ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2017年2月10日)
2017年2月10日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録
○日時
平成29年2月10日(金)10:00~
○場所
厚生労働省専用第15会議室
○出席者
出席委員(16名) 五十音順
◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 |
梅 津 光 生、 北 澤 京 子、 後 藤 雄 一、 正 田 良 介、 |
鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 |
配 島 由 二、 菱 田 和 己、 桃 井 保 子、 渡 邉 和 久 |
(注)◎部会長 ○部会長代理 |
他参考人2名 |
欠席委員(7名)五十音順
小 西 郁 生、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、 千 葉 敏 雄、 |
寺 崎 浩 子、 濱 口 功、 村 上 輝 夫 |
行政機関出席者
武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長) |
森 和 彦 (大臣官房審議官) |
磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長) |
山 田 雅 信 (医薬品審査管理課長) |
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長) |
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長) |
宇 津 忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) |
他 |
○議事
○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催いたします。委員の先生方におかれましては、年度末の御多用の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
最初に、本年1月25日付けで薬事・食品衛生審議会委員の改選が行われ、それに伴い本部会の委員についても、新しく委員の任命を行ったところです。つきましては、お手元にあります医療機器・体外診断薬部会名簿に即しまして、委員の先生方を私から御紹介申し上げます。座席表の裏側に1枚紙の委員名簿がありますので、名簿に従って御紹介させていただきます。大変申し訳ありませんが、新任の先生方におかれましては、一言御挨拶を頂ければと思います。
最初に、国立がん研究センター理事長特任補佐の荒井保明先生です。筑波大学医学医療系教授、附属病院病院長補佐の荒川義弘先生です。国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部部長の石井明子先生です。上尾中央総合病院心臓血管センター特任副医院長の一色高明先生です。早稲田大学理工学術院創造理工学部総合機械工学科教授の梅津光生先生です。京都薬科大学客員教授の北澤京子先生です。
○北澤委員 初めまして、北澤と申します。この度は、今井さんの後任として委員に就任させていただきました。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。続いて、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センターメディカル・ゲノムセンターセンター長の後藤雄一先生です。
○後藤委員 私は小児科出身ですけれども、知的障害、筋疾患、ミトコンドリア病などの遺伝子解析を主にやってきております。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。本日御欠席ですが、独立行政法人国立病院機構京都医療センター院長の小西郁生先生、横浜市立大学大学院医学研究科運動器病態学教授の齋藤知行先生、杏林大学医学部脳神経外科教授の塩川芳昭先生です。本日御出席の、独立行政法人国立病院機構東埼玉病院院長の正田良介先生です。公益社団法人日本医師会常任理事の鈴木邦彦先生は、遅れて来られると思います。さわやか法律事務所の田島優子先生です。日本大学総合科学研究所教授の千葉敏雄先生と、名古屋大学大学院医学系研究科眼科学教授の寺崎浩子先生は、本日は御欠席です。聖マリアンナ医科大学放射線医学講座教授の中島康雄先生です。特定医療法人清翠会牧病院副院長の中谷武嗣先生です。国立医薬品食品衛生研究所医療機器部部長の配島由二先生です。本日御欠席の国立感染症研究所血液・安全性研究部部長の濱口功先生です。独立行政法人国民生活センター商品テスト部テスト第一課課長の菱田和己先生です。本日御欠席の帝京大学福岡医療技術学部医療技術学科教授の村上輝夫先生です。鶴見大学歯学部保存修復学講座教授の桃井保子先生です。公益社団法人日本薬剤師会常務理事の渡邉和久先生です。
続いて、御退任された先生方の御紹介をさせていただきます。今井聡美先生、武谷雄二先生、川上正舒先生におかれましては、御退任されましたことを御報告いたします。
続いて、部会長の選出です。委員の改選に伴い、1月27日に行われた薬事分科会において、各部会の部会長の選出が行われております。医療機器・体外診断薬部会については、荒井保明先生が改めて部会長として選出されておりますので、御報告申し上げます。
それでは、荒井部会長に、一言御挨拶をお願いいたします。
○荒井部会長 国立がん研究センターの荒井でございます。また今年も一緒に議論させていただくことになります。御存じのように、かつての医療機器は比較的単純でしたが、最近はコンビネーションやソフトなど、いろいろと複雑なものが増えて参りました。是非とも、皆様の英知を結集していただき、より良い医療機器をできる限り迅速に国民、ならびに病に苦しんでいる方々に届けるという使命を全うしていきたいと思います。御協力ください。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。次に、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づきまして、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされており、部会長代理については、部会長から御指名いただくことになっております。荒井部会長、よろしくお願いできればと思います。
○荒井部会長 副部会長については、引き続き一色委員に是非お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、一色先生、お願いいたします。
○医療機器審査管理課長 本日は、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、16名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
次に、事務局から運営方法について、特に御留意いただきたい事項等について御説明させていただきます。
○事務局 それでは、御説明させていただきます。第一に守秘義務の関係です。国家公務員法第100条におきまして「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と規定されております。委員、臨時委員、専門委員は、非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、職務上知り得た秘密について漏らすことのないようお願いいたします。第二に、薬事に関する企業等との関係です。当日配布資料1「薬事分科会規程」の6ページを御覧ください。第11条におきまして「委員、臨時委員、専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は、当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されております。審議の中立性・公平性を確保する観点から規定されておりますので、これらに該当する場合、また、任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。第三に、医療機器・体外診断薬部会の審議事項についてです。当日配布資料2「薬事分科会における確認事項」の8、9ページを御覧ください。「部会審議」の内容については、薬事・食品衛生審議会に諮問が必要な議題であり、本部会において御審議いただきます。また、「部会報告」、左の方に付番されていますが、そのうちの5~7の内容については、諮問は不要な議題であり、本部会において報告とさせていただきます。また、「分科会」と書かれている欄に、区分ごとに印が付いています。○印が審議、×印が報告、▲印が文書配布による報告、×印については、審議・報告はなしとなっておりまして、基本的にはこれに基づき、本部会で審議した内容を分科会において審議・報告・文書報告をすることとなります。
一つ前の資料に戻っていただきまして、当日配布資料1の薬事分科会規程のうちの5ページを御覧ください。こちらの中ほどに書いてある第7条において、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決をもって分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合はこの限りではない。」と定めております。先ほどの表に記載している事項以外にも、このただし書きにあるように、部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であると決定された場合には、分科会において審議をすることとなります。運営方法について特に御留意いただきたい事項は、以上でございます。よろしくお願いいたします。
続いて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開といたします。これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、荒井部会長に以後の進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、始めに資料の確認をお願いします。
○事務局 公開案件の配布資料について確認させていただきます。お手元に配布しております配布資料一覧に沿って御説明いたします。まず、公開案件は議題1だけですので、これについて資料名は省きますが、資料1-1から資料1-8がありますので、資料の確認をしていただき、不足等がありましたら、事務局までお申し付けください。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、ただいまから議題に入ります。
では、議題1「高度管理医療機器及び管理医療機器の認証基準の制定及び改正、並びに医療機器の高度医療管理機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」の審議を始めさせていただきます。はじめに、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より議題1について御説明いたします。資料1-1を御覧ください。今回、高度管理医療機器の認証基準の新設を1件、管理医療機器の認証基準の変更を4件行います。
資料1-2を御覧ください。こちらは高度管理医療機器である麻酔薬気化器認証基準の制定案です。従来、麻酔薬気化器の認証基準としては、ハロタン用麻酔薬気化器が単独で制定されていましたが、今回、イソフルラン、デスフルラン、セボフルランの三つを、併せて新しく麻酔薬気化器の認証基準として制定いたします。
麻酔薬気化器の国際規格としては、「ISO80601-2-13」という規格がありまして、この規格に基づいて、8つの主要評価項目を設定しております。
資料1-3。先ほど御説明いたしましたように、ハロタン用麻酔薬気化器を含めて、新しく麻酔薬気化器の認証基準を制定いたしますので、従来、単独でハロタン用麻酔薬気化器として制定されていた認証基準は削除することといたします。
資料1-4、こちらはMRIの認証基準です。今回の改正では、右の使用目的又は効果欄におきまして「なお、MR装置の静磁場強度は、4テスラ以下であること。」という文言を付け加えます。この理由としては、MRIの評価基準として、表の中欄の「Z4951」と「IEC60601-2-33」という規格がありましたが、従来この規格において4テスラ以下ということが規定されておりましたが、今般、この規格が改訂されて、8テスラ以下ということになりました。ただ、日本においては、4テスラ以上の承認前例はありませんので、まず、4テスラ以上のMRI装置については、最初に承認審査において有効性等の評価を受ける必要がありますので、認証においては、引き続き4テスラ以下という制限を設けました。
資料1-5は、MRIのコイルの認証基準です。こちらも先ほどと同様、4テスラ以下であることという制限を設けました。
資料1-6は、MRIとポジトロンCT装置を組み合わせた医療機器の認証基準です。こちらも先ほどと同様に、静磁場強度は4テスラ以下であることという文言を付け加えております。
資料1-8です。今回の麻酔薬気化器の認証基準の改正に伴いまして、麻酔薬気化器に関する一般的名称の見直しを行いました。現在、麻酔薬気化器の一般的名称は、麻酔薬の種類によって、7つが設定されています。これらについての多くは、麻酔薬の特性からも、人体に潜在的に危険であるということからクラスIIIに設定されていますが、ハロタンとメトキシフルランのみクラスIIとされておりました。しかし、ハロタンとメトキシフルランについても、麻酔薬という特性から、人体に潜在的に危険なものとして、ほかの麻酔薬気化器と同様、クラスIIIとすることが適切と考え、今回、麻酔薬気化器の認証基準の制定と合わせて、クラスIIIに変更させていただきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。
○荒井部会長 委員の皆様から、御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、特に御意見がなければ、ただいまの件につきまして議決に入らせて頂きます。一般的名称「ハロタン用麻酔薬気化器」及び「メトキシフルラン用麻酔薬気化器」は、本部会として、高度管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定することとしてよろしいでしょうか。
では、御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告させていただきます。議題1を終了いたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。それでは、以後の議論は非公開とさせていただきます。傍聴の皆様は御退席いただくことになります。お願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。
それでは、準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開いたします。よろしくお願いします。
○事務局 まず、非公開の議題に係る配布資料の確認をさせていただきます。議題2について、医療機器「Micra経カテーテルペーシングシステム」の資料3です。議題3については、医療機器「Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテル(大腿膝窩動脈用)」の資料3です。議題4については、資料4-1と資料4-2がありまして、資料4-1が、「縫合部補強材」について、資料4-2が「質量分析装置」についてです。
以下、報告事項になりますが、議題5に関して資料5の再審査報告書、最後に部会報告品目として、資料6-1と資料6-2があります。
また、当日配布資料として、非公開案件は3種類配布しており、議題2、議題3に関する専門委員のリストとして、当日配布資料3と、当日配布資料4、そして、本日御欠席ですが、専門委員からの意見を頂いておりますので、それを当日配布資料5として付けております。以上でございます。
○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。それでは、ただいまから非公開で行う議題に入ります。本日の審議事項に関与された委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の議決不参加の基準に基づき、議決に参加できない委員は、議題2について、一色委員となります。この際、御退室になる必要はありません。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段御意見はありませんでしょうか。よろしいですか。それでは、これより議題に入ります。議題2の、医療機器「Micra経カテーテルペーシングシステム」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。本議題の審議に当たり、参考人として、近畿大学医学部附属病院心臓血管センター教授の栗田隆志先生にお越しいただいております。栗田先生、よろしくお願いいたします。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題2について、事務局から説明いたします。資料2を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Micra経カテーテルペーシングシステム」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いしたいと思います。まず、「一般的名称の新設について」というタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定することとなっております。今回、新設を予定する一般的名称は「植込み型リードレス心臓ペースメーカ」で、これはカテーテルにより経皮的に心臓内に留置される電極一体型のペースメーカになります。1に記載してあるとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから高度管理医療機器に指定し、2に記載してあるとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであると考えられないため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えております。
承認の可否等について、審議品目及び審査の概要は、機構担当者の方、よろしくお願いします。
○機構 機構より説明いたします。当日配付資料3の「本品目の専門協議委員一覧」を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。初めに、品目概要を説明いたします。審査報告書のタブの5ページの「審議品目の概要」を御覧ください。本品は徐脈治療を目的に、心臓に周期的に人工的な電気刺激を与える植込み型の心臓ペースメーカです。本品は、審査報告書6ページ、図1に示すとおり、ペースメーカ本体及びデリバリーカテーテルシステムから構成されます。本体には電極が設けられており、心臓の電気的活動の検出及びペーシングに利用され、徐脈が検出されると、あらかじめ設定されたパラメータに基づきペーシング治療が行われます。
本体の右心室への留置方法は、図2に示すとおり、本体が装填されたデリバリーカテーテルシステムを大腿静脈より挿入し、右心室に誘導した後に4本のタインと呼ばれるフックを心筋に引っ掛けることにより留置します。
次に開発の経緯を説明します。審査報告書7ページ、中段の(1)開発の経緯を御覧ください。現在、本邦で使用されているペースメーカは、胸部の皮下ポケットに留置されるパルスジェネレータと皮下ポケットから経静脈的に心臓まで到達するリードから構成されており、徐脈治療目的で広く使用されています。本品は小型化されたペースメーカであり、右心室内に直接留置されるため、従来のペースメーカに関連するリスクであった皮下ポケットの作製及びリード挿入に伴う感染や血管合併症等が低減されます。また、従来のペースメーカの植込みが難しいとされる鎖骨下静脈に狭窄がある患者において、本品の利用が期待されます。
なお、本品の外国における使用状況は、審査報告書8ページ、表2に示すとおり、本品は米国で平成28年4月、EUで平成27年4月に承認を取得しており、平成28年10月時点で約□□□台の販売実績があります。
次に、非臨床試験成績について説明します。概略は、審査報告書10ページから16ページに記載しております。本品の物理的、化学的特性、電気的安全性及び電磁両立性、生物学的安全性、安定性及び耐久性、性能、使用方法の試験成績に関する資料が提出され、審査の結果、特段の問題はないと判断しました。
次に、臨床試験成績について説明します。審査報告書18ページ下段の「MDT-1112経カテーテルペーシングシステムの臨床試験」を御覧ください。本臨床試験は、徐脈性不整脈の治療に対する本品の有効性及び安全性を評価する目的で実施された多施設共同前向き単群の国際共同試験となっております。被験者の内訳は、審査報告書20ページ、図3に示すとおりで、植込みが施行された症例は全地域で666例、そのうち日本は36例、6か月フォローアップを完了した症例は全地域で275例であり、そのうち日本は14例でした。安全性主要評価項目は、植込み後6か月における本品又は手技に関連する主要合併症の非発生率と定義され、結果は95.6%であり、信頼区間下限値は性能目標を上回りました。また、有効性主要評価項目は、植込み後6か月における適切なペーシング捕捉閾値を有する被験者の割合、つまりペースメーカによる電気刺激に対して適切な心臓反応がある被験者の割合と定義され、結果は98.2%であり、信頼区間下限値は性能目標を上回りました。
次に、機構における審査の概要について説明します。初めは、臨床的位置付けについてです。審査報告書23ページ、上段を御覧ください。本品は、従来のペースメーカの適応患者のうち、心室のみの電気刺激が適応と判断される患者に対して使用可能です。また、本品はリードが不要であるため、鎖骨下静脈の閉塞等により、従来のペースメーカの植込みが困難な症例において有用性が見込まれます。よって、新たな治療選択肢として、臨床現場に提供する意義があると判断いたしました。
次は、有効性についてです。先ほど御説明したとおり、有効性の主要評価項目である適切なペーシング捕捉閾値を有する被験者の割合は98.2%であり、信頼区間の下限値は性能目標を上回りました。
審査報告書25ページの上から2段落目を御覧ください。先ほど御説明した有効性主要評価項目の結果より、適切なペーシング捕捉閾値を得られなかった症例の発現割合が特に高いとの結果ではなかったことから、本品の有効性は臨床的に許容可能と判断しました。
次は、安全性についてです。概略は審査報告書25ページから30ページに記載しております。審査で着目した有害事象は、植込み手技に関連して生じる心臓損傷、デリバリーカテーテルシステム挿入部の穿刺部の有害事象、血栓塞栓症、心室性不整脈ですが、これらについては基本的には従来のペースメーカでも認められる事象であり、発現頻度及び重篤度に関しても臨床的に許容可能と判断しました。ただし、本品の構造や植込み手技に伴う安全性上の注意点については、トレーニングを通して十分に注意喚起いたします。
次に、本体の摘出について説明いたします。審査報告書31ページの上から2段落目を御覧ください。申請者は、本品は植込み後、慢性期に自己の組織によって被包化されるものであり、基本的には植え込んだら摘出を推奨しないと説明していますが、留置時や留置後早期に何らかの事情で摘出されることが想定されます。この点について機構は、植込み当日の摘出に失敗した症例も存在したことから、現時点の摘出事例の詳細、摘出方法と摘出失敗の可能性を情報提供した上で、慢性期の摘出は必要性を十分に検討するように注意喚起することが妥当と判断しました。
次は、長期の有効性及び安全性についてです。審査報告書34ページ、一番上の段落を御覧ください。機構は、本臨床試験の評価期間及び例数が限られていることから、長期の有効性及び安全性のデータが乏しいことを臨床現場に情報提供した上で、使用成績評価で長期データを情報収集することが妥当と判断しました。
次は、製造販売後の安全対策についてです。審査報告書34ページの中段、(6)を御覧ください。本品の植込みには、本品特有の知識及び技術が必要であるため、不整脈治療に関する専門的知識を有する医師が本品に関する適切なトレーニングを受けた上で、各種合併症に対応可能な施設において本品を使用する必要があります。また、MRI検査に関する安全対策としては、従来のMRI対応のペースメーカと同様の対応とする必要があります。よって、これらを承認条件とすることが妥当と判断しました。
次は、使用成績評価についてです。審査報告書35ページ、表6を御覧ください。目標症例数は審査で着目した有害事象と有効性を評価するために設定された150例に加え、長期観察を目的として、国内の本臨床試験への組入れ患者、最大36例と設定されました。また、調査期間は国内の本臨床試験への組入れ患者において、電池消耗が予測される最短期間である6年を超える観察を行うため、追跡調査期間を3年とした上で、調査期間を5年とすることは妥当と判断しました。さらに、長期の安全性については、使用成績評価に加え、先行して実施されている国際共同レジストリ成績の経年報告からも、必要に応じたリスク低減対策を講じることが妥当と判断し、これを承認条件としました。
以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、本品は使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の調査期間を5年とすることが妥当と判断しました。生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
ここで、北澤委員より事前に二つの御意見を頂いております。一つ目は、従来のペースメーカが使えず、治療ができなかった患者、つまり本品により新たに治療可能になる患者は全国で何人程度いるのかという御意見です。この点については、申請企業からは年間、約□□例と聞いております。この数字については、従来のペースメーカを利用できない患者ニーズに関する調査結果はありませんでしたが、臨床試験における従来ペースメーカの植込み困難症例の割合や国内の従来のペースメーカの年間植込み数等から試算したと聞いております。
二つ目は、臨床試験において植込み手技を受けたのは、国内36例、フォローアップ期間が平均4.67か月で承認するのは、製品の用途から考えて短すぎることはないのか。もし、承認をするのであれば、患者への説明書の中にこの旨を明記してはどうかとの御意見を頂きました。この点については、まず審査報告書33ページ、上から2段落目を御覧ください。本品は、国際共同治験成績に基づき審査を行っており、試験の平均フォローアップ期間4.4か月、6か月のフォローアップ終了が275例、最大14.4か月まで評価を行っております。さらに、植込みから最も遅くに発現した重篤な有害事象は植込み後161日で認められており、それ以降の報告はありません。御指摘のとおり、国内36例の平均フォローアップ期間は4.67か月、6か月フォローアップ終了は14例ではありますが、本品については国内外差が強く懸念される品目ではないため、全体成績より本品の長期安全性は担保されていると考えています。なお、本品自体の体内環境における耐腐食性については、非臨床試験より約100年と推定されております。また、本品の電池寿命は約10年となっておりますが、医療技術の進歩を考えると、臨床試験、治験という中で10年近くの有用性を評価することは現実的ではないため、以上、説明した臨床のデータと非臨床のデータから、承認可能と判断しております。もちろん、御指摘のように長期の有効性及び安全性の評価を引き続き行うことは重要と我々も考えており、承認後も使用成績評価により適切にフォローする予定です。また、現時点で長期の臨床試験成績が限られていることは、適応判断時に考慮されるよう医師に情報提供いたします。さらに、患者に対しても患者用のしおりに長期成績が限られていることを記載するよう、申請企業に指示する予定です。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは初めに、参考人の栗田先生から御説明いただけますか。
○栗田参考人 近畿大学の栗田です。先ほど機構側からも説明がありましたように、本品は鎖骨下静脈からのアクセスを有していない患者さんにとって、必須の医療機器です。特に両側からペースメーカを既に入れられていて、両側の鎖骨下静脈、あるいは上大静脈が閉塞しているような患者さんに関しては静脈アクセスがありませんので、これまでは開胸して、直接、心筋にリードを装着する、非常に侵襲の高い治療が求められていました。しかしながら、本品は下大静脈からのアクセスが可能ですので、そのような患者さんにとっても、正にこれは福音となる治療法であると思っております。また、先天的な心血管異常の患者さんに対しても有用な可能性があります。
二つ目は、感染の問題です。通常のペースメーカは、本体とリードとの組合せで構成されており、本体は多くの場合、胸部の皮下に植え込まれます。この皮下のポケットが感染を惹起する最も高いリスクを作っているというわけですので、本品に関しては全てが一体型になっておりますので、皮下との物理的な連絡はありません。皮下ポケットに感染が起こると、その感染源、病原菌はリードを伝わって血管内、あるいは心腔内に到達して、大変重篤な感染症、敗血症等を引き起こし、非常に難治性です。
現在、リードの抜去システムは臨床使用されておりますが、その手技のリスクは大変高いという状況ですし、感染がコントロールできても、その後の予後は大変不良であるということも示されておりますので、本品を使用することにより感染のリスクの削減が望めますので、これも非常に大きな利点の一つだろうと思っております。
もう一つの利点は、超高齢者に対する本品の利用です。私どもの施設でも、いろいろな介護施設から完全房室ブロックのような患者さんがよく紹介されます。90歳を超えるような患者さんも多く紹介されて来られますが、認知症があって、通常のペースメーカの手術をしても、御本人が置かれていらっしゃる状況が把握できなくて、どうしても安静が保てない。あるいは、創傷部を清潔に保つ保護テープを自分で剥がしてしまったり、創傷を自分で触わってしまったり、清潔を維持することが大変難しい状況も危惧されます。本品は下大静脈からのアプローチになりますので、創傷の傷は数センチのものが大腿部にあるだけですし、本体と創傷の物理的な連絡はありません。完全に分離されていますので、そのような状況においても感染を減らすことができるということで、私どもは以上の三つの点から、この新しい機器に大変期待しております。
正しく待望の医療機器であると考えております。したがって、非常に利用度の高い、安全性も初期の段階では当然トレーニングをして、現在のところ約丸1日かけてトレーニングコースをしようというように、非常に厳しいプロトコールでトレーニングをして、可能な限り合併症を減らして、安全に、そして確実に患者さんにこのような医療が提供できるということも十分考えた、そういう対策を立てた上で、今後、我が国においてこの医療機器を広めていきたいと考えております。以上です。
○荒井部会長 栗田先生、ありがとうございます。委員の方々から、御意見、御質問等、いかがでしょうか。
○梅津委員 栗田先生にお聞きしたいのですが、今までいろいろな種類のトレーニングをされてきたと思うのですが、デリバリーのトレーニングを見た感じでは、□□□にカシャッとタインをくっつける部分は工夫が見えると思いました。しかし、実際の心筋の内側は□□□とは大分違うような感じがします。このデバイスを外からの操作するとき、先生がお使いになって一番難しい部分はどういうところなのでしょうか。
○栗田参考人 カテーテルのアクセスに関しては、私どもは通常のカテーテル操作と同じアクセスですので、大変慣れておりますが、やはり心室が太いということと、右房から右室へアプローチする、その手技については、今回初めて経験するドクターも多いと思います。その場合、難しいのは心筋へペースメーカの圧着がどうかということ。そして、圧着部位がどこにあるかというところの判断が非常に重要になってまいります。これが右室の自由壁の所にもしも留置しますと、先ほどのアンカーのような返しが心筋の外に出てしまう可能性がありますので、できるだけそれを心室の中隔、それもあまり心尖部ですと心筋は薄いですから、心尖部よりも少し手前、心基部側の中隔にしっかりと当てて、そこでデリバリーする必要があります。それについては、造影をします。それから、私どもは心臓のシルエットで、大体どの辺にカテーテルの先端があるかを理解することができます。実際、先ほど御覧いただきましたとおり、曲げると25度ぐらいに、真っ直ぐ曲がらなくて少し歪んだ形で曲がります。あれは結局、心室の中核側にデリバリーシステムを当てるという意味で、あえて若干曲がって作られているというわけですので、留置部位をしっかりと指導することが非常に重要なポイントだろうと思いました。
○梅津委員 留置部位は、どういうデバイスを使って、それをトレーニングするのでしょうか。
○栗田参考人 実際のトレーニングのシミュレーターがあります。それを使ってやるということと、実際にやるときのビデオを何例もずっと見て、留置部位をこのような形で造影をしたり、いろいろなアングルで心臓のシルエットと先端の位置を確認して、一番安全な部位に留置するトレーニングをすることになっております。
○梅津委員 柔らかいものと硬いものをくっつけるときは、やはり相当、神経を使うところなので、トレーニングがうまくいくことを祈っております。
○栗田参考人 ありがとうございます。
○鈴木委員 説明は大体分かったのですが、企業は本品の推定使用患者数をどのぐらい見込んでいるのかということと、医師や施設の要件はあるのですが、患者の要件はどういうものを考えていらっしゃるのか。関連学会等もありますが、どういう学会が関わっていたのか。以上、3点を教えてください。
○機構 御質問を頂きありがとうございます。1点目の推定患者数ですが、申請企業からは初年度は約□□例と聞いております。また、2点目の患者の使用要件については、従来のペースメーカと同様の判断基準と考えており、具体的には部会資料の添付文書案のタブの中の4ページの右側の列の中段辺りに、1)植込みの適応とあります。ここに記載してあるとおり、本邦における従来のペースメーカと同じガイドライン、若しくはこれと同等以上のガイドライン等を参照して適応を判断しております。以上です。
○荒井部会長 もう一つ質問を頂いています。関連学会はどこかと。
○機構 失礼しました。関連学会としては、日本不整脈心電学会となっております。
○荒井部会長 鈴木委員、よろしいでしょうか。
○鈴木委員 分かりました。
○荒井部会長 そのほか、御質問はいかがでしょうか。
○中島委員 とても画期的なデバイスで期待できると思っていますが、先ほどデバイスを挿入するときの質問が出ました。あれは実際問題とすると、慣れていらっしゃる方だといいのかもしれませんが、実際、心筋のどこにということをリアルタイムで、ある程度、造影などで頭の中で構成してという話ですが、例えば超音波ガイドとか、そういうガイドのほかの方法がないかということが1点です。もう一つは、実際に埋め込んだ後、それが本当にどこにあるのかということの確認、あるいはフォローアップ、CTとかMRで、そういうのが見えるのかとか、その辺です。適応のところで、今も御質問があったのですが、先ほど先生は認知症の方などにはとてもいい適応といいますか、そういうのが期待できるというお話でしたが、今、循環器疾患は超高齢者、うちなどもTAVIとか結構やっていますが、極めて超高齢者、どの辺までが本当にやるべきで、やらないというのはなかなか難しいかもしれませんが、その辺の御判断は関連学会等でディスカッションはされているのかということについて、お伺いしたいと思います。
○栗田参考人 まず、留置部位の決定において、いろいろなモダリティを使ってはどうかという御意見ですが、大変参考になりました。しかしながら、この手技では今のところはエコーガイド下での留置というのは考えておりません。エコーガイドも、例えば右室の描出は比較的難しくて、一つそれも案として提案はしてみてもいいと思いますが、胸壁からのエコーですと、留置部位を正確にエコーで判断するのはなかなか難しい面があります。むしろ私どもは右房・右室の解剖は、レントゲン上で大変よく頭に理解して入っておりますので、最初の造影、留置した場合に先端から造影剤を入れることによって、かなり正確な右室でのリードの位置、ペースメーカの位置を二方向で見ることによって、まずきちんと把握できると思っております。ですので、透視画像を中心に用いていけば、ある程度の知識がある者、あるいはトレーニングを受けた者であれば、その辺の判断はまず大丈夫だろうと思います。それから、留置した後のフォローアップについては、当然レントゲン、正面と側面を撮りながら、先端がどこにあるのか、そして、それが移動していないかということはフォローアップをしてまいります。もちろん、これはMRI対応でもありますし、CTでも対応できますので、万が一、例えば少し移動しているとか、あるいはタンポナーデのような所見があった場合は、CT等でペースメーカがどこに留置していて、アンカーがどの辺りにあるかということも、ある程度CTで把握することは可能だと思っております。
最後の御質問は大変難しい御質問なのですが、高齢者の場合、どこまでこういった高価なデバイスを提供していくかという年齢制限等に関しては、学会の中で正式にディスカッションはされているというのは、私には今のところ記憶はありません。適応について年齢の上限は決めにくい状況ですので、とりあえず今のところ、例えばがんの末期の患者さんで、同じような状況が起こったときにどうするかという場合、基本的に平均余命6か月が期待されるということ、そして、それを入れることによって、症状が改善されるだろうということの規定は一応あります。したがって、それ以上の平均余命が期待できて、現在、実際に認知症であっても、徐脈によって患者さんの症状が出現して、大変、患者さんが苦しんでいらっしゃる、そういう状況においては適応になってくるというように判断をしております。
○中島委員 平均余命というのは、健康寿命といいますか、アクティビティがある方の6か月というように理解してよろしいでしょうか。
○栗田参考人 末期がんと言いますと結局そうなりますが、高齢者の場合にそれがそのまま適応できるかどうかは分かりません。ただし、健康寿命と平均寿命とのギャップが十数年あるわけですが、だと言いましても、患者さん自身が失神をして、非常に苦しい思いをされていらっしゃるという状況は、何としても助けてあげないといけないという使命がありますので、その辺は現場の判断に委ねるしかないというところが実情で、何歳で切る、あるいはこういう条件ではやめなさいということは、なかなか学会の方針としても出しにくいというのが現状です。その辺は御理解いただければと思います。
○鈴木委員 年齢という話もありましたし、もう一つは認知症という話もあったのですが、基本的に認知症があるからといって、必要な治療を行わないということがあってはならないというのが大原則だと思うのですが、それを確認させていただいてよろしいですか。
○荒井部会長 よろしいですね。
○中谷委員 やはり異物が心室内に入っているというところで、今回の試験では余り感染症の話は出てこなかったのですが、長期になってきた場合、人工弁でもかなり長期になってから、特に歯科治療などをやったときに感染を起こすということは出てくると思うので、そのリスクは、心臓内にあると、それに対して余り配慮がないような気がして、確かに半年ぐらいとか、がっちり見られているからいけるとは思うのですが、特に高齢者に使ったときに、歯科治療とかもされていないとか、そんなものも絡んでくると、感染症が絡んで、その場合に結構、厄介なことになると思うのですが、その辺の配慮はどうなっていますか。
○栗田参考人 私の方から回答させていただきます。現在のところ、フォローアップといいましても、先ほどお話がありましたように、それほど何年もフォローできていません。これはヨーロッパでも使い始めて、それほど時間がたっているわけではありませんので、長期的に感染がどうだろうかということについてはまだデータがありませんし、先生が御指摘のように、人工弁でも当初は良いものも、時間を置いて抜歯とか、いろいろなことから細菌感染を人工弁に起こすということは、もちろんあるわけです。本品においてもその可能性はゼロではないと思っております。ただし、これは時間的な経緯は明確ではないのですが、先ほど話もありましたが、本品は恐らく時間を置きますと、endcardium、心内膜側の組織の増殖によって、ほぼ覆われてしまうというか、本品が反応によって、表面が完全に包被されてしまう。そうなりますと、金属そのものは表面に出ておりませんので、そういう意味では人工弁よりも感染を起こしにくいのではないかと一応考えられています。
ただ、一旦感染を起こしますと、これは完全に組織の中に埋没していますので、それを取り出すことはほぼ不可能になります。したがって、本品を使用する場合は、例えば電池寿命がきた場合は、抜いて入れるということができませんので、同じものを追加していくことになります。強くその辺の注意を喚起して、感染症が少ないからといって安心するなということ。現在のペースメーカと同じような十分な感染対策をまず考えておかないといけないということは、十分に周知しておきたいと考えております。
○荒井部会長 最後に、私の方から一つ。全体の状況について、これは私の勘違いかもしれませんが、今の既存のペースメーカが標準で、これがオプションなのか、それともこれから徐々に入れ替わっていくようなものなのでしょうか。初年度の使用個数がそれ程多くないことはご説明頂きましたが、全体の流れはどのように考えたらよろしいのでしょうか。
○機構 御質問いただきありがとうございます。これについては、先ほどの御説明だと従来のペースメーカと異なるメリットがありますので、将来的には入れ替わる可能性はあるのかと思っておりますが、現時点では従来ペースメーカとは同じ位置付けということで、現場でどちらを使うかというところを判断して使うのかと思っております。
○荒井部会長 現場の判断に委ねるというのは、時に危険な場合もあるので、そこのところは、きちっと学会も含めて協議をしていただいたほうがいいかと思います。
○医療機器審査第二部長 先ほどの説明の補足なのですが、鈴木委員の方からも年間どのぐらいの患者数がいるのかという御質問を頂いております。企業の方としては、まだ初年度、約□□例ぐらいだろうと。そこには今お話にありましたような医師のトレーニングをきっちりやってもらうということで、年間症例数は□□例ぐらいだろうと。ただ、希少疾病とかオーファン的な製品ではないと思っていますので、徐々に年間の植込み件数は増えていくと思っています。ただし、本品はペースメーカの中でも心室だけを見ている、シングルチャンバーという機能しか持ち合わせていないところもありますので、心房の方もデュアルチャンバーというものではないということで、対象患者はそんなには爆発的には多くないとは思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○栗田参考人 先ほどのこの新しい機械の今後の展開ですが、先ほどお話がありましたように、現在シングルチャンバーですので、適応そのものはそんなに多くはないと。大体全ペースメーカの適応のうちの1、2割ではないかと思っております。それも全部広がった場合です。ただ、最初はトレーニングがありますので、認定施設が最初はそんなに多くありませんので、出発はやはり年間□□例ぐらいが妥当だろうと思っておりますし、そういった経験を積むことによって、プロクターも誕生しますので、それからが必要に応じて、始める各施設に出向いて指導することも可能になって、より安全な提供ができると判断しております。この機器は、将来的にいろいろな発展が考えられております。心房・心室、両方に同じようなカプセル型のペースメーカを入れて、Bluetooth等で交信させながら、心房・心室のシンクロナイゼーションといいますか、同期性を取るような、そういったアイディアも出てはいますが、これはまだ大分先の話で、基本的には数年間はこのVVIのタイプのペースメーカが使用されると予想されております。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほか、よろしいですか。よろしければ、議決に入らせていただきます。医療機器「Micra経カテーテルペーシングシステム」について、本部会として、高度管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。
ありがとうございます。また、使用成績評価の対象に期間を5年として指定することとし、特定保守管理医療機器への指定を不要としてよろしいでしょうか。
御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することといたします。これで議題2を終了いたします。栗田先生、どうもありがとうございました。
引き続きまして、議題3に入らせていただきます。議題3、医療機器「Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテル(大腿膝窩動脈用)」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として帝京大学医学部内科学講座循環器内科教授であられる上妻謙先生にお越しいただいております。よろしくお願いします。また、本日は御欠席ですが、参考人の旭川医科大学血管外科教授の東信良先生より御意見を頂いております。まず、事務局の方から説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について、事務局から御説明いたします。資料3を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Lutonixドラッグコーティングバルーンカテーテル(大腿膝窩動脈用)」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いします。審議品目及び審査の概要について、機構担当者より御説明いたします。よろしくお願いします。
○機構 機構より御説明いたします。まず、当日配布資料4の「専門協議委員一覧」を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする4名の専門委員の御意見を頂きました。
初めに、本品目の概要について御説明いたします。資料3の審査報告書のタブの5ページの2.審議品目の概要を御覧ください。図1に示しますように、本品は足の大腿から膝までの動脈、いわゆる大腿膝窩動脈の狭窄部の治療に用いるバルーンカテーテルです。本品のバルーン表面に、治療後の再狭窄を抑制する目的で細胞増殖抑制の作用を有する薬剤であるパクリタキセルがコーティングされています。
続いて開発の経緯を御説明いたします。6ページの中段、(1)開発の経緯を御覧ください。末梢動脈疾患は動脈硬化による閉塞性の疾患です。治療法として軽症の患者には薬物治療、それらの治療が奏功しない患者には、外科的なバイパス手術又は本品などが用いられる狭窄部を拡張する血管内治療が行われています。血管内治療のうち、バルーンカテーテルでは再狭窄率が高いことや、ステント治療ではステント破断等の問題があります。そこで、再狭窄抑制を目的として薬剤をコーティングした本品が開発されました。次に、海外における使用状況について御説明いたします。報告書7ページを御覧ください。欧州では2011年7月に下肢動脈又は透析シャントにおける治療の適応でCEマークを取得しております。また、米国では2014年10月に、大腿膝窩動脈の治療の適応でPMAを取得しております。2016年11月時点で約□□本の販売実績があります。本品の非臨床試験については特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。
審査報告書21ページ、臨床試験の成績に関する資料から始まる箇所を御覧ください。本品の評価資料として、本品が、対照群である薬剤を塗っていないバルーンカテーテル治療群、以降PTA群と言いますが、そのPTA群と比べて、統計学的に優位であることを検証するために米国及び欧州で実施された海外ピボタル試験、及び海外ピボタル試験成績と同じ傾向であるかを確認する、いわゆる外挿性を確認する本邦で実施された国内試験の成績が提出されました。
まず、海外ピボタル試験について御説明いたします。大腿膝窩動脈に病変を有する患者を対象に、前向き無作為化多施設共同試験が行われました。主要有効性評価項目は治療血管の開存性を評価するために「手技後12か月の標的病変の一次開存」と設定され、主要安全性評価項目は、周術期の死亡、並びに12か月後の対象下肢の切断・再治療・下肢関連の死亡の回避の複合評価とされました。
次に、本試験での症例登録について御説明いたします。報告書23ページ、図2を御覧ください。薬剤の塗布されていないバルーンカテーテルで、一度病変の拡張を行った後に症例登録となり、その後、血管拡張が十分に行われており、血流を制限する血管解離が存在しない等の前拡張実施の病変基準に合致した場合に、本品群又はPTA群へ無作為化割付けされるデザインとなっています。試験結果について、報告書の26ページ、表8を御覧ください。主要有効性評価項目である12か月時の血管の開存性を維持した症例の割合は本品群65.2%、PTA群52.6%であり、本品群の優越性が検証されました。また、主要安全性評価項目について、報告書27ページ、表9を御覧ください。有害事象の回避率は本品群83.9%、PTA群79.0%であり、非劣性が検証されました。
次に、国内試験について報告書30ページを御覧ください。国内試験は海外ピボタル試験と同様の試験デザインであり、被験者数は合計で109例が登録され、本品群71例、PTA群38例でした。主要評価項目も海外ピボタル試験と同様に設定され、評価時期を6か月に変更したのみが異なります。試験成績については報告書33ページ、表15を御覧ください。主要有効性評価項目について、6か月時の血管開存性を維持した症例の割合は、本品群68.6%、PTA群66.7%であり、両群の差は小さく、海外ピボタル試験と異なる傾向でした。主要安全性評価項目については、本品群91.5%、PTA群86.5%でした。
続いて、審査における主な3つの論点について御説明いたします。報告書34ページ、中段を御覧ください。海外ピボタル試験の主要有効性評価項目の定義の中に、臨床的に意義のある、再治療の回避が含まれていたこと等を踏まえ、海外ピボタル試験において優越性が検証された本品の有効性は示されていると判断いたしました。また、海外ピボタル試験において、下肢切断、下肢関連死亡及び再治療の回避を含む主要安全性評価項目が設定され、本品群とPTA群の非劣性が示されていること、及び本品特有の有害事象も認められていないことから、本品の安全性は示されていると判断いたしました。報告書35ページを御覧ください。最近のメタ解析において、本品の治療領域でのパクリタキセル塗布型バルーンカテーテルが、薬剤なしのバルーンカテーテルよりも、手技後12か月時の再治療率を有意に減少させることが明らかにされております。また、本品による治療は異物を体内に残さないため、埋植機器であるステントとは異なり、次の治療選択肢を制限しないメリットを有していること等も踏まえ、本品を医療現場へ提供する臨床的意義はあると判断しております。
二つ目の論点は、海外ピボタル試験成績の本邦への外挿性についてです。報告書37ページの中段以降を御覧ください。機構は、国内試験の有効性に関する成績が海外ピボタル試験と異なる傾向であったことを踏まえ、その原因究明を申請者に指示し、申請者は四つの観点から考察しております。初めに、申請者は国内試験の症例登録の適切性を確認するために、盲検化した治験調整医師2名により、国内試験の全症例を対象に症例の見直しを実施いたしました。その結果を報告書38ページ、表19に示しております。前拡張実施後の病変基準や症例選択・除外基準を満たさない症例が、本品群10例、PTA群3例で含まれており、当該症例の多くは、前拡張後に拡張不十分な症例、つまり残存狭窄率が70%以上である症例又は血流を制限する重大な解離を有する症例でした。これらの逸脱症例は日常診療において本品ではなくステント治療が行われており、これらの症例の多くは主要有効性評価項目を達成できなかったと説明されました。
その他の原因について、御説明いたします。審査報告書39ページ、図6を御覧ください。そのほかの原因として、無作為化割付けを行ったにもかかわらず、図6の上段、国内試験の左から3本目の薄い灰色のバーでお示ししますように、病変長が長い症例がより多く本品群に登録されておりました。また、治療血管が完全に閉塞した症例がより多く本品群に登録されていたことも一因であると説明されました。最後に、手技的な要因からも説明が行われております。報告書40ページ、表20を御覧ください。海外ピボタル試験を実施した国のうち、手技経験の多いドイツとその他の国との手技内容を比べると、表20の一番上に示すように、送達時間についてはドイツでは平均21秒、その他の国では39秒、日本では43秒でした。バルーンに塗布されているパクリタキセルは徐々に血液に溶出していきますので、可能な限り迅速に病変部へ送達することが重要であり、表の下段に示すように、ドイツではその他の国より良い成績であったことを説明しております。以上を踏まえ、国内試験成績において逸脱症例を除いたPer Protocol解析を実施しております。報告書37ページ、表18の左側、国内試験のカラムを御覧ください。逸脱症例を除いたPer Protocol解析の結果、手技後6か月では両群の差は12.6%、12か月では両群の差は6.1%であり、症例が少ないために統計学的な有意差はついておりませんが、本品群がPTA群よりも血管の開存性を維持した症例の割合が高い傾向でありました。申請者は、以上の結果及び患者背景の偏り、手技的要因等を勘案すると、本邦においても本品の有効性は期待されると説明しております。
機構は、今御説明した国内試験成績、及び国内試験では外挿性判断の基準が事前に設定されていないことを踏まえ、国内試験成績のみをもって外挿性の判断を行うことは困難であると判断しております。一方、国内試験の症例登録の適切性については、機構においても全症例の画像等を確認するとともに、機構の複数の外部医学専門家の確認においても、拡張不十分又は重度の血管解離症例が一定数含まれており、専門協議の議論も踏まえ、Per Protocol解析が明らかに恣意的であるとまでは言えないと判断しました。したがって、本邦における本品の有効性及び安全性については、国内試験成績に加え、このあと御説明しますパクリタキセルに関する民族差及び本品の治療効果に影響を及ぼす患者背景因子を踏まえ、総合的に判断することとしました。
報告書42ページの中段、「本邦の医療環境を踏まえると」から始まる箇所を御覧ください。本邦の医療環境を踏まえると、本品の治療領域において、糖尿病性腎症や透析等に由来した石灰化病変を有する患者が欧米と比較して多いことが懸念されます。海外ピボタル試験及び国内試験において、中等度の石灰化病変を有する症例は登録されており、両試験の患者背景、病変形態、石灰化を有する症例の割合に大きな差は認められておりません。また、石灰化病変を有する症例の部分集団解析においては、本品群の手技後12か月の血管の開存性を維持した症例の割合はPTA群よりも高い傾向にあったことから、中等度の石灰化病変においても本品の有効性は担保されるものと判断しております。また、本品と同様の治療コンセプトでパクリタキセルを塗布した下肢や冠動脈領域の医療機器を用いた臨床試験成績等から、国内で有効性に大きな差は認められていないこと、及び先ほども御説明したように症例数が少ないため、統計学的な有意差はついておりませんが、Per Protocol解析の本品群の有効性はPTA群よりも高い傾向にあることも踏まえ、本品の成績に大きな影響を与えるほどのパクリタキセルの民族差は認められていないと判断いたしました。以上のことを踏まえ、海外ピボタル試験成績を本邦へ外挿することは可能と判断しております。
三つ目の論点は、本品の適正使用についてです。報告書47ページの中段、「本品の適正使用への取組」から始まる箇所を御覧ください。国内試験の逸脱症例等の成績を踏まえ、適切な症例選択を行うための症例選択基準、綿密な実施医及び施設要件を含めた適正使用指針について循環器内科及び血管外科を含めた関連学会との協力の下、詳細なものを策定することとしております。その上で、実施医へのトレーニングを必須とし、適正使用を徹底することとしております。以上、まとめますと、国内試験成績は先ほど御説明した成績ではありましたが、本品の有効性及び安全性は海外ピボタル試験にて示されており、メタ解析の結果からも、パクリタキセル塗布型バルーンカテーテルの治療効果は示されていること、及び治療ガイドライン等を踏まえると、海外と本邦での医療環境差や病態の差は認められていないことから、海外ピボタル試験成績を本邦へ外挿可能と判断しております。以上のことから、国内試験を再度実施することは科学的に必要ないものと判断しております。また、国内試験においては、逸脱症例を除いた解析では症例数が少ないために有意差はついておりませんが、本品群がPTA群よりも有効性が高い傾向が認められていることも踏まえ、関連学会との協力の下、綿密な適正使用指針を策定し、それを遵守することで製造販売後の本品の有用性は担保されるものと判断いたしております。
最後に御説明した点を踏まえ、機構は、本品に対する承認条件を付す必要があると判断しております。承認条件の一つ目として、本品の適正使用のために循環器内科及び外科学会を含めた関連学会に御意見を頂きながら、国内試験成績を踏まえ、本品がより有効な症例選択が可能な症例選択基準、実施医及び施設要件を含めた適正使用指針を策定し、当該事項の遵守のために適切な対策を講ずることとしております。また、承認条件2として、策定した症例選択基準により、本邦の実臨床下での適切な症例選択が可能であることを評価するために、使用成績調査を実施することとしております。なお、使用成績評価については症例数300例、重点調査項目は血管の開存性の評価である一次開存、調査期間は販売準備期間6か月、症例登録期間12か月、標準の症例追跡期間を12か月と設定しております。以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの御報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。まず初めに、参考人としてお越しいただいています上妻先生から、説明の追加はございますでしょうか。
○上妻参考人 帝京大学の上妻です。よろしくお願いいたします。この末梢動脈のインターベンションの現況と問題点と、本製品に対する期待というところで、お話をさせていただきます。末梢動脈の血管形成術、末梢動脈のインターベンションは年間1割近いペースで増えているのではないかと考えております。日本循環器学会の調査では、大体、今、年間に6万件以上、末梢動脈のインターベンションが行われているのですが、この中には相当数の再狭窄とか再閉塞による、同じ患者さんが繰り返し行っているという可能性が高いと思われます。特に、この末梢動脈、下肢の動脈が閉塞する問題点は、重症下肢虚血になると、かなり高い確率で下肢切断であったり感染症による死亡とか、そういったことで患者さんの生命予後が悪くなる、それから、下肢切断によって介護必要度がかなり高くなるところがあって、かなり社会的な問題になる患者さんが多いのではないかと思います。我が国のOLIVE試験、そういった重症下肢虚血の患者さんの3年間の追跡調査があるのですが、このデータを見ると、大体こういった重症下肢虚血に一旦なると3年で下肢切断に至る確率が45%と出ています。感染症の再発も44%と出ていて、かなり繰り返しやすいし、下肢切断に至る確率が高い疾患です。
この背景にあるのは、冠動脈と違って、下肢のPTAというのは、その場は取りあえず開存、広げることができても、また再閉塞というのがものすごく多く、その場は一回はしのげても、また繰り返し行っているうちに最終的に血流が悪くなって、どうしようもなくなる。特に金属のステントを使用したときに、この大腿膝窩動脈は金属のステントを使用しても再閉塞が3割ぐらい現状でもあるのですが、そうするとだんだんいろいろな枝がつぶれていったり、末梢の血管床がなくなっていったりというので、条件がますます悪くなる状況にあります。下肢のバイパス手術の方も、なかなか満足のいく成績になっていない。特に、大腿膝窩動脈以下の動脈が悪い場合にはつなげられないという、バイパスもかなり限界があるというところで、こういった領域は治療の成績の改善の必要度が高い領域と考えています。
欧米、特にヨーロッパでは、こういった薬剤コーティングバルーンによる治療というのが第一選択と目されていて、主なディスカッションはその部分に集中しているような状況であり、この製品カテゴリーのものがかなり強く求められているのが現状かと思います。
本臨床試験が余り良好な成績ではなかったというところはあるのですが、冠動脈ではこのパクリタキセルのコーティングバルーンは既に2年以上臨床使用されていて、臨床治験でも非常に良好な成績でしたが、実際の実臨床でもかなり良好な成績が出ています。この要因はやはり技術の問題というのが大きくて、今回の臨床試験で問題になっていた残存狭窄、しっかり広がらないと、いくらこの薬剤バルーンを使っても成績が良くならないということ、あと重症の血管解離が残っていると、やはり再閉塞の確率が高いということです。こういったところで、技術的な問題があるということ。あとは、病変が長いと、広げた部分を十分にこのバルーンでカバーをしないと、その薬が行かなかったバルーンで広げた部分がむしろ再狭窄の率が高いということがあって、かなり技術に依存するところがあります。
先ほどプレゼンテーションにありましたが、バルーンをそこの病変まで持っていく時間、ドイツに比べて日本が非常に長くかかっていたというところで、長い時間かかると、この薬がかなり溶出してしまうことが分かっていて、やはり技術的な問題が一番大きいのだろうと考えています。ですので、技術指導をしっかりして、適応をきっちり守ってもらって、拡張を十分にすることによって、このバルーンによる成績はかなり改善するのではないかと期待しています。本製品に限らず、この製品カテゴリーというのが、末梢動脈の拡張においては非常に求められている領域ではないかと考えております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々からの御質問をお願いします。
○荒川委員 今、手技による問題は御指摘いただいたのですが、試験デザインそのものが、そういった病変長が異なることによって有効性が違うということであるならば、もともと層別割付けをすべきではなかったかと思うのです。それがなされてなかったという問題点。それと、封筒法を用いている。これは私どもの臨床試験をやっている者からすれば、封筒法は御法度なのです。結果として病変長の分布も違いますし、39ページにありますように、完全閉塞症例も倍以上違うという結果になっているのは、やはり封筒法を用いた問題点ではないかと見ざるを得ないと思います。この結果をどう解釈するかの問題点は、一つは、病変長ごとのサブ解析の結果で有効性をちゃんと確認できるのか、その辺を教えていただけますか。
○荒井部会長 病変長ごとのデータはありますか。
○医療機器審査管理課長 やってなければ今は答えられないから、やってあるのであれば答えていただきたいのです。
○機構 資料3の「8」と書いてある黄色のタグの361ページです。「病変長の四分位」で、病変長ごとで解析はしているのですが、症例数が少ないために成績が少しばらついている結果になっています。
○荒井部会長 ここは、余りものは言えませんね。多分この議題に関してはいろいろ御意見が出ると思いますので、分からないものは分からないで良いので、明確な回答をお願いします。ここに一応書いてあるということですね。今の荒川委員に対する明確な御回答ではありませんが、そのほか御意見はいかがですか。
○鈴木委員 今の懸念もそうなのですが、本来これは海外の試験と同じ条件で試験をしたはずなのに、はっきり言って、国内試験では有効性を示すことができなかったにもかかわらず、承認してほしいという話ですね。そこがそもそもの問題ではないかと思っております。かなり細かく分析してもはっきり差が出ないという話ですから、このデータで見る限りは、ちゃんとした結果は出ない可能性が強いのではないかという気もいたしますし、そもそもどうして国内の治験できちんとできなかったのかというところが大きな問題だと思います。
今回、例えばこういったものを通してしまうと、こんなやり方でも、あとは機構が何とかしてくれるということで、安易に治験が行われるという風潮は、根絶しなければいけないと思います。そういうことでは、日本の臨床研究は海外に信頼されません。是非、そういうところから見直してほしいと思いますので、現時点で承認というわけにはいかないと思いますし、そうした除外症例が判別できないような医療機関は、治験にそもそも参加させるべきではないと思います。そういったところをもう一回見直して、きちんとしたデータが出るような治験をやるべきだろうと思います。
一つ質問ですが、この治験はどういう医療機関に対して行われているのか。学会とはどういう学会なのか。内科系の学会が中心だと聞いているのですが、提出された文書を見ますと、血管外科の学会の先生からのようですから、内科、外科にかかわらず、一緒に参加してこういう結果だったのか、それとも内科系に偏っていたから、こういう結果が出たのか、そういうことも分かりましたら教えていただけますか。
○機構 治験に参加した施設は15施設ありまして、血管外科の施設も含まれております。
○荒井部会長 何施設ですか。
○機構 15施設でやっておりまして、血管外科は□施設です。
○荒井部会長 □施設ですか。では、□施設は内科系ですか。
○機構 はい、内科系です。
○荒井部会長 そのほか、御意見はいかがですか。多分、皆さん同じことを感じておられ、鈴木委員の御発言はその大部分を網羅しているように思われます。エビデンス、エビデンスと言いますが、ランダム化比較試験の場合にも、場合によっては、特に技術が絡む領域では、あるいは人種差もありますが、ある集団と別の集団で結果が異なることはあって然るべき話です。むしろ同じようなデザインにもかかわらず、日本で別の結果が出たというところは非常に重いところです。
それから、先ほど荒川委員からもご指摘がありましたが、封筒法は論外と言わざるを得ませんし、また、サブグループ解析、すなわち、後で別の解析を加えて解釈するというのも問題です。さらに、除外症例を外すと言っても、トータルの109例に対し13例が除外されているので、1割以上が落ちてしまっているとなると、試験のクオリティとしても大いに問題があると言えます。
多分、各委員の先生方もこの結果に関しては、鈴木委員と同様の御意見をお持ちかと思います。
反面、機構から後段で説明がありましたように、薬剤コーティングのバルーンの効果については、ほかの領域では日本でもかなり認められていますので、海外で当たり前になっているものが、日本の患者さんにだけ導入できないというのは大変大きな問題だと思います。
また、別の側面ですが、医薬品の部会であれば、このサブグループ解析に基づく判断は到底許容されないと思われますが、医療機器の判断をしているこの部会では良しとするならば、医療機器についての判断が極めて甘いという批判は免れないと思われます。
論理的な判断はむろん重要ですが、海外で当たり前に使えるものが日本の患者さんに使えなくしてしまうという事実も、また極めて重大であり、本当に真剣に考えなければいけない問題だと感じています。
○中谷委員 この結果に関しては言われているとおりだと思います。正に言われたところをどう考えるか。これを見ていると、今から関連学会にという形になっているので、そこのところはよく分からないのですが、もしそうであるのなら、もともと関連学会でそういうのを組んで、その知見が得られなかったのですね。治験をやるときに、ある程度承認のときには、例えば施設基準とか、それに関してがっちり学会側も絡んでやっていなかったように思われるのですが、それが一つの大きな問題点だったのではないか。それで後でこう解析してこうなったという話になっている。確かにこのまま通すのはおかしいとは思います。いわゆるデバイス・ラグ、導入側の責任も大きいとは思いますが、サブ解析等々をやって、一応それなりの結果が出ているということも踏まえると、関連学会にその点を明確にきちんと出して、これこれでやりますということをして、それを基にもう一度ここで審議するなら審議する。少なくともそこはやらなければという気がします。
というのは、もう一度治験を組むというのも、結局同じことが起こる可能性があって、もしやるにしても、関連学会でもう一度ちゃんともんでもらって、このような形で日本に導入するのだということをして、そのような形でやって、一応今までやられた試験で、このように我々も解析するとか、関連学会としても同じように考えるということを意見をまとめてもらって、その上でここで協議するという形をやる。だらだらするのではなくて、それこそ1か月ぐらいでしろとか、そのぐらいの形でも、一応導入するというか、意見書も出てきている、今日鈴木先生も言われているように、これは選択肢を増やす意味で、これは今でも割と早く欲しいと思っているので、そこのところを考えると、それがいいのかどうかは疑問には思いますが、少なくともそういう取組はあってもいいのではないかと思います。
もう一つは、治験を組むときにはちゃんとやれということもこの部会で警告として出すとか、それも踏まえた上でということはやるべきではないかと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○一色部会長代理 いろいろ御意見のあるところだと思いますが、私もインターベンションをやっていた人間ですので、感じたことを少し申し上げたいと思います。
そもそも外挿性のために行われている試験というのは、最初から有意差は求めていないものですね。有効性を証明させるのであれば、この症例数では無理な話のはずです。そうであればきちんと国内治験として最初から多くの症例数でやらなければならないわけです。有意差が出なかったということを問題にしてこの製品を認めないということでよろしいのでしょうか。統計学的な視点から先生方の御意見も伺いたいと思います。
もう一つ、手技的な側面からかなり厳しい御意見があって、例えば術中に正しい適応の判断ができなかったことは技術の問題という話も出ていますが、現実に、70%という区切りがありますが、術中に71%と69%で差が分かるのかと言われたら、ほとんどの術者は分かりません。後で解析したときに、その数字がどちらに振れるかによってこれが逸脱したという話になってしまうということなので、この設定自体が、臨床の現場で広げている最中に数字を出さずに判断することのリスクとなりうると思います。
解離についても、血流障害を生じさせるような解離が判断になっていますが、どの程度の解離になったら血流障害を生じさせるかという判断は、術者によってかなり変わってくる可能性もあります。また、一旦治療の説明をして行っている手技の最中になれば、できるだけその患者さんを治験に組み入れたいと思うのは、請け負った先生方の感覚としてはごく自然な考えではないかと思います。そういう状況の中で発生した逸脱を技術的に問題があると解釈してよろしいのでしょうか。
もう一つ、これらのことを踏まえ、外挿性を見るための試験で、ITTの解析をしなければいけないかどうかも考慮すべきかと思います。ITTは有意性を目標としてしっかりとした治験を行うという前提の下に解析されるべきものであり、外挿性を検討する際にはperprotocolでの解析結果も参考にするなどの柔軟な対応もあってもいいのではないかと考えます。
このフィールドは、どんどん新しいデバイスが出てきます。そのような環境においては、成績が悪いデバイスは、あっという間に捨てられてしまいます。本デバイスのようにアメリカとヨーロッパ等で□□件も使われてきたという実績を見る限りは、年数がある程度たっても捨てられてないデバイスと判断されます。このような現状も念頭に、このデバイスが日本だけで使えないということの意味を考慮して御検討いただければと思います。
○鈴木委員 一色委員はこの分野の専門家でもいらっしゃるので、ある意味では利益相反的であり、あるいは自分の専門分野を擁護しようと思われるのは、当然かもしれませんが、問題はそうでなくて、この機具の必要性はあることは認めた上で、この治験でどうしてこんなにいい加減なデータが日本だけ出たのかということが問題なのであって、それは話が違うのですり替えないでいただきたいと思います。海外と同じ条件でやることが、どうして我が国ではできないのか。それだけ臨床のレベルが低いのかと問われかねないということです。ですから、それでいいのかという意味では、いいとは言えないと言っているのであって、機具が必要ではないとか、そういうことを言っているわけではありませんので、問題をすり替えないでいただきたいと思います。
○荒井部会長 そのほか御意見はいかがですか。よろしいですか。
そうしましたら、いずれの御意見も非常に重要なことですし、今、一色先生から御指摘があったスタディのデザインの組み方、あるいはその後、鈴木委員から御指摘のあった点も含めて、あるいは先ほど私が申し上げたこの機器の審査に携わるこの部会の立ち位置、在り方、さらには、平たく申し上げると海外で当たり前に使われているものが日本には入らないということの患者さんにとっての不利益、その辺をきちんと詰めなければいけません。安易に「このように決めてしまいましょう」という事柄ではないと認識しております。
この部会は基本的には議決に関しては多数決でやることになっておりますが、原則としては、多数決と言っても、基本的には議論を尽くした上で納得していただいて、願わくば全員の委員に納得していただいて議決することが好ましいと考えておりますので、本日この議題については、議決は取らずに継続審議として、次回以降の部会で再度、それもなるべく遠くない時期に議論した上で、議決したいと考えたいと思いますが、よろしいですか。
○鈴木委員 今の部会長の話ですが、多数決が原則ではないでしょう、全会一致が原則でしょう。違いますか。
○荒井部会長 いや、文言は多数決ですね。
○医療機器審査管理課長 細かく言うと、規定上は多数決なのですが、部会のやり方の問題として、議論を尽くして、基本的には全会一致を目指すという方向でやらせていただくということです。ですから、言っていることは多分変わらないのですが、規定上はそうだということだけを申し上げておきます。部会長の言っているとおりだと思います。
○鈴木委員 多数決で決めるとどこに書いてあるのですか。
○医療機器審査管理課長 規程の、確認しておきますので、ほかのことがあれば。
○荒井部会長 今、鈴木委員から御指摘がありました点につきまして、私も多数決が本当に正しいという文言は確認できておりませんが、少なくとも今日の時点で全員一致ということはないと思われます。よって、本日はこれを継続審議ということにさせていただきたいと思いますが、御異議ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、今回はこの議案に関しましては継続審議ということで終了させていただきたいと思います。
これをもちまして議題3を終了いたします。参考人の上妻先生、どうもありがとうございました。
○医療機器審査管理課長 すみません。今の鈴木先生のは大変恐縮でございます。本日お配りしているものは内部の規程ですが、この上位に政令で薬事・食品衛生審議会令があり、この中で一番基本的な事項を決めてありまして、後でもしよろしければお届いたします。資料はありませんが、薬事・食品衛生審議会令の第9条第2項で「審議会の議事は、委員及び議事に関係のある臨時委員で会議に出席したものの過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。」という規定があります。それで私は先ほど多数決ということを申し上げました。ただ、部会の運営として、それが適切かどうかはまた議論がありますので、部会の運営の方としては、部会長がお話されたように、審議を尽くして全会一致を目指していくということがあるのだろうと思っています。
○鈴木委員 今まで多数決で決めた例があるのかどうか、何回あったのか、是非お教えていただきたいと思います。
それから、全会一致を目指すのであれば、多数決という言葉は安易に用いるべきではないと思いますが、今の部会長のお話ぶりは多数決で今日決めてもいいのだけれどもという感じです。そうではないのであれば、もう少し慎重にすべきだろうと思います。基本的には全会一致で決めるべきだと思います。こういう話は全員の合意を取って決めるのが薬食審の審議ではないかと今までは思ってきましたが、そうではないのでしたら、はっきりちゃんと言っていただきたいと思います。
○荒井部会長 すみません。もし鈴木委員が、「多数決でもいいのだろう」というように取られたとしましたら、私の言葉が足りなかったということです。私は多数決で決めたいとは全く思っておりませんし、基本的には何としても全会一致の方向でと考えています。本件についても、継続審議とすべきと考えており、事と次第によっては多数決で決めてしまおうといった乱暴な考え方は持っておりませんし、このような方針で今年度も進めていきたいと思っております。是非、その点は御理解いただければと思います。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、これで議題3を終了させていただきまして、議題4に移らせていただきます。議題4、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否につきまして、審議を始めます。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4について、資料4-1と資料4-2に基づき、御説明いたします。
議題2でも御説明いたしましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、いずれのクラス分類に該当するかについて、またその保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。今回は議題2の植込み型リードレス心臓ペースメーカのほかに2件、縫合部補強材と質量分析装置がありますので、これについて御審議をお願いいたします。
まず資料4-1についてですが、3ページに「新設する一般的名称(案)について」がありますので御覧ください。今回、新設する一般的名称1件目は「縫合部補強材」で、縫合部の当て布として用いるものです。4ページに「新一般的名称が付される予定の品目概要」があり、この品目は下の図に示してあるとおり、手術において縫合を行う際に、その縫合部を補強する目的で、ともに縫い付けるものです。多くの場合、縫合糸の付属品として流通しているということですが、この度、単体での販売での希望があったということで新設することとなりました。
1ページ戻って、先ほど御覧いただいた「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。下の(参考)に示すとおり、同様のもので吸収性のものや自動縫合器と併用するものは存在しますが、非吸収性で自動縫縫合器とも併用しないものについては、今まで一般的名称は存在しなかったので、この度、新設が必要となりました。本品は人体に植え込まれるものであることから、クラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検等を行う必要のあるものではないため、不要と考えております。
続きまして、2件目、資料4-2について御説明いたします。3ページに同じく「新設する一般的名称(案)について」がありますので、御覧ください。新設予定の一般的名称は「質量分析装置」です。本装置はヒト試料中の無機又は有機化合物をイオン化し、電場又は磁場による質量分離により同定及び定量する自動又は半自動の装置を指すものです。本品は、イオン化した試料の質量分析を行う装置であるため、下の(参考)に書かれた表に示すような既存の一般的名称には該当しません。研究の場では多く用いられてきているものですが、医療用として販売する希望があるということで新設することとなりました。
本品はクラスI、一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器であるため、該当と考えております。以上で説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 本件につきまして、委員の皆様から御意見、御質問よろしいですか。
特に御意見ございませんでしたら、議決をさせていただきます。1件目「縫合部補強材」は、本部会として高度管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないこととしてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
2件目「質量分析装置」は、本部会として一般医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定することとしてよろしいですか。
ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果につきましては、次回の薬事分科会にて報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。
続きまして、議題5、医療機器の再審査結果につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議題5、医療機器の再審査結果について、御報告いたします。関連する資料として資料5をお配りしております。再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則、新しい医療機器について、再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて、有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
今回、御報告する品目は、資料5の1ページの真ん中辺りに販売名を記載しておりますが、インジェニオMRIほか、合計5品目についてです。申請者はボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社です。これらの製品はペースメーカ及びそれと併用するリードで、一定の条件下においてMRI検査を行うことができる製品として承認されております。これらの製品は平成25年11月29日に承認されました。
今回、御報告する使用成績調査は、対象とするこれらの製品が植え込まれた患者がMRI検査を実施された際の不具合・有害事象の発現率を調査し、その安全性を確認することを目的として、106例が評価対象となっております。
今回の調査では、リード4品目が対象となっておりますが、その違いは、先端部の形状及び絶縁素材のみですので、有害事象の発生に影響を与えないと考えられることから、これらをまとめて評価することが可能であると判断しました。
本使用成績調査ですが、この調査においてそれぞれの安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しています。
以上の報告につきましては、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 委員の方々から御意見、御質問等はよろしいですか。よろしければこれで議題5は終了させていただきます。
それでは、議題6、部会報告品目につきまして、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題6、部会報告品目について、資料6に沿って御説明いたします。平成28年10月から12月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスI V の医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、また承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。
今回は資料6-1と資料6-2を用意しておりまして、資料6-1が医療機器、資料6-2が体外診断用医薬品です。医療機器58品目については品目数も多く、事前送付をもって報告とさせていただき、詳細な説明は割愛させていただきます。体外診断用医薬品については別な者から説明いたします。
○事務局 体外診断用医薬品につきましても、10月1日から12月31日までで承認させていただいた報告対象品目11品目を資料6-2でまとめております。資料として、新規検査項目、コンパニオン診断薬、新規の使用目的の追加等々、重要なものについては備考欄に丁寧に内容を御説明させていただきますが、詳細については割愛させていただきます。事務局からの報告は以上です。
○荒井部会長 ただいまの報告につきまして、委員の皆様から御質問、御意見はよろしいですか。特に御異議がなければ、これで議題6を終了させていただきます。
これで本日の議題は全て終了いたしました。ありがとうございます。事務局から何か御連絡はありますか。
○医療機器審査管理課長 先ほど調べ物をしていてできなかったのですが、本日、継続審議にしていただいた品目に関して、いろいろ今日、御意見がありましたので、まずその御意見をちゃんと整理をいたしまして、鈴木委員、中谷委員、一色委員からいろいろ頂きました、それを整理をさせていただいて、実際、それが臨床試験としてどういう所に問題があって、これにどういうことがあるのかという、いろいろな論点を少し整理をさせていただいて、どういったことがし得るのかについての準備をさせていただきまして、次回の部会を持たさせていただければと思います。それがないと次は何をしたらいいのだろうということになりますし、中谷先生から、ではどんな適正使用指針があるのかとか、どういうことをするとこういうことは解決し得るのか。鈴木委員からも、物としての善し悪しよりは、実際にこういったことが起こった臨床の現場というのはどのように考えていくのか、こういった結果が出たものでも安易に通していいのかという御指摘もありましたので、私どもの方としては純粋に臨床評価としてどうあるべきなのかということだと思いますが、そういったことも含めて、そういった問題についてどういう解決方策があり得るのかということについての整理の紙を、次回やるときには準備をさせていただいた上で、継続でもう一回御審議いただこうということでさせていただければと思っておりますが、いかがでしょうか。次の進め方としては、その点はよろしいでしょうか。それで何か納得できる結論が見えれば決を取っていただくという形かと思います。
次回は4月21日(金)の午後1時からを予定しております。連絡事項は以上です。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。長時間ありがとうございました。
※ 備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。
連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)
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