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2017年7月31日 第1回労働政策審議会労働政策基本部会 議事録

政策統括官付労働政策担当参事官室

○日時

平成29年7月31日(月)13:00~14:30


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○出席者

(委員)

石山氏、岩村氏、大竹氏、佐々木氏、武田氏、御手洗氏、守島部会長、山川氏

(事務局)

塩崎厚生労働大臣、宮野厚生労働審議官、藤澤政策統括官(総合政策担当)、
本多総合政策・政策評価審議官、奈尾労働政策担当参事官、佐藤企画官

○議題

(1)部会の運営について
(2)現状の労働政策について
(3)部会の今後の進め方について
(4)その他

○議事

 

○奈尾労働政策担当参事官 定刻となりましたので、ただいまから第1回「労働政策審議会労働政策基本部会」を開催いたします。

 私は、当分科会の事務局を担当しております、労働政策担当参事官の奈尾と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席賜りましてまことにありがとうございます。

 部会の開会に際しまして、塩崎厚生労働大臣より御挨拶を申し上げます。

○塩崎厚生労働大臣 皆さん、こんにちは。

 「労働政策審議会」に「労働政策基本部会」という新しい部会をつくらせていただきまして、その第1回目の会合ということで、急な御案内でございましたので必ずしも全員がおそろいというわけではございませんが、こうしてお忙しいところ、また御遠方からもおいでをいただきまして、まことにありがとうございます。

 第1回の会合でございますので、少し長くなるかもわかりませんが、思いを込めて御挨拶を申し上げたいと思います。

 我が国は言うまでもなく、少子高齢化、そしてまたITIoTAIが最近は常套句になっておりますけれども、技術革新がかなりのペースで進んでいるということで、それがまたいろいろな生活に至るまでの変化をもたらしているということがございまして、特に産業構造あるいは就業構造、そして企業経営に、あるいは働き方に大きな影響を与えているわけでございます。

 また、これまでの労働法制において定義をされてきた、いわゆる労働者というジャンルに入らない働き方をしている方も増えてきているわけでありまして、まさに働く人、働き方の多様化が今後、ますます進んでいくだろうと思われます。旧来の労使という枠組みでは、全ての働く方々と企業などの意見をカバーすることもなかなか難しいのではないかと思いますし、そういう傾向も強くなってくるのではないかと思われます。安倍内閣は、2013年の本格的なスタート以降、成長戦略、そして昨年の「ニッポン一億総活躍プラン」、さらには今年の3月に働き方改革の実行計画をまとめさせていただいておりまして、国民の一人一人が能力を十分にそれぞれ発揮して、1億人が1億通りの、言ってみれば働き方、暮らし方を実現することを通じて、生産性も向上させ、そしてまた経済再生を実現しようということでいろいろやってきたところでございます。まさに一人一人の多様なニーズ、意見を政策に反映しなければ、こういった1億通りの働き方をする人たちのために政策がちゃんと対応できていることには相ならないということになるわけでございます。

 他方、平成27年6月に閣議決定をいたしました、規制改革実施計画の中で「多様な働き方のニーズに応えていくため、従来の主要関係者のみならず、様々な立場の声を吸収を し、それらを政策に反映させていくための検討を行う」ことが規制改革実施計画に織り込まれました。

 さらに、平成28年2月に、自民党のほうから「多様な働き方を支援する勉強会」というものがありますが、その皆さん方から、この労働政策審議会に関しても委員の構成であったり、あるいは運営の仕方であったり、いろいろ提案をいただきました。

 さらに、昨年の8月に厚生労働省において、報告書を取りまとめました、20年先を見据えた「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会のメンバーでいていただいた方々もおられますが、この議論におきまして、科学技術の進歩というものが時間的、空間的な制約をなくして、多様な働き方を可能にしていく。そして、個々人の選択肢が広がっていく。このために働き方に関する政策自体も一層多様化していかないといけない。その決定のプロセスも見直すべきということを提案としていただきました。

 こうした状況を踏まえて、多様な働き方のニーズに対応した政策決定プロセスのあり方を検討すべきということで、去年の7月に「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」というものを立ち上げまして、昨年の12月に報告をまとめていただきました。この報告書の中では、このように書いてございまして「働き方やそれに伴う課題が多様化する中、旧来の労使の枠組に当てはまらないような課題や就業構造に関する課題などの基本的課題については、必ずしも公労使同数の三者構成にとらわれない体制で議論を行った方がよい」と書いてございまして、そういった問題意識を持って、この公労使同数の三者構成ではない、さまざまな分野や立場の有識者にお集まりをいただいた労働政策基本部会を、いわゆる労働政策審議会そのもののもとに設置をして、時代の変化を先取りしつつ、機動的な政策決定が行える体制をつくる。こういう新機軸を打ち出していただいたところでございます。

 したがいまして、皆様方の基本部会は、旧来型の労働政策決定プロセスの改革の一環として設置をされたわけであります。したがって、時代対応あるいは先を見据えた働き方の課題や、旧来の「労働者」とかあるいは「労使」という定義で定義づけられたものの枠組みを超えた課題などの、働き方を取り巻くさまざまな新たな課題について、委員の皆様方お一人お一人が、団体代表ではなくて個人の識見に基づいて自由闊達に御議論いただく、そういう場として、ぜひ皆様方に御活躍いただきたいと思っております。

 先に御紹介いたしました、厚生労働省の労働政策ビジョンでもある「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」という懇談会ですが、この報告書は極めて新しい発想に富んだ、時代を先取りした柔軟な考え方によって、新しい働き方の政策を提示しておりますので、ぜひ御一読をいただければと思います。

 また、政府のほうはこの3月に「働き方改革実行計画」というものをまとめました。さまざまな新たな働き方が示されていますが、中でも「同一労働同一賃金の実現」に関しては、今後、正規・非正規などの就業形態を問わず、「職務やそれに必要な能力の明確化」、そして「公正な評価の実現」、さらには「それに基づく公正な報酬の決定」を目指すことを基本として、また、こうした考え方は女性、高齢者、外国人など、あらゆる有為な人材の積極登用や、働く人の納得につながる考え方などのカギになるものだと思っております。このような働き方に関して、さまざまな議論がなされてまいりました。こういうことをぜひお踏まえいただいた上で、「今後の技術革新の動向と働き方の変化」、さらには、「生産性向上に向けた円滑な労働移動や能力開発のあり方」、そして、「時間、空間、企業に縛られない働き方」など、皆様方からも課題の提案をむしろいただきながら、既成概念にとらわれないで、自由な御議論をいただければと思います。

 さらに、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」報告書では、基本部会の設置にあわせて、「データやエビデンスに基づく議論」の提案をいただいておりまして、厚生労働省としても、私どものほうからデータあるいはエビデンスをしっかり提供していきたいと考えておりますが、皆様方のほうからもぜひさまざまな提起を積極的にいただければありがたいと思っております。

 皆様方にぜひ、この技術革新、そして時代の変化を先取りをした労働政策などの従来にない視点も含めて、精力的にかつ自由闊達に御議論いただいて、来年の夏ごろの取りまとめを目指して御検討を進めていただければ幸いだと思っております。当然のことながら、他の労働政策審議会の分科会や部会と同様に、この基本部会ではさまざまな議論をしていただいた上で、新しい労働政策を立案することが可能となります。したがって、法改正、制度改正を含めて、御提言の実現を可能な限り図ってまいりたいと思っておりますので、どうぞ具体的な政策の提言をお願い申し上げたいと思います。

 少し長くなって恐縮でございましたが、初めてつくった、いわゆる政労使、公労使同数の三者構成をやめて、自由な議論ができる場としての基本部会でございますので、ぜひ、今、申し上げたことを念頭に入れていただきながら、自由闊達な御議論をお願い申し上げて、私からの御挨拶にさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○奈尾労働政策担当参事官 塩崎厚生労働大臣は、所用のためここで退席いたします。ありがとうございました。

○塩崎厚生労働大臣 どうぞよろしくお願いいたします。

(塩崎厚生労働大臣退室)

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○奈尾労働政策担当参事官 本日は当部会の第1回の会合でございますので、委員名簿の御紹介から始めたいと思います。お手元の議事次第をごらんいただきますと、配付資料といたしまして、資料が1~7、参考が1~4となってございます。もし不足等ございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。そのうち、資料3に委員名簿をつけてございます。

 資料1が1枚ありまして、資料2が10ページほどにわたっておりますけれども、その後に資料3ということで1枚つけてございます。

 お時間の関係上、名簿配布をもって各委員の御紹介とさせていただきます。なお、入山委員、大橋委員、古賀委員、冨山委員は、本日は所用のため御欠席でございます。

 それから、資料3の一番下に書いてございますけれども、委員名簿に記載しております方々のほかに、あと3名の方が委員就任の検討中という状況でございますので、一旦は12名で発足させていただきます。

 続きまして、部会長の選出について御報告させていただきます。

 部会長の選出につきましては、労働政策審議会令という、これは政令でございますけれども、そちらのほうで決まりがございまして、資料で申しますと参考2でございますが、これはお時間の関係上、詳細の説明は略させていただきますけれども、労働政策審議会令第七条第4項という規定がございまして、部会に属する公益を代表する本審の委員から部会長が選挙されることになってございます。この基本部会におきましては、本審の公益委員は守島委員お一人でございますので、守島委員に部会長をお願いすることを御報告させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、守島部会長には、この後の議事進行をお願いいたします。

○守島部会長 守島でございます。微力ですけれども、皆様方に御協力いただいて進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、部会長代理の指名を行いたいと思います。

 部会長代理は、労働政策審議会令第七条第6項の規定により、部会長に事故等があったときにその職務を代理するとされております。その指名は部会長から指名することとされております。そこで、私のほうから指名をさせていただきたいと思います。大変恐縮ではございますけれども、部会長代理には岩村委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○守島部会長 では、よろしくお願いいたします。

 それでは、議事に入る前に、今回は第1回の部会ですので、各委員から1人、1~2分程度で簡単な自己紹介と今後の労働行政についての御関心事項等を御発言いただければと思います。

 まず、1330分に御退席される御予定の武田委員から御発言いただき、次に石山委員に移りまして、時計回りに御発言をお願いしたいと思います。

 それでは、武田委員、よろしくお願いいたします。

○武田委員 どうもありがとうございます。三菱総合研究所政策・経済研究センターの武田と申します。よろしくお願いいたします。

 本日はもともと所用がございまして、途中退席で大変失礼いたします。申しわけございません。

 今回の「労働政策審議会労働政策基本部会」に当たってですが、基本的には、先ほど問題意識として大臣がおっしゃったとおりかと存じますが、マクロ環境としましては、私は今、2つの異なる方向性が懸念されていると思います。

 1つ目が、労働力人口が減少する。つまり、労働供給の減少が成長の制約になっていくという点でございます。これは従来から心配されていたことですが、実際に、人手不足ということで既に顕現化しているように思います。

 一方で、2つ目でございますが、先ほど、大臣からもございましたけれども、AIIoTなどの新技術が急速に普及する中で、今度は雇用が失われることが懸念されています。つまり、人が足りないという話と新技術が入り雇用が余る、機械に労働が代替されてしまうのではないかという、異なる2つの懸念が同時になされている状況でございます。我々の研究所ではそれらの点を分析はしているのですが、本日は時間も限られますので詳細は後日にしたいと思いますけれども、恐らくこの2つは同時に起きていくと思います。つまり、従来の産業の中で一部の労働は機械に代替されてしまう、一方で、新しい産業を創出していくには、労働力が供給されなければいけないわけです。

新産業の創出を実現するための鍵としては、1つは労働供給の制約を和らげるためには、就業率を上昇させていくことが必要で、その際に多様な働き方は求められると思います。

 2つ目として、日本の場合は今、申し上げたように、供給の制約があるわけですから、新技術を恐れることなく、生産性をしっかり上げていくことが必要と思います。

 3つ目として、二つの異なる事象を最適な形で克服し、持続的な成長に資するためには、円滑な労働移動、その実現のために必要な労働者のスキルの向上が大きなテーマではないかと考えております。

 私からは以上です。ありがとうございます。

○守島部会長 どうもありがとうございました。

 続きまして、石山委員、お願いします。

○石山委員 静岡大学発ベンチャーで人工知能の研究・開発をしております、デジタルセンセーションの取締役をしております石山と申します。よろしくお願いいたします。

 前職はリクルートの人工知能研究所の初代所長を務めておりまして、この2月に退職しまして、デジタルセンセーションに入社しております。多分、委員名簿を見させていただくと、どちらかというとAIの人という感じで呼んでいただいている形だと思いますが、まさにこの働き方の中でAIをどのように利活用していくのかに関しての意見を述べさせていただければと思っております。

 リクルート時代からさまざまな研究をしておりますが、今、人工知能を活用しますと、例えば、企業に入社する前に5年後の給料が80%の確率で予測できるみたいなことですとか、あるいは利活用のほうで申し上げますと、オートメーションの話だけではなくて、エデュケーションにも使えるという話がありまして、例えば、ハイパフォーマーの人の働き方を人工知能が学習して、ローパフォーマーの人に教えていただけるみたいな、コーチング用のツールのようなものも最近はたくさん出てきておりまして、さまざまな人工知能が働き方を改革していくことが可能になると思いますので、ぜひその辺の知見の共有ができればと思います。

 先ほど、武田さんのほうからありました、雇用が失われるほうの観点に関しましては、さまざまなリサーチが出ておりますが、やはり実証的なリサーチが圧倒的に不足している。それはマクロなシミュレーションではなくて、ミクロな世界から積み上げた中で本当に実態として何か起こるのかに関するリサーチが圧倒的に不足しているのです。

 一方で、世の中はビッグデータがたくさん出てきている時代になっておりますので、逆にそういったものを活用しながらミクロなシミュレーションとして実際に何が起こるのかみたいなことを実証していくことが今後の研究で必要だと思います。

 特に、失われている観点としては、ジョブという概念とタスクという概念が混同されているのが非常に問題になっておりまして、私はリクルートでずっとジョブディスクリプションやレジュメを自然に英語解析する研究をずっと続けておりますが、例えば、タイトルが変わっても業務内容は変わらない仕事もたくさんありますし、業務内容はずっと一緒なのですけれども、必要なスキルが全く変わってしまっている仕事もたくさんあるのです。そういったものが1つのキーワードにとらわれずにきちんと解析されていくことが必要だと思っておりまして、例えば、1つのジョブにタスクとしてこなさなければいけないものが10個あると考えたときに、そのうちの8個を人工知能が代替してくれるとしたとき、これが雇用が失われるのか、それとも雇用機会がふえているのか。なぜかというと、その仕事につくために今までは10個のスキルが必要だったものが、2個の仕事だけできればその仕事につけるようになるとも考えられるので、一方で雇用機会がふえているとも言えるわけです。まさに武田さんからもお話があったような、そういった両面の部分がある中で、どのようにポジティブに人工知能を活用していけるのかみたいな部分を、この場でうまく情報共有ができればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○守島部会長 ありがとうございました。

 それでは、岩村委員、お願いいたします。

○岩村委員 ありがとうございます。東京大学大学院法学政治学研究科の岩村でございます。専門は社会保障法、それから、労働法という分野をやらせていただいております。

 私は恐らく、きょういらっしゃるメンバーの中では守島部会長と似ていますけれども、旧来型の労働政策審議会の分科会あるいは部会の委員でございました。特に、労働法、社会保障法をやっている関係で、今後の非常に急速な技術の進展に伴って、労働あるいは雇用の世界がどのように変化していくのか。それに対して、労働法あるいは労働法ではないところになるのかもしれませんけれども、そういう分野の法領域がどのようにして対応していくのかという点を、今後、考えていかなければいけないとは思っております。

 ただ、他方で、とりわけ私のような労働法を扱っている人間からしますと、雇用労働あれ、非雇用的な労働であれ、多様な働き方といったときに、人間が働くということである以上、コアとなる価値がそこにはあるのかなと思っています。それが従来は典型的に労働基準法、その他にあらわれてきたものだとは理解しておりますけれども、そういった部分を今後、どういう形で捉え、理解し、考えていくのかというのは必要なことだろうと思っています。

 また、先ほど武田委員がおっしゃったように、今後、高齢化と技術発展による雇用あるいは労働力全体の動向が非常に大きな課題になるのは確かであります。ただ、他方で、これも皆様が御承知のように、技術発展に伴って、ある分野の雇用が失われて、新しい雇用がつくられるというのは、実は、従来、幾らでも存在した現象であり、これから起こる部分がその意味で新しいものというわけではないと思います。もちろん、これまでの技術革新、その他によって生じた変化というものと、現に起こり、これから起こるであろう技術革新による変化が、どの点が一体違い、どういうところは共通であるといった見きわめが、これからいろいろなことを考えていく上では必要だろうと思っております。そういった点で、今後、この部会でどういう議論ができるか、いろいろ考えさせていただければ、勉強させていただければと思っております。ありがとうございました。

○守島部会長 ありがとうございました。

 では、大竹委員、お願いします。

○大竹委員 私は、大阪大学社会経済研究所に所属しております大竹です。専門は労働経済学ということで、労働経済に関するさまざまな問題について実証研究をしてきました。

 この審議会についてですけれども、冒頭に塩崎大臣のほうから、技術革新や人口減少という環境変化に対応した労働規制の改革が必要なので、それへの提言が欲しいということで、私自身も全く同じ考えを持っております。

 私の役割としては、経済学でこの分野について多くの研究がなされていますから、そういう研究成果をもとに提言に生かしていく。もう一つは、ここでの議論で、まだ研究がなされていないことが大事だということであれば、それをアカデミズムのほうで研究を促進する働きかけをしたいと思っております。

 以上です。

○守島部会長 ありがとうございました。

 続いて、佐々木委員、お願いいたします。

○佐々木委員 イー・ウーマン及びユニカルインターナショナルの代表をしております、佐々木かをりと申します。よろしくお願いいたします。

 私は、ユニカルインターナショナルという、通訳や翻訳の会社をスタートしたのが31年前で、そのときに、企業に働くのではなくて「適時・適材・適所」というキーワードで、いわゆるフリーランスの人たちを集めて起業しました。フリーランスはその当時は大変珍しかったのですけれども、どこにいても自分のスキルを生かす、それも語学、今は70言語を扱っているのですけれども、どの言語と限らず、言葉をただ変換するのではなくて、専門性とかその人の人柄とか、声のタイプとか、さまざまな要素をミックスして、コミュニケーションコンサルティングという立場で最高の通訳・翻訳の仕事をしようなどという概念で会社をつくりました。多分、当時はネットワークという考え方もとても新しかったし、働き方の提案としても新しかったかなと、今、振り返ると思っております。そんなことをしながら、96年には日本で一番最初の女性向けのウエブサイトをつくっておりまして、これもインターネットというものが働き方を変えるのではないか。つまり、発信をするとか情報をもらうだけではなくて、インターネットを使えば、どこに住んでいても、どんな状態でも仕事をし続けられるのではないかと思ったのです。

 私はその途中、94年に1人目の子供を産みましたので、96年の時点では自分自身もインターネットを活用しての実感がありました。ちなみに、さかのぼると、88年から電子メールを使っており、89年から女性のネットワークを立ち上げ、電子会議室を使っていました。ということで、さまざまなITも使いながら、新しい働き方とか、もっと言えば貢献の仕方みたいなものを考えてきました。

2000年にイー・ウーマンという会社をつくって、さらに多くの人がアクセスする時代になった今、インターネットを使ってどのようにプラスの影響をお互いに与えられるかと思って、いろいろな実験をしてきております。

 一方で、働き方ということでは、規制改革会議の委員を昨年まで4年半つとめておりまして、雇用ワーキンググループにおりましたので、雇用について、働き方についてはいろいろ考え、そしていろいろな難しさも少し体験したかなと思っております。

 また、日本で一番大きな規模の、1,000人規模で働く女性、男性が集まる「国際女性ビジネス会議」というものも96年から始め、先週末に22回目を1,000人集まって終えました。ここでも高校生から7080代まで男女が来るわけですが、働き方やダイバーシティーについて考えることを20年以上してきております。

 今回は、先ほどの大臣の冒頭の御挨拶で、大変心強く思いました。旧来の労働者という枠から離れていいということ。それから、時代を先取りした、そして政策に具体的に結びつくことを提案していいよと言っていただいたことが、大変すばらしいと思っています。生意気な言い方ですけれども、この労働問題とか雇用問題は余りにも幅が広く、どうしても議論していくと、多くの困っている人や問題のある人の解決策にばかり力が行ってしまう傾向があったと思うのですけれども、今、日本の労働者側の様子を見ていると、すごくトップの人は法律に関係なくどんどん自分でやっていく。たくさん働いてもちゃんともうけることができる。とても困っている人は、今の過労死を防ぐというところから始まって、さまざまな手当をしなければいけない。でも、今、私は抜けていて一番大きな問題ではないかと思っているのは、いわゆる一般の働く人で、その一般の働く人が逆にさまざまな規制や古い形の労働基準法をはじめとして、古いルールによって働きにくくなっていて、伸び代がとめられてしまっている気がしています。これが日本の力を弱めてしまっているのではないかという懸念がありまして、そのあたりをしっかりと考えながら政策づくり、議論ができていったらいいなと思っております。

 以上です。

○守島部会長 ありがとうございます。

 続いて、御手洗委員、お願いします。

○御手洗委員 気仙沼ニッティングの御手洗と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 私は、東日本大震災後に被災した地域において、一時的な支援だけでなく、その地域の人たちが再び自ら仕事をし、暮らしを成り立たせていかれるよう、地域に根づいて続いていく会社をつくって人が誇りをもてる仕事を生もうと、気仙沼に編み物の会社を立ち上げて、経営してきました。今は編み手さんが60人ぐらいの小さな会社です。

 私は「 働き方の未来2035」のメンバーでもあったのですけれども、その会議のときに、編み手さんの働き方を紹介したのです。気仙沼ニッティングを始めるとき、地域の人に話しを聞いてまわったのですが、家族に介護が必要な人がいるか日中は外に出られないとか、家事をやりながらなので自分のペースで働きたいという人がとても多いことを知りました。そこで、編み手の仕事は自宅で自分のペースでできるようにしました。週に1回無償で編み物のトレーニングを受け、基本的に家で作業します。編み上げた商品を弊社が買い取りし、出来高制でお支払をします。納期もなく、好きなときに編みたいだけ編める。たくさん編んでもいいし、あまり編まなくてもいい。もちろん、ほかの仕事と掛け持ちしても大丈夫です。そうすることによって、いろいろな人が参加できるようにしています。その話を「働き方の未来2035」でお話ししたら、とある労働法の先生に、納期もなくておうちでできて、そんなに自由な働き方をしている人は労働者とは言えないので、そもそも厚労省で話し合うべきかどうかと言われまして、そうかそういう枠組みになっているのかと非常に衝撃でした。

 ただ、そもそも何で気仙沼ニッティングでそういう働き方をつくっているかというと、そういう形でないと働けない人が多いからです。今も、地べたを歩いて編み手になってくれる人はいないかと会っていくと、働きたいけれども介護や子育てで外に出られない。人が多いことに気づかされます。また、介護などがあるとお金もかかるので、年金だけでない現金収入を必要としている人もたくさんいます。それで、こういう働き方をつくってきました。でも、こうした人たちのことは厚労省で議論される範疇にないと伺い、不思議に思いました。

 厚労省の会議でそのような御指摘をいただいて、では、こういう人たちは少数派なのかと思って調べてみたら、厚労省の資料では調べることができず、総務省の労働力調査を見ることになりました。すると、15歳以上人口のうち、いわゆる労働者といわれる雇用者に当たる人は約5割で、それ以外に自営業主や家族事業従事者といった方々が1割程いらっしゃって、約4割の人が非労働力人口として分類されていることがわかりました。その非労働力人口に分類されると、就労意思がどの程度あるかなど詳しいことがアンケートされておらず、その人たちへの対策はあまりなされていないこともわかってきました。恐らく、「収入はほしいが、介護で外に出られないので、自分にできる仕事はないだろう」と考えていたうちの編み手さんのような人たちは、そこに入っていたのだと思います。

 これから柔軟な働き方をつくるに当たっては、そうしたところに制限を設けて、この人は対象ではありませんと言っている場合ではなく、それぞれ家庭の事情なり、個人の事情なり、自分の意思なりに応じて、人が働きたいように働ける環境を整備していくことが一つ大事な要素だと思っています。

 そして、労働基準法の範疇にない働き方が、無法地帯になってはいけないと思っています。仕事は、人生にかかわることです。1つの会社に社員として所属するという以外の働き方をしたときに、誰がトレーニングの場を設けるのか、社会保障制度はいかに追いついていくのかといった、社会整備が要るのだろうと思っております。幅広い働き方を実現しながら、そのすべてに対してちゃんとケアをしていくのは非常にチャレンジングなことだと思いますけれども、これから必要なことだと思っております。そのようなお話をここでできることを期待しております。よろしくお願いいたします。

○守島部会長 ありがとうございました。

 では、山川委員、最後にお願いします。

○山川委員 私は弁護士の山川と申します。

 私は2000年から、舌をかみそうになるような、フレッシュフィールズブルックハウスデリンガーという法律事務所に所属しておりまして、こちらはヨーロッパを中心とした法律事務所で働いていまして、主に労働関係の仕事が多く、顧客の9割以上が外資系の会社、欧米の会社でございます。私が日ごろ思っているのが、欧米の会社の日本の支店ということになるのですけれども、働いておられる方は働き方ももちろん日本の典型的なサラリーマンと全然違いますし、意識が全然違うのです。そういった会社に日本の労働法を当てはめると、うまく当てはまらないところがよくあって、今後、さらに技術革新が進みますとか、いろいろな働き方、それこそUberの運転手みたいに、労働時間があるのだかないのだかわからないような、ほとんど手待ち時間みたいなところもあり、いろいろ労働のあり方も変わってくると思っていて、これに日本の労働法はどうやってついていくのかしらなどとぼけっと考えているうちに、今回、突然この話をいただいて、大変焦っているわけなのです。不なれですがいろいろ勉強させていただいて、微力ながら意見も述べさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○守島部会長 ありがとうございました。

 では、私からも一言、言わせていただきたいと思います。

 皆さん方がおっしゃったように、AIであるとか、いろいろな労働力であるとか、いろいろな意味で新しい働き方が求められるようになっているのだと思います。それを分析するときに、石山委員が言われましたけれども、「人」という単位で見て、そういう言い方がいいかどうかはわかりませんけれども、やはりジョブであるとか、タスクであるとか、もっと今、私たちが見ているよりもミクロな世界に一度入り込んで、そこで一旦見直した上で、もう一回法律の体系を考えるなどという話に持っていかないと、多分、スムーズなトランジションはなかなかできないのだろうと思っております。私は企業内の人事管理の専門なので、今の働き方改革がミクロなレベルでいろいろな問題を起こしているなという感じはするわけです。例えば、労働時間の削減にしても、では、あなたは5時に帰ってね。でも、レポートはちゃんと5時までに出してね、成果はちゃんと5時までに出してねみたいな、比較的いろいろな矛盾が起きているので、そういうところを解決するためには、ミクロなレベルでもう一回見直すことも、それは私のような研究者であるとか、そういう人たちに課された課題なのかもしれませんけれども、そういうことを考えていって、そういう視点も含んだ上で、いろいろな委員の方が言われましたけれども、この問題に対して一度、根本的に考え直すいい機会なのかなと思うので、ぜひ皆さん方の御協力を得て進めていきたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、議事に入りたいと思います。本日の議題は、

(1)部会の運営について

(2)現状の労働施策について

(3)部会の今後の進め方について

(4)その他

になっておりますけれども、比較的、進め方的な議論が多いのですが、まず議題1の「部会の運営について」に入りたいと思います。

 では、事務局からまず御説明をいただけますでしょうか。

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、議題1の「部会の運営について」御説明申し上げます。

 まず、資料1をごらんください。資料1は「労働政策審議会の在り方に関する提言」でございまして、冒頭の大臣の挨拶にもありましたとおりでございますけれども、昨年5月に公表されました「規制改革実施計画のフォローアップ結果について」でございますが、27年6月の「規制改革実施計画」、一番左のところでございますけれども、「➀多様な働き方の実現」という項目で「従来の主要関係者のみならず、様々な立場の声を吸収し、それらを政策に反映させていくための検討を行う」ということがスタートでございまして、右の「今後の予定」でございますが、これは昨年3月段階でありますけれども「働き方の多様化等により的確に対応した政策作りのため、労働政策審議会等の在り方について検討を行う」ということでございます。

 次に、資料2でございますけれども、「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議報告書」というものがついでございます。この資料でございますが、8ページに「開催要綱」を書いていまして、開催の趣旨はそこに書いているとおりでございますけれども、一言で申しますと、グローバル化、IT化、少子高齢化の中で、三者構成の労政審が重要な役目を果たしているけれども、今後の労働力供給の減少や価値観の多様化に対応すると、これまで以上にさまざまな分野、立場の方の声を広く吸収して、機動的に政策決定を行うべきだというのが、一言で言った場合のポイントでございます。これを昨年の7~12月にかけて検討いたしまして、まとまった報告書でございます。

 時間の都合上、資料2の3ページの「3.課題」から要点のみ御説明いたしますけれども、3ページの「3.課題」をごらんいただきますと、そこに(1)から次のページの(4)にかけまして、4つばかり課題が整理されていますが、これも一言で言うと、まず(1)では、労政審は分科会・部会がございますので、この縦割りといいますか、これら単位の課題設定がなされる。すると、横断的な課題は議論されにくいという課題がある。それから「中長期的な課題についての議論が不足している」といった話が(1)でございます。

 (2)は、データやエビデンスについて十分踏まえて議論すべきである。

 (3)は、議論のスピードとして、まず課題に上るまでのスピードが遅いケースがあるとか、政策決定プロセスの中でも運用実績を点検・評価しながらやるべきだという話がございます。

 4ページにありますが「(4)多様な意見の反映」として、年代別の多様性の確保、委員の勤務地別の多様性の確保、それから業種別といった話の多様な必要性が出ているというものであります。

 「4.改革案」の結論でございますが、まず「(1)議論する政策課題と議論の場」ということでございますけれども、そこの5行目で書いていますが、➀やに書いているようなことは、公労使の三者構成で、現行の分科会で議論すべきである。

 一方で、4ページの下から8行ぐらいですけれども、働き方やそれに伴う課題が多様化する中で、旧来の労使の枠組みに当てはまらない課題等については、三者構成にとらわれずにやるほうがいい。

 ここで、基本部会の話が出てくるわけでありますけれども「基本部会は、公労使同数の三者構成ではなく有識者委員により構成するものとし、課題に応じて高い識見を有する者を選任する」ということでございます。一方で「この中には、企業や労働者の実情を熟知した者も含める」ということでございます。

 (2)でありますが、データやエビデンスによる議論をする。これは当然かと思います。

 「(3)議論のスピード」といたしまして、課題設定から法案成立までのトータルのスピードを速めるように、政策の決定プロセスを運用するということでございます。

 (4)でございますが、多様な委員ということで「委員の選任に当たっては、産業構造、就業構造にできる限り配慮する」。それから「労使団体の代表以外の臨時委員あるいは専門委員を臨時的に任命する」あるいは「ヒアリング等を活用する」という話もございます。

 6ページの最後の(5)でございますけれども「改革のスケジュール」といたしましては、労政審委員の次期改選期、これは4月下旬でございますけれども、これを踏まえて行うことにされていたわけでございます。これを踏まえて、今回の基本部会を設置いただいたものでございます。

 資料3は先ほど御紹介いたしましたので飛ばしまして、次は資料4でございますけれども、この基本部会の設置についてという1枚紙でございます。「1.背景」は、今のプロセス有識者会議と重複いたしますので省略いたしますけれども、「2.審議事項」をごらんいただきますと、「労働政策基本部会では、各分科会及び部会を横断する中長期的課題、就業構造に関する課題、旧来の労使の枠組に当てはまらないような課題」についてやる。具体的に3つポツをつけてございますが、

・技術革新(AI等)の動向と労働への影響等

・生産性向上、円滑な労働移動、職業能力開発

・時間・空間・企業に縛られない働き方等

こういったことが、例えばということでございますけれども、審議事項かと思います。

 「4.スケジュール」をごらんいただきますと「まずは1年で整理し、報告書を提出。さらに議論が必要な事項は引き続き審議を行う」ということになってございます。

 具体的な部会の運営でございますが、続きまして、資料5をごらんいただきたいと思います。幾つかの運営規程ということで、まだ決まり事でございますけれども、まず第二条をごらんいただきますと「部会の属すべき委員及び臨時委員(以下「委員等」という。)は、公益を代表するもののみとし、委員等の数は十五人以内とする」。全て公益委員でどうかということでございます。

 第三条でございますが「所掌事務は、中長期的的な労働政策における課題に関すること」ということで整理いたしました。

 第四条でございますけれども、会議の開催につきましては「会長の請求があったとき、部会長が必要があると認めるとき又は委員等の三分の一以上から請求があったときに招集する」といったことが書いてございます。

 第五条でございますが、委員等は代理の出席は可能ということでございます。

 第六条で会議公開、第七条以降は庶務的な規定でございます。

 ここで「臨時委員」という言葉が第二条に出てきてございますけれども、臨時委員というのは、労働政策審議会のいわゆる本審に属されていない委員の方が臨時という扱いでございます。

 本日、臨時委員の方につきましては、通知表を机の上に置かせていただいていますので、御確認をお願いできればと思います。既に臨時委員に御就任されている方につきましては通知表はございませんので御留意ください。

 私からは以上でございます。

○守島部会長 ありがとうございました。

 資料5の説明まで今、終わられたのですね。わかりました。

 それでは、ただいま事務局から説明がありました、部会の運営につきまして、何か御質問、御意見等がございましたら、御議論願いたいと思います。よろしいでしょうか。大丈夫ですか。

 特に御異論がないようでしたら、当部会の運営規程につきましては、案文のとおり決定させていただきたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○守島部会長 それでは、そのとおり進めさせていただきます。ありがとうございました。

 続きまして、議題2の「現状の労働政策について」について事務局から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 お手元の資料6-1と6-2で御説明申し上げます。

 まず、資料6-1でありますが、働き方改革の御紹介ということでございます。これは、趣旨といたしましては、今の労働政策の大きな動きを御紹介するという趣旨で、きょう御説明するわけでございまして、この働き方改革の中身自体についての御議論というよりは、大きな動きの紹介ということで御理解いただければと思います。

 この働き方改革の詳細につきましては、一番最後の参考4につけてございますので、こちらももし必要であれば、後ほどごらんいただければということでございます。

 働き方改革でございますが、この資料6-1の1ページからごらんいただければと思います。昨年の9月から招集されたもので「□構成員」「□進め方」が書いてございます。

 2ページが、ことし3月に公表されました「働き方改革実行計画」でございますけれども、そこの1~13までにありますような項目が実行計画の内容でございます。このうち、「2.同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」「4.罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是正」が特に大きなものかと思いますので、きょうはこの2点について中心的に御紹介したいと思っています。

 次の3ページでございますが、3~4ページが時間外労働の上限規制でございます。この3~6ページでございますが「働き方改革実行計画」を受けまして、労働政策審議会の所定の分科会・部会等において検討してきたものの建議等の内容でございます。

 まず、時間外規制については3~4ページでございますが、これは6月5日に労政審の建議をいただいたものでございます。これも概要のみ申し上げますと、まず3ページでございますけれども、1番の(1)で申しますと「上限規制の基本的枠組み」ということで、まず左が「原則」でございますが、今後の原則としては「・月45時間」「・年360時間」を原則の上限とする。

 右側は「特例」でございますけれども、これは臨時的な事情がある場合として労使で協定した場合の特例でございますが、まず➀として、年720時間まで。それから、720時間以内かつ➁~➃の条件を満たすということで、例えば、➂ですと単月で100時間未満。➃は月45時間を上回れるのは年6回、つまり6カ月までということでございます。

 同じページの(2)でございますが、業務ごとに若干の適用除外がございまして、まず、運転の業務については、改正法施行5年後に年960時間以内の規制を適用するという特例がついております。

 2つ目の建設業については、改正法施行5年後に一般則を適用するということで、若干の違いがございますけれども、こういった適用除外の取り扱いも建議にあるところでございます。

 その他、研究開発や医師等についても所要の適用除外の取り扱いを設けるというものでございます。

 次に4ページでございますが、(3)の新たな指針でございまして、これもポイントのみ申し上げますと、指針の中で、時間外の延長についてはできる限り短くするでありますとか、あるいは三六協定の必要記載事項として、上限を超えるような方の健康確保措置といった、望ましい措置を指針に書くといったことが書かれているわけでございます。

 「2.勤務間インターバル」でございますけれども、前日の終業時間と翌日の始業時間の間のインターバルでありますが、「労働時間等設定改善法」という法律がございまして、ここの中で勤務間インターバルについては努力義務を課す。それとともに周知徹底を図るという建議でございます。

 3番が健康確保措置でございまして、特にリスクが高い労働者の方を見逃さないということで、時間外・休日労働が1カ月当たり80時間を超えた者から申し出があれば、面接指導を義務づけるものでございます。現行は、100時間超えの方が対象ですので、対象が拡大されるものであります。

 最後に「4.その他」といたしまして「中小企業を含め、急激な変化による弊害を避けるため、十分な法施行までの準備時間を確保することが必要」と書かれております。書いておりませんけれども、事業の運営とか労務管理は大体年度単位でされるケースが多いということでございますので、年度の初日から施行されることを念頭に置いているものでございます。

 続きまして、同じ資料の5ページでございますが、5~6ページが同一労働同一賃金関係の法整備関係でございます。これも6月に部会の報告をいただいているものであります。

 まず、5ページの左上の「1 基本的考え方」でございますが、一言で申しますと、正規・非正規の格差を放置すると、社会全体に影響する。特に、労働者の約4割弱を占める非正規の方の能力開発機会が乏しいという問題を放置すると、社会全体の労働生産性向上がうまくできない。こういったことからも是正する必要があるという考え方でございます。

 左下の2番でございますけれども、パート、有期、派遣の方について「労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備」ということが書いております。左下の(1)でございますけれども、そこに「均等待遇規定」でありますとか「均衡待遇規定」という言葉が出ているかと思います。この中身でありますが、簡単に言うと、待遇について同じ待遇にしてくださいというのが均等で、待遇差がある場合に、それはバランスがとれたもの、合理的なものであるようにしてくださいというのが均衡でございます。

 現在、どうなっているかと申しますと、パートについては均等と均衡の両方が法律上ある。ただ、均等待遇の対象となるパートの方は全体の中では割合としては非常に小さいと言われております。

 次に、有期労働者でありますけれども、均衡待遇は規定があって、均等待遇は規定がないのが現状です。

 最後に、派遣労働者は、均等も均衡もどちらも規定がないというのが現在の姿でございます。

 (1)の1つ目の○でありますけれども、有期契約の方については、新たに均等待遇を入れる。そうすると、有期については均等・均衡が両方そろうことになります。

 それから、2つ目の○でありますけれども、均衡待遇規定につきましては、その合理性の判断に当たっては「個々の待遇ごとに当該待遇の性質・目的に対応する考慮要素で判断されるべき」ということでございます。

 同じページの右側でございますけれども、「(2)派遣労働者」と書いております。派遣については、派遣元労働者と派遣先労働者のどちらとの均衡をとるのかという問題がございますけれども、結論といたしましては、原則として派遣先との均衡をとるという考え方でございます。派遣元のいわゆる派遣企業の内勤職員との均衡というよりは、派遣先の労働者のほうが職務の内容については正確に実態を反映できるのではないかという考え方でございます。

 (2)の「1)」でございますけれども「派遣先労働者との均等・均衡方式」と書いてございます。

 ところで、(2)については、「1)」「2)」と2つございますけれども、「1)」の派遣先との均衡だけでいくとどうなるかといいますと、仕事の困難性とか、賃金が必ずしも派遣先が変わったごとに上がったり下がったりするのか、適当なのかというのが1つあります。それから、派遣先の賃金の高い、低いというのが派遣先の業務の難易度に必ずしも比例しているのかどうかという議論がございまして、そこで「2)」が出てくるわけでありますけれども、労使協定であって一定の基準を満たせば、派遣先に限らず同種の地場の労働者の一定水準を満たす待遇決定でいいといたします。事業主は、「1)」か「2)」のどちらかの選択をしてくださいということです。ただし、どちらをとるにしても、労働者自身にはどちらをとったかがわかるようにしてくださいというのが、派遣労働者についての考え方でございます。

 最後に、同じページの右下の(3)でございますけれども、ガイドラインの根拠規定を整備する。昨年12月に、均等待遇・均衡待遇についてはガイドライン案を策定したわけでございますけれども、これは現状、あくまでガイドライン案でございます。なぜ案かと申しますと、今の法律上でガイドラインの策定根拠になる規定がない、というのが理由でございます。今後は、関係法令を整備した上で、ガイドラインの策定根拠をつくる。それによって、ガイドラインから「案」が取れるということを考えてございます。

 次のページでございますけれども、同一労働の続きでございまして、3番でございますが、「労働者に対する待遇に関する説明の義務化」ということで、1つ目の○でありますけれども、有期についても「待遇内容に関する説明義務(雇入れ時)」を新たに創設ということでございます。

 それから、パート・有期・派遣共通でありますけれども、事業主に正規雇用労働者と待遇差の内容・理由について求められたら、事業主はそれにお答えしていただく。説明を求めたことについて不利益取り扱いを禁止するのが2つ目の○でございます。

 4番が、いわゆるADRでございます。まず(1)でございますけれども、パートと有期については、有期について、新たに行政による助言・指導・勧告、それから労働局の調停等の対象にするということでございます。パートについては既にこういう規定がございます。

「助言・指導・勧告」とあるのですけれども、公表は今回はつけないことを考えております。

 2つ目の○でありますけれども、これまでは運用上、助言・指導・勧告について均衡待遇規定は対象になってこなかったのですが、今後は解釈が明確であれば、新たに助言・指導・勧告の対象にするということであります。ここで「解釈が明確な場合は」と書いていますのは、限定をつけていることでございまして、例えば、具体例を申し上げますと、非正規の方について、正規と職務内容が違うのでこういう処遇なのですというケースは、それだけではいいとも悪いとも言えない、いわゆるグレーゾーンですので、解釈は明確ではないということになって、助言・指導・勧告等の対象にならないわけでございます。

 一方で、非正規だから待遇が違うのです。これは明らかにグレーではなくて、いわば黒でございますので、解釈が明確な場合に当たる。そういった場合には助言・指導・勧告等の対象になるということでございます。

 次に「(2)派遣労働者」でございますけれども、派遣についても均等・均衡待遇規定等について、パートと同じように労働局の調停等の対象にするというものでございます。

 最後は法施行でございますが、準備期間の確保ということで、十分な施行準備期間を置く。それと合わせて、十分な周知・相談を行っていく必要があるというものでございます。

 続きまして、資料6-2でございますが「 働き方の未来2035」でございます。これも冒頭で大臣のほうから御挨拶の中にあったとおりでございますけれども、そもそもの経緯で申しますと、資料6-2の32ページに開催要綱が出ているとおりでございます。概要のみ申しますと、32ページの開催要綱の第1条でございますが、グローバル化や少子高齢化の進行、あるいは技術革新の進展の中で、世の中は大きな変化が予想されて、個人も多様化する。そういう中で、いろいろな方が誰でも活躍できる社会を実現すると同時に、生産性や企業価値も向上させて、豊かな経済成長を可能とする。こういったことが背景事情でございます。こういったことで、昨年の1~7月にかけまして検討を行いまして、まとまった報告書でございます。

 この報告書も時間の関係で後ほどお目通しいただければと思いますけれども、大急ぎでポイントだけ申し上げながら御紹介いたしますと、まず4ページからごらんいただきたいと思います。2035年の社会はどうなるかということを4ページから7ページにかけて書いているのですが、4ページからいきますと、まず少子高齢化が進展している。それから、技術革新は進展するのですけれども、6ページ以降にありますが、AIが果たして雇用をどう代替するのかが6ページ以降でありますけれども、6ページの真ん中当たりで「代替可能性の高い仕事としては、専門的な知識を必要とするものの定型的な業務である仕事」といったものが多いのではないか。「認識や動作の習熟を必要とするもの大域的な判断を必要としないような仕事に関しては、労働の形態が大きく変わる可能性がある」。一方で、「人間にしかできない新しいタイプの仕事が出現してくる」はずであるということが書いてございます。

 次に8ページでございますけれども、2035年の働き方ということで、これもいろいろな要素が書いているわけでありますが、まず8ページから申しますと「時間や空間にしばられない働き方」になる。多くの仕事は、技術革新によっていつでもどこでもできるようになる可能性が高い。

 それから、3.2でありますけれども、「働く」という活動が、単に生活のためだけではなくて、多様な目的をもって行われるようになるのではないかというのが次のところでございます。

 9ページでございますけれども、自由な働き方になる。物理的に空間や時間を共有しなくても働けるということで、極端に言うと、今までの企業と違って、ミッションとか目的が明確な、プロジェクトみたいな場に企業がなっていくのではないかということが、提言の中に書いてございます。そうすると「所属する期間の長短や雇用保障の有無等によって『正社員』か『非正規社員』と区分すること」自体が意味を持たなくなるということでございます。

 関連いたしますのが3.4以降でございまして、働く人が働くスタイルを選択できるようにする。企業がプロジェクト的な組織になるので、働く人みずからがスタイルを選択できるようになるでありますとか、3.5でありますけれども、そもそもフルタイムで働いた人だけが正規という考え方が成立しない。働く人と企業との関係も変わっていく。そうすると、1つの企業に「就社」するという意識も希薄になっていくのではないかということでございます。

 これと表裏をなすのが次の11ページの3.6でありまして、コミュニティーのあり方も変わってくる。企業が担ってきたコミュニティーの役割を、例えば、地域とか別のコミュニティーが代替してくるのではないか。

 それから、3.7で世界と直接つながる。ローカルといえどもグローバルにつながっているグローカルな時代になる。

 3.8、3.9でありますが、いろいろな制約が今回は制約にならなくなるのではないか。個人の事情とか、あるいは性別とか障害といった壁を越えていく社会に今後はなっていくのではないかということでございます。

14ページ以降が、2035年における制度のあり方でございますけれども、4.1から始まって幾つかポイントがございますが、まず4.1の5行目でありますけれども「2035年においては、狭い意味での雇用関係、雇用者だけを対象とせず、より幅広く多様な働く人を対象として再定義し、働くという活動に対して、必要な法的手当て・施策を考えることが求められる」ということであります。そのために、情報の適切な流れでありますとか、次の15ページに参りますけれども、保障・保険的な機能をどこまで法制度が直接提供するかみたいな話が出ます。

 それから、15ページの(3)(4)でありますが、交渉力の格差が小さい契約、その格差が小さくなる契約がふえているように考えられるということと、(4)で能力開発、教育訓練の機会が重要であることが書かれています。

16ページに「4.2 具体的な制度のあり方」でございますけれども、まず(1)が適切な情報開示。これはキャリアパスを含めて、働く人に対する基本シェアを明示したという、そういったことも含めての情報開示の重要性。

 それから、17ページでございますけれども、この情報開示等を前提として、契約の変更や再締結をスムーズにするための環境変化に対応するための制度の重要性。

18ページ以降で、セーフティーネットのあり方、社会保障制度。これについては、社会保障は家族単位というよりは個人単位に置きかえていくことが重要であるみたいな話が出てございます

2022ページに、生涯教育のあり方ということが書いてあります。生涯やり直せること、あるいは多様な人材に合わせた教育ということでございます。

 結論として、23ページ以降でございますが、「6.2035年に向けての提言」ということで、まず➀でありますけれども「技術革新は、大きなチャンスをもたらす」。これは働く場所に関する物理的な制約はなくなる。時間もそうかもしれませんが、働く場所に関する物理的な制約はなくなる。それから、個人事情とか障害などによって制約があった人も自由度を持って働けるようになる。

 こういった恩恵は、都市部だけではなくて、例えば「ロボットの活躍等は、過疎化や高齢化が進む地域にこそメリットがある」。それから、農林業等も技術革新を非常に大きく期待される分野であるというのが➀でございます。

 ➁でありますが「チャンスを生かすには、新しい労働政策の構築が必要不可欠」ということでございまして、「働き方の構造が、技術革新によって大きく変化していくし、いかざるを得ない」。それから、先ほど、企業がさまざまなプロジェクトの塊になるという御紹介をいたしましたけれども、そのためには、民法(民事ルール)の基本的枠組みによる対処だけでは不十分ではないかという話が出てございます。

 ➂が「働き方の変化に伴うこれからのコミュニティーのあり方」ということで、企業というものの変質から、これまでは企業が担ってきたコミュニティーを代替するものが生まれてくる。これは地域や疑似コミュニティーでございますが、そういったものが生まれてくるのではないか。そういった変化に対応するためには、職種別、地域別の連帯も重視した、技術革新も活用した、新しい時代にふさわしい働き方を支援できるよう進化していくことが求められるということでございます。

 ➃でありますが、人材が動く社会、やり直しや再挑戦を可能とする仕組みといったことでございます。それと合わせまして、職業教育、職業訓練も再教育の仕組みということで重要であることが書かれてございます。

 ➄が「働く人が適切な働き場所を選択できるための情報開示の仕組み」ということでございます。先ほど、少し申し上げました、働き方に関する基本姿勢の明示、キャリアパスについて企業がどう考えているのかといったことでございまして、こういった情報については、入手が容易にできるように、情報が一覧できるウエブサイト、そういった情報プラットフォームの整備が重要であるということでございます。

 ➅が「これからの働き方と税と社会保障の一体改革」でございますが、これまでは家族を単位する税制や社会保障制度を、家族が働くことが不利にならない個人単位に置きかえていくことも重要ではないかということが書いてございます。

 それから、税や社会保障については、働く場所や時間からできるだけ中立的な形で整備されるべきだということでございます。

 最後は➆でございますが「早急かつ着実な実行を」ということでございまして、技術革新等の変化の中で恩恵を得るには「新しい労働政策を考え、構築していく必要がある」。一方で、法律や制度の変更には、その詳細な検討には時間を要するということでみると、将来ではなくて、今現在から喫緊の課題として捉えていくべきであるということでございまして、これが結論でございます。

 非常に大急ぎで恐縮でございますが、現在の労働・行政を取り巻く環境ということで、御紹介いたしました。

○守島部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に対して、何か御質問等はございますでしょうか。御手洗委員、どうぞ。

○御手洗委員 御説明をいただいてありがとうございました。

 素朴な質問になってしまうのですけれども、今、「 働き方の未来2035」と、働き方改革で具体的に着手されている改革内容の話と2つ伺いましたが、この2つの関係性についてお教えいただけますでしょうか。

「働き方の未来2035」のほうは、より柔軟で多様な働き方が広がる中で、1社の企業に就社するというよりも、プロジェクト単位で仕事が動くようになり、人は個人事業主的に複数の仕事を持ったりしながら生きることになる。そういった中で、いかに個人の立場を弱くしないかですとか、学ぶ機会をつくるかですとか、社会保障をどうするかといった議論が主だったかと思います。

 一方で、働き方改革のほうは、時間外労働の制限のような、1社に所属して働いている人を対象とした、仕事を時間ではかる従来の枠組みの中での施策がほとんどのように思いました。

それ以外の働き方をする人たちへのサポートについては、まだ手つかずなのでしょうか。厚労省内でどういう状況にあるのかについてお教えいただくことはできますでしょうか。

○守島部会長 では、よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 まず、 働き方の未来2035」でございますけれども、これはどちらかというと2035年、今から約20年近く先でありますけれども、それを見据えてのやや中長期的なあり方について、これは有識者だけでございますけれども、自由に懇談をいただいた結果でございます。

 片や、働き方改革の実現会議については、どちらかというと目下の働き方をどうするかということで実行計画をまとめられているわけでございます。そうすると、今の政策ベース、今後の法令ベースに落としていくということで、かなり具体的な書き方になっております。そうした中で、労働時間等については時間外規制のあり方、これは賃金との関連といいますより、むしろ健康確保とのワークライフバランスという観点もかなり高いわけでございますけれども、そういった中でどうあるべきかという議論がされて、こういった結論になったものと承知しています。

 この資料6-1の2ページをごらんいただきますと、実行計画がいろいろな項目にわたっているわけでありますが、今、御紹介したのは2ページの実行計画の2番と4番だけでございまして、そのほかの課題については別途、政策ベースで今検討を進めているものでございます。そういう中では、関連の労政審の分科会・部会で議論されているものもありますし、あるいは専門の検討会といった場で議論されるものもあると承知しています。いずれにしても、実行計画に載っているものについては、今後、政府として進めていくべきものということで検討中でございます。

○御手洗委員 ありがとうございます。

○守島部会長 よろしいですか。

 では、ほかの方でどなたか。大竹さん、どうぞ。

○大竹委員 「働き方の未来2035」は、方向性が的確にまとめてあると思うのですが、この部会は、この2035でまとめられたものと、現在取り組みが進んでいる「働き方改革実行計画」のちょうど間ぐらいのところを議論するイメージなのでしょうか。どこを決めていくかというところをもう少し明確に教えていただければと思います。

○奈尾労働政策担当参事官 働き方改革実行計画のほうは、今の足元の動きということで御紹介した趣旨でございまして、本部会については、先ほどのプロセス有識者会議の報告の話もいたしましたけれども、今の労政審では、中長期的な課題の検討が抜けているという問題意識もかなりあろうかと思います。そういった中で、どちらかというと中長期的な検討を念頭に置いているということで、当然、その中には 働き方の未来2035」に書かれているような技術革新の動向と、労働に及ぼす影響のようなことも含めて検討していくべきだと思っております。

 きょうの資料4のところで、先ほど少し飛ばしたかもしれませんが、「2.審議事項」の中で、この基本部会では「各分科会及び部会を横断する中長期的な課題、就業構造に関する課題」等について議論を行うと書いてございますが、そういった趣旨も込めたものでございます。

○守島部会長 今の大竹委員が言われたことは、多分、次の部会をどのように、部会の内容みたいなことをこれから次の段階でまた議論をするので、もしそのときにまたあれば、お出しいただければと思います。

 ほかの方、どなたか。よろしいですか。

 それでは、今の大竹委員の御発言とも関連するのですけれども、部会の今後の進め方を御紹介いただいて、必要があれば、少しまた今の資料に戻って議論していきたいと思います。

 それでは、よろしくお願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 それでは、資料7をごらんいただきたいと思います。「今後の進め方について(案)」でございます。

 まず「・全体テーマ」といたしましては「技術革新とこれからの働き方に適応した基本的な政策の方針について」ということでございます。第1回はきょうのとおりでございまして、2つ目の○でございますけれども、第2回は9月ごろではどうかと事務的には考えてございます。

 第2回以後、考えられる議題ということで例示を挙げているわけでございますが、1つが「・技術革新の動向と労働への影響」。それから「・生産性向上、円滑な労働移動、職業能力開発」「・時間・空間・企業に縛られない働き方」「・その他」ということでございまして、必ずしも小さいポツ一つ一つについて1回ずつというイメージではございませんで、考えられる項目について挙げたものでございます。

 最後の○でございますが、30年6月ごろに報告書の取りまとめができればということで考えてございます。

○守島部会長 ありがとうございました。

 では、今の点も含めて、何か皆さん方からございますでしょうか。佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員 ありがとうございます。

 まず、いつまでという点に関しましては、そうすると、先ほど大臣は、来年の夏ぐらいまでとおっしゃったことと、先ほどのプロセス有識者会議の報告書では、最後のところの次期改選期の29年4月を踏まえて、今のができた。なので、今、おっしゃったように、今度の中間取りまとめは6月までにすればいいということで、いつまでが明確になったと思うのですけれども、では、何を議論して、誰に提出してと言ったら変ですけれども、そして、それをどう使ってもらうために議論するのかを明確にしないと、皆さんがいろいろな意見を言っているだけで終わってしまうと思っていて、時間がもったいない。このテーマについては、意見を言い始めれば、みんな何時間でも演説できるほどいっぱい意見があって、幅も広いですね。今、いただいた資料も既に十分にいろいろなものが議論されて、紙にもなっている。先ほど、大臣は制度を改革できるような、具体的なアイデアを出してほしいとおっしゃったと私は聞こえたのです。

 一方で、先ほどの御説明の中でも、こういう委員会というのはテーマを決めるまでに時間がかかり過ぎるというのもあったので、これはしっかりと、6月までに私たちは何をしたくて、アイデアを報告書にまとめるというレベルではない。せっかくこういう委員会ですから、これは個人的な意見ですが、私たちはこう思うという紙を出すのは十分にほかでもやっているし、どこでもできるので、せっかく厚労省の中の、この労政審の中の部会ですから、具体的に何をこうしてほしいとか、何とか法のここを改善したいとか、何か具体的になったほうが意味があるし、この委員会の結果を活用する次の方が使いやすい報告書の取りまとめになるのではないかと思いますと、どういうテーマに絞るかということと、6月までのプロセスをきちんとはじめに決めていかないと、例えば、今、御提案いただいたような、9月に集まってこのテーマについてどう思いますかと言ってみんなで話していると、時間がもったいないのではないかというのが私の考えです。

 なので、そうなると、一番最初にどういう議論をするのかが一番難しいことになると思うのですが、頻度と進め方について、しっかりと考えていきたいと思っております。

○守島部会長 ありがとうございました。

 お答えになりますか。

○奈尾労働政策担当参事官 お答えになるかどうかはわかりませんけれども、資料7の2つ目の○にあることは例示でございます。これ以外にも何かあればというのはございますけれども、これは第2回以後の、ポツが3つありますけれども、その一つ一つは結構重いテーマかと思います。これについてそれぞれエビデンスをもとにして議論していくことを考えてございますけれども、それについてプロセスをどこまで決められるかでございますが、それはできれば、私どもとしても9月以後はこうしたいというのは前広に決めていきたいと思っているのですが、そこについても具体的なアイデアをいただきながら、私どもは整理してやっていきたいと思っていますけれども、今のところ、頻度としては、大体1~2カ月に一回ぐらいということで考えてございまして、それで来年6月につなげようかと思っております。

 最終的には、報告書は労政審の会長なり大臣なりに報告されるので、それをもとに今後の政策が立てられればということでございます。

○守島部会長 では、佐々木さん、どうぞ。

○佐々木委員 このテーマ自身を扱わなくてもいいのですか。全くわかっていないのですが、つまり、例えば、円滑な労働移動とか、職業能力開発とか、こういうことは過去にも規制改革会議でもずっと話してきて、多分、厚労省のいろいろなレポートを見ると、こういうものに関してはいっぱい議論がされていると思うので、されているものがあればそれを勉強して、その先のステップについて話したほうが具体的で、私たちが0から議論していくのはもったいないと思っているのです。例えば、労働移動について、どうしても厚労省として今回やってほしいものが何かあるならば、逆に今までそれについての資料をいっぱい議論された結果の報告書を出していただいて、それを事前に読んで、その先ということをやらないと、多分、何度繰り返しても同じ議論になっていくだろうと思います。

 ただ、きょうのテーマを聞いて、皆さんの発言を聞いていても、労働移動がまさに私たちのメーンテーマだとは誰も言っていなかったように思うので、もし違うテーマで議論したほうがいいのであれば、それを選ぶ自由があるならば、そういうことも考えられるのではないかと思った次第です。

○守島部会長 ありがとうございます。

 ほかの方でどなたか。

 多分、1つの今回の事務局側の御提案は、技術革新が労働にどういう影響を与えるのか、働き方にどういう影響を与えるのかというところをこの1年間は追いかけてくれという御依頼だと思うのです。では、どうぞ。

○本多総合政策・政策評価審議官 今回のこの部会が新しいのは、委員の構成というのもあるのですけれども、余り事務局で細かく決めていないところも、実はほかの審議会の下の部会・分科会と違っているところでございまして、その中で技術革新の影響を一番大きく知りたい。というのは、2035で御議論はいただいてはいるのですが、それ以上に掘り下げた検討というのを、我が省の中ではやったことがございませんので、先ほど、石山先生からもありましたように、実証的な今後の動向とか、そういった情報についてもまだ我々のほうでも整理はできておりません。

 ということで、一応、こちらの思惑としては、まず既にされている外部でのエビデンスを整理して、不足するものはどういうものがあるかなども見ながら、そういった中で、どこまでこの部会で技術革新の影響を踏まえた今後の労働政策の方向について、この1年間でどこまで行けるのかということも含めて御議論いただきたいと思います。第1回またはエビデンスを出した段階ぐらいで、先生方に全てお任せをしてしまうのも事務局としては無責任かなと思いますので、若干状況が見えてきたところで、今後の進め方などを御相談させていただくというやり方もあるのかなと、今、聞いていて思った次第です。

○守島部会長 ありがとうございます。

 どなたか。では、どうぞ。

○御手洗委員 技術革新や人工知能の登場よりどのように働き方が変わり、労働政策にどう反映させていくべきかがこの審議会の主眼だというのは、私は初耳でした。もともと委員をご依頼いただいたときに伺ったお話は、中長期的な働き方について議論するという趣旨のものでした。技術革新による仕事の変化について議論することにも意味のあることだとは思いますが、すでにその分野については世の中にたくさんのレポートが出ているかと思います。また、冒頭で岩村先生がおっしゃっていたように、新しい技術の発展に伴い、働き方が変化していくのは常にあることでもあり、こうした部会を設置して、技術革新の話だけに終わるのはもったいないのではないでしょうか。

 個人的には、 「働き方の未来2035」というのは、事務局の方がおっしゃるとおり、非常に長期的なもので、20年先の話です。足元の議論になかなか反映しにくいのかもしれません。また、佐々木委員がおっしゃるように、同じようなものをもう一度つくっても、また同じようなことになるでしょう。「働き方の未来2035」を念頭におきながら、もう少し手前のところで、多様な働き方をサポートとしていくような議論を具体的に進めていくということでしょうか。

○守島部会長 佐々木さん、どうぞ。

○佐々木委員 つまり、私も同じようなことを考えたのですけれども、この「働き方の未来2035」というのは、すごくよくできているペーパーだと思うのです。何となく私も仕事をしてきて、いろいろな様子を見ている中で、そうそうこう思う、あるいは私がずっと言っていたことがちゃんと入っているみたいな、すごくリアルな感じに見えるのですが、これは報告書であって、懇談会のペーパーで、これが政策に結びつくわけでは全然なくて、物語としてできたという感じではないですか。せっかく労政審の委員に選んでいただいたので、具体的な法律を変えていくところに、この2035などに書かれていることのどれか一部でも、具体的にこれとこれとこれと、労政審の本会につなぐような、具体的なまとめができていたほうが、労政審の委員の方々にとっては使いやすい。そして、これがすてきなお話ではなくて、具体的に変化になるということで、そういう役割が果たせたらいいなと思ったりするのです。

 時間にとらわれない働き方というものが、当然、労働移動などが、御手洗さんもおっしゃっていたような、ニッティングをする方々、例えば、今までカウントされていなかった方、あるいは私が見てきているような働く女性たちの多くの方々や通訳者、翻訳者もそうですけれども、男性も含めてですが、さまざまな人たちの伸び代、先ほども言いましたけれども、日本の労働生産性なり、活力を生んでいくものを後押しする方法が法改正なのか、新しいルールなのかはわかりませんけれども、それにつながるのかなと思うので、AIと限定しなくてよろしいのであれば、あるいは含まれるのかもしれませんけれども、その議論が一番重要だと思うのですが、私としては、ざっくり言うと、既に働き方実現会議では、具体的にもう書いていただいている上限規制やインターバル規制などがあって、ここは実際に言葉になっていて、法律として議論をされ始めているので、ここはもうここにお任せした上で、ここに足りなくて、2035のレポートとの間をつくるようなものができたらいいのかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○守島部会長 ありがとうございます。

 では、大竹委員にまず御発言いただきます。

○大竹委員 私がさきほど質問しようとしたことはまさにその点で、2035があるのだからそれを前提にして、今、何ができていないかということと、2035に書かれていることを実現していくためには、どのような法制度、どのような規制を変えていく必要があるのかを具体的にリストアップしていただく。それをもとに、これはおかしいのではないかという方向性を議論すれば、ほかの労政審のいろいろな委員会のもとで具体化していくステップにつながると思います。私自身はそういう仕事をここですると思っているのですけれども、先ほどの説明では、エビデンスをまず知るというところから始めていくということですので、とても時間がかかる気がします。もう少し「2035」の方向性とかかわるような現在の規制で、改革の必要性があるもの、あるいは規制も何も全くない状態のものを、私は法制度の専門家ではないので、そういったものを出していただいて、議論していくほうが、1年後という目標に向かって進めやすいのではないかと思いました。

○守島部会長 では、奈尾さん、お願いします。

○奈尾労働政策担当参事官 審議事項で技術革新を挙げていますけれども、これはあくまで例示でありますので、事務的には技術革新は比重としては小さくないと思ったわけでありますけれども、別にこれに限定する趣旨ではございません。

 基本部会の役割ですけれども、旧来の労使の枠組みに当てはまらない議論をしていくということでありますので、今後の方向性についての御議論になるかと思います。そこで、今後の中期的・長期的な方向性が見えれば、その後は具体的な施策の落とし込みは各分科会・部会の制度設計になるという認識でございます。

 その際のエビデンスでありますけれども、数値的なものはもちろんでありますが、これまでの報告書的な蓄積もありますので、それも整理しながら今後、御相談させていただければと思っています。

○守島部会長 ありがとうございました。

 では、佐々木委員、どうぞ。

○佐々木委員 具体的に、9月までの間に2035を実現するために、引っかかる法律のリストのようなものを具体的に資料として出していただくことはお願いできますでしょうか。

○守島部会長 では、岩村委員、どうぞ。

○岩村委員 これは私の個人的な理解ですけれども、私自身の理解としては、この労働政策基本部会が、各分科会・部会のいわば司令塔になるという意味で設けられたものではないと理解しています。きょうの資料4で提示されていますように、この部会の審議事項は、各分科会や部会がそれぞれ縦割りで設置されているので、したがって、それぞれの分科会・部会ではなかなか議論のしにくい横断的な問題となっています。

既存も分科会も部会は、これは私も長年やってきましたが、いずれも足元の問題に対してどう対応するかを議論するのが基本的にやってきたことであります。もちろん、それだけをやってきたわけではなく、例えば、労働時間なら労働時間についての中長期的な課題とか、そういったものについても当然、議論はしているわけですが、どうしても足下の問題を所定の期限までに議論して決めなければならない分科会・部会というのは、中長期的な課題そのものを扱うことにはなかなかならない。この部会と既存の分科会・部会との間では、そういう限界というか、役割の違いが存在します。

 先ほど来お話しがありますように、労使という枠組みが必ずしも当てはまらない、それこそ、非雇用の働き方とか、そういったものがいろいろな形でふえてきている中で、問題を労使という構造ではなかなか捉えられないものもあります。これは結局、今の分科会や部会の構造の中では捉えられない問題になってしまうこともあるので、これを考えてみましょう。そういう意味で、今後、分科会あるいは部会で議論していくに当たって、とりわけ足元の議論ではない、中長期、例えば5年先、10年先といったことを考えたときに、どういう考え方で政策を考えていかなければいけないかというのがこの部会の審議事項だろうと思います。どうも法規制に皆様の御関心が集まっていますが、政策というのは別に法規制の問題だけでは必ずしもないので、ある一定の政策目的を達成するための手段はいろいろなものがある。それは法律を変えることだけではなくて、例えば、さまざまな補助金を使うとか給付を使うとか、いろいろなものがあるわけですので、そういったものも含めて5年先、10年先を見据えたときに、どういうことを考えていかなければいけないかを提示する。あとはそれぞれの分科会・部会でそれをきちんと考えて、たとえ足元の問題であっても、それを考えて議論してほしい。そういったことが、この部会で示せればいいのかなと私は理解しております。

○守島部会長 どなたかほかに。

 今回のこの第1回は、私の理解だと、比較的、時間のない中で開催をされたところがおありになるのだと思います。きょうもここにいらっしゃっている方は、まだお名前が出ていない方も含めて多数いらっしゃるわけですから、事務局で一度、メンバーの方々を回られて、どういうテーマについて、どういうタイプのディスカッションをしていくことが、この会について望ましいのかという、私どもの言葉でいうと社会調査みたいなものになるのですけれども、そういうものを一回やっていただいて、2回目以降、先ほど、佐々木委員がもうちょっと早く進めなければいけないという議論をされて、そのとおりなのですけれども、逆にテーマが決まらないまま、余り急いでもいけない。では、どうぞ。

○佐々木委員 早く進めなければいけないと言ったつもりはなくて、議論を有意義にするために、何をどう決めるのかを十分に準備して、次の9月に臨まないと、時間がもったいないという意味のことを申し上げたのと、先ほどの御意見ですけれども、この2035を実現しましょうと言っているのではなくて、ここに書かれていることを勉強するという意味では、ここに関係する法律なりをリストしていただく。それも一つのデータなので、何を議論するのか、したいのかの参考になると思うので、ぜひ出していただきたいと思います。

○守島部会長 今、佐々木委員が言われたことも含めて、どういうことを議論していくのかをもう一回、事務局と私も入ってもいいですけれども、議論させていただいて、それで一応、委員の合意というか、ある程度の了承を得た上で進めていったほうが多分、いいかなと私は思います。この場で全然打ち合わせなしで申しわけないのですけれども、皆様方はそれでいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、何を議論するかを次回はもうちょっとちゃんと議論します。それも9月になってしまいますから、時間的には非常にないことはないのですけれども、佐々木委員が言われるように、ちゃんと決めた上で議論しないとと思います。

 ほかに皆様方から何か御意見等はございますでしょうか。どうぞ。

○御手洗委員 9月になるべく円滑に会議をするために、「働き方の未来2035」をまとめる過程で勉強したことや、さきほどの働き方改革の背景にある議論やデータも、ひととおりいただくことはできますでしょうか。ベースの認識をそろえるためにも、ここまでは議論されていますとか、データをとっています、わかっていますというものが事務局の方であれば、一式いただけると大変勉強になりありがたいです。

○守島部会長 ありがとうございました。

 事務局、よろしいでしょうか。

○奈尾労働政策担当参事官 どういうものが整理できるかどうかは考えてみたいと思います。

○守島部会長 ありがとうございます。

 ほかにどなたか。よろしいですか。ありがとうございました。

 それでは、そのような皆様方からいただいた御意見も含めて、今後の進め方をまた再検討、と言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、検討させていただければと思います。

 最後に、事務局のほうから何かございますでしょうか。

○奈尾労働政策担当参事官 本日は大変タイトなスケジュールの中で、限られた時間の中で御議論をお願いすることになり、ありがとうございました。

 次回の日程でございますけれども、9月ごろの開催ということで、また日程調整をさせていただきまして、先ほど、部会長から御提案いただいた方式についても少し考えてみたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○守島部会長 ありがとうございました。

 それでは、時間もちょっと超過しておりますので、本日はこのあたりで閉会とさせていただきたいと思います。

 本日の会議の議事録につきましては、本審議会の運営規程により、部 会長のほか2人の委員に署名をいただくことになっております。

 つきましては、御手洗委員、山川委員に署名人になっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、皆様方、お忙しい中、ありがとうございました。

 本日の会議は、これで終了といたしたいと思います。

 どうもありがとうございました。


(了)

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