ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品衛生管理に関する技術検討会> 第10回食品衛生管理に関する技術検討会(2019年01月16日)

 
 

2019年01月16日 第10回食品衛生管理に関する技術検討会

医薬・生活衛生局食品監視安全課

○日時

平成31年01月16日(水)
9:30~12:30

 

○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター  ホール13B

○議題

1.開 会

2.議 題
 (1)食品等事業者団体が策定した衛生管理計画手引書案の確認
  ・小規模な旅館・ホテルで調理される食品
  ・醤油加工品の製造
  ・チェーン展開する外食
  ・ミネラルウォーター類の製造
  ・食鳥処理場(認定小規模)
 
 (2)その他

3.閉 会

○議事

○五十君座長 それでは、定刻になりましたので、「第10回食品衛生管理に関する技術検討会」を開会いたします。
 本日は、池田構成員、小中構成員、関根構成員から御欠席の連絡をいただいています。
 また、オブザーバーといたしまして、国立保健医療科学院の温泉川上席主任研究官と、農林水産省食料産業局食品製造課食品企業行動室の上原係長に御出席いただいております。
 議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 おはようございます。
 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。
 本日は、手引書案といたしまして、資料1~5をお配りしております。
 資料1が、旅館・ホテルにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生手引書案。
 資料2といたしまして、しょうゆ加工品製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書案。
 資料3-1から3-2、3-3までは一つの手引書案でございますが、資料3-1は外食事業者のための衛生管理計画作成の手引、資料3-2が衛生管理計画書(案)、資料3-3が資料編となってございます。
 資料4が、清涼飲料水(ミネラルウォーター類)製造における「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」の手引書(案)。
 資料5が、認定小規模食鳥処理場のためのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書(案)となっております。
 それから、参考資料1といたしまして、本検討会の開催要領。
 参考資料2といたしまして、食品等事業者団体による衛生管理計画手引書策定のためのガイダンス(第3版)をお配りしております。
 資料の不足等がございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。
 また、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきたいと思いますので、御協力のほう、よろしくお願いいたします。
○五十君座長 それでは、早速議事に入ります。
 議題1は「食品等事業者団体が策定した衛生管理計画手引書案の確認」です。
 確認の進め方は、手引書案を作成した事業者団体から10分程度で説明いただいた後、構成員の皆様より10分程度の質疑応答をお願いしたいと考えております。
 もし時間が超過しそうな場合は、途中でお声をかけさせていただきますので、議事録に皆様の御質問を残すために質問の概要のみ御発言いただきまして、詳細につきましては後ほど事務局にコメントとして御連絡いただく形で進めたいと思います。
 それでは、事務局より説明願います。
○事務局 それでは、資料1をお手元に御準備ください。
 こちらは全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会様が作成しました、「旅館・ホテルにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手引書」案となります。
 こちらの手引書案は、団体様のほうから厚生労働省に対して御相談をいただきまして、昨年12月にこの検討会の先生方と意見交換を行いまして、内容を確認していただいております。
 本日はその意見交換を踏まえて、修正いただいた内容について団体様のほうから10分程度で御説明をいただきたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
○全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 おはようございます。私は全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会で事務局長を務めております、市川と申します。よろしくお願いします。
 まず、団体概要でございますが、限られた時間ですので簡潔に説明いたしますが、北海道から沖縄まで47都道府県の旅館ホテル組合の中央連合体が私ども全国旅館ホテルの組合連合会でございます。
 その都道府県の旅館ホテル組合の下に、例えば静岡県旅館ホテル組合の下に熱海温泉旅館組合とか伊東温泉旅館組合、ほかにも修善寺温泉とか伊豆長岡温泉がありますが、そういった支部単位組合が全国に1,500ぐらいありまして、その下に個々の旅館、ホテルが加入しています。
 その個々の旅館、ホテル、要するに組合員数は約1万6000軒ございます。その1万6000軒の旅館、ホテルは大体旅館が4、ホテルが1ということで4対1と言われておりますが、昨年6月に旅館業法が一部改正されまして、旅館営業、ホテル営業が旅館・ホテル営業と統一されたので、今後はそういった施設数も変わってきますが、ここでは洋室主体がホテル、和室主体が旅館という解釈で進められたらと思います。
 その1万6000軒の組合員数のうち、約半分が15室以下の小規模施設でございます。小規模施設は大手旅行会社との契約は少ないですし、地元の旅館組合や観光協会のつくったパンフレットに掲載されたりしています。あと、口コミとかリピーターというようなお客様が多いわけですが、インターネットの普及に伴って直接施設情報を発信したり、リクルートのじゃらんnetや楽天トラベルなどには小規模施設も掲載していますので、直接の予約、初めて泊まるお客様も増えてきています。
 そういった小規模施設にとっては、こういった食の安全、ほかにもいろいろな業界として知っておかなければいけない情報がございますけれども、行政を除くと組合からの情報発信が全てになってきておりますので、今回のHACCPの考え方に沿った衛生管理も、我々中央連合体が手引書を作成して全組合員に配付していくというような事業で、これから説明しますが、日本の宿泊施設の大多数は中小の旅館・ホテルですので、そういった小さい旅館、ホテルにも適応した手引書の内容になっております。
○日本食品衛生協会 私、制作・編集のほうに協力しております、公益社団法人日本食品衛生協会の岡本と申します。
 資料1の手引書の概要を御説明させていただきたいと思います。
 まず、2ページ目が目次となっておりまして、本書の構成をお示ししております。
 1つ目ですけれども、旅館・ホテルにおける食中毒の発生状況などをハザード分析し、発生要因ですとか管理手段などを取りまとめた項目となっております。
 2つ目はHACCPの考え方を取り入れた衛生管理に取り組みましょうということで、14~15ページが見開きでこのHACCPの考えを取り入れた衛生管理の概要をまとめたページとなっております。
 それから、3の衛生管理計画の作成ですとか実施、記録方法などを詳細に記載したページが16ページ以降というような形で構成されています。
 衛生管理計画につきましては、一般的衛生管理のポイントと調理工程に応じた重要管理のポイントということで整理をしております。
 特にこの旅館・ホテルの手引書を作成する上で留意したポイントは、まず、3ページ目には旅館で発生した食中毒などをまとめまして、それ以降に主な発生件数等の多い食中毒の特性とか管理方法をまとめてございます。
 特に、旅館・ホテルで提供する料理につきましては、事前の仕込みとか配膳・盛りつけに関しては1人分ずつ手作業で盛りつけするというような特性もあることですから、この調理工程に応じたという部分では、仕込みとか盛りつけ・配膳という部分に留意して作成しております。
 14、15ページに見開きで全体の構成といいますか、衛生管理の計画とか実施方法をまとめてございます。14ページは一般的衛生管理のポイント、項目、調理工程に応じた重要管理のポイントということで概要をまとめました。
 特に重要管理のポイントにつきましては、加熱調理せずに提供するもの、加熱調理して熱いまま提供するもの、仕込みなどで加熱調理後冷却して冷たいまま提供、再加熱して提供するというような3つのグループのほかに、衛生的な盛りつけ・配膳ということで、一つ一つ提供する際に盛りつけして、お客様一人ずつに配膳するという部分で「つけない」という部分の衛生管理の項目は非常に重要になってまいりますので、こういった4つの項目を重要管理のポイントとして整理いたしました。
 それから、重要管理のポイントについて、衛生的な盛りつけとか配膳という部分では当然手洗いというものが重要になってまいります。それから、前回の非公開での検討会の御意見を踏まえまして、外国人向けのアレルゲンの情報というものも記載いたしました。11ページの下段のほうに簡単にお示ししてございます。
 それから、お皿などに盛りつけをする際、飾り用の植物が使われることも多いかと思いますけれども、そういった御意見も踏まえて、10ページのほうにそういった記載もつけ加えました。アジサイ葉、こちらにはキョウチクトウ葉という形にしており、欄外にキョウチクトウの記載もございますけれども、こういった表で情報を提供する形で記載しております。
 先日の検討会のほうでも、加熱用の鶏肉という部分で追記してはどうかということで御意見をいただきましたけれども、食肉の加熱に関する部分にはそういったことを記載させていただきまして、例えば、5ページの中段のほうに★で、鶏肉については加熱加工用の表示のあるものは中心まで熱が通るようにしましょうというような、注意喚起も含めた記載をしてございます。
 それから、規模が大きい施設ですとかバイキング形式などで大量の食事を提供する場合のリスクについて、そういった部分も検討してほしいというようなことで御意見をいただいたかと思います。そちらにつきましては3カ所ほど記載がございますが、38ページ下段のほうに「◆Step Up◆」ということで、宴会などで提供する食事数が多い場合とか、バイキング形式で食事を提供する場合といったところです。あと、43ページ、45ページにも少し記載してございますけれども、調理後から提供まで時間が経過すると食中毒のリスクなどが高くなりますから、保温や冷却管理といったものとあわせて、時間の管理についても重要であるということをこちらで補足してございます。
 こちらの手引書案の内容について、会員の企業さんのほうに御協力いただきまして検証をしております。一部まだ検証中というところもございますけれども、先ほど事務局からも御説明がありましたように、小規模な施設の方が多くて、調理の担当者等が数名から5名、10人以下の事業者さんで、お客様も平均30名程度の客数というような事業者さんが多いというようなところです。10施設で今、検証をしているところでございます。
 手引書の内容につきまして、おおむね理解できたというような御意見をいただいているほか、いつもやっていることなので、月1回ですとか振り返ることもいいと思う、明記したことで改めて確認できた、記録をつけることで衛生管理の重要性が非常によくわかったというような御意見もいただいております。
○全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 あと、今後の普及の手順ですけれども、この手引書案を作成して、全組合員数分印刷をして、年度末には各47都道府県組合経由で全国の組合員施設に配付します。
 ただ、配付しただけではそれでおしまいになってしまいますので、各47都道府県、あと、先ほど説明しました1,500ぐらいの支部単位組合がございますので、そこでこの手引書をテキストとして、専門家を招いてぜひセミナーを開いてほしいというようなお願いもしていきます。
 既に兵庫県の旅館組合からは、行政と連携して来年度の事業計画としてこの手引書を作成後、ぜひそれをテキストとして研修会を開きたいというような申し出も来ていますし、実は今年度、現地調査にも行きましたが、奈良市はかなり進んでいまして、既に奈良市の旅館組合と一緒になってマニュアルづくりを実施していました。
 それから、今年度この事業に取り組んで感じたのは、47都道府県でかなり温度差がありますので、特に意識の低い組合はプッシュして底上げしていきたいと思っております。
 以上です。
○五十君座長 御説明ありがとうございました。
 ただいまの資料1の説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたら、お願いしたいと思います。いかがですか。
 鬼武委員、どうぞ。
鬼武委員 前回の打ち合わせから今日説明した内容で、ほぼ修正がされて非常にわかりやすくなったと思います。
 1カ所だけ細かい点で申しわけないのですけれども、11ページのアレルゲンのところの6番目の脚注が、日本語版は2014を訳しているものがあるのですかね。リバイスしているので一番新しいのは、海外版の2018です。そこにもハイパー・センシティビティは書いてありますので、そういう形で、海外版であると2018が最新であるということ。
 それと、細かくて済みません。FAOの次がWorld Health OrganizationのWHOです。
 以上です。いつも細かいことしか気がつかないので、申しわけないです。
○五十君座長 ありがとうございます。よろしいですか。
 次に参ります。富松委員、どうぞ。
富松委員 今のページなのですけれども、「わが国の特定原材料を除く」と書いてあって、ここにピーナッツが書いてありますが、ピーナッツは我が国のアレルギー特定原材料であり、記載ミスではないかと思います。
 また、気になるのは、45ページの記録なのですが、「実施記録は仕込み後や夕食などの食事提供後に振り返って記入しましょう」と記載されています。これはできるだけ速やかに書いたほうがいいのですけれども、実態としてそうはいかないとは思うのですが、調理と配膳は担当が違うと思うので、これはできるだけ速やかに記録を残すためには、調理と配膳に記録を分けたほうがいいのではないかなというのが私の意見です。
○五十君座長 これは対応可能ですか。
○日本食品衛生協会 こちらの手引書の検討をしている委員の皆様にも御意見を伺って、可能であればというようなというところで、少し検討してみたいと思います。
○五十君座長 よろしくお願いします。
 荒木委員、どうぞ。
荒木委員 今の件ですけれども、HACCPに基づくということで、HACCPプランに関係するものはそのときその場で記録ですけれども、取り入れてという場合は、そのときそこに記録様式があってすぐ書けというよりも、今日何があったかということで書けばよいので、場合によっては、担当が違うならここのコメントは誰が書いたということがわかるようになっていればいいのではないかなという気はします。
富松委員 丸バツは、丸はいいと思うのですけれども、この特記事項は直ぐ書かないと忘れてしまうと思うのですが。
荒木委員 特記事項も、誰が書いたかがわかるように書いておけばいいのではないかと私は思います。
 それでいきますと、ついでということで恐縮ですが、34ページの記録の記入例があります。真ん中のところで、冷蔵品の納入直後に確認を行ったため、30分後に再確認して温度が下がっていることがわかったというのは、納品がいつあったかということは何かを探せば出てくるかもしれないのですが、下のほうの、冷蔵庫の清掃・消毒直後に確認を行ったため30分後に再確認したというのは、何となく不自然な感じがするのです。
 毎日掃除をするならば、掃除の直後に温度が高いのは常ですよね。そうすると、温度がちょっと高かったので30分後にはかったというのは、一体どういう状況を想定しているのか。そして、下がったから大丈夫というのは、いつ見たらよかったのか。例えば、帰りがけに見たら温度が高かったので、15分待って下がったからオーケーだとしたというような、何か余り好ましくない状況が起きたときの記録が残っていけばいいと思っています。記録に関してはそこです。
○五十君座長 具体的な例の書き方を検討していただければよろしいと思いますので、御検討お願いします。
 ほかはございますか。
 中村委員、どうぞ。
中村委員 手引書の中身の話ではないのですが、先ほど、全国で1万6000軒ほどの組合員さんがいらっしゃるということで、組織率というのはどのくらいかおわかりになりますでしょうか。
○全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 今、全国に5万軒ぐらいの旅館ホテルがあると言われていますが、それと比べると組織率はかなり落ちてしまいます。
 ただ、業界の問題として、我々としては日本でそんなに旅館ホテルは営業していないだろうと認識はしているのですが、そのまま数字が累積されているだけで、年々廃業がふえて、営業許可は保健所に申請しますが、廃業しましたなんて一々届け出ないので、実際に日本で本当に営業している旅館ホテルがどれぐらいあるかというのは誰もわかっていません。
 我々業界としても、本当にアウトサイダー、非組合員がどれぐらいあるのかというのは知りたいと思っているのですが、実際はほとんどの日本の旅館ホテルは我々の組合に入っていますので、数字だけがひとり歩きしているなと。それは、例えばNHKの受信料とか統計上の数字、それから、NTTさんの電話帳などでも、日本の旅館ホテルが5万なんていうのはないなと実態として感じているところです。
 こういう日本の旅館ホテルの実態調査というのは、お金もかかるし、我々だけではどうしてもできませんので、厚生労働省にはそういった調査をしてほしいと申し出ているのですが、いつかそういった調査ができたらとは考えています。
 以上です。
中村委員 ありがとうございます。
 もう一点よろしいでしょうか。今後、講習会を全国でやっていくというお話だったのですけれども、それはいわゆる支部が主催という形で運営されるということでございますか。
○全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会 講習会、研修会は、食協さんもそうですけれども、いろいろな専門集団の方を招いて、旅館組合とその地域の保健所、市町村あるいは県単位で共催しながら開いていくという形です。
中村委員 ありがとうございます。わかりました。
○五十君座長 よろしいですか。
 ほかにございますか。
 荒木委員、どうぞ。
荒木委員 二、三ありますので申し上げますが、まず、10ページにキョウチクトウ、アジサイのことを書き入れていただいたことはよかったと思うのですが、実際にキョウチクトウで事故があったのは枝を使ってしまったという例があるのです。
 上の文章のほうでは葉と限定してしまいましたけれども、アジサイやキョウチクトウなど、有毒な植物はたくさんありますので、「など」で言っていますから、葉はとってしまったほうがいいかなと。では、花は大丈夫なのですかと聞かれると、データが多分出てこないかと思います。
 それと、これは厚生労働省に確認をしなければいけないのかもしれませんが、15ページの下の「記録は保健所の監視指導等で提示することがありますので、1年程度保管しておきましょう」は、確定でよろしかったでしょうか。保管期間について未定であれば、何かその旨加筆しておいたほうがよいのではないかなと思いました。ここはいかがですか。前にも何かあったような気がします。
○五十君座長 事務局、お願いします。
道野食品監視安全課長 記録の保管期間については、多分業種によってもかなり差が出てくるということもありますので、基本的にはまずはそれぞれ手引書のほうに書いていただくということでいいのだと思います。
 その上で、省令のほうでどういうふうに整理するかというのは、別途省令の条文の検討のときに整理をしていきたいと考えています。もしも修正する必要が発生した場合には、全ての手引書についてもう一回点検をするということで進めたいと思います。
○五十君座長 よろしいですか。
荒木委員 わかりました。
 それから、もう一つが45ページと46ページの後半のところなのですが、45ページの一番下について、「必要に応じて記録するとよいでしょう」と書いてあるのですが、このようなマニュアルとか手引書は、最後に「必要に応じて」と書くと、何となく書いている側は納得してしまうのですが、読んだ側は必要に応じてとは何なのかということがわからないと。ここが一番HACCPシステムを動かすときでも問題になるフレーズだと思うので、例えばこんなときというようなサジェスチョンができるといいなと。その例が記録の例になっているということを認識していただければいいかなと思いました。
 それと、46ページの上のほうで、また、定期的に記録を振り返り、適切に衛生管理を実施できたのか云々ということが、非常によいということで先ほどもお話をしていただいたのはありがたいと思うのですが、定期的な振り返りは誰がするのかというようなことも書いておくとよいのではないでしょうか。現場がやってくれていることを、定期的な振り返りはできれば社長みずからがやっていただくとか、支配人がするのか。責任者がちゃんと見るのですよということに少し言及していただくといいような気がいたしました。
日本食品衛生協会 その部分なのですけれども、46ページの2段落目の途中で、日々のチェックでは各部門の責任者などが確認し、さらに年間計画に基づいた実施記録等も含めて月に1度程度厨房の責任者や経営者なども確認しというようなことで、一応補足はいたしております。
荒木委員 かぶらないようにしたいのですよね。何でもかんでも記録を経営者が見ないといけないとなって、形式的に判こ欄を埋めていくというようなことは限りなく避けたいので、記録をレビューする役割分担を書き分けておいていただくといいかなという気がしているので、文章上の問題だと思うのですが、再考していただくといいかなと思います。
畝山委員 こちらは「自身」の漢字が違います。
○五十君座長 この「自身」ですね。46ページの10行目、漢字の修正をよろしくお願いします。
 ほかはございますか。
 では、私のほうから2つあるのですが、まず、7ページのリスク要因、危害要因の説明で、腸炎ビブリオのところで5℃以下では増殖できませんという表現をしてあるのですが、これは大丈夫ですか。そのほかでは10℃以下で管理しろとなっていて、もしここに5℃という表現が出てきてしまうと混乱すると思います。一般的には腸炎ビブリオは10℃以下で増殖しないという考え方でよろしいと思いますので、当該箇所の確認をお願いします。
 それから、3ページのデータですが、ほかのデータは引用があったのですが、こちらは引用が書いていないので、入れていただいたほうがよろしいと思います。恐らく食中毒統計等からとっていると思いますので、記載してください。
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 先に参りたいと思います。続きまして、資料2につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
事務局 それでは、資料2を御用意ください。
 こちらは日本醤油協会様、全国醤油工業協同組合連合会様、一般財団法人日本醤油技術センター様が作成した、しょうゆ加工品のつゆやたれの製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書案となります。
 こちらの手引書案は、厚生労働省のほうに御相談をいただいてから、昨年11月に検討会の先生方と事前の意見交換を行いまして、内容を確認していただきまして、その際の内容を踏まえて修正していただいたものになります。
 本日はこちらの内容について、日本醤油協会様から10分程度で御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
日本醤油協会 日本醤油協会の小熊と加藤より説明させていただきます。
 まず、私のほうから手引書の対象と食品群、対象業種について説明させていただきまして、その後、手引書を策定する上で留意したポイントについては加藤のほうから説明いたしまして、最後に内容の検証あるいは今後の普及手順等については、また小熊のほうから説明させていただきます。
 まず、この手引書の対象品目または食品群ですが、つゆ、たれ等のしょうゆ加工品類という形で設定させていただいております。要は、しょうゆについては、以前に承認いただきましたけれども、しょうゆを使った加工品類も承認いただきたいということで加工品類のつゆ、たれということでございます。
 対象業種ということで、しょうゆ事業者は、前のしょうゆのときも申し上げましたとおり、非常に中小、零細が多くて、9割以上が中小零細企業という形になりまして、その方々の中で、大体8割強の方々が加工品もつくってございます。実際に出荷比でいきますと、しょうゆが7割、加工品類が3割ぐらいなのですが、金額ベースになりますと、しょうゆと加工品類では5割、5割ぐらい、半々になりますので、加工品類というのはしょうゆ事業者にとっては利益の源泉になっているものでございます。
 では、あとは加藤より説明いたします。
日本醤油協会 それでは、加藤のほうからポイントについて説明したいと思います。つゆ、たれ、加工品については微生物の管理が最も重要で、お手元の資料の2ページ目からその説明をしております。
 前回と重なりますが、図1の赤点で囲まれている部分は芽胞菌が生育する部位で、一般的な文献から持ってきておりますが、丸で示してありますように、ここに実際の製品も入るということがありますので、注意が必要ということです。
 次の図2~4は、黄色ブドウ球菌とセレウス菌とウェルシュ菌をモデルのしょうゆ加工品に添加試験をした結果です。赤丸で示されているところが増殖したところですが、これは先ほど示した一般の文献から言うと、かなり生えづらいスペックになっていることが示されたところです。
 これらを含めまして、4ページに4つの区分に分けて管理をしていくという考え方を示しております。
 1つ目が赤線で囲ったストレートつゆ(区分1)というものですけれども、ここはボツリヌス菌が増殖する可能性があるというところで、そういう管理をする必要があります。
 あと、茶色の部分が区分2というところで、これは文献でストレートつゆではボツリヌス菌が生えないということが示されているところで、この部分は別区分としました。
 実は、前回御説明したときにこれを見直しますというお話をしたと思うのですけれども、見直した結果、丸で囲まれているところは実際の製品なのですが、区分2から外れてしまったものが出てきました。これがあったために、ストレートつゆ(区分1)の4行目になお書きをつけ加えました。何かと言いますと、図6が次のページにありますが、これは横軸が食塩濃度になっておりまして、先ほどの図5は水分活性になっておりますので、図5には入れられないのですけれども、少なくとも、これも添加試験で文献に載っているものなのですが、この食塩濃度とpHの緑の部分はボツリヌス菌が増殖しないということが示されておりますので、この部分については区分1であっても管理としてはボツリヌス菌が生えないので区分2の管理をするということをつけ加えさせていただきました。
 4ページに戻っていただきまして、黄色で示されております区分3は芽胞性のものは生えないので、非芽胞性の危害菌が生えるところの管理になります。
 あと、区分4は危害菌自体が生えないところになり、このような4つの区分の考え方を示しました。
 19ページ目に実際の管理の方法を示しておりますが、一番上が区分1で、先ほど言いましたボツリヌス菌の対象となりますので、120℃、4分の殺菌か、低温流通か、もしくは中級者用というものを私どもはつくっておりますが、自分で危害分析をするという、いずれかの管理をするということを示しております。
 区分2につきましてはボツリヌス菌は生えませんので、主にセレウス菌を125℃、5秒以上相当の殺菌を行うという管理を示しております。
 あと、区分3につきましては非芽胞性ですから、充填は85℃相当で行い、転倒殺菌をするというような管理を示しているところです。
 微生物につきましては、このような形で管理をしていくということを示しております。
 それから、前回御指摘をいただいた点で少し説明をいたしますと、戻っていただきまして7ページ目になりますが、保存料が不足したことによってそれが危害になるのではないかというような御指摘をいただきました。上のほうの紫色のところで、病原微生物による汚染というところの3つ目に「保存料の不足」を追加いたしまして、調合のときの計量管理でしっかり管理するということを追加させていただきました。
 あと、御指摘いただいたのは38ページ目になりますが、中段よりやや下に「殺菌工程」とあって、その特記事項が前回は特になかったのですが、実際に問題があったときの具体例を書いたほうがいいのではないかという御指摘をいただきまして、実際にはこれは温度が低下して対処したことを書いておるのですが、このような実例を入れさせていただきました。
 もう一つ、40ページの一番上の容器の管理云々ですけれども、ここも異物について特記事項がなかったということで、実際には検瓶でひびが入っていたというところの対処について特記事項を追加したところであります。
 以上、ポイントについてお話しさせていただきました。
日本醤油協会 今、申し上げましたような新たに改訂した手引書を使いまして、11月の下旬に熊本県の34の事業者に対しまして説明を実施いたしました。その結果、アンケートをとったところでは、読みやすさ、理解しやすさ、実行しやすさについては、これまでブロックレベルで説明した時と同じような傾向で、大体受け入れられているのかなという状況でございました。
 それから、今後の普及の手順でございますが、前回も申し上げましたけれども、私どもしょうゆ業界では、JASの審査員体制というものを使いましてHACCPの普及を図るということで、ブロックの指導審査員の方あるいは各県のエリア審査員の方々に核になって説明していただくような形をとっておりまして、既に10の県で事業者に対して県単位の説明会を実施しております。今後もそれを継続していく予定でございます。
 私どもの報告としては以上となります。
○五十君座長 ありがとうございました。
 ただいまの資料2の説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。いかがですか。
 富松委員、お願いします。
富松委員 1つ質問させてください。
 19ページの濃縮つゆ、たれの区分3なのですけれども、この区分3は水分活性は0.94以下、もしくはpH4.6以下の領域ですよね。そうすると、これは85℃のホット充填では常温流通できるようになるのかもしれないなと思うのですけれども、10℃以下で流通していない、常温で流通しているような商品は、しょうゆ加工品の中ではないということなのでしょうか。
○五十君座長 いかがでしょうか。
日本醤油協会 聞き取れなかったので、もう一度質問の内容を教えてください。
富松委員 水分活性0.94以下、pH4.6以下であれば、レトルトの条件は必要ないということになっているので、85℃のホットパック充填をすれば常温品でも可能ではないかなと思うのですが、この手のしょうゆの加工品はチルド流通が常識ということなのでしょうか。
日本醤油協会 これは3つ書いてありますが、この中のどれかを選んでくださいという書き方でありまして、またはという形になっております。実際には低温で流通されているものはそんなに多くないと思われますが、そういった選択肢もありますという形で書かせてもらっています。
○五十君座長 よろしいですか。
富松委員 これは選択ですね。読み違えていました。
日本醤油協会 ちょっとわかりづらいかもしれないのですけれども、私どもとしましてはその前に四角があるというのは、ここの中に自分はこの管理をしますというのをチェックを入れてもらうようなことを想定して、これ自体が自分たちの手順書と言ったらいいのか、自分たちはこういう管理をしますということをわかるようにしていこうというようなことで書いております。ちょっとわかりづらかったかもしれません。済みません。
富松委員 私がそこを読み取れなかったので、済みません。
荒木委員 ということは、管理設定の例ではなくて選択肢としていただいて、殺菌しない場合は低温でお願いしますということですよね。
日本醤油協会 実は、29ページの記録のほうにも同じ文章が入っておりまして、ここにチェックをしていくというところでひもづいている形になります。
富松委員 そこを読み取れませんでした。済みません。
○五十君座長 少し修文したほうがよろしいですか。間違いが起こりにくいように、対応していただければと思います。
 ほかに御質問はありますか。
 荒木委員、どうぞ。
荒木委員 それでは、6ページを見ていただけますか。
 考慮すべき危害要因で、異物と添加物を挙げていただいているのですが、2の添加物のほうに関しましては、真ん中辺で「対象食品以外への使用と最大使用量を超えての使用は違反となるため管理が必要です」とおっしゃっていただいていますが、一方、異物のほうに関しては、そのため、種類や大きさなどの具体的な基準はありません、参考として示しますと言って投げてしまっているのです。それで、どう考えたらいいのかということを示していただけるといいのではないでしょうか。
 一般的な衛生管理で、設備の管理で管理できる、そうせざるを得ないケースと、装置を入れたりするというのと、その装置についても感度次第ということですよね。それは事業者みずからが考えて決めてくださいということをうまく言っていただかないと、上は投げっぱなしになっていると思いました。
 それと同じようなニュアンスなのですが、25ページの「管理方法を計画してみよう」の最後の行で、どうしても必要なところから順番に計画・実施していくとよいと思いますというのは確かにそうなのですが、どうしても必要なところというのはどう考えたらいいのでしょうかというので、こういうところからとわかりやすく言ってあげる。自分たちで優先順位を決めなさいと言ってしまうと、これはまた手引書を見た方は悩むのではないかなと思います。
日本醤油協会 まず、1つ目の6ページのところですね。おっしゃられるとおり、確かにぶっきらぼうというか投げっぱなしですので、そこについては、ではどうするべきかということも少し言葉を具体的に追加したいと思います。
 それから、25ページのどうしても必要なところは、結局は必ず管理が必要なところということで、ピンク色で色を入れているのですが、そこをもうちょっとわかりやすいような表現に変えていきたいと思います。
 ありがとうございます。
○五十君座長 富松委員、どうぞ。
富松委員 もう一度19ページで、先ほどの御説明から1つ疑問が湧いたのですけれども、ストレートつゆの区分1に関しては通常であれば何でも生えるので、120℃、4分の殺菌の後は無菌状態でないと危なくないかという気がするのですけれども、これが選択肢だったとしたら、120℃、4分の殺菌後の充填は、85℃ホットパックで大丈夫なのでしょうか。
日本醤油協会 言われるように、無菌充填が理想であるかとは思われるのですが、ここにも充填後速やかにというところで、連続してその後に85℃で容器についているようなものを転倒殺菌で殺菌して充填するというところで、無菌というか、その間にほぼ無菌は保たれているという前提で書かせてもらっているというところです。
富松委員 実績として、こういうことは今までやってこられたのですか。
日本醤油協会 実際に、現状では皆さんこれでやられています。
富松委員 この方法でこれまで問題がなかったということですね。わかりました。
○五十君座長 よろしいですか。
 中村委員、どうぞ。
中村委員 37ページに調合・殺菌の記録様式の例が記載されていると思うのですが、ソルビン酸の添加の記録だと思うのですけれども、良ということですが、良、否だけではなくて、添加物の配合については実際に計量した量を書いておいていただいたほうが後できちんとトレースができると思うのです。
 ですので、記載例の中で配合量、それから、一番上のところに調合・殺菌においては決められた基準になる数値を記載して、具体的な配合量も記録として書いていただいて、確かにその数値に適合しているので良だというような書きぶりがわかるような様式にしていただければいいなと思います。
 以上です。
日本醤油協会 御指摘ありがとうございます。
 確かに、数字的なところは6ページにある程度具体的な数字は示させていただいているのですが、それをもってして、あとは実際に記録のところにきちんと数字も記録するという形に変えたいと思います。
 ありがとうございます。
○五十君座長 ちなみに、対応なのですが、毎回数字を記録するのは大丈夫ですか。あらかじめ幾つと決めておいて、チェックだけの方式にしなくて大丈夫でしょうか。毎回添加量を記入する方式になっていますが。
日本醤油協会 実際には作業する作業員の人たちは数字を書くぐらいはいけるような気がしますけれども、ここはもうちょっと実際にやられる方々の意見も聞きながら、よりやりやすいほうの書き方に変えていきたいと思います。
○五十君座長 そのあたり、実行が厳しくなるようでしたら何らかの形で対応していただけるとよろしいと思います。
日本醤油協会 承知いたしました。
○五十君座長 ほかにございますか。
 道野課長、どうぞ。
道野食品監視安全課長 全般的なことというか、主に19ページにかかわることなのですけれども、実際にしょうゆ加工品の現場で起こっている問題というのは、腐敗だったり、変敗だったり、かび発生ということなのだろうと思うのです。ボツリヌス菌、食中毒菌に絞った記述になっているのですが、もう少し、例えば19ページの区分4で酵母や乳酸菌の話が出てきていて、増殖条件が一番厳しいところで出てきているのに、ほかのところでは出てきていないというバランスの問題もあります。まとめて書くような形で、乳酸菌だとか酵母の話についても、他の区分についても言及されればどうかと。
 もっと言うと、先ほどの管理の選択肢という話ですけれども、ここは確認なのですが、清涼飲料水の殺菌条件まで考えて書いていらっしゃるという受けとめでいいのか、そこはもう少し物理化学的な条件が違うので、清涼よりは甘い殺菌条件でいいと考えておられるのか、この辺についてはどうなのでしょうか。
日本醤油協会 清涼飲料水の殺菌条件との関係がわからないのですが、私どもとしましては、最初に御説明しましたように、添加試験も実際につゆ、たれ、ストレートつゆの一般的なスペックに合わせたものをつくりまして、その成分を振って、そこに添加試験をしている結果を示しておりますが、これから言うと、一般に示されている増殖範囲よりは明らかに安全な方向にあります。なので、それは加味してあります。それを含めた上でこのような区分をしたというところになります。
道野食品監視安全課長 その辺は微生物が専門の先生方から見ても、この辺はこういった条件でほぼいけるのか。85℃相当と書いているのですけれども、時間も書いていないですから、この場合も瞬間ということになるのだろうと思います。この辺の数字についての記載自体は、この選択肢で十分なのかどうなのかということに関して、むしろ先生方にお考えをお示ししていただけるとありがたいなと思います。
○日本醤油協会 実は、前回この85℃相当のところで、荒木先生からも御指摘いただいたのですけれども、私どもは最初、85℃、5分だったか、時間を書いておったのですけれども、実際にその時間を保つというか、それを保証するのは難しいだろうということで、充填して、これは自然放冷という形で、その時間は正確に85℃が何分と数字は書けないというか保証はできないのですが、少なくとも瞬間ということではなくて、自然放冷の間の時間が含まれているということをつけ加えさせていただければと思います。
○五十君座長 今、事務局から、加熱条件等について専門的な立場でいかがでしょうかという確認なのですが、それに関して何かコメントのある方はいらっしゃいますか。
 朝倉委員、何かありましたらどうぞ。
朝倉委員 85℃で自然放冷されるということなのですけれども、逆に今までのデータとして、例えば何秒以上とか、1分程度は保持できるといった知見はございますでしょうか。
荒木委員 いや、それは状況が。
朝倉委員 状況はいろいろだと思うのですが、今、私が言っているのは微生物だけの話です。
荒木委員 サイズ感がわからないのですよね。それと、ペットボトルなのか、ガラスなのかなども若干わからないところはあります。
 120℃、4秒できちんと殺菌はされているものが、そのまま充填されるのではなくて、一旦ホールドタンクなどに行く、あるいは、連続して来るにしてもだんだん温度が下がってきますよね。85℃でやっつけたいのは、むしろこの容器の中身なのですよね。熱いのを入れてこうやって置いておく、あるいは流れていくということで殺菌できるから85℃とおっしゃっているわけですよね。
 そうすると、どのぐらいの時間で放冷していくのかというところがわかれば、85℃で詰めればオーケーですという話ですよね。すぐにひっくり返れば中全体は85℃でしばらくいるということだと思うので。ただ、それは経験的にずっとやっておられるので。
朝倉委員 商業的殺菌ができているということですよね。
荒木委員 結局、それはできているだろうと今は推察しているわけですよね。
 一番問題なのは、せっかく熱いものを入れたのだけれども、そのまま放冷しておいて、後になってからひっくり返しても効果はないですということを言いたいという、充填のところのニュアンスですよね。
○五十君座長 今、荒木委員から解説があった件で、事務局、いかがですか。
道野食品監視安全課長 懸念としては、内容については例えば120℃、4分で殺菌しておいて、結局容器は85℃の瞬間でいいのですという伝わり方だと、どうもそこは矛盾点があるのではないかと思われたので、そこは85℃で容器由来のものというのは経験的にこれで基本的にはコントロールがされているだろうという前提のもとで書いている記述だと整理がされるのであれば、それで結構だと思います。
○五十君座長 経験的に、今までこの処理で実行してきて、特に問題が起こったことがないということでしょうか。
 実際にスパイク実験等をやってデータを出す場合でもいろいろ難しい問題があります。後でコメントしようと思うのですが、それ以外としては、実際にこれまで運用してきて、転倒することによって85℃で正確に入ってきた場合に、商品として後でトラブルが起こる例が起こっていないことが確認できれば、様子が違うかと思います。
 もし余りはっきりした経験的な情報がないとすると、入れたときに温度がどのように変化するかという検証が必要となります。温度に関してこの条件だったら微生物は十分コントロールできますねという理論武装が必要ということになるのかと思うのですが、実際はいかがでしょうか。
○日本醤油協会 実際にこういうお話のところで、メーカーさんから直接聞き取りをしたとしても、なかなか表に出したくないような事業者さんもいるかもしれないので、正直なデータが出てくるかわかりませんけれども、実際にそういうことで製品回収に至ったというような大きな話というのは、正直なところ余り聞いたことがございません。でも、今のお話のように、もう少しその辺も具体的なところを確認していきたいと思います。ありがとうございます。
○五十君座長 細菌学的に言うと、85℃で瞬間入ってきた場合に、容器の状況などによって温度変化はかなり違いますので、その温度変化を見るだけでは予測はつくと思います。もしそのあたりが心配でしたらその検証をする必要があると思いますし、経験的に今までそんなに問題が起こっていなくて、十分に管理できそうだということでしたら、データまで出す必要はないかと思います。
 もう一つは、スパイク実験では、先ほどの文献値等よりも良好な結果、十分殺菌されているという結果が得られたことに関しましては、実は実証的にある株を選んでスパイク実験をした結果は、どうしても文献等の安全域よりも安全側に出てくる傾向がありまして、どの程度の数の菌を使って判断するかというのは難しい点があります。必ず引用文献等のデータとスパイク実験とあわせて議論されるのがよろしいと思います。
 2~3ページのあたりでつくっていただいている幾つかは、これは実際の菌のスパイク実験の結果がほとんどでしょうか。
日本醤油協会 図2~4につきましては、私どもで行ったスパイク実験であります。
○五十君座長 これは、文献的には査読されている論文等に公表されているデータではないということになりますでしょうか。
日本醤油協会 このデータは査読つきのものには載せておりません。
○五十君座長 そうすると、株数が幾つとかそういった科学的な裏づけの確認はされていないことになるのですか。
日本醤油協会 それぞれ株数は1種類の株を使っております。
○五十君座長 1種類の株による実験のデータということで出していただかないと、査読されている論文等のデータと同列に扱うことは難しくなります。1株のみのデータの実験と文献のデータという正確さの異なるものが表となっておりますので、その辺のところは注釈を加えていただいたほうが良いと思います。
日本醤油協会 注意書きは入れるようにいたします。ありがとうございます。
○五十君座長 1株によるスパイク実験の結果ですという注意書きを入れていただくのがよろしいかと思います。
 ほかに御質問等はありますでしょうか。
 富松委員、どうぞ。
富松委員 今のストレートつゆのホットパック、85℃のところですけれども、ホット充填で殺菌させるというのは、ボトルの汚染等だと思うのですけれども、ここで肝になるのは加熱殺菌後の充填機の汚染だと思うのです。
 経験的に今まで菌の問題がなかったというのは、ここの洗浄がしっかりなされているということだと思うのですけれども、そこのところは85℃のホットパックが前提だとすると、充填機をしっかり洗浄・殺菌することがこのプロセスの肝になると思います。そういうところを追記で注意喚起されたほうがいいと思います。
 以上です。
日本醤油協会 今のところにつきましては御指摘いただいたとおりで、13ページに製造機器の洗浄を確実に実施することを追記させていただいております。
○五十君座長 13ページに追記があるということですね。
日本醤油協会 それは御指摘いただきましたので、確実に洗浄・殺菌をするようにということは追記させていただきました。
○五十君座長 よろしいですか。
 そのほか、御質問等はございますか。よろしいですね。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、資料3について事務局より御説明願いたいと思います。
事務局 それでは、資料3-1~3-3を御用意ください。
 こちらは一般社団法人日本フードサービス協会様が作成された、外食事業者のためのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書案となります。
 こちらのほうも厚生労働省のほうに御相談いただきましてから、昨年11月に検討会の先生方と事前の意見交換を行わせていただき、そのときの内容を踏まえて修正していただいたものになります。
 本日はこの修正した手引書案について、一般社団法人日本フードサービス協会様から10分程度で御説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
日本フードサービス協会 御紹介にあずかりました、日本フードサービス協会の安全安心委員会で作業チームを編成いたしまして、そのリーダーをさせていただきました、山下でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料を御説明させていただく前に、お詫びと訂正がございます。
 資料編の12ページ、13ページを御覧ください。
 こちらのほうに、米国のFDAの『フード・コート2017』より引用した生卵・食肉・食鳥肉の加熱条件に関する国際データの表を添付しておりまして、そこに挽肉・テンダライズなど加工した食肉について、中心温度が63℃で3分などの加熱調理条件を紹介しております。
 資料編の編集後に、関係機関との情報交流の中で、食品添加物等の規格基準、告示の中で、豚肉は中心部を63℃で30分間加熱するということが定められております。この表に示した加熱条件を使用した場合には、当該の基準に抵触する不適切な記載内容であることがわかりました。
 私ども食品事業者がHACCPの考えでもって調理加熱条件を科学的な検証でもって見直していく上で、これらの引用するデータは非常に重要な情報の一つとなりますので、資料編への掲載に関しては、基準に抵触し混乱することがないように、私ども作業チームで適切な表現に修正させていただきたいと考えておりますので、ここにお詫びと訂正の説明をさせていただきます。
 では、早速手引について御紹介をさせていただきます。
 お手元の資料3-1が本文になります。それから、資料3-2は、実際に私どもの会員の中で最終形がどういうものなのかという質問が来る場合がありまして、前回の事前の検討会の中でも御紹介させていただいたのですけれども、完成形を例として示したものが資料3-2になります。資料3-3が資料編になります。
 まず、私ども一般社団法人日本フードサービス協会の概要について簡単に触れさせていただきます。
 外食企業の中核企業による業界団体ということで、昭和49年10月18日に設立いたしました。会員数が451社、会員の店舗数が約7万4000店。これは全国の飲食店の店舗数の約11%となります。それから、売り上げの合計が約7兆5000億円。これが全国の市場規模の約30%となります。
 現在、外食市場は約25兆6600億円ということで、日本には店舗数が約64万4000店舗。そこに従事している従業員が468万人と非常に大きなものになります。
 この手引書につきましては、対象を多店舗展開している外食事業者としておりますけれども、なぜこういう分け方をしたかといいますと、これらの事業者はレシピ、マニュアル管理を本社が行っておりまして、原材料の指定であったり、メニューの決定であったり、提供方法の決定は本社が関係しております。また、マニュアルや記録用紙については本社が行っているという特徴がございます。ただし、1店舗当たりの従業員数は数名でございまして、これは小規模飲食店とほぼ変わらない。また、厨房の環境もほぼ変わらないという状況でございます。
 業態としましては、ファーストフード、ファミリーレストラン、パブ、居酒屋、ディナーレストラン、喫茶、給食、宅配まで、幅広い範囲になっております。そのため、この対象の品目については全品目、全商品と考えております。
 概要をこれから御説明させていただきますけれども、まず、資料3-1の手引のほうを御覧ください。
 全体の構成といたしまして、第I部はそれぞれの食品事業者の本社・本部の担当者、責任者が、まず基本的に知らなければいけない知識で、導入部分になります。第1章が基本的な考え方、第2章が多店舗展開する事業者として理解しておかなければいけないこと。
 また、第II部の実践編につきましては、実際にこの手引を使いながら衛生管理計画をつくっていく、実際にこれを見ながら実行するところになっております。
 第III部が教育編。私ども事業者にとって必要なのが従業員の教育訓練になりますので、そのポイントをまとめております。
 まず、この手引書を今回完成させるに当たって、アンケート調査を実施いたしました。私どもの協会の会員404社に郵送でアンケートを行いまして、64社、約16%の回収でございました。手引書の使いやすさに関しては大変使いやすい、わかりやすいというものを合わせて、約6割から使いやすい、わかりやすいという返答を受けております。アンケートから幾つか意見をまとめる中で、この手引書に関しては従業員教育や他部門との協働に使いたいという要望がございました。
 本文のほうの御説明に入ってまいります。まず、前回の御指摘の中で、私どもも非常にいろいろな業態がございますので、この手引書をどのように使うのかというお話がございました。これにつきましては、6ページ、7ページを御覧ください。
 実際に、私ども多店舗展開している事業者におきましては、本社・本部がまず衛生管理計画を作成してまいります。6ページの下のほうの表を御覧いただきたいのですけれども、こちらに取りまとめております。マニュアル・記録用紙を作成し改善するという役割を持っているのですが、実際に店舗ではマニュアルを実行するということが中心になりますけれども、このテキストに関しましては従業員教育ということで、管理計画の実行と記録を行っていくとしております。
 実際にこれを店舗で運営して何か問題があった場合に、どのようにフィードバックをするのかという御質問が前回ございました。これはエリアマネージャーという者がございます。店長の上司に当たりまして、地域ごとに自分の所轄のお店が円滑に運営しているかということを確認する立場の者なのですが、その者が指導する立場とあわせて、実際にお店での実行状況を確認、指導いたします。そのフィードバックを本社・本部に宛てて、本社・本部はそれを改善に反映させていくということで、前回、PDCAサイクルという話がございましたけれども、そういう形で組織の中で行っていきたいと思っています。
 また、こういうことで見える化ができますので、保健所による監視指導にも役立てていきたいと考えてやっております。
 それから、導入編のほうのポイントで修正した部分をお話しさせていただきます。
 まず、15ページは、先ほど申しましたように、私ども多店舗展開している食品事業者において、留意すべき点として6点を衛生管理計画に反映させているということで、「メニューの決定」「サプライヤーの指定」「中間原材料の仕様決定」「調理後の保管時間」「厨房内の区画」「提供後、お客様がお召し上がりになるまでの時間」等について、これらをきちんと管理しているかによってお客様の健康被害の起こりやすさを推測していくということを、こちらに示してやっております。
 16ページ、17ページを御覧ください。食材及び工程ごとの代表的なハザードと管理措置を紹介しております。外食の場合、メニューも多い、使う原材料も多い、調理工程も多いということがございまして、アプローチをする場合の方法をここに示しております。
 18ページ、19ページは修正になります。メニュー分類でくくって紹介しております。温度帯別の細菌増殖スピードを明示しまして、危険温度帯での措置を考慮する必要がないグループというものを、19ページのほうでグループ0と示しています。その上で、危険温度帯においてもよい時間というコメントをいただきましたけれども、19ページの注1で食品の特性に応じて時間設定をしておくということを加筆させていただきました。
 そのほか、導入編に関しては、前回の御指摘に合わせて必要な修正をしております。
 次に、実践編のところを御紹介してまいります。
 25ページは、表紙に責任者のサインを明記するようにいたしました。
 40~42ページを御覧ください。前回も御紹介させていただきましたが、私ども外食におきましては、他の製造業種と大きく違う点がありまして、つくり置きと継ぎ足しがございます。それを明記して、こちらに留意点を挙げております。
 47~53ページに、衛生管理計画の項目をチェックしやすいものとするために、自社のレシピから衛生管理措置の確認の方法といたしまして、調理プロセスごとの衛生管理措置の確認の方法を丁寧に記載いたしました。
 また、フローダイアグラムの作成においては、弾力的な運用から選択可能という形式にしております。53ページです。
 56~86ページは調理プロセスの衛生管理項目ということで、自己点検をするようにしております。このチェック表の中で既存のマニュアルの見直しを可能にということで、まず自分が持っているマニュアルをきちんと点検し、必要な要求項目がそこに反映されているかどうかということを自己点検していく。マニュアルがないことがわかったり、実施しないでいいようなことがあった場合には、理由を明確にして、見える化を図っております。
 83ページは修正になります。前回、荒木委員のほうから温度計の校正に関して御助言をいただきました。現在、私ども外食事業者の実態としまして、まだ温度計が十分に普及していない。まして、校正を経験したことがないという状況がありますので、今後の普及・啓発の中で、手引書の中では「校正」から「確認」という表現に修正させていただきました。
 その他、御指摘に合わせて必要な修正をいたしております。
 次に、手引書の教育編でございます。教育編につきましては、89ページを御覧ください。
 教育訓練の重要性について言及し、チェックポイントをここに明記しております。また、教育訓練のタイミングということで、1番に採用時、マニュアルの改定時などに必要に応じてスケジュール化していくということをチェック項目に加えさせていただいております。
 また、91ページを御覧ください。特にうまくいかなかった場合の確認のポイントを示しております。
 ほか、御指摘に合わせて必要な修正をしております。
 次に、資料編のほうに入ってまいります。
 バックデータに関してのお詫びと修正については、先ほどお話しさせていただきました。ここでは趣旨といたしまして、外食事業者の知見を広げると。それから、外食が気をつけるべき危害要因について記載させていただいております。
 10ページを御覧ください。
 これは、お客様が実際に焼いてお召し上がりになるような提供方法がある場合がございます。この場合も、厚生労働省のホームページから加筆させていただきまして、トングの注意事項について追記させていただいております。
 それから、資料編の後半に記録用紙を添付いたしております。事務局のほうからの御助言で、実際にどのように記載するのかというのをあらわしたほうがわかりやすいだろうということで、名前はなじみのある名前が書かれておりますけれども、約16種類の記録用紙と実際に記載した例を掲載して、具体的にこういうふうに書くと。
 ここでのポイントは、もし逸脱があった場合に確実に記載を残しておく、対応を決めておくことが重要になっていることを注意しております。
 それから、それぞれの記録用紙に記入事例も記載しております。
 何かあった場合の特記事項の記載欄に関しては、実際に何かあった場合にどこに書くのかということが現場では決まってない場合が多うございます。日誌に報告するという事業者もございますし、そういうふうに記載先を明記し、また、記録用紙については1日単位で記録する場合と、月をまとめて記録する場合がございますので、マンスリーの記録用紙にも加筆修正という例を設けております。
 あと、先ほど御説明させていただきましたように、私ども外食事業者の中で、過去より挽肉等の加熱不足によって起こる食中毒に関しての御指導、御助言が出ておりました。
 今回、この手引、資料編の中で、きちんと事業者が科学的な検証をもとに現在行っている調理条件について点検を行って、必要があれば修正し、それを基準に反映させていくというところを重視して記載しておりますので、その点も御確認いただければと思います。
 説明は以上でございます。
○五十君座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。
 まず私から、このタイトルなのですが、「外食事業者のための」と言うと、食品衛生協会さんのつくられた小規模な一般浸食点事業者向け手引書とどちらを使用すればいいのかと混乱する可能性があると思います。
 これは何のためのどういう手引書ですと6ページに書いてありますので、むしろ多店舗展開するというのを頭につけたほうがわかりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
日本フードサービス協会 私ども、実は多店舗展開する中でも、1店舗2店舗だけで事業展開している場合がございます。こういう場合は食品衛生協会様のほうで作成されたもののほうが使いやすいということも6ページのほうにも記載させていただいていますので、それが表紙のタイトルのところでもわかるような形に工夫させていただきたいと思います。
○五十君座長 恐らく、外食というと、どちらの手引書なのかと混乱すると思いますので、ぜひ御検討いただきたいと思います。
日本フードサービス協会 承知いたしました。
○五十君座長 ほかに御質問、御意見等はございますか。
 荒木委員、どうぞ。
荒木委員 今、山下さんから御説明があって、再考されるという資料編の12ページ、13ページあたりの国際的なデータ、フード・コードの引用というところが一番問題だと思っています。
 63℃30分、あるいは75℃1分というもののもともとの根拠データが我々は明確ではなく、そういう1行があるからそれを守らなければいけないと今、なっていますけれども、現実的にはそれと同等のということになっていて、では同等とは何なのかということを皆が理解しないと、前に進まないなという気がしています。
 フード・コードを見ますと、この表の後にもうちょっと温度と時間の関係が書いてある表も出ているのです。12ページの下の表に該当するものの上に、フード・コードでは63.9℃だと134秒だけれども、65℃だと85秒でというような、これもホールの分で書いてあったりするのです。
 私が心配しているのは、むしろもっと温度が低い場合。昨今はレストランでも低温調理を結構やっていますから、真空にしておいて低温で2時間とか、長時間調理するというような例もあるようなので、そこに対する考え方とかデータを提示できたらありがたいなと思うのですが、いかがでしょうか。それを待つと延々できなくなるでしょうか。
日本フードサービス協会 ありがとうございます。
 今、荒木先生がおっしゃったように、私ども事業者というのは経験と勘でこれまで来たというのが現実です。ただ、前提条件として、経験と勘はいいのですけれども、使う原材料の汚染度に応じて調理方法を決めないと、一時的に全部同じ経験と勘でやってしまうから食中毒が起こるということも、私どもの業界の中でも経験しておりますので、それに関して、まず自分はきちんと原材料に応じた調理を行っているのか。また、そのばらつきも含めて検証しているのかということを、まず各事業者に普及していくことが最初かなと思っています。
 データに関しては、アンケート調査の中でも、私ども食品事業者の中でフローダイアグラムをつくったことがない人がほとんどなのです。実際にどこまでそれを自己検証していくのかというところは普及拡大をする中でも重大なテーマだと思っていますので、中心温度をはかる場合でも、赤身の部分と脂身の部分によって全然温度の出方が違う部分もございますので、データを確認しながら、それを実際に検証する手段ですね。私ども事業者が自分で検証するというのは難しいので、検査機関のほうにお願いして、いろいろな検査法も含めて協議しながら、また、それを私どもはサポートしながら、先生方にも御指導いただきながら進めていくしかないのかなというのが、今の御質問に関するお答えになります。
荒木委員 こういう表を入れてしまいますと、とかく表がひとり歩きしがちだと思います。必ずかくかくしかじかで考えるとこんなことですよという示し方をしないと、混乱を招くと思うのです。菌数もすごく低くて、衛生的に取り扱われた原料であれば、そこまでしなくてもいいのですということも必要ですし、逆になぜ挽肉が問題なのかといえば、実はこういうことだから中までちゃんと火を通してくださいというように、そこはわかりやすく解説をしていただいて、これでオーケーですという一刀両断ではできないということも示しておく必要があるのではないでしょうか。それが事業者としてのリスクですよね。
日本フードサービス協会 おっしゃるとおりで、実は厚労省の基準審査課からも、昨今、食肉の事件が起こって、もっと業界の中で取り組めることはないのかといういろいろな御助言をいただきました。
 資料編の12ページを御覧いただけますか。
 この上の赤字の部分は、私ども、ここまで書いていいのかなと思っていたのです。これはHACCPの考え方は絶対に守らなければいけないということで、冒頭の部分は今、荒木先生がおっしゃった部分の安全です。例えばしっかりした衛生管理を実施していると畜場及びカット工場からの原料肉を購入し、加熱前の当該肉の統計的に十分な量の大腸菌数のデータがワーストケースを想定し、10/gオーダーである確認がとれている場合、4log低下される加熱条件で10-2のグラムまで達成でき、さらに安全率1logを考え、5log低減できる加熱方法を行えば、理論的には安全な商品を提供できます。しかし、上記の条件の1つでも十分な確認ができないまま、この条件を採用した場合は、食中毒が起こるおそれがありますと、ここまで言い切ってしまっているのです。
 それで、その下の原材料がその状態に管理されていない疑いがあるときは、必ず中心部の温度を63℃30分以上、75℃1分以上、またはこれらと同等条件の殺菌効果が確認されている条件を保持することが指標になりますというところです。
 これを普及拡大していかないと、現場はほかがやっているからうちもやれというのがどうしてもございますので、この手引書ができたから終わりではなくて、これをどういうふうに普及していくのかがスタートだと思っておりますので、今、御指摘の部分も今後普及拡大の中で参考にさせていただきたいと思います。
荒木委員 現場でこれを参考に読まれる方々が、5-log Reductionといって何のことだかわかるのかという話ですよね。102オーダーでとなったときに、それって何なのかと。もっとわかりやすく、ぱっとつかんだ肉に菌が何個いたら危ないというわかりやすいところまで、易しい説明にブレークダウンしていかないといけないのではないでしょうか。
日本フードサービス協会 ここは経営者が全面的に権限を持っている場合が多うございます。これは衛生管理計画のメリットというのがここに書いてあるのです。経済的なメリットやコストダウンなどもあるし、品質が向上することによって顧客は満足しますよと。それとあわせて、これを守らないと会社がなくなるよというような部分も経営者に強調しておりますので、私どもでもなかなかこれを表現することは難しいのですけれども、できるところから水準を広げていかないと、広域でやっている場合は1つの事故が全国に広がりますので、今の御指摘を参考にさせていただきながら取り組んでいきたいと思います。
○五十君座長 事務局、どうぞ。
道野食品監視安全課長 余り知られていないのですけれども、ここまで書いていいのかなとおっしゃった部分に関しては、実は75℃1分ということに関して、それから下の温度について別の業界からも照会を受けて、5log低減ということを前提にして、75℃1分とほぼ同等でしょうという加熱条件を厚生労働省のホームページの中で明記しています。そういったものも参考にして、むしろそういう結論を書いていただいたほうがいい。
 実際、この条件で肉を加熱してもらうと、75℃1分よりもかなりちゃんとした食べ物になるというようなこともありますので、そういったものを参考にしていただければと思います。
 もともと75℃1分と同等ということで、海外の文献等も調べて、専門家にも御相談しながら一応整理した考え方ですので、参考にしていただければと思います。
 ここの記述は確かに難し過ぎるというか、だから何だということがよくわからないということですので、結論のほうは厚労省のホームページにQ&Aで出していますので、参考にしていただければと思います。
日本フードサービス協会 ありがとうございます。承知いたしました。
○五十君座長 事務局からお話がありましたように、12ページについては、私もまだ議論の必要な部分があると思います。今、厚労省の科研費の中で、こういった加熱に関する検討をしている研究班がありますので、検査機関でなかなか対応してもらえない部分、こういったデータ出しやこのような情報が欲しいという希望を言っていただければ、そういったデータを研究班が提供していくように考えていきたいと思います。ぜひ、こういったデータが欲しい、こういったデータでこのあたりをどう整理していくかを決めたいのだということを提案していただければ、研究班が対応できると思います。御検討いただければと思います。
日本フードサービス協会 ありがとうございます。承知いたしました。
○五十君座長 手引書からちょっと離れた内容で、申しわけありません。
 ほかに御質問等はございますか。
 中村委員、どうぞ。
中村委員 実態として教えていただきたいのですが、保健所との情報共有を書き込んでいただいてありがとうございます。実際に我々が入ったときに、このマニュアルといいますか、手引書が網羅されているかどうかを確認させていただく一つとして、58ページからマニュアルチェックのシートがございますけれども、今後各事業者さんはこういう形でのチェックを行って、そのチェックを行った結果は各店舗で我々が見られるような形になるのでしょうか。
日本フードサービス協会 資料3-2のほうがその参考になっているのですけれども、実際に資料3-1をやってみて、でき上がってくるイメージがこの3-2になるので、必ずしもこの形になるかどうかは各事業者でつくられる方によって違うのですが、おおよそこの項目が網羅されたものが店舗に置かれている状態で、店長なりあるいはオーナー、オペレーターのサインが置かれているので、保健所の方にもそちらを見せていただいて説明できるのが理想ではあると思うのですが、なかなか店長がこれをばっちり説明できるかというところが課題になるので、我々としても教科書としてこの手引書が使えるようにうまくつくり込んでいけないかなというのが今の実態になります。
中村委員 ありがとうございます。
 それから、この手引書を使うか、あるいは日食協さんがおつくりになった小規模の飲食店のマニュアルのほうを使うか、それぞれあるということですけれども、会員の皆さん方で大体どのぐらいの比率かというのはおわかりになりますか。
日本フードサービス協会 比率は何とも言えないのですけれども、イメージとして、ここの冒頭にも書いてあるのですが、どちらを選ぶかという最初の分け方みたいなところなのですけれども、自分自身が社長であり、オーナーであり、その店の店主であるという場合は、食材をどこのサプライさん、工場から買う、どういう調理法をして、どういう条件で調理して、どういう味にするということを全て社長というかオーナーが知っている状態なので、頭の中にレシピも入っているので、ここまで書き出す必要がない。なので、食協さんのほうの簡易版を使っていただいて問題ないのではないか。
 一方、多店舗展開する場合は、店長たちは単に雇われているだけで、マニュアルを渡されて、このとおりにやれ、こういうふうにでき上がるからと言われているだけで、そもそも何でそうなったかを全く理解していない可能性があるので、こちらがしっかりした管理の項目を用意していかないと、上長となる人間がこのお店が果たしてちゃんとオペレーションを店長がやってくれているのかということを確認できないので、記録が少し多くなっているというのは実態なのです。その店舗にいる店長が全てを把握しているかしていないかというところで、まずどちらを使うかを選択するので、恐らく私の経験上であれば、店舗が3店舗、4店舗ぐらいになって、社長である自分自身が店舗に全部指導し切れなくなってきたなと思ったあたりからこちらに移行してくるのだと思います。そういうような使い方をできるようなつくり込みというか、たてつけというか、食協さんのほうからのシームレスな移行ができるようなイメージでつくったつもりでございます。
中村委員 そうすると、同じチェーン店であっても、フランチャイズと直営店で違うということはないということでいいですか。
日本フードサービス協会 それはないです。同じオペレーションをしている限り、それはフランチャイズチェーンのオーナーであっても、本社・本部での管理というような位置づけになるので、それは同じになると思います。
中村委員 わかりました。ありがとうございます。
○五十君座長 それでは、時間が超過してまいりましたので、ほかに御意見、御質問等がある場合は概要のみでお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは、どうもありがとうございました。
 続きまして、資料4につきまして、事務局より説明願いたいと思います。
事務局 それでは、資料4をお手元に御準備ください。
 こちらは一般社団法人日本ミネラルウォーター協会様と、一般社団法人日本宅配水&サーバー協会様が作成した、清涼飲料水のうちミネラルウォーターの類の製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書案となります。
 こちらは厚生労働省に御相談いただきましてから、昨年10月に検討会の先生方と事前の意見交換を行わせていただきまして、その際の内容を踏まえて修正していただいたものになります。
 本日はこちらについて、日本ミネラルウォーター協会様と日本宅配水&サーバー協会様から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
日本ミネラルウォーター協会 日本ミネラルウォーター協会の事務局長をしております、渡辺と申します。
日本宅配水&サーバー協会 私、日本宅配水&サーバー協会製品水委員会の座長を務めております、関小田と申します。よろしくお願いいたします。
日本ミネラルウォーター協会 そうしましたら、お手元のミネラルウォーター類製造におけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書について御説明したいと思います。
 これは、下にありますように2つの団体が協力して作成したものでございます。
 3ページに適用というか対象業種が書いてございます。まず、小規模な事業者を対象にしているのですけれども、この業界で考えている基準としましては、小規模な事業者というのは従業員数10名未満かつ生産量が300kL/年未満と考えています。この基準については、後日政令等で定められると聞いておりますけれども、従業員数だけを少なくしてしまうと、意外と大きいところの事業者でも、従業員数がすごく少なくて、すごくたくさんつくっているような工場もございますので、今回は従業員数と生産量ということで対象を決めさせていただいています。
 それから、適用ですけれども、ミネラルウォーター類というのは水のみを原料とする清涼飲料水と食品衛生法で定められておりまして、この中には炭酸ガスを圧入したようなソーダ水も含まれております。ただ、ソーダ水については炭酸飲料の扱いになりますので、これについては全国清涼飲料連合会のほうでつくられた手引書を適用したらよいかなと考えております。
 あと、ミネラルウォーター類ですけれども、実は清涼飲料全体の5分の1ぐらいの生産量になっております。特徴としましては、事業者数が300~350社ぐらいあるのですが、ほとんどが中小でございます。ただ、通常の清涼飲料水の中小とちょっと違いまして、新規参入がかなり多い業種で、例えば親会社が倉庫をやっている、ガソリンスタンドをやっているなど、ほかの業種をやっている方が、例えばいい水が出るから水に参入するというようなこともかなりあるような業種でございます。
 あと、製品としましては、地下水を使ってペットボトルに詰めているようなものから、大きいガロンボトルに詰めて、それをサーバー、機械を使って出すような形のものもございます。
 業種としましては、中小といいましても、宅配水のほうはフランチャイズ制を敷いておりまして、フランチャイズで展開しているような業種でもございます。
 続きまして、5ページから一般的衛生管理ということで書かせていただいております。この5ページに書いたのは、この業界は今までもそれほど事故はございませんで、何でこのHACCPをやるのかというところがありますので、とにかくこのHACCPという世界共通の言語で見える化するのが目的なのだということをここに書いています。
 その次の6ページから、HACCPの考え方に基づくということなので、このHACCPについて少し知っておいていただきたいということで、これは厚生労働省の資料が非常によろしいので、HACCPの考え方。あと、一部ちょっと修正をしましたけれども、HACCPに関する用語集ということで、HACCPの基本的なことをここにつけさせていただいています。
 次に、一般的衛生管理の具体的な話が12ページからですけれども、この一般的衛生管理は、私の経験からとにかく5Sをしっかりやっていただくということが一番大事かなと思っておりまして、そこを強調させていただいている。
 それから、厚生労働省のほうで衛生管理の事項としてここに10項目挙げていますけれども、こういうような整理の仕方もあるということも挙げています。
 あと、清涼飲料水の業界では、ここにあります、清涼飲料水の工場の一般的衛生管理ガイドブックというものをつくって、昔から講習会等をやっておりまして、これは非常に細かく、いろいろな会社さんがそれぞれ今まで得た経験に基づいて書いていますので、非常にいい本かなと思っております。
 一般的衛生管理については、今回は中小事業者を対象にしていますので、厚生労働省の一般的衛生管理のものを修正させていただいて、その後の13ページからつけていますけれども、この中で特にミネラルウォーター業界で特徴的な部分としては、20ページに原水の衛生管理ということを書かせていただいています。
 これは水道水を使ってつくる場合は特に関係ないのですけれども、地下水を使ってミネラルウォーター類をつくる場合は、泉源である井戸をしっかり管理するというところが非常に重要になりますので、井戸の水質を常にチェックすることや、泉源周囲の環境を管理すること。さらには、最近は悪意ある人為的な汚染防止ということで、泉源を建物や塀で囲って施錠するというようなことも非常に大切であるということで書いています。あと、泉源の衛生管理については厚生労働省のほうからも通知が出ていますので、それについてもここに紹介させていただいています。
 続いて、25ページから危害要因を記載しています。具体的には26ページからですけれども、ミネラルウォーター類の危害要因ということで、原水、容器包装、製造設備、殺菌工程と分けてそれぞれ危害要因を挙げていまして、27ページの殺菌工程について、CCP工程と決めております。
 今回、モデルとしましては、原水を地下水あるいは水道水を使っていますけれども、加熱殺菌、濾過除菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌といろいろ使われていますので、殺菌工程それぞれについてこの後記載しております。
 あと、27ページの下にあります厚生労働省の通知は、それぞれの殺菌工程において最低限これだけは必要だという基準を示していますので、これも紹介しております。
 その次のページに、例えば加熱殺菌85℃30分と同等というのはどういうものかということや、オゾン殺菌、紫外線殺菌の具体的な事例についても書いております。
 29ページから、中小の事業者さんにこれだけはやっていただきたいということで、具体的にそれぞれの事業者さんにやっていただくことを記していますけれども、まず、自分のところの製品がどういう製品なのかということを把握するために、製品説明書をしっかりつくっていただく。
 続いて、33ページから製造工程図で、現場に行って確認をしながら、それぞれの事業者さんの工場に基づいて製造工程図をつくって整理をする。
 次に、CCPとしての殺菌工程の管理ですけれども、殺菌工程の管理として、まず加熱殺菌、濾過除菌、紫外線殺菌、オゾン殺菌それぞれについて、例えば加熱殺菌だったら加熱温度と時間、濾過除菌だったら濾過膜のメッシュサイズと差圧、紫外線殺菌だったら照射量と照射時間、オゾン殺菌だったらオゾン濃度と処理時間というように、それぞれ管理すべきポイントについて、ここに挙げていますチェックシートのような形で管理していただきたいと考えています。
 あと、この手引書ですけれども、ほぼできた段階で、まずうちの会員だけではなくて、つくっていることがしっかりわかっている250社ほどにメールを出して、何か御意見がないかということを聞いています。さらに、うちの会員の中小の12社に説明をして、意見を聞いています。それから、宅配水協会のほうでは会員さんに御説明をして意見を求めています。
 それだけではわからないかもしれないので、ミネラルウォーター協会のホームページの一般ページにこの案を掲載して、意見を求めております。今のところ、特にこれについて意見はいただいていないです。
 以上でございます。
○五十君座長 御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料4の説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたらお願いしたいと思います。
 私から、先ほど、検証において、実際にコメントをいただいたというお話がありました。このテキストに対する御意見があったということだったのですが、運用してみてどうだったという御意見がございましたでしょうか。
日本宅配水&サーバー協会 この記録用紙のほうでございますけれども、紫外線殺菌の記録用紙につきまして、宅配水協会のほうで会員に案内し、いただいた御意見なのですが、このUV殺菌のところでは点灯確認というところが製造開始前と製造終了後となっておりまして、あくまでもここに記載したものは製造、記録の例として挙げさせていただいておりますけれども、うちの場合はもう少し細かくとりたいというような御意見はございました。
○五十君座長 修正するほどではないということですね。
日本宅配水&サーバー協会 はい。
○五十君座長 わかりました。
 ほかに御質問、御意見等はございますか。
 荒木委員、どうぞ。
荒木委員 宅配タイプの容器は今、大体12Lあるいは8Lというものが出てきているみたいですが、それらの容器はワンウエーなのですか。それとも、返ってきてまた使うのですか。
日本宅配水&サーバー協会 2つのパターンがございます。ワンウエータイプと、それから、リターナブルと呼んでおります、ボトルを洗ってまた使うといったパターンがございます。
荒木委員 示していただいたモデルのフローダイアグラムと製品説明書がありますけれども、リターナブルはどれを考えればいいですか。モデル3でしょうか。12Lのポリカーボネートというものがありますね。
日本宅配水&サーバー協会 モデル3のところになります。
荒木委員 そうすると、フローダイアグラムのモデル3は35ページにあるのですけれども、ここで言う容器は、キャップは新しいものを使うのですか。
日本宅配水&サーバー協会 キャップは新しいものです。
荒木委員 そうすると、容器は戻ってきた容器ということですよね。
日本宅配水&サーバー協会 そうです。
荒木委員 フローダイアグラムを見れば、ここで15番の工程が容器の洗浄・殺菌となっているのです。そうすると、このリターナブルの容器を確実にきれいにしておくというのは、宅配のパターンでいきますと結構クリティカルではないかなと思うのですが、そこについては前のほうに言及がなくて、26ページのところでは容器包装ができ上がった後のにおいがつくのを制御しようとしているだけなので、新しいものに詰めて売るという分では一般的衛生管理レベルでいいと思うのですが、返ってきた容器をもう一回使うという観点では、ハザード分析を明確にしていただいて、15番の洗浄・殺菌に関する注意事項なりポイントを書いていただくといいなと思いました。
日本宅配水&サーバー協会 わかりました。御指摘ありがとうございます。検討させていただきます。
日本ミネラルウォーター協会 今の点を補足します。私もそこは気になって確認をしたのですが、昔のいわゆる瓶で、例えば飲み屋さんに行って、またそれで戻ってくるようなものとは全然違いまして、宅配水のボトルというのは、実際はキャップも外さない、要するに外れないような形になっていて、お客さんのところで何かいたずらできるようなものではない。昔のそういう容器とはちょっと違うのです。だから、そんなに汚い状態で戻ってくるようなものではございません。
荒木委員 そういうことを書いていただいて、こういう洗浄または殺菌をするということで、特段CCPにして出来映えをチェックしなくてもよいということになるのかもしれないと思います。
○日本宅配水&サーバー協会 ありがとうございます。
○五十君座長 ほかにございますか。
 どうぞ。
中村委員 この手引書の対象になる規模なのですけれども、従業員数10名以下かつ生産量300キロ未満ということなのですが、先ほどお話があった、従業員の方が少ないのだけれども、実際には製造量が多いというところは、HACCPに基づく衛生管理ができるという理解でよろしいのですか。
日本ミネラルウォーター協会 かなり名前の知れた大手でも、一つの事業所をとると非常に少ない場合があるので、そういうところはこの対象から外していいと考えています。
中村委員 くどいようなのですけれども、例えば従業員数は5名なのだけれども400キロつくっていますというところは、この手引書ではなくて、いわゆる7原則12手順でできると。
日本ミネラルウォーター協会 ほとんど多分昔で言うA基準でやっておられると考えております。
中村委員 わかりました。
日本宅配水&サーバー協会 宅配水協会のほうにつきましても、従業員数、製造にかかわる人数が大半が10名未満となっておりまして、先ほども渡辺さんのほうから御説明いただきましたとおり、フランチャイズ制をやっているところが比較的多いというところがございます。
 そういった中では、本部のほうがそういった品質管理をフランチャイズに対して指導しておるというような状況でございます。この中で、宅配水協会も既にHACCP研修会というものを東京、大阪、福岡で開催しておりまして、これまでで11回。今月にはまた福岡のほうでやるということで、3日間コースでやっておりまして、既に220名の方に受講していただいておるというような状況です。
 内容につきましては、A基準に基づいた考え方ということで、製造フロー、危害要因分析、ゾーニングであるとか、一般衛生を含めまして説明し、そういった方向に向けてやっておるという段階です。
○五十君座長 中村委員、よろしいですか。
 ほかはございますか。
 荒木委員、どうぞ。
○荒木委員 たびたび申しわけありません。
 44ページのオゾン濃度のモニタリング記録表の記入例なのですが、拝見すると、全部オーケーだったときの記録だけなのです。業界団体としては、こんなときに気をつけてねという不適合があったときの記録を、せっかくですからこの改善措置の内容に書いていただくようなことにしておいていただけると、ああそうか、これがこういう例だなとおわかりいただけるのではないかなと思いました。
○五十君座長 具体的には何かありそうですか。
日本ミネラルウォーター協会 この不適格な事例を書くのは非常に難しくて、つくってしまうとどうも難しいのです。おっしゃられることは非常によくわかるので、検討させていただきたいと思います。
○五十君座長 よろしくお願いします。
 なかなかすぐには思いつかないと思いましたので、確認させていただきました。
 ほかにはどうでしょうか。よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 続きまして、資料5につきまして、事務局より説明を願いたいと思います。
事務局 それでは、資料5を御覧ください。
 こちらは一般社団法人日本食鳥協会様が作成した、「認定小規模食鳥処理場のためのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」案となります。
 こちらにつきましても、昨年10月に検討会の先生方と事前の意見交換を行わせていただきまして、その際の内容を踏まえて修正いただいたものになります。
 本日は一般社団法人日本食鳥協会様から、こちらの手引書案について御説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
日本食鳥協会 一般社団法人日本食鳥協会でございます。
 この「認定小規模食鳥処理場のためのHACCPの考え方を取り入れた衛生管理の手引書」案について御説明させていただきたいと思います。
 私、本日主に説明者となります、食鳥協会の専務の鈴木でございます。
 私の隣には大阪府立大学の向本教授に今日は御出席いただいております。向本先生には、当協会が手引書を作成するに当たり、専門家、有識者等によって作成委員会というものを組織いたしましたが、その委員会の座長を務めて、この取りまとめに尽力いただいたということでございます。
 そういうこともございましたので、後ほど委員の先生方から専門的な御質問があった際には、向本先生のほうから御回答をさせていただくことがあるかと思います。
 それでは、手引書に入る前に、まずこの業界の概要について少し御説明させていただきたいと思います。
 我が国の食鳥の処理につきましては、大ざっぱな数字になりますけれども、年間約8億羽が処理されております。どんな鳥かと申しますと、我々が一般的に食べるブロイラーが7億羽、あとは、採卵鶏で採卵の役目を終えたものが最終的に肉利用される、いわゆる成鶏が約9000万羽になろうかと思います。残り1000万羽程度が、肉用鶏のいわゆる名古屋コーチンとか比内地鶏と言われる地鶏、あるいはアヒル、合鴨あるいはホロホロ鳥や七面鳥など、鶏以外の鳥が合わせて1000羽ぐらいということで、基本的にはブロイラー産業と、成鶏を扱う方もいらっしゃいますので、あとは卵用鶏の副産物利用が日本の食鳥産業という構図になってございます。
 これをどういう担い手が処理をしているかということでございます。規模別で申し上げますと、日本全国で厚労省の統計数値からいきますと、いわゆる大規模処理場は146カ所ございますが、ここで7億8000万羽処理されておりまして、全体の97.2%。そして、残りの2.8%が年間処理羽数30万羽以下のいわゆる認定小規模食鳥処理場によるものとなります。
 生産量的には非常にわずかではございますけれども、この認定小規模処理場は数としては、これも厚労省の調査によりますと1,776、昨年の時点の数字でございます。ただ、休止中というところが561ございますので、稼動しているところは1,200余。それでもかなりの数でございます。この稼働中の小規模処理場でも、年間処理羽数が1000羽未満というものが361、約3割。1万羽未満は544で45%。したがいまして、小規模な処理場でしょうけれども、本当に小規模で年間1万羽も処理しないものが75%と大部分を占める。5万羽未満で見ても90%余りになります。
 年間1万羽の処理といえば、毎日稼動しているところは少ないので、1日に100羽処理を週2回やる。これでおよそ年間1万羽になりますので、規模的に見れば非常に小さい。1回の処理も小さいところばかりでございます。
 一方で、日本の大規模処理場と言われるところは数万羽処理が当たり前で、最大規模のものは今、1日当たり10万羽を超えております。
 そういう意味で、委員の先生方にも大規模処理場はよく御覧になられている方、イメージをつかまれている方はいらっしゃると思うのですけれども、小規模の処理場というのは、実際は施設整備とかオペレーション的には大規模とは基本的には全然違うものである。ただし、食鳥の処理というのは工程としては比較的単純でございますので、やっていることは同じこと。大規模はオートメーションで全て機械作業的になっているのに対して、小規模処理場は人間の手で丁寧にという形になっているのが実態でございます。
 小規模の処理場はどういうものを扱っているかというところにつきましては、実はかなり特徴がございます。大規模処理場では1回の出荷羽数が数百羽とかになりますので、地鶏とか、そんなに小さなものをラインで扱えないということもございまして、そういうものが主に小規模処理場が処理するグラウンドになっているということでございまして、地鶏や合鴨という生産が小ロットのものを手をかけて処理してあげるのが小規模処理場になっているということでございます。
 また、地域的には親鳥肉というものや、あるいは、いいことかどうかはわかりませんが、生食が地域の文化として根づいている地域がございますが、そういうところではその地域にある小規模処理場が大事な担い手となっているかと思います。
 いずれにいたしましても、小規模処理場は非常に小さいものがたくさんございますけれども、地域の食鳥の振興とか食文化の維持というような観点からは大切な位置づけになっているものが多いということかと思います。
 HACCP等に対する導入状況、また、その姿勢といいますか、今の状況を言いますと、大規模処理場につきましては、これも昨年の厚労省の調査で、7月1日現在、既に今年度中に導入を進めておられるところが83.5%で、ほぼ全面的に皆さん取り組まれていて、完了済みあるいはもう大丈夫だという状況かと思いますけれども、小規模処理場については、今、言った対比する数字が3.4%になっております。導入済みとの回答が0.9%。31年度以降に考えますという回答が84.1%でございますので、正直に申しまして、ほとんど着手されていないというような状況にあるかと思います。そういう意味では、今回お示しさせていただきました手引書を活用していただければと、我々つくった側としては思っておるところでございます。
 ただ、組織的に少し問題がございまして、申し上げますと、私どもの日本食鳥協会は、ひよこの生産をする種鶏孵卵の部門もございますし、ブロイラーの生産、それの加工をする方、できた食鳥肉を流通される問屋なり小売屋さん、要は産業界の川上から川下まで一気通貫した業者から成り立つ、それを会員、構成員とする組織でございます。
 そして、約百九十数社が会員になってございますけれども、そのうち生産や加工を行う社が八十数社でございます。その八十数社のうち、恐らく1つを除いたところ以外は全て大規模処理場でございます。逆に言いますと、大規模処理場はほとんど全て我々の会員になっていただいているということでございますが、小規模処理場の方々は我々の組織の会員外、ほとんどがアウトサイダーであるということでございまして、私ども、食鳥産業全体を考えれば、つくることについては厚労省の要請もございますし、努力してまいりましたけれども、これをいかに普及させるかというところについては、なかなか我々だけでは難しいと思っておるところでございます。
 実際には認定行為が各自治体で行われますので、そういう自治体の食品衛生の関係の方々、食品衛生監視員の方々などの御協力がないとなかなか進まないと思います。いずれにしても、協会としてもできた暁にはその普及や周知には努力していきたいと考えております。
 少し前置きが長くなりましたけれども、手引書について御説明させていただきたいと思います。
 まず、これまで厚労省を初め、この技術検討会の委員の皆様方から事前に非常にたくさんの御意見やアドバイスをいただいたこと、感謝いたします。基本的にはその御意見を極力取り入れて充実させるという方針のもとで作成してまいりました。
 私自身も少々難しくなり過ぎたかなと思うのですが、私の知る食鳥処理に精通した獣医師等からも少しそんな意見はありますけれども、実証をやった限りでは、何とかこれはやらなければいけないことだという理解をいただいたような手引書になっておるかなというところでございます。
 日本だけではなくて、世界的にも鶏肉を原因食品とする食中毒が多発していることは皆さん重々御承知でありまして、ただ、その原因は加熱不十分であったり、調理器具の不適切なハンドリングに起因するわけではございますけれども、やはり根本的、根源的なところとして、食鳥処理ではその工程管理上、どうしてもカンピロやサルモネラというものの食中毒菌を完全に排除することは非常に難しい。そういうふうなことが根底にあるので、皆様方からの御意見も、要はそういうふうなところをよく踏まえて、処理をする者についてもいろいろな問題点を認識してしっかり対応してほしいという気持ちからの御意見が非常に多かったと思います。そういうことも踏まえて整理をしてまいりました。
 手引書に入りますが、まず冒頭の手引書の目的のところ、4~5ページにかけまして、食鳥処理における微生物汚染の要因なり対処方法等については、前書き部分ではございますが、かなり詳しく説明させていただきました。さらに、食鳥肉を供給する立場の者も鶏肉由来の食中毒の防止に向けて努力をすべきである。そういう意味で、流通業者はそれを消費者に対してしっかりと啓発していく努力を促していくというような記述を加えてございます。
 参考として、カンピロ等の食中毒の発生状況等の資料を挿入してございます。そういう意味で、前段の部分でそういう認識を持っていただいて読んでいただこうという流れになってございます。
 「2.基本的な衛生管理」でございますけれども、おおむねどの業界様の手引書でも書かれておりますような、一般的あるいは常識的といいましょうか、衛生管理のポイントを基本的に列挙しているという形になってございます。
 ただ、16~17ページにかけまして、「食品等の取扱い」というところでございますが、食鳥処理や食鳥肉流通の特性、特徴を踏まえた記述を挿入してございます。具体的には16ページ、2つ目の●になりますけれども、丸と体での流通もありますので、その受け入れ時の管理。4つ目の●の汚染防止の項で、汚染防止上、特に留意の必要な脱羽や内臓摘出工程での適切な対応なり器具の使い分け、処理場所のゾーニング等ということも特出し的に記述してございますし、17ページのほうになりますが、品温管理の徹底についても丁寧な説明を心がけたつもりでございます。
 「3.危害要因とその管理方法」につきまして、工程図は20~22ページにお示しさせていただきましたが、食鳥処理の基本的な工程として中抜き法と外はぎ法の2つがございますので、これを分けてわかりやすく整理したつもりでございます。
 食鳥処理工程及び危害要因分析につきましては、こちらの厚労省のHACCPの食鳥処理に関する手引書にHACCPモデル例というものが載っておりますので、これを基本に整理してございます。
 ただ、今回私どもは冷却工程をCCPと推奨すると決めておりましたので、その工程に係る殺菌剤の添加というのは、委員からもしっかりと添加を工程にしなさいという御意見もあったかと思いますので、明確に添加を一つの工程として入れております。
 危害要因の分析につきましては、今、申しましたように、食鳥処理工程の冷却をCCPとして推奨することといたしたいと思います。これだけではなくて、食鳥処理には各工程で微生物の交差汚染を生じさせる可能性がございますので、それを各工程で拾い出しまして、小規模処理場の実態を考えながら、これは対処すべき、対処できるであろうという管理手段を記述してございます。
 CCPの管理、監視方法等につきましては、26ページにお示しさせていただいています。殺菌剤の添加量と冷却水の温度なり冷却時間について、管理基準値を例示してございます。殺菌剤については、次亜塩素酸ナトリウムが食鳥処理で最も一般的に使用されておりますので、それを想定した基準値を入れさせていただいております。冷却水の温度、時間等は厚労省のHACCP手引書でもモデル例に記載されているものと同等の数値。科学的な見地から見ても、誰が見ても合理的であるという水準かと思います。
 なお、26ページの下に※2つで脚注のコメントがございますけれども、現在食鳥肉の殺菌剤として使えるものという意味では、平成28年10月からだったかと思いますが、過酢酸製剤や亜塩素酸ナトリウムというものも利用可能になってございます。これらの殺菌剤について、現場で普及しているかと言えば、それはまだまだではございますけれども、厚労省が27年から29年にかけて実施された調査研究でも、高い有用性が既に実証されております。今後、これらを使っていくことも十分選択肢でありましょうし、有望視されるということもございまして、その利用の検討を促すというような意味合いも込めて脚注に記述したところでございます。
 現在、食鳥処理で用いられている殺菌剤の主流は、先ほど申しましたように、次亜塩素酸ナトリウムでございますけれども、御承知のように、この次亜は有機物が存在するとその効果が減弱するという特性がございます。
 食鳥の処理なり冷却を連続的に行っていきますと、有機物等によってチラー水に汚濁が生じる。そういうふうな形で濁りがひどくなっていって、処理羽数が多いときなどは殺菌剤の有効濃度が保てなくなる可能性が実際にございます。
 大規模処理場は1時間に5,000羽をチラー工程に投入する。それを8時間連続するという処理を行っているところでは、チラー自体に冷却装置がついておりまして、適宜水の入れかえをしながら、殺菌剤濃度も薄まらないように、点滴で連続的に投与していくというような形で、少々濁りが生じても、冷却殺菌工程の管理は適切に行えているのが実態かと思いますけれども、小規模処理場の場合には、非常に設備投資もかかりますし、また、分不相応な装置、設備になりますので、そのようなチラーは設置されていないのが実態でございます。
 したがいまして、当初申しましたように、たくさん処理して濁ったときに、塩素濃度が下がっていて効いているのだろうかという疑念が生じるシーンがあるかと思いますので、26ページの「監視方法」に、「なお、処理羽数が通常時より多い等により、作業中に殺菌剤の有効濃度が低下する可能性がある場合には、濃度確認や殺菌剤の追加添加を行い」という形で注意喚起をしておりまして、さらに27ページでは写真を用いまして、このなお書き部分の補足解説を入れてございます。
 基本的には、CCPの殺菌剤の有効性を維持、確保する上での日常的なプラクティスとして、濁りが生じたら、濁りの程度に応じて殺菌剤濃度をチェックする、あるいは追加投与する、かん水するというようなことを小規模の方々にもやっていただきたい。そういうふうなことを促すような形で、このページを挿入したということになってございます。
 29ページ以降につきましては様式集となります。19ページに整理いたしました、毎日記録すべき衛生管理項目が7つ、定期的に記録すべき項目が6つ、CCPと、それぞれに計画様式と記入例、記入様式とその記入例を用意してございます。
 最終の43ページには、CCPの記録(記入例)でございますけれども、先ほど荒木委員からミネラルウォーターのところで御質問があったように、殺菌剤を追加添加するというところが一つの肝にもなりますので、その例も入れた形で整理してございますし、殺菌剤の添加に関しましては、注意事項をさらに囲みで入れて念押しをしてございます。
 なお、実証につきましては、昨年の秋に行っておりますけれども、手引書を作成するに当たって、我々はなかなか小規模処理場の実態がわからないこともございましたので、小規模処理場の方々も委員に参加していただきました。その2名の委員の方々の処理場で実施させていただきましたが、基本的にはなかなか面倒くさい、難しい面もあるけれども、基本的にはこれはやらなければいけないことだという御認識のもとで、何とかできるという御回答をいただいておりますし、その中で特に記入例というのは参考になるという評価なり感想をいただいておるというところでございます。
 私からの説明は以上とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○五十君座長 大変丁寧な御説明、ありがとうございました。
 それでは、質問に移らせていただきたいと思います。ただいまの資料5の説明に関しまして、御質問、御意見等がございましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがですか。
 中村委員、どうぞ。
中村委員 今後の普及につきましては行政のほうでというような話の中で、実は東京の場合ですと、丸と体から扱う認定処理場しかないのです。その点を踏まえまして、少し項目を追加していただければ助かるなというところがございます。具体的に申しますと、25ページがまさに丸と体から受け入れる部分かと思うのですが、と体の受け入れのところで、温度の部分を入れていただきたいなと思うのです。汚れだけではなくて、実際に温度をはかるというところまではいかなくても、きちんと冷蔵状態であったかというような確認をここで入れていただければと思います。
 それとともに、今度は記録のほうなのですが、特にそれを重点項目にする必要はないとは思っているのですけれども、例えば32ページから毎日の衛生管理の記録がございますが、この記録表を、丸と体から受け入れる施設に限定してもいいのですけれども、一番左に丸と体受け入れ時の確認という欄を設けていただいて、良・否をチェックしていただくというような形にしていただけると、今後の指導がしやすいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
日本食鳥協会 ありがとうございます。その点はその方向で少し検討させていただきたいと思います。
○五十君座長 よろしいですか。
 次に、荒木委員、どうぞ。
荒木委員 エディトリアルなところはまた後でということにして、まず、大きく2つあります。
 1つは、5ページなのですが、冷凍処理でカンピロバクターを死滅させることが有効だと言い切っていいかというのが一つあります。残っているということもあるわけなので、余り冒頭で限定してしまうのはどうかなというのが一つ。
 実は、この文章がちょっと変だと思います。冷凍処理はカンピロバクターを死滅というか不活化するということもあって有効なのですが、汚染を低減する方法ではないです。汚染が減るわけではないのです。汚染してしまっているのであれば、その事実は低減できません。これはカンピロバクター食中毒のリスクを低減させる方法の一つではあると考えていただいたほうが、流れとしては適切ではないかなと思います。
 もう一つが、今、厚生労働省のHACCPの手引書を参考にされたということなので、すごくさかのぼってしまうかもしれないのですが、ハザード分析の進め方について、レクチャーモードになるのですけれども、お話しさせていただきます。
 今、鈴木様がお話しになった中で、16~17ページの「食品等の取扱い」で、この枠の中に書いてあることが実はハザード分析になっているのです。フォーマットを6欄方式にはしていませんけれども、工程のナレーションになっていますので、これが十分にハザード分析になっているのです。ですから、取り入れ型のHACCPでいけば、こういう工程の説明をきちんとすることでいいのではないかと思っていました。
 そして、フローダイアグラムを拝見すると、20、21、22とあって、これもなるほどなと思うのですが、23ページ以降の6欄方式になったときに、なぜまだこんなに混乱しているのだろうかという疑問に直面いたしました。Yes、Noの書き方がどうも何となくおかしいのです。
 どうしてかということを20ページ、21ページ、22ページの工程図で御説明しますと、実はA1からA14まで番号が振ってあるのですが、フローダイアグラムに沿ってハザード分析するということは、実はA9の洗浄のところ及び次の冷却に関しては、川上である添加という工程のハザード分析が済んでいなければいけません。同じように、外はぎ法もそうです。
 そして、と体で受け入れる場合は、これは一目瞭然、と体の受け入れしか重要なハザードの管理ポイントはないので、と体の受け入れは、先ほど中村委員がおっしゃったように、実はCCPなのです。ここを確実に排除してもらうことしかないということがわかります。
 そうすると、中抜きの場合は、確実な添加剤、殺菌剤を使って洗浄と冷却が大事だというのは、このフローを見ただけでわかるのです。ということは、フローダイアグラムの番号づけはこれだとして、フローダイアグラムに書く工程順をこの流れに沿ってやっていただきたいのです。時々そういうハザード分析があって、合流地点で川上のハザード分析はできていないということがあるのです。
 それをもう一回見直していただくと、例えば23ページ、24ページの中で、添加というところがA15で最後なのですけれども、なしになっているのです。ここで確実な量を添加してやらなければ、適切に管理できないということですよね。適切に管理できているかどうかは、洗浄のところで確認する。だから、確実な添加は重要なのだけれども、その濃度に関しては、後ろの洗浄なり冷却のところで確認するから、冷却のところがCCPになるのですよというふうに、ハザードがつながっていくのです。
 そうするとすごくすっきりするので、フローダイアグラムに番号をつけるという意味のところをもう一度見ていただくと、きっとすっきりすると思います。ということは、3ページの製造工程図の番号づけがA、B、C、Dであるのですが、もしフローダイアグラムに沿って工程順も書くのであれば、一番上がAで隣がBです。Aの下がCで、Bの下がDで、E、F、Gとなると、最後これで出荷できるという話になるので、そこをもう一回見ていただくと、ハザード分析の流れが非常によくなるのではないかなという気がいたします。
 ですから、鈴木さんの先ほどの御説明で、16ページではその分を適切に書いていらっしゃるのですよね。逆に言うと、ハザード分析が様式を使ってわかるのだけれども、これを簡単に説明したら16ページですよということなのです。そういう意味では、場合によっては6欄方式のハザード分析の様式はなくてもいいかもしれない。その根拠としてこうなのですという意味では必要だとは思います。そこは御検討いただければと思いました。
○五十君座長 ちなみに、24ページの受け入れのところは、これはCCPにしなくて、このままでよろしいということでしょうか。
荒木委員 外はぎだったら大丈夫です。しかし、次の25ページの、と体で受け入れる場合は、ここしかないわけですよね。C1がYesなので、どこかで決着をつけるのだったら、ここは重要管理点だということになります。
○五十君座長 今の整理なのですが、よろしいですか。
日本食鳥協会 非常に専門的ですが、わかりやすく御説明いただきまして、おっしゃりたいことはよくわかるということでございます。
 食鳥肉工程のところの、最初が肝であるということは重々承知してございまして、ここをCCPとするというところは。
荒木委員 全部ではないです。だから、23、24はいいのです。
日本食鳥協会 25の頭の食鳥肉のC1について、流れでいきますと、中村委員からの御指摘があったように、実は鳥の流通が非常に複雑なので、我々は基本的には一気通貫で食鳥肉の処理までいくということが当たり前のことで整理してございまして、レアケースでいわゆる保冷車でと体が移動していって、そこでやるというようなときには、ここの頭が肝になるという部分ではCCP設定というのはわかるのですが、実際に連続的な工程でいった場合にここがCCPになるのかというところについて。
荒木委員 いや、16ページでおっしゃっているではないですか。丸と体受け入れ時の管理は、しっかり検品をして、糞便汚染などが目視確認された場合は受け入れないようにしましょうですから、受け入れなかったという記録があればいいのです。あるいは、今日のは随分汚れていて、捨てる部分が多かったという記録が残ればいいわけですよね。それがCCPでいいということです。
日本食鳥協会 中村委員からの御意見をさらにつけ加えれば、そこに温度もちゃんと確認されたということがあればいいと理解してよろしいですか。
荒木委員 そういうことです。
日本食鳥協会 わかりました。そこは検討いたします。
 あとは、工程図について要らないのではないかというようなこともございましたけれども、わかりやすさのことから言ってこういう工程を示したほうが多分いいかと思いますので、生体の受け入れの次に、実は水とか殺菌剤の受け入れという、最初に処理に係るもの、必要なものについての受け入れというのが頭に来てと、先ほどAとBが並列になっているときがありましたけれども、それでいきますと、本来的には水なり殺菌剤のところはいわゆるAに並びA’、A”みたいな位置づけになるということだと思いますので、基本的には23ページ、24ページは入れたほうがいいのかなと思います。
 整理といたしまして、受入、懸鳥、放血、湯漬けというA1~A4ラインがございますけれども、ここら辺のところに、たしかHACCP手引書でも、水の受け入れ、殺菌料の受け入れというのが工程としては2~3番目に出てきておりますので、そういうような形で、この水と殺菌料の受け入れなり添加という部分を、この23、24ページの分析結果のところの工程としてはもっと上のほうで書いて、殺菌剤の添加についてきちんと適正量が行われたかというようなことを入れていくというイメージで整理はできるかなと。そういうふうにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○五十君座長 時間が迫ってまいりましたので、直接相談していただくのがいいと思います。
荒木委員 はい。
 HACCPの基本は、原料に由来にするものと工程に由来するものに分けて考える必要があるので、よろしくお願いします。
○五十君座長 時間が迫ってまいりましたので、そのあたりは後で事務局を通してやっていただきたいと思います。
 では、中村委員、どうぞ。
中村委員 先ほどの意見で、丸と体の受け入れがCCPというのは私も重々わかっているのですけれども、できるだけ余り複雑にしないような形で、先ほど言った記録については、個別に重要管理点と様式をつくるのではなくて、先ほど言ったように、32ページの中に追加するような形でやっていただいたほうが我々も指導がしやすいと思いますので、その辺は御配慮いただければと思います。
○五十君座長 わかりました。
 事務局、どうぞ。
道野食品監視安全課長 利用可能な殺菌剤ということで、26ページの注釈に2つ※をつけて書いていただいているのですけれども、私どものほうでは、厚労科研のみではなくて、厚労省の実証事業ということで殺菌剤の効果についても評価をしたデータもあります。さらに、添加物として使用できる殺菌剤はもう少し種類が多いので、ここの記述については別途また相談させていただきたいと思います。これだけではないということですので、よろしくお願いします。
○五十君座長 ほかにコメント、御質問等はございますか。よろしいですか。
 先ほどの件につきましては、まだ意思疎通が完全ではないところがあると思いますので、直接整理していただければと思いますので、御対応をよろしくお願いします。
 それでは、ほかに御意見や御質問がないようでしたら、これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
 本日確認していただきます手引書案は以上になります。
 その他、事務局のほうから何かございますか。
事務局 ありがとうございます。
 特にはございませんが、次回第11回の開催につきましては、また改めて調整させていただいて、御案内したいと思います。よろしくお願いいたします。
○五十君座長 それでは、本日の検討会はこれで終了いたします。
 長時間の御討議、ありがとうございました。

                   

                                                                                                                                   (了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 食品衛生管理に関する技術検討会> 第10回食品衛生管理に関する技術検討会(2019年01月16日)

ページの先頭へ戻る