ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(再生医療等評価部会)> 第20回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録(2017年7月5日)




2017年7月5日 第20回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録

医政局 研究開発振興課

○日時

平成29年7月5日(水)14:00~16:00


○場所

三田共用会議所 第4特別会議室(4階)


○出席者

【委員】

福井部会長 今村委員 岡野委員 掛江委員 高橋委員
田島委員 手良向委員 中村委員 花井委員 前川委員
松山委員 南委員 山口委員 山中委員 矢守委員

【事務局】

医政局研究開発振興課 森光課長
大臣官房厚生科学課 下川研究企画官

○議題

1 遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの申請等について
2 厚生労働特別研究事業「ゲノム編集技術を取り入れた遺伝子治療等臨床研究における品質、安全性確保等に関する研究」の実施について
3 臨床研究法について
4 その他

○議事

○森光課長 

傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たりましては、既にお配りしている注意事項をお守りくださるようにお願いします。

 それでは定刻になりましたので、ただいまから第20回厚生科学審議会再生医療等評価部会を開催します。本日は部会の定数25名に対して、現時点で13名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められている定足数に達していることを御報告します。

 それでは、本日の会議資料の確認をお願いします。本日の会議資料は紐でとめていますが、議事次第の束の中に、座席表、委員名簿、それから資料1として、遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの申請等についてです。資料2が、厚生科学特別研究事業「ゲノム編集技術を取り入れた遺伝子治療等臨床研究における品質、安全性確保等に関する研究」の実施について()、資料3が、臨床研究法の概要、資料4-1が、プレスリリース、資料4-2が、参照条文、資料4-3が、事務連絡となっています。

 過不足等がありましたらお知らせください。よろしいでしょうか。それでは委員の先生方にお願いですが、御発言の際はお手元の卓上マイクのスイッチをオンにして御発言いただき、また、終わりましたらオフにしていただくようお願いします。以後の進行については、福井部会長にお願いします。よろしくお願いします。

○福井部会長

 本日は議題が4つ準備されています。最初に議題1「遺伝子治療等臨床研究に関する実施施設からの申請等について」、事務局より説明をお願いします。

○下川研究企画官

 資料1を御覧ください。大阪大学医学部附属病院ほか5機関より臨床研究計画変更報告書の提出がありましたので、御報告します。資料11ページを御覧ください。大阪大学ほか5機関で、多施設共同研究として慢性動脈閉塞症を対象としたAMG0001の筋肉内投与による遺伝子治療を行っています。

9ページの横表を御覧ください。内容としては、大阪大学の臨床研究分担医師の削除、それから臨床研究協力者の削除及び所属の変更がありました。次の10ページを御覧ください。製剤の安定試験の結果から、製造日より7年後までの安定性が確認されたことから、使用期限を6年から7年に変更するというものです。また、これに伴いまして、参考文献として、製剤の安定性データに関する文献の記載を追加しています。

 これは大阪大学医学部附属病院よりの報告ですが、他の5機関については11ページ以降に記載があります。大阪大学との共通事項として、同様に製剤の安定性に関する記載の変更をしています。また、このほか機関によっては、人事異動に伴う研究分担医師の変更や研究協力者の追加が報告されています。

 次に56ページを御覧ください。千葉大学医学部附属病院からの重大事態等報告についてです。有害事象名は原疾患である悪性胸膜中皮腫の増悪と考えられる被験者の死亡です。59ページの「研究の目的及び意義」の上から8行目辺りを御覧ください。この研究は切除不能悪性胸膜中皮腫を対象としてNK4遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを胸腔内に投与し、安全性及び抗腫瘍効果を検討することを目標として行っている研究です。次の60ページに「重大事態等の内容及びその原因」の欄がありますが、その欄の一番下から61ページにかけて御覧ください。平成282月に上皮型悪性胸膜中皮腫と診断され、化学療法を経た後に、平成2810月に千葉大附属病院でウイルスベクターを投与されています。血液毒性、非血液毒性、肝機能障害、間質性肺炎、心電図異常、いずれもなく、アデノウイルスベクター排泄が陰性であることを複数回確認し、投与1週間後に退院されています。投与28日のCTPDの判断。その後、化学療法を行いましたが、病勢が進行し、緩和医療へ移行し、平成294月に亡くなられています。

 重大事態と本臨床研究との関連性について、千葉大としては、「アデノウイルス投与による有害事象はいずれも軽微で短時間に回復しており、その後も遺伝子治療に起因する所見はなく、ウイルス投与後6か月後に亡くなられており、病状も悪性中皮腫の自然経過から矛盾はないと思われ、当該被験者の死亡と本臨床研究との因果関係は関連性なしと判断される」としています。

 次に62ページを御覧ください。岡山大学附属病院からの重大事態等報告について御説明します。研究の名称は、「頭頚部・胸部悪性腫瘍に対する腫瘍選択的融解ウイルスTelomelysinを用いた放射線併用ウイルス療法の臨床研究」です。66ページの「研究の目的及び意義」の所を御覧ください。Telomelysinは、がん細胞で正常細胞よりテロメラーゼ活性が高いことを利用し、腫瘍内で増殖して細胞死を誘導する腫瘍選択的融解ウイルスで、本研究では頭頚部・胸部悪性腫瘍を対象に、腫瘍内に局所投与し、同時に局所放射線治療を行った場合の安全性の検討と、治療効果の観察を行うことを目的としています。一番下の欄の「重大事態等の内容及びその原因」を御覧ください。74歳の男性で、胸部食道扁平上皮がんのために、平成28年の8月から9月まで、計3回のTelomelysinの腫瘍内投与を行いまして、併せて10月までの間、放射線治療を行っています。

 次に67ページを御覧ください。3回目の投与翌日に、誤嚥性肺炎による発熱がありましたが、その後軽快し、治療1か月後の1114日に、腫瘍は内視鏡と生検で完全寛解と判断されています。その2か月後、治療終了からですと3か月後の平成29113日の内視鏡検査で、ウイルス投与していない部位に扁平上皮がんが確認されています。原発巣の部位は生検でも悪性所見が見られず、新病変は食道内転移病変と推測されましたが、もともとあった線状体黒質変性症によるパーキンソン病による悪化によって積極的な治療を行うのが困難な状況であったことから経過観察となっています。その後、自宅で、時々無呼吸やチェーンストークス呼吸を認めていましたが、睡眠中に呼吸停止されて、平成29315日に亡くなられています。

 次に65ページに戻ります。倫理審査委員会におきましては、Telomelysinとの直接的な因果関係は考えにくく、食事摂取に介助が必要な程度のパーキンソン病があったので、パーキンソン病の悪化による呼吸停止の可能性が高く、ウイルス治療によらない死亡と判断されています。

 この岡山大学の報告と、千葉大学からの報告に関して、本部会に御報告する前に、遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会の委員の先生方に御確認いただいておりまして、報告書の見解について御意見はありませんでした。

 最後に68ページを御覧ください。岡山大学から、御報告したTelomelysinの臨床研究について、臨床計画変更申請書の提出がありました。82ページの研究計画書の新旧対照表を御覧ください。横表になっているものです。まず欄の一番上ですが、研究者が承認によって、助教から准教授に変更になっています。欄の2番目は後ほど御説明しますが、先に欄の3番目の遺伝子導入方法、丸3被験者の管理という部分を御覧ください。研究計画変更前の欄を御覧ください。この臨床研究は、投与量がレベル1233種類ありますが、レベル1から3になるにしたがって、投与量が多くなっています。被験者の管理方法として、現在は、レベル12では投与後48時間まで、レベル3では投与後喀痰中のウイルスDNAの陰性が確認されるまで個室に管理されて厳重に観察される。レベル3での喀痰検査は投与後1日目に行い、ウイルスDNAが検出された場合は、更に48時間おきに再検査を行い、陰性を確認するとなっています。研究計画変更後は、レベル12だけではなくて、レベル3も含めて48時間まで個室に管理するというように変更するものです。通常であれば、この変更はカルタヘナ法に基づいて、第一種使用規程承認申請が必要となりますが、本研究と同じプロトコールでオンコリスバイオファーマ社()から治験を行うに当たって別途、第一種使用規程の申請が出されておりまして、平成2966日付で大臣承認が得られています。この被験者の管理方法の変更は、既に承認が得られた第一種使用規程に合わせて変更されるものです。

 次に、このページの2番目の「対象群及び治療群の設定」の欄を御覧ください。変更後ですが、投与量は「13レベルを以下に示すごとく設定する」という部分は変更はないのですが、「ただし、レベル3については食道癌症例に対象を限定する」と追加しています。もともと、この臨床研究は頭頚部・胸部悪性腫瘍に対するもので、食道癌以外も対象に含まれていますが、治験申請は食道癌を対象としてカルテヘナ法の承認を得ていますので、第一種使用規程を利用して、被験者の管理方法を変更するために、「レベル3においては食道癌症例に対象を限定する」という変更になっています。

 次に83ページを御覧ください。欄の一番上は、前のページからの項目の続きですので、欄の2番目と3番目について御説明させていただきます。治療開始前評価、治療中の評価として、唾液等の検体を採取して、Telomelysinの定量的PCRを行うこととなっていますが、検体として糞便の採取が新たに追加されています。これはTelomelysinの第一種使用規程が承認されるに当たりまして、PMDAからの指示によって糞便の採取が新たに追加されたために変更しています。

 この岡山大学からの変更申請に関して、本部会で御報告する前に、遺伝子治療臨床研究に関する審査委員会の先生方に御確認いただいておりまして、変更を認めて差し支えない旨の御回答を頂いております。説明は以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。何種類も説明されましたので、よろしければ、1つずつやっていきたいと思います。

 最初に大阪大学から出てまいりました、研究者の変更などに関する点についてはよろしいでしょうか。これは、お認めしてよろしいですか。

 それでは、そのようにさせていただきます。

 次に患者さんが死亡されたケースについてです。最初が大阪大学でしたか。

○下川研究企画官

 最初が千葉大学のNK4で、悪性中皮腫の増悪によってお亡くなりになられたという報告です。

○福井部会長

 このケースについても問題ないということで、お認めさせていただきます。

 その次が、岡山大学の頭頚部・胸部悪性腫瘍に対するケースです。このケースについてもよろしいでしょうか。

 それでは、最後のケースになります。

○下川研究企画官

 最後は、Telomelysinの研究計画変更申請書です。

○福井部会長

 第一種使用規程に関わることで、リーズナブルな変更のようにも思われますが、これについてはいかがでしょうか。よろしいですか。山口先生、何かありますか。

○山口委員

 一応、我々としては妥当だろうと思っています。治験で申請された第1種使用が既に大臣承認を得られていますので、その範囲の中で実施されている部分においては、大臣の承認を得たものを、ここから更に審議をする必要はないだろうと我々は考えています。

○福井部会長

 これを読んでいて疑問に思ったことですが、今後、食道癌症例に、対象を限定することについて、これまでエントリーした患者さんの中には、食道癌以外の方はいなかったわけですね。

○山口委員

 初めは患者のエントリーがそれほど進まないだろうということで、対象疾患をかなり広く取ったのですが、実際は食道癌の患者さんだけでエントリーが進んでおりまして、それだけに限定することで十分な患者数が確保できることから、そうなったと聞いています。

○福井部会長

 もし食道癌以外の病気の患者さんがエントリーされていたら、全体として整合性が取れなくなるのではないかと思ったものですから。

○山口委員

 そうですね。もし低用量のところだったら、もともと隔離そのものを少し緩くしておりますので、そこの部分はいいのですが、高容量の場合には、それが少し引っ掛かってくるようになったと思います。

○福井部会長

 ほかには何かありませんか。それでは、ただいま説明していただいた件については、全て本部会として了承するということでよろしいでしょうか。

 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。

 それでは議題2、「ゲノム編集技術を取り入れた遺伝子治療等臨床研究における品質、安全性確保等に関する研究」の実施について、事務局より説明をお願いします。

○下川研究企画官

 資料2を御覧ください。平成2921日に開催された再生医療等評価部会におきまして、遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会の設置について御了解いただきました。それを受けまして、4月に、専門委員会においてゲノム編集技術に対応するために遺伝子治療等臨床研究に関する指針の見直しの検討を開始しています。委員の名簿は次のページのとおりです。

 本日の部会で、報告事項と御了解を頂きたい事項があります。まず1点目の報告事項ですが、専門委員会において検討する事項のうち、品質や安全性等についての研究計画書の記載事項や内容、それから、どのような添付資料を付けるかという技術的かつ細目的な内容については、検討の効率化の観点から、山口委員長の下に平成29年度中に別途研究班を組織して、その研究結果を踏まえて、専門委員会で検討することとなりましたので御報告します。

 次に、2点目は御了解を頂きたい事項です。研究計画の策定等の規定については、遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与する遺伝子治療等臨床研究、つまりex vivo遺伝子治療等臨床研究においては指針が適応されず、再生医療等安全確保法の対象となっています。

 この研究班は、指針の見直しのための専門委員会での検討の下に設置されたものではありますが、指針の対象となるin vivo遺伝子治療等臨床研究だけではなくて、ex vivo遺伝子治療等臨床研究における品質や安全性等についての研究計画書の記載事項等についても本研究班において研究を行いたいと考えています。そして、その結果が出た後に再生医療等評価部会において検討することとしたいと考えています。

 研究期間は、今月初旬から平成30331日までで、今年度中になっています。研究班の構成及び研究内容については、別添2の横書きの資料になります。この研究班の研究代表者は、本部会の山口委員になっていますので、山口委員から別添2について御説明をお願いできますか。

○山口委員

 よろしくお願いします。資料2の別添2を御覧ください。今、事務局より御説明いただいた資料です。一番上のカラムには、これまで見直し委員会で議論してきた内容を記載しています。ゲノム編集というのは御存じのようにin vivoのみならず、むしろex vivoで使われることが非常に多いだろうと想定されること。もう1つは、多用なゲノム編集技術のうちに、もう既に、例えばメッセンジャーRNAやタンパクだけを使い、あとはガイドRNAだけを使ってゲノム編集が行われています。この場合には、従来の定義では遺伝子治療に当てはまりません。今までは遺伝子を導入するという定義をしていましたので、そういう定義に当てはまらないケースが出てくるだろうと。その一方で、その場合に、Off-target効果や、様々な挿入変異が起きる可能性としては残っている。したがって、こういうゲノム編集の中で、従来の遺伝子治療に当てはまらないような技術を、きちんと規定するような形にすべきではないかというのが、この委員会の中での議論でした。

 その上で先ほど事務局から説明がありましたように、研究計画とか、詳細な特性解析についての記載とか、規格とか、そういうところについては、前回の遺伝子治療に関する指針の見直し委員会でもワーキンググループを作って、そこで検討させていただきました。それで、この研究班の中で、その部分については検討させていただければと思います。

 あと、先ほど事務局からありましたように、ex vivoについては本来、遺伝子治療の適応外なのですが、遺伝子治療の指針の中に、適応外であるけれども指針をできるだけ参考にした審査を行ってほしいという旨があります。そういう意味からも、このようなゲノム編集を取り込んだex vivoについても、その研究班の中で検討させていただければと思っています。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまのお2人からの説明について、御意見、御質問等がありましたらお願いします。岡野委員、どうぞ。

○岡野委員

 御存知のとおり、CRISPR/Cas9技術が非常に進化していまして、例えば遺伝子配列を変えなくても、ある特定の遺伝子の発現をオンにするような、CjCas9BP64とかが、かなり出てきまして、日本学術会議での議論は、こういうのはゲノム編集に入れて考えるべきかどうかと、かなり議論しましたが、もちろんそういう技術の中で治療に使えるものは当然あろうかと思いますが、それも今回は対象にされているということでしょうか。

○山口委員

 その辺のところは、まず上の委員会のほうで、ゲノム編集の中の、例えばエピジェニックな効果を目的とするようなものを遺伝子治療に入れるべきかどうかなどの議論は、むしろ上の委員会でやらせていただきたいと思っています。

 すなわち定義の問題、どこまでを遺伝子治療とするかという定議の問題になります。このワーキンググループでやるのは、もしそれを遺伝子治療と定義した場合には、今度はどのように記載として書くべきかなど、そういうことをワーキンググループで議論させていただきたいと思っています。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。それでは、この研究班につきましては、本部会として了解するということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは山口先生、御検討をお願いします。短期間で報告書を提出していただきますので、大変でしょうけれど、よろしくお願いします。それでは議題3、臨床研究法について、事務局より説明をお願いします。

○森光課長

 資料3に基づいて、説明をさせていただきます。これは臨床研究法が今年の4月に通りまして、それを受けて、再生医療等安全性確保法でどのようにそれを受け止めていくのかということで、今回お諮りする内容になります。

 臨床研究法の概要ということで資料がありますが、まず成り立ちのところからですので、資料33ページ、不適正事案から簡単に説明させていただきます。これはそもそも臨床研究に関して、平成25年から平成26年にかけて続けざまにディオバン事件をはじめとした不適切な事案が生じました。特に4ページ目に付いていますが、製薬企業から、いわゆるノバルティス社から不透明な寄附金ということで、10億円ほどの提供があり、それを受けた研究者が、ノバルティス社のディオバンの臨床研究を行ったということです。その際に、ノバルティス社の社員が、いわゆるデータ改ざんに関わったということで、また臨床研究の審査を行った臨時審査委員会も歯止めにならなかったということで、論文が掲載され、ディオバンは他の降圧剤より脳卒中が起きにくいという最終報告になり、医療現場の医師等に非常に大きな影響を与えたということで、臨床研究に対しての国内外の信頼が非常に低下してしまったという事件を受けて作られた法律になります。

5ページ目を見ていただきますと、この際、1つは倫理指針、いわゆる告示でありました倫理指針の内容をしっかり変えていこうということと、併せて臨床研究に関して法制度が必要ではないかということを受けた検討会が開催されました。そこにありますように、法規制の必要性ということで、やはり不適正事案が判明した場合の調査、再発防止策の策定、関係者の処分等の迅速な対応については、法律がない状況では限界があるということ、及び倫理指針の遵守だけでは十分でないということと、併せて過度な規制導入は研究の萎縮をもたらすということでバランスが重要です。その上で、一定の範囲の臨床研究に法規制が必要だろうという方向性が示されました。

 この際、法規制の範囲としては、未承認又は適応外の医薬品・医療機器等を用いた臨床研究と、医薬品・医療機器等の広告に用いられることが想定される臨床研究、この2つを範囲としてはどうかということが出されています。

 また、この際には行政による研究計画の事前審査を受けることを更に求めることについては、慎重であるべきという報告書が出まして、それに基づいて法律が作られたということです。

 最初の1ページ目に戻っていただきますと、そこに「法案の概要」が出ています。この臨床研究法は内容を見ていただきますと、大きく2つに分けています。まず臨床研究の実施に関する手続を定めたものと、2番目に、製薬企業が講ずべき措置として定めたものと、この大きく2つの内容を含んでいます。

1つは手続に関することですが、これは特定臨床研究という枠を決めまして、ここに当てはまるものに関しては、モニタリング・監査の実施、利益相反の管理等の実施基準の遵守及びインフォームド・コンセントの取得、個人情報の保護、記録の保存等を義務付けるというものです。

 この「特定臨床研究とは」という所で※が書いてありますが、先ほどの「法規制の対象となるのは」と書かれたものを受けて、薬機法における未承認・適応外の医薬品等の臨床研究と、製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品等の臨床研究。この2つのグループについては、これを義務付けるということです。その特定臨床研究を実施する者に対して、実施計画による実施の適否等について、厚生労働大臣が認定した認定臨床研究審査委員会の意見を聞いた上で、厚生労働大臣に提出することを義務付けるという内容になっています。また、それ以外の臨床研究に関しては、実施基準等の遵守や認定臨床研究審査委員会への意見聴取に努めることを努力義務ということにしています。また、重篤な疾病が発生した場合の報告ですとか、実施基準違反に関する指導・監督という規定を盛り込んでいます。

2番目に、製薬企業等の講ずべき処置です。1つは、企業が企業自体の持つ医薬品等の臨床研究に対して資金を提供する場合については、契約を締結して資金を提供してくださいということ。もう1つは、その資金提供に関する情報を公表してくださいということ。この2つを義務付けている法律です。

 臨床研究については、実は少し国会等でも御指摘がありましたが、臨床研究自体は非常に多くの意味を含んでいます。この法律においては、臨床研究とは、全体としては医薬品を人に対して用いることにより当該医薬品等の有効性・安全性を明らかにする研究を臨床研究という形で定義して法律を作っておりますので、この場合、体外診断薬等の研究については、そもそも法律の対象にはなっていません。

6ページの図を見ていただきますと、医薬品等の臨床研究は、これが対象となりますが、治験等で、医薬品医療機器法でGCPTNを遵守しなければならないとされているところについては、この臨床研究法はかかりません。先ほど言いましたように、特定臨床研究と言われる2つのグループの分類のものについては、義務付けられるということです。それ以外のものに関しては、努力義務というものを求める。ただ、横に書いてありますように、手術や手技の臨床研究については、今後検討していくということで考えています。これは、やはり手術・手技については広く流通するというものではなくて、どちらかというと個別の状況を大きく反映するということもありますので、今回については新しく何もないところに法律を作るということですので、まず一番問題が起きたところに関して法律をかけ、その様子を見た上で今後広げることを検討するということで考えています。

 再生医療との関係について、少し説明させていただきます。7ページを見てください。先ほど臨床研究法については、大きく2つのパーツに分かれるというお話をさせていただきましたが、臨床研究の実施については、7ページの一番上に書いてありますように、再生医療等の安全性の確保等に関する法律の対象になっている研究については、第2章の「臨床研究の実施」の部分、いわゆる実施基準ですとか、インフォームド・コンセントを取らなければいけないとか、そういうことに関しては、そもそも再生医療法で定めておりますので除外規定ということで規定されていません。ただ、第4章の「臨床研究に関する資金等の提供」に関しては、臨床研究法が同じように、再生医療等の研究に関してもかかるというものになっています。

 そうした場合に、今回お話をさせていただくのは、再生医療法で定めている第2章の臨床研究の実施の手順、いわゆる実施基準ですとか、どういうことを守りなさいと言っているものに関して、現在、内容としては少し齟齬があるということです。齟齬といいますか、再生医療法には入っていない規定があります。そこについて、臨床研究法が成立しましたので、並びを見ると、少し足す必要があるのではないかということのお話です。

 そこにありますように第2章「臨床研究の実施」ということで、これは法律に書いてあるのを挙げていますが、臨床研究法と再生医療法を見比べていただきますと、実施基準の中のモニタリング、それから製薬企業等の関与と書いてありますが、これは製薬企業から資金を得て実施する研究について、どのような関与がなされているのか、いわゆる資金の提供だけなのか、例えば薬の提供を受けているとか、そういうことを実施計画書の中に書きなさいというものですが、そこについて再生医療法では抜けているということがあります。

 今後の臨床研究法については10ページを見ていただきますと、臨床研究法は今、法律が出来たところですが、今後、施行が1年後になります。1年後の施行に向けて、政省令の検討を始めるという状況になっていまして、スケジュールの所を見ていただきますと本年6月、少し遅れていますが、6月中旬から7月を目途に、厚生科学審議会に臨床研究部会を設置して、秋頃までに臨床研究実施基準について審議をし、本年12月頃にはパブリックコメント、来年1月から2月には省令を公布するという予定です。

 この臨床研究法の省令事項を検討する中で、再生医療の安全性確保についても、必要な部分について、また再生医療の独自の理由があって、これは同じような基準を遵守することが難しいというのであれば、そういう理由を検討した上で、再生医療についても一部を臨床研究のほうに並べた形で検討した上で再生医療等安全性確保法の省令事項を検討する必要があるということで、本日、説明をさせていただいたものです。

 具体的には臨床研究部会を立ち上げまして、そちらで検討させていただきます。その途中で、一定の案が出たところで、その中のどの部分を再生医療安全性確保法に盛り込むべきなのか、若しくは必要ないのかということに関して、この部会で御検討いただきたいと思っております。現在は、そういう流れで検討を進めているということを、御紹介と御説明をさせていただいたということです。以上です。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いします。

○山中委員

 御説明ありがとうございました。よく分かりました。ちょっとお聞きしたいのです。臨床研究法は、御説明がありましたように、認定臨床研究審査委員会を指定して、そこで審査をさせますね。それで、再生医療のほうは、特定認定が従来からあるところで、それはしばらく、その2つ。これは再生医療等なので別カテゴリーなのですが、それはそれで2つ同時に残して、将来的には何か統合とかは考えているのですか。

○森光課長

 委員会のほうですね。

○山中委員

 委員会のほうです。

○森光課長

 委員会のほうは、それぞれにかけることで考えております。一緒にすることは、将来的に一緒にすることは、今は考えておりません。

○山中委員

 分かりました。

○花井委員

 臨床研究法では臨床研究を縛っているのですが、再生医療等法は診療行為そのものをやっていて、つまり、上ぶれさせてそこへダブルにかけると、こちら側の診療と研究で、今度はクライテリアが分かれてしまうという齟齬が生じると思うのですが、そこはテクニカル上、どのように構成されていますか。

○森光課長

 そこはこれから検討することになっていますが、特に、おっしゃるとおり、再生医療安全性確保法は診療行為のほうも縛っています。臨床研究法は研究だけということです。そこは、再生医療安全性確保法の研究の部分との整合性を、まず基本的には取らなければいけないと思っております。診療については、検討した上で、そこまでは診療のほうに求めるのはちょっとどうなのかということがあれば、それは外すことになるかと思います。

○福井部会長

 ほかにはいかがですか。

○岡野委員

 これは、我々現役ですので準備もありまして、まず大学の特定認定再生医療委員会に準備をさせるとかいろいろありますが、施行になるということは、施行になってからの委員会の審査の方法に従うべきということですか。それとも、その施行になる前に、承認される前に申請しますね。例えば来年の10月から、これが施行になりますとします。7月ぐらいに上がってきたものの審査は、古いルールに従うのか新しいルールに従うのか、いつぐらいから切り替えなければいけないかとか、それから、今日の御議論は、例えば再生医療学会等々で皆様にお伝えしていいものなのかと、その点についてお知らせいただければと思います。

○森光課長

 まず、施行後にスタートする臨床研究について、再生医療はちょっと置いておいてください。まず施行後にスタートする臨床研究については、認定の臨床研究審査委員会にかけた上で、届出を出してからスタートしてくださいということになります。では、その前に始まっている臨床研究についてはどうなるのかと言いますと、それは1年間の経過措置がありますので、その1年間の間で認定の臨床研究審査委員会にかけ直してくださいということになります。再生医療のほうはどうするかということですが、再生医療については、それこそ同じような形で経過措置を取るのかというところは、今後、臨床研究法にのっとった形で、ここの委員会で、再生医療については検討していただければと思います。あと、再生医療学会のほうにお話をしていただいて結構です。

○岡野委員

 分かりました。大学もよろしいですね。

○森光課長

 もちろん。

○岡野委員

 分かりました。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○山口委員

 今の岡野先生の質問されていたことを確認させてください。今、すでに実施しているものが、もし新しい制度ができたことによって、その施行されたものに合致しているかどうかを、もう一度再確認するという行為が必要になるということでよろしいですか。

○岡野委員

 そうです。

○森光課長

 はい、そういうことです。

○福井部会長

 その数は膨大な数になりませんか。

○岡野委員

 なる。

○福井部会長

 大丈夫ですか。

○岡野委員

 大丈夫。

○森光課長

 もちろん、その分の経過措置をどのように取っていくことに関わってくると思います。あと、実は、努力義務のほうはちょっと置いておいて、特定臨床研究の話でいくのであれば、特定臨床研究に関しては、全体として、日本全国で抜き取りというか、一時的な調査をしますと、大体年間3,000の臨床研究が登録されます、スタートするという意味です。そのうち800ぐらいが特定臨床研究ということです。ですので、それを考えると、各認定の臨床研究申請が50ぐらいという話をしていますが、月に1つずつぐらい新しく申請をしていただければとなります。ただ、前のものを、もう1回審査することに関しては、非常に審査委員会がビジーになるというのがありますので、そこについての配慮は少し考えなければいけないだろうと思っております。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○今村委員

 罰則規定ですが、行政処分のことが書いてありますが、刑事罰等も課するようなことになるのでしょうか。

○森光課長

 これは、再生医療安全確保法とほぼ同じ形を取っておりまして、いわゆる、改善命令、それから停止命令をした上で、それもうまくしないという、改善命令をした上でそれに従わないといった場合については、停止命令のほかに、刑事告発というところも一部入っております。

○花井委員

 先ほどの認定委員会のキャパの話なのですが、一般の臨床研究も努力義務で書いていますね。

○森光課長

 はい。

○花井委員

 そうすると、大体こういうのが努力義務で入ると、末端のところはそこに持って行こうとなって、結構。先ほどの数字は特定の数を読んでいるのですが、かなりの数になってきて、認定委員会が足りなくなったりしないのですか。

○森光課長

 そういうことに関しては、我々もちょっと心配をしておりますので、そこをどうするのかというのは、施行に当たって少し工夫なりを考えていきたいと思っています。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。それでは今後、臨床研究法の実施基準についての審議が進む中で、この部会と関係するところについては、また議題として挙がることがあるということでよろしいでしょうか。

 それでは、臨床研究法につきまして、本部会として了解するということで進めたいと思います。それでは「その他」です。事務局から説明をお願いします。

○森光課長

 資料4-1から御説明いたします。これについては、新聞等でも少し、先々週、先週と報道されましたが、5月の初めに、最初は愛媛県の大手町クリニックという所で臍帯血を用いた再生医療を行っているということで、それについては警察からの情報を得た形で捜査が入った上で、私どもも立入りをして事実を確認し、緊急停止命令をかけました。その後、同じ関連で警察のほうで捜査をされている情報を頂きまして、そこにありますが、11の医療機関(クリニック等)について立入りを行ったところ、いわゆる無届けで臍帯血を用いた再生医療が実施されていたということです。そこに「一時停止命令日」と書いてありますが、5月から6月にかけて一時停止命令をかけたということです。これについて、行われていた内容の詳細については、いろいろながん治療であったり、アンチエージングであったりという目的で投与をされていたという状況です。それで、まず、これまでに停止命令と同時に報告命令をかけまして、どのくらいの数の患者さんに提供されていたのかということで、その医療機関からの提出を求めておりました。一応、今のところ、総数で69名の方に、最初の大手町クリニックも合わせて、12ですね、トータルで69名の患者さんに臍帯血を用いた再生医療が行われていたことを確認しております。今現在、それぞれの医療機関に対して健康被害がなかったかどうかということで、患者さんの状況を確認していただいております。現在のところ、この再生医療が原因ということで被害が出ているということでの報告は上がってきていない状況にあります。

 これについては、やはり私どもも、臍帯血を用いた再生医療については、この手続をきちんとした上で、安全性、それから有効性をきちんと委員会で見ていただいた上で行っていただきたいと考えておりまして、それについても広く周知していきたいと思っております。一応、状況について御報告をいたします。

○福井部会長

 ありがとうございます。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問等ありましたらお願いします。  

○山口委員

 新聞報道でも、安全性のことは割とよくいろいろ議論をされているのは読んでいるのですが、1つ抜けているようなところがあると思うのです。本来、これはプライベート臍帯血の保存業者が破産してそうなったのですが、そこへ預託された人々は、それを将来自分のためにと思って別に預託しているわけです。それを、破産したからといって、言わば売買されているような形で流通してしまっていること自体の違法性というのは、何かこれはあるのではないかと。もちろん、無償の提供という、もともとの再生医療のそういうところから、もちろん逸脱しているのですが、その辺のところは全然議論されていなように思うのです。厚労省としてはどう考えるのかというところ。

○森光課長

 その点については、実は省内でも、厚労省としてどう捉えるのかということで検討されております。特に、私ども再生医療のほうは、いわゆるそれぞれの医療機関の、本当に患者さんを前にしたときの診療というところを規制しておりますが、その手前の臍帯血の供給というところ、若しくは保管から供給のところに関しては、実は法的なバンクを規定する造血幹細胞移植推進法はありますが、いわゆるプライベートバンクに関しては法律がないということです。自分の子供、お子さんの将来のために、そこに保管しておくということで、いわゆる契約という形で保管をお願いしていたということです。それが、先生がおっしゃるとおり、破綻して流出したということに関して、それは何か法律で手当する必要はないのかという御質問がきております。もちろん、中でも、その法律、いわゆる今の法的バンクを規制するものを広げるべきなのか、若しくは、薬事法という形でしっかり押さえるべきなのかといったところも含めて、省内でも今、検討をしているところです。

○山口委員

 流通しているというのは、多分、債権者が持って行ってしまったと、そういうところだと思うのです。本来、プライベートバンクのものではなくて預託されているのですから、本来は、所有権は預託された方にあるべきものではないかという気がするのです。ですから、その辺も含めて議論していただけると有り難いと思います。

○福井部会長

 臍帯血を提供した方からの訴えはないのでしょうか。

○本間専門官

 ないですね。

○森光課長

 今のところ、私どもには届いていないです。

○福井部会長

 そのようなものなのでしょうか。

○高橋委員

 私も新聞からの情報ですが、ほかのバンクに委託されますかというのは聞いて、委託すると言った人は委託していて、放棄するといった人の分が流通しているというふうに。

○福井部会長

 そうですか。ほかにはいかがでしょうか。前回は警察が関わっているかもしれないということで、課長はちょっと奥歯に物が挟まった言い方をされていたのですが、本日の説明で納得いきましたでしょうか。よろしいですか。

○今村委員

 この、いわゆるプライベートバンクというのは、どの程度、どこにあるかというのは把握できているのですか。

○森光課長

 それで、健康局で、産婦人科の先生方に御協力を頂いて、今、調査をしてまとめていると伺っております。ということで、今年は、今、調査中ということで伺っております。

○今村委員

 現段階では、手上げをすれば大丈夫で、やれるということになっているのですか。

○森光課長

 そうです。いわゆる、その方、要するに御本人や生まれた赤ちゃんのため、若しくは親族のために使うために保管することに関しては何の規制もないです。ただ、公的バンクのように、集めて、そういう造血幹細胞移植のように広く提供することに関しては法律があります。ただ、御本人のために、いわゆる臍帯血を保管しておきましょうという部分については法律がない。

○今村委員

 で、調査中ということなのですね。

○森光課長

 そういうことです、はい。

○今村委員

 いつ頃分かるのですか。

○森光課長

 夏中には、集計をして詳細なものを集めたいというように聞いております。

○今村委員

 ありがとうございました。

○松山委員

1つ質問なのです。安全性確保法では、確かに投与する患者さんと認定を規制する部分というのが重視されているのですが、そもそも、自己に投与することを目的として預かっているものの場合、その部分は安全性確保法はかからないということですか、そこからかかるのでしょうか。ちょっと頭の体操をさせていただければ。預かっているバンクの部分を、安全性確保法でガッツリ押さえることができないのだろうかというのが私の問題意識です。

○森光課長

 それ、保管だけでしたらかかるのです。預かって保管するだけでしたら、それは、いわゆる再生も、うちの私どもの法律もかかるのです。加工するときには、当然加工ということで入ってきますが。

○松山委員

 ただ実際、臍帯を切ったときにウォッシングとかはするので、ミニマム・マルプレーションにはなると思うのですが、そこは今回、安全性確保法ではないからという切り分けなのですか。

○森光課長

 そうです。

○前川委員

 このプライベート臍帯血バンクに関して、新聞報道では京都と福岡のバンクであるということのようです。一体どこのバンクなのだろうと思って聞いたのですが、具体的なバンク名に関しては、今、調査中ということでお答えできていないということのようです。今、高橋委員から、その臍帯血バンクに保管を委託されている方に連絡があって、廃棄、すなわち保管の権利を放棄するという、そういう臍帯血を売買されたということなのですか。

○森光課長

 ちょっとそこは、私どもは情報は得ていません。

○前川委員

 分からない。

○森光課長

 はい。

○前川委員

 分かりました。

○高橋委員

 新聞からの情報ですが、破綻したときに、それが起こったのではないかなと思います。

○前川委員

 経営破綻したバンクなのですね。

○高橋委員

 はい、今回ではなくてですね。再委託するのにもかなりお金が掛かるので、それを選ばない人もたくさんおられたのかというふうに思います。

○前川委員

 そういうことですね。

○今村委員

 規制の在り方と言いますか、目下それを省内で検討中ということですが、省内で検討して、その後、どういうスケジュールでどうなるのでしょうか。

○森光課長

 正直、スケジュール的には少し分かりませんが、基本的には、全く、要するにそこは法律がかかっていないということになりますので、何らか、いわゆる臍帯血の保管という意味で、公的なバンクを規制している法律を広げるという形にして法律を改正するのか、若しくは、プラス一部薬事法の、要するに、臍帯血の一部そういう公的なバンクのものは薬事法から抜いておりますので、薬事法を広げる形で対応していくのかということだろうと思いますが、ちょっとそこは、どれが一番いいのかということで検討したい。いずれにしても、一部の法改正なりが必要になってくる部分がありますので、そうすると少し、申し訳ないですが、そこは時間は掛かる可能性はあると思います。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○前川委員

 今の点なのですが、わが国で採血業務を行うことが認められているのは日本赤十字社しかないということになっているのですが、例えば、将来的に、臍帯血バンクは公的に認定された施設でないとできないということにされる予定なのでしょうか。

○森光課長

 すみません、そこはまだまだ。

○前川委員

 分からない。

○森光課長

 分からないです。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。

○花井委員

 事実確認なのですが。今回、このクリニックで移植を受けた患者さんに使われた臍帯血は、どのような検査がされ、どのような基準で採血されたかが全く分からないままのものが使われたという理解なのですか。それとも、ある程度、流出したものとは言え、プライベートバンクにおいては、それなりの検査とか、まあまあ全うな検査がされているものなのでしょうか。私は昔の売血を思い出したものですから。

○森光課長

 それはちょっと若干、クリニックによって幅はありますが、その点について少し話を伺っていますと、一応、御本人とのHLA検査をして確認を取った上で解凍したものを点滴で行ったとか、そういうことで聞いております。ただそのもの自体は、大体は凍結した状態で流通しているということで、恐らく破綻したバンクの所では、そもそも最初はきちんとした形で採取されていて、その後で患者さんに投与するに当たっては、患者さんとのマッチングをやった上で投与されているというのが大体の医療機関だと聞いております。

○福井部会長

 ほかには。

○松山委員

 もう1つよろしいでしょうか。今回は臍帯血だけの問題になっていますが、実は、私は脂肪組織の幹細胞を使った再生医療をしています。自分の脂肪組織を吸引して、それをストックして将来の治療に役立てるという、脂肪ステムセルのバンク、自己バンクというのも、実はビジネスとして動いているのです。そういうものに関して、臍帯以外のものも同じようにバンクラプトして使われるというリスクがあると思うので、臍帯血だけではない、その他に関しても多分、頭の体操をしておく必要性があるだろうと思います。

○福井部会長

 ほかに何かありますか。

○高橋委員

 今ので、臍帯血もそうですが、将来再生医療に使うためにとうたっているにもかかわらず、多分、保存方法とかがまちまちで、実際には使いようもないようなバンクもいっぱいあるのではないかと想像できるので、そうなると、安全確保法にかかってくるわけで、詐欺罪というかですね、何かそういう保管の一定の基準が絶対要るような気がしています。

○福井部会長

 ほかにいかがでしょうか。

○前川委員

 高橋先生にお聞きしたいのですが、例えば、角膜のバンクに民間のものはないのですよね。

○高橋委員

 日本ではないです。あれは、それと保存は、冷凍保存はないのです。

○前川委員

 分かりました。

○福井部会長

 ほかにはいかがでしょうか。専門の先生方に伺いたいのですが、臍帯血を投与してどういう合併症が起こったのか、今まで、世界中での報告はあるのでしょうか。例えば、死亡したとか、これこれの合併症が起こったというような報告はあるのでしょうか。

○前川委員

 それは例えば、造血幹細胞移植以外の。

○福井部会長

 はい。今、ここで話し合われているような。

○前川委員

 アンチエイジングの目的のものとか。

○福井部会長

 アンチエージングなどの目的で投与されて、もう……。

○前川委員

1番気になるのは、全身に投与された場合などで、いわゆる輸血後GVHDが生じる可能性はあるだろうということです。

○前川委員

 ただ、健康なというか、正常な免疫力がある人で、前処置もなく投与された臍帯血はリジェクトされてしまうと思います。先に申しました、輸血後GVHDというものは、多分表には出てきていない可能性もあるのではないかと思います。そういう意味では、今回このようなので、調査をして、今のところ69例で健康被害はないということなので、それはそのまま信じる以外には仕方がないということですね。

○山口委員

 これもちょっと考えていただきたいと思っているのは、韓国では有償で臍帯血を集めているというか、カンパニーとしてやっているところが多くあります。それが国内に流れ込んでくる可能性もあるかという気がします。ですから、そういう流通という、国を超えた流通も、少し考えて、規制をどう考えるかということもやっていただければと思います。

○松山委員

 リスク上は、恐らく、むしろ感染症の伝播のほうがリスクがあると思っています。というのは、個人、個人で感染があるのかないのかで検査されていたとしても、恐らく、今回バンクラプトした筑波のバンクに関しては、2008年とか2009年とかの段階ですから、チェンジオーバーとかいう概念がなくて、前の患者さんのサンプルを扱った、もしかしたら安キャビの中で同じように扱われているかもしれなくて、重点的に調べるところは感染症なのだろうと思います。以上です。

○前川委員

 韓国は、かなりプライベート臍帯血バンクが多くて、それで、私のところへ韓国から勉強をしに来た先生などは、韓国へ戻って公的なバンク・システム、 ALL CORD というらしいですが、立ち上げているという状況です。ですので、韓国ではプライベート臍帯血バンクがかなり多いので、韓国から日本に持って来る可能性はあるだろうと思います。

○福井部会長

 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。大変、関心の高いテーマだと思いますので、是非、進捗に合わせて、また報告なり、御意見を伺うことにしていただければと思います。

○森光課長

 はい、させていただきます。

○福井部会長

 それでは、この「再生医療等安全性確保法法案に基づく緊急命令等に関して」については、本部会として報告を賜ったということで進めたいと思います。本日は、以上で、予定されていた議事が終了となります。何か事務局から報告がありますでしょうか。

○森光課長

 次回の開催については、改めて調整の上、委員の皆様方に日程場所等について御連絡をさせていただきます。今のところ、候補日は82日の水曜日となっております。事務局からは以上です。

○福井部会長

 それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(再生医療等評価部会)> 第20回厚生科学審議会 再生医療等評価部会 議事録(2017年7月5日)

ページの先頭へ戻る