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2017年6月22日 平成29年度第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局安全対策課

○日時

平成29年6月22日(木)


○場所

田中田村町ビル8F 会議室8E
東京都港区新橋2-12-15


○議事

○安全対策課長 それでは、定刻になりましたので、平成29年度第3回「医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。

 本日、御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。

 本日の調査会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いをいたします。

 傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為をしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠でございますが、全ての委員に御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。

 今回、議題が盛りだくさんでございますけれども、参考人といたしまして、福岡看護大学の基礎・基礎看護部門基礎・専門基礎分野教授の岡田賢司先生、国立成育医療研究センターの臨床研究開発センター開発企画部開発企画主幹の中村秀文先生、兵庫県立尼崎総合医療センター院長の藤原久義先生、国立成育医療研究センターの主任副周産期・母性診療センター長の村島温子先生にお越しをいただいております。どうもありがとうございます。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラのほうは御退室をお願いいたします。

(カメラマン等退室)

○安全対策課長 以降の議事進行は五十嵐座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。議事をこれから始めたいと思います。

 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、議事参加について御報告いたします。本日御出席の委員及び参考人の方々の過去3年度における影響企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受け取り状況を御報告いたします。

 本日の議題に関して、競合または影響品目、競合または影響企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいておりますが、五十嵐委員及び遠藤委員より、武田薬品工業株式会社から50万円以下の受け取り、柿崎委員より、武田薬品工業株式会社から50万円超500万円以下の受け取り、岡田参考人より、武田薬品工業株式会社及び第一三共株式会社より50万円以下の受け取り、中村参考人より、ヤンセンファーマ株式会社より50万円以下の受け取りと申告いただいたほかは、受け取りの申告がございませんでした。

 よって、議題1及び議題2については、審議対象企業及び競合企業から50万円超の寄附金・契約金等の受け取りのある委員、参考人はいないため、全ての委員におかれまして、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、参考人におかれましても、意見を述べることができます。

 議題3については、影響企業からの寄附金・契約金等の受取額にかかわらず、申告書を会議終了後、厚生労働省ホームページに掲載することをもって、審議及び議決に加わることができるという薬事分科会の審議参加規程に基づき、全ての委員におかれまして、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、参考人におかれましても、意見を述べることができます。

 これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。審議参加に関する遵守事項についての説明は以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ただいまの説明につきまして、御修正等はございませんか、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 特にないようですので、競合または影響品目、競合または影響企業の妥当性を含めまして御了解をいただいたものといたします。

 それでは、事務局から本日の配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、議事次第を1枚おめくりいただいたところの「配布資料一覧」がございます。こちらに基づいて確認をさせていただきます。

 <議題1> 

資料1-1 要指導医薬品のリスク評価について
 資料1-2 アルミノプロフェンのリスク評価について

 <議題2>

 資料2 バレニクリン酒石酸塩について

 <議題3>

 資料3-1 コデインリン酸塩等の小児等への使用制限について

 資料3-2 調査結果報告書

 資料3-3 業界からの要望書について

 資料3-4 関係学会からのご意見について

 以上となります。資料の漏れあるいは印刷の落丁等ございましたら事務局までお知らせください。

○五十嵐座長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 それでは、議題1に入りたいと思います。個別成分の審議の前に要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順につきまして、初めに事務局から説明をしていただきたいと思います。

○事務局 資料1-1「要指導医薬品のリスク評価について」を御用意ください。

 1ページ目でございますが、表に記載されていますアルミノプロフェンにつきましては、現在要指導医薬品に指定されており、このたび製造販売後調査の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価を本日お願いするものでございます。

 おめくりいただきまして、初めに要指導医薬品の一般用医薬品の移行の評価手順につきまして簡単に御説明をさせていただきます。

 「スイッチOTC薬等のリスク評価について」という表題のページでございますが、こちらはリスク評価手続につきまして、平成2512月に開催されました医薬品等安全対策部会において決定いただいたものでございます。本日の御審議はこの部会決定に基づき、実施していただくものになります。

 背景から順に御説明いたします。

 平成25年の旧薬事法改正によりまして、適正使用のために薬剤師による対面の情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品といたしまして、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうち、スイッチOTCやダイレクトOTCに当たるものにつきましては、それぞれ一定期間製造販売後調査の実施が義務づけられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行するという形になっておりますが、移行の際には一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要があります。

 2ポツ、下線を引いているところでございますが、一般用医薬品としての販売可否に関する評価につきましては、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととしております。製造販売後2年以降の時点におきまして、製造販売後調査の中間報告の結果などをもとに製造販売承認の拒否事由に該当する状況にはないということを確認していただくこととなっております。

 この確認につきましては、3ポツに記載されておるとおり、この安全対策調査会にて行っていただくこととしており、また、本日の審議結果については後刻開催されます医薬品等安全対策部会に御報告する形としております。

 要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを図にしております最後のページを御覧ください。

 製造販売企業は承認後、原則3年間の製造販売後調査を実施いたしまして、その間、要指導医薬品と区分されてございます。調査期間中、1年ごとに年次報告書が提出されまして、また、製造販売開始後、2年以降が経過し特別調査の目標症例数、本日の審議品目の内服薬の場合には3,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。この中間報告書をもって、本安全対策調査会にて一般用医薬品としての販売の可否について御評価をいただきたいと考えております。

 一般用医薬品への移行が認められた場合でございますが、3年経過時点の製造販売後調査が終了した時点で第1類医薬品に移行いたします。終了後、1年の間に企業から提出される最終報告などの結果から、一般医薬品としてのリスク区分を改めて安全対策調査会及び部会の審議などを経て決定する形になっています。

 今回、御審議いただきますのは4ページの図の真ん中にありますマル1の部分でございます。

 手続についての御説明は以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 御質問等ございますか、よろしいですか。

 早速、アルミノプロフェンの審議をしたいと思います。

 事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-2を御用意ください。

 まず、初めに資料1-2についてお断りをさせていただきます。

 後ろのほうに製造販売企業から提出されました報告書を添付してございますが、出荷数量等の情報に関しましては、委員の資料でグレースケールのような形で印刷をしてございます。傍聴用の資料では、マスキングという形をさせていただいておりますのであらかじめ御容赦ください。

 資料1-2「アルミノプロフェンのリスク評価について」御説明をいたします。

 販売名はルミフェン。

 効能・効果は、資料にお示しのとおり関節痛等の鎮痛と悪寒・発熱時の解熱となってございます。

 用法・用量は、15歳以上の成人で1回1錠、1日2回まで、ただし、再度症状があらわれた場合には、3回目を服用できるとなってございます。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。

 個別に薬局と契約をいたしまして、モニター店舗にてアンケート調査票を配布し、そのアンケートによる調査が実施されております特別調査におきましては、調査症例数3,001例でございました。そのうち副作用が3652件上がってきておりまして、発現率は1.20%となってございます。この内訳は傾眠が12件、腹部不快感が9件、口渇が5件等で、重篤と判断された症例はございませんでした。

 使用者あるいは薬剤師からの自発報告という形での一般調査におきましては、報告された副作用は1例1件、発疹でございました。こちらも重篤と判断された症例ではございませんでした。

 医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく重篤な副作用等の報告でございますが、この中間報告書のデータロック後に、この法律に基づき報告された重篤な副作用報告はございませんでした。

 また、使用上の注意の改訂の指導等もございませんでした。

 簡単ですが、資料の御説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 ほぼ3年で約3,000例の集積の結果が出てきたので、評価をするというように御理解いただきたいと思います。今日は参考人として村島先生においでいただいていますので、御意見をお願いいたします。

○村島参考人 村島でございます。

 まず、私からはこの種類の薬を処方する機会の多いリウマチ領域の専門医の立場として意見させていただきます。副作用の報告がありますが、いずれも添付文書等に書かれているもので重篤なものが見られていませんし、第1類へ移行することを阻止するような特段の理由はないと判断いたしました。

 もう一つは、妊娠と薬情報センターの仕事をしている立場から言わせていただきます。この種類の薬は胎児の動脈管収縮作用があるということで、妊娠後期は禁忌、すなわち使ってはいけないのですが、その旨がしっかり添付文書に記載されて注意喚起ができるのであれば、第1類に移行することに支障はないと考えました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局の御説明と村島参考人の御意見に対しまして、御意見、御質問はありますでしょうか。お願いいたします。

 どうぞ、お願いします。

○柿崎委員 従来の同効薬が移行していますので、この薬剤も同様の経過で問題ないかと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 そのほかいかがでしょうか。特段ございませんか。

 それでは、特に反対意見はなかったようですので、議決をとらせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 アルミノプロフェンにつきましては、一般用医薬品第1類として適切と判断してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 皆さんの御賛同を得られたということで、御異議なしとさせていただきます。

 村島先生におかれましては、貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。

 以降の議題につきましては、特に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席されても差し支えございません。どうもありがとうございました。

 事務局から今後の流れについて、お話をお願いいたします。

○事務局 御審議くださいましてありがとうございました。

 本アルミノプロフェンにつきましては、製造販売後調査終了までまだ多少期間がございますので、報告される副作用等を確認いたしまして、本日御審議いただきました結果に変更がないことを確認してまいりたいと考えております。

 また、本日の結果につきましては、次の医薬品等安全対策部会に報告をいたしたいと考えております。どうもありがとうございました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 ここまでで御意見はございますでしょうか。よろしいですか。

 続きまして、議題2の「バレニクリン酒石酸塩の使用上の注意の改訂について」に移りたいと思います。

 事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、「バレニクリン酒石酸塩の使用上の注意の改訂について」御説明いたします。資料2をお手元に御用意ください。

 本件については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から調査結果報告書が提出されております。

 まず、今回の検討に至った背景、経緯について御説明いたします。27ページを御覧ください。

 こちらには、チャンピックス錠の添付文書をお示ししております。本剤は「ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助」を効能・効果とする医薬品でございます。本剤では、承認時より海外市販後に精神神経系事象が報告されたこと及び海外添付文書記載状況を踏まえ、「重要な基本的注意」の項に抑うつ気分、激越、行動の変化、自殺念慮及び自殺が報告されている旨を注意喚起していましたが、2009年7月、米国FDAが添付文書にBoxed Warningを設定し、本剤服用中の抑うつ、自殺念慮や自殺企図等の重篤な精神神経系事象のリスクについて注意喚起するよう指示したことを踏まえまして、2009年8月、厚生労働省は「警告」の項を新設し、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動又は思考の変化、精神障害、気分変動、攻撃的行動、敵意、自殺念慮及び自殺が報告されている旨を追記するように指示いたしました。

 今般、米国FDAの要請に基づき、米国ファイザー社が製造販売後臨床試験を実施し、本剤投与による精神神経系事象の発現に有意な上昇が認められなかったことから、26ページにお示ししておりますとおり、ファイザー株式会社より「警告」の項の削除が要望されました。こちらにお示ししてある要望書の提出を受けまして、医薬品医療機器総合機構にて本剤の安全性について調査を行いました。

 お戻りいただきまして2ページを御覧ください。海外における状況を御説明いたします。

 先ほども御説明したとおり、米国FDABoxed Warningを設定し、重篤な精神神経系事象について情報提供するよう指示しましたが、これらの精神神経系症状は精神疾患既往のない患者で生じており、既往を有する患者では精神神経症状の悪化が報告されておりました。また、多くの場合、本剤投与中に発現しており、ニコチン離脱症状との区別が困難な報告も含まれているとされておりました。そこで、FDAは本剤の精神神経系リスクを明らかにするため、及び精神疾患既往歴がリスク因子となるかを評価するために、米国ファイザー社に無作為化二重盲検並行群間比較試験の実施を要求しました。

 米国ファイザー社が実施した海外製造販売後臨床試験の概要を3ページ以降にお示ししております。

 精神疾患既往を有する喫煙者を組み入れた精神疾患コホート及び既往のない喫煙者を組み入れた非精神疾患コホートそれぞれに、本剤群、陰性対照としてプラセボ群、陽性対照としてBupropion群及びニコチンパッチ群の4群が設定され、精神神経系有害事象の発現率が比較されました。その結果を4ページの表1にお示ししております。

 精神疾患コホート、非精神疾患コホートともにプラセボ群と比較し、本剤群で精神神経系有害事象の発現率の有意な上昇は認められませんでした。当該試験結果を踏まえ、201612月にFDAは精神疾患治療中の患者もしくは既往のある患者における精神神経系リスクは依然として存在するものの、入院や死亡等の重篤な結果をもたらさなかったこと、精神疾患の既往の有無によらず、禁煙治療のベネフィットがリスクを上回ると判断したことから、Boxed Warningを削除することを決定しております。

 国内副作用報告の集積状況を5ページ以降にまとめております。

 本剤の販売開始、2008年5月8日から2017年2月28日までに承認取得者が入手した国内における精神神経障害に関連する重篤副作用は341例、539件報告されております。これらの症例のうち本剤投与中に発現した症例は220例、334件、本剤投与中止後は34例、56件、投与状況不明は109例、149件であり、また、統合失調症、双極性障害、うつ病等の精神疾患を既往、現疾患、または合併症として有する患者では111例、202件報告されておりました。

 このような調査結果を踏まえた機構の判断を7ページ以降にお示ししております。

 まず、海外製造販売後臨床試験において、精神疾患コホート及び非精神疾患コホートの両コホートにおいて、プラセボ群と比較して本剤群における精神神経系有害事象の発現率に、統計学的に有意な差は認められなかったことを踏まえまして、「警告」に記載された精神神経系有害事象の注意喚起を削除することは適当と判断されております。

 一方、当該試験では症状が安定していない精神疾患患者を除外していたことから、これらの患者における本剤の精神神経系リスクは不明とされております。また、国内において、精神神経系関連事象の副作用が依然として報告されており、本剤の投与中止後にもこれらの症状があらわれております。これらを踏まえますと、「慎重投与」及び「重要な基本的注意」の項において、本剤により基礎疾患として有する精神疾患を悪化させることがある旨および本剤との因果関係は明らかではないが精神神経系事象の報告がある旨を引き続き注意喚起することが必要と判断されております。これらの機構の判断については専門協議でも支持されております。

 調査結果を踏まえた添付文書改訂案を9ページにお示ししております。

 現行の添付文書にございます「警告」は削除するものの、「慎重投与」及び「重要な基本的注意」の項における注意喚起については、引き続き継続することとして改訂案を作成しております。

 説明は以上になります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 本日は、参考人として藤原先生においでいただいております。御意見をお願いいたします。

○藤原参考人 わかりました。

 結論を最初から言いますと、私どもはぜひ一刻も早くこうしてほしいということで、第1は添付文書の最初に書かれている「警告」ということは、実際の臨床の現場の判断から言うと、禁煙治療というのはそもそもニコチン依存症に対する治療なのです。だから、依存症に対する治療中にどの薬を使おうと使わなかろうと、ある一定のパーセントで精神神経症状が起こることは当たり前のことなのですよ。これは普通の肉体的な病気と全然違うところです。依存症というのはもともとそういうものなので、依存症を治療する場合、必ず精神神経症状というのは出るわけですけれども、これは薬を使おうと使わなかろうと関係ない。

 それから、実際バレニクリンを使ってみている現場の感覚からいくと、ほかのニコチンパッチなどと比較して、それが多いという感覚は全くないです。むしろ導入が極めて容易で、ほかのニコチンパッチはたばこをやめてから使うのですけれども、このチャンピックスというバレニクリンの場合はたばこをのみながら使えますので、非常に導入が容易にできて、もう一つは禁煙の成功率も高いということで、私どもとしては非常に使いやすい薬であるということなわけでございます。したがって、現場の方からいくとこの「警告」表示は強過ぎるのではないか。特に添付文書の一番最初に持ってきている。そういうことがまず第1であります。

 第2番目は、文献的に見てもこの間のイギリスの文献以外でも、ファイザーがやったプラセボの論文があるのですけれども、その論文で見ても、人数的に少人数ということですけれども、そのデータでもほかの薬物と比べてそういう有意差が出ていない。それから日本での使用のデータを見ても大体同じなのです。さらにファイザーがやったデータだけではおかしいなということでスウェーデンのデータがあるのですけれども、これはダブルブラインドではなくて、スウェーデンという国は保険で使った薬を全部フォローするみたいです。これはBMJ2015年の論文ですけれども791万人のフォローがあって、バレニクリンはそのうち6万9,757人、それをロジスティック解析とかいろいろやっても、特に異常があるというデータは出ていませんということで、この「警告」を最初に前面的に出ているのは、禁煙をやってきた者にとって過剰ではないかということをみんな感じていると思うのです。だけれども、先ほど言ったように禁煙中は依存症なので、いろいろ精神的な反応を起こす人がいますので、「慎重投与」とか「重要な基本的注意」等を残すという点についても、そのぐらいはしたほうがいいかもしれないという気はします。

 もう一つは、ぜひお願いしたいのは、御存じだと思いますけれども、たばこで死んでいる人が日本人で年間13万人になって、受動喫煙で死んでいる人が年間1万5,000人です。年間13万人死んでいるということが何を意味しているかといったら、あらゆる日本人のリスク、生活習慣病のリスクファクターがありますね。高血圧症、糖尿病、それから、脂質異常症、コレステロールが高い。それよりもはるかにたばこが重要なのです。だから、あらゆる生活習慣病の中で最大のリスクは、日本人にとってはたばこであるということは一致した我々の見解で、これは医学界だけではなく、WHOも同じことを言っていますよ。そういう状況の中で、日本人でまだ喫煙者というのは2,200万人いますけれども、それに比べて、こういう薬を日本は保険診療ができるのですが、なかなか来てくれないということをぜひ改善するためにも、最初にぱっと添付文書を見てびっくりするようなものは一刻も早く改訂していただきたいというのが私の意見であります。

○五十嵐座長 どうも御意見いただきましてありがとうございました。

 それでは、事務局からの御説明と藤原参考人からの御意見に対しまして、御意見あるいは御質問はいかがでしょうか。

 藤原先生のお話によると、ファイザーの大規模試験以外にも幾つかこれに関するデータがあって、いずれもこの薬剤が「警告」で書かれているようなことを増やしているというデータはないと御理解してよろしいですね。

○藤原参考人 はい。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○遠藤委員 ファイザーのやった臨床試験の結果と国内の副作用報告の状況、藤原先生のお話を聞いたうえでの判断ですが、「警告」欄を外しても「慎重投与」のところにきちんと注意書きを残しているということで、今回の事務局案の「警告」欄を外すことについては私も賛成です。このような形にして、できるだけ禁煙にしっかり使っていただくことのほうが重要なのかなと思いました。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○望月委員 私は、「警告」を外すことについて特に異議はございません。「重要な基本的注意」等々の書き方の部分でちょっと気になりましたのが、今回の臨床試験の結果の中で精神神経系有害事象が32分の4ページにリスティングされているのですけれども、これを拝見しますと、激越ですとか攻撃性のところが不安とか抑うつ的な症状よりもかなりパーセンテージが高い状況がありまして、気になったのは、禁煙によって出てくる症状の順番がそういうことは余り考慮をされない順番で書かれている。不快、抑うつ気分、不眠、いらだたしさということで後段のほうにそれが出てくるところだけが気になりまして、米国はどういう順番かをきちんと読みとけていなくて、全部を網羅的に書いていただいてあるので注意喚起として不十分であるということはないのですが、数値的に多いものから順番に書いていただいたほうがよいのかもしれないということだけ意見として出させていただきたいと思います。

○五十嵐座長 御指摘のところは、ほかの同類の薬剤でも似たような傾向がありますね。一般的なこれらの薬剤によく見られる症状のようなのですけれども、事務局としては、「重要な基本的注意」の記載について変更することはお考えでしょうか。

○安全対策課長 安全対策課でございます。

 今回のデータで望月先生から御指摘いただいたように、症状の発現率、発現頻度という部分でプラセボと実薬にかかわらず、激越の部分のパーセンテージが高いという御指摘をいただいております。添付文書の使用上の注意での注意喚起の仕方として、これは従前から申し上げていることなのですけれども、記載の順番に特段の意味はないということで、ここに書いていることは当然全て治療上考慮していただく必要があるということで、順番に優劣はないというのが添付文書上の考え方でございます。

 ここの並びにつきましては、他の医薬品ですとか従前から精神神経系で注意をしているものの並び方に大体そろえて書いておりますので、医療者から見たときに見やすい順番かどうかというところの判断で御検討いただければという部分かと思いますので、特段我々が見ている限りにおいて、この順番で先に激越とかを書かなければいけないということではないのではないかなと感じているところでございます。

○五十嵐座長 わかりました。

 望月委員、よろしいですか。

○望月委員 将来に向けての課題かもしれないと思って聞いておりました。ありがとうございます。

○五十嵐座長 そのほかはいかがでしょうか、よろしいですか。

 それでは、議決をとりたいと思いますが、まず海外の臨床試験の成績、副作用報告の集積状況等から見ますと、バレニクリン酒石酸塩製剤の精神神経系リスクの注意喚起につきましては、「警告」の項の記載を削除し、引き続き「慎重投与」と「重要な基本的注意」の項目での注意喚起を継続するという添付文書の使用上の注意の改訂を了承したいと思います。それでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 事務局から今後の予定についてお伝えください。

○事務局 御審議いただき、ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御議論を踏まえまして、バレニクリン酒石酸塩製剤の製造販売業者に対して、使用上の注意を改訂しても差し支えない旨の連絡をしたいと考えております。ありがとうございました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 参考人の藤原先生におかれましては、これで御意見いただくことは終了いたしますので、もし御都合がございましたらお帰りいただいても結構です。どうもありがとうございました。

 議題3「コデインリン酸塩等の安全対策について」に移りたいと思います。

 事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より、議題3「コデインリン酸塩等の安全対策について」御説明いたします。

 まず、資料3-1の1ページ、「1 経緯」を御覧ください。

 本年4月20日に米国FDAは、副作用の危険性等からコデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩(以下、コデイン類と呼びます。)及びトラマドール塩酸塩(以下トラマドールと呼びます。)それらを含む医療用医薬品の12歳未満の小児等への使用を「禁忌」とするなどを発表いたしました。コデイン類及びトラマドールはともに肝代謝酵素CYP2D6により活性代謝産物に代謝され薬効を示しますが、遺伝的にCYP2D6の活性が過剰である方(Ultra rapid metabolizerUMと呼びます。)では、活性代謝産物の血中濃度が過剰に上昇し、呼吸抑制等が発現しやすくなる可能性があることが知られております。

 「2 コデイン類含有製剤に関する主要各国の小児等への投与制限の状況」を御覧ください。表でお示しするとおり、小児等への投与制限はこれまで欧米で段階的に捉えてまいりました。 次のページでございますが、日本の現在の添付文書においては、医療用医薬品では「慎重投与」及び「小児等への投与」で新生児、乳児への呼吸抑制に関する注意喚起を行っており、OTCでは、用法用量関連注意で「2歳未満の乳幼児には医師の診療を受けさせることを優先し、やむを得ない場合にのみ服用すること」などの注意喚起が記載されております。

 続きまして、2ページの「3 日本における小児等に対するコデイン類含有製剤の副作用報告等の状況」を御覧ください。

 まず、(1)ですが、日本でのコデイン類含有製剤についての副作用報告状況は、18歳以下のコデイン類含有製剤の使用患者での呼吸抑制等のモルヒネ等中毒関連症例に係る重篤な副作用報告は、これまで医療用とOTCでそれぞれ2例ずつ報告があり、うちOTCの1例はUMによる症例でございました。なお、死亡例の報告はございません。なお、7これらの詳細は、資料3-2のPMDAの調査結果報告書の最後の53ページに別添5としてラインリストをお示ししております。 資料はお戻りいただきまして、再び資料3-1で御説明差し上げます。 (1)の枠囲みですが、海外での副作用集積状況について、米国の副作用データベースでは、1969年から2015年の間に世界で64例の18歳未満の患者での呼吸抑制等のモルヒネ等中毒関連症例が報告され、うち24例が死亡例でございます。

 次に(2)でございますが、日本人でのUMの頻度は白人と比べて低いことが知られております。

 また(3)ですが、現在PMDAで構築中の医療情報データベース(MID-NET)の試行的利活用の一環として実施した、コデイン類含有製剤の処方実態及び呼吸抑制の発現リスクについての調査を参考として御説明いたします。資料3-1の7ページ、別添1を御覧ください。MID-NETは副作用等の安全性情報の収集及び分析が実施可能なデータベースとして、平成30年度の本格運用開始を予定しております。8ページを御覧ください。今回の調査はMID-NETの本格運用に向けて行った試行的利活用の一環として実施し、調査当時利用可能であった約100万人の医療情報を用いて、コデイン類含有製剤が処方されたがんの診断を持たない患者(以下、対象患者と呼びます。)の数を調べたところ7,267人が該当しました。内訳は12歳未満の患者では209人、1218歳の患者では199人、19歳以上の患者では6,859人でした。9ページを御覧ください。表の下、括弧内の※1に示しますとおり「呼吸抑制に対する治療薬の処方がある」ケース、もしくは「呼吸抑制に関連する診断があり、酸素吸入の実施があるケースを呼吸抑制の発生が疑われる」ケースとして定義し、このようなケースを調べたところ全体で24人、発生頻度は0.3%であることがわかりました。また、内訳は12歳未満及び19歳以上の患者で該当するケースがございましたが、いずれかが10人未満の人数であったため、個人情報保護の観点から具体的数値は非公開とし、95%信頼区間をお示ししております。なお、本調査は因果関係評価をしていないため、呼吸抑制の発生が原疾患に由来しているなど過大評価をしている可能性があること、呼吸抑制の発生後に協力医療機関以外の医療機関を受診している場合には、過小評価をしている可能性があることが考えられるので解釈については御注意ください。

 資料3-1、3ページにお戻りください。さらに、(4)でございますが、公益財団法人日本中毒情報センターの中毒110番に寄せられたコデイン類含有製剤による小児での健康被害の相談状況を調べましたが、通常のコデイン類含有製剤の使用による健康被害の報告はございませんでした。

 (5)にございますが、日本小児呼吸器学会の「小児の咳嗽診療ガイドライン」では、コデイン類含有製剤の安易な使用は推奨されていない状況でございます。

 3ページの「4 小児へのコデイン類含有製剤の使用に対する安全性の評価及び今後の対応(案)」を御覧ください。ここまでのコデイン類含有製剤に関する状況を踏まえ、安全性の評価を御説明いたします。

 国内では、コデイン類含有製剤の小児への使用は限定的でございましたが、コデイン類含有製剤投与後にモルヒネ等中毒によると疑われる呼吸抑制が一定の頻度で発生している実態が示唆されています。また、日本人でのUMの頻度もあわせて考慮すれば、国内における小児の呼吸抑制のリスクは欧米と比較して遺伝学的に低いと推定され、コデイン類含有製剤によると疑われる死亡例の副作用報告はされていない状況でございます。これらを踏まえると、コデイン類含有製剤の小児での使用に関して直ちに制限する必要性は考えにくい状況でございます。

 一方、特に小児においては国内でもコデイン類含有製剤の使用に伴い、呼吸抑制が発生した場合の重大な転帰に至るリスクを可能な限り低減するため、十分な注意喚起が必要と考えられます。

 医療現場での本剤の有用性が低下している状況も鑑み、欧米等の国際的な措置に合わせて予防的な対応として、12歳未満の小児には使用しないよう注意喚起しつつ、12歳未満の小児が使用する製剤については、早期に12歳未満の小児用量を削除した製剤等に切りかえることが適切であると考えております。

 また、別資料でございますが、日本製薬団体連合会安全性委員会及び日本OTC医薬品協会からも資料3-3にございますとおり、12歳未満の小児の使用を制限する方針が示されております。ただし、製剤の切りかえの準備に相当の時間を要するため、これらの団体からは一部変更等承認申請上の経過措置が必要と要望しております。

 さらに、医療側の意見として資料3-4のとおり、日本小児科学会からコデイン類含有製剤の使用は米国の「禁忌」と同様に使用制限すべきであるとの意見が述べられている一方、現在処方している医師に対して、呼吸抑制に関する注意を周知徹底するための一定の経過措置期間を設定すべきであることや、医療現場においては12歳未満の小児に限らず、学童以下に対して使用されないよう、学会としても周知徹底していくとの見解が示されております。なお、小児科医会からも小児への使用を制限することについて御同意いただいている状況でございます。

 以上の状況を踏まえた対応案を御説明いたします。4ページの(4)を御覧ください。 今後、呼吸抑制発生リスクの低減の観点から予防的にコデイン類含有製剤が12歳未満の小児に使用されないよう、12歳未満の小児用量を削除した製品等に切りかえを進める必要があると考えます。一方、先ほど御紹介したとおり一定の経過措置期間が要望されていることを考えると、医療用医薬品、OTCともに当面は原則12歳未満の小児への使用を行わない旨の注意喚起を行いつつ、製品切りかえのための対応を進める必要があると考えます。具体的には、10ページ、別添2を御覧ください。図にございますとおり、切りかえ申請等の期限を平成30年末までとし、一部変更等承認までの注意喚起は、全てのコデイン類含有を含む医療用医薬品で「重要な基本的注意」の項等で12歳未満に投与しないよう追記し、また、12歳未満の小児用量を有するOTCでは、12歳未満の小児は医師の診療を優先するよう追記をいたします。これらに関し、コデイン類含有製剤の安全性の評価や状況を生活者、販売店等に丁寧に説明する資材を製造販売業者から提供する必要があると考えます。その後、医療用医薬品、OTCでの一部変更等承認の対応が終了した平成31年中に全てのコデイン類を含む医療用医薬品、OTCについて、12歳未満の小児を「禁忌」、もしくは12歳未満の小児に使用しない旨の使用上の注意の再改訂を実施いたします。なお、再改訂までの使用上の注意の改訂案は、次項で御説明差し上げる改訂の内容とともに、別の資料ですが資料3-2の7ページ以降にお示しいたしますので、こちらも御参照しながら説明を聞いていただければと思います。

 資料3-1の5ページ、「5 その他の添付文書の改訂について(案)」を御説明いたしますので、こちらも御参照しながらお聞きいただければと思います。

 米国FDAのこれまでの措置では、コデイン類含有製剤を12歳未満の小児を「禁忌」とする措置以外も(1)にお示しするような措置をとっております。海外の添付文書における注意喚起の記載との差を埋める添付文書改訂についても検討したところ、コデイン類含有製剤では扁桃摘除術、アデノイド切除後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者及び肥満や閉塞性睡眠時無呼吸症候群、重篤な肺疾患を有する18歳未満の患者での国内の重篤な副作用報告はないものの、これらの背景を有する患者での呼吸抑制等のリスクは12歳未満の小児でのリスクと大きく異ならないと考えるため、医療用医薬品においては、これらの患者には投与しない旨の重要な基本的注意等で注意喚起をいたしまして、平成31年中に12歳未満の小児を「禁忌」とする際、あわせて扁桃摘除術、アデノイド切除後の鎮痛目的で使用する18歳未満についても、あわせて「禁忌」とする対応をとりたいと考えております。

 資料3-1の6ページにございますが、米国FDAはトラマドールについても同様の対応をとっておりますが、本邦におきましてもコデイン類と同様の注意喚起を実施することとしたいと考えております。

 事務局からの説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは参考人として、中村先生から御意見をいただきたいと思います。

○中村参考人 今日は、日本小児学会薬事委員会の中川委員長が所用にて出席できませんので、薬事委員会で代理としてまいりました。

 お手元の資料3-4にあります、先ほど事務局から御説明いただきましたように、薬事委員会あるいは関連の先生方にもお聞きしているかと思いますが、12歳未満の小児に対するコデイン類含有医薬品の使用については、米国の「禁忌」と同様に使用制限すべきであるという結論に達しております。ただ、医療機関においてコデイン類含有医薬品が鎮咳目的で使用されている現状があるという御意見がありました。恐らく実際に約束処方のような形で入っているクリニックさんがいまだにあるのだろうと推測いたします。そういったこともありますのでいきなり「禁忌」とするよりも、やはり経過措置期間があったほうが混乱が生じないであろうという意見が委員の先生方から出されています。

 また、12歳という年齢につきましては、小児科学会としては「学童」という切り方で使わないという推奨をすべきであるという意見が強いということで、学会の薬事委員会としては12歳未満に限らず、学童以下に対して使用されないように周知徹底していくという意見になりました。

 以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 続きまして、同じく参考人として、岡田先生においでいただいていますので御意見をお願いいたします。

○岡田参考人 日本小児科学会の分科会であります日本小児呼吸器学会から「小児の咳嗽診療ガイドライン」を御紹介いただきましたけれども、その中にも基本的には必要ないと書かれていますし、小児呼吸器学会の会員などに何人か御意見をいただきましたけれども、今回の使用制限に関して、小児呼吸器学会としても特に問題はないと聞いております。以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局からの御説明と中村参考人、岡田参考人、お二人の御意見に対しまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○望月委員 今、参考人からの御意見を聞いていて、薬局製剤の処方の中でコデインが入って小児用となっているものがないかどうか気になりました。確認してこなかったのですが、教えてください。

○事務局 事務局よりお答え差し上げます。

 薬局製剤も先生の御指摘のとおり含まれておりますので、そのあたりの基準の変更についてはあわせて措置をとりたいと考えております。

○望月委員 ありがとうございます。

 そうしましたら、薬局にもこの情報がきちんと伝わるような形でよろしくお願いいたします。

○事務局 承知しました。御意見ありがとうございます。

○五十嵐座長 柿崎委員、お願いします。

○柿崎委員 資料3-1の1ページのアメリカのFDAなのですけれども、医療用医薬品に関しては、ことしの4月に「12歳未満の小児へ、鎮痛・鎮咳薬としてのコデインの使用を禁忌とする」とあるのですけれども、OTCに関しては特に改訂などはされていないのでしょうか。

○事務局 FDAでは、OTCの検討も進めているということを彼らは述べておりますけれども、措置としてはまだとられていないという状況でございます。

FDAのアドバイザリーコミッティ、諮問委員会と申せばよろしいかと思いますが、そちらでは使用制限すべきという結論は出ているようでございますけれども、まだそれが規制のところにまでは至っていないということです。

○柿崎委員 わかりました。

○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。

 そうしますと、まず米国のように12歳未満の小児へ、鎮痛・鎮咳薬として、コデインを使用することを原則「禁忌」とすることについての妥当性につきましては、委員の先生方、御意見はいかがですか。

 どうぞ、お願いします。

○遠藤委員 「禁忌」にするというのは、私もいろいろなところに聞いてみましたけれども、使用実態は非常に少ない。ただ、中村参考人のお話のように一部の先生方はまだ使われているということなのですね。「禁忌」とすることは賛成ですので一定の経過措置期間を考えて実施されるということがよろしいのではないかと思います。

○五十嵐座長 実際、今までの経験からしますと、例えば重症の百日咳の発作のときとか、風邪とか気管支炎で小さなお子さんが夜眠れないという訴えがあって、積極的ではないのだけれども結構ひどい咳に対して、コデイン類の薬は小児科医にとっては使うことのある薬剤という認識だったと思います。最初からこの薬を使うことは余りなくて、結構咳の訴えの強い方に比較的限定して使うというものだったと思います。ですから、どんどん使いなさいという感じでこの薬剤が使われてきたことは少なくとも小児ではなかったと思うのです。ただ、OTCの薬でシロップ製剤として売られているものの中にコデイン類が入っているものが、古い薬ですので恐らくたくさんあるのではないかと思うのです。そういう状況の中で、今後どうしたらいいかということを決めなければいけないということなのですけれども、いかがでしょうか、ほかに御意見ありますでしょうか。

○安全対策課長 事務局から、一点補足をさせていただいてよろしいでしょうか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○安全対策課長 先ほど、担当から御説明をさせていただいたのですけれども、今回アメリカの措置を受けまして、国内の状況を確認している状況において、例えば副作用報告で死亡例が重積をしているなど、緊急に安全措置をとらなければいけないような状況は国内では見られていないということであります。通常は「禁忌」ですとか「警告」にする場合というのは、やはり相当な重篤な副作用等が重積するという状況が見られる中で判断をしていくものですけれども、今回のコデインについてはそういう状況ではない。むしろアメリカ等の海外の措置にあわせて、より予防的な対応をとらせていただくような形の措置になってございます。先ほど小児科学会からも学童期で切ったほうがいいのではないかという御提案もあったのですが、今回はどちらかというと、海外措置に並びを合わせるというところが主眼の予防的な対応ということですので、12歳未満という線で一つ対応させていただこうと思っております。

 また、資料3-1別添2の図に2段階の措置をお示しさせていただいていますけれども、そういう海外措置に合わせて「禁忌」にするということではあるのですが、医療現場での一定の注意喚起の経過措置が必要という御意見ですとか、製造者の側の方々も成分の切りかえ等に相当のお時間を要するという形で、ここを2段階にして、当面は「重要な基本的注意」、「禁忌」ではない形で使用しないようなメッセージを入れさせていただいて、現場にも注意喚起という対応をさせていただく趣旨でございます。今日傍聴をされておられる皆様におかれましても、ぜひこの措置案でお認めいただきましたら適切な情報が伝わりますように御協力をいただければと思っているところでございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

キーワードは「予防的な措置」、これが一番重要なのではないかと思います。

 どうぞ。

○望月委員 五十嵐座長の御心配も私は少し理解できまして、日本で報告されている小児の有害事象の報告は4例で、半分が医療用で半分が一般用ということがありまして、医療用は医療者がかなりきちんとセレクションをして使われるという意味では、本当に限定された症例で使っていくことも私はむしろ医療だからこそあっていい部分があるのかなと思います。ただ、多分今の時代、グローバルで全体として見ていくことも必要なのかなということでの今回の御提案の内容かなと解釈をして、この経過措置を見ながら収束させていく方向には間違いがないのではないかと判断をしています。

 今回、これでお話ししたかった点は、資料3-1別添1でMID-NETを試行的に利活用してデータの分析をしてみたという御報告は、副作用等についての注意喚起をエビデンスベースドでやっていくために、日本の試みとしてとても重要な出来事であるなと、私は今回拝見をさせていただきました。まだまだ恐らく十分ではない部分もあると思われる部分もございますけれども、こういうものをベースにしながら日本のオリジナルの安全性の評価が行われていくことはとても重要な取り組みではないかと思っています。

 それについて、一点だけ気になった点がありまして、資料3-19ページの別添1「結果2」でございますが、このコホートでの発生割合の信頼区間等々を見てみますと、12歳未満は人数も少ないですので信頼区間がとても広がっています。発生割合が出てこないのでわからないのですけれども、19歳以上がほぼコホート全体の平均的なところを占めていることがこれだと見てとれて、これだけを見てしまうと、もしかしたら12歳未満よりも19歳以上が発生割合の高い集団になってしまっているかなということだけ、もちろん0.何%ですからとても少ないとは思うのですけれどもちょっと気にはなりました。

 以上でございます。

○五十嵐座長 何かありますか。

○安全対策課長 ありがとうございます。

MID-NETの試行活用の結果ということで、これからもこういった国内でのデータというものを安全対策に活用していく機会として、大変お金をかけてつくっているシステムでございますので、利活用をさせていただこうと思っております。

 先生御指摘の部分なのですけれども、これは非常に残念なことで、10例未満の患者さんの場合、個人情報保護の観点から患者が特定されるおそれがあるということでバーにして数字を出していないのですけれども、今御指摘いただいたような信頼区間のところを見ていただきますと、12歳未満と19歳以上で発生割合に実際のところは差がないという結果でございますので、どちらかの集団に偏って発生割合が多いという数字ではないことを一応補足として御説明させていただきます。ありがとうございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 そのほか御意見、御質問ありますでしょうか、よろしいでしょうか。

 そうすると、少しまとめをさせていただきたいと思います。

 まず、今回コデインリン酸塩等の小児への使用制限について、まず評価をしたいと思うのですけれども、日本人でのUMの頻度が低いわけですが、これをあわせて考慮いたしますと、国内における小児のこの薬剤による呼吸抑制のリスクは欧米と比較しても低いと推定されます。また、コデイン類の含有製剤によると思われる死亡例の副作用報告は今のところされていない状況にあります。そういうことで12歳未満の小児での使用に関しては、直ちに制限する必要性は高くはないと判断してよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 一方、欧米で指摘されている呼吸抑制が発生した場合の重大な転帰に至るリスクがありますので、それを可能な限り低減するために、予防的な措置として十分な注意喚起はやはり必要であると判断してよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 そういうことになりますと、一定の経過措置期間を設定した後に欧米の措置と同様に12歳未満の小児を「禁忌」等とする今後の予定及び経過措置期間中の注意喚起として、添付文書の使用上の注意の改訂を了承することにつきまして賛同いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 さらに2点ありまして、12歳未満の小児へ投与しない旨の改訂以外に扁桃摘出術またはアデノイド切除術後の鎮痛目的で使用する18歳未満の患者や、肥満等の18歳未満の患者に投与しない旨をあわせて注意喚起する使用上の注意を改訂する点と、2つ目はトラマドール含有製剤についても、コデイン類含有製剤と同様の注意喚起を実施する点についても御了解いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 そのようにしたいと思います。

 事務局、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

○事務局 はい。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 特にこの点につきまして、御追加とかございますか、よろしいですか。

 今後の予定についてお願いいたします。

○安全対策課長 今後の予定について御説明させていただきます。

 コデイン類の小児等への使用制限について、ただいま方向性について調査会でも御了承いただいたということでございまして、今後の行政の対応を先ほど資料3-1でも触れさせていただいておりますけれども、この調査会終了後、恐らく7月の初めぐらいになると思いますが、これらの製剤に対する使用上の注意の改訂指示の通知を都道府県等を通じて製造販売業者にさせていただくというのが1つです。

 先ほど申し上げた製品の切りかえということでコデイン類を含有しない製剤の切りかえ、または12歳未満の小児等に対して使用しない形で用法・用量を削除する形での承認事項の一部変更申請の手続を製造業者の方にお願いをしまして、これを先ほど申し上げましたように平成30年末までに行っていただく。その旨も行政庁から先ほどの使用上の注意改訂とあわせて通知をさせていただくということで、これもあわせて7月に通知をさせていただく予定ということで対応させていただこうと思いますので、一応今後のスケジュールということで御案内をさせていただきました。

 その後、本結論につきましては安全対策部会に報告をさせていただきます。どうもありがとうございます。

○五十嵐座長 先ほど望月委員から御指摘があったように医療機関への通知はどうなりますか。

○安全対策課長 本件につきましては、通常使用上の注意の改訂という部分については製造販売業者を通じた形での注意喚起ということになりますけれども、製造販売業者から添付文書の改訂等について医療機関にも周知をさせていただくとともに、必要があれば行政からも各医療機関宛てに改訂通知が出る旨の御案内をさせていただく等、注意喚起については幅広く対応させていただこうと思っています。あと、御協力いただきました学会等に対してもまた情報提供の御協力をお願いしたいと思っております。

○五十嵐座長 どうぞ。

○望月委員 先ほど、私が質問させていただいた薬局製剤のところなのですけれども、あれは薬局が添付文書をつくってお渡しすることになっているので、そこには情報を周知していただくことをよろしくお願いいたします。

○安全対策課長 ありがとうございます。

 薬局製剤は、薬局製剤の基準ですとか、都道府県庁に対しても承認基準を変更することになりますので、その旨の通知の中で添付文書等についても注意喚起をさせていただこうと考えております。

○五十嵐座長 いろいろと御指摘いただきまして、ありがとうございました。

 予定していました議題は以上で終了いたしますけれども、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐座長 それでは、今日の調査会はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)

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