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2017年7月14日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録

○日時

平成29年7月14日(金)17:30~


○場所

新橋8E会議室


○出席者

出席委員(20名)五十音順

◎五十嵐   隆、  石 井 明 子、  伊 藤 清 美、  乾   英 夫、
  今 村 定 臣、 薄 井 紀 子、○遠 藤 一 司、  柿 崎   暁、
  後 藤 功 一、 小 松 康 宏、  小宮根 真 弓、 斎 藤   充、
  佐 藤 泰 憲、 佐 藤    薫、  清 水    渉、 三 村   將、
  村 島 温 子、 望 月 眞 弓、  矢 野    哲、 萬    知 子

欠席委員(4名)五十音順

 石 井 則 久、  金 澤   實、   倉 根 一 郎、 戸 部 依 子、
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

宮 本 真 司 (医薬・生活衛生局長)
森    和 彦 (大臣官房審議官)
佐 藤 大 作 (医薬安全対策課長)
上 野 清 美 (安全使用推進室長)
宇 津   忍  (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医薬安全対策課長 定刻になりましたので、「平成29年度第1回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、またお暑い中お集まりを頂きまして、ありがとうございます。

 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「部会長及び部会長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの留意事項の厳守をお願いいたします。

 なお、厚生労働省ではクールビズを実施しております。事務局は軽装で失礼させていただいております。委員の先生方におかれましても、上着をお召しになられておられる方々も適宜お脱ぎになっていただいて結構ですので、リラックスして御対応いただければと思っております。

 本日の会議の出欠状況です。金澤委員、倉根委員、戸部委員、石井則久委員より欠席の御連絡を頂いております。現在20名の委員に御出席を頂いております。本部会の定員は24名ですので、定足数に達していることを初めに御報告いたします。

 7月11日付けで、事務局に人事異動がありました。医薬・生活衛生局長に宮本が着任をいたしましたので、御紹介いたします。

○医薬・生活衛生局長 7月11日付けで、医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本と申します。5年ぐらい前に、この局の総務課長をやっており、その後、別の所を回って、またここに戻ってまいりました。医薬品には、有効性は当然のことながら、やはりもう1つの柱の安全対策が、国民の皆様に安心して利用していただくためには、必要であり大切なことです。先生の皆様には、御多忙中のところ頻繁にお集まりいただくことも多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、着任直後で、幾つかスケジュールが重複しているところがあり、本来であれば最後まで出席させていただくところですが、大変申し訳ございませんが、本日は途中で退席させて頂きますので、御了承いただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○医薬安全対策課長 また、7月11日付けで事務局であります安全対策課の課名が変更になり、医薬安全対策課となっておりますので、初めに御報告申し上げます。それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事進行は、五十嵐座長にお願いいたします。

○五十嵐部会長 では早速、これから議事を始めます。事務局から配布資料の説明をお願いいたします。

○事務局 配布資料の説明をいたします。座席表、議事次第の後に、配布資料一覧がありますので、これに沿って説明いたします。当日配布資料が1枚あります。続いて資料1-1は、「平成28年度の安全対策について」。資料1-2は、「医薬品等の使用上の注意の改訂について」。資料1-3は、「ワクチンの安全性に関する評価について」。資料1-4は、「要指導医薬品のリスク評価について」。資料1-5は、「バレニクリン酒石酸塩の「使用上の注意」改訂について」。資料1-6は、「コデインリン酸塩等の安全対策について」。

 資料2-1は、「医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用等報告について」。資料2-2は、「製造販売業者からの国内副作用等報告の状況」。資料2-3は、「外国での新たな措置の報告状況」。資料2-4は、「研究報告の報告状況」。資料2-5は、「医薬関係者からの副作用等報告の状況」。資料2-6は、「副作用等被害救済給付等に基づく副作用等報告の状況」。

 資料3-1は、「感染症定期報告感染症別文献一覧表」。資料3-2は、「感染症定期報告の報告状況」。資料4-1は、「医薬品・医療機器等の回収報告の状況について」。資料4-2は、「平成27年度医薬品等自主回収一覧」。資料5-1は、「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について(通知)」。以上が資料になります。漏れ、落丁等がありましたら、お申し出ください。配布資料に漏れ等はありませんか。

 なお、本日の議題は全て報告事項であり、審議事項はありませんので、利益相反状況についての御報告はありません。以上です。

○五十嵐部会長 議題1の前に、事務局から報告事項があるとのことですので、御説明をお願いいたします。

○事務局 当日配布資料の1枚紙を御覧ください。薬事分科会の委員、臨時委員、専門委員については、薬事分科会規程第11条に基づき、「在任中、薬事に関する企業の役員、職員、又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」とされております。今般、薬事分科会の部会に所属していた委員について、医療機器製造販売業の許可を取得している企業の役員に就任していたことが判明したため、当該委員には辞任いただいた上で、6月29日に本事案を公表し、同日に開催した薬事分科会に報告させていただきました。この資料は、6月29日付けのPress Releaseになります。部会、調査会を含む全ての薬事分科会の委員については、委員就任時に事務局担当者より、薬事に関する企業の役員等に就任していないことなどを確認させていただいておりますが、今般本事案を踏まえて、改めて薬事分科会規程への適合状況を委員の皆様に確認させていただいた結果、本部会においては規程に抵触する委員はいらっしゃらなかったことを御報告いたします。なお、薬事分科会の他の全ての委員等については、現在確認中です。委員の皆様方におかれましては、お忙しい中御協力を頂き、感謝申し上げます。

 今後の対応としては、同様の事案の再発を防止するため、薬事分科会の委員等就任時及び会議開催時に、薬事分科会規程や薬事分科会審議参加規程の適合状況を、書面により御署名いただく形で御申告いただく方向で検討いたします。具体的な方法等については、事務局にて検討の上、改めて御連絡いたしますので、御協力をお願いいたします。

 また、例えば薬事に関する企業とはどのような企業が該当するのか、寄付金、契約金等の申告に関する詳細なルールなど、規程が分かりにくい点もあるかと思いますので、そういった点も含めて重要事項については、事務局より改めて分かりやすく御説明、注意喚起を行い、薬事分科会の適切な運営に引き続き努めてまいります。委員の皆様には、御負担をお掛けすることになりますが、この機会に改めて規程を御確認いただきますとともに、規程の遵守に御協力いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。事務局からの説明は以上です。

○五十嵐部会長 ただいまの説明に対して、質問等はありますか。よろしいですか。それでは、議題前の説明は、以上で終了いたします。議題1の、医薬品等の市販後安全対策について、事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局 議題1、医薬品等の市販後安全対策について説明いたします。資料1-1、平成28年度の安全対策を御覧ください。1ページの1.を御覧ください。副作用等の報告については、医薬品医療機器法第68条の10第1項の規定により、製造販売業者等が医薬品の副作用による疾病の発生等を知ったときには、報告することが義務付けられております。また、医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者についても、同条第2項の規定により、医薬関係者が保健衛生上の危害の発生、拡大を防止するために必要と認めるときは、報告することが義務付けられております。この制度に基づき報告された過去5年間の副作用等の報告の数をお示ししております。()には、医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品を含む医薬品の国内副作用等報告について示しており、平成28年度の製造販売業者からの副作用報告は、55,728件、医薬関係者からの副作用報告は6,047件でした。また、()及び()には、それぞれ平成2611月及び平成26年4月の医薬品医療機器法改正により、副作用等報告の対象になったコンビネーション医薬品、医薬部外品/化粧品の副作用報告について示しております。

 2ページの2.を御覧ください。こちらは、過去5年間の厚生労働省が実施した安全対策を示しており、「使用上の注意」の改訂指示等の安全対策の推移を示しております。平成28年度は、合計159件の「使用上の注意」の改訂の改訂指示を行ったほか、部会、調査会にお諮りし、OTC医薬品のリスク評価を8件行うなど、対策を取りました。

 3ページの3.を御覧ください。()に、平成28年度当部会の開催結果概要を示しており、()に安全対策調査会の開催結果概要を示しております。また、()には当課が定期的に刊行している「医薬品・医療機器等安全性情報」へ掲載した記事の一覧を示しております。

 9ページを御覧ください。こちらには、PMDAのウェブサイトに公開している過去5年間の副作用報告の公表数をまとめております。11ページには、PMDAのウェブサイトに公表した副作用報告のうち、因果関係が否定できない死亡例のラインリストを示しております。なお、因果関係不明なものも含め、公表した全ての死亡例のラインリストは、19ページ以降に示しております。資料1-1については以上です。

 続いて、資料1-2、「医薬品等の使用上の注意の改訂」について説明いたします。平成29年3月に開催しました平成28年度第3回医薬品等安全対策部会で、平成29年2月までの改訂の指示を御報告しておりますので、今回は3月から7月までの改訂の通知を発出したものの一覧を御報告いたします。3月に3件、4月に3件、5月に4件、6月は0件、7月に6件の改訂を行いました。これらの「使用上の注意」の改訂については、本部会の先生方に事前にメール等で御確認を頂いているもので、また改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、PMDAのホームページと当課が発行する「医薬品・医療機器等安全性情報」にも掲載しております。資料1-2については以上です。

○事務局 続いて、資料1-3、ワクチンの安全性に関する評価について説明いたします。ワクチンの安全性については、本安全対策部会の下に設置されている安全対策調査会と、厚生科学審議会ワクチン分科会の下に設置されている副反応検討部会の合同会議で、定期的に審議を行っております。なお合同での開催となっているのは、ワクチンは医薬品医療機器等法と予防接種法の両方が適用され、関係する会議体が2つあるためです。資料1-3では、前回の部会から今回の部会までに、合同会議において副反応が疑われる症例の報告状況等について評価を頂きましたので、その結果を御報告いたします。

 初めに、1ページの1、HPVワクチンの報告状況です。昨年9月から11月までの報告状況について集計した結果が、表1のとおりです。安全性への懸念となる症例集積は認められませんでした。()全国疫学調査については、厚労科研の研究班より、追加分析の結果が報告されましたが、平成281226日の合同会議で報告された、「HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の『多様な症状』を有する者が一定数存在した」との結論に変更はありませんでした。

 続いて、百日せき、ジフテリア等の各ワクチンの報告状況について説明いたします。昨年11月から本年2月までの報告状況について集計した結果が、表2のとおりです。これまでと比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を取る必要はないとの評価を頂いております。3ページを御覧ください。死亡症例の評価についてです。今回の評価対象期間中に、同時接種症例で3例の死亡症例が報告されましたが、専門家による評価の結果、いずれの症例もワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められないと評価を頂いております。資料1-3については以上です。

○事務局 続いて、資料1-4、「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。最初に3ページ、スイッチOTC薬等のリスク評価についてを御覧ください。要指導医薬品の一般用医薬品への移行については、平成2512月に開催された医薬品等安全対策部会において決定されました御覧の手続に則り、行うこととしております。要指導医薬品のうち、スイッチOTC薬、ダイレクトOTC薬については、一定期間経過後、一般用医薬品に移行することとなりますが、移行する際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。このリスク評価については、2.にありますとおり、製造販売後調査及び副作用報告に基づいて、重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認するものですが、3.にありますとおり、この手続は安全対策調査会で行い、その結果を本安全対策部会に御報告することとなっております。本日は、この手続に則り、本年6月22日の安全対策調査会における確認結果を、本部会に御報告するものです。

 1ページにお戻りください。成分名はアルミノプロフェン、販売名はルミフェンです。効能・効果は資料にお示しのとおり、関節痛等の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱となっております。用法・用量は、成人(15才以上)で1回1錠、1日2回まで。ただし、再度症状が現れた場合は3回目が服用できるとなっております。

 2ページを御覧ください。製造後販売後調査の概要です。個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配布し、アンケートによる調査が実施されております特別調査では、調査症例数3,001例あり、副作用が3652件、発現率は1.2%となっており、内訳は傾眠が12件、腹部不快感が9件、口渇5件等で、重篤と判断された症例はありませんでした。使用者又は薬剤師からの自発報告という形での一般調査では、報告された副作用は1例1件、発疹でした。こちらも、重篤と判断された症例ではありませんでした。また、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、報告書のデータロック後に、重篤な副作用報告はありませんでした。

 以上の内容について、参考人として、部会委員でもあります村島先生の参加の下、調査会にて審議を行い、特段の懸念事項もないことから要指導医薬品から一般用医薬品に移行することは問題ないと評価され、7月8日付けで第一類医薬品に移行しております。なお本件については、要指導・一般用医薬品部会の委員にも確認済みであることを併せて御報告いたします。資料1-4については以上です。

○事務局 続いて、資料1-5、「バレニクリン酒石酸塩の「使用上の注意」の改訂について」を御覧ください。本剤は「ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助」を効能又は効果とする医薬品で、承認時より「重要な基本的注意」の項に抑うつ気分、激越、行動の変化、自殺念慮及び自殺が報告されている旨を注意喚起していましたが、2009年7月、米国FDAが添付文書に「Boxed Warning」を設定し、本剤服用中の抑うつ、自殺念慮や自殺企図等の重篤な精神神経系事象のリスクについて注意喚起するよう指示したことを踏まえ、2009年8月、厚生労働省は「警告」の項を新設し、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動又は思考の変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺が報告されている旨を追記するよう指示いたしました。

 今般、米国ファイザー社が製造販売後臨床試験を実施し、精神疾患既往を有する喫煙者及び既往のない喫煙者のいずれにおいても、プラセボ群と比較して本剤群で精神神経系有害事象の発現率に有意な上昇は認められなかったことから、添付文書の「警告」の項において、精神神経系有害事象を注意喚起する必要はなく、「警告」の削除が適当と判断いたしました。

 次のページに、添付文書の新旧対照表をお示ししております。これまで「警告」の項で精神神経系有害事象を注意喚起しておりましたが、これを削除することといたしました。ただし、海外製造販売後臨床試験では、症状が安定していない精神疾患患者を除外しており、これらの患者における本剤の精神神経系リスクは不明であること、国内において精神神経系関連事象の副作用が依然として報告されており、本剤の投与中止後にもこれらの症状があらわれていることから、「慎重投与」及び「重要な基本的注意」の項において、本剤により基礎疾患として有する精神疾患を悪化させることがある旨、及び本剤との因果関係は明らかではないが、精神神経系事象の報告がある旨を引き続き注意喚起することといたしました。今回の改訂については、6月22日の安全対策調査会において御審議いただき、本部会の先生方にも御確認いただいた後、製造販売業者に添付文書を改訂して差し支えない旨を連絡いたしました。次のページに、改訂された添付文書をお示ししております。資料1-5についての説明は以上です。

○事務局 続きまして、資料1-6について御説明します。こちらは平成29年度医薬品等安全対策部会安全対策調査会でのコデインリン酸塩等の小児等への使用制限に係る検討結果について御報告するものです。

 まず、本件の経緯を御説明します。4月20日に米国FDAは、小児における呼吸抑制等の重篤な副作用症例が報告されていることなどから、鎮痛・鎮咳薬として使用されるコデインリン酸塩又はジヒドロコデインリン酸塩を含有する医薬品(以下「コデイン類含有医薬品」と呼ぶ)及びトラマドール塩酸塩を含む医療用医薬品(以下「トラマドール含有製剤」と呼ぶ)について、12歳未満の小児等への使用を禁忌等とすることを発表しました。その際FDAは、1969年から2015年の間に世界で64例の18歳未満の患者での呼吸抑制等のモルヒネ等中毒関連症例がFDAに報告され、うち24例が死亡例であると発表しています。また、米国のほか、コデイン類含有医薬品の12歳未満の小児等への使用制限については、欧州等でも行われています。

 一方、国内でのコデイン類含有医薬品の副作用集積状況についてですが、18歳以下の患者での呼吸抑制等のモルヒネ等中毒関連症例に係る重篤な副作用報告は、これまで4例であり、死亡例の報告はありませんでした。また、国内でのトラマドール含有製剤の同様な副作用報告はありませんでした。国内では、コデイン類含有医薬品は、OTCは約600品目、うち小児専用製剤は約100品目、医療用医薬品では65品目が販売されています。トラマドール含有製剤は、医療用医薬品が4品目あります。また、15ページの別添2を御覧ください。国内のコデイン類の使用の現状について、医療情報データベース(MID-NET)の試行的利活用を用いて調査いたしました。MID-NETは、全国10拠点23病院の拠点病院のレセプトデータ等を用いた医療情報データベースです。平成30年度の本格運用を予定しており、現在試行的利活用等で確認しているところです。16ページです。試行的利活用の一環として、2009年から2015年のレセプトデータで使用可能だった約100万人分のデータベースを用いて、コデイン類を処方された患者を調べたところ、がんの診断をもつ患者を除く方は約7,000人おりまして、うち12歳未満の患者は約200人、1218歳の患者は約200人、残りの19歳以上の患者は約7,000人いました。17ページです。こちらのうち、呼吸抑制等の発生が疑われるケースを調べたところ、レセプトデータですので、表中の※1にあるような呼吸抑制に対する治療薬の処方がある患者、若しくは呼吸抑制に関する診断があり、かつ、酸素吸入の実施がある患者について、呼吸抑制の発生が疑われる患者として定義付け、そのような患者の数を調べたところ、全体で24名いることがわかり、発生頻度は0.3%でした。うち12歳未満及び1218歳及び19歳以上で同様の疑われるケースの患者数を調べたところ、12歳未満及び19歳以上のグループで見られました。ただし、データベースの取扱い上のルールとして、10人未満の患者数の場合は、個人情報保護の観点からマスキングをすることとなっており、具体的な数は示しておりませんが、代わりに、95%信頼区間を示しております。このような情報から、コデイン類の国内の使用については限定的である、かつ、一定数の頻度で呼吸抑制の発生が疑われる患者がいることを確認したことを補足させていただきます。

 次に、調査会での検討結果を御説明します。調査会ではコデイン類含有医薬品の安全性について、国内における使用は限定的であり、死亡例も報告されていないこと。国内における小児の呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定されることなどから、国内で直ちに使用を制限する必要性は考えにくいと評価されました。一方、規制の国際的な整合性や、コデイン類含有医薬品による小児の呼吸抑制発生リスクを可能な限り低減する観点から、OTC・医療用医薬品ともに予防的な措置として、1ページの()から()までの注意喚起等を行うことが決定されました。これらを図式化したものが18ページの別添3にありますので御覧ください。

 平成30年末までに製造販売業者は、製品の切換申請を行います。12歳未満の小児用量を有さない製品、若しくはコデイン類の代替成分への切換えを行った製品へ切換えが完了する平成31年中にコデイン類を含有する全ての製品に対して、12歳未満の小児への使用を禁忌とします。それまでの間は禁忌ではない形で、12歳未満の小児に使用しないよう注意喚起します。

 資料の2ページにお戻りください。次にトラマドール含有製剤の調査会での検討結果について御説明します。トラマドール含有製剤は小児用量がなく、国内での18歳以下の患者での呼吸抑制等の重篤な副作用報告はないものの、コデイン類含有医薬品と同様に、呼吸抑制のリスクがあると考えられることなどから、コデイン類含有医薬品と同様の措置を実施することが妥当とされました。具体的には、速やかに添付文書を改訂し、12歳未満の小児に使用しないよう注意喚起し、一定期間後、12歳未満の小児への使用を禁忌とします。

 このような背景及び調査会での検討結果を受けて、その後実施した措置を御説明します。7月4日付けでコデイン類含有医薬品及びトラマドール含有製剤について別添4の「使用上の注意」の改訂指示通知を発出しました。また、コデイン類含有医薬品について、別添5の適正使用をお願いする通知及び、別添6の12歳未満の小児用量を削除した製品等への切換えを求める通知を発出しました。なお、12歳未満の小児への使用を禁忌とする通知については、平成31年に発出する予定です。事務局からの説明は以上です。

○五十嵐部会長 資料1-1~6の御説明を頂きました。全体を通して、この6つの資料に関して何か御質問、御意見はありますか。よろしいですか。議題1の報告は以上ということで終了いたします。

 続いて、議題2の医薬品等の副作用等報告の状況について御説明をお願いいたします。

○事務局 資料2、医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について御説明します。資料2-1を御覧ください。

 まず、今回の報告期間についてですが、平成2812月1日から平成29年3月31日までであり、前回の報告期間は平成28年8月1日から平成281130日までです。

 1.製造販売業者からの報告について御報告します。()には国内症例の副作用等報告について、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、化粧品における報告件数を示しており、その内訳は資料2-2に示しております。なお、医薬品たるコンビネーション製品とは、インスリンペン注射等、機械器具等と一体的に販売するものとして承認を受けた医薬品を言い、平成261124日以前に承認を受けたものについての不具合報告が平成281125日から義務化されています。

()には、外国からの副作用等報告について、医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品における報告件数を示しております。()には、外国での新たな措置の報告件数を示しており、その内容は資料2-3に示しております。()には、研究報告の報告件数を示しており、報告された文献等のリストは資料2-4に示しております。

 裏面です。2.医薬関係者からの報告について御報告します。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告とワクチン類の副反応報告とに分けて示しており、これらのうちの重篤症例については、企業若しくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が詳細調査を行うこととしておりますので、重篤なものの件数及び、そのうちPMDAが詳細調査を行った報告の件数についても示しております。なお、PMDAが詳細調査を行った報告の内訳については資料2-5にまとめて示しております。

 最後に3.副作用救済給付又は感染症救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告について御報告します。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたもののうち、安全対策に活用されたものの件数を、副作用救済給付、感染症救済給付について示しております。なお、その内訳は資料2-6にまとめて示しております。資料2についての報告は以上です。

○五十嵐部会長 何か御質問等はありますか。よろしいですか。では、議題2もこれで終了いたします。

 続いて、議題3の医薬品の感染症定期報告の状況について事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料3-1、3-2を御覧ください。感染症定期報告についてです。まず、資料に入る前に、本感染症定期報告の制度について概要を御説明します。医薬品医療機器法に基づく副作用等の報告においては、製造販売業者はその製造販売する医薬品等によるものと疑われる感染症を報告することが義務付けられています。他方で、血液製剤やワクチン等の生物由来製品については、厳格な承認審査を経て承認を受け、適正な製造管理及び品質管理の下で製造はされていますが、人その他の生物に由来するものが原料となっており、細菌、ウイルス等が含まれている可能性が完全には否定できません。また、感染症については、化学的合成された医薬品による副作用とは異なり、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に症状が進行する可能性があり、また、感染した後は時間の経過に伴い軽減することなく、一定期間後に顕在化する可能性もあります。こういった性質、状況を踏まえて、生物由来製品等については、「製品への直接的な影響が不明であるもの」も含めて、「定期的に」原料動物等の感染症に関する報告を行うことが義務付けられています。なお、寄せられた報告については、厚生労働省の本医薬品等安全対策部会、また、血液事業部会運営委員会において報告をしており、対応の要否が検討されているところです。以上が感染症定期報告の概要です。

 続いて、今回の報告状況について御説明します。資料3-1、3-2です。今回の報告は、昨年12月1日から本年3月31日までに報告された結果をまとめております。資料は2つありますが、資料3-2は全体のもので、これまでに報告済みのものも含まれています。重複等を除き感染症ごとにまとめたものが資料3-1です。資料3-1を御覧ください。

 資料3-1のとおり、今回新たに報告された文献は全体として57件でした。このうち、比較的報告が多かったものについては、インフルエンザ関係が12件、ジカウイルス関係が、WHOの定期的な報告も含めますが15件ありました。これらの報告については、これまでと同様、国立感染症研究所の倉根委員、石井委員、また、国立医薬品食品衛生研究所の石井委員に事前に御確認を頂き、御意見、コメントを事前に頂戴しているところです。今回については3名の委員から特段コメントは頂いていない状況です。議題3については以上です。

○五十嵐部会長 資料3-1、2について何か御質問、御意見はありますか。よろしいですか。では、議題3の報告は以上で終了いたします。

 続いて、議題4の医薬品等の回収報告の状況について御説明をお願いいたします。

○事務局 医薬品・医療機器等の回収報告の状況について、資料4-1及び4-2に基づいて御説明します。医薬品医療機器法第68条の11に基づき、医薬品等の製造販売業者等は、その製造販売をして承認を受けた医薬品等を回収するときは、回収に着手した旨及びその回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされています。また、製造販売業者等からの回収の着手報告がなされた場合については、全ての事例をインターネット等で公開しているところです。本件については、医薬品医療機器法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会への報告を行うものとなっています。

 資料4-1の1ページの1.が回収件数年次推移です。平成28年度に関しては、表の上から医薬品が126件、医薬部外品が14件、化粧品が87件、医療機器、再生医療等製品とずっとありまして、全体で633件となっています。平成27年及び過去の件数と比較して、報告数に大きな変動はないと考えられます。

 資料4-1の裏面を御覧ください。平成28年度の医薬品等の回収件数及びクラス分類です。医薬品についてですが、クラスIの回収が28件、クラスIIの回収が92件、クラスIIIが6件の計126件、医薬部外品に関しては、クラスIは0件、クラスII12件、クラスIIIが2件の計14件、化粧品に関しては、クラスIが0件、クラスII68件、クラスIII19件の計87件となっています。医薬品のクラスI回収28件の内訳についてですが、うち27件がロットを構成しない医薬品であって、同種他製品に影響が及ばず、かつ、当該医薬品が他者に使用されないことが確実なものでした。具体的には血液製剤について献血いただいた後に、様々な情報に基づき、当該献血を原料に作られた製剤について、投与前に事前に回収されたものです。

 クラスIの残りの1件についてですが、資料4-2の3ページを御覧ください。ファイザー株式会社のエピペン注射液0.3mgです。本件については、国内流通品と同一のロットに関し、海外報告として2件、正常に投与できなかった事象というものが発生し、医薬品注入器部分の部品の不具合が原因であることが明らかになったため、同一事象が起き得るロットを回収したものです。また、表中にホームページ掲載日3月13日となっていますが、その後の継続的調査により、最大限安全に配慮するためとして、4月3日より回収範囲を拡大し、回収を実施しています。同製品については、アナフィラキシーショック時の緊急時に使用する製剤であって、必要時に適切な使用ができないということが重篤な健康被害をもたらす可能性があることから、クラスIとしての回収を実施しています。

 その他、クラスII及びクラスIIIの回収については、クラスIIが4~31ページ、クラスIIIについては32及び33ページに、それぞれの製品名及び回収理由が記載されています。以上です。

○五十嵐部会長 資料4-1、2の回収報告ですが、何か御質問、御意見はありますか。

○乾委員 ちょっと知らないので教えていただきたいのですが、この回収報告の結果というのは、どれぐらいの期間で結局何本回収されたとか、使用されたとか、そういうところまでは報告されるのでしょうか。

○事務局 こちらの回収の終了の報告というのも厚生労働大臣のほうに報告ということで、実際には都道府県のほうに報告はされておりまして、その報告書の中に、実際どの程度の数量が回収されたということは必ず記載することとなっています。

○乾委員 例えばエピペンの場合などでしたら、そういうものは今後出てくるということですか。

○事務局 今回の場合、回収の範囲について、迅速に対応できるものについては実施したものの、やはり製品の性質上、一部のものについては既に使用していたり、あるいは廃棄していたりというものもあり、それらについては回収が実態上できないものもあります。回収の実例上、すべてのケースにおいて回収率が100%になるわけではありません。

 他方、実際にどの段階で回収対応を終了するかについては、どのような考え方をするかについても個別に検討した上で、終了を判断するということとなっています。今回の回収については、対象ロットの使用期限が切れた段階で実質的な終了となるかと思います。

○乾委員 分かりました。非常に、ほとんど使われていないという、緊急の場合に使うものですので、その辺りは十分徹底してやっていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは資料4-1、2はこれで終了いたします。

 続いて、議題5のその他です。資料の説明をお願いいたします。

○事務局 資料5-1について御報告申し上げます。医療用医薬品の添付文書等の記載要領の改定についてです。本年3月に開催しました平成28年度第3回医薬品等安全対策部会において、検討中の添付文書記載要領の概要について御説明したところです。その後の検討、関係者との調整を経まして、昨月、6月8日付けでこちらの改正の「医療用医薬品の添付文書等の記載要領について」を発出いたしましたので御報告いたします。通知としては2本立てとなっており、冒頭にある薬生発0608第1号と、16ページからの薬生安発0608第1号として発出しております。

3月の部会に概要を御報告したところからの概要の変更点としては、記載要領中の新しい項目である「特定の患者集団への投与」、「特定の患者集団への投与」の下のサブ項目である「生殖可能な男女」との名称について見直しを行い、「特定の背景を有する患者に関する注意」という項目名と「生殖能を有する者」という項目名に改めております。また、「特定の背景を有する患者に関する注意」の中のサブ項目の順番について、御意見を踏まえて見直しを行っております。なお、各項目に通し番号を付けることに関して、記載する内容のない項目については欠番とすることにしております。

 新記載要領の施行については2ページの3に記載がありますが、平成31年4月1日からの適用を予定しております。なお、平成36年3月末までの経過措置期間を設けております。今後、新記載要領への円滑な移行を促すため、Q&Aの作成などを行っていく予定としております。医療用医薬品の添付文書等の記載要領に関する御報告は以上です。

○五十嵐部会長 それでは、この記載要領通知について、何か御質問、御意見はありますか。よろしいですか。では、資料5についても、これで終了いたします。

 本日予定しておりました議題は以上で終了となります。事務局から何かありますか。

○事務局 次回の部会の開催日程は、1117()、夜遅い時間で恐縮ですが、18時から20時を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。

○五十嵐部会長 それでは、今日の部会はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

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