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2017年3月15日 平成28年度第5回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成29年3月15日(水)
16:00~18:00


○場所

厚生労働省3階 共用第6会議室


○出席者

出席委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

日本赤十字

佐竹 正博 井上 慎吾 籏持 俊洋
石丸 健 秋野 光明

事務局:

一瀬 篤(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐)
金子 健太郎(血液対策課需給専門官)

○議題

・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・血液製剤の輸出規制のあり方について
・その他
・「献血血液の研究開発等での使用に関する指針」に基づく公募の事前評価について(非公開)

○議事

 

○近藤血液対策課課長補佐 定刻となりましたので、平成28年度第5回血液事業部会運営委員会を開催いたします。なお、本日の会議は議題1~5は公開で、議題6を非公開で行います。カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、運営委員会委員6名全員の御出席を頂いております。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、井上慎吾経営企画部次長、簱持俊洋経営企画部供給管理課長、石丸健技術部検査管理課長、秋野光明技術部製造管理課長、以上5名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 本日の議題は、寄附金・契約金等の報告が必要な審議事項はございません。カメラの頭撮りはここまでで、お願いいたします。

 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 それでは、議題に入る前に事務局から資料の確認及び前回の議事録に関しての御説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局から資料の確認をさせていただきます。1枚目に議事次第、その後に座席表が3枚、その次に委員名簿、運営委員会規程が1枚あります。資料1-1が4枚ありまして、その後に資料1-2ですが、これが文献の本体で、最終ページは130ページです。その後にA4の紙が1枚付いています。次に資料2-1が7ページまであり、資料2-2も資料は多くなっていますが、A4の紙のあとにA3の紙が3枚、その後にA4の紙が5枚入っています。資料2-3は6ページまであります。資料3-1は3ページまでありますが、参考資料として、参考3--1から参考資料3--5まであります。あと資料3-2が1枚ありまして、資料3-3が2枚あります。資料4は参考資料と一緒にホチキス留めされていますが、参考1、参考2まで、合計4枚あります。資料5-1が1枚、資料5-2も1枚あります。資料6に関しては非公開の議題ですが、合計で6枚お配りしております。机上配布資料として、3種類を置かせていただいております。御確認をお願いします。以上、不足がありましたら事務局までお知らせください。

 第4回血液事業部会運営委員会の議事録につきましては、委員の皆様に御確認いただいた上で、厚生労働省のwebサイトで公開しております。以上です。

○田野崎委員長 本日も議題が多いので、円滑な議事の進行に御協力いただければと思います。それでは、議題1の「感染症定期報告」について、事務局から説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 議題1に関して、資料1-1「研究報告(概要一覧表)」を御覧ください。この資料は平成2811月から平成29年1月までに報告された感染症定期報告のうち、文献の資料を概要としたものです。今回、全部で17件の文献が報告されており、その本文は資料1-2にありますが、資料1-1の概要を用いて説明いたします。

 まず、「肝炎ウイルス」に関しての文献です。1番はスペインからの報告ですが、C型肝炎のウイルスの抗体が陰性、RNAも陰性であった2,007検体のコア抗体検査を行ったところ、42例が陽性で、濃縮すると3例からRNAが検出されたことから、オカルトHCV感染が示唆されたとの報告です。

 2番は、中国からの研究報告ですが、雲南省のブタやウシが混合飼育されている環境で、牛乳からE型肝炎ウイルスが検出され、更にウイルス陽性の牛乳を与えられたアカゲザルがE型肝炎に感染したという報告です。また、E型肝炎ウイルスは低温殺菌では完全に不活化されず、100℃で3秒間の加熱で完全に不活化されたとのことです。

 3番は、日本血液製剤機構からの疫学調査報告ですが、より安全な血液製剤を目指し、2004年より北海道地域以外の各地で採血された献血血液の一部を自主的な安全対策として500プール、その後50プールで、E型肝炎のNAT検査を実施しており、20042014年のデータが公表されました。北海道を除く全国各地で、50プールで見ますと、頻度としては1万5,075分の1、関東甲信越では9,135分の1、近畿では7万5,930分の1、九州・沖縄は0でした。東日本に多く、西に少ない傾向が見られています。

4番は、スペインからの報告です。HIV陽転者の遡及調査により、保管検体のHIV-1の個別NAT陽性が判明した報告です。44ミニプールNAT陰性で、抗体陰性のウインドウピリオドに採血し製造されたバフィーコート濃厚血小板製剤とメチレンブルーによる不活化処理をした新鮮凍結血漿の受血者はHIVに感染しました。更に4週間前に採血し、製造された赤血球液の受血者は感染しませんでした。

 5番です。ここからはジカウイルス関連の報告が続きます。まず、イタリアからの症例報告です。発症後91日目の尿、唾液及び精液、並びに188日目の精液からジカウイルスのRNAが検出されたとの報告です。

 6番は、フランスからの疫学調査報告です。フランス本土で報告されたジカウイルス感染者の99%は流行地域への渡航者により、残りの1%は感染した渡航者との性交渉により感染していたという報告です。

 7番は、米国CDCの週報ですが、ジカウイルス流行地域から帰国後の感染症状のない男性との性交渉で渡航歴のない女性がジカウイルスに感染したことから、性交渉によりジカウイルス感染が疑われたとの報告です。

 8番は、フランス領ポリネシアでの疫学調査報告です。ジカウイルス流行時に罹患率は最高で2.8%、ウイルス量は最高で8.1×106copies/mLが検出されたとの報告です。

 9番は、欧州のEMAからの安全性報告ですが、血漿由来及び尿由来医薬品を使用した患者に、ジカウイルスによる感染リスクの増加がないことが確認され、検査又は特定の血漿ドナーの除外などの追加の安全対策は必要ないとされました。

10番は、アメリカ熱帯医学会年次総会での報告ですが、プエルトリコで、ジカウイルス感染患者・既往者の0.9%において、血小板が10万以下となる血小板減少症が認められました。これらの患者のうち重篤な患者の中には24時間以内に死亡した例もありました。

11番は、アメリカ熱帯医学会年次総会での、Octapharmaからの報告です。S/D処理とパスツリゼーションは、ジカウイルスに対して有効な不活化法であり、ウイルス力価が検出限界以下まで低減化されたことが確認されました。

12番は、米国CDCの研究報告です。妊娠中に母親がジカウイルスに曝露した乳児において、出生時に小頭症ではないことによって先天性ジカウイルス感染又はジカ関連の脳異常の存在が除外されるわけではないとの報告です。

13番は、リベリアの研究報告です。エボラウイルス疾患生存者(男性)を対象とした精液のRNA検査の結果、回復12か月以上を経過した後に、精液からウイルスRNAが検出された例があり、最長は565日でした。また、40歳以上の陽性率は有意に高かったという報告です。

14番は、Transfusionの編集者の解説になりますが、現行の白血球除去によるサイトメガロウイルス輸血感染によるリスクは0.2%程度と試算され、1製剤当たりの白血球数は5×106 個以下である場合、輸血による感染の可能性は極めて低いとの報告です。

15番は、米国CDCの疫学調査報告です。米国にて生きた家禽類を介して、8件のヒトサルモネラ菌感染アウトブレイクが発生し、死亡例も発生したとの報告です。

16番は、米国からの土着シャーガス病に関する疫学調査研究です。テキサス州南部において、哺乳類のT.cruzi抗体陽性率と、ベクターであるサシガメ種のT.cruziDNAの陽性率を調査した報告です。

17番は、米国FDAの業界向けガイダンス()ですが、FDAは輸血用全血及び血液成分におけるT.cruziの感染リスク低減化を目的とした血清学的検査の使用に関する業界向けガイダンスの改訂について発表されております。以上です。

○田野崎委員長 それでは、委員の先生方から御意見などお願いいたします。

○山口委員 2と3にHEVのことが書いてあるのですが、2の文献ではHEVが共感染しているというか、ブタとウシと混合飼育している所で共感染しているというデータなので、我が国でそれがそのまますぐ適用できるかどうかは微妙なところがあると思います。

 中身を見ると、ウシなどでは糞便よりも、むしろミルクのほうがHEVのコピー数が高いということで、そういう意味では非常に重要なことで、今後もう少し調査を続けていく必要があるのかなという気がいたします。

 HEVは関東地区で陽性率が高いということを説明しようとしているのですが、これだけでそんなに簡単には説明できないとは思いますが、更に調査を続けていただきたいと思います。

 1番の分ですが、日赤でそういう検討がされていたら教えてほしいのですが、B型肝炎のウイルスのオカルトというのは非常によく研究されていると思うのですが、C型肝炎のオカルトは余り研究されていなくて、文献を調べても、そんなにないと思います。私も調べましたが、そんなにありませんでした。もし、この発表のようなことを検討されていたら、あるいは情報として御存じでしたら、教えていただきたいと思いました。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 HCVのオカルトにつきましては確かにペーパーの数はずっとB型よりは少ないですし、1つの理由は濃縮してつかまらないかということかと思いますが、これは我々の研究室も随分試しているのですが、HCVの濃縮そのものが非常に困難な状況です。というのは理由は分かりませんが、脂質と非常にアソシエートしますので、人によって落ちたり落ちなかったり、あるlayerには来たり来なかったりと、全く一定の成果が得られないということで、濃縮法でこういうことを追求していくことは非常に困難だというのが、実験をやっている者の意見でした。

 そういうことで、濃縮法では、これ以上はできないというのが現場の意見です。

○山口委員 昔、西岡先生が日赤のデータとして発表されていたのですが、ウインドウ期は感染力が強いが、ウインドウ期ではないキャリア期になっていると、コピー数が相当ないと感染しないというデータだったような気がしているのですが、そういった意味でオカルトのCが感染力を持つかという、その辺が一番気になるのです。要するに、オカルトの場合、多分、運動期ではないのだろうと判断しているのですが、そういう場合にはどのような御見解があるのか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 HCVが感染の時期による感染力については、こちらでは余り調査しておりません。ただ、文献で見ますと、やはりウインドウ期の立ち上がりのところは、非常に少ないコピー数で感染するというのは文献にはもちろんあります。

 それから、これは文献のことですが、血漿・血清よりはむしろ細胞分画のほうに多量のHEVが見つかるという文献が、たまに7、8年前から出てきて、非常に注目していたのですが、それも最近は途切れてきて、それ以上のリサーチは進んでいないと理解しております。

○田野崎委員長 今の確認ですが、ウインドウ期ですと、通常の場合、濃縮しないで、PCRでネガティブであっても、感染する可能性があるということですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 吉澤先生のですと、10copies未満で感染するというデータがありますので、10copiesが大きなボリュームに入ったものであれば、NATではもちろん検出することはできません。

○田野崎委員長 あと、日本では牛乳でのHEV感染の有無に関しては余りデータがないということで、今のところはないということでよろしいのですか。

○山口委員 すみません。食品安全委員会のほうで、もし調べられていたら確認していただけると有り難いなと思います。

○近藤血液対策課課長補佐 食品安全部に確認をしましたが、今のところはそういうデータはなく、調査されていないということを聞いております。

○岡田委員 1番の文献ですが、これは通常のHCVの抗体のスクリーニングでは陰性であっても、コア抗体を特異的に検出するような試薬だと陽性になる例があるというので、今の試薬には当然コアの抗体を検出できるような能力がありますよね。それなのに、一方では当然コア抗体があれば検出できて、一方はコア抗体を特異的にすると検出できるようになるのかというのは、私はこの論文を読んでいて、すごく不思議に思ったのですが、その辺は日赤ではどのように考えておられますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 私も説明ができません。分かりません。

○田野崎委員長 ほかにいかがですか。

○岡田委員 2番のE型肝炎の牛乳の中にあるというのは影響が非常に大きいので、確認というか、これからもエビデンスを十分に集める必要があると思いますが、この一報をもって風評ではありませんが、独り歩きしないように注意する必要があるのではないかと思います。

 当然、日本国内においてはE型肝炎が発見された当時、どういう動物が感染しているかということで結構調べられています。それで、シカとかイノシシとかブタが挙がってきたので、そのときには当然、ウシも対象になっているはずですので、そういう面では少なくとも日本においては余りメジャーな感染源とは考えられないと思います。

○田野崎委員長 ほかはよろしいですか。ジカの報告が結構多いですが、これについては日赤も含めて何かありますか。

○山口委員 今回はジカは多かったのですが、ジカそのものに関しては、血液製剤で、ここに直に関係するようなものは余りないと思いました。前から聞いているのですが、ジカのアウトブレイクが起きると、検査体制は検討されていると思いますが、採血の場で混乱するような、要するに採血できない場所が出てきたり、そういうところの社会的な混乱のほうが気になっているので、その辺で何かコメントがありましたらお願いします。

日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全くおっしゃるとおりです。外国から帰ってきて4週間以内がどうのこうのというのを越えて、更に一定の地域でエンデミックになった場合には、そこでの採血制限というのが最初にとる方策だと思います。

 そうなりますと、ある程度の混乱は避けられないところがありますが、それが最初の効果的な手立てだと思いますので、そこは献血者に十分理解していただきながら、そういった採血制限を行うことが必要になってくると思います。

 その場合に、需給に関して問題が生じる場合には、もちろんそこをcompensateする意味で、ほかの地域からの血液を使うという、それと同時並行で行うという形になるかと思います。

○花井委員 今の件ですが、9番目のEMAの話の中で、血漿分画由来だったら、ジカは不活化で安全性は問題ないということになっていると思います。そうしてくると、これは、たとえ問診等でも血漿分画用であれば、別にジカを問題にしなくてもよいとヨーロッパは考えているいう理解でよろしいのでしょうか。

 今後、日赤が原料血漿と一緒なのですが、原料血漿には入れなくていい検査、輸血用には入れる検査ということが今後あるとすれば、ヨーロッパの対応としては、血漿分画についてはジカは問題にならないという対応になっているという理解なのでしょうか。

○山口委員 多分ウイルスとしてはデング熱と同じで、デング熱のときはウエストナイルに入ってきたときに、どれだけの不活化工程が入っているかという血漿分画製剤の評価はやったのです。今の不活化工程の、例えば109 以上いくのであれば、分画製剤としては安全性はマージンも含めて、それだけバイラルには高くありませんので、大丈夫だろうという、ウエストナイルのときなどは判断して、多分そのことと同じエンベロープのジカに対してもという判断だと思います。

○岡田委員 やはり、エンベロープ陽性のウイルスで、しかもフラビウイルスですので、いろいろな不活化法に感受性があります。

 8番の論文で、一番スクリーニングしたら、8.1×106 ということで、107 と計算しても、1人の供血者が入っても、原料プールに入っても、109 ぐらいだろうということで、これから全て感染性を持っていたと計算しても、今のグロブリンとか、第VIII、第IX因子の1010何乗ですので、そうすると理論的に最終製品まで感染性のウイルスが来ることはないということになります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。あとはサイトメガロウイルスに関しては、14番がありますが、貯血前赤血球除去などが開始されてから、我が国ではサイトメガロウイルスが血液で感染したというのは、今まで報告はないということでよろしいですか。あとは何かありますか。

 よろしければ、次に行きたいと思います。議題2の「血液製剤に関する報告事項について」です。遡及調査の進捗状況や、副作用・感染症報告の状況、これまでに報告された事例と、その後の対応状況等について、事務局から御報告をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 それでは、議題2に関して、資料2-1を御覧ください。供血者から始まる遡及調査の進捗状況です。3ページ目の表の一番右下を御覧ください。HBV、HCV、HIVについて、20プールNATを行っていた頃の保管検体への遡及調査では、HBVに関しては、今回平成28年4月1日から1231日までで、合計9件の個別NATの陽性例がありましたが、遡及したところ、そのうち陽転しなかったものが2例、死亡例が6例、退院・未検査が1例でした。この間に輸血感染が確認された例はありません。

 次に7ページを御覧ください。医薬品医療機器法第68条の11に基づく回収報告状況です。濃厚血小板に関しては、分割した血小板の一方が凝集を理由に返品されたことから、もう一方の血小板も細菌混入の疑いを否定できない、ということで回収されております。

 次に資料2-2を御覧ください。血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等についてです。平成2811月から平成29年1月に報告があった疑い例を含む感染症報告事例のまとめを御覧ください。今回は疑い例を含めて15件ありました。HBVが3件、HCVが2件、HIVが0件、その他が10件でした。その他の内訳はサイトメガロウイルス(CMV)が4件、細菌感染等が6件でした。この15件全てで、輸血感染が確定した例はありません。

 A3横の紙を御覧ください。B型肝炎、C型肝炎ともに献血者の個別NATは遡及の結果、陰性でしたので、感染経路は不明となっております。

 次ページ裏です。サイトメガロウイルスの感染報告の疑い例が4件あります。献血血液でサイトメガロウイルスのDNAが陽性となった症例はありませんでした。2番目と3番目の症例は後天性サイトメガロスウイルス感染症を発症した超低出生体重児という内容の学会報告です。サイトメガロウイルス抗体陰性血液についての情報提供は日赤からその後病院に対してしていただきました。

 4番目の症例に関しては、母乳中のサイトメガロウイルスDNA陽性となり、塩基配列が全て一致したとの報告です。

 次に、細菌感染報告例ですが、3ページの一番上の症例3-16-00066という症例は死亡例でしたので、別紙にまとめております。

 少し戻って、資料2-2の3枚目に1枚紙としてまとめている紙を御覧ください。症例は70歳女性で、大動脈弁狭窄症に対して大動脈弁置換術の手術を受けた方です。手術の2日後に貧血に対して赤血球が2単位400ccを輸血されています。輸血前より体温38.9度、CRP19.95mg/dLと、感染徴候があり、酸素投与もされておりました。輸血後、呼吸状態が悪化し、術後9日目にMRSAによる敗血症で亡くなられました。赤血球液のセグメントチューブの血液培養は院内、及び日赤の調査ともに陰性で、担当医からは「大動脈弁置換術の際に使用した人工弁による感染を疑っている」とのコメントを頂いておりますが、輸血による感染を完全には否定することができないことから報告されました。なお、日赤は採血時の細菌混入を低減するために、現在、全ての輸血用血液製剤初流血除去を実施しておりますが、今後も同様の症例のデータ収集にあたるとともに、原因の究明に努めると、日本赤十字社からコメントを頂いております。

 先ほどのA3横の紙に戻りまして、3枚目の最後の1枚は、血漿分画製剤による疑い例を含む感染報告例です。その他、注目すべき症例などがありましたら、後ほど御意見を頂ければと思います。

 続きまして、ページ3を御覧ください。「輸血用血液製剤で感染が疑われる事例について」という資料です。平成29年3月時点で、過去5年間の、ここに挙げた2例に関しては、前回報告からの変更はありません。

 次に4ページを御覧ください。北海道ブロックセンターで行われている「試行的HEV-NATの実施状況」に関しての御報告です。表の平成28年の所を御覧ください。252,151名の献血者に対し、HEV-RNA陽性者数が114名。そのうち男性が97名で、平成27年より17名の増加。女性は17名で、平成27年より2名減少しております。陽性率は2,212件中で1件ということで0.045%でした。Genotype3型が94件で全体の84%、Genotype4型が18件で全体の16%、ウイルス量が少ないなどの検査不能の例が2件でした。

 抗体については、IgM、IgGともに陰性だったのが76件で全体の67%でした。ともに陽性が25件で全体の22%。IgMのみ陽性の例はなく、IgGのみ陽性は13件で全体の11%でした。

 次に、資料2-3を御覧ください。献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数の表ですが、1枚目はHIV抗体陽性件数の表です。表の一番下の欄に、平成28年の速報値を示しております。献血件数4841,600件に対して、HIV抗体陽性件数は48件で、前年度より5件減少しており、女性は4件でした。なお、核酸増増幅検査のみ陽性だった者は1名おりました。献血10万件当たりのHIV抗体陽性検体数は0.991となり、平成10年以来、18年ぶりに1の数字を切っております。

  3ページは都道府県別の陽性件数の表です。1114番にある関東1都3県の合計は、平成28年は17件で、全体の35%でした。平成27年の23件からは6件減少しております。

 最後の6ページです。献血者におけるHIVJ陽性者数の推移をグラフで表したものです。平成27年からは引き続き、減少傾向が続いております。以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。資料2-1から資料2-3までについて、委員の先生から御意見をお願いできればと思います。明らかに感染が証明されたようなケースは、今回はないということ。HIVも献血者においては、更に減っているということかと思います。

○山口委員 北海道のHEVで、少しだけ教えてください。これは総体的に上がっているような気もするのですが、平成28年はGenotype4が18件で、前年よりも少し増えてしまって、これはもともと個別NATしたから全体としての数も増えているので、その増加として考えればいいのか、やはりGenotype4が重篤な感染症を引き起こす可能性もあることから少し気になるので、その辺は増加というのが感度が上がって、要するに前の個別20プールだと多分検出できないようなGenotype4が増えているのだとしたら、それほどと思うのですが、その辺のデータは分かりますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 Genotype4がウイルスバイラルレベルが低いのが多いというようなことが、もし事実があればこういうデータになるのかもしれませんが、それはちょっと分からないです。

○山口委員 分かりました。

○田野崎委員長 ほかについてはいかがでしょうか。

○花井委員 患者さんからの報告、病院からの報告の件です。かねてから思っているのですが、明らかに院内感染ということがあると思うのですが、いろいろ聞きますと、やはり院内感染対策というのは、今は病院経営が厳しくなる中で、どちらかというと脆弱になっているところがあると思いますので、この血液セクションからも関係部局に院内感染対策というのを、血液の指標を見てもフラグが立っている状況があるので、十分そこは何らかの対応をしてほしいということは、要望として言ってもいいのかなと思いましたが、そういうことはできるのでしょうか。

○一瀬血液対策課長 事務局から、関係のある医政局と健康局に、このような情報を共有することは可能です。

○花井委員 今日のどれというわけではないのですが、明らかにこれは、というのがちょこちょこ見えますので、是非お願いしたいと思います。以上です。

○大平委員 関連なのですが、アルブミン製剤の問題で、こういう所に報告が出てくるというのは、病院のほうの意識がどうなのかなというところも、疑われるところはあったのかもしれませんが、通常は考えられないようなことが出てきているというのは、もう少しいろいろと知識を共有していただけるといいのではないかなと思いました。

○山口委員 今の花井委員と大平委員に関連してですが、先ほど

佐竹参考人から少し説明があったのですが、C型肝炎、特に多いのはBとCがほとんどだと思うのですが、例えば先ほどの論文にあったように、その報告があったときに、あるような検体について、アッセイ法がないというのはあるかもしれないですが、濃縮法で濃縮してもネガティブであるというようなデータを取りまとめて、何か報告していただけると、要するにもともとの原理論としては、個別になったら普通はそれ以上やりようがないのですが、濃縮してもネガティブだというようなデータを作っていただけると、報告に対する答えというか、そういうものになるかなという気がしました。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 濃縮してもネガティブというよりは、RNAウイルスですので、濃縮の段階で非常にロスしてしまう。そこが非常に大きな問題。若しくはそのものが余り適さないのではないかなという、そういう感じがします。それで本当に、まとめそのものが、非常に困難だなという感じがしています。

○山口委員 あと、別件です。先ほど細菌感染の事例で、担当医が大動脈弁そのものの汚染を疑われているという報告があったと思うのですが、そうすると、これは医療機器安全部会で報告されているということになりますか。もしそれが分かったら、教えていただけますか。無理かもしれませんが。

○近藤血液対策課課長補佐 分かりました。確認して、お伝えします。

○田野崎委員長 今の細菌感染の報告に関しては、輸血前からCRPが19.95。手術2日目なので、そういうことがあってもいいのかもしれないのですが、その輸血直後から酸素濃度、低酸素血症がどんどん進行して、レスピレーターになっている。多臓器不全なども疑われるかもしれませんし、セプティック・ショックみたいなのも疑われてもいいようなケースで、経過から見ると余り血液製剤だと疑わしいとは思えない症例かなとは思いますが、こういう症例。

○室井委員 その細菌感染症、これは6例あって、いつも多いのですが、熱が出ると細菌感染ということを、多分、臨床側は考えがちだと思うのですが、非溶血性は発熱反応というのがありますよね。そうすると、こういう例はアレルギー反応の検査の依頼も出ているのでしょうか。その細菌感染のカルチャー以外に。

○田野崎委員長 これらの事例について、もし何かお分かりになれば。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 我々の分類ですと、主治医がアレルギーとして上げてきていて、実は細菌感染の疑いというものと、そうでなくて、細菌感染の疑いで出てきているけれどアレルギーという、両方あります。ですので、どちらが多いかというのは両方を疑って、いろいろなパターンがあります。

○室井委員 非溶血性発熱反応の疑い、それも踏まえて検査をやられていればいいと思うのですが、単に細菌感染症というのは、ほとんどが起きないと思うので、多分ネガティブという結果で返ってくると思うのです。だから、そこがどうかなと思って、今の質問をしたわけです。

 今後はこういうことがあったら、一応やはり、そちらのほうの依頼を出すようにお願いしたほうがいいと思うのです。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 はい、おっしゃるとおりです。

○大平委員 HIVのほうの抗体検査ですが、献血血液での献血者の抗体陽性者の数というのは減っていっているというところがあるのですが、これは大変いいことだと思います。これについてどういう方策がよかったのか、日赤のほうでも何か分析しているところがあるのでしょうか。教えていただけたらと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 特に何かが功を奏したということは、我々もはっきりと特定することはできません。減り始めたのが、ちょうど2009年の新型インフルエンザのときを契機にしているのです。ですから、そこから減り始めたのがどうしてかなというのは、きっかけにはなるかと思います。ですので、あのときにはこういった献血に来る人が、そういう疑いのある人がこちらに来るよりは、インフルエンザ、そちらのほうに行ってしまったという、そういう感じが非常にしています。それをきっかけに、なぜ減少傾向が続いているのかは分かりませんが、いろいろなこちらからの説明などが功を奏してきたと考えれば、大変我々は嬉しいのですが、はっきりした理由は掴めていません。

○大平委員 献血ルームとかそういう所で、こういう方は適切ではないなというところとか、そういうのが見分けられるというのですかね。お断りするようなことというのは、現在の状況としては増えているのか、減っているのか、それとも余りそこは気にしていないのか、そこのところを教えてください。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 恐らく言えるのは、個人の同定といいますか、それがどんどん厳しくなってきているということは1つあるかと思います。ですので、きちんと自分を証明するものがなければ献血をお断りする形が、やはり少しずつ強化されてきていますので、それがかなり効果があるのではないかとは思います。

 ただ、その数がどのぐらいか。手元には数がないですけれど、そうやってお断りした人の数などは、こちらにあれば、お示ししたいと思います。

○岡田委員 HIV陽性者で、初めて献血して陽性と分かる人の人数というのは、経時的に減ってきているとか、そういう傾向はないのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それは全く変わっていないということです。

○岡田委員 では、リピーターと新規の方が、同じように減っているという理解で。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうです。

○岡田委員 分かりました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。それでは、議題3に移りたいと思います。「日本赤十字社からの報告事項について」ということで、日本赤十字社から資料3-1の説明をお願いします。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 お手元の資料3-1、それに付随しまして、参考資料として3--1から3--5までを御用意させていただいています。本日は資料3-1をメインに説明させていただきます。

 今回報告させていただくのは、日本赤十字社の献血及び在庫量の情報管理と危機管理対応における危険水準の変更というものです。まず、こちらの概要を、説明させていただきます。平成17年、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策として実施された献血制限(英国滞在歴1日以上)を機に、献血者の減少により輸血に必要な血液製剤が不足することを回避するため、赤血球製剤の在庫量に危険水準を設けまして、水準を下回る又は下回る恐れがある場合に、都道府県ごとに行う対策を定めて、当時の血液事業部会運営委員会に報告の上、全国で運用を開始し、現在に至っているという状況です。

 その後、日本赤十字社では、平成24年4月に広域事業運営体制を導入し、それにより検査・製造を集約するとともに在庫管理を含めた需給管理をブロック単位で行い、各都道府県の献血確保量に関わらず、ブロック内全体で確保した血液から各血液センターが供給に必要な量を分配するという体制に移行しています。

 この体制変更により、危険水準に至るという事例は非常に希となっています。また、この事例が一過性であり、一都道府県が特別な献血者確保対策を行う必要がないという状況にあります。このことから、危険水準の設定を都道府県毎からブロック毎の形に変更したいということで、報告申し上げます。

 まず、ここに至る経緯のところを改めて、おさらいということで確認させていただきます。平成17年2月4日に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の国内第1症例が確認されました。それを受けて、同月の7日には暫定的に献血制限(1980年以降英国滞在歴1か月以上ある方からの献血はお断りする)を開始しました。その1か月後、今度は英仏1日以上の滞在者の献血制限をやっていこうという方針が出されまして、同年の4月1日、英仏1日以上の滞在者の献血制限、及び、その献血制限により血液製剤の供給が滞る事態を回避するための対応について、厚生労働省の医薬食品局長から日本赤十字社のほうへ通知が出されました。これを受けた日赤の対応をまとめたものが、参考資料3--3に書いてあります。「日本赤十字社の献血及び在庫量の情報管理と危機管理対応について」というものです。これを作成し、また対応も開始しまして、同年5月30日に日赤から運営委員会へ報告させていただきました。同日、これを受けた厚生労働省から、6月1日から英仏1日以上の滞在歴のある方々の献血をお断りするということで、各都道府県知事、そして日本赤十字社へ通知がなされているという状況にあります。これらの通知等については、参考資料3--1から幾つか後ろに添付させていただいているので、ここでの細かい説明は省略させていただきます。

 2ページ目に移って経緯の続きです。5月30日の運営委員会後の国からの通知を受けまして、日赤内でも、この危機管理対応等の実施について各血液センターへ通知をしました。そして、6月1日には英国1日以上滞在者の献血制限が開始されています。その後、平成21年の末には、英国滞在歴を1日から1か月以上に変更する方針が決定され、翌年の1月27日には、その1か月以上への変更がなされました。そして、更に2年後には弊社の体制ではありますが、先ほど申し上げた広域事業運営体制を導入したという状況です。

 そこで、日本赤十字社の献血及び在庫量の情報管理と危機管理対応をすべて説明しますと長くなりますので、一部を抜粋して記載しました。内容は参考資料3--3に書いてありますが、危険水準というのがどういうものかということを、以下のとおり表にさせていただきました。まず危険水準には注意報水準と警報水準があります。各血液センターにおいて、適正在庫に対して70%の在庫量が注意報水準。適正在庫の50%が警報水準。東京都については非常に大きく、全国の11%ほどの供給量を占めており、影響力が大きいということで、東京都に関しては警報水準が50%ではなく60%というように高く設定されています。全国トータルの在庫というところについても、注意報が70%、警報が60%という設定になっています。

 そして、この注意報水準、警報水準割れを起こす場合には、それぞれどういう対応をするかというものが決められています。()対応例として、「70%割れを起こした段階」の対応を一部抜粋させていただきました。例えば、各血液センターから各都道府県に献血応援の協力支援を依頼する。又は固定採血施設の受付時間を延長する。そして、各センターのホームページで呼びかけ・献血受入情報の提供などを行います。これが、例えば警報水準になりますと、「マスコミ等々を活用し」ということまで規定されています。

 では、この水準を設定した後どのような状況かということを、次の「献血者確保及び在庫管理に係る現状」に記載させていただいています。まず平成24年4月に広域事業運営体制を導入しまして、これまで都道府県単位で行っていた事業を、全国7つに分けたブロック単位で実施する体制としています。自県自給というものを基本としていた体制から、検査・製造を集約しまして、医療機関の需要に合わせて、その医療機関を担当する血液センターが必要とする量をブロック血液センターのほうから分配するという体制に変わっています。これによりスケールメリットを生かして、自分の血液センターの献血者確保に偏りがあっても、必要な輸血用血液の在庫を保有することが可能となりました。それにより、より安定した供給が可能となっています。

 では、危険水準に至るといった事例がどのような発生状況かということでグラフを作りました。なお、平成24年4月から広域事業運営体制を導入しましたが、その前から少しずつ検査・製造の集約が開始されています。

 平成17年度から平成28年度までの間で注意報水準を下回った事例の発生回数を記載しました。ちなみに50%を切るという事態は、過去に一度も発生していません。この状況のグラフについては、毎平日の朝6時に厚生労働省及び各都道府県のほうへ報告している赤血球製剤の在庫量、これが危険水準を下回ったものということです。水準を設定した平成17年度が年間59回発生していたのに対して、平成22年度以降は1年で2回以下という状況です。発生事例はいずれも規模の小さな血液センターにおいて、供給量の少ないAB型とB型で発生しています。かつ、全てが一過性の事例。ブロックとしての在庫量、数量には不足はなく、該当血液センターへの補充も速やかに行われています。

 そして、この危険水準設定の課題と、今後の対応です。危険水準は適正在庫数とともに都道府県ごとに設定され、現在も継続されています。また、この設定では、危険水準を下回る場合には、ブロック全体の在庫に関わらず都道府県ごとに献血者確保対策を施すこととしています。この場合、ブロックとして在庫量に不足がない状況にも関わらず、献血者確保対策を実施する事態となります。これは在庫の過剰につながってしまいます。また、献血者確保対策が不要であっても、水準を下回った場合には、所定の書類の作成や関係各所への連絡、及び報告等があり、業務上の負荷という形にもなっています。

 安定的に赤血球在庫が維持できていながら、危険水準導入当時の設定に基づくことにより、在庫過剰の恐れ、又は非効率的な運用につながるケースが散見されるという状況がありますので、私どもとしては安定供給ができているという前提の下に、効率的な運用を図ることとしまして、危険水準の設定を都道府県ごとから、ブロックごとの設定にしたいということです。

 本件の対応実施は、これからで、まずは運営委員会へ報告させていただいて、その後、各都道府県のほうには、各血液センターから御説明に伺う。そして、理解が得られたところで全国で実施する予定です。今度の4月1日などにこだわらずに、ちゃんと理解を得てから実施するという考えです。

 危険水準変更については以上ですが、参考資料3--5として、1枚カラーの資料を用意させていただいています。こちらは先日の血液事業部会で御要望のありました、採血のエリアと製造・検査する場所を地図で示した資料となります。こちらは御参考に御覧いただければと思います。私からは以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。委員の皆様から、何か御意見があればと思います。ブロックは大丈夫であっても、地域によって問題が起こり得るような地域というのは、どこかありますか。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 一時的に在庫が少なくなる、夜間などに大量使用がある、そのときに一時的に在庫は減りますが、今はブロック全体では安定的に確保できていますし、すぐに補充できる体制というものが出来ていますので、危機的な状況、要は患者さんに影響が出る状況にはないというところです。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。大平委員、どうぞ。

○大平委員 3ページに記載されている最後のほうですが、「危険水準導入当時の設定に基づくことにより在庫過剰のおそれや非効率な運用につながるケースが散見される」ということについて、具体的な数字や例を上げていただければと思います。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 ここに書かせていただいたとおり、在庫過剰につながる、要は対策を立ててしまうと、在庫が十分にブロック内であるのに、余計な在庫を増やしてしまうことになるというのを防ぎたいということです。

 それと、不足がなくても、危険水準を下回るという状況にあった場合には、逐一必ず報告をしましょう、連絡をしましょうということになっていますので、そこの作業に手間がかかるということです。実際のところは、70%を切るという事態になった場合には、採血を強化する必要がないのに、献血者を募らなければならないという事態に陥りかねないので、こまめに在庫の調整を行うということがありました。ただ、実際にはその調整の必要がないのに行っている、それによって労力を使っているという部分がありましたので、そういうことを削減したいということもあります。

○花井委員 もっともで、これはやられたらいいのですが、私が気になるのは、広域ブロック体制にしたというのは日本赤十字社の血液事業の歴史で、かなり大きな転換で、5年前にそれをやって、それは何かというと、ある種の合理性の追求ということだと思うのです。むしろ、5年間このままやってきたというのが驚きで、5年前に検討に着手する問題だったと思うのです。

 これはこれで是非やられたらいいと思うのですが、ほかにもあるのではないかと。だから、ずっと歴史的に都道府県単位でやってきて、いろいろな面で都道府県でやってきたというところで、広域ブロックにして、かなり合理性が追求できるし、事業本部のガバナンスというのもやりやすくなったと思うのですが、ただ、やはり点検してみるとローカルなところで、ちょっと合理性がないというところが、まだあるのかもしれないと思うので、これだけに限らず、広域ブロック化したことによるパフォーマンスを最大にするように、そういうところを、この機会に点検していただけたらいいのではないかと思いました。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 ありがとうございます。

○田野崎委員長 御意見、どうもありがとうございました。そうしましたら、日本赤十字社におかれましては、今後とも。

○大平委員 あと、危機管理としての案件なので、例えば首都圏のほうで30年以内に、かなりの高率で地震が発生するということが今言われている中で、災害について十分見込みを掛けた中で、この提案というのは出ていることなのかを確認したいのです。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 こちらは基本的に日常の供給体制という観点で制定させていただいています。災害に当たりましては、これまで大きな震災がありました。阪神・淡路、新潟中越、東日本大震災、そして先般の熊本という形で、それぞれにおいてやはりなかなか献血者の受入が現地ではできないという事態もありました。その中では、活動のできる他の地域で献血者を募って、そして、どうしても交通網というものがありますので、そこに左右されるところが多いのですが、行ける所からちゃんと支援をするという体制がとれてきたと思っています。

 ただ、やはり今後、もっとこれまで以上に大きな災害が起こるという可能性もありますので、そこのところはもう少し詰めての議論が必要とは考えていますし、今後、そこのところが課題だとは捉えています。

○室井委員 ブロック案は全く賛成で、異論はありません。別のことですが、オーダー側に関して、各製剤のABOがありますよね。それで、その需要というか、オーダーに関して、何か血液型で差というのは出ているのでしょうか。例えば、ある血液型はずっと増えているとか、そういうことはありませんか。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 やはり製剤ごとに型の偏りはあります。ABO血液型の構成比の話ですが、赤血球のO型の比率に対して、血漿、血小板のO型の比率は低い。それと、やはり血小板のAB型の比率が、赤血球のそれに対して非常に高いということがあります。これは、やはり異型の造血幹細胞移植などに伴っているとは思いますが、そういった偏りは製剤ごとに違った傾向があります。

○室井委員 それを踏まえて在庫を設定していると考えてよろしいのですか。

○日本赤十字社簱持経営企画部供給管理課長 そのとおりです。在庫のほうは血液型別に設定しています。

○室井委員 了解しました。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。そうしましたら、今後ともブロック単位で効率のよい血液事業運営をお願いしたいと思います。続いて日本赤十字社から、資料3-2の説明をお願いします。

○日本赤十字社石丸技術部検査管理課長 検査管理課の石丸から御説明させていただきます。内容は、「不規則抗体スクリーニングの変更」について報告させていただきます。まず、始めに、背景について少し簡単にお話をさせていただきます。不規則抗体とは、抗A、抗B、抗AB以外の赤血球同種抗原に対する抗体の総称で、多種多様なものがあります。以前は、患者さんの不規則抗体を数多く検出することを目的に、医療機関では複数の検査法を組み合わせて、不規則抗体スクリーニングが行われていました。そして、日本赤十字社におきましても、昭和51年から、生理食塩液法、酵素法及び間接抗グロブリン法(以下「IAT」という)の3法を用いて献血者の不規則抗体スクリーニングを行い、現在に至っております。

 しかし、近年、患者さんの不規則抗体の臨床的意義が整理されまして、生理食塩液法と酵素法で不規則抗体スクリーニングを実施しますと、臨床的意義のない不規則抗体が数多く検出されるため、国内外のガイドライン等では、IAT以外の検査法は必要とされてはおりません。そこで、献血者の不規則抗体スクリーニングにおける生食法と酵素法の必要性について検討を行いました。

 2番が、献血者の不規則抗体の性状の解析になります。献血者の不規則抗体スクリーニングにおいて、生理食塩液法又は酵素法が陽性で、かつIATが陰性、すなわち生食法と酵素法を行わなかった場合に検出されない不規則抗体というのは、約1万件に1例程度あります。こうした反応性の不規則抗体の91例について性状解析を行いました。

 内容は、不規則抗体の特異性、免疫グロブリンクラスの測定、抗体(感作)量の測定、抗体の機能測定(単球貪食能試験)を行いました。結果については、いずれの不規則抗体も低力価で、特異性や単球貪食能試験からも臨床的意義がないとの結果が得られました。

 3番、この献血者の不規則抗体スクリーニングの海外の状況については、世界的に見ても、献血者の不規則抗体スクリーニングで、生食法と酵素法というのはほとんど行われていません。IAT単独で行われているのが現状となっております。

 最後に、4番の不規則抗体スクリーニングの変更ということでお話させていただきます。不規則抗体スクリーニングと交差適合試験については、患者さんの不規則抗体スクリーニングが主試験、献血者の不規則抗体スクリーニングが副試験に関連します。主試験と副試験の重要性から考えまして、献血者の不規則抗体スクリーニングには患者さんと同等な感度は求められておりません。更には、患者さんの不規則抗体スクリーニングにIAT以外の検査法が求められていない現状におきまして、献血者の不規則抗体スクリーニングについても、IAT単独で実施することは妥当であると判断しました。

 以上より、日本赤十字社では、現在行っている生理食塩液法、酵素法及びIATの3法から、生理食塩液法と酵素法を廃止し、平成29年4月よりIATのみで不規則抗体スクリーニングを行うこととさせていただきます。以上となります。

○田野崎委員長 ありがとうございます。こちらに関して、委員の先生方から何か御意見がありましたらお願いいたします。

○花井委員 専門的すぎて分からないのですけれども、来月からスタートするということですが、これは、安全技術調査会にはもう報告済みですか。だから、いきなり運営委員会に技術的な話がきているので、通常、安全技術調査会でワンクッション置くのとはちょっと違うので、その辺はどうなのですか。

○田野崎委員長 事務局からはどうでしょうか。

○近藤血液対策課課長補佐 この件に関しては、安全技術調査会には諮っていません。

○山口委員 多分、生物基にも載っていない、アッセイですよね、だから独自に、要するにリクワイアメントとして、行政的にはリクワイアメントをやっている仕事の検査ではないというように理解したらいいのかと、私は今、思ったのです。

○日本赤十字社石丸技術部検査管理課長 そうです。

○花井委員 山口先生がそうおっしゃるなら構わないのですけれども。一応、技術的なことは、私のような委員からすると、安全技術調査会の評価があって、こういう方向というほうが素直かなと思いました。

○田野崎委員長 輸血をやっている立場から見ると、全くリーズナブルかと思いますので、また検討を進めていただければと思います。

 それでは、日本赤十字社から資料3-3の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 その前に、資料3-3については、これは、我々の製剤部門で、大事な献血者から頂いた血液について、それを製品にすることができなかった大量の血液があったということで、善意の献血者の皆様に大変な御迷惑をおかけいたしました。そのことについては、大変申し訳なく思っております。この場でも、我々の不手際をお詫びしますとともに、献血者にお詫びを申し上げたいと思います。詳細については、係の者から報告させていただきます。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 それでは、製造管理課の秋野から御報告させていただきます。この度、輸血用血液製剤の製造所の日本赤十字社近畿ブロック血液センターにおいて、製造途中の赤血球製剤69本が適切に保管されなかったことにより、輸血用として使用できなくなりました。このような過誤を起こし、貴重な献血血液を有効に活用できなかったことについて、深くお詫び申し上げます。なお、医療機関に対する血液製剤の安定供給への影響はございません。本件の発生を厳粛に受け止め、全職員に対して教育及び指導を徹底するとともに、再発防止に取り組んでまいる所存でございます。

 概要について説明させていただきます。発生は、平成29年2月12(日曜日)の午前8時15分頃に、前日、製造途中の赤血球製剤を保管し忘れていたということが判明いたしました。製剤途中の赤血球製剤の69本ですが、この内訳は、200mL献血由来が13本、400mL献血由来が56本です。これを所定の冷蔵庫内に保管し忘れていたということになります。輸血用血液製剤の製造工程について簡単に御説明いたします。別添資料を御覧ください。

 「別添」に、輸血用血液製剤の製造工程をフローで示しております。献血された血液、これは原料となる血液になりますので、この原料血液を受け入れます。その後、白血球除去フィルターにより白血球除去を行った後、白血球が除去された全血を遠心・分離することで、赤血球と血漿に分けます。左側が赤血球製剤の製造フロー、右側が、血漿製剤の製造工程になります。

 赤血球については、分離された後、容量・外観確認を行い、本来であれば、この後、冷蔵庫に保管する予定だったところ、この冷蔵庫への保管を怠ったことになります。通常ですと、この後、放射線照射、そして放射線照射のラベル、製剤ラベル等を貼付した後、添付文書とともに梱包して、検査結果が確定するまで冷蔵庫で保管するのが通常の流れになります。一方、血漿製剤については、分離された後、赤血球と同様に容量・外観確認を行い、ラベリング、包装、そして急速凍結をかけて、検査結果が出るまで冷凍庫の中で保管するというのが通常のプロセスになります。

 本資料に戻っていただきます。原因は、赤血球製剤は冷蔵庫に保管する運用となっていましたが、作業員が失念したことにより、適切に保管されませんでした。また、業務終了後には確認作業を行いますが、そこでも過誤が見過ごされていたことになります。

 対応です。当該赤血球製剤については、69本のうち20本は試験用として活用させていただきました。残りの49本については、他の活用方法がなく、誠に残念ながら廃棄させていただきました。なお、当該赤血球製剤と同時に得られた血漿については、先ほど御説明しました製造工程において、適切に輸血用製剤として製造しました。

 献血者への対応です。該当の献血者の方々に関しては、直接お詫びするとともに、ホームページへのお詫び文の掲載も行うことと考えております。

 次ページ、再発防止対策です。保管担当者を明確にし、併せて確認手順の見直しを図りました。また、全職員に対して教育訓練を実施し、その内容を徹底したところです。以上です。

○田野崎委員長 ありがとうございます。委員の方々のコメントはよろしいでしょうか。

○岡田委員 この赤血球は、容器か何かに入っていて、まさかその中に入っているとは思わなかったということで見逃されてしまったのでしょうか。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 いえ、69本をまずバスケットという物に入れます。それをコンテナーに積んで冷蔵庫に仕舞うということでしたが、そのコンテナーを仕舞い忘れたということが現状です。

○田野崎委員長 こういうようなヒューマンエラー的なものに対して、もう少し具体的な対策というのは、忘れないようにとか、そういうことでは普通に繰り返されるものですが、これまで同じようなことはなかったのでしょうか。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 平成24年から広域的な運営体制ということで、それまで数十箇所あった血液センターの製造所を集約し、今、12か所になっています。それは、まさしく製造管理を強化するために行ってきたわけですが、平成24年の広域的な運営体制以降は、こういった事例は起きていません。今回、始めての事例ということになってしまいました。

○田野崎委員長 そうすると、そのときには作業の方が非常に少なかったとか、お互いにカバーし合っているとか、そういうことはされなかったのですか。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 今回、これには3名の作業員が携わっていました。誰が保管するかということが明確でなかったことが1つの要因にあります。今後の改善策のひとつとして、保管する作業者を責任者が指示することで明確にし、保管担当者を記録するという措置を執りました。

○田野崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 人的な不注意についての改善というのは、なかなかこれで済むという話ではないのかと思います。もう少し何かラベルで、保管のし忘れをしないような警告のようなものが、流れ作業の中できちんと把握できるようなシステムにされたらいいのではないかと素人は単純に思います。日赤は昔から作業工程を見させていただいている所はあるのですが、オートメ化というのでしょうか、古い言葉で、そういうことが進んでいなくて、やはり人の、人為的な関わりの中で確認、そして、それをケースに移していくというそういう作業をしておられたので、そこがずっと続いているのかと思われ、そういう所だとあり得る話かなと思い出します。ただ、センターの広域化の中で、もう少し改善を、そのような事故が起きないような形を考えられたらいいのではないかと思います。貴重な献血血液なので、一人一人にお詫びのメッセージを出すということは異例なことだと思います。そこは気を付けていただきたいと思います。

○田野崎委員長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 今すぐという話ではありませんが、多分、血液の管理はバーコード管理ですよね。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 はい。

○山口委員 多分、チップ管理にすると、どこにあるかということまで把握できるので、将来はそういうことも検討していただけると、例えば、保管検体などもチップでやったほうが、シャーガス病のときも検体を選択するのがものすごく簡単になるはずなので、それはお金が掛かるのは分かりますが、ただ、将来的にはそういうことも少し考えていただきたいと思います。

○日本赤十字社秋野技術部製造管理課長 貴重な御意見をありがとうございます。

○田野崎委員長 それでは、日本赤十字社におかれましては、今の御意見を参考にしていただき、更に検討して、再発防止策を徹底していただければと思います。

 では、議題4、血液製剤の輸出規制の在り方についてです。事務局から資料4の説明をお願いします。

○金子血液対策課需給専門官 資料4は血液製剤の輸出規制の在り方についてです。1.現状です。まず、1966年の輸出貿易管理令の改正で、輸出承認が必要な貨物に血液製剤が追加されました。背景としては、当時ベトナム戦争に日本の血液が軍事上の目的で使用されるということへの倫理上の問題として国会で審議されました。その結果、血液製剤を輸出承認の対象とした上で、「当分の間、承認を停止する」とした経緯があります。その後、自衛隊の海外派遣時の持ち出しや、人道的支援のための輸出については一部承認されてきましたが、現在でも、原則は海外への血液製剤の輸出は認められておりません。

 2.最近の動きです。(参考1)を御覧いただくと分かるように、平成28年6月に閣議決定された「規制改革実施計画」や、同年10月に公表された「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース 顧問からの提言」等におきまして、血液製剤の安定供給や余剰成分を利活用した人道支援等の観点から、輸出規制の在り方を見直すべきとの提言が出されています。

 これらを踏まえて、3.当面の対応として、事務局では、血液法基本方針の次回の改定を見据えまして、輸出規制の在り方の見直しについての検討に着手しております。現在、日赤や国内外のメーカー、有識者等と意見交換を行っているところです。

 4.今後のスケジュールとしては、各提言や意見交換の結果等を踏まえて、事務局において論点整理をした上で、血液事業部会で御審議いただく予定です。部会での審議結果を踏まえて、血液法基本方針の改定に盛り込むこととしたいと考えております。以上、簡単ですが、資料について説明させていただきました。

○田野崎委員長 資料4について、先生方から御意見はありますでしょうか。

○山口委員 今、意見を言った話を伝えてくださるという前提で話したいのですが、血液製剤は2つに分けないと多分いけないと思っていて、輸血用血液製剤と血漿分画製剤に分けて考えたほうがいいのだろうと思います。

 輸血用血液製剤については、イギリスでもCJDのときだって、彼らは自分たちの輸血用血液製剤を使ったわけですから、ところがWHOだって、輸血のほうに対しては、多分、自国生産で自国消費だろうと基本的には思います。だから再生医療に関しても、細胞を用いた貿易そのものをニュージーランドとか、EUは反対していますので、アンメット・ニーズであればもちろん許可するのですが、そういう意味では、輸血用血液製剤と血漿分画製剤を分けて考えて、輸血用のほうはそう考えるべきではないかと。血漿分画製剤に関しては、日本でしか作っていない製品もあるわけです。それを海外で儲けるとか、そういうことよりも、海外でも望ましいというか、海外でも欲しいという製品もあるわけです。連産品であることを考えれば、そういうものに関して、特に海外に無いようなものに関しては、まず、そういうところから許可をしていくというか、もちろん献血者の同意というか、合意を得てやっていかないといけないとは思います。そういうことを考えていただければと思います。

○田野崎委員長 輸血用血液製剤と血漿分画製剤を分けてということですが、あとは、今回に関しては、再生医療に関わる製剤は、ここの範疇には入っていないということでよろしかったでしょうか。

○金子血液対策課需給専門官 血液法で定義されている輸血用血液製剤と血漿分画製剤が対象になっておりますので、いわゆる再生医療等製品は入っておりません。

○田野崎委員長 大平委員、どうぞ。

○大平委員 積極的に考える方と、少し消極的に考える方といらっしゃると思いますが、やはり1つの大きな流れが、日本には国内の献血血液で国内需給を図っていくという流れというのがあるわけですけれども、献血血液についてどうするのかということも、この問題の中できちんと議論しないと、輸血用血液製剤と血漿分画製剤とがはっきりわかれてしまうところもあると思います。ただ、献血者の皆さんにどちらも献血していただいて、そして、その恩恵のもとに、こういう医療用の輸血用血液製剤と分画製剤というのが使われるというところを、もう少し国民の方々に周知していただくということが1つ大事かと思います。

 また、人道的な支援とかというところでは、本当に緊急な場合とか、災害の問題で何か本当に必要なときの脈絡の中で捉えていかないと、逆に今の日本の血漿分画製剤とかそういうものも、まだ全然製造されていない部分というのもあったり、供給では、十分供給できない部分というのはあるわけなので、そこも踏まえて実際に海外に供給する場合、提供する場合に、その製剤がずっと恒久的に使われるという形になっていくと、それはまた違う話になるのではないかということです。そういう人道的な支援の歯止めを1回、緩めてしまうと、そこから営利的な形でずっと供給し続けなければならないという、そういう形になっていく危険性というのは多分に感じます。そこは十分検討していただきたいということです。

 この規制の在り方というのは、突然タスクフォースの中から出てきたというところもあるのですが、そこは十分時間をかけて考えていかないと、せっかくの血液法の基本的な精神というのを踏みにじるようなことがあってはならないと思います。

○花井委員 この話はタスクフォースから出てきたと言うのは、誤解ですね、これはあくまでも規制改革下の実施計画閣議決定からタスクフォースに何とかしろと、ここと同じ立場で上がってきた話だと承知しています。

 私の理解では血液法、タスクフォース、だから、規制改革実施計画閣議決定のほうは、やはり血液法すらゼロベース的なニュアンスがあったと思います。これには、明確に反対で、やはり血液法に基づいて国内の献血血漿を国内で有効活用するということが前提だと思います。

 その人道支援という部分について、タスクフォースに盛り込んだ理由は、それを前提とした上で連産品であることから、原料血漿を有効活用と人道支援が整合することがあり、かつ、その場合に、いわゆる輸出規制というものに、もし抵触するのであれば、検討する余地はありますと。こういうような整理になっており、タスクフォースの整理も、一応、そうなっています。

 タスクフォースが引用されて採血事業者の新規参入と書いていますが、これは、血液法の前提の新規参入は、そもそも最初からそれは予定されて、法律上は自由に新規参入できる形になっておりまして、何ら規制緩和は必要ないわけです。ただし、その献血事業者として、日本赤十字社のほかに手を挙げる所は現状ないというのが現状だと思うので、これについては何ら規制緩和の必要はなく、いいということだと思うので、そういう意味で、タスクフォースが積極的にこれを持ち出したということではない。ただし、やはり連産品であることから、日本の需要、日本の患者さんにいって、かつそれで余剰な製品というのがあるのであれば、それを廃棄するのであれば、やはり有効に活用するために海外という線はあるでしょうと。こういう整理だと思います。以上です。

○田野崎委員長 確認すると、現在の、例えばアルブミン製剤などは、外からの輸入品はかなりありますが、まず、そういうような形での輸出を議論しているのではないということでよろしいですね。

○花井委員 だから、一番の極論は、日本の献血を集めて、コマーシャルカンパニーに任せるとすれば、国内、国外は問わないと思いますが、もしグローバルな市場で、そのアルブミンなり、例えば、中国でアルブミンがたくさん売れるとか、ヨーロッパで免疫グログリンはたくさん売れるというときに、では、いわゆるコマーシャルカンパニーの営業所の理由で献血者を集めなければいけなくなるわけで、これは血液法の立て付けから言えば本末転倒で、もう売れに売れてしようがないから、原料の血漿、献血者をお願いしますということになってしまいますので、これこそ、やはり血液法のそもそもの理念に戻るので、そういう形は、そもそも想定し、全部開放するとそういうことが起こるわけですけれども、そうではないというところはポイントかと思います。それは血液法の原則というところに盛り込まれているというように理解しています。

○田野崎委員長 あとは、今現在、外からアルブミンが足りないからといって、輸入をしたと、あるいは何か急激に国内生産ができなくなったというので、大量に入れたときに、やはり入り過ぎたからといって、ほかのところにまた戻すということが、今だとできないということもあるのかと思いますが、そういうような幾つかの条件付きでということは検討していってもいいのかと思います。

○室井委員 私もこれに関しては目的を明確にして、今、花井委員がおっしゃったように、目的を明確にして、それから対象もはっきりさせたほうがいいと思います。

 国内の献血で頂いた血液の余剰分を製造化して、輸出するのはいいのではないかと思います。例えば、海外のドナーから頂いた向こうの余剰分を輸入して、こちらで製品化して輸出するということも、一応、これには入っているかどうか確認をしたくて、今、質問しました。

○田野崎委員長 これについてはいかがでしょうか、議論の対象として。

○室井委員 向こうの余剰の材料、海外のドナーから頂いたものを、国内で製品化して、また輸出するという流れも、多分、もしかしたらあるかもしれません。海外の原料血漿を輸入し、国内で製品化して、また輸出するということも、一応、これには入ってくるのでしょうか、という話をしています。

○金子血液対策課需給専門官 そういった場合も、製品として海外に出すときには規制がかかっておりまして、実際に国内メーカーも、例えばB型肝炎の高抗体価の血漿というのはなかなか国内の献血から得られませんので、一部、海外から輸入して、特殊免疫グログリンなどを作っている。ただし、それは国内でのみ供給しているというケースがあり、海外には、現状では出せないということになっております。その部分は規制がかかっているということになります。

○室井委員 それを海外に輸出すれば、この一応、法律、今回検討するこれには関わってくると考えてよろしいのですか。

○金子血液対策課需給専門官 それを緩和するのであれば、論点の1つになるかと思います。

○一瀬血液対策課長 補足です。現在でも委託加工貿易という形で、どこかの国から原料血漿を輸入して、日本国内工場で製剤化して、その国に輸出するということは可能です。

 一方、一旦外国から輸入した血液製剤などを委託加工貿易以外で輸出することは、現在のルールでは禁止されていることになります。

○室井委員 製品化してもですね。

○一瀬血液対策課長 そうです。

○田野崎委員長 そうしたら、室井委員の御意見を踏まえて、引き続き、厚生労働省のほうで検討を進めていただければと思います。

 それでは、議題5に移ります。その他ですが、事務局より資料5-1について御説明をお願いします。

○金子血液対策課需給専門官 その他の議題です。議題5-1の表は、化血研の血液製剤について、一部変更承認の取得後に出荷されたロット一覧になります。

 昨年12月の運営委員会でも報告させていただきましたが、その後、コンファクトF、ノバクトM、献血ベニロン、ヒスタグロビンについて、薄く着色した箇所の計21ロットが出荷されています。このうち献血ベニロンについては、昨年12月の化血研からの調査報告書の中に、ベニロンに関する相違が含まれておりまして、現在、記載整備のための一変の手続を進めております。

 一方で、ベニロンの在庫が逼迫しまして、代替品でもカバーできない状況であることから、委員の皆様に事前に説明させていただいた上で、出荷することとさせていただきました。なお、献血ベニロンのみ適用が認められていたギラン・バレー症候群については、昨年9月に日本製薬の献血グロベニン-I、今年の2月には、JBの献血ヴェノグロブリンIHについて、それぞれ効能追加の承認が取得されております。以上、資料5-1について報告させていただきました。

○田野崎委員長 こちらについて、委員の先生から御意見はありますでしょうか、よろしいですか。

○大平委員 こういう形がいつまで続くのかというのが大変関心があるのですが、1つは、患者さんのほうも、こういう製剤の供給が途絶えているというところで、少なくなっていることで、いろいろ制限している人たちがいるのですね、実際には。コンファクトFとかは特に。そういうことも含めて、では、今後どのようにスケジュール的に必要な製剤が供給されるのかというのが、余り見えていないところが、メーカーとしても一番関心があるところだと思います。供給の実態としては。ですから、この製造会社の組織的な問題も絡むのだろうと思いますが、ただ、供血者としての患者、医療機関でのこういう不測の状態というのがいつ解消されていくのか。そこはいろいろと、多分、不正の問題とかあって、精査しているところだろうと思いますが、悪影響が出てくるところは十分考えて、行政として滞りのない製剤の供給というのを考えるべきところもあるのだろうと思います。ですから、純粋に本当にこういう製剤が供給される、そういうところを早くしていただきたいということ。それから、その分、代替製剤として、いろいろと入っているわけなので、国内需給のバランスが崩れているところは大きいと思います。ですから、そこはもうちょっと国としても考えなければいけないし、運営委員会としても本来は、そういうところを調整するのが運営委員会の役割だと思っているので、あえて、発言させていただきました。

○田野崎委員長 ありがとうございます。これに関して、事務局から何かコメントがありましたらお願いできますか。

○一瀬血液対策課長 すみません、担当の監視指導・麻薬対策課や医薬品審査課が来ていないので、いつというお答えできませんが、できるだけ早くするように事務局から伝えておきます。

○田野崎委員長 なるべく早く、いろいろ進められるようにお願いできればと思います。それでは、血液製剤の安定供給という観点については非常に重要なことですので、支障を来すことのないよう、引き続き御対応をお願いできればと思います。

 次に、事務局から資料5-2について御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料5-2に関して御説明いたします。平成25年度に実施したフィブリノゲン製剤納入医療機関の書面調査結果についてですが、既に平成28年1月29日付けで公表していたところです。この度、平成29年3月10日時点での調査結果内容ですが、変更はありません。説明は以上です。

○田野崎委員長 これで本日の公開で行う議題は、全て終了しました。ほかに何か御意見等はありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、次に非公開の議題に入ります。事務局からお知らせをお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 この後、議題は非公開で行います。傍聴の皆様は退席をお願いいたします。

 ここで5分間の休憩をしたいと思います。

 

(議題6は非公開で行われた。)

 

○近藤血液対策課課長補佐 委員の皆様、本日は長時間にわたりありがとうございました。次回の運営委員会の日程につきましては、別途、御連絡を差し上げます。これにて、平成28年度第5回血液事業部会運営委員会を終了いたします。

 


(了)

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