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2018年12月13日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成30年12月13日(木)13:00~

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

出席委員(15名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、
  後 藤 雄 一、 小 西 郁 生、 正 田 良 介、  長 島 公 之、
  中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 蓜 島 由 二、  濱 口    功、
  福 山    哲、 村 上 輝 夫、 渡 邉 和 久
 (注)◎部会長 ○部会長代理
  他参考人2名
 

欠席委員(7名)五十音順

梅 津 光 生、 北 澤 京 子、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
田 島 優 子、 寺 崎 浩 子、 桃 井 保 子
 

行政機関出席者

森    和 彦 (大臣官房審議官)
中 井 清 人 (医療機器審査管理課長)
関 野 秀 人 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
木 下 勝 美 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
鈴 木 章 記 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
 

  

○議事

 

○医療機器審査管理課長 ただいまより薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催させていただきます。お忙しいところ、御出席いただきどうもありがとうございます。
現時点で医療機器・体外診断薬部会委員22名のうち、15名に御出席いただいておりますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
続きまして部会を開催する前に、薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。第11条においては、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないという規程がございます。今回、全ての委員の先生方より適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告申し上げます。先生方においては、毎度毎度のことではございますけれども、御負担をお掛けしておりますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○事務局 次に本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の議題については全て医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。お手元、右側に配布資料をお積みしています。一番上に議事次第、2番目に座席表があります。3番目に配布資料一覧です。配布資料一覧に沿って御説明いたします。その下に左側にひも留めで、資料1、資料2、資料3があります。その下に左上ホチキス留めで資料4、資料5、資料6があり、その下に参考資料があります。御確認をよろしくお願いします。またお手元の左側には、当日配布資料として、左上ホチキス留めの当日配布資料の冊子と、その上に直前になって新旧対照表の差し替えが発生しましたので、1枚紙で議題1のオンコパネルに関する新旧対照表を置かせていただいていますので、御確認をよろしくお願いします。不足などがありましたら、事務局までお知らせください。
それでは、当日配付資料を御用意ください。1ページより、競合・影響企業リストが4ページまであります。1ページには、OncoGuide NCCオンコパネル システムの競合品目・競合企業リストがあります。これについてですが、次世代シークエンサーを用いた固形がんの網羅的遺伝子解析によって、多遺伝子における変異検出を行う品目として、同様の効能・効果等を有する機器製品として資料に掲げる品目を、競合品目として選定しています。
2ページはFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルについてですが、先述したオンコパネルと同様の効能・効果を予定しており、同様の効能・効果等を有する製品として資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。
3ページのエキシマレーザTurboカテーテルですが、下肢動脈のステント内再狭窄又は再閉塞病変への経皮的血管内治療を予定効能・効果又は性能としています。同様の効能・効果等を有する製品はないことから、競合品目はなしとしています。
4ページに、Brainsway deep TMSシステムがあります。パルス磁場を用いて脳皮質の局所領域に電流を誘導し、ニューロンを刺激することによって成人のうつ病患者の治療を行うことを予定効能・効果としています。同様の効能・効果等を有する製品として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しています。以上、御確認をよろしくお願いいたします。
また本日の審議事項に関する競合企業として、今、御覧いただいた資料1に掲げた企業に対して、委員の皆様から寄附金・契約金等の収受状況について伺いましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、第13条の議決不参加の基準に基づき議決に参加できない委員は、議題1、2及び4について小西委員となっています。この際に御退室いただく必要はありません。また、審議参加規程第5条の申請資料作成関与者の取扱いに基づき、議題3について一色委員には御退室いただくことになっています。この際、一色委員には別室にて御待機いただきたいと思っています。以上をもって、御報告とさせていただきます。以降の進行については、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。ただいまの事務局からの説明について、何か御質問はございますか。よろしいですか。よろしければ、これから議題に入らせていただきます。
それでは議題1、医療機器「OncoGuide NCCオンコパネル システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてを始めさせていただきます。
本審議に当たりまして参考人として、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部医長であられる坂東英明先生にお越しいただいています。先生、よろしくお願いいたします。それでは事務局より、説明をお願いいたします。
○事務局 資料1を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器OncoGuide NCCオンコパネル システムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。
審議品目及び審査の概要については、総合機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず当日配布資料2-1専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、御覧の2名の専門委員の御意見を頂きました。また、当日配布資料として1枚紙でお配りしています新旧対照表を御覧ください。事前に配布しました審査報告書に修正がありますので、こちらにお示ししています。直前の修正となったことをおわび申し上げます。
本品及び議題2で御審議いただくFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルについては、いずれも本邦で初めて承認申請された遺伝子パネル検査であることから、本邦のがんゲノム医療における遺伝子パネル検査の位置付けを踏まえ、審査の考え方を御説明したく思っています。こちらの説明に当たり、説明時間が少し長くなることについて御了解いただけますようお願い申し上げます。
はじめに、本品の概要について御説明いたします。資料1の審査報告書6ページ上段の「審議品目の概要」を御覧ください。本品は、テンプレートDNA調製試薬と解析プログラムより構成されるコンビネーション医療機器です。別途イルミナ社から届け出られた、DNAシークエンサー(Nextseq 550Dx システム)と組み合わせ、固形がん患者から得られた114のがん関連遺伝子の包括的なゲノムプロファイルに基づき、治療方針の策定の補助に資する遺伝子変異の情報を取得するために使用されます。
以降、本品とDNAシークエンサーをまとめて、本システムと呼ばせていただきます。まず、本システムの検査全体の流れを説明いたします。6ページ中段の図1を御覧ください。本システムでは、腫瘍組織に特異的な変異を検出するために、一人の患者から腫瘍組織検体と、腫瘍以外の組織に由来する検体として血液検体が採取されます。腫瘍組織検体と血液検体から抽出されたDNAは断片化され、この中から解析対象となる遺伝子領域を含むDNAが、テンプレートDNA調製試薬により選択的に濃縮された後、DNAシークエンサーにより塩基配列が決定されます。
次に、腫瘍組織と非腫瘍組織に由来するDNAの塩基配列の解析結果を入力情報として、解析プログラムにより腫瘍組織と非腫瘍組織の塩基配列の差異が検出されます。検出された塩基配列の差異は規定された要件を満たした場合、遺伝子変異として検出されます。検出された遺伝子変異は、更に解析プログラムによりCOSMIC、EPDB等のデータベースに照合することにより、臨床的意義に関連した情報が付与された後、付与された情報に基づきレポートに提示するべき変異が選択され、結果がレポートに出力されます。
次に7ページ上段、「開発の経緯」を御覧ください。本システムは国立がん研究センターにおいて、臨床研究を目的として使用されていた遺伝子パネル検査システムを基に開発されました。なお本システムは平成29年2月28日付けで、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されています。
次に性能に関する評価について、御説明します。8ページ上段(3)性能に関する資料の提出された資料の概要を御覧ください。本品の性能に関する資料として、解析対象遺伝子の選択、シークエンス解析、分析性能に関する試験成績書が提出されました。8ページ中段、2)シークエンス解析を御覧ください。DNAシークエンサーにより得られた塩基配列の解析結果は解析プログラムに入力され、変異検出、臨床的意義に関する情報等の付与、品質評価、データ出力の各機能による処理が行われ、サマリーレポート、シークエンシングレポート等が出力されます。これらの一連の流れに対する、解析手順、判定基準等の妥当性が説明されました。
続きまして、10ページ中段、3)分析性能を御覧ください。分析性能については、真度、精度、特異性、最小検出感度等に関する評価が実施され、10ページから13ページにお示しする結果が提示されました。
以上の提出資料に基づき、本品の審査の概要について御説明します。14ページ中段、「総合機構における審査の概要」の1)審査方針についてを御覧ください。冒頭で御説明しましたとおり、本システムは本邦において初めて承認申請された遺伝子パネル検査であることから、本邦において想定されるがんゲノム医療の実施体制を踏まえ、遺伝子パネル検査を用いたがんゲノムプロファイリング検査について、審査方針を検討しました。
はじめに、マル1がんゲノム医療における遺伝子パネル検査の位置付けについて、を説明いたします。最新のがんゲノム医療を、国民に提供する仕組みを構築するために必要な機能や役割などについては「がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会」、以降、説明では「懇談会」と呼ばせていただきますが、この懇談会において検討されています。
懇談会の報告書では、がんゲノム医療の実施に当たり、既承認の分子標的薬の選択に必要な遺伝子変異情報だけではなく、広く治療に係る医学的判断に資するゲノム情報を医療現場に提供する必要があることが述べられています。その上で、遺伝子パネル検査を早期に薬事承認し、一定の要件を満たす医療機関において費用対効果を踏まえつつ、保険診療として実施することを目指すべきことなどが述べられています。
また、日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会、日本癌学会合同で策定された「次世代シークエンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」、以降、このガイダンスのことを「3学会ガイダンス」と呼ばせていただきますが、この3学会ガイダンスにおいて、遺伝子パネル検査の目的、対象患者、検査時期、遺伝子パネル検査を行う医療機関等が述べられています。
続きまして15ページの中段、マル2遺伝子パネル検査の利活用に際して必要とされる体制についてを御覧ください。懇談会報告書では、がんゲノム医療の提供に当たり新たに必要な機能として、がんゲノム医療中核拠点病院の指定、がんゲノム情報管理センター、以降、がんゲノム情報管理センターのことを「C-CAT」と呼ばせていただきますが、このC-CATの設置等が挙げられています。がんゲノム医療中核拠点病院は、がんゲノム医療中核拠点病院等の整備に関する指針において、本邦におけるがんゲノム医療を牽引する高度な機能を有する医療機関とされており、平成30年4月1日付けで11医療機関が指定されています。がんゲノム医療中核拠点病院は、がんゲノム医療を提供する上で、パネル検査の実施体制があること、遺伝性腫瘍等の患者に対して、専門的な遺伝カウンセリングが実施可能であること等が求められています。
また、遺伝子パネル検査結果を医学的に解釈し、個々の患者に適した医療を検討するために、がん薬物療法等に必要なバイオインフォマティクスに関する専門家や、遺伝カウンセリング技術を有する専門家集団による検討会を、月1回以上開催することが求められています。この検討会のことを、以降では「エキスパートパネル」と呼ばせていただきます。
本邦へのパネル検査の導入後に得られたゲノム情報については、臨床情報と関連する臨床試験情報とをひも付けて登録するために、「がんゲノム知識データベース」に集積することとされ、その構築と管理を担う機関として、平成30年6月にC-CATが設置されています。本邦において、今後、構築される「がんゲノム知識データベース」は日本人集団のゲノム情報に基づき、より個人の状態に合った治療法を選択することを可能にするとともに、新たな医薬品の開発において、利活用されることが想定されています。
16ページ中段の、マル3包括的ゲノムプロファイリング検査についてを御覧ください。以上のとおり、遺伝子パネル検査は患者の腫瘍組織より包括的にがん関連遺伝子の変異情報等を取得するための検査、すなわち包括的ゲノムプロファイリング検査、以降「CGP」と言いますが、CGP検査に使用されることが想定されています。
遺伝子パネルを用いた一連の検査では、エキスパートパネルは遺伝子解析システムから出力された検査レポートの記載内容を確認し、報告された変異について治療法と変異に関する臨床的エビデンスの調査及び検討、利用可能な治療法の有無について確認を行い、最適と考えられる治療方針を策定します。検討結果を踏まえ、検査レポートに必要な修正や追記がなされたものが、エキスパートパネルによるレポートとして発行され、その後、担当医師から患者への検査結果の説明に用いることが想定されています。
次に16ページ下段の、マル4本品の審査方針についてを御覧ください。以上を踏まえ、懇談会からは最新のがんゲノム医療を国民に提供する仕組みとして、品質及び性能が確保された遺伝子パネル検査を薬事承認し、早期に導入すること及びCGP検査に基づき選択される治療として、治験を含めた臨床試験や先進医療等の保険外併用療法等の適切な制度に基づき、治療を提供することが提言されていること、また現時点において、遺伝子パネル検査の臨床的有用性が十分に期待できると考えられ、更にC-CAT等での今後の情報の集積により、その有用性が確立され得る検査の実施体制が進められていること、検査の臨床的意義や位置付けについても、明確な指針が存在することから、総合機構は現時点においてCGP検査を目的とする遺伝子変異解析システムを承認し、本邦の医療現場に提供することは可能と考えました。
本審査においては、エキスパートパネルによる治療方針の策定に資する情報を、適切に提供可能であるかという観点から、エキスパートパネルが医学的解釈や治療方針の検討を行う上で、重要と考えられる解析対象遺伝子の妥当性、解析対象変異に対する検出性能の妥当性、結果レポート作成工程及び結果レポートの提示内容の妥当性の3点を中心に審査を行うこととしました。
まず、使用目的の妥当性について検討しました。17ページの、一番下の段落を御覧ください。CGP検査の主な対象は、3学会ガイダンスにおいて標準的治療が存在しない固形がん患者、標準的治療後に病態が進行した患者とされており、また、がんの特性に応じたCGP検査の活用対象として、小児がん、希少がん及び原発不明がん等が挙げられています。以上を踏まえると、CGP検査の対象疾患を特定するのではなく、広く固形がん患者を対象とすることが妥当と判断し、使用目的は審査報告書の18ページ中段に記載の使用目的とすることが、妥当であると判断しました。
一方で、それぞれのがん種でのCGP検査での位置付けや検査の実施時期については、今後の知見の蓄積に伴い変わり得ることを踏まえ、適用対象については3学会ガイダンス等を参照する旨を別途規定することが必要であることから、審査報告書の18ページの中段に記載の承認条件を付すことが適切と判断しました。
続いて、審査上の1点目の論点である解析対象遺伝子の妥当性についての審査を御説明します。19ページ上段、3)解析対象遺伝子の妥当性を御覧ください。本システムの解析対象としている114遺伝子を、3学会ガイタンスのエビデンス分類に基づき分類したところ、エキスパートパネルにおいて治療選択肢等の結果返却の議論が可能となる、エビデンスレベル3A以上の変異が報告されている遺伝子が、50以上含まれていました。CGP検査が、主に薬物療法の対象となる患者を特定することを目的として使用されることを踏まえると、解析対象遺伝子として3学会ガイダンスのエビデンスレベル3A以上に該当する遺伝子が十分に含まれていることが重要となります。本システムにおける3A以上に該当する遺伝子数は、現時点の医学的知見に基づき、適切に網羅されていると考えられ必要十分であると考えました。
審査上の2点目の論点である解析対象変異に対する検出性能の妥当性については、20ページから23ページに記載のとおりの、提出された資料に基づき特段の問題はないと考えます。
次に3点目の論点についての説明に移ります。23ページ中段、5)結果レポート作成工程及び結果レポートの提示内容の妥当性を御覧ください。レポート出力までの解析工程は、事前に設定された変異の検出基準、データの品質評価基準、レポートへの出力基準に基づき適切に管理され、今後もその体制が維持できる手順等が適切に設定されていると判断しました。また本システムで参照するデータベースには、24ページの表6に記載の五つのデータベースがあり、このうちEPDB、既知変異データベース、偽陽性変異データベースは自社のデータベースであり、これら以外は外部のデータベースを参照します。
参照する外部データベースは、いずれも広く公開され透明性が確保されていること、国内外のがんゲノム医療従事者、研究者の間で主要なツールとして既に汎用されていること等を踏まえると、臨床的に公知・公的なデータベースと位置付けることは可能であり、本品の承認審査に当たり、個々の登録データの妥当性評価は不要と判断しました。
自社データベースについては、公表文献において複数例の報告があり、変異の意義が次世代シークエンサー以外のシステムを用いた解析結果として報告されていることを指標として、114遺伝子における代表的な変異等を国立がん研究センター研究所にて、一定の基準により抽出、リスト化したデータベースであること等から、これらのデータベースを参照することにより、変異の解釈にバイアスが生じることはないと考えます。本システムの参照する外部データベースは、今後の科学的知見と臨床的知見の蓄積に伴い更新されると考えられ、自社データベースについても一年ごとの更新が予定されていますが、外部データベースは公知・公的なデータベースであり、公知・公的なデータベースに基づく臨床的意義の解釈は、本審査において評価された基準と手順に従って実施されること、自社データベースについても、国内外の承認情報や公表文献に基づき、本審査で評価された手順に従い更新されることから、解析工程が適切に管理されていることを前提として、本システムにより提示される変異情報の品質は、確保されると考えられます。そのため、製造販売後にその変更内容を逐次確認する必要はないと判断しました。
最後に本品の使用成績評価の要否について、説明いたします。審査報告書の26ページ中段を御覧ください。総合機構は先進医療において、一定の国内の使用実績があること、分析性能とレポートの出力までの解析処理の妥当性に基づき性能を評価しており、市販後に検査対象集団により有効性と安全性が変わるものではないこと、C-CATを中心に遺伝子パネル検査に基づく臨床ゲノム情報の集積、評価が予定されており、申請者とC-CATが適切に連携、協力する必要はあるものの、これとは別に使用成績調査を実施する意義は低いと考えられることから、本品の使用成績評価の指定は不要と判断しました。
以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しています。総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 既にお気付きと思いますが、今の説明にもありましたように、この部会が、これまでと異なる新しい領域に入ろうとしている瞬間です。そういった認識を持って御検討いただければと思います。
はじめに、参考人としてお越しいただいている坂東先生から、御発言をいただけますか。
○坂東参考人 よろしくお願いします。愛知県がんセンター中央病院薬物療法部の坂東と申します。臨床がん医療に携わっている人間としての意見という形になると思うのですが、我々は希少がんの患者さんを多数診ておりますが、希少がんの方も全て合わせると全がん種の10%ぐらいいらっしゃると思います。また、メジャーながん種の患者さんも標準治療がなくなった時点で全身状態良好であれば、何か治療ができないかという方が沢山いらっしゃいます。そういう方々に特徴的な遺伝情報を見付けることができれば、その方々にまた別の治療を治験などでお渡しすることができるため、是非このようなパネル検査が保険として認められることを期待しています。また、現時点で遺伝子パネルを用いてがん関連遺伝子を検索しても、患者さんに治療がマッチすることが少ないというのは確かに事実ですが、遺伝子を網羅的に解析できる基板があることで、新しい創薬につながったりとか、日本の治験が更に活性化することなどが期待できると思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、御参加いただいている委員の先生方の議論に入る前に、今日、御欠席の北澤先生から事前に御意見を伺っておりますので、事務局から説明をお願いします。
○事務局 北澤委員から事前に頂いた御意見については、大変恐縮ですが、進行の都合上、御質問の部分とその回答についてのみとさせていただき、全文は当日配布資料の冊子6ページから始まります、当日配布資料2-2を御覧いただければと思います。また、一部、次の議題の品目に関する内容も含みますが、ここでまとめて回答させていただくことを御容赦ください。
北澤委員からは2点の御質問及び2点の御意見を頂いております。まずは御質問についてです。御質問の一つ目は、「今回、審議される「OncoGuide NCCオンコパネル システム」と「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」は、同じがんゲノム医療に使用する遺伝子パネルであるにもかかわらず、なぜ類別が異なるのか。」です。
この理由についてですが、端的に申し上げますと、薬機法が国内で流通する物について規制を講じる体系であることに起因しております。つまり、オンコパネル システムは、国内では解析プログラム及びテンプレートDNA調製試薬が流通するため、その類別は血液検査用器具となり、一方で、FoundationOneは、国内ではプログラム使用権のみが流通するため、その類別は疾病診断用プログラムとなります。国内での流通形態が異なるため、類別も異なることとなります。
御質問の二つ目は、「オンコパネル システムだけが先駆け審査されているのはなぜか。」です。先駆け審査を受けるためには、その前提として、先駆け指定を受けている必要があります。先駆け指定では要件を四つ定めており、例えば世界に先駆けて日本で早期開発、申請する意志などがありますが、それらの要件全てに該当する品目として、企業が自ら申請し、その中から厚生労働省で確認、指定を行うといった手続となっております。この先駆け申請をオンコパネル システムの製造販売業者であるシスメックスのみが行ったため、オンコパネル システムのみが先駆け指定・審査されております。
御意見についてです。御意見の一つ目は、「がんゲノム医療という言葉のイメージから、患者が必要以上の期待を抱くような誤認のないよう、遺伝子パネル検査の限界について、患者に適切な説明を徹底するように指導していただきたい。」です。こちらはとても重要な点であり、8月に行われたがんゲノム医療推進コンソーシアム運営会議の中でも、構成員の方より御指摘を頂いているところです。そのため、運営会議の下に設置されたインフォームドコンセントワーキンググループにおいて、患者説明資料の標準化などを図っており、その中で作成された手順に従い、患者さんに誤解のないよう、適切なインフォームドコンセントを行うこととしております。
御意見の二つ目は、「がんパネル検査が承認された後、どのような方法で臨床的有用性を確立するのかが不明であり、承認条件にそのための研究の実施や具体的な研究デザインを書き込む、あるいは少なくともそれを検討することを加えていただきたい。」ということです。こちらももっともな御意見として受け止めております。先ほど機構からも御説明いただいておりますが、がんゲノム医療構想の一部としてがんゲノム情報管理センターであるC-CATをこの6月に設置しており、そこに医療機関からの臨床情報や企業からのゲノム情報が集積されることになっております。したがって、これらの情報をC-CATに登録することが要件となっているがんゲノム医療の中核拠点病院等での利用に限定することで、委員御指摘の臨床的有用性の確立を図ることの体制は確保できており、今後、C-CATを中心に厚生労働省全体で取り組むこととしております。御紹介は以上です。
○荒井部会長 それでは、北澤委員からの御意見ならびにこれに対する回答について、御意見はいかがでしょうか。北澤委員からのご意見の全文を読まれてはいないと思いますが、7ページに書いてある「患者は検査することを皆さん希望するでしょうから、比較するのは難しいのではないか」は、確かに現実的になかなか難しいのだろうなと感じます。要するに、プロファイルが入って治療法が変わってということの有効性などを評価することは簡単ではないという御指摘で、これは極めて的を射た御指摘かと思われます。
C-CATに中核拠点病院からの全ての情報が集まるわけですが、こういう検査が入ることで、最終的にアウトカムとしての治療成績が向上するかを評価するにあたって、例えば何を対照として評価するのか、といった点です。1か所に集まった情報だけで評価をするのは、普通の臨床試験の方法論としては難しいように思われます。簡単にそこに集まるから分かりますという御説明だったかと思いますが、具体的にどうやって評価するのでしょう。その辺のことを伺ったわけですが。
○事務局 C-CATに臨床情報とゲノム情報が集積され、それに基づいて、今後どういう患者に対してどういう治療薬が投与されると有効なのかというのを検証する形になろうかと思います。C-CATを中心に行われることですので、薬事としてそういうところを見るのはなかなか難しくなるかもしれませんが、がんゲノム医療コンソーシアムとして、厚労省全体でその点をフォローアップし、臨床的有用性の確立を目指していくと考えております。
○医療機器審査管理課長 追加で一つよろしいですか。
○荒井部会長 お願いします。
○医療機器審査管理課長 恐らく御指摘は、ワンアームで分かるのかということだと思います。比較対照という意味では、比較対照を置くことはなかなか困難だと思いますが、これまでに先進医療やあとはいろいろなレジストリーがあると思いますので、そういったものと比較する、若しくは過去のこういったプロファイリングについての海外のデータや国内でも国立がん研究センターのデータなどそういったものがありますので、そことの比較ということで有用性は評価できると考えております。
○荒井部会長 北澤委員の御意見を読まれるとお分かりいただけると思いますが、どのぐらいのものが出てくるのかまだ分からないのが本当のところだと思います。この部会で協議し、もし承認すれば承認されたという形で走り出すわけですから、後で振り返った時に、それにはどれくらいの意義があったかを評価をするための構えについて、明確に認識しておく必要があります。
要するに、普通はこの部会では、この製品はこういう臨床試験をやって、こうでした。だから、承認しましょうとなるわけですが、今回の場合は、こうやる予定で、こうなるでしょうから、いいことにしましょうかという話なわけです。そこはどうしても大きな考え方の隔たりというか、情報量の隔たりがあるものですから、少し意地悪かもしれませんが、質問させていただきました。
それでは、委員の皆様、御意見はいかがですか。
○中島委員 ゲノム医療とかけ離れたところで働いてきたので、ピント外れかもしれませんがお許しください。当該企業からC-CATなど情報センターに来る情報について教えていただきたい。当システムは包括的ゲノムのバインディングができる仕組みで、実際には患者さん単位では、ある固形がんという決まったものでもそれに対してどのような薬が効くかどうかで114ぐらいの遺伝子変異を調べるということですが、先ほどからお話を聞いていると、今後、日本人のがんの情報を集めて、それを更に発展させていこうという我が国の方針だと思います。このシステムにおいてはどのぐらいの情報を、我々といいますか、情報センターに提供され、それが今後ほかのことにおいても有効に利用できるような、そういう仕組みになっているのかどうかを教えていただきたいです。○医療機器審査管理課長 その件に関しては、ある意味薬事とは少し外れた形になってくるかと思っております。私が聞いている範囲では、どこまでの方向性が審議会などでオープンにされたか記憶は定かではないのですが、基本的にはシーケンスデータまで含めて収集することをやった上で、それを基にC-CATで解析すると聞いております。それを基にして、エキスパートパネルに供せるようなデータを返すと聞いています。これは一つの事例に対する結果の情報提供についてですが、先生の御指摘の、それを何千人やった上で、それをどう情報提供するかについては、まだ詳細が決まっていない段階だと思っています。しかしながら、厚生労働省のがんゲノム構想においては、できる限り研究者等にその情報を供することを考えていると聞いております。
○中島委員 ということは、このシステムの会社、中外は、その情報を全部提供してくれるということでよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 今の話はオンコパネルですので、シスメックスからの申請品目になります。中外から申請されているのは、もう1個の方で、それについては、薬事でそこまで求めることはしておりませんが、厚生労働省のがんゲノム構想において、同様に情報を求めるということで検討していると聞いております。しかしながら、その詳細については、まだ明らかではないということです。
○長島委員 基本的なことを教えていただきたいのですが、このシステムとしては、対象とする遺伝子の数、種類及び解析プログラムの内容は、完全に固定されたものかどうか。例えば、将来ある遺伝子が重要であることが分かった場合に、それを追加することが、一つはシステムとして可能か。あるいはプログラムでここを改良した方がいいと分かった場合、システムとして可能なのか、もう一つ制度として、そういう場合はもう一度審査が必要かと、この2点を教えていただけますか。
○医療機器審査管理課長 これは114の遺伝子であり、もう一つの方は300幾つの遺伝子になっていますが、それは今後いろいろな新たな知見ができて、遺伝子が増えてくれば、それを増やしていくことになるのだろうと思っています。その場合に、もう一度審査をする、つまり、一部変更承認申請とするのか、あるいは軽微変更届出だけで良いのかは、その追加する遺伝子がシステム全体の品質、有効性及び安全性に与える影響を考慮して個別に判断することになります。
プログラムについてですが、恐らく先生の御指摘は、プログラムの修正というよりもデータベースの修正だと認識していますが、データベースについては、これは参照とするデータベースがあり、その参照とするデータベース自体が変わっていくことによって、その参照するデータベースを、承認上固定しているわけではありませんので、それはアップデートされていくものだという認識です。
○長島委員 システムとしては、将来変えることができるようなシステム。あと、参照する外部データベースそのものを変えても、これは特に審査等など、それは必要ないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。データベースとしては、参照するデータベースの名前自体、もの自体は規定しておりますので、何か変わる場合には、変更の手続が必要になります。
○長島委員 もう一つ。先ほどのここで得られたデータの再利用ということでもう一度確認したいのですが、その患者御本人に対して、また別のがんになりましたとか、あるいは何か遺伝子が関係するような疾患にかかりましたという場合に、最初にやったデータを再活用することは可能でしょうか。
○医療機器審査管理課長 その件に関して言いますと、例えば誰かがこのプロファイル検査を受けた結果、病院にデータが戻ることになります。その患者さんが同じ病院に行けば、そのデータは病院に残っているわけです。それについては利用可能になっております。
○長島委員 ほかの所は、患者の同意を得て元の病院にデータ提供をお願いする形で利用可能と。
○医療機器審査管理課長 そうです。
○荒井部会長 よろしいですか。そのほか御意見はいかがですか。
○後藤委員 先ほどの北澤委員の初めの方の御意見と少し似ていますが、患者さんへの説明をしっかりやってもらいたいと思うのは、今回のオンコパネルは生殖細胞系列の血液も一緒にやることが大きな点であり、家族性の腫瘍などの遺伝子変異が見付かる可能性も十分あると考えます。その点に関しての検査前の説明や検査後の対応などについての詳細な手順や担当する方々の説明する内容などについて、きちっとしたものを作っていっていただきたいのが1点です。
もう1点は、いろいろなコンパニオン診断薬が出てきて、今度、こういうふうにプロファイルが出てくるという状況の中で、実際の現場で何を使うかというところに関して、次々に出てくるものですから、標準化がなかなか分からない。それは現場の担当医に全部お任せして何をするか決めていく形になってくると、実際にいろいろなことが起こり得るので、どれが本当にいいのかに関して、個々のものに関しては市場後の調査は要らないかもしれませんが、先ほどの国全体としてどういうものが本当にいいのかに関して、それを見られるようなシステムというか、研究というか、それが必要だろうと思うので、それを考えていただきたいと思います。
○医療機器審査管理課長 まず二つ目の方からです。先生から御指摘があったのは、恐らくこの品目というよりも、がんゲノムデータが集まってくれば、もちろん日本人データが集まってくれば、がんゲノム医療は変わっていくと思いますので、今後、標準的治療をどう持っていくかについては、今、がんゲノムコンソーシアムを立ち上げて議論が行われていますので、その中で議論をしていただくことが最初になるのだろうと思っています。それで言うと、今回のデータはそれに供されるものになると認識しています。
最初の点、ジャームラインについては、今回、がんゲノム医療のコンソーシアムの議論において、がんゲノムの中核拠点病院、拠点病院を含めて、カウンセリングをどう配置するか、どういう要件でやるかという議論はしておりますので、その中において、そういう家族性のものについての対策も十分とっていくことになるのだろうと思っております。
○荒井部会長 そのほか御意見はいかがですか。よろしいですか。御質問の趣旨は大変難しい部分だと思います。先ほどの機構からの御説明にもありました、どういう方法論で評価をしていきましょうというあたりを、ある程度決めてからかからなくてはならないくらい、普段この部会で扱っているものとは次元の違う話ですし、なおかつ、結果についても見えていないところが沢山あるというわけで、様々な御懸念があると思います。今もその御懸念の一部が御意見として出てきたものと思います。今後も恐らく、この類いのものが次から次へと出てくるでしょうし、多分大きな流れは間違っていないと思いますが、その状況、状況に応じて、色々御専門の委員の御意見を頂きながら、要するに、ある程度進みながら、色々修正を加えていく方法をとっていかざるを得ないのかと私は感じております。よろしいですか。よろしければ議決に入らせていただきますが。
○医療機器審査管理課長 荒井部会長の御指摘については、恐らく薬事でやれる範囲とがんゲノム医療という全体の範囲もありますので、今日は健康局の担当者もきちんと来ておりますし、我々からも本日のご議論を明確に申し上げていきたいと思います。また、今後も、先生方には、薬事にかけて相談する事項があれば、相談させていただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。中井課長からそういう御説明をいただきましたので、よろしいですか。それでは、議決を行わせていただきます。医療機器「OncoGuide NCCオンコパネル システム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は不要としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行う予定としています。特に御意見がなければ、これで議題1を終了して、議題2に進みます。
議題2、医療機器「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてを始めさせていただきます。
引き続き、本議題についても坂東先生に参考人として御参加いただいております。まず、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器FoundationOne CDx がんゲノムプロファイルの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要については、総合機構の担当者より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず、当日配布資料の9ページ、資料3、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、御覧の3名の専門委員の御意見を頂きました。
それでは、本品の概要について説明いたします。資料2の審査報告書、8ページ上段、「審議品目の概要」を御覧ください。本品は固形がん患者から得られた324のがん関連遺伝子の包括的なゲノムプロファイルに基づき、治療方針の策定及び医薬品の適応判定の補助に資する遺伝子変異情報を出力する解析プログラムです。
次に、本品を使用した検査全体の流れを説明いたします。図1を御覧ください。本邦の医療施設において作製された腫瘍組織検体が、登録衛生検査所を通じて米国の検査施設であるFMI社に送付されます。FMI社ではDNAの抽出等の前処理、DNAシークエンサーによる塩基配列の解析が行われます。得られたシークエンスデータは、変異解析工程により臨床的意義があると考えられる塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常及び融合遺伝子の検出、マイクロサテライト不安定性の判定並びに腫瘍遺伝子変異量の算出が行われます。
続くデータレビューの工程では、FMIのバイオインフォマティシャンが標準手順書に基づき、検体の品質、報告された変異の情報の妥当性等を確認し、これらの遺伝子変異情報をまとめたXMLファイルと呼ばれるものが作成されます。このXMLファイルは、解析の中間報告として中外製薬の専用のWebページ上で使用者に提示されます。
使用者は、当該データを確認後、これを入力情報として最終的な解析結果を出力するよう指示することで、コンパニオン診断の結果とその他治療方針の策定の参考となり得る遺伝子変異等の解析結果が出力されます。
このように、電気通信回線を介して入力に対して出力情報が得られるため、本品は医療機器プログラムとして使用者に提供されます。また、臨床検査技師等に関する法律への対応として、登録衛生検査所から紙媒体で、同一の解析結果レポートが使用者に提供されます。
なお、解析結果レポートには承認範囲外の付加情報としての取扱いとなりますが、検出された変異に関する科学的知見、当該変異に関連する医薬品の情報、国内外で実施中の臨床試験に関する情報等を含むレポートが別途提供されます。以上が、本品による検査の概要となります。
本申請については、がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会の報告書を踏まえ、遺伝子パネル検査を充実させるため、平成30年5月15日付けで迅速審査の対象となっております。
先ほど御審議いただきましたOncoGuide NCCオンコパネル システムを、以降ではオンコパネルと呼ばせていただきます。本品とオンコパネルとの大きな差分は2点ございます。1点目は、北澤委員からの御指摘のとおり、提供形態が違う点で、本品は電気通信回線を介したプログラムとして提供されますが、オンコパネルはコンビネーション医療機器として本邦で流通する点です。
2点目としては、オンコパネルは包括的ゲノムプロファイリング検査に使用することを意図しておりますが、本品はそれに加え、コンパニオン診断システムとしての結果も出力いたします。コンパニオン診断の対象となる遺伝子及び対象とする医薬品については、4ページの上段「使用目的」を御覧ください。これらのコンパニオン診断の対象は、いずれも先発のコンパニオン診断薬が存在するものとなっております。
本審議においては、オンコパネルとの差分を中心に説明いたします。以降、包括的ゲノムプロファイリング検査をCGP検査と呼ばせていただきます。9ページ下段、外国における使用状況を御覧ください。本品は、米国において本邦と同様の使用目的で2017年11月に承認され、2018年10月26日までに約〇〇件の解析実績がございます。
次に、性能についての評価を説明いたします。10ページ中段「性能に関する資料」、提出された資料の概要を御覧ください。本品の性能に関する資料として1)解析対象遺伝子の選択、2)シークエンス解析、3)解析レポートの作成に関する資料、4)分析性能に関する試験成績書が提出されました。
13ページ上段の4)分析性能を御覧ください。本品の分析性能の評価として真度、精度、特異性等の、こちらに記載した試験成績が提出されました。また、コンパニオン診断システムとしての性能については、19ページ、マル9コンパニオン診断システムとしての性能に記載したとおり、対照法で2回測定した際の判定一致率に対して本品と対照法との判定一致率の非劣性が検証されました。対照法については20ページ上段の表11に示します既承認のコンパニオン診断薬が選択されております。
続いて総合機構における審査の概要を説明いたします。20ページ中段、「総合機構における審査の概要」を御覧ください。以上の提出資料に基づき、本品の審査の概要について説明いたします。本品がCGP検査として使用される場合の審査方針についてはオンコパネルと同一であり、解析対象遺伝子の妥当性、解析対象変異に対する検出性能の妥当性、解析レポート作成工程及び結果レポートの提示内容の妥当性の3点を中心に審査いたしました。
23ページ中段、2)使用目的の妥当性を御覧ください。先ほど述べました三つの論点の審査に先立ち、まず使用目的を整理しました。本品のCGP検査としての使用目的はオンコパネルと同一です。一方で、本品はCGP検査以外に、コンパニオン診断システムとしても使用することができます。申請者は、本品をコンパニオン診断システムとして使用する場合、初回薬物療法実施前に使用することを考えています。総合機構は、検査実施時期については受入れ可能と考えます。しかしながら、本品の解析結果レポートは、CGP検査とコンパニオン診断の結果を分けることができません。また、コンパニオン診断の結果として適応可能な医薬品が見出されなかった患者に対しては、本品の結果がCGP検査の使用目的で使用されることが想定されます。以上を踏まえると、本品をコンパニオン診断システムとして使用する場合であっても、CGP検査の結果に基づく治療方針の策定が可能な施設と連携体制が構築された医療施設で使用することが適切と考えます。そのため、本品をいずれの使用目的において使用する場合においても使用時期、使用施設等について3学会ガイダンス等を参照する旨を、承認条件として付すことが適切と判断しました。
CGP検査についての審査上の論点三つについては、25~30ページに記載のとおり、特段問題はありませんでした。そのため、本品のCGP検査について3学会ガイダンスに従った治療方針の策定に資する情報をエキスパートパネルへ適切に提供可能であると判断いたしました。
30ページ中段、6)コンパニオン診断システムとしての性能を御覧ください。コンパニオン診断システムについては一部情報提供が必要な事項がありますが、本邦で承認されたコンパニオン診断薬との分析学的同等性が示されており、本品により関連する各医薬品の適応判定を行うことは可能と判断しました。以上より、本品のCGP検査及びコンパニオン診断システムとしてのいずれの性能においても特段の問題はないと判断しました。
本品の使用成績評価については、オンコパネルと同様の理由により不要であると判断いたしました。
最後に、総合評価について説明いたします。33ページ上段、(2)「個人情報及びサイバーセキュリティの取扱い」を御覧ください。オンコパネルにはない本品特有の論点として、本品による検査では解析結果等を海外の検査施設との間で送受信する点がございます。そのため、個人情報の保護の取扱い及び不法なアクセスの防止には、より一層の配慮が必要であると考え、国内における製造販売業者の責任をより明確にするため、個人情報の保護及びサイバーセキュリティについて適切に対応するように、承認条件を付すことが適切と判断しました。
続きまして34ページ上段、(3)「入力データの品質の確保について」を御覧ください。本品は、中間解析の結果を入力することで最終的な解析結果を得る医療機器プログラムです。適切に変異情報を出力するためには、本品の入力データとなるシークエンスデータの取得及び解析工程における品質の確保が重要と考えます。したがって、これらの品質を確保するために必要な事項をプログラムとしての要求事項とは別に、申請書の備考欄に指定した上で、当該事項を変更する際には適切な対応がなされるよう、承認条件を付すことが適切と判断いたしました。
以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、分科会では報告を予定しております。総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 まず、引き続きまして坂東先生に何か追加の御発言があればお願いします。
○坂東参考人 よろしくお願いします。愛知県がんセンター薬物療法部の坂東と申します。基本的に、恐らくCGP検査、パネル検査としての意義はNCCオンコパネルと同様なのかと思います。ただしFoundationOneがコンパニオン診断薬とCGP検査が一体化しているということは、NGSパネルが技術的に劇的に進歩して、コンパニオン診断薬とCGP検査の両者の垣根がなくなりつつある一つの形態を示しているのかと思います。CGP検査としての臨床的意義については、NCCオンコパネルと同様と考えます。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の方々から御質問、御意見はいかがですか。
○荒川委員 今回の場合、審査結果報告書8ページの図を見ますと、流れとしては従来のオンコマインでしたか、BRACAでしたかと少し似ているところがあるのですが、それから少し前に審議したFFRCTの場合とも多少似ている部分があるのです。まず、FFRCTの場合は同じような検体を海外に送って、最終的に解析結果が出てきてというところは医療機器として承認していて、今回は、後半のプログラムのところだけを審査しているということが一つ。なぜ肝心な解析そのものの品質に関して承認事項としなかったのかというのが、疑問だというところです。
それからもう一つの質問は、先ほどのオンコパネルの場合はC-CATの方に情報を集めて、これは多分に国益的な問題もあるかと思うのですが、今回のこのFoundationOneのデータに関してはC-CATの方に集積されるなど、そういったフォローアップをするようなシステムは構築されているのですか。この2点を教えてください。
○医療機器審査管理課長 私からは後段の部分について御報告申し上げたいと思います。本件についてはまだ明確な取決めというのはなされてないと認識しておりますが、いずれにせよ今回、データベースの上で、今回はプログラム領域としての承認でありますので、解析結果としては日本に一旦戻ってくるようになっていますが、それがC-CATにどういうふうに登録されるかということについてはがんゲノムプロジェクトの全体のものとして、その方向で検討されていると聞いております。
○医薬品医療機器総合機構 一つ目の御質問について回答いたします。まず、プログラム部分だけが承認事項になっているのかということについては、解析部分についても備考欄に詳細について記載することになっていますし、承認条件においてこちらを変更する場合には一変とか軽変とか、今までどおりの薬事的な手続が必要になることから、承認事項には大きく含まれているものと考えています。ただ、今回プログラムとしての形態を取っている理由としては、シークエンサーや試薬等が本邦で流通しないので、流通規制という観点から規制がかけられなかったので、今回本邦で流通すると考えられるプログラムとしての形態で承認することとしています。
○荒川委員 確かにそういうくくりになるのかもしれませんが、解析に用いるパネルだとか試薬が向こうで変更になる可能性も、更新するでしょうから、あるいは機器そのものもそうかもしれませんが、そこに関しては解析結果の品質に対してどう担保していくのかが、この解析プログラムを運用していく上で一番重要なポイントではないかと思うのです。特に一致率など、その辺のところの問題は結果としては誤った結果がフィードバックされた時にどう運用していくかということも含めて、きちんと何らかの管理をしていかなくてはいけないものではないかと思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 試薬やシークエンサー等についても解析に対して大きな影響を与えるものについては、これまでどおり備考欄に特定しております。また、324遺伝子を検出するためのキャプチャープローブは数が膨大になるので、条件を特定する、有効性、安全性を担保できるための条件を特定するということで対応していまして、最低限そこだけを満たせば、一定の性能は担保できるというふうに考えています。
○荒川委員 具体的にそれを担保するための手続は、どういうふうにするのですか。
○医薬品医療機器総合機構 資料2の承認申請書、別紙7-43を御覧ください。ここに、主要な試薬についてはきちんと特定しておりまして、変更する場合は承認事項と同様の手続きが必要となっております。シークエンサーについても同様で、別紙7-47に、使うシークエンサーが規定されていまして、別紙7-49に、シークエンサーについての仕様も特定していますので、通常の医療機器と同様な取扱いとなっております。
○荒川委員 今後、機器も試薬もパネルも更新されると思われるのですが、それを厚労省として手続上どう管理されるのかというところをお聞きしたかったのですが。
○医薬品医療機器総合機構 まず、この別紙7に関しても一変や軽変が必要ということを考えておりまして、変更の内容に応じて一変が必要であれば根拠資料を提出していただきますし、軽微な変更、これまでどおりの軽微な変更と同様のものであれば、軽微変更届けによる対応も考えております。
○医療機器審査管理課長 補足させていただいてよろしいですか。先ほど先生御指摘の以前のBRACAシステムも同様でありまして、備考欄に詳細に規定した上で品質の管理をするということです。それから、もちろん定期的なQMS調査というのが入りますので、そこの中でも確認するという行為で、プログラムの部分だけではなく全体の品質安全性を確保するということになっているということです。
○荒川委員 そこはきちんと管理していただければとは思うのですが、全体としての整合性が、かつての承認したものとの整合性も含めて考え方を整理していただければいいとは思いますが。
○長島委員 米国の検査施設を使うということで、承認条件の2の検体及び情報について個人情報保護、不正なアクセスを防止するため最新のセキュリティ対策及びプライバシー保護を行うということは極めて重要かと思いますが、米国の企業に対して日本の個人情報保護法あるいは医療情報を扱うシステムに関する厚労省、総務省、経産省の3省ガイドラインがありますが、法令は米国のものに対して果たして効力があるのか。仮に、効力がないとすれば、日本国内の企業と同等の安全性が果たして確保できるのかという点を、教えてください。
○医療機器審査管理課長 それに関しては、今回についてはプログラム医療機器として承認しますので、日本でプログラム領域として販売するという限りにおいては日本の法律を守っていただく必要があると思います。もし守れないのであれば、承認条件に書いてございますので、それについては極端なことを言ったら承認取消しになると思っています。
○長島委員 米国の企業であると、現実的に果たして日本国内のものと同等にきちんと確認ができるのかという心配があるのですが、そこはいかがですか。
○医療機器審査管理課長 そこについても定期的なQMS調査というのが現地にもあることになりますので、それにあわせて確認することもございますし、必要に応じて必要な書類、ドキュメントを出してもらうということもございますし、両方で確認できるということになると思っています。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。
○中島委員 今のご質問の追加です。33ページの個人情報及びサイバーセキュリティの取扱いの上段の方にある“個人情報保護に対する対応”で、FMI社の監督をする目的で、申請者及びFMI社間において、検体及びデータ廃棄を含む法の順守に関するMOUを締結していると記載されています。これは申請者及びFMI社の間でのどのような内容のMOUなのですか。
○医薬品医療機器総合機構 MOUの詳細について確認はしていないのですが、検体及びデータの破棄を含む法令順守に関するものについて締結されています。
○中島委員 ということは、データは破棄されるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇、と聞いています。
○中島委員 先の議題でも質問させていただきましたが、せっかく患者さんから検体を取ってシステムに乗せて、様々な情報があるにもかかわらず特定の情報だけ取り出されて検査し結果を出されて、それでこのFMI社で〇〇〇〇〇〇〇〇。せっかく取得した日本人の情報データをC-CATなどの日本の研究パネルにきちんと移行されるような仕組みというのは、まだ今後の課題だという話でしょうか、その辺がよく分からないので教えてください。
○医療機器審査管理課長 先ほどの説明と同じになるのですが、今回の薬事よりもう少しがんゲノム医療という中の議論において、海外に日本人の検体が流れていって、そこで解析をする、その解析した結果というのを、その中で日本に対してもその結果を求めるということを今考えているということです。
○長島委員 極めて機微性の高い情報を扱うので、今御指摘があったように、MOUに関しては必ず内容を確認する必要があると思います。それを破った場合極めて高額な違約金が発生するなど、何かかなり厳しい内容でないと、ただ締結したというだけでは効力を発揮しない心配が非常にあるので、ここの遺伝子に関する情報は最も機微性の高い守るべき情報という視点から、ここは厳しくチェックして、問題があれば、きちんと直していただくことを徹底的にやるべきかと思います。
○小西委員 このパネル検査の基本的な方針なのですが、各病院、がんゲノム医療を行う各病院といたしましては、各病院の方針でどのパネル検査を選ぶかということを決めていく。現実にはそういう市場になるということなのですか。これからまた新しいパネル検査はどんどん出てくると、それをまた次々に承認していって競争する世界というのが出てくるというイメージで、よろしいですか。
○医療機器審査管理課長 質問の趣旨は、がんゲノム医療の中において、シークエンシングとかプロファイリングをする機器というのが今後どうなるかということだと思います。幾つか出てくるのだと思うのですが、その中で良いものは残っていくという結果になるでしょうし、また目的に応じていろいろなものが出てくると思います。それに応じて適切なものが残っていく、使われていくということになるのだと思っています。
○小西委員 もう1点よろしいですか。やはり同じC-CATのことなのですが、コンソーシアムの座長の間野博行先生とお話をする機会があって、日本といたしましてはこのC-CATを中心に世界の中で、がんゲノム医療のトップに立とうと決意をしているので、臨床上も非常に細やかな臨床情報をインプットすることによって様々な、患者さんに単に現実の発展をフィードバックしているというだけではなくて、真新しい疾患を見付けたり、そういったことのテコにしていこうということを考えていらっしゃるので、そういった方針を厚労省はどのように考えていらっしゃって、そういう方針がこの決定にどのように影響してくるかということも一応あると思うのです。というのは先ほど部会長がおっしゃられましたように、これまでのようにこの検査は良いから認めるというのではなくて、こういった検査を今後これからプロスペクティブにすることによって発展していく、そういうものなので、そういう基本的な方針抜きに、単にこれいいですよと認めるというだけのものではないのではないか。基本的な国としての方針の下にいろいろなことを決定していくということが、どうしても大事なのではないか。そういう基本方針をやはり明示して、進んでいくことが大事なのではないかと思います。なのでC-CATのことはとても気になります。
○医療機器審査管理課長 まずはそのC-CATについては御指摘のとおりで、間野先生の意見が全てではないとは思いますが、もちろん座長であるので一番大きいというのは事実ですが、厚生労働省としてはがんゲノム医療という全体の方針を明確に掲げていまして、その工程の中の一つとして、こういったがんゲノムプロファイルについての薬事の対応、それから保険対応というのが乗っています。その中の一つとして、そこで有効性、安全性を確認しながら適切な手続を取っていくという中の一部というふうに思ってございますので、先生の御指摘のように、そういう大きな方針の下にこの中の議論が進められているというふうに思っております。
○荒井部会長 その他、御意見はよろしいですか。今日の議題の1と2は大変重いのですが、色々な御意見を頂いたのは、多分2点あって、一つ目は、やはり個人情報、つまり遺伝子情報の取扱いということには慎重には慎重を重ねということだと思います。この点にはどなたも御異議がないと思いますので、あえて承認要件ということではありませんが、この部会でこの点についての注意喚起、十分な配慮をしてほしいという要望が出たということは、議事録にも明記させていただきます。そういう認識でまとめたいと思います。
また、二つ目はここで得られた日本人のゲノム情報というのがどうやって、今、C-CATという名前が出ましたが、いわゆる国策、日本として色々な情報を集めていきましょうという大きな流れの中で、この製品で情報が海外に出て、結果だけは戻ってきたけど、あとの情報は全部捨てられてしまったということがないような形、有効にいかせる形にすることもきちんと検討してもらいたいという点が、この部会の議決にあたっての要望であったということを明記しておいていただきたいと思います。よろしいですか。よろしければ、これから議決を行わせていただきます。
医療機器「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」につきまして、本部会として高度管理医療機器に指定し、承認を与えて差し支えないものとし、特定保守管理医療機器として指定しないこと、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要として、よろしいでしょうか。また、使用成績評価は不要としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行っていただきます。特に、他に御意見がなければ、これで議題2を終了とします。坂東先生、長い時間ありがとうございました。
                                -坂東参考人退席-
                                 -一色委員退室-
○荒井部会長 よろしければ、引き続き議題3に入らせていただきたいと思います。医療機器「エキシマレーザTurboカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてを始めさせていただきます。本議題の審議に当たっては参考人として、久留米大学病院循環器病センター教授である上野高史先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。
○上野参考人 よろしくお願いします。
○荒井部会長 まず事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料3を御用意ください。1枚目が諮問書です。本議題では医療機器「エキシマレーザTurboカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。品目の概要及び審査の概要については、総合機構よりお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 まず資料10ページですが、当日配布資料4、専門委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。
はじめに、本品の概要について御説明いたします。審査報告書の5ページ、「審議品目の概要」を御覧ください。本品は専用のレーザ発振装置、エキシマレーザ血管形成装置と併用し、波長308nm付近のエキシマレーザを照射することで狭窄病変組織を蒸散させ除去するレーザカテーテルです。6ページの図1にお示しするとおり、本品には2タイプあり、一つはOTWタイプ、もう一つはより太い血管で試行的にレーザを照射することが可能なガイディングカテーテル付属タイプです。以降は「Tandemタイプ」と言います。
次に、開発の経緯を説明いたします。審査報告書の6ページ下段の(1)、「開発の経緯」を御覧ください。末梢動脈疾患(PAD)は、アテローム性動脈硬化を主な原因とする末梢動脈の閉塞性疾患です。本邦においては生活様式の欧米化及び高齢者の増加により、PAD患者が増加傾向にあり、PADに対する国際的な診療ガイドライン、TASCIIに基づき治療が行われています。太ももの辺りにある浅大腿動脈に閉塞性の病変がある場合、バルーン拡張後にその状態を維持するためのステント留置術が、有力な治療選択肢の一つとして広く行われています。ステント留置後には一定頻度でステント内再狭窄(ISR)が発生します。ステント内再狭窄が発生した際には再度、ステントの内側をバルーンで拡張する治療が行われています。しかしながら、その効果は限られていることが報告されており、繰り返されるステント内再狭窄に対するより有効な対処方法が求められています。本品は、既に冠動脈の狭窄病変に対する治療機器として承認を取得しているエキシマレーザ血管形成用レーザカテーテル及びエキシマレーザ血管形成用OSカテーテルと同一の原理・構造であり、今回、下肢の動脈にも使用可能なレーザカテーテルとして開発されたものです。
海外での承認状況については、審査報告書の8ページ、表1を御覧ください。米国ではOTWタイプが2004年に、Tandemタイプが2009年に鼠径下の動脈への適応で承認を取得しております。また、2014年に大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄の適応を、両タイプともに取得しております。一方、欧州ではOTWタイプが2008年に、Tandemタイプが2010年にCEマークを取得しております。海外における販売実績については、2012年から本年10月までの間ですが、OTWタイプが約〇〇〇本、Tandemタイプが約〇〇〇本です。
本品の非臨床試験については、特段の大きな問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書の14ページの下段、ヘ項を御覧ください。本品の臨床試験成績として米国で実施された臨床試験、EXCITE ISR試験の成績が提出されました。本試験は、大腿膝窩動脈におけるステント内再狭窄又は再閉塞を有するPAD患者を対象に実施された、多施設共同前向き無作為化比較対照試験であり、本品群として本品のレーザ照射によるステント内側の病変組織の除去を行った後に、標準型バルーンカテーテルにより病変の拡張を行う治療群が設定されました。また、対照群として標準型バルーンのみで病変を拡張する治療群が設定されました。主要有効性評価項目としては、術後6か月までの標的病変再血行再建術、TLRの回避率と設定され、本品群の対照群に対する優越性を、主要安全性評価項目は術後30日までの主要有害事象の非発生率と設定され、対照群に対する非劣性を検証することを目的に計画されました。
審査報告書の17ページ、図2を御覧ください。本試験では本品群と対照群に2対1の比率で無作為に割り付けられ、本品群170例、対照群82例、計252例が登録されました。なお、本試験の計画当初は318例の登録が予定されていましたが、250例登録時点での階層ベイズモデルによる中間解析の結果、主要評価項目の達成が確認されたことから、以降の患者登録が中止され、最終的な登録症例数は前述の252例となりました。
試験結果については21ページの2)、「主要有効性評価項目」を御覧ください。術後6か月のTLR回避率は本品群78.3%、対照群58.9%であり、本品群の優越性が示されました。また、安全性評価については22ページ中段を御覧ください。主要安全性評価項目である主要有害事象は全ての原因よる死亡、治療対象の下肢の大切断及びTLRと定義され、その結果、主要有害事象の非発生率は本品群94.6%、対照群79.2%であり、非劣性が示されました。なお、本品群において死亡、下肢の切断は発現しておりません。
続いて、審査における主な論点について御説明いたします。論点は四つあり、一つ目が本品の臨床的位置付けについて、二つ目が海外臨床試験の外挿性について、三つ目が有効性及び安全性について、四つ目が製造販売後の安全対策についてです。
はじめに、本品の臨床的位置付けについて御説明いたします。23ページの中段の(1)、「本品の臨床的位置付けについて」を御覧ください。本邦では複数の浅大腿動脈用ステントが承認されており、臨床現場で広く使用されておりますが、冒頭に御説明したとおり、繰り返すステント内再狭窄へのより有効な対処方法が求められております。本品はレーザ照射により、既に留置されているステントに影響を与えず、ステントの内側に存在する病変組織を除去することが可能であることから、ステント内再狭窄治療の選択肢として、バルーンによる拡張の前に本品を使用するものとして、本品を医療現場に提供する意義はあると判断いたしました。
次に、海外臨床試験成績の外挿性について御説明します。23ページの下段の(2)、「海外臨床試験成績を本邦へ外挿することの妥当性について」を御覧ください。医療環境差については、PADに関する治療方針を示した国際的なガイドライン、TASCIIが策定されており、本邦のガイドラインもこれに準じていることから、治療方針は日米で同等であると考えます。また、24ページの表11を御覧ください。本試験に登録された患者に留置されていたステントのうち、本邦既承認品は約4割程度含まれており、本邦既承認のステントと未承認のステントとの間で、主要評価項目に関する成績は類似していることから、本品の治療成績に影響を与えるような国内外の医療環境差はないと考えます。
民族的要因については、ステント内再狭窄の成因としての細胞増殖メカニズムに民族的差異は認められず、また、本試験に登録された症例の再狭窄病変の形態と本邦のステント内再狭窄症例の病変特性は類似していることから、本品の臨床成績に影響を与えるほどの民族的要因は認められないと考えます。また、本品については既に冠動脈領域において使用実績があることを踏まえると、手術手技の観点からも、トレーニングなどを行うことで適切に使用可能であることが想定されるため、海外臨床試験成績を本邦における有効性及び安全性の評価として外挿することは可能と判断いたしました。
次に、有効性及び安全性について御説明します。24ページの下段の1)、「主要評価項目の妥当性について」を御覧ください。本試験の主要有効性評価項目は、臨床症状と血管の開存性に基づいて判断される術後6か月時点のTLR回避率と設定されました。PADの治療目的は、病変の血流が再開通することによる臨床症状の改善であるため、有効性評価として血管の開存性及び臨床症状に由来する再治療について複合的に評価を行うことは、臨床実態に近い評価方法と考えます。
続いて25ページの中段の2)、「有効性について」を御覧ください。本試験では、主要評価項目である術後6か月のTLR回避率では、本品群の優越性が示されましたが、術後6か月の一次開存率については、両群間の差は認められませんでした。総合機構は、TLR回避率と一次開存率の評価結果に乖離が生じた理由、及びTLRの実施を判断する医師が盲検化されていなかったことを踏まえ、TLR回避率の評価に関する客観性について、申請者に説明を求めました。その結果、TLRが実施されなかった症例などの妥当性について、26ページの表12に示す追加の解析が実施されました。
追加解析マル1として、6か月の主要評価時点で臨床症状があったにもかかわらず、主要評価実施後にTLRが実施された症例について、6か月時点でTLRの実施が必要だったとみなす解析が行われました。また、追加解析マル2として、エコーなどの非侵襲の検査で血管の再狭窄を疑う所見が複数あったにもかかわらず、臨床症状がないため血管造影を行わず、TLRを実施しなかった症例について6か月時点でTLRの実施が必要であったとみなして実施されました。両解析の結果は当初解析の結果と同様に、本品群の優越性が保たれており、本試験結果の頑健性が示されました。総合機構はこの追加の解析結果を踏まえ、本試験結果は本品群においてTLRを恣意的に回避した結果ではないと判断し、ステント内再狭窄の治療において、バルーン治療の前に本品を使用することの有効性が示されていると判断いたしました。
次に、安全性評価について御説明します。26ページの下段の3)、「安全性について」を御覧ください。本試験の主要安全性評価項目は、術後30日までの主要有害事象の非発生率と設定されました。この設定は、一般的にPADの血管内治療デバイスの評価に使用されている指標でもあり、適切と判断しております。主要評価項目について、本品群の非劣性が示されたことに加え、27ページの表13に示すとおり、手技に関する合併症として血管解離、及び緊急的なステント留置の発生率を点推定値の比較において本品群で低減し、また、本品群で血管穿孔が発生しなかったことから、本品を使用することによりリスクが増加しないことが示されていると考えております。手技に関するその他の合併症としては、末梢血管の閉塞が考えられます。本試験では塞栓防止デバイスの併用に関する規定がなく、医師の判断により使用され、その併用率は本品群で40%、対照群で30%でした。
一方、本邦では末梢血管に使用可能な塞栓防止デバイスが承認されておらず、併用できないため、併用状況を踏まえた本品使用時の安全性について、申請者に説明を求めました。28ページの表14を御覧ください。塞栓防止デバイスの併用の有無によりTLR回避率、主要有害事象非発生率、末梢血管閉塞の発生率の成績に影響は認められませんでした。また、本試験で塞栓防止デバイスが併用された理由は、病変長が長いことが想定されましたが、表15に示すとおり、症例数に大きな偏りは認められませんでした。また、塞栓防止デバイス非併用群においても、病変長が200mm以上及び300mm以上であった症例が合わせて37例存在しており、重大な病変背景の差は認められませんでした。
総合機構は、塞栓防止デバイスを併用しなかった症例に末梢塞栓の発生が偏っていないこと、また、通常の血管内治療でも末梢塞栓が生じた場合には、吸引カテーテルで適切に対処可能であることから、専門協議での議論も踏まえ、本邦において本品を安全に使用できると判断いたしました。なお、後ほど述べる製造販売後の使用成績調査においては、末梢塞栓の発生頻度を調査する必要があると考えております。
最後に、製造販売後の安全対策についてです。29ページの(5)、「製造販売後安全対策について」を御覧ください。本品は、下肢の動脈に狭窄病変を除去する目的で使用するデバイスとして、本邦初の製品となりますが、既に同様の目的の製品として冠動脈に使用されているデバイスや、下肢動脈に使用されているガイドワイヤ通過補助用デバイスの使用状況に鑑み、本品の市販後安全対策について検討いたしました。検討の結果、本邦において大腿膝窩動脈に対する血管内治療が広く実施されていること、及び冠動脈用の既承認品と基本的な使用方法が異ならないことを踏まえると、血管外科と連携できる施設で使用される必要があることを注意喚起すること及び本品を使用する医師に対し、申請者が提供する使用方法などに関するトレーニングの受講を必須とすることで、適切に使用可能と判断いたしました。
なお、製造販売後調査については30ページを御覧ください。予定症例数は200例とし、31ページの表16に示すとおり、調査項目は急性期の手技成功率、術後30日、6か月、12か月の一次開存率、TLR回避率、末梢塞栓などの血管関連の有害事象などです。調査期間は3年で、その内訳は症例登録期間が12か月、観察期間が12か月、準備期間及び解析期間が12か月と設定しております。以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 はじめに、参考人としてお越しいただいている上野先生から、追加の御発言等はありますか。
○上野参考人 久留米大学の上野と申します。よろしくお願いいたします。私どもが末梢動脈疾患の患者さんを治療する時には、まず内科的な治療なのか、こういうカテーテルインターベンションなのか、外科的治療なのかということを当然選択するわけです。浅大腿動脈が閉塞している方の多くは、膝から下の病変も非常に細くなっており、結果的にバイパスができなくて、浅大腿動脈をステントで治療しようということも広く行われています。そうしますと先ほどの説明にありましたように、ある一定の割合で内膜が増殖してきたり、症例によっては血栓が少しずつ蓄積して器質化していき、閉塞するような状況で再狭窄・再塞栓を来して患者さんの症状が出るということが起こります。
現在、我々はこれに対してバルーンで広げるという治療をしてきました。バルーンにも幾つかの種類がありますけれども、結局、狭くなった所を無理矢理押し広げるという治療しかないのです。血管の中に起こった組織は圧縮はされるかもしれませんが、必ず元に戻ります。そうしますと、また再狭窄を繰り返します。我々に必要なのは、中に出てきた組織を取り除く治療ですが、その方法が残念ながらこれまではなかったのです。この組織を蒸散させてくれる、溶かしてくれるというような言い方になるのでしょうか、これがあれば、患者さんにとっては多くのメリットが出てくるだろうと思っておりますし、それが臨床試験の結果だろうと思います。
○荒井部会長 それでは、委員の方々から御質問はいかがでしょうか。
○荒川委員 参考までに教えていただきたいのですが。内科的治療の場合、私の認識ではいわゆる運動機能と言いますか、トレッドミルなどで評価すると思うのです。外科的治療の場合は、こういった血流、開存的な評価でいいとお考えなのでしょうか。
○上野参考人 外科的治療の場合、一つには患者さん御自身の自家静脈を移植する、閉塞している中枢から、極端に言うと足首辺りの血管に自家静脈をバイパスし、そこをまた人工血管でつなぐという方法もあります。それができる方は、やはりそれを積極的に利用するべきだろうと思います。ただ、比較的若い方、中年ぐらいの方でこういう症状になってきますと、できる限り手術を遅らせることができれば、長期の患者さんの生活の質の改善にも努められますので、外科手術、内科的な治療とカテーテル、又は薬物といったものを上手に選択して組み合わせていくということになるだろうと思っております。
○荒川委員 私の質問の趣旨は、もちろんこれで承認していただくことに関して、私も全く問題ないとは思っていますが、昨今のいろいろな承認の中では、最終的には運動機能の改善が目的なのです。しかし、それを評価したデータがないように思うので、そこのところをお聞きしたかったのです。
○上野参考人 ありがとうございます。先生がおっしゃるように、運動機能の評価というのは、やっている施設とやっていない施設があると思います。十分な歩行ができない方もいらっしゃるものですから、そういう場合は6分間の歩行がどのくらいかという形で評価しないといけないのですが、確かに先生から御指摘いただいたことは、学会を通じてでも普及していかなければいけないと思っております。
○荒川委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 機構から、今のところはあるでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 資料3のピンクのタブの「添付資料概要」の229ページを御覧ください。こちらの上段に、「機能状態」という項目があります。手技の後のみにはなるのですが、本試験においても6か月後に定期的に運動機能の検査を行っており、その改善は確認しております。お答えになっておりますか。
○荒川委員 今後ガイドラインを作る上で、運動機能評価は入ってくるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 学会では機能評価のために、ここに載っているWIQというものを翻訳し、実際に運用されておりますので、その結果が反映されてくるだろうと予測しております。
○荒井部会長 そのほかに御意見はありますか。
○小西委員 どうしても一番気になるのが、手技を行っている時に塞栓が末梢に飛んで、末梢が詰まってしまうということではないかと思うのです。そういうことが起こった場合に、直ちに診断ができてリカバリーできるかどうかを教えていただきたいと思います。
○上野参考人 診断は容易です。造影をすることで、どの血管のどの辺りが詰まっているということは即座に判断できます。もう一つは、詰まるものには大きく二つあります。一つは、内容物としてのごみのようなものが飛んで行ってしまうということと、血栓ができるということがあります。血栓に関しては、レーザは極めて強いのです。血栓を溶かすというのが、どちらかと言うと得意な分野で、それ以外の周辺が飛んで行ったものは先ほどの説明にありましたように、吸引で治療することは私どもも容易にやれるというように考えております。
○荒井部会長 そのほかに御意見等はありますか。特に御意見がなければ、議決に入りたいと思います。医療機器「エキシマレーザTurboカテーテル」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定を不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は、期間を3年として指定することとしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も分科会にて報告を行うこととしております。これで議題3を終了いたします。上野先生、どうも長時間、ありがとうございました。
                                 (上野参考人退席)
                                  (一色委員入室)
○荒井部会長 それでは、引き続き議題4に入らせていただきます。医療機器「Brainsway deep TMSシステム」の使用成績評価の指定についてを始めさせていただきます。まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料4を御用意ください。表紙のページが諮問書です。3ページが今回、使用成績調査の指定について御審議いただく品目の概要です。申請者はセンチュリーメディカル株式会社です。品目の概要欄を御覧ください。本品はパルス磁場を用いて脳皮質の局所領域に電流を誘導し、ニューロンを刺激することによって成人のうつ病患者の治療に用いる治療用磁気刺激装置です。これは昨年7月の部会で御審議いただいたNeuroStar TMS治療装置と同一の作用原理であり、本品の臨床的位置付けも同等であるため、NeuroStar TMS治療装置に対し、使用成績評価を指定した際と同様の考え方に基づき、本品についても使用成績評価を指定することが妥当と考えております。調査期間についても同様に、3年間を課すことが妥当であると考えております。なお、申請企業から販売名を、Brainsway deep TMSシステムから、Brainsway TMSシステムに変更する予定と聞いております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 御意見等はありますか。特になければ、議決を行わせていただきます。医療機器「Brainsway deep TMSシステム」の使用成績評価は、期間を3年として指定することとしてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告をさせていただきます。これで議題4を終了いたします。
続いて議題5、「医療機器の再審査結果について」に入らせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料5を御覧ください。医療機器の再審査結果について御報告いたします。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則新しい医療機器については再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるものです。その調査資料に基づいて、有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回、資料5に示しているPenumbraシステム、一般的名称、中心循環系塞栓除去用カテーテル、製造販売業者、株式会社メディコスヒラタについて再審査を行いましたので、御報告いたします。
こちらの機器ですが、本使用成績調査では本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性・有効性等を確認することを目的として、3,013例に対して評価が行われました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、旧薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断いたしました。再審査に関する御報告は以上です。
○荒井部会長 これは報告事項ということで、特に委員の皆様から御意見や御質問等はよろしいでしょうか。よろしければ、これで議題5を終了させていただきます。
最後に議題6、「部会報告品目について」を始めさせていただきます。それでは、この御説明を事務局からお願いいたします。
○事務局 資料6に沿って御説明いたします。平成30年7月から平成30年9月末までの3か月の間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、認証評価が必要なクラスIIIの医療機器、認証基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。医療機器64品目については事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。体外診断用医薬品11品目は22ページより記載されており、新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的等、重要なものについては備考欄に内容を記載しておりますが、こちらも詳細については割愛させていただきます。以上で説明を終了させていただきます。
○荒井部会長 特に御意見はありますか。よろしいですか。細かな話ですけれども、この後に一つ追加の報告があるということでしたので、それではお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 先ほどのFoundationOneの件で、一つ手違いがありました。資料2ですが、この一般的名称が「体細胞遺伝子変異解析プログラム」となっております。今までもこのプログラムの一般的名称はあったのですが、今回、先ほど御説明申し上げたようにコンパニオン診断薬にも使われるということで、括弧をして「抗悪性腫瘍薬適応判定用」というのが入っております。これについて一般的名称を申請するということで、この品目については副作用、機能に障害が生じた場合に影響があるということで、できれば高度管理医療機器とすると。それから保守点検、修理、その他は必要ないということで、特定保守管理医療機器とはしないということについての御確認だけ、恐縮ですが、お願いできますか。
○荒井部会長 FoundationOne CDxで、体細胞遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)の新設に付随してのことですね。
○医療機器審査管理課長 そういうことです。
○荒井部会長 よろしければ、これで本日用意していただいている議題は全て終了いたしました。御協力、ありがとうございます。事務局から何か連絡はありますか。
○医療機器審査管理課長 次回の部会は、1月11日の金曜日の13時からです。次回の部会からペーパーレス化に向けて、タブレット端末による資料配布を予定しております。詳細についてはまた後日、メールにて御連絡させていただきたいと思います。
○荒井部会長 それでは、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
 ( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 田中(内線4226)

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