ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)> 第19回、第20回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)(2017年7月5日)




2017年7月5日 第19回、第20回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会(議事録)

○日時

平成29年7月5日(水) 16:10~18:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール14A


○議事

(第49回 難病対策委員会・第19回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会【合同開催】) 

○徳本難病対策課長補佐 ただいまから、第49回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会と、第19回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の合同委員会を開催します。委員の皆様にはお忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。本日の合同開催は、第45回難病対策委員会におきまして、五十嵐委員から移行期医療に関して両委員会が合同で議論することの要望を頂いていました。その件につきまして千葉委員長の了解の下、本日開催させていただきます。委員会開催に際しまして、福島健康局長より御挨拶申し上げます。

○福島健康局長 健康局長の福島です。委員の先生方には大変お忙しいところ、また梅雨時の非常に蒸し暑いところ、御参集いただきましてありがとうございます。また、日頃から難病対策及び小児慢性特定疾患対策のみならず、健康行政全般につきまして御指導を賜り厚く御礼を申し上げたいと思います。

 難病の医療提供体制の在り方につきましては、難病対策委員会で御議論いただいた結果、昨年の10月に報告書を取りまとめいただき、今年の4月に手引きとして各都道府県に通知をいたしました。これを踏まえて各都道府県において、平成30年度に向けて新たな難病の医療提供体制の検討がなされていると考えています。この移行期医療に関しましてはその通知の中で、小児慢性特定疾患の支援の在り方に関する専門委員会での御議論を踏まえて別途通知をするとしましたが、この難病対策、それから小児慢性特定疾病対策、それぞれの観点から御議論を頂いたほうがよりよい御議論が頂けるのではないかと考えまして、本日は合同での開催という形で持たせていただきました。両委員会の委員の先生方に御検討いただきましたことを踏まえて、更に私どもとしては都道府県向けの移行期医療に関するガイドを作って周知をしていきたいと考えていますので、是非、先生方にはこれまで同様に精力的な御議論を頂きますようにお願い申し上げまして、合同委員会の開催に当たりましての御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○徳本難病対策課長補佐 本日の委員の出席状況です。駒村委員、鶴田委員から欠席の御連絡を頂いております。なお、石川委員からは少々遅れると連絡を頂いております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。本日の進行は、難病対策委員会の千葉委員長にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、以降の議事進行を千葉委員長にお願いいたします。

○千葉委員長 よろしくお願いします。それではまず資料の確認をお願いします。

○徳本難病対策課長補佐 資料の確認をいたします。本日の資料は、資料1「移行期医療における連携の推進のためのガイドの作成について」、資料2「小児慢性特定疾病児童成人移行期医療支援モデル事業について」、参考資料1「難病の患者に対する医療等の総合的な推進を図るための基本的な方針」、参考資料2は、平成29414日付けの「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」の通知です。参考資料3「小児慢性特定疾病その他の疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」です。資料の欠落がありましたら事務局まで御一報ください。

○千葉委員長 よろしいでしょうか。それでは今日は、難病対策委員会と小児慢性特定疾患の専門委員会の初めての合同委員会開催となります。小児から成人への移行に関してはいろいろな意味で重要な事柄を含んでおりまして、皆さんで一緒に議論することが非常に大事だと思いますので、よろしくお願いします。したがいまして、移行期医療の内容について是非、活発な御意見を頂きたいと思います。まずは、移行期医療における連携の推進に関するガイドについて事務局から御説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 よろしくお願いいたします。それでは資料1を御覧ください。「移行期医療における連携の推進のためのガイドの作成について」です。1ページ、移行期医療の課題として、平成26年に小児科学会からの提言を抜粋しております。提言の背景としまして、近年の小児期医療の進歩により多くの命が救われてきた一方で、原疾患が治癒に至らず持続したり、合併症が長期に継続したりしながら、成人期を迎える患者さんが多くなってきております。そして、継続診療が必要となっている場合、成人期医療への移行がふさわしい時期になっても、医療体制が整っていないために、あるいは本人の準備が整わないために、成人期医療への移行が円滑に行われないことがあると記載されております。医療体制上の問題点と課題として、患者教育、成人診療科医師の小児慢性疾患に対する知識・経験の蓄積、小児科医と成人診療科医師との連携、生殖医療、知的障害・発達障害を有する患者への対応が挙げられております。

2ページ、こちらは平成18年とやや古い調査になりますが、小児慢性特定疾患であった患者さんの20歳以降の通院先の調査です。18%が引き続き小児科を受診しており、疾患群別に見ますと膠原病、慢性心疾患、先天代謝異常では約40%がそのまま小児科に通院していることが分かりました。

3ページ、参考資料1の難病法に基づく基本方針における移行期医療に関する記述からの抜粋になります。国は移行期医療の連携を推進するためのモデル事業を実施し、都道府県、指定都市及び中核市は、これらの連携の推進に努めると記載されております。また、参考資料2、昨年度の難病対策委員会での御議論を頂きまとめた報告書を基に、今年の414日に「都道府県における地域の実情に応じた難病の医療提供体制の構築について」として都道府県宛てに手引きを発出しておりますが、その中で移行期医療の部分については、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会の検討の結果を踏まえ、別途通知することとするとしておりました。

4ページ、こちらは児童福祉法に基づく小児慢性特定疾病の基本方針の記述からの抜粋になります。国は移行期医療についてモデル事業を実施し、更にそれを踏まえ必要なガイドを作成し、都道府県等や医療従事者に周知するとあります。また、都道府県等はそのガイドを活用し、連携の推進に努めると記載されております。そこで本合同委員会では、この後、賀藤委員からモデル事業の報告を頂きますが、それを踏まえ、都道府県等が活用できるガイドについてどういったものを作成して周知していけばよいか、委員の皆様から御意見を頂ければと思います。

5ページ、モデル事業のポンチ絵になります。事業自体は平成27年度から開始しております。円滑に連携するためのツール等の開発や研修を行っていただき、その実証により移行期医療のモデルの構築、またそれらを通した課題の把握を行っていただきました。資料1の説明は以上です。

○千葉委員長 ありがとうございます。これはガイドの作成についての説明をしていただいたわけですので、特にここに御議論いただくことはないと思いますが、御質問等ございますか。よろしいですか。そうしましたら引き続き、資料2について国立成育医療研究センターの賀藤委員より御説明をお願いします。

○賀藤委員 成育の貨藤です。資料2を御覧ください。1ページから御説明をいたします。

1ページ、このモデル事業に参加していただいたおよそ7組の病院の紹介です。また後でこの病院名は出てきますので御覧ください。

2ページ、移行期医療の概念図と表しておりますが、2014年に小児科学会がステートメントの1つとして出した概念図です。一番大事なのはこの表の下から3つにありますように、小児診療科から成人の診療科へ移行するパターンを大きく3つに分けております。1つは、小児診療科から少しずつ併診をしながら成人診療科へ移っていくタイプ。あとは、小児診療科ではずっと大人になっても診ざるを得ないですけれども、やはり成人の病気は小児診療科はよく分かりませんので、成人の診療科と共同して小児科、成人科が一緒になって患者さんをケアしていくタイプ。あとは、これは成人科でなかなか難しい場合もありますので、患者さんにとってはいろいろなことを考えた末で、小児診療科で頑張って成人まで一緒に診ていく形。およそこの3パターンがあるのではないかとまとめてあります。また後で説明します。

3ページ、ここにありますように、移行期医療支援とは何ぞやということです。先ほど申し上げましたように小児期の小児診療科から成人の診療科へ、患者さんが大人になったから、では次は、今度からは成人診療科へ行って、お願いねとは簡単にいかないといういろいろな問題があることを示したものです。これはアメリカの資料を基にして作成したものです。まず、大人になって診療科へ移行する場合は、ある程度12歳前後からきちんと患者さん、又はその御家族と病気についていろいろ一緒に学んでいく。小児期の患者さんがきちんと自分の病気のことを理解し、それでもってきちんと自分で説明していく。自立に向かっていくことをきちんと育てあげていって、それでやっと成人診療科へ行くことができるのではないか。いわゆる診療科をパッと切って移行できるのではなくて、移行するためにはそれなりの準備が必要だということを書きました。

4ページ、ここにおよその移行期医療支援の考え方をまとめました。最初に申し上げておきますが、この問題は日本だけの問題ではありません。2002年にアメリカでは小児科学会、内科系の学会、あとはファミリードクターの学会が共同ステートメントを出しました。小児期の移行医療をきちんとしていかなければならないので、我々は協力していくというステートメントを出しております。約十数年遅れてやっと日本も動き出したということです。

 ですので、移行期支援に関しましては、きちんと小児期の病況に対応できる成人期の診療科があるかどうか。ないならないで整備していくという医療体制の整備。あとは、紹介するまでの患者さんたちのきちんとした自立に向けたリテラシー、患者さんが自分で自分の病気を説明できるようにする自立支援という2つの課題があります。ですので、医療体制をどうやって整備していくか。あとは、患者さんの自立支援にはどのくらいの支援制度が必要なのかをこの事業ではやってまいりました。自立支援といっても個人の患者さんだけの自立支援ではありません。社会的な就労関係もそうですが、その患者さんが自立してきちんと社会の一員として暮らしていけるようにするためには、患者さん自身の教育だけではなくて、社会的なサポートも必要だとして整備していく方向にならなければならないということが基本的な考え方です。

5ページ、ここに書きました「ガイド」という言葉を使っておきますが、これは2つです。アメリカの母子保健局(Matermal and Child Health Bureau)が主に後援して作ってきたものを訳したもので、それを参考にしております。移行期支援は患者さんの診療科、診療にかかわらず全ての患者さんに共通なガイドが必要だろうということです。あとは、その病気特異の支援制度、どのような形で支援していくかが必要だろうということで、2つに大きく分かれます。

6ページ、アメリカでは、6 core elementsが移行の指標、ガイドとして作られているのですけれども、このプログラム、モデル事業で参考になるかと思いまして、ガイドを作る場合の参考資料として翻訳している一部をここに掲げさせていただきました。

7ページ、疾患特異的に支援していかなくてはなりませんので、今、小児医科学会の各分科会に依頼して、各疾患別におよそ可能な範囲で、患者さんが大人の診療科に行けるような形でのガイドを依頼している最中です。

8ページ、今、申し上げましたように、小児科の各分科会、外科系の学会が移行のためのガイドを作って、だんだんと形にしております。例えば小児外科学会、左側がそうです。右側2つは小児腎臓学会と日本腎臓学会で一緒に作っていただいたガイドです。

9ページ、例えば、都立小児医療センター、九州大学病院、長野県立こども病院が独自で移行のための支援ツールを作ったもので、代表を少し掲げました。

10ページ、九州大学がきちんとトランジショナル外来を設けていますので、例として挙げました。

1112ページ以降は、施設によって、置かれた立場で移行のためのやり方が少し異なるものですから、それをパターンという形で例示させていただいております。例えば小児病院、国立成育医療研究センター、私どもの病院はスタンドアローンの小児病院ですので、どうしてもほかの病院、大きな病院に御紹介せざるを得ないことになっております。ですので、これは今のところ、ナショナルセンターの1つである国立国際医療研究センター等にお願いしまして、そこで今、移行できる人とできない人がありますが、移行できる方はお願いできないかということで少し一緒にやって考えている最中です。東京都立小児は隣に多摩医療総合がありますので、そこで一生懸命やっているということです。

12ページ、例えば福岡市立こども病院の循環器ですと、やはり九大で全部移行。これは100%九大に移行しているパターンです。同じ医師のグループなのでこういうことができる。長野県立こども病院も信州大学とやっていくということで、ここもきちんと移行していく形です。ここの特徴は、お互いに外来をやり合いながら、それでもって患者さんの移行に対応しているところだろうと思います。

13ページ、これは逆に言えば、施設の中で小児から成人に移行できるパターンです。国立循環器病研究センターがそうですし、九州大学は逆に言えば小児科から成人診療科、東京大学も同じだろうということで、全てが必ず100%できるわけではありませんが、こういう形でやっていけるパターンです。

14ページ、個別移行パターンと書いてありますが、医療的ケアを必要とする、在宅ケアを必要とする方々がたくさんいらっしゃいまして、在宅ケアをしていただく地域の開業の先生は万が一のときに救急外来に行けるような総合病院、大きな病院との連携がどうしても必要です。ここになった場合はこういうパターンも必要になってくるということです。

15ページ、移行支援が必要な患者さんが一体どのくらいいるのだろうかをスポット的に調査しております。2016年から1年間、1617ページに掲げました5つの病院で、通院患者さん、入院患者さんで年代別の患者さんを調べております。18ページに結果をまとめてありますが、20歳以上が通院患者で2.57.2%、1419歳が15%弱です。全体で入院患者は0.93.7%が20歳以上で、1419歳が5.09.3%ぐらいいたと。人数で言いますと、通院患者は20歳以上で継続受診している患者は、5つの病院では4,800人、移行期支援対象者数は1419歳では11,700人程度です。

19ページ、成育は小児慢性特定疾病の医療データが全て集まってくる所です。これは小児総合医療施設協議会の36施設の平成25年度のデータで、小児慢性特定疾病の医療意見書からはじき出した数字です。19歳までですが、15歳から少しずつ、どんどん意見書自体の数は減っているということが出ています。これはどういうことかというと、成長ホルモンの人たちが、だんだん申請しなくなったりする影響もあるかと思いますが、数でいくと、15歳以上の約4,000人弱ぐらいが小児慢性特定疾病でいることになります。

20ページ、これは成育だけですが、移行できないのだろうか、移行できない理由は何かあるのかと思って少し調べさせてもらったものです。2016年時点で20歳以上だった患者さんが1年後にどのような形になっているかを調べてみました。ですので、65.4%の人が1年たってもまだ病院に、約90%ぐらいの人がまだうちの病院に、20歳以上の人がいたということになります。ここで単純に1つの診療科だけにいるのであれば移行しやすいのかもしれないのだけれども、まだ移行していないというのは何なのだろうかということで、この65.4%の人の移行できない理由を探っております。

 それが21ページ、理由が幾つかあったのですが、単純に1つにしたいために、これがあったので移行していませんということを分けて右側にいろいろ理由を書いています。一番多いのがやはり「現在、状態が安定しているのでもう少し様子を見ている」というものでした。次が、成人科の医師の経験が少ないのでなかなか移行できない。タイミングを見て移行とか、病状も不安定とか、いろいろ書いたものがあります。

22ページ、こういうことで都内の小児病院に移行をお願いしている場合、成人の先生方からお聞きすることをここにまとめていろいろ書いております。やはり診療科がない。あとはフォローを一緒にしてほしいとか、重症すぎる場合は病院機能として限界があるとか、診療経過がないのでなかなか難しいとか、こういうことが書いてあります。

23ページ、医療的ケアを必要とする人たちが移行していく場合にどういうものかということで、これは世田谷区医師会、玉川医師会に御協力をお願いしてアンケート調査をした結果です。大抵は結構な先生方が大丈夫、診てくれるよということで頑張ってくださるのですが、やはりそれなりの不安があって、ここに書かせていただいた4項目ぐらいが何とかしてほしいという医師会の先生方からの御意見です。

24ページ、移行できない場合はどこに原因があるのかです。これは患者さん側のことですが、小児科というのは、親御さんに説明するので、患者さん本人への説明の機会がなかなかなくて、一番はヘルスリテラシーの欠如です。なかなかうまくいかないということです。あとは、小児科の先生と患者さんと患者さん家族とのつながりが、ものすごい信頼関係がありまして、逆に言えば障壁になっている可能性があります。小児科のお医者さんからすると、最初からあきらめているということもありますし、自分しかこの患者は診れない、まあ僕は思い込みだと思いますが、そういう人たちもいます。成人科の先生はどうしても先天性の病気になりますと診たことがありませんので、自信がない。知的障害等の方々ですと慣れていないので不安だということがあります。

 ですので25ページ、今まで申し上げましたような問題があるということで、移行期支援のモデル事業では、26ページからずっと続くホームページを立ち上げておりまして、ここで記載しましたように各参加した病院で行っている事例のガイドとか、内容とか、あとは最後のページになりますと各小児科の分科会というものがありまして、疾患ごとのプログラム、移行支援のプログラムを全部できた順番からここで掲載して、何とかこれにうまくいくような形で整備している最中です。

 最後30ページ、まとめますと移行期医療には2つあります。1つは全体的な社会的な整備。あとはものが必要で、それは具体的な体制整備。連携手続等はきちんとまとめて行政的なことをお願いしなくてはいけないのかと。あとは患者さんサイド、全体の全ての患者さんに共通するもの。あとは疾患特異的なものの支援ツールを作成していく。今、行っている最中です。どうしても小児科医の学会だけでなくて成人の先生たちの学会の御協力がなくては絶対にできませんので、その辺の理解を得る努力もしなくてはいけませんし、逆に言えばなかなか、そうはうまくはいかないときもありますので、その方々へのケアもきちんと書いていかないといけないと思っております。

 最後に大事なことは患者さんが今度、本当に経済的にも自立できる、社会の一員として生活できるような体制整備もきちんとしていかなくてはならないということを重要な問題として考えております。以上です。ありがとうございました。

○千葉委員長 ありがとうございました。移行期医療における連携の推進のためのガイドの作成ということで御説明いただいたわけですが、正直、私もこういったお話をお伺いするのは初めてであり、小児科側でこのような検討をされていて、これは正に小児科の先生方とか小児科側だけでお話されていたのでは、多分話が進まないと思います。今日は難病対策委員会の委員の方々も一緒になっておられますので、是非、いろいろな御意見等々を頂きたいのですが、いかがですか。

 ですから、これはこういうモデルケースとして走っていただいていて、基本的には特定の病院から特定の病院へという形で組まれているわけです。最終的にはこれを全国レベルで展開していかなければならない。その1つのモデルケースということですので、このモデルケースについての御議論を頂くと同時に、多分、どのようにすればこれを全国レベルにもっと広く展開していけるかと、そういう方策についても御議論を頂く必要があると思います。ということで、いかがですか。いろいろな御意見があると思いますが。

○森委員 難病も小児発症の方も多くおられますので、とても重要なことだと思います。3ページの移行期医療支援ですが、この図では12歳前後くらいから、患者さんへの周知・理解が始まっているように書かれております。既に発症したときから患者となりますと、例えば全身性エリテマトーデスでしたら、紫外線を避けなければいけないとか、薬を飲まないといけないとか、関節の痛みなどがあると走れないとか、ムーンフェイスが起こってしまうことなどもあります。集団生活が始まるときからほかのお子さんと違うといったところが、保育園などでも起こっており、いじめにつながっているケースが、私どもの患者団体にも相談が寄せられています。やはり幼稚園や保育園、また学校の先生方の理解や対応が大きく関わってくるところでもあります。そして患児の年齢に応じた、また理解度に応じた、疾病の説明や必要な知識など治療に向けて一緒にやっていこうというところは非常に大事だと思いますので、発症から資料の12歳までの間も、何らかの形で書き込んでいただきたいとも思います。

24ページの移行医療の障壁で、患者側の要因が挙げられております。この障壁を解消する方法として、先輩患者さんの話を聞くというのが、例えば特別支援学校などでもよく行われているのですが、これが非常に効果的でして、私どもも子供ながらにもピア・サポートというものも大切に養成しており、患者同士の話の中で相談をしたり、先輩の患者さんの話を聞くことは、患者本人にとって非常に参考になると思います。

○千葉委員長 特に子供に照準を合わせたときのいろいろな問題点を御指摘いただいたと思いますが、ほかはいかがですか。

○小幡委員 小児科にかかっている方が成人になるときに、当然できるだけスムーズに移行することが必要だということで、こういう話になるのはよく分かります。その中で、多少分からないのは、いろいろな障壁の要因の中に、例えば成育医療センターの21ページの成人患者が移行できない理由の中に、成人科医師の経験が少ない疾患がありますが、これは小児特有の病気であったから、最終的にもそこの専門の医師が成人後もずっとフォローをしたほうがよいものがあるという場合は、必ずしも移行しなくてよくて、小児科が診続けるのはこういうものだということを明らかにすればよいということが、モデル事業とかそういうものの中に含まれているのかという点です。

 もう1つ、24ページの移行医療の障壁で「強すぎる信頼関係があり」という患者要因があります。これはある意味では、よいことでもある信頼関係で、小児のときから信頼できるお医者さんに巡り合っていて、というのは、ある意味非常にプラスのものですが、それでも成人後、さらにかなり年を取ってもそこに通い続けるのは、医学的に患者さんにとってデメリットがあると考えるべきなのか。ということですが、私は法律をやっている者なので、基本的なことをお伺いしたいと思います。

○千葉委員長 その点は、賀藤先生、お話いただきたいと思います。

○賀藤委員 最初の御質問で、成人科医師の経験が少ない疾患だということです。これは、例えば先天代謝異常は生まれつきの病気で、新生児から出る。これは全く成人期には発症しない病気ですので、成人の先生は全く分からないことになります。ですので、逆に言えば、そういう疾患の場合は、あえて成人の先生に診てくださいというよりも、これは小児科のお医者さんです。あとは、それ以外の成人期の疾患を、例えば生活習慣病とか、そういうのは全然分かりません。成人期で何かあった場合は困りますので、成人の先生と一緒に診させていただかないと、不安になるところが出てくるのではないかと思います。ですので、これは無理をして成人期に移行しなくてはいけないというものではありません。成育のほうでも書いたのですが、私たちはその患者さんにとって一番いい診療体制は何かということを患者さん側ときちんと相談して選択するということですので、強いることは全くないということです。

 あとは、24ページの信頼関係です。例えば、小児慢性特定疾病で成人でもある後発性、後天性、先天性ではない病気で、それで小児科の先生がきちんと一生懸命やってみえて頑張ってきた、でも成人でもたくさん経験のある先生もたくさんいらっしゃって、同じような病気を診ている先生がいらっしゃったら、どうしても成人以降は成人の先生方にかなわない部分が出てくることがあるのではないかと思っています。成人期に出てくる特徴的な病態、いろいろなことがありますが、同じ病気を成人のほうの先生がきちんと診られるのであれば、それで成人、304050歳になってきた場合は、それなりの考え方がありますので、それは小児科の先生は全然分かりませんので、それはどこかできちんと転科したほうがいい場合もあるだろうと思っています。繰り返しますが、患者さん、その御家族と一生懸命話合いしながら、その人にとって一番いい方法は何かということの選択だろうと思います。

○小幡委員 分かりました、一応、確認したかったのです。そうすると、2番目の場合は、正に移行がうまくできるようなシステムを整えることが大事だということですね。

○井田委員 私は正に今話題になりました先天代謝異常症の専門家です。資料の2ページに図で小児期医療からの移行パターンがいろいろ書いてあります。1は完全に成人診療科に移行するパターン、2は両方で診ていくパターン、3はずっと小児科で診ていくパターン、というように3つのパターンがあるのです。例えば先天代謝異常症は、確かに疾患自体は小児科医しか診られないのです。ただ、その方が50歳になって、卵巣機能不全になったり、胃がんになったり、高血圧になっても、小児科医にはそういう知識はありません。

 ですから、先天代謝異常症であっても、一部の医療は成人診療科に補完していただかなくてはいけないのです。そういう意味で、多分100%ずっと小児科というわけにはいかないのではないかと思います。移行期医療は疾患や患者さんによりパターンがいろいろあると思います。御家族とよく相談しながら、どういうパターンがベストかを見付けていくことが臨床上重要なことだと思います。そしてパターン毎の医療体制の整備が本会議の大きな課題だと思います。

○千葉委員長 よろしいですか。これは私から思っても、多分、疾患によって異なるのでしょうね。ですから、最初のガイドの作成についての2ページを見ても、一番上の膠原病がどうしてこういうふうになっているのかは、私自身もよく分からないところもあるのです。例えば、糖尿病などは、小児の糖尿病は非常に大きく異なるものではないので、割と移行しやすいから、一番下に来ているのだと思うのです。今おっしゃられたように、例えば先天代謝異常などの場合だと、内科医で専門の方は非常に少ないこととか、いろいろな要因があると思うのです。ですから、ケース・バイ・ケースと言えばそうですが、疾患ごとにある程度のガイドが必要かと私自身も感じています。

○小林委員 小林といいます。今の小幡先生の信頼関係のことです。これは家族側にも患者側にも原因があると思いますが、医療側にも、両方に原因があると私たちは思っています。信頼が強すぎるというのは、ある意味とてもいいことですが、逆に今度信頼が強すぎることによって、例えば大きくなっていったときに、医師が親御さんに話をすることが1つあるのです。子供さんに話をしないために、これは小児科でよくトラブルになります。井田先生などはよく御存じだと思いますが、小児科では子供さんが自分の医療の説明を、自分の医療の決定に自分が関わらないで、親が全部決めたということで、よく医師や親とのトラブルになるケースが珍しくなくて、とてもたくさん見られると思います。

 もう一点は、今申し上げたように、例えば小児科医は親に対してよく説明をするわけですが、今度、内科に変わったときに、内科医は親が付き添って診察室へ入ってきても、親の顔は見ないで、子供さんに、患者さんに説明するわけです。そうしますと、今度は親御さんと医師との間にトラブルが起きたりということがよく見られたりします。こういう報告はよく聞くのです。

 もう1つは、小児科医が患者をなかなか手放さない。それは小児科医としては、患者さんをとても心配して、中には井田先生のように正直な方もいらっしゃるし、私はずっと大人の病気を診られるんだと、そういう方もいらっしゃったりするのです。診られないとは思いませんが、よく話を聞くのは、手放さないでずっとその患者さんを診ていると、こういう報告もよく聞いたりするわけです。冒頭にあったように、この3つのパターンがあると思います。私は小児科学会のワーキンググループにも参加させてもらってこの提言をまとめた中の1人だったのですが、パターンとしては、病気によってとか一人一人のケースによっていろいろなパターンが出てくることに配慮が要るのだなという印象を私たちは思っています。

○千葉委員長 正に内科と小児科では、説明する相手が変わってきますね。

○羽鳥委員 日本医師会常任理事で内科の羽鳥と申します。先ほど移行期医療において3つのパターンがあるという話がありましたが、循環器ですと、九州大学では、ACHD外来があり、子供の先天心の治療後も、成人の循環器外来で深慮をする、そういう外来もあると思うので、他の疾病についてもそのような診療体制も可能だと思うので、モデル事業として示すのも大事ではないでしょうか?

 小児科だけで4050歳の方を診ていくのは、何か不自然なのかもしれないので、もともと診ていた先天異常が得意な小児科の先生と、生活習慣病を診る大人の外来の先生の2人で診ていくという体制もあると思うのです。その辺をまた御検討いただければと思います。

○大澤委員 私は小児科で筋ジストロフィーの患者を多く拝見していますが、実際には2のパターンで拝見しながら、成人とも相談しながらみたいな部分もあるのです。例えば大きい病院で成人科と小児科が一緒に1人の患者さん、例えば脳出血を起こされて、成人の神経内科に入院されるなり、脳外科に入られるなりして、そのときに基礎疾患については、小児科のそれまでの主治医にコンサルテーションがあって、その小児科側も拝見する併診ということも起こるのです。実際、入院においては、2つの科が1人の患者さんの入院中に拝見することに関しての医療システムといいますか、医療経済的なバックアップは、今は特にないのです。ですから、できればそういうものもあったほうが良いと思います。

○千葉委員長 移行におけるバックアップということですね。

○及川委員 私は小児看護を専門にしている者なので、その立場からお話させていただきたいと思います。自立支援をしていく上では、今は医療が中心になってお話されていますが、子供たちが自立していく上では、もちろん身体的な部分だけではなくて、心理的・社会的な部分も含めて大人になっていくことを考えますと、そこに支援する者が、もちろん医師だけではなくて、ほかのスタッフたちも入っていくのだろうと思うのです。そうした場合に、今回、このプログラムというかガイドを作成する過程においては、どういう方々が入ってプログラムを作成していっているのかを聞きたいのが1点です。

 それから、もちろん小児医療の中でずっと診ていかなければいけない患者さんたちも、中にはいらっしゃるかと思うのです。ただ、そうしたときに、小児看護をしている者は、対象は子供という形で見てしまう。ですから、それが多少年齢が上がっていったときにも、相手をきちんとした大人として扱うかどうかに関しては、小児看護の中でもその辺をきちんと教えているわけでもありませんし、今、そういう形でやっている人たちは少ないかと思うのです。

 そうしたときに、大人の人たちが、大人の看護師がそこに入ってくることによって、大人としての扱い。扱いという言い方はおかしいのですが、どういうふうに患者さんに大人として対応していくことが必要かということを、教えてもらうというわけではないのですが、そういう対応の仕方をきちんとやっていかないと、自立を促していく、又は大人になっていった人たちに大人としての医療であったり、社会生活であったり、そういうことを含めて支援していくことは難しいのではないかと思うのです。ですから、看護だけではなくて、もちろん福祉面であるとか、そういうことも含めて是非検討していただきたいと思っています。

○千葉委員長 今の御意見は、治療の話が少しあったわけですが、それに加えてそれを取り巻く、特に看護師をはじめとするコメディカルの方々の関与は、このガイドの中でどうなっているかを、まず1つあったらお願いします。

○本田()委員 この移行期の教育の観点から考えますと、高校を卒業して進路を変えていくときに、場所を変わっていくことがあります。うちの学生でも小児のときからの病気を持っていて、それでうまく適応していって、新しい環境でやっている子もいれば、うまくいかなくて結局やめてしまう子もいるのです。移動がどうしても出てくる大学移行期の辺りの子供さんというか、青年期になってくるような方々に対しての医療のつなぎ方が、先ほどのモデルだと地域の近い所の大学病院だったのですが、広い関係での移行の連携の持ち方は、学会とかいろいろな委員会でも御検討されていると思うのですが、その辺りの連携の取り方は、何か方向性は見えてきているのかというのをお伺いしたいのですが。

○賀藤委員 まず移行に向けて医師が医療以外でどういうことをやっているかは、例えば111213ページに各参加した施設のパターンを書いているのですが、その中に「移行支援外来を設置」と書いてあります。これはわざわざ作っています。というのは、この移行支援外来の主人公はナースです。医師は診察に追われていますので、そこまでなかなか行きません。それに、自分の悩みは大抵医者には話さないので、私どもの施設でもそうですが、きちんと移行支援外来を作って、その担当のナースがまずは悩み事を聞いたりとか、いろいろなことでやっていきます。そこで大抵11時間掛かります。

 ですので、限られた人数しかまだできていない。そこで受診したときに、その予約もきちんとしてもらう形でやっていく。限られた時間ですので、何年も掛けて、結局は成人期に移行するために、きちんと自分の病気の理解とか、いろいろなプログラムをして、何歳まではこのくらい、何歳まではこのくらいと、細かくプログラムを作っていきます。それで先生がおっしゃったような形で、成人して自立していく形できちんと教育しながら移行していって、今この人はこれができる、あれができる、これもできると。だったら移行適合先を見付けて、できるねというところまで持っていくプログラムを今考えております。だから、結構大変です。ということで、そういうことも含めてのプログラムですので、そのガイドラインをきちんと筋道を立てたものを作ろうと思っています。それは疾患に関係なくです。ただ、今度は疾患別になりますと、それは疾患ごとなので、これはまた別のほうで言わなくてはいけないと思っています。

 あとは、本田先生から言われたことですが、なかなか難しい問題です。多分、一番進んでいるのは、成人先天性心疾患だろうと思います。術後の成人先天性心疾患の一番嫌なのは不整脈です。不整脈は重症不整脈ですと、大抵突然死します。あとは心不全が悪化してくる、弁が駄目になってくることが最近分かってきましたので、今、日本循環器学会が中心になって各施設基準を作り、手を挙げてくださいということをやっています。今、全国で36施設の大きな病院が手を挙げて、成人先天性心疾患を診ますと。その中には産科があることや、精神科があることとか、女性の場合はやはり妊娠した場合のことも大変重要なことになってきます。あとは、小児循環器があること、先天性心疾患の手術の実施者がいること、不整脈の専門家がいることなど、いろいろな細かい基準を設けていますが、36施設が手を挙げてくれています。こういう病気のこういう人は、ここに行けば診てくれますというマップを付けておきます。ですので、それは1つの例かと思います。

 そこまでできるかどうかは別にして、そういう形で地域をまたぐ形の連携はしなくてはいけません。多分疾患ごとにいろいろなことが変わってきますので。ただ、たまたま先天性心疾患は日本循環器学会、小児循環器学会の人たちが全部入り込んで作ったものですからうまくいっていますが、疾患ごとに全部特色が全く違ってきますので、それは各々の専門家の先生方が、今後考えていただかなくてはいけない大きな問題だろうと思っています。

○石川委員 すみません、遅れまして大変失礼いたしました。私は日本医師会で小児科の部分を担当しています。羽鳥先生は内科で、私は小児科で循環器をやっているのですが、大変厳しく年齢制限をしている小児病院で勉強していました。先ほどありました筋ジストロフィーのデュシェンヌ型の方などは、ちょうど15歳を前後に大変危機的になります。移行ということで、ほかの成人の所に行きなさいとかなり無理やり言われて、親も子供も大変悲しい思いをしたというのは30年ぐらい前の話ですが、そういうことがありました。

 その後、中小の病院で小児科をずっとやっているのですが、そこで出てきたのは、要するに自閉症も含めて障害を持った子供たちもやはり大きくなりますので、この子供たちを診ていって、大人の病気とかそういうのになると、内科とか外科の先生にお願いするのですが、実に扱いは下手です。特に自閉のお子さんとか、障害を持ったお子さんに対しての扱いは、やはり今まで診ていた小児科の医者が関わらないと、どうしてもコミュニケーションが悪くなります。私は今はやりのファーストということで言えば、患者ファーストでその疾病に合わせて、年齢に合わせて、いっぱい疾病も変わりますので、そこでいくべきが方針だと思います。ですから、診療科が混合であってもいいし、余り基準を決めずに患者さんの病態、そういったものに合わせて、家族、子も含めた同意をもっていろいろ医療を当たっていくのが一番大事だと考えます。

○千葉委員長 今、小児科からの御意見が多いのですが、内科側からはいかがでしょうか、何かありますでしょうか。私も内科ですけれども、正に疾病によって違うのですが、併診というのが何となく好ましいのかという気はします。ですから、大人のほうに移行されてきた方も何らかの形でもともとの小児科の先生の所に一部足を根差しておいていただいて、一緒に診られたら一番いいと、これは内科の医者からの印象としては思います。

○坂上委員 坂上と言います。賀藤先生から成人先天性心疾患の話が出ました。昨日勉強する機会があったのですが、成人先天性心疾患を診ますと手を上げている医療機関が全国に36施設あるのですが、多くは東京にあり、地方にはほとんどないという現状があります。地方でも診てくれる医療機関を増やしてほしいです。先天性心疾患の患者さんは子供のときにいったん良くなって、病院に行かなくなるが、大人になって状態が悪くなり、あらためて病院を探さないといけないという事態もあります。その場合、どこで診てくれるか、ホームページでチェックすることができる、成人先天性心疾患の取り組みは、とても、ありがたいと思います。ほかの難病でも同じような事態はあると思うので、ある程度大人になってから、あらためて病院を探す場合、どのような病院が受け入れてくれるのかについて、国民が知り得る仕組みを作ってほしいと思います。

 もう一点要望なのですが、成人移行期医療において在宅診療という視点は、とても大切だと思います。14ページに個別移行パターンの中に在宅診療医が書かれてあります。例えば人工呼吸器を着けた症状が重いお子さんなどの診療の場合、子供の頃から在宅診療をしていただけるお医者さんがいると、とても心強いです。しかし、残念ながら難病患者の在宅診療を行っている医師は少ないので、是非ともそこを充実させてもらいたいです。成人移行期に考えると、在宅診療の先生が要となると思うのです。医療だけではなくて、学びの場や社会との接点をどうするか、などについては、地域の開業の先生や在宅の診療の先生が情報や知識を持っていると思います。

また、子どもを診ている病院から大人を診ている病院への引き継ぎは、書類だけによるものではなく、医療スタッフ同士が顔を合わせて行ってほしいと思います。患者や家族がどのような問題を抱え、それを解決するには、どのような支援が必要か、など、しっかり話し合ってほしいと思います。

○千葉委員長 ありがとうございます。大分時間がなくなってきました。ちょうど今御意見を頂いたポイントですけれども、これはモデルケースとしてしておられるわけで、基本的には大きな病院の小児科から内科へ、あるいは比較的大きな病院から大きな専門病院へというところでのモデルの提示がなされているようにも思います。これを最初に申し上げたように、いかに全体に広げるかというところで、そこが非常に大きなポイントになると思いますけれども、それについては、賀藤先生、御意見といいますか。

○賀藤委員 診療体制の整備については、やはりこれはきちんと行政側にもある程度はお願いせざるを得ないところがあるかと思っています。先ほど言っていました、どこが診てくれるのかも含めて、各地域できちんと話し合う場を設けていただいて、その音頭を取っていただくのは、やはりどうしても行政側にお願いする形を今考えてはおります。あと、それに向けて自立支援も大変重要なものです。これは逆に言えば、九大の方がありましたけれども、九大病院には自立支援の方が行っていらっしゃるのです。ちゃんとその人たちのことを含めて、就労支援も含めて、それをしないと、なかなかうまく行かないのです。そこも含めてお願いすることも今考えております。

 もう1つ、追加なのですが、先ほどおっしゃいました在宅のケアなのですが、私たちの所は地方もそうなのですが、小児科のお医者さんよりは内科の方々のほうが大変積極的でいらっしゃいます。最初は小児となると人工呼吸器が着いてちょっと戸惑うのですが、一緒に診ていって慣れますと、皆、一生懸命やってくださいます。内科の先生が一生懸命やってくださるので、そっちのほうがスムーズに行く可能性が高いかと思っています。

○千葉委員長 この点に関して、今の辺りでいかにモデル事業を広げるかというところでの御意見がありますでしょうか。これはこれからの問題になると思いますが。

○小林委員 今、賀藤先生からもお話が出たのですが、小児慢性疾病できていますので。小児慢性疾病では自立支援事業というのをやっていて、自立支援員が都道府県、指定都市におりますので、その自立支援員の業務の1つにもこの移行期支援を加えていただくことによって、自立支援員は一人一人の子供さんのサポートをやっておりますので、そんな取組も考えられるのではないかと思います。

○及川委員 移行期外来は私も存じていて、是非積極的に進めていただきたいと思うのですが、やはりそこを担う看護師の報酬といいましょうか、その辺をきちんと出していかないと、なかなか全国的に広げるのは難しくなる部分もあるかと思いますので、その看護師がどういう力量があれば、それができるのかというところも含めて、是非今回の検討の中に加えていただければと思います。

○千葉委員長 ありがとうございます。もう1つは、これはガイドラインの形態といいますか、どのような方向性でガイドラインを作ったらいいのか。先ほどのガイドなのですが、御説明では、総論があって、それぞれ疾患ごとの各論というお話を1つはされましたが、もう1つの問題として、対象者をどうするのか。医療ガイドを医療側だけのガイドとするのか、患者さん等のガイドも必要なのかといった辺りについては、何か御検討されておられるのでしょうか。

○賀藤委員 病気に関しては余りにも幅が広すぎますので、各専門学会にお願いしております。疾患に関しての医師側、患者さん側の気を付けることを含めて私どももよく検討します。また別途、移行期支援全体の共通項目、例えば移行期支援の外来のことや患者さんの側のことをやっていますが、疾患に関しては各学会でできる範囲でしか、まだ可能性はないかと思いますが、それはまとめていただくことにしたいと思っております。

○大澤委員 先ほど小林さんから自立支援のお話が出ましたけれども、実際には都道府県によっては医療費の負担を1か所の病院でしか認めてもらえないというのがあり、幾つかの病院にかかることが認められない現状もあるので、その点について特に移行期は複数の病院での医療費の負担を認められる状態を作っていただく必要があるかと思います。

○千葉委員長 それは重要ですね。小児科の先生は恐らく一括して診ておられるケースが多いと思うのですが、内科になってくると、この病気はこっち、この病気はこっちということになるので、他科に及ぶという問題が生じてくるでしょう。だから、そこら辺も1つのポイントだと思います。

○村田委員 難病に関しては幾つかの施設を認めている所が多いかと思いますが、1つの病院で、例えば私どもでほかの施設からの筋ジスの方を移行期医療する場合に、やはり1年ぐらいかけて、何回かはそちらの小児科の主治医にもいらしていただき、こちらの主治医と御家族と一緒にかなりの時間を取って、外来をするというようなことをします。私ども内科医にとっては、患者さんの御家族の信頼を勝ち取るのが一番重要なのです。そのためには当然、小児科の先生も一緒に来ていただいて、一緒に同じ意見を言わないと、なかなか信頼を勝ち取れない部分があります。そのときに今の診療費のことに関して言いますと、同一の日に1つの病気で2つの診療をしても、1つだけの1科診療報酬しか得られないので、それで1時間もかけて2人の医師が入ってもというような形になってしまうので、やはりそこには広める意味でもかなりの診療報酬を付けないと、現実的に動かすのは非常に難しいと思います。

○千葉委員長 大分時間がないので、簡潔にお願いします。

○安達委員 先ほど賀藤先生からありましたように、疾患別のガイドブックですが、現在、学校生活指導管理表というのがあります。これはお医者さんのほうで書いていただく主治医と学校との連絡帳的なものです。これを見て、学校としては教育上の配慮するべき点等を踏まえて、体育、あるいは食事、配慮を伴う学校行事等について行っております。今は心臓と腎臓、アレルギー、それと準じた形で糖尿病があるわけですが、こういう形で広げていただけますと、非常に学校サイドとしては助かります。是非、疾患別のガイドブック等を作成していただければと思います。

○春名委員 移行支援外来の自立支援で、例えば職場関係者に疾病の説明ができるように支援するとか、適切な自己管理ができるように支援することが課題となっているとのお話でした。これは大人の難病の方でも、医療提供体制の重要な課題となっています。医療機関では、治療の移行だけではなく、生活支援の体制の移行についても、子供のときから大人のところへと支援が移行できるような検討も必要ではないかと思います。

○千葉委員長 まだまだ御意見がおありと思いますが、そろそろ時間になってきましたので、一応、これで納めたいと思います。御議論を本当にありがとうございました。都道府県に対してどのようなガイドを作成するのかについて、いろいろな論点から御意見を頂いたかと思います。それぞれ疾病ごとに違いますので、一概にはなかなか難しいことがあろうかと思いますが、移行医療に関わる医療機能の情報の収集や提供、自立支援の提供などの機能が必要であるという点では皆さん御異論のないところであることで、一致を見たかと思います。事務局としましては、本日の議論を踏まえて、引き続き御検討のほどをよろしくお願いいたします。今後もこのような小児、成人との合同のディスカッションが継続して行えればいいと私自身としても感じた次第です。どうもありがとうございました。事務局から何かありましたら、お願いします。

○徳本難病対策課長補佐 それでは、難病対策委員会の次回の日程につきましては、決定次第、御案内申し上げます。小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会に関しましては、10分程度休憩の後、引き続きこの会場で第20回の委員会を開催いたしますので、お残りいただきまして、御協力いただきますよう、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○千葉委員長 どうもありがとうございました。私は内科でありますけれども、医師同士でいいましても、小児科、内科の連携は非常にこれからしっかりしなければいけないと感じた次第でございます。どうもありがとうございました。

                                    (休憩)

(第20回 小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会)

○徳本難病対策課長補佐 定刻となりましたので、ただいまより、第20回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会を開催いたします。委員の皆様にはお忙しい中をお集まりいただき誠にありがとうございます。

 本日の委員の出欠状況ですが、小幡委員から欠席の御連絡を頂いております。カメラの撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行につきまして五十嵐委員長にお願いいたします。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。大変有意義な会を先に行いまして、これから3つ目の小児慢性特別疾病対策についての会を行いたいと思います。初めに資料の確認をお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 資料の確認をいたします。資料1「小児慢性特定疾病その他疾病にかかっていることにより長期にわたり療養を必要とする児童等の健全な育成に係る施策の推進を図るための基本的な方針」に対する取組状況です。資料2「今後の小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方について」です。資料に欠落がございましたら事務局まで御連絡ください。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。それでは議事1から始めたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

○徳本難病対策課長補佐 資料1に基づき御説明申し上げます。こちらにつきましては、基本方針に記載しております内容について年に1回程度御報告させていただいているものです。今回は、昨年の平成289月に御報告させていただいたもののリバイス版でございます。

 まず、第1につきましては基本方針の概要です。第2、医療費の支給に関する事項の一「適合性の判断や診断の手引きの検討等」です。2ページ目、国は要件を満たす疾病を小児慢性特定疾病医療費の対象とするよう、小児慢性特定疾病の要件の適合性を判断、併せて医学の進歩に応じ、疾病の状態の程度を見直し、診断の手引きの見直しを推進するということです。こちらに関しての対応状況ですが、右に移っていただき、平成294月から新たに18疾病を小児慢性特定疾病の対象疾病に追加いたしました。平成2975日、本日のこの会議のことですが、小児慢性特定疾病児への支援の在り方に関する専門委員会を開催し、平成30年度実施分の小児慢性特定疾病の追加に向けた検討を行う予定にしております。診断の手引きにつきましては、厚生労働科学研究費補助金の研究により、平成281月に「小児慢性特定疾病-診断の手引き-」を発行いたしました。二「小慢児童等データベースの構築」は、平成29年度中の運用開始に向け、ただいま準備を行っているところです。

 第3、医療支援の実施に関する事項です。指定医の要請、診断の手引きの見直しと周知につきまして、引き続き取組を進めていくところです。四「地域に応じた医療提供体制の構築」です。こちらは先ほど第19回の委員会で御紹介申し上げましたが、難病の医療提供体制の構築に合わせ414日に通知を発出し、その進捗につきまして平成29年秋、今年秋に都道府県宛て検討の進捗状況をフォローアップする予定としているところです。国は都道府県における新たな難病医療提供体制の構築の支援を行うこととしております。五「成人期担当医移行のモデル事業の実施」です。右に移りまして、平成27年度からモデル事業を実施しており、28年度には支援モデルを構築いたしました。平成29年度は構築したモデルを踏まえたガイドについて、小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会において検証し、都道府県の移行期医療の体制整備を促進する。こちらに関しては、先ほどの19回委員会での検討の内容を記載しているところです。

 続いて第4、自立支援事業に関する事項です。1ページ進んでいただき5ページ目です。国は自立支援事業の先進的事例や好事例等の情報提供を行うなど、都道府県等の取組を支援ということで、昨年度の本委員会において報告をさせていただきました。また本年、平成291月から、難治性疾患政策研究事業において自立支援事業の実態調査、先進的事例や好事例の情報収集を行うとともに、自立支援員研修の指導要領の作成を開始しているところです。五「自立支援における実態調査等につきましても、研究事業において取組を進めているところです。

 続きまして第5、成人移行に関する事項の一「成人移行後の切れ目ない支援の方向性」につきましては、先ほど説明させていただいたとおりです。二「成人移行後の医療費助成の検討」についても先ほど説明させていただいたとおり、平成30年度実施分の指定難病追加に向けた検討を行っているところです。四「自立支援事業の充実と取組支援」につきましては、先ほど第44で御説明申し上げたとおりです。

 第6、調査及び研究に関する事項の二「小慢児童等データベースの構築」に関しては、平成29年度中の運用開始に向けた取組を進めているところです。

 少し飛びまして8ページの第7、関連施策との連携に関する事項の二「教育機関との協力」ということで、平成28年度の小児慢性特定疾患児の支援の在り方検討委員会に関する専門委員会で報告をさせていただいたところです。四「福祉サービス等との検討と内容の充実」についても、引き続き進めさせていただいているところです。9ページ目、六「特別支援教育の推進」に○が3つございますが、下2つは文部科学省の取組です。○の2つ目、入院児童生徒等に対して病院・在籍校・教育委員会等の関係機関が連携して支援を行う体制整備について調査研究を実施していただいているとのことです。また、学習指導要領において病気の状態の理解と生活管理に関すること等、健康の保持等について規定をしていただいています。簡単ですが以上です。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。資料1の御説明につきまして、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。

○益子委員 ちょっと教えていただきたいのですが、6ページ、小児慢性児童等のデータベースの構築を今年度運用開始ということでした。今、申請が上がってきていますけれどもマイナンバーを併記する所があります。要するに、このマイナンバーを活用して経時的な追跡もできるようにするということでよろしいのですか。データベースの活用ですが。

○徳本難病対策課長補佐 データベースに入力される医療意見書には、マイナンバーの番号は書いていないというように理解しておりますので、そういった使い方は今のところはできないかと思います。

○石川委員 もしそうだったとしたら、別表に入っている現金の扱いなど、そういったことについての問題でしかあり得ないのです。もし、そうやってやっているのだとしたらちょっと問題があるのではないかと思っています。ないでしょう、そういう欄は。ないですよね。恐らく、厚労のほうからそういった形では記入する所は付いてこないのが普通だと思います。

○益子委員 一緒に書かせているので、きっと収入確認のためですね。そうですか。

○五十嵐委員長 よろしいですか、ほかにありますか。

○小林委員 9ページの六「特別支援教育の推進」、今御説明いただいたのですが、右側の欄の2番目の○、調査研究を実施しているということなのですが、これはいつごろ結果というのが分かるのでしょうか。それからその下、適切な指導が行われているというのは、文科省がそのように言っているという意味なのですね。

○徳本難病対策課長補佐 はい。

○小林委員 この調査研究を実施して、いつごろ結果が出るのでしょうか。

○徳本難病対策課長補佐 この件に関しては今、手元にデータがありませんので確認させていただき、また個別お返事という形でよろしいでしょうか。

○小林委員 はい。

○岡委員 自立支援事業は小児慢性特定疾患においてはとても大事なことだと思います。先ほどの医療的なトランジションというのは医療の移行、小児から成人へということですが、社会的な面で言うと、この自立支援事業によって小児慢性特定疾患の子供たちを社会にうまくつなげるようにというのは非常に大事なことと思っています。

 東京都が一昨年度小児慢性特定疾患を受給している方へのアンケート調査をさせていただき、及川先生などにもおまとめいただいたわけです。御家族からのアンケート調査で、非常に高い回収率だったのですが、それを拝見しますと、いわゆる障害のある子供とはまた別に、毎日学校に元気に行っている小児慢性特性疾患の方たちが、例えば学校にどのように情報提供するか、そして将来どのような就労をしていくのか、そういったことに対する非常に高いニーズをお持ちであるということが分かってまいりました。難治性疾患でも調査いただいているということで、そのような調査を合わせて、どういった事業を具体的に組んだらいいのか。東京都もそのために調査をしたわけですが、そこのところはとても大事なことだと思います。是非よろしくお願いいたします。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございました。非常に重要な御指摘がありました。ほかはいかがですか。

○春名委員 先ほどあったように、大人の方の支援との連動ということで言えば、例えばデータベースというのも大人にもありましたし、こちらにもあります。その連動とか、あるいは昔の臨床調査個人票には生活自立の状況、就労状況などの調査項目があったのですが、新しいデータベースにはそういう項目がなくなったという話も聞きました。もし、そういうものがあれば移行の支援などもいいかなと思いました。そこら辺、どうなのでしょうか。その確認をしたいと思いました。

○徳本難病対策課長補佐 まず、御質問は2つあったと思います。1つは小児慢性特定疾病のデータベースと難病データベースの連結ですが、これに関しては現時点ではできていないというのが実情です。それぞれのデータベースに関し、研究班で御検討いただいているところでして、その両研究班で互いに情報共有をしていただいているので、今後のシステム改編等の段階での課題だとは認識しているところです。

2つ目、臨床調査個人票にADLなり、他の生活状況なりのデータが昔あったのではないかということてすが、以前入っていた情報、いわゆる臨床調査個人票のデータ内容を変えたということは基本的には余りやっていません。研究班からよほど、これは要りませんと言われない限りはあるものだと思っています。全ての疾患とは言いませんが、生活状況については今の臨床調査個人票にもあるということでございます。

○五十嵐委員長 ありがとうございます、ほかはいかがですか。

○安達委員 安達と申します。先ほど小林委員からもありましたが、9ページの六の右の3番目です。いわゆる特別支援学校に在籍している子供たちの数と通常学級に在籍している子供たちの数を比較しますと、通常学級にたくさん病気のある子供たちが在籍しています。確かに特別支援学校に在籍している子供、あるいは特別支援学級に在籍している子供たちに対する支援等については非常に充実しているかと思いますが、それ以外に通常学級に対する支援も今、本当に求められているかと思います。この間もテレビを見ていたら、かなり状況が良くないなと感じております。確かにインクルーシブ教育ということで文科省は進めておりますが、まだまだ十分ではないなと思いました。是非、通常学級への支援も合わせてお願いできればと思います。

○徳本難病対策課長補佐 御意見については文部科学省の担当にお伝えいたします。

○五十嵐委員長 この小慢の委員会、以前は文科省代表の方も時々おいでになっていましたよね。今日はおいでになっていないのですか。

○徳本難病対策課長補佐 今日は日程が合わなくて、声を掛けていないということではございません。

○五十嵐委員長 そうですね、はい。引き続き、文科省からも是非出席していただきたいと思います。

○小林委員 第4の自立支援事業に関する事項なのですが、一、二、三、四、五と項目があるのですが、そのうちの3つに斜線が引かれている。これは何もしないということなのでしょうか。ほかの第1、第2、第3を見ていくと、これほどたくさん斜線が引かれているものはないのですが。

○徳本難病対策課長補佐 基本的には国が取組をしているものについて御報告させていただいているものでして、第4の一、二、三については主語が都道府県となっておりますので、現時点では取組状況については記入していないということです。

○小林委員 ということは、地方での取組についてはまだ十分情報が集められていないということですね。

○徳本難病対策課長補佐 まず我々の情報について御説明させていただくとともに、今後、情報が入れば追記はあるかと思います。

○小林委員 分かりました。

○春名委員 先ほどの移行支援の話からまだ頭が抜けないということもあるのですが、一番最後、例えば国民への啓発です。この小児慢性特定疾患情報センターなどで、病気の啓発だけでは難病の方の社会的な理解を促進することは不十分な面があると感じております。例えば、先ほどの大人の難病の場合でも、治療と就労の両立のために、経営トップ等の理解が必要というようなことがありました。そのためには、病気を持ちながら普通に暮らしている人が増えているとか、がんの方と同じように普通に暮らしている人を社会全体で支えていこうという意味で、医学的な話だけでなく、生活者としてイメージがわきやすいように、メディアを使った啓発活動なども非常に大切かと思います。子供の難病の方が大人になったとき、病気を持ちながらどう生活しているかとか、そういうことも合わせて啓発していくことで患者さんにもいい情報になるだろうし、今後、社会の理解を進めていくためにも必要ではないか。最初に基本方針を検討したときよりも社会的な理解がどんどん広がっているような気もします。それに合わせた啓発活動の広がりも重要ではないかと考えております。そういったものがありましたらと思います。

○五十嵐委員長 これは御指摘ということでよろしいですか。

○春名委員 そうですね、もし方向性というか、動きがあるのだったらお教えいただきたいと思います。

○徳本難病対策課長補佐 今頂いたのは、いわゆる小児慢性特定疾病情報センターのコンテンツということでよろしいですか。

○春名委員 合わせて大人のものも含めた形で。当初の基本方針の段階ではもう少し狭い意味合いでの啓発だったと思うのですが、先ほどの大人の難病の方の取組状況の資料で、「経営トップ等の意識改革」といった内閣府の話が入っていましたので、何か大きな話の方向性でも出てきているのかなと思いまして、ありましたらというお話です。

○徳本難病対策課長補佐 例えば先ほどの難病の話などで言うと、就労支援の観点からかなり進んできた部分もあるかと思いますが、今頂いた小児慢性特定疾病に関してどのように啓発が可能なのかとか求められているのかにつきましては、情報センターだけではないと思いますが、そういった関係者と意見を交わして、より適切な取組を進めてまいりたいと思います。

○五十嵐委員長 様々な方向性で啓発活動を進めていただきたいということですね、ありがとうございます。

○坂上委員 坂上です。5ページの四「自立支援事業の取組支援」の中で、平成291月から難治性疾患政策研究事業において実態調査などを行うとあります。この事業はどこが委託されて、具体的にはどのように進められているのでしょうか。また、28年度の専門委員会の中で好事例や先進的事例が報告されたとありますが、どのような内容でしたでしょうか。自立支援事業をどのように進めていったらよいのか、まだ、分かっていない自治体もあると思います。こういう好事例を広く伝えることは非常に良いことだと思います。

○遠藤難病対策課長補佐 これは平成29年、今年1月から愛媛大学の檜垣先生を研究代表として、小児慢性特定疾病児童等自立支援員による相談支援に関する研究を行っていただいております。具体的には、今おっしゃいましたように自立支援事業の実態調査や好事例の把握等をしていただいて、最終的には全国におります自立支援員研修の指導要領を作成していただこうと思っております。そうすることによって好事例の横展開というか、全国にもいい自立支援事業が展開できるのではないかと考えております。

○坂上委員 自立支援研究のための指導要領、テキストみたいなものというのは今まではなかったのですか。

○遠藤難病対策課長補佐 具体的にそういったものはありませんでした。

○五十嵐委員長 難病のこども支援全国ネットワークと国立生育医療研究センターとが一緒になって、自立支援員の養成コースの第4回が終わったのかな、4年やってきましたですね。小林委員は何か、それについて。今、テキストがないという指摘もあったのですが。

○小林委員 テキストはありません。毎回、成育のほうでいろいろな資料を作っていただいてそれが積み重なっています。皆さん、地方の自立支援員の方は非常に関心が高くて、開催の案内をして募集を始めるとすぐ一杯になってしまいます。来年はいつやるのか、日程を教えてくれというようなことも来て、評価を高く頂いています。五十嵐先生には毎回、お忙しい中出ていただいています。ありがとうございます。

○五十嵐委員長 こういう地味な活動をやってはいるのですが、なかなかローカルな話というか、全国的に例えば年10回やるとか、それをやるだけの力が私どもにはないのです。何とか年1回、しかしリピーターもいらっしゃるぐらいで非常に好評なので、そういう事例も参考にしていただいて、研究班の先生方にもそれを利用していただいて何かいいものを作っていただきたいとは思っている次第です。よろしいでしょうか。

○石川委員 時々出てきては同じようなことを言うかもしれないのですが、すみません。2ページ目、基本的に18疾病が追加されて大変良かったと思います。小慢の疾病それぞれに、先生方の努力で医療として大変改善がされてきていると思っています。しかし、例えば筋ジストロフィーの基準で見ると呼吸不全や心不全など、薬が必要になったときが基準該当というようなことだとか、その間の発達支援ということについては医療の発達支援というのはほとんど支援できない状態になっています。ダウン症も基準の中には心不全や呼吸不全が1つの条件になって、そこまでは認定されないということになっています。しかし、医療的に発達支援をすると、その子たちの伸び、社会的な順応力は非常にありますので、自立支援を考える前に、もっと子供のときに発達支援をすれば十分に社会的な対応ができる子供たちもいっぱいいるということで、是非基準を少し考えていただきたいと思います。ダウン症のお子さんで心疾患がないとか呼吸の病気がないなどという人はいっぱいいて、その方たちの発達支援はやればやるほど社会に順応してくれます。是非お願いしたいと思います。

○遠藤難病対策課長補佐 小児慢性特定疾病の疾病の状態の程度に関する御意見かと思います。公平性の観点から、ほかの疾病との整合性や要件を満たすかどうかの観点から検討を進めております。先生から頂いた御意見、また関連学会や研究班の情報を収集して整理して検討してまいりたいと思います。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございます。そろそろ、議事2に移りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。

○遠藤難病対策課長補佐 資料2、今後の小児慢性特定疾病の選定に関する検討の進め方についてです。先週、627日に指定難病検討委員会が開催され、今年度の指定難病の追加の検討をすることが決定しております。小児慢性特定疾病についても指定難病と同様、今年度、追加の検討を行いたいと思います。検討に当たっては研究班及び関係学会から情報を収集・整理してもらった上で、本委員会において医学的見地から検討を行っていただきたいと考えております。本委員会で取りまとめた結果を昨年と同様、児童部会に報告し、そこで決定されれば厚生労働大臣によって疾病及び疾病の状態の程度として定めていただくというステップになります。具体的な手順は2ページ目に記載しておりますので御参考ください。以上です。

○五十嵐委員長 どうもありがとうございます。今年度も小児慢性特定疾病の新たな追加のチャンスが与えられたということですので、大変喜ばしいことだと思います。何か御意見、御質問はございますでしょうか。

○尾花委員 新しく追加なりのとき、疾病群を変えるということは可能なのでしょうか。実はリンパ管腫という疾患がありまして、今は呼吸器疾患に入っていると思うのですが、リンパ管腫はほかの部位にもできますので、例えば腹部など、ほかの部分のリンパ管腫を新たに認定していただくとき、疾病群ごとと言ってはおかしいのですが、全てのものをまとめて出すのか、それとも腹部のリンパ管腫というように出すのか、呼吸器疾患でないとなかなか出せないという部分も今ございます。その辺はいかがでしょうか。

○遠藤難病対策課長補佐 小慢のシステムの改修もあるのですが、疾病として上がってきたものを中心に、先生に今頂きましたように疾病群の検討もしてまいりたいと思っております。

○五十嵐委員長 単に新しい疾患を追加するだけではなく、既存のカテゴリーも場合によっては見直すこともしなければいけないかどうか、そういうことも検討していただきたいというわけですよね。当然今までの経験からしても、そういう御指摘も幾つか既にありましたよね。今年度実施に当たってそれができなかった、つまり積み残しの部分も多分あったと思います。今の御指摘にもあったように、カテゴリーそのものも変えなければいけないということも是非検討していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。ほかはいかがでしょうか、よろしいですか。御議論いただきありがとうございました。何か、全体を通して特に御意見はありますでしょうか、よろしいでしょうか。

○小国委員 1つお願いではないですが、こういうことがあるといいなと思っていることがあります。小慢の疾患の中でも、知的能力の高い方で大学に行きたいという方がいらっしゃいます。知的にはいいのですが、かなりの障害を持っていらっしゃるという例が実際にございました。しかし学校側として、私が疾患を説明しても先生方には理解ができない、つまり当該学生をどのようにしていったらいいかという事に関しては、一般論では解決できません。心臓や腎臓などの疾患で用いている「学校生活管理指導表」のような、学校に対してこういうようなことに気を付けてもらえればこの子はしっかりと大学生活を送れるという、何か指標のようなものがあったらいいのではないかと思いました。余りにも簡単だと困るので、「学校生活管理指導表」ぐらいの細かい指標を付けて、患者様に持たせていただくと、患者様及びご家族も学校に対して説明しやすいと思います。やはり、学校側としては責任もって預かれるかという点において難色を示すわけです。是非、今後、知的能力があって、学業をしたいという方へ向けての何か取組があるといいと思います。

○益子委員 先ほどマイナンバーのことをお話しました。実際、申請するときには所得の確認がありますので、マイナンバーの別の所だろうと思いますが、記入する欄があります。というか、マイナンバーを確認しています。ですので、目的外使用になってしまいますから今はできないかもしれませんが、マイナンバーと突合できれば平成29年、今年からのデータベースの件ですが、経時的な経過が追えるのではないかと思います。そういうことはお考えにはならないでしょうか。

○石川委員 医師会のほうでは、マイナンバーの利用に関してですが、医療にマイナンバーを入れないということを強く言っているわけです。患者さんの税金だとか、それから現金給付のところでのマイナンバーの利用というのは法律の中でも書かれてありますので、何らか必要なことで書かれることはあるかもしれませんが、マイナンバーを病状みたいなものに付けて、その経過を追っていくということは基本的に私は違法だと思っています。やってはいけないことだと思います。

 もし、患者さんの経過のようなものを追うということであれば、私たちが開発している医療専用のIDみたいなものが出現してくるまで待っていただくしかないと思います。それにはお名前などで追いかけていくしかない。マイナンバーはちょっと使えないと思っています。もしそれがあったら、それはちょっとおかしいのではないですかとむしろ言っていただいたほうがいいのではないかと思います。

○小林委員 今の話ですが、やはり同じようなお話をよくお聞きします。1つは病気ごとに一般化された冊子を患者会がよく持っているというのが1点、病気ごとの団体で作っています。もう一点は最近、主治医が御自分の患者さんの学校に出すための様子をとてもよく書いてくださるので、その両方を添えて学校にお出しになるのがいいのではないかと思います。最近、主治医がとてもよく書いてくださいますよね。

○小国委員 病名は忘れてしまったのですが、非常にまれな病気でした。生命に関わる状況からは脱していて、危機を乗り越えて、主治医からも「小児科は卒業していい」と言われたそうです。「今は、どの病院にも行っていないんです」という話でした。小児科を卒業して、トランジションがうまく行っていなくて内科の主治医がいないという状況です。患者様も困っておりましたし、私たちもどのように対応していいか非常に困ったケースでした。

○尾花委員 私たちは小児外科学会ということで、外科系の治療をしたあとのお子さんたちがいらっしゃいます。結局、そのお子さんのもう治療が終わっているので、どのようなことが行われたかというのが分からないものですから、先ほどの部会で出させていただいたガイドブックに一般的な診療の流れ、今後起こり得ることと社会的支援は今の段階で何を受けられるかということも含めたガイドブックを、その方に特化したものではなく、大体A423ページにまとめたものを出しております。先ほど言われたように、患者さん特有のものを持たれているものがかなり細かく書いてあって、非常に細かい合併症や二次障害なども書かれています。そこまででなくても大体一般的なものはどうかというものを持っていただいて、通常の日常診療を行う上では、主治医が原疾患に関しては小児科側、小児外科側の主治医が診るとしても、一般診療をやる上で成人科の先生、あるいは成人科のほかの医療者が見て分かるような内容でということでガイドブックを作ってみました。そういったことが広がればいいのかなと思っておりますし、もしそういうものが必要な疾患がありましたら担当の分科会に言っていただいて、同じような形で作っていただくというのも1つの手かと思っております。

○五十嵐委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか、それではこれで終了したいと思います。事務局から何か追加事項等ございますか。

○徳本難病対策課長補佐 次回の委員会の日程につきましては、決定し次第、御案内申し上げます。事務局からは以上です。

○五十嵐委員長 本日の委員会はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

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