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2019年9月27日 第10回社会保障審議会年金部会

年金局

○日時

令和元年9月27日(火)10:00~12:00

 

○場所

東京都港区新橋1-12-9

AP新橋 3階(Aルーム)

○出席者

神 野 直 彦(部会長)
植 田 和 男(委員)
小 野 正 昭(委員)
権 丈 善 一(委員)
駒 村 康 平(委員)
小 室 淑 恵(委員)
出 口 治 明(委員)
永 井 幸 子(委員)
原 佳 奈 子(委員)
平 川 則 男(委員)
牧 原 晋(委員)
諸 星 裕 美(委員)
山 田 久(委員)
細 田 眞(委員)
米 澤 康 博(委員)

○議事

○神野部会長 それでは、武田委員からは遅参されるという御連絡をいただいておりますし、原委員もいずれお見えになると存じますので、定刻でございますから、ただいまから第10回の年金部会を開催したいと存じます。
本日は、上期末の大変お忙しい中を万障繰り合わせて委員の皆様方が御参集くださいましたことに、深く感謝を申し上げる次第でございます。
本日の委員の出欠状況ですが、駒村委員、阿部委員、植田委員、小室委員、藤沢委員、山田委員、米澤委員、細田委員から御欠席との連絡を頂戴いたしております。
また、諸星委員は少々早目に御退席されるということでございます。
御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、この会議は成立しているということをまず御報告させていただきたいと存じます。
それでは、議事に入ります前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○総務課長 それでは、資料の関係でございますけれども、現在、厚生労働省におきましては、審議会等のペーパーレス化を推進しております。本日の部会におきましても、ペーパーレスで実施させていただいております。
操作につきましては、お手元にこの説明書を配付しておりますが、もし御不明な点がございましたら適宜事務局がサポートいたしますので、御遠慮なくお申しつけいただければと思います。
なお、傍聴される方には、あらかじめ厚生労働省ホームページでお知らせしておりますとおり、御自身のタブレット等の携帯端末を用いて、厚生労働省ホームページから資料をダウンロードしてごらんいただくこととしております。
その前提で、このタブレットの中に入っておりますけれども、本日は資料といたしまして、資料1「今後の年金制度改正について」。
資料2-1「「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」における議論のとりまとめ(概要)」。
資料2-2、同懇談会の議論の取りまとめ。
参考資料1、「被用者保険の適用拡大」の関係資料集。
参考資料2、懇談会資料で「関係団体に対するヒアリング」。
参考資料3、懇談会資料で「適用拡大企業に対するアンケート結果」。
こういうものを用意しております。
また、こちらのほうもタブレットに入れておりますけれども、本日御欠席の細田委員から意見書をいただいております。あわせて御用意をしておりますので、御確認をいただけますでしょうか。タブレットも個別に資料を入れておりますので、万一不備なところがございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
それでは、大変恐縮ですが、カメラの方々にはこれにて御退席をいただければと思います。御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○神野部会長 この会議、今、事務局から御説明がありましたように、ペーパーレス化で行うことになりますので、御協力いただければと存じますが、私、網膜剥離でもって光源を目にすることができませんので、私だけペーパーレスではなくやらせていただきます。御寛容いただければと思います。
それでは、これから議事に入らせていただきますが、お手元に議事次第があるかと思いますので、御参照いただければと思います。
本日は2つ議題を準備しておりまして、一つは「今後の年金制度の改正について」、もう一つは「被用者保険の適用拡大について」、この2つを準備させていただいております。
これは私から改めて申し上げるまでもないのですけれども、令和元年、2019年の財政検証の結果につきましては、前回、事務局から御報告を頂戴いたしまして、委員の皆様方からも熱心な御議論を頂戴したところでございます。
この前回の会議の最後に、今後の年金部会の進め方については、今後の年金制度のあり方について、この財政検証の結果を材料としながら委員の皆様方の御議論を頂戴していきたいと私から御説明を申し上げたところでございます。
この私の説明を少し具体化するような形で、まず初めに今後の検討の大きな枠組みについて、事務局から御説明を頂戴したいと思っております。
さらに、議事2の「被用者保険の適用拡大について」、これはことしの1月のこの部会において事務局から、ちょっと長い懇談会の名前ですが、「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」の設置について御報告をいただきました。この懇談会において関係団体のヒアリングや意見交換を勘案しながら、御議論をおまとめになったとのことでございます。そこで、この懇談会のまとめのこと等々についても議題2のところで御説明いただき、議題1と議題2をあわせて事務局から御報告を頂戴したいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○年金課長 年金課長でございます。
私から資料1、資料2に関しまして、あわせて説明申し上げたいと思います。
資料1の1枚目をごらんいただきたいと思います。「2019(令和元)年の財政検証結果を踏まえた今後の年金制度改正の議論について」ということで資料を用意してございます。
左の一番上の箱にございますように、今後の社会経済の構造的な変化といたしまして、より多くの人が、これまでよりも長く多様な形で働く社会、それから、高齢期が長期化する社会というものが予見されてございます。
そして、右側、前回の年金部会で御報告申し上げましたけれども、今回の財政検証結果に基づきますと、経済成長、労働参加が進むケースでは、マクロ経済終了時に所得代替率は50%以上を維持することが確認され、さらに一定の制度改正を仮定した試算(オプション試算)では、被用者保険のさらなる適用拡大ですとか、保険料の拠出期間の延長と受給開始時期の選択肢の拡大のいずれを行った場合でも、年金の給付水準を確保する上でプラスであることが確認されております。
これらを前提といたしまして、次期年金制度の基本的な考え方といたしましては、より長く多様な形となる就労の変化を年金制度に反映し、長期化する高齢期の経済基盤を充実するという視点で御議論いただいてはどうかと考えてございます。
その際の改革の大きな2本柱といたしましては、多様な就労を年金制度に反映するための被用者保険の適用拡大、それから、就労期の長期化による年金水準の確保・充実を図るために、繰り下げ制度の柔軟化でありますとか、在職老齢年金制度の見直しなどを御議論いただきたいと考えてございます。
具体といたしましては、下でございますけれども、繰り返しになりますが、被用者保険の適用拡大、それから、繰り下げ制度の柔軟化、在職老齢年金の見直しなどを柱といたしまして、さらにこの5年間にもさまざまな社会変化などもございますので、業務運営改善関係など何か少し改善できるものがあればあわせて御議論いただいて、次の年金制度改革についての議論を進めていただければと考えております。
2ページ以降は、こういった御議論をしていただくための参考資料として用意したものでございます。
2ページ、性別・年齢階級別に見た就業率の変化と今後の見通しでございますけれども、性別・年齢別の就業率を見ましても、近年女性と高齢者といった時間などに一定の制約を持ちながらも働かれるという方々の就業が進展しておりまして、将来推計におきましても、こうした層の労働参加が一層進展するということが見込まれているわけでございます。
3ページをごらんください。平均余命につきましては、昭和60年、1986年の基礎年金の創設時と比べましても、既に5年程度延びてきておりますけれども、将来人口推計に基づけば、今後将来さらに3年程度延びていくということが見込まれてございます。
右でございますが、今、65歳を迎えた方が特定の年齢まで生存する確率でございますけれども、それを見ますと2015年時点で65歳の方、1950年生まれの方でございますけれども、既に男性の3割以上、女性の6割が90歳まで生きられるという見込みでございますし、さらに1990年生まれの方、この方は今30歳ぐらいということになりましょうか。2055年に65歳に到達する方につきましては、男性で4割以上、女性の7割を超える方が90歳まで長生きされる見込みでございますし、さらに女性につきましては、約2割の方が100歳まで長生きされることが見込まれております。
4ページをごらんください。高齢期の健康状態はどうなっているかということでございますけれども、65歳以上の方の新体力テストの合計点ですとか、通常歩行速度のデータを見ますと、高齢者の体力は10年から20年前と比較いたしますと、5歳から10歳程度若返っているのではないかといったデータが、例えばスポーツ庁ですとか、あるいは日本老年学会・日本老年医学会といったところから報告されております。
5ページをごらんいただきたいと思います。それでは、そういった場合の高齢期の就労というのはどういうものかということでございますけれども、まず、意欲の点から見ますと、現在仕事をしている60歳以上の方の約8割が65歳を超えても、あるいは年齢にかかわらずエージレスということでございましょうか。働けるうちはいつまでも仕事をしたいという意欲をお持ちでございます。
他方、その働き方といたしましては、35歳から64歳の男女あるいは65歳以降も収入を伴う就労の意向がある方につきましては、60歳以降に希望する就業形態というのが「パートタイムの社員・職員」、体力の問題ですとか、いろいろな問題もあるかと思いますけれども、必ずしもフルタイムではないということでございます。
6ページをごらんください。前回年金部会で御報告申し上げました財政検証結果のポイントでございます。
7ページをごらんください。こちらは本日も御議論いただきます適用拡大に関しまして、全体の人数がどのように位置づけられているかという見取り図でございます。
8ページ、まず、適用拡大について行った場合の制度的な代替率の変化を一覧表にしたものでございます。マル1の125万人、マル2の325万人、マル3の1050万人という横系列に対しまして、ケースI、ケースIII、ケースVの3ケースにつきまして、一覧表化しております。
特に代替率の変化がございます部分に下線を引いてございますので、今回、こちらのAのケースですと、基礎年金の水準の向上が図られているということ、そして、その向上の度合いが最後のほうにかぎ括弧つきで見られるように整理させていただいたものでございます。
9ページが、なぜ適用拡大により基礎年金の水準が向上するのかを模式図的につくってみたものでございます。基礎年金の給付に必要な費用は厚生年金と国民年金を、それぞれ被保険者の割合によって案分して拠出しておりますけれども、この際に各制度は必要な費用を被保険者からの保険料とそれぞれの制度が保有します積立金を活用しながら賄っております。
報酬比例年金といった独自給付のウエートが高い厚生年金と比較いたしますと、支出のほとんどが基礎年金拠出金である国民年金の財政均衡を図るために、2009年の財政検証以来、基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間が長期化する見通しであるということは、前回の年金部会でも御報告申し上げたかと存じます。
このような財政構造下におきまして、適用拡大が起きますと、被用者として就労していながら第1号被保険者だった者、図のほうでも赤で強調しておりますけれども、この方々、短時間の労働者の方々などが第2号被保険者となることによりまして、その分、国民年金の今言ったルールに基づきます拠出金の負担は減少いたします。
そうしますと、国民年金制度として見た場合の積立金の活用を含めた全体的な国民年金の財政が改善するということを通じまして、将来の基礎年金の所得代替率が改善する。それはすなわちマクロ経済スライドが早期に調整終了するということでございますけれども、そういった結果を生むという構造になってございます。
10ページをごらんください。こちらは被用者でありながら厚生年金の被保険者となっておりますので、自営業者などと同様に国民年金加入となっている方が、国民年金第1号被保険者の4割近くを占めるに至っているということをあらわすグラフでございます。
11ページをごらんください。こちらがオプションBと言われます高齢期の就労をめぐった関係のオプションの全体像でございます。B-マル1、B-マル2、B-マル3、B-マル4と、前回財政検証結果でも御報告したものでございます。
12ページが、B-マル1からマル3につきまして、先ほどの適用拡大と同様に一覧表にして整理してみたものでございまして、こちらも同様に、下線が引いてある部分が代替率の変化をもたらしている部分でございます。
13ページをごらんください。いわゆる繰り下げの関係でどういう形で給付改善、向上が図られるのかを模式図的にあらわしたイメージ図でございます。
14ページ、こちらも前回の部会の際にも御報告申し上げたかと思いますけれども、繰り下げを75歳までした場合の効果を図柄的にあらわしたものでございます。真ん中のピンクの部分が繰り下げの効果ということでございますけれども、屋根に乗っかっている雪みたいに見えている部分、これは在職老齢年金によりまして支給停止されている部分は繰り下げ増額対象にしておりませんので、そのボリューム感がどのぐらいあるかというものをお示ししているものでございます。
15ページをごらんください。繰り下げを75歳までとした上で、このオプションBの関係、例えば今申し上げた在職老齢年金などは廃止したという状況でございますけれども、それを全て織り込んだ場合の代替率の変化ということでございまして、仮に75歳まで働き続けられて、保険料を払い続けていただくような過程の中で繰り下げもしていただくと、代替率100を超えるという結果となってございます。
16ページ、17ページ、18ページは、政府の閣議決定についてでございます。例えば16ページ、骨太の方針でも年金の受給開始時期の選択肢の拡大ですとか、被用者保険の適用拡大、それから、在職老齢年金のあり方等を検討するということにされてございますし、17ページの成長戦略実行計画でも同様に、年金受給開始の時期や在職老齢年金制度について検討するということになってございます。
こちらの資料、最後でございますけれども、18ページの成長戦略フォローアップでは、来年2020年の通常国会への法案提出を念頭に、公的年金・私的年金両面にわたる制度の改革を進めるという形の閣議決定がなされております。
資料1の説明は以上でございます。
続きまして、資料2について説明したいと存じますので、資料2-1をお開きいただければと思います。
適用拡大につきましては、先ほど部会長からもおっしゃっていただきましたけれども、関係者からヒアリングを行うなど、丁寧な議論を行うべきとの御議論をいただいたことを受けまして、検討の場として懇談会を昨年12月より開催してまいっております。
この懇談会におきましては、全8回の議論を経まして、先週9月20日に議論の取りまとめを行いましたので、今回はその御報告をさせていただきたいと思います。
なお、本日は同時進行で医療保険部会も開催されておりまして、そちらでも同様の内容で医療保険の観点からの報告がなされていることを御報告申し上げます。
本日は、この資料2-1と2-2と参考資料1から3を用意してございますが、このうち、資料2-2、紙でないので同時並行で見られないのが恐縮でございますけれども、そちらが分厚い資料になっておりますけれども、議論の取りまとめでございます。本日はお時間の関係もございますので、資料2-1のほうに事務局の責任で編集した概要がございますので、こちらで御説明させていただきたいと思います。
懇談会におきましては、計3回にわたって13団体から適用拡大の影響などについてヒアリングも行わせていただきました。また、懇談会の議論に資するべく、年金局で独自に企業アンケート調査も行いまして、それぞれ参考資料2、参考資料3に結果をまとめておりますので、必要に応じて適宜御参照を賜れればと思います。
それでは、資料2-1の1ページ目をごらんください。こちらが懇談会についてでございますが、一番上の箱が設置の趣旨ですとか目的ですが、こちらは既に御報告申し上げているとおりでございます。
構成員といたしましては、幅広く労働市場とか雇用に見識があるような先生方とか関係の団体の方々にお集まりをいただきまして、議論の経過はここにあるとおりでございます。
ヒアリング先としては、こちらの最下段にあるとおりの団体からヒアリングをさせていただいております。
2ページから、取りまとめの概要を説明申し上げたいと思います。
まず、マル1にございます施行後の状況につきまして、影響等々を検証した結果でございます。義務的な適用拡大の対象者は制度施行後一貫して増加してございます。任意的適用拡大につきましても、これは500人以下のほうでございますけれども、制度施行後、事業所数・短時間被保険者数とも一貫して増加してございます。
この適用拡大によりまして、新たに適用対象に含まれましたのは、週労働時間20時間から30時間の雇用者約450万人のうちの40万人という規模でございました。
この属性を見ますと、40歳代から50歳代の女性、それから、60歳以上の高齢者が多いという結果でございました。
この短時間の被保険者の適用拡大前の公的年金の加入状況を見ますと、第1号被保険者が約4割、第3号被保険者、厚生年金被保険者、あるいは被保険者でなかった方、それぞれ2割、2割、2割といった状況でございました。これを見ますと、短時間の被保険者というのは、必ずしも従前言われていました主婦パートと言われるような方だけではない多様な属性の方々がいらっしゃることが判明いたしました。
また、元第1号被保険者の国民年金の保険料の納付状況を見ますと、約半数が免除あるいは未納といった状況でございました。雇用者は自営業主などに比べると完納者の割合が低い傾向が見られました。これを踏まえますと、適用拡大によりまして、将来の低年金リスクの低減には効果があったのではないかと評価されているところでございます。
短時間被保険者は一部の業種に偏在しております。例えば卸売・小売業、医療・福祉業、運輸、郵便業といったところでございまして、事業主の保険料負担は新たに被保険者となった労働者一人一人の標準報酬のおおむね14.15%に相当いたします。これは医療保険込みでございます。全事業主の負担総額では年間850億円程度と見られておりまして、この負担の状況も偏在傾向があるのではないかという分析結果でございました。
それから、JILPTによりますアンケート調査もやっておりますけれども、事業所の動向といたしましては、適用拡大に伴う雇用管理上の見直し、労働時間を延長したり短縮するといった動きにつきましては、労働者の希望を踏まえたケースが多数を占めておりまして、コスト回避目的的な見直しは限定的であったと分析されております。
500人以下の任意的適用拡大制度につきましては、多くの事業所に認知はされておりますが、利用意向は残念ながら少数ということでございました。さらなる適用拡大への対応を尋ねますと、従業員の保険加入に前向きな回答が最多で4割は超えておりました。人手不足の中で、従業員の処遇改善の認識が高まってきているというのがうかがえました。
今度は短時間労働者側の働き方への影響でございますけれども、適用拡大に際して働き方を変えなかった方が8割を超えていたということでございますけれども、変えた方のうち半数を超える方は手取り収入が減少しないように労働時間を延長したと回答をされております。
労働時間延長など保険の適用の方向に働き方を変えた理由を尋ねますと、元第1号被保険者の方は保険料の負担軽減というのが魅力であったようでございます。また、元第3号被保険者は手取り収入の維持とか向上、両者共通の傾向といたしまして、将来の年金増というものが挙げられておりました。
元第3号被保険者による労働時間短縮などの理由といたしましては、配偶者控除、それから、健康保険の被扶養者制度が影響しているということでございまして、被用者保険適用のメリットも認識されている一方で、税や社会保険は依然として就業調整要因であるということがうかがわれました。
第3号被保険者の適用拡大への対応といたしましては、年齢あるいは社会保険加入の捉え方、加入に関して例えば年金増といった魅力を感じるかどうか、それから、世帯の年収によって受けとめ方にそれなりに差があることが判明いたしました。
御自身の働きの家計への影響が大きいかどうか。大きい労働者ほど適用拡大に対して保険加入を選んで、家計に余裕のある世帯の短時間労働者ほど適用を回避する傾向が見られました。
3ページをごらんいただきたいと思います。関係団体に対するヒアリング結果でございます。矢印の部分でございますが、適用拡大によりまして、労働時間を短縮する動きが目立ち、労働力不足に拍車がかかったという御意見もございました。他方で、労働時間を短縮する動きは限定的であったという御意見もありまして、双方の御意見がございました。
短時間労働者を多く雇用する労働集約的な産業からは、利益率が低い中で、適用拡大に伴う社会保険料負担の増加は企業経営に対して無視できない影響を与えたとの意見がございまして、適用拡大が与えた影響というのは、各産業によってその程度に違いが生じていることがうかがわれたところでございます。
適用拡大を実際に行っている大企業に対するアンケート調査の結果でございますけれども、矢印のところでございますが、適用拡大による影響については、短時間労働者の適用回避行動が一定数見られたこと、そのことにより人手不足にさらなる影響を与えていること、それから、社会保険料負担の増加が経営に与える影響が大きいといったことが、企業経営に対する負の影響の側面として指摘されております。
その反面、従業員への丁寧な説明により適用回避行動をある程度解消することができたということ、むしろ人員確保や従業員の福利厚生向上に資することなど、負の影響が軽微・減殺可能である、あるいは正の影響があるという認識も確認されております。
4ページをごらんください。懇談会でおまとめいただきました今後の検討の方向性として、適用拡大に関する基本的な考え方でございます。
1つ目は、被用者にふさわしい保障の実現ということでございます。被用者でありながら国民年金・国民健康保険加入となっている方々に対しまして、被用者による支え合いの仕組みである厚生年金による保障や、健康保険による保障が確保されるというのが適用拡大の意義だということになっております。
また、保険料につきましても、被用者保険では労使折半の負担となるということでございます。
2つ目といたしまして、働き方や雇用の選択をゆがめない制度をつくっていくということでございます。労働者の働き方や企業による雇い方の選択におきまして、社会保険制度における取り扱いによって選択をゆがめられたり、不公平が生じないようにする必要があるのではないかということでございます。
また、適用拡大を通じまして、働き方に中立的な制度が実現できれば、働きたい方の能力の発揮の機会や企業運営に必要な労働力が確保されやすくなることも期待されるであろうということでございます。
3つ目が、社会保障の機能強化という視点でございます。適用拡大によりまして厚生年金の適用対象となった方は、定額の基礎年金に加えまして、報酬比例給付による保障を受けられるようになりますので、保障が手厚くなるということでございます。
また、適用拡大はどのような働き方をされていましても共通に保障される給付でございます基礎年金の水準の確保にもつながるということですので、これによりまして、年金制度における所得再分配機能の維持にも資するということでございます。
こういった基本的な考え方を踏まえつつ、下でございますけれども、この懇談会では、被用者として働く方については被用者保険に加入するという基本的な考え方が示されたところでございます。また、具体的な適用拡大の進め方につきましては、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営の影響等にもしっかり留意しつつ、丁寧な検討を行う必要性が示されたところでございます。
次に5ページをごらんください。ここから今の適用基準の各論の部分でございます。企業規模要件につきましては、被用者にふさわしい保障の確保や経済活動への中立性の維持、法律上経過措置としての規定となっていることなどの観点から、本来的な制度のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置づけで対象を拡大していく必要性が示されました。また、現実的な問題といたしまして事業者負担の大きさを考慮した上で、負担が過重なものとならないよう、施行の時期・あり方等における配慮や支援措置の必要性について指摘されております。
労働時間要件につきましては、被用者にふさわしい保障を確保する趣旨を踏まえつつ、他の論点との優先順位や短時間労働者の就業に与える影響なども慎重に考慮した検討の必要性が示されております。
賃金要件につきましては、就業調整の要因となるなど課題も示されました一方で、国民年金第1号被保険者とのバランスから設定されたという経緯ですとか、短時間労働者の就業に与える影響、これは就業調整の関係でございます。賃金要件と最低賃金との水準の関係も踏まえて、制度の見直しの緊要性、どのぐらい緊急度が高いのかという程度も念頭に置いた検討の必要性が示されたところでございます。
勤務時間要件です。こちらは通常の厚生年金ですと2カ月となっている要件が、事業主に配慮されて1年となっているものでございます。勤務期間要件につきましては、事業主負担が過重にならないようにするという趣旨や実務上の取り扱いの現状を踏まえまして、要件の見直しの必要性が共有されたところでございます。
学生除外要件でございます。事業主の事務負担への配慮という制度趣旨を念頭に置きつつ、近時の学生の就業状況の多様化や労働市場の情勢なども踏まえ、見直しの可否について検討する必要性が示されたということでございます。
6ページをごらんください。健康保険との関係でございます。健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異に関する指摘があった一方で、働き方に中立で公平な制度とする観点や実務上の課題を踏まえまして、一体的適用を維持することの必要性も示されました。
続きまして、第3号被保険者制度についてでございます。働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度とするため、まずはさらなる適用拡大を通じて、ある程度働く短時間労働者については、被用者保険に加入する形を目指しつつ、制度のあり方についての将来像を議論していく必要性が指摘されました。
続きまして、こちらは被用者保険の適用事業所の範囲ということでございまして、法人は全て適用になってございますけれども、個人事業主につきましては5人以上を雇っている方が対象になっております。ただし、対象となりますのは業種限定がかけられております。法定16業種と言われるものに限定されておりまして、それに該当しない業種については強制適用の対象外となっております。
本来、事業形態、業種、従業員数などにかかわらず被用者にふさわしい保障を確保するのが基本であるとの考え方が示されました。その上で、現在非適用とされた制度の創設時の考え方と現状、それから、各業種それぞれの経営・雇用環境などを個別に踏まえつつ検討すべきとの認識が示されました。
関連いたしまして、当年金部会でも御指摘されたことがあるかと存じますが、例えば未適用事業所に対する日本年金機構における対応をしっかり継続するといったことなどの指摘もなされております。
続きまして、いわゆる副業・兼業などといった関係でございますけれども、複数事業所に就業している方に対する被用者保険の適用のあり方に関してです。複数事業所で就業する方につきましては、該当する労働者にふさわしい保障を確保する方策につきまして、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き議論していく必要性ですとか、現行の適用の仕組みの効率化ができないのか、そういったものを図る必要性があるのかといった点が指摘されております。
雇用類似の働き方です。ギグワークですとか、いわゆる請負型に該当するのでしょうけれども、働き方においては実は被用者と余り変わらないのではないかというような議論がある方々でございます。こういう雇用類似の働き方への対応につきましては、被用者性の高い個人事業主、形の上ではこの方々は個人事業主になりますので、個人事業主への保護を図る観点から、制度上、実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じてどのような対応ができるか、引き続き議論していく必要性が指摘されたということでございます。
以上が概要でございます。この概要のベースになっておりますデータその他は、本編のほうにはデータも織り込みながらの報告となっておりますので、適宜該当の部分、もちろん御質問をいただければ御報告、御説明いたしますので、御参照いただきながら御議論を賜れればと思っております。
私からは以上でございます。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
議題1「今後の年金制度改正について」と議題2「被用者保険の適用拡大について」にかかわる資料を一括して御説明を頂戴いたしました。いずれの1も2も相互に関連いたしますので、御質問、御議論も一括して頂戴できればと思っておりますので、御質問あるいは御意見がございましたら頂戴したいと思います。
どうぞ。
○永井委員 ありがとうございます。
懇談会の取りまとめについて、労働組合連合の立場で御意見を申し上げたいと思います。
資料で言いますと4ページに取りまとめの基本的な考え方が示されておりますが、一番下のところで、本懇談会は被用者として働く者については被用者保険に加入するという基本的考え方が示されたというところでございまして、私どももそのように主張させていただいてまいりました。
年金に対する不安が高まっている今日、就職氷河期世代を含む将来の無年金、低年金者を防ぐ観点からも、全ての働く方には社会保険を適用し、将来の生活保障を確保することが喫緊の課題であると考えております。本年金部会においても、全ての働く方に社会保険を原則適用するという方向での検討がされることが重要であると考えております。
2つ目に、この基本的な考え方では2番のところになろうかと思いますが、働き方や生き方の選択によって不公平が生じない制度を目指すべきとされておりますほか、労働時間要件、そして、賃金要件、非適用業種などへの適用の拡大については慎重な書きぶりにとどまったという認識をしておりますが、これからの議論においては、この慎重な書きぶりになったということについては問題も多いと考えておるところでございます。
3つ目には、5ページになりますが、適用範囲のあり方の要件の企業規模要件のところでございますが、私ども連合は、懇談会の議論におきましても経過措置であります企業規模要件については撤廃を強く求めてまいりましたが、この議論の取りまとめでは、本来的な制度のあり方としては最終的には撤廃すべきものであるとされつつも、施行時期、やり方に配慮するなど支援措置の必要性を指摘する意見も併記されまして、また、明確な結論は示されなかったと認識しております。改めて、重ねてになりますが、企業規模要件については撤廃すべきということを求めたいと考えております。
以上です。
○神野部会長 ありがとうございます。御意見を頂戴いたしました。
それでは、お待たせいたしました。
○牧原委員 ありがとうございます。
今後の年金制度改定について、高齢化が進む中で就労参加を進め、より長く就労機会を得て、経済基盤を充実していくという方向性は理解をしております。
ただ、これまでも何回も申し上げた通り、高齢期の就労は、個々人ごとの対応が必要だと思っておりますし、家族の状況や働き方のニーズも多様化すると考えています。雇用する企業側としても、そのための環境整備や制度面の対応が必要だと考えておりますので、実態を踏まえた議論を進めていく必要があると考えています。
また、社会保障制度を改革する上では、生産性向上を通じて経済成長が実現されるということが全体のベースになるかと思います。それを念頭に置いた議論が必要であると考えます。
適用拡大の件につきましては、基本的には働き方の多様化に伴って被用者保険のさらなる適用拡大を図っていくことは重要であると思っています。今回の財政検証でもそういう構成で検証されていると理解しています。手順としては、まずは企業規模要件の撤廃から進めていくべきだと考えています。
その際に、報告書にも記載をされておりますけれども、現実に適用拡大をしていくとなると、従来の国民年金1号から厚生年金に移行するわけで、制度の支え手としての事業主あるいは企業の存続に対するインパクトは無視できないものがあります。そういう事業主の負担や、短時間労働者の雇用に対するインパクト等をきちんと踏まえて、適切な対応を講じた上でこれを進めるべきだと考えます。
あわせて、適用事業所の範囲については、報告書の中にもある通り、フルタイムの労働者にもかかわらず、被用者保険の適用が任意になっている一部の業種があるということがございます。この合理性についても検討すべきであるし、5人未満の従業員が働いている個人事業所に対しても適用を検討していくことが必要であると思います。
2点ほどは要望なのですけれども、働き方が多様化する中、副業や兼業が増えてきております。実際にこれを実現しようとすると、事務手続が非常に煩雑になっております。そのため、ここについて具体的に実効性あるものにするためには、事務手続のありようを抜本的に見直す必要があると考えております。これが1点目です。
2点目は、適用拡大を進めると、医療保険制度にも影響があります。企業のほうの医療保険につきましては、高齢者に対する支援ということで、かなりの負担をしているというのも事実でございます。厚生年金に適用拡大をされるということに伴って、さらに企業側の負担が増えるのもまた現実であります。その影響についてはきちんと精査をした上で、今後の対応についてはその試算を踏まえた上で検討していくべきだと考えます。
以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
お二人の委員の御意見について、事務局のほうで特にコメントはありますか。
○年金課長 今、牧原委員から最後に御指摘をいただきました医療保険のほうでの被用者といいますか対象者の移動に伴う、年金と違いまして組合ですとか国保とか、向こうは保険者が分立していますので、デマケーションがございますので、その辺のシミュレーションの必要性については取りまとめのほうでも指摘されておりまして、それは先ほど申し上げました医療保険部会で同様の議論がなされているものと承知しておりますので、御報告申し上げます。
○神野部会長 ありがとうございます。
出口委員、お願いします。
○出口委員 幾つかあるのですけれども、1つ目は前回も幹の議論と枝葉の議論は分けて考えたほうが議論が錯綜しないのではないかということを申し上げました。例えば適用拡大の問題につきましては、オプション試算の1050万人のケースですか、全て4ポイント以上改善しているわけですから、こういう明らかな数字上のデータがあるわけですから、基本的な考え方としては永井委員が指摘されたように、全ての被用者、実態的な被用者も含めて適用拡大をやっていく。1050万人のオプション試算で示されたような効果があるわけですから、まずこれを目指すということが大前提として、これだけ具体的な数字であらわれているわけですから、これはどなたも反対はなさらないと思うのです。
ただし、それをどのような時間軸で、どのように実現していくかという問題と、目指すところはこれだというところははっきり分けて議論することはすごく大事だと思いますし、僕はそういう大原則として、目指す方向はこれだよ、これはもう皆さん異論はないですよね、その中で時間軸としてはどのように考えていったらいいのでしょうかという、この2つの問題は峻別して議論したほうが生産的だと思うというのが第1点です。
第2点は、高齢者の働き方は個々の人によって違うという議論がよくあるのですけれども、僕はこれにはすごく疑問を持っていて、実は僕の大学は学生6,000人のうち半分が外国人なので、そういう面ではバイアスがかかっているのかもしれませんが、若い人の働き方も随分多様になっています。ことしの6月に行われた、たしかマイナビの調査では、新しく企業に入った人の4割ぐらいが5年以内で企業をかわってもいいと答えている、そういうデータがあった記憶があるのです。
年金の議論のときに出てくる、高齢者の働き方が多様だとか個々人によって違いがあるという議論は、これは実は実態には合っていないような気がして、働き方の問題はエージレスで、年齢フリーで、全市民の働き方が多様化している。こういう前提で議論をしないと、高齢者だけが体力や意欲や能力によって違いがあるということに焦点を当てれば、それはゆがんだ議論になってしまうような気がします。
3点目は、いろいろな資料の中で事業主の負担ということがよく言われているのですけれども、これは僕は友人に聞いた話で、自分で調べようと思いながら時間がなくて調べていないのですけれども、ドイツでは適用拡大をやり、しかも事業主の負担がかなり高くなっていると。そういう面では、日本では適用拡大をやろうとすれば、事業主の負担がどうなるか、大変だという議論になるのですが、実はドイツはそれをやって事業主の負担が労働者の負担よりも大きくなっているという話を聞いたことがあり、なおかつ、そういうことをやればドイツの経済はがたがたになってドイツの経済が弱くなったのかといえば、実はそういうことをやることによってドイツの経済は強くなったという話を僕自身は聞いたことがあります。
これは今回でなくても次回以降でいいのですけれども、例えばドイツでは適用拡大をやるときにどういう議論があり、その結果、経済が本当に弱くなったのかどうか。そういうちゃんとした実例を一度御説明いただいたら、ひょっとしたら適用拡大をやったら事業主の負担がふえて中小企業が大変なことになるというのは、社会全体として見ればオオカミ少年かもしれないわけです。ですから、そういう他国の事例というものをもっと我々は勉強する必要があると思うので、本当は自分でやるべきことなのですけれども、もし次回以降に機会があれば、そういう話を御説明いただければ大変議論に資するのではないかと思います。
これで終わりにしますが、最後の4点目は、高齢者の体力の問題で、丁寧な御説明があって、10年、20年前に比べて5歳から10歳若返っているという御説明がありましたけれども、そうであればもちろん定年制度やいろいろな問題との接続の問題があるかもしれませんが、普通に考えれば動物としての年齢がそれだけ若返っているのであれば、極論を言えば、年金の支給年齢もそれにスライドして上げるような考え方がむしろ自然だと思います。75歳に上げているのは、僕自身はこういう肉体的、健康的、医学的なデータがあるのだったら当たり前ではないかという気がします。
最後に、高齢者が長く働く時代になってきたというお話が最初にありましたけれども、これもいろいろ議論していますと、高齢者が長期間働くようになったといえば、今まで頑張ってきた市民にもっと働けというのか、敬老精神はどこへ行ったのかとか、こういう議論になりがちですが、これは根本から間違っていると思っています。ある口の悪いお医者様に聞いた話ですけれども、お嬢様がお父様、お母様に、今まで長い間頑張って働いてくれてありがとう、私もひとり立ちしたから、これからは散歩したり、旅行したり、勉強したり、好きなことをしてゆっくり過ごしてください、後の面倒は私が見るからということは、これはお父さん、お母さんに、早く寝たきりになってくださいと言っている話ですよと。人間は社会的動物なので、長く働くということの真意は、楽しい人生を送るためには働いて健康寿命を延ばすことが一番幸せなのだというところにあるのです。
だから、この高齢者の就労の問題というのは、体力があって働けるというのではなくて、人間として幸せな人生を送るために働くのだという、そういう当たり前の考え方を強く打ち出さないと、75歳問題にしても、いつまで働かせるのだとか敬老精神はないのかというゆがんだ考えに陥ってしまう。そこは根本的に意識を変えていかなければいけない気がします。
以上、順不同で5点ほど申し上げました。
○神野部会長 とりわけ資料については難しいかなと。いいですか。
○年金課長 年金課長でございます。
まず、ドイツの関係ですけれども、確認中ですが、第3回の年金部会で諸外国の年金をやった際にも、ドイツのミニジョブについては御報告申し上げまして、今回の資料にもおつけはしておりますけれども、それに加えてドイツではどういう議論があって、経済的にどうだったかということで、諸外国の状況までになりますと少しお時間がかかる可能性はあります。
経済との関係ですと、これも素人ながらでございますけれども、ミニジョブ一個だけで経済そのものを語るのはかなり難しいので、もし何か適切なドイツ語の論文でも見つかれば御報告することはできると思いますけれども、そこまではもしかしたら事務局の能力の範囲を超えるかもしれないということで、そこは御了解を得られればと存じます。
○出口委員 いつでも結構ですし、わかる範囲で教えていただければと思います。
○年金課長 承りました。
○神野部会長 そもそも社会保障と経済成長との関係は御存じのとおり幾つも議論がありますので、ドイツで幾つか論文があれば見つけていただくという程度でないと、ちょっと無理かなと思います。
○年金課長 あるいはミニジョブをめぐってどういう議論がされたとかでしたら、もしたしたら既存の論文とか報告が日本語等々であれば、少し御報告ができるかどうか検討させていただければと思います。
○神野部会長 よろしいですか。
○出口委員 はい。
○神野部会長 それでは、諸星委員、どうぞ。
○諸星委員 ありがとうございます。
まずは8回にわたり構成員の皆様には議論を尽くしていただいたこと、また、今回、さまざまな場面で参考となるデータをおまとめいただきまして、感謝をお伝えしたいと思っております。
率直な感想を申し上げます。この取りまとめの中に50歳代の方が被用者保険への加入を回避した行動に出ていたとか、あるいは働き手の希望を優先したなどということがございましたが、これは実際の現場で見聞する実態を含めて、さまざまな意見もしっかりとこの報告の中に入っているなと思いました。
方向性については、それぞれ細かな部分での意見はたくさんあるのですけれども、本日は時間の関係もありますので、3点に絞って意見を述べさせていただきたいと思います。
1点目は、財政検証や今回の取りまとめ結果から見れば、適用拡大はさらに進むともちろん考えますけれども、今まではどちらかというと企業規模が比較的大きいため、対象者への十分な説明等が事前に非常にできていたということもあって理解が進んでいた、順調に適用が進んでいたと私は感じております。
これが企業規模の引き下げを行う場面では、先ほど最初からすべて撤廃しろという御意見もあったようなのですが、従来の適用方法から見ていくと501人からまず301人、そして、次に101人と規模を下げていって、ある程度の準備期間を設けていただくことはやはり必要ではないかと私は考えます。
その引き下げのスパンを3年とするのか、あるいは2025年の男性の65歳受給に合わせて2年間とするのかというのはこれから検討されるかと思いますが、少なくとも1年ごとという短い期間でその適用の規模を下げるとなると、現場ではかなり混乱が起きるのではないかということを感じております。
先ほど細田さんの意見書を拝見させていただいたのですが、現在、中小企業においては、ことしから始まった働き方改革の対応とか最低賃金の引き下げ、正直、悲鳴を上げているところでございます。先ほど出口委員からは中小企業のドイツではというお話があったのですが、実際に日本では95%を超える中小企業の方々が、現場で見るとかなり厳しい状況であることは事実であるので、こういった中小企業に配慮することは、私は絶対に必要と考えております。
その配慮が、28年の10月の適用拡大時に導入された助成金という形をとるのか、それも果たしてそれだけでいいのか。その際の助成金申請の詳細な結果とその効果をあわせて検証することもこの議論の中で必要ではないかと考えますので、できればそのようなデータも事務局からお示しいただければと思います。
2点目、事務負担についてです。この取りまとめにもその点を非常に細かく触れていましたが、基本的に週20時間以上の要件は雇用保険被保険者と同じになりますので、実務上の手続はそれほど難しくないと私は考えます。ただし、勤務期間要件については、短時間で働く人の中で繁忙期などさまざまな理由で勤務時間がかなりばらばらになる場合がありますので、余り短い期間要件で基準を決めてしまうと加入と脱退をその都度行うことになるので、実務上非常に難しいということがあります。
また、加入の対象となるのかを現場判断に任せることが多いので、タイムラグを生じやすくて、加入要件の適正な把握が必ずできるのかということで、かなり混乱をすることは現場サイドでは考えられます。そのため、一定の期間要件を私は残すべきだと考えております。
3点目、学生に関してです。学生は従来から労働集約型の事業で貴重な戦力でありますけれども、学生は事業所の定着に必ずしもつながっているわけではありません。今やSNSなどを多用して、それこそ複数で短時間働くなどの流動性もある実態が非常に多くて、仮に適用対象として拡大した場合に保険料負担を伴う事業所側の抵抗は心理的にかなり大きいものとなり、適用拡大に対するマイナスイメージだけが先行することを危惧しております。今回の報告書を拝見して私はそのように考えました。
以上です。ありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
データ等々、対応できるところは。
どうぞ。
○年金課長 さまざまな御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
これはむしろ御相談に近い感じになるのかもしれませんけれども、御指摘いただいていたのはキャリアアップ助成金というように受けとめましたが、年金部会の射程として、先ほどおっしゃっていたような企業に対するいろいろな支援とか、中小企業支援という枠組みもあるのかと存じますけれども、部会としてどこまで踏み込むのか。
他方で、もちろん当局としては部会でもいただいた御意見も踏まえながら、関係部局ですとか関係部局横断的な議論といいますか、政府全体としての議論は別途要るのだろうと受けとめつつ、年金部会の場でどこまでやるのかというのは一考の余地があるのではないかと。
大変恐縮ながら、今後も年金部会はいろいろテーマを設定して改革に向けて御議論をしていっていただかなければならない中で、かつ先生方の時間的制約ももちろんある中でございますので、そこは少し御考慮いただいてもいいのかなという気がいたします。
○神野部会長 ありがとうございます。
ほか、いかがですか。
どうぞ。
○高木委員 適用拡大が実現されたときの企業側の負担ということですが、以前の部会のときにも申し上げているのですけれども、この年金制度が企業ではなくて労働者の経済生活の安心・安全のためにあるということを考えると、そこを重視して力強く推進させる必要があると考えています。
しかし、企業側の保険料負担を考えますと、企業側、特に中小規模の企業が適用拡大へとうまくソフトランディングあるいはテークオフするためには何らかの補助する仕組みが必要で、かつてキャリアアップ助成金ですか、そういった名称の制度があったのかもしれませんけれども、これに類する補助金制度が今回も必須なのではないかと私自身は考えております。
それとともに、先ほどドイツの例ということがあったのですけれども、企業側の負担が重くなっても、しかし、国全体で経済成長を遂げているというお話だったのですが、社会保障という観点からではなくて、この点について労働市場という観点から少し私が知っている知見をお話ししたいのです。
ドイツにおける事業主側の保険料の負担についてですが、先ほど出たミニジョブというのは賃金の平均月額が450ユーロ以下で、それとともにミディジョブという850ユーロ以下という労働があるのですけれども、そういう形をとると保険料の支払いが免除もしくは軽減されることがあったわけなのです。企業側はそれをもって何をするかというと、実際に正規で雇い入れるということになってしまうと保険料の負担が襲いかかってくる。だから、ミニジョブとかミディジョブを多用して、そうやって特に若者を中心に、中高年もいるのですけれども、安い労働力として使い回すということを実際にしてきたわけなのです。つまり、保険料支払いを逃れるためにミニジョブとかミディジョブを利用してきたということがあったわけです。
今、ドイツの労働市場がどういうことに直面しているかというと、若年期にきちんとしたキャリアを形成してこなかった人は、中高年層あるいはそれ以上になっても高いパフォーマンスを上げられるような専門性を持った労働者にはならないわけです。今、直面している重篤な問題というのが、あらゆる産業、あらゆる業種で専門的な技能、知識を持った労働者が非常に少なくなっている。だから、そういった人々の取り合いをしているという状況になっています。
そこに登場するのが高年齢層なのですけれども、昔、きちんとした教育を受けてある程度知識、技能を蓄えることができた高年齢層が、引退せずにそういった形の専門性を産業界で使いたいから残ってくださいということで、ドイツの高年齢層の就業率が高まっている事実があります。
高年齢者の雇用問題を考えたら、それはうまくそこに当てはまったということになるかもしれませんけれども、これからの将来を担っていく若年層、中堅層の人材としての質がその部分で失われてしまうことがあったという事実がありましたので、これは額面どおり、例えば政府が出したレポートをそのまま翻訳してそのまま表面的に受け取るのではなくて、もっと細やかに分析して調査する必要があるのではないかと思います。その知見がこの部会にも役立つのではないかと考えています。
さらに申し上げたいのは、多様な働き方が拡大する中で、将来に適合する年金制度をつくり上げることが大きな目的かと思うのですけれども、さまざまな種類の労働者や人々がその対象に入ってくるかもしれませんけれども、大きくは短時間で働いている、あるいは正規ではない働き方をしている人々ということで、女性や高年齢者が比率として大きくなるのだろうと思うのです。一つ思いますのは、例えば短時間、正規ではない形で働いている子育ての時期にある女性、あるいは定年を迎えた後の高年齢者が適用拡大の対象として検討されているということになるかもしれませんけれども、女性に関して言うならば、40代、50代で正規ではない短時間の働き方になってしまうことが多いわけです
この方たちの適用拡大を考えようということもあるのですが、それよりも一歩手前のことを考えてみると、出産、育児を迎えた女性たちも当然短時間という形で緩やかなフレキシブルな働き方に転じなければならないという時期があるのですが、ここで正規ではなくなる必要が本来的にあるのかと思うのです。非正規ではなくて正社員としてちゃんととどまりつつ、その時期を短時間という形で残ることができれば、当然正規として残っているわけですから、厚生年金の対象者として残っていくということになります。つまり、短時間、非正規になってしまった人々の前提のところを、もう少し見ていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
また、適用拡大によって2号になるということを避けるがために就業抑制をしてしまう女性の方たちということがあるわけなのですけれども、短期的な目の前にある負担のことではなくて長期的に自分の人生を見据えるということ、これをきちんとお話ししていく必要があるのではないかと考えています。
もう一点だけ、在職老齢年金のことですけれども、最初の資料でありました就業意欲を阻害しないように在職老齢年金制度の改変が必要だというお話なのですが、先ほど、どちらかの委員からもお話がありましたけれども、働く側の就業意欲が高かったとしても、受け入れる企業側の問題が、より日本では根深いわけなのです。御本人様の就業意欲を阻害しないということよりも、就業意欲はあるけれども、高年齢期で働く職場、会社というものがあるのかということで、むしろ日本に限って言うならば企業側の雇用のマネジメント、人事管理のマネジメントのほうがより大きい問題であると考えています。就業意欲を阻害しないための制度というよりは、企業側の雇用を妨げないための、雇用を継続させるためのマネジメントづくり、このほうがよほど日本の場合は重要なのではないかと考えています。
以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ドイツに限らず制度とか、その他で。
どうぞ。
○大臣官房審議官 お話のあった、いわゆる短時間正社員の仕組みに関してだけ少し補足しますけれども、制度的には短時間正社員というのは厚生労働省としても普及を図ろうとしています。ただ、活用が広くされているわけではないと聞いていますが、最近はかなり就業継続される女性の方もふえてきましたので、活用はかなり広がっているのかなという感じはいたします。
年金制度上どういう扱いになるかということだけ補足しておきますと、まず正社員としての身分をずっと有しておりますので、厚生年金の適用は時間が短くなったからといって外れることはありません。その上で、子育てのために勤務時間を短縮している場合についてご説明すると、これは2004年の改正のときにそういう手当てをしたのですが、通常、労働時間が短くなりますと給与が下がりますが、その点に関しましては下がった分を下がらない、いわゆる短時間に移行する以前の給与と同等と評価をして制度的には保障するという仕組みになっております。短時間正社員に関しては、通常の短時間労働者の方よりも制度上手厚い保護を受けられる仕組みとしてやっているということです。
2004年にそのような、世の中の動きを先取りした改正をやり、ご説明したような仕組みになっているということだけ補足をさせていただきます。
○神野部会長 どうぞ。
○高木委員 ですから、まさに制度があったとしても、企業がそれをきちんと運用して活用するのかということなのですね。そこで何となく遠回りにお引き取り願うような形をとる企業が多いからこそ、その時期の女性が非正規という形になってしまう。これも企業側のマネジメントの問題かと思っています。
○神野部会長 どうぞ。
○年金課長 今の御議論に関しまして、角度が違うデータで恐縮ではございますけれども、第2号被保険者のままでないとすると通常は第1号被保険者か、きょうも少し視野に入っておりますけれども、第3号被保険者かどちらかになるかと思いますけれども、菊池委員が部会長をされています年金数理部会で去る3月28日に29年度の公的年金の状況報告というものをまとめていただいていまして、そこの中の第3号のデータの取りまとめを御紹介申し上げます。
女性に関しまして、39歳以下の被保険者が著しく減っているというおまとめをいただいております。口頭で恐縮ですけれども、実数ベースで見ますと、平成19年度末で35歳から40歳の5歳階級の枠組みで第3号被保険者の方が約195万人いらっしゃいました。それが10年後の直近の29年度末の同データですと、もちろんコホートの問題もあると思うのですけれども、130万人と実数ベースで下がっておりまして、これは単純に割り算いたしますと約3割減という形になっています。
一つの仮説ですけれども、現在の30代ぐらいになりますと女性の継続雇用が進んできておりますので、今の御議論であるような意味での継続した第2号被保険者、育児とか家庭的責任で一時期離れていても継続してという方もそれなりにいらっしゃるのだろうと、3号の裏側からの見方ですけれども、そういう傾向が少し見られることを御報告申し上げます。
○神野部会長 ありがとうございます。
国際比較はそもそも難しいので、前提にしている制度が大きく違ったりしますので、学ぶべきところを見つけ出すのは非常に難しいのですが、タイムプレッシャーを考えながら、もしもこの場で参考になるようなことがあれば、ドイツに限らず見つけていただければと思います。
ほか、いかがでしょうか。
平川さん、どうぞ。
○平川委員 ありがとうございます。
適用拡大の関係について、改めて私どもから意見を言わせていただきます。働く者全てがこの被用者保険に入っていくというのは当然のことでありまして、ただ、今回はその辺が懇談会という性格なので両論併記のようになってしまっていますけれども、基本は適用拡大をしっかりとやっていくのは当然の話であります。
その実施方法も、人口減少が進み、労働力人口が徐々に厳しくなっていく中で、時間をかけてというよりも、日本社会が将来どうなっていくかを考えたときに、やれるべときは直ちにやっていくという方向で進めていかなければなりません。
特に働く者個人にとってみても、適用拡大が早目に適用がされるということは、将来の年金額にも大きな影響を与えますので、本当に待ったなしだということは言わせていただきたいと考えています。
そういった意味で、参考資料1で政府方針が書いてありますけれども、当初は適用拡大について、企業への影響等を勘案しつつということも入っていたわけでありますが、最近では多様な就労・社会参加を促進ということで、勤労者が幅広く被用者保険でカバーされる勤労者皆保険制度、勤労者皆保険制度の意味合いが被用者保険のさらなる拡大となっていますけれども、そういった意味で政府としても緊急性が広く認識されてきているということがあるかと思います。ある意味、適用拡大はまさに社会の要請でありますので、待ったなしだということは改めて言わせていただきたいと思っているところであります。
また、今後の議論の関係でありますけれども、資料1のほうへ行きますと、次期年金制度改正に向けた今後の議論というものがあります。その中で被用者保険の適用拡大、繰り下げ制度の柔軟化や在職老齢年金の見直しなどを柱に、そして、業務改善ということが書いてあります。
一方で、財政検証の結果のほうで、オプション試算で保険料の拠出期間の延長というものが入っているところであります。財政検証の意味を考えると、所得代替率50%を維持できるかということの検証でありますが、それだけではなくて足元の年金の給付水準をどうやって維持していくのか、特に基礎年金の給付水準の低下をどうやって押しとどめていくかという選択肢の一つとして、この保険料の拠出期間の延長というのがオプション試算の中で示されていたと思いますが、それは今後の議論の中で明記されていないのはなぜなのかなと思いました。基礎年金の拠出期間の延長は、基礎年金水準の低下を弱めるということからしても効果があるということが試算では出されておりますので、その辺、しっかりと対応していくべきだと思います。
その際、保険料の拠出期間の延長の前提として考えなければならないのは、現行の基礎年金勘定に対しての各保険者から共通のルールで拠出金を出していくということは、その意義は建議をしていくべきだと考えているところであります。
1986年に基礎年金の制度ができたわけでありますけれども、そのときもさまざまな議論があり、厚生年金、共済、国民年金、それぞれの保険から平等に基礎年金を支えていくのだという制度の考え方が明記をされておりますので、その辺の議論経過も踏まえた上で考えていくべき課題であるということについても意見として言わせていただきたいと考えているところであります。
在職老齢年金の関係であります。これについては以前言いましたけれども、65歳以降の就労抑制効果は明確なエビデンスはないということがこの間ずっと議論されております。
また、年金財政についても、この在職老齢年金制度の廃止によって厚生年金の財政にも影響が出るという検証結果も出ておりますので、この辺は慎重に考えていくべきものだということについても改めて意見として言わせていただきたいと考えているところであります。
以上、意見と保険料拠出期間の延長の問題について今後どういう議論をしていくのかということは、これは質問です。
○神野部会長 これは説明していただければと思いますが、書いてある。
○年金課長 拠出期間の延長のほうでございますか。
○神野部会長 はい。柱の中に入っていると思うのですが、説明していただけますか。
○年金課長 言葉足らずであったかと思います。申しわけございません。
拠出期間の延長実施は全く議論しないとまでは申し上げたつもりはございません。オプションは一定の制度改正を仮定した場合に財政影響をどうするかということをお示しして、議論の参考に資していただくということでございまして、もちろんオプションが必ず次の制度改正の射程に入っているというわけでもございませんけれども、他方で、去年の年金部会の際にもそういった御議論はずっと継続させていただいているわけでございますので、議論しないというつもりではございませんでした。
ただ、先ほど来、お話が出てございますように、次期制度改革、来年ということを仮に考えますと、部会長もおっしゃっていただいたようなタイムプレッシャー、あるいは従前からの年金部会でも御報告していますように、財源の問題等々、さまざまございます。あるいは、平川委員自身がおっしゃいましたように喫緊の課題である適用拡大とか、そういったいろいろなもののプライオリティーを考えたときに、事務当局としては、1ページにお示ししたようなものがまずはプライマリーにというか、主要な御議論の対象となるべきものではないかということで御提案申し上げたと御理解いただければと存じます。
○神野部会長 また御議論を頂戴できればと。
権丈委員、どうぞ。
○権丈委員 これから今後の年金制度改正について議論していくというところで、その資料としてオプション試算しか出ていないということを私は非常に高く評価しております。オプション試算を議論していくことが極めて重要になるということで。
まず初めに平川委員がおっしゃっていた被保険者期間の延長のところを少し加えさせていただきますと、基礎年金を上げていく方法として、年金局は適用拡大と被保険者期間の延長を提案されてきたわけですね。ほかの技術的な方法としては、保険料の引き上げとか、いろいろなものがあるけれども、それはなしにして、被保険者期間の延長と適用拡大があるということがこれまでの流れだと思うのですが、しっかりと両方を言い続けていかないことには変なものが出てくるよというのがある。
この王道を、ちゃんと適用される人たちがふえていく形で基礎年金の給付を上げていきましょう、そして、しっかりと被保険者期間を40年から45年にする形で基礎年金の給付水準を上げていきましょうということを言い続けて実現していかないと、変なものが登場してきて、この2つの大きな目標、被保険者期間を延ばすということとか、そこに対する国庫負担をどう調達していくかという真剣な議論とかはなおざりのまま、あるいは適用拡大を進めないままに基礎年金だけが上がってしまうというへんてこりんな事態になっていったりするおそれがあるので、ちゃんとした王道としての適用拡大と被保険者期間の延長の話はしていただきたいと思っております。
昨年の年金部会で日商の山本委員が、前回の適用拡大によって就労時間がふえたという結果について、自助努力で仕事をしていくことによって収入を得ていく道が強化されたと理解したと。前回の適用拡大が人々の労働意欲をむしろ前向きに引き出すことができた一つの成果であったのではないかとおっしゃっていました。中小企業の代表である日商の方がこういう評価をされたというのは非常に意味のあることで、それを前向きに捉えていこうということですので、私たちは彼らが受けとめていく中で、しっかりと協力はしていきたいと思います。
協力していく中で経過措置は重要なもので、前回の適用拡大からしっかりと経過措置はとられているわけです。501人以上というものがこの経過措置だったわけですけれども、いずれ適用拡大がされていくけれども、しっかりと準備しておいてくださいねということは、もう前から始まっていると思うのです。次の適用拡大が進んでいくというのも、恐らく来年、再来年に全員という形にはならないと思うのですが、ぜひとも次回の財政検証の前のところまでの経過措置を考えながら、適用拡大というのは規模要件を撤廃するところまで準備していくぐらいの協力は必要だと思っております。
一方、長年年金にかかわっておりますといろいろなところから情報が入ってくるのですけれども、軽減税率で評判が悪いというところで今回はこちらのほうに味方になろうかという政治の動きが出てきたり、あるいは官邸の会議では仕切っている人たちが100人超でいくぞという動きが出てきているというようなものが入ってくるのですけれども、100人超で言うと大体40万人台ですか。この前と同じぐらいになってしまう。規模の要件のところで経過措置をとるにしても100人超ではなく、せめて50人超ぐらいでという話が出てきたりもしているという話もあるわけなのですけれども、それで125万人の半分ぐらい。
だから、それはちょっと困るなというのがありますので、暫定措置は極めて重要ではあるのですけれども、ぜひともこれだけ長い時間をかけて、これだけの資料をつくって、懇談会まで開いて方向性を出していこうとされている厚生労働省の方々には、完全な撤廃を次期財政検証の前年ぐらいまでには何とかして達成するという旗は、絶対におろさないでいただきたいと思っております。
マクロ的にいろいろ考えていくと適用拡大が成長戦略になるというような話は、最低賃金のほうでデービッド・アトキンソンさんなどが展開されている論とほとんど同じロジックになっていきますので、経過措置があればしっかりと対応できていくのではないかと思っております。
きょうの会議でどうなるという話ではないのですけれども、私は反対される方々に2~3カ月後にもう一回聞きたい質問があるのですけれども、被用者でありながら厚生年金に入ることができない人たちは、どうしても防貧機能である年金の防貧機能が弱くなるので、将来的には生活保護の受給者になる可能性が高まってくる。その将来的な生活保護の受給者の財源は誰が賄うのかというと、将来の人たちの税金で賄われることになるのですけれども、それは将来の人たちの税金で、生産性が低いから今は適用拡大することはできませんという人経営者たちの企業を守る正当性は一体どこにあるのかがよくわからないので、数カ月後にはぜひ組織の中で、適用拡大に反対する正当性を議論し尽くして、そこで真っ正面から議論することができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○神野部会長 先に小野委員、どうぞ。
○小野委員 ありがとうございます。
私も平川委員と同じで、資料1の1ページを拝見しますと、上から下に行くにつれてオプションBのマル1がだんだんフェードアウトしていく印象を受けたものですから、それに絡めまして、60歳以降の期間について、非適用事業所とも関連させながら、一つの例として小規模企業共済というものを挙げさせていただきたいと思います。
御承知のとおり、この制度は主に小規模企業の事業主が加入する経済産業省といいますか、中小企業庁所管の制度でありまして、掛け金月額7万円を上限に税制優遇があります。一般に社長の退職金と言われるこの制度の加入者数は、現在140万人ぐらいですが、そのうち4割を優に超える方が60歳以上です。この方々は結局のところ60歳以上ということで考えると、土台の国民年金にも拠出しないで、いわゆる3階部分に拠出するということになるばかりか、事業所における60歳以上の使用人というのは、1階や2階はおろか、国民年金基金やiDeCoにさえ加入できない状況になる可能性がある。所得保障の体系から見れば、私は極めてちぐはぐだと思っております。
財政検証の資料にもありましたけれども、国民年金の拠出期間の延伸に伴う国庫負担というのは直ちに増加するわけではありませんので、非適用事業所への拡大とともに、確定拠出年金を含む拠出期間の延伸というのも諦めずに取り組んでいただきたいと思いました。
もう一つ申し上げますと、適用拡大の件なのですけれども、被用者保険の適用拡大につきましては、私は第4回の年金部会で発言させていただきまして、議事録や本日の参考資料にもおまとめいただいておりますので、繰り返しはいたしませんけれども、私は第3号被保険者制度の問題は年金分割によって一定の整理がついていると思っております。しかしながら、働いて収入を得る第3号被保険者の問題というのは労働問題でありまして、労働市場をゆがめるという懸念を持っておりまして、きょうの資料を拝見しますと、その懸念について現実味が高まってきていると受けとめています。
例えて言うならば、第3号被保険者が近くのスーパーで働き始めると、単身者やシングルマザーなどの自身で生計を立てざるを得ない方々の賃金水準とか労働条件に悪影響を与えるばかりか、近隣の商店街の経営にも悪影響を及ぼしかねないということになるのではないかという印象を持っています。きょうの資料の中で現実味を帯びた統計資料が出てきているのではないかと思います。
そういうことを考えますと、価値観を込めて申し上げるというのは控えたいとは思うのですけれども、これはもはや一定程度正義の問題なのだろうと思います。社会保険は世界第4位の質を誇ると言われております日本の労働市場への悪影響を排除するということ、これが喫緊の課題だと思っております。もしも支援措置をやるとすれば、これは事業主に対してということになるかもしれませんけれども、利益を補填するようなことをするのではなく、付加価値を拡大させるような施策に資するような方策を検討していただきたい。この部会の問題ではないのかもしれないのですけれども、そういう希望を持っておりまして、かつ当然ですが、時限的な措置として規定していただきたいという気持ちを持っております。
以上でございます。
○神野部会長 菊池委員、お待たせしました。
○菊池委員 私は前回の部会を欠席いたしましたが、この財政検証の考え方については、私ごとで恐縮ですが「週刊社会保障」という業界誌の最新号に書いていまして、そこでは今回制度改革の試金石はオプションB-①、つまり基礎年金保険料の拠出期間の延長であろうと書いているので、その点は今までの各委員のご発言と重なる部分があるかなと思っております。
きょうの議題である被用者への適用拡大の方向性は異論のないところで、法的にも「適用事業所に使用される者」という概念で適用対象が画されている以上、理念的にはできるだけ多くの使用関係にある人が対象とされるべきであるというのは当然であろうと思います。
ただ、この適用拡大を極限まで推し進めるということになると、それは公的年金の基本的な枠組み自体をどう考えるかというところにも行き着いてしまうということで、そこにはおのずと限界は設定せざるを得ないのかなと思うところでもあります。
やや細かい各要件の部分ですが、企業規模要件については、経過措置であるということは重要で、こうした法の建付けを軽視すべきではないと思います。ともすると、社会保障立法では経過措置の延長ということで、なし崩し的に行われることがあります。例えば障害者総合支援法の負担部分での経過措置をすぐ思い浮かべるところです。ですので、基本的にはこの企業規模要件は、法の本則どおりに撤廃すべきであると考えます。
適用対象となる短時間労働者の範囲について、労働時間要件は雇用保険も20時間以上とされている以上、社会保険としての統一的な基準という意味でも当面20時間以上が一つの基準としてあるかと思います。賃金要件は当面8万8000円を維持することが、せめて基礎年金分の保険料納付を求めるという観点からは合理性が認められます。
ただ、一方、健康保険に合わせて5.8万円まで下げるというやり方もあり得なくはないようにも思います。この場合は、被用者保険内部において納得が得られるかという問題と、国民年金第1号被保険者との公平性が問題になりますが、ここでは前者、すなわち被用者保険内部での納得、こちらがポイントになるのかなと思います。つまり被用者間での連帯の中身の問題にかかわるもので、被用者保険内部で基礎年金分の保険料を払っていないにもかかわらず2階建て年金を支払うということを相互に納得できるかどうかというところかと思います。
勤務期間要件は短期保険である雇用保険に合わせる必然性はなく、フルタイム労働者の基準、すなわち2カ月に統一することが考えられるのではないかと思います。
学生除外要件については、学生の働き方自体の多様化という傾向のもと、二十歳前後の若い学生のイメージでとらえることが難しくなっている面があるということがあります。他方で、長期間のインターンシップや就職内定後の内定先での就労など、最近はそういったものも存在する中で、一律に除外とすることについてはやや疑問のあるところであります。この点は少し実態を調査していただくといいのかもしれません。
健康保険の扱いとの関係ですが、私は被用者保険として一括して対応すべきだと思っています。先ほど御紹介があったように、本日、医療保険部会が開催され、私は部会長代理を拝命していますので、どちらに出るべきか大変悩みまして、あえてこちらに本日参加させていただいておりますので、御理解いただければ幸いでございます。
実は問題とされるべきは、健康保険の被扶養者の扱いをどうするかということが一つあるのかなと思っています。国民年金第3号被保険者制度を問題視するのであれば、とりわけ個人単位での負担と給付を重視するという点から見ますと、そろそろ被扶養者のあり方についても検討すべき時期に来ているのかもしれないと思います。ただ、これは医療保険マターの話です。
適用事業所の範囲については、私がこの年金部会委員を拝命して7~8年になりますか。恐らく年金部会で最近本格的に議論されてこなかったテーマであると思いますが、法人以外の非強制適用業種の扱いについて、戦後の産業構造や雇用形態を前提とした枠組みを改めてここで積極的に強制適用とする方向で検討すべきと思います。報告書を拝見すると、国保の財政を考えて被用者保険は適用するべきではないといった意見も書かれていましたが、これは本末転倒の議論であると思います。
複数事業所就業者に対する適用や雇用類似の働き方への対応については、先ほども少し議論に出ていましたが、諸外国の例を研究することが有益であるかもしれません。先ほど高木委員が少しおっしゃったと思うのですが、単に政府の報告書とか資料をさっと読んでまとめるのではなくて、深く時間をかけて掘り下げて研究をしたらどうかと。政策官僚の皆様は大変優秀でおられるのですが、若い研究者でそういった諸外国の法律や制度を研究している優秀な人たちがいっぱいいますので、ぜひそういった人たちに依頼して、厚労科研等を使って深く掘り下げた研究をしていただくといいのではないかと思います。
法学でも、労働法では少しこの辺の問題の研究が進みつつありますけれども、社会保障法ではまだこれからという段階です。なお、雇用類似の働き方に対する保護については、「適用事業所に使用される者」の範囲に労働法上の使用者も含まれ、代表取締役なども含まれますので、雇用関係のみにかかわらず、適用を広げていくという法解釈は可能だと思います。
ただし、順序としては、まずは労働法制の議論に一定の結論を得てから被用者保険の適用範囲についての検討をするのが筋かと思いますので、この辺は今回改正というよりは今後の課題ということで、その意味でも深く諸外国の法制を研究されるとよろしいのではないかと思います。
長くなりましたが、以上です。
○神野部会長 ありがとうございました。
ほか、いかがですか。
原委員、どうぞ。
○原委員 ありがとうございました。
私もこの働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会に参加させていただきまして、意見も幾つか入れていただきまして、ありがとうございます。皆様からの意見の繰り返しにもなるのですけれども、最初の部分の適用拡大については、企業規模要件というところは、さらなる拡大に向けて動いていくということが、被用者にふさわしい保障の確保という意味からも必要かと思います。
現実的な問題として、特に中小の事業主の負担も懇談会の中ではヒアリングの中で多数聞かれたのですけれども、同時に人手不足ということもおっしゃっていました。なので、個人的には、中小企業にとって事業主負担があるからといって全てが不利益に働くということではなくて、人手不足による人材の確保という面からも労働者の福利厚生の向上ということを考慮すれば、環境づくりという面では中小企業にとっても利点があるのではないかと思っております。こういったところは、もちろん急にというわけにはいかないでしょうから、段階的な実施ということで、支援についてはいろいろあるかと思いますが、何らかの支援が必要であれば支援という形で検討していくべきではないかと。ここは皆様からも同じような意見があったかと思います。
労働時間の要件については、これは20時間以上ということで雇用保険と同じになっていますので、まずはそこからということで、いいのではないかと思っております。
勤務期間要件については、菊池先生からもお話がありましたけれども、私も本則の2カ月というところ、これは懇談会の中でも言わせていただいたのですけれども、そこを基準にしてはどうかと思います。まとめのところにもあるのですけれども、当初の時点でなかなか1年以上の見込みかどうかというのがわからなくて、1年未満という契約でも結果的に1年以上になるようなこともありますので、最初の時点ではなかなかどうなるかがわからないということもあります。逆のこともあったりしますので、そういった意味では、本則の2カ月という基準に統一したらよいのではないかと思っております。
いろいろ細かいところは皆さんに言っていただいたのでよいのですが、健康保険との対応というところで、ここは医療保険部会のほうかもしれませんけれども、懇談会の中で厚生年金との制度の差異ということを言われた方が結構いらっしゃって、特に給付の面で、例えば傷病手当金とか出産手当金だけではないかと。その違いをメリットと捉え差があるとみるか、あまり差がないとみるか、それはどちらにも捉えられると思うのですが、個人的には、健康保険に入ることによって病気をしたりした時や出産時に所得の保障が得られるというのはメリットであると思っております。
あとは財政の問題などもいろいろあると思うのですが、実務手続が大変だとおっしゃる方もいたのですけれども、確かにそうですが、私はどちらかというと働き方に中立で公平な制度ということで、規模によってここは健康保険と厚生年金は分離させるのはちょっと考えにくいので、社会保険として一体的に適用していくことは必要ではないかと意見を言わせていただいたということがございます。
この議論に関してはとりあえずは企業規模要件というところをしっかりと進めていくということで、段階的に進めていくなどしながら、そういったところから進めていくのがさらなる適用拡大には必要になるのではないかと思っております。
以上です。ありがとうございました。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ほか、いかがでしょうか。
武田委員、どうぞ。
○武田委員 どうもありがとうございます。
まず、皆さんから出ているとおり私も適用拡大に賛成でございまして、方向性としては事業規模にかかわらず進めていくということではないかと考えております。その際の進め方や時間軸をどのように設定していくかが議論になるのではないかと思っています。
2点目として、懇談会における議論の取りまとめも大変参考になりました。どうもありがとうございます。懇談会資料の中で書かれている大きな考え方は、いずれも賛成でございます。少々各論にはなりますけれども、各論とはいえ大事なことだと私が思っているのは第3号被保険者制度のあり方でございます。まずは適用拡大を進めていき、実態として、先ほども御紹介がありましたとおり働き方も変わってきて、次の世代としては人数も減っていっていくと思います。時代の変化によって考え方を変えていかなければいけないものについては、制度としても将来像を議論していく段階に来ているのではないかと思います。
したがって、適用拡大を進めていくことについては、冒頭申し上げたとおり賛成でございますから、その先を見据えた議論も同時並行で、なされていくべきではないかと考えております。
3点目としては、枝の議論になるのですけれども、先ほど菊池委員がおっしゃった中で、非適用業種の制度がかなり昔に創設されたことを以前にこの場でも議論したことがあったかと思います。その点についても時代が大分進んでおりますので、今回もし可能であれば、タイムスケジュール等の関係はあろうかと思いますけれども、できれば議論の対象に考えて頂きたいと思います。
以上です。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ほか、いかがですか。よろしいですか。
事務局のほうから何か特にコメントをいただく点があれば頂戴しておきますが、今までお聞きになった上でいかがでしょうか。
○年金課長 非常に貴重な御意見を多々いただきました。議論の過程でもこの適用拡大の問題は、年金制度論としては年金部会で十分御議論いただいたという印象を持ちましたけれども、そこだけにとどまらない課題が多々ございますので、事務局としても貴重な御意見を踏まえながら、年金制度の枠にとどまらない部分につきましては、政府全体の議論の中で、今回いただいた議論を可能な限り反映させていく努力をさせていただくべきなのかなと受けとめさせていただいております。
○神野部会長 どうもありがとうございました。
ほか、いかかでしょうか。
ありがとうございました。熱心に御議論を頂戴したことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
いわばきょうスタートラインに立ったという感じなので、事務局から示していただいた今後の年金制度の改正についての議論の進め方について、およそのプランを立てていただいているのですが、本日でもここの方向について幾つか御議論を頂戴しております。ただ、全体の方向性としてはお認めいただいていると認識しておりますので、きょうの議論を考慮しながら、それを取り込みつつ今後の運営をしていきたいと思いますので、引き続き、以降、年金制度改正について御議論を頂戴するということにさせていただきたいと思っております。
問題解決的な対応をするにしてもビジョンを見失わないようにしないと方向性を間違えることがあるので、心しながら進めていきたいと思っております。
それでは、これで終了にしたいと思いますが、事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○総務課長 本日はさまざまな貴重な御意見をどうもありがとうございました。
幾つか宿題などもいただいたと受けとめておりますけれども、どのような形で対応できるかも含めて十分検討させていただきたいと思います。
次回の議題あるいは開催日程につきましては、改めて別途御連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上です。
○神野部会長 それでは、これにて第10回の年金部会を閉じさせていただきたいと思います。
御多忙の折を御参集くださいました上に、最後まで生産的な御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
 
 

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