具体的に実際にどういったものをお送りするかということにつきましては、3に書いてございますが、基礎年金番号通知書、これは仮称でございますけれども、何らかの上質紙のようなものでしっかりしたものをお送りすることを考えていきたいと考えております。
続きまして、11ページ、「厚生年金保険法における日本年金機構の調査権限の整備」をごらんください。現在、厚年法の適用の対象になる適用事業所に対しましては、私ども適用事業所に対する指導を行っているわけですけれども、平成27年から国税庁のほうから給与を支払っている法人情報を取得しております。こうした法人事業所の情報の提供を受けることなどによりまして、実際は適用の可能性がある事業所がある程度わかるのですけれども、それに対して加入指導等を実施しているわけですけれども、現在の厚年法100条におきまして、本当に最後の手段になると思うのですけれども、事業所に対する立入調査によってしっかり確認することが必要な事態が生じた場合に、現在の法律ですと適用事業所だけが対象になっておりまして、例えば国税情報はあるのですけれども、応答がないといったようなグレーなところであるとか、そういったところに対しては法的権限に基づく立入検査が行えないといった形で法律の限界がございます。こうしたところに対しても立入調査の対象に加えて、しっかりと適用を進めていくことができるようにする、より実効性のある対応を可能とするという観点から、対象の範囲を適用事業所である蓋然性が高い事業所についても対象になるように規定の整備を図っていきたいと考えているところでございます。
○資金運用課長 続きまして、資金運用課長でございます。資料の13ページをごらんいただければと思います。年金担保貸付事業の廃止についてでございます。
まず、1の現行制度について御説明いたします。年金担保貸付事業は、年金生活者の一時的な資金需要に対しまして、年金受給権を担保にして小口の資金の貸付けを行う事業でございます。
下に図がございますけれども、左側にあります年金受給者が独立行政法人福祉医療機構に対しまして借り入れの申込みを行い、福祉医療機構から貸付けを行うわけですけれども、その返済に関しましては、右側の年金機構から福祉医療機構に対しまして年金の支払いが行われまして、受給者が選択した金額を返済に充当した上で、残りの金額を、下に矢印が受給者のほうに伸びておりますけれども、残りの金額を受給者へ送金する、このような仕組みが年金担保貸付事業でございます。
1の2つ目の○にございますけれども、この事業に関しましては、老後の生活を支える年金の受給権保護の観点から、閣議決定がされております。※印に閣議決定を御紹介しておりますけれども、生活費に充てるべき年金が返済に充てられて利用者の困窮化を招くこと等の指摘がございまして、これを踏まえまして、平成22年の閣議決定によりまして、この事業の廃止が決定されております。
その後、令和3年度末に新規貸付けの申込受付を終了することを決定しているところでございまして、閣議決定以降の経緯を2のところで御紹介しております。
まず、平成22年の閣議決定の後、2度の貸付条件の変更を行いまして、段階的にこの事業の規模の縮小を図ってきているところでございます。
一方で、先ほど触れました平成22年の閣議決定におきましては、事業廃止に伴う代替措置の検討ということも閣議決定で書かれております。これに関しましては、2の2つ目の○でございますが、社会保障審議会の生活困窮者自立支援及び生活保護部会におきまして、年金担保貸付事業の廃止の方向性の中で、家計相談支援をさらに推進するということ、また、生活を行う上でやむを得ない一時的な資金需要が生ずる低所得の高齢者等に対しては生活福祉資金貸付制度で対応するということが、この部会においてこのようなまとめがされているということでございます。こうしたことも踏まえまして、平成30年に生活困窮者自立支援法の改正が行われましたが、この中で家計改善支援事業の実施の努力義務化等が行われたということでございます。
その後、3つ目の○ですけれども、この貸付事業を行っております福祉医療機構の中期目標が平成30年2月に厚生労働大臣指示という形で定められましたが、この中で、円滑な事業廃止に必要な周知期間等を勘案して、令和3年度末の新規貸付の申込受付の終了が決定されたということでございます。
この事業について以上のような経緯があるということもございまして、3のところでございますけれども、次期年金制度改正において、年金担保貸付事業の廃止のために必要な法制上の措置を講じることとしたいというものでございます。
なお、2つ目の○でございますけれども、年金担保貸付事業の残債権の管理・回収業務につきましては、独立行政法人福祉医療機構が継続して実施することとしているところでございます。
資料1の説明は以上でございます。
○年金課長 引き続きまして、資料2の報告事項につきまして御説明申し上げます。
1ページをごらんください。私ども、標準報酬月額というものを年金の保険料の賦課とか記録管理で使っているわけでございますけれども、こちらは上限が定められておりまして、全厚生年金被保険者の平均標準報酬月額、標準報酬月額の平均額でございますけれども、法律上、おおむねその2倍となるようにすることとされておりまして、年度末時点の全厚生年金被保険者の平均標報の2倍が標準報酬月額の上限、現在は62万円でございますけれども、これを上回る状態が継続すると見込まれる場合には、その年の9月1日から政令で上限を引き上げることができるとされております。
平成28年、2016年から、下の表の右端にございますように、各年度末時点で見ますと、すぐ隣の【A】という欄の全厚生年金被保険者の平均標準報酬の2倍が最高等級の62万円を超えているという状況が続いておりまして、私どもはこれは今後も継続する蓋然性が高いと見てございます。
したがいまして、令和2年3月末、すなわち今年度末におきましても62万円を超えているということが確認された場合につきましては、来年9月から政令を改正いたしまして、標準報酬月額の上限を引き上げたいと思っております。こちらは、既に先行しています健康保険の等級表に従いますれば、62万から65万への引き上げになるわけでございます。
2ページの上段に、厚生年金保険法の該当の条文を記載させていただいております。
また、下が厚生年金と健康保険の等級表の追加の経緯でございます。私どものほうはオレンジ色で表記させていただいておりますけれども、現在の最高等級の62万円というのは平成12年10月に追加されたものでございます。
3ページ、4ページは、関連の参考の数字でございますので、必要に応じて御確認いただければと思います。
長くなりましたけれども、事務局からの説明は以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、議題(1)につきましては、論点が多岐にわたっておりますので、それぞれ所管する課長様方に御説明をいただき、さらに最後の標準報酬月額等級の改定については年金課長から御報告をいただきました。
あわせて、御質問、御意見があれば頂戴したいと思います。いかがでございましょうか。
どうぞ。
○牧原委員 脱退一時金制度について意見と質問をさせていただきます。企業の経済活動がグローバル化しており、多様な国の間で人材の交流が今後も活発になっていくと考えています。現在でも外国人労働者が増加傾向にあり、引き続き多様な国の人材が日本で働きたいと思えるよう労働環境の改善を図っていくとともに、社会保険の加入促進も図っていく必要があります。したがって、今回の脱退一時金の見直し自体は評価したいと考えておりますけれども、こうした外国人材の動きと、今回の施策を講じた場合に、年金財政にどのようなインパクトが想定されるのかお伺いしたいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
よろしいですか。
○国際年金課長 脱退一時金につきましては、基本的には、特に本人様につきましては納めていただいたものをほぼお返しするという形のものでございます。今回、3年から5年に引き上げることに伴いまして、支払いに見合わない分が縮小しますので、そういう意味では多少なりとも影響はありますが、いずれせよ長期的には基本的に年金にも結びつかないことになりますので、財政影響としては極めて軽微と考えております。いずれにしても、そこについては正式な試算はございません。
○神野部会長 どうぞ、続けてお願いします。
○牧原委員 外国人労働者の社会保険に係る問題は、社会保険協定が締結されていけば、その中で解決されると思いますけれども、社会保障協定が締結されていない国との交流が今後多くなる可能性もありますので、長期的な意味での年金財政のインパクトは想定することが望ましいと考えます。
○神野部会長 どうぞ。
○大臣官房審議官(年金担当) 財政検証で年金財政の影響を見るときには、基本的に納めていただいた保険料に対応する形での給付は何らかの形で行われるということを前提に計算されておりますので、実際にはその分の年金の給付が発生しないということが制度的には生じている、このように理解をいただければと思います。
もう一つは、人の行き来が多くなりますと、相互の社会保険の適用の調整が大きな問題になってまいりますので、基本的には我々も協定を締結をするという努力をしております。
ただ、今回、特定技能が創設されて、9カ国と受け入れに関する協定を結んでいるのですが、その9カ国のうち、現在、社会保障の協定があるのはフィリピンだけでございまして、今度、ベトナムが外国人に対しても社会保障を適用しようという動きがあるので、今、その準備交渉をやっているという段階で、残りの国々に関しては、外国人に対して自国の年金を適用するというところまで制度が発達してきていないという状況です。協定は相互にやるということなので、条件が整ったところで行っていくことになりますので、そういう意味で言うと若干まだ時間がかかるかなと思っております。
ただ、いずれの国も経済発展に伴って社会保障の整備がされていくのは歴史的に見ても明らかですので、状況を見ながら適切に協定締結の努力は進めていきたいという考えでございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
山田委員、どうぞ。
○山田委員 脱退一時金のことが議論になっているので、私もコメントをさせていただきたいのですけれども、今回、特定技能が創設されて、より長期に外国人の方が滞在されるということで、基本的には一時滞在ということを前提にしているので、それに応じて今回延ばすということで趣旨はわかるのですけれども、一方で、非常にテクニカルに考えると、これまで3年だったというのは、恐らく技能実習は3年が実態だったのでそれに合わせていた。ところが、今回、特定技能は2つパターンがあると思うのですけれども、技能実習がないケースは5年で終わるわけですけれども、技能実習に接続するケースは通算すると8年という数字も出てくるので、8年まで延ばすというのも一つの考え方ではあるのではないかと思います。
ただ、私は結論的には5年でいいのかなと思っています。というのは、実際、3年技能実習を終わってから特定技能を5年やるということになってくると、8年も日本の中に定着されるということになると、実際はかなり技能も蓄積されて、特定技能には2号という制度もあって、そちらのほうにも移っていかれる。あるいは、違う形での在留資格で、事実上永住ができるような形になっていかれるケースもふえていくのではないか。そうであるならば、日本で老後を過ごされることになりますので、当然、年金を支給するというほうが御本人にとってもいい。
ただ、今の在留資格のたてつけというのは一時雇用を前提につくられているので、今後どういうふうに推移していくのかということを見ていかないと、どうなるかわからないというのが実態ではないかなと思います。
ですから、ここは5年を決め打ちということではなくて、当面5年で置くにしても、外国人の方の日本での定着の状況、在留資格の具体的な運用の仕方を見ながら、適宜見直していくということが大事なのではないかなということで、ちょっとコメントさせていただきました。
○神野部会長 ありがとうございます。
事務局のほうからは特にいいですか。
○大臣官房審議官(年金担当) はい。
○神野部会長 諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 ありがとうございます。
私のほうから3点ほどですが、意見を言わせていただきます。
まず1つ目、適用除外要件の2カ月の見直しの件です。実は中小企業では新卒採用が大変難しいということもあり、どうしても即戦力を求めることになるため、中途採用をした場合、会社に合わず、入社後ほどなくやめてしまうということが良くあるので、契約期間2カ月で本採用し、その間に採用の可否を図ることが実際はあるということです。
2カ月ごとの契約を何度も結ぶなどして、現行の制度を悪用しているような場合はもってのほかなのですが、一方、この制度があるため、人手不足に悩む中小企業ではこの2カ月があることで人物の見きわめが可能となって、人材の確保、マッチングができているという実態があるということをまずは御理解いただきたいと思います。
見直しの中のマル2に、同一事業所の同一契約で更新実績がある場合ということがありますけれども、実績とはどの程度まで見るのかとか、過去に一人でも実績があったら何年も前のことでも同様にみなされるのか。それから、マル1の更新しない旨の明記さえあればよいのかなど、実務レベルで見るとかなり判断に悩むところでもあります。
これから中小企業の適用拡大を本格的に進めていくので、その負担感が増している状況なので、今回の見直しである遡及も2カ月となれば、当初から加入していなかった労働者自身もあとで保険料をまとめて負担するということが実際に出てきますし、国保などの保険に入っているので、その間かかった場合の治療の保険請求業務も発生をしてくるという実態もあります。
もっともそのようなことを考えたら、当初から加入すればいいではないかということになりますが、先ほどから言っているように、人のマッチングとして現状の制度を利用できるメリットは、中小企業の中では非常にありがたいということは是非ともお伝えしたいと思います。
また、複数箇所や副業で働くことがふえた、これからの働き方の変化にはどう対応していくのかという問題も私は感じております。最近の一つの事例としては、前の会社の有給休暇を使用中に次の会社で事前に働き始めるケースがあるのですね。この見直しの適用となれば、確実に遡及されるということになれば、2事業所適用の対象となり手続きが必要となりますが、そのあたりは十分な周知期間を設けるとは書いてありますけれども、事業主や、そもそも加入者の理解がどこまで浸透するのかということで、最終的には事業所調査に頼らざるを得ないのではないかと思います。
そうすると、年金事務所の現場ではかなりの負荷があると思いますし、私の意見としては、当初からの遡及に関しては、実態をもう少し調べていただいて再検討をしていただきたいと思います。
2つ目が、年金手帳から基礎年金番号通知書への移行の件ですが、大臣印の印影を入れるとか、これから細かいことは決められるということなのですけれども、これから二十歳となる対象者に渡すということであれば、もう紙ベースとかで、印影を入れて大切にしてもらうという発想はどうなのかなということを素直に思いました。
例えば、やはり年金手帳はよく紛失していますし、マイナンバーの通知書も紛失する人は結構多いので、基礎年金番号通知書を紛失した場合にも再発行になることを考えると、その手間や事務コストのことを考えたら、それこそ今、年金事務所などは現場サイドで広報にとても力を入れている「ねんきんネット」に誘導できるように、そもそも申請してアクセスキーをもらうのではなくて、若い人なのでアクセスキーを最初から通知し、渡して、簡単に登録させる方法をとり、基礎年金番号や加入履歴も自分でスマホで確認できますよということぐらいにすれば、年金を身近に考えてもらう機会にもなるのかなと。若者に向けては、このぐらい大胆なことを考えてもよろしいのではないかと私は思いました。
もちろんシステムの問題やそれにかかる費用もあるので、そう簡単ではないと思いますけれども、来年の春から、一部大手企業では社保加入手続等について電子申請が義務化になります。そうなると、今後、加入者もネットを駆使して手続を行うことが自然の流れとなるので、個人情報問題はもちろん大切だと思いますけれども、しっかりと安全対策をした上で基礎年金番号をネットで通知をするという方法は方向性としてもありではないかなということを素直に考えました。
3点目は、調査権限の拡大は、私は必要だと思います。適用事業所からよく言われるのは、自分たちのように真面目に納めているところばかり調査に入るではないかと。そうではないところ、例えば同業者の友人から入っていないぞと自慢げに言っている、これはどうにかならないかとよく言われることもありますので、これについては不公平感を払拭するためには必要ではないかなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○神野部会長 ありがとうございます。
菊池委員、どうぞ。
○菊池委員 4点ばかりコメントさせていただきます。
まず、厚生年金保険の適用除外要件の見直しについては、雇用保険が、雇用契約、労働契約を形式ではなく実体的に捉えることにより、労働者保護を図っている労働法規の適用と平仄を合わせているわけで、今回、被用者保険も同様の観点に立つことになる点では、望ましい改正であると考えています。
2つ目に、脱退一時金制度の見直しについては、先ほど審議官からもお話がありましたが、法律上は附則に規定されるものでありまして、規定上も当分の間と規定されています。これは国際年金課長からの話でしたか。あくまで本筋は社会保障協定の締結を促進することであることに留意する必要があると思います。その点で、ここ数年、協定締結に向けた動きが活発になされていることは望ましいので、これをより一層促進していただきたいと思います。
1点確認したいのですが、イタリアは2009年に署名済みでずっと発効していないのですけれども、私はずっと不思議に思っていまして、この事情につきまして、よろしければちょっと確認させていただきたいと思います。
滞在期間に限度があり、帰国する外国人の方にとっては、拠出した保険料相当額を一時金として支給することには大きなメリットがあるとは思います。ただし、いわゆる掛け捨てという感覚は民間保険のそれでして、社会保険の仕組みには必ずしも当てはまるものではないのではないかという感じを持っております。
掛け捨てという感覚からすれば、10年の受給資格期間を満たすことができない人には国籍を問わず一時金で支払うべきという議論にも結びつきかねないと思います。また、被保険者になることで、障害年金や遺族年金の受給対象となり得るという点では潜在的な受益があると言うこともできるわけです。
したがいまして、現状を超えた脱退一時金制度の見直しは、私としては反対とまでは言いませんけれども、積極的に賛成できるものではないと思っております。
3つ目に、機構の調査権限の整備につきましては賛成ですけれども、ただ、これは公権力の行使にかかわるものであります。したがって、法律上、どうやって絞りをかけていくのか、これは条文化の作業の中で当局がお考えになることと思いますが、蓋然性が高いと認められる事業所という法律上の文言にするのかどうか、そうした表現はあまり見たことはありませんけれども、少なくともどこまでを法令事項とし、どこまでを通知・通達等で縛るのか、その辺の線引きぐらいはお示しいただけたらいいのですが、まだそこまで検討が行っていないということであれば、その旨、お話しいただければ結構です。
最後に、年金担保貸付事業の廃止につきましては、もうこれは決まっていることですので異論はございません。これも資料に書いてありますように、生活困窮者及び生活保護部会で家計相談支援事業の推進、生活福祉資金貸付制度の活用という方向性を示しております。
公的年金制度に関連した事業ではありますが、実質的には低所得者、生活困窮者施策の一環として議論されるべきものでありますし、また、この論点はいわゆる相談支援のあり方とも接続させた議論も不可欠であると思います。
以上です。
○神野部会長 イタリア問題はすぐわかりますか。
○国際年金課長 日本・イタリア社会保障協定につきましては、経緯的なことで申し上げますと、2009年2月に署名されまして、我が国におきましては同年7月に国会承認を得たところですが、イタリアのほうで国会承認の手続に大幅な時間を要しまして、結局2015年、平成27年6月に国会承認が得られたということがございます。
この間、相当な間がたちましたので、そうした期間の経過を踏まえまして、現在、まさに両国の当局間、外交当局、それから私ども直接の行政当局、それぞれの間で実施に向けた調整を現在進めているという状況でございます。
○神野部会長 諸星委員の意見と菊池委員の意見で、特に事務局のほうからコメントは。
どうぞ。
○事業管理課長 事業管理課長でございます。
先ほど、まず菊池先生のほうからありました調査権限の関係でございますけれども、御指摘いただきましたように、これは公権力の行使ということでございまして、条文上どのような形でどういう場合に入るのかというところについての具体的な書き方は今後の検討ということになります。
ただ、現時点で想定しているのが、11ページに資料をつけさせていただいておりますけれども、立入検査に至るまでにはいろいろなプロセスを経ておりまして、実際に国税情報などから突き合わせて、ある程度蓋然性があるという中で、電話や文書による勧奨をしたり、実際に訪問させていただいたり、加入指導、戸別訪問といったことが段階を踏んでどんどん進んでいった中で、なおかつ拒むようなケースにおいての最後の手段というところで今位置づけられております。
具体的に考えているのは、今申し上げたような国税情報などである程度の蓋然性というか、若干トートロジーですけれども、やはり蓋然性が高い、実際にこれは適用事業所ではないかと考えられるところに対して入っていくことを考えておりますけれども、条文の書き方等は今後よく検討させていただきたいと思っております。
それから、諸星先生からいただきました2カ月のところのお話だったと思うのですけれども、実際にこれは雇用保険の規定なども参考にして2カ月以上見込まれる者ということにするわけですけれども、基本的な原点となる考え方としては、あらかじめ2カ月を超えることが予定されているような契約をされている場合に、これは外形上2カ月以内の契約であったとしても、それは見込まれていたわけですから適用すべきではないかという考え方によるわけでございます。
具体的な運用につきましては、資料にも入れさせていただいているように、雇用契約上、更新を予定されていないかということについては、既に雇用保険の例などでもこういった形にほぼなっているということと、私ども年金の世界で適用拡大、1年以上雇用見込みがないことというところでも同じような基準を使っておりまして、そうした既に行われている先例を見ながら、今、考えているところでございます。
いずれにしても、具体的な実務、運用については、雇用保険の例とか私どもの実例なども見ながらしっかりと考えていきたいと思っております。
以上でございます。
○神野部会長 ありがとうございました。
ほかに事務局からはいいですか。よろしいですか。
佐保委員。
○佐保委員 私のほうから3点ほど発言をさせていただきたいと思います。
最初に、年金生活者支援給付金の所得・世帯情報の取得について、新たに支給対象者となる者に対して簡易な請求書の送付を可能とするという今回の見直しについては賛成いたします。その上で、この給付金は支給対象となる方の生活を底支えする大変重要なものであるため、支給漏れ等が生じないように十分な対策を講じていただきたいと考えております。
次に、日本年金機構の調査権限の強化についてでございます。これにつきまして、社会保険の適切な適用の促進に資するということで賛成いたしますが、立入調査の実効性が高まりますよう、現場で実務を担う日本年金機構の人員体制等の強化を含めた検討が必要ではないかと考えております。
3点目は、年金担保貸付事業の廃止に関連して、その代替手段として家計相談支援の推進や生活福祉資金貸付制度での対応ということを記載されておりますが、全国社会福祉協議会がことし3月に取りまとめた、これからの生活福祉資金貸付事業のあり方に関する検討委員会報告書というものの中で、都道府県ごとに貸し付け実績の差異が大きくなっているとともに、市町村別に見ると、年間で貸付件数がゼロ件の社協が3割強、町村部で5割強となっていると報告書に書かれております。ということで、生活福祉資金貸付実績には地域差が大きいという課題があると考えております。
この事業の廃止について周知する際には、生活福祉資金貸付制度等の周知や、制度の適正な運用など、厚労省内の連携を含めて御対応をお願いしたいと考えております。
以上です。
○神野部会長 特にコメントがなければ、細田委員、どうぞ。
○細田委員 2点申しあげます。
まず1つ目について、外国人の脱退一時金ですが、私どもの業界はこのたび特定技能1号が認められた業界でございまして、外国の方を技能者として受け入れやすくなりました。そういう意味で言うと、支給上限年数が3年から5年に延びたというのは大変ありがたいです。本当を言うと、5年ではなくてもっと勤めていただきたいという気持ちを持っているのですけれども、そういうことで賛成したいと思います。
2つ目については、資料1の9ページに出ております基礎年金番号の件でございます。私は税務署の会議にも出させていただいて、いろいろな意見を言っているのですが、もっとマイナンバーを活用するということをなぜ皆さん考えないのかなと感じます。税務署でも納税者番号をつくるとか、こちらでも年金番号をつくるとか、ではマイナンバーは何のためにあれだけのお金をかけてシステムをつくろうとしたのか、その辺がよくわからないです。ぜひ、今後のマイナンバーの利用、活用というものをもっと国としてもいろいろな部分で進めていただきたいと思います。
今度、保険証がマイナンバーに紐づけられると聞いております。この中でマイナンバーカードを持っておられる方は何人ぐらいいらっしゃるかわかりませんが、普及率で考えると2割もないと聞いておりますので、ぜひその辺も検討していただきたいと思います。
以上でございます。
○神野部会長 マイナンバーに関してコメントはありますか。
○事業管理課長 事業管理課長でございます。
マイナンバーの活用につきましては、政府全体の方針に沿って私どもも進めているところでございますけれども、既に年金のいろいろな届け書には基礎年金番号またはマイナンバーの記載ということで、マイナンバーをお書きいただければ基礎年金番号でなくてもこちらのほうで処理できるという扱いには既になっております。
また、マイナンバーカードのほうに基礎年金番号みたいなものを入れられないか、そういった趣旨の御提案だったように理解するのですけれども、保険証のほうはマイナンバーカードでという方向があるのですけれども、マイナンバーカードのICの中にそのまま基礎年金番号を1枚のカードで入れたりしますと、カードの中に基礎年金番号をそのまま入れてしまいますので、マイナンバーと基礎年金番号が非常に容易にひもづいてしまうという問題があって、基礎年金番号だけではなくて、違った仮の符号みたいなものを入れ込まなければいけないのかとか、プライバシーとかセキュリティーという観点から、マイナンバーカードの中にそのまま入れ込むというところはやはり考えるべき論点があるかなと思っております。
また、基礎年金番号の場合、そんなに常時携帯いただくようなものではなくて、医療保険の場合は携帯性が必要だと思うのですけれども、そういう意味でのニーズとか費用対効果、そういったこともいろいろ考えるべき論点だと思うのですけれども、いずれにしてもマイナンバーを進めていくということにつきましては、御指摘いただきましたように、政府全体の方針の中で私どもは進めていくということで、今回の提案もマイナンバーなどの普及もありますので、必ずしも基礎年金番号あるいは国民年金手帳という形でなくても事務としてはできるようにということで、そういった変化を捉えた案ということで提案させていただいているものでございます。
○神野部会長 どうぞ。
○細田委員 先ほど諸星委員からも御提案があったように、これからはネットで社会がもっと繋がってくると思います。いろいろな番号が出てくるとわかりにくくなってしまうので、もちろんセキュリティーの問題は非常に重要だと思いますけれども、簡素化していっていただけると助かります。
いろいろな番号が出てきて、システムが複雑になればなるほどお金がかかる問題でもありますし、それは当然国費にもかかわる問題ですので、その辺はぜひ御検討いただきたいと思います。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
駒村委員、どうぞ。
○駒村委員 おくれ来て恐縮です。先ほど、佐保委員からもお話がありましたけれども、年金担保貸付事業というのは本来おかしな制度で、廃止すると決まっている以上、これは廃止するということで期限を決めることはよかったと思います。一方で、家計のやりくりに困っている方は生活福祉資金貸付制度が頼りになってくる、あるいは家計相談支援、こういったものがセットで有効になってこなければいけないと思いますので、これが廃止された後、それを補完する制度がちゃんとスムーズに動いているのか、対応すべき点は何かないのかをちゃんとモニターをしていただいて、ひずみが変な形で出てこないように、他部局との連携を、先ほども話があったと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○神野部会長 ありがとうございます。
永井委員、お待たせしました。
○永井委員 原委員がずっと手を挙げていらっしゃったのに、先にさせていただいてありがとうございました。失礼いたしました。ありがとうございます。
私からは1つだけ、働く者の立場で、厚生年金保険の適用除外要件、2カ月以内の期間を定めて使用される者のところにつきまして意見を述べさせていただきたいと思います。
お示しいただいた方向性については賛成の立場でございます。私どものかかわる労働組合からも聞いております中では、派遣労働者にも当然かかわってくると思うのですけれども、派遣労働の中では2カ月という雇用契約を繰り返すというか、2カ月という契約期間が多い中で脱法的な行為も見受けられたということは聞いております。労政審側の部会のほうでも社会保険の加入といった問題を取り上げられているところだと聞いておりますので、今回、脱法的な行為を防ぐという観点からも、労働分野とも十分連携いただきながら、改正されるに至りましては、きょうお示しいただいた具体的な事務の取り扱いのイメージと書かれているような内容につきまして、丁寧な周知を行っていただきたいと思っております。
以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございます。
原委員、気がつかずに済みません。
○原委員 私からも、今までの委員の方々からの御発言と重なるところもあるかと思うのですが、3点ほどコメントと意見を言わせていただきたいと思います。
まず初めに、厚生年金保険法における日本年金機構の調査権限の整備ということで、こちらは菊池委員のほうからも先ほど確認していただきましたけれども、厚生年金の適用の可能性がある法人については、ぜひそういった調査ができるような形で進めていただきたいと思います。
その中にはいろいろな法整備が必要かと思いますが、一方で適用拡大とか、もし今までの非適用事業所について適用を今後進めていこうとするのであれば、そういった中で、本来ならば適用のところがそのままになっているというところで不公平感ということもありますので、これはぜひやっていただきたいと思っております。その部分で、法整備というところはもちろん確認していただければと思います。
2点目は、年金生活者支援給付金の所得情報の切りかえ時期の変更についてでございます。こちらについては、今まさに受給者の方にはがきが送られて、申請のほうも進んでいるとお聞きしておりますけれども、7ページに書いてある部分は、まさにそういった受給者の方々への次の年のというか、所得が変わっていく中での所得の情報をきちっと把握するために切りかえるということで、こういったこともきめ細やかな部分の把握をしていただきながらやっていただきたいと思うところでございます。
1点、それと同時に新規に受給権が発生する方に対して、この申請書というのですか、適用になるかどうかわからない方を含めて全ての方に、新規に年金の受給権が発生する方に対してもこの申請書が送られていると思うのですが、その中で申請をしないと年金が給付されないと思うのですが、一定の期間の猶予というか、さかのぼって何カ月か認められるということはあると思うのですけれども、今、7ページの事例のお話の中でも、この移行に伴って、ちょっと請求がおくれた方に対して、翌月分からということではなくて、少しさかのぼってそのときからにするとおっしゃっていたかと思いますので、こういったときはさかのぼるとか、こういったときはさかのぼらないとか、現場対応が混乱するといけないので、今、受給者の方とこれから新規で請求する方を含めて、特例としてさかのぼれる場合が幾つかあるかと思うので、そういったところを整理しながら現場への周知をしていただきたいなと思います。
3つ目ですけれども、年金手帳のところです。先ほどからも幾つかお話があるので、年金手帳は手帳でなくてもいいかと思うのですが、私はどちらかというと、事務コストなんかもかかるので、いろいろ簡素化、システム化していくということは急にはやるべきではないのではないかと思っています。やはり年金手帳ではなくて基礎年金番号通知書といった形になるかと思うのですが、次のページにもありましたけれども、青いもの、オレンジのもの、私の時代はオレンジだったとか、そういう形で覚えていて、それがあることによって20歳の人なら20歳で国民年金に加入した、という意識が生まれると思います。ネット化するのもいいかもしれませんけれども、国民年金、つまりは公的年金というのは、原則20歳から全員が入るものなのだということで、そういった意味ではなるべく目立つ色にしていただいて、手帳である必要はないと思いますけれども、私は紙として残したほうがいいのではないかなと思っております。
そういった意味では、省略していく、システム化してほかの番号と連携していいことと、例えば年金で言うと若い方への周知とか、いろいろな制度を知ってもらうという意味では、きちっと自分でもらって、学生納付特例をするのか、自分が払うのか、親が払うのかわかりませんけれども、学生さんとかにも話をする機会がありますが、来た、来ていないというような話もできるかと思います。そういった意味では必要なことではないかと思っております。
同じように、ちょっと違う例ですけれども、「ねんきん定期便」についても、はがきが年に1回来るということで、それはあらゆる年代の方ですけれども、企業の研修等をやっていると、それを持ってきて自分の年金を確認するということで、これも私としては紙のままとして、無くしてほしくない物の一つであります。「ねんきんネット」も進んでいるというのは、またちょっと別の話ですけれども、そういった意味で経費等のコストの部分もあるかと思いますが、そういったいろいろなことを考えて検討していただければと思っております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。
何かコメントはありますか。いいですか。
どうぞ、権丈委員。
○権丈委員 本日の案件は全部支持しますといいますか、賛成でして、何で今までこんなものが残っていたのだろうかなというのが随分あって、年金もいよいよ詰めに入ってきたかなという気がするのですけれども、一つ教えてもらいたいことがあります。年金機構の調査権限の整備というところで、今までは事業所に対する立入調査については、現在は適用事業所のみが対象とされているとなっております。
私、ドラえもんのポケットみたいなものがありまして、年金実務の去年の10月16日の資料を引っ張り出してみますと、平成27年度末で職員の加入指導により適用となった事業所数は9万2550件あって、その年には職員の加入指導による資格取得をした被保険者数が23万9024人、平成28年になると、職員の加入指導により適用となった事業所数は11万5105件あって、職員の加入指導による資格取得をした被保険者数は26万5002人となっている。
適用事業所のみを対象として調査できるような状況の中で、どのようにしてこういうことが起こったのかということと、新しい調査権限の整備ということで、今後、何がその調査の中身が変わっていくのかというのを教えていただきたいと思います。これは物すごい数ですよね。職員の加入指導で20万台半ばの人たちを毎年のようにふやしてきていて、私たちは適用拡大で30万だ、40万だという話をしている中で、これは物すごい数字なのですけれども、今までは適用事業所のみを対象とするという形で余り踏み込んだ形でできなかった、今後どういうふうになっていくのかというのを教えていただければと思います。
○神野部会長 これはどなたに。
どうぞ。
○事業管理課長 事業管理課長でございます。
今、御紹介いただきましたデータは年金事業管理部会で出させていただいている資料だと思うのですけれども、例えば30年度で申し上げると、新規適用事業所が15万ほどありました、そのうち指導によって適用に至ったのが10万ほどありますということですから、新規に出てきた事業所は指導によって3分の2ぐらいは適用になったということになるわけです。これは立入調査という最終段階に至る前でございまして、国税情報なども活用して、給与を支払っていますよね、厚年という制度がありますよねというところでの戸別の訪問であったり、電話であったり、勧奨であったり、そういったプロセスの中で御理解いただいたところについては適用ができ上がっているところでございまして、このぐらいの規模で毎年十数万ほど新規の適用事業所がある中で、多くがやはり指導によって出てきている、実を結んでいるというところでございます。
ただ、立入調査も年間だと50件ぐらいでございまして、そんなに数は多くないのです。ただ、立入調査みたいなことをするというお知らせをすることによって届け出に至るというケースもあるやに聞いていまして、そういった最後の最後の手段としての立入調査です。そこに至る前に当然適用はしますけれども、今回お諮りしているのは本当に最後の最後での立ち入りというところでの権限で、適用事業所になっていない、最後まで応答に応じないというところに何ら法的な最後の手段を講じられないというところでの対応でございますので、そういった提案でございます。
○権丈委員 ありがとうございました。
確かに、去年の9月の社会保障審議会年金部会のほうでその資料を使われているのですが、データとしては被保険者数が出ておりませんので、これから先は事業所数と被保険者数の両方を出していただければなと思っております。よろしくお願いします。
○事業管理課長 年金事業管理部会では被保険者数のほうも出ていまして、30年度で20万ほど、被保険者数がそれで実を結んだということになっております。
○神野部会長 ありがとうございます。
諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 ありがとうございます。
今のところですが、現場で何回も事業所に対していろいろと通知をしていただいて、あと、私どもの功績ではないのですけれども、知らない、よくわかっていないというのがまず基本にありますので、地道な努力を日本年金機構の現場のところでやっていらっしゃるというのが現実にあると思います。
あと、一言言わせていただければ、私どもの社会保険労務士にも、「こういうのが来るのだけれども、わからないから」と御相談が必ず来るのです。そのときは、私どもはちゃんと丁寧に御説明して、加入促進の一助を担っているということだけお伝えしたいと思います。
○神野部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございますか。
米澤委員、いいですか。
○米澤委員 はい、結構です。
○神野部会長 山田委員もよろしいですかね。
それでは、かなり時間が余っておりますけれども、一通り委員の皆様方から御意見を頂戴し、議論その他がほぼ出尽くしたと考えさせていただきます。どうもありがとうございました。
いずれにいたしましても、本日いただきました御意見につきましては引き続き議論を継続してまいりますので、今後ともまた御議論を頂戴できればと思っております。
特に事務局のほうから何かなければ、議論のほうはこれにて終了させていただくということでよろしいですかね。
それでは、今後の予定等々、連絡事項について事務局からお願いします。
○総務課長 次回の議題や開催日程につきましては、また追って御連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
○神野部会長 どうもありがとうございました。議事運営に御協力いただきまして、時間を余らせて終わらせることができました。一応お子さまにも御迷惑をおかけせずに済みそうなので、これにて終了させていただければと思います。
御多忙のところをお集まりいただいて、生産的な御議論を頂戴したことに深く感謝を申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
 

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