ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2018年5月11日)

 
 

2018年5月11日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成30年5月11日(金)14:00~

 

○場所

厚生労働省専用第15会議室

○出席者

出席委員(16名) 五十音順

荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 梅 津 光 生、
北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、  齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
正 田 良 介、 寺 崎 浩 子、  中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、
蓜 島 由 二、 菱 田 和 己、  村 上 輝 夫、 渡 邉 和 久
(注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人5名
 

欠席委員(6名)五十音順

◎荒 井 保 明、 小 西 郁 生、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
 濱 口    功、 桃 井 保 子
 

行政機関出席者

宮 本 真 司(医薬・生活衛生局長)
森    和 彦(大臣官房審議官)
中 井 清 人(医療機器審査管理課長)
佐 藤 大 作(医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
森 口    裕(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)  他
 

  

○議事

 

○医療機器審査管理課長 それでは定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。先生方におかれましては、御多用中どうもありがとうございます。現時点で15名の先生に御出席いただいております。齋藤委員はまだ連絡がございませんが、恐らく少し遅れての御参加かと思いますので、審議会令に基づく定則数を満たしておりますことを御報告申し上げます。本日は、部会長である荒井先生が御欠席のため、一色部会長代理に議事の進行をお願いいたします。
部会を開催する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条の適合状況の確認結果について御報告させていただきます。第11条におきましては、委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合は辞任しなければならないと規定してあります。今回、全ての委員の先生方から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告いたします。先生方におかれましては、会議の開催の都度、書面の提出を頂いており、御負担ですが、何とぞ御理解、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
○事務局 次に、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、2については会議を公開で行い、議題3以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
続いて、配布資料の確認をいたします。メインテーブル向かって左側に置きましたのが本日の資料です。上から順番に議事次第、配布資料一覧、座席表、裏面が委員名簿となっています。2枚目の配布資料一覧に沿って御説明いたします。上から順にホチキス留めの資料1-1と書かれたものが資料1、資料2-1と書かれたホチキス留めのものが資料2です。その下の分厚いものが資料3、資料4、資料5になります。その下が1枚の紙で資料6、ホチキス留めされた資料7、その下に資料8-1から8-4までそれぞれ個別にホチキスで留めたものがあります。その下に資料9-1と9-2が1枚紙として付いており、最後に参考資料として薬事分科会審議参加規程があります。お手元の右側にホチキス留めしたもので当日配布資料一式を置きましたので、過不足等があれば事務局までお知らせください。
また今回、議題2でお越しいただいている参考人の御都合により、議題1と議題2の順番を入れ替えて御報告させていただきます。それでは、以降の進行について一色委員、よろしくお願いいたします。
○一色部会長代理 本日は、私が代理で進行役を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。資料はおそろいでしょうか。よろしければ、これより議題に入ります。
それでは議題2、「一般用黄体形成ホルモンキットの市販後適正使用調査結果報告書(1年目中間報告)について」に入ります。本議題の審議に当たり、参考人として日本産婦人科医会副会長の今村定臣先生、日本臨床検査薬・日本OTC医薬品協会の漆間重義部長のお二人に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。まずは事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2について、事務局から御説明いたします。資料の構成ですが、1、2ページの資料2-1と3ページ以降の資料2-2に分かれています。資料2-2は、日本臨床検査薬協会から御提出いただいた資料で、事務局でこの資料をまとめたものが資料2-1となります。3ページにあります期間中の出荷数量の部分は非公表のデータとされているため、傍聴の皆様の資料では黒塗りとさせていただいておりますので、御了承ください。本日は資料2-1に沿って説明を行いますので、資料2-1を御覧ください。
まず、1ポツで記載をしている「経緯」です。体外診断用医薬品の一般薬への転用については、本部会で考え方や手順を御議論いただき、平成26年にその議論の結果を取りまとめました。手順といたしましては、検査項目ごとに使用上の注意や使用方法などを定めたガイドラインを策定し、そのガイドラインに沿って個別の製品の評価をするという形になっています。
平成28年に黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドラインを策定しましたが、このガイドライン(案)を本部会で御議論いただく中で、本検査薬が排卵日予測の補助ではなく、避妊の目的で不適正に使用される懸念などが指摘されました。このような点について、2年間の適正使用調査を実施することとされ、現在実施をしているところです。この度、臨床検査薬協会より適正使用調査の1年目として2016年11月15日から2017年11月14日までの結果が提出されましたので、御報告いたします。
概要ですが、2ポツの部分を御覧ください。適正使用調査は、使用者に対する調査と販売店に対する調査に分けて実施されております。まず購入者の理解度に関する結果を御説明いたします。この調査は、製品の箱の中にアンケートはがきを同梱し、製品を購入した方に購入目的などの質問項目について回答していただき、製造販売業者宛てに返信されたものを集計したものです。この検査薬のガイドラインについて御議論いただいた点やピックアップした結果をここに記載しておりますが、まず購入目的についてです。全1,057件中1,053件は適正な使用目的と考えられる回答でしたが、4件は避妊目的で購入したという回答でした。この点について、日本臨床検査薬協会の考察によりますと、アンケートのほかの項目の回答から推測すると、避妊目的には使用できないことを理解した上でそのようなチェックが付いていたのではないかという考察がされています。また薬剤師からの説明については、84.2%で実施されているという回答でした。
三つ目に記載をしていますけれども、医師の診療を必要とする結果、例えば陰性や陽性が続いた場合という結果があったのが全体で21.9%、そのうち医師の診療を受けようと考えている方の割合が67.1%でした。
販売店に対する調査ですが、調査期間は先ほどの購入者の理解度調査と同じ期間で、一部の販売店にアンケート依頼を行ったものです。こちらは初めて本検査薬を購入された方に対する情報提供に対する調査と、以前購入したことがある方に対する調査の2種類に分かれており、それぞれ1,794件と1,590件の回答がありました。回答欄が空欄な所があるなど、資料上は合計の数字と多少ずれている所がありますが、その点は御了承いただければと思います。
質問項目は資料2、「販売店に対する調査」と太字で書いてある部分の下に項目がありますが、この六つについて質問をしておりまして、こちらも論点となった点を記載しています。避妊目的に使用しない旨の説明につきましては、初回購入者に対して77.6%、購入履歴がある方に対しては57.5%でした。最も説明割合が高かった項目については検査のタイミングでして、これは初回購入者に対しては96.1%、購入履歴がある方に対しては72.1%の説明がされていたという結果です。情報提供を行わなかった理由としての回答の主なものを記載しましたけれども、時間的な制約やデリケートな内容といったことで、説明ができなかったという回答を頂いています。
これらの結果について購入者側の結果を見ますと、避妊目的での購入割合は1%未満と低いものの、適正使用について引き続き取り組んでいくことが重要と考えております。また販売店での説明状況の結果を見ますと、特に初回購入者に対する検査のタイミングでは95%以上の店舗で実施をされているということですが、適正使用の観点から避妊目的についてもきちんと説明をしていただくことが重要ではないかと考えています。
以上の結果を踏まえまして、2ページの3ポツにある今後の対応です。日本臨床検査薬協会の報告書では、製造販売業者は引き続き必要な情報提供を実施する旨を報告いただいています。また行政といたしましては、避妊目的での購入がゼロではなかったことを踏まえ、販売店において適正使用に向けた説明を改めて徹底するよう通知の発出を行う予定です。議題2についての御説明は以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございました。それでは、参考人の今村先生から御発言はございますか。
○今村参考人 日本医師会常任理事の今村と申します。冒頭、委員長から日本産婦人科医会副会長と御紹介がありましたけれども、本日は私どもの鈴木邦彦委員が欠席をさせていただいておりますので、その代理者として出席いたしました。
その上で先ほどの報告をお聞きした結果ですが、このような調査が当事者によって行われていること自体が、若干のバイアスがかかっているのではないかと懸念を持ちます。全体的な結果としてはそう悪くない結果とも理解をいたしますが、もともとこうしたプラス、マイナス、陽性、陰性という判定以外に相応の専門的な知識を要する体外診断薬については、極めて慎重に取り扱うべきと当初から申し上げており、この実施に当たっては極めて慎重に対応していただくようにということの結果が、このような調査になってきたと理解をしています。
中間報告を受けてこのような結果が出ましたけれども、もう1年間きちんとした調査を行っていただくことが必要ですし、その後もきちんとしたしかるべき対応が販売店においてなされていくべきだと考えております。また1年後の結果を、成果としてきちんと見たいと考えております。以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございます。続いて、参考人の漆間部長から御発言をお願いいたします。
○漆間参考人 日本臨床検査薬協会の漆間と申します。この報告書を提出させていただきました。この報告書に基づきまして、我々としてもまだまだ製造販売業者として対応していかなければいけないことがあるのではないかということで、色々と検討しております。その中で、避妊目的に使用できないことというのがありますけれども、これも外箱に記載していくことで行ってきましたが、更に分かりやすく目に付きやすい場所に記載した方が良いのではないかということで、安全対策課の方々に御指導いただき、改訂版を進めているところです。購入者への情報提供の体制ですけれども、販売業者だけではなくて薬局やドラッグストアの方々、団体様と相談しながら実効性のある対策についても検討していこうと考えております。以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○渡邉委員 薬剤師会の渡邉と言います。先ほどの調査結果を見まして、第一類医薬品にもかかわらず、適正使用ということで薬剤師が十分な説明ができなかったことを非常に残念に思っています。そのことに関して薬剤師会は真剣に考えており、早急に対応していきたいと考えております。以上です。
○一色部会長代理 ただ今の御発言ですけれども、対応として具体的にはどのようなお考えですか。
○渡邉委員 まず我々としては、デリケートな部分の情報提供もありますが、そのようなことを含め、やはりプライバシーに配慮した設備や対応を十分に周知徹底する必要があるかと思います。
もう一つは販売に当たっての情報ですけれども、実際に販売している薬局に対しての情報の提供が、チェックシートも含めて不十分な部分があったこともありまして、その辺もメーカーと協議しながら、薬局の規模の大小によらず全ての情報が得られ、それに基づいて購入者に対しての情報提供ができるようにしていきたいと考えております。以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございます。ほかに御意見等はございませんか。これは審議の段階で様々な議論が出たところだと思うのです。避妊目的で使われる方の実数はかなり少なかったという印象ですが、参考人からはこの辺については何かありますでしょうか。
○今村参考人 そのような不適正な目的での使用が非常に少なかったことについては安堵していますが、本当にそうなのかと懸念もあります。そうでなかった場合の懸念として望まない妊娠が出てきて、その結果としての人工妊娠中絶があります。これについては非常に社会的な問題にもなりますし、この不適正使用については今後も注視する必要があると考えております。
○一色部会長代理 ほかに何かございますか。よろしいですか。1年次ということで、残り1年の調査期間がありますので、引き続ききちんとした対応をしていただくことでお願いをしたいと思います。御意見がございませんようでしたら、これで議題2を終了させていただきます。参考人のお二人の先生方、どうもありがとうございました。
それでは、議題1、「医療機器の認証基準の改正について」事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題1について、資料1-1から資料1-3に基づいて御説明いたします。1ページを御覧ください。こちらは超音波を用いて体内の形状を可視化し、診断のために画像情報を提供する超音波画像診断装置等の認証基準の改正を行うものです。改正箇所ですが、3ページ、資料1-2の上の表の「基準」の「使用目的又は効果」の項目2に記載されている肝臓等の臓器の硬さに関する情報を提供すること及びその基準を定めた点となります。
今回の改正の背景ですが、肝臓等の臓器の硬さに関する情報の提供の保険点数算出の条件として、薬事承認又は認証を取得している医療機器とされました。そのために、今回の認証基準の改正を行うものとしています。なお、基準の詳細につきましては、7ページ、資料1-3として、別に局長通知として定める予定となっております。御説明は以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問等をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。基準の改正ということですので、大きな問題点はないかと思いますが、よろしいでしょうか。御意見がないようですので、これで議題1を終了いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様におかれましては御退席をお願い申し上げます。準備が整い次第、議題の審議を始めたいと思います。
○医療機器審査管理課長 準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。
○事務局 当日配布資料を御覧ください。当日配布資料1に競合企業、影響企業のリストが1ページから5ページまであります。本日の審議事項に関する競合企業として、当日配布資料1に示す企業について委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。以上、御報告いたします。
○一色部会長代理 ただいまの事務局の説明について、御意見はございますか。よろしければ議題に入りたいと思います。議題3、「医療機器miraDryシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」に入ります。本議題の審議に当たりましては、参考人として東海大学医学部外科学系形成外科学准教授の河野太郎先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題3につきまして、事務局から御説明いたします。資料3を御準備ください。分厚い資料となっております。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器miraDryシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。品目の概要及び審査の概要につきましては、機構よりお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、議題3、「miraDryシステムについて」機構より御説明いたします。最初に、当日配布資料2を御覧ください。本審査に当たり、当日配布資料の7ページに記載しております4名の専門委員より御意見を頂きました。また1枚めくっていただいて、9ページを御覧ください。こちらは新旧対照表となっておりますが、事前に配布した資料に修正がありましたので、こちらにお示ししております。直前の修正となったことをお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
それでは、品目の概要について御説明いたします。資料3に戻っていただき、5ページを御覧ください。本品は、マイクロ波によって皮膚の真皮深層を加熱することにより、真皮深層に存在するエクリン汗腺を燒灼、凝固することによって重度の原発性腋窩多汗症を治療する医療機器です。
6ページを御覧ください。本品は、主に図1に示しております装置本体及び図2に示しておりますハンドピースから構成されており、そのほか、7ページの図3、図4、図5に示しておりますような付属品が含まれております。なお、6ページ、図2に示しておりますけれども、ハンドピースには、皮膚表皮の保護を目的とした冷却板が取り付けられております。また、皮膚の温度を感知する目的で、熱電対が内蔵されています。
続きまして、開発の経緯について御説明いたします。1枚おめくりいただいて、審査報告書8ページを御覧ください。今回の対象疾患である原発性の腋窩多汗症という疾患については、腋窩の両側に過剰な発汗を認めるという疾患です。患者さんは肉体的な苦痛は伴いませんが、精神的な苦痛を伴うもので、QOLの低下を招くものとなっております。こちらの疾患に対して、本邦においては、A型ボツリヌス毒素の局注療法が既に医薬品として承認され、保険適用されており、日本皮膚科学会のガイドラインにおいても行うことが勧められております。一方で、A型ボツリヌス毒素の効果の持続時間は4~9か月と報告されており、継続的に治療の効果を得るためには、患者さんは1年間に1回又は2回の治療を毎年繰り返す必要がございます。この原発性腋窩多汗症という疾患ですが、20代、30代の比較的若い年代に発症することも分かっていることから、発症した患者さんに関しては、長年この治療を受けなければいけないということが分かっています。そのため、海外製造元においては、この原発性腋窩多汗症に対して、長期的な治療効果が得られる方法として、マイクロ波を採用した本品を開発いたしました。
次に、非臨床試験について御説明いたします。非臨床試験については、審査報告書の10ページから14ページに記載しておりますが、審査の結果、特段の問題を認めなかったため、詳しい御説明は省略させていただきます。
次に、臨床試験について御説明いたします。審査報告書の16ページを御覧ください。審査報告書16ページの表5に記載していますが、申請者より、海外で実施した三つの臨床試験成績が提出されました。表5に示しておりますとおり、この3つの臨床試験は、対象患者、試験デザイン、使用した機種が異なりますが、本品の審査においては、本品と同一の対象患者を対象としたCP-0004試験を主たる根拠資料として審査を行いました。
次に、審査報告書17ページを御覧ください。今回提出された臨床試験成績の中には、本品以外の製品を使用しているものも含まれておりました。そこで、本品とこれら臨床試験で使用されている前世代品、前々世代品の主な差分をまとめたものが表6になります。少なくとも、これらの機種において、マイクロ波の周波数、出力は同一であり、一部照射時間に差分がある部分がございます。しかしながら、海外製造元においては、機種が変わるごとに、動物試験によってマイクロ波による生体の焼灼性能が同等であることを確認しているため、そうした非臨床試験の結果をもって、前世代品、前々世代品の臨床成績を審査に用いることは可能と判断いたしました。
続きまして、審査報告書18ページを御覧ください。審査報告書18ページの表7にCP-0004試験の概要を記載しております。CP-0004試験は、前向き、多施設共同、非無作為化、単群試験のデザインで行われました。こちらの臨床試験においては、主要評価項目として、HDSSという評価尺度が用いられています。HDSSの詳しい説明は、18ページ下段の注釈に記載しております。このHDSSという尺度は、患者の自覚症状に基づいて、重症度を1~4で評価するものになっております。
続きまして、審査報告書20ページを御覧ください。臨床試験の結果について御説明いたします。まず初めに主要評価項目ですが、有効性評価の結果、前世代品G3による治療後30日の来院時に、先ほどのHDSSが1又は2に低下した被験者の割合が評価され、こちらの95%信頼区間の下限が50%を超えたため、あらかじめ設定された臨床試験の成功基準を満たしました。機構といたしましては、HDSSという評価項目については、日本皮膚科学会のガイドラインにおいても、重症度の判断基準に採用されているため、意味のある評価と考えていますが、より客観的な評価項目を重視する目的で、副次評価項目に設定されている、発汗重量のベースラインからの減少率も重視することといたしました。こちらの結果は、同じ20ページの下から二つ目の表に記載しております。発汗重量のベースラインからの減少率を評価した結果、治療後30日目から12か月に至るまで、平均で80%以上を超える減少率が示されました。
次に、CP-0004試験の安全性評価の結果について御説明いたします。隣の21ページを御覧ください。安全性として有害事象が評価されました。この中で注意した点は、重度の有害事象として、上腕三頭筋の筋力低下を伴う橈骨神経の損傷が1件発現したということです。こちらの患者さんの症状をより詳しく調査した結果、一時的ではありますが、正中神経及び筋皮神経といった神経支配の筋の筋力低下も、一時的ですが発現していることが分かりました。そのほか、この神経損傷以外の有害事象についてですが、試験終了時まで継続していた事象は、治療部位の掻痒感1件と軽度なもののみでした。
次に、本品の有効性に対するプラセボ効果の影響をどう審査したかということについて御説明いたします。審査報告書22ページを御覧ください。こちらには、本品の前々世代品G2を使用したCP-0003試験の概要を記載しています。こちらの試験は、前向き、多施設共同、無作為化、シャム対照試験のデザインで実施されました。こちらの有効性評価の結果は、審査報告書23ページ下段に記載しております。
この結果を見ても分かるように、対照群においても、一定の有効性が示されていることから、本品の治療効果はプラセボ効果の影響を少なからず受けるということが明らかです。しかしながら、主要評価項目である治療後30日の来院時にHDSSが1又は2に低下した被験者の割合について、対照群に対して治療群の統計的な有意差も示されており、副次評価項目で設定されている発汗重量のベースラインからの減少率においても、対照群に対する治療群の統計的有意差が示されていることが分かりました。
続きまして、本品の審査における主な論点について御説明いたします。審査報告書37ページを御覧ください。まず一つ目の論点は、本品を承認する意義についてです。審査報告書37ページ下段の(1)に記載しております。本邦においては、A型ボツリヌス毒素の局注療法という既存治療が存在しますが、継続的に効果を得るためには、年間1回又は2回の治療を毎年繰り返す必要がございます。一方で、エクリン汗腺を燒灼するという本品の作用機序を考慮すると、あくまでも臨床試験では1年間の効果までしか評価されておりませんが、理論的には永続的な効果が期待されます。以上を踏まえると、患者の負担軽減が期待される本品を承認する意義はあると判断いたしました。
二つ目の論点は、本品の有効性及び使用目的についてです。審査報告書37ページ下段の(2)を御覧ください。CP-0004試験の有効性評価の結果、HDSSに関する主要評価項目、臨床試験の達成基準を満たしており、また、客観的かつ定量的な評価項目である発汗重量の減少率においても、本品の有効性が治療後12か月まで維持されることが示されております。また、発汗重量の評価の適切性についても十分に説明され、有効性に対するプラセボ効果の影響についても、前々世代品を使用したCP-0003試験の結果に基づき説明されました。また、本品申請時の使用目的の記載には不適切な部分がありましたが、最終的には適切な表現に修正されました。具体的には審査報告書39ページ中段に記載しております。以上を踏まえ、本品の有効性及び変更後の使用目的に問題はないと判断いたしました。
三つ目の論点は、本品の安全性についてです。CP-0004試験の結果、重度の有害事象として、橈骨神経の損傷が1件発現し、より詳細な調査の結果、正中神経及び筋皮神経に関する一時的な損傷も認められました。この有害事象が発現した患者さんは比較的痩せ形の体型であり、真皮深層と神経までの距離が短かったことから、潜在的に神経損傷のリスクが高かったことが、この事象が発現した主たる原因であると分析しております。また、当該被験者の症状が治療後6か月までに継続的に改善していたこと、及び神経損傷以外の有害事象のうち治療後12か月まで継続していた事象としては、治療部位の掻痒感1件と軽度のものであったことから、リスクマネジメントによって有害事象、合併症のリスクは軽減可能と判断しております。以上を踏まえ、適切な患者選択及び適切な使用方法がなされる前提においては、本品に想定される有害事象は、本品の有効性に対して許容可能と判断しました。
四つ目の論点は、海外臨床成績の外挿性についてです。38ページ(4)を御覧ください。本品の作用機序は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇ものですので、この作用機序に関しては、民族差の影響を受けないと判断しております。また、皮膚の厚さに関する文献調査の結果、白人と東洋人の皮膚の厚さに関して同等であったことが確認されているため、本品の有効性及び安全性に影響を与えるほどの民族差はないと判断しております。以上を踏まえ、海外の臨床試験成績を本邦に外挿することは問題ないと判断しました。
五つ目の論点は、製造販売後の安全対策についてです。38ページ(5)に記載しております。製造販売後の安全対策として、誤った使用方法を避けるための注意喚起が適切に添付文書(案)に反映されました。また、腋窩の解剖学的な知識や、疾病及び本品に関する十分な知識がない医師が安易に本品を使用した場合、熱傷や神経損傷を含めた合併症が発現するリスクが高くなることが懸念されます。そのため、製造販売業者の責任の下に開催する講習等を受講した医師に対してのみ、本品を販売することを義務付けるための承認条件を付すことが適切と判断いたしました。
最後の論点は、使用成績調査についてです。(6)に記載しております。本品のマイクロ波によって真皮深層を加熱し、エクリン汗腺を燒灼、凝固する治療方法は新規性が高く、海外を含めてその有効性及び安全性を裏付ける試験成績は限定的であり、専門協議においても、同様の御指摘を受けております。そのため、本品の製造販売後の使用実態において、重度の有害事象は発現しないことを確認するため、使用成績調査が必要であると判断しました。CP-0004試験の観察期間が1年間であり、本品の熱による作用機序を考慮しても、遅発性の有害事象は想定されにくいため、海外臨床成績と比較を行う上でも、観察期間は1年間とし、登録期間、解析期間を含めて4年間とすることが妥当であると判断いたしました。
以上の審査の結果、機構は、記載の使用目的及び承認条件により、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切であると判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は4年とすることが妥当であると判断しました。薬事分科会においての御報告を予定しております。機構からの御説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○一色部会長代理 参考人の河野先生からコメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
○河野参考人 本品は多汗症に対する新しい治療法の一つです。保険治療の適用のあるA型ボツリヌス毒素と異なる作用機序のもので、比較的低侵襲で、しかし長期間の治療効果があるというメリットがあります。患者さんにしてみれば病院に来る回数が少なくなる、費用的な負担が少なくなる。また保険医療に関しても、医療費の軽減が図れるものと考えております。以上です。
○一色部会長代理 それでは委員の皆様から、御審議、御意見を頂ければと思います。よろしくお願いします。
○齋藤委員 このような機器の使用のニーズは白人がかなり多いと思うのですが、日本での使用ニーズはどのくらいなのでしょうか。それから、熱傷や神経損傷の合併症があるということですが、この機械自体にストップするような安全機構が付いているのかどうかの安全性についてもお聞かせ願えればと思います。
もう一つは、恐らく単回の処置で半永久的な治療効果が期待できるというのは理解できるのですが、何例かは3回程処置を行っている事例も散見されます。このような際に、治療する側にどのような判断基準でもう一度その処置を繰り返すかというような再処置の適応基準は考えられているのでしょうか。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。まず本邦での治療のニーズですが、こちらは日本皮膚科学会のガイドラインに掲載されていることです。平成21年に厚生労働省で、難治性疾患克服研究が行われ、局所多汗症がテーマとなっておりました。その際の全国の疫学調査の結果を踏まえると、この腋窩多汗症の有病率は5.75%と、そこまで多くないことが分かっております。ニーズは、患者さん自身が実際に疾患として認識していない場合もあると思います。これは、あくまでもこの症状は発汗量が増えてしまうというものであるため、患者さん自身が気にしなければ、もちろん治療の対象にはならない、受診することはないと思われます。ただ、中にはどうしても気になってしまう患者さんもいると思います。有病率が5.75%と示されておりますが、その患者さん全てが必ずしも受診をするということは考えられないのです。では、具体的に日本でどのくらいニーズがあるのかという御質問に対してのお答えにはなりませんが、少なくとも本当に困っている患者さんが日本にいらっしゃることは、A型ボツリヌス毒素が使用されていることからも分かると思っております。
続いて、本品の機器としての安全性です。審査報告書の6ページを御覧ください。こちらにハンドピースの外観写真を示しております。まず冷却板がハンドピースの皮膚に当てる側に搭載されており、こちらは〇℃に温度が制御されております。この温度制御の精度に関しては、非臨床試験によって確認されております。一つは、冷却板によって表皮を保護する安全装置が付いています。また同じくこちらの図で、熱電対を示しておりますが、これは皮膚の表面温度を感知しております。皮膚の温度が万が一施術中に〇℃を超える温度上昇を認めた場合、複数の熱電対がありますが、一つでも〇℃以上になることを感知した場合には、マイクロ波が照射されないという安全機構が搭載されております。
○齋藤委員 安全装置が働くわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。
○齋藤委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 そうした観点から、この装置本体に関しても安全装置が搭載されておりますので、比較的安全な装置であることは説明できるかと思います。
もう一つは、繰り返し治療を行う際の判断基準です。こちらに関しては、添付文書(案)のタブの資料3の添付文書(案)とインデックスが付いている部分の別紙6-2を御覧ください。お配りしている資料のインデックスが赤枠で囲われている添付文書(案)と書いてあるものです。こちらの1枚目の裏が別紙6-2です。ここに注意事項が記載されているのですが、別紙6-2右側の段17)を御覧ください。17)に施術する際の注意事項が記載されております。これは、A型ボツリヌス毒素においても同じ注意喚起がなされているのですが、ヨウ素デンプン反応という検査によって、ヨウ素とコーンスターチを実際に皮膚に塗って、汗が多い部分はより色が濃くなることが分かることから、そこで発汗部位を同定します。ですので、腋窩全てを一律焼くわけではなくて、あくまでもこの検査を行っていただいて、特に発汗している部位を特定し、そこだけを施術することで、必要以上の施術は避けられると考えております。
○齋藤委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○北澤委員 臨床試験について質問させていただきます。審査報告書18ページで、主な根拠として04試験を用いていますが、単群試験である04試験をランダム化比較試験である03試験や012試験に先んじて根拠に使っているのはなぜなのか、私はよく分かりませんでした。012試験は、正に本品を使ったランダム化比較試験であり、試験デザインも評価者が盲検化されている、いわゆるプローブ試験で、たまねぎを食べない、同じTシャツを着る等、それなりに工夫されているものだと思います。
その012試験の結果では、有効性の評価は認められなかった、要するに有効性が証明されなかったと読み取りました。審査報告書17ページでは、なぜ012試験を入れなかったのかについて三つ理由が書いてあります。まず、欧米人の成績を日本人に外挿することが困難だと。確かに、012試験は外国人が対象ですが、04試験でもアジア人が4人だけで残りは白人、ほぼ外国人と言っていいのではないかと思います。(2)の臭いの評価が客観性に乏しいと書いてあるのですが、04試験では自覚による評価をしています。012試験は、他人とはいえ盲検化された評価者が評価しているので、むしろこちらの方が客観的ではないのかと思いました。
そして3番の、主要評価項目の達成基準を満たしていなかったことが除外の理由になるというのは、そもそもおかしいのではないでしょうか。要するに有効性が証明されなかったから、この試験は有効性の評価から外すというのなら、有効性が評価されたものだけを入れていればいいわけで、それだと有効性が評価されるに決まっているのではないかと思ったのです。この点について、お答えをよろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。先ほど御説明いただいた部分、審査報告書16ページを御覧ください。こちらに今回申請者から提出された臨床試験成績が三つあります。今回、申請者から申請された使用目的は、重度の原発性腋窩多汗症でした。その対象患者に対して実施していた試験が、CP-0003試験と、CP-0004試験の二つになっております。これらは、もちろん本品ではなく前世代品ですが、実際これらの臨床試験成績を添付して、米国FDAでは重度の原発性腋窩多汗症に対して適応を取っております。せっかく本品を使用している臨床試験があるのですが、これを重視しなかった理由としては、CP-0012試験を行った目的が、この時点でそもそも前世代品は原発性の腋窩多汗症を取れておりますので、本品に関しては本品の試験なく、米国FDAでは重度の原発性腋窩多汗症に対して適応を取っております。このCP-0012試験の位置付けですが、これは重度の原発性腋窩多汗症の適応に加えて、腋臭症、いわゆるわきがと言われる症状に関しても適応追加を狙って実施した試験でした。そのため、そもそも対象患者が他の試験と違うということがあります。
ただ、この腋臭症の適応に関しても、日本において一定のニーズがあることから、審査及び専門協議においてもこの適応が認められないかどうかの議論をしたのですが、その結果、審査報告書17ページの上に記載があるとおり、汗に関しては外挿できるとは考えているのですが、臭いに関しては皆さん御存じのように、東洋人と欧米人ではそもそもの体臭が異なるので、臭いを発するアポクリン腺の民族差がどうしても否定できません。それから多汗症の試験においては、確かに主要評価項目はHDSSという主観評価であったことは間違いないです。少なくとも、副次評価項目においても客観的な評価項目を設定されていたということがあります。このCP-0012試験においては、副次評価項目においても基本的には主観評価が設定されていて、客観的な評価が十分にできていなかったことがもう一つの理由としてあります。この臨床試験の結果としても、臭いに対しては臨床試験の達成基準を満たすことができなかったことから、総合して今回はあくまでも多汗症に対して適応を認めるので、臭いの低減効果は認められなかったと、審査としては結論付けております。
○北澤委員 今の御説明で理解できた部分もあるのですが、これは汗が多い人のためのものであり、わきがの人には適応がないということでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりで、本品の適応は、あくまで原発性の腋窩多汗症の患者さんのみで、当然、腋臭症の患者さんに関しては適応外となります。
○医薬品医療機器総合機構 多汗症と腋臭症が同時に出現する患者さんも多いと思うのです。ただ原理的に、多汗症の汗腺はエクリン汗腺であって、腋臭症の原因の汗腺はアポクリン汗腺と、そもそも原因の汗腺が異なります。今回の装置のターゲットはエクリン汗腺ですので、その効果としても今回の臨床試験の結果で多汗症だけに効果があることが分かったという結果です。適応としても、多汗症のみの方が妥当と判断をしております。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○村上委員 今回の治療法は、5.8GHzのマイクロ波の深さ特性を利用して、エクリン汗腺を焼灼するということです。資料に皮膚の断面図が付いていたと思うのですが、添付資料6ページに皮膚のモデル図があります。今回の場合はエクリン汗腺を焼灼することで、その深さにターゲットを絞って、5.8GHzを選ばれたと思います。その付近に毛根などもあり、水分が多い所が加熱されると思うのですが、他の組織や部位への影響に問題のない程度なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりで、今回マイクロ波を使用しております。当然マイクロ波は〇〇〇を発熱させるので、必ずしもエクリン汗腺だけを選択的に発熱させるものではありません。当然皮膚にはその他に〇が含まれておりますので、他への影響は否定できない部分だと思います。一つ言えるのは、今回の腋窩多汗症の治療の結果において、周囲にある毛根が焼けてしまい脱毛症状が起きることが分かっていることからも、周囲への影響は必ずしも否定できません。しかしながら、その影響を可能な限り少なくするための安全装置として、ハンドピースの表面に冷却板が取り付けてあり、可能な限り皮膚を冷却して保護していきます。当然、汗を出すエクリン汗腺には〇が豊富ですので、そこに関しては特に発熱して治療ができるメカニズムとなっております。
○村上委員 脱毛現象が起こることがあるということですが、脱毛をするのは多汗症の症状には影響しないと理解してよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね、近くの隣接する部分にある組織、器官ではありますが、あくまでも多汗症はエクリン汗腺で、脱毛は毛包ですので、これは多汗症の効果には影響しないと考えております。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。私から一つ確認です。観察期間は1年という設定になったと思います。ボツリヌスでも半年ないし1年に1回ずつということで、中には1回で済む方もおられると思うのです。そうすると、1回ということが1年であった場合には、余りボツリヌスとの差が本当にあるのかどうかのフォローが証明になりにくいとも思うのです。これを2年にせずに、1年にされた理由をもう少し説明いただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。審査報告書36ページを御覧ください。表12に、使用成績調査の実施計画書の案を掲載しております。今回は御指摘のとおり、観察期間を1年と設定しております。まず一つの理由が、使用成績調査を指定する一番の目的は、安全性を評価する目的です。安全性評価に着目した場合、本品は熱によって効果をもたらす作用原理ですので、1年後に急に有害事象が発現することは考えられません。そのため基本的に有害事象は急性期のもので、遅発性のものは想定されないので、安全性の面から観察期間は1年と設定しております。
もう一つは、有効性の面です。A型ボツリヌス毒素に比べて長い効果が得られるというコンセプトで開発されているものですが、確かに臨床試験では、あくまでも1年間しかフォローアップされておりません。A型ボツリヌス毒素の効果は長くても9か月と言われていることから、1年間の臨床試験成績であっても、少なくともそれと同じ、若しくはそれより長いという効果が、一つ示されております。そのほか、長期をフォローしたデータがあるかどうかですが、審査報告書30ページを御覧ください。1-3)に少し触れているのですが、CP-0004試験の患者さんをその後もう1年フォローしたデータがあります。これは臨床試験ではなく、臨床研究という位置付けです。この研究の中では、客観的な評価項目である発汗重量は評価されておりませんが、主要評価項目であったHDSSが評価されております。その結果に基づくと、最長で治療後2年間の効果が示されております。このようなことからも、必ずしも日本の市販後調査において2年間のフォローまでは必要ないと考えております。
○一色部会長代理 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
○荒川委員 先ほど、〇〇〇を加熱することによってということでしたが、汗腺の脂肪組織の脂肪に対しても加熱が掛かっているのではないかと思うのです。説明の中では、一応〇ということだけに限定されたので、確認です。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりで、皮下脂肪組織の中にも全く〇がないわけではなくて、少なからず〇もありますし、そこに存在するアポクリン汗腺にも〇は含まれていると思います。先ほどCP-0012試験、腋臭症患者を対象とした臨床試験の説明をいたしました。もちろん治験としては事前の成功基準を達成できなかったのですが、全く効果がないというわけではなかったことからも、皮下脂肪組織に存在する〇に対しても、ある程度影響を及ぼしていることは考えられます。
○荒川委員 私の質問の趣旨は、このマイクロウェーブの波長が〇〇〇だけではなくて、脂肪組織にある〇〇にも加熱する効果がなかったのでしょうかという意味です。
○医薬品医療機器総合機構 失礼いたしました。審査において確認した本品の開発コンセプトにおいては、脂肪組織に対して影響を考慮して5.8GHzを選んだというような説明はされておりませんでした。実際、脂肪組織に対する熱影響を示すデータもないことからも、現時点では脂肪に対して影響があるかどうかは判断できないところです。
○一色部会長代理 よろしいでしょうか。ほかに御意見等がないようでしたら、議決を行います。医療機器miraDryシステムについては、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また使用成績評価には、期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は分科会にて報告を行うことになっております。これで議題3を終了いたします。河野先生、どうもありがとうございました。
それでは議題4、「医療機器CorPathGRXシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績調査の指定の要否について」に入ります。本議題の審議に当たり、参考人として国立大学法人佐賀大学医学部循環器内科診療教授でいらっしゃいます挽地裕先生に御出席を頂いております。よろしくお願いいたします。それでは事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4について、事務局から御説明いたします。資料4を御用意ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器CorPathGRXシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。品目の概要及び審査の概要については、総合機構よりお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 当日配布資料の11ページ、資料3、「本品目の専門協議委員一覧」を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。
初めに、品目概要を御説明いたします。審査報告書6ページ、「審議品目の概要」を御覧ください。本品は、経皮的冠動脈形成術(以下「PCI」という)において使用されるガイドワイヤやカテーテル等の操作を、心臓カテーテル検査室内において遠隔的に行うカテーテル操作装置です。本品はカテーテル等の前進、後退、回転、保持ができます。カテーテルの交換やバルーンの拡張はこれまでの手技と同様に、医師や助手が用手的に行います。本品は図1に示すとおり、制御コンソール、インターベンショナル・コックピット、単回使用カセット等から構成されます。インターベンショナル・コックピットは、術者を放射線から保護するため、前面及び一方の側面が鉛含有のアクリル板で遮蔽されており、X線照射装置からの放射線を遮蔽できる向きで、検査室内に設置されます。
次に、開発の経緯を御説明いたします。審査報告書9ページ上段、「開発の経緯及び外国における使用状況等に関する資料」を御覧ください。PCIは虚血性心疾患に対する確立した治療法として、本邦において広く実施されています。現在実施されているPCIは、術者がカテーテルやガイドワイヤ等のデバイスを用手的に操作し、治療を行っています。治療にはX線照射を伴いますが、術者の頸部より上位は放射線被ばくを避けるためのプロテクターで保護されていないことから、脳腫瘍や白内障、頸動脈硬化等の被ばくリスクがあることが指摘されています。また、術者が装着する放射線プロテクターは重く、術者の多くが身体的負担を抱えているとの報告もあります。本品は、これら術者の放射線被ばくや身体的負担を軽減するためにX線照射装置から離れ、放射線防護用の鉛含有アクリル板に囲まれたインターベンショナル・コックピット内から、PCIデバイスを遠隔操作することができる装置として開発されました。審査報告書10ページの表2に示すとおり、本品は米国で平成28年10月、EUで平成28年2月に承認を取得しており、平成30年1月時点で制御コンソール〇台、単回使用カセット約〇〇〇〇個の販売実績があります。
次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は、審査報告書11~13ページに記載しております。本品の物理的・化学的特性、電気的安全性及び電磁両立性、生物学的安全性、安定性及び耐久性、性能の試験成績に関する資料が提出され、審査の結果、特段の問題はないと判断いたしました。
次に、臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書14ページ下段から15ページに記載した、PRECISE試験を御覧ください。本臨床試験はPCIを受ける患者を対象に、本品の有効性及び安全性を評価することを目的に、米国9施設、登録症例数164例で実施されました。本臨床試験は、本品の前世代品であるCorPath200システムを用いて実施されました。本品と前世代品の違いは、ガイディングカテーテルの遠隔操作機能が本品に追加された点です。
主要有効性評価項目は2項目あります。1項目目は臨床的成功です。これはCorPath200システムによるPCI後の残存狭窄が30%未満であり、術後48時間又は退院のいずれか早い時期において、主要有害心血管事象の発生が認められないことです。この臨床的成功率が、パフォーマンスゴールである84%を超えること。2項目目は手技的成功です。これはマニュアルでの手技に変更することなく、CorPath200システムによるPCIデバイスの前進や引戻しの操作が良好であること。この手技的成功率が、パフォーマンスゴールである90%を超えることと設定されました。以降、主要有害心血管事象のことを「MACE」と呼びます。本臨床試験における臨床的成功率は97.0%、手技的成功率は98.8%であり、いずれもパフォーマンスゴールを達成しました。
次に、機構における審査の概要について御説明いたします。初めに、臨床的意義についてです。審査報告書20ページ下段の(1)を御覧ください。本品は用手的PCI手技よりも、X線照射装置から離れた場所でPCIデバイスを遠隔操作可能であること、また、鉛含有アクリル板により放射線が遮蔽されていることから、医師の被ばく量を低減する効果が期待できる医療機器です。本品を用いたPCI手技は、従来の用手的PCI手技と臨床的位置付けが異なるものではなく、比較的単純な病変であれば、従来の用手的PCIと同等の治療手技を遠隔的に行うことができる医療機器と考えます。本品を用いた手技が従来の用手的PCI手技に劣らない有効性が示され、安全性上の懸念が特段増すことがないのであれば、術者の放射線被ばくや身体的負担を減らすことが期待できる本品を、本邦へ導入する意義はあると判断しました。
続いて、提出された臨床試験成績により、本邦における本品の有効性及び安全性を評価する妥当性についてです。審査報告書21ページ下段の(2)を御覧ください。本品と前世代品であるCorPath200システムの違いは、ガイディングカテーテルの遠隔操作機能が本品に追加された点ですが、当該機能は動物試験を含めた非臨床試験において確認されていることから、追加された機能が提出された臨床試験成績に大きく影響する可能性は低いと考えます。以上より機構は、前世代品を用いて実施された臨床試験成績をもって、本邦での本品の有効性及び安全性を評価することは可能と判断しました。
次に、有効性についてです。審査報告書22ページ中段の1)を御覧ください。先ほど御説明したとおり、主要有効性評価項目である臨床的成功率は97.0%、手技的成功率は98.8%で、いずれもパフォーマンスゴールを達成しました。機構は、非劣性マージンの設定根拠が明確ではなく、本臨床試験のパフォーマンスゴールは厳格な数値目標とは言えないと考えます。しかしながら、結果として臨床的に許容可能な成績が示されたため、本品の有効性が示されたと判断しました。
次に、安全性についてです。審査報告書23ページ上段の2)に概略を記載しております。本臨床試験における安全性評価項目は、院内MACE、術後30日のMACE、有害事象と設定されました。臨床試験において4例の院内MACEが発生しましたが、これらはいずれも手術期の非Q波心筋梗塞であり、CorPath200システムに直接関連するものではなく、手技に関連するものと判定されました。本品を用いたPCI手技は従来の用手的PCI手技とは異なり、手元の触覚を欠くために、用手的PCI手技よりも手技リスクが高くなる可能性がありますが、本品にはPCIデバイスの駆動力が制限されている等の安全機構が備わっていること、本臨床試験において血管穿孔等の合併症や本品特有の有害事象が発生していないことから、本品は従来の用手的PCI手技と比較しても劣らない安全性を有すると判断しました。
審査報告書24ページ下段3)から、25ページを御覧ください。臨床試験では複雑病変は除外されていたため、複雑病変における本品の有効性及び安全性について申請者に説明を求めたところ、米国で行われた市販後レジストリであるPRECISION試験とCORA-PCI試験の成績が、参考資料として提出されました。複雑病変に対しても80%を超える対象患者で本品のみで手技が完結でき、特有の有害事象も認められておらず、本品は手技途中であっても必要に応じて用手的PCI手技に変更することができることを踏まえると、複雑病変を対象とした場合でも本品の有効性と安全性が、従来の用手的PCIと比べて大きく損なわれる可能性は低いと判断しました。
最後に、使用成績評価についてです。審査報告書26ページト項、及び表15の「使用成績調査計画書(案)」を御覧ください。本品の臨床試験は米国のみで行われ、PCIの遠隔操作用デバイスは本邦初の導入となることから、本臨床試験では対象とされなかった複雑病変も含めた、本邦実臨床使用下における本品の有効性及び安全性については、使用成績評価により確認する必要があると判断し、これを承認条件としました。使用成績調査は、販売開始から一定症例数に達するまでは全例を調査対象とした上で、本品を用いたPCIの適切性を確認するため、術後の残存狭窄率等について、第三者評価を行うこととされました。症例数は本臨床試験において発生した手技不成功率1.2%を90%の確率で検出できる数として設定されました。観察期間については、本臨床試験で発生したMACEが全て院内発生であったことを考慮し、術後72時間以内又は退院のいずれか早い時期とすることは妥当と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、本品は使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の調査期間を3年とすることが妥当と判断しました。生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお、薬事分科会での御報告を予定しております。機構からは以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○一色部会長代理 それでは参考人の挽地先生から、説明の追加をお願いいたします。
○挽地参考人 御説明にありましたように、本品で治療できる症例として、まず病変の難易度については、比較的単純な病変が中心になると考えます。しかし、恐らく全症例の20ないし30%は、このシステムで対応可能ではないかと期待されます。こうしたものは比較的単純な病変に限定して使用すれば、治療内容は現行の手で行っているカテーテル治療、PCIと全く同じ内容になりますので、患者に対する不利益を生ずるものではないと明言してよろしいかと思います。
では、どこにメリットがあるかと申しますと、やはり先ほど話されたように、1例1例は比較的単純病変であるため、治療を行う医師は、治療時間あるいは透視時間はそう長くはないのですが、現行では患者のすぐ脇、心臓の位置から申しますと、50cmぐらいそばに立って被ばく下で治療を行っており、患者から発生する散乱線をずっと受けているわけで、その蓄積性が高いと思います。そうなりますと、実施医が男性・女性にかかわらず、累積する被ばく量を低減できることは、将来にわたる健康被害のかなりの低減を期待できるのではないかと考えます。
さらに被ばくに関連してですが、これに多く従事している先生方はほぼ100%、鉛のプロテクターを着ることによる腰痛症を、何らかのレベルでお持ちになっています。したがって、ラジエーションを使わない他科の先生と比べれば、特有の病気を持っているのも現実で、それに関しても低減できる可能性を期待している次第です。
○一色部会長代理 皆様の御意見を承る前に、私から質問があります。プロシージャーに対しての説明が十分でなかったと思っています。最初から最後までこの機械だけでできるものではないと思うので、この機械がPCIの中でどのようなプロシージャーから行うのかということについて、補足の説明をしていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。通常のPCIの手技ですが、最初にカテーテル等の挿入のために、シースを患者に挿入します。その後、ガイディングカテーテルを患者に挿入することになりますが、そこまでは用手的PCIでも本品を使用した際でも全く同じように、医師が用手的に行います。その後、ガイドワイヤの挿入を行いますが、ガイドワイヤの挿入から本品を用いて実施することが可能です。このガイドワイヤの挿入とバルーン、カテーテルの挿入、ステントカテーテルの挿入を行うことができます。その後の治療として、バルーンの拡張とステントの留置を行います。バルーンの拡張というのも、本品を用いた際も通常のこれまでの用手的手技と同様に、医師が用手的に行うことになります。
○一色部会長代理 これで少し概略がお分かりになったと思います。それでは御質問、御意見等を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○齋藤委員 検査をする医師の放射線被ばくの回避への解決策に、ようやく日の目が見えてきたという印象を受けます。この機械に関しては、確かに医師へ被ばく量を軽減させることは理解できます。現在は低侵襲手術であり、血管内治療医が臨床現場でかなり求められています。個人のテクニックの違いを補助するとか、手術・手技獲得のためのラーニングカーブを減少させるとか等の利点や、さらに、このような手技上のこと以外に、例えば血流量や狭塞度が強い、少ないなどの情報提供機能等はこの機械は持ち合わせていないのでしょうか。これだけの機械を使っているのに、情報としてカテーテルの針がどのくらいのスピードで進んでいるかのメッセージしか呈示できないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。コメントいただいたとおり、どのくらい進み、何ミリ進んだかという情報を見ることはできるのですが、狭窄が何%程度残っているかといった情報を表示することはできません。
○塩川委員 私も同じようなことを感じました。参考人の先生は、基本的に技術的に易しいものでとおっしゃっていたのですが、承認条件として例えば医師の資格、適用対象、知識を積んでということは全くなく、全症例を対象とした使用追跡調査をするというだけになっております。手元でカテーテルの感覚は分からないけれども、それは大きな問題はないというお話だったと思うのです。しかし、心臓にカテーテルを冠動脈の入口に入れてというような際に、そうした条件は要らないのかと感覚的なことからの疑問です。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、承認条件についてです。本品にはPCIデバイスなど、駆動力に関する安全機構が備わっていますし、手技の途中でも用手的PCIに変更することが可能ですので、本品を使用することで大きな安全性の問題が生じるとは考えておりません。また、本品を使用する医師ですが、本品を販売する際にトレーニングを実施することになっております。そのトレーニングの中で、本品の使用方法について説明することになっておりますので、そちらで安全性の担保が可能と考えております。
○医薬品医療機器総合機構 補足させていただきます。塩川先生のおっしゃるとおり、これは今までPCIの十分な経験をした方が使う医療機器だと思います。なぜかというと、今までの手の感覚がない分、視覚に頼っているからです。例えば、ワイヤが通りにくいものを視覚的に捉えたら、それを危ないと察知して引いてみたり、用手的に変えたりという経験がないと、一定に正しく使うことはできないものだと考えています。その観点からも先ほど御説明したとおり、学会の方でも適正使用基準ということで、一定の使用経験がある施設と医師が使用することが、条件として提示される予定になっております。
こちらも、通常であればこれは承認条件として付けるべき項目であるかを検討したのですが、そもそもこうした遠隔操作デバイスを最初から初心者の先生が使うことは常識的に恐らくないだろうと考え、基本的にきちんとした用手的な手技を使える先生が使うことが医療的な面からも常識だと考えられていたので、こちらとしては承認条件として付すものでなくても良いのではないかと判断し、今回、承認条件として医師の要件等は付していないという判断をいたしました。
○中谷委員 特にこれは新しいコンセプトで、恐らく、現在の状況下ではその考え方でいけると思うのですが、そういう暗黙のというのは通用しない時代になってきているのではないかという気がして仕方がないのです。確かに、余り細かい規定をする必要はないと思うのです。「経験がある」、「学会が定める」など、そのようなことでもいいと思うのです。ここで細かいところまでする必要はないと思うのですが、そのことがきちんと書かれてあることが必要と思います。承認条件だけ見れば、そういう認識がされている機械ということで承認するというのは、どこにも書かれてないような気がするのです。この機械はこういう機械であるので、それをかんがみて使ってくださいでもいいと思います。何らかの意味で、そういう新しいコンセプトで導入する機械であるということを承認条件なり、その前文でもいいので入れておかないと、人はやはりそこしか見ないと思いますから、「この機械っていうのは、そんなもんや」となりかねないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 その点に関しては添付文書の警告に、「PCI手技に精通し、規定のトレーニングを修習した術者が使用すること」となっております。承認条件にするかどうかは別に、そういう情報提供はするということを大前提に考えております。
○塩川委員 添付文書の赤枠の最初にこれを書かれるのであれば、承認条件に「ある期間」でもよろしいかと思いますので、加えられた方が良いように感じますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 分かりました。それでは承認条件にする方向で検討し、対応させていただきたいと思います。
○一色部会長代理 北澤委員どうぞ。
○北澤委員 同じポイントです。
○一色部会長代理 ほかに御意見はございますか。では、私から挽地先生にお聞きします。このワイヤは、ホールドされるのでしょうか。
○挽地参考人 はい。
○一色部会長代理 私たちが技術的に、特に初心者が行っていますと手技中にワイヤが動くのです。デバイスの出し入れをしている際に、知らない間に奥に入って、それが穿孔の基になったりするのです。逆にこの機械だとワイヤがしっかりホールドされているので、安全性の高いデバイスになっているのではないかと想像しているのですが、そうした理解でよろしいですか。
○挽地参考人 そのとおりだと思います。
○一色部会長代理 ほかに質問等はございますか。承認条件のお話が出ましたので、しっかりとした経験のある方が行うという条件で、承認に移らせていただきたいと思います。医療機器CorPathGRXシステムについては、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には期間を3年として指定することとしてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題4を終了いたします。挽地先生、どうもありがとうございました。
続いて、議題5に移らせていただきます。議題5、「インスパイアの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」に入ります。本議題の審議に当たっては、参考人として国立大学法人東北大学環境・安全推進センター教授、黒澤一先生にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題5について事務局から御説明いたします。資料5を御用意ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器インスパイアの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。
まず、「一般的名称の新設について」というタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見をきいて、新たに一般的名称を新設することとなります。新設を予定する一般的名称は「舌下神経電気刺激装置」です。舌下神経を刺激することで、舌筋の収縮を誘発させ、気道の開存性を改善するために用いる電気神経刺激装置を言います。1ポツのとおり、高度管理医療機器に指定し、2ポツのとおり、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えております。審議品目及び審査の概要については、総合機構よりお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、当日配布資料4、専門委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。初めに、本品の概要について御説明いたします。審査報告書5ページ、審議品目の概要を御覧ください。
本品は、持続陽圧呼吸療法(以下「CPAP」という)不適又は不忍容な閉塞性睡眠時無呼吸症候群(以下「OSAS」という)の患者を対象として気道の開存性を改善することを目的に使用される植込み型の電気刺激装置です。
構成品は、患者の鎖骨下に植え込まれるパルスジェネレータ(以下「IPG」という)、舌下神経に留置される刺激リード、6ページに移りまして、肋間に留置されるセンサリード、医師がIPGの設定を行うために使用する医師用プログラマ、患者が本品を操作するために使用する患者用プログラマの五つです。図6が、植込み及び作動原理の模式図です。まず、肋間に植え込まれたセンサリードが呼吸による圧力変化を検知し、その圧力変化をトリガとして、IPGが刺激リードを介して舌下神経に刺激パルスを送ります。この刺激パルスにより神経筋反応が誘発され、舌基底部の筋肉が収縮し、気道が開存します。このように本品は、患者が息を吸うタイミングで舌下神経を電気刺激し、気道の閉塞を解除する医療機器です。
続いて、開発の経緯について御説明いたします。審査報告書7ページ、「開発の経緯」の項を御覧ください。睡眠呼吸障害の一種であるOSASでは、解剖学的特徴や肥満により気道に閉塞が生じ、睡眠中に気流が停止又は減少します。これにより、睡眠中の酸素飽和度の低下や睡眠からの中途覚醒を引き起こし、日中の眠気や頭痛といった症状を生じさせるだけではなく、高血圧、糖尿病、心不全等の疾患と関連していることが医学的に大きな問題として指摘されています。OSAS診断の標準治療には、睡眠ポリグラフ検査(以下「PSG」という)の検査により、睡眠1時間当たりに発現する無呼吸又は呼吸低下の回数を示す無呼吸低呼吸指数(以下「AHI」という)という指標が算出されます。AHIが5~15で軽症、15~30で中等症、30以上で重症と判断されます。その他、PSGでは、酸素飽和度低下指数(以下「ODI」という)という血中の酸素飽和度の低下を評価する指標も算出され、診断の1つの指標として用いられます。OSASに対する既存治療については、審査報告書8ページ、表2を御覧ください。
これらの治療選択肢の中で中等症以上のOSASの第1選択となるのは、鼻から気道に陽圧を掛けて、持続的に空気を送り込むことで気道を広げる治療法であるCPAPです。しかし、様々な理由からCPAPを継続できない患者が一定数存在することが報告されています。また、その他の治療法として、外科手術、口腔内器具の使用等が挙げられますが、CPAPほどの効果が得られにくいことが指摘されています。これらの状況を踏まえ、本品は、CPAPが不適又は不忍容な中等症から重症のOSAS患者を対象とした治療機器として開発されました。本品の非臨床試験の成績については、特段、大きな問題は認められませんでした。
続いて、臨床試験成績について御説明いたします。臨床試験の概略は、審査報告書14ページ、ヘ項を御覧ください。海外で実施された臨床試験が臨床試験成績として提出されました。この臨床試験は、CPAPにより有効に治療ができなかった中等症又は重症のOSAS患者126名を対象とした多施設共同前向き単群試験です。審査報告書16ページの一番下に記載しております主要評価項目を御覧ください。
主要評価項目は、植込み12か月後の無呼吸低呼吸指数であるAHIの反応者率及び酸素飽和度低下指数であるODIの反応者率の2項目が性能目標として設定されました。安全性評価では、全ての有害事象が収集されました。有効性評価の結果は、審査報告書17ページ、「試験結果について」の項を御覧ください。AHIの反応者率は、126例中83例、66%でした。ODIの反応者率は、126例中94例、75%でした。いずれも事前に規定された性能目標である50%を上回りました。
さらに、副次的評価項目として無作為化対照治療中止試験が行われました。これは、植込み12か月後からの1か月間、本品による治療維持群と治療中止群とで症状の変化を比較した試験であり、症状の改善が電気刺激によるものであることのエビデンスを補強する目的で実施されました。結果は審査報告書18ページ、図8を御覧ください。治療中止群の被験者は、1か月間の治療中止によって治療維持群と比較して、AHIが有意に増加しました。この結果から、症状の改善は電気刺激によるものであると考えられます。その他、眠気やQOLに関する主観的評価項目であるFOSQ、ESS等についても、本品の有効性を支持する結果が得られました。
安全性の評価については、審査報告書19ページ、「安全性評価の結果」の項を御覧ください。植込み12か月後までに手技又は機器に関連する重篤な有害事象として、IPGの転移が1件報告されました。当該症例についてはIPGの再固定が行われ、完全に回復しました。その他、非重篤な有害事象として、20ページ、電気刺激による不快感、舌の擦過傷等が認められましたが、いずれも刺激強度の調節、経過観察等により多くが回復しました。
続いて、審査の主な論点について御説明いたします。審査報告書23ページ、「臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。一つ目の論点は、本品の臨床的位置付けについてです。本品は、臨床試験であらかじめ規定された性能目標を達成しましたが、主要評価項目を達成できなかった患者の割合が126例中43例、34.1%であったことについて、「侵襲を伴う治療である」という観点から、許容可能であるか検討しました。この点について、43例のうち22例の患者は、主要評価項目に設定された反応者の定義には至らないものの、AHIの減少を認めており、主要評価項目を達成した83例と合わせると、全体で105例、83%の患者でAHIの減少が認められました。また、治療効果が得られない場合には、機器を安全に抜去できることが植込み5年後までのフォローアップ調査で確認されています。
以上のことから、CPAP不適又は不忍容であって、ほかの治療の選択が困難な患者に対して、限定的に提供する位置付けであればリスクベネフィットの観点から、本品を臨床現場に提供することは妥当であると判断しました。
二つ目の論点は、海外臨床試験の外挿性についてです。本臨床試験は、米国及び欧州で実施された試験であることから、当該試験結果を本邦に外挿できるかを評価するために、民族差等の内的要因、医療環境差等の外的要因について検討しました。審査報告書23ページ、下から2行目を御覧ください。アジア人の頭頸部形態は、欧米人と比較して縦方向に大きい形をしており、上気道が細長いために、少しの体重増加や肥満によってOSASを発症しやすいと言われております。そのため機構は内的要因として、国内外での頭頸部形態の差分について検討しました。24ページの上から5行目に示すとおり、本臨床試験に組み入れられた126名のうち16名がアジア人と類似した頭頸部形態を持っており、これらの患者において全体集団と大きく乖離しない成績が得られたことが示されました。これにより本邦でも、海外臨床試験成績と同様に、有効性が得られると判断しました。
次に、外的要因についてです。OSASに対する治療ガイドラインや、医療環境差について国内外で大きな違いはありませんが、本邦では、舌下神経を電気刺激する医療機器の承認前例がありません。海外臨床試験では、本品の植込みは、トレーニングを受講した頭頸部外科医によって行われたことから、本邦においても従来から頭頸部の外科手術を実施している医師が適切な講習を受講すれば、本品を安全に植え込むことが可能であると判断しました。
三つ目の論点は、有効性及び安全性についてです。審査報告書24ページの下段、「有効性について」の項から記載しております。審査報告書24ページの下段(3)「有効性について」の項を御覧ください。OSAS治療の真のエンドポイントは、心血管イベントや脳血管イベントといった合併症発生の抑制です。しかし、これらを臨床試験で確認することは、実現可能性の観点から現実的ではないと考えます。AHIは、OSASの重症度分類に用いられており、AHIの大小によって合併症の発現率が異なることが知られていることから、臨床試験において、AHIをサロゲートエンドポイントとして用いることは妥当であると判断しました。
また、臨床的に十分な治療効果があることの判断基準の妥当性については、審査報告書25ページ、下から2行目から26ページを御覧ください。AHIの値の変化量、少なくとも50%減少し、かつ20未満と設定されたことについては、OSAS治療に関する既存の研究結果から、AHIが50%減少すること及びAHIが20未満となることが臨床的意義のある規定と判断できることから、本品の臨床的効果を評価する上で妥当な設定であると判断しました。最後に、主要評価項目の性能目標を反応者率とし、全症例の50%以上と定義したことについては、CPAPに不適又は不忍容な患者を対象としていることや、既存の外科的治療の成績が50%程度と報告されていることを踏まえ、受入れ可能であると判断しました。
続いて、安全性に関しては、重篤な有害事象としてIPGの転移が確認されましたが、再手術の結果、合併症や後遺症を伴うことなく回復しています。また、こうした体内での機器の移動は心臓ペースメーカー等の他の植込み型電気刺激装置にも想定される事象であり、これらと同様に適切に処置することで、臨床上、許容可能であると判断しました。その他、植込み後5年間のフォローアップ調査の結果を含めた場合にも、刺激強度の再設定、経過観察等によって寛解していることから、本品の安全性については臨床上許容可能であると判断しました。
四つ目の論点は、適応患者の選択についてです。審査報告書27ページ、「適応患者の選択について」の項を御覧ください。本臨床試験では、先に実施された探索的試験の結果から、本品の有効性が得られやすい患者の要因を特定し、これに基づき、患者選択が行われました。機構は、本品の治療効果が得られる患者を適切に選択するために、本臨床試験の患者選択基準を基にした患者選択を行うことが適切と判断しました。この点については、添付文書上に、本臨床試験における患者選択基準を明記の上、関連学会である日本呼吸器学会、日本循環器学会、日本耳鼻咽喉科学会と協力し、適正使用指針の中で規定を設けることが妥当と判断しました。
五つ目の論点は、製造販売後の対応についてです。審査報告書29ページ、ト項を御覧ください。本品は新規性が高いことから、使用成績評価の対象として指定することが妥当と判断しました。使用成績評価の実施計画案は、表17のとおりです。200例を調査対象とし、有効性については、AHI、ODI、ESS、安全性については、全ての有害事象を収集する予定です。調査期間は、販売準備期間に1年、症例登録期間に3年、症例の観察期間に1年、得られたデータの解析期間として6か月、計5年6か月を使用成績評価の調査期間とすることが妥当と判断しました。
以上の審査を踏まえ、機構は、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は使用成績評価の対象に指定し、調査期間は5年6か月とすることが妥当と判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会での御報告を予定しております。機構からの報告は、以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○一色部会長代理 それでは、参考人の黒澤先生から、御追加の発言をよろしくお願いいたします。
○黒澤参考人 御説明がありましたとおり、睡眠時無呼吸症候群、それも閉塞型ということで、オーサスあるいはオーサと言いますが、放っておくと予後が悪いことがよく知られています。その中でも中等症から重症という人に対してはCPAPをするのが、唯一と言ってもいいゴールドスタンダードなわけですが、10%から、高い報告だと30%ぐらいの患者さんが続けられないということで、そのような人に対しての治療法が今までに余りなかったことが現実でありまして、舌下神経を刺激するというのは、非常に貴重な治療選択肢になるのではないかと思います。
なお、東北大学では、皮膚電極を用いて同じような治療を試したことがあります。皮膚電極と、このように電極を埋め込むことの違いは、マイナスの面としては、やはり手術が必要だということになりますが、プラスの面としては、皮膚電極ですと、余り確実ではないことです。それから、電圧が全く違います、レベルが。そのため、余り高い電圧は必要ではなくて、非常に低い電圧でできることが非常にメリットではないかと思います。神経の確実なところをやりますので、効果としては非常に見えやすいと思います。以上です。
○一色部会長代理 ありがとうございます。それでは、御質問、御討議をお願い申し上げます。いかがでしょうか。
○梅津委員 新しい治療方法に関しては、慎重に患者さんを選択することは大事だということはよく分かりますが、27ページに書いてある本品の有効性に関わる事前検査というのと、それから、実際に治療が始まってからの製品の販売後調査の関係、つまり、これをしてみたら、やはりこのようなことまで適応拡大で有効なのではないか、このようなことはやめた方がいいということは、新しいものだと何かしら出てくるような気が私はするのです。したがって、その辺の両方を見られるような仕組みが何かあるといいのではないかと思いましたけれども、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらといたしまして、こうした患者さんの要因を検査して、使っていくことで、やった方がいい、やめた方がいいというところと、直接のお答えにはなっていないかもしれませんが、このような使用の経験がたまっていく中で、よりその本品に反応しやすい患者さんの要因というものが、また何かしら新たに見付かってきて、より反応性の高い患者選択が行えるようになってきたらと考えておりますので、そうした情報収集は行えるようにしていきたいと考えております。
○梅津委員 何かフィードバックができると良いような気がいたしました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○中谷委員 これはバッテリーを使用していますが、夜だけ使うにしても、消費電量が少ないにしても、その辺の記載が全くなかったのですが、どのくらいもつのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 耐用年数については、電池の寿命が7、8年程度になっています。電池残量は医師用や患者用のプログラムで確認をします。そして、電池が切れれば、IPGごと交換という手術になります。
○中谷委員 それもここにあったように、問題があった症例と同じく、特に問題なく交換もされているということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。
○齋藤委員 この機器に関する直接的な質問ではないのですが、恐らく、ペースメーカーのときも同じだと思いますけれども、肥満の患者さんはMRIを撮る機会が多いのではないかと思います。この機器がMRI対応に関するきちんとしたデータがないという記載があるのですが、患者さんにこれを今、付けているという特殊なカードをお渡しするなどの対応ということも考えられているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本品が植込み機器ですので、ペースメーカー等のほかの機器と同じように患者手帳といったものを配布することを考えております。そこには今回、MRIは未評価であるというような記載になってしまうと思いますけれども、本品については、現在のところ未評価ではありますが、申請者から話を聞いたところ、本品の次世代モデルは、少し小型化したようなモデルになるのですが、こちらではMRIに対応した設計になっているということです。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。私から一つ、ペースメーカーなどについては、御存じのように、施設基準や術者の基準が定められていると思いますけれども、これについては、どのようなお考えでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 本品についても施設基準や実施医の基準などを設けようと思っておりまして、例えば実施医の基準ですと、植込み実施医については頭頸部外科手術に十分な知識や経験を有すること、先ほど申し上げました植込みに当たり必要な講習を受講していること、さらに、プロクター制度なども設けようかと考えているところです。
○一色部会長代理 十分な経験というのは具体的ではないので、ペースメーカーは学会で非常に厳しく規定されていると思いますけれども、その辺はこうした埋植型デバイスということもありますので、血管内に入れるかどうかで大分違うとは思いますし、かなり同様のシステムが求められるのかという気はするのです。
○医薬品医療機器総合機構 そちらについては、関連学会、特に植込みの実施であれば、日本耳鼻咽喉科学会とも現在、調整を進めて、この指針にきちんと具体的に盛り込めるように動いておりますので、対応したいと思います。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。中谷委員、どうぞ。
○中谷委員 確認ですが、植え込むのは、今は耳鼻科の話で、いわゆる刺激系のところはそれでいいのですが、センサのところも耳鼻科の方が行っているのですか。それとも外科なのでしょうか。実際、決めるのはどちらかというと循環器内科が中心となり行うだろうし、先ほど言われたように、本体そのものと刺激系のところは耳鼻科の先生方になるだろうし、センサのところもかなり微妙なところもあると思いますので、慣れていけばそれは普通の外科、頭頸部外科医でもできると思います。その辺は実際にどのような形でされていて、どのような形で日本に導入するのを想定されているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 現在考えているのは、合同ということもあるかもしれませんが、やはり最も難しい所が舌下の神経を露出させてそこに置くことですので、主体としては、頭頸部位の外科の先生がセンサリードの植込みまで講習でマスターしていただいて、1人の方といいますか、耳鼻咽喉科の先生を主体として植込みをするということで考えております。
○医薬品医療機器総合機構 先生、ありがとうございます。そこは耳鼻咽喉科学会だけではなく、日本呼吸器学会様や日本循環器学会様にもお声掛けをさせていただいておりまして、3学会に連携いただいた上で、適正使用指針も御検討いただく場を今後予定しております。そこで適切な議論を頂いて、センサリードをどうしていくのかという具体的なところもお話合いいただこうかと考えております。
○中谷委員 これは正に多科にわたるチーム医療です。余りその辺は触れられていません。チームで臨めというのは当たり前と言ったら当たり前なのかもしれません。しかし、これは下手をすると3科、4科が関わることがどうしても必須になってくるというので、その辺のことも少しどこかで触れるべきではないでしょうか。その辺のところは余り書かれていないような気がするのです。例えば、欧米ではこのようにしているなど、何かしらあってもいいのではないかという気はするのです。特に今後、こうした形の新しく多科にわたっていないと本当にできないという形のものが入ってくる際の一つの見本のような形になると思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの報告書には、他科とどのような連携をしていくのか、そうした具体的なところを書いておらず、大変申し訳ありませんが、承認条件で、適正使用指針に基づき実施していただくことを明示していますので、そちらの方での対応と考えております。
○一色部会長代理 黒澤先生、御意見はありますでしょうか。
○黒澤参考人 実は、東北大学の耳鼻科の教授に、どのような感じなのかと聞いてみたところ、それほど難しくはないので、ほとんど問題ないであろうということを言っておりました。耳鼻科としては貴重な手術になると思うので、是非、耳鼻科でさせていただきたいと言っておりました。
○一色部会長代理 この手術は、欧米では耳鼻科の先生が基本的に全てされているという理解でよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりです。
○中谷委員 そうしたところがあるのではないかという気がしたのですけれども、全くそこのところが触れられていなかったので、日本はどうするつもりなのかということです。欧米ではこのような形でやられている。日本では呼吸器学会なり循環器学会で診断や適応ということを決める。恐らく、耳鼻科で先ほど言われたような手術やフォローなどを行う形だと思います。トレーニングされた方がやられるのであれば、それはそれで構わないと思いますが、まず、どのようなものが欧米でされていて、それがどのような形で日本に入れるつもりなのかを触れておくべきではないかという気がしたのです。あえて私が言ったのは、そこまで分ける必要があるのかと思いつつ、何の反応もないのでその辺を言ったのです。そうではないと大変だろうと思っているのです。もしそのような形で行うならば、それはそれでも構わないのですが、ただ、しっかりとトレーニングされてから行うということで導入することはそれでいいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘をありがとうございます。審査報告書の中には詳しく記載しておりませんが、関連学会の先生方と適正使用指針を作る上で骨子として、実施医の基準とし、植込みを実施する医師の基準と、長期の管理をする医師の基準を別々に分けて検討しようかと考えておりますので、その中で先生方から御指摘いただいたような細かい条件を検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○一色部会長代理 ほかにいかがでしょうか。それでは、議決を行いたいと思います。医療機器インスパイアについては、本部会として高度管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、特定保守管理医療機器として指定しないこと、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績調査には期間を5年6か月として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題5を終了いたします。黒澤先生、どうもありがとうございました。
では、次に移ります。議題6、「医療機器Perceval生体弁の使用成績評価の指定について」の審議に移ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題6、「医療機器Perceval生体弁の使用成績評価の指定について」御説明いたします。資料6です。今回、使用成績評価の指定について審議いただくPerceval生体弁の概要について示しております。申請者名はSorin Group、選任製販は日本ライフライン株式会社となっております。品目の概要欄です。本品は、開心術により罹患した大動脈弁又は機能不全となった人工大動脈弁の置換を行うことを目的として使用される、ウシ心のう膜弁及び自己拡張型のニッケルチタン合成製ステントから形成された生体弁であり、特徴として、ステント構造より縫合糸による生体弁の縫着を必要としない大動脈弁置換術用生体弁です。昨年5月の部会にて御審議いただいた、本品と同様にステント構造を持ち、従来の大動脈弁置換術用生体弁よりも少ない縫合数にて留置可能な生体弁であるEDWARDS社のEDWARDS INTUITY Eliteバルブシステムに対し、使用成績評価を指定した際と同様の考え方に基づき、本品についても使用成績評価を指定することが妥当と考えております。なお、調査期間については、販売準備期間〇〇年、症例登録期間〇年、フォローアップ期間〇年、解析期間〇〇年の計7年を課すことが妥当と考えております。以上の内容について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○一色部会長代理 二つ目の機器ということで同様の対応ということですが、何か御意見ございませんでしょうか。それでは、議決を行います。医療機器Perceval生体弁の使用成績評価は、期間を7年として指定することでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会でも報告を行うこととなっております。これで、議題6を終了します。
それでは、議題7に移ります。議題7、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び指定保守管理医療機器の指定の要否について」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題7につきましては、資料7に基づき御説明いたします。ホチキス留めの2枚組の資料になっています。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、また、その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて審議いただいています。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが1品目あります。
一般的名称の案を御覧ください。新設予定の一般的名称は「電子駆血帯」となっており、穿刺のために静脈を怒張させるために用いる電子機器で、自動的に加圧されるカフによって上腕又は下肢を加圧するものになっています。当該使用目的及び使用方法に関する一般的名称がないために、新設することになりました。本品は、クラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えています。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えています。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○一色部会長代理 2枚目にどのようなものかの絵が書いてありますので、参照ください。手で圧力を上げずに、ただボタンを押すと膨らむという、血圧計の簡便なもののような感じです。何か御意見ございますか。よろしいですか。それでは、議決を行います。電子駆血帯を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決いたします。本件は、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて文書報告を行うこととなっております。これで、議題7を終了いたします。
それでは議題8、「医療機器の再審査結果について」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題8、「医療機器の再審査結果について」報告します。再審査は、改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回は、再審査の結果が4件ありますので、順に御説明いたします。
まず、資料8-1です。販売名はSolitaireFR血栓除去デバイス、申請者はコヴィディエンジャパン株式会社です。本品は、急性期虚血性脳梗塞(原則として発症後8時間以内)において組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与によって血流再開が得られなかった患者を対象として、血流の再開通を図るために使用する医療機器で、平成25年12月20日に承認されました。本使用成績調査では、本品の臨床実態下における医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、259例が評価対象になりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条2項第3号イからハのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。
続いて、資料8-2です。販売名、トレボプロクロットリトリーバーについてです。申請者は日本ストライカー株式会社です。本品は、先ほどと同様、急性期虚血性脳梗塞においてt-PAの経静脈投与が適応外、若しくは投与によって血流再開が得られなかった患者を対象として、血流の再開通を図るために使用する医療機器です。平成26年3月28日に承認されました。本使用成績評価は、243例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
資料8-3です。シームデュラについてです。申請者はグンゼ株式会社です。本品は、脳膜欠損部の補綴に用いられる医療機器で、平成19年10月31日に承認されました。本使用成績調査は、本品の臨床使用実態下における安全性及び有効性等を確認することを目的として、752症例が評価対象となりました。これについて調査したところ、特段の問題は見付かりませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号のイからハまでのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
最後に、資料8-4です。品目はセレスキューです。申請者はアステラス製薬株式会社になっています。本品は、外科手術ではリスクの高い、あるいは外科手術不可能と判断される出血に対する経カテーテル的止血術に用いる血管内塞栓デバイスで、平成25年3月22日に承認されました。本使用成績調査は、本品の臨床使用実態下における本品の安全性及び有効性等を確認することを目的として、140症例が調査対象となりました。これについて調査したところ、特段の問題は見付かりませんでした。そのため、薬事法第14条第2項第3号のイからハまでのいずれにも該当しないカテゴリー1と判断しています。
以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りしていますので、簡単に御説明させていただきました。以上をもって御報告とさせていただきます。
○一色部会長代理 ただいまの4件につきまして、何か御質問、御意見等ございますか。もしないようでしたら、これで議題8を終了したいと思います。
それでは議題9、「部会報告品目について」に移ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題9、「部会報告品目について」資料9-1、9-2に沿って御説明いたします。横向きの資料になっています。平成29年10月から平成29年12月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラス4の医療機器、臨床評価が必要なクラス3の医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめています。医療機器69品目について資料9-1に記載されておりますが、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛とさせていただきます。また、体外診断薬5品目は、資料9-2に記載しており、新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等々、重要なものについては備考欄に内容を記載しておりますが、こちらも詳細については割愛とさせていただきます。以上をもって報告といたします。
○一色部会長代理 何か御意見、御質問等ございますか。御質問等ないようですので、これで議題9を終了します。
本日予定されていた議題は全て終了いたしました。事務局より連絡事項がございましたら、よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。次回の部会ですが、6月29日(金)午後2時から予定しています。よろしくお願いいたします。連絡は以上です。
○一色部会長代理 それでは、これをもちまして本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
( 了 )
 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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