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2017年4月12日 第182回労働政策審議会雇用均等分科会

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成29年4月12日(水)


○場所

中央労働委員会 講堂


○出席者

公益代表委員

田島分科会長、奥宮委員、川田委員、武石委員、中窪委員

労働者代表委員

井上委員、松岡委員、山中しのぶ委員、山中恵子委員

使用者代表委員

布山委員、加藤委員、川崎委員、中西委員

厚生労働省

吉田雇用均等・児童家庭局長、川又総務課長、阿部雇用均等政策課長、源河職業家庭両立課長、河野短時間・在宅労働課長、六本総務課調査官、高橋均等業務指導室長、白髭育児・介護休業推進室長

○議題

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部改正法の施行について

○配布資料

資料1 「雇用保険法等の一部を改正する法律」(育児・介護休業法等の改正)の経過について
資料2 育児・介護休業法の改正を受けて検討すべき省令事項・指針事項(案)
参考資料1 雇用均等分科会委員名簿(平成29年4月1日現在)
参考資料2 労働政策審議会雇用均等分科会運営規程(改正後溶け込み版)
参考資料3 雇用保険法等の一部を改正する法律の概要
参考資料4 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(衆議院)
参考資料5 雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(参議院)
参考資料6 経済対策を踏まえた仕事と育児の両立支援について
参考資料7 育児・介護休業法の参照条文
参考資料8 子の療育又は家族介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針

○議事

〇田島分科会長 定刻前ではございますけれども、皆様お集まりでございますので、ただいまから第 182 回労働政策審議会雇用均等分科会を開催します。

本日は権丈委員、山崎委員、渡辺委員から御欠席の御連絡をいただいております。

初めに委員の交代がありましたので御報告いたします。山川委員に代わり、筑波大学ビジネスサイエンス系教授の川田琢之委員が雇用均等分科会委員となられました。川田委員から一言御挨拶をお願いいたします。

 

〇川田委員 川田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 

〇田島分科会長 また、分科会会長代理であった山川委員の退任に伴い、改めて分科会長代理の指名を行います。

労働政策審議会令第6条第8項により、分科会長代理は分科会長が指名することとなっておりますので私から指名させていただきます。分科会長代理は中窪委員にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは議事に入ります。本日の議題は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の一部改正法の施行について」です。

まず、資料について事務局から御説明をお願いいたします。

 

〇源河職業家庭両立課長 職業家庭両立課長の源河です。よろしくお願いします。座って失礼させていただきます。

最初に配布資料の確認をさせていただければと思います。本日配布資料としては2つお配りしておりまして、1つ目が「雇用保険法等の一部を改正する法律」の法案の改正の経過でございます。2つ目が本日議論いただく、検討すべき省令事項・指針事項の案でございます。

それから参考資料でございますが、参考資料1として雇用均等分科会の委員の名簿をお配りさせていただいております。先程分科会長から御説明がありましたように、川田委員に新しく委員となっていただいております。この参考資料1でございますが、下の方に分科会長代理は〇と書いてありますが、分科会長代理は本日皆様に御承認いただきましたので中窪先生のお名前のお隣に〇を付けていただければと思います。

それから参考資料2といたしまして、前回御議論いただきました運営規程をお配りさせていただいております。

 参考資料3につきましては、先日成立しました雇用保険法等の一部を改正する法律の改正の概要でございます。

 参考資料4と5でございますが、これは両方とも厚生労働委員会の附帯決議でございます。関連部分を簡単に御紹介させていただきますと、まず参考資料4の参議院厚生労働委員会の方をおめくりいただきまして2ページ目の十に待機児童の解消の話、それから十一と十二にこの分科会で御議論いただいた様な内容が入ってございます。参考資料5の参議院の方でございますが、参議院の方は法律ごとにかたまりとなっておりまして、おめくりいただきまして3枚目の漢数字の三、育児・介護休業法の一部改正についてというところで数字の1と2があるかと思いますがここが関連部分でございます。

参考資料6として掲げておりますのは、昨年の 12 月におまとめいただきました建議でございます。

それから参考資料7が本日御議論いただきます省令の関連部分を抜粋しております。

そして参考資料8が同じく本日御議論いただきます指針の最新版を掲げております。

参考資料は以上でございますが、足りないもの等ありましたら仰っていただければと思います。

続きまして資料の説明に入らせていただきます。まず資料1の法案の審議の結果を御覧いただければと思います。

資料1でございますが最初に皆様方から昨年 12 月に建議を頂戴いたしまして、それから1月6日に法律案要綱について諮問・答申いただきまして、1月末に国会に提出しております。その後3月に沢山続いておりますが、衆議院本会議、厚生労働委員会、それから参議院の本会議、厚生労働委員会で審議していただいた上で3月 31 日の本会議で可決・成立しまして同日、平成 29 年法律第 14 号として公布されております。この間、参考人質疑では田島分科会長にも御出席いただきまして大変お世話になりました。ありがとうございました。

今日御議論いただきたいのは、資料2でございます。資料2を御覧いただければと思います。

資料2といたしましてこの育児・介護休業法の改正を受け、検討すべき省令事項・指針事項の案を掲げております。本日の御議論を踏まえまして、省令や指針案の作成作業に入らせていただきたいと思っております。

まず1番として省令事項として考えられるものでございます。省令事項として考えられるものは大きく1点で、この度最長2歳まで育児休業が延長されることになりましたが、その場合の延長の要件をどう考えるかです。国会審議等で2歳までの延長は、年度途中で保育園に入るのが難しい中で生まれ月による不公平を是正するという意味だというのが再三強調されておりましたので、それを踏まえますと1歳6か月までの延長と同じ要件でよいかというのを御議論いただければと思います。

2番として指針事項でございます。指針事項はいくつかございまして、まず1点目としてこの2歳までの延長に関して事業主が講ずべき事として何が考えられるか。2点目が個別周知。妊娠や育児、それから介護を労働者がしていることを知った時に事業主が個別周知するという規定でございますが、この労働者が事業主に妊娠、出産、介護を知らせやすい仕組みとするためにどのようなことが考えられるか。3点目としてこの度の改正で育児目的休暇が努力義務として創設されましたが、育児目的休暇の例としてどのようなものが考えられるか。それから4点目として、その他というのを入れさせていただいております。これに沿って御議論いただければと思います。説明は以上でございます。

 

〇田島分科会長 ありがとうございました。

それではただいまの事務局の御説明につきまして、御質問、御意見等ありましたらお願いいたします。

 井上委員。

 

〇井上委員 ありがとうございます。

議論の前提として意見を述べさせていただきたいと思います。今回この省令、指針の検討にあたりまして、改めて今回の改正につきましては待機児童の解消が進まない中での緊急的なセーフティーネットの1つであり、そして労働者が職場復帰を希望する時期に安心して子供を預けることができる保育環境の整備に向けて引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 今事務局から附帯決議の御説明もありましたけれども、国会の附帯決議、あるいは国会の審議においては男性の育児休業の取得促進が随分と審議の中で議論になっていたかというふうに思います。その意味ではその議論、あるいは国会の附帯決議を踏まえまして今回の省令そして指針が実効性ある施策となるように私共も議論していきたいと思いますし、有意義な議論ができればと思っております。ありがとうございます。

 

〇田島分科会長 ありがとうございました。他に御発言ございませんか。

松岡委員。

 

〇松岡委員 はい、ありがとうございます。

 指針事項の(2)個別周知ということでありますけれども、これに関しては先程井上委員からもありましたが、男性の育児休業取得促進にもつながるという非常に重要な項目かなというふうに考えています。実際の運用の中では恐らく妊娠、出産等の届け出や申し出があった時に労働者へ一言声をかける、その企業のいろんな育児に関する支援策についての書類を渡す、あるいはメールを発信する、そういうことが具体的にはあると思います。一方では法改正の趣旨にも記載されている通り、個別周知がたとえされても制度を利用しやすい雰囲気作りというのがきちんとされていなければ、それが取得促進につながるということにはならないと思います。両立を支援するこの雰囲気作り、雰囲気を醸成するために様々な支援策を職場全体に対する周知を行う、1月1日に施行されたハラスメント対策とかとも併せてしっかりと取り組みが進められることが重要だと考えています。

また、個別周知を行う際にはプライバシーにもきちんと配慮する必要があると考えていまして、原則としてはその労働者から家族の介護だとか、配偶者も含めた妊娠、出産に関する届け出や申し出があった時に個別周知が実施されるというのが望ましいと思います。それが企業の側から労働者に対してその個別の事象を掘り返すような、そういうことがないようにしっかりと注意しなきゃいけないと思っていますので、個別周知の際にはプライバシーについても充分配慮が必要だと、そういった事も触れておく必要があると考えています。

また、建議の中にも盛り込まれていますけれども、2年後の効果検証について附帯決議では個別周知の実態把握についても言及がされています。個別周知の効果検証を考えるにあたっては先程最初に触れましたが、ハラスメントもしっかりと併せて一体的に検討していく必要があると言いましたけれども、制度の利用率なども併せて全体でしっかり見ていく必要があるかなと考えていまして、例えば具体的には妊娠、出産、育児、介護に関するハラスメントの防止対策の実施状況だとか効果検証。それから個別周知の有無。そして両立支援制度の利用状況などそういったものを全体で、フローで総合的に調査する必要があるというふうに考えています。連合の方でも 2014 年にパタハラの調査を実施していますけれども、その際にもパタハラの経験や見聞きが有る無しだけではなく、制度の認知の状況だとか職場環境だとか子育てでの認識など少し幅広く点検をすることで課題を浮き彫りにしてその後の活動につなげているということもあります。是非この後効果検証、実態把握をする際には個別の場面だけ切り出してそこだけ有る無しということを点検するということだけではなくて、男性の育児参加を含めた両立支援制度を取り巻く状況について全体的に把握するような、そういった進め方も検討していただきたいというふうに考えています。以上です。

 

〇田島会分科会長 ありがとうございました。

中西委員。

 

〇中西委員 はい。どうもありがとうございます。

 私の方からはまず資料2、1の省令事項について意見を申し上げたいと思います。育児休業を2歳まで延長する場合の要件につきまして1歳6か月までの延長と同じで良いか、という問題提起がなされています。これにつきまして、全く同じ要件とした場合、本分科会におきまして議論を重ね、建議に盛り込まれた趣旨が広く一般に理解されないのではないかという点を懸念いたしております。それにつきましては参考資料6、平成 28 12 12 日労働政策審議会建議のローマ数字の2、必要な措置の具体的内容に記載されております通り、本分科会では多くの議論を行った結果として育児休業を2歳まで延長可能とする今回の法改正につきましては、緊急的なセーフティーネットとしての措置であることが明確になるようにすべきという考え方を確認いたしております。また建議の中では最長2歳までの延長を妥当としつつ、同時にこの制度は継続就業のために本当に必要な期間として利用されることが望ましいという指摘も行っております。即ち復職に向けた継続的な取り組みが行われるものとして、その結果就業可能になった時には、子供が2歳になるのを待たずに育児休業を終了することを期待しているというように考えております。育児休業期間の長期化は企業における労務管理を難しくするのみならず、女性の円滑な復職の妨げとなり女性の活躍推進にも逆行する恐れがあるのではないかということにつきましては本分科会において多くの議論がなされたところでございます。よってこれらの建議の趣旨が何らかの形で省令に明示されることによって広く一般に理解されるようにしていただきたく御検討をお願いいたしたいと思います。

 次に、指針事項の(2)個別周知について意見を申し上げたいと思います。今回の法改正によりまして事業主は知り得る状態しておくだけではなく、対象者を知った時には個別に周知することが義務付けられました。しかし、プライバシー保護の観点から考えますと、社員が抱えている介護や社員の配偶者の妊娠、出産等につきまして会社が積極的に情報収集することは限界があると考えます。従いまして個別周知につきましては、例えば年に1回対象者を含むと想定される社員を集めて休業等の制度の説明会を行う。あるいは個人を特定せず一定の年齢層の社員に対して休業等の制度について情報を配布する等の対応も個別周知と同等のものと見なす考え方も御検討をお願いいたしたいと思います。以上でございます。

 

〇田島分科会長 ありがとうございます。

 川崎委員。

 

〇川崎委員 どうもありがとうございます。

 私の方からもこれまで出ている御意見と重複する部分はありますけれども、特に省令の最長2歳までの延長というところで意見を述べさせてもらいたいというふうに思います。育児休業、原則1年ということではありますけれども、マスコミ等の報道を見ておりますと、原則1年のところが2年に延びたというような印象にとられかねないような報道がされているように見受けています。女性の活躍促進、これは今後の働き方改革というようなことを考えていきますと、育児と仕事の両立ということが重要ではあるわけですけれども一方で就業継続、女性の活躍促進ということを考えるとやはりこの原則1歳まで、デフォルト1歳までというようなところがある中で、やむを得ずのセーフティーネットとしての延長を今回なされたという、そういう理解が浸透するような形で是非していただきたいというふうに思っています。要件自体については保育園に入れない場合という1歳6か月までの延長と2歳の延長は同じでいいのではないのかというふうに考えておりますが、理解という側面では1歳までが原則というようなところがはっきりわかるような事をお願いしたいと思います。

それから指針やいろんなガイドライン、それから周知用のパンフレット等も今後お作りになるかと思いますがそこの中でも就業継続していくためには保育環境を整えていくというようなこともそれぞれの御家族の中で工夫するべき事項としてあり、というようなこともわかるような形でやっていただければというふうに思っておりますので意見として述べさせていただきました。

 

〇田島分科会長 ありがとうございました。

 布山委員。

 

〇布山委員 先程の川崎委員の意見も含めて多分同様な考えなのだと思うのですが、これはあくまでも2歳ではなく、2歳というのは特別な事情がある限りというのをきちんと明記をしていただく、周知をしていただきたいということ。あと、ちょっとこの関連で省令指針そのもの、省令、指針自体が事業主に対する指針なのでこういう書き方になっているかと思うんですけれども、そもそも建議の段階で労働者自身のキャリアを考えると早い職場復帰が望ましいということをきちんと明記をしたと思います。その上で国が産前産後休業あるいは育児休業に入る前に労働者に直接きちんとその支援についての情報提供をするということになっていると思うんですが、その辺はどんな形になるのかというのを教えていただきたいのと、それからそれに関連して、この指針のところの最初2歳までの延長の事業主が講ずべき事としてということの中では、今企業の中で法律を上回る様な育児休業の期間を持っている企業というのはあるかと思いますが、それでもやはりここまで取れるけれどもできるだけ早く復帰をしてくださいということを促すような施策になっているかと思うんです。その時に現状に関して、早く復帰するのかそれぞれのキャリアを考えた上で考えてくださいということ自体がですね、例えば長く取ろうと思ったのにハラスメントにあたるだとかっていうふうなことにならないように、それはきちんと周知をしていただきたいなというふうに思います。

それからすみません、元に戻っちゃうんですが、省令のところの1歳6か月から2歳までのところの要件自体は1歳6か月までと同様ということで特段異論はないんですけれど、きちんと1歳6か月、1歳6か月の段階でもう1回申請をしていただくという形を周知していただくのと、その際に入れなかった時の書類等を求めた時に労働者の方が困らないようにこれは用意ができなかった自治体に関してはきちんともう1度発行していただくようなことっていうのを厚労省の方からお願いをしていただければと思います。以上でございます。

 

〇田島分科会長 御質問についてお願いします。

 

〇源河職業家庭両立課長 ありがとうございました。いくつか御意見と御質問をいただきましたのでまとめて答えさせていただければと思います。

まず1歳6か月から2歳までの延長に関してでございますが、私共も育児休業は原則1歳だというふうに思っていまして、それがいかなる場合でも2歳まで延長されるわけではなくて、あくまでも1歳6か月までの延長も保育所に入れない等の理由がある場合ですし、1歳6か月から2歳までの延長もまたその1歳6か月の時点で保育所に入れなかった場合だというふうに思っております。その意味で建議もおまとめいただいたのだと思っておりまして、中西委員が仰っていただいたことはまさにその通りだというふうに思っておりますので、1歳の時点で2歳まで漫然と延ばせるのではなくて、原則は1歳までで理由がある人が1歳6か月まで延ばせてそれでも無理な人は2歳まで延ばせるいうことをしっかり周知していきたいと思っております。

それから松岡委員からの個別周知等々に関する効果検証の話をいただきましたが、効果検証に関しましては建議で2年間と書いていただいた以外に国会等でも1月1日施行の分の調査についてもいろいろ御意見等いただいております。有期契約労働者の要件緩和がどのようになったか等も含めていろいろ調査する内容はあるというふうに思っておりますが、調査対象を捉えたり調査項目を何にしたりするかというのが大変難しいものがありますので、また皆様方からお知恵等を拝借しながら進めさせていただければと思っております。

布山委員から御要望をいただきました早い職場復帰が望ましいことの国からの周知でございますが、考えているのはホームページで必要な情報、こういうふうにして早めに復帰してキャリアを積み重ねるとか、両立支援制度を情報提供することを考えておりますが、それ以外に母子手帳にも今いろいろ育児関係の両立支援制度等を書いておりますのでタイアップもあるというふうに思っております。国会でもその旨局長から答弁をさせていただいておりますので、いろんな媒体を使って周知していきたいと思っております。

それからもう1つ早い復帰が望ましいことに関して事業主が早く戻ってきてくださいというのがハラスメントにならないようにということでございますが、これは書き方がすごく難しいのでちょっと工夫させていただきたいと思っております。女性活躍推進法も施行されて女性の管理職が求められている中で早い復帰が望ましいというふうに事業主が言うことは期待感の現れではないかなと思いますので、指針でどのように書けるかというのは工夫させていただきたいと思います。

それから延長に関しての申請書類につきましては局内でも連携して進めさせていただいと思います。以上です。

 

〇田島分科会長 加藤委員。

 

〇加藤委員 今おまとめいただいた通りで私も理解をしますが、1点だけ以前からありますように、待機児童が非常に多く発生しているのはやはり都市圏だとかで、全国を見た時には 100 %入所できているっていうようなところもそれなりにあるという理解をしております。2年まで延長できるということが、それが当たり前となってしまうと、本来はあくまでも緊急避難的な話というところが数年のうちにそういう考えが浸透した状況になってくるといかがなものかと感じております。効果検証の方ではその辺りも御配慮いただけないでしょうか。

 

〇田島分科会長 ありがとうございます。

はい、山中恵子委員。

 

〇山中恵子委員 ありがとうございます。今、加藤委員からもその前の布山委員からも保育所に関するお話がありましたので、この分科会の所管ではございませんけれども、2つ要望を申し上げたいと思います。

保育所につきましては今回参考資料4の附帯決議の十にもありますように、今回保育サービスの拡充を本来先行すべきであるということを踏まえ保育所等の整備、保育士の確保をより一層推進するということがこれまでのこの審議会でも様々な委員から議論が出てきたというふうに思っております。ですので2つお願いしたい。

1つ目は保育所の受け皿の確保についてでございます。先日厚労省の待機児童数に関する検討会において復職の意思があれば育休中も待機児童に含める旨の報告がとりまとめられたというふうに聞いております。引き続き待機児童の実態を行政として充分に把握していただいて今後の受け皿の拡充にきちんとつなげていただきたいということが1点目でございます。

2つ目は質の担保でございます。最近は姫路の認定こども園など不幸な事件が報じられたこともありまして、保育の質が問われるという実態が相次いで明らかになっております。その待機児童の解消に向けて当然受け皿の整備が急務ということは言うまでもありませんけれども、保育の量を急ぐあまり質について疎かになるということは決してあってはならないと考えております。安心して子供を預けられるよう、また保育士の不足に対して待遇の改善ですとか手厚い配置といったものも必要でありまして、それが保育中の不幸な事故を防止して親御さんが安心して預けられるという環境が整備されるというニーズがあることを踏まえ、行政がより一層責任を持ってその質を担保していただきたいというふうに思っております。

2月 17 日に衆議院の予算委員会と野党議員会での答弁で首相が待機児童をゼロにすることは難しいという見解をお示しになられましたけれども、きちんと財源を確保して実行をすることが重要だというふうにお考えを出されたかと思っております。ですので、待機児童がゼロにならないというところが、なかなか女性が活躍していくと数字も増えてくるというのもありつつもその数字が増えた減ったということをどうのと議論するのではなくて、それならばどれくらい必要でそのためにはどういった財源の量が必要なのかということを明らかにした上で対応していくということが必要かというふうに考えております。所管ではない保育所の件でございましたけれども、厚生労働省として一体となってやっていただきたいなと思いましたのでここでも述べさせていただきました。ありがとうございます。よろしくお願い致します。

 

〇田島分科会長 ありがとうございました。

山中しのぶ委員。

 

〇山中しのぶ委員 ありがとうございます。

私の方からは指針事項(3)の育児目的休暇の例としてどのようなものがあるかということにつきまして、実際に企業の方で育児を行うことを目的の1つとして整備しました育児休暇の事例を、1つ御紹介したいと思います。制度の具体的な内容は、年5日間付与され最大 20 日間保有できる多目的休暇の取得理由の1つに育児という項目を追加しまして小学校就学前のお子さん又はお孫さんの養育をする場合に取得できる制度となっています。養育の定義は幅広くありまして、お子さんやお孫さんに関わることであれば、どのような理由であれ取得可能となっています。この制度は労使の交渉を経まして昨年度から育児休暇の項目が追加となりましたが、男性の取得としては保育園の入園や卒園式に利用するケースが多いと聞いております。育児目的休暇の整備をすることによりまして男女が共に育児を行うこと、そして育児休暇や休職が取得しやすい職場風土の醸成につながるということになりますので指針における事例の参考として1つ御紹介させていただきました。以上となります。

 

〇田島分科会長 ありがとうございます。

他に御発言はございませんか。それでは局長お願いします。

 

〇吉田雇用均等・児童家庭局長 事務局の雇用均等・児童家庭局長でございます。

今それぞれの委員の皆様からの御発言の中で、また今回の改正を議論していただくこの分科会一連の議論の中でも保育行政あるいは受け皿作りということについての現行の評価、そしてこれから更に自治体、国が取り組むべきではないかという一連の御指摘を踏まえて私共も取り組んでおります。今回の改正、先程職業家庭両立課長からも申し上げましたように国会審議の過程においても、またこの分科会における御議論においてもおまとめいただきましたように、地域の受け皿を進める中で、生まれ月による不公平の是正ですとか、あるいはそれぞれの地域の実情または 1 1 人の女性の方々の事情に対して「選択肢を広げる」という趣旨ではありますものの、あくまでも「緊急的なセーフティーネット」ということでございます。今回のこの制度改正が保育の整備を進めるということについて懸念される方からは水を差すのではないかという御指摘をいただきましたが、そういうことでは全くなく、保育についての受け皿整備はこれからも、またこれまで以上に自治体と一緒になって取り組むというのが基本姿勢だということはまず明確に申し上げたいというふうに思っております。具体的には現時点において政府としては 29 年度末までの待機児童解消ということをこれまで掲げて進めて参りました中、地域の保育所で 48 万人分、それにいわゆる企業主導型といわれる 28 年度から進めました制度において5万人分という枠、合わせて 53 万人分の整備を進めさせていただいております。振り返れば政府としては 40 万人という目標を掲げそれを上振れさせて 50 万人ということでやってまいりましたが、実質市区町村あるいは現場の企業主導型保育に御関心のある方の御意向を踏まえて 53 万人分という所まで今取り組んでおります。一方で現実には地域においては女性の就業率が上がっていることや、1・2歳児のお子さんの保育所利用率が上がっているということ等々ありまして、なかなかある意味で地域における保育ニーズに十分に応えていないという現実もございます。 53 万人分の整備を進めるというだけではなくて、先程山中恵子委員からもお話ありましたように、総理の方からは 29 年度末という目標については非常に厳しいということを率直に述べた上で、さりながら政府として待機児童をゼロにするという目標は引き続き高く掲げてそれに向けての実現に期するという方針についてはぶれないという趣旨の御発言をいただいております。その上で現実この 29 年4月の今、落ち着いていきつつあるといいましょうか、今一通りこの4月から保育園に入られる方についての行き先というものがある程度固まりつつある状況かとは思いますが、これを踏まえた上でその先をどうするかということについて6月に新たなるプランというものを考えたいという御発言がありますので、私共担当局としてはそれを目がけて関係者と、内閣府における企業主導型保育も含めて取り組ませていただきたいと、そのための検討を進めているというのが現状であります。その際には質の担保が重要だという御指摘もきちんと私共受け止めさせていただいております。いろいろな地域に行きますと人の確保に苦労されているところからそこの部分の要件を緩和するべきではないかという御発言もいただいておりまして、私共としてはそういう声も受けとめながら議論はさせていただいております。が一方で、やはり対人サービスである保育におけるその担い手の方々というのが非常に数であれあるいは質であれ重要だという御指摘もいただいておりますので、私共そこを踏まえて質の担保をきちんとしながら受け皿を整備するという基本姿勢で臨ませていただきたいと思います。その中では保育士さんの確保という人手の確保についても 29 年度予算で行いました処遇改善をはじめ、いろいろな工夫をこれまでも講じております。これまでに講じた施策については特に成果に繋がっているところ、あるいはまだまだ今の取り組みに課題があるのかという点もレビューしながら次なる議論に進めさせていただきたいと思います。

長くなって恐縮ですが、山中恵子委員からいわゆる待機児童の定義といいましょうか、数え方の問題について御質問いただきました。先程も申しましたように私共全国で、 28 年4月で2万 3000 人余の待機児童ということを承知しておりますが、前提として、この待機児童2万 3000 人だけを念頭にその整備をしているわけではありません。市区町村はそれぞれその待機児童として国に登録する数は数として、潜在的ニーズを踏まえて、これからの伸びも含めて受け皿整備を確保していくというのが、自治体あるいは政府としての基本でありますので、待機児童の数がいくつかということで次の整備量が決まっているわけではないということはまず冒頭申し上げます。その上で、さりながら待機児童という非常に重要な値が市区町村の届け出、登録の仕方によってばらつきがあるということが現に生じておりましたので、その不合理なばらつきを是正しなければいけないということから議論をし、先程仰っていただいたように年度末、今年の3月の終わりにこの検討会としてのとりまとめをいただき、3月 31 日に私共厚生労働省として、 29 年4月以降の国に対する市区町村からの待機児童の登録の仕方、数え方についての考え方をお示したというのが事実でございます。その中では育児休業について、今まで、ある市区町村においては「育休中の方は全部待機児童にしない」というところもあれば、逆に「育休中の人は全部待機児童に計上する」という扱いのところ、これは市区町村によって両方ありました。あるいはそれ以外にも特定園の希望という形で複数園希望される時にその中で必ずしもその通りにならなかった方を、ある市町村は全部待機児童ではないとし、あるところは待機児童にするという様な形、あるいはその特定園を希望されているというカウントの仕方が 10 園希望してどこかに決まれば待機児童でないとするところもあれば、欄が 10 あるところで3つしか書いてないけれどこの3つ以外の保育所に決まった方は御希望ではないため待機児童にするところも、入れたので待機児童にしないところもあるとか、いろいろとばらつきがございました。育休中であれ、あるいは特定園の希望であれ、ある程度の考え方を示して整理をさせていただきました。ポイントは2つありまして、いずれにしても数え方もさることながら、その申し込みをいただく時からある程度1次募集の〇×そしてそれ以降まで含めて、市区町村はできるだけ丁寧に保護者の方、その申し込みをされた方の御意向や状況を把握すること。そして情報を個別にできるだけ、我々は「寄り添う支援」と申しておりますが、丁寧に対応していただいて最終的にできるだけその御希望に沿う。沿えない場合においてもいろいろなそれ以外の情報については提供していただくということを市区町村にお願いすると。そしてそれを市区町村として実施していただく。保育コンシェルジュというのを今制度として予算をつけてやっておりますが、そういう取り組みをやっていただくというのがまず基本であります。その上でいくつかありました中の育児休業につきましても、育児休業中であるからと言って一律に例えば待機児童にするとかしないとかという形式的な話ではなくて、その時点その時点における御利用の方々の意向をきちんと確認した上で手配をする。復職意思がある方については育児休業という形であっても、それは待機児童の方に計上していただきたいというようなことを 31 日に示したところでございます。

これまでの取り組みもありますので、 29 年4月からそのような数え方をしていただくにしても実際に調査としては市区町村なりの経過措置を踏まえてということでありますので、我々の把握はこれから順次進むことになると思いますけれども、いずれにしてもできるだけ利用者の方々に寄り添って保育サービスを地域地域できちっと対応していただくこと。

そして今回の制度改正に限らずきちっと必要な保育サービスについてはそれぞれの自治体において、そしてその自治体が取り組む受け皿整備を国として財源の確保を含めて支援するという基本には変わりはございません。長くなりましたが、今回この分科会で御議論いただきました育児休業の見直しと併せて女性参加、女性の活躍ができるような受け皿整備については引き続き取り組んで参りたいと思います。

 

〇田島分科会長 ありがとうございました。

井上委員。

 

〇井上委員 ありがとうございます。

今、吉田局長から厚生労働省としての対応につきましても御説明を頂きましてありがとうございました。保育の受け皿の整備については自治体と一体となって取り組むということで御発言を頂きました。是非それはお願いをしたいというふうに思いますし、この審議会が始まるときに私も意見を述べさせて頂きましたが、自治体によってはその2歳延長が前提というか、行政サービスのコスト削減のためにその育児休業を延長すべきというお考えをお持ちの自治体のトップの方もいらっしゃいますので、是非そういうことがスタンダードにならないような指導を国として行って頂きたいというふうに思います。やっぱり施策を進めているのは非常に私共理解をするんですけれども、私の周りでもやはりこの4月に保育園に入れなかったという人達が何人もおります。子供は生身の人間であります。制度が進む前に子供達が大きくなってしまって、職場に法を上回る育児休業の延長がなければ結果として仕事を辞めざるを得ない状況になってしまいますので、そういうことも踏まえて今後お取組みをいただければというふうに思います。

 

〇田島分科会長 ありがとうございます。

中窪委員。

 

〇中窪委員 事務局への資料に関するお願いです。今回の改正の内容について参考資料の3について、その概要とその内容はわかるんですが、具体的な条文がないものですから、一切の閣議にしても、先程の個別周知にしましても我々の建議に基づいてまずそれを実現するような形で法がなされてあっても、それがどういう書きぶりになっているかによってやはり考え方が参考になると思いますので、是非資料としていただきたいと思います。

 

〇田島分科会長 事務局どうぞ。

 

〇源河職業家庭両立課長 次回は必ず出させていただきます。申し訳ございません。

 

〇田島分科会長 武石委員。

 

〇武石委員 省令、指針に関しては皆さんの御意見の通りで良いと思うんですけれども、この今回の緊急避難的な措置というのは一定程度待機児童の状況などを見て見直しをしていくことになると思います。ということで、育児休業のその制度利用の状況が例えば1歳から延長している、 1 歳6か月から延長しているという人が一体どのくらいいて、このまま省令が通るとこの今の1歳保育と同じ状況になると保育所への入所ができなかった場合と、それから例えば養育する方が亡くなった時、省令の6条の1項と2項の条件があって、要は今回のその保育所が入れなくて、延長している人がどれくらいいるのかというような現状がわからないと次の見直しの議論も難しいと思いますので、可能な範囲でこの育児休業の取得状況について実態を把握するということをお願いしたいというふうに思います。以上です。

 

〇田島分科会長 ではその点、事務局よろしくお願いいたします。

 

〇源河職業家庭両立課長 承知しました。先程も申し上げたように、統計の取り方がすごく難しいので是非先生方からもお知恵を拝借したいと思いますのでよろしくお願いします。感覚的には6条の場合はほとんど1号だと思っています。保育所に入れない場合の延長がほとんどで、他の場合というのは数としてはものすごく少ないというふうに認識しておりますが、統計を取れないか考えてみたいと思います。

 

〇田島分科会長 他に御発言はございませんか。

それでは他にないようでございますので本日の分科会はこれで終了といたします。

最後に本日の議事録の署名委員ですが、労働者代表は井上委員、使用者代表は加藤委員。どうぞよろしくお願いいたします。

皆様、本日は御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省雇用環境・均等局職業生活両立課
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2

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