ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2017年12月6日)




2017年12月6日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成29年12月6日(水)17:30~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(20名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、
梅 津 光 生、 北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、 小 西 郁 生、
塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、
寺 崎 浩 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 配 島 由 二、
濱 口   功、 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 渡 邉 和 久
 他参考人2名

欠席委員(2名)五十音順

齋 藤 知 行、 桃 井 保 子、

行政機関出席者

森   和 彦 (大臣官房審議官)
中 井 清 人 (医療機器審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇 津   忍  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
木 下 勝 美 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

備  考

本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

○議事

○医療機器審査管理課長 それでは、定刻より若干早いのですけれども、御予定の先生方、皆様お集りいただきましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきます。先生方におかれましては、かなり遅い時間に恐縮でございますが、どうもありがとうございます。現時点で22名のうち19名に御出席いただいておりますので、定足数を満たしていることを御報告申し上げます。なお、鈴木先生については遅れて到着される予定となってございます。

 続きまして、部会を開催する前に事務局から1点報告がございます。前回の部会でも簡単に御説明させていただきましたけれども、薬事分科会規程第11条の規定に抵触し、委員が薬事に関する企業から定期的に収入を得ていたという案件について、再発防止策として、今後薬事分科会の委員就任時及び会議開催時ということで、薬事分科会規程の適合状況を書面に御署名いただく形で御申告を頂くということになってございました。本部会におきましては、本日の開催分よりこの運用を開始させていただいてございます。この全ての委員の皆様より適合している旨を御申告いただいておりますので、併せて報告させていただきます。

○事務局 次に本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。

 続きまして配布資料の確認をさせていただきます。お手元に資料を二つに分けて置いたかと思いますが、左側の高いほうの山、上から議事次第、次が配布資料一覧、次が座席表となっております。配布資料一覧に沿って御説明いたします。その下、資料1ですが、左上に資料1-1と書かれているホチキス留めの資料、こちらが全て資料1となっておりまして、資料1-9までございます。次に資料2、その下に資料3、分厚い物があります。次に資料4ですが、こちらも資料4-1から4-5までが一つのホチキスで留められています。その下に資料5-1から5-3まで三つに分かれたもの、その下に資料6-1と6-2と二つに分かれたもの、その下に参考資料1が置いてあります。ここまでよろしいでしょうか。また、次に右側ですが、当日配付資料が置いてあるかと思います。以上、御確認いただき何かあれば事務局までお申し付けください。それでは以降の進行について荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 よろしくお願いいたします。今、お話ありましたように、今日は結構、遅い時間のスタートになりますので、なるべく円滑に進めて行きたいと思います。よろしく御協力ください。資料はよろしいですか。よろしければ、早速ですけれども議題に入らせていただきます。

 それでは議題の1、「承認基準の改正について」を始めさせていただきます。事務局より説明をお願いします。

○事務局 事務局より議題1、承認基準の改正について御説明いたします。まず、資料1-1を御覧ください。1.()から()の脊椎麻酔・硬膜外麻酔に使用する医療機器の承認基準の改正について御説明します。今回の改正の背景として経腸栄養、麻酔、呼吸器などの主にベッドサイドで使用する医療機器について、それぞれの送気ライン、送液ラインの誤接続を防止して安全性を高めるための新しいコネクタの規格が近年制定されました。この新しいコネクタの導入を進めるために医政局、医薬局より通知を発出しておりまして、その通知を本資料の23ページ、資料1-8として添付しております。今回の承認基準の改正では、この新しいコネクタを有する製品を承認基準の範囲内に含めるという改正を行います。

 次に資料1-1にお戻りください。1.()の中心静脈用カテーテル承認基準の改正を御説明します。現在の承認基準は、中心静脈用カテーテルの性能評価を定めた日本工業規格JIS T 3218をベースに作成されております。今般この日本工業規格が改正されて、薬液の流量評価方法の変更や耐圧性基準の厳格化が行われます。この日本工業規格の変更を取り込むための承認基準の改正を行う予定です。この承認基準の改正の予定日が、資料1-1、2.にございますように平成30年2月上旬とされておりますが、事前配布資料では平成29年2月上旬とした誤りがございましたのでおわび申し上げます。御説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、これで議題1は終了とさせていただきます。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。それでは以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様におきましては御退席をお願いいたします。準備が整い次第、審議を開催いたしたいと思います。それでは準備が整いましたので医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。

○事務局 それでは当日配付資料1を御覧ください。当日配付資料1に競合企業、影響企業リストがあります。こちらは7ページまで続いておりまして、本日の審議事項に関する競合企業として、当日配付資料1に示す企業について委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規定第12条の「審議不参加の基準」に基づく審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。

 また、議事の順番に変更がございます。議事次第を御覧ください。議題2の参考人の先生が18時半頃にいらっしゃることになっているため、議題2のチタンブリッジに関する議題は議題3、クールスカルプティングコントロールユニットに関する議題の後に、参考人の先生が到着し次第、その途中の議題が終わり次第、行わせていただきます。

議題2と3について、資料の番号と実際の議事の順番が逆になりますので、御注意をお願いいたします。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。それでは、今、お話がありましたように議題3に入らせていただきます。議題3、「クールスカルプティング コントロールユニット」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、に入らせていただきます。本議題につきましては、東海大学医学部外科学系形成外科学准教授であられる河野太郎先生にお越しいただいております。よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より御説明申し上げます。まずはひもで留めてございます資料の3をお手元に御用意ください。資料の2ではございません。資料の3を御用意ください。よろしいでしょうか。それでは議題3につきまして事務局から御説明いたします。資料の3を御覧ください。1枚目が諮問書となります。本議題では医療機器、クールスカルプティングコントロールユニットの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要につきましては、機構担当者よりよろしくお願いいたします。

○機構 それでは、議題3「クールスカルプティング コントロールユニット」について、機構より御説明いたします。最初に当日配付資料4を御覧ください。17ページです。本審査に当たり記載している2名の専門委員に御意見を頂きました。また、19ページ、新旧対照表を御覧ください。こちらは事前に配布した審査報告書に修正がありますので、こちらにお示ししております。主に承認条件の表現の修正に関する内容ですが、直前の修正となったことをおわび申し上げます。申し訳ありませんでした。

 初めに、本品の概要を御説明いたします。資料3の6、7ページを御覧ください。こちらに本品や併用する医療機器の写真を示しております。本品は、皮膚の上から部分的に皮下脂肪を冷却することによって、部分的にその厚みを減少させることを目的とした医療機器です。御存じのとおり、こちらは美容目的の医療機器ですので、自由診療で使用されることになります。本品の外観は、6ページの図1に示しているとおり1mを超えるような大型の装置になります。これに図2や図3で示しているようなアプリケータ、並びに図4に示している消耗品を併用することで本品を使用します。実際に本品を使用する前の様子は、図5に示しております。本品と併用するアプリケータには、大きく分けて2種類あり、図2に示しているような吸引機能が備わっているものと、図3に示しているような吸引機能を有していないものがあります。

 次に、開発の経緯について御説明いたします。審査報告書8ページを御覧ください。8ページの下段に開発の経緯を記載しております。本品は、海外で開発されたCryolipolysisという技術を採用しております。この技術は、水よりも高い温度で脂肪が凝固する点に着目したものです。そのため、適切な温度を選択して皮下脂肪を冷却することで、皮膚に不可逆的な損傷をもたらすことなく、皮下脂肪を冷却することが可能となります。本品の開発の過程において、様々な動物試験やヒトに対する臨床研究が行われておりますが、その結果から本品による施術後に脂肪細胞にアポトーシスが起きる現象が観察されており、本品の作用機序の一つとして考えられております。実際に臨床研究を行った際の皮下脂肪組織の染色像は、9ページの図7とか、10ページの図8に示しております。これらの基礎研究を重ねた上で、本品は部分的な皮下脂肪の減少を目的とした医療機器として米国で開発されました。

 次に、非臨床試験について御説明いたします。審査報告書の13ページを御覧ください。13ページの下段から16ページの上段にかけて、非臨床試験の内容について記載しております。非臨床試験の審査の結果、これらの内容について、特段の問題は認められませんでした。

 次に、臨床試験成績について御説明いたします。審査報告書の17ページをお開きください。審査報告書17ページの表7に本品の臨床試験の概要についてまとめております。本品の臨床試験に関する資料といたしましては、海外で実施された複数の臨床試験成績が提出されております。主な内容が表7に記載されておりますが、臨床試験によって、施術を行った部位と冷却条件、主に温度とその時間になりますが、これらが異なっております。これら臨床試験で施術を行った部位といたしましては、本品が使われる頻度が高い腹部、大腿部、顎の下といった部分、これらが施術の対象となっております。

 次に、審査報告書18ページを御覧ください。こちらの上から、本品の臨床試験において評価された有効性評価の内容を記載しております。本品の有効性といたしましては、主に三つの項目が評価されております。記載しておりますように、一つ目は写真評価の正答率、二つ目が脂肪厚の減少量、三つ目が被験者の満足度となります。

 その評価の内容を簡単に御説明いたしますと、一つ目の写真評価の正答率ですが、3名の盲検化した形成外科医又は皮膚科医を評価者として採用しています。その上で、まず施術する前に決められた手順にのっとって施術を予定している部位の写真を撮影し、その後施術を行って、その後12週又は16週後に施術前と同じ手順によって写真を撮影します。この写真を施術前と施術後が分からない状態で評価者に提示して、実際に施術前後が正しく正答された被験者の割合をこの写真評価の正答率として定義しています。

 二つ目の脂肪厚の減少量は、これは単純に超音波プローブによって、実際に施術前の脂肪の厚みを測定し、施術後12週又は16週後に同じ手順で脂肪の厚みを測定し、どの程度減少したかを定量的に評価している内容です。

 三つ目の被験者の満足度は、単純なアンケート評価によって被験者の満足度を5段階で評価した結果となります。

 審査報告書20ページを御覧ください。20ページの表9に、先ほど御説明した有効性評価の結果をまとめております。写真評価の正答率に関しては、66.794.4%、という結果が得られております。脂肪厚の減少量に関しては、低いものだと1.3mm、大きいものだと4.9mmの減少量が得られております。被験者の満足度に関しては、3.684.68という結果が得られました。

 次に、審査報告書22ページを御覧ください。安全性評価の結果について、こちらのページ以降にまとめております。本品の安全性評価としては、有害事象の発現率が評価されました。2223ページから2526ページにかけて、グラフで示しているのは、施術部位の皮膚の臨床症状に関する有害事象の発現率です。このグラフを見てもお分かりいただけますように、施術直後には、高頻度で紅斑とかしびれといった有害事象が発現しております。一方で、観察期間を経ることによって、その発現頻度が低下している傾向が分かっていただけるかと思います。

 審査報告書26ページを御覧ください。審査報告書2627ページには、表10として、施術部位の皮膚症状以外の有害事象も含めて、本品と因果関係が否定できない有害事象をまとめております。主にしびれとか疼痛といったものが報告されておりますが、これらの事象は全て最終的には消失したことが分かっております。

 さらに、28ページを御覧ください。28ページの表11に示しているのは、下腹部を対象とした臨床試験において施術前と施術後に血液検査を行い、脂肪が分解されることによって、血中の脂質に関するパラメータに異常な変動がないかどうかを調べたものです。表11に結果を示しているとおり、本品による施術の前後において血液検査の結果に異常な変動は認められませんでした。

 続いて、本品の審査の主な論点について御説明いたします。審査報告書の36ページを御覧ください。初めに御説明いたしますのは、本品の有効性及び使用目的についてです。先ほど御説明したとおり、有効性評価の結果としては、写真評価の正答率、脂肪厚の減少量、被験者の満足度、これら三つの評価項目において、本品による一定の医療機器としての有効性が示されました。また、審査報告書18ページを御覧ください。美容機器の評価は、どうしてもバイアスが掛かりやすいというところで、いかにバイアスを排除する工夫がなされているかというところが、一つの論点として挙がっていました。18ページに示しておりますのは、有効性評価においてどのような方法をあらかじめ手順として決めていたのかということ。こちらを1819ページの上段にかけて記載しております。さらに表8に記載しておりますのは、本品は脂肪厚の減少を使用目的としておりますので、どうしても観察期間内における体重の変動が本品の有効性に大きく影響を及ぼしています。その体重の変動の影響をいかに排除するかについて、どのように工夫していたのかというところを、この表8にまとめております。我々といたしましては、このような内容に基づいて、評価者バイアスを排除するとか体重の変動の影響を排除するための対策が、十分になされていたことを審査で確認しました。

 さらに、使用目的の記載も、過大な効果を期待させない適切な表現に変更されました。具体的には、審査報告書30ページを御覧ください。30ページの中段少し上に「申請時の使用目的」と「変更後の使用目的」を記載しております。具体的には、「冷却融解させる」という効果が一般的になかなか分かりづらいところがありましたので、臨床試験の結果、有効性評価の結果に基づいて、「皮下脂肪を減少させる」という表現に修正し、また、全身的に脂肪を減少させるという効果はありませんので、「部分的に」という表現を追加しました。また、本品を使うことで体重を減少させるという過大な効果を期待させる可能性がありますので、なお書きとして「本品は体重の減少を意図するものではない」という記載が追加されております。以上を踏まえ、本品の有効性及び使用目的には問題はないと判断しました。

 二つ目の論点としては、本品の安全性についてです。臨床試験の結果に基づいて有害事象を評価した結果、確かに施術直後には紅斑やしびれといった軽度の合併症が高頻度で発現しましたが、重篤なもの、永続的な有害事象は発現せず、全ての事象が最終的には消失していることを確認しました。

 また、脂肪組織の吸収分解過程における安全性に関しても、血液検査の結果に基づいて、異常な変動は認められなかったことを確認しております。さらに、繰り返しの施術回数の安全性に関しては、申請者は少なくとも2か月のインターバルを空けてくださいと、使用方法として定めております。2か月なので8週間ですが、臨床試験では8週間又は6週間の間隔で2回施術を行った場合の安全性が評価されておりますので、施術間隔に対する安全性は確認されていると考えております。以上を踏まえ、本品の安全性に問題はないと判断しました。

 三つ目の論点としては、海外臨床試験の外挿性についてです。審査報告書の37ページを御覧ください。37ページの中段に三つ記載しておりますが、外挿性に関して考慮した点は三つあります。一つ目としては、側腹部を対象とした一つの試験において、半数近い被験者がアジア人であり、有効性及び安全性の評価の内容に含まれていたこと。二つ目としては、日本の気候を考慮した場合に、アジアの中でも日本には四季があり、必ずしも冷却、寒冷にさらされない国ではないので、アジア人の中でも日本人に特化して皮膚が寒さに対して敏感に反応するということは考えづらいこと。最後三つ目としては、公表論文の報告に基づくと、欧米人と東洋人の皮膚の厚さに関する民族差は、数百μm程度であり、本品が冷却効果を及ぼすと考えられる皮下脂肪の深さに対して、その影響は十分に小さいと考えられること。以上、三つを考慮し、海外で実施した臨床成績を本邦に外挿することに問題はないと判断しました。

 最後に、四つ目の論点について御説明いたします。四つ目の論点は、使用成績評価の指定についてです。審査報告書に関しては、37ページの下段から38ページの上段に記載しております。先ほど安全性の説明の所で御説明しましたが、臨床試験においては、重篤なもの、永続的な有害事象は発現しておりませんでした。

 一方で我々として懸念したのは、海外における市販後の不具合の有害事象として報告されている逆説的過形成という事象です。こちらは、どのような内容のものかと言いますと、逆に脂肪細胞が増えてしまって、施術部位が肥大化してしまうという事象です。海外における市販後の有害事象の中でも、唯一自然治癒しないことが分かっております。その発現率に関しては、これも海外の市販後の情報に基づくと0.014%ですので、1万回に1.4回という頻度です。この頻度の事象を臨床試験とか市販後の使用成績評価で検出することは、現実的に困難であると考えております。さらに、本品は東アジアを含めた海外で一定の使用実績があり、これまで報告されている有害事象の発現率も低頻度であることから、本品の使用成績評価の指定は不要と判断しました。

 しかしながら、逆説的過形成で発現した場合には、著しく被験者のQOLを損なうため、本品による施術を行う前に、医師から被施術者、消費者へのインフォームド・コンセントは重要であると考えました。本品が美容目的の医療機器であるという特性と昨今の美容機器に関するトラブルを考慮すると、本品による合併症のリスクを十分に理解した医師に対してのみ本品を販売することを製造販売業者に義務付けるため、審査報告書の38ページ中段に記載している承認条件を付すことが妥当と判断しました。以上が審査の論点になります。さらに、本邦での美容機器に関する健康の被害の状況も考慮すると、有効性もそうですが、特に安全性が確認されている製品を本邦に導入することに意義はあると判断しています。

 以上を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、機構は、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。私から一言。36ページの「本品を承認する意義」が飛ばされてしまったので、少し補足させて頂きます。皆さんも、今までこの部会で審議してきたデバイスの中で、本品はかなり異色だと感じておられると思います。ここに書いてありますが、主に自由診療で使用されるものではありますけれども、人体の構造、機能に影響を与える以上、一定のリスクがあり、実際にその報告もある。ですから、この部会できちんと審査を行い、有効性、安全性を確認して承認をしましょうという精神がまず根本にある訳です。このような考え方に基づく審議であることを、ご確認頂きたいと思います。

 それでは、審議に入らせていただきますが、初めに参考人の河野先生から追加の御発言を頂けますか。

○河野参考人 東海大学の河野と言います。よろしくお願いいたします。脂肪を取る痩身術ですが、全体の脂肪を取る方法と部分痩身とあります。本機器は部分痩身が適応となりますが、部分痩身の今までの問題点としては、脂肪吸引による多大な合併症があります。麻酔の影響、出血によるショック、はたまた腹腔内の損傷とか、胸腔内の穿刺による死亡の報告もあります。それに引き換え本治療に関しては、致死的な合併症がまず有り得ない。安全性が非常に高いものであり、繰り返しやることで、そのリスクが増大しないことが、本機器の一番のメリットと考えております。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方から御意見、御質問はいかがですか。

○小西委員 最初に効果からお聞きしたいのですが、部分痩身と言った場合に、本当に美しくなるのかどうかといったバランスの点はいかがなのでしょうか。

○河野参考人 痩身の中で、気になる所で、よくつまんでここの脂肪が気になるということを表現されると思います。実際、このアプリケータを当てる場合は、膨らんだ所の方にアプリケータを付けて、吸引して、そこの脂肪を減らす施術です。また、その脂肪の減少の量の方が、非常に緩徐なのですが、厚みをたくさん取るというよりは、厚みを少なく、だけれども広範囲に広く浅く取る状況ですので、繰り返しやることにより全体の量は増えますが、1回1回の陥凹が目立つとか、そういったわけではありません。

○小西委員 もう一つよろしいですか。やはり少し気になることは、その細胞にアポトーシスという障害を与えて、炎症はよく分かりませんが、逆説的過形成という事態も起こり得るという、細胞の増殖とかアポトーシスに関与する処置ということになりますと、間葉系幹細胞への影響とか、様々な懸念があり、特に癌化とか、そういった長期予後はいかがなものかという懸念がありますが、その点いかがですか。

○機構 御指摘ありがとうございます。不可逆的過形成という事象に関しては、まずは審査報告書の13ページを御覧ください。審査報告書の13ページに記載しているのが、海外における有害事象の発現率です。発現件数が多い順に上から並べておりますが、上から二つ目にあるのが逆説的過形成です。この逆説的過形成に関しては、少なくとも臨床試験においては発現していないことは事実ですが、市販においてこれが発現しているのは事実で、審査報告書の中では特に記載しておりませんが、症例報告、ケースレポートで逆説的過形成が発現したというような文献は幾つか出ております。

 その中で、例えば3回施術をして3回目に起きたとか、1回目で起きたというケースは多々あるのですが、傾向が分からないというところが一つあります。そのケースレポートの中でも一つ、逆説的過形成が起きた組織生検を取って調べたという研究もあるのですが、実際、その結果、確かに脂肪細胞が増殖をしているということは確認されたのですが、少なくとも悪性な組織が発現していない、悪性腫瘍にはなっていないということは確認されております。

 いかんせん発現率が低いもので、発現率がもっと高ければ、その傾向、例えば大型のアプリケータを使った場合に起きる確率が高いとか、こういった患者さんに使った場合には起きる確率が高いので気を付けてくださいというのが、件数がもっと多ければ、情報提供できるわけですが、いかんせんなかなか発現率が少ないので、現時点においてその傾向、発現、こういった患者さん、こういった使い方をしたときに発現する傾向がありますという情報提供をするまでには至っていないのが現状です。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○寺崎委員 有効性の提出された資料についてですが、これは有効性として写真評価をしていると思うのですが、写真評価は効果を見るためにされたとは思うのですが、合併症とかを見ますと、色素沈着過度とか、そういう割合が結構、10%ぐらいあるようです。そうしますと、そういうものを除いて合併症のなかったもので効果があったかというか。分かってしまいますね。大体3か月ぐらいは色素沈着が続いているものも、9%、8%ぐらいあるわけで、論文なのでしょうから分からないかもしれませんが、どういうものを写真評価に提出しているのか。色素沈着とか合併症があると分かると思うのですが、その辺はいかがですか。

○機構 御指摘ありがとうございます。今回、まず有効性評価、特に写真評価の手順としては、繰り返しになりますが、施術前に写真を撮って、施術した直後ではなくて、施術後12週後又は施術後16週後に同じような手順で写真を撮って、本品による効果があるのかどうかを評価しているものです。確かに御指摘いただいた色素沈着過度ですと、例えば審査報告書27ページに色素沈着過度がZA14-001試験で。

○荒井部会長 回答は、分からなかったら分からないでいいです。今の御質問の趣旨は、写真を撮るときに、写真だけ見て色素沈着があると、やった後だと分かってしまうことの可能性についての御指摘です。今それを明確に否定する理由は見当たらない、要するに、そういう人が混じっている可能性はあるということですよね。

○機構 そうですね。

○荒井部会長 100%否定できるといった、例えば、写真を全部モノクロにして、色素、色が分からないようにしていますという話ではないので、多分そこは寺崎委員からの御指摘について明確に否定できる根拠はないわけでしょう。

○機構 そうですね。一つだけ御説明できるとしたら、色素沈着過度であれば、上から二つ目の色素沈着過度であれば4件は98日までに消失。1件、162日後に消失しているものに関しては、ZA14-001試験は観察期間16週後に観察しているので、この1例に関しては、御指摘のとおり色素沈着過度が写真に写っていたという可能性は全くは否定できないところです。ただ、その下のZA14-002の色素沈着過度は27日で消失しておりますし、その下の13-005の色素沈着過度に関しては、16週目のライン前に回復していますので、16週目にラインしたときには、少なくともこの1件、162日後に消失したという1件に関しては御指摘の部分を否定できませんが、それ以外の部分に関しては消失していたことは言えるかと思います。

○寺崎委員 つまり、そういうものも含めて正答率を見ていることになりますか。

○機構 そうです。写真に合併症が写っていた場合には、それによって施術後と分かるという可能性は否定できません。

○寺崎委員 もう一つよろしいですか。体のある部分を冷やしますと血圧が上がるのですが、これは施術中に血圧の変化など見ていますか。特に肥満の人が多いですから、高血圧の人も多いかと思います。

○機構 結論から申しますと、血圧の変化は今回の臨床試験では見ておりません。今回の臨床試験、お配りの資料ですと、添付文書()というタブを開いてください。オレンジ色の「申請書」というタブの数ページ後に「添付文書()」と記載しておりますが、右上に「別紙6-2」と書いてあるものです。下のページですと17ページです。このページの右側の段の中段にある()「重要な基本的注意」の上から4ポツ目に記載しておりますが、今回、BMIが30を超えた患者さんというか被験者は、臨床試験には登録しておりませんでした。理由としては、本品の脂肪厚の減少量は効果としては割合ではなくて絶対量ですので、余りに脂肪が多い人であると効果が分かりづらいというところで、少なくともBMIが30を超えた患者さんに関しては、今回の臨床試験では評価されておりませんでした。30が肥満かどうかという議論はあるかもしれませんが、少なくとも今回の臨床試験に関してはそのようなデザインで行われていて、添付文書上でもその結果に基づいて、基本的にはBMIがある程度、30以下の方に使ってくださいということを情報提供しております。

○荒井部会長 よろしいですか。

○寺崎委員 しかしながら、30以下でも高血圧の人はたくさんいるわけですが、少なくとも手は氷水に付ければ血圧は確実に上がりますので、今回の皮膚の冷却の影響はどうなのかと思ったのです。

○荒井部会長 今の点について、私も昔、寒冷昇圧何とかと習いましたが、これに関してはデータがないということですね。河野先生、この辺は何か御意見。

○河野参考人 冷却の直接的な影響に関しては検討の方はありません。しかし、循環に関しての影響としては、吸引を掛けて血流が途絶えた状態で冷却しますので、冷却した血液が体循環に回るという影響は極めて少ないと考えています。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか御質問は。

○北澤委員 私は医療職でないので、あくまでも自分だったらこの機械を使うのかどうかという観点から審査報告書を読ませていただきました。その上で、幾つか質問させていただきます。

 まず、審査報告書の32ページの海外の臨床試験を日本に外挿することの妥当性という所で、ZA12-005試験の中では、被験者のうちの半分ぐらいがアジア人であったことを理由に外挿してもいいのではないかと言われておりますが、そのほかの試験ではどうだったのでしょうか。そのほかの試験では、アジア人は余り含まれていなかったのでしょうか。

○機構 御指摘のとおりで、臨床試験によっては2例ですとか、その程度のアジア人が含まれているものはありましたが、僅かしか含まれていなかったので、今回は特段その部分に関しては記載しておりませんでした。

○北澤委員 そうしますと、審査報告書の20ページに、いろいろな試験の結果がどうなったのかの一覧表の表9というものがあるのですが、そこで見ると、005試験というのは脂肪厚の減少量が1.3mmなのです。いろいろな試験の中で、一番減少量が少ない試験になっています。これは単純に考えていいのかどうか分からないのですが、脂肪の厚さが1.3mm減ったというのが何なのかというのが、自分としてはよく分かりませんでした。

 しかも、審査報告書の29ページの海外臨床試験の結果をどのように解釈するかという所で、審査報告書にも、脂肪の減ったミリ数は絶対値としては低いけれども、被験者満足度が結構よかったからいいのだと書いてあります。実際にこういったことを受ける立場からすると、このような大きな機械を使って、専門の先生に何かやってもらったこと自体が、被験者にとってはある一定の満足、やりましたというところの満足という部分があるのではないかと。それなので、この患者満足度が高いことをもって、有効性があるのだと言っていいのかどうかというところが、一つ分かりませんでした。

 更に言うのであれば、先ほどのお答えで、005以外には余りアジア人は含まれていなかったというような話でした。そうすると、添付文書の18ページの臨床成績には、腹部の試験が使われていて、表9でいうと001試験が引用されていると思うのですが、なぜこれが005ではなくて001なのかというところも、私としては分かりませんでした。添付文書は皆さんがよく見られるものなので、なるべくならアジア人の多い、つまり日本人に近い人が多いものを参考資料として付けるのがよいのではないかと思いました。

 それから、審査報告書の29ページの一番上の表12、有効性を説明する所で、004試験において脂肪の厚さが5mm減ったということが書いてあるのですが、これを見ると004試験というのは効果が一番大きなものなのです。それなので、審査報告書のこのページに一番効果が大きなものをあえて載せるというのは、効果が大きいと誤解させる要素があるのではないかと思いました。これは感想です。以上です。

○機構 御指摘ありがとうございます。我々としましても患者満足度、被験者満足度だけをもって本品を承認していいと判断しているわけではなくて、そうしてしまうとあらゆる医療機器が有効性ありとなってしまうと思います。

 先ほど海外臨床試験の外挿性の部分で3点御説明しましたが、確かにアジア人が含まれていたというところも一つ考慮はしていますが、それだけをもって判断しているわけではありません。皮膚の厚さの民族差、日本という気候、民族性という部分を考慮して、必ずしも日本で改めて治験を行わなくても本品の有効性を評価できると判断しております。おっしゃるとおり、本品の絶対量としては少ないという部分、これはどうしても否めない部分です。しかし、例えば1.3mmという結果が得られているものに関しても、少なくとも写真評価では78%、評価方法によっては82%という割合で、盲検化した第三者によっても、少なくとも効果はあるだろうという結果は得られておりますので、必ずしも被験者満足度だけをもって本品を有効性ありと判断したわけではありません。

 ただ、御指摘のとおり、添付文書に記載する情報は重要な部分ですので、今回、一番最初に実施した臨床試験の結果を申請者は掲載していたのですが、特に日本人に対して情報提供すべき情報として、御指摘のような005試験を併記するということも検討したいと考えております。

○小西委員 これまで参加して以来、比較的生命予後に関わるような重要な機器を審議してきましたので、急に生命予後には影響を及ぼさないような、美容目的の自由診療の機器ということで、これに対しては、この部会そのものがどういった対応で臨むかということがありまして、私たち部会委員一人一人の責任が逆に重たいのかなという気がしているのです。これは医療機器として認めるということですので、本当に重大なことであると感じています。

 アメリカのFDAが2005年ですから、かなり前に承認していますので、かなりたくさんの方々がこれを使われておりますので、こういったコホートの長期予後。普通は医療機器の成績でカプランマイヤー等で何年後にどうなって、有意差がどうだったかというような、比較的長期的な予後が示されていることが多いのですが、そういった意味でこれを使われた方は当然肥満の方が多いので結構亡くなっている方が多いと思うのですが、どれぐらいが亡くなっているかとか。もともと肥満がありますから、結構亡くなっていると思うのです。そういったデータはなくていいのかという気がしています。多分、コホートが追跡されていないと思うのです。その点はいかがでしょうか。

○機構 正直に申し上げまして、しっかりと本品を使用した後の長期予後、特に安全性を検証したというようなデータはないということが実際のところです。

○医療機器審査第一部長 今の小西委員からの御指摘については、担当が申し上げたとおり長期予後のデータはありません。ただ一方で、この機器を用いた結果として、先ほど「間葉性幹細胞からがんが発現するのか」という御指摘も頂きましたが、逆説的過形成のものも含めて、がん化の兆候もないというところです。

 このような機器に関して、どこまで長期予後も含めたものを求めるべきか、安全性に関する部分ですので悩ましい問題ではありますが、そこはエビデンスを確かにして、それがないと承認できないという形にするか、若しくは実際に個人輸入とか不適切な使用によって健康被害が起こっているところを、一定の有効性・安全性を確認したものとして、国が承認した形で流通させることによって悪いものを排除していく方向でやるべきかというのは、非常に難しい問題です。美容機器に関しても、これまで余り承認されたものがなかったのですが、最近いろいろとブレスト・インプラントに始まり、ヒアルロン酸の注入で皺を取ったり、そういったものも積極的に、あえて一定の有効性・安全性の確認、特に安全性の確認ができたものに関しては入れていくという形での承認の方向になってきています。そういったことも踏まえまして、今回は御指摘の肥満等による死亡率等、いろいろな要因が考えられますので、そこの長期予後の成績はないにしても、目先と言ってはあれですが、実際の健康被害を防ぐ方向で承認しても差し支えないのではないかと、PMDAでは判断させていただいた次第です。

○荒井部会長 冒頭で私が機構からの説明に追加させていただきましたが、ここは結構ポイントのところです。医療機器として認めていないと、逆に国としては使う人の制限も何も付けられない。すなわち、勝手に個人輸入してでたらめに使われる可能性がある。それに対し、専門の医師が判断をして使用するということになれば、大きな縛りにはなるであろうという点から、この部会できちんと医療機器としてのジャッジを下すという方向性で動いているという理解でよろしいかと思います。

○鈴木委員 皆さんが御懸念されるのは、薬事承認だけを取って保険収載は求めないで自由診療で使うので、逆に問題が生じないかということだと思いますが、考え方は両面あると思うのです。ただ、これが医療機器として薬事承認されることによって、使う側の方が、この機器は厚労省推薦だと、「承認」を「推薦」ぐらいには言うかもしれませんが、宣伝、広告に使う可能性があると思うのです。これは医療機器になると、それは制限されるのですか、それとも自由診療ですから自由なのですか。

○医療機器審査管理課長 事実として、医療等機器が承認されているということ自体はおかしなことではないのだと思います。ただ、医療機関がどう言うかというのは分かりませんが、企業自体が「承認されている」ということは言っても構わないと思うのですが、「特別なものだ」ということを言うことは、それは薬事法上では無理だということです。

○鈴木委員 医療の広告の分野でも、美容外科とインプラント歯科だけが大きく問題になっているわけです。そういう所で使われるわけですから、ここはそれを議論する所ではないからと縦割にされてしまうと困るのですが、使われる先が問題のある場所で、そこで使われることが明らかである場合に、承認したことに伴う責任が生じないのかということです。その辺はどうでしょうか。

○医療機器審査管理課長 承認されたことにより、製造販売業者が市販後の安全性に対する評価に責任を持ちますので。個人輸入された場合はそういった製造販売業者の責任はないのですが、そういう意味でいくと、製造販売業者として市販後の安全対策に対する責任は持つと。そういう意味では安全性については向上すると思っています。

○一色部会長代理 11ページに偽造品の副作用というか、水疱などの写真が載っていますが、こちらの機械を承認すると、その偽造品の取扱いについて何か厳しい規制がかかるとか、個人輸入でこういう偽造品が使われていることについては、何らかの規制をするなどの対策としては何か考えられるのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 この品目が承認されれば、基本的に売っているものを使っていただくということになりますので、同じ品目の個人輸入は駄目になるのだと思います。ただ、一方でそれ以外の違う製品があるということはあり得るのだと思います。日本でこういうものがなかった状態から承認されたものがあるという意味では、一定程度品質の確保されたものが提供されるという意味では、意味のあることだとは思っています。

○塩川委員 承認条件が付いていますが、これは自由診療の場合に、この承認条件はどのぐらいの拘束力になるのでしょうか。

○医療機器審査管理課長 特に自由診療と保険診療において、承認条件の拘束の状況に変わりはありません。同じです。

○荒井部会長 0.014%という数字ですが、本当にどのぐらい正確に調べて出てきた数字なのかが問題です。しばしばこの辺の数字では、小数点以下の0が増えてくると実際の頻度はそれより少し高いということがあります。特に有害事象を拾う場合には難しいところがあります。とはいえ、230万回使われているということを考慮すれば、全部調べているかという疑問は残りますが、相当低いということは事実だと思います。

 今、課長からもお話があったように、市販後に製造販売業者が一定程度の責任を持って、医療機器としての承認を取った機器としてフォローしていくというのは、当然課せられると思いますし、それは報告義務があると思います。そこは自由診療であろうが保険診療であろうが、変わらないということですね。

○医療機器審査管理課長 変わらないと思います。

○荒井部会長 そのほかはよろしいですか。それでは議決に入ります。医療機器「クールスカルプティングコントロールユニット」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定も不要とすることとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行うこととしております。これで、議題3を終了いたします。河野先生、お忙しいところをありがとうございました。

 それでは、冒頭でお話しましたように、順序が逆になりますが、議題2に入ります。議題2、医療機器「チタンブリッジ」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、に入ります。本議題の審議に当たりましては、参考人として防衛医科大学校耳鼻咽喉科学講座の教授であられる塩谷彰浩先生にお越しいただいています。よろしくお願いいたします。まず、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 議題2について、資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器チタンブリッジの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績調査の指定の要否について、御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要については、機構よりお願いいたします。

○機構 当日配付資料2、9ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、2名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前に配布した審査報告書に修正がありますので、11ページにお示ししております。正誤表にて訂正させていただきます。おわび申し上げます。修正内容は記載の不備によるものです。審査報告書に基づいて説明に入ります。

 審議品目の概要として、まず本品適応の対象疾患について御説明いたします。審査報告書の7ページの図1の左側を御覧ください。内転型痙攣性発声障害は声を出すときに声帯筋が断続的に強く内転し、声門が過閉鎖することで発声障害を来します。以降、内転型痙攣性発声障害を「本疾患」と呼びます。その症状は声の詰まり、かすれ、途切れ、震えなど多彩です。また、患者によって症状の出方が異なるなどの特徴があります。本疾患は若年女性に多く、局所ジストニアに分類される原因不明の難治性疾患です。

 図の右側を御覧ください。この声門の過閉鎖を防止するため、甲状軟骨を正中切開し、声帯が付着している前交連部を甲状軟骨と一緒に開大し固定する術式が、甲状軟骨形成術2型です。固定には、本品チタンブリッジが使用されます。手術については局所麻酔下で実施し、甲状軟骨を広げる際に、患者に声を出していただきながら症状の改善を確認し、開大幅を決定します。図1の右下にあるように、通常は前交連部の上下に各1個挿入し、縫合固定いたします。サンプルを準備していますので、併せて御覧ください。

 本品の概要については、図2の写真にあるとおり、幅約5mm、長さ約2cmほどの蝶番型構造を持っており、原材料は純チタンです。中央にあるブリッジ部は甲状軟骨を広げて開大を維持するという部分です。両側にある羽部は、本品の上下のずれを防止するために甲状軟骨に縫合する二つの孔を持つ部分となっています。また、本品は希少疾病用医療機器、また先駆け審査の指定を受けております。

 続いて、開発の経緯について御説明いたします。甲状軟骨形成術2型以外の本疾患に対する既存の治療について、報告書の8ページの中ほどを御覧ください。表1にまとめています。A型ボツリヌス毒素による治療は国際的に一般的な治療法ですが、本邦では承認されておらず、またその効果は一時的です。甲状披裂筋切除術は声帯の筋組織を切除する侵襲性の高い手術であり、術後に嗄声が継続してしまうため、限られた一部の施設でしか実施されておりません。このように、比較的侵襲性の低い永続的な治療法は確立されていない状況であり、本品が開発されるに至ったということになります。

 続いて、報告書の10ページの表2を御覧ください。これまでの臨床使用状況とチタンブリッジの変遷をまとめてあります。チタンブリッジは2002年に開発され、当初は患者に応じて複数の仕様がありました。数々の臨床研究において症例経験を積むことにより、本品の仕様が工夫され、表の一番下の本申請の臨床評価である2015年の熊本大学における医師主導治験では、統一された治験仕様で評価が行われました。なお、本審査報告書においては、便宜上、ある程度のチタンブリッジの仕様が決まった表の2行目の熊本大学での臨床研究及び表の3行目の国内8施設での使用経験の合計385症例を、先行臨床研究の症例といたします。この先行臨床研究の結果と、これまでに認められた不具合を踏まえて、本品では治験品よりも強度を向上させ、また安全性を高めた製品となっております。

 続いて、本品の仕様設定に関して御説明いたします。概要については審査報告書の11ページにまとめていますが、具体的な形状を記載している14ページの図3及び表4を御覧ください。本品の基本仕様は表4に示す4種で、表内下線部にて示した部分が、治験仕様品と寸法が異なる部分です。これらの各仕様は先行臨床研究等で認められた不具合への対応として治験を進めながら検討されたものです。まず、標準仕様品は先行臨床研究で認められた羽部の破断に対応するため、治験仕様から羽部を厚くし、また内側孔部を長円にすることで羽部強度を向上させたものです。「甲状軟骨が短い患者用」は、特に女性を意識した製品として、図3で言うと幅()を短くしつつ、孔径を小さくして、臨床使用上問題ないよう羽部強度の低下を抑える工夫をしたものです。「甲状軟骨の厚い患者用」は、蝶番部の幅()を広くし、羽部及びブリッジ部の強度を向上させたものです。厚い甲状軟骨を削って留置した例を参考に、2種類が用意されました。

 続いて、本品各仕様品の性能検証について御説明いたします。性能の検証は治験仕様品も含めて評価されております。本品の性能としてまず重要な部分はブリッジ部と羽部の疲労強度であり、それぞれの評価について御説明いたします。報告書については16ページの中央の表5を御覧ください。

 性能検証は整形領域の金属製骨接合用品に用いられる審査ガイドラインを参考にしております。内外喉頭筋及び嚥下等によりブリッジ部には中心方向へ圧縮する力が掛かりますので、その圧縮疲労への耐久性を評価しており、結果は表5の右側の列に示しています。本品が留置される甲状軟骨の破壊強度は文献等によりNとされ、各仕様ともその荷重を超える圧縮疲労最大荷重を持っており、臨床上十分な疲労耐久性を持つと言えます。なお、治験仕様品は本品標準仕様品と同一のブリッジ構造のため、標準仕様品と同一の結果となります。

 次のページの表6を御覧ください。羽部については、嚥下等に伴い曲げの力が加わるため、その曲げ疲労の耐久性を評価しております。結果は表6の右側の列となっています。文献等によると甲状軟骨には嚥下等により、0.05から0.1Nの力が加わるとされ、各仕様ともその荷重を超える曲げ疲労最大荷重を持っており、臨床上十分な疲労耐久性を持つと言えます。なお、「甲状軟骨の厚い患者用」は標準仕様品と同一の羽部構造を採っていますので、標準仕様品と同一の結果となります。

 したがって、これらの結果から本品各仕様品、治験仕様品を含めて、臨床上要求される性能については問題なく、本品の仕様の設定は妥当と判断いたしました。また、本品は治験仕様品よりも安全性の面で強度を高めたものとして設計されており、次に説明する治験仕様品で行われた臨床試験については、本品の評価として外挿できると判断しております。

 続いて、臨床試験成績について御説明いたします。報告書は21ページからです。臨床成績として、内転型痙攣性発声障害患者21症例を対象に、非盲検非対照多施設共同治験が実施されました。表7の下の()の有効性評価を御覧ください。本臨床試験の有効性の主要評価は、声の障害の程度を自覚的に評価する指標、Voice Handicap Index(VHI)を用いました。VHIは質問項目30、最大合計点数を120点とするものであり、またその簡略版のVHI-10は、質問項目が10、最大合計点数を40点とする評価指標です。合計点数が高いほど、声に対する障害を強く感じているということになります。なお、VHIの評価項目は次のページの表8のとおりになっております。

 続いて、24ページを御覧ください。主要評価は先行臨床研究を参考に、このVHI-10について、術前ベースラインから術後13週の差としました。中止・脱落症例はなかったので、21症例の全例を有効性解析集団としています。結果については図4を御覧ください。本品の有効性評価については、本品の改善効果としてVHI-10のベースラインと術後13週の差が-18.905でした。この差の95%信頼区間の下限値は、点線で示すボツリヌス毒素注入療法の改善効果である治療前後のVHI-10の差の文献値、-9.6を上回ることが示されました。

 続いて副次評価についてです。報告書は25ページから26ページに示しています。副次評価はVHI-10、VHI、VHIサブスケール、また発声機能検査、音響分析評価について、術前後の差が52週まで評価されております。これらの副次評価についても、主要評価と同様の改善傾向を示すものとなっています。

 続いて、安全性評価については報告書の27ページから記載しています。ページの下の表10を御覧ください。術後52週までの全ての有害事象を示しています。有害事象は5120症例認められました。手術手技に伴う有害事象は、処置による疼痛17症例等であって、いずれも軽度で手術部位及び本治療領域において、一般的に起こり得る事象でした。重篤な有害事象及び治験機器と因果関係が否定できない有害事象はなく、また治験機器の不具合もありませんでした。

 ここから審査の概要について御説明いたします。報告書の28ページの中ほどからが審査の概要となりますが、このうち主な論点として、()本臨床試験の妥当性について、()有効性について、()チタンブリッジの使用に関する情報提供についての概要を御説明いたします。

 まず、本臨床試験の妥当性についてです。報告書の29ページから32ページの中ほどまでに記載しています。VHI-10による評価の妥当性について。VHI-10は自覚的に障害の程度を評価しますが、音声障害の評価指標として信頼性及び妥当性が検証された国際的に確立された評価指標となっています。また、本疾患に特徴的な多彩な症状の程度を総合的に判断するのに適していると考え、VHI-10に基づき本品の有効性を評価することは妥当と判断いたしました。

 続いて有効性について、当日配付資料2の13ページを御覧ください。こちらの白黒の図になります。報告書では32ページの中ほど以降に記載しているものを分かりやすく図示したものです。まず、右側のグラフを御覧ください。VHI-10の術前後の差から得られた-18.905の臨床的意義について、公表文献を用いて考察を行いました。グラフの上段はVHI-10について、下段はVHIについてまとめています。図の左側の黒い帯で示したものが本臨床試験のVHIの術前後の差、その右側のグレーの帯で示しているのは文献における音声障害群と音声障害を持たない群のVHIの差となっています。文献で見られるようなVHIの差を持てば、臨床的には声の差と表れることを示しています。本品の治療前後でも、この程度の差を生じれば、本品の使用目的のとおり、臨床的にも声の症状の改善として認められると判断をいたしました。

 続いて、本品の使用に関する情報提供として、審査報告書の34ページを御覧ください。2点御説明いたします。有効性に関する内容として記載していますが、表14に示したとおり、VHI-10で改善が得られなかった個別症例、2症例があります。原因は、手技において甲状軟骨が急激に広げられたため、片方の声帯が甲状軟骨から剥れ、開大効果が減弱したと考察されました。手技の留意点として、甲状軟骨を徐々に広げることを使用者に情報提供することとしました。続いて、報告書の36ページの中ほどからの御説明です。()の本品の使用に関する情報提供について、甲状軟骨形成術2型は、本品を留置する場所の丁寧な処置が改善効果に影響することから、有効性及び安全性を確実に得るための注意点を取りまとめ、本品を使用する医師に対して必要な知識及び技能が得られるよう、添付文書等に加えて講習会等を実施する必要があると考えております。したがって、製造販売においてその実施が図られるよう、承認条件を付すことといたしました。

 最後に使用成績評価について御説明いたします。審査報告書の37ページから御覧ください。計画案はその次の38ページの表15です。長期有効性が確認できる症例数が限られていること、及び先行臨床研究での不具合を踏まえ、製造販売後の不具合及び有害事象を捕捉するため、製造販売後調査を実施する必要があると考えます。先行臨床研究及び臨床試験による長期成績が少数に限られていること、先行臨床研究における不具合の70%が2年以内に起きていることを踏まえると、有効性及び安全性の観点から、症例追跡期間を2年とし、販売準備、症例登録、解析も含めて、合計6年間として調査を実施する計画は妥当と判断いたしました。

 まとめます。以上、機構は本品の使用目的の妥当性を含めて、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。

 本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績調査の対象として指定し、使用成績調査は6年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。参考のため、本臨床試験での治療前後の音声を御提供いただいておりますので、お聞きください。

 1例目は声の震え、途切れ、嗄声が顕著に表れている例です。まず術前です。次に術後をお聞きください。

 2例目については、声が詰まって発声しにくい、途切れる、また絞り出すような努力性の発声といった特徴が見られる例です。前半部分の母音発声では顕著に症状は表れていないのですが、後半部の文章朗読や数字のカウントにおいて特徴的な症状が表れます。術後です。ありがとうございました。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、参考人としてお越しいただいている塩谷先生から追加の御発言があればお願いいたします。

○塩谷参考人 先生方、この疾患はなかなか想像しにくい疾患ではないかと思います。一番最初に出た声が全てを物語っているというか、とにかく声帯が閉まり過ぎて声が詰まって出ないという疾患です。もちろん、致命的なものではないのですが、ただ、コミュニケーションを取るのに非常に不便ですので、患者さんに取っては非常に深刻です。疾患人口もそれほどはないのですが、ただ、患者さん御本人には非常に深刻な疾患ということです。

 今の治療法として、ボイストレーナーによる発声訓練がありますが、ほとんど効果がありません。ボツリヌス毒素の御紹介もありましたが、それもかなり持続期間が短いという欠点があります。こういう中で、永続性のある手術とその手術器材が出てくるというのは、患者さんにとっては非常に福音と思います。

 この手術自体は、それほど難しい手術ではないのですがコツが要るのです。前交連部という所の骨を切ってから中の粘膜を剥離するのですが、その剥離がうまくいかなくて、音声改善が達成されなかった例が御紹介されておりましたが、少しコツが要りますので。そういう点でも添付文書の中に講習会の受講を義務付けるということで、そういう少しのコツを教えてあげれば、それほど難しい手術ではありませんので、患者さんには非常によろしいことなのではないかと思っております。私からは以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の皆様から御意見、御質問いかがでしょうか。

○梅津委員 医療機器分野の研究をやっている者からして、これは非常にうれしいことだと思いました。日本初というか世界初というものが出てきて、現実にクオリティー・オブ・ライフが改善されるということだと思います。こういう新しいものを作るときに心配なことは、まず、本当にこれが安全なのかとか、強度的に大丈夫なのかと、これは誰もが考えると思います。

 今、チタンの材料に関しての性能と安全性に関する規格というのは、多分、整形領域のJIS規格でみんな議論していると思います。しかし、今回、これを使っている場所は、圧倒的に整形外科領域で今まで使ってきた場所とは違って、もっと軽い、負荷の少ない所で使われると思います。ですから、JIS規格があるからといって、それに沿って普段使っていない所のものも同じもので適用してものを作るというのは、少しおかしい気がします。この装置を使うことによって、2年から6年後の経過を見ると言われましたが、ひょっとしたらオーバースペックになっているかもしれないと思いました。つまり、本当はもっと薄くて軽くて、患者さんにもっとフィットしやすくて楽なものが出来るかもしれないと思いました。この承認について私は全く異議はありませんが、やはり、その先の仕事で、世界で初めてのことをやっているのだったら、新しい装置の規格、ガイドラインを作ることをやるべきだというのが私の一つのコメントです。

○機構 コメントを頂きまして、ありがとうございます。確かに、従来の整形のプレート等のガイドラインに従って評価をしております。初めての甲状軟骨に使うプレートということでしたので、申請者も手探りの状況がありました。確かに、将来的にガイドライン等を作って評価できるようになれば大変喜ばしいと思っております。

○荒井部会長 貴重な御意見ありがとうございます。そのほかに何かございますか。

○村上委員 ただいまの御意見に関係することなのですが、先行例で曲げが影響して破断した例があるということがあり、今回、安全面に留意するということで、以前よりは強化された設計で出されたと思います。新しい設計では特に問題が起きていないということなので、安全とみなせると思いますが、現場で曲げて調整されるというのは、具体的にどの程度されているのでしょうか。

○機構 御指摘ありがとうございました。御存じのとおり、甲状軟骨自体が湾曲した構造をしておりますので、曲げるための専用のベンダーといいますか、そういうもので手術時に湾曲具合を調整しながらこの機器を使う必要があるというお話です。気を付けなければいけないのは、何度も湾曲具合を調整することによって、何度も繰り返すことによって、やはり金属疲労が起こりますので、その点についても講習会等で本品の使用に際して注意すべきこととして伝えていく必要があると考えております。

○荒井部会長 塩谷委員、今のことについて追加することはございますか。

○塩谷参考人 おっしゃるとおりだと思います。特にございません。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○村上委員 今回、曲げ試験でも評価されておりますが、その場合は、湾曲しない元の直線的なデバイスを使われて評価されたということでしょうか。もし可能でしたら、湾曲の影響も評価されていると、将来の最適設計のときの基準になると思います。

○機構 ありがとうございます。非臨床試験における羽部の評価については、先行臨床研究で見られたものにおいて曲げ加工した付近で羽部の破断、疲労破壊があったということがありましたので、今回の非臨床試験においては、一番ワーストのケースということで、羽部を曲げた状態で試験をやっております。曲げた所も一番弱い孔部の所を曲げております。

 実際に使用するときには、相対的に強度が低い孔の部分ではなくて、孔と孔の間、それから羽の根元を曲げると。2か所を曲げることによって曲げの角度も低減でき、甲状軟骨にもフィットするというところを添付文書の参照している取扱説明書等にも記載しておりますので、曲げ加工に対する安全性は十分に措置は取られていると考えております。

○荒井部会長 そのほかに何かございますか。特に御意見がなければ、議決に入りますが、一つ御記憶いただきたいのは、これは、先ほどお話がありましたように、治験でやられたものと、今回、最終的に承認を与えるものは、若干違っていて、現場での経験に基づいて工夫がなされている点です。今、村上委員から御指摘いただきましたように、少し分厚くしたりという工夫がなされています。

 これは、ある意味、機器の部会としての独特の現象かもしれません。医薬品の部会で側鎖を1個取り替えたなら、とんでもなく話が変わってしまいます。しかし、機器の場合は、こういう工夫、すなわち、少し角を丸めたり、少し孔を小さくするという工夫や改良が現実に起こってきます。それが妥当な範囲のものであるかの判断が重要である訳ですが、こういう専門の方々が議論をして、これは工夫の範疇であり、あえてもう一回、一から治験をやり直す必要はないと判断し、それに基づいて、議決、承認するということです。機器の部会独特の考え方というか文化かもしれませんが、この点を御認識いただくと有り難いと思います。

 特に御意見ございませんか。よろしければ、これから議決に入ります。医療機器「チタンブリッジ」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には、期間を6年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議ないようですので、このように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行うこととなっております。それでは、これで議題2を終了いたします。先生、どうもありがとうございました。

 引き続き、議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否についてに移ります。まず、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題4について御説明します。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいております。

 まず、当日配付資料の21ページの当日配付資料5です。こちらが、本議題の諮問書です。30ページまで5件をまとめております。また、裏面が各諮問書の概要になっておりますので、説明に合わせて、適宜、御覧ください。

 それでは、1件目の一般的名称について説明します。資料4-1を御覧ください。「新設する一般的名称()について」です。新設予定の一般的名称は「体細胞遺伝子変異解析システム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)」です。患者検体から体細胞由来の遺伝子変異情報を入手し解析することで、抗悪性腫瘍薬の適応判定を行うための機器です。次世代シークエンサーやシークエンシングに必要な試薬、解析用プログラムなどを組み合わせて、一つの医療機器として承認するものを想定しております。今回の審議では、具体的な品目の承認の可否ではなく、この一般的名称を新設することについて御審議いただきます。

 また、薬機法上の取扱いについて簡単にまとめた紙を御用意いたしました。当日配付資料の31ページの当日配付資料6を御覧ください。今回のようなシークエンサーを用いた遺伝子検査システムの場合、ここの図に示しているように、一般的には前処理のテンプレートDNA調製試薬が体外診断用医薬品、真ん中に示したDNAシークエンサーと、それに付随するサンプル調製試薬が医療機器、解析プログラムは医療機器のプログラムという、大きく分けて三つの区分に分かれます。

 該当性については、最初の○、下の所に書いてあります。基本的には薬機法では疾病の診断を目的として販売するものが規制になります。医薬品の投与可否の判定を目的とするというものや、疾病の罹患リスクの判定を行うものが該当すると基本的に考えております。こういう製品は、今後、体外診断用医薬品又は医療機器として整理する予定です。承認申請に当たっては、その分析的な性能をきちんと確認すること、遺伝子変異等に臨床的意義がきちんと認められるのかどうか、大きく分けてこの二つに関してきちんと確認して、承認の可否を判定するという形になっております。

 資料4-1に戻り、裏面を御覧ください。この一般的名称を付す予定の品目の概要があります。抗悪性腫瘍薬であるダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブジメチルスルホキシド付加物併用レジメンの非小細胞肺がんの適用追加が承認申請されており、この品目は、4の使用目的又は効果にあるとおり、その適応判定の補助に用いられるものです。下段の図です。本品は体外診断用医薬品であるテンプレートDNA調製試薬、医療機器であるDNAシークエンサーと解析プログラムから成り、これらをセットとして一つの医療機器としての申請が行われています。患者のがん組織を採取してテンプレートDNA調製試薬でDNAを抽出し、DNAシークエンサーで読み取った遺伝子配列をプログラムによって解析し、BRAF遺伝子V600E変異の検出をすることで、当該レジメンの適応となるか否かを判定します。これまで、抗がん剤の適応判定の補助に用いる体外診断用医薬品はありましたが、医療機器としては初めてであるため、一般的名称を新設したいと考えております。

 資料4-1の表のページに戻ります。下の参考にある「生殖細胞系列遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)」というものを、前回の部会で御審議いただきました。今回の名称は、血液検体から得られた生殖細胞系列遺伝子ではなく、がん組織の体細胞から得られた遺伝子を解析する点、また、プログラム単体ではなくシークエンサーやサンプル調製試薬、解析プログラム等から構成される点で異なります。また、遺伝性のがんの場合との区別を明確化するため、生殖細胞系列由来、体細胞由来というように、検体の由来によって定義の記載ぶりを書き分けています。

 本品は、その機能に障害が生じた場合に、がんの適切な治療を受ける機会を失うことにつながり、生命及び健康に重大な影響を与え得ると考えられることを踏まえ、高度管理医療機器(クラスIII)に指定すべきものと考えております。また、保守点検に専門的な知識及び技能を要する医療機器と考えられるため、特定保守管理医療機器に指定されるべきものと考えております。以上が、資料4-1の説明です。

 次に、3ページの資料4-2の「新設する一般的名称()について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「頭蓋形状矯正ヘルメット」です。乳幼児の変形した頭蓋骨の形状を矯正することを目的としたヘルメット型の機器です。2枚目に新一般的名称が付される予定の品目概要があります。この品目は、4の使用目的又は効果の欄に示しているとおり、頭蓋縫合早期癒合のない中等度から重度の変形性斜頭又は短頭を有する患者のうち、治療開始時期から4~8か月齢の乳児に対して用います。また、5の構造・原理の概要後半に示しているとおり、個々の患者の頭部に適合するよう、頭部の形状データに基づいて設計、製造されており、変形した頭蓋骨の形状を矯正するために装着するものです。なお、本品は日本形成外科学会からの要望により、平成26年に第22回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会にて、早期導入品目として選定された品目です。

 当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することとなりました。本品はクラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため不要と考えております。以上が、資料4-2の説明です。

 次に、13ページの資料4-3に基づき説明します。一般的名称()を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「直腸用プラグ」です。便失禁又はガス失禁のある患者に用いる、経肛門的に直腸に挿入し、腸管内容物の体外への漏出を防止する機器となります。裏のページに新一般的名称が付される予定の品目概要があります。この品目は下の図に示してあるとおり、経肛門的に下部消化管に挿入し、便失禁又は不随意な腸内ガスの排出のある患者に対して、腸管内容物の体外への漏出を防止するために用いるものです。

 当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することとなりました。本品はクラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため不要と考えております。

 次に、17ページの資料4-4について説明します。一般的名称()を御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科三次元積層造形用金属材料」です。主として、歯科用修復物及び器材の作製に用いる三次元積層造形用の金属材料です。既存の金属材料は鋳造又は切削により歯科修復物等を作製するものですが、この度、三次元積層造形技術を用いて歯科修復物等を作製する材料について承認申請されました。

 裏面の18ページです。新一般的名称が付される予定の品目概要です。その右隣の19ページにあるとおり、今回、申請された品目は金属の粉であり、左ページの5の構造・原理の概要に示すとおり、レーザーにより一層ずつ金属粉を融解結合させることにより、CADであらかじめ設計されたデザインの歯科修復物等を積層造形します。当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することとなりました。本品はクラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため不要と考えております。

 次に、21ページの資料4-5について説明いたします。一般的名称()を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「体外式ペースメーカ用ケーブル及びアダプタ」となっており、一時的ペーシングに用いる心臓用電極と体外式ペースメーカを接続し、心臓への刺激電流と心臓の活動電位信号を伝達するケーブル及びアダプタです。

 裏のページに、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。この品目は、下の図に示しているとおり、体外式ペースメーカからの電気信号を、患者に接続された体外式ペースメーカ用心臓電極に伝送するための電気的延長ケーブルとして機能するものです。当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため新設することとなりました。本品はクラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため不要と考えております。説明は以上です。

○荒井部会長 新設するものについて一通り説明がありました。五つの品目があるので、もし、御意見、御質問等がある場合は、どの品目についてと言っていただけると有り難いと思います。いかがでしょうか。

○後藤委員 4-1の遺伝子検査の件です。当日配付資料6を見ると、こういう検査システムについての取扱いをどのようにするのかということが書かれていて、承認申請に当たってはポイントがあると書かれております。上の方の分析的妥当性は問題ないと思うのですが、一番最後の行の臨床的意義が認められるかどうかというのは、非常に曖昧な書き方で、出てきた検査結果に病気との関連性があるかないかという意味の臨床的な意義というものもありますし、出てきた結果を踏まえて次にどのような治療法をやるのかということも臨床的な意義に入ってきます。

 抗悪性腫瘍の場合は、その治療薬まで分かる場合もありますが、これから出てくるような難病の場合は、遺伝子検査の結果がすぐ治療法には結び付かないものも出てきます。ですから、臨床的な意義の所に関して、もう少し書いていただいて、病気との関連性という意味が分かるのかということと、出てきた結果に対する医療的対応をどのようにするのかということに関しては、分けたほうがいいと思います。どういう治療方法にするのかというのは、医療機器ではなくて、これは医者が考えることであるので、医療機器のところではありません。遺伝子検査の結果と病気の関連性があるかないかというところまでは医療機器かもしれませんが、その先は医療機器としては認められないと私は思いますので、そこを明確にしたほうがいいのではないかと思います。

 もう1点は、今回の体細胞遺伝子変異解析システムは、悪性腫瘍の病変部分を取ってきて、そこのDNAを使って検査するわけです。それが、その体細胞由来かどうかということは、それだけでは分からなくて、もしかすると、もともと遺伝的に持っているものが入っているかもしれない。そういうことも含めて、今はがん細胞の所と、例えば、別な血液細胞などと両方やって、体細胞にだけ見付かった場合は体細胞変異だというのが分かるということになります。そうすると、何をもって体細胞遺伝子変異なのかということがこれでは分からない状況になっていますので、本当にこの名称でいいのかどうかということに関しては、少し疑問があるかと思います。

○医療機器審査管理課長 御指摘どうもありがとうございました。最初の意義の明確化については、御指摘はごもっともだと思いますが、審査が始まってから検討がなされることになると思いますので、その中で、臨床的な意義についても明確化していきたいと思っております。

 体細胞遺伝子についてですが、我々としてはいろいろ考えた結果、こういう名称でいいのではないかと考えています。確かに、先生の御指摘はごもっともかと思うのですが、がん細胞を持ってきているということで体細胞遺伝子という表現をしております。確かに、体細胞以外の細胞系が、中に入ってくることは否定できないのですが、取ってきたがん細胞を用いるという趣旨でこのように付けているということです。

○荒井部会長 多分、実際の運用については、先生が御指摘のように、体細胞でないものも紛れ込んでいる、ノイズのところは除去するという話が入ってくると思いますが、名称については、今の課長の意見だと、基本的には体細胞遺伝子を対象にした話だということで、こういう名称でいかがかということかと思います。いかがでしょうか。

○医療機器審査管理課長 御指摘のとおり、個別品目について、どういう目的でどのように使うのかというのは、個別品目の審査において決まっていきます。ただ、一般的名称としてグルーピングする場合においての名称ということです。

○後藤委員 そうすると、体細胞遺伝子変異解析システムを用いて、例えば血液やほかのものはやってはいけないという形になるわけですね。これは、体細胞遺伝子変異解析システムなので、そのがん組織を対象としたシステムであると限定されるということですか。

○医療機器審査管理課長 一般的名称でありますので、もしも、ほかの目的のものがあれば、その目的の名称をきちんと付ければいいということになろうかと思いますし、この名称だけで、その他のものが使えなくなるということではないと思っております。

○医療機器審査第一部長 今の課長の発言に補足します。全てこの体細胞遺伝子で、これは一般的名称で大きな箱なので、リキッドバイオプシーも含めて、通例で薬事上はこちらで読むという形にするのがいいのか、個別の品目を見た場合に、明らかにリキッドバイオプシーで体細胞遺伝子以外のものも全部見るという目的性が違う場合に、生殖細胞系列でもなければ体細胞遺伝子解析でもないという形で、新たな別の箱を作るべきかは、今後、承認申請される品目に応じて、柔軟に対応していかなければならないと思っております。御指摘を踏まえ、余り変なことがないように検討させていただければと思っております。

○後藤委員 逆に、あえて体細胞と入れなくてもいいのではないかと思います。「遺伝子変異解析システム(抗悪性腫瘍適応判定用)」で余り問題はないような気がして、あえて、体細胞を入れることによって誤解を招くのではないかと思っております。

○医療機器審査第一部長 そこは、今回のものはこういうものだったのですが、今後、いろいろなものが出てくる可能性があり、そこを最初から分けないでおいたほうがいいのか、それとも、まとめたほうがいいのか。一般的名称は様々なところに影響を与え得るものですから、まず、今回は分けた上で、今後くるものを見たほうが、より適切な形で分類ができるのではないかと。

 前回、生殖細胞系列遺伝子という形にさせていただいたものは、カウンセリングのお話ということもあるので、これは分けるべきであろうと。今回、体細胞遺伝子のお話と血液なりほかのものも含めて大きな箱にするべきか否かは、やはり、今後出てくる新たな測定法についての特性を見極めた上で、一緒の箱にすべきか、また別の箱にすべきかは判断させていただいたほうがよろしいのではないかという形で、あえて、「体細胞遺伝子」という形の名称を御提案させていただいているところです。

○荒井部会長 よろしいですか。

○小西委員 今後、単一ではなくて、様々な、マルチプルな遺伝子が同時に分かるというものが出てくると思います。その場合には、結果的に生殖細胞の遺伝子変異が見付かってくるというのがどうしても出てきますので、継続して審議いただきたい。段々そういう世界になってきます。体細胞と名付けていても、あらかじめカウセリングをしておいたほうがいい場合も出てくるので、その辺りが少し問題となります。これは大丈夫なのですけれど、いずれカウンセリングという意味では心配な面が出てくるという気はしております。

○医療機器審査第一部長 申し訳ございません。もう一つ、大事なところを申し上げなかったのですが、マルチプレックスでプロファイリングのものが出てくることは既に想定されており、その場合には、一般的名称は複数付すことができるシステムになっております。体細胞遺伝子変異解析システムでもあり、生殖細胞系列の方を解析するシステムでもあるという形で、複数の一般的名称を付けることが可能なので、その組合せで適切にさせていただければと考えております。

○荒井部会長 よろしいですか。この辺りは、「先が読めない」というと言い過ぎかもしれませんが、まだ変化するところで、まずはジャッジをするための箱を作りましょうということですから、今後のその箱のサイズや形にしてもフレキシビリティが必要なのだと思います。今の御意見も踏まえ、そういう認識は持って臨みたいと思います。

 そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。よろしければ議決させていただきます。5品目と多いものですから、まず、「体細胞遺伝子変異解析システム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定するということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。次に、「頭蓋形状矯正ヘルメット」並びに「直腸用プラグ」、「歯科三次元積層造形用金属材料」、この三つを管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということになりますが、よろしいでしょうか。ありがとうございました。最後の5番目、「体外式ペースメーカ用ケーブル及びアダプタ」については、一般医療機器として指定して、特定保守管理医療機器としては指定しないということとしてよろしいでしょうか。ありがとうございました。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて文書報告を行う予定としております。議題4を終了します。

 続いて、議題5、医療機器の再審査結果についてです。事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題5、医療機器の再審査結果について報告します。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づいて、原則、新しい医療機器について再審査期間を定め承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づき有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回、再審査結果の報告が3件ありますので、順に説明します。

 まず、資料5-1を御覧ください。販売名は「ONYX液体塞栓システムLD」です。申請者はコヴィディエンジャパン株式会社です。本品は外科手術以外では治療困難な脳動静脈奇形の外科的摘出術に際し、術前塞栓術が必要な場合に、その塞栓物質として使用する医療機器であり、平成20年9月26日に承認されました。本使用成績調査では、医療機器の不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、222例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号のイ~ハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 次に、資料5-2を御覧ください。2件目は、「MOMAウルトラ」です。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。この製品は、内頸動脈病変のステント留置術に際し、病変部にカテーテルを通過させることなく、総頸動脈及び外頸動脈を閉塞させることにより、塞栓物質の脳循環への流入を阻止し、吸引除去するために使用される塞栓防止デバイスです。平成24年7月27日に承認されました。

 本使用成績調査は医療機器の使用実態下における不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的として、362例が評価対象となりました。医療機器の不具合発生、有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号のイ~ハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 次に、資料5-3を御覧ください。「InterStimII仙骨神経刺激システム」についてです。申請者は、日本メドトロニック株式会社です。本品は植込み型神経刺激システムで、保存的療法が無効又は適用できない患者に対し、過活動膀胱又は便失禁の改善を目的とする仙骨神経刺激療法に使用され、平成25年9月20日に承認されました。

 本使用成績調査は、市販後の使用実態下における本品の安全性及び有効性等を確認することを目的として、107症例が登録されました。本使用成績調査において、それぞれの安全性及び有効性について調査したところ、特段の対応が必要となる問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号のイ~ハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち、再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しております。

 以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上、報告いたします。

○荒井部会長 3品目につきカテゴリー1ということで、特段変更がないということなのですが、特に御意見、御質問はよろしいでしょうか。

○塩川委員 5-1のものについて、これは術前の塞栓術の塞栓物質という適応なのですが、現実には、5ページにある26%ぐらいはほかの治療がされたりということです。ですから質問は、市販後調査の結果などで承認されると思うのですが、脳外科の中では類縁疾患への治療拡大という話があるので、この26%は手術されなかったというところまでは、この程度であれば再検討する必要はないという認識でよろしいのでしょうか。

○機構 確かに、承認の使用目的、効能・効果に関しては、固めた後に外科的な摘出術という承認になっております。一方で、PMS(市販後調査)では、リアルワールドなデータということで、26%程度が外科手術を伴わなかったということですが、我々も中身を精査させていただき、妥当な判断ではないかと考えており、問題ではないと考えております。一方で、今の薬事承認上、外科手術との併用ということに関しても、今後、企業と使用目的の変更みたいなことをどのようにしていくのかを、別途相談していきたいと思っております。以上です。

○荒井部会長 よろしいですか。そのほかに何かございますか。特になければ、これで議題5を終了いたします。

 続いて、議題6、部会報告品目についてに入ります。まず、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題6、部会報告品目について、資料6-1及び資料6-2に沿って説明いたします。平成29年7月~9月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。

 医療機器41品目については資料6-1に掲載しており、事前送付をもって報告とし、詳細な説明は割愛させていただきます。また、体外診断薬は資料6-2に記載しており、新規検査項目、コンパニオン診断薬・新規の使用目的の追加等、重要なものについては備考欄に内容を記載しており、こちらも詳細については割愛いたします。説明は以上です。

○荒井部会長 資料6に入っておりますが、これについて、特段、御意見、御質問等よろしいでしょうか。なければ、これで議題6を終了いたします。本日、予定されている議題は全て終了いたしました。事務局から何か連絡はありますか。

○事務局 次回の部会は、2月28()の午後2~4時までを予定しております。よろしくお願いいたします。報告は以上です。

○荒井部会長 今日は開始が遅かったのですが、終了は予定よりも早くなりました。それでは、これをもちまして、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

 


(了)

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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