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2017年2月27日 第65回労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会議事録

労働基準局勤労者生活課

○日時

平成29年2月27日(月)16:00


○場所

中央労働委員会講堂


○出席者

公益代表委員

勝部会長、小野委員、鹿住委員

労働者代表委員

大久保委員、小川委員、川野委員、花井委員代理、宮嵜委員

使用者代表委員

久保委員、白土委員、須永委員、新田委員、円山委員

(事務局)

藤澤大臣官房審議官(労災、賃金担当)、平嶋勤労者生活課長、田中勤労者生活福祉事業室長、小林勤労者生活課長補佐、竹田勤労者生活課長補佐

○議題

一般の中小企業退職金共済事業における付加退職金の取扱いについて

○議事

○勝部会長 それでは、定刻より少し早いですけれども、皆さんお集まりのようですので、ただいまから第65回「労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会」を始めたいと思います。

 本日は関委員、内藤委員、花井委員が御欠席となりますが、労働政策審議会令第9条の規定(全委員の3分の2以上(最低10人)または公労使委員の各3分の1以上(最低各2人))により定足数を満たしておりますので、御報告をいたします。

 なお、御欠席となる花井委員の代理として、栗岡労働者福祉中央協議会事務局次長に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。

 本日の議題ですけれども「一般の中小企業退職金共済事業における付加退職金の取扱いについて」となっております。

 本日の議題に入ります前に、委員の異動がありましたので、事務局から説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 

 委員の異動ですが、前回委員交代の手続上、代理出席という形式とさせていただいておりましたが、曽原倫太郎委員の後任として、日本労働組合総連合会総合労働局労働条件・中小労働対策局局長、大久保暁子委員が御就任です。それから、松岡 守雄委員の後任として、全国建設労働組合総連合賃金対策部長、小川拓也委員が就任されております。どうぞよろしくお願いします。

○勝部会長 よろしくお願いいたします。

 それでは、次第に沿いまして議事を進めてまいりたいと思います。

 本日の議題である「一般の中小企業退職金共済事業における付加退職金の取扱いについて」に入りたいと思います。

 この件につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 それでは、資料2「一般の中小企業退職金共済制度における付加退職金の取扱いについて」を御説明いたします。

 1ページ目をごらんください。付加退職金の仕組みの概要をまとめております。

 一般の中退共制度では、退職金の額を、基本退職金と付加退職金の合計額として算定しております。基本退職金は、掛金月額と掛金納付月数に応じて、あらかじめ金額が定められた退職金でありまして、予定運用利回りを年1%として設計されております。

 一方、付加退職金は、運用収入の状況に応じて、年度ごとに基本退職金に上乗せして算定される退職金で、掛金納付月数が43月となったときから1年ごとに、その年度の支給率に応じて、基本退職金に付加されるものです。

 具体的な計算例を2ページにお示ししております。

 ここでは、平成20年4月に掛金月額1万円で中退共に加入し、平成29年3月で退職、すなわち108カ月加入して退職した場合の例をお示ししております。付加退職金は、掛金納付月数が43月、4年目の真ん中となったときから1年ごとの時点、これを計算月と呼んでおりますが、計算月ごとにその年度の支給率を、その時点の基本退職金の額に乗じることによって算定いたします。この例では、43月目の属する年度が23年度ですので、付加退職金は23年度~28年度までの各年度において算定することになりますが、23年度~25年度までと28年度については支給率が0ですので、実際には26年度と27年度について計算することになります。

 具体的な算定は下の「付加退職金額」というところにございますが、26年度、27年度のそれぞれについて、付加退職金を計算し足し上げますと、35,201円となります。これと108月に対する基本退職金の額とを合計した1167,501円が、この方にお支払いする退職金の額ということになります。

 3ページをごらんください。各年度の支給率をどのように決定しているかということですが、現在は平成26年3月にこの部会で取りまとめいただいたルールに従っています。具体的には、下の「現在の支給ルール」というところに図でお示ししておりますように「当年度利益見込額の2分の1」を付加退職金の支給に充てることを基本にしますが、当年度利益見込額が1,200億円を下回る場合には、600億円を優先して剰余の積み立てに充てようというものでございます。このルールは、平成29年度末までを目途に、剰余金として、平成29年度末時点の責任準備金推定値の9%の水準に当たる3,500億円を積み立てることを目標に構築されております。

 図の右側をごらんいただきたいのですが、このルールを取りまとめいただいた時点で500億円の剰余金がございましたので、29年度末までの5年間で残り3,000億円を積み上げるためには、単年度当たり600億円の積み立てが必要ということで定められたものでございます。

 また、目標額である3,500億円の根拠となる「責任準備金の9%」という水準ですが、これは右下にございますように、サブプライム問題・リーマンショックが発生した平成1920年度と同様の金融情勢の悪化のもとでも累積欠損金が発生しない水準として設定されております。

 4ページをごらんください。

 では、現在、剰余金がどれくらいの水準にあるかということですが、27年度末時点の実績では約3,150億円、責任準備金比率は7.6%となっております。目標水準である責任準備金の9%には到達していないということでございます。

 それから、現時点では、平成29年度末時点の剰余金を約3,300億円と見込んでおりますが、この見込み額は7月末時点の実績をもとに、3月分の運用に安全率を加味して推計したものです。最終的に支給率を決定する次回の部会では、例年どおり2月末までの市況を織り込んだ上で、3月分の運用に安全率を加味して、利益見込額を算出することになりますので、この数字はあくまで現時点の参考数値となります。

 ここまでが、29年度の付加退職金に関する資料となります。

 5ページ目は、過去の実績の数字になります。

 6ページ目をごらんください。

 現在のルールは、平成29年度までを目途に剰余金の積み立てを行うこととされておりますので、来年度がその積立期間の最終年度に当たります。したがいまして、平成30年度以降の付加退職金の取り扱いについては、今後、改めてこの部会で御議論をいただく必要があると考えております。

 その際に考慮に入れるべき事項として、機構の資産運用委員会における議論の状況をまとめたものが6ページ目と7ページ目でございます。

 まず、6ページ目をごらんください。

 前回のこの部会でも御報告しましたように、今年度に入って、資産運用委員会では、中退共の基本ポートフォリオの見直しについての議論が行われておりましたが、昨年1227日の委員会で、ポートフォリオの見直しの内容が決定され、今月の1日付で改定を行いました。まず、こちらについて簡単に御報告させていただきます。

 従来のポートフォリオは、機構の中期目標にある中退共制度の累積欠損金の解消と、予定運用利回りを前提に資産運用を行うという2つの項目をあわせ読んで策定されたものですが、現在、1つ目の累積欠損金の解消の目標は既に達成されておりますので、こうした変化を背景に今回の見直しは行われたということです。

 審議の結果、見直し後のポートフォリオは、必要な収益を最小限のリスクで確保するようなポートフォリオ、具体的には、予定運用利回りの1%に業務経費相当の0.1%を加えた1.1%を期待収益率とするポートフォリオの中で、リスクが最小になるものとして策定することが適当との結論が得られたところです。この考え方に沿って新たに策定したポートフォリオは、表の「見直し後基本ポートフォリオ」という欄です。

 見直しの結果、リスクは従来の3.53%から1.88%まで低下しました。また、見直し後の資産構成割合は、国内債券が79.6%、国内株式が7.2%、外国債券が9.9%、外国株式が3.3%となりました。なお、外国債券については、為替による変動をあらかじめ回避するため、見直し後は為替ヘッジをつけることとしております。この見直しによって、従来のポートフォリオよりもリスク資産の割合が減少しましたので、表の一番右側にありますように、金融ショックが発生した場合に想定される損失額は約3,500億円から約2,000億円程度まで減少することになりました。

 次に、7ページをごらんください。一方で、資産運用委員会からは、付加退職金の支給が剰余金の水準を低下させることのないよう、今後、新たな支給ルールを構築する必要があるのではないかとの指摘がなされているところです。具体的な指摘については、下に記載しております。

 まず、1つ目と2つ目の○ですが、年度ごとの運用利回りの変動が大きくなると、利益が出た年度には付加退職金の支払いが生じる可能性がある一方で、損失が出た年度にはこれを補塡する手段がないという非対称性の影響が出て、中長期的に財政悪化を招くリスクが大きくなる。したがって、付加退職金の支給については、抑制的に行う必要があるのではないかというものです。

 これについては、8ページに簡単なシミュレーションをつけております。これは、今回の基本ポートフォリオの期待収益率である1.1%を中心として、実際の運用利回りの変動幅を3ケース設定しまして、それぞれについて現行の付加退職金の支給ルールに基づいて、剰余金の推移をシミュレーションしたものです。下のグラフをごらんいただいてわかりますように、プラス1.1%を中心に、運用利回りの変動幅が大きくなるほど、利益が出た年度の付加退職金の支給額が大きくなり、累積剰余金の額が下降線をたどっていくということが見てとれるかと思います。

 7ページに戻っていただいて、3つ目の○ですが、こうした付加退職金の性質や現在の運用環境を踏まえると「リーマンショックのような金融ショックに備えたバッファーだけでは不十分ではないか」という指摘がなされているところでございます。

 以上の状況をまとめたものが9ページです。

 まず、上段に、平成29年度の付加退職金の取り扱いについての事務局の提案を書かせていただいております。現状では、剰余金の水準は、現在の支給ルールで目標水準として設定している「責任準備金の9%」には到達しておりませんので、平成29年度については、現在の支給ルールに従い支給率を算定してはどうかということでございます。

 下段でございますが「来年度は現在の支給ルールが想定している積立期間の最終年度になる」ということ、また「5年に1度、直近の金融情勢等を踏まえ予定運用利回り等について検討を行う『財政検証』」を実施する年度でもあるということになりますので、平成30年度以降の付加退職金の取り扱いについては、来年度の財政検証時に、今後の金融情勢や剰余金の積み立て状況、今般の基本ポートフォリオの見直しや、資産運用委員会からの指摘の内容を踏まえ、予定運用利回りとあわせて検討を行うことが適当ではないかということで御提案をしております。

 資料の説明は以上でございます。

○勝部会長 御説明ありがとうございました。

 今、御説明がありましたように、平成29年度、平成30年度以降という形で分けてまとめてございまして、29年度の付加退職金の支給の取り扱いについては、付加退職金は付加しないということになるかと思います。

 ただいまの説明につきまして、御意見あるいは御質問などはありますでしょうか。それでは、川野委員、よろしくお願いいたします。

○川野委員 労働側の意見として、御意見、御質問というよりは、この間、資産運用委員会の皆さんがリスクの最小化に向けて基本ポートフォリオの見直し等々、安心、安定な制度の運用に御尽力を賜って、リスクが1.88%まで落ちていることに先ずもって感謝申し上げたい。事務局からの提案がありますとおり、付加退職金支給の取り扱いについては、平成26年3月に決めました支給ルールに基づいて、準備金の積立不足部分が発生していることも含めて、現行のまま行くべきではないかと思っております。また、記載のとおり、来年度が支給ルール運用の5カ年目ということで、見直しの年に当たりますので、そこにおける基本ポートフォリオ見直し以降の運用実績であったり、状況を踏まえて行なうのがふさわしいかと思いますので、事務局提案に我々労働側としては賛同したいと思います。

○勝部会長 ありがとうございます。

 ほかに御意見あるいは御質問等はございますでしょうか。

 使用者側からは何か特段御意見はありませんでしょうか。新田委員、お願いします。

○新田委員 使用者側は全体で打ち合わせをしたわけではないので、私の個人的な意見になりますが、今、労側の川野委員がおっしゃったように、この資料の9ページ目のまとめにあります事務局案で私も妥当だと考えております。

 ここで単純に確認なのですが、9ページの取り扱いの「2.」で4行ほど使って長々と書いていますけれども、ここは要は、平成26年3月にまとめた付加退職金の取り扱いにのっとった形でやっていくということですよね。

○平嶋勤労者生活課長 これは、現行ルールどおりでやってはどうかということです。

○新田委員 そうすると、単年度の収益の状況が600億円以下であれば、それをまず優先してこちらのほうに積み立てて、それが余った部分は付加退職金に回すということをこの4行で書いているという理解でよろしいですか。

○平嶋勤労者生活課長 そのとおりでございます。

○新田委員 そういうことであれば、私も特に異論はございませんし、付加退職金の取り扱いについては、平成29年度で今回の期限が終わりますので、その時点で改めてさまざまなことを総合的に勘案しながら議論していくということでよろしいかと思います。

 私からは以上です。

○勝部会長 ありがとうございます。

 ほかに何か御質問等はございますでしょうか。それでは、小野委員、よろしくお願いいたします。

○小野委員 御説明ありがとうございます。

 この後、資料に資産運用委員会の議事録などがついていますけれども、これは後ほど御説明いただけるという理解でよろしいでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 こちらは参考資料というつもりでおつけしておりましたが、何か気になる点がございましたら承ります。

○小野委員 では、この資料も含めてということで質問させていただきます。この資料が、1021日が最終になっているということで、新しいポートフォリオを決めたときの経緯について、先ほどより少し詳しい御説明がいただけないかというのが一点でございます。

 もう一点は、議事録の中で7ページになろうかと思いますが、事務局側の御説明の中で、債務の期間構造について、平均掛金納付期間を今までは10年と考えていたのが、新たな観点から分析し直したところ、平均掛金納付期間は20年となるということで、一気に倍になってしまったというところです。いろいろと方法を変えたのだろうとは思うのですけれども、それがどういうことで倍になってしまったのかが少し気になりましたので、そこも御説明いただきたいと思います。

 最後はコメントなのですけれども、今後の新年度以降の話になると思うのですが、こういった低金利の環境下になりますと、そもそもの予定利率が云々ということも議論せざるを得ない状況になってくるかもしれないです。私の個人的な意見ですが、このページの真ん中あたりに(コンサル)の発言がありますけれども「究極的には、公務員が導入した、運用と負債側のコストがリンクするような仕組みを考える必要がある」というのは、恐らく、年金払いの退職給付という公務員の公的年金の上乗せ部分に新たにできた制度のことを意識なさっているのではないかと思いますけれども、こういった形の金利と連動するような仕組みをある程度意識をして行かざるを得ないのではないかということを、個人的に現時点では感じております。

 以上でございます。

○勝部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局からお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 ありがとうございます。

 資産運用委員会のポートフォリオは、もともとの現行の12月までの1.4%程度のポートフォリオと、今回変更された1.1%程度のポートフォリオ、もう一つはリスクを全くとらなくて済む0.6%程度のポートフォリオが検討されましたが、最終的にはリスクをなるべく抑制するということと、現在の予定運用利回りは1%であるということで、0.6%にした場合は運用利回りを下回って確実に赤字が出るという状況ですので、今回については1.1%にしたという結論になっております。

 平均の掛金期間ですが、御指摘のとおり、これまでは単純平均で計算しておりまして、単純に加入期間が何年かということで10年としていたわけなのですが、資産運用委員会の議論の中で、5年でやめる人と10年でやめる人では、普通、掛金が2倍違う。20年掛けている人は、5年の人に比べると掛金が4倍違う。その辺を加味する必要があるのではないかという指摘がありまして、もっともな指摘なのですけれども、払い出しを考えていくと、納付期間に払い出し額を掛けなければいけないということです。例えば、1年は不支給ですけれども、5年のものと10年のものを比べると、10年のものは倍は要ると考えなければいけないという考え方に立って加重平均をし直したところ、平均納付期間20年程度と考えていいということでコンセンサスが得られまして、これに従って、今後、持ち切りの国債は20年のラダー運用を行っていくということになっております。このことの一つのメリットは、10年ものの国債の利回りが今は非常に低くなっておりますので、少し高いところの利回りも取ることができるということでございます。

 低金利の中で予定運用利回りをどうしていくのかということについての御指摘かと思います。当然、こういうことは検討課題だと思うのですが、来年度の付加退職金をどうするかという議論の中で合わせる。ざっくり言いますと、予定運用利回りを下げて付加退職金をどんどん出すという方法もあるでしょうし、付加退職金の剰余金をたくさん積んでおいて、予定運用利回りはキープするという方法もあるでしょうし、その辺は相互に関連する部分がありますので、あわせて御検討いただければと思います。今後の金融情勢にもよりますので、そこを関連しながら検討していく必要があると思っております。

○小野委員 ありがとうございます。

 ポートフォリオの関係ですけれども、つまり、御説明から判断させていただくに、基本的にこれは平均分散モデルという形で設定された。つまり、リターンの分散を最小化するような期待収益率が1.1%であるような、一番効率的なポートフォリオを求めたらこのような結果になったということで、リスクに関しては、例えば、下方リスクなどいろいろなリスクのはかり方がありますけれども、一応、平均分散モデルでやりましたということでよろしいと私は理解したのですが、その確認が一点です。

 それから、先ほどの考え方、10年、20年のお話ですけれども、これは今、お伺いした限りでは、例えば、一定の評価時点があって、その評価時点において加入期間の長い人をより多目に重く評価しましょうということで、過去の期間で平均掛金期間を計算したのが理由だということで解釈させていただいたのです。

 一方で、運用の方に回って、債券のラダー構造というのが出てきておりますが、これはどちらかというと現時点での加入期間ではなくて、そこまでたまった現時点での給付が、将来いつの時点で支払われるかという将来の期間に対応した形で、債務と資産というものをデュレーション・マッチングとかキャッシュフロー・マッチングという考え方を採用した上で、国債はラダー構造のものを基本として採用していこうということになると思います。そういう意味では、過去の期間と将来のいわゆる決済時点ですけれども、これとはやや違う気がしたのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○平嶋勤労者生活課長 最初の御質問については、おっしゃったとおり、平均分散モデルで、各資産ごとのリスクと、こちらの資産が上がったらこちらの資産が下がるみたいな関係もありますので、相関も考慮した上でリスク値を計算しているということです。

 債券のラダー構造についてですが、御指摘のとおり、将来の分については過去の蓄積をもとに推計するしかないわけですけれども、過去の蓄積の一定の推計のもとに将来の支払いについて、その間に掛金も入ってきますので、そこまで全く一致しなければいけないという構造ではないのですが、一定の推計を置いた上で、債務に応じたラダーを組んでいるということでございます。

○勝部会長 よろしいですか。まだ納得されていらっしゃらないようですが。

○小野委員 例えば、50歳の方とかがいらっしゃったとします。例えば、その方は拠出期間が25年ありましたということで、確かに長いことは長いのですが、その方というのは、例えば、55歳とか60歳でおやめになりますね。ですから、そのときに積み上げられた資産は、5年後とか10年後に決済されるという話になりますよね。その決済と合わす形で債券を持つということであれば、それはむしろ25年ではなくて、5年なり10年なりということで期間を認識するというのが、投資を考えると普通の考え方なのではないかと思ったものですから、質問させていただいた次第です。

○平嶋勤労者生活課長 このラダーのつくり方は、ある年度に退職した人がどういう掛金期間で退職したかをもとにつくっておりますので、ある個人に着目してというよりは、何年に退職するというのが来年度も同じでしょう、再来年度も同じだろうという仮定のもとに、1年ずらしで組んでいって債券を出していくというやり方でございます。

○小野委員 承りました。ありがとうございます。

○勝部会長 ありがとうございます。

 これは、資産運用委員会には事務局も出ていらっしゃるという理解でよろしいですか。

○平嶋勤労者生活課長 仰るとおりです。

○勝部会長 ほかに何か御質問等はございますでしょうか。それではお願いいたします。

○鹿住委員 今のポートフォリオの見直しのところなのですが、国内債券につきまして、委託運用が従来見直し前ですと16%、見直し後に20%ということで、比率が高まっているわけですが、これは委託ですので、運用成績が委託先によって違ってくるということもあったかと思うのですけれども、例えば、その委託先ごとの運用成績によりまして委託先を入れかえるとか、あるいは委託先ごとの委託額の割合の変更といったようなことはなされたのかを教えていただきたいのですが。

○田中勤労者福祉事業室長 私のほうから答えさせていただきます。

 このポートフォリオを見直したのは2月1日ということでございますけれども、これを機に、今、鹿住委員がおっしゃられたような配分の変更を行ったということではなくて、常に一般的な資産の運用結果ということを、四半期とかあるいは1年という単位で見させていただくことは機構のほうでしていて、その結果を踏まえて配分を会社ごとに変えていくということを行っておりますので、今回の見直しをもって直接的な配分の見直しを行ったということではございません。

○勝部会長 よろしいでしょうか。では、もう一点お願いいたします。

○鹿住委員 もう一点なのですけれども、一番最後のページの「平成30年度以降の付加退職金の支給の取扱い(案)」がありますが、次回以降の議論になるかとは思うのですけれども、その前の7ページ、8ページのほうに、資産運用委員会からの指摘ということで検討されていますが、これは実は前回のこの部会のときに配付された資産運用委員会の議事録のほうにもこの件について発言があったと記憶しております。7ページの一番上に書かれているように、付加退職金の給付というのは、運用がよかったときは支払われるけれども、運用が予定より下回ったときは戻すわけではなく非対称なので、次の8ページにあるように、運用成績、利率がかなり幅を持って上下すると、いいときは払うけれども、悪いときは戻るわけではないということなので、後々支払わなければいけない付加退職金がふえてしまって、これが負担になるのではないかという試算がされているわけですので、非対称ではなくて対称にすべきという御意見が資産運用委員会の議事録のほうにそういうニュアンスで書かれていたと思うのです。今後のこの部会での議論の中で、恐らく付加退職金を、今、申し上げたように、非対称から対称にするのか、運用が悪かったらそこから戻すという取り扱いをしていくのか、それとも今までのように非対称でいいときだけ積み立てるという形だけれども、下に書いてあるような、例えば、金融ショックに備えたバッファーというのをどのぐらい見ておくのかというところで、ある程度、積み立ての金額を抑えるないしは少なめにするという対応をするのか、その辺を十分議論を尽くして決めていく必要があるかと思いますので、ぜひ労使の委員の方々もその辺を御検討いただければと思っております。

○勝部会長 ありがとうございます。

 ほかには何か御質問、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 来年度以降の付加退職金の取り扱いについては、結論を得なくてはいけないのは期間としてはいつごろになりますでしょうか。平成30年度以降です。

○平嶋勤労者生活課長 再来年度以降のルールについては、究極的には今年と同じタイミングで決まっていればいいわけなのですが、目処としましては、秋ごろの議論ができればいいと思っております。

○勝部会長 ありがとうございます。

○平嶋勤労者生活課長 ただ、そこは皆さんのスケジュールと調整させてください。

○勝部会長 よろしくお願いいたします。

 ほかにはよろしいでしょうか。

 それでは、本日のテーマなのですけれども、この付加退職金についてですが、皆様方の御意見をまとめますと、平成29年度の付加退職金の取り扱いにつきましては、事務局提案のとおり、平成26年3月に本部会において取りまとめられた現在の取り扱いを継続するということになるかと思います。

 また、平成30年度以降の付加退職金の取り扱いについては、来年度に実施する財政検証において検討するということで、今、お話があったように、来年度中、特にこの時期までには決まるということになるかと思いますが、よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○勝部会長 ありがとうございます。

 それでは、事務局におかれましては、次回の部会において、平成29年度の付加退職金支給率を提出していただくよう、よろしくお願いいたします。

 我々が用意しました議題は以上でございますが、本日の議題につきましては、予定よりもかなり早く終わりますけれども、御意見、御質問は出尽くしたと思われますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。

 本日の議事録の署名委員ですけれども、宮嵜委員と須永委員にお願いをいたしたいと思います。

 事務局から、最後に何かありましたらお願いいたします。

○平嶋勤労者生活課長 今後の日程について御連絡をいたします。

 次回の部会につきましては、3月10日金曜日の朝1012時の開催を予定しております。会場につきましては、本日と同様に、こちらの中央労働委員会講堂を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○勝部会長 ありがとうございます。

 それでは、そのように皆さん、御予定をお願いいたします。

 それでは、本日はこれにて散会といたしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)

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