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2018年6月29日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成30年6月29日(金)14:00~

 

○場所

霞ヶ関ビルディング31Builedge霞が関プラザホール(1階)

○出席者

出席委員(16名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 梅 津 光 生、
  北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、  正 田 良 介、 田 島 優 子、
  寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、  蓜 島 由 二、 濱 口    功、
  菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、  桃 井 保 子、 渡 邉 和 久
 (注)◎部会長 ○部会長代理
  他参考人2名
 

欠席委員(6名)五十音順

  荒 川 義 弘、 小 西 郁 生、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
  鈴 木 邦 彦、 中 島 康 雄
 

行政機関出席者

宮 本 真 司(医薬・生活衛生局長)
中 井 清 人(医療機器審査管理課長)
矢 守 隆 夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
木 下 勝 美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他
 

  

○議事

 

○医療機器審査管理課長 ただいまから「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催します。委員の先生方におかれましては、お暑い中、御出席くださいまして、どうもありがとうございます。現時点で16人御出席いただいておりますので、定足数に達していることを報告させていただきます。
まず、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。今回、全ての委員の先生方から適合している旨を御申告いただいておりますので、その旨を御報告させていただきます。また、委員の先生方には、開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続きどうぞよろしくお願いを申し上げます。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いします。
続いて、配布資料の確認をさせていただきます。お手元右側、事前に郵送でお送りしたものと同じ資料が置いてあります。1番上に議事次第があり、2番目に配布資料一覧、3番目に座席表とその裏に委員名簿が書いてあります。以降、この配布資料一覧に沿って御説明させていただきます。その下には、ひも留めされた資料1、2、3、4があります。さらに下に、左上にホチキス留めされた資料5、6、7-1、8-1、8-2、8-3、8-4、9-1、横刷りになっている10-1があります。さらに、その下に参考資料として薬事分科会審議参加規程が置いてあります。
向かって左に当日配布の資料を置かせていただいています。一番上が当日配布資料一覧になっており、これは左上ホチキス留めで、そのまま当日配布資料がとじられております。それから、日本医師会の要望書と臨床検査薬協会の要望書が、1枚ずつ置いてあります。さらに、その下に「平成30年2月28日医療機器・体外診断薬部会における御意見への対応」というホチキス留めの資料が置いてあります。不足がありましたら、事務局へお知らせください。
以後の進行について、荒井部会長よろしくお願いします。
○荒井部会長 それでは、始めさせていただきます。よろしくお願いします。資料はよろしいですか。もし過不足がありましたら、事務局にお知らせいただければと思います。議題1、「便潜血キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)について」に入ります。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1については、お手元のひも留めされた資料1及び当日配布資料1-1と資料1-2が対象の資料です。経緯と簡単な概要について、御説明いたします。体外診断用医薬品の一般用医薬品への転用については、医療機器・体外診断薬部会での議論を踏まえ、平成26年12月に発出した通知において、一般用検査薬の導入に関する適用の流れと一般用検査薬ガイドラインに必要な一般原則を規定いたしました。
お手元の当日配布資料一覧がありますが、当日配布資料一覧の3ページを御覧ください。3ページにあります当日配布資料1-2が、平成26年12月に発出した通知です。
さらに、23ページの右上に「別紙」と書かれたページですが、こちらには、一般用検査薬の導入に関する適用の流れ、運用の流れをお示ししております。これに基づきますと、業界においてガイドラインを作成し、これを厚生労働省と総合機構で評価し、それを本部会で御議論いただく流れになっております。今回は、この別紙の図において、図の上段辺りに「厚労省」と楕円で書かれた所がありますが、その下の「医療機器・体外診断薬部会報告書に基づき議論」という所のステップです。
7ページの別添1と書かれたページからが、一般用検査薬の導入に係る一般原則を定めております。こちらには1.検査項目について、8ページに2.製品への表示等について、3.販売時の情報提供について、などの原則が規定されており、総合機構ではこれらの一般原則への該当性等について評価を行いました。評価報告書の内容について、総合機構の担当者より御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より、便潜血キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)の評価結果について、御説明いたします。先ほど厚生労働省からも概要について御説明がありましたが、平成26年12月25日に「体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用について」が発出され、一般用検査薬の承認申請に当たっては、審査・評価のためのガイドラインを策定し、その後、当該ガイドラインの記載に基づき、個別の品目の性能評価、添付文書の記載の妥当性を総合機構において審査し、承認の可否を判断することとなっております。
今般、こうした流れに基づき、一般社団法人日本臨床検査薬協会より便潜血キットに係るガイドライン(案)が提出されたことから、総合機構において、その事前評価を行いました。本ガイドライン(案)が認められた後に、今後、一般用便潜血キットが開発され、個別に承認申請・審査されることになります。
総合機構での事前評価においては、主に同通知に示された一般原則への該当性、使用方法や性能等の妥当性、使用上の注意の記載内容の妥当性について、評価を行いました。なお、事前評価においては、専門協議を実施し、当日配布資料1-1に記載の専門委員の意見を聴取いたしました。
評価報告書4ページ上段の1.「提出されたガイドライン(案)の概要」を御覧ください。本ガイドライン(案)の検査項目は、便潜血です。便潜血キットは、糞便中に含まれるヒトヘモグロビンを検出することで、大腸疾患の早期発見の補助を行う体外診断用医薬品です。測定原理について、評価報告書6ページ、図1を御参照ください。測定原理は、イムノクロマト法であり、糞便中のヒトヘモグロビンが標識された抗ヒトヘモグロビン抗体と結合し、この複合体が判定部上に固相化された抗ヒトヘモグロビン抗体と結合することでラインが出現し、糞便中のヒトヘモグロビンの有無を目視で判定することが可能となっています。
少し戻っていただき、評価報告書4ページ中段の1)「検体及び検査項目」を御覧ください。大腸疾患では粘膜からの出血を伴うことが多く、肉眼で識別できない程度の血液が糞便中に含まれることがあります。便潜血検査は、糞便中に含まれる血液を検出することにより、下部消化管出血の有無を確認する検査法です。特に、イムノクロマト法では、食事制限も不要であることから、一般の使用者にとって利便性の高い方法となっています。
総合機構における評価を4ページ下段より記載しておりますが、検体採取時の侵襲がなく、便潜血検査は、下部消化管出血のスクリーニング検査としての臨床的意義が確立していることから、一般用検査薬への転用の要件を満たすと判断しております。
次に、評価報告書6ページ中段マル2「操作方法及び判定方法」を御覧ください。便潜血キットでは、専用の採便棒で糞便を採取した後、採便容器に採便棒を入れ、採便容器の中に入っている溶液に糞便を懸濁したものを試料として反応容器に滴下して使用します。一定時間経過後にラインの有無を確認することにより、容易に判定が可能となっています。なお、下部消化管からの出血は、常に起こっているわけではないことから、見落としのリスクを低減するため、現行の大腸がん検診マニュアルの記載を踏まえ、1回目の検査で陰性であった場合でも、翌日又は翌々日に採取した糞便を用いて再度検査を実施する2日法が推奨されています。
総合機構における評価を7ページ中段より記載しておりますが、検体採取・操作及び判定は、いずれも一般生活者でも可能と考えられることから、一般用検査薬への転用に特段の問題はないと判断いたしました。
続いて、性能の妥当性について御説明いたします。評価報告書7ページ下段の3)「仕様・性能」を御覧ください。本ガイドライン(案)においては、一般用便潜血キットの最小検出感度は、既に使用実績のある医療用便潜血キットと同じくヘモグロビン濃度を50ng/mLとして統一することが規定されております。その上で個別製品の性能については、評価報告書8ページ中段マル4「感度特異度の確認試験」に記載された試験を実施し、承認申請時に提出。これを総合機構が承認審査時に評価した上で承認することとなっております。総合機構における評価を9ページ上段に記載しておりますが、これらの内容に問題はなく、各製品の性能に差が生じるリスクも低減可能であり、一般用便潜血キットの性能として妥当と判断しております。
続いて、添付文書(案)の理解度に関する調査結果について御説明いたします。評価報告書10ページ中段マル2「理解度に関する調査の概要」を御覧ください。医療用から一般用への転用に当たり、一般用検査薬としての添付文書(案)の理解度に関する調査が、3回にわたり実施されました。理解度調査では、使用目的、使用方法、判定方法、検査時の注意事項、2日法に対する理解度を確認する目的の設問が用意され、90%以上の理解度が得られれば、十分な理解が得られたと判定する基準の下で調査が実施されております。
1回目及び2回目に実施された理解度調査のうち、理解度が79%で判定基準に満たなかった設問が1問あり、これは2日法の理解度に関する内容でした。その後の誤答者へのインタビューの結果、添付文書(案)の内容を理解していることが確認されたことから、理解度が低かった要因は設問の設定の仕方にあり、一つの設問の中で検査結果の判定、判定結果の解釈及び2日法の要否という三つの要素に対する理解を確認する形となっていたために、回答者が混乱し正答に至らなかったと考察されています。これを踏まえ3回目の理解度調査では、2日法の要否に限定した設問を設定したところ、100%の正答率が得られました。
総合機構における評価を11ページ上段に記載しております。総合機構においても理解度調査の内容を精査した結果、一連の設問の中で1日目の検査結果のみが得られた場合と、1日目と2日目で同一の検査結果が得られた場合のいずれを考えればよいのか、回答者が混乱する可能性は否定できず、本来一つの選択肢を選択すべきところ、複数の選択肢を回答した事例が認められたことを踏まえると、回答者の混乱により正答率が低かったとする提出者の考察には、一定の蓋然性があると考えられました。その上で当該設問のみを抜き出した再調査において、十分な理解度が確認されたことを踏まえると、2日法の重要性は正しく理解されており、添付文書(案)に基づき一般生活者が理解することは可能と判断いたしました。
以上の評価を踏まえ、総合機構の事前評価において、便潜血キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)については、一般用検査薬への転用、使用方法や性能、添付文書における使用上の注意の記載内容等に特段の問題はないと考えられ、本医療機器・体外診断薬部会で御議論いただくことが適切と判断いたしました。総合機構からの説明は以上です。欠席委員より御意見がありますので、一度、事務局に戻します。
○事務局 本日御欠席の鈴木委員より事前に御意見を頂いておりますので、机の上に一枚紙で配布いたしました配布資料を事務局より読み上げさせていただきます。
「便潜血キットの一般用検査薬への転用に関する要望」と題名の書かれた一枚紙です。御意見は3点あります。1点目です。体外診断薬の一般用医薬品への転用に向けた一般用検査薬ガイドラインについては本部会で了承されたとおり、業界が作成することとなっている。今回、作成された便潜血キットに係る一般用検査薬ガイドライン(案)も同様であるが、作成の過程において関連学会、医会への意見伺いを業界が行っており、業界の意向が強く反映されたものとなっている恐れがある。これは適切なガイドライン作成手順とは言い難い。一方、前回の黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン作成の過程においては、関連学会、医会の意見を厚生労働省から確認していた。よって、厚生労働省には本ガイドライン(案)について、改めて厚生労働省から関連学会、医会に意見を伺うこと、今後、新たな検査項目で一般用医薬品への転用の提案があった場合も、同様に意見を伺うことを強く要望する。また、関連学会、医会の意見を求める際、そこに所属する会員個人の見解ではなく組織決定された見解という形で提出をお願いし、本ガイドライン作成プロセスの質の担保を併せてお願いしたい。
2点目です。便潜血キットの一般用検査薬への転用に対して反対の立場を表明しているものではないが、便潜血という侵襲性が低く、簡便な検査項目ということで一般用検査薬の検査項目への追加のハードルが下がっていることが懸念され、そのような流れで適切な作成手順を踏まないのは問題である。また、昨今は企業から医療関係者への情報提供の在り方が別途問題になっているところであり(医薬品医療機器制度部会)、行政として慎重な対応をお願いしたい。
最後、3点目です。メーカー及び薬剤師には、検査後に判定結果が陽性であれば使用者が必ず医師の診察を受けることを徹底していただきたい。また、その実現に向けて、購入者に対する購入時のセルフチェックや、大腸ファイバーを受けることのできる近隣の医療機関を案内する等、具体的な方策について検討をお願いしたい。
鈴木委員からの御意見は以上です。事務局からは以上です。御議論のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、今の鈴木委員からの意見に特定せずに、まず、この議題に関する説明について、御質問等はございますか。
○事務局 事務局から、その要望に対する対応について、コメントがございます。
○荒井部会長 まずは意見を伺いますのでお待ちください。いかがですか。よろしいですか。それでは、鈴木委員から意見を頂いておりますので、そちらの対応や素案についての御発言をお願いします。
○事務局 改めて事務局です。一般用検査薬の転用に係る手続においては、本ガイドラインの作成のスキームは、先ほど御説明させていただきました当日配布資料1-2の通知がありますが、その通知に基づき、先ほど紹介した23ページにお示ししたとおり、今後、パブリックコメントを行い、頂いた御意見を踏まえて、再び次回の部会で御議論いただくこととなります。
一方で、一般用検査薬ガイドライン作成時において、関連学会や医会の意見の確認の方法については、本日御議論いただきたいと思いますが、次回以降、本日の意見も踏まえて何らかの整理を行いたいと思います。また、情報提供や適正使用の点についても、御指摘のとおり対応してまいりたいと思います。事務局からは以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。先ほどは特に御意見がありませんでしたので、今は鈴木委員からの御意見だけが俎上に載っている状況です。三つのポイントがあったかと思いますが、2点目と3点目については、これまでも繰り返し指摘されてきた事項かと思われます。1点目は、ガイドラインの作成過程の手続に関してで、特に鈴木委員が強く求めておられるのは、業界が学会に意見を伺ってガイドラインを作るのではなく、厚生労働省がそれを行うべきではないかという点です。この点について御意見はいかがでしょうか。ちなみに、今日この段階で何かを決めてしまう訳ではなく、今まで通り、手続にのっとってパブリックコメントを出し、その結果を踏まえ、この部会に再び戻ってくることになります。
ガイドラインの作成過程手続については、私も事前に考えました。薬局で販売されるという形になる際に、そのガイドライン作成のための情報収集と作成の作業を誰がやるべきなのか、厚生労働省が行うべきなのかという点です。現実には、遥かに扱いの難しい機器などについては、それを最終的に市販する業界が中心となって意見をまとめて骨格を作る作業を行い、それをこの部会が審議して判断を下すという手続きがとられています。一方、本件のような一般の消費者へ出回る機器の場合、多種多様な考え方があるでしょうから、そこで誰の意見を取り上げるかの判断は簡単ではなく難しい問題です。特定の学会や特定の医師が大きな声で主張された場合に、「それではそうしましょう」で済む話かというと、決してそうではない。むしろ、様々な専門の方々に集まって頂き、ニュートラルに議論できる場でこそ判断されるべきではないかと思う訳です。情報収集を誰が行うかではなく、その情報に基づきどのような判断を下すかが重要なのであり、単刀直入に申し上げれば、これこそ、「この部会がやらなくて誰がやるのか」というのが私の考え方ですが、いかがでしょうか。何か御意見はございますか。
特にありませんようでしたら、鈴木委員からの御意見も踏まえ、パブリックコメントを受けた段階で、また、この部会に戻ってきますので、そこで改めて検討させていただくということでよろしいでしょうか。
○医療機器審査管理課長 今回のこのガイドラインについては、これからパブリックコメントの手続に入りたいと思っておりますが、頂いた御意見は何らかの形で我々としても確認をさせていただきたいと思います。そちらについては改めて報告させていただきたいと思っております。
○荒井部会長 議論の度に、手順についての議論も繰り返すというのは余り効率的とは言えません。今回、一つの御意見を頂きましたので、そのような認識を持って、今、医療機器審査管理課長からも御説明がありましたように、余り複雑でない形で、とるべき手順をしっかりと詰めていくという方向で進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○村上委員 一つ確認させていただきたいのですが、現在の病院における臨床検査について、そのやり方と今回のやり方の違いは、どこが違うようになっているのでしょうか。同じ手法を使ってされているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 現在使われている同じ手法、医療のものと同じ操作方法になっております。
○村上委員 手法としては同じ方法を一般検査薬として適用したいと、そのような趣旨でよろしいわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○荒井部会長 そのほかよろしいですか。ありがとうございました。特に御意見がありませんようでしたら、これで議題1を終了させていただきます。それでは、以降の議題は非公開となりますので、傍聴の皆様は御退席をお願いします。準備が整いましたら、非公開案件の議題を始めさせていただきます。
-傍聴者退室-
○医療機器審査管理課長 それでは、再開させていただきます。
○事務局 当日配布資料を御覧ください。25ページから当日配布資料2となっていて、「競合品目・競合企業リスト」が32ページまであります。本日の審議事項に関する競合企業とて、当日配布資料2に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況についてお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づき、審議に参加できない委員は、議題5において、一色委員が該当しております。つきましては、一色委員におかれましては議題5に係る審議及び議決の間、別室にて待機していただくようお願いいたします。以上、御報告といたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明で御異議はありませんか。よろしければ、また議題に入らせていただきます。それでは、議題2ということで、「医療機器『グラフトンDBM』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として東京慈恵会医科大学整形外科講座の准教授、かつ附属病院(本院)の診療部長であられる斎藤充先生にお越しいただいています。斎藤先生、よろしくお願いします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題2につきまして御説明いたします。資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器グラフトンDBMの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いいたします。
まず、一般的名称の新設についてというタグを御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を伺い、新たに一般的名称を新設することとなっております。新設を予定する一般的名称は、「ヒト脱灰骨基質使用吸収性骨再生用材料」です。本名称は骨組織の再生を図る目的で、被覆、塗布、充填等により患部に適用されるヒト同種骨由来の脱灰骨基質使用吸収性材料を指します。1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあることから、高度管理医療機器に指定し、2.のとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものではないと考えられるため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えております。
なお、本品の承認に当たり、平成15年5月20日付け厚生労働省告示第209号、「厚生労働大臣が指定する生物由来製品及び特定生物由来製品」の一部改正を予定しており、「ヒト脱灰骨基質を含有する医療機器」を特定生物由来製品として指定することを予定しております。審議品目及び審査の概要については、総合機構より説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、「グラフトンDBM」について総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、当日配布資料3に記載している4名の専門委員の御意見を頂きました。
初めに品目の概要を御説明いたします。審査報告書5ページの「審議品目の概要」を御覧ください。本品は脊椎固定術や関節固定術等における自家骨移植の補助、骨折や骨腫瘍、採骨等により生じた骨欠損の補填等、骨組織の再生を図る目的で骨欠損部や空隙部の補填に使用するヒト脱灰骨基質使用吸収性骨再生用材料です。本品はヒト同種骨組織を脱灰処理して得られたコラーゲンを主成分とする脱灰骨基質(以下、「DBM」という)及びグリセロールから成り、審査報告書6ページの図1にお示ししたとおり、パティ状のタイプ1とブロック形状のタイプ2の2種類がございます。本日はサンプル品を御用意しておりますので、併せて御覧ください。
DBM、いわゆるコラーゲン主体の脱灰骨基質は骨再生過程において、その繊維構造により骨芽細胞の足場として機能し、材料表面に沿って骨を形成する骨伝導性を示します。また、BMP-2等の微量の成長因子により、筋肉内等、骨がない部位に埋植した際にも骨形成を誘導する骨誘導性を有することが、無胸腺ラットを用いたアッセイ系で示されております。本品は、最終的には骨のリモデリング過程で吸収、置換されていきます。
本品の使用方法は、審査報告書6ページの図2にお示ししたとおり、国内既承認の人工骨と同様に、自家骨や骨髄液、血液等と本品を混合して、本品自体に直接荷重がかからない用途で使用されます。
次に、本品の経緯について御説明いたします。審査報告書の6ページの「開発の経緯」を御覧ください。外傷や骨腫瘍等の骨欠損、脊椎手術等における骨移植では、免疫反応が起こらず、含有する骨芽細胞等により骨誘導能を有することから、自家骨が最も有用な骨移植材料として用いられています。続いて審査報告書7ページになりますが、一方で自家骨は主として腸骨、腓骨等から採取されることから、採取可能な骨組織の形状や採取量の限界等があり、更に採骨部の二次的侵襲による疼痛、感染、手術時間の延長及びそれらに関連する合併症等のリスクがあります。そのため、自家骨の補填又は代替となる骨移植材料の開発が行われており、現在本邦においては、自家骨に加え、同種骨及び人工骨が使用方法及び適用に応じて使用されております。
DBMは海外において骨補填材として広く使用されており、本品はグラフトンDBM製品の一つとして、米国Osteotech社、現Medtronic社により開発されました。米国において、1991年に販売が開始され、同等性評価に基づく510(k)制度の創設に伴い、2005年に承認を取得しており、現在は44の国・地域で販売されております。今回、本邦において骨補填材のバリエーションの一つとして本品を追加することで、治療の選択肢の幅を広げることを目的として本申請がなされたものです。
次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書の8ページより記載しています。本品の物理、化学的特性、生物学的安全性、安定性及び性能に関する試験成績より、本品の非臨床に関する特性を確認し、特段の問題はないと判断しております。
次に、本品の原材料及び製造工程について御説明いたします。審査報告書の12ページの「製造方法に関する資料」を御覧ください。本品の原材料であるヒト同種骨組織は米国骨組織バンク協会(以下、「AATB」という)及びFDAに登録された組織バンク4施設から受け入れており、AATB、FDA、Medtronic社の基準に基づいて、ドナーの適格性評価及び組織処理が行われております。また、製造工程における病原体の不活化/除去工程の設定や品質及び安全性を確保する上で必要な記録の保管等、生物由来原料基準の第3の3ヒト由来原料基準への適合性が確認されており、原材料としての安全性は確保されております。また、ウイルスクリアランス試験により、本品の製造工程におけるウイルス不活化/除去能が評価され、特段の問題はないことを確認しております。本品は海外において30年弱の臨床使用実績がございますが、これまでに本品に起因する感染症の発生は報告されておりません。
次に、本品の臨床成績について御説明いたします。概略は審査報告書13ページの中段以降に記載しております。本品は海外において30年弱の臨床使用実績があることを踏まえ、本申請においては米国における製造販売後臨床試験や文献調査、FDAの有害事象報告データベース情報から構成される臨床評価報告書が臨床成績に関する資料として添付されております。
審査においては、既存の人工骨と同様の使用方法が想定されることを踏まえ、主として本品が骨移植術等において骨癒合を阻害せず、骨補填材として使用可能であること、また本品特有の有害事象の発生がないことを評価いたしました。ここでは代表例として、1椎間後側方腰椎固定術における本品の有効性及び安全性を、自家腸骨と比較検討することを目的に実施された製造販売後臨床試験2202試験について御説明いたします。審査報告書13ページを御覧ください。
本試験は1椎間の変性脊椎すべり症で、脊椎インストゥルメンテーションによる固定術が必要な患者を対象とし、DBM群、すなわち本品と自家局所骨の混合物を移植材料に用いた群28例、ICBG群、すなわち自家腸骨を移植材料に用いた群13例で実施されました。有効性主要評価項目は、術後24か月時点の骨癒合率と設定され、審査報告書17ページの表5にお示ししたとおり、DBM群で24例(85.7%)、ICBG群で12例(92.3%)と、両群で統計学的な有意差は認められませんでした。
副次評価項目は、疼痛スコア全般的健康状態の評価法であるSF-36、腰椎疾患に対する疾患特異的評価法であるODIスコアが設定され、疼痛スコアについては左股関節及び臀部においてICBG群の腸骨採取による影響と考えられるスコアの差が認められたものの、それ以外の部位の疼痛スコアやSF-36、ODIスコアにおいては、両群ともに同様の改善度合いを示し、統計学的有意差は認められませんでした。
安全性評価については、審査報告書の21ページを御覧ください。有害事象はDBM群で10例(22件)、ICBG群で2例(9件)発現し、神経根性疼痛と何らかの疼痛の発現が多く認められたものの、頻度の高い事象はなく、本品に直接関連した事象も認められませんでした。以上の結果も踏まえ、局所骨を混合した本品は、1椎間の後側方腰椎固定術における移植材料の選択肢の1つになり得ると考えられました。
この試験のほかに、その他の部位、術式等で使用された海外製造販売後臨床試験データ、本品と形状の異なるグラフトンDBM製品の海外製造販売後臨床試験データ、FDAの有害事象報告データベース情報、文献調査結果から構成される臨床データが臨床評価報告書として取りまとめられており、それらのデータから本品の有効性及び安全性について特段の問題がないことを確認いたしました。
次に、本品の審査における主な論点について御説明いたします。審査報告書の56ページ以降を御覧ください。まず一つ目の論点は、「本品の有効性及び安全性、並びに海外臨床成績の外挿可能性について」です。本品の臨床成績に関する資料として提出された臨床評価報告書及び追加提出された海外臨床文献の成績から、先ほど御説明しました1椎間後側方腰椎固定術も含め、様々な術式において、本品を骨補填材として局所骨、自家腸骨等の自家骨や同種骨と混合して、あるいは代替として使用する際の有効性及び安全性は示されていると判断いたしました。
また、海外と本邦における本品の使用目的に対する既存療法や手術適応、医療環境、人種の違い等について、評価に大きな影響を及ぼすほどの違いはないと考えられたことから、海外臨床成績を本邦における本品の成績として外挿することは可能と判断いたしました。
二つ目の論点は、「本品の本邦における臨床的位置づけ及び導入意義について」です。本品は論点1で述べたとおり、骨補填材として自家骨や同種骨と混合あるいは代替として使用可能であることが示されておりますが、本邦においては同種骨の供給量が必ずしも十分ではないことから、自家骨採取が困難又は明らかに不足する症例に対して自家骨採取量を低減でき、自家腸骨や自家腓骨の代替として使用できることはメリットに考えられ、新たな治療の選択肢の一つとして本品を国内に導入する意義はあると判断いたしました。一方で、感染症伝播のリスクを完全には否定できない等のデメリットもあることから、実際の臨床使用においては既存の人工骨に全面的に置き換わるとは考えにくく、症例により使い分けがなされるものと考えております。
三つ目の論点は、「本邦における使用目的又は効果について」です。本邦における既存の人工骨の使用実態を踏まえますと、本品は既存の人工骨同様に骨欠損部、空隙部への骨補填材として幅広く使用されることが想定されます。しかしながら、申請時の使用目的には臨床評価報告書中に提示されていた関節固定術等の空隙部への使用が含まれてなく、本品の使用が想定される範囲を適切に含めることが必要と考えられました。また、提出された海外臨床成績からは、具体的な疾患名や対象年齢等、個別に規定すべき懸念事項は特段認められないことから、専門協議における議論も踏まえ、申請時の使用目的又は効果から、審査報告の61ページにお示しした使用目的又は効果に修正することが適当と判断いたしました。ただし、本申請においては口腔外科及び歯科領域の臨床成績の評価を行っていないことから、当該領域は使用目的に含めないこととし、また骨誘導能ついては動物モデルでは認められるものの、臨床成績からは直接確認することは困難なため、使用目的又は効果として積極的に骨誘導能をうたわないことが適切と判断いたしました。
最後に四つ目の論点は、「製造販売後安全対策について」です。少し戻りますが、審査報告書の59ページを御覧ください。本邦においてDBMは実質上使用されていないものの、本品の予定する使用目的においては既存の人工骨と同様の使用方法が想定され、海外の臨床成績からも使用方法に係る本品特有の懸念事項はないと考えられました。ついては、総合機構は実施医・実施施設要件及び適正使用指針の策定は不要であり、当該要件の遵守を求める承認条件の付与も不要と判断いたしました。また、海外において臨床使用実績は十分にあり、使用成績評価を実施したとしても新たに得られる知見は少ないと考えられることに加え、特定生物由来製品に指定される見込みであり、申請者からも患者の長期フォローアップ及びトレーサビリティ体制の構築を行う旨説明がなされていることも踏まえ、使用成績評価の指定は不要と判断いたしました。以上の審査を踏まえ、記載の使用目的により、総合機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。
前述のとおり、本品の使用成績評価の指定は不要と判断し、また本品は特定生物由来製品に該当すると判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 初めに、参考人としてお越しいただいている斎藤先生から追加の御発言を頂けますでしょうか。
○斎藤参考人 慈恵医大整形の斎藤と申します。追加の情報としましては、私ども整形外科医は、かなり骨移植、骨の欠損部に対する対応を常に迫られているわけですが、これまで我が国においては基本的に自家骨、腸骨や腓骨など、健常な部分の組織を取って、それを移植しておりました。非常に骨伝導能、誘導能は優れますので、非常にいい成績であるわけですが、同時に採骨部の骨はなくなるわけですし、特に腸骨から取るとかなり痛みが激しく、出血も多いということで、移植した先の症状はよくなっても、骨盤部の症状がつらく、なかなか退院できないこともよく経験するわけです。腓骨部についても再生はしませんので、幼若期であると、人工骨を入れると腓骨は再生するという報告もありますが、基本的にはそこの骨はなくなってしまいますので、若年期から高齢者において、そこの部分の骨を取るということは、少なからず整形外科医としてはなるべく取りたくないという気持ちがありました。
他国においては、同種骨が非常に一般的に用いられますので、その部分は余り自家骨を取るという風習はないわけですが、日本の場合は同種骨に関しては日本では三つの施設でのみ対応しておりまして、なかなか普及していない状況です。そのため、逆に人工骨に関する様々な種類のものが我が国では使えるようになっておりますが、あくまでもカルシウムの塊でありますので、それ自体に骨を置換する作用などはほとんどありませんで、そこに埋植した先の細胞が入ってきて、リモデリングの過程で骨に変わっていくという経路を取ります。その場合において、カルシウムの塊ですので、表面上はポア構造、マクロポア・ミクロポアというのがあって、細胞が入りやすいようにしているのですが、それを逆に壊してしまいますと、リモデリングが非常に遅れてしまうという欠点があります。再形がしにくい、チョークのように壊れてしまうということで、色々な形をした骨欠損部に人工骨のみで対応するのは、我々はなかなか難しい対応を迫られておりました。
今回のこのDBMですが、逆に骨からカルシウム成分を脱灰によって抜いておりますので、コラーゲンを主体とするパティのような状態のものと、軟らかい棒状のようなものということで、我々が使ったことのないもので、逆に自家骨や人工骨を植えた場合に、また生じてしまうような部位における使用などについて、非常に今までとは全く違った使い方ができるという点では、導入する意義はあろうかと思います。
それ以外には安全性の問題で、やはり感染症の問題が懸念されます。特に日本人はそうしたことを気にされる方が多いわけですが、それについては十分な説明と、使用が想定される場合には、説明と患者からの同意を頂くこと、また長期のフォローをしていくこともしっかり担保した上で、同意を得られた方に使用していくことになろうかと思います。以上が今回のDBMに関する整形外科から見たコメントになります。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御質問、御意見はいかがでしょうか。私が気になったのは、8ページの使用開始日を見ると、海外は30年という歴史があるようです。国によって色々な手続があると思いますが、これらを見ますと、国の承認のある、ないにかかわらず、世界中で当たり前に使われているという状況なのでしょうか。
○斎藤参考人 そうです。海外は同種骨の文化というか、他人のものを移植するということに関して障壁がない文化ですが、日本はそういったところで難しい国ということもあり、社会としてもそういうところに踏み込んでこなかった面があろうかと思います。海外においては一般的に使われているということです。
○荒井部会長 日本の場合は同種骨を余り使わなくて、これがないためにかなり苦労しておられるということですね。
○斎藤参考人 そうですね。自家骨、かなり骨盤を大きく削ったり、腓骨を取ったりせざるを得ないということです。特に、最近は人工関節などの再置換などの際に、相当大きな骨欠損を補填する場合に、骨の採骨量は限られておりますので、その点をどうするのか、同種骨を使わざるを得ない症例も増えてきているわけですが、今後こうした症例が増えてくると思いますので、こうしたプラスアルファのものがあると、整形外科医としては助かるということです。
○荒井部会長 中谷委員、どうぞ。
○中谷委員 補足です。これは組織移植の分野で、日本組織移植学会が2001年に設立され、このような同種弁や皮膚など心停止ドナーから提供される同種組織の摘出という形での提供や品質をどう担保するのかが課題でした。臓器移植に関しては臓器移植法で規定されましたが、組織移植に関しては規定されませんでした。そのため、どうするのかとなったのですが、日本組織移植学会でガイドラインを作り、骨も含めた同種組織移植に関してはAATBと同等の検査やトレーサビリティ等を確保することで、提供された組織を使うこととされたのですが、実際上はなかなか提供数が少ない状況です。
骨に関しては今言われたように、以前は2施設が骨バンクとして活動しており、トレーサビリティなどは厳格に保持していますが、それがもう1施設増えているが、現実的には提供される数が少なく、なかなか進まないのが現状で、実はこのような形のものが骨バンクや整形外科の方からは、何とか日本でもできないかという話は出ているのですが、現実には提供される数が少ないこともあってできないのが現状です。
このAATBで行っている管理は、結局は生物由来という形でのもので、ここにも書いてあるようなフォローが日本でもシステムとしては出来上がっています。ただ、それを使い製品とするためには、我が国では提供数が少ないため企業も乗れないというのが現状だと思います。そうした状況でこの製品が出てきたのだと思います。
○荒井部会長 そのほかの委員から御質問等はございますか。
○石井委員 本品の骨誘導能について確認させてください。動物を用いた試験では骨誘導能が認められるものの、臨床使用における骨誘導能は確認されていないということですが、それに基づいて添付文書等ではその点を過剰に記載しないという結論だったと御説明を頂いたと思います。添付文書では、「以下の特性により骨組織の再生を促す」という表現になっておりますが、この表現が適切かどうかということが1点と、骨誘導能が臨床で確認されていないというのは、今までの海外での使用実績も踏まえ、それをもってしても、まだ難しいということなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 骨誘導能に関しては、人においては直接的に筋肉内に異所性骨化を起こさせるなどの試験は実施することが不可能ですので、直接見ることはそうした点では難しいと考えております。そのため、今回はあくまでもプロバブルベネフィットという形での記載とさせていただいた次第です。
○荒井部会長 御質問の1点目についてはいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 骨組織の再生を促すということに関しては、本品はコラーゲンの繊維形状をしておりますので、骨伝導能ということに関しては確認できているということもありまして、骨組織の再生を書くことについては問題ないと考えております。
○荒井部会長 そのほかに御意見はいかがですか。
○寺﨑委員 神経の組織は含まれていないかと思うのですが、そこに神経が来ている可能性はあります。ヤコブ病などは、ほかの感染症は伝播する可能性があるということですが、小児にも使用となると長期になってから、30年後に発症することもあると思うのですが、その辺はどのようになっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 クロイツフェルトヤコブ病については問診で否定されていますし、組織採取の際にも、リスクの高い脳や脊髄とは接触しないような形でされています。
それから、記録の保管についても、特定生物由来製品に指定されれば、製造の記録は30年間保管されますので、そうしたところから晩年に発生したような感染性のリスクについても、きちんとトレーサビリティを確保して、安全性は担保されていると考えています。
○荒井部会長 そのほかはよろしいでしょうか。ある意味、これは医療機器に独特の判断かもしれません。臨床試験についても優越性を証明したわけではなく、非劣性が示されただけです。ただ、先ほど斎藤先生から御発言いただきましたように、臨床現場ではこれがなくて困っている。だから、「比較して劣っていないことが判ったのだから、選択肢に入れて構わないじゃないか」という判断だと思われます。
○斎藤参考人 補足ですが、後側方固定の臨床試験の御報告がなされましたが、後側方固定というのは脊椎、筋肉を開けて、そこに移植をするわけですが、ほとんど異所性骨化をどうにか誘導しようとする、骨の中に自家骨を埋める状況、骨髄がリッチな所とは全く環境が違うなど、かなり条件が悪い所で物を埋めていることになります。片方は自家骨で、片方は今回のDBMを入れているわけですが、確かに非劣性なのですが、それは人工骨の場合にそこを入れても、一切骨癒合することはありません。あくまでも、そういった細胞がない状態でも、少しの自分のボーンチップと、このDemineralized bone、コラーゲンを主体とするものによって骨が伝導されているということは、やはり人工骨では補いきれない能力はあると臨床的には考えます。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見はよろしいですか。よろしければ議決に入らせていただきます。医療機器グラフトンDBMについて、本部会として高度管理医療機器に指定して承認して差し支えないものとし、特定保守管理医療機器として指定しないこと、並びに特定生物由来製品として指定することとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定は不要ということとしてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会の方で報告を行うこととさせていただきます。これで議題2を終了いたします。斎藤先生、どうもありがとうございました。
○斎藤参考人 ありがとうございました。
-斎藤参考人退室-
○荒井部会長 議題3、「『Cool-tip RFAシステム Eシリーズ』」、議題4、「『RFAシステム』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」の審議に入らせていただきます。本議題の審議に当たり、参考人として国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長、周産期・母性診療センター長の左合治彦先生にお越しいただいています。左合先生、よろしくお願いいたします。
○左合参考人 よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、4について事務局から御説明します。資料3、4を御用意ください。ともに1枚目が諮問書です。医療機器「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」及び「RFAシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。本審議にあたっては、使用目的や品目の仕様等が類似しているため、併せて御審議いただきたく思いますが、議決に関しては、それぞれの品目についてお願いしたいと思います。審議品目及び審査の概要については、総合機構よりお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明します。初めに、当日配布資料4、「Cool-tip RFAシステム Eシリーズの専門協議委員リスト」及び当日配布資料5、「RFAシステムの専門協議委員リスト」を御覧ください。両品目の審査に当たり、3名の先生方に御意見を伺いました。また当日配布資料5、「新旧対照表」を御覧ください。事前に配布した審査報告書に修正がありますので、こちらにお示ししております。直前の修正となりましたことをおわび申し上げます。申し訳ありませんでした。
それでは、品目の概要を御説明します。Cool-tip RFAシステム Eシリーズ及びRFAシステムは、肝悪性腫瘍の凝固及び焼灼を行うラジオ波焼灼システムとして既に承認を取得しております。今般、両品目ともに無心体双胎を適応に追加するため、一部変更承認申請がなされました。このため両品目を併せて御説明します。
まず初めにお配りした資料3、「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ」一番初めのタグ、審査報告書を御覧ください。6ページ、図1に外観写真を掲載しております。本品は、電極により組織を穿刺し、凝固及び焼灼を行うラジオ波焼灼システムです。組織を穿刺するために使用する電極、電極に電源を供給するジェネレータ等から構成されております。電極の先端部は、針形状を有しております。
次に、お配りしている資料4、「RFAシステム」一番初めのタグ、審査報告書を御覧ください。6ページ、図1に外観写真を掲載しております。本品も、先ほど御説明したCool-tip RFAシステム Eシリーズと同様、電極により組織を穿刺し、凝固及び焼灼を行うラジオ波焼灼システムです。組織を穿刺するために使用する電極、電極に電源を供給するジェネレータから構成されております。先ほど御紹介したCool-tip RFAシステム Eシリーズと異なり、電極の先端部は全方向に展開する形状を有しております。組織を穿刺した後、術者がハンドルの末端部分を母体側に押すことで、先端部が展開されます。両品目の主な違いは、電極の先端部の形状であり、そのほかの仕様に大きな差異はありません。以降の説明は、両品目で重複するため、資料4、「RFAシステム」審査報告書を用いて進めさせていただきます。
審査報告書6ページ、また7ページ図2の模式図を御覧ください。本申請で適応に追加される無心体双胎と、無心体双胎に対するラジオ波焼灼術について御説明します。ラジオ波焼灼術は、以降、RFAと呼ばせていただきます。無心体双胎は、救命対象である健常な胎児が、無心体と子宮内で共存する状態を言います。無心体は、臓器構造を有さず体外では成育しない組織の塊です。健常な胎児は、胎盤内の異常な血管吻合を通じて無心体に血液を供給してしまうため、心負荷がかかり、進行すれば心不全から死に至ることもあります。健常な胎児の心臓が無心体へ血流を供給するポンプの役割を果たしてしまうことから、この健常な胎児はポンプ児と呼ばれております。ポンプ児の救命のためには、無心体への血流を物理的に遮断する必要があります。本品は、ラジオ波により無心体内の血流を物理的に遮断し、ポンプ児を救命する装置になります。
使い方は、まず、超音波ガイド下において、電極の先端部分を母体腹壁から穿刺し、子宮腔内まで進めます。その後、無心体の臍帯付着部周囲を電極の先端部分で穿刺し、ラジオ波で凝固及び焼灼します。これにより、無心体内の血流が遮断され、ポンプ児の心負荷の原因が取り除かれます。無心体双胎の発生頻度は、本邦で1年間に30症例程度と報告されており、そのうち本品の対象となる症例は、15~20症例程度と言われております。希少な疾患ですが、無心体双胎へのRFAは、既に国内外のガイドラインで推奨されており、適応外ではありますが、本邦の臨床現場において使用されております。この度、日本胎児治療学会、ほか2学会から早期導入の要望書が提出され、本品の適応拡大に関する一部変更承認申請がなされました。
次に11ページを御覧ください。非臨床試験成績については、電気的安全性及び電磁両立性に関する資料が提出され、特段の問題がないことが確認されました。なお、承認時から製品に変更がないため、本申請における物理的・化学的特性や生物学的安全性等については省略されております。それでは、13ページより、臨床試験成績に関する資料について御説明します。
本申請で提出された臨床試験成績に関する資料は、無心体双胎に対してRFAを行った場合の有効性及び安全性を、公表文献や国内外のガイドライン等により評価した臨床評価報告書です。無心体双胎に対するRFAは、国内外のガイドラインで推奨されている治療法であり、既に170例を超える治療が行われております。本邦において、本品の対象となる症例が年間15~20例程度であることを踏まえると、治験を実施することで有効性及び安全性に大きく影響するような新たな情報が得られる可能性は低いと考え、文献等による評価が行われました。
13ページ、表5を御覧ください。こちらの表は、公表文献の検索課題を示しております。検索課題A、無心体双胎に対して治療を行わない場合のポンプ児の予後。検索課題B、無心体に対してRFAを実施した場合のポンプ児の予後。検索課題C、無心体に対してRFAを実施した場合の母体及びポンプ児における有害事象について公表文献が調査されました。
調査の結果、検索課題Aについては15報が抽出されましたが、そのうち、診断方法が近年の医療環境と全く異なる2報は除外され、13報が評価対象とされました。検索課題B及びCについては20報が抽出され、その全てが重複しました。うち同一施設から重複して報告されていると考えられた8報が除外され、12報が評価対象とされました。評価対象とされた文献の概要は、15~18ページ、表8及び表9に示しております。
それでは無心体双胎に対するRFAの有効性について、19ページ冒頭(3)「無心体双胎に対するRFAの有効性に関する文献データの評価」を御覧ください。RFAを実施する適応があっても、待機的管理を選択した場合のポンプ児の生存率は42.9%と報告されていますが、無心体双胎に対してRFAを実施した場合のポンプ児の生存率は、海外では80%前後、本邦では85%を超えておりました。
次に無心体双胎に対するRFAの安全性について、19ページ中程(4)「無心体双胎に対するRFAの安全性に関する文献データの評価」を御覧ください。無心体双胎に対して行われるRFAの有害事象は、母体に発生するものとポンプ児に発生するものに分類されます。RFAに伴って発生したと考えられる母体の有害事象は、表10に記載してあるとおり、対極板貼付部位の熱傷、子宮内感染症、絨毛膜羊膜炎が報告されていました。そのほか、母体への重篤な有害事象は報告されていませんでした。ポンプ児に発生する有害事象としては前期破水、早産、流産、子宮内胎児死亡、術後血流再開による再実施、新生児死亡が報告されていました。
続きまして、今回申請された2品目について、各品目の有効性及び安全性を御説明します。まず、RFAシステムについて、資料4、「RFAシステム審査報告書」20ページ中程、表12を御覧ください。RFAシステムを用いて、無心体双胎に対するRFAを実施した40症例の妊娠転帰を示しております。生存率は85%であり、ほかの報告の成績と同様でした。安全性についても、本品に特異的に発生した有害事象の報告はなく、ほかの報告の成績と同様でした。次にもう1品目のCool-tip RFAシステム Eシリーズについて、資料3、「Cool-tip RFAシステム Eシリーズ審査報告書」20ページ冒頭、表13を御覧ください。Cool-tip RFAシステム Eシリーズを用いて、無心体双胎に対するRFAを実施した25症例の妊娠転帰を示しております。生存率は88%であり、ほかの報告の成績と同様でした。安全性についても、本品に特異的に発生した有害事象の報告はなく、ほかの報告の成績と同様でした。
次に、本邦での治療実態をお示しします。以降の御説明は、再度両品目で重複するため、資料4、「RFAシステム審査報告書」に戻って説明を続けさせていただきます。21ページ冒頭、表13を御覧ください。本邦において、無心体双胎に対する治療が実施された73症例の結果を示しております。無心体双胎に対する治療として、RFAが最も多く行われており、生後30日時点での生存率は88%と、他の報告と大きな差異はありませんでした。次で臨床試験成績に関する資料は最後となります。21ページ(7)「無心体双胎に対するRFAの国内外での公知性」を御覧ください。国内の産婦人科診療ガイドライン、海外のSMFMガイドラインで無心体双胎に対するRFAが推奨されております。また、表14に示しているとおり、そのほかの教科書や、マニュアル等でも無心体双胎に対するRFAは治療法として記載されております。
審査における本品の有効性及び安全性に対する評価結果を報告します。22ページ冒頭、(1)「本品の臨床評価を文献で行うことの妥当性について」を御覧ください。先ほど御説明したとおり、無心体双胎に対するRFAは、国内外のガイドラインで推奨されている治療法です。既に国内外で170例を超える治療が行われており、本邦において、本品の対象となる症例が年間15~20例程度であることを踏まえると、治験を実施することで有効性及び安全性に大きく影響するような新たな情報が得られる可能性は低いと考えます。そのため、専門協議の議論も踏まえ、無心体双胎に対するRFAの有効性及び安全性を文献等により評価することは妥当であると判断しました。
次に25ページ冒頭、(1)「本品の有効性及び安全性」を御覧ください。無心体双胎に対するRFAにより、ポンプ児の生存率が向上したことが確認されました。安全性について、母体に対しては、対極板貼付部位の熱傷や感染症が主に報告されましたが、使用方法の遵守と適切な術後管理によりリスク低減が可能と考えられました。ポンプ児に対しては、前期破水や早産が主に報告されましたが、治療行為のない通常の分娩と比べ、子宮内に電極の先端部分を穿刺せざるを得ないため、一定程度の発生は避けることができない事象と考えます。しかしながら、治療を実施しない場合のポンプ児の予後は非常に悪く、生存率は42.9%と報告されていますが、無心体双胎に対してRFAを実施した場合のポンプ児の生存率は海外では80%前後、本邦では85%を超えていることから、前期破水や早産のリスクよりも治療のベネフィットが上回ると判断しました。
続きまして、製造販売後の安全対策についてです。25ページ中程、(2)「製造販売後安全対策」を御覧ください。無心体双胎は希少な疾患で、無心体双胎に対するRFAが行われてきた施設は限定されております。そのため、適応外使用ではありますが、これまで十分な知識と経験を持った医師により、不測の事態に対する母子への対応が可能な施設において治療が行われてきました。よって、製造販売後においても、これまでと同様に治療が行われることが必要と考えます。また、本品の使用に係るリスクを最小限にするため、治療実施の可否や治療時期を適切に判断し、インフォームドコンセントを取得することも重要と考えることから、関連学会と協力の上作成された適正使用指針を周知、遵守することが必要と考え、承認条件を付すことといたしました。
最後に、使用成績評価について、25ページ下、(3)「使用成績評価」を御覧ください。臨床評価報告書に記載された本邦での使用経験は、これまで実臨床の中で使用されてきた経験を取りまとめたものであること、無心体双胎が希少な疾患であること、製造販売後に収集できる症例数は限定されることから、使用成績調査で得られる情報により新たな安全性上の懸念が特定される可能性は低いと考えます。なお、RFA実施後に出生したポンプ児の長期予後に関する情報は限られていますが、早期導入の要望を提出した関連学会により情報収集が行われ、必要に応じて関連学会から医療現場へ提供される予定です。また、申請者も関連学会が行う長期予後に関する調査結果を踏まえ、必要に応じてリスク低減措置を行うことを説明しています。よって、関連学会を中心として、RFA実施後に出生したポンプ児の長期予後に関する情報収集と、当該情報に基づいた本品のリスク低減措置が実施されるため、本品の製造販売後の安全を担保する上で十分と考え、本品の使用成績評価の指定は不要と判断しました。以上の審査に基づき、本品に係る適応追加を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは初めに、参考人としてお越しいただいた左合先生から追加の御発言をお願いします。
○左合参考人 無心体双胎と言うと、皆さんはなかなか想像がつかないかと思われますが、資料の7ページにあるように、双胎と言っても、片方は健常児ですが、片方は無脳児というものではなく、全く初期の発生の過程における発生異常で、頭蓋はもちろんですし、心臓も本来の形態を持ちません。ただ、胎盤吻合部の血管の所の異常があって、ポンプ児の方から無心体の方へ血流が行くことによって、無心体の方が肉の塊ですが、さらに大きくなっていく。そのことにより、ポンプ児に心臓の負荷や羊水過多、そういうものを起こしてしまうというまれな病態なわけです。
これに関しての治療は、長いこと色々な試みがありました。このまま放っておくと、生存率として40%、生きても早産になったり、片方の児(ポンプ児)に非常に心負荷がかかったり、非常に重篤な病態で、これに関して、昔はこちらの無心体を取り出すなど試みられましたが、成績が非常に悪いわけです。このまま放っておけないので、色々トライし、そこへ血流が行くことで悪くなるので、血流をいかに止めるかということで様々なデバイスが出てきて、ようやく、ラジオ波が今のところ妥当で、最も救命しやすいだろうということで我々も用いております。これは胎児治療の一つの方法です。胎児治療は何でもしようということではなく、そのままでは赤ちゃんが亡くなってしまうもの、若しくは、治療を早くしないと生後非常に重篤な障害を残すものというもので、このものは、ポンプ児をそのままで置いておくと亡くなり、非常に重篤な障害を起こしてしまうことを何とか救命しようというものです。
これ自身は技術としては針を刺してということですが、超音波で適切な所にきちんと刺すという技術が必要になります。現在、周産期においては、これはどのような形で見つかるかというと、双子で片方の子が亡くなっているとか、しかし、なかなか小さくならずに大きくなるという形です。現在も周産期はなかなか産科医不足で色々聞かれていると思いますが、双子に関しては、ほぼ周産期センターで管理するようになってきていますので、このような疾患に関しては高次医療機関へ送られ、そこからまた紹介されて、胎児治療を専門とする施設で行うことになると思います。超音波できちんとできるということで、大体、我々は行う施設や人たちの顔は見えています。そういう現場から胎児治療学会、周産期・新生児学会、日本産科婦人科学会に上げて、そちらからも何とかしてと要望しています。現場として今行っている手術で、そして少子化対策として、いかに今いる児を健常な児として出すかが大きな課題になっております。そのようなものとして、非常に治療成績の良いものだと捉えております。行うのも、施設としてはある程度限定されていますので、そうした形できちんとできると思います。
予後に関しては悪くないのです。ただ、はっきり世界中調べられていません。その原因はどのようなことかと言うと、全国から我々の所に来るのですが、戻って行って、その後、悪い児だと色々な情報が入ってくるのですが、逆に良い児だとフォローアップがなかなかうまくいかないことです。そのことは、これをきちんと学会の方で、この先全面的に協力し、我々の所も予後の長期的フォローを取ろうという形で、これを機会に何とかしたいと思っております。保険にならないというか、申請が取れていないということで、現場としては行っているのですが、そういうお墨付きがないことで困っておりますので、是非、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御質問等はありますか。いかがですか。
○梅津委員 こういう希少疾患に対して、臨床の現場から声が上がり、部会で審査し、早めに患者に届けるというのは、この部会の趣旨としては非常に理想的なことだろうと私は思います。私が思ったのは、年間30症例程度ある中で、なぜこれは15~20例程度が適応症例になり、ほかの症例はなぜ駄目なのかを教えていただきたいと思います。
○左合参考人 血流がある所で止まる症例もあるのです。ここの適応にしてあるように、何もしなくてそのまま行くような症例はわざわざ治療する必要がないため、そのような例があるということです。それはドップラーで血流がそちらへ行っていることをきちんと診ることと、それとともに、無心体が非常に大きいものはポンプ児に悪さをするのですが、無心体という形であっても、血流が非常に少なかったり、なかったり、非常に小さいものは悪さをしないので、大きいものを治療適応にする。胎児治療ですので、どうしても針を刺しますので、リスクもゼロではありません。要するに、治療をした方がメリットのあると思われるものに対して治療を行いますので、そういうことにより、全てがなることではないということです。
○荒井部会長 そのほかに御質問はいかがですか。
○一色部会長代理 私も非常に有意義なことだろうと思っております。施設が限られていることはお聞きしたのですが、昨今、色々な方法について、施設基準のようなものを明確にし、それに沿って行われる動きが主流かと思いますが、これは明確にはされなくてもよろしいということですか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの適正使用指針の方で、実際の施設基準も明記する予定になっておりますので、そちらでも特定はされております。
○一色部会長代理 きちんとした形で明記されるということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○一色部会長代理 ありがとうございました。
○荒井部会長 そのほかはいかがでしょうか。一つ、これは医療機器に共通の点ですが、機器の機能自体はどこの臓器や部位でも同じはずなのですが、ここに掲げられている添付文書では、肝悪性腫瘍と無心体双胎が並列となり、かなり唐突な印象を否めません。他の部位にも使われるであろうことは容易に想像されるのですが、どうしても現行の決め方でいけば、ここだけ、ここだけという形にならざるを得ない訳ですね。結果としては、先ほど御意見を頂いたように、臨床現場からの強い要望があって、文献検索でも十分な裏付けがあるということで、本日上げられた訳です。御意見はよろしいでしょうか。よろしければ、議決に進みます。これは二つありますので、同じことを申しますが、別々に議決させて頂きます。医療機器Cool-tip RFAシステム Eシリーズについて、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいですか。また、使用成績評価の指定も不要とすることとしてよろしいですか。
続きまして、医療機器RFAシステムについて、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいですか。また、使用成績評価の指定も不要とすることとしてよろしいですか。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も、分科会にて報告を行うこととなっております。それではこれで議題3、4を終了します。左合先生、どうもありがとうございました。
○左合参考人 どうもありがとうございました。
-左合参考人退室-
○荒井部会長 引き続きまして、議題5、「医療機器『植込み型補助人工心臓EVAHEART』の使用成績評価の指定について」に進みます。本議題については、先ほどの薬事分科会審議参加規程第12条の規定に基づいて、一色委員には別室での待機をお願いする形となります。それでは、事務局から説明をお願します。
-一色委員退室-
○事務局 事務局より議題5、医療機器「植込み型補助人工心臓EVAHEART」の使用成績評価の指定について御説明いたします。資料5を御用意ください。表紙のページが諮問書になります。次ページ、今回、使用成績評価の指定について御審議いただく品目の概要です。申請者は株式会社サンメディカル技術研究所です。品目の概要の欄を御覧ください。本品は、心臓移植適応の重症心不全患者に対して、心臓移植までの循環改善に使用される植込み型の補助人工心臓です。本品は、血液ポンプやインフローカニューレ、アウトフローグラフトなどから構成されていますが、インフローカニューレの形状が第一世代モデルから第三世代モデルに分かれます。今回は心腔内に突出しない先端形状を持つ第三世代モデルの申請がなされました。その下を御覧ください。
今回の申請の概要をまとめております。本品の第一世代モデルを承認以降、臨床試験の継続症例及び市販後調査において神経機能障害の発生が確認されたことから、申請者は、血栓による神経機能障害発生リスクの低減化策としてインフローカニューレの改良を進めてまいりました。
今回の第三世代モデルの申請に関しては、臨床試験データは提出されていませんが、非臨床試験成績から第二世代モデルと同等以上の抗血栓性を有することが示唆されており、第三世代モデルの一定の有効性及び安全性は担保されていると考えています。また、関連学会より早期承認要望書が出されていることからも、第三世代モデルの臨床上の必要性は高く、安全対策上の措置としても第三世代モデルを迅速に導入する必要性は高いと考えています。しかしながら、市販後安全対策として、神経機能障害の発生率などを引き続き確認する必要があるため、第一世代及び第二世代モデル承認時に求めた使用成績調査と同様の考え方に基づき、調査期間を5年とする使用成績評価を求めることが妥当であると考えています。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 御意見、御質問等はいかがでしょうか。
○中谷委員 これは、形状がずっと変わってきているのですが、実際上、今、説明されたような形で期待できると私も思います。ただ、臨床試験をどのような形でされるのかですけれども、特に初めて使われる形ではあると思いますので、早めにどこかの時点で比較的短期間で、そして、ある程度の症例で実施された段階でその成績について検討し、特に問題がないことを確認するようなステップを最初から組み込まれておかれれば、更に安全にできるかと思います。初期経験例でも検討結果を各施設に情報として流すことを最初から明確にしておいた方が、より安全に速やかに進められるのではないかと思いますので、是非、そのようにしていただければと思います。
○荒井部会長 今、御指摘の点についていかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思っています。
○荒井部会長 先ほど説明がありましたように、あえて臨床データが必要かについては、非臨床データではありますが、血栓形成などに関するかなり突っ込んだ実験系を踏まえた上での結果があるということで委員の先生方も御理解いただいているのではないかと思います。中谷委員の御意見は、されは良いとしても、実際にイン・ヒューマンで行われた際にどのようなことが起こるかを、早めにチェックした方が良いという御指摘です。よろしく、御検討下さい。ほかに御意見はいかがですか。
それでは、特に御意見はないようですので、議決に移ります。医療機器「植込み型補助人工心臓EVAHEART」の使用成績評価は、期間を5年として指定することとしてよろしいでしょうか。ただ、先ほど御意見があった点を、一応御検討いただければと思います。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も分科会にて報告を行うこととしております。それでは、議題5を終了いたします。一色委員に入室をお願いします。
-一色委員入室-
○荒井部会長 それでは、議題6、「医療機器『放射性医薬品合成設備 MPS200Aβ 』の使用成績評価期間の延長について」、審議を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より、議題6、医療機器放射性医薬品合成設備 MPS200Aβの使用成績評価期間の延長について御説明いたします。資料6を御覧ください。表紙のページが諮問書です。次ページの表の中段に、今回御審議いただく品目の概要があります。申請者は住友重機械工業株式会社です。本品は、脳内アミロイドβプラークを撮像するPET用トレーサ、florbetapirを合成する医療機器で、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内アミロイドβプラークの可視化に用いるものです。
本品は、平成27年6月12日に開催された本部会において御審議いただき、3年の使用成績評価を行うことで承認されたものになりますが、使用成績評価に十分な症例が集まらなかったため、追加で4年の延長を行うことの可否について御議論いただきたいと思っています。延長期間としては、今後の推定症例の登録数から見積もって4年とすることが妥当であると考えています。以上の内容について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 御意見はいかがでしょうか。余りにも速かったので、よく分からなかったのですが、何例を集めようとしたけど、実際には読みが甘かったので集まらなかった、そこで、どんな見通しで今回延長したのか、その辺を具体的に教えていただけますか。
○事務局 過去に本部会で承認いただいた際には、〇症例を集めることを目標として使用成績調査期間3年を設定させていただきました。今回、この品目ですが、〇週間に〇回稼動することができて、〇週間に〇症例を少なくとも集めることができると見積もっております。その計算から、〇症例を集めるのに3年6か月ほどの期間が必要であるという計算を行い、解析期間などを含め4年間の延長が妥当であると考えております。
○荒井部会長 いかがでしょうか。正直なところ、この類のものは予定より大抵遅れますよね。そうすると、やや微妙で、3年何か月で4年としておいても、4年たったところで、「まだ数例足りないため1年延ばしましょう」という話になりそうなのですが、そういう風に延長を繰り返していくことに関しては別に構わないのですね。
○医療機器審査管理課長 それがいいかどうかはまた別ですけれども、だからといって、最初からこの倍にするのもどうかと思いますので、そこはその都度御審議いただくことにしたいと思います。
○荒井部会長 では、そのような理解で進めましょう。特に御意見はありませんでしょうか。よろしいですか。
それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただきたいと思います。本件は、本部会での審議の結果を踏まえて、次の薬事分科会で報告を行うこととさせていただきます。これで、議題6を終了いたします。
次に、議題7、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題7、資料7-1から資料7-3に基づいて御説明いたします。資料7-1が一番上にある資料として全てまとめて配布させていただいておりますので、御用意ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器であり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、また、その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて御審議いただいています。
今回は医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが3品目あります。まず、3ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は、角膜曲率変動測定計です。これは眼の前面に直接装着し、角膜曲率の変動を検出するために用いる器具です。
2ページに戻っていただきます。当該医療機器について使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため新設することになりました。本品はクラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えています。また、特定保守管理医療機器の指定の要否については、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため非該当であると考えています。
資料7-2に移ります。9ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、吸入麻酔薬投与用人工鼻です。これは受動的なキャニスタ型の器具で、患者の人工気道に沿って接続した場合等に、異物を除去し、患者の呼気の熱と水分を捕捉し、これらを利用して吸気ガスを加温及び加湿するとともに、吸入麻酔薬を気化し吸気ガスを介して投与するために用いる非能動型の器具です。
8ページにお戻りください。当該医療機器について使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため新設することになりました。本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えています。また、保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は非該当と考えています。
最後に、資料7-3に移ります。15ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、人工関節置換術用荷重センサユニットです。これは人工関節置換術において術者の補助具として使用するもので、術中にセンサを手術部位に直接設置し、動きの程度に比例した荷重及び動態等の位置情報を表示するものです。
14ページに戻っていただいて、当該医療機器について使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため新設することといたしました。本品はクラスIIの管理医療機器に指定されるべきもので、特定保守管理医療機器の指定の要否については保守点検を行う必要がないため非該当と考えています。以上、3点について御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 三つの医療機器ですが、御質問、御意見等はいかがでしょうか。最初の角膜のものがクラスIIIですね。よろしいですか。ありがとうございます。特に御意見がないようですので議決させていただきます。三つありまして、ひとつずつ行っていきます。角膜曲率変動測定計を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。
吸入麻酔薬投与用人工鼻を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。
人工関節置換術用荷重センサユニットを管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて文書報告を行う予定となっております。これで議題7を終了いたします。
次は、議題8、「医療機器の再審査結果について」です。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題8、「医療機器の再審査の結果について」御報告いたします。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則新しい医療機器についての再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
今回は再審査結果の報告が4件あります。順に御説明いたします。資料8-1を御用意ください。販売名はMerci リトリーバー、申請者は日本ストライカー株式会社です。本品は、急性期虚血性脳梗塞(原則として発症後8時間以内)において、組織プラスミノーゲンアクチベーターの経静脈投与が適応外、又は組織プラスミノーゲンアクチベーターの経静脈投与により血流再開が得られなかった患者を対象として血流の再開通を図るために使用する医療機器で、平成22年4月30日に承認されました。本使用成績調査では、本品の臨床使用実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性及び有効性等を確認することを目的として2,462例が評価対象となりました。医療機器の不具合、安全性及び有効性について調査したところ特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しています。
資料8-2を御用意ください。2件目は、販売名はコッドマン エンタープライズ VRD。申請者はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。本品は、塞栓コイル単独のコイル塞栓術等では治療困難なワイドネック型脳動脈瘤のうち、未破裂脳動脈瘤を有する患者にコイル塞栓術時のコイル塊の親動脈への突出・逸脱を防ぐために使用する医療機器です。平成22年1月8日に承認されました。
本使用成績評価では、本品の臨床使用実態下における不具合発生状況、安全性及び有効性を確認することを目的として743例を調査対象としました。医療機器の不具合発生、安全性及び有効性について調査したところ特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
資料8-3を御覧ください。3件目は、ニューロフォーム ステントについてです。申請者は日本ストライカー株式会社です。本品は塞栓コイル単独のコイル塞栓術等では治療困難なワイドネック型脳動脈瘤のうち、未破裂脳動脈瘤を有する患者にコイル塞栓術時のコイル塊の親動脈への逸脱・突出を防ぐために使用する医療機器です。平成24年9月28日に承認されました。本使用成績評価では、本品の臨床使用実態下における本品の安全性及び有効性等を確認することを目的として330症例を評価対象としました。医療機器の不具合発生及び有効性及び安全性に注意して調査したところ特段の問題はありませんでした。このため薬事法第14条第2項第3号イからハのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
最後に、資料8-4を御覧ください。ヒストアクリルについてです。申請者はビーブラウンエースクラップ株式会社です。本品は、胃静脈瘤の内視鏡的血管内塞栓材料として用いる医療機器で、平成25年4月12日に承認されました。本使用成績評価は、本品の臨床使用実態下における本品の安全性及び有効性を確認することを目的として101症例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ特段の問題はありませんでした。このため薬事法第14条第2項第3号イからハのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な御説明とさせていただきました。以上、御報告とします。
○荒井部会長 四つの製品で、脳の塞栓の除去と、ワイドネックのコイルを入れる際の逸脱といいますか、外へ飛び出すのを防ぐもの、最後が胃静脈瘤に対する内視鏡で使う塞栓物質です。特段問題がないという報告ですが、よろしいでしょうか。御意見はありませんか。
ありがとうございます。それでは、これで議題8を終了いたします。次は議題9、「優先品審査品目について」事務局から説明をお願いします。
○事務局 報告事項の議題9、優先審査品目について1品目を御報告させていただきます。資料9を御覧ください。一般的名称は新設予定、販売名はWATCHMAN左心耳閉鎖システム、申請者はボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社です。本品は、血栓塞栓症発症リスクの高い非弁膜症性心房細動患者における、左心耳内血栓に起因する虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症を抑制することを目的とした医療機器です。本品は、平成29年4月28日に開催された第27回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会において、我が国が早期に導入すべき医療機器に選定された品目です。当該検討会における評価に基づき、本品は適応疾患が重篤であり、既存の医療機器と比較して有効性又は安全性が優れているものとして優先審査品目に指定しましたので、御報告いたします。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。今、説明いただいた資料9に書いてあるような心房細動の際に血栓ができてこないように、出っ張った心耳の所に蓋をするような形のデバイスです。これがニーズ検討会の方で優先審査品目になったということですが、特に問題はありませんか。御意見はよろしいでしょうか。よろしければ、これで議題9を終了します。最後に、議題10、「部会報告品目について」、事務局から説明をお願いします。
○事務局 最後の議題10、「部会報告品目について」資料10-1及び18ページから始まる資料10-2に沿って御説明いたします。横向きの資料です。平成30年1月から平成30年3月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外となっている体外診断用医薬品など本部会の報告対象となっている品目についてまとめています。医療機器62品目については、資料10-1に記載しておりますが、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な御説明は割愛いたします。
体外診断用医薬品5品目は、18ページから始まる資料10-2に記載しています。新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等重要なものについては備考欄に内容を記載していますが、こちらも詳細については割愛させていただきます。報告は以上です。
○荒井部会長 今の議題10、資料10について、委員の皆様から御意見、御質問等はいかがですか。よろしければ、これで議題10を終了します。本日は議題の数が多かったのですが、お陰さまでこの時間に終えることができました。御協力に感謝申し上げます。それでは、最後に事務局から連絡事項等をお願いします。
○事務局 平成30年2月28日医療機器・体外診断薬部会におけるご意見への対応について報告させていただきたいと思います。「平成30年2月28日医療機器・体外診断薬部会におけるご意見への対応」という資料を御用意ください。平成30年2月部会において、医療機器「コアバルブEvolut R」について適正使用に関する御意見を頂きまして、それに対する対応について御報告いたします。
本品は、いわゆるTAVI弁ですが、2月の部会において外科的に留置した生体弁に対する適応追加について御審議をいただいたところです。まず、1.の本品の適応患者をより具体的にする必要があるのではないかという点についてですが、添付文書の使用目的又は効果に関連する使用上の注意に、以下のように追加し、より適正な患者選択を求めることとしたいと考えております。具体的には枠内のような記載で注意喚起することを考えております。1.における注意喚起に加えて、2.に関しては、実際に適切な患者に使用されているかどうかレビューすることを考えております。内科系、外科系の4学会で構成されるTAVR関連学会協議会を中心にレジストリについてレビューを行います。メンバーとしては、TAVR関連学会及び第三者として統計家等を予定しております。適応対象でない使用がある場合に関しては、聞取り調査等を行い、調査の結果、不適切使用が確認された場合に関しては是正を促すような対応を考えております。本品の適正使用に関する御報告は以上でございます。
○荒井部会長 説明がありましたように、2月28日のコアバルブEvolut Rについて頂いた御意見に対する対応についての説明ですが、いかがでしょうか。
○一色部会長代理 バルブ・イン・バルブという特殊な状況で、大して狭くない症例に対してもどんどん入れられることがないようにという御指摘だったかと記憶しておりますけれども、TAVIについては評議会がきちんと管理されておりますし、これだけ明解に記載されておられれば、まず、間違いなく管理できるのではないかと考えます。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。御意見等はありませんか。では、この件については、今、報告いただいた適正使用に関する報告をこの部会としても承認し、それに関して特に御意見がないということでまとめさせていただきたいと思います。それでは、管理課長、どうぞ。
○医療機器審査管理課長 次回の部会については10月頃を予定しております。また、詳細については御連絡申し上げたいと思います。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 長時間の御審議をありがとうございました。これをもちまして、本日の部会を終了させていただきます。
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 田中(内線4226)

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