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2017年10月4日 第22回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局 研究開発振興課

○日時

平成29年10月4日(水)14:00~16:00


○場所

中央合同庁舎5号館専用第22会議室


○出席者

【委員】

福井部会長 荒戸委員 今村委員 梅澤委員 大澤委員
岡野委員 掛江委員 高橋委員 田島委員 戸口田委員
中村委員 花井委員 前川委員 松山委員 南 委員
山口委員 矢守委員

【事務局】

医政局              武田局長
医政局研究開発振興課    森光課長
健康局移植医療対策推進室 井内室長
大臣官房厚生科学課     下川研究企画官

○議題

1 遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告について(公開)
2 ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認について(公開)
3 臍帯血プライベートバンク実態調査の報告と今後の対応について(公開)
4 再生医療等に関する情報の適切な提供方法の在り方について(公開)
5 第一種再生医療等提供計画(変更届)の再生医療等提供基準への適合性確認(非公開)

○議事

○森光課長

 傍聴の皆様方にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りいただきますようお願いいたします。

 ただいまから、「第22回厚生科学審議会再生医療等評価部会」を開催いたします。本日は、部会の定数25名に対しまして、現時点で14名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております定足数に達してことを御報告申し上げます。それでは、部会の開催に当たりまして、医政局長の武田より御挨拶を申し上げます。

○武田局長

 医政局長の武田でございます。本日は大変お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。また、委員の皆様方におかれましては、日頃から再生医療等の安全性の確保と推進に格別の御尽力を賜り、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 前回の会議ではあいにく公務のため参加ができませんでしたので、改めて一言御挨拶を申し上げたいと思います。この再生医療等評価部会につきましては、平成27年に第1回目が開催されてから、本日で22回目の開催となります。これまで委員の皆様方には、再生医療や遺伝子治療等の最先端の医療技術について、安全面、倫理面での審査を頂くことに限らず、有害事象や法違反事例への対応、医療現場や患者への情報提供の方法など、様々な御議論を頂いているところでございます。こうした各分野における最新の知見を有した皆様方による活発な御議論があるからこそ、厚生労働省としても各医療機関における再生医療等の迅速かつ安全な提供、そして、その普及の促進に取り組むことができ、皆様方には大変重要な役割をお願いしていると考えております。

 本日におきましても、各計画の審査のみならず、再生医療の違反事例を受けました臍帯血プライベートバンク実態調査の報告と今後の対応、再生医療に関する情報の適切な提供方法、再生医療安全性確保法施行規則の改正方針など、非常に幅広い議題について御議論いただくことになっております。引き続き皆様方の御協力を賜りたく存じております。よろしくお願いいたします。以上、簡単ではありますが、会議開催に当たりましての御挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございまいました。よろしくお願いいたします。

○森光課長

 それでは、武田局長は公務の都合により退席とさせていただきます。

                              (武田局長退席)

○森光課長

 続きまして、本日の会議資料の確認をお願いします。資料1-1から資料5-4まであります。不足等がありましたら、職員に声をお掛けください。よろしいですか。

 円滑な議事進行のため、撮影はここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。以後の進行については福井部会長にお願いします。よろしくお願いします。

○福井部会長

 それでは、早速議事に入ります。本日の議事は、お手元の資料にありますように5つ用意されております。議事1、遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの報告についてです。事務局より説明をお願いします。

○下川研究企画官

 資料1を御覧ください。佐賀大学からの重大事態等報告について御説明いたします。慢性動脈閉塞症を対象としたAMG0001の筋肉内投与による遺伝子治療後に発生した早期胃癌です。7ページ、重大事態等の内容及びその原因の欄を御覧ください。2017510日に初回投与されまして、73日が最終投与となっております。

6ページの下の重大事態等の発生時期の欄を御覧ください。515日に別の医療機関において、EGD(食道・胃・十二指腸内視鏡検査)が施行され、胃前庭部に早期胃癌が指摘され、その後にESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の処置が行われております。つまり、投与5日後に早期胃癌が発見されております。

7ページを御覧ください。真ん中辺りに患者の併用薬が書いてあり、その下の部分ですが、佐賀大学が早期胃癌の情報を患者から入手したのは731日で、早期胃癌の発見から2か月以上たっておりまして、3回の投与が全て終わった後でした。この遺伝子治療では、悪性腫瘍の合併や悪性腫瘍が完治してから一定期間たっていない場合は、研究対象者から除外することとなっておりますが、癌の情報入手が遅く、最後まで投与をされております。

5ページの倫理審査委員会の意見の欄を御覧ください。今回の事象と治療の因果関係は不明であり、治療後の経過に十分注意し、本遺伝子治療臨床研究の継続は可能と考えるとの意見となっております。この件に関しまして、本部会に御報告する前に遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会に御確認を頂いております。委員からは、23回目投与前に問診等で健康状態の確認をしなかったのかということと、今後の対策について質問がありました。

 これに対しまして佐賀大学からは、23回目投与前の問診において、前回の来院から何か変わったことがなかったかなど、特定の症状の変化や状態に限定しない安全性を俯瞰的に調査するための質問もしていましたが、ほかの医療機関での胃癌での発見や処置について、投与終了後の来院時まで被験者より一切申告はなく、情報を知らなかったとのことでした。同意取得時には、説明文書を用いて他院を受診している場合は、臨床研究担当医師に伝えるよう患者さんに依頼をしていたのですが、投与終了後まで申告はなかったとのことでした。

 また、今後の対策としては、被験者に対しては、好ましくない症状や所見を経験した場合は、時間を置かずに研究責任医師又は研究担当医師に通知することを同意説明文書に記載するとともに、同意説明の際に十分依頼をするとのことです。それから、研究医師・研究担当医師に対しては、被験者との関係を良好にして、診察時には健康状況や好ましくない症状や所見等がないかを確認し、チェック表の利用を周知するとの回答があり、委員からは了承を頂いております。

9ページを御覧ください。これは今年67日に開催されました再生医療等評価部会において、大阪大学附属病院より、海外で行われた治験で、慢性動脈閉塞症を対象としたAMG0001の筋肉内投与による遺伝子治療後に、因果関係は低いものの、子宮平滑筋肉腫の有害事症が発生した旨の御報告を行いました。これに対しまして、67日の遺伝子治療等評価部会において2つの御意見を頂きました。この資料は、これを受けて大阪大学に対して出しました指示文書になります。

 部会の御意見といたしましては、他の国内外のAMG0001を使用した臨床試験においても、因果関係が否定できない悪性腫瘍の発現を6/7件に認めており、悪性腫瘍の発生頻度が通常と比べ多いのではないか。報告書にアンジェス社の意見では、当該重大事態情報の発現時期から考察して、AMG0001と重大事態報告との因果関係は極めて低いと考えている。現時点では、明確に否定できるだけの情報は整っていないため、保守的に考えた結果、因果関係を「関連あり」としていると記載されているが、このような考え方でよいのか検討いただきたい。

 もう1つの御意見としては、また、被験者へのリスク開示も同意説明文書で行われているということであるが、上記の検討結果を踏まえ、必要に応じ、その同意説明書の書き方についても検討が必要ではないか。この御意見を踏まえ、大阪大学に対しまして、遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会の山口委員長とも御相談をさせていただきまして、細分化して質問を行い、回答を得ましたので、御報告いたします。

10ページを御覧ください。照会丸1として、これまでの治験における悪性腫瘍の発生頻度について、投与群は非投与群と比べて高いのかどうかの質問をいたしました。表を御覧ください。表の一番上ですが、ASO第三相試験ステージがあり、二重盲検試験が行われておりますが、投与群は15か月、プラセボは12週間つまり3か月と、観察期間が異なりますので、比較は難しいと思います。一方、表の下のほうに米国第二相試験と米国追加第二相試験が二重盲検試験で行われております。こちらは投与期間が投与群とプラセボがそろっておりますので、2つの試験を合わせると、投与群は99例中6(6.1)、プラセボ群は32例中2(6.3)で、両群での発現率はほぼ一致しておりました。米国人での悪性腫瘍の発現率は、日本人での15か月まで観察された投与群の発生率とほぼ一致しており、これらの値は文献において閉塞性動脈硬化症の患者での悪性腫瘍合併率と同程度であるとのことでした。また、確認された悪性腫瘍は比較的一般的な癌が多く、希な悪性腫瘍が多く見られたという偏りもなく、AMG0001の悪性腫瘍発現での影響を示唆する所見は特に見られないとの回答でした。

13ページを御覧ください。照会丸2といたしまして、腫瘍との因果関係が否定できないと考えられた6/7件の症例について、一つ一つ分析いただきました。個別の症例に対する見解は、表の一番右に記載されております。

 このうち幾つかの症例を御説明いたします。症例表の一番右の欄を御覧ください。最初の症例は前立腺癌が発現した症例ですが、治験薬の投与前から前立腺の腫瘍マーカーが健常人よりは高かった症例です。ただ、癌のcut-off値よりは低く、前立腺触診や尿細胞診での悪性所見が認められず、投与後、前立腺癌が見つかったものです。

14ページを御覧ください。表の真ん中の症例です。これは胃腺癌発現の症例ですが、治験薬投与前の内視鏡検査を再検討したところ、投与前から胃粘膜に投与後の胃腺癌発生部位と同じ場所に隆起があったというものです。

15ページの一番下の症例ですが、食道扁平上皮癌発現の症例です。上部消化管内視鏡検査でルゴール染色が投与後の食道癌発生部位と同じ場所で、投与前から正常細胞より薄く染まっていて、慢性胃炎と非特異性食道炎と診断されておりました。それが投与後ルゴール染色が不染帯となり、食道扁平上皮癌と診断された症例です。

16ページを御覧ください。この症例は直腸癌発現の症例で、投与の13年前に直腸S状結腸癌の既往があって、その後のフォローアップで癌ではなかったものの、新規のポリープが3回確認され切除されており、投与後直腸癌が発見されたものです。

 以上、時間の関係で全ての症例について御説明はいたしませんが、これまで報告された症例は明確に関連があるものではなくて、自然経過による発生と考えられるが、ただ完全には投与との可能性が否定できないものがあるとの回答でした。

20ページを御覧ください。照会丸3といたしまして、67日に本部会で御報告した子宮平滑筋肉腫の症例は総投与量48mgと大きかったわけですが、それまでの試験の投与量も含めまして、投与量と悪性腫瘍の関係についての見解を尋ねております。

 表を御覧ください。表の一番右が総投与量になっており、48mg8mg1.2mg投与とあります。表の左側に投与発現例数が記載されております。各試験で症例数、観察期間、悪性腫瘍の発現までの期間が異なっていまして、また症例数が少ないため、投与回数と量と悪性腫瘍発現の傾向や関連性について判断はつきかねるものの、関連性は低いと考えますとの回答でした。

20ページの下の照会丸4を御覧ください。投与と悪性腫瘍の増大などの作用の可能性についての見解を尋ねました。21ページにありますが、HGFは腫瘍細胞の増殖促進作用を有することが知られており、その受容体ががん原遺子であるc-Metであることから、腫瘍細胞に対する直接的な増殖促進作用あるいは血管新生作用を介した間接的な作用を及ぼす可能性は否定できません。しかしながら、ラットを用いた薬物動態試験結果で、血液中に移行したAMG0001は速やかに不活性体に代謝され、投与部以外の主要臓器では不活性な核酸断片として存在していることが示されていることから、投与部以外の遠隔臓器においてヒトHGFたん白質が産生される可能性は極めて低いと考えられるということ。また、慢性動脈閉塞症患者を対象とした臨床試験及び重症安定狭心症患者を対象とした臨床試験において、AMG0001の投与により血清中ヒトHGF濃度がAMG0001に起因する生理的濃度範囲を超えるような上昇を示した症例は認められていないということ。さらに、ヒト腫瘍細胞株を大腿部皮下に移植したヌードマウスを用いて、AMG0001を腫瘍近傍の大腿部筋肉内に投与し、腫瘍増殖に及ぼす影響を確認する試験を実施した結果、腫瘍増殖及び腫瘍転移の影響は見られなかったということ。

 以上のことから、AMG0001の筋肉内投与による遺伝子治療の場合、がん原性のリスクは極めて低いと考えられますとのことでした。

22ページを御覧ください。照会丸5として、これまでのことを総合的に考えて、新たな対応の必要性の有無についての見解を尋ねました。国内外のAMG0001を使用した臨床試験においても因果関係が否定できない悪性腫瘍発現を6/7件に認めたことを実施計画書、試験物概要書及び同意説明書で説明していること。また、AMG0001の当該悪性腫瘍の発現とAMG0001の関連性は低いと判断されていること。さらに、同意文書では、投与後の長期経過後に悪性腫瘍が数件認められましたが、専門医からは投与との関連性は低いと判断されている旨の記載も行っていること。

 以上から、当該報告について、試験物概要書の別冊で本研究の関係者に周知することで問題ないと判断しており、実施計画書及び同意説明文書の改訂や、その他の対応は必要ないと考えている旨の回答がありました。

 この件に関しまして、本部会へ報告する前に、遺伝子及び臨床研究に関する審査委員会に御確認いただいており、報告者の見解に対して御了解いただいております。御説明は以上です。

○福井部会長

 ありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。恐縮ですが、山口先生、付け加えることがありましたら。

○山口委員

 特にありません。この説明どおりで結構だと思っております。

○福井部会長

 それでは、本件については、本部会として了解することとします。ありがとうございます。

 次に、議事2、ヒトES細胞樹立計画の指針への適合性確認についてです。ヒトES細胞樹立に関する委員会からの報告について、事務局より説明をお願いします。

○森光課長

 本件は、特定胚等研究専門委員会、旧特定胚及びヒトES細胞等研究専門委員会の第42回で承認されました樹立計画について変更を行うものです。このため、第3回ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会(96)で審議されたものです。樹立計画の名称はヒトES細胞の樹立です。樹立機関の名称は国立成育医療研究センター研究所です。資料2-1から資料2-4を机上に紙媒体で配布しています。よろしいでしょうか。

 変更事項に関してですが、主なものとして臨床応用可能なヒトES細胞の樹立を行えるように、連結可能匿名化への変更と、それに伴うインフォームド・コンセントに係る説明文書の変更など、樹立計画書の該当する箇所の変更、ES細胞の樹立・培養維持区域を追加すること、生命倫理に関する学習歴が更新された点になります。本樹立計画の変更は、第3回ヒトES細胞の樹立に関する審査委員会での審議結果で、一部文言の修正のもと、ヒトES細胞の樹立に関する指針に適合しているものと認められています。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。個別の資料についての説明はなしで、よろしいですか。梅澤先生、何か付け加えることがございましたら。

○梅澤委員

 樹立責任者を担当しております梅澤でございます。京都大学に引き続きまして国立成育医療研究センターにおきましても、今回の樹立計画の変更書に基づいて、新たなES細胞の樹立をお願いしたところでございます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○福井部会長

 突然ですみませんでした。いかがでしょうか。この点につきましては本会として了解するということで、よろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただきます。議事3、臍帯血プライベートバンク実態調査の報告と今後の対応についてです。事務局より説明をお願いします。

○森光課長

 今、お手元に資料をお配りしています。恐縮ですけれども、今お配りした資料は会議終了後に回収させていただきます。警察等から頂いた情報を含んでいますので、大変恐縮ですが御協力をお願いしたいと思います。

 私のほうから、臍帯血事案の概要ということで御説明させていただきます。括弧の中に書いてありますように、他人の臍帯血を用いた医療につきましては、造血幹細胞移植を除いて第一種再生医療等に該当します。この第一種再生医療を提供する医療機関は、あらかじめ提供計画を厚生労働大臣に提出しなければならないとされています。前回のときにも報告させていただきましたけれども、図の一番下の所を見ていただければと思いますが、本年5月から12件の医療機関に立入りを行い、この第一種再生医療を提供しているにもかかわらず、無届けで行っていたということで、この12の医療機関(東京8、大阪2、愛媛1、福岡1)に対して、他人の臍帯血を用いた再生医療の研究停止を命じたということまで、前回御報告させていただいたかと思います。

 この事案ですが、実は真ん中辺りを見ていただければと思います。つくば市にありました民間のプライベートバンク、つくばブレーンズが2009年に経営破綻したことから、債権者が預かっていた臍帯血を転売し、つくば市の臍帯血販売業者である株式会社ビー・ビーに販売した。ここが京都市の医療法人と福岡市の医療関連会社の2つに臍帯血を提供した。そして、これら2つの医療法人と関連会社が、医療機関と一緒になって第一種再生医療を提供したということで、今回、私ども厚生労働省として12の医療機関のうち、複数の医療機関を悪質性が高いということで告発しました。これを受けて警察のほうから、書いてあります首藤クリニックの管理者を含め、医師と共謀して無届けで他人の臍帯血を提供した疑いということで、提供側の臍帯血販売業者、京都市の医療法人、福岡市の医療関連会社を含めて逮捕したという事案になります。

 この医療について、12の医療機関の報告では69名の患者に投与されていたということですし、健康被害は今のところ報告されていないということですが、元はプライベートバンクに入っていた臍帯血が転売されて、それが再生医療のほうに使われたと。これが無届けで行われたということで、警察と共同して告発、そして逮捕に至ったということです。臍帯血の事案につきましては以上です。

○福井部会長

 ただいまの説明につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。花井委員、どうぞ。

○花井委員

 現状、健康被害が報告されていないということですが、現時点で素人っぽく考えていくと、あちこち回って来て、大体こういうのは温度管理やオペレーションのルールがあると思いますが、そういったものがどういう扱いを受けてきたか。そういうことについては分かっているのでしょうか。温度管理ができていないものが患者さんに投与されたとか、そういうことがあったのかなかったのか。

○森光課長

 それについて、先にプライベートバンクの調査をしていますので、そちらのほうを御説明させていただいてから、お答えさせていただきます。よろしいでしょうか。

○井内室長

 健康局の移植医療対策推進室長の井内でございます。今、研究開発振興課長のほうから御説明のありました事案等を踏まえまして、厚生労働省としまして臍帯血プライベートバンクの調査を行ったということで、その調査報告及び今後の対応ということでの御説明を、まずさせていただきたいと思います。

 資料3-2から見ていただければと思います。資料3-2で、先ほどあったプライベートバンクというのがいきなり出てきたということで、少し背景をお話させていただくと、青い所と緑の所で2系統ございます。非血縁者間の場合ということで上の青いほうですが、いわゆる公的臍帯血バンクと言いまして、健康局のほうで造血幹細胞移植法に基づき、6施設許可しています。そこに関して提携している産科医療機関において、提供者(ドナー)から臍帯血を頂くことにしています。これに関して、提供者の方は完全に寄付で公的臍帯血バンクに寄付をすることになります。公的臍帯血バンクのほうで、いわゆる細胞数であったりCD34であったり、そういった細胞活性等の状態を見て良いものを凍結保存します。現在、これがオールジャパンで大体11,000ぐらい保存されています。その保存されている11,000については、右側にありますように白血病を中心とする造血幹細胞移植が必要な方に臍帯血を提供する。いわゆる病気で困った方に対して、移植のために臍帯血を提供するということになります。

 ここで、なぜ11,000も保存しているのかというと、HLAのタイピングということで白血球の型を合わせなければいけないということで、そういったことも踏まえて、今、オールジャパンで11,000を保存しているというものです。ここに関する公的バンクのほうは、きちんと造血幹細胞移植法に基づき、そういった質の管理等々がされているというのが、まずございます。

 今回は、こちらの世界ではなくて緑のほうの世界になります。緑のほうは、いわゆるプライベートバンクと言われるもので、依頼者がプライベートバンクに臍帯血を渡して保存してもらいます。このプライベートバンクですが、臍帯血を保存することは公的バンクと同じですが、臍帯血を渡す人は提供者ではなく依頼者です。このプライベートバンクはこの依頼者、いわゆる生まれたお子様が将来、再生医療に造血幹細胞を使う際に返してもらうという前提で、簡単に言いますと、そのためだけにやっているということで、これについては御本人のために保存しているということです。ほかに白血病等で困った方がいても、そちらに行くことはなく御本人に戻るという前提で、あくまでも保管だけの委託契約です。

 こういったことで、上の青のほうに関してはオールジャパンで、きちんとやっていかなければ白血病の人が助けられないため、造血幹細胞移植法という法律の下でやっていますが、緑のほうにつきましては、あくまでも民民の委託契約という中で進められていますので、実際、造血幹細胞移植法の中ではここまでカバーしていない現状です。

 次の2ページを見ていただくと、今回ありました臍帯血の流出事案ですが、こういった中で依頼者の方が預けていたプライベートバンクが、先ほどありましたように2009年に経営破綻しました。本来、左側の依頼者とプライベートバンクの間での臍帯血のやり取りで完結するはずの世界が、右側の臍帯血販売業者、仲介業者を介してクリニックのほうに流れたというものです。こういった現状を踏まえ、我々健康局のほうで調査をしたというものです。

 調査の結果ですが、資料3-1に戻っていただきたいと思います。資料3-1で、現在、こういったプライベートバンクが我が国に幾つあるのか、何個保存されているのかといった基本的なデータが全くないという状態でしたので、これが日本にどういった形で存在するのか調査させていただいたものです。調査方法については、ここにもありますように日本産婦人科医会の御協力を得まして、全国の産科医療機関2,491に対して、知っているいわゆるプライベートバンクを教えていただき、そこから更に聴取り等を行った上で、分かる限りのプライベートバンクを調査したということです。

 その結果ですが、回答結果の所です。情報提供のあった業者(総数)10社で、トータルは10社でした。10社のうち、調査時点で活動が確認できた業者は7社です。我々のほうでも電話番号等、分かったものについては何度も掛け直して調査したのですが、結局、3社は実在しないとして、7社です。その7社に、今回の我々の調査に協力を頂けないかということで調査をお願いし、7社のうち調査票の回答のあったのが6社、1社は拒否ということでした。これはあくまでも任意の調査ですので、調査に対して協力しないということも「あり」ということで調査させていただいたものです。この中で、臍帯血を現在も保管しているのが5社、臍帯血を保管していなくて引渡しのみを行っている、いわゆる仲介のような所が1社でした。

 調査結果と問題点の所ですが、調査結果については資料3-4に調査報告書をまとめて、その報告をさせていただいています。中身につきましては5ページ以降の所ですが、A社、B社、C社、D社、E社、F社ということで、協力いただいた6社について、基本的に我々は実態を把握するのがベースでしたから、お名前は基本的に非公開でしたが、A社、B社、C社は、それぞれ社名を公表していいということで公表いただいています。そういった中、例えば年間保管件数であったり、総保管件数というのがあります。次の6ページ、7ページにも保管契約が終了した件数であるとか、例えば7ページであれば、費用の面、契約の更新の方法についてです。それから先ほど御質問があった内容については12ページでして、臍帯血の品質管理、安全対策に関する事項で、品質管理、安全対策に関する組織体制がどうであるか。記録の保管がどうであるか。移植実施施設へ臍帯血を引き渡すのに必要な情報の提供ができるかどうか。破棄に関する情報の管理がどうか。現場を見に行って、その体制がどうかというよりも、基本的には聴取りで調査した内容をここに列記したというものです。

 こういった調査をした結果、資料3-1に戻っていただいて、調査結果と問題点ですが、我々のほうとして、こういった課題があるのではないかというのを洗い出したものです。1つ目ですが、5社合計で43,700の保管されている臍帯血がありました。この外数になりますが、契約終了後に破棄処分せずに保管され続けている臍帯血が、5社で約2,100あったということでした。これについては、実際契約が終了すれば破棄するのが前提だと我々は考えているのですが、そうではない部分があったということ。第三者への提供も、4社は「ない」ということですが、1社は160件という回答がありました。

 契約の実施状況については、先ほど2,100あったというのとリンクするところですが、契約上は、契約終了後あるいは廃業時の所有権の扱いや処分方法等が、必ずしも明らかではないこと。契約書上はお子さんのものだと明記されていますが、そういったことが契約終了後はどうなっているのか明記されていなかった部分があります。契約時の依頼者への説明で、先ほど冒頭で説明させていただいた、公的臍帯血バンクと臍帯血プライベートバンクの事業内容、実績等について説明が十分にされていないのではないかという事業者がいたということ。また、一部事業者では、先ほどの聴取り調査のチェック項目での評価にしかすぎないのですが、品質管理等の記録管理体制が十分でない業者が見られたということで、我々としては問題があると考えました。

 資料3-2に戻っていただき、一番最後の4ページです。この中で具体的措置として、我々の調査から、こういった課題が見受けられた中での対応策として右の上からになります。通知により、プライベートバンクに対して、業務内容等に関する届出を求め、HP上で開示する。プライベートバンクに関しては健康局長通知をベースとしたものですが、公衆衛生上、臍帯血が保存されている所が、我が国でどのくらいあるか見えないことは問題があるという観点から届出制ということにしました。これにつきましては、現在、我々のほうで各プライベートバンクと個別に交渉して、この届出をするようにということでやっています。

2つ目ですが、先ほど契約終了後も破棄されないで2,100残っていたということ。契約のほうに少し曖昧な部分があり、望ましい契約書、いわゆる契約者の意向が100パーセント反映されるようなきちんとした契約ということで、望ましい契約書を、これも健康局長通知で各プライベートバンクに、こういった形を参考に新しい契約書を作るよう、今、通知をしているのが2点目です。

3点目で、これは再生医療のほうですが、再生医療等提供計画の届出がなされた場合には、引き続き、再生医療法に基づき臍帯血の安全性・有効性及び入手元の確認について、厳正に審査する。この際に、今回健康局で作った届出の内容、契約書についても参考に活用いただくということです。

4点目ですが、産科医療機関を通じて、契約者に対し、公的バンクによる臍帯血の提供と、プライベートバンクによるものとの違いの周知を行うように、これも健康局長のほうからお願いをしています。また、プライベートバンクに関しても、そういった適切な情報を提供するようにという通知を出しています。

5点目が、再生医療等に関する情報の適切な提供で、これについては後段、研究開発課のほうからお話があるということで、今の説明は割愛させていただきます。

 最後、6点目です。こういった体制でやっていくということですが、これにつきまして実効性が担保されているか、継続的に検証し、更なる対策を検討する必要があるとして、再生医療・造血幹細胞移植合同委員会で、こういった検討を引き続き行うことにさせていただいています。

 これが今回調査終了時に、我々が調査結果を発表した後、今後の取るべき対応としてお話させていただき、通知の部分については出し終わっていて、あとはプライベートバンクのほうからの対応待ちです。

 資料3-3に移らせていただきます。これが先ほど一番最後に説明した再生医療等評価部会・造血幹細胞移植委員会の合同委員会のイメージです。再生医療等評価部会・造血幹細胞移植委員会の合同開催ということで、経緯については、今、御説明させていただいたとおりです。検討内容については、今回の措置の実効性について以下の観点から検証を行うとして、我々が当初やった調査も、任意で頂いた回答を基に分析したものですので、そういったことが実際にどうなっているか、更に深く検証いただくということで、臍帯血の品質管理・安全性に関する情報を提供できるようにすること。基本的にはトレーサビリティーがきちんと確保されているか。途中の段階等々もあると思いますが、そういったことです。あと、民民の契約を前提としたプライベートバンクにおいても、契約者の意に沿わない臍帯血の提供が行われない仕組み、我々のほうは通知として契約書のひな形を示していますが、それが実際にきちんと変わっているのか。変わった上で、そういった契約者の意向に沿わない臍帯血の活用がないことが、担保できるような体制になっているか。また、契約者であるお母さんなどへ正確で分かりやすい情報を提供できているか。こういった観点を検証することで、この委員会の合同開催をさせていただきたいということです。

 検討の進め方()ですが、健康局に再生医療等評価部会又は造血幹細胞移植委員会がありますので、そちらと合わせて「検証・検討委員会」を設置し、必要に応じて、臍帯血プライベートバンク等へのヒアリングや立入調査等を実施するなどして、検討結果を取りまとめていくことで、今後、進めさせていただければと思います。そういった中で、検証・検討委員会から本会を含め、健康局の造血幹細胞移植委員会に対しても、検証結果の報告を行って議論することで、今後、対応させていただけないかというところです。私からの御説明は以上です。一応、御質問にも多少は答えさせていただいたつもりではあります。

○福井部会長

 ありがとうございます。テーマは1つですけれども、内容が多岐にわたっています。何か御質問なり御意見はございませんか。岡野委員、どうぞ。

○岡野委員

 御回答が難しければ結構ですが、破棄処分せずに保管し続けている臍帯血は5社合計で2,100件ということですけれども、これは日本全体のフラクションのうち、どれぐらいカバーしている数字と考えてよろしいのでしょうか。

○井内室長

 まず、臍帯血をバンキングしている所には公的バンクと、こういったプライベートバンクと、あと研究用のバンクというのがあると思いますが、研究用のバンクは、今回、調査対象にはしていません。プライベートバンク、いわゆる個人から預かって臍帯血をバンキングしているものに関しては、我々としてはこれでオールジャパンをカバーしていると考えています。

○岡野委員

 ありがとうございます。

○今村委員

 調査を受けて法的な規制をやる前に、こういった省を中心とした対応で相当精緻にやっていただいたと思っています。確認させていただきますけれども、3-24ページのポンチ絵の所で、HPの公表というのは厚労省のほうでやって、プライベートバンクのほうは厚労省に対して情報提供をするという仕組みですね。

○井内室長

 基本的にはそう考えています。ただ、プライベートバンクにおきましても、自社のHPで必要な部分については公表するという形で、お願いしています。

○今村委員

 厚労省はHP公表をきちっとすると。プライベートバンクについては任意ということですね。

○井内室長

 いや、一部、通知のほうで。

○今村委員

 通知のほう。

○森光課長

 はい。通知の中でするようにということで。

○今村委員

 バンクに対してですね。

○井内室長

 はい、バンクに対して。

○今村委員

 分かりました。

○梅澤委員

 臍帯血に所有という概念は存在するのでしょうか。もし存在するとしたら所有者はどなたになるのでしょうか。お母様なのか、お子様なのか、お父様なのかという質問です。

○井内室長

 そこは臍帯血そのものが、なかなかまだ仕切れていないと聞いていますが、我々としては原則、所有権としては、特にプライベートバンクの場合はお子さんです。契約中はお子さんの所有権で、お母さん、お父さんが代理という形で進めています。我々としてはお母さん、お父さんの意向に沿った形で、所有権はお子さんというのが自然なのかなと思っています。

○梅澤委員

 ということは、所有という概念が細胞に対してもあるということですね。

○井内室長

 細胞全体についてどうかと、特にいわゆる臍帯、絨毛、そういった系統だと思いますが、そこまでは、今回、細胞について誰が所有権を持つべきかというところは詰めていませんけれども、我々としては契約者の意向に沿う形で、原則としては我々のひな形でも、お子さんが所有する形で契約書を作らせていただいています。

○松山委員

 今、梅澤委員から御発言がありました所有権の話ですが、医事法学会のほうでもかなりホットな話題だと認識しています。少なくとも廃棄物として処理されないといけない。物件としては間違いなく存在するのですが、所有権を認めるべきかどうかというのは、認めるべきだというラジカルな先生方と、認めるべきでないという旧来の医事法の先生方の考え方と二通りあって、ちょっと今のところ明確にディシジョンメイクするのは時期尚早であろうかなと思います。

○今村委員

 今の議論とも関わるかもしれませんが、通常、胎児付属物というのは都道府県の胞衣条例で処理すると決まっているかと思いますけれども、この法の下では、その条例の上の対応ができるという解釈でよろしいのですか。

○福井部会長

 事務局、いかがでしょうか。どのレベルのものを考えているのか。

○井内室長

 レベルでいけば健康局長通知ですので、いわゆる法律ではないという位置付けです。条例と比べてどちらが上か私も即答できないですが、我々の趣旨としましては、今回のような流出事案が二度と起きないように、契約者の意向に沿った臍帯血の利用が100パーセントなされるような体制を、実効上、確保するようにということで、こういった対策を打っているということです。すみません、お答えになっていないかもしれません。

○松山委員

 胞衣条例に関しては、政令都市を含めて8か所が確か持っていたと思います。今回の場合、臍帯血になった場合には胞衣条例には実は引っ掛からないのです。臍帯の中から血液を取って細胞だけにしてしまったら、実は胞衣の所に書かれている胎盤とか胎盤付属物というものから外れるという解釈がなされているようです。恐らく今回、合同検証・検討委員会のほうで、実際、委員のほうで胎盤から血液を抜いてトランスファーされているのであれば、恐らく胞衣条例は掛からないですけれども、胎盤ごと持って行っているのであれば胞衣条例に引っ掛かるはずです。そこは是非とも調査していただいて整理をしていただく流れになるかと思います。それは要望です。よろしくお願いいたします。

○掛江委員

 プライベートバンクについて、もう少し教えていただきたいところがあるのですが、もともとの臍帯血の採取であるとか調整とか、その辺りの品質管理のルールというのは、プライベートバンクに適用されるものもあるという理解でよろしいのでしょうか。

○井内室長

 プライベートバンクにつきましては、まず契約者御本人が希望するということで、その希望を産科医療機関のほうに伝えます。産科医療機関のほうで、御本人の希望に沿った形で臍帯血を採取するかどうか決めて、臍帯血を採取するということであれば産科のほうで採取し、契約される本人と民間のプライベートバンクのほうで一定の契約を結んでいますので、そこに送るということです。実際、そのときにプライベートバンクによっては、例えば感染症などをチェックし、それで引っ掛かったものは保存しないであるとか、若しくは御本人が使うという前提なのだから、そこは構わないということでチェックをしないこともあり、プライベートバンクによってまちまちです。

 公的なバンクに関しては、第三者に使うという前提ですので、感染症のチェックであったり、当然、細胞数であったりについて優良なものを使います。公的バンクで白血病患者の方に使われる臍帯血に関しては集めたものの上位2割から3割、25%程度で、残りは破棄される形でして、かなり良好なものが使われるのですが、プライベートバンクのものは契約が望まれると、ほぼ、そのまま契約をしていますので、細胞数であったり、CD34の細胞活性であったりといったようなところまでは、これ以下だったらしない、するというところはやっていないと聞いています。

○掛江委員

 ありがとうございます。私も公的な臍帯血バンクのほうに関わらせていただいているので、後半の御説明については理解していますが、資料3-24ページ、対応の方向性の2つ目の○で望ましい契約書(ひな形)を提示と御提案されていて、かつ、その1つ上の○で届出制にしてHPで公開すると書いておられます。この再生医療の中でも第三種を届出にしていて、届出なのに、まるで国の承認を受けたかのような誤解を招いているのではないかという危惧があると思います。それと同じ状況が生まれる危惧しており、さらにプライベートバンクで品質管理や安全性の担保について全く野放しの状態であるならば、それを届出させて把握したからといって、国がHP上で公開すると、かえって安全性が担保されていないプライベートバンクについて適正な管理がされているかの誤解を招くのではないかと、ちょっと気になっております。

 今回の調査は流出に関しての調査だったので、実際にこのプライベートバンクが、どのくらいきちんと臍帯血を無菌的に採取し、きちんと保管し、先ほど温度管理のことも指摘されておられましたが、きちんとした状態で利用されるところまで移送されるかについて、今回、調査の対象になっていないかと思います。もし、きちんと今後の対応を考えるというのであれば、安全性に関しても、ある程度きちんとした確認をした上でないと、非常に危険ではないかと感じたところでございます。

○福井部会長

 ありがとうございます。事務局から何かございますか。

○森光課長

 今の御意見はもっともだと思います。ただ、このプライベートバンクがどのようになっていくのか。ちゃんと通知に従ってやっていただけるのかということも含めて、この検証会議でやっていただくことになるかと思います。私どものほうは再生医療という形ですが、臍帯血を造血幹細胞移植以外に使うときは全て、結局、再生医療という形で提供されることになります。その出口の1つとして、使うときに遡ってどういうふうに安全性を確認するのかということで、この検証会議においてそういう視点で見たときに、きちんとプライベートバンクが信頼に足るものになっていたかを見ていただくためにこの検証会議を開かせていただきますので、そういう視点でも、是非、この委員会で検証させていただきたいと思っています。

○山口委員

 今の議論に関連するのですが、3-413ページに、先ほどから議論になっている例えば感染症の検査があるのですが、ほとんど書いてあります。もう1つ、HLAは御本人に戻すのだからということで、ほとんどやっていない。1社だけやっていることになっているかと思いますが、恐らく感染症の検査も臍帯血バンクの場合には、一応、やるべきことは先ほど御説明があったように、きちんと決まっている。例えば無菌試験だったらやるかもしれないけれども、HIVHBVの試験はやっていなかったりしています。これの御本人に返すのだから当然という可能性もあるわけです。これが第三者に至るとき、今回のケースも安全性上問題なかったと言うのですが、その辺の検査がきちんとやられていたのかどうか。このときにはきちんとやっていなくて、そのまま流通してしまっている可能性もあるわけです。そういう欠点も含めてのところがどうだったのか教えてほしいです。

 もう1つは、今、課長がおっしゃったようにプライベートバンクを自己に返すのは従前からやられてきて、白血病が出たときに使うという意味では、ここの部分は認めざるを得ない部分だと思いますが、今度は、それを第三者に提供することを認める方向に持っていくのか。本来、そこの所に少し壁を設けるべきかどうなのかということは、ちょっと少し…。

○森光課長

 最後の話ですが、基本的には、実際、このプライベートバンクを介したものを使って御本人に返す再生医療の提供、これは二種になりますのでこちらに上がってきません。あと、第三者にとなると第一種の再生医療等提供計画になります。正にこの委員会での審査となりますので、そういう意味では、正にこの検証委員会等でどういう議論をしていき、何を確認するのかを考えた上で、私どもの再生医療等評価部会で本当に上がってきたときに、どうするかを議論する必要はあるかと思っています。

○花井委員 今、基本的なことが出たのですが、観念的には自己血輸血みたいな感じであれば、1つの医療機関で採血もして温度管理もして、それで完結しているし、その医療提供の中に入るのでいけますね。ところが今、二種になるというのですが、二種になるということは、明らかにその人のものだということが確認できるから二種になるのであり、医薬品であれば提供者のスペックは法律で規制されていて、そのスペックを医療者が信用できるから使えることになるのですが、これだったらキョウジ的でないので、普通、キョウジ的にやるのであれば、産科医療機関と提供医療機関が連携して診療行為を行うという法律上の整理になると思いますが、この立て付けだったら事実上、移植施設側の医師は責任が重過ぎて提供できないように思います。実際、二種で提供されている例は何例ぐらいあるのですか。

○森光課長

 数例ですけれども、一応、上がってきている施設は1施設です。ただ、御本人の非常に早期の、要するに生まれてからそんなに長くたっていない患者さんへの投与ですので、それは明らかにこの方のものと分かるようになっています。

○花井委員

 時がたってしまうとバンクで取り違えがないのかとか、オペレーション上はレギュレーションがないわけだから、この制度設計上は、その責任持ちは全部、提供医療機関側の責任持ちということですね。

○森光課長

 そうなります。

○花井委員

 制度として不完全です。

○福井部会長

 ほかには、いかがでしょうか。松山委員、どうぞ。

○松山委員

 申し訳ありません。今、お話を伺っていると、公衆衛生上のリスクをもう1つ考えないといけない。赤ちゃんから頂いて赤ちゃん本人に返すから、公衆衛生上のリスクがないわけではなくて、実はそのときに臍帯血がBとかCとかに汚染していたとしたら、次、同じクリーンベンチで扱われたサンプルにトランスファーするリスクがあります。ですから、検証会議のほうでは科学技術的に、しっかりとチェンジオーバーの所がクリーンアップされているかどうか。それから前川先生の隣で言うのは非常に僭越ですけれども、パーティクル等が管理できているか、かなりきっちり見ないといけない。それができないのであれば感染症を事前にチェックして、感染症のない方だけ契約を受けますというスタンスに変えていただかないと、多分、公衆衛生上のリスクは守れないだろうと思います。

○福井部会長

 ありがとうございます。よろしいでしょうか。今村委員、どうぞ。

○今村委員

 この違反を起こした医療機関と言いますか、対象となる疾患というか目的というのが、要するに、はっきりとした科学的な妥当性がない、効くか効かないか分からない。安全性は確保されていたのだろうけれども、よく分からないようなものが医療行為としてなされたと、このこと自体が非常に問題だと思います。

 きっちりとしたものであれば、公的なバンクを経由して、きちっと供給できる。しかし、プライベートバンクについては、御自身が白血病なり何なりになったときには利用できるかもしれないけれども、非常に確率として低いものについて、そしてまた、よく分からないような目的で投与される。この問題が非常に大きいと思います。とすれば、このプライベートバンク自体をこのまま放置していいのかどうか。安全性だけは大丈夫ですよ、効くかどうかは分かりません、御判断で高い金を出してやってくださいと。こういうことは、もうちょっと考えたほうがいいのではないか。将来の再生医療が非常に期待されている分野だけに、こういったまがい物の医療が、まかり通るというのは非常に問題ではないかと思います。

○山口委員

 もう1つお聞きしたいのですが、先ほど説明があったときに、普通、公的バンクでは2割ぐらいしか合格しないと伺いました。例えば好中球の含量数が大きいと、なかなか良い臍帯血にならなかったりするわけです。全部のものが保管されていたとしても、それが正直言って、本当に造血幹細胞移植として適しているかということ自体も、もう一度考えたほうがいいような気がしています。全部保管しているものが本当に使えるものなのかどうかという意味でも。そういうことも検討会でやっていただけることになりますか。

○福井部会長

 事務局、どうぞ。

○井内室長

 実際、幾つかの問題がありまして、第三者に使うのか本人で完結するのか。例えば絶対第三者に行かないのか、それとも第三者に行く可能性があるのか、それで変わってくると思います。今、おっしゃったようにどういった治療に使われるのか。治療の後ろが決まっていないときに、例えば前の品質をどこまで担保するのか。公的臍帯血バンクのほうは明らかに使われ方が決まっていますので、そこで有効なものを担保するために、かなり選別が厳しくなっているというのがあります。例えば、ここがプライベートバンクに聞いてもフワフワしているのが、将来、再生医療が発達した場合を想定しているので、どれだけ細胞数があれば達成できるのかどうかは、そのときにならないと分からない中での保管ということなのです。実際、細胞をどこまで担保するかというのは、幾つか視点がある中で整理をして、こういう使われ方だったらこう、こういう使われ方だったらここまで担保すべきという整理は、この会議が検証でやっていただけるかなと思っています。

○山口委員

 ただ、そのときに、特に造血幹細胞移植として賜与される場合には造血能の再建の目的で打たれるわけです。そのときに品質が担保されていないもの、例えばCD34が十分ないようなものを打たれたとしたら、それは非常にリスクが高いわけです。そこら辺の安全性と有効性を確保しない限りは、正直言って使えないのではないかという気がします。

○井内室長

 我々のいわゆる造血幹細胞移植、現在の造血幹細胞移植に関しては公的バンクをベースに動かすということで、例えばこのプライベートバンクのものをどうするということは、現在のところ一切考えていません。完全にそちらはそちらで、きちっとエビデンスのあるものを、今までどおりそろえるということで考えています。

○福井部会長

 ここまでのところは、よろしいでしょうか。私も資料を見ていて、資料3-45ページで丸3の表について、今村先生が先ほどおっしゃったことだと思いますけれども、実際は43,00044,000件の中で、規定疾病の治療を目的とした移植は1件しか行われていないということですね。

○井内室長

5ページの丸3の所だと思いますが、再生医療等を目的としたということで、いわゆる臨床治験、きちんとした臨床治験にのっとった形で、例えばB社であれば11件提供して、規定疾病いわゆる白血病等に関しては1件ということです。今、部会長からありましたように、保管件数自体は41,720というのは事実です。

○福井部会長

 非常に数は少ないというのも事実です。ただ、松山先生がおっしゃったように、他人に使おうが本人に使おうが、血液の安全性は同じレベルでの管理をしないと、おかしいのではないかとも思います。この部分では、いわゆる検証検討委員会と事務局のほうから説明がありました資料3-3の委員会を設置することについて、本部会として了承するということでよろしいでしょうか。今までいろいろ御意見を頂きましたので、それらを含めて俎上にのせていただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、議事3の後半の部分があります。今回の事案で問題となった、再生医療等に関する情報の適切な提供方法のあり方について、資料3-5から資料3-7を用いて課長から説明をお願いします。

○森光課長

 そうしましたら、資料3-5から資料3-7を用いて御説明いたします。この関係については、臍帯血事案に端を発したものです。まず、資料3-7を見てください。

 資料3-7というのは、これまで厚生労働省のHPに、再生医療等安全性確保法第6条に規定する再生医療等提供機関の一覧ということで載っていたものです。これは、実は再生医療等部会、この部会の第2回の部会の際に、提供計画を提出している医療機関について情報提供するべきではないかということで、この御議論を受けて、それぞれの提供計画を提出する医療機関に対して同意を取った上で、同意が取れたところに関しては、この項目としては、再生医療機関の名称、住所、管理者の氏名、医師又は歯科医師、それから事務担当者、人員及び構造設備、共同研究機関に関する事項という項目だけを載せていたということです。

 今回問題になったのは、この立入検査をして告発で逮捕された首藤クリニックという所については、実は、再生医療等の三種の提供計画を、別の計画ですが、別の再生医療を行っていたものに関しては届出をしていて、今回、臍帯血を用いた再生医療については届出をせずに実施していたということで、このHP上にはその首藤クリニックが提出機関として載ったままになっていたと。ですので、この表自体は間違いはないのですが、見る人から見れば、患者さんなり、見た人から見れば、要するに誤解を生じるものになっていたということで、急遽この表をHPから削除したということです。これが経緯になります。

 ここで御審議を頂きたいことなのですが、2番目の資料3-5を見てください。1のこれまでの経緯は、今、お話しした内容です。2の基本的な対応方針についてです。公表については、これまで同意を取って、提供医療用機関と連絡先とか、そういうものしか載せていなかったわけなのですが、やはり患者の選択に資する情報というものに関しては載せていく、公表していくことが必要ではないかということで、同意を取らずに、いわゆる義務として、施行規則を変えて再生医療等の情報の公表を義務付ける規定を設けたいと考えております。ここで例示として挙げております提供機関名、提供機関管理者名、再生医療等名、要するに計画名です。それから、それを審査した認定再生医療等委員会の名前、再生医療等の安全性・妥当性の検討等を公表するための所要の改正をしてはどうかと。安全性・妥当性の検討については、ちょっとサーバー上どれぐらいできるかというところはありますが、基本的には、患者さんの選択に資する情報を全てオープンにしていく形でどうかと考えております。

 その後ろの資料3-6がイメージです。基本的に掲載方法の案としては、第一種、第二種、第三種と分けて、それも研究と治療とそれぞれに分けた形で、再生医療等提供機関の名称、計画の名称、連絡先、審査をした認定再生医療等委員会の名称、それから詳細のリンク先を載せられればと考えております。この点について、できれば今、この表を下げていて、患者さんから、どこで何をやっているのか、どういう計画が国に届けられているものかどうかが分からない状態になっていますので、できるだけ速やかに、この部分については施行規則を改正していきたいということで、資料3-5の下にスケジュール()として書いております。本日のこの方向性で了解を頂ければ、速やかに改正の詳細の()について、これはそれほど分量は多くありませんので、持ち回りで御審議していただき、パブリックコメントなどの必要な手続を経て、改正を速やかにして掲載をしていきたいと考えております。この点について御検討をお願いします。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明について、御意見、御質問等ございましたらお願いします。

○山口委員

 そもそもこの案では、強制的に載せるということで、推奨しているわけではないというアナウンスを出すことが一番重要かと思います。もう1つ評価したいと思うのは、審査をした認定委員会を公表することが非常に重要かなということです。要するに、そこの責任も非常に重要だということをアナウンスしていただければと思うのです。あともう1つ、やはり気になるのは、先ほど今村先生のおっしゃった、有効性の評価がされていないような治療が行われてしまっていることを、どこが、もう認定されてしまえば認めてしまうようなところがあると思うのです。そういうところの、これが本当に有効なものかどうかという、それの妥当性というか、それをどこかで評価できるような形に持って行くところが必要なのだろうなと。

○森光課長

 それは私どもも非常に悩ましいところです。公表の項目の中に再生医療等の安全性・妥当性の検討を入れたのは、実はサーバーとの関係もあって、本当に今すぐできるのか、ちょっと遅れてしまうか分かりませんが、ここが提供計画の中で、いわゆる過去にこういう文献でこういうことが出されている、こういう安全性について配慮する必要があるとか、こういう有効性の可能性があるとか、そういうことの検討が書かれている部分なのです。ここについて、専門用語にはなりますが、一応オープンにしていくことによって、患者さんから見ても余りにひどいものであれば、患者さんもそれを選択することをやめることがありますでしょうし、それはちゃんとしたものであればちゃんとすることになるので、そういう視点で、できるだけ選択に資する情報をオープンにしていく方向性で考えております。

○松山委員

 有効性・安全性のところは、おそらくアップロードする人は当然いいところしか書かないことがありますが、そういう部分も、責任を取っていただくのは、実は認定再生医療等委員会であり特定認定なので、議事概要か議事録で、その該当部分については、さほどPDFであればファイルは重くないので、上げていただいて、実際選択される国民の皆さんの御判断に、ある程度お任せするというのはあるのではないのかなと。

○森光課長

 もちろん、そのお話については私どもも考えております。ただ、それはこの次の議題になりますが、実は臨床研究法でも同じような制度を仕組んでいこうということで、認定の委員会の議事の内容をオープンにして、どの委員会でどういう内容、こういう計画について議論されたことがオープンに、多くの人が見られるようにしていく仕組みがあります。ただこれについては、少し委員会の体制を整えていただかなければ、うまくいかないということもあって、取りあえずそれを委員会に義務付けることは、将来的に是非考えていきたいと思っておりますが、厚生労働省として公表するという意味については、今のところは急ぎここまでかなと思っているところです。

○松山委員

 それであれば、例えば、提供計画の詳細の部分のところに、その抜粋のところをアドオンしてもらうというのはあるのだろうと。できれば本当は私たちとしては、認定委員会のレベルは玉石混交で全く見ていないところもあるので、それをつまびらかにしてほしいというのが本心なのです。ですが、一方でそれは、研究者であり、あるいは医者にとって必要だけれど、国民の皆さんはさほど興味がない。国民の皆さんにとっては、ここでこの病院で使っている細胞が、例えば過去の論文でこうなるからこうなるはずだと、本当に同じものが作られているか全く分からないのです。実際私はMSCをやっていますが、ファイルドプラスを取っているところが圧倒的に多いのです。そういうことがちゃんと議論されているかどうかを入れていただかないと、御判断できないのではないかということです。

○森光課長

 はい。

○松山委員

1つ意見ですが、今すぐにスタートは難しいと思いますので、臨床研究法が通った後、整合性、足並みをそろえる過程で御検討いただければと思います。

○岡野委員

 これは再生医療等安全確保に関する法律と同じ法律で、臨床研究とこのような医療行為両方をやっているにもかかわらず、この温度差に関して前々からかなりすごいと思っていました。結局議事録を出させるのは、それは認定するまでのプロセスであって、実際に医療行為を行った後どういう有害事象があったかとか、言ってみれば1年に1回ぐらい報告書を出させるとか、そうしないと、これはクオリティコントロールがかなり難しいのではないかと思います。是非、その点については、何らかの方法で御検討を頂ければと思います。

○森光課長

 はい、それについても検討させていただきます。もともと定期報告自身はありますが、おっしゃっている内容はもう少し深い内容のことだと思いますので、それについてもちょっと検討させていただきたいと思います。

○高橋委員

 個々のそれも重要なのですが、臨床研究であっても患者さんは必ず治療と間違えてしまうので、くどいように、これは治療ではなく研究であることを明記していただいたほうがいいと思います。

○前川委員

 これはちょっと事務局に確認したいのです。例えば、いろいろな免疫細胞クリニックで行われているものの中には、エビデンスがはっきりしていないものがあるということなのです。それは恐らく第三種のところに入ってきて、再生医療提供計画の詳細の欄に、例えばこれはまだエビデンスがはっきりしないとかいうことは書かれる予定なのでしょうか。この私の考え方の背景にあるのは、例えば癌の患者さんが標準治療を全部します。標準治療をやり尽くして、エビデンスのある治療法はもうない場合、もうあなたには治療法はありませんよと言う医師もあるかもしれないのですが、そうすると、いわゆる『がん難民』がたくさん生まれてくる可能性があると思います。私は、民間で行なっている第三種の治療法を全否定するような考え方もちょっと問題ではあると思うのですが、でも、ここで認めてしまうと、あたかもエビデンスがあって承認されて、記載してあるというように捉えられてしまうので、現時点ではこの治療法のエビデンスは不明、あるいははっきりしていないということを、ここにちょっと書いたほうがいいのではないかという気がしているのですが、いかがですか。

○森光課長

 エビデンスがはっきりしていないのは、ほとんどのものなのです。

○前川委員

 そうなのですけれど、それをどこかに明記しておく必要はないでしょうか。

○森光課長

 そのグレードがどのぐらいかという問題ですので、ちょっと正直言って、先ほど先生がおっしゃったように、再生医療等委員会の中できちんと見ることができているかどうかということだと思うのです。最終的には、いわゆるちょっと遅れますが、臨床研究法と一緒に並んでいくように委員会の議事の内容をきちんとオープンにした形でその質を上げていくと。やはり委員会が責任を持って見るのだと、見ていただいて、余りにエビデンスが本当にないようなものは落としてもらう、若しくは、可能性があるのでしたら、この部分があるのでそれ以外のところは、要するに適用の範囲にしても考えてもらうとか、そういう議論をきちっとしていただくことで、こういう分野の、ある意味、良いものは残り悪いものは去っていくことを促すことなのかと思っております。

○前川委員

 エビデンスレベルがどうのこうのというと患者さんにはわかりにくいのですが、各施設の認定再生医療委員会で、エビデンスレベルの議論を記録させて、明記させるということなど、認定再生医療委員会のレベルを上げて行く必要があると考えています。。

○掛江委員

 確認が2点です。まず1つ目は、提供期間を過ぎた場合にこの一覧から消えていくのでしょうかというのが1つ。それから、先ほど高橋委員から御指摘のあった、研究であるならきちんとというところなのですが、これは、資料3-6を拝見したときに、一種は研究区分、二種は治療区分、三種も治療区分となっているのですが、研究、治療の別は、この治療区分には治療しか載せない、研究区分には研究しか載せないという形で明示するという理解でよろしいのですかという確認が2点目です。

 あと、患者目線でこの一覧を拝見させていただくと、やはり対象疾患が明示されていないと見にくいのではないかと思うのです。研究の提供計画の名称と併せて対象疾患をできれば明示していただきたいと思います。あとは、これは別の一般の目ではなくて、少し規制の観点から見ると、対象疾患をきちんと明示していただかないと、何となく対象疾患の類縁疾患まで勝手に、提供計画を出していないものについても、治療であったり研究を名乗ってやられるような施設が出てこないわけではないのではないかという危惧があります。そういった意味でも、対象疾患をきちんと明示して、認められた提供計画にある対象疾患を明示していただいていれば、患者さんのほうでも自分の疾患がまず再生医療の対象かどうかというのも調べられますし、少し探しやすいのではないかと思いました。あと患者側の目線として、提供機関の明示はあったほうがいいのかなと。研究の場合、特に提供機関、あっ、提供機関の明示はあるのですか。

○森光課長

 提供機関とはピリオドの関係ですか。

○掛江委員

 そうです。

○森光課長

 それは、治療はないです。研究はあるので。ごめんなさい、実は、その行く先の再生医療等提供計画の詳細のところで、できれば元の原本のほうに飛ぼうかと思って、飛ばせればと思っております。そうすれば、対象疾患も期間も全部そこに載せられることになりますので。

○掛江委員

 すみません、よろしいですか。患者さんが、もし自分が何か病気になられてその再生医療がどこでやっているかを調べようと思ったときに、多分対象疾患が書いていないと、全て闇雲にリンク先の計画書を開いて対象疾患を確認することはできないのではないかと思うので、そういう意味でも、一覧には提供計画の名称だけではなく、もちろん名称に疾患名が、入っているときもありますが、入っていないときもありますので、対象疾患という項目はあったほうがいいのではないかと感じております。

○福井部会長
 検討していただければと思います。

○森光課長

 すみません、これ自身はできれば推奨するという意味合いではない部分もあるので、少しその面も含めて検討させていただきます。

○花井委員

 疾病ベースというのも、それ以外に調べようがないということだと思うのです。1つ、先ほどあったエビデンスレベルなのですが、結局、それが載っているのは同意文書ですよね。説明文書で、ここに上がってくるのは特定再生医療等委員会で上がってきて、でもそれを通ってきてもここでちょっと直したりしているではないですか。となると、少なくとも同意文書には必ずエビデンスレベルは書いているはずなわけですよね、彼らに説明しているわけですから。だけれど、これを全部載せてくださいと言うと、もしかしてとんでもない文章がここに載ったとしたら、そうすると横を見ると、どこがこの文書を通したかという委員会名が分かることになって、ある種、委員会の質がそれで、も一目瞭然になるところもあるので、結局、その患者に説明するのはその文書で説明するのだから、ある種同意文書こそがエビデンスレベルなり何なりなので、それを載せるのも1つ考えていただいたらどうかと。逆に、同意文書を見てとてもひどければ、その委員会がやはりこれを通したことになって、どちらもよく分かって、最終的にもう少し質を上げていって、患者同意文書そのものではなくて、それをちょっとシェイクダウンした形で提供のエビデンスレベルの文書としてもいいので、結構リーズナブルかと思いました。御検討いただければと思います。

○南委員

すみません、私も、厳密に段階があるという事情はよく分かるのですが、読む人、特に患者さんは、施設名をまず見る。これが厚労省によって発信されている施設だということで、安心するというか、先ほど山口委員が言われたように、推奨でないというところをよほど明瞭に書かないと、読み違いと言うか、思い込みをおこす可能性が高い。大体物事というのは、都合の良いように読まれる傾向があるわけですから、そこのところを、是非お願いしたいということです。それからこれは前川委員が言われたことと非常に近い気持ちなのです。ほかに治療方法がないいわゆるがん難民にとって、一縷の望みを懸ける道を塞ぐことは望ましくない。とはいえ、ここで決めてしまうかのようなことはかなり大きな問題がある。そこは体制の整備とかそういうことなのでしょうけれども、やはり慎重に考えていただく必要があると思います。

○福井部会長

 よろしいでしょうか。資料3-5にのことでスケジュールが書いてありまして、これから規則の改正()の審議をまたお願いすると、何らかの形で委員の先生方の目を通していただいて、御意見を頂くという手順を踏むのうことですので、そのときにも、今発言された内容も考えてコメントを頂ければと思います。この件については、提供方法の在り方()の方向で行うことについて御了承を頂ければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは議事4に移りたいと思います。この議事次第はその他と書いてありますが、臨床研究法に伴う再生医療等の安全性の確保等に関する法律施行規則の改正について、御審議いただくことになります。事務局より説明をお願いします。

○森光課長

 資料4-1以降についてですが、資料4-1は前回7月の再生医療等評価部会で、これから臨床研究法の細部を検討していきますという話で説明いたしました内容ですので、資料4-2から説明をさせていただきたいと思います。

 臨床研究に関しての実施基準の概要です。この枠に書かれているのは、臨床研究法を抜粋してきたものです。次ページですが、特に大きく臨床研究法の施行規則で新しく導入しようとしている部分について、それから再生医療と少し齟齬が出そうな部分について御説明いたします。

2ページ、実施体制に関する事項ですが、これは研究責任者についてということです。研究責任者は、臨床研究を共同研究として実施するに当たっては、他の実施医療機関の研究責任者と連携し、当該共同研究として行う臨床研究に係る業務を統括するため、共同研究を行う研究責任者の中から、共同責任者を選任しなければならないということで、多施設間共同研究の場合に関しては代表責任者を選任する規定を置くという方向で検討されております。それから、研究責任者は、臨床研究を適正に実施することができる教育及び訓練を受けていなければいけない。これにプラスして、分担責任者に関しても教育及び訓練を受けなければならないという規定を入れるよう検討されております。疾病等報告、研究の適合性確認については、研究責任者が実施医療機関の管理者に報告し、研究責任者に必要な対応を行う仕組みになっております。

 実施状況の確認に関する事項ということで、研究責任者はモニタリング及び必要に応じ監査を実施しなければならないという規定があります。臨床研究の場合に関しては、このモニタリングは研究の自分でやったデータの採取については他の方が確認するという意味で、モニタリングとしております。必要に応じて監査については、共同して研究を行う者以外が監査を行うことと定義をしております。

 それから、利益相反管理計画の作成・審査、実施する臨床研究に関する苦情・問合せを受けるための窓口の設置、その対応手順、必要な体制の整備を求めることを検討しております。臨床研究の対象者の負担及び危険の最小化、倫理的及び科学的観点からの安全性・妥当性の十分な検討を求めること、臨床研究の公的データベースへの登録、個人情報保護というようなことを検討しております。

 細部については次回ですが、基本的には再生医療等安全性確保法と臨床研究法では、実は責任を負う者が異なっております。臨床研究法では研究責任者ということで、実施する研究者のほうに係っており、再生医療等安全性確保法では医療機関の管理者が基本的に申請をしますし、責任を持つということで、少し体制が違っております。実際に実行する上で、臨床研究実施基準やその体制の中で必要なものについては取り込んでいくという方向性を目指してはどうかと考えているところです。

3ページ目は、再生医療等安全性確保法と臨床研究法の対象範囲についてです。実は、再生医療等安全確保法の対象となる研究については、臨床研究法の第2章の規定は適用されませんが、第4章の規定は適用されるのです。第4章は何かというところですが、いわゆる契約の締結・資金提供の公表ということです。これは再生医療等製品を製造販売している業者若しくはそれの特殊関係者から研究資金をもらって、その再生医療等製品の製造販売業者の製品を使った研究をする場合については、契約をした上で研究費をもらわなければならないという条項です。もう1つ、資金提供の公表についてですが、そのような場合には、執筆料や講演料等については、企業のほうで公表するということです。これは再生医療等安全性確保法の対象である研究についても対象となるということです。

4ページは、臨床研究法を踏まえた改正の検討事項として、以下のものを挙げております。また次回に詳しく説明いたしますが、先ほど言いましたように、臨床研究を適正に実施するための実施責任者の教育・訓練、研究として行う場合ですが、これについては再生医療等安全性確保法には規定がない部分です。研究対象者の生命、健康及び人権尊重とありますが、法律全体としてはその方向で書かれておりますが、明示がないという意味です。モニタリング・監査についてですが、研究として行う場合のモニタリング・監査の規定、利益相反管理に関する規定がありません。公的なデータベースの登録、研究に関する苦情及び問合せを受け付けるための窓口の設置と対応の手順の策定等の義務化ということです。研究対象者の負担及び危険の最小化、実際はこの委員会で議論されている内容ではありますが、明示がなされていないという意味です。

 それから再生医療等の適切な提供における措置に関する事項ということで、再生医療等に関する適切な情報提供の体制整備、説明同意文書に審査を行った委員会名、相談窓口の追加、製品の不具合報告、定期報告の提供計画に対する不適合事案の報告、利益相反管理を追加するといったことが課題になるかと思います。

5ページ目は、先ほど話題になりましたが、認定再生医療等委員会に関する事項です。これは審査する内容が違いますので、必ずしも一致する必要はありませんが、委員会の構成要件、設立要件。委員の利益相反管理。研究内容に応じて技術専門委員会の評価書の確認。議事録の内容、審査手数料、開催日程、受付状況等の情報公開。これは先ほど議論になったところかと思います。それから、委員会としての相談窓口の設置に関して、再生医療等安全性確保法においてどうするのかを議論する必要があるということで、今回提案をさせていただきました。

○福井部会長

 ただいまの説明について御意見、御質問等ありませんか。

○岡野委員

 両方の法律が整合性を持って運用することは大変重要だと思いますが、特定認定再生医療委員会あるいは認定再生医療委員会に、これをどのようにして通達して、それがSOPなりに反映されているかというのは、どのように確認される予定なのですか。

○森光課長

 改正するということになりましたら、当然改正をしてから適用するまで、一定の期間はあるかと思いますので、その間に周知をさせていただきたいと思います。また、議事録の内容の公開というようなところに関しては、やはり多少体制整備をする必要があるところもあるでしょうから、その点は考えたいと思います。通知自身については、再生医療等委員会について全部連絡先をいただいておりますので、メール何なりで、こういう内容ですということの連絡をすることは可能です。また、そのほか説明会なりも各地域でやっておりますので、その際に周知をしていきたいと思っています。

○岡野委員

 通知して、そういうふうに対応したというチェックはしないですか。とても大変だと思いますが。

○森光課長

 チェック自身はもちろん改正した後にやることになると思いますが、当然公開をしていただくことが、まずその委員会に関しては大事ですので、それは委員会の定期報告なりを頂く際には、確実に確認をしていくことをしていきたいと思っています。

○高橋委員

 ちょっと聞き逃したかもしれないのですが、責任者についてです。機関の長と研究者というのは結構大きくて、再生医療がそこで引っ掛かる場合もあるのですが、だんだん寄せていくのか、そのまま違うままなのか、どちらですか。

○森光課長

 そこは実は法律を改正するかどうかに掛かってきてしまいますので、今のところその責任の部分に関しては、今回はそのままにして、再生医療の安全性確保の見直しというのがまた迫ってきますので、その際に検討する必要があるのだろうと思っています。基本的には臨床研究法と違って、医療の実際の治療とかいう部分も、この再生医療等安全確保法は対応しておりますので、そういう視点も考えなくてはいけないと思っていますが、今回ではなくて、次の法律の見直しのときに検討対象になるかと思います。

○松山委員

 資金提供の部分で、今のところ、いわゆる現金の提供のみとなっているのですが、実際は寄附口座であったり、あるいは物品、消耗品であったりのサポート、あるいは製薬企業、再生医療の業界であれば再生医療の提供業者からの人の派遣というのも実質的に行われていて、お金という形ではない、利益供与というのはかなり多いのです。これに関しての対応というものを、是非とも御検討いただければと思います。

○森光課長

 はい。

○福井部会長

 次に、山口委員からコメントを頂けると伺っています。

○山口委員

 実は前回の部会で、ゲノム編集のことについて遺伝子医療にどうやって取り組むかということを、ここでワーキンググループというか、厚労科研費の中で検討させていただくことを認めていただきました。そのワーキンググループと、そのワーキンググループのでの検討を受けた見直し委員会も、一度開催しております。その中で、ゲノム編集についてどのように取り組むかは、特に定義やその辺について議論を進めております。恐らく今月中にはそこの定義の部分や範囲については、大体のところをこちらに報告できると思っております。

○福井部会長

 そ次回までに事務局案を用意していただけるということですので、その折に議論をお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 それでは議事5、第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認に移りたいと思います。審議は非公開となりますので、恐縮ですが一般の傍聴の方は御退室いただければと思います。

 

(非公開部分の議事概要については以下のとおり)
議事:第一種再生医療等提供計画の再生医療等提供基準への適合性確認
議事概要:

 

以下の第一種再生医療等提供計画の変更について、再生医療等提供基準に適合していることを確認した。


【再生医療等提供機関】

 自治医科大学附属病院
【提供しようとする再生医療等の名称】
CD19特異的キメラ抗原受容体発現Tリンパ球を用いた再発・難治性B細胞性悪性リンパ腫に対する遺伝子治療臨床研究


(了)

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