ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会労災保険部会)> 第68回労災保険部会(2017年12月18日)




2017年12月18日 第68回労災保険部会

労働基準局労災管理課

○日時

平成29年12月18日(月)16:00~17:48


○場所

AP新橋虎ノ門貸会議室A(11階)


○出席者

明石 祐二((一社)日本経済団体連合会労働法制本部統括主幹)
荒木 尚志(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
岩村 正彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授)
大前 和幸(慶應義塾大学医学部名誉教授)
小畑 史子(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
酒向 清(日本化学エネルギー産業労働組合連合会副会長)
砂原 和仁(東京海上日動メディカルサービス(株)健康プロモーション事業部担当部長兼コーポレートサポート室長)
田久 悟(全国建設労働組合総連合労働対策部長)
立川 博行(全日本海員組合中央執行委員政策局長)
永峰 好美(読売新聞東京本社編集委員)
浜田 紀子(UAゼンセン(日本介護クラフトユニオン特任中央執行委員))
村上 陽子(日本労働組合総連合会総合労働局長)

○議題

(1)労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
(2)社会復帰促進等事業に係る平成28 年度成果目標の実績評価及び平成29 年度成果目標等について(報告)

○議事

○荒木部会長 定刻になりましたので、ただいまから第 68 回労災保険部会を開催いたします。初めに、前回の部会以降、委員の交代がありましたので、事務局から紹介をお願いいたします。

○労災管理課長 では、御紹介いたします。席上に委員名簿を配布しておりますので、御参照ください。労働者代表として下茶健一委員に代わり、日本基幹産業労働組合連合会中央執行委員の坪田英明委員に御就任いただいております。坪田委員は、本日御欠席でございます。以上です。

○荒木部会長 本日の委員の出欠状況ですが、公益委員の水島委員、労働者代表の坪田委員、使用者代表の秋田委員、長尾委員、二宮委員、本多委員が御欠席です。なお、本日、立川委員からは、遅れるという連絡を承っております。これにより出席者は 12 名ですが、公益代表、労働者代表、使用者代表それぞれ 3 分の 1 以上の出席がありますので、定足数は満たしていることを御報告いたします。カメラ撮りは、ここまでということでお願いいたします。

  では、本日の議題に入ります。第 1 の議題ですが「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱について」です。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会長への諮問案件ということになります。では、事務局から省令案要綱について説明をお願いします。

○労災管理課長 資料 1 を御覧ください。本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問が行われております。内容の詳細につきましては、それぞれ後ほど説明いたしますが、全体について簡単に御説明いたします。別紙を御覧ください。「労働者災害補償保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」。第 1 、労働者災害補償保険法施行規則の一部改正です。改正内容は、 4 項目あります。 1 番目は、介護補償給付及び介護給付の限度額等を引き上げるものです。 2 番目は、時間外労働等改善助成金。これは、職場意識改善助成金の名称を改める等の改正です。 3 番目は、社会復帰促進等事業に要する費用に当てるべき額の限度について引き上げるものです。 3 ページ目で、 4 番目、家事支援業務に係る作業について、特別加入に加えるものです。

 第 2 です。炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則の一部改正。これは第 1 で御説明しました介護補償給付の限度額引上げと並びの改正です。次の 4 ページですが、第 3 、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部改正。労災保険率等を改正するものです。第 4 、施行期日につきましては、平成 30 4 1 日からといたします。全体の説明は以上です。

○荒木部会長 本日は内容が多岐にわたるため、項目ごとに説明をお願いし、質疑応答を行いたいと思います。まず、労災保険率等の改定と、社会復帰促進事業等に要する費用について、事務局から説明をお願いいたします。

○労災保険財政数理室長 御説明いたします。労災保険率等の改定についてですが、お手元の資料の参考資料 1-2 を御参照ください。労災保険率等の改定は、参考資料 1-2 にあります 1 つ目、労災保険率の改定、 2 つ目の特別加入保険料率の改定、最後に、労務費率の改定という 3 つの項目からなっております。

 資料をめくっていただき、 12 ページを御参照ください。労災保険率の改定に関する関係法令です。真ん中の枠ですが、労働保険の保険料の徴収等に関する法律及びその下位法令の中に、労災保険率設定の基本理念が整理されています。第 12 条第 2 項の 2 行目ですが、労災保険率は、労災保険事業に係る財政の均衡を保つことができるものでなければならないということ。 1 つ下のマスですが、厚生労働省令で定める事業の種類ごとに労災保険率を設定するということになっております。

13 ページですが、従前の労災保険率の具体的な設定方法に関しましては、労災保険率の設定に関する基本方針というものが策定されており、労災保険率は業種別に設定する、先ほどの事業の種類別に設定するという趣旨です。改定は、原則として 3 年ごとに行うこと。最後に、過去 3 年間の保険給付の実績に基づいて、下の表にあります算定法式に基づき、業種別に負担していただくもの、それから全業種に負担していただくものを整理し、労災保険率を設定しております。後ほど説明いたしますが、産業構造の影響等により、負担の可能性を考えながら激変緩和措置を設けるというものも設定の基本の方針に定めているところです。

2 ページにお戻りください。労災保険率の改定の概要です。まず、全体でどのような状況になっているかを示すために、平均労災保険率というものを算定しております。労災保険率を業種ごとの賃金総額で加重平均したものです。今回の改定案の平均労災保険率は、 4.5 厘、すなわち 1,000 分の 4.5 という水準になります。業種別に見ますと、最低が 1,000 分の 2.5 、最高が 1,000 分の 88 。前回設定した平成 27 年の労災保険率と比べますと、引上げ業種が 3 業種、据置業種が 31 業種、引下げの業種が 20 業種となっております。業種ごとの上げ下げにつきましては、後ほど御説明いたします。

 続きまして、労災保険率の改定等に伴う費用の負担の変動についてです。 2 .にある費用負担ですが、年間 1,311 億円の負担が軽減される見込みとなっております。これは、➀にあります労働災害の減少による保険給付費用の減少見込みとして、約 512 億円。それから、将来の年金給付原資であります労災保険の積立金、これと実際に必要な責任準備金との差額を見まして、それを 3 か年で費用負担の保険料の割引に用いる分として提示しており、それが➁の 799 億円。合せて 1,311 億円となっているものです。

3 ページは、労災保険率を構成する要素です。先ほどの 13 ページの基本方針にありましたように、労災保険率につきましては業務災害分、それから非業務災害分。非業務災害分というのは、通勤災害分と二次健康診断等給付の費用に要するものです。更には、社会復帰促進等事業及び事務の執行に要する費用。これらを基本の構成要素とし、加えて年金積立調整費用。先ほどの前ページで➁に当たるものです。積立金が、責任準備金を上回る部分を 3 年間において保険料収入とみなすことで、保険料の徴収を割り引くものです。それぞれ、少しずつ料率が変わっております。業務災害分につきましては、 13 ページにもあるとおり、短期給付分と長期給付分に分かれております。短期給付分の改定後の料率が 2.22 、長期給付分が 1.18 、業務災害分は 0.6 、社会復帰促進等事業に要する費用が 0.9 。積立調整費用ですが、料率に換算いたしますと、△(マイナス) 0.4 厘。これらを合わせて全体として平均労災保険率が 4.5 厘となるものです。

 全体概要に続き、実際に事業の種類ごとにどのように設定されているかを御説明します。 4 ページを御覧ください。保険料率が引き上がる業種を中心に御説明いたします。表の中ほどより少し上の所に、「ガラス又はセメント製造業」があります。これが、現行 5.5 厘から 6 厘に変わります。 5 つ下になりますが、「非鉄金属精錬業」、これが現行 6.5 厘から 7 厘。一番下から 7 つ目ですが、「清掃、火葬又はと畜の事業」で、これが 12 厘から 13 厘となります。保険料率が引き上がる要因ですが、ガラス又はセメント製造業、非鉄金属精錬業につきましては、主に長期給付の給付が若干増加していること、もう一方で、保険集団が小さくなっていること。これらの両面があり、労災保険率が現行より引き上がる水準となっております。清掃、火葬、と畜の事業ですが、こちらについては、新規受給者、新規年金受給者、すなわち短期給付、長期給付の要因となる災害がともに増加している関係で、保険料率が引き上がるというものです。

5 ページの A3 資料で、どの業種がどういう数字の状況にあり、今回の改定料率案が設定されたかを表示しております。

続きまして、先ほど 13 ページでも紹介した激変緩和措置についてです。 6 ページをご覧下さい。平成 30 年度の労災保険率の改定におきましては、次の激変緩和措置を講じることとしております。まず、労災保険率の引上げ幅が大きく、事業主の負担に影響が出るものにつきましては、 1 厘の引上げにとどめる。それから、産業構造の変化などにより保険集団が減少しているために、災害防止活動に取り組んでも、単純に計算すると労災保険率が上がってしまう業種があります。これらについては、保険料率を据置きとすることをしております。これは、平成 27 年度までに講じた措置と同じものです。今回は 9 業種が対象となっており、資料 6 の下の部分にあります農業関係、林業関係、鉱業関係、製造業では「その他の窯業又は土石」及び「船舶製造」、それから運輸関係の「港湾荷役」。これらにつきましては保険集団の変動と比して、労働災害の防止活動により業務災害の発生度合が下がっていると判断できることから据置きとしております。

 続きまして、労災保険率設定に変更のあった部分、 7 ページです。労災保険の長期給付分につきましては、労災の発生時点において、将来の年金給付の原資を全額徴収する方式を取らせていただいております。昨今の低金利の情勢により、今後も利子収入が減少することが見込まれており、設計と実際の乖離から将来の負担が生じないようにするために、今回、予定利回りを見直しております。予定利回りにつきましては、そちらの資料にあるように、現状では 1.5 %前後の水準を確保しておりますが、今後、頻繁に予定利回りを変更することなく、予定利回りを設定するという観点から、平成 30 年度以降、現行金利が据え置かれたと仮定した場合の 6 年間の利子収入を計算しますと、年平均で約 1.43 %となっております。これを踏まえて、今後 6 年間の予定運用利回りを 1.5 %で設定することにしております。労災保険率の改定と労災保険率の設定に関するそれぞれの諸要素については以上でございます。

 続きまして、資料の 8 ページです。特別加入保険料率の改定です。こちらにつきましては、基本的には労災保険率と同様に算定しております。まず一人親方等の保険料率、 18 個の種別につきましては、 9 つが引下げ、 9 つが据置きとなっておりまして、引上げとなるものはありません。それから、海外で行われる事業に派遣する労働者については据置きとなっております。先ほどの労災保険率と同様、次のページに詳細表を提示しております。

3 点目、労務費率の改定です。建設事業においては、数次の請負関係から全体の人件費、すなわち保険料の算定基礎となる賃金総額を把握することが困難な場合に、請負金額にこの労務費率を乗じたものを賃金総額と見なすという規定があります。その規定に基づいて、労災保険率の改定とともに、統計調査で調査した結果を基礎としながら労務費率を改定しています。資料の 10 ページにあるように、「道路新設」、「舗装工事」、「鉄道又は軌道新設」、それから、「機械装置の据付け」の中の 2 つの区分について、労務費率が引き下がることとなります。 11 ページには、改定の基礎資料として用いた、平成 29 年に実施した労務費率調査の結果を掲載しております。

 最後に、 16 ページを御参照ください。昨年 11 月、行政改革推進会議で特別会計に関する検討が行われました。その取りまとめにおいて、労災保険の責任準備金の算定に当たり、賃金上昇率や、先ほど御説明した予定運用利回りの設定方法などについて、不断の検討を行うべしと指摘されております。それを踏まえて、労災保険財政懇談会を開催して有識者の方々に御議論いただき、行政改革推進会議での指摘に対する整理をさせていただいております。

 まず、労災保険については、財政に特段の問題は生じておらず、安定に推移している点を踏まえ、賃金上昇率、予定運用利回りとも、拙速に変えるべきではないという御指摘です。一方で、それを検証するためにはいろいろな手法があるかと思われますので、今後ともそれを検討していき、その検証手法を充実させるべきとの御指摘をいただいております。

 関連する点で、労災保険の財政方式の在り方も御検討いただいておりますが、現在の財政方式は費用負担者にとって分かりやすい、制度の目的にかなったものとなっているという御指摘がありました。一方で、先ほど申し上げたように、責任準備金の充足率が 100 %を若干上回っていることもありますので、責任準備金と積立金の関係が制度に与える影響を明らかにしていくことが大切であるとの御示唆をいただいております。

 最後に、今回開催した労災保険財政懇談会ですが、定期的に財政状況をつまびらかにして、さまざまな検討をして制度の課題を明らかにしていき、それをまた、労災保険部会等に御報告をしていきながら、労災保険の制度の充実を図っていくべき、ということを御示唆いただいている状況です。

労災保険率等の改定については以上でございます。

 続きまして、社会復帰促進等事業に要する費用についてです。参考資料 1-1 、先ほどの諮問の別紙の後にあった、今回の省令案改正の概要を記した 1 枚紙を御参照ください。 1 (2) にある、社会復帰促進等事業に要する費用に充てるべき限度額の改正について、中ほどに記載があります、今回の労災保険率改定において平均料率が引き下がることにより、保険料収入が減少することとなります。一方で、社会復帰促進等事業につきましては、労働災害を更に減少させるため、従来の災害防止活動を着実に行うこと、それから、今後につきまして、過重労働防止対策やメンタルヘルス対策の充実の必要性が増しているという背景があります。一方、参考資料 1-3 のとおり、社会復帰促進等に関する事業に関しては、労災保険法施行規則第 43 条に、社会復帰促進等事業及び事務に充てるべき費用の限度額が設定されておりまして、保険料収入及び積立金から生じる収入、これに 118 分の 18 を乗じて、附属雑収入を足したもの、この金額を上回らないようにすべきと定められております。

 下の表にありますが、一番右側を御覧ください。従来、社会復帰促進等に充てるべき限度額と、実際の所要額を比べたものですが、平成 26 年度、 27 年度、 28 年度と、限度額の 7 8 割ぐらいの水準で収まっている一方、先ほど説明した昨今の状況もあり、平成 30 年度については 95.92 %という高い水準まで来ています。安定して制度を運営しつつ、社会復帰促進等事業を適切に運営していくという観点から、今回、その限度額を 120 分の 20 という水準に変更すべく御提案させていただいています。その結果として、限度額に対する割合ですが、 88.05 %となると見込まれています。私からの説明は以上でございます。

○荒木部会長 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があればお願いします。

○村上委員 御説明いただいた参考資料 1-2 の「労災保険率等の改定」について、何点か確認させていただければと思います。 2 ページに、改定案の概要として、平成元年度以降の改定経過が出されております。これは原則として 3 年毎の見直しではありますが、 3 年経たずに見直されているのもあります。この間、トレンドとしては料率が引下げをされてきておりますが、万一に労災が増加したなどの場合については、 3 年を待たずに引上げなども検討されることになるのかどうかということが 1 点です。

2 点目は、下の「費用負担」ですが、労働災害の減少による保険金給付の減少見込分として 512 億円とあります。これは 3 ページの短期給付分、 1,000 分の 2.23 から 2.22 に引き下げることに対応した額と理解してよいのかの確認です。

それから、料率設定の考え方について、後半のほうで資料も付いておりましたが、過去 3 年間の保険給付実績等に基づいて算定する料率設定期間における保険給付費等に要する費用の予想額となっております。これは何か計算式みたいなものがあるのかないのかを教えていただければと思います。

 最後に、 11 ページの労務費率の調査結果の所で、この期間を調査されていると、労務費率が段々低下しているようなことになっておりますが、もしそういったことの要因みたいなものが推測できるのであれば教えていただければと思います。以上です。

○荒木部会長 ただいまの点について、事務局からお願いします。

○労災保険財政数理室長 お答えいたします。「原則 3 年」ですので、 3 年を待たずに改定した例も過去にはあります。ただし、保険給付費が恒常的に上昇しているのか、それとも、一過的に上昇しているのか、そういう周辺環境を見極めながら改定の時期を考えなければならないので、置かれている背景によって判断は変わってくると思います。なお、現在は 3 年という比較的短い周期で改定していますが、これは、災害発生状況を迅速に反映するために、過去の経験もいかしながら、この周期を原則としたという経緯もございます。

 続きまして、災害減少分の 512 億円ですが、前回の平成 27 年度改定と今回の改定案の変化を見比べていただくと、短期給付分も幾分か下がっておりますが、長期給付分の見込みも減少しています。これら業務災害分、両方を合わせたものが影響して、 512 億円になっていると御理解いただければと思います。なお、長期給付分の減少は、死亡災害が減少しているという災害統計もあり、それとも符合するかと思います。

3 つ目、予想額の関係ですが、原則として、保険手法の中で許されている手法を用いながら、基本的には直近 3 年と、それから、過去 3 年、この間の伸び率を勘案しながら、今後、経済がどちらの方向に行くか、景気の山谷もありますので、その辺の影響が出るか出ないかも見極めながら伸び率を算定して、予想額を計算する仕組みにしております。ですので、この情勢でこういう計算式という形式で、全ての場合において予め具体的に定めているわけではありませんが、過去 3 年若しくはその前の 3 年の変動などを勘案しながら、保険数理の技術の範囲で伸び率を設定させていただいています。

 最後に 4 つ目、労務費率です。労務費率につきましては、今回の調査結果によると、全ての業種で引下げ又は据え置きという状況です。一方で、この統計による調査項目のみから断定するのは難しいのですが、他の建設統計等から見ますと、受注件数や受注金額等も増加の傾向です。ここから推測できることとしては、請負金額の規模が上昇していること、それから、労働者の賃金についても上昇している一方で、資材価格の変動を見てみると、資材価格の変動は労働者の賃金を超えて上昇していることがありまして、結果として、相対的に人件費の割合が下がったのではないかと考えられます。以上でございます。

○荒木部会長 ありがとうございました。よろしいですか。ほかにはいかがですか。

○田久委員 ただいまの労務費率の関係で、今、言われたとおりのそういった説明で納得はできる部分はあるのですが、実際問題、建設業の中で労務単価が今、上がってきている中では、実は 3 年前から比べてこの労務費率がむしろ上がるのではないかなという、こういった考えも私自身は持っていました。

 ただ全体的に、今、言われたように、資材の高騰の割合のほうも高くて、トータル的に下がったということですが、全体的に次の改定のときにも、そういった要因で、また下がることとなった場合、賃金が下がっている可能性もあるという予測もされるので、労災保険部会の問題ではないのですが、やはり今、建設業の賃金単価を上げていこうという取組の中では、実態としての調査というものを改めてきちんと行って、請負金額に占める労務費の割合の変動のみならず、労務費の水準それ自体の変化率等も出していただけるように、今後していただければと思います。

 今、言われたところでは、この数字は納得できるのですけれども、また次のときにそういった要因で下がっているということであると、また分析を、今、賃金を上げていかなければいけないという中で労務費が下がるということ自体が少し懸念されるので、本当にそうなのかという実態調査を含めたところを、今後は検討も含めてしていただければと思っています。以上です。

○荒木部会長 ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。

○岩村委員 ちょっと細かいところなのですが、確認をさせていただきたいと思います。資料の参考の 1-2 2 ページの一番下の費用負担の所で、年間 1,311 億円の負担が軽減されるということで、➀+➁の合計額であるということが出ています。先ほどの御説明ですと、 3 ページにある構成要素の表の中での年金積立調整費用の△ 0.4 というのが、 2 ページの費用負担の➁に相当するという御説明だったと思います。

 手元で、 3 年前の改定のときの審議会の同じ資料を見ているのですが、そのときの資料では料率改定によって年間 278 億円の負担が軽減されるという数字が出ていて、そこでは実は今回の資料のような➀➁というような区分というのがなされていないのです。

 しかし参考の 1-2 3 ページを見ると、年金積立調整費用は同じ△ 0.4 、マイナス 0.4 厘となっていて、 3 年前のときと今回とで負担が軽減される額に大きな開きが出ているにもかかわらず、なぜこの調整費用のところの料率が同じになっているのかというのが、よく分からないのです。

3 年前のときは、料率は全体としては 0.1 ポイント下がっただけで、今回は 0.2 ポイント下がっているという差があり、業務災害分のところも変化がそれぞれあるので、そういう意味で➀のところに 2 倍ぐらいの差が出ているというのは理解できるのですが、なぜここの 3 ページのほうの料率の部分は一緒なのに、このような差が出てくるのかというのがよく分からないので、御説明いただければと思います。

 それからもう 1 つは、今日のこの中で出ている、料率の改定のための基本的な考え方の中では、きちんとデータを示したことになっているのか、今日は、この➁の額が出てくる基礎になっている積立金が幾らで、責任準備金が幾らかという、その資料が出ていない。なぜ 799 億という数字が出てくるのか、これでは理解できないので、その点についても御説明を頂きたいと思います。

○荒木部会長 では、事務局からお願いします。

○労災保険財政数理室長 大変失礼いたしました。積立金と責任準備金に関する資料が、今回の資料に十分反映されていないことをおわび申し上げます。まず、後ろのほうの御意見から回答させていただきます。現在、労災保険の積立金が 7 8,938 億円程度となっております。一方で責任準備金が 7 6,542 億円という水準です。この差額が 2,396 億円となっております。この差額分を 3 で割って、それを賃金総額で割ったものを料率化するということで、積立調整費用を計上しています。今回、この 2,396 億円を 3 で割り、 799 億円という水準が出てきているところです。

 次にこれも説明が漏れていた部分かもしれませんが、昨今の雇用情勢の改善や賃金の上昇傾向等を踏まえ、賃金総額の予想額を計算しますと、約 180 兆円という数字になります。ここから計算しますと、△(マイナス) 0.4 厘となっているものです。

○岩村委員 現行のほうの数値は、同じ料率、△ 0.4 厘なのですが、そこはどういう計算だったのでしょうか。

○労災保険財政数理室長 現行については、この 799 億円に相当する金額は、前回の改定時は 651 億円でした。これと前回の賃金総額 161 兆円に基づき計算して△ 0.4 厘となっているところです。賃金総額の変動と、積立金と責任準備金の差額によって出てくる金額影響額が異なるものの、△ 0.4 厘という、結果として料率に換算すると同じ値となっています。

 続きまして、費用負担の関係ですが、平成 21 年度労災保険率改定において初めてこの積立調整費用を導入しており、それ以前においては積立金が責任準備金を上回らずに充足していませんでした。その時代には部会にもお諮りをして、充足するための追加負担分というのを、労災保険率に上乗せとして事業主の方々に負担してもらうこととしておりました。平成 21 年度の改正におきまして積立金が充足して、積立金が若干ですが、責任準備金を上回る状況となったことから、この費用の取扱いを部会で御議論いただき、積立調整費用という形で、3年間に限り費用徴収をしなくて済む分と設定させていただいたところです。平成 24 年度、 27 年度の労災保険率改定においては、その議論が薄れてしまったのか、その辺の関係が明示されないまま、単純に保険料率の変更に伴った額を費用負担の影響額として計上されていたという経緯があります。

 一方で今回、責任準備金の算定方法や、その財政に与える影響がどういう状況になっているのかというのを、労災保険財政懇談会等において御議論いただいた結果、積立調整費用というものが、今後とも永続的にマイナスとできるのかどうかというのは保証の限りではない中で、これがゼロになったり、場合によっては不足になればプラスになるということも、理論的には起こり得る状況ですので、これらの数字と、これらがどういう影響を与えているかというのを、制度に関連する皆様にお知らせして御理解いただくべき、という議論をさせていただいた結果、今回の表示方法に変更して、費用負担額として計上したものです。

 ですので、前回改定時の 278 億円というのは、結果的には、これらの要因が入り混じった形で数字が算定されていたことになります。それが今回と前回の差が大きく見えているという現象です。

○岩村委員 大変丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。やはり先ほども御説明の中にありましたように、この積立金は、長期給付の原資になるものですので、そこのところが従来ずっと苦労してきてようやく充足した、更に今、運用益も含めて積み上がっているという状況なので、これをきちんと保険料率の引下げのところに充てていくということが、非常に重要だと私も理解しております。

 特に雇用保険のように、何か打ち手の小槌のように積立金が思われるようになっている気がしますが、労災についても同じように思われてしまうと非常に大変なことになってしまいますので、是非、今日のようにきちんと責任準備金、あるいは積立金というのが一体幾らで、それを原資にどのぐらい取り崩して料率を下げるのかということについての御説明というのを、今後、きちんとやっていただけると大変有り難いと思いますので、よろしくお願いいたします。

○労災保険財政数理室長 ありがとうございました。今後ともそのような取扱いについては十分に注意して、対処させていただくようにいたします。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、最初の点については以上といたしまして、次に「家事支援従事者に係る特別加入制度の加入対象の見直しについて」、事務局から説明をお願いします。

○労災管理課長 参考 1-4 を御覧ください。「家事支援従事者に係る特別加入制度の加入対象の見直しについて」です。家政婦紹介所の紹介等により、個人家庭に雇用され、家事、育児等の作業に従事する方については、家事使用人として労働基準法上の労働者とされておらず、労災保険の強制加入の対象となっておりません。家事支援従事者のうち、介護関係業務に従事する方については、平成 13 年より特別加入制度の加入対象となっております。

 しかしながら、介護作業従事者特別加入の大宗を占める家政婦が、家事支援を行っているという現状に鑑みますと、家事支援従事者は、介護作業従事者と同様の就業形態といえ、特別加入の対象としない合理性は低いと考えられます。また、政府として、仕事と家庭の両立支援等を促進する中で、家事、育児等の支援サービスの需要が増大することが見込まれる中、家事支援従事者の就労条件を整備する必要があるところです。このような状況を踏まえまして、家事支援従事者を特別加入制度の加入対象とすることについて、検討を行うものです。

2 ページを御覧ください。見直しの考え方について、示しております。特別加入の対象範囲については、➀➁として記載しておりますが、この条件を考慮して定められており、今般の見直しについても、これを踏まえて検討する必要があるところです。また、特別加入を認めるに当たっては、民業圧迫につながらないよう留意する必要があるとともに、逆選択が生じないよう、危険防止措置の徹底等を図ることが不可欠です。また、検討に当たり、災害発生状況等について、公益社団法人日本看護家政紹介事業協会が、全国の家事サービス紹介所に登録されている家政婦の方々に対し、昨年の 10 月から今年の 2 月にかけ、災害発生状況について調査を行っております。

6 ページを御覧ください。家政婦の業務内容については、左のグラフのとおりです。また、指示の有無については、右のグラフのとおりで、ほとんどの方が指示を受けて業務を行っております。

 事故発生状況については、次の 7 ページを御覧ください。直近 1 年間の事故発生件数を示しております。業務中と移動中に区分して示しておりますが、通勤中の災害の割合が 42.7 %と、労災全体に比べて高くなっているところです。これは 8 ページに就労先の件数を示しておりますが、就労先の件数については複数件の方がある程度多くなっており、それが影響しているものと考えております。

 また、災害防止対策については、次の 9 ページを御覧ください。協会において行っている災害防止活動について示しております。安全確保研修、健康診断、感染症予防、腰痛予防、労働災害発生状況の周知、啓蒙等、セミナー等も開催していただいております。

 以上を踏まえ、家事支援従事者を特別加入の対象とすることについてですが、 3 ページにお戻りください。まず条件の➀については、調査結果から家事支援従事者については、労働者に準じて保護するものにふさわしいといえます。条件➁に関してですが、対象範囲の拡大に当たり、業務の範囲の特定を行う必要があります。これについては 4 ページに国家戦略特別区域法における関係条文を示しておりますが、同法において定義がなされております家事支援活動の内容を参考に規定したいと思います。また、民業圧迫に関してですけれども、現在、家政婦向けの民間損害保険を提供している団体がありますが、労災保険が補償対象としていない補償内容もあることから、必ずしも民業圧迫につながるものではないと考えます。最後に危険防止措置に関してですが、現行の介護作業従事者の特別加入団体が行っている危険防止措置と同様の措置が取られるものと考えられ、逆選択の危険性は低いと考えます。

 以上のことから、家事支援従事者について、特別加入の対象範囲に追加したいと考えております。なお、「施行規則の改正イメージ」と載せておりますが、家政婦として介護と家事支援を行うことが重なっていることを踏まえ、同じ保険集団とすることとしております。説明は以上です。

○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等があればお願いいたします。

○労災保険財政数理室長 補足を 1 つだけ、今、説明のありました家事支援従事者についてですが、先ほどの特別加入保険料率の改定案、参考 1-2 8 ページを御参照下さい。家事支援従事者については、第二種特別加入保険料率表の一番下にある「特の 18  介護作業従事者」の枠組みの中で、今、説明させていただいた施行改正規則のイメージ案と同様に、この項目で保険料率を設定させていただきたいと考えております。

 ちなみに、家事支援従事者の保険料率を算定するに十分な資料が得られているわけではありませんが、保険集団が拡大すること、それから就労の形態、災害の内容に類似性があることを踏まえて、おおむねの見通しを立てると、家事支援従事者をこの「介護作業従事者」に加えても、今回の改定案の水準で維持できるものと考えているところです。

○荒木部会長 御質問、御意見等あればお願いいたします。特段ありませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、次の点に移りたいと思います。次は、「時間外労働等改善助成金について」ということになります。事務局から説明をお願いします。

○労災管理課長 参考 1-1 2 ページ、 3 を御覧ください。「時間外労働等改善助成金の新設について」です。時間外労働の上限規制の導入を含む働き方関連法案については、労働政策審議会に諮問され、 9 15 日付けでおおむね妥当との答申がなされたところであり、今後、早期に法案を国会に提出することとしております。今回の時間外労働の上限規制の導入に当たっては、経営基盤が脆弱である中小企業事業主においては、人材不足や設備投資の対応に苦慮するなど厳しい状況にあるため、時間外労働の上限規制を円滑に移行する支援を明確化するために、社会復帰促進等事業として実施している職場意識改善助成金の名称変更、助成対象の拡充を行うものです。参考 1-5 を御覧ください。詳細については検討中ですけれども、一番右の欄にあるとおり、団体助成を推進することが 1 点です。助成上限額の引上げ等の拡充を行うことの改正です。説明は以上です。

○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等あれば、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、もし何かあれば、後ほど帰ってくることにして、その次の項目に移りたいと思います。介護 ( 補償 ) 給付・介護料の最高限度額・最低保障額の改定についてということで、事務局からお願いします。

○労災管理課長 参考 1-6 を御覧ください。平成 30 年度介護 ( 補償 ) 給付・介護料の最高限度額・最低保障額の改定についてです。改正の趣旨ですけれども、労働者災害補償保険法では、業務上の事由等により一定の障害を負って介護を要する状態となった労働者に対して、介護に要した費用を介護 ( 補償 ) 給付として支給しております。給付額には、最高限度額と最低保障額を設け、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の介護手当の支給限度額との均衡を考慮して、設定をしております。

 人事院の国家公務員の給与勧告率に合わせて改定をしており、平成 29 年度の人事院勧告により、 0.15 %のプラス改定が行われることから、介護 ( 補償 ) 給付の最高限度額及び最低保障額を見直すものです。また、炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の規定に基づき、経過措置として支給する介護料の最高限度額及び最低保障額についても、同様に見直すものです。具体的な額は、表に記載しているとおりです。説明は以上です。

○荒木部会長 ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。 4 点にわたって御説明を頂きましたけれども、全体を通じて何か御意見、御質問等があれば承りますが、いかがですか。

○岩村委員 すみません、念のためもう一回確認させていただきたいのですが、先ほどの年金積立調整費用の御説明ですと、今、存在している積立金と、責任準備金との差額分を、今後の 3 年でほとんど全部注ぎ込んでしまうという御説明だったと伺ったのですが、それに伴って、将来を見越したという設定で、積立金が責任準備金を割り込んでしまうというようなことはないという見通しの下で、そういう計算がされているかということだけ、確認させていただきたいと思います。

 先ほどの御説明の中で、責任準備金がどうなるかというのは、分からないところがあるというお話だったので、そこが気になったものですから、確認をさせていただければと思います。

○労災保険財政数理室長 責任準備金を算定する背景にある年金受給者総体の傾向ですが、近年、若干ではありますが、減少傾向が出てきているところです。新規年金受給者による増加と、失権による減少のバランスにもよるので、実態を反映して推計する必要がありますが、少なくとも今の年金受給者の減少傾向を踏まえると、今の段階ではまだ、今後、明確に増えるというところではありません。責任準備金の将来見通しを、超長期の将来推計として行っているわけではありませんが、おおむね今の状況であれば、 100 %の水準を維持できるという見通しで設計をした上で、今回、責任準備金と積立金の差額分を保険料率の改定に活用させていただいているところです。

○岩村委員 ありがとうございました。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件は重要な案件でもありますので、次回、引き続き議論して結論を得るということにしたいと存じます。よろしいでしょうか。

 それでは、次の案件に移ることといたします。議題の 2 は、「社会復帰促進等事業に係る平成 28 年度成果目標の実績評価及び平成 29 年度成果目標等について」です。では、この件について、事務局から説明をお願いします。

○労災管理課課長補佐(企画) 労災管理課長補佐の尾崎です。私のほうから資料 2-1 以降の資料について御説明いたします。本題に入る前に、本日の議題 2 について御議論いただく趣旨を、ごく簡単に説明いたします。参考 2-1 5 ページ目を御覧ください。今回の社復事業に係る目標関連に関する基本方針というものがあり、点線の囲みの中に、基本的な考え方を示しております。その一番下、 4 つ目の○を御覧いただくと、こちらの社復事業については、執行実績が相対的に低い事業などを社会復帰促進等事業に関する検討会、そちらでまず点検し、その結果はこちらの部会でも御議論いただき、 PDCA サイクルの一環として位置付けると、いわゆる PDCA サイクルとして回していくということを、基本方針としてお示しさせていただいております。

 まず検討会において点検いただいた結果というのが、参考 2-3 に概要として示しておりますので、こちらはあくまで参考ですが、お時間あるときに御覧いただければと思います。この考え方に基づき、社復の検討会のほうでも御議論いただいた社復事業について、同様の資料にて、今回、点検いただくために説明したいと思います。

 それでは戻って、資料 2-1 を御覧ください。まずは平成 28 年度の事業の評価と、平成 29 年度事業の概要の全体像について、こちらの 1 枚紙で示しております。 1 にあるとおり、第 1 回検討会の内容は、前回 7 月の部会でも報告しましたが、そちらで今後、評価を行うとした事業というものが 16 あります。その評価結果というものが、その下にあります。結果として、 15 A 評価、つまり施策を継続して問題ないと考えておりますが、 C 評価というものが 1 つありました。こちらは後ほど紹介したいと思います。

 次に概要の 2 つ目の○ですが、今、説明した 16 個の事業を含め、平成 28 年度の全事業の状況を整理したものです。全体としては、事業が 85 個あります。そのうち A 評価が 72 B 評価が 11 C 評価が先ほど新たに C が付いたもの 1 つということになりますが、このような状況になっており、事業の必要性、効率化、合理化等の観点から、平成 29 年度に見直しが必要なのは、この B C を合わせて 12 個となっております。また (4) にあります事業廃止後の経過措置事業となっている 1 つの事業というのは、財形の促進の関係のものであり、事業自体は終了しておりますが、事業主の方、それから勤労者の方向けの周知を実施しているものです。

 続いてその下、 2 ですが、平成 29 年度の成果目標の全体像です。目標管理をする事業の総数は、先ほどの平成 28 年度の 85 から、 1 つ増えて 86 となっております。増えたのは外国人技能実習機構に対する交付金です。平成 28 年度は、それの設置根拠となる技能実習法が成立していなかったのですが、平成 29 年度に成立して、新たに今後管理する対象として追加したものです。そのほか平成 29 年度新規事業はゼロ、重点目標管理事業は 31 、それから事業廃止後の経過措置事業は先ほどと同様で 1 という状況になっております。

 次の資料に移ります。資料 2-2 を御覧ください。本日の社復事業に関する主な論点を整理したものです。 3 つあります。一番上が平成 28 年度成果目標の実績評価と、それから平成 29 年度成果目標についてということで、今回新たに評価を行った 16 個のうち、目標未達成事業について原因を分析し、改善措置を講じているかという観点から点検いただきたいということで、 C の事業が 1 つあるというものです。

 それから論点 2 つ目ですが、こちらは平成 28 年度の評価が、ちゃんと平成 30 年度の概算要求に反映できているのかどうかというものを、主に B 評価、 C 評価の事業について御確認いただきたいと思っております。

 それから 3 点目が、平成 30 年度に新規事業を行うものが 4 つありますが、こちらが新規事業の必要性が妥当か、社会復帰促進等事業で行う必要性があるのかという 3 つの点について、御議論いただきたいと思っております。

 それでは、論点 1 つ目の B 又は C について、原因を分析の上、改善措置を講じているかについては、資料 2-3 を御覧ください。結果として B はありませんでしたので、 C のこの 1 つの事業になっております。こちらの事業の内容は、外国人技能実習生に対する事故、疾病防止対策の経費で、これは国際研修協力機構、 JITCO という所が実施しているものです。アウトカム指標の目標を、労働災害が発生しやすい 1 年目の技能実習生の方の死傷者年千人率で見ることとして、 6.48 というのを目標として掲げましたが、実際は 8.07 ということで、目標より多くの災害が起き、達成できなかったという状況になっております。

 真ん中辺りの理由の欄を御覧ください。実習開始後の期間が短い実習生は、言葉の面で障壁が高く、より丁寧な安全衛生指導、教育の必要性がありますが、平成 27 年から 28 年にかけて、この実習生の方が急激に増えたということで、それに対応できなかったということを理由として考えております。

 その右上の○を御覧ください。今後の改善策ですが、建設業や溶接作業などの職種別のセミナーを開催したり、外国語の電話相談、それから技能実習生の方に有益な情報をまとめた技能実習生手帳の周知を、効率的・効果的に行っていきたいと考えております。なお、 2 つ目の○のとおり、本事業は平成 29 11 月の技能実習法の施行に伴い、 11 月以降は外国人技能実習機構という所が法律に基づいて実習実施者に対する実地検査、改善指導などを行う権限が与えられることになっております。そのため、その直接的な効果を把握する新たな指標として、平成 29 年度の右上のアウトカム指標というものを、巡回指導に沿って改善した企業、団体の割合を 90 %以上とすることという内容に変える予定としております。これに伴い、 10 月までの JITCO の事業目標としても、新制度を先取りして、同じ内容としております。その下のアウトプット指標については、これまでの実績を踏まえて定めたものですので、省略いたします。

 続いて、資料 2-4 を御覧ください。こちらが先ほど冒頭で論点 2 として紹介した評価結果の平成 30 年度予算への反映状況です。 1 枚目は、今、申し上げた技能実習生の関係で、同じ内容ですので割愛いたします。

2 ページを御覧ください。 B 評価の事業で増額要求を行っているものは、全部で 2 ページ、 3 ページにわたり、 3 つあります。その概要を簡単に申し上げます。 1 つ目、 28 番、職場における受動喫煙防止対策事業です。こちらは主に喫煙室を設置する際の設置費用について、一部助成を行っているものです。右から 3 つ目の箱を御覧ください。受動喫煙の防止対策については、 2020 年のオリンピック・パラリンピックに向けて、公共の場における受動喫煙防止対策を強化するという方針を掲げています。残すところ 2 年となりますが、今後、規制の在り方が定まった際に、事業主の方から助成金の申請が駆け込み的に増加することが見込まれるので、それに対応するために増額しているものです。

 続いてその下、 35 番を御覧ください。若者の使い捨てが疑われる企業等への対応強化ということで、いわゆるブラックバイト対策です。労働者や使用者の方から電話相談を無料で受け付けたり、周知啓発をしたりするものです。右側の見直し内容を御覧いただくと、電話相談については、平成 28 年度は相談件数が目標に達しなかったということで、従来は土日が 10 時から 17 時までの対応時間だったのを、平成 30 年度におきましては、土日の朝 9 時からよる 21 時に相談時間を拡充ということを考えております。それから、周知啓発についても、平成 29 年度に作成した指導者向けの資料というものを活用した教員向けの研修セミナーやシンポジウム、そういったものを開催するということで、増額をしているという状況です。

 次の 3 ページ目です。 66 番の 1 は、過重労働の解消、働き方や休み方の見直しに向けて、労使の自主的な取組を促進するための助成、それから支援を行うものです。右から 3 つ目の箱の上半分というのは、先ほどほど省令改正の中で、参考 1-5 で説明した助成金の拡充というものと同じことを書いておりますので、割愛いたします。

 その下半分に、 2 つのパラグラフで書いているのが、先ほどの助成金の拡充に加え、労務に関する技術的な相談支援を行うものというので、 47 都道府県に、新たに働き方改革推進支援センターというものを設置することを考えております。これら助成金の拡充とセンターの設置の 2 点ということで増額しているというものです。

 以上が B 評価で増額をしたもので、 4 ページ目以降は、 B 評価で同額あるいは減額、若しくは A 評価ということになっておりますので、時間の都合上、   本日の説明は割愛したいと思います。

 続いて、資料 2-5 が、先ほどの論点 3 つ目にある、平成 30 年度の新規事業について、確認いただきたいということでお示しするものです。新規事業は表紙にあるとおり、 4 つあります。まず 1 つ目の事業が、計画届審査員の配置というものです。こちらの内容は、大規模な建設工事等を行う場合、事業者は、監督署に計画届というものを提出する義務があり、監督署の職員が審査しているものです。この業務について、事業の必要性の欄を御覧いただければと思いますが、働き方改革推進の観点から、今後、安全衛生の啓発指導業務というものを、充実・強化することを行うために、監督署の職員に代わって、この計画届を審査する職員というものを新たに配置するというもので、こちらを新規事業としております。

2 ページ目はその概要ですので割愛します。続いて 2 つ目の新規事業、 3 ページを御覧ください。 36 協定未届事業場に対する相談支援業務などとなっております。こちらも中ほどの事業の必要性欄を御覧ください。長時間労働の是正に向けた取組強化のために、 36 協定未届事業場への自主点検票の送付、それから集団での相談指導、個別の訪問指導といったものを民間事業者に担っていただくことを考えております。そしてまた、必要に応じて監督署との連携も行うこととしております。また併せて、窓口でのきめ細かな相談支援を実施することを予定しております。以上が 2 つ目の新規事業です。

3 つ目の新規事業は、 5 ページ目を御覧ください。こちらは大規模店舗、多店舗展開企業に対する安全管理の支援という事業です。こちらも事業の必要性欄を御覧ください。小売業、それから飲食店といった第三次産業では、労働災害が増加傾向にあることを踏まえて対応するものです。これらの業種においては、各店舗が小さくて、安全管理体制が脆弱ということから、安全の担当者を養成する講習を開催したり、リスクアセスメントの導入を全社的に推進するためのマニュアルを作成したり、効果的な安全管理体制というのはどういったものかを検討するといったことを、平成 30 年度の新規事業として考えております。

 続いて 4 つ目、最後ですが 7 ページを御覧ください。 8 ページの資料は、先ほどの参考 1-5 と同様で、こちらも助成金の拡充、 9 ページにあるとおり、新たに 47 都道府県に働き方改革推進支援センターというものを設置することを予定しております。こちら 2 点の観点から主に、新規事業ということを考えております。

 以上が駆け足でしたが、資料 2-5 の概要です。これ以降、資料 2-6 から 2-9 までは、毎回お示ししているもののリバイス版ですので、適宜お目通し、御参照いただければと思います。以上です。

○荒木部会長 ただいまの説明について、御質問、御意見等があればお願いいたします。

○浜田委員  2 点ほど意見があります。まず、資料 2-4 で説明は省かれたのですが、 4 ページの B 評価で減額になるという所で、事業番号 40 「働きやすい職場環境形成事業」の内容については、パワーハラスメントの予防・解決に向けた周知広報及び労使への支援策の充実を図るということになっていますが、一方で、現在同じ厚生労働省内の雇用環境均等局で、こちらも働き方改革実行計画の中から出てきた「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が設置されており、私もそこに委員として参加しているところです。

 この「パワハラ」という言葉はかなり世間に広がりを見せているとは思いますが、その対策となると、先ほど申しました別の局の検討会の中でも報告があったのですが、特に規模が小さくなればなるほどパワハラ防止の対策が取られていないということがあります。パワハラは精神障害の原因や要因となることが大変多く、労働災害としての件数も年々増えている状況です。それと、深刻なのは、労働災害で精神疾病になってしまった場合には自死で命を落とされるケースもあります。検討会では来年の 3 月までに報告書を出すというスケジュールになっているのですが、局は違いますが、是非パワハラについては局同士でも連携を取っていただいて、国として積極的に取組を進めていただきたいと思っております。それが 1 つめの意見です。

 次に、資料 2-5 の一番最後の「新規事業等」の所、最後のページに時間外労働の上限ということで、「中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業」というものがあります。職場の安全性を考える上で、中小企業・小規模事業場というのは、非常に重要なポイントだと思っていらっしゃると思います。こちらの 3 番目に「大規模店舗、多店舗展開企業等に対する安全管理の支援」とありましたが、労災事故は飲食店や小売業も含めて、 50 人未満の小さな事業所で大変多く発生しているということを先ほど確認してきました。平成 28 年の確定値で見ると、死亡災害 928 件のうち、 50 人未満の事業場で見ると 760 件ということで、実に 8 割以上が 50 人未満の事業場で発生しています。死傷災害、 4 日以上の休業でも、 11 7,910 件のうち 50 人未満の事業場の規模で 7 3,257 件ということで、 6 割を超えているという実態があります。先ほどの多店舗展開の規模もそうですが、特に第三次産業と言われる飲食店や小売業においては、精神疾患の労災補償状況を見ても、常に上位に来ている状態です。ただ、法律は 50 人未満の事業場には産業医の専任やストレスチェックは義務付けられていないという実態があるので、労災事故件数を減らそうと思ったら、中小企業と小規模事業者に対する対策にいかに取り組むかが重要なポイントだと考えますので、是非安全面、又は衛生面も同時に中小企業・小規模事業場対策については、更に積極的な取組を検討いただきたいと思っています。以上です。

○荒木部会長 ほかにございますか。

○村上委員 何点かあります。資料 2-3 C 評価をされた技能実習生に対する事故疾病防止対策の事業についてです。こちらについては、平成 29 年度限りで終了し、次年度は技能実習機構の事業として行っていくという御説明だったと思います。機構だけでこのような技能実習生の労災防止対策ができるのかについて、懸念を持っているところです。機構でも効果的な施策をしていただけるよう、是非連携して取り組んでいただきたいというのが要望の 1 つです。

 また、未達成の指標としてアウトカム指標で、労災の 1 年目の 1 号の死傷者の年千人率 6.48 以下となっていたところを、技能実習生が増えたこともあり、平成 28 年度の実績で 8.07 となっています。言葉の問題などがあって事故が多いのではないかと推測はするところですが、労災の統計として、技能実習生がどれだけ労災事故に遭っているかとか、それはどこの国の方か、業種、要因について、何か統計的なものがあるのか。あるとすれば是非出していただくことを要望します。この場になるかどうか分かりませんが、労災防止の対策を考え、また、周知していく上でも重要ではないかと思いますので、是非御検討いただければと思っております。

 次に、先ほど浜田委員からあったパワーハラスメントに関してです。この事業はこの事業として良いのですが、もう 1 つ是非御検討いただけないかと思っていることがございます。精神障害の労災認定に関するリーフレットが広く出されており、これが労災認定の認定基準はどうなっていて、どのように評価されるのかをまとめた資料です。 6 類型に分けて示されていますが、セクハラについてはセクシュアル・ハラスメントとして 1 項目別立てになっているところ、パワーハラスメントに関しては、特段まとまったものがありません。労災認定基準で別のものを作っていただきたいと申し上げているわけではないのですが、こういったものはパワーハラスメントに当たるということ、労災認定基準の中で人間関係の中でもひどい嫌がらせ、いじめだとか、上司とのトラブルといったものをまとめて、リーフレットなどに掲載いただけないかという要望です。それによって、こういった行為はパワーハラスメントになっていくという周知や啓発につながっていくのではないかということで、そういった点も是非御検討いただければと思います。

 もう一点は、先ほど B 事業、 C 事業についての御説明があったのですが、参考 2-4 A 事業について 1 点お伺いします。 30 ページ、事業 No9 「労災疾病臨床研究補助金事業」を拝見すると、 26 件の応募があったとなっています。このうち、全てが実施されたのか、選定されないものがあったのかどうか。もしあったとすれば予算上の制約なのか内容の問題なのかについてお伺いしたいと思います。こういった事業は、私どもとしては大変重要な事業だと思っておりまして、予算の制約はあるのですが、こうした研究に関する補助は拡充する方向で考えるべきではないかということで、意見として申し上げます。以上です。

○荒木部会長 御質問を含めて 3 点ほどありました。事務局からお答えいただけますか。

○補償課長 まず、外国人技能実習生の労災補償状況ですが、過去 3 年のデータが手持ちでありますので、御報告いたします。安全衛生法に基づく労働者死傷病報告の提出件数が、平成 26 年度については 453 件です。これについて労災の認定決定件数が 447 件です。平成 27 年度については、死傷病報告の提出件数 498 件に対して、労災の認定件数が 494 件です。平成 28 年度については、労働者死傷病報告の提出件数 496 件に対して 485 件となっています。

○職業病認定対策室長 職業病認定対策室です。先ほどのパワハラによる精神障害の労災認定に関するリーフレットの話ですが、早速検討させていただきたいと思います。

○事務局 技能実習を担当している海外人材室の有賀です。先ほど、村上委員から重要な御指摘がございました。技能実習生の労災事故は非常に重要な問題だと思っており、また外国人技能実習機構に対するエールだと認識しております。私どもは 11 1 日に技能実習法を施行し、実地検査ということで実習実施者、企業や管理団体に実地検査に行き、安全衛生の指導、その改善報告などをやっていきながら、技能実習生の労災防止対策についてやっていきたいと思っております。

 まず、 11 1 日の施行ですので、技能実習法に基づいて指導を実際にやっていく中で、どのようにやっていったら災害防止対策を効果的にできるのかを、また検討していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○労災管理課長 労災疾病臨床研究補助金に関してお答えします。恐縮ですが、手元に公募件数については持ってきておりませんが、外部有識者で構成される評価委員会において選定を行っていただいており、選定された事業については、全て実施していただいています。

○村上委員 お答えいただきまして、ありがとうございました。技能実習に関して、今後の法施行状況も踏まえて、実際に労災防止の観点からもやっていくというお話でしたが、その際に、今すぐということではないのですが、例えば以前あった労災防止指導員のように、労使の知見のある人が現場に入って、現場チェックをするというようなことも是非御検討いただければと思います。機構の皆様方だけでは、全部見回れませんし、本省から機構に出向した方が安全衛生関係を見られるとも限らないと思いますので、そういった制度に助成金なり何なりを付けるということも含めて、御検討いただければと思います。

 また、先ほど労災の申請と認定の状況についても教えていただきましたが、もう少し詳しいものがあれば、この場でなくて結構ですので、是非教えていただきたいと思います。どのような所で起きているのかということが対策の肝になっていくと思いますので、そういったことも是非教えていただければと思います。以上です。

○事務局(海外人材室) ありがとうございました。後ほどデータについては共有させていただきたいと思います。また、労災防止に関する貴重な御意見をありがとうございました。先ほど申し上げましたが、まずは技能実習法に関する実地検査をきっちりとやっていきます。その中で、効果的にどのような方法があるのかを検討していきたいと思っております。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○立川委員 資料 2-5 の平成 30 年度の社会復帰推進事業における新規事業の 2 番目の➀ 36 協定未届事業者に対する相談指導事業について、要望事項を申し上げます。厚生労働省が行った平成 25 年度の労働時間等総合実態調査によると、 36 協定を結んでいる事業所の割合が 55.2 %で、大企業が 94 %、中小企業になると 43.4 %となってきます。そのような中で、 36 協定を締結していない理由として、「 36 協定の存在を知らなかった」という企業が 36.2 %ということです。このような実態とか、今後の働き方改革の実効を踏まえて、 36 協定の未実施、未届事業者に対する労働基準法の周知、指導の徹底をお願いしたいと思います。これは労働者保護の観点からいって、非常に重要な観点ですので是非よろしくお願いします。

 それから、窓口における事業場に対する極めてきめ細かな相談支援、これは平成 31 1 月からということで、予定されているようですが、こういうことはなるべく早く実施していただいて、より解析を進めていただきたいと思いますので、早期実施ということをお願いしておきたいですし、時間外労働、過重労働の防止のセミナーについても早急にお願いしておきたいと思うところです。

 また、独立行政法人が行った労働政策研究・研修機構が調査しておりますが、 120 回の労働政策審議会労働条件分科会の資料の中に、中小企業における労使コミュニケーションと労働条件決定、平成 19 10 月の資料があり、この中で、 36 協定締結事業場における過半数の代表者選出に際して、「使用者側の意向による選出が見受けられる」という調査結果が出ています。これは厳しく言えば、手続上に問題があるということになるかと考えるわけです。そういう意味では、監督・指導等により、より通達の内容に沿った運用の徹底をお願いしておきたいと思いますので、 3 点ほどですがよろしくお願いしたいと思います。以上です。

○荒木部会長  36 協定関係について、事務局からお答えはありますか。

○事務局 労働基準局監督課の矢野です。貴重な御意見をありがとうございました。先ほどの 36 協定の過半数の選出のほうは、現在、リーフレットを作って全国の監督署で指導・推進をしているところなので、これからも力を入れていきたいと思います。ありがとうございました。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○酒向委員 参考資料 2-4 の平成 28 年度の成果目標の実績評価と平成 29 年度の成果目標の中の事業について、お伺いさせていただければと思います。資料の 22 ページの治療就労両立センターの運営等についての件です。病気の治療と仕事を両立させていくというのは、非常にこれからの働き方において重要な観点だと労働組合側としても考えております。この事業の中で、平成 28 年度の目標達成理由の➁で、 18 のテーマについて、労災保険病院の後に受ける予防医療活動を通じた効果的な予防法、指導法の開発は重要であるが、その成果物というのはどのように公表されていくのかということについて、お伺いします。

 また、四半期単位でのモニタリングの➁ですが、 4 つの疾病分野について、それぞれ医療機関向けのマニュアルを作成すると。 4 つの疾病というのは、がん、糖尿病、脳卒中、メンタルヘルス不調とあります。この 4 分野について作成したということですが、今後、これ以外のほかの分野について拡充していく予定はあるのでしょうか。

 その上になりますが、コーディネータを養成するところの項目について、「平成 29 年度からは一般の医療機関からも受講生を募集する」とあります。この辺が、現段階でどのような状況になっているでしょうか。この 3 点について、教えていただきたいと思います。

○事務局 安全衛生部労働衛生課の樋口です。3点目のコーディネータの問題についてですが、来年から一般も研修もやるということで、今は研修カリキュラムを検討中です。来年から実施できるように準備しているところです。それから、医療機関のマニュアルということで、疾病ごとに使っている分についてです。こちらは 5 年でいろいろな疾病について作っていくということで計画を進めているところです。最初の研究テーマの公表については、手元で確認できませんので、後でお話をさせていただければと思います。

○酒向委員 最初の回答で、一般医療機関からの受講生の募集については、来年度からされるとおっしゃいましたでしょうか。

○事務局 今年度に試行的な意味で受講をしていただいており、その成果も含めて、今度は医療機関以外の MSW さんなどにも受けていただくようなカリキュラムを作っているところで、そういった意味で裾野の広げていきたいと考えております。働き方改革実行計画でも 2,000 人を養成していくという目標を立てておりますので、それに見合うような形で進めていきたいと考えております。

○事務局 労働条件政策課の粟村です。先ほどの 36 協定の周知についてですが、資料 2-5 の一番後ろにあるセンターを、来年度から 47 都道府県に設置し、各都道府県にある商工会あるいは商工会議所、中央会、それと中企庁が設置する拠点等と連携しながら、セミナーの開催あるいは個別事業場への訪問といった形で、その周知を図っていきたいと考えています。

36 協定については労働局あるいは労働基準監督署が周知することは前提の上で、センターをはじめ地域の団体等とも連携しながら、きめ細かな周知をしていきたいと思います。また、助成金の活用といった形で、この中小企業支援にしっかりと取り組んでいきたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

○荒木部会長 ほかにはいかがでしょうか。

○酒向委員 先ほどの質問の続きですが、資料 2-4 100 ページに、治療と職業生活の両立等の支援手法の開発という事業についての資料があります。この事業について質問させていただきます。

 治療と職業生活の両立支援に対するガイドラインについて、肝疾患と脳卒中について作成いただいたと御報告されておりますが、作成いただいたことについて評価させていただきたいと思いますが、非常に重要な事業ですので、是非とも更なるスピードアップを図っていただきたいと思うところです。その中で、平成 29 年度については、疾病別の手引きを 1 種類以上作成するとアウトプット指標の中で書かれていますが、現段階でも、その進捗並びに最終的には疾病について何種類程度作成する予定なのかについてもお伺いしたいと思います。それとともに、平成 30 年度の予算の概算要求の中では、この事業については、従来の 6,500 万円ぐらいから 9,500 万円ぐらいに非常に増額されています。この事業について、将来的にもどのようにお考えになっているのでしょうか。

○事務局 ( 安全衛生部労働衛生課 )  今は年に 1 疾病ぐらいのペースで作らせていただいておりますが、御要望等を踏まえてスピードアップできるかどうかを検討していきたいと思います。

 それから、来年度以降のということですが、基本的には働き方改革実行計画に基づいてロードマップを作っていただいて、大きな柱としてコーディネータを養成していくということと、それからガイドラインを周知していくことと言われています。周知について、こちらの予算事業等で中心にやっておりますが、そういったところは実行計画に基づいた形でしっかりやっていきたいと考えています。

○荒木部会長 ほかに御意見、御質問はございますか。

○酒向委員 先ほどの資料 2-4 82 ページの新規化学物質の有害性調査試験の事業についてお伺いします。この事業自身は、新規化学物質による労働者の健康障害の防止を図るという大きな目的があろうかと思います。その中でも、別の見方としても、新規化学物質を使っていくというのは、これから日本の産業のイノベーションを起こしていくという面においても、その意味合いというのは非常に高いのかなという面でいくと、危険性、有害性というリスクをいかにマネジメントしながら事業を促進していくかといった観点もあろうかと思いますので、非常に重要な事業だと認識しております。

 そういった中で、資料には 5 つの既存機関は、安全衛生法の GLP 適合の確認をしたと書かれておりますが、現在、この安全衛生法上の GLP の適合施設というのは、一体どれぐらいあるのかということと、日本には 4 省庁にまたがって、 6 種類の GLP のプログラムがありますが、そこの施設と比べて一体どういう状況なのかについて、お聞かせいただきたいと思います。

○事務局 ( 化学物質対策課 )  化学物質対策課の土井です。安全衛生法に基づく GLP 適合確認の施設ですが、国内には現在 9 施設あります。それから、御指摘のあった他省庁も含めてどうなのかということですが、手元に資料がないものですから、別途お知らせさせていただきたいと思います。

○荒木部会長 ほかに御意見、御質問等はございますか。ほかにございませんようでしたら、本日の第 2 の議題については終了とさせていただきます。本日も大変重要な御意見を頂きましたので、事務局におかれましては、これを踏まえて適切な御対応をお願いしたいと思います。

  以上をもちまして、本日の部会は終了といたします。本日の議事録の署名委員は、労働者代表の田久委員、使用者代表の砂原委員にお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 労働政策審議会(労働条件分科会労災保険部会)> 第68回労災保険部会(2017年12月18日)

ページの先頭へ戻る