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2017年12月21日 第69回労災保険部会

労働基準局労災管理課

○日時

平成29年12月21日(木)10:00~10:24


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

明石 祐二((一社)日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹)
秋田 進(日本通運(株)取締役常務執行役員 ロジスティクスエンジニアリング戦略部、事業収支改善推進部、広報部、総務・労働部、業務部、NITTSUグループユニバーシティ 担当)
荒木 尚志(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
大前 和幸(慶應義塾大学医学部名誉教授)
酒向 清(日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長)
砂原 和仁(東京海上日動メディカルサービス(株)健康プロモーション事業部担当部長兼コーポレートサポート室長)
田久 悟(全国建設労働組合総連合労働対策部長)
立川 博行(全日本海員組合中央執行委員政策局長)
永峰 好美(読売新聞東京本社編集委員)
二宮 美保(セコム(株)人事部特命担当次長)
浜田 紀子(UAゼンセン(日本介護クラフトユニオン特任中央執行委員))
本多 敦郎(鹿島建設(株)安全環境部長)
水島 郁子(大阪大学大学院高等司法研究科教授)
村上 陽子(日本労働組合総連合会総合労働局長)

○議題

労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について

○議事

 ○荒木部会長 ただいまから第 69 回労災保険部会を開催いたします。本日の委員の出欠状況は、公益代表の岩村委員、小畑委員、労働者代表の坪田委員、使用者代表の長尾委員が御欠席でございます。これにより出席者は 14 名でありますが、公益代表、労働者代表、使用者代表、それぞれ 3 分の 1 以上の出席がありますので、定足数は満たしているということを御報告いたします。

 それでは、本日の議事に入ることといたします。議題は「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛ての諮問案件であり、前回、本部会におきまして、事務方から説明があったところであります。事務局から追加の説明等はありますでしょうか。

○労災保険財政数理室長 前回の部会におきまして、委員から御質問があり、回答させていただいた部分ですが、改めて資料を整理いたしましたので、本日お配りしている資料 2 に基づいて御説明させていただきます。また、お手元にあります、資料の参考 1-2 を一部御参照いただきます。それでは、御説明させていただきます。

  労災保険率の改定に伴う費用負担の考え方についてです。

 資料 2 1 ページの 1. ですが、参考までに前回の費用負担の考え方を整理させていただいております。 3 年前の平成 27 年度改定におきましては、その改定の軽減額を 278 億円と算定しております。その計算方法は、労災保険の 54 の業種ごとに、資料の中ほどにあります四角で囲みましたとおり、平成 27 年度の賃金総額推計値に、 24 年度の業種別の料率と 27 年度の料率の差分を掛けて計算しております。これらを 54 の業種ごとに行った後に、全て合算したものが 278 億円となっています。

 一方で、 2. ですが、参考 1-2 18 ページを御参照ください。前回、御紹介をさせていただきましたが、昨年の 11 月に行政改革推進会議において、責任準備金の算定方法のあり方について継続的に検証が必要という指摘がありました。それを踏まえまして、保険財政の専門家に対するヒアリングを行いつつ、本年 10 月には労災保険財政懇談会を開催しております。懇談会に至る過程や、懇談会の意見交換の場において、積立金と責任準備金の関係が、制度にどのような影響を与えているか、料率で申しますと、年金積立調整費用という料率の構成要素がありますが、その性格と財源を、制度に関わる方々に示すとともに、その理解を得ることが必要という御示唆をいただきました。この内容が資料 2 2. 1 つ目の○(マル)です。

 また、加えまして、労災保険制度の趣旨を踏まえますと、労働災害防止活動の努力をしていただいて、その成果として労災保険率が引き下がる好循環が形成されるべきですが、上記 1. の算定方法では、労働災害減少の効果が過小に評価されてしまう場合があり、労働災害防止のインセンティブを阻害する危惧もあるとの御示唆をいただいております。これらが課題として挙げられたものです。

 資料 2 1 ページおめくりいただけますでしょうか。これを踏まえまして、料率構成要素のうち、性格の異なるものを分けて、それぞれの影響額を算定し、お示しするという方式にいたしましたのが、今回のものです。

 参考 1-2 2 ページ目を併せて御参照いただけますでしょうか。前回御説明いたしました労災保険率の概要です。その下ほどに費用負担といたしまして、➀労働災害の減少による保険給付費用の減少見込分として 512 億円。➁将来の年金給付原資たる積立金が責任準備金を上回る分を 3 年間に分けて割引として用いる分として 799 億円、と御提示させていただいております。

 まず➀ですが、計算方法といたしましては、参考にありますように、料率構成要素のうち、年金積立調整費用分を除いた部分、今回の資料 2 で御参照いただきますと 5 ページ目ですが、前回御説明いたしました労災保険率を構成する要素と同じ内容ですが、今回、分かりやすいように➀➁にそれぞれ何が該当するかということが分かるように印を付したものです。➀の部分を計算するために、業種ごとの保険料率から積立調整費用分を取り除きます。資料 2 2 ページ目の上の四角囲みにありますように、業種ごとに 27 年度保険料率から積立調整費用分を除いたもの、それから、 30 年度料率案から積立調整費用分を除いたもの、これらの差分を計算して、業種ごとの平成 30 年度賃金総額推計値を掛けて、更に先ほどの 1 と同様に 54 業種で足し上げて計算したものです。これが 512 億円となっています。

 次に、先ほどの 799 億円ですが、資料の 2 ページの➁にありますように、四角囲みにあります 7 8,938 億円が 28 年度末時点の積立金です。それから、 7 6,542 億円が 28 年度末時点の責任準備金です。これらの差分である 2,396 億円を 3 で割ったもの、即ちこの差分を 3 年間均等に、保険料率の割引に用いるということで計算したものが 799 億円です。財源の 2,396 億円を 3 で割ったものですので、即ち 3 年に限って労災保険率の調整に用いられること、その財源の性格上、前回からの増減という比較にはなじまないこと、労災保険事業に必要な費用の一部を保険料として徴収していないという実態があります。そういった関係で、その全額を負担軽減の効果を生じさせているものとして提示させていただいているものです。

 参考までに後ほど御参照いただければと思いますが、積立金と責任準備金の金額水準につきましては、資料 2 6 ページの別添 3 に、特別会計決算書の該当部分を添付しておりますので御参照ください。以上が今回の費用負担に関する追加の説明です。なお、追加的に参考までに申し上げますと、平成 27 年度の改定の影響について、今回と同じ計算方法で算定をしてみますと、➀の災害減少分に該当するものが 436 億円、➁に該当する金額が 651 億円、合わせて 1,087 億円相当となっております。

 これも御参考に、 1 ページ 1. で御紹介いたしました 27 年度の 278 億円との関係について申し上げますと、資料 2 4 ページを御参照ください。こちらの資料は、平成 27 年の料率改定の御審議をいただいたときに、その構成要素をお示しさせていただいた資料ですが、下から 2 番目の積立金調整費用分ですが、前回はマイナス 0.5 からマイナス 0.4 に変化しております。この差分がプラス 0.1 ですので、当時の賃金総額、約 161 兆円を掛け合わせますと約 160 億円、この 160 億円を 436 億円から差し引くと 278 億円となっております。御参考までに、関連する数値を御紹介させていただいたところです。

 資料 2 の最後のページは、労災保険率の改定時に、積立調整費用分を設けても、積立金水準が安定していることを、過去からの経過でお示ししたものですので、御参考までに御参照ください。

 最後になりましたが、資料 2 は、皆様に事前にお送りできず、当日配布になったことをお詫びさせていただきます。説明は以上でございます。ありがとうございました。

○荒木部会長 ありがとうございました。それでは、前回に引き続きまして御意見、御質問等があればお願いします。

○村上委員 ありがとうございました。資料 2 について 1 点だけ確認をしたいのですが、 1 ページの 2. で、これまでの表示方法の課題として 2 つ挙げられておりますが、先ほどの御説明の中では、労災保険財政懇談会で指摘されたというようにも聞こえたのですが、そういうことなのか。それだけではなくて、課題として皆さんが認識されたのかということについて教えていただけたらと思います。

○荒木部会長 事務局からお願いします。

○労災保険財政数理室長 具体的に労災保険財政懇談会の中で御議論いただいたときには、労災保険の財政方式のあり方、参考 1-2 ですが、 16 ページの中ほど 2. の所に、現在の労災保険の財政方式は、非常に利用者、費用負担者にとって分かりやすく良い方式であること。それから、積立金と責任準備金の比率を 100 %程度で維持することというのが、御示唆としてありました。加えて、財政方式を御説明した際に、資料では責任準備金と積立金の関係が制度に与えている影響を明らかにすべきというように御示唆をいただいていますが、その趣旨を先生方と御議論させていただく過程で意図を確認したところ、積立金と責任準備金の比率が 100 %程度となるよう維持していくことを確実にして皆様にお示しするという観点から、積立調整費用分の位置づけをはっきりして、その金額なり根拠をお示ししなければならないということが、意見交換や御議論の中で御示唆されたものです。

○荒木部会長 よろしゅうございますか。

○村上委員 指摘された状況については理解いたしたところでございます。今後について、今回丁寧に資料を出していただきましたけれども、そういった指摘も受けて、また災害の増減と料率変動との関係を明確にしていくことが必要ではないかという問題意識から、今回は負担の影響についての表示を、このような方式でされるということです。次回も同じようにされるのであろうかと思いますが、もし変えるのであれば、そのときにはその時点で、なぜ変えるのかとか数値についてもきちんと出していただいて、議論させていただければと思います。そういった取扱いをお願いしたいと思います。

○荒木部会長 事務局から何かございますか。

○労災保険財政数理室長 御意見、承知いたしました。ありがとうございます。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしゅうございますか。今回、追加で説明いただきましたけれども、前回までと同じ表で、少し表示の考え方が違っているということですので、その点は、今後とも十分な説明を心がけていただければと考えます。それでは、ほかに特段御意見がなければ、諮問のありました件につきましては、前回と本日の御説明を踏まえて、当分科会としては妥当と認める旨の労働条件分科会への報告をしたいと考えていますが、いかがでしょうか。

○村上委員 先ほど追加で御説明いただいた資料 2 についての意見を申し上げたところでございまして、諮問がされた件についての意見です。全体的にはこういった方向で答申するということで、よいと思っておりますが、 1 点、労災保険、事業主の皆様の拠出であるとは言え、やはり労働災害に遭った方の補償であるとか、また、再発、予防に資する事業を行うということで労災保険制度を運営しているということがありますので、そういったところに必要な費用がどれぐらいかかるのかということと、それをどのように分担していくのかということで、料率を設定していくという基本的な考え方は変更されずに、是非運営いただきたいと思っております。あくまでもそういったことで運営していくということであって、これが自由に使える財源とか、そういった位置づけではないということを、改めて意見として申し上げたいと思います。以上です。

○荒木部会長 ほかに何か御意見ございましょうか。よろしいでしょうか。それでは、諮問がありました件については、前回と本日の御説明を踏まえて、当部会としては妥当と認める旨を労働条件分科会に報告したいと考えますが、御承認いただけますでしょうか。

  ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。なお、報告文につきましては、部会長に一任させていただければと考えていますが、よろしいでしょうか。

                                     ( 了承 )

○荒木部会長 ありがとうございます。そのほか、何か特段御意見があれば伺いますが、よろしいでしょうか。

○酒向委員 前回のときに、私のほうから質問させていただきました、 GLP の施設の件について、回答をまた改めていただけるというようにお聞きしているのですが、質問の趣旨だけ改めて御説明しておきたいと思い、少しお時間をいただければと思います。

 新規の化学物質の製造とか輸入する場合には、化審法とか、安全衛生法の届出が必要ですけれども、その届出に必要な、いわゆる GLP の試験を、 GLP の適合施設の認定を受けて実施する必要があるというのは、皆さんも御承知のとおりかと思います。先般の会合の中で、安全衛生法上の GLP の適合施設は 9 つ日本にあるとお伺いしまして、質問は、ほかの GLP ではどのぐらい施設があるのですかという質問をさせていただいたのですが、私たちも少し調べたところ、ほかの GLP では、安全衛生法よりは少し多い施設があるというように私たちもつかんでおりまして、そういった面でいきますと、事業場で化学物質対策を強化する観点からも、是非安全衛生法上の施設を増やすように取組を進めていただきたいという趣旨で、ほかの施設がどれぐらいあるかということをお聞きしたということだけ、改めて申し添えておきたいと思います。よろしくお願いします。

○荒木部会長 ありがとうございました。ほかに何か御意見ございましょうか。よろしいでしょうか。それでは、以上をもちまして、本日の部会は終了といたします。本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表の村上委員、使用者代表の本多委員にお願いをいたします。本日はお忙しいところ御参集いただきまして、どうもありがとうございました。


(了)

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