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2018年2月28日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成30年2月28日(水)14:00~

 

○場所

航空会館501+502会議室

○出席者

出席委員(19名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、○一 色 高 明、 梅 津 光 生、
  北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、  小 西 郁 生、 齋 藤 知 行、
  塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、  鈴 木 邦 彦、 中 島 康 雄、
  中 谷 武 嗣、 蓜 島 由 二、  濱 口   功、 菱 田 和 己、
  村 上 輝 夫、 桃 井 保 子、  渡 邉 和 久
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人3名
 

欠席委員(3名)五十音順

  石 井 明 子、 田 島 優 子、 寺 崎 浩 子
 

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
中 井 清 人 (医療機器審査管理課長)
山  本    史 (医薬品審査管理課長)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
宇  津    忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
木 下 勝 美 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

 

○医療機器審査管理課長 定刻となりましたので、ただいまより「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。御多用のところをどうもありがとうございます。
現時点におきまして、委員数22名のうち16名の御出席を頂いております。小西先生から遅れるという御連絡を頂いております。それから塩川先生、梅津先生は恐らくもうすぐいらっしゃるかと思っております。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを御報告申し上げます。
続きまして、部会を開催する前に、所属する委員の薬事分科会規程第11条の適合等の確認結果について報告させていただきます。11条において委員、臨時委員又は専門委員は在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないという規程がございますけれども、今回、全ての委員の皆様より第11条に適合する旨を御申告いただいておりますので報告させていただきます。
○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題3以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。また、本日報告を行う予定であった議題2につきましては、最終化の途上にあるため、次回以降の部会で報告いたします。
これより議事に入りますのでカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。
続きまして、配布資料の確認をさせていただきます。お手元の左側に置きました議事次第に沿って御説明いたします。議事次第の下にありますのが委員名簿、座席表になっています。その下に資料1-1と書かれているものが議題1の資料になっております。中に1-1~1-4までございます。一つのホチキスで留めてあります。その下、議題2はなくなりましたので、資料3、資料4、資料5、ここまでが分厚いものになります。その下に1枚紙で資料6、資料7、資料8がございます。その下に資料9-1と書かれたものが議題9に関する資料であり、資料9-1と9-2がございます。一つのホチキスにとめてあります。その下、参考資料として薬事分科会の参加規程がございます。ここまでが左側の山の説明になります。また、お手元の右側に当日配布資料一式があります。こちらが当日配布資料9までを一つのホチキス留めにしてあります。過不足がありましたら事務局までお知らせください。
それでは荒井部会長、以後の進行についてよろしくお願いたします。
○荒井部会長 それでは開始させていただきます。資料はおそろいでしょうか、よろしいですか。よろしければ、これより議題を始めさせていただきます。
まず議題1、「医療機器及び体外診断用医薬品の承認基準及び認証基準の改正について」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題1、承認基準及び認証基準の改正について御説明いたします。資料1-1、承認基準・認証基準の改正の概要という資料を御覧ください。
まず1.の承認基準の改正です。血液透析器等に関する承認基準の改正を行います。透析器の血液適合性を評価する試験は、従前は臨床にて行われてきましたが、これに加えて昨年成立した国際規格に基づいてウシ、ブタの全血を使用した試験方法を新たに規定します。
次の2.認証基準についてです。家庭用炭素弧光灯治療器は赤外光などによる温熱を目的とした機器ですが、性能・安全性を評価するための日本工業規格が定められましたので、この規格を用いた認証基準を設けます。また、その下の乳房撮影組合せ型X線診断装置に関する認証基準ですが、この基準の廃止を予定しております。平成17年にこの基準が成立しましたが認証の実績がなく、今後も活用される見込みがないということが理由になります。
資料が飛びまして15ページ、資料1-4を御覧ください。こちらは体外診断用医薬品の認証基準です。資料の一番下の表にございます25-ヒドロキシビタミンDキットですが、こちらを新たに認証に移行します。この体外診断薬は、従前は大臣承認を必要としておりましたが、承認前例などを踏まえ、認証機関による認証で問題ないと判断しましたので、認証に移行するための必要な告示改正を予定しております。御説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。議題1、承認基準及び認証基準の改正に関するただいまの説明に対して、何か御質問や御意見等ございますでしょうか。
○村上委員 資料1-2の8ページに試験液の説明があるのですが、「血液の全液又は、調製液」の説明では、調整液は希釈液かと思われます。「又は」はどういうことかお聞きしたかったのですが、この全血と希釈液というのはどういう識別といいますか、使い分けがされるのでしょうか。
○事務局 どちらを使用しても問題ないという取扱いになりますが、どういう場合にどちらを使用するかというところについては、正確にお答えするために確認させていただきます。
○荒井部会長 これは後で回答をしていただけるということですか。
○事務局 はい。
○荒井部会長 分かったら声を掛けてください。そのほか、何か御意見等ございますか、よろしいでしょうか。それでは、今の村上委員からの御指摘に対する回答は後でして頂くこととして、この議題1は一旦終了とさせていただきたいと思います。分かりましたらまた声を掛けてください。
○医療機器管理課長 それでは、以後の議題は非公開ということですので、傍聴の皆様につきましては御退席をお願いしたいと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を開始します。
○医療機器管理課長 それでは、準備が整いましたので再開させていただきたいと思います。お願いします。
○事務局 当日配布資料1を御覧ください。競合企業・影響企業のリストがあります。8ページまで続いております。本日の審議事項に関する競合企業として、当日配布資料1に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取り状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づく審議に参加できない先生はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の議決不参加の基準に基づき議決に参加できない委員は、議題5につきまして一色委員となっております。その際、御退室いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ただいまの説明につきまして御意見などございますか。なければ議題に入らせていただきます。議題3「コアバルブEvolut_Rの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めさせていただきます。本議題の審議に当たり、参考人として医療法人社団愛友会上尾総合病院心臓血管センター長の手取屋岳夫先生にお越しいただいております。先生、よろしくお願いいたします。それでは、まず事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題3につきまして事務局より御説明いたします。資料3を御用意ください。1枚目は諮問書になります。本議題では医療機器「コアバルブEvolut_R」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。品目の概要と審査の概要につきましては総合機構よりお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。初めに当日配布資料2、コアバルブEvolut_Rの専門協議委員リストを御覧ください。当該リストに田邊委員と手取屋委員のお名前を挙げさせていただいておりますが、このほかに公益財団法人日本心臓血圧研究振興会附属榊原記念病院循環器内科部長の桃原哲也委員にも御協力いただき、計3名の先生方に御意見をお伺いしました。
それでは、お配りしております資料3を御覧ください。資料3の一番初めのタブ、審査報告書を御覧ください。初めに審査報告書の7ページ、図1の外観図を御覧ください。本品はカテーテルにより大動脈弁に人工弁を留置する手技である経カテーテル大動脈弁留置術、これを以下TAVIと言いますが、このTAVIに使用するシステムです。本品はTAVと呼ばれる豚心のう膜由来の生体弁と、TAVの送達に用いるデリバリー及び装填システムから構成されております。本品は外科手術ができない症候性の大動脈狭窄症の患者を対象として、平成28年に承認を取得しており、本申請は適応拡大のための製造販売承認事項一部変更申請です。
次のページ、8ページのイ項、(1)開発の経緯を御覧ください。本品は外科手術ができない患者を対象としておりますが、大動脈弁狭窄症に対する標準治療法は、外科的に人工弁で置換をする手術です。この外科的に人工弁を留置する手技を以降、AVRと呼びます。AVRには生体弁が多く用いられておりますが、生体弁の経年劣化等により機能不全を生じた場合は再度AVRが必要となる場合がございます。しかし、初回手術に比べ再手術では手術リスクが高くなることから、昨今、海外では機能不全になった植込み済生体弁に対してTAVIを行うことで、低侵襲の治療を行う手技の開発が進められてまいりました。この手技は植込み済生体弁(SAV)に経カテーテル弁(TAV)を留置することから、TAV in SAVと呼ばれております。本申請は再AVRリスクの高い患者への新しい治療選択肢として本品を用いたTAV in SAVの適応を追加するための一部変更承認申請です。9ページの表1に書かれていますように、欧米では平成26年及び27年に承認を取得しております。
続いて、12ページから14ページを御覧ください。非臨床試験成績につきましては、本品の物理的・化学的特性、機械的安全性、性能を裏付ける試験成績が提出され、特段の問題がないことが確認されました。なお、承認時から製品に変更がないことから、生物学的安全性や安定性等については省略されております。
それでは、15ページ目より臨床試験成績について御説明させていただきます。本申請で提出された臨床試験は、植込み済生体弁の機能不全に対し、再AVRができない患者を対象に、本品の前世代品であるコアバルブを用いてTAV in SAVを行った前向き非無作為化多施設共同試験です。この試験を以降、TAV in SAV試験と呼ばせていただきます。
本申請に当たっては、このTAV in SAV試験を比較対照として、AVRができない自己大動脈弁を留置対象とした単群多施設共同試験が提出されました。この試験を以降、ERピボタル試験と呼ばせていただきます。なお、TAV in SAV試験は、このERピボタル試験のサブコホート試験として行われました。
19ページを御覧ください。19ページ、図3、表6を御覧ください。これらはTAV in SAV試験の主要評価項目である12か月時における全死因死亡又は重度脳卒中の試験結果を表しております。その発生率は、12か月時点でTAV in SAV試験15.4%、ERピボタル試験29.1%であり、TAV in SAV試験ではERピボタル試験に比べて低い発生率であったことが確認されました。
続いて次のページ、20ページを御覧ください。弁留置後の血行動態の評価として、各TAVサイズ別の平均圧較差、有効弁口面積(EOA)、逆流(AR)発生率を表7に示しております。圧較差と言いますのは弁の前後の圧較差を示しており、この値が小さいほど血液が流れやすく、健常に近いことを示しております。また、有効弁口面積(EOA)につきましては弁の内面積を示しており、大きいほど血液流量が広く、健常に近いことを示します。TAV in SAV試験ではERピボタル試験に比べ平均圧較差が高く、EOAが小さい傾向があることが確認されました。
続いて次のページ、21ページ目の表9を御覧ください。手技成功を表す機器に関連する成功はどちらの試験も良好な成績でございましたが、次のページ、22ページの上段に書かれておりますとおり、TAV in SAV試験では一つ目の弁の留置失敗による複数弁の使用や手技中のデバイス回収、抜去が必要になった症例がERピボタル試験よりも多く確認されております。
次に、その下の表10を御覧ください。有害事象につきましては、多くの項目でERピボタル試験よりも良好な成績でございましたが、次のページ、23ページの上段に書かれておりますとおり、TAV in SAV試験ではERピボタル試験よりも弁の配置不良や再インターベンションが多い傾向が確認されました。以上がERピボタル試験との比較結果です。
続きまして29ページを御覧ください。本邦では様々な種類の植込み済生体弁が使用されていることから、生体弁種類別の臨床成績も確認いたしました。生体弁種類別成績を確認した結果、ブタやヒトの弁を処理して製造されたステントレス生体弁及び同種弁への治療において、複数弁の使用や逆流(AR)の発生率が高い傾向が確認されております。
30ページから32ページ目にあります表15から表17にデータの一覧を掲載しております。複数弁の使用につきましては34ページの2段落目の2行目から御覧ください。逆流(AR)や石灰化の程度の違いはあるものの、TAV留置に関する事前評価方法や手技方法は自己大動脈弁の治療と類似しており、特定の留意事項について医師へのトレーニングや情報提供を行うことでリスク低減が可能と判断いたしております。
続きまして、留置遠隔期の確認がされました逆流につきましては35ページ目の下段、下から5行目後半からを御覧ください。当該逆流に関しては抜本的な解決策を講ずることは難しいものの、先述の留置正確性を高め、手技直後のARを可能な限り少なくすることにより、遠隔期の逆流(AR)の程度を抑制することは期待できると考えました。なお、次のページの上段、2行目後半から書かせていただいていますように、これらの事象につきましては更なる情報収集が必要と判断し、臨床試験の経年結果を機構に報告するとともに、使用成績調査でも情報収集を行うことといたしました。
また、36ページ目の最終行を御覧ください。TAV in SAVを行う際には、医師が各生体弁に対する留意事項や特性をよく理解した上で手技を行う必要がございますので、本品を用いたTAV in SAVが可能な埋込み済生体弁につきまして、その製品情報や留意事項を情報提供することとしております。
それでは、審査における本品の有効性及び安全性に対する評価結果を説明いたします。39ページ目、4.総合評価の(1)本品の有効性及び安全性を御覧ください。先述のとおり、本品を用いたTAV in SAVは、自己大動脈弁を対象とした場合に比べ平均圧較差が高く、EOAが小さくなる傾向が認められましたが、機能不全を起こした植込み済生体弁を持つ患者の血行動態及び臨床症状を改善することが確認されました。安全性については、再治療や留置時の複数弁使用の頻度は高まる傾向が確認されましたが、術前診断や手技の最適化と習熟によってリスクの低減化が可能と考えられました。外科治療ができない大動脈弁弁膜症患者の予後が悪いとされていることから、十分なリスク低減化措置を講ずることで外科手術ができない患者の植込み済大動脈生体弁の機能不全に対する新しい治療デバイスとして、本品のベネフィットはそのリスクを上回ると判断いたしました。
最後に製造販売後安全対策です。40ページの(3)を御覧ください。TAV in SAVはAVRよりも低侵襲に治療が可能となる一方、複数弁留置や留置後の逆流といった事象が一定程度発生するリスクが避け難いと考えられることから、ページを戻りますが、37ページの表21を御覧ください。表21に示されましたトレーニングやプロクター制度による医師へのサポート制度を整えることといたしました。また、本品を用いたTAV in SAVの国内治療成績はなく、留置対象となる生体弁の種類によっても治療成績や種類の違いがあることから、38ページ目の表22に示す使用成績調査により、本邦におけるTAV in SAVの治療成績や有害事象の発生状況等について情報収集することといたしました。
なお、最後に41ページ目、承認条件の欄に記載させていただきましたとおり、初回承認時と同様に、実施施設及び医師に対する要件として承認条件1及び2を、使用成績調査に対する要件として承認条件3を付すとともに、TAV in SAV試験では弁が小さいほど圧較差が大きく、EOAは小さくなる傾向が確認され、現時点で小径の生体弁への治療経験も限られていることから、特に小径サイズについては手術成績を機構に定期報告し、市販後も必要に応じて適切な措置が取れるよう、承認条件4を付すことといたしました。
以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は原材料としてブタ心のう膜が用いられているため生物由来製品に該当いたします。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は7年とすることが妥当と判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、参考人としてお越しいただいております手取屋先生から追加の御発言を頂ければと思います。お願いいたします。
○手取屋参考人 上尾中央総合病院の手取屋でございます。今、総合機構の担当の方から御説明いただいた概要に取り立てて加えることはないのですが、この手技の適応というのは、適応の中に外科手術ができないという文言が加えられております。例えば、それが本当に外科手術ができないのかを見ますと、皆さんの資料の23ページを見ていきますと、再インターベンションの実施症例の詳細というものがあります。その過半数がうまくいかなかったので、結局サージカル、外科手術に移行して、元気に退院している。つまり、その辺りの適応基準というのがこれから本当に問題になってくるのではないかと思っております。
本邦では2013年の秋に承認いただき、我々の施設も細々とやっています。大変有効な治療であることは間違いないのですが、この症例数の伸びというのは、ほかの国では考えられないぐらい伸びております。良いことか悪いことか分からないのですが、例えば去年は5,200以上植えられております。年間、我々がやる大動脈弁手術は日本全体で1万ちょっとぐらいですので、この比率というのは、もちろん日本は導入が遅かったですので、その伸びが早いのは分かるのですが、適応が本当に適切だったかというのはとても問題になっているのではないかというように臨床医の一人として感じているところです。
このバルブ・イン・バルブというか、いろいろなバルブ・イン・バルブがあるのですが、特にサージカルバルブ、我々がさせていただいた弁の後にまたこれを入れるということがこれから承認されますと、この適応をかなり厳密に行かないと、ものすごい数が入ってしまうのではないかというような気もしています。
最近、弁機能不全がどういう形で起こっているかというと、我々は30年以上やっているのですが、この10年で再手術が非常に減っております。しかしながら、外来で診ていると、少しずついろんな硬化などが来ているのは間違いありません。そういうところでどのように線引きをするのか。適応の一つに、本当に有症状なのか、それを放っておくと1年以内ぐらいに本当に死んでしまうような、いわゆる重度の大動脈弁狭窄症かということをもう一度厳密に、どういう形でやればいいのか分からないのですが、こういう新しい、優れた医療器機がこれからも導入されていくと思います。その足を引っ張らないよう、厳密に適応方法が守られているのかという調査をやらせていただいた方がいいのではないかと思います。
少し本題からずれたのですが、そういったことも含め、植込みの後、調査の中に何かして適応がきっちり守られているのかという項目を入れる。それを怠った所には、その手技を今後させないような制限を付ける。そのぐらいのことをこれから、とても高額で、高齢者に対して非常にマーケットが膨らんでいる製品に関しては、皆さんも含めて注意していかなければいけないのではないかと思います。以上です。
○荒井部会長 大変貴重な御意見をありがとうございます。基本的には大変良いものだということはお認めいただいた反面、これが承認をされて現場に入ったときの臨床医としての懸念をお話いただいたかと思います。それでは、今の手取屋先生の御意見を踏まえ、委員の方から御意見等いかがでしょうか。
○中谷委員 今、手取屋先生が言われたことに補足する形になると思うのですが、提出された資料をずっと見ていて思うのは、単にバルブが悪くなったから入れるということしか書いていなくて、患者側の状態について余り、というか、ほとんど触れられていない。高齢者で人工弁を装着した場合に、その装着のときは元気で、活動して歩いていたけれども、余り活動されなくなってきたが、弁も悪くなってきているときはどうするかということです。人工弁を装着しようかという最初のときに、活動性が低下していれば適応にならないあるいは慎重に検討すると思うのです。
ところが今回検討する方法の場合は、極端な言い方ですが、もう人工弁が装着されているからやるのだというような形の適応決定がされ、施行がどんどん行われていく。要するに、装着した人工弁が駄目になったら付けるのだという形で、患者に対する評価が全くなされていないように思いすごく不安です。さらに2回目があったのですから3回目もありという話、特に比較的大きな弁が入っていたら2回目、3回目というのはあり得ると思うのです。
当然、装着した弁だけを見ているとなるとそうなってくると思うし、装着した弁だけが悪いですということを説明したら、患者・家族は、やっぱりやってくれ、あるいは、本人が言えなくても家族はやってほしいとなると思うので、やはりその辺のところに関して何らかの、ストッパーというか、配慮をした形で認可するということをしておかないと、どんどん行われると思います。入れたものが悪いから単にそこだけ変えるということで、極端な言い方ですが、そのような形で、今回評価されているように、さらにそうした認可をしようとしているように思えるのが、すごく気になります。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○荒川委員 19ページの図3の主要評価項目の比較をしている両群ですが、18ページに患者背景があって、年齢差が明らかにあるという中で、これの比較可能性に関してよく理解できなかったのです。そもそも、これを比較することが妥当なのか、その辺も教えていただきたいところなのですが。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構からお答えさせていただきたいと思います。確かに本試験の場合には再手術ということで再手術を行った患者さんを対象にしておりますので、先生のおっしゃるとおり、患者年齢が少し若くなっています。ERピボタル試験については83歳ということでかなりハイリスクで、その死亡率も30%近くまで出ていますので、かなり重症例ということはこちらも認識しております。その点も問題と考えまして、実はこのERピボタル試験だけではなくて、もう一つ、ハイリスク試験というのがございまして、その試験に関しましては、平均年齢が大体80歳ということで、同じぐらいの年齢層を対象にした、これはAVRとTAVI群の自己弁に対する試験ですが、それと比較した試験もございましたので、その試験とも比べた結果です。それでも、少なくとも本品の成績は同等だということは確認しておりますので、基本的にその二つの試験を総合的に判断すると、本品、本試験で示されたTAV in SAVの試験は、外科手術ができない患者さんを対象にした場合においては、リスク・ベネフィットはバランスが取れていると判断したという結果になりました。
○荒川委員 今おっしゃっていた、もう一つのAVRとの比較をされたデータがここの資料の中に入っているのですか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、御紹介すれば良かったですね。審査報告書の24ページの表12がHR試験ということです。患者年齢が83.1歳ということで先ほどのものよりも低いのですが、こちらは、手術リスクの方を見ていただくとSTSスコア値というものが出ていると思うのですが、これが手術期の死亡率を表す予測スコアなのですが、HR試験が7.3%、本試験が9.0%ということで、本品よりも手術リスクは若干低めなのですが、成績としてはこちらの表13以降に示しているとおりなのですが、全死亡率で本臨床試験が14.4%、HR試験が14.2%ということで、ほぼ同等という成績は確認できております。
○荒川委員 少しくどいようですが、同時性がないので、本当にここだけを比較していいのかというのは気になるところなのですが。
○医薬品医療機器総合機構 これは確かに、最初に臨床試験の紹介をさせていただいたときに、もともとこの試験は自己弁に対する比較試験を行ったサブアーム試験として実施されていて、デザインとしては、自己弁に対する試験成績と見比べたときに同等の成績が得られていれば、そもそも比較が難しい患者さんですので、外科手術ができない患者さんを対象として比較が難しい患者ですので、そこのところについては、総合評価をすることでリスク・ベネフィットを評価しましょうという試験デザインになっていて、それは、倫理性から考えても致し方ないのかなとは考えています。
○鈴木委員 今の手取屋参考人のお話を聞いていますと、既に適応でも不適切と思われるような事例が起きていると言っていらっしゃるように聞こえますが、更にそれを助長するようなことが起きないかどうか。やはり、適応を厳密にすべきというお話もありましたが、具体的に、弁の状況だけではなくて臨床症状、全体の症状ですね、そうしたものをどのように勘案して適応を決めていくのがよいとお考えなのか、お聞かせいただけますか。これは超高齢社会における高度医療の在り方ということにもつながってくるわけですが、こういうところをきちんとしていかないと本当に不適切事例、無駄な手術が続くことに歯止めが掛からないという状況になると思います。決して患者さんにとっても幸せなこととは限らない場合もあると思います。今、これだけの超高齢社会ですから、我が国がそういった適応を決めていくということをしないと、海外の例を待っていても海外は日本を見ているわけです、日本は断トツの超高齢社会ですから。それについてはどのようにお考えなのか、お聞かせいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。手取屋先生も含めて鈴木先生から御指摘いただいた点については、使用目的上は症候性であって外科手術ができない、しかも本品、要するに、外科手術、内科的治療とも比べて総合的に判断したときに一番ベストセラピーとなると判断された患者に対して使ってくださいという使用目的にいたしております。これは初回承認時からです。その上でその判断をするためには、心臓血管手術に経験が豊富な外科医とカテーテル治療に精通した内科医、内科治療にも精通した内科医がいるハートチームをもってその適応については判断してくださいということに、こちらとしてはしています。
ただ、現状の時点でハートチームの考え方に少しばらつきが見られることは事実です。今現在、TAVI治療を統括というか、施設認定を行っている日本の四つの臨床系の学会から作られた委員会、TAVR委員会というものがございますが、そこのTAVR委員会と少し問題提起をさせていただいて、このハートチームでの外科手術ができない、本品のTAVIの適応についてどのように考えて、これを現場にどうやって周知していくかということについては、今、議論をしているところです。その上で、ある程度学会の御協力も得た上で、適正な適応については、きちんと注意喚起をした上で、何でも本品で使えば低侵襲ですからいいという使い方にならないように注意喚起をした上で、学会の御協力を求めていきたいと思っているところです。
○鈴木委員 その学会が良心的に判断していただければいいのですが、全体として推進ということであれば、結局、よほど極端な例を除いてはというようなことにもなりかねないので、超高齢社会における高度医療の在り方というものをもう少し考える必要があるのではないのかと思います。そういう専門の学会の方以外の方も入れていただいて検討して、そして、公表すべきだと思います。それと、その具体的な条件にはもう少し数値化したものを入れるべきだと思います、これまでのような総合的な判断のような形ではなくて。その点についてはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 実際にこのTAVIの治療対象となる患者さんが手術ができないと考えられる因子は、これというのが決めにくい現状です。例えば合併症で腎不全が合併しているとか、そういう様々な要因が考えられるので、数値で設定することは少し難しいのかなとは思っているのです。その点、どんな規定をすれば、より適切な使用が推進できるのかということについては、学会と厚労省も含めて少し検討させていただいて、考えてみたいと思います。
○荒井部会長 ちょっと待ってください。これは、実はものすごく重い問題であって、今、機構の方がお答えくださいましたが、失礼ですが機構が簡単にお答えできるような中身ではないように思われます。と言って、審査課の課長さんがお答えになれる話でもないと思われます。
値段もそうですが、委員の方々も非常に想像しやすい領域の話だと思われます。専門家が学会におられ、その学会が基準を作ったからといって、鈴木委員、あるいは中谷委員の御指摘があったように本当にそれで現場の治療が適正に行われるかとなると、学会も結構まだらな組織で一枚岩ではない。そうなると、先ほどの鈴木委員の御指摘のように、基準は一応あるけれど、例外的な扱いがどんどん増えていってしまう可能性は当然あるわけです。それでは誰が規制を掛けるのかというと、もしかしたら、これは行政機関がやらなければいけないのかもしれない。今日、ここで議論をして「取りあえず薬事の承認はいいでしょう」と言うのは簡単ですが、それでは、その後どうするか、誰が責任を持つかというところまで皆さんに認識して頂いた上で判断しなくてはならないと思います。まず、課長さんから、その辺についてのスタンスを教えていただけますか。
○医療機器審査管理課長 まず、学会で御議論いただくことは重要なことだと思います。ただ、先ほど、これについては市販後調査もありますし、それも踏まえながら必要に応じて、必要に応じてというか必要になると思うのですが、何らかの適正使用のガイドラインなり基準なりというのは作っていきたいとは思います。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構から追加で御発言させていただきます。先ほどの4学会の作ります関連協議会にはTAVIの実施をされた症例のデータがレジストリーとして蓄積されております。それに関する蓄積が約4年になっておりますので、現在、それの解析が行われているということを聞き及んでおります。したがって、その解析結果をまず見るということが最初のステップになるかと、客観的なデータをもってお話を進めていく必要があるのではないかと考えております。
○梅津委員 先ほどの鈴木委員のお話ですが。私はツインズでいろいろな科学的根拠を取るようなシミュレーターを使った実験を大々的にやっておりますが、その中で現在と過去のTAVIの症例の中に起こった問題の原因をエンジニアリングの立場から究明しています。さらに、このTAVIを実臨床に用いる時、どういうときリスクが高いのか、どういうときベネフィットが出てくるのかをまとめるような仕事もやっております。何か問題が出てくるまで待っているということではなくて、リスク予測、分析も進んでいるということも知っておいていただきたいと思います。
○中谷委員 鈴木委員も言われていると思うのですが、結局、これまで言われていることは機能の問題とか、それが壊れるとか、どういう合併症があるかという観点での話でありそれで認可されてきた。これまでの認可のときには年齢によるものとか、心臓移植へつなぐものとか、それなりに目的があった。ところがこれに関しては弁が狭窄していることによる症状だけを対象にした議論でしかないのではないか。
その人が今回の検討品目を本当に必要としているのかという議論が全く抜けているというのが一番の問題点だと思うのです。特にこれは高齢者に対して行うことが多いからです。先ほど少し言いましたが、ある病状に対して、こんな手段がありますと言ったら、大体、誰も拒めないのですね。それに対してどうやってストップを掛けるかという手段を認可において入れておかないと全く止めようがなくなってしまう。100歳を超えてもやるのですかということです。別に100歳だったら駄目だという意味ではないのです。でも、そういう議論をもうそろそろ入れておかないと、何か布石しておかないといけないと思います。今、ここで決めなくてもいいけれども、臨床結果を見直すときにやるとか、少なくともその何かがない限り、人工弁が狭窄しているので、すなわち入れた弁が壊れているが、これだったら治せますよ、安全にできますよ、長くもちますよ、そのような議論しかないのではないでしょうか。それを今、部会長も懸念されていると思うのです。
臨床現場で見ていて思うのは、本当に高齢者が多くなってきていることです。どうやって、歯止めを掛けるのか。今は掛ける術すらない。そこが一番問題です。ですから、何らかの策を作っておいて、今、すぐにしなさいという意味ではなくても見直しは絶対するとか、何らかの策を組み込んでおくことはもうやらないと手遅れになるのではないかと思います。手取屋先生も言われた現場をやっているものの感覚だと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○鈴木委員 皆さん、私と同じようなことを言っていただいたのですけれども、要するに、超高齢社会というのは医療と介護が一体化していくので、医療だけを見ていると介護の部分を見落とすのです。では、手術の適応になる人は、要介護で言ったら幾つまでの人がふさわしいのか、要介護5の人にそういう手術をしていいのか、そういう議論までしていかないと超高齢社会の高度医療は決めていかれない。そういうことが今まで全然、議論もされないままずっと、何歳になっても治療をするのだと、高度医療をするのだと。手術はやりたいでしょう、若い人はどんどん減ってきますから高齢者にやらないと症例も集まらないし。ですから、そういうものをいつまでも続けていていいのですかということです。これは非常に高額医療ですし、それを議論しないと、そこに医療費の無駄が事実上生じていて、これからますます増えていくと、高齢化率はもっともっと上がっていきますから。それをどこかで検討しないといけない。これは大きく言えば費用対効果にもなりますし。やはりそういう議論をずっと避けてきた。それはどこかでしなければいけないということだと思います。
○一色委員 非常に重要なことで私も基本概念としては全くそのとおりだと思うのですが、これを言い出すと、ほかの高額医療機器の現状にも目を向ける必要性が出てくる可能性があります。例えば90歳の房室ブロックに対する永久ペースメーカーの適応の問題などが頭に浮かびます。TAVIはハートチームによるチェックがされていますが、ペースメーカーの適応についてはチームでのチェックがされることなく植え込みが行われているという現状が現実的にありますので、TAVIのデバイスにだけ持ち込んでくるということには難しさを私は感じています。超高齢化社会でこういう高額的な医療を、今まで認可されているものも含めて、どのような見直しをしていかなければいけないのかという、非常に大きな問題を含んでいると思います。
○荒井部会長 部会としては、難しいところに座礁しています。
○塩川委員 私、脳卒中をやっているのですが、脳卒中でも急性期治療の適応のところで医療機器で、例えばこの資料でも328ページにModified Rankin Scaleというのがあるのです。これだと、欧米では血栓回収はModified Rankin Scaleで自力で歩ける、0とか1とかが適応になります。先ほどから議論の出ている、患者さんの状態が反映したスコアがあります。15ページに歩行速度というのもこのERピボタル試験の所にあって、これはやはり高齢者のフレイルという脆弱性の話で、今いろいろ超高齢社会での医療費の話もありますが。そういうものが、少なくとも脳血管の所では適応の所に入っているものもあるので、もしそういうことを加えるのであれば、いろいろ汎用性のある、患者さんの状態をある程度反映したものも加えるというのが一つの案ではないかと思って発言させていただきました。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○手取屋参考人 何か、つまらないことを言い出したもので議論が広がって申し訳ないと思っているのですけれども。
○荒井部会長 いえいえ。
○手取屋参考人 今回、この審査に少し関わらせていただいたときに、先ほどどなたかからお話があったと思うのですが、外科の再手術とこのバルブ・イン・バルブの明確な比較試験というのは実は余りなくて。再手術の我々の印象というのは、いろいろな再手術があるのですが、悪くなったからそろそろ定期的にやろうという、そういう再手術のリスクは、外科手術ではネイティブの場合とほとんど変わらないのです。ところが、バルブが急におかしくなったり、機械弁で血栓が出来たり、そういった緊急手術になった場合は、やはりこれはかなり違っていて、それを完全に分けたペーパーはなかなかなくて。今回、そういうものがない状況での認可になったときに、余りにも機構側が今、携わっている成績が良かったもので、これは中谷先生もおっしゃったように、データだけを見て、狭窄がある、さあ入れようということになるのではないかと。人工弁の場合は既に入れたときに圧較差、先ほどおっしゃいましたが、圧較差というのが幾らかは生じています。これが徐々に、また、その再手術になるという過程は本当は極めて低いのです。ところが、その圧較差だけを見ると、やはりその適応として、先ほどおっしゃったように適応拡大というか、我々の勝手な適応拡大が出てくるのではないかと思ったわけです。
本来、我々臨床医がしっかり自立して、自立と自律で患者さんに向き合えばこういう議論は本当は要らないのかも分からないのですが、機構さんとずっといろいろな仕事をしているときに、こんな適応をあなた方が決めてどうするんだということを私は結構申し上げたのですが、ここにきて、それまで決めてもらわないと危なくなっているというのが臨床現場の現状です。これにはやはり、先ほど荒井先生もおっしゃいましたが、ここまでは機構で決めて、このディスカッションは違うよというのは、なかなか難しくなってくるのではないかと思います。その医療機器のお金、同じものでも10万円のものと600万円のものと、これは、やはり同じ感覚で審査するわけにはいかないのではないかと思うのです。そういったいろいろなことがこういったものに来まして、一色先生もおっしゃったように様々な医療機器や医薬品が高額になっておりますのでこれだけではないと思うのですが、この高齢化に伴って爆発的な症例数が既に挙がっているということをとても危惧してこういったお話をさせてもらったので、どういう方法があるかは全然分からないのですが、現場が崩壊してしまわないような処置が必要なのではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方からそのほかに御意見はございませんか。
○中谷委員 先ほどの意見を受けるような形ですが、今まで認めてきているからこれでどうだという議論で、今までずっとやってきたと思うのです、まあ、いいやと、極端な言い方ですが。でも、やはりここに来て、特に1回高度医療を行ったものにまた高度医療をやるのかどうかを考えることは、本当に避けて通れないのではないかと思います。私が言いたいのは、ここで一遍に決めてしまえというのではありません。そんな簡単な問題ではないので、そういう考え方を入れた答申の仕方とか認可の仕方とかの工夫をしていかないといけないと思います。
この機械はこのような使い方をする限りは大丈夫ですよというのは確かに試験でわかります。しかし、いざそれを実際に使おうというのは分けて考えないといけない時にもう来ているのではないでしょうか。今回のケースは一番初めに起こってきたもの、第一例目だと思うのです。一度行ったことをもう一遍同等の方法でできるということです。
こういうコンセプトが現実に出てきたのは、これは初めてではないかと思います。特に侵襲も割と少なくてできるという意味も含めたらそうなります。そうすると、今ここで考えておかないと、またあれでもいけたという話にならないかと危惧します。ただ、このバルブが必要とされている症例はあると私も思いますので、認可を止めるというのも、これはまた何だという話になりますので、そこは非常に難しいところではあるのです。そういう意味で工夫しないといけないとは思うのです。今回が最初の認可の仕方になるように検討していただきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。中井課長さんから何か御意見等はありますか。
○医療機器審査管理課長 大きなお話を頂いていますので、今、それに対する答えは、私自身は持っていないのですが、今回の件については、まずはこの品目について適正使用を徹底されるということで、先ほどの学会のデータベースや、その議論を踏まえながら、それから、市販後調査も踏まえながら、適正化というのはやはり続けていきたいと思います。ただ、今日の御指摘については、今すぐこの品目で、いきなり先生方の御指摘のようなものはどう直すかというのは、今、すぐに答えが浮かばない状態ですので、それは少し考えさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 多分、今日の議論は余り違和感なく、皆さん、共通のプラットフォームで理解をして考えていらっしゃると思います。この部会としては、従前のように「取りあえずここでは薬事についてのみの承認はしましょう」という形でいくか、あるいは、「ものがいいことはみんな認識したけれども、附帯の条件、すなわち、実際の臨床現場に導入する段階での条件についての議論が十分に終わっていないので、議論を一つ先に送りましょう。基準やフォローアップの仕方などについての条件を詰めたところで改めて承認しましょう」という、多分、その二つしか選択肢はないと思います。前者の方の「取りあえず、少し不透明なところはあるけれども、この部会としてはいいということにしてしまいましょう」という進め方は、おそらく委員のみなさまに御賛同頂けないと私は感じていますが、いかがでしょうか。
ただし、企業の目線や実際の需要もあるでしょうし、待っていらっしゃる患者さんもおられる訳ですので、いたずらに延ばすことは好ましくありませんが、皆さん御懸念の、いいところだけを見て承認して、垂れ流しに使用される状況を作ってしまうのを避ける意味では、ここは一歩踏み込まなければいけないかなと私は感じております。
○鈴木委員 先ほど課長から何か、最適使用ガイドラインみたいなものを作るというお話があったのですが、それはどのように考えていらっしゃるのですか。
○医療機器審査管理課長 学会等の議論を踏まえながらそういったこともやらざるを得ないかなとなっていると思いますので、そこは、議論としては少し残しておきたいと思っています。
ただ、ここで妥協案を提案してもしょうがないのですが、これは、品目としては確かに、実際、必要な人は本当にいるのだろうと思います。開胸手術を再度やるよりもこの製品を使用する方がいいというのは誰もが思うわけですね。一つの提案なのですが。例えば、この1回の審議を延長させる間に、どんなことをやればいいことができるのかと言うと、それほど簡単ではないので、1週間、2週間で答えが出る問題ではないので、例えば承認条件に、今四つありますが、五つ目に何らかの、適正使用について方策をめぐって必ず部会に報告することみたいなとか、何かそういったことを入れていただいて、それは留保した上でということを明確にした上で御審議ということはいかがでしょうか。
○荒井部会長 今、中井課長のお話の中で、現実的な問題として実際には、薬機の承認をしてから臨床現場に至るまでの過程で結構な時間が掛かるということがありました。全てを止めて次の部会で審議しましょうということではなく、条件についての部分を留保しておき、後日この経過を踏まえた上で報告を頂くという方法はとれるかもしれませんね。
○医療機器審査管理課長 少しいいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○医療機器審査管理課長 承認条件にすると製販業者を縛ることになります。一方で、役所側にも対応を求めると言うことで、答申書や何かに一言書くとか、むしろ両方やるとか、そのような形にさせていただければと思います。
○荒井部会長 なるほど。そうするとこの部会としては、附帯条件について追加の検討をお願いするという前提をつけた上で、承認するかを議決するということになりますが、それでよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 はい、ということになります。
○荒井部会長 それは次回、ここでも御報告いただくということで。
○医療機器審査管理課長 はい、御報告はさせていただきます。
○荒井部会長 いかがでしょうか。
○鈴木委員 せっかくここまで話が進みましたので、高額な薬剤における最適使用推進ガイドラインみたいなものを、高額な医療機器を用いた治療についても、中医協も巻き込んで一緒に議論をしてガイドラインを作るというような枠組みが必要ではないかと思います。
○医療機器審査管理課長 分かりました。それでは一応、適正使用ガイドラインという、そこに限って言うのもどうかと思わないでもないのですが、そこはそういったものも適正使用の、より強力な指針というか、そういったものを作成するという、答申書に書く方がいいと思うのですが、そこはさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。そうしましたら適正使用ということに関しましてもう少し煮詰めていただく、それも、先ほど課長から発言がありましたが、縛りのところの文言についても十分に検討していただくということを前提として、この製品を必要とする患者さんが実際におられること、また、それに臨床的なデータもある点を踏まえ、承認については構わないという形でよろしければ、ここで議決をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、少し宿題を残した格好になりますが、よろしくお願いいたします。そのほか、御意見はよろしいですか。なければ、議決をさせていただきます。
医療機器コアバルブEvolut_Rにつきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品として指定することとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価には、期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。では、先ほどの議論も踏まえまして、今申し上げた点については御異議がないようですので、このように議決とさせていただきます。本件は、また分科会にて報告をさせていただきます。これで議題3を終了といたします。手取屋先生、どうもありがとうございました。
戻りますけれども、先ほどの資料1の、分かりましたか。では、手取屋先生に御退席いただいている間に、先ほど村上委員から頂いた議題1のところについてのデータがそろったようですので、お願いします。
○事務局 村上先生から頂きました、議題1の血液透析器の血球損傷試験において、試験液として全血と生理食塩水で調製した血液の2種類を使えることになっていましたが、その取扱いについてということで御質問いただいた件です。
この試験は動物血の血球の損傷、血球数の変化を見る試験なのですが、この試験の中で試験系に詰まり等が生じないように、その粘度等の調整のために生理食塩水を入れる場合があるということがあり、この旨をこの基準の中で規定しております。この試験条件は国際規格等を参考にしておりまして、生理食塩水のこの添加が試験結果に影響を与えることはないと考えております。以上になります。
○荒井部会長 村上委員、よろしいですか。
○村上委員 はい。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、この後、議題4に入らせていただきます。議題4「医療機器オンコマインDx Target Test CDxシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否」を始めさせていただきます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題4について事務局から説明します。紐でとじてある厚めの資料4を、お手元に御用意ください。1枚目が諮問書となります。本議題では医療機器オンコマインDx Target Test CDxシステムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。審議品目及び審査の概要については、医薬品医療機器総合機構担当者よりよろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。まず当日配布資料の11ページ、当日配布資料3、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、御覧の3名の専門委員の御意見を頂きました。また、当日配布資料3に添付文書(案)を付けていますが、これは報道発表用資料のために、申請者が記載内容を調整したもので、内容としては諮問書一式にお付けしたものと同一となっています。
初めに本品の概要について、審査報告書を基に説明いたします。資料4の一番上のタブ、審査報告書を御覧ください。審査報告書の6ページ上段の図1を御覧ください。本品はテンプレートDNA調製試薬、DNAシークエンサー及び解析プログラムから構成されるコンパニオン診断システムです。切除不能な進行再発の非小細胞肺癌患者の組織検体から抽出したDNAの中のBRAF遺伝子V600E変異を検出することで、現在審査中の分子標的薬であるダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブジメチルスルホキシド付加物の併用投与の適応判定の補助に使用されます。以降、ダブラフェニブメシル酸塩及びトラメチニブジメチルスルホキシド付加物のことを関連医薬品と言います。なお、関連医薬品が希少疾病用医薬品に指定されており、本品の承認時期を、医薬品の承認時期にできる限り合わせるため、本申請は平成29年6月2日付けで迅速審査の対象となっています。
1枚めくっていただいて、7ページ上段の「開発の経緯」を御覧ください。BRAF遺伝子から翻訳されるタンパク質は細胞増殖に関与し、V600E変異が入ると常に細胞増殖シグナルが活性化され、細胞の異常増殖等を惹起することが考えられています。それに対し関連医薬品は、常に活性化しているBRAF V600E変異型のタンパク質、及びその下流の細胞増殖シグナルの活性化を阻害することで、抗腫瘍効果を示すと考えられています。
以上より、本品はBRAF V600E変異を検出するコンパニオン診断システムとして開発されました。本品は元来、DNA及びRNA上の46遺伝子の変異を同時に検出する、研究用の遺伝子検査システムを基盤とし、非小細胞肺癌のドライバー遺伝子として知られているBRAF V600E変異を含む〇遺伝子の変異を検出し、対応する分子標的薬の適応を判定するコンパニオン診断システムとしての開発が進められていました。
関連医薬品について平成28年12月5日付けで、BRAF遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌への適応追加に係る一部変更承認申請が行われたことから、関連医薬品の承認時までに本品を医療現場に供給する必要性にかんがみ、今般、開発が先行しているBRAF V600E変異のみを検査項目として、承認申請が行われています。なお、ほかの〇遺伝子の変異についても、本品による検査項目として今後、追加予定であると申請者は説明しているところです。
審査報告書の9ページ上段、分析性能に係る資料の「提出された資料の概要」を御覧ください。先ほども申し上げたとおり、本品は46遺伝子の変異を検出及び解析するシステムを基盤としたものであることから、分析性能に関する資料として、これらの46遺伝子の変異に対する分析性能を評価するために実施された試験成績書が添付されています。総合機構は本申請において、本品はBRAF V600E変異のみを検出するコンパニオン診断システムとして申請されていることから、これらのうちBRAF V600E変異についてのみ分析性能を評価しました。分析性能を裏付ける試験として、真度試験、室内再現性及び室間再現性、LOD試験等の、こちらに挙げている試験結果が提出されまして、これらの資料に基づき審査をした結果、BRAF V600E変異に対する本品の分析性能には特段の問題は認められないと判断しました。
続いて、臨床性能に関する評価について説明します。12ページ中段の「臨床性能を裏付ける資料」の「提出された資料の概要」から、臨床性能に関する評価の記述となっています。一般にコンパニオン診断システムの臨床性能は、対象となる分子標的薬の有効性が期待される患者集団を適切に特定できるかという点に基づいて評価されます。関連医薬品の有効性を検討するために実施された国際共同第II相試験においては、本品ではなく各試験施設の検査方法、以降LLTと呼びますが、LLTの判定結果によって患者が組み入れられ、関連医薬品の有効性及び安全性が評価されました。そのため、本品の臨床性能はLLTと同様に、関連医薬品の適応対象患者を特定できるか。また、本品により特定された患者集団において、臨床試験の解析集団と同等の医薬品の有効性が期待できるか、という観点から評価しました。
LLTと本品による判定の一致率の結果については、12ページの最後の段落を御覧ください。LLT陽性検体、111検体のうち、本品により有効な解析結果が得られなかった31検体を除外した80検体における陽性一致率は90.0%。また、95%信頼区間の下限値は81.2%であり、事前に設定した達成基準である同信頼区間の下限値が85%以上とする基準を満たすことができませんでした。一方で、解析できなかった検体を除外した115検体における陰性の一致率は99.1%。また、同信頼区間の下限値は95.3%であり、達成基準を満たすことができました。
次に13ページ中段のマル2の表4を御覧ください。関連医薬品の解析対象集団であるLLT陽性集団と、LLT陽性及び本品陽性の集団の関連医薬品の奏効率を比較した結果、奏効率が60~70%程度と、両集団において奏効率に大きな隔たりがないことが示されています。
14ページ中段を御覧ください。申請者はLLTとの陽性一致率が、事前に規定した達成基準を下回った経緯として、関連医薬品の治験の組入れ症例のうち、検体の入手が可能であった症例は111例であり、このうち有効な解析結果が得られなかった31検体が、解析対象から除外されたため、同等性を示すために必要とされた検体数を確保できなかったことが、達成の基準を満たさなかった要因の一つであると説明しています。一方でLLT陽性、本品で陰性となった不一致例の8例については、第3法による検査結果はいずれも陰性であり、本品と判定結果が一致していたことから、検査に用いられた検体について、本品の偽陰性の可能性は低いと考えられると説明しています。
総合機構は関連医薬品側の治験の計画変更によって、入手可能な検体数が少なくなり、限られた検体数で評価を行わざるを得なかった申請者の状況も考慮した上で、申請者の説明及び本品の検出限界等の性能に、特段の問題は認められないことから、本品について一定の臨床性能は示されていると判断しました。
15ページ中段、検体管理の適切性について御覧ください。本品の臨床性能に関する試験においては、LLT陽性検体の27.9%、31検体及びBRAF V600E変異陰性検体7.3%、9検体において、有効な解析結果が得られなかったとされています。したがって、本品の医療現場への導入に当たっては、解析成功率を向上させるための方策を講じる必要があると考えました。
申請者は有効な解析結果が得られなかった主な原因として、各施設におけるホルマリン固定条件を事前に規定していなかったため、ホルマリンによる過固定によってDNAが分解し、本品の解析に適した品質のDNAが得られなかった可能性があると説明しました。ホルマリンの固定条件については、日本病理学会のゲノム診療用病理組織検体取扱い規程においても、検体の品質に影響を与える要因であり、ゲノム解析用試料の調整時に管理すべき要件の一つとして、推奨条件が提示されているところです。また、同規程においては、抽出されたDNAの品質を確認するための評価指標が提示されています。
以上を踏まえ、総合機構は添付文書において、同規程にて推奨される固定条件を示した上で、DNAの品質の確認及びその他の詳細については、同規程に従うよう注意喚起することが適切と判断しました。
最後に、本品の使用成績評価は不要であると判断した理由について説明します。17ページ上段のト項、総合機構による評価の概要を御覧ください。本品のコンパニオン診断システムとしての分析性能及び臨床性能は確保されていること。関連医薬品の使用成績調査の有効性の評価の結果として、本品の市販後の状況についても確認可能であることから、本品の使用成績評価の指定は不要と判断しました。
以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、分科会では報告を予定しています。総合機構からの説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から御意見、御質問等はいかがでしょうか。
○事務局 オンコマインについて、厚生労働省から補足をさせていただきます。先ほどの機構からの御説明にもありましたとおり、本品は46遺伝子の変異を同時に検出する研究用の遺伝子検査システムを基盤としています。このため、BRAF V600Eの検出時には、BRAFのV600E以外の変異の有無と、BRAF以外の45遺伝子の変異の有無も同時に検出されています。本品は非小細胞肺癌
に用いる医薬品のコンパニオン診断に使用されることを踏まえて、医薬品をできるだけ速やかに患者に届けるべく、今回の承認審査ではBRAF V600E以外の分析性能は評価していません。
一方で、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇以上で補足を終わります。御審議のほど、どうぞよろしくお願いします。
○荒井部会長 今の厚生労働省からの補足の部分が、実はこれの一番重いところなのですが、委員の方々、御意見、御質問等はいかがでしょうか。鈴木委員、どうぞ。
○鈴木委員 本当は一つだけ分かればいいのに、ほかの45も一緒に分かってしまうということで、その扱いをどうするかということだと思うのですが、基本的には残りの45の遺伝子についても全部、医師の判断が必要だということであれば、提供するということですか。そのときに患者さんの同意とか、そういうものはどうなるのかということとか、それまでに患者さんに対して十分な情報提供が行われるかどうかということの担保というのは、どのように考えているのか、お聞かせいただけますか。
○事務局 事務局からお答えします。まず鈴木委員から最初に御質問を頂きました、残りの45遺伝子の情報の提供につきましては、先ほど申し上げたとおり、医師の求めがあった場合に限って提供することになっています。
患者同意と、情報をどの程度患者さんに御説明するかという点ですが、こちらの点については、一般診療の中で最低限されること以上に、どのようなことが必要かということを考えますと、先生の問題意識というのは、本来測りたいBRAF以外のものが出てきてしまうことも情報提供した上で、患者さんの同意を得るべきだという問題意識かと思いますので、その点は申請者とどういうことができるか考えさせていただきたいと思っています。
○鈴木委員 それもありますし、例えば残りの遺伝子変異が見つかっても、結局、治療法はありませんという場合もあるわけではないですか。そういうことを、きちんと患者さんに説明をするのかどうか、そういうことも重要になってくるのではないでしょうか。
○事務局 分かりました。その点も含めて、検討させていただきます。
○荒井部会長 そこは既に検討しているのですか。それとも、これから検討するのですか。
○事務局 基本的には必要な情報をお伝えした上で、患者さんの同意を得ることが必要だと考えておりますので、そういう形で企業の方に伝えて、企業の方で何ができるかということを考えさせていただきたいと思います。ただ、最後は患者さんと医者の間で同意取得が行われますので、企業ができるところというのは、一定のサンプルを作るとか、そういったことになってしまうかと思うのですが、今後検討してもらいます。
○医療機器審査管理課長 基本的には御指摘のとおり、この製品の特徴とか、そういったものはきちんと説明するようにさせていただきたいと思うのですが、それについて、やり方として先ほど言ったようにサンプルなり何なりという表現をしましたが、インフォームドコンセントの雛型と言うといいかどうか分かりませんが、そういったものをきちんと示すようなことも含めて、させていただきたいと思っています。
○荒川委員 今の残りの45遺伝子の件ですが、従来も附帯研究として、サンプルを治験等で集めて、将来のために解析するということがあって、同じような位置付けになってしまって、研究に使用される可能性が高いのではないかと思うのです。いわゆる臨床研究ですね。その場合は臨床研究としての扱いが必要ではないかということは、検討が必要かと思っています。
○荒井部会長 これについてはよろしいですか。
○医療機器審査管理課長 そういう研究をするようにしたいということでしょうか。
○荒川委員 臨床研究は、それはそれで倫理指針に引っ掛かってくるところなので、そういった対応も必要ではないかと。残りの遺伝子の結果を研究等で利用するのであれば、あらかじめ同意の中に入れておく、また、倫理委員会等に諮るということも、必要かと思います。
○医療機器審査管理課長 研究で実施する場合ですが、同意や倫理審査委員会といった対応は、関係する倫理指針を守って実施していただくことが必要になると理解しています。○荒井部会長 そのほかはよろしいでしょうか。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 先ほどの件とも似ているなと思ったのですが、例えば医師の方から、残りの遺伝子についても結果が分かるよと言われたら、やはり言われた側としては、じゃあ知りたいわと思ってしまうのではないかと思うのです。しかし、この製品についてはあくまで研究用のものを基盤としたものなので、臨床的な判断ができるほどの精度といいますか、確かさはないということなのであれば、それを患者に教える意味がどこにあるのかというのが、今一つよく分かりませんでした。
できる技術をやるかどうかということについて、ここで議論することなのかどうか分からないのですが、分かるのだからやってもいい、できるのだからやってもいいということでは、必ずしもないのではないか。この審査とは直接関係ないかもしれませんが、医師からそのように言われてしまえば、できる手術があるならやってほしい、分かるものがあるなら教えてほしいと、患者としては思ってしまうものではないのでしょうか。
○荒井部会長 北澤委員の御指摘に関しては、皆さん共感しておられると思います。 ともかく、この辺の遺伝子パネルのような領域では、今、北澤委員が言われたように、今は対象になっていなくても、急に治療の対象になることが判明するようなことが起こる訳です。ということで、現時点では「ほかのものに関してはきちんとしたことが何も分かりません」ということも含め、医師がきちんとしたインフォームムドコンセントを行うことの重要性が極めて大きいと思われます。一方、荒川委員から御指摘頂きましたように、出てきたデータについて医療機関側が研究的な目線で、分かっていない部分について検討したい、利用するという響きが悪いのですが、当然そういった要素もあると思われます。よって、限られた部分以外で分かってしまう部分の扱いに関する一定度の縛りは必要であり、決まり事、すなわち、範を越えてはいけない部分について、特に患者さんに対する説明について、「こういうことを守りましょう」という部分はきちんと固めていただけるという理解でよろしいでしょうか。今日は難しい話題が続いていますが、何か御意見はありませんか。よろしいでしょうか。
○齋藤委員 少し論点が変わりますが、これは恐らく、高額な機器になると思いますけれど、一つのがん種のみの薬剤感受性のある遺伝子を同定して、薬剤の治療効果を判定するのでしょうか。僅か一つだけのがん種のためにこの機器を使用するのか、あるいは、この機器に多様性と発展性があり、近い将来、別のがん種に対しても同様な検査ができるようになるのか、また海外での使用法も伺いたいと思っております。将来的にこの検査機器がどういう方向性で展開していくのかについて、お聞かせいただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。現在、申請者から聞いている情報としては、ほかの〇遺伝子について、CDxとして異なる医薬品に対する非小細胞肺癌への適応について、使用されると聞いています。ここまで合わせたもので、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇という状況です。また、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇は、〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇という状況です。
○齋藤委員 将来的には、こういう審査はパスされるということ。
○医薬品医療機器総合機構 そのときは、また申請していただきますので、このように、同じように審査をする予定でいます。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。
○後藤委員 今の質問と関係があるのですが、この機械は恐らく、あらゆる遺伝子に応用が可能だと思いますので、パネルの内容さえ変えればどんなものでも調べられるという状況だと思います。ですから、今はまだこの会社は考えていないかもしれませんが、当然ながら新しい遺伝子に関しても、次から次へと新しいパネルを作ってくる可能性は十分ある。ですから、ここで1回認めると、がんに関する遺伝子検査に汎用性のある医療機器として、実質的には認めてしまうような形になってしまうだろうと私は考えています。
問題は先ほどのお話で、恐らくこれからがんゲノムの拠点病院を中心にした、がんゲノム医療が進んでいくと思います。その中で、恐らくこの機械が使われていくのでしょうけれども、その先にあらゆる医療機関の、がんの患者さんの所でこれが使われるようになるかならないかというのが、また大きな問題で、これを医療機器として認めた後の、実際の医療での使用方法というか、応用方法について、しっかり考えていかなければいけないと。そういう状況の中で、これを医療機器として認めるかどうかということを考えるというのが、私は大事だと考えています。
○荒井部会長 ありがとうございます。今の、特に前段のところに関して。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。特定の遺伝子を増幅するためのプライマー等のテンプレートとか、それの調製試薬というものは、体外診断用医薬品に該当するということが通知で決められていますので、別の用途に使用したい場合は再度、体外診の申請が必要となります。そのため今回の承認で、どの遺伝子に対しても何でも使えるという承認を与えるのではなくて、今回はあくまで今回の関連医薬品の適応可否を判定するためのコンパニオン診断システムとしての承認ということになります。今後、やりたい検査等、いろいろなものが出てきたら、その都度申請が必要で、その都度我々がきちんと審査をすることになると思います。
○荒井部会長 よろしいですか。今のところ、特に後藤委員の前段のところについては、これがオーケーだから、後、いろいろモディファイされたものが続々と、勝手に知らないうちに通ってしまうという話ではないということで。
○後藤委員 ただ、現実2万以上もある遺伝子ですね。それから、そのうちの1万ぐらいは恐らく病気との関係が分かっている。今後の遺伝性の疾患に関するようなときにも、この機械が使われる可能性が十分あるということも考えると、恐らく次から次へと新しい申請を出さなければ、多分、現状のゲノム医療やら遺伝子医療やらについていけなくなってしまう。ですから、本当に全部1回1回この場に出てきて、申請を受け付けてやるのかどうかというのは、少し考えなければいけないでしょう。
○医療機器審査管理課長 それについては、現時点においては、これはBRAFのコンパニオン診断薬でしかあり得ないということです。先生の御指摘は、今後、がんゲノム医療が進むときに、それをどうやって拡大していくかという議論だと思います。それはそれで、まだそこまでの情報が集まったわけではありませんので、現時点では1個1個、適応拡大していくことになるのだと思います。それは、もう少しそれがどんどん増えていったら、またやり方は考えていかなければいけないでしょうし、それはまた別途考えていただくことになると思います。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。それでは、御意見がなければ議決をさせていただきます。医療機器オンコマインDx Target Test CDxシステムにつきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定も不要とすることとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
○鈴木委員 今、機械的に書かれた文章を読まれていますが、先ほど課長は、きちんとインフォームドコンセントの雛型を作るとか、そういう話もされました。それも含まれるということでよろしいですね。
○荒井部会長 もちろんです。敢えて「宿題」という言葉は使っておりませんが、インフォームドコンセントに対する対応も、「範を」という言葉を使わせていたただきましたが、それを提示していくことも含めて、この部会での議決に含めさせていただきたいと思います。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行う予定としています。これで議題4を終了させていただきます。
大分遅れてしまいましたが、引き続き議題5に入らせていただきます。よろしくお願いします。BRACAnalysis診断システムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、議事を始めさせていただきます。お待たせしてしまい申し訳ありません。本議題の審議に当たりましては、参考人として国立大学法人熊本大学大学院生命科学研究部乳腺・内分泌外科教授であられる岩瀬弘敬先生と、慶應義塾大学医学部臨床遺伝学センター教授であられる小崎健次郎先生にお越しいただいております。よろしくお願いします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題5につきまして事務局から御説明いたします。資料5を御覧ください。1枚目が諮問書となっております。本議題では、医療機器BRACAnalysis診断システムの生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。審議品目と審査の概要につきましては、医薬品医療機器総合機構の担当者からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず、当日配布資料4、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たりましては、資料4にお示ししております6名の専門委員の御意見を頂きました。
それでは、お手元の資料5にあります審査報告書に基づいて御説明をいたします。初めに、本品の概要について御説明いたします。審査報告書7ページの1.審議品目の概要を御覧ください。本品は乳癌の原因遺伝子として同定されたBRCA1及びBRCA2遺伝子の変異を検出し、オラパリブの乳癌患者への適応を判定するために使用されるコンパニオン診断プログラムです。本品は、オラパリブの乳癌への適応追加に係る承認申請が平成29年10月13日付けで行われたことに伴いまして、申請されたものとなっております。
続いて、本品を用いた検査システムの全体像について御説明いたします。審査報告書8ページ、図1を御覧ください。図は下が日本の検査依頼施設、上が申請者であるMyriad社を示しています。図の左下にあります、BRCA検査依頼と書いたところから検査が開始されます。日本で採血された血液検体は、登録衛生検査所を介して、海外にあるMyriad社に送付されます。Myriad社では、血液検体より抽出されたDNAを用いまして、シーケンシング等によりBRCA遺伝子領域を解析し、遺伝子変異、いわゆるバリアントの有無を確認いたします。BRCA遺伝子領域にバリアントが検出された場合、バリアントの情報は、申請者が保有するデータベースと照合されまして、臨床的意義に基づき、報告書9ページの表1にお示しをしております、五つのカテゴリーのいずれかに分類されます。このうち、BRCAタンパク質の機能欠損を生じると考えられる病的変異又は病的変異疑い、このいずれかに該当する場合は、オラパリブの投与対象となります。審査報告書7ページ中ほどにあります第3段落目に戻ります。このデータベースには、現在までに1万9,000種類のバリアントデータが登録されており、これまでの実績では、検出されたバリアントのうち約99%がデータベースとの照合で、分類カテゴリーを決定できます。
一方で、データベースに登録のない約1%の新規のバリアントにつきましては、Myriad社内の専門家から構成される判定委員会が、最新の科学的知見に基づいて検討を行い、分類カテゴリーを決定するとともに、そのバリアント情報をデータベースに登録いたします。バリアントの分類カテゴリーの検討には、アメリカ臨床遺伝・ゲノム学会が発出した規格を基に申請者が作成しております詳細な分類基準が用いられます。この分類基準に基づいて、判定委員会による検討から、バリアント情報のデータベース登録までのプロセスにつきましては、検討の各段階における評価方法や記録作成手順などの詳細が手順書に定められております。以上の手続により、バリアント分類で参照されるデータベースの準備が整いましたら、ポータルサイトを介して検査依頼医師に検出されたバリアントの一覧が報告されます。これが審査報告書8ページの図1の中央辺りのシークエンス完了通知に該当いたします。
ここ以降が本プログラムとなります。検査依頼医師が本プログラムに対し、データベースを参照して、バリアント分類をするように指示いたしますと、検出されたバリアントの分類カテゴリー及びオラパリブの適応判定結果が表示された最終報告書が出力されます。以上が本審査システムの概要となっております。
なお、報告書8ページ図1の上にあります最終段落に記載しておりますように、解析時点で臨床的意義が不明であったバリアントにつきましては、その後得られた科学的知見に基づいて、病的変異あるいは遺伝子多型であることが明らかになって、結果としてオラパリブの適応に係る結論に変更が生じた場合には、1か月以内に改訂報告書が作成され、検査依頼医師に報告されるシステムになっています。
続きまして審査報告書10ページです。外国における使用状況について御説明をいたします。米国におきましては、1996年からBRCA遺伝子検査システムとして150万件以上の実績がございます。また、オラパリブの適応判定を行うコンパニオン診断システムとしましては、約1万件の実績があります。一方欧州では、BRCA遺伝子検査として2012年に上市されてから、約9,000件の使用実績がございます。なお、これまでに不具合の報告というものはございませんでした。
次に、製造に関する評価結果について御説明いたします。審査報告書11ページの(3)性能に関する資料を御覧ください。性能評価に関する資料としましては、検査システムを構成する各検査工程の性能に関する資料と、分類プロセスの頑健性評価に関する資料が提出されました。また、本品の出力結果に基づき、オラパリブの適応となる患者を適切に特定できることを評価した結果としまして、臨床性能試験に関する資料が提出されました。いずれの資料につきましても、特段の問題は認められませんでしたが、ここでは臨床性能試験の結果の概要について御説明させていただきます。
それでは、審査報告書16ページの(8)臨床性能試験を御覧ください。オラパリブの手術不能又は再発乳癌への有効性及び安全性について検証した国際共同第III相試験であるOlympiAD試験における被験者の組入れは、BRACAnalysis及び各施設検査の検査結果に基づき行われました。このことから、本検査システムの臨床性能は、これらの検査方法と同様に、本品が被験者を特定可能であるか。また、本検査システムにより特定された患者集団における有効性が検証的試験の解析対象集団と同様であるか。この2つの観点から評価がなされました。
まず、被験者の特定可能性につきましては、審査報告書の17ページ、表6にお示しをしておりますOlympiAD試験の組入れに用いられた検査法と本検査システムの判定の一致率に基づき評価されました。表6の一番右の列にお示ししておりますように、BRACAnalysis及び各施設検査と本検査システムの判定値につきましては、それぞれ99.8%及び99.5%でした。また、OlympiAD試験の解析対象集団と、本検査システムの陽性集団における有効性の比較結果は、報告書18ページ表7にお示しをしております。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)につきましては、オラパリブ群の中央値は、解析対象集団と本検査システムの陽性集団で、それぞれ7.0か月と7.4か月ということで、同様であることが示されております。
続いて、本品の審査の概要について御説明いたします。審査報告書19ページの(1)オラパリブのコンパニオン診断システムとしての臨床性能についてを御覧ください。BRACAnalysis及び各施設検査と本検査システムの不一致の例に関する考察は、いずれも受入れ可能であり、本検査システムの陽性集団とOlympiAD試験の解析対象集団で、オラパリブの有効性が同等であるという先ほどの結果も踏まえまして、オラパリブのコンパニオン診断システムとしての臨床性能は示されていると判断いたしました。
続きまして報告書20ページ、2)分類プロセスの頑健性及び使用実績について御説明いたします。申請資料に示されております261種類のバリアントを対象とした分類プロセスの頑健性に加えまして、米国承認以降、FDAの指示に基づき実施されている頑健性評価について、2015年から16年までに検出された1,176種類のバリアントで99.92%、また、2016年から2017年までに検出された684種類のバリアントにつきまして、100%の分類結果の再現性が確認されております。分類プロセスの頑健性については、以上の結果に基づきまして、特段問題はないと考えております。
また、バリアントの再分類については、報告書21ページの表9に結果をお示ししておりますが、いずれも科学的知見の蓄積に伴い、不確定なカテゴリーがより確定的なカテゴリーに変更されるか、あるいは臨床的意義が不明なバリアントについて、意義付けがなされる方向の変更であり、いずれの再分類結果についても、妥当なものであると判断いたしました。
以上より、本検査システムについて、バリアントの分類プロセスの頑健性は示されていると判断しております。しかしながら、本検査システムにおきましては、最新の科学的知見に基づきまして、承認後も検出された新規バリアントの分類が行われること、また、一部の登録済みのバリアントにつきましては、より確定的なカテゴリーに変更される可能性が想定されます。したがって、承認後に取得された科学的知見に基づくバリアントの分類結果の妥当性及び分類プロセスの頑健性を、継続的に確認することを目的といたしまして、報告書21ページの後段にお示しをしております承認条件を付し、当分の間、バリアント分類プロセスの運用状況について、年次報告書の提出を求めることが必要と判断いたしました。
年次報告書におきましては、報告書の24ページの上から2~4行目辺りにお示ししております、1)から3)の要件につきまして、内容について説明を求める予定です。なお、日本人に対する使用実績は限定的であることから、年次報告では、日本人における新規バリアントの分類結果においても報告を求めまして確認していく予定です。また、バリアントを特定するまでの工程及び品質の管理並びにバリアントの分類プロセスの変更は、バリアントの分類結果及び分類プロセスの頑健性に影響を及ぼし得ると考えます。したがいまして、ただいま説明いたしました承認条件と合わせまして、報告書26ページにお示ししております三つ目の承認条件を付して、これらの工程に変更があった場合には、変更の妥当性を審査において確認することが適切と判断しております。
続いて三つ目の論点に移ります。審査報告書24ページ中ほどの(2)検査依頼施設の要件を御覧ください。本検査システムにより、病的変異又は病的変異疑いのバリアントが検出された場合、患者が遺伝性乳癌と診断されるとともに、患者の血縁者の遺伝性リスクが示唆されることになります。したがいまして、検査依頼施設におきましては、検査結果が患者の血縁者にも影響し得ることを含めた事前説明を患者に行った上で、患者及び血縁者の希望に応じて、遺伝カウンセリングを実施することが適切と考えておりますが、一方でオラパリブの患者アクセスを阻害しないような面も踏まえて、検査依頼施設の要件を定める必要があると考えました。本品による検査依頼施設の要件及び遺伝カウンセリングの対応の在り方につきましては、日本乳癌学会及び日本乳癌卵巣癌総合診療制度機構に確認いたしましたところ、報告書24ページの中ほどにお示ししております三つの要件が示されたところです。この関連学会の見解も踏まえ、添付文書において、関連学会の見解に従い検査を実施する必要がある旨の注意喚起を行うことが適切であると判断いたしました。
続いて、報告書24ページの下の(3)個人情報及びサイバーセキュリティの取扱いを御覧ください。本検査システムによる検査が、患者の個人情報のみでなく、患者の血縁者に関連する情報を扱うこと、また、ネットワークを通じて使用されることから、情報セキュリティにはより一層の配慮が必要と考え、最新のセキュリティ及びプライバシー保護に係る対策を講ずるように、審査報告書26ページにお示しします二つ目の承認条件を付すことが適当と判断いたしました。
最後に審査報告書23ページのト項を御覧ください。総合機構は、本品の米国における使用実績が十分にあること、病的な変異の検出において、民族的な要因は考慮不要であること、また、オラパリブの使用成績調査において、本検査システムを含めた市販後の評価が行われることから、使用成績評価の指定は不要と判断しました。
以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。また、使用成績評価は不要とすることが妥当と判断いたしました。なお、薬事分科会では、報告を予定しております。総合機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、まず初めに、参考人としてお越しいただいているお二人の先生から追加の御意見があれば頂きたいと思います。岩瀬先生お願いできますか。
○岩瀬参考人 熊本大学の岩瀬です。本検査は先ほどオラパリブというPARP阻害薬なのですが、BRCA1というのは生殖系細胞系列変異を持った方に更にPARP阻害薬を加えることで、合成致死という、そういった特殊な方法で乳癌をコントロールしようというものです。対象は、進行再発乳癌におけるHER2陰性の乳癌です。
HER2陽性の乳癌に関しては多くの薬剤がありますので、治療の仕方がまだまだあるのですが、HER2陰性の場合は、ホルモン療法から治療が外れると、なかなか治療薬がありません。その中で治療対照群が抗がん剤ですが、それと比べ、このオラパリブという薬は非常にいい結果が得られた、PFSという再発生存率を有意に延長したという結果が得られております。欧米ではこの薬がもう認められておりますので、是非、この診断法をまずはお認めいただいて、それからオラパリブという薬のアクセスをうまくしたいということです。
ただし、先ほど申し上げましたように、生殖細胞系列変異を見出す検査ですので、その背景には非常に大きな負担があると思います。先ほどのBRAFのようなソマティック、体細胞系の変異を調べるほど単純なことではありません。そういったことを踏まえ、機構にいろいろと御意見を頂いて、施設等のことも追加していただいたという背景です。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。引き続いて小崎先生、何か御発言があればお願いできますか。
○小崎参考人 慶應大学の小崎です。今回、海外に日本人のゲノム解析を依頼するというスキームになっており、そのことについて一言コメントしたいと思います。BRCA遺伝子に関して、これまでに報告されているバリアントは全部で2万種類近くあるわけですが、これらを正しく検出する上では、Myriad社の150万件以上の解析実績がどうしても必要だと考え判断しております。さらに、現時点では検出されたバリアントの臨床的な意義を解釈する上で、このMyriad社のデータベースに匹敵するものをほかから手に入れることが難しいため、少なくとも現時点、第1段階では我が国において、このような検査を導入する上では、やむを得ない判断だろうということです。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、委員の方から御意見、御質問いかがでしょうか。
○荒川委員 あくまでコンパニオン診断機器という、診断プログラムになるということですが、いわゆる自由診療で生殖細胞系列の遺伝子変異解析に使うことはできるという理解でよろしいですか。要するに、必ずしも乳癌あるいは乳癌の疑いでなくても使うことは可能なのですか。
○医療機器審査管理課長 それについては、もちろん保険診療はできないという前提だと思います。ただ、自由診療ができるかどうかというと、それは医師の判断として、今でも海外に送ってやっている事実はあることはありますので、できることは可能だと思っております。
○荒井部会長 可能というか、それを今、止める術はないということですね。小西委員どうぞ。
○小西委員 アンジェリーナ・ジョリーさんがBRCA遺伝子異常のため予防的に乳房を切除されたというのが非常に話題になり、日本ではどう対応するかという波が来ました。日本でそれに対応する機構を作ろうということで、HBOCの診療の機構(JOHBOC)が確立されました。
今、その施設を認定し始めているところで、BRCAに関する遺伝相談をしたい方がいれば、その施設に来ていただいてカウンセリングを受け、結局、検査もMyriad社しかできないので、同じ所になるのですが、一定のお金を払っていただきカウンセリングを受け、遺伝子検査がもしポジティブであれば、その次にリスク低減手術またはサーベイランス等の診療をしていくという枠組みが確立されつつありますので、それに乗っていただくということがいいのではないかと思います。このHBOCの機構の設立に当たっては、厚労省にも随分相談に行き、確立されてきた経過があります。そこが責任を持ってやっていきたいと考えております。
○鈴木委員 このシステムは、血液サンプルをアメリカに送って、結果だけ戻ってくるという仕組みになっていますので、結局、データとしてはアメリカのMyriad社の知的財産になっていくということだと思います。
それについて、以前、ハートフローというところで議論したプログラム機器と同様な処方になるかと思いますが、実際、日本でノウハウは蓄積されていかないわけですが、いずれはといっても結局はどんどん差が付いていくだけではないかという気がするのです。果たして、それでいいのかということと、それから、過去に分類されたことのない変異も1%ぐらいあるということですが、それは新たに分類を検討するそうですが、これは米国のMyriad社という所がやるわけですから、そのノウハウも日本では蓄積できないということになります。
そういうことで、結局、アメリカに送ることによって、アメリカの知的財産はどんどん増えていきますが、結局、日本はずっと従属的にデータだけを教えてもらうということが今後とも続くのではないか、そうでないのであれば、どのようなことを考えていらっしゃるのか教えていただきたいと思いますし、患者さんについても、そういう未知の遺伝子変異が見られた場合に、こういう検査をしてもそういうことがあるということは、患者さんにきちんと検査前にインフォームドコンセントをするべきだろうと思います。
血液検体そのものを送るわけですから、米国でそのほかの全部の遺伝子の確認もできるのではないかと思いますが、それをどうやって縛るのか、そういうことについてはどのようにお考えなのか、いくら日本でこうしてくださいと言っても、アメリカで本当に守るかどうか分からないと思うのですが、それをどのように担保するとお考えなのか、それについてお答えいただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 まず、本品を使用した際に日本に返ってくる情報が大きく二種類あり、一つ目が血液サンプルを行ってシークエンスをしたときに、シークエンスをしたサンプルの中に入っていた変異情報がまず返ってきます。もう一つの情報としては、その変異が一体どのようなカテゴリーに分類されるのか、先ほど報告書の9ページの表1にお示ししたいずれに入るのか、この二つの情報は日本に返ってきます。
Myriad社に確認したところ、最初に報告書に記載されておりますバリアント情報の日本の医療従事者に対する使用に関して、特段制限を設けていないということですので、日本の中で研究目的で日本のデータベース等に蓄えること自体は可能と考えております。その点からも本品、本システムのある意味Myriad社のノウハウによって分類された結果を日本の医療現場、あるいは研究現場に返してくれるというところに関しては、一定の意義は立つものと思っております。
一方で、先ほど参考人からも御説明いただいたように、このMyriad社のBRCA領域の検査に関しては、世界で最も多い知見を持っている検査システムになりますので、かつオラパリブのコンパニオン診断システムとして本邦に導入して、最も品質の良い診断を行って導入していくという意味では、やはり重要な品目であると我々は考えております。
インフォームドコンセントに関して御指摘いただきましたが、こちらもMyriad社に確認し日本における要配慮個人情報、個人情報の中では一番厳しく同意が求められるものですが、Myriad社が扱うものはこの要配慮個人情報に当たると、これに必要な要件、つまり全部が同意が必要になるわけですが、同意を取った上で運用されるということは確認しておりますし、同意文書等についても確認している次第ですので、この部分はクリアしていると我々は考えております。
○鈴木委員 その目的以外の使用にする縛りはどのように考えますか。
○医薬品医療機器総合機構 26ページの承認条件の2番に該当いたしますが、こちらが個人情報及びサイバーセキュリティに関する要件として設けておりますが、この中で別添承認書に規定された事項以外の目的に使用されないようにするということは、あちらにもはっきりと回答していただいています。同意した事項あるいは承認された事項以外の目的では使われないように承認上は縛っている次第です。
今回、年次報告として毎年運用状況等を確認するように要件を定めておりますが、これにはQMS調査という実地調査も必要によっては行くシステムも設けました。このような中で、実際に変な使われ方をしていないかということも含めて確認していけると考えております。
○鈴木委員 良心的に考えれば、そういうことなのでしょうけれども、したたかなアメリカの企業ですので、はい、分かりましたと口では言うでしょうけれども、そのとおりにやるかどうか誰も保証できないと思います。それをどのように担保するのかということと、日本がどうしてそれを自国で開発しようとしないのか、患者さんの遺伝子情報、しかも生殖細胞系列を、そういうものを何で海外に委ねるようなことを続けるのか。もう、データの蓄積の差がどんどん差が付くばかりです。後追いしても間に合わないのではないですか。日本の学会は何をやっているのですか。
○岩瀬参考人 まず乳癌のバッククラウンドについて御説明したいのですが、これは欧米と日本では発生頻度が全く違い、4、5倍乳癌の頻度は高いです。ですから、治療面、薬物療法もやはり欧米が先じているのが、少し致し方がないところがあります。しかしながら、BRCA1のミューテーションを最初に見つけたのは日本人で、ユタ大学で見つけたのです。そういうベースはあるのです。
ですから、ミューテーションをこれからどんどん調べてデータを蓄積する。そのデータは4、5倍負けてしまいます。けれども、私どもは今どんどんデータを自分たちでミューテーションを検索し蓄積している段階です。今回はオラパリブという薬についてのアクセスを見るミューテーションの検査ですので、研究的な面とは少し違うということで、私は今この申請のことを理解しているという背景です。決して乳癌学会等が研究を怠っているわけではないと自負しております。
○鈴木委員 でも、結果的には、そういうことですね。
○岩瀬参考人 最初に先生、Myriad社がBRCA1のパテントを取ってしまったのです。そのときに自分たちでミューテーションを調べても、それを公なデータとして意見交換ができない背景にMyriad社に追い込まれてしまったのです。これは確かに、そのときの政治的な背景があるのだと思います。そこで負けていますので、なかなかそれに追い付くのは大変なのですが、先生がおっしゃるようにこれからです。ゲノム医療が始まるこれからです。
○鈴木委員 これからますますこの分野は重要だという認識は誰でもお持ちだと思いますが、そのためにも、こういうことを一つ一つ国内で対応できるようにしていく必要があります。
○岩瀬参考人 今回は先生、オラパリブに対するアクセスの検査システムです。研究的な面とは少し切り離して考えていただきたいです。
○鈴木委員 そのように考えたいと思いますが、でもやはり一事が万事で、どんどん差が付けられていくのではないかと思いますので、頑張っていただきたいと思います。
○岩瀬参考人 先生、そのように我々の学会でも言っていただいて、多くの研究者に火を付けていただきたいと思いますが、決して怠っているわけではないということは御承知ください。
○鈴木委員 国内の議論だけで満足しないで、是非、海外と互角以上に議論できるように頑張っていただきたいと思います。
○荒井部会長 後藤委員も先ほど手を挙げていらっしゃいましたね。
○後藤委員 確認なのですが、今回、これを医療機器として認める内容というのは、あくまでも薬剤使用のための検査であって、そのアットリスクのある方々に対してBRCA1、2の遺伝子検査は、これは医療機器として認めないという形でよろしいのですね。その確認をまず一つさせていただきたいです。
○岩瀬参考人 そのとおりです。御理解のとおりです。
○後藤委員 もう一つは、先ほどの話ではないですが、出てきた結果が本当に意味があるかないかということをきちんと判断できるようなデータベースが日本人に必要です。小崎先生が一所懸命頑張って作っているわけですが、この遺伝子に関してだけはどうしようもないというのが、現在の状況だということをよく理解できます。でも、きちんと日本人でデータベースを作るのが原則であるということを踏まえた上で、これはあくまでも例外であるという形での承認と考えるべきだと私は思っております。これは私の意見です。
○荒井部会長 今の御発言の内容は、もう、そのとおりという。
○岩瀬参考人 そのとおりです。
○荒井部会長 はい、ありがとうございます。
○荒川委員 今回の審査のところで、もう一つ画期的なのは、承認条件3のところで、いわゆる品質管理について規定してあるのであって、最終プロダクトに関してはプログラムそのものが変質していくということに関してはあり得るということです。プログラムそのものが更新されていくということに対しては認めていくという理解でよろしいのですね。これはAIの考え方と共通なので、今後、このような形でどんどん継続的にプログラムが変わっていくということを、ここで認めているような感じになるのですか。
○医療機器審査管理課長 その件に関しては、AIについてはまだこれからの議論でありますので、ここで明確なことは申し上げられませんし、AIによってもいろいろな種類があるのだと思っています。ただ、本件に関して言いますと、それについては先ほどから議論がありましたが、日本にきちんとデータが戻って来るというのが一つのポイントで、且つ先ほど先生がおっしゃったように、QMSできちんと縛っていくということも含めて、日本から、コントロールできるという体制として今回仕組んだということになっております。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。よろしければ議決に入らせていただきます。よろしいですか。医療機器BRACAnalysis診断システムについて本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品への指定は不要とすることとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の指定も不要とすることとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。本件は分科会にて報告いたします。これで議題5を終了いたします。岩瀬先生、小崎先生、本当に長い時間お待たせして申し訳ありませんでした。ありがとうございました。
-岩瀬参考人、小崎参考人退席-
○荒井部会長 続いて、議題6に入ります。医療機器PRESTIGE LP Cervical Discシステムの使用成績評価の指定について、議題7はMobi-C頚椎人工椎間板の使用成績評価の指定について審議をいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明いたします。1枚紙の資料6、資料7です。議題6の医療機器PRESTIGE使用成績評価の指定について御説明いたします。品目の概要は、可動性を維持することを目的とした頚椎人工椎間板です。既に、1椎間に関する使用については、5月に承認を得ているものです。今回、この2椎間の使用への適応拡大を目的とした件について、使用成績評価についてお諮りするものです。使用成績評価の条件に関しては、1椎間のときと同じ条件・考え方に基づき、資料6の下の所、調査期間の考え方のような形で設定しております。
続いて資料7のMobi-C頚椎人工椎間板は、可動性を持った頚椎人工椎間板です。こちらはコバルト合金と、ポリエチレン性のインサートから構成されているものです。裏面に模式図が出ています。今回、こちらの1椎間、2椎間への適応が申請されているということです。PRESTIGEの考え方に基づいて、資料7の表の下の調査期間の考え方に係る使用成績調査期間を設定することが妥当と考えているところです。以上の内容について御審議のほどお願いたします。
○荒井部会長 はるかに単純な内容ですが、御質問、御意見等ありますでしょうか。よろしいですか。今までこの分類はなかったということでの追加の審査ということになります。御意見がありませんでしたらまとめたいと思います。PRESTIGE LP Cervical Discシステムの使用成績評価は、期間を5年としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それと、医療機器Mobi-C頚椎人工椎間板の使用成績評価は、1椎間への適応、2椎間への適応ともに期間を5年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会で報告したいと思います。これで議題6、7を終了いたします。
引き続き、議題8は医療機器コアバルブEvolutPROの使用成績評価の指定について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題8、医療機器コアバルブEvolutPROの使用成績評価の指定について御説明いたします。資料8に今回使用成績評価の指定について御審議いただくコアバルブEvolutPROの概要があります。裏面の外観図を御覧ください。議題3で御審議いただいたコアバルブEvolut_Rにアウタースカートが取り付けられた製品となります。
ただし、使用目的については、先ほど御審議いただいた外科的生体弁に対する使用ではなく、従来の自己大動脈弁に対する使用を目的としております。コアバルブ、コアバルブEvolut_Rの承認時に指定された使用成績評価、自己大動脈弁に対するものですが、これについて本品も含めて調査を行うことが妥当と考えております。なお、調査期間については既承認品と同様に7年を予定しております。以上の内容について御審議のほどよろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。今日、既に議題に出てきておりますので、僅かな違いですが御理解いただけるかと思います。御質問、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決させていただきます。医療機器コアバルブEvolutPROの使用成績評価は、期間を7年として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。本件も本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会で報告いたします。これで議題8を終了いたします。議題9に進みます。医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否に移ります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より議題9について、資料9-1と9-2に基づき御説明いたします。左側の山の下から2番目に入っておりました9-1と書いてある資料に9-1と9-2が併せてあります。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を申請する際には、いずれのクラス分類に該当するかについてと、その保守管理に専門的な知識を要するものとして特定保守管理医療機器に指定するか否かについて御審議いただいております。
まず、資料9-1について御説明いたします。新設予定の一般的名称は、植込み医療機器用吸収性スペーサとなっており、主として識別マーカーと組み合わせて使用されるポリエチレングリコール等からなる吸収性材料です。当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することになりました。本品はクラスIV高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。
続いて、5ページの資料9-2について御説明いたします。一般的名称(案)は、新設予定の一般的名称は、放射線治療情報照合プログラムとなっており、放射線治療における放射線の照射に際して、放射線治療計画プログラムで定義された照射パラメータ等の情報と放射線治療装置が読み込んだ情報を照合する機能を有する医療機器プログラムです。当該使用目的及び使用方法に該当する一般的名称がないため、新設することになりました。本品はクラスIII高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要がある医療機器ではありませんので不要と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。御意見、御質問等よろしいでしょうか。よろしければ議決に入りたいと思います。まず、植込み医療機器用吸収性スペーサは体の中に入れますので、高度管理医療機器として指定することになります。そして、先ほどのお話にもありましたように、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
次に放射線治療情報照合プログラムですが、これを高度管理医療機器として指定し特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決いたします。本件も本部会での審議の結果を踏まえ、次の薬事分科会にて、これは文書にて報告を行うこととなっております。これで議題9を終了いたします。大分遅れてしまいましたが、これで本日予定されておりました議題が全て終了いたしました。事務局から連絡はありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 次回の部会については、5月11日金曜日午後2時からを予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 それではこれをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。長時間、また、活発な御審議を頂き誠にありがとうございました。
( 了 )
 

 

備  考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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