ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第100回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2017年2月27日)




2017年5月26日 第100回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省 大臣官房厚生科学課

○日時

平成29年5月26日(月) 10:00~12:00


○場所

厚生労働省 省議室(9階)


○出席者

【委員】

相澤委員、石原委員、磯部委員、今村委員、大澤委員
川西委員、楠岡委員、倉根委員、武見委員、館林委員、
中村委員、西村委員、福井委員、山口委員

○議題

1.審議事項
  議題 平成30年度研究事業実施方針(案)について

2.報告事項

3.その他

○配布資料

資料1-1 平成30年度研究事業実施方針(案)
資料1-2 平成30年度事業実施方針(案)対応表
資料1-3 平成30年度研究事業実施方針(案)の概要【AMED研究】
資料1-4 平成30年度研究事業実施方針(案)の概要【厚生労働科学研究】
資料2 「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」に基づく研究機関に対する平成28年度履行状況調査の結果について(案)
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会 委員名簿
参考資料2 厚生科学審議会科学技術部会における厚生科学研究及びAMED研究の審議スケジュール

○議事

 

○下川研究企画官 
 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既にお配りしております注意事項をお守りくださるようお願いします。

 定刻になりましたので、ただいまから第 100 回厚生科学審議会科学技術部会を開催いたします。委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、お礼を申し上げます。

 本日は 7 名の委員から御欠席の連絡を頂いております。西村委員におかれましては少し遅れて出席されるとの御連絡を頂いております。

 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いします。議事次第と座席表のほかに、資料 1-1 ~資料 1-4 4 種類の資料、資料 2 、参考資料 1 、参考資料 2 があります。そのほか、議事次第には記載していないのですが、今日、御欠席の手代木委員からのコメントということで追加配布資料を 1 枚お配りしております。資料は以上です。資料の欠落等がありましたらお申し出ください。

 それでは、福井部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○福井部会長 
 本日は議題が
2 つと、「その他」となっております。最初に「平成 30 年度研究事業実施方針について ( ) 」についての御議論を頂きたいと思います。最初に事務局より説明をお願いします。

○下川研究企画官 
 来年度の研究事業実施方針
( ) について御説明いたします。前回 2 月に開催された科学技術部会において、平成 30 年度研究事業実施方針 ( ) を作成するに当たって御意見を頂きました。前回頂いた御意見を踏まえて、平成 30 年度研究事業実施方針 ( ) を作成しましたので、御説明いたします。

 資料 1-1 を御覧ください。目次の 2 ページは AMED 研究費、目次の 3 ページは厚生労働科学研究費の実施方針 ( ) です。 AMED 研究、厚労科研それぞれについて、各事業の概要を記載しております。

4 ページを御覧ください。実施方針 ( ) の項目立てとして、創薬基盤推進研究事業を例に取りますと、 1 の事業の概要として、「現状と課題」、「研究事業の内容」を記載しています。 5 ページには、 2 の要求要旨の (2) 全体に推進すべき研究課題として、研究課題の全貌を記載しています。そのうち、優先的に推進する課題を (3) 、平成 30 年度に新規に立てる課題を (4) として記載しています。 6 ページです。 3 として、研究成果を政策等へどのように活用するか、また実用化に向けてどのように取り組むかを記載しています。 7 ページ以降は参考事項で、各戦略との関係などを記載しています。それが資料の構成になります。

 次に資料 1-2 を御覧ください。平成 29 年度事業実施方針 ( ) 対応表があります。表の一番左に AMED 研究事業、真ん中に厚労科研事業、一番右に担当局・課室を記載しています。最後の欄の行の位置をそろえる形で、 AMED 事業に対応する厚生労働科学研究事業を記載しております。 AMED 研究事業は医療分野の技術開発に関する研究、厚生労働科学研究は医療以外の分野の技術開発、それから医療分野においては政策立案、基準策定等のための科学的根拠を得るための調査・研究や、各種政策の推進・評価に関する研究を扱うという位置付けとなっております。事業実施方針 ( ) としては、先ほどの資料 1-1 になりますが、文章では分かりづらいと思いますので、実施方針 ( ) のポイントをポンチ絵にまとめたものを別途御用意しております。資料 1-3 は、実施方針 ( ) AMED 研究部分、赤色の資料です。資料 1-4 、青色のほうは厚生労働科学研究部分になります。各事業の新規の研究や重点を置く内容について、各事業を初めから順に簡単に御説明したいと思います。

 資料 1-3 AMED 研究から御説明いたします。「オールジャパンでの医薬品創出プロジェクト」の中の各事業について、まず御説明いたします。

 スライド番号 3 、創薬基盤推進研究事業ですが、平成 30 年度においては、医薬品の開発過程を迅速化・効率化するための基盤技術の産学官連携の研究開発を推進するため、参画企業にも一定の研究費を拠出させる GAPFREE( 産学官共同創薬研究プロジェクト ) をより推進していくこととしております。

 スライド番号 6 は、臨床研究・治験推進研究事業ですが、平成 30 年度においては日本で生み出された基礎研究の成果を薬事承認につなげ、革新的な医薬品を創出する目的を加速するため、新たな研究課題として、医療費適正化に貢献する医薬品の開発を推進していくこととしております。

 スライド番号 7 は、医薬品等規制調和・評価研究事業ですが、平成 29 年度に引き続きまして、医薬品・医療機器等の品質・有効性及び安全性の評価手法の開発のための研究を推進することとしております。

 スライド番号 8 は、創薬支援推進研究事業です。平成 30 年度においては、生体内分謝、化合物に関する膨大な情報を網羅した医薬品知識データベースを構築するための研究を新たに開始して、医薬品の開発におけるフィージビリティ調査の効率化やドラッグリポジショニングの実現等を図ることとしております。

 次に、オールジャパンでの医療機器開発プロジェクトの中の各事業について御説明いたします。スライド番号 10 、医療機器開発推進研究事業ですが、平成 30 年度においては、早期診断や低侵襲治療を実現する革新的医療機器の開発による医療費増加抑制への貢献への取組を推進するため、医療費適正化に貢献する医療機器の臨床研究、医師主導治験をより推進していくこととしております。

 スライド番号 11 、開発途上国・新興国等における医療技術等実用化研究事業です。開発途上国にて、バイオデザインアプローチを用いて、医療機器を開発する事業です。平成 29 年度より開発し、平成 30 年度は 2 年目となりますが、実施方針に変更はありません。

 次に、スライド番号 13 、「革新的医療技術創出拠点プロジェクト」の事業について御説明します。革新的医療シーズ実用化研究事業ですが、今年度は大きく 2 つの柱を掲げています。まず 1 つ目の臨床研究中核病院の ARO 機能を活用した自施設、他施設、国際共同臨床研究・医師主導治験の推進は、実施方針について、昨年のものと大きな変更はありません。

2 つ目の臨床研究中核病院の ARO 機能を活用した若手研究者によるプロトコール作成支援研究の推進ですが、健康医療戦略の中でも、若手研究者の育成が求められていることを踏まえて、平成 30 年度からは新たに臨床研究中核病院が有する ARO 機能を活用して、自ら臨床研究計画の立案ができる若手研究者を育成することとしております。

 次にスライド番号 16 、「再生医療の実現プロジェクト」の中の事業について御説明します。再生医療実用化研究事業ですが、平成 30 年度においても再生医療の実用化の加速化のため、再生医療の実現に資する臨床研究や医師主導治験等を推進する研究をより推進させることとしています。さらに、国民からの期待が大きい iPS 細胞等の多能性幹細胞の臨床応用に向けて、細胞特性解析のための研究といった新たな研究を実施することとしています。

 次に、スライド番号 20 、「疾病克服に向けたゲノム医療実現プロジェクト」の中の各事業について御説明します。ゲノム創薬基盤推進研究事業ですが、平成 30 年度においては、ゲノム情報の医療への実利用を進めるため、ゲノム創薬研究の成果の患者還元に係る諸問題の解決、ゲノム情報を活用した薬剤の開発等の目的を加速させるため、ゲノム情報を活用した新規創薬ターゲットの探索等に関する研究を推進していくこととしております。

 次にスライド番号 21 、臨床ゲノム情報統合データベース整備事業です。平成 30 年度においては、保険収載に伴い生じるリアルワールドデータをゲノム医療の向上に活用するため、パネル解析データ等の受入れ、リアルワールドデータの解析、新たな創薬情報の抽出等の目的のため、これまでの事業を拡大することとしております。

 次にスライド番号 23 、「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」の事業について御説明します。革新的がん医療実用化研究事業ですが、実施方針や研究課題は昨年と大きな変更はなく、「がん研究 10 か年戦略」に沿って、がん医療の実用化を目指した研究を推進することとしております。

 次に、「脳とこころの健康大国実現プロジェクト」の中の各事業について御説明します。スライド番号 25 、認知症研究開発事業ですが、平成 30 年度においては、疾患修飾薬の治験を推進するための基盤を今後活用するため、新規研究課題として、新たな予防法、診断法、治療法につなげるための研究を実施することとしております。

 スライド番号 27 、障害者対策総合研究開発事業です。平成 30 年度においては、依存症患者の実態把握や治療プログラムの開発を目的とし、依存症対策に関する開発・研究などを推進させることとしております。

 次にスライド番号 30 、「新興・再興感染症制御プロジェクト」の中の事業について御説明します。新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業ですが、平成 30 年度においては、東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けた感染症対策に資する研究開発や、喫緊の対応が求められる新興・再興感染症の研究を推進することとしております。

 次に、「難病克服プロジェクト」の中の事業について御説明します。スライド番号 33 難治性疾患実用化研究事業ですが、平成 30 年度においては、未診断疾患イニシアチブ (IRUD) 課題及び難病情報の集約と 2 次活用の促進、人工知能を活用した診断支援システム等を開発する情報基盤構築研究課題を、より推進させることとしております。

 次に、 9 つのプロジェクト以外の研究事業について御説明します。スライド番号 36 、地球規模保健課題解決推進のための研究事業のうち、国際課分ですが、平成 30 年度においては、保健関連の持続可能な開発目標を達成するため、新たな研究課題として、世界の非感染性疾患の制御に資する研究を実施することとしております。

 次に、スライド番号 37 、地球環境規模保健課題解決推進のための研究事業のうち、厚生科学課分ですが、昨年度から米国と共同で公募している若手・女性研究者育成のための研究事業を、更に推進することとしております。

 スライド番号 38 、成育疾患克服等総合研究事業においては、ライフステージに応じたアプローチによる疾患や健康課題解決に向けた研究開発を、主導的・包括的に支援するため、主に新生児期と、生殖・妊娠・出産期に関する病態解明、診断・治療法の開発及び実用化に関する研究を推進してきております。平成 30 年度に向けた新たな観点として、胎児期、乳児期、学童・思春期、 Life に関する病態解明、診断・治療技術の開発及び実用化に向けた研究課題を推進させることとしております。

 次に、スライド番号 39 、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病に対する実用化研究事業です。平成 30 年度においては新たに、糖尿病の発症予測によるリスク層別化と、適切な予防策の開発、循環器・脳卒中領域における有効なバイオマーカーの開発等の研究を推進してまいりたいと考えております。

 次に、スライド番号 41 、女性の健康の包括的支援実用化研究事業ですが、実施方針や研究課題など、昨年のものと大きな変更はありません。

 スライド番号 43 、腎疾患実用化研究事業です。平成 30 年度においては、 CKD の重症患者に特化した血液透析導入に代わる治療法の開発という目的を達成するため、新たな研究課題として、特に腎移植医療の向上に資する研究を実施することとしております。

 スライド番号 45 、免疫アレルギー疾患等実用化研究事業のうち、免疫アレルギー疾患実用化研究分野ですが、平成 29 年に告示された基本指針の下に整備が進められております。都道府県拠点病院連携等、オールジャパン体制のネットワークを基に、臨床情報、検体を収集して、新規創薬シーズの同定、疾患概念の再確立、メカニズム解明による治療標的の同定等を目指す研究を推進させることにしております。

 スライド番号 47 、免疫アレルギー疾患等実用化研究事業のうち、移植医療技術開発研究分野ですが、実施方針や研究課題など、昨年のものと大きな変更はありません。

 スライド番号 49 、慢性の痛み解明研究事業です。画期的治療法を開発する上での客観的指標に基づく介入部の設定、あるいは治療法に資するシーズの発展という目的を達成するために、平成 30 年度においては、特に五十肩、また怒り等の理不尽な情動に伴う疼痛の増悪現象についての研究を実施することとしています。

 スライド 51 、長寿科学研究開発事業につきましては、持続可能な介護保険制度等を提供するためのデータ基盤の構築に加え、自立支援介護を推進することが課題であるため、平成 30 年度においては、高齢者の自立した生活に関連する医学的エビデンスの収集及び医療ケア及び技術の開発に関する研究等を実施することとしております。

 スライド 53 、障害者対策総合研究開発事業のうちの「脳とこころ」のプロジェクト以外の部分です。平成 30 年においては、障害者の生活支援、社会参加、就労移行支援を促進するため、障害者自立支援機器の実用化研究などを推進させることとしております。

 エイズ対策実用化研究事業では、エイズ・性感染症に関する小委員会における後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正議論を踏まえて、平成 30 年度は特に知財対応が行いつつある新規ワクチン・治療薬開発に関する研究を引き続き実施することとしております。

 スライド番号 58 、肝炎等克服実用化研究事業では、平成 28 年度に改正した肝炎に対する基本指針と、同年に中間見直しを行った「肝炎研究 10 カ年戦略」を踏まえて、平成 30 年度は B 型肝炎・ C 型肝炎、肝硬変・肝がんそれぞれの治療成績の向上に資する研究を引き続き実施することとしております。

 スライド番号 61 、「統合医療」に係る医療の質向上・科学的根拠収集研究事業です。平成 29 年度に引き続き、統合医療の安全性・有効性等に関する科学的根拠を収集するための研究等を行うこととしております。

 スライド番号 62 、臨床研究等 ICT 人工知能実装研究事業です。平成 30 年度においては、データ収集が困難とされている対面診療データの収集、及び AI 技術を用いた診断支援システムの開発を実施することとしております。ここまでが AMED 事業です。

 次に、厚生労働科学研究について御説明します。青い資料 1-4 を御覧ください。まず、「行政政策研究事業」の中の事業について御説明いたします。 .

 スライド番号 3 、政策科学推進研究事業です。実施方針や研究課題など、昨年と大きな変化はありません。

 スライド番号 5 、統計情報総合研究事業です。平成 30 年度においては、社会情勢や人口・疾病構造の変化に対応した厚生労働統計の制度や国際比較性を向上させるため、新たな研究課題として、特に死因統計のデータ収集等の仕組みに関する研究を実施することとしております。

 スライド番号 7 、臨床研究等 ICT 基盤構築・人工知能実装研究事業です。平成 30 年度においては、 AI 技術の社会普及を目指すため、 AI 技術の運用を通した実装研究を新たな研究課題として実施することとしております。

 スライド番号 8 、倫理的法的社会的課題研究事業です。保健医療分野の人工知能活用に関する研究開発が進んでいることから、平成 30 年度においては、新たな研究課題として、人工知能を活用する際に生じる恐れのある倫理的法的社会的課題について研究する研究を実施することとしております。

 スライド番号 9 、地球規模保健課題解決推進のための研究事業です。平成 30 年度においては、新たな研究課題として、保健関連の持続可能な開発目標達成に向けた進捗をモニターするツール研究、各国の国際保健政策を分析して、国際保健課題解決に向けて日本が戦略的・効果的に行う介入に関する研究を実施することとしております。

 スライドは用意しておりませんが、「特別研究事業」というのがあって、平成 30 年度においても、突発的な問題発生に伴う緊急的な行政対応に役立つ研究を実施することとしております。

 疾病・障害対策研究分野の研究事業について御説明いたします。スライド番号 13 、健やか次世代育成総合研究事業です。健やか親子 21 の組織を推進し、母子保健対策の充実を図るため、切れ目のない妊産婦、乳幼児への保健対策に関する研究課題を中心に研究を推進してきたところですが、平成 30 年度に向けた新たな研究課題としては、学童・思春期から成人期に向けた保健対策に関する研究課題を推進させることとしております。

 スライド番号 15 、「がん対策推進総合研究事業」です。第 3 期がん対策推進基本計画を踏まえて、平成 30 年度においては、特に小児、 AYA 世代がん、希少がん、難治がん等の標準的治療に資する研究、がんゲノム医療、免疫療法に関する研究、高齢者のがん診療に関する研究、サバイバーシップを実現する社会の構築に関する研究を推進することとしております。

 スライド番号 18 、循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業です。平成 30 年度においては目標とする健康寿命の延伸に向けて、糖尿病や循環器疾患等の生活習慣病の発症予防、診療の質の向上等の研究を一層推進していくこととしております。

 スライド番号 20 、女性の健康の包括的支援政策研究事業です。実施方針や研究課題は昨年のものと大きな変更はありません。

 スライド番号 22 、難治性疾患政策研究事業です。実施方針や研究課題など、昨年のものと大きな変更はありませんが、平成 27 1 月に施行された難病法に基づく 330 の指定難病を含む難病等について、診療体制の構築、疫学研究、普及・啓発、診断基準、診療ガイドラインの作成・改定等を実施することとしております。

 スライド番号 24 、免疫アレルギー疾患等政策研究事業のうち、免疫アレルギー疾患政策研究分野ですが、平成 30 年度においては、平成 29 年に告示されたアレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針の中で明示された研究の推進を達成するため、大規模疫学調査、医療の均てん化の研究を、より推進させることとしております。

 スライド番号 26 、免疫アレルギー疾患等政策研究事業のうち、免疫アレルギー疾患政策研究分野の腎部分については、引き続き「今後の腎疾患対策のあり方について」という平成 20 3 月の腎疾患対策検討会での報告に基づき、新規透析導入患者減少の実現を目指した研究を実施することとしております。

 スライド番号 27 、免疫アレルギー疾患等政策研究事業のうちの移植医療基盤整備研究分野です。実施方針や研究課題など、昨年と大きな変更はありません。

 スライド番号 29 、慢性の痛み政策研究事業です。平成 30 年度においては、「今後の慢性の痛み対策について」という平成 22 9 月の提言に基づいて、総合的な痛み対策の充実のため、新たな研究課題として慢性の痛みの診療体制構築及び診療ガイドラインの作成普及のための研究を実施することとしております。

 スライド番号 32 、長寿科学政策研究事業です。介護サービスの効率化や増大する看取りへの対応等の喫緊の課題に対応するため、平成 30 年度は医療・介護連携に資するエビデンスの収集や、効果的手法に関する研究等を実施することとしております。

 スライド番号 34 、認知症施策研究事業です。平成 30 年度においては認知症施策推進総合戦略の目標を加速化させるため、普及・啓発、介護ケアに関する研究をより推進させることとしております。

 スライド番号 36 、新規研究事業としてお諮りしたい、「認知症先端技術活用推進研究事業 ( 仮称 ) 」です。平成 30 年度においては、現場ニーズに即した対応・支援のため、先端技術である AI ICT 技術を活用した生活環境整備や、生活予測に資する研究を実施することとしております。

 スライド番号 37 、障害者政策総合研究事業です。平成 30 年度においては精神保健福祉法改正に対応するための知見を収集するために、適切な精神医療保健体制整備に資する研究などを推進させることとしております。

 スライド番号 40 、新興・再興感染症及び予防接種政策研究事業です。平成 30 年度においては、大規模イベントに備えたサーベイランスの強化や、薬剤耐性対策アクションプランの推進、予防接種対策の推進等、国民の健康を守るための重要な研究を行うこととしております。

 スライド番号 41 、エイズ対策政策研究事業では、現在、エイズ・性感染症に関する小委員会における「後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針」の改正議論を踏まえ、議論において重要とされた HIV 検査の拡大の目的を達成するため、新たな研究課題として、特に検診の機会を利用した性感染症を含む HIV 検査の提供に関する研究を実施することとしております。

 スライド番号 44 、肝炎等克服政策研究事業では、平成 28 年度に改正した「肝炎対策基本指針」と、同年、中間見直しを行った「肝炎研究 10 カ年戦略」を踏まえて、平成 30 年度は、肝炎ウイルスへの新たな感染防止に資する研究、それから、ウイルス性肝炎の診療連携体制向上に資する研究を実施することとしております。

 スライド番号 47 、地域医療基盤開発推進研究事業です。平成 30 年度は地域医療提供体制の構築・整備、医療の質の確保、医療安全の推進、 ICT の推進、訪日している外国人旅行者や、在留外国人数の増加への対応、医療人材の育成・確保といった課題に対する研究を推進していくこととしております。

 スライド番号 53 、労働安全衛生総合研究事業です。実施方針や研究課題など昨年のものと大きな変更はありません。

 スライド番号 55 、食品の安全確保推進研究事業です。食品衛生法において、 HACCP の導入や器具・容器包装の制度改正を視野に入れて審議会等で議論を行っておりまして、その科学的な裏付けとなる知見を研究する HACCP の導入推進、評価に関する研究や、器具・容器包装等に使用される化学物質に関する研究をより推進させることとしております。

 スライド番号 57 、カネミ油症に関する研究事業です。平成 24 年に制定された、カネミ油症患者に関する施策の総合的な推進に関する法律の趣旨に基づきまして、ダイオキシン類の毒性の解明、カネミ油症患者の長期健康影響の解明、カネミ油症の診断治療法等の開発に係る研究を継続的に推進していくこととしております。

 スライド番号 59 、医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業では、平成 29 年度に引き続き、薬事行政の課題解決に向けた制度設計の根拠となる研究を推進していくこととしております。

 スライド番号 60 、化学物質リスク研究事業です。平成 30 年度においては、最先端の情報処理技術の導入における有害性予測の精度の向上や、シックハウスにおいて新たな室内濃度指針値の策定の目標を達成するため、新たな研究課題として、特に化学物質の有害性評価の迅速化・高度化・標準化に関する研究や、シックハウス対策に関する研究を実施することとしております。

 スライド番号 62 、健康安全・危機管理対策総合研究事業ですが、実施方針や研究課題などは、昨年のものと大きく変更はありません。

 今、御説明いたしました研究事業について、研究開発の設定や内容は適切かどうか、御意見を頂ければと考えております。

 本日、御欠席の手代木委員と、井伊委員からコメントを頂いております。 1 枚紙の追加配布資料を御覧ください。手代木委員からは、昨年 12 月に AMED で取りまとめられた報告書、「医療経済的視点も踏まえた医療の研究開発推進の在り方について」を活用して、医療の研究開発の更なる推進等、政策への反映に努力していただきたいとのコメントを頂いております。

 厚生労働省としては、 AMED と連携して事業実施方針を策定しておりまして、今後とも委員の御指摘を踏まえて取り組んでいきたいと考えております。

 また、井伊委員からは、紙はお配りしていませんが、口頭でコメントを頂いております。看護師やフライトアテンダントなど深夜労働を含む交替制で勤務している人に、がんが多いという報告が海外でなされている。労働安全衛生総合研究事業では、このような研究はなされておらず、日本では働き方と健康影響に関するエビデンス研究はなされていないのではないか、というコメントを頂いております。

 御回答としては、働き方と健康影響については、労働安全衛生総合研究事業において、化学物質の取扱いに関する健康影響に関する調査・研究を実施しておりますが、本事業以外の労働者健康安全機構における労災疾病等医学研究や、公募による労災疾病臨床研究事業等によりエビデンス収集に努めているということです。

御説明が長くなって申し訳ありません。以上でございます。

○福井部会長 
 膨大な資料ですけれども、ただいまの説明について御意見、御質問等がありましたら、よろしくお願いいたします。

○中村委員
 事前に資料を送っていただきましたので、幾つか質問とコメントをさせていただきます。まず、厚労科研のスライド
6 ですが、統計情報総合研究事業についてです。厚生労働統計の国際比較性、あるいは利用可能性の向上のための分類として、 WHO が作成した ICD 、これは皆さん御存じのとおりですが、そのほかに ICF 、国際生活機能分類がありますが、 ICF については、活用が十分でないという状況があるということを、私は大変懸念をしているところです。その観点から、 ICF の利用可能性の維持、向上に関する研究を推進するとしてある点、大変適切ではないかと思いますので、是非、推進していただきたいと思います。

 次は、コメントと要望です。厚労科研のスライド 19 、生活習慣病に関する研究事業について、生活習慣病の対策としては一般に、「一に運動、二に食事」と言われている中で、運動ということの重要性は指摘されていますが、それを阻害する運動器疾患については、これまで余り言及されていなかったと思います。平成 29 年度のロコモティブシンドローム対策に続きまして、平成 30 年度に「運動器疾患予防のための効果的な介入方法の開発と検証に関する研究」が取り上げられておりまして、これは大変適切ではないかと思います。是非、推進していただきたいと思います。

 一方、これは要望ですが、 AMED 研究のスライド 39 40 の生活習慣病対策実用化研究事業においては、医療研究としての運動器疾患対策が取り上げられていないように見受けられますが、大変重要だと考えますので、厚労科研と同時に、 AMED 研究としても研究を推進していただきたいと。その検討をお願いしたいと思います。

 もう 1 つは、厚労科研のスライド 22 23 について、これは質問とコメントです。難治性疾患政策研究事業については、先ほど口頭での御説明もありましたとおり、平成 29 年度実施指定難病として、 24 疾患が追加されて、計 330 疾患となったわけです。そして、この文章によると、今後も追加の検討を行う予定であるとされています。大変、私は歓迎すべきことと考えます。しかし一方、このように急速に数が増加しておりまして、その規模も格段に大きくなった分、その全体のマネジメントの基本方針について、その方針があれば、できれば説明をお願いしたいと思います。

 また、これは懸念していた点ですが、医療上収集されたその難病に関するデータの利用が期待されていたわけですが、スライド 23 に「難病データ登録システムの開発」と書いてありますが、これについて具体的に説明が可能であれば、お願いしたいと思います。

 最後に、先ほど、これも口頭で御説明いただいたところですが、 AMED 研究のスライド 53 の、障害者対策総合研究開発事業についてです。これまで障害者対策総合研究事業というのは、政策研究の色彩が大変濃くなっておりまして、言わば、応募者から見ますと、大変ストライクゾーンの小さな、的を絞った募集が多かったというように認識しております。それはそれで大変重要なのですが、一方、社会全体を見渡しますと、障害のある人のニーズには大変幅広い範囲があります。今回、「障害をもつ人とその家族の生活支援、社会参加、就労移行支援を促進するための研究」が取り上げられているのは、これは読みようによりますと、ストライクゾーンがかなり広く設定されているようで、広いニーズに対する研究の促進が期待され、大変、適切であろうと、このように考える次第です。

 また、パラリンピックを控えていることもあり、障害者の体力を検討する「障害者の健康増進、活動性を維持向上させるためのコンディショニング方法に関する研究」も非常に適切なタイミングというように思います。

 一方、皆様も御存じのとおり、陸上での補装具においても、新しい補装具の開発が進んでいる現状があります。加えて、社会参加のためのニーズも広がっている中で、「自立支援を促進するための機器開発に関する研究」が取り上げられているということも大変適切であろうと思います。私からは以上です。ありがとうございます。

○福井部会長
 ありがとうございます。例えば、難治性疾患政策研究事業で疾患がたくさん増えて、それに対応する何かマネジメントの方針は特別にあるかどうかというお話でしたけれども、それについて何か答えがありましたら事務局からお願いします。

○下川研究企画官
 福井先生が今おっしゃったことと、もう
1 つは循環器疾患関係についても御意見を頂いておりましたので、それぞれ順番にお答えしたいと思います。

○事務局
 健康課です。生活習慣病の運動器のお話ですが、御指摘いただいたとおり、今年度よりロコモティブシンドローム
( 運動器症候群 ) の研究が開始されて、この研究班の中で、運動機能の低下と介護等の関係、すなわち、どのような筋がどの程度衰えると、介護の危険性が高まるかといった医療面、健康づくり面に資する課題を整理していただく予定となっております。

この研究で収集される課題を整理した後に、健康寿命を延ばしていくという観点で行うべき研究があれば、引き続き研究を進めていくという形でいきたいと思っています。

○事務局
 難治性疾患政策研究事業の部分を、難病対策課からお答えさせていただきます。新たに指定難病に追加されたということは、その検討に資するエビデンスが研究班で研究されてきたということですので、既に研究班はあったということで、むしろ、新たに指定難病になった疾病を扱う班に関しては、既存の関連する疾病を扱う研究班に統合いただいたりとか、小児成人期移行医療、トランジションを進めるために、小児班と成人班が別々な場合には統合していただくとか、同じ疾病や似ている疾病を別々の班で扱っている場合には、統合していただくという調整を行いまして、昨年度終了時点よりは、今年度開始時で、約
10 班ほど研究班は減っております。

 難病対策課が扱う研究班は約 300 ほどありますけれども、そのうち実用化が 190 あり、その部分は AMED にマネジメントをお願いしているわけです。残りの 110 に関しては、当課と、国立保健医療科学院と、また AMED にもそのマネジメントを協力いただいているわけですが、その方法としては、政策班と実用化の班と同じ対象疾病である場合には、班会議を合同で行っていただいて、それぞれの班会議に出席させていただいたりすることによって、効率的に進捗管理を行っていきたいと思っております。

○福井部会長
 ほかにいかがでしょうか。

○楠岡委員
 少しコメント的なことになって恐縮ですが、何点か発言させていただきます。
1 点目は、研究全体に関わることですが、既にこの場で討議されているかもしれませんが、研究期間の問題を少し強く感じております。厚生労働科学研究というのは、基本的に単年度研究で、もともとの研究期間を 3 年程度必要として、立てているものに関しても、基本的に単年度ごとで継続していくというスタイルになっています。

 政策に関する調査研究とは、当然、単年度、次の年にそれをいかすということもあるので、単年度研究ということは、比較的に合理的とは思いますが、 AMED 研究等で実際、例えば臨床試験等を行うとなると、当然 3 年の計画がないと、企画から終了までかかるわけですが、それが単年度ごとということで、研究によっては、実は途中で研究費が取れなくなって、中断するようなこともある。ですので、長期の研究に関して、あらかじめ採択された場合は、次年度以降に関して必ず確約するものではないけれども、もう少し継続性が保障されるようなシステム、文部科学研究の場合、割とそういう形になっておりますので、そういうようなことが必要ではないかと。

 もう 1 つは、実際、数年にかかる研究を単年度ごとで継続してやっている場合に、途中で当初の研究計画以外の研究が少し入ってきて、 3 年目で当初の計画が終了しているのですが、途中から入ってきたものがまだ終了していないので、次の年にまたそれを申請してということで、少しずつずれていくと、結果的に、当初のものはとっくに終わっているのだけれども、研究そのものは単年度ごとに何となくずっと続いていくというような、若干、そういう弊害が出てくるようなものも評価委員会のほうで見ておりました。そういうものも出てきましたので、その研究期間に関してどのように取り扱うかということを、一度明確にする必要があるのではないかということが気になっているところです。

 あと、個別的なところですが、資料 1-1 に基づいて少しコメントさせていただきます。 1 つは、 9 ページの所で、これはもともとオールジャパンでの医薬品創出プロジェクトの中の創薬基盤推進研究事業の関係のところですが、 9 ページの丸2の所で、他の省庁の研究事業や事業費で実施されている研究事業の関係の有無という所が、特に「該当なし」となっているのですが、ここで挙げられている研究で、丸4の薬用食物に関する研究に関しては、これは薬、食物栽培に係ることなので、ひょっとすると農林水産省のほうで、いわゆる薬草の栽培等に関する研究事業があるのではないかというのがちょっと気になりましたので、その点は一度チェックいただいたほうがいいのではないかという気がしました。

 次は、 11 ページの一番下の丸2の所です。疾患登録システム ( 患者レジストリ ) に関する研究で、クリニカル・イノベーション・ネットワーク (CIN) のことが記載されています。このような患者登録に基づくような研究がほかの所にもありまして、例えば、 23 ページの一番下にありますが、ここも疾患登録システムを構築するというような話、あるいは、 69 ページですが、未診断疾患イニシアチブ (IRUD) と、あるいは、難病の情報の集約ということ、そして、その二次利用ということが事業として書かれています。

 例示的なものですが、このような 3 つの事業において、それぞれ患者疾患登録を図っているわけですが、これが、ばらばらに進みますと、結局データベースができても、将来それを統合することが、極めて困難になってしまうということがあるので、何らかの標準化、データベースそのものの標準化は、これは各目的ごとに異なりますので、そこまでは無理ですけれども、例えば、患者さんの基本情報に関するところは標準様式を定めておいて、がんに登録された患者さんが、他の難病を併発した場合も、その 2 つの情報がヘッディング情報をつなげることで、同時に参照ができるといったような何か基本的な方策を早めに立てておく。そうしないと、結局、将来、データベースを統合することが極めて困難になってしまって、結果的にそのデータベースの有効活用ができないということになりかねないので、これは運用面のお話になりますけれども、少しそういうことも基本的な構想として、最初の段階から入れておいたほうがいいのではないかということを危惧します。

 既にデータベースが集まりだしているところは、それを改編するのは難しいと思いますが、何か患者さんの基本情報等に関するところ、将来の統合を見据えたような何か方策というのを少し追加するとかして、対応できるものであれば、是非、そういうことをしていただきたいと思います。

 いろいろなところでビッグデータの話がありますが、疾患に関する個別情報というのは、こういう研究事業でしか集まりません。それを有効利用しようとするとき、例えば、いろいろな疾患の間の連携が本当にどうなっているのかを見ようとする場合は、こういう情報を結合する必要が必ず出てくると思いますので、是非、その点を御検討していただければと思っております。

4 点目は、個別の話で恐縮ですが、 16 ページの一番下、ヒトの iPS 分化細胞技術を活用した医薬品の次世代毒性・安全性評価事業というところで、今、いろいろな薬剤に関して不整脈を発現するリスクが問題になっていて、これを iPS 細胞を使って検討しようというプロジェクトということになっております。もちろん個々の細胞が不整脈の発生を誘起する、サブストレートでベースにはなっているというのは当然ありますが、個々の細胞だけではそれほど問題なくても、心臓の場合、伝導系というシステムを構築したときに、リスクの積み重ね、相乗作用で不整脈を誘発するというような、個々のものだけではなく構造、システムとしての問題もあります。ここでの検討の中には、単に iPS 細胞だけの問題だけではなく、それを構築した、例えばシミュレーション等による研究等もある程度含めていただいたほうが、より詳細な研究ができるのではないかと考えた次第です。

 もう一点は、 127 ページですが、もとは 124 ページから始まる ICT の基盤構築・人工知能実装の研究事業に関するところです。この研究事業全体の中で、主に研究者を基準にして事業を進めるような形で構成されているわけですけれども、実際には、いろいろなデータを構築するシステムを提供している、電子カルテ等を作っているベンダーの参加とか。現在は、単にベンダー等で集まってきたデータだけではなくて、それをどう利用するかということで、情報産業もやはり一緒に考えていただかないと、なかなか広がりが出てこないのではないかと危惧します。

 例えば遺伝子治療のベースになるプレシジョン・メディシンにおいても、アメリカのオバマ前大統領が出したイニシアチブでも、単に医療者だけではなくて、情報産業、例えば Google Amazon とかが参加する形で、膨大な遺伝子情報を使った情報分析等も考えるような形で、そこで非常に大きなブレイクスルーが期待されているところもありますので、電子カルテ情報に関しても、是非、情報産業、あるいは、それのベンダーも加わっていただくような形で進めていただく。それが、より広がりが出ていいのではないかと考えております。ちょっと細かい点で恐縮ですが、以上の点に関してコメントをさせていただきました。

○福井部会長
 ありがとうございます。事務局から何かありますか。

○下川研究企画官
 まず初めに、一般的な研究全般のお話として、複数年にわたる研究も単年度ごとの公募採択になっているのではないかということですが、単年度のものもあるのですけれども、基本的には
3 年間の計画で作られているものが多くあります。ただ、以前、この科学技術部会でも御説明しました国の大綱的指針に従って、中間評価が入りますので、その段階で評価が悪ければ、次の年に採択されないということがあります。そういった意味では、必ずしも 3 年にならない場合もありますけれども、基本的には 3 年計画のものが主になっているのではないかと思います。

 それから、一定期間の研究が終わった後も、その研究をやっている途中に、少しずつ内容が付け加わって、また、その研究期間が終わった後もまた次の研究課題が立ったときも、また同じ研究者がそれを引き続いてやっているような状況ということに関してです。研究課題の採択においては、各研究事業の事前評価委員会において適切に評価された上で採択されたというようには考えているのですが、単に、過去にその研究者が実施しているからという理由で、安易に採択がまた同じ研究者になるというようなことがないように、本日、出席している各研究所管課の担当者も話を聞いておりますし、私のほうからも改めて各事業の担当者に先生の御懸念の点について伝えて、適正な運営をしたいと考えております。

○福井部会長
 よろしいですか。ほかに委員の先生方からありますでしょうか。

○下川研究企画官
 先ほど、中村先生の御質問の中で、
1 つお答えが漏れていたものがありました。難病データ登録システム開発について御説明させていただきたいと思います。

○事務局
 申し訳ございません。難病対策課です。平成
27 年に難病法が施行される以前は、旧事業として 56 疾病が対象となっておりました。データベースもあったのですが、そのデータ入力を都道府県にお願いしたこともありまして、その入力率が都道府県によって差があることが問題でした。今回、指定難病として対象疾病が 330 に増えましたので、それに対応したデータベースを作っていただくというのがこの班です。今年の秋からそのデータベースが稼動、開始しますが、その内容は、指定難病の診断書である「臨床調査個人票」を基にしています。 OCR というマークシート様式の臨床調査個人票をベンダーにもお願いして、電子カルテ上でも書けるようになっておりますし、若しくは、それにアクセスできない方は手書きでその用紙を書いていただいて、まず、都道府県に用紙を送って、医療費助成の対象かどうかを判断していただき、その後、医薬基盤研にその用紙を全て送りまして機械で読み取るので、登録漏れということはなく、悉皆的に登録できる予定です。以上です。

○福井部会長
 それでは、最初に大澤委員、どうぞ。

○大澤委員
 大澤でございます。
AMED のほうのポンチ絵のスライド 38 、厚労省のほうのポンチ絵のスライド 13 、資料 1-1 78 ページ、これらの所に関連してコメントをさせていただきたいと思います。いずれも小児ということですが、資料 1-1 78 ページの (2) 2 つ目のポツの所に、平成 30 年度の研究事業においては、新たな視点として、胎児期、乳児期、学童・思春期、 Life ステージに関するものを行うということが書かれています。これは前回のときに、やはり次世代の育成という点で、その全ての Life ステージに関連したものが必要であろうということが出て、それをここに挙げていただけたことは大変よかったと思います。

2 の要求要旨の (2) の丸3の所に「乳幼児期」という言葉があるのですが、できれば、「乳児」だけではなくて、「乳幼児期」という言葉に統一していただいたほうが有り難いと思います。

 ただ、ここでどちらかというと、先天異常を中心に検討すると書かれているのですが、あと、世の中一般的に検査会社が結婚する前の男女の遺伝子を調べて、その子供たちに病気が出る確率を調べるとか調べないとかという、そのようなこともちょっと話題になったりする世の中になってきているのですが、実際の現実問題として、身体的には全く問題のないお子さんで、あるいは軽度の発達障害や、ごく予後の良いてんかんの患者さんとか、そういう方たちで、思春期に登校拒否や摂食障害などが起こってくることもしばしばありますし、それらの方たちがそのまま引き籠もりになってしまうという、そういう問題がとても根深くあると思っています。

 やはりその背景には、愛着形成が不十分であることとか、情報過多の世の中にあって、消化しきれない情報による不安感というか、そういうものを親御さんたちに煽ってしまうということもあって、先天性疾患に関する研究も重要ではあるのですが、その不安を煽らないような形での心積もりというか、そういうものを是非研究の場面でもしていっていただいて。厚労科研のほうのポンチ絵の 13 番、ここでは、健やか次世代育成総合研究事業ということになっていますので、恐らくここのところのその保健に関わる部分でそれは補っていただけるのだろうと思いますが、その辺をよろしくお願いしたいと思います。

 先ほど、情報の Google とか、そういう所の方たちも巻き込んでというお話もあったのですが、どういう情報をどういう形でみんなが受け止めていくかというところが、かなり問題になるかなという気はいたしております。ありがとうございます。

○福井部会長
 ありがとうございます。文言のこともありましたので、事務局のほうはよろしいですか。

○事務局
 母子保健課です。委員が御指摘のとおり、文言で「乳幼児期」か「乳児期」かということですが、これは「乳幼児期」で統一をさせていただきたいと思います。修正いたします。

 それと、幾つか御指摘を頂いた点に関しては、公募課題をこれから検討する中で、反映させられるか検討していきたいと思います。どうもありがとうございます。○福井部会長 ほかに何かございますか。

○武見委員
 今の御発言と同じで、厚労科研の
13 ページの同じ所を続けて発言します。乳幼児期ずっと一貫したということで、学童・思春期の所に「成人期に向けた保健対策に資する研究」が入ってきたことは、とても大事でよかったと思います。そのことに関して、資料 1-1 149 150 ページ辺りを拝見したのですが、恐らく、学童期から思春期の保健対策に関して言えば、保健部局だけではなくて、実際には子供たちの学校教育が非常に関係してくると思います。

 今後、これを公募課題に落とし込まれていくときには、やはり学校教育現場との連携がないと、恐らくいけない。成果をどのようにいかしていくのかという点でも、場合によってはデータをどのように収集していくのかという点においても、学校教育部局とのつながりが非常に重要になると思います。資料 1-1 を拝見する中で、そういうことがほとんど出てきていない状況にありますので、その辺りを今後、検討して、そういう連携がうまく進んで、研究成果が本当に子供たちに資することになっていただければと思います。以上です。

○福井部会長
 ありがとうございます。

○山口委員
30 年ほど前から国立がんセンターでこういう研究の組立てをやってきた経験があるので、そういう経験を踏まえてコメントします。一方、この部会では新任の委員ですので、少しピントの狂ったことを言ってしまうかもしれませんが、それは御容赦ください。

 今日の作業は基本的に厚労省内及び AMED が中心でまとめてきたものなので、そこを強調しながら、まず最初に申し上げたいポイントです。今日、研究事業の実施方針という議論になっていますが、前もって事務局から主に御確認いただきたい事項という 2 枚紙を頂いており、評価する側が、こういうところをしっかり見て評価してくださいという文章であり、そういう意味で非常に適切な文章だと思います。

 逆に省内や AMED の皆様が、この案をまとめるに当たっては、ここで確認すべき事項に沿った形でできるだけ書いていただくよう調整していただければと思います。書いているほうにこれに沿っていない部分も結構あり見にくい気もしますので、後で事例を少し述べたいと思います。

2 番目は、 AMED が出来てまだ時間がたっていないので、致し方ない部分があるかもしれませんけれど、今日出てきた AMED と厚労科研の研究間の住み分けが、まだ一部不十分なところがあるように見受けられます。今日の資料を作成するに当たり、テーマごとの話合いはきちんとやっていると思うのですが、全体像について省内と AMED の間で話合いを一度されると、後から申し上げるようなことが減るのではないかと思います。

3 番目は AMED の皆さんへのお願いです。 AMED は本省と違ってプロとして医療関連の研究を推進するための機構ですから、今日の資料のような資料についてはしっかりチェックしていただいて、しっかりやっていただいているのだと思いますが、更なるチェック、大変大きな血税を使った予算を使っている部分ですので、その点をお願いしたいと思います。これが総論の部分です。

 具体的に幾つか指摘いたします。今日の作業のポイントは、この研究事業の概要を伺い、 29 年度までの全体像を踏まえながら 30 年度はどのようにするのか、その 30 年度の要求項目として、継続研究の予算の増加並びに新規の課題ではないかと思います。最初の確認事項の文章に従って、それが適切に記載されているかどうかという視点でざっと眺めさせていただきました。

 事例を大きく 3 つに分けました。最初に少し厳しい言い方かもしれませんが、内容の評価以前に少しこれは問題なのではないかという文章を、主に資料 1-1 2 つ指摘いたします。 121 ページの「統合医療」です。この「統合医療」は日本独自の部分もあるので、国際的に見ても大変大事な研究だと認識しております。 122 ページを見ると、 (2) 全体的に推進すべき研究課題と (4) 平成 30 年度に新たに推進する研究課題 ( 新規課題 ) は全くコピーアンドペーストで、よく見たのですが「新たに」という言葉が 3 文字入っているだけの違いです。この書きぶりが許されるのは、この研究が平成 30 年度に全て始まった場合で、その場合には、こう書かざるを得ないのかと思いますが、この研究はそうではなくて、既に始まっている研究なので、やはり全体的に推進すべき研究課題は、 29 年度ないしはもう少し前から始まっているものをきちんと整理した上で、平成 30 年度の優先課題と新規課題を明確に書いていただく、コピーアンドペーストももう少し上手にやってくださいという意味合いです。

 もう 1 つ事例を挙げます。資料 1-1 184 ページは、厚労科研の認知症に関わる部分です。このテーマと、もう 1 つ次の新規の認知症先端技術活用推進という 189 ページを見比べてください。この一番最初の 1 (1) 現状と課題は結構長く書いてあるのですが、 184 ページの現状と課題の文章と 189 ページの現状と課題の文章は全く同じです。唯一違っているのは 189 ページは丁寧にアンダーラインを引いてありますので、その部分、ここが新たに付け加えられた部分です。

 というわけで、この記載者は、多分、いろいろな事情があり、わざわざアンダーラインを引いて、ここは前とは違うのだということを強調したのかもしれませんが、かえって目立ってしまって、昔はみんな注意深く書いていたと思うので、余りこういうことはなかったのです。この辺りの評価以前のところは省内や AMED の皆さんがしっかりチェックして、この会議に出していただくということを、まずはお願いしたいと思います。

 次に、内容に若干疑問がある、あるいは確認したいと思う点を同じく資料 1-1 で申し上げます。こちらは非常に細かいことなのですが、 46 ページ、ゲノム関係の研究のところで、 47 ページの要求要旨 (3) の平成 30 年度に予定されている遺伝子パネル検査の保険収載、この段階で「保険収載」という言葉を使っていいのかどうかというのは少し疑問に思います。もう既に決まっていてこういう動きになっているのかと、私は別の会議にもいろいろ出席させていただいてなるほどと思いましたが、もう少し注意深くやるべきなのではないかということ。

 その次、これは逆に伺いたいですが、 147 ページの特別研究事業で、先ほど少し御説明がありましたが、これは緊急の課題が出てきますので大変大事だと思います。したがって内容が何も入っていないということは当然だと思うのですが、例えば、この書類を作成してから現在に至るまでに、 29 年度ないし 30 年度なのかもしれませんが、テーマが出てきているのか否か、かつて、この研究でどういうテーマが上げられたのかを少し伺わさせていただければと思います。

 ほかにも幾つかあるのですが、時間の関係で飛ばさせていただきます。最後に、がん研究に関しては先ほど言った経験がありますので、少し細部にわたって意見を申します。 50 ページの「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」は AMED です。それから、厚労科研で 153 ページにがん対策推進総合研究事業として、 2 つに分けてがん研究は書かれております。

 がん対策推進協議会の席で、主に「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」の説明だったと思うのですが、前回申し上げたとおり、病気の研究ではなくて患者さんに関する研究の充実が、がん対策推進協議会の基本的な意見で、そういう説明ではなかったので AMED のほうに関して結構厳しい指摘がなされたところです。

 その点が気になっていたので、前回のこの会議で「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」は、そういう患者さんの研究をやらないのかと、具体的にはサバイバーシップリサーチ、支持療法の研究、 Life ステージの研究です。そのときのお答えは、 29 年度の予算においては「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」でどんどん取り入れるようにする、それは報道資料を見ていただければ分かるということで、大変納得させていただいたということが前回の議事録に残っております。

 今回、まず、 50 51 ページにかけてきちんと「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」において意識して書かれています。「 QOL 」「支持療法」という言葉が現状と課題にも出てまいりますし、全体的に推進すべき研究課題の所にも出てきます。ただ、平成 30 年度の新規あるいは継続の中にその言葉が少し落ちていて、エクスキューズとして、多分、推進基本計画の議論の中で出てきたものについては優先的に推進するという、この文章で読むということなのだと思います。そこにある意味、重点的にそこを置くというような記載が、既に 29 年度の予算でなされていますので、やはりそのことは反映させるべきなのではないかと思います。一方、 153 ページの厚労科研の同じ分野は非常に丁寧に書いていただいておりますので、こちらは全く問題ないと思います。予算の規模が全く違うので、「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」でも、この問題はしっかり取り上げていただく必要があるのではないかと思います。例えば、今日提出されている AMED のポンチ絵にはそのことはほとんど触れられていませんので、 29 年度で実施するようになったという結論が出ているわけですから、このポンチ絵も少し改訂していただく必要があるのではないかと思います。

 最後に、なぜそこをしつこく申し上げているのかというと、がん対策、がん診療、がん研究は、完全に多職種チーム医療の時代に入っているので、医師、研究者の研究とともに看護師を含む多くの職種の方に積極的に、厚労科研の研究にも、あるいは「ジャパン・キャンサーリサーチ・プロジェクト」にも参加していただかないと、日本の多職種チーム医療の将来が少し危ぶまれるかと思いますので、この点を再度強調いたします。

 以上、長々と申し上げましたが、しっかり読ませていただくと気になる点が幾つかありましたので、お話させていただきました。どうもありがとうございました。

○福井部会長
 ありがとうございます。
1 点、かつて特別研究事業でどういう課題があったのか、もしここで分かれば挙げていただければ有り難いです。

○下川研究企画官
 まず、先生から御指摘いただいた記載方法については、全体を見直して統一的に修正したいと思います。申し訳ございませんでした。それから特別研究は、第
1 弾が終わり、今 2 回目を省内で募集しているところです。過去の具体的な内容については、今資料がなくて申し上げられないのですが、先生の御指摘のように中身が書きにくいということもあり、ほとんど中身が書かれていない状況です。過去こういうものがあった等、ここの書き方を工夫したいと思います。

○福井部会長
 ほかに何かございますか。時間のこともありますので、できるだけ簡潔にお願いできればと思います。

○川西委員
 私も
AMED 関係も多少あるのですが小さな問題ですので、私が関係しているところについて、ほかの先生方から、多分、余りコメントはないだろうなという、 2 点だけコメントさせていただきます。

1 つは、資料 1-4 55 56 ページの食品の安全確保推進研究事業関係です。これは AMED のように目立つ研究ではないのですが、食品の安全確保ということで、国民生活の安心、また、安全・安心ということで非常に重要な部分です。今回、タイミングとしてトランプ政権ができて TPP がどうも怪しくなったということがあり、しばしば、去年 TPP が強調していたことがなくなったように見えますが、今、食品のグローバライゼーションがものすごく活発で、米国がどうであろうと、これは必然的に非常に重要な部分があります。この辺りは、 30 年度も非常に重要な研究ということで、是非とも推進していただきたいという分野だと思っています。

 もう 1 つコメントさせていただきたいのは、 59 60 ページの化学物質のリスク研究の部分です。これも今の時代どうしても成長戦略がすごく重視されるので、光が当たりにくいところで、私はここの研究領域の現場で見ていると、ここ数年どんどん切られているという状態の中で、海外への対応、それから化学物質の安全確保は非常に地味な仕事なのですが、国民生活の基盤に関わるところです。どういう評価でそういう結果になっているのかということも聞いているのですが、いずれにしても国内のこういう関係の研究基盤そのものが切り崩されていると感じるレベルまで、ここ数年カット、カットできているように思いますので、くれぐれもその辺りについて御配慮をお願いしたいと思います。以上です。

○福井部会長
 よろしくお願いします。

○磯部委員
 以前にもこの会でコメントしたことがあり、多分、多くの領域がそうだと思うのですが、例えば、
AMED が出来る前は、厚生労働科研として難病のグループを作って研究を推進するというスタイルでやってきたと思います。今度、 AMED と分かれて、 AMED が実用化研究で厚労科研が施策に関する行政的なということで、ただ、大抵こういう難病の研究班はオールジャパンで組むことが多いと思います。そのときに実用化の部分と行政の部分を分けて同じグループが申請するケースが多いと思うのです。

 そのときに、行政が登録研究をする、あるいはガイドラインを作るためのデータを収集する。そのデータそのものが、 AMED の研究班で流用という言い方ではありませんが必要であると。しかも同じようなグループが研究班に置かれて、今の体制では 2 つに分かれてしまって、ときとすると片方が採択されて片方が採択されないという事態が実際に起きており、その辺りの連携をうまくやってくださいと。先ほど山口委員からも御指摘があったように、 AMED と厚生労働省のすり合わせというか、そういうものは、この研究の公募をする段階もさることながら、実際の採択に当たっても是非連携を取って密接にやっていただかないと、研究が片手落ちになったりということがあり得ていますので、その辺りを御配慮いただきたいと思います。以上です。

○福井部会長
 ありがとうございます。

○石原委員
 時間もありますので、総論的なことについて幾つか感想とお願いをしたいと思います。これは昨年も申し上げたことですが、我が国のいろいろな疾病を代表とする厚生労働省の管轄の情報に対する国際的な関心は極めて高い、その過程において日本から様々な情報を積極的に英語で発信していただくということが、重要であるということを昨年申し上げました。私も次第に充実してきていることを感じており、本当に関係される方の御努力だと思います。このことは今後とも必要になることですので、是非、継続していただきたいと思います。

2 番目は、今回、あらかじめ書類をお送りいただいて感じたことですが、予算配分の話です。これはこれから議論されるのだと思いますが、お送りいただいたポンチ絵に書いてある平成 29 年度の予算額の表記法が、○ . ○億円、○千円と書いてありバラバラです。実は、ここがかなり重要な場所であり、これを統一するのはそれほど難しくないと思います。

 その中で、私の立場もありますが、とにかく明らかにがんと難病と肝炎のところに大半のお金がつぎ込まれていて、それ以外のところの費用は平成 29 年度で極めて少額であり、 1 桁、 2 桁違います。もちろん、重点配分することが政策的に非常に重要であると思いますし、現在何が重要であるのかということについては、それぞれの立場の方の状況があると思いますので、簡単に申し上げることはできないと思います。しかし少なくとも、母子保健関係の数字を見ると、かなり悲しい状況と言わざるを得ないです。

 もう 1 つは、母子保健関連の事業には、いわゆる疾病対策の事業との狭間に落ち込みやすい研究案件が非常に多く、どちらにも入らない、あるいは両方に入ってしまうということがありますので、こういうところに目を付けた対策をお願いしたいと思います。最後に、是非、母子保健課と女性の健康推進室の皆さんには頑張って予算を確保していただくようにお願いしたいと思います。以上です。

○福井部会長
 ありがとうございます。ほかに何かございますか。

○館林委員
 素人で初めて参加するので間違っているかもしれませんが、全体的にこれまでの流れの中で、続けていただいてとても良いと思います。ただ、
1 点だけ気になるのは、素人の立場で、毎日、社会情勢と対峙している中で、最後の 245 246 ページの所のテロ対策です。 (3) の中では自然災害とか水とか生活環境安全対策があり、新規課題の中に丸4オリンピック・パラリンピックに向けとあります。我々の感覚で言うと、それは少し遅いのではないかと思います。もう少し喫緊の課題なのではないかと思いますので、この辺りを御検討いただければと思います。なぜかというと、我々はもう準備しているからなのです。

 もう 1 つ、これは素人なので分かりませんが、すごくいろいろな個人情報をうまくつなげるような政策がどんどん出てきます。倫理審査をしていて個人情報保護法との兼ね合いが少しよく分からず、 ELSI の話は課題ですが、この辺りをどのように理解したらいいのか、分かるガイドラインや政策があればいいと思いました。よろしくお願いします。

○福井部会長
 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○西村委員
 西村です。全体の事業実施方針については、この内容で進めていただいてと思いますが、先ほども御指摘があった総論的には、どのようなところまでこれまでの事業では進んだのかということを、やはり整理していただいた上で、今年度はこのような事業実施方針を立て、更に一層進めていくというようなところが分かる形にまとめていただけたらと思います。

 それから、個別のところについてですが、厚労科研の 32 のスライドで、長寿科学政策なのですが、医療と介護がますます重要なテーマになってきて、研究を進めていただきたいと存じます。その研究の視点として、介護の実態で被介護者、介護される側が主に書かれているように思いますが、やはり介護者の問題というのも大変重要で、介護者にも着目して、介護の実態から生じる問題にも焦点を当てていただきたいと思います。介護サービスの効率化という言葉を出されて御説明がありましたが、効率化だけで解決できない問題が実態にはあって、老々介護や認々介護や、あるいは、もっと進むと虐待や、事件になるようなこともありますので、職場の離職という問題も絡んできて、介護者を含めた介護実態も焦点にしていただきたいというところが 1 つ意見としてあります。以上です。

○福井部会長
 ありがとうございます。

○今村委員
 今御説明いただきました多くの研究に、日本医師会としては参画をさせていただいておりまして、それについては有り難く思っております。大まかに言いますと、こういった科学技術の発展というものが、国民医療の適切な提供につながるという視点で私どもは考えていきたいと思っております。個別の問題はいろいろありますが、今、委員の何人かから指摘がありました非常に予算配分が少ない分野、成育医療の部分や女性の健康の部分、あるいは、倫理的法的社会的課題の部分、こういったものについては、ほかの分野のところでなかなか検討しにくいところでもあります。

 それから、館林委員からも指摘があった、外国人旅行者や在日外国人の医療に関わる問題について、これについては国内での整備というものが、まだなかなか進んでいないのではないかと日医としても危惧をしております。研究事業も当然のことながらやっていかなければならないし、それに引き続いて直ちにそれを実際の政策に発展させていかなければならないと思っております。この研究の分野、そして、実際の計画策定にも私どもとしては積極的に関与をしてまいりたいと思っております。以上です。

○福井部会長
 ありがとうございます。大変たくさんの御意見を頂きました。

 時間がないと言っておきながら、私も一言だけ。多くの委員の先生方とほとんど同じ点もありますが、やはりこのフォーマットが、書かれている部署によって随分違うのではないかという感じも受けました。できればそれぞれの項目に書く内容を整理していただいて、一定のフォーマットで書いていただければ有り難い。

 それから、「研究成果の政策等への活用 / 実用化に向けた取組」という項目がありますが、やはりどこかに「研究成果」というものを別個に作ってもらったほうが我々は読みやすいのかなと思いました。研究成果も、できればアウトプットとアウトカム、つまり研究が終わった時点での成果と、それから、社会に与える影響という、かなり時間が必要な点もあります、そういう意味でアウトプットとアウトカムを少し整理していただいて、期待される成果を書いていただいたほうが。その後、政策等への活用・実用化に向けた取組を書いていただく上で、それが明確に書かれていないと少し分かりにくい気がしました。

 それから、全般的に、他省庁との連携が空欄の所が目立ちまして、もう少し横の連携が考えられるのではないかというところもありました。横の連携は非常に難しいというのは私も重々承知しておりますが、もう一段、横の連携の目配りをしていただければと思いました。

 それから、細かいことで、先ほど委員の方からの連絡が事務にあったということでお話されていましたが、先ほどコメントを言われたのは睡眠とがんでしたか。夜勤の睡眠不足ががんの発症と関係するとか、そういうものも随分話題になっていますが、もう 1 つ我々医療に関わっている者としては、睡眠不足と認知機能の低下というものが非常に大きな問題なのです。余り取り扱われていないのかなとも、サッと見て思いましたので、将来的に、もし扱っていただければ個人的には有り難いと思いました。

○佐原厚生科学課長
 もう御意見がないようでしたら、今日は事前に非常に詳しく見ていただきまして、本当にありがとうございました。今日頂いた御指摘については、できる限り対応していきたいと思います。

1 点だけ、先ほど山口委員から御指摘いただいた書き方のことも含めてなのですが、今日の資料は厚労科研分だけではなくて AMED 研究分も含めて、厚生労働省のほうで責任を持って書いております。したがって、 AMED の名誉のために言いますと、この文章自体は我々の責任で書いておりますし、今日、厚労省と科学技術部会の先生方で大きな方針を決めていただいた上で今後のステップに進んでいく、また、 AMED への補助金の交付に進んでいくという形になりますので、その点だけ補足させていただきます。ありがとうございました。

○福井部会長
 ありがとうございます。先ほど下川研究企画官からの説明で足りなかったのではないかと思いますが、参考資料
2 については、説明はよろしいですか。

○下川研究企画官
 参考資料
2 については、前回のときにも御説明しておりますので、重複を避け、今回は説明を省略させていただきました。

○福井部会長
 それでは、ただいまの「平成
30 年度研究事業実施方針」については、基本的にはこれを認めていただくということで、頂いた御意見をできるだけ取り入れるということで進めたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 報告事項に入ります。『「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」に基づく研究機関に対する平成 28 年度履行状況調査の結果について』、事務局から説明をお願いします。

○下川研究企画官
 資料
2 です。厚生労働科学研究費補助金の管理・監査については、「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン」により、研究機関及び配分機関が講じるべき事項を定め、遵守を求めてきております。また、ガイドラインにおいて、厚生労働省が履行状況調査を実施し、研究機関におけるガイドラインに基づく体制整備・運用の状況について把握することとなっております。平成 28 年度履行状況調査については、昨年 12 月に開催された科学技術部会において実施方針を定め、調査を実施しましたので、結果の御報告をさせていただくとともに、未履行が確認された機関に対する対応について御意見を頂きたいと思います。

 調査対象は、昨年 12 月の科学技術部会でお諮りして決定した実施方針に基づき選定された 13 機関です。実施方針は下の※に記載しておりますが、平成 28 年度厚生労働科学研究費補助金の配分を受けた研究機関のうち 1 又は 2 に該当する研究機関。 1 として、平成 27 年度の配分実績に基づく配分金額上位 5 機関、それから、 2 として、厚生労働省が所管する施設等機関及び国立研究開発法人 4 機関。それから、平成 27 年度の履行状況調査の結果、未履行がありフォローアップが必要とされた 4 機関の 13 機関を選定しております。対象機関の選定に当たっては、事前に文部科学省等とも調整しまして、対象機関が重複しないように、また、平成 27 年度に調査した機関と重複しないように配慮しました。

 次のページです。調査内容ですが、通常調査としては 9 機関についてガイドラインに基づき、研究機関が遵守すべき項目について、調査対象機関の実施状況を調査いたしました。また、併せて、調査対象機関以外の研究機関における体制整備に資するため、対象機関における「不正防止のための実効性ある取組事例」の収集も行いました。各機関が提出する調査報告書に基づく「書面調査」が基本ですが、「書面調査」の結果、未履行事項を多く確認した 1 機関については「現地調査」を実施しました。また、フォローアップ調査としては、平成 27 年度調査で未履行事項のあった 4 機関に関しては、平成 29 2 28 日までに履行するよう期限を設け、改善を促してあった事項について「書面調査」を行いました。

 次のページです。通常調査の結果ですが、調査結果の 9 機関のうち 3 機関においては、ガイドラインに基づいて所要の対策が着実に履行されていました。具体的には、東京医科大学、独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター、国立研究開発法人国立循環器病研究センターの 3 機関です。 6 機関においては、ガイドライン要請事項のうち競争的資金の運用 / 管理に関する全ての構成員、構成員というのは研究者やお金の出し入れ、発注等に関わる事務員の方ですが、それらに対する誓約書の徴収、それから、不正に係る調査の体制・手続の規程の整備、それから、不正な取引に関与した業者に対する処分方針の策定及び周知において、未履行である事項が見られました。具体的には、岩手医科大学、独立行政法人国立病院機構鈴鹿病院、公益財団法人エイズ予防財団、国立保健医療科学院、国立医薬品食品衛生研究所、国立研究開発法人国立国際医療研究センターの 6 機関です。

 この経過を踏まえまして、未履行事項を有する 6 機関に対しては、平成 28 年度中に調査結果案を提示し、既に原則平成 29 年度内に体制整備を行うように求めております。この調査結果は、今年の 2 28 日現在の履行状況をまとめたものですので、当時未履行であるとされた研究機関において、その後解消に取り組まれており、現在履行済の事項も記載しております。また、未履行事項が多く確認された国立病院機構鈴鹿病院については現地調査を行い、公的研究費の管理・監査の体制を整備して着実に実施するよう指導を行っております。実地調査を実施した際には、既に未履行事項の解消に向けて取り組んでおられまして、現時点で履行状況を確認したところ、ほぼ全ての事項が着実に履行されているものと判断できるに至っております。

 また、本調査では、「不正防止のための実効性ある取組事例」も収集しております。主なものとして 4 つ挙げております。コンプライアンス教育の未受講者は公的研究費の申請を認めないなど、徹底したコンプライアンス教育に取り組んでいるもの、また、研究費のルールについて分かりやすいハンドブックを作成するなどルールの明確化・統一化に取り組んでいるもの、それから、事務部門と研究者の両者が予算執行状況をタイムリーに把握できるシステムを構築して、予算執行の遅れている研究者に事務部門からも計画的な予算の執行が促されているようなもの、それから、リスクアプローチ監査の手法として研究者が保管する納品書と、納入業者から取り寄せた帳簿等を突合することを取り入れているもの、このような取組が見られています。

 次に、フォローアップ調査の結果ですが、フォローアップ対象の 4 機関ともに、改善事項について履行期限内に着実に履行されていることを確認いたしました。

 次のページです。この結果に対する今後の取組としては、通常調査に関しては、未履行事項を有する機関については、ガイドラインに基づき、これらの事項を改善事項として、その履行期限を 1 年とする管理条件を付与するとともに、原則平成 29 年度内の体制整備を求めることとしたいと思います。また、厚生労働省においては、当面、履行計画の進行状況を継続的にフォローしていくとともに、平成 29 年の履行状況調査において、この 6 機関をフォローアップ調査の対象機関とすることで、管理条件の履行状況について最終的な確認をしたいと考えております。

 また、平成 29 年度の履行状況調査においては、フォローアップ調査とともに、残りの厚生労働省が所管する国立研究開発法人に対する調査を実施して、公的研究費の管理・監査体制の一層の整備に向けた取組状況について継続的な確認を行いたいと考えております。また、フォローアップ調査については、対象の 4 機関ともに、平成 27 年度履行状況調査結果において付与された管理条件について、履行期限内に着実に履行されているものと判断しまして、付与した管理条件を解除し、フォローアップ調査を終了したいと考えております。このような対応を行いたいと考えております。

 次のページ以降は、今回の調査対象機関一覧や、個別の 13 機関に対する調査結果を記載しておりますが、説明は省略させていただきます。説明は以上です。

○福井部会長
 ただいまの説明について御意見、御質問等があればお願いします。

○楠岡委員
 国立病院機構鈴鹿病院がちょっと惨憺たる状態です。国立病院機構としては、このガイドラインに基づく体制をとるように機構内で通知を出しておりますし、より詳細に具体的な指示も出していたのですが、残念ながら鈴鹿病院に関してはチェック漏れがあったような状況で、本来ならば名古屋医療センターと同じ状況が全病院でできていなければいけなかった点です。これに関しては我々も反省いたしまして、内部でももう一度チェックをやるということで、他の病院においても名古屋医療センター同等の体制をとるように努めたいと思っております。どうも、いろいろと御迷惑をお掛けしました。申し訳ございません。

○福井部会長
 ありがとうございます。この点についてはよろしいでしょうか。報告を頂きましたということで、次に進みたいと思います。

 議題 3 「その他」については何かありますか。

○下川研究企画官
 以前この会議の場で臨床研究法案について御報告しておりましたが、本法案が
4 14 日に成立いたしましたので、この場をお借りして御報告いたします。また、次の日程については 7 28 ( ) を予定しておりますので、日程の確保をお願いいたします。正式に決まり次第、委員の皆様方には改めて日程、開催場所について御連絡申し上げます。事務局からは以上です。

○福井部会長
 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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