ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2016年9月21日)




2016年9月21日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成28年9月21日(水)15:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(19名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、
  梅 津 光 生、 川 上 正 舒、 齋 藤 知 行、 正 田 良 介、
  鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、
  中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 配 島 由 二、 菱 田 和 己、
  村 上 輝 夫、 桃 井 保 子、 渡 邉 和 久
  (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名)五十音順

今 井 聡 美、 塩 川 芳 昭、 寺 崎 浩 子、 濱 口   功

行政機関出席者

磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
宇 津   忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医療機器審査管理課長 本日は、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」の開催にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。現時点で、本部会委員23名のうち、16名の委員の先生方に御出席いただいております。薬事食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことをまずは報告させていただきます。

 委員の変更があります。日本薬剤師会の副会長を務めていらっしゃいました生出先生が当部会の委員を退任されました。また、その後任として、日本薬剤師会の常務理事の渡邉先生に新しく本部会の委員に御就任いただいておりますので、御紹介させていただきます。よろしくお願いいたします。

○渡邉委員 日本薬剤師会の常務理事の渡邉と申します。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 次に本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については、会議を公開で行い、議題2以降については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため、非公開とします。これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは以後の進行を荒井部会長、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは始めさせていただきます。まず事務局より、配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 公開案件の配付資料の確認をさせていただきます。公開案件の資料は、資料1、管理医療機器の認証基準の改正についての改正案のみとなります。以上です。

○荒井部会長 資料は、よろしいでしょうか。それではこれより議題に入ります。まず議題1、管理医療機器の認証基準の改正について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題1、管理医療機器の認証基準の改正について御報告させていただきます。資料1を御覧ください。歯科用ガス圧式ハンドピースの認証基準である日本工業規格の規格番号をT5906からT5912に改正します。

 資料1の3ページを御覧ください。今回の改正は日本工業規格の統合により、歯科用ガス圧式ハンドピースの規格番号がT5906からT5912に変更となったことによるものです。改正の前後で、歯科用ガス圧式ハンドピースの要求内容に実質的な変更はありません。なお、ストレート・ギアードアングルハンドピース以下、五つの医療機器の認証基準である日本工業規格もT5912で統合されておりますので、これらについても順次、改正することを予定しています。説明は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。特に御意見等はありませんか。よろしいですか。よろしければ、これで議題1は終了といたします。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。それでは以後の議論は非公開とさせていただきますので、大変恐縮ですが、傍聴の皆様方におかれましては御退席いただきますようお願いしたいと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を再開したいと思います。それでは準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開したいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 次に、非公開の議題に係る配付資料の確認をさせていただきます。まず、配付資料一覧を御覧ください。資料名については省略させていただきます。資料2-1は、プログラム医療機器についてです。資料2-2は、ハートフローFFRCTの適正使用指針。資料2-3は、ハートフローFFRCTの添付文書()。資料3は、「DARTS 人工手関節」についての諮問書。資料4は、「Absorb GT1生体吸収性スキャホールドシステム」の資料。資料5は、「Neuraceq自動合成装置Synthera」の諮問書。資料6は、医療機器「コアバルブEvolut R」の使用成績評価の指定について。資料7-1~7-4が一般的名称新設のものになっていまして、資料7-1が単回使用縫合器ガイド、7-2が弁形成術用補助具、7-3が気管支肺胞洗浄用カテーテル、7-4が肺動脈カテーテル交換用カテーテルのものになっています。資料8はありません。資料9は、医療機器の再審査結果について。資料10は、部会報告品目について。資料11は、競合品目・競合企業リスト。参考資料1は、薬事分科会審議参加規定です。

 また、当日配付資料がありますので、当日配付資料一覧に従って御確認ください。当日配付資料1、ハートフローFFRCTの資料。当日配付資料2、ハートフローのスライド資料。当日配付資料3、ハートフローの専門協議委員リスト。当日配付資料4、DARTS 人工手関節の新旧対照表。当日配付資料5、DARTSの専門協議委員リスト。当日配付資料6、Absorbの新旧対照表。当日配付資料7、Absorbの手技後画像診断-後拡張のFAS解析。当日配付資料8、Absorbの専門協議委員リスト。当日配付資料9、Neuraceqの新旧対照表。当日配付資料10Neuraceqと既承認医療機器との比較表。当日配付資料11Neuraceqの専門協議委員リストとなっています。御確認ください。よろしくお願いします。

○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。よろしければ、これより非公開で行う議題に入ります。まず初めに、本日の審議事項に関与されました委員と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規定第12条の「審議不参加の基準」に基づく、審議に参加できない委員はいらっしゃいません。ただし、議題4の審議品目の申請資料作成関与者に、一色委員が該当しています。つきましては、薬事分科会審議会参加規定第5条「申請資料作成関与者の取扱い」により、一色委員には当該品目の審議及び議決の間、別室にて待機していただきたいと思います。以上、御報告します。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局よりの説明につきまして、御意見ありますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、これより議題に入ります。

 議題2、医療機器「ハートフローFFRCTの高度管理医療機器、管理医療機器、又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、及び使用成績評価の指定の要否」につきまして、これから協議を始めます。まず事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題2のハートフローFFRCTについては、本年6月の医療機器・体外診断薬部会において、継続審議となった品目になります。頂いた主な御意見としては、プログラムが医薬品医療機器法の対象になった経緯、またアメリカにCTデータを送信するため、個人情報の保護について、本品の適正使用等についてであり、これらを整理した上で本部会にて再度御審議いただくこととしていました。

 御意見に関する説明資料として、資料2-1、2-2を配付していますので、こちらに沿って御説明します。まず資料2-1を御覧ください。プログラムが医薬品医療機器法の規制対象になった経緯について簡単に御説明します。経緯の1ポツですが、人の疾病の診断、治療若しくは予防等に使用するプログラムは、従来、有体物である汎用パソコン等にインストールされ、ハードウエアと一体の状態で医療機器として薬事法の規制を受けていました。一方で、単体プログラムについては、医療機器に該当せず、薬事法の規制対象外とされていました。

 近年、情報通信技術の発達やスマートフォンの普及により、医療機器としての性能を有する単体プログラムが幅広く流通することが想定され、平成23年の厚生科学審議会・医薬品等制度改正部会の議論を経て、平成25年の薬事法の改正によって医療機器としての機能を有する単体プログラムは医療機器に該当することが法令上、明確化されました。

 下の参考のところに、海外での規制状況について記載していますが、欧米だけではなく、既に韓国や中国においても単体プログラムは規制対象とされていました。

 次に、医療機器に該当する単体プログラムの範囲についてです。次のページの1ポツ目になりますが、医療機器規制に関する国際的な議論を踏まえて、丸1プログラムが提供する情報が治療方針等の決定を行う上で大きく寄与しているかどうか。丸2プログラムに不具合が生じたときの患者に対するリスク等を勘案して、個々のプログラムが医療機器に該当するかを判断しています。

 具体的には、下に四角で囲っている箇所になりますが、「医療機器として規制されるもの」として、1ポツ目のハートフローのような、医師が行う患者の診断を支援するため、あるいは2ポツ目の指導管理を支援するためのプログラムに加えて、3ポツ目の放射線治療のシミュレーション等を行い、治療計画を提案するプログラムなどが挙げられます。「規制対象外」としては、ここに記載してありますとおり、電子カルテや個人の健康増進を目的としたプログラムになります。

 次に、3.海外から国内に提供されるプログラムの医療機器の取扱いです。1ポツ目、プログラム医療機器の提供方法としては、丸1CD-ROM等での販売、丸2オンラインでのダウンロード販売、丸3ネットワーク上に存在するプログラム医療機器の使用権を提供する形式も含まれます。海外のサーバー上に保存されているプログラム医療機器をダウンロード販売や使用権の提供の形式で国内の医療機関に提供しようとすることは、承認や製造販売業者の許可等が必要となります。本品ハートフローも使用権の提供に当たるため、こちらも同様に承認が必要となります。次のページの(参考)には、その根拠となる医薬品医療機器法の条文や解釈通知などを記載しています。

 次のページのハートフローについて説明します。本品は冠動脈疾患患者に対し、心臓CTデータから非侵襲的に虚血を評価するプログラム医療機器になります。医師がログインを通じて専用のウェブページから本品にアクセスし、アメリカのハートフロー社に送信された心臓CTデータについて解析を開始します。約2日後に解析結果がウェブページより入手できます。

 今回行われた治験において侵襲的検査によるFFR値と、本品で算出されたFFRCT値に良好な相関関係を認めたことにより、臨床的にも承認に至るエビデンスが存在すると考えています。また侵襲的検査によるFFR値に対する本品の感度・特異度は、他の非侵襲的診断法と比べて高いことが示唆されていますので、適切に使用することによって、新たな侵襲を加えることなく、不要な血行再建を削減するという臨床上の有用性が期待されています。また、本品については欧米だけでなく、既にオーストラリアやカナダでも承認されています。

 続いて、個人情報の保護です。本品を使用するに当たり、心臓CTデータと医療機関で設定した患者ID情報、これは病院患者IDではなく、アメリカのハートフロー社に送るために医師が独自に設定した番号になります。これらがアメリカのハートフロー社に送信され、本品による解析が行われます。

 また、解析が終了した心臓CTデータは、本品の感度・特異度の改善に用いられるため、同社において保管されます。この際、セキュリティ確保のため、データを分割して複数の場所に暗号化して保存するため、万が一、外部者によってハッキングされたとしても、データの復元は極めて困難な状態になっています。また通信プロトコルについては最新のTLS1.2で対応しています。

 続いて、下の※2のところに記載していますが、現在使用されているCT装置で撮像されたCTデータには、氏名、身長、体重等の個人情報が自動的に記載されてしまうことがあり、医療機関からハートフロー社に心臓CTデータを送信する際には、個人情報を削除するよう注意喚起することとしています。

 また※3ですが、本品を使用する医療機関から製造元に転送されたCTデータ等が、FFRCT値の算出又は本品の必要な改良・改善、及び次世代の開発以外の目的に使用されないよう必要な手続き・適切な管理を行うとともに、不法なアクセスを防止するため最新のセキュリティ対策を講じることを承認条件として課す予定にしています。その他、承認条件とは別に、同意の得られなかった患者のCTデータについては解析後速やかに破棄することを指示事項として課す予定にしています。

 続きまして、3.本品の適正使用です。こちらは、日本循環器学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本医学放射線学会を中心に、適正使用指針を作成しましたので、資料2-2で御説明します。最後の4.その他ですけれども、こちらは本品を用いた国際共同治験(ADVANCE試験)が現在行われており、結果が出次第、総合機構に提出するように指示しています。

 先程申し上げました、資料2-2の適正使用指針を御覧ください。まず2ページ目の2.適応についての考え方を御覧ください。1ポツ目の使用目的は、上から4行目の後半になりますが、医学的理由により心臓CTが必要であり、心臓CTの結果のみでは冠動脈造影検査又は冠動脈疾患に対する治療の必要性の判断が困難な場合に用いるものとしています。この使用目的をより具体化し、以下の()から()の全てを満たす患者がハートフローの適用となります。逆に、本品を使用してはいけない患者又は病変を、下の四角で囲っている所に記載しました。

 例えば、ちょっと見ていただきたいのは、※3の2ポツ目です。心臓CT所見によって狭窄率が50%以上の病変であっても、明かな虚血症状を有し、心臓CT上、標的病変が明らかな場合。また3ポツ目ですが、FFRCTの結果に関わらず、他の虚血診断を行う検査を考慮しなければならない患者や、※4の1ポツ目のFFRCTの結果に関わらず、血行再建の対象とならない患者や、2ポツ目の病変に対しては本品を使用しないことと明確化しました。

 また次の3ページの3.使用医師及び実施施設要件です。使用医師要件としては、冠動脈疾患の診断や治療に関する十分な知識・経験を有する循環器医であり、かつ製造販売業者が実施する講習を受講していること。実施施設要件としては、日本循環器学会及び日本心血管インターベンション治療学会及び日本医学放射線学会の研修施設であること。また2ポツ目と3ポツ目には、心臓CTの加算の要件などを記載しています。

 最後に4ページ目の附帯条件としては、1)FFRCT施行症例の全例登録システムを構築し、全例登録することとしています。以上が継続審議の内容になります。

 最後に当日配付資料1を御覧ください。こちらの分厚いものになりますが、こちらの一般的名称というタグをお引きください。こちらは前回御説明した内容になりますが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に、新たに一般的名称を新設する際には、リスク分類に応じて薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、指定することとしています。新設する一般的名称は、循環動態解析プログラムで、1番に記載してあるとおり、管理医療機器として指定し、2番に記載してあるとおり、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えています。また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、また使用成績評価の指定は不要であると考えています。薬事分科会では報告を予定しています。

 以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございます。前回からの持ち越しの課題ですけれども、ただ今の事務局からの説明について御意見、御質問等いかがでしょうか。

○鈴木委員 前回継続審議になったわけですけれども、それ以降、細かい精緻な規定をまとめていただきましたので、大体了解できると思います。

 一つ懸念されるのは、資料2-1の5ページのところです。データを医療機関から海外、アメリカに送るわけですけれども、そのときに個人情報については、医療機関側で削除しなければならないので、これは注意喚起をしっかりしていただいて、漏れる可能性がないようにしていただきたい。それと、アメリカに送られたデータがきちんと破棄されたかどうかを確認できないことですが、これは破棄することを指示事項として課すことなのですけれども、念のために、破棄されたことを確認するという報告を受けることはできないのかどうか、それについて確認したいのですが、いかがでしょうか。

○事務局 ありがとうございます。まず1点目、報告を受けるかどうかというところなのですけれども、それはどのような形で報告ができるかも含めて、現在検討している段階ですので、決まり次第また御返答したいと思います。

○鈴木委員 そこが確認できればよろしいのではないかと思います。

○医療機器審査管理課長 その件に関しては、まずこれはアメリカに送るので、日本の製造販売業者がちゃんと確認しなければいけないと思うのです。医薬品医療機器法上は日本のハートフロー社からの申請になっていますので、日本の製造販売業者がちゃんと確認することが大事になると思います。それをちゃんと確認させることと、破棄したという報告をずっともらうのもどうかというのもあるので、どのような形が一番現実的なのかを企業にも聞いてみたいとおもいます。その上で、どういう形でできるのかを、先生には御報告させていただき、それで終わりにしていただければ有り難いと思います。

○鈴木委員 了解しました。

○荒井部会長 その他、御意見いかがでしょうか。実は、私はここの点について別のことを考えていました。今、鈴木委員から御指摘があった資料2の5ページ目というのは、患者さんが自分のデータが今後の改善・改良に使われることに関して嫌だという場合ですが、実際にはそう多くはないように感じています。勿論、

個人情報保護は重要なのですが、個別に対応するとなると結構煩雑な作業が必要になるはずで、先行して承認している欧米なども本当にこういう条項を付けているのでしょうか。個人情報保護について日本がきちっと厳しく対応するのは良いのですが、逆にこの結果として、改善に使われるデータから日本人のデータが欠落してしまい、体の大きい欧米人に合わせた改良ばかりがどんどん進んでしまい、最終的に日本人にマイナスに働いてしまうことを考え、その辺の質問を投げかけました。まだ結果は出ていないのですね。

○事務局 そうです。

○荒井部会長 ですから反対というわけではないのですが、この部会においても、医療機器が日本人にとっていい形で使われるための情報提供と個人情報保護との両方を見据えながらディスカッションしていかないといけないと感じており、個人的な意見として補足させていただきます。

○医療機器審査管理課長 部会長、ありがとうございます。そういう視点も確かにあろうかと思います。本件については、部会の委員の先生方からも御意見をいただき、こういう対応をするとさせていただきましたけれども、今後また新しいプログラム医療機器もいろいろ出てくると思います。

 先生のような御指摘も当然あろうかと思いますので、私どもも今回ハートフロー社に、もう一度確認して、他の所はどうやっているのかとか、他のプログラム医療機器をやっている所でも同じようなことがあると思いますので、別途に調査もいろいろさせていただき、また御報告させていただいて、一番適切なセキュリティはどうなのかについても御報告して、御意見をいただきたいと思います。

○荒井部会長 是非よろしくお願いします。何せ、今回は私どもも初めてのことですので。

○一色部会長代理 今の話に関連してなのですけれども、皆さんもいろいろなネット上でのソフトウエアの契約のときに、チェックボックスにチェックを入れるように求められると思うのですけれども、あれはチェックを入れたことでそのソフトウエアの契約内容をすべてまとめて了解しましたという意思表示になるかと思います。そういう観点からすると、1項目でもこれに賛同できないというものは、そもそもこのソフトウエア全体が納得できないという解釈で、1個のチェックで済んでいるものが多いと思うのです。

 一つ一つの確認業務をソフトウエア側つまり契約を、受けた側に負担をかけるということだと対応できないと言われる可能性があるようにも感じるのですが、その辺はどうなのでしょうか。

○事務局 ありがとうございます。企業側と病院側がどういう形で契約するかとか、受託契約になるのですけれども、そういうものも我々のほうで確認してチェックしようという段取りをしていますので、また確認させていただきます。

○荒井部会長 ありがとうございます。恐らく、新しい領域ですので、この部会としても今後ラーニングカーブが出てくると思います。種々の情報を入れていただきながら検討を深めていきたいと思います。その他の御意見はいかがでしょうか。

○石井委員 本日の資料2-2と2-3で、適正使用指針()と添付文書()があるのですけれども、資料2-2の2ページ目の四角囲みにある部分で、特に下線部分の辺りが添付文書のほうに反映されていないように思いました。これは今後、合うようにしていくのでしょうか。

○事務局 御質問ありがとうございます。添付文書には、「使用目的又は効果」の下の所に、「使用目的又は効果に関連する使用上の注意」という項目の記載があり、そこに一応、本品は関連学会が定める適正使用指針を遵守して使用することと記載して、添付文書に書ける範囲としては、この内容をできるかぎり反映しているのですけれども。現時点では、ここに遵守することという形で反映しています。

○石井委員 分かりました。例えば、添付文書の「重要な基本的注意」の2.心臓CT上50%以上の狭窄を認める場合に使用することとありますが、適正使用指針の方では50%以上の病変であっても使っていけない場合について書かれています。医師の方であれば容易に分かることなのかもしれないですけれども、添付文書のほうが目に触れる機会が多いように思いますので、御検討いただけたらと思います。

○事務局 ありがとうございます。ごもっともな御指摘だと思います。また修正させていただきたいと思います。

○荒井部会長 今の御指摘の点、よろしくお願いします。その他、御意見がございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、ここで議決を行いたいと思います。医療機器「ハートフローFFRCT」については、本部会として、管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。

 また、使用成績評価の対象に指定しないこととし、特定保守管理医療機器への指定を不要としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。よろしければ、これで議題2を終了します。

 続いて議題3に移ります。医療機器「DARTS 人工手関節」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について審議を始めます。本議題の審議に当たっては、参考人として、千葉市立青葉病院整形外科統括部長の六角智之先生にお越しいただいています。先生よろしくお願いします。

 まず事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料3です。1枚目が諮問書です。本議題では、医療機器「DARTS 人工手関節」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いいたします。審議品目及び審査の概要について、機構の担当者より、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、よろしくお願いいたします。議題3の医療機器「DARTS 人工手関節」について機構より御説明いたします。本審査に当たり、当日配付資料5に記載しております3名の専門協議委員の御意見を頂きました。また事前に配付した審査報告書に修正がありますので、当日配付資料4の新旧対照表にてお示ししております。お詫び申し上げます。

 はじめに、品目の概要を御説明いたします。審査報告書の4ページ、「審議品目の概要」です。本品は、関節リウマチ等を原疾患とし、高度に破壊され、機能不全に陥った手関節と置換することにより、手関節の代替として機能することを使用目的とする全人工手関節です。

 審査報告書4ページの図1にお示ししたとおり、本品はチタン合金製の手根骨ステム及びボーンスクリュー、コバルト-クロム合金製の骨頭、並びに超高分子量ポリエチレン製の橈骨ステムから構成されており、関節面は製品名の由来でもあるDart thrower(投げ矢運動)を誘導するデザインが採用されています。本日サンプル品を用意しておりますので、併せて御覧ください。

 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。審査報告書5ページの「開発の経緯」です。本邦では、現在、臨床使用可能な人工手関節は製造販売されておらず、関節リウマチ等の手関節に対する手術療法としては滑膜切除を基本とし、関節形成術、部分手関節固定術、全手関節固定術等が標準的な術式として選択されております。これらにより、除痛は得られるものの、固定術による可動域消失が患者の日常生活動作に悪影響をもたらしております。

 本品は、正常手関節の運動解析から得られた、より生理的で手関節周囲軟部組織に加わるストレスが少ないDart throw motion(投げ矢)面での伸展・屈曲運動を可能とするデザインの人工手関節として、北海道大学の三浪教授を主任研究者として、平成16年から平成18年度の厚生労働科学研究費補助金/免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業「関節リウマチ上肢人工関節開発に関する研究」の研究成果として開発されました。北海道大学及び関連病院の2施設において医師主導治験が施行され、その治験成績は本品の承認申請資料として添付されております。

 次に、非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書6~9ページに記載しております。本品の機械的安全性及び性能に関する資料から、機械的強度や摺動部材の摩耗特性、可動性能等を確認しました。提出された資料には特段問題は認められませんでしたが、機械的安全性に関して実使用条件を想定した組合せ疲労強度試験が不足していたため、審査中に当該試験の追加実施を指示し、申請者により治験開始前に2番目のサイズで実施されておりましたところの□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を想定した試験が実施されました。提出された試験成績に基づき審査した結果、治験後に追加された最小サイズも含め、本品の機械的安全性に特段の問題はないと判断しました。

 次に、臨床試験成績について御説明します。概略は審査報告書10ページ、下段以降に記載しております。本品の臨床試験に関する資料として、国内医師主導治験の臨床試験の成績が提出されました。本治験は、関節リウマチを原疾患とする手関節機能不全で、全手関節固定術が適応となる患者20症例を対象として実施されました。

 有効性主要評価項目は、手関節機能の評価スコアであるWrist Scoring System by Figgieと設定され、本品を埋植後18か月時点において、臨床的に有効性ありと判断された症例は20症例中17(85)であり、手関節固定術を施行された場合と比較して、本品の埋植によりスコアが有意に改善していることが示されました。

 副次評価項目は、患者立脚型のTHE DASH Score90%、疼痛Visual Analogue Scale100%が有効と判断されました。また可動域はそれぞれの平均が術前より拡大しており、握力では79%が術前よりも上昇しておりました。

 安全性評価につきましては審査報告書17ページです。有害事象は20症例中全例で発現しましたが、その多くは手術に伴う事象や原疾患の悪化に伴う事象等であり、本品と因果関係が否定できないとされた有害事象は1例、2件認められ、「手関節背側部の腫脹・熱感」及び「第3中手骨の骨透亮像の出現」で、その程度で、いずれも軽度かつ非重篤でした。重篤な有害事象については本品との因果関係が否定できないとされたものはありませんでした。

 X線評価においては、本品を埋植後18か月時点で1例、治験終了後3年6月に1例、ボーンスクリューの折損が認められましたが、いずれも疼痛や安定性の低下等、折損による自覚症状、関節機能の低下は認められず、追加処置は不要と判断されております。また4例に緩みが報告されたものの、再置換術に至るなどの症状が悪化した症例はなく、現在も経過観察されております。

 次に、本品の審査における主な論点について御説明いたします。審査報告書25ページ下段以降です。まず一つ目の論点は、機械的強度及びサイズ追加についてです。先ほど非臨床試験成績において述べたとおり機械的強度には問題がないことが示されました。また申請者により、手関節に過剰な負荷をかけないよう患者に対し術後指導を十分行うよう、添付文書上で注意喚起がなされたことから、本品の臨床使用上の安全性は担保できると判断しました。

 二つ目の論点は、本品の使用目的又は効果についてです。本品の適用は臨床試験の内容や専門協議の結果を踏まえ、関節リウマチ等を原疾患とし、高度に破壊され、機能不全に陥った手関節で、人工手関節以外の手術では著しい可動域の低下や不安定性の出現が想定される活動性の低い高齢者とすることが適当であり、また本品を強固に固定することが可能な骨量が温存されていること、関節機能の回復が見込めるように腱や筋肉の再建が可能な症例とすることが適当と判断しました。

 ついては本品の使用目的又は効果を審査報告書27ページにお示ししたとおりとし、より詳細な関節リウマチの疾患グレードや若年者等の活動性の高い患者への使用や骨量等に関しては添付文書上において注意喚起を図ることが適当と判断しました。

 三つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。国内医師主導治験による有効性評価の結果、全固定術に対し、本品による埋植により手関節機能が改善することが示された一方で、可動域のスコアが満たせずに有効性なしと判断された症例が3例(15)ありました。これらの症例は、本品埋植前より可動域が大きくなく、本品を埋入しても可動域に劇的な改善が認められなかったことが要因と考えられます。一方で、関節の安定性や疼痛緩和、一定の可動域が得られていることなどを考慮すると、本品を当該症例に埋植する臨床的意義はあったと判断しました。

 また本品の安全性についても前述のとおり再置換術に至った症例はなく、申請者により、患者選択や手技について添付文書上で適切に注意喚起もなされており、現時点で取り得る対策は講じられていることから、安全性上に特段の問題はないと判断しました。ただし、ボーンスクリューの折損等が認められたことも踏まえ、今後も耐久性の向上等、本品の改良の可能性について、原疾患の病態や製造販売後の不具合情報等も踏まえて検討していくことが必要と考え、当日配付資料の新旧対照表に記載させていただいたとおり、指示事項を付与することが適当と判断しました。

 四つ目の論点は、使用成績調査についてです。使用成績調査実施計画書()は審査報告書の24ページにお示ししています。また事前配付資料のタブの丸8に、案が提示されております。本品は国内開発品であるため、海外における使用経験もなく、治験の症例数も20症例と限られております。また本邦では、類似の全人工手関節も実質的に使用されておらず、全人工手関節そのものの成績も十分に蓄積されているとは言えません。そのため製造販売後も本品の有効性及び安全性を引き続き確認し、使用方法等の最適化を図る必要があると考え、使用成績調査が必要と判断しました。本品使用成績調査では全関節固定術の適応となる患者の年間症例数や治験時の不具合、有害事象の発現状況等を考慮すると、50症例、症例追跡期間は2年間、また販売準備期間6か月、症例登録期間2年、解析期間を6か月とした上で使用成績調査期間を計5年とすることで妥当と判断しました。

 最後に五つ目の論点は、製造販売後安全対策についてです。本邦においては、前述のとおり全人工手関節が実質上使用されていないことを踏まえ、手関節機能不全の治療に対する十分な知識・経験を有する医師により本品を用いた手関節置換術に関する十分な知識を得た上で本品が使用されるよう講習の受講を義務付けるとともに、関連学会により策定された適正使用指針に基づき、実施及び実施施設の基準を遵守させる必要があると判断し、審査報告書27ページに示す承認条件を付与した上で、承認することが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また本品は使用成績評価の対象に指定することが妥当と判断しております。さらに記載の指示事項を付与することが適切と判断しております。また本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお薬事分科会では報告を予定しております。

 また最後になりますが、事前に川上委員より5年経過例のデータの存在について御質問を頂戴しておりましたので、御紹介と回答をさせていただきたいと思います。5年経過例のデータについては、医師主導治験終了後も患者さんのフォローアップが定期的に行われておりまして、照会回答として北大よりそのデータを取りまとめたものを提供いただきました。治験総括報告書に含まれない資料のため、審査報告書及び添付資料に正式にその詳細を反映することができず、混乱させてしまいましたことをお詫び申し上げます。機構からの報告は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それではまず始めに参考人の六角智之先生より御発言をいただきたいと思います。先生、よろしくお願いいたします。

○六角参考人 青葉病院の六角です。よろしくお願いいたします。今、御報告があったように、手関節の機能が全壊した場合、特に関節リウマチの患者さんですが、今までは完全に破壊された関節の場合は固定術、完全に動かない状態に固定してしまう手術しか方法がなかったということで、特に両手関節が罹患された場合は両方を固定してしまうと非常に日常生活が不便になってしまうと。ただ痛みだとか不安定性で指が使えなくなってしまうことのほうが患者さんにとってはるかに不利益であったので、やむなく固定術をしていたという現状があります。実際に海外では、今お示ししましたように、人工手関節の開発は2030年ぐらい前から進んでいるのですが、残念なことに長期経過は余り芳しいものではないという現実があります。こちらの新たに開発された手関節は、ここ近年明らかになってきた手関節のバイオメカのデータが十分に生かされた形で、より長期の成績が期待できる機種として開発された経緯があると私は受け取りました。今お話したような両方の手関節の機能が全壊してしまうような患者さんに対して、長期の成績は出ておりませんが、活動度が高い年齢の患者さんにとっては非常に恩恵になる治療になるのではないかということで、私ども臨床の場ではこういった機種が今まで全く使えなかった状況が変わるのであれば、できれば1日でも早くこういったものを患者さんに使用させていただきたいと、私自身は思っております。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の方々から御意見、御質問等いかがでしょうか。

○荒川委員 先ほど長期成績のお話が出たと思います。可動域が広がったことで余計にスクリューへの負担などが上がって緩みが発生しやすくなることはないですか。また、炎症そのものがなくなるわけではないので、実際、ここの使用成績でもX線評価による緩みが4例発現したとありますけれども、18か月の間に4例ということは、更に見ていけば相当緩みがあって、結局どのくらい持つのかという問題とかあるような気もするのですが、その辺の評価はどのようになっているのですか。

○医薬品医療機器総合機構 緩みに関して、まず御回答いたします。18か月までの間に認められた4例以外、その後の経過を追っておりますが、増えたという報告は頂いておりません。海外の類似製品等の成績も見ていると、手関節に関しては大体1年ぐらいの間に緩みが生じてくる例が多いというように思います。従いまして、今回のDARTSの結果に関しても、今後の使用成績調査で更に追跡していく必要はあるとは考えておりますが、海外とも同等の成績を得ておりまして、特に、この点において非常に大きな問題点があるということではないと認識しております。

○荒井部会長 よろしいですか。

○齋藤委員 今、関節リウマチの治療というのは生物学製剤が登場して、結構、手の手術が増えているわけです。リウマチの患者さんの活動性もどんどん高くなっていまして、そういった意味で今まで固定術を中心としてやられていた手の手術が、やはり動きを必要とする患者さんが増えてくるのではないかなと思います。そういった意味では、こういった人工関節の登場は恐らく患者さんにとっては大きな福音になるのではないかなと思います。

 そういったことで恐らく30年前の人工手関節の状況と、今の患者さんの状況とは結構違っていると思いますので、そういった意味では、こういった人工関節のニーズは高まるのかなと思います。これを見ていると、可動域が掌背屈で10度程度ということで、理論的には何度ぐらいまで許容する人工関節なのでしょうか。結構、関節面が深くて、割と拘束性があるような印象があるので機能的な面で、理論的にはどのくらいなのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 事前にお配りしております資料3の丸5です。もし委員の皆さまにレクに行ったときの資料をお持ちでしたら、そちらも併せて御覧いただければと思います。丸5の45ページです。可動域評価の結果としては、大体、□□□□□、□□□□□ぐらいという□□□での評価にはなっております。

○齋藤委員 しかし実際では、やはりかなり制限が出てしまうタイプということなのですね。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○齋藤委員 あと、もう一つ適応で、関節リウマチ等と書いてありますが、これは将来的には例えば手の変形性関節症、外傷による手関節のかなり重度の障害に対しても適応の拡大、そういったものをターゲットにも考えて「等」という文字を入れているという理解でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現時点においては、関節リウマチ等の類縁疾患ということで手外科学会とも御相談させていただいて、全身性のエリテマトーデス、混合性結合組織病を想定はしているのですが、市販後使用成績調査等で結果も見ながらもう少し広げていける可能性もないとは限らないので、そこについてはこれから議論していきたいと考えております。

○荒井部会長 今の点につきまして、六角先生、何か御発言ございますでしょうか。

○六角参考人 拘束性については、やはり関節リウマチの患者さんで特に、今回治験をやった患者さんは、Larsen分類のgradeI V / で、かなり破壊が進んでしまった患者さんなので、軟部条件は決して良いわけではないです。軟部組織での拘束が余り期待できない患者さんなので、もともとの開発コンセプトが、ある程度semi- constrainというか、ある程度の制約をかけて安定性を図りつつ動きを温存する形なので、これぐらいの可動域を始めから想定するしかなかったのかなと思います。それから、ほかの変性疾患に対する適用ですが、やはりリウマチの患者さんですと当然、ほかの関節にもかなり障害を持っている方が多いので、変形性関節症の方と比べると活動度がやはり1ランク、数ランク落ちている形になるので、手に関する負担もそれほど大きくないので、こういった人工手関節はある程度の期間は持つのではないかなと思います。逆に変形性関節症の患者さんはアクティビティが非常に高いので、もしかするとこういう機種だと少し限界があるのかなということで、まずはやはり関節リウマチの患者さんで使用してみて、それで耐用性などで、どの程度かを見て、更にそれが拡大適用できるのかどうかを慎重に見ていく必要があるのかなということで、今回はリウマチにメインの適応を限ったほうが良いのかなと判断したようです。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかにはいかがでしょう。

○千葉委員 この話は大変に有望なものであろうと私も思っております。医師のトレーニングについては23ページの項目にございますが、これは手術を受けた患者さんにどのようにフォローしていくか。つまり有害事象の中には、過度の力が加わってボルトが折れたり、折損したものというのが実際にあるので、患者さんに対して、ある安定期までどのように指導とか、経過を見ていくのか。どのようにアドバイスをしていくのかということです。そういった観点も学会との間である程度しっかりと決まっていたほうが良いのではないかなという気はしますが、この点はいかがでしょうか。

○六角参考人 恐らくこの関節に限らず、下肢で今もう多く行われている一般の人工関節でも整形外科はほとんど長期フォローアップというのはされていると思うのです。最低でも年に2回、1回など長期にやっている。やはりこの機種は新しいものですから、半年に一遍、1年に一遍はある意味、壊れるまでと言ったら失礼ですが、ずっとフォローしていく必要があると思います。その辺はやはりこれを、ある程度使用限定する中で、そういった指導、基準を作る必要は確かに私もあると思っております。

○千葉委員 つまり術後のフォローのガイドライン的なものを、これから考えられていくであろうということですね。

○六角参考人 そうですね。必要性はあると思います。

○千葉委員 そういうことですね。はい、分かりました。

○中島委員 今の千葉先生と少し重なるのですが、海外ではもう既に30年前からこういう道具は使われていたと。それで結構壊れていたというお話をお伺いしたのですが、壊れてしまった場合、その後のサルベージということで、方法というのは、ある程度決まったものがあるのでしょうか。もしこういうことを治療する場合においては、こうなった場合にはこうなる可能性があるというようなことは、ICの段階で必要なのかなと思ったので質問させていただきました。

○六角参考人 ありがとうございます。海外では再置換の報告があります。再置換用のインプラントもあります。ただ国内ではもちろんこれしか使えませんので、これが万が一破綻した場合には、それをサルベージする方法としては、もう手関節固定術しかないと思うのです。ですから御指摘がありましたように、もし破綻してしまって人工手関節が機能しなくなってしまった場合は、二期的に今までと同じ方法ですね。手関節の固定術をするしか方法がありませんよという説明は当然、始めからする必要があると思います。

○医薬品医療機器総合機構 すみません、補足させていただきます。添付文書、お配りしている資料3の丸4の別紙の最後のほうになりますが、別紙5-1に添付文書()を入れております。こちらの1ページ目の2列目、右側の列の所に「使用目的又は効果に関連する使用上の注意」の所に、患者さんへのICを必ず取るということを明記させていただいております。また医師に関しては、本品を患者さんに使用する場合に、術後の指導を十分に行うよう【警告】の欄(左側の一番上の赤枠の部分)に入れさせていただいております。またその詳しい内容等に関しては2ページ目の「使用上の注意」等、各所に入れさせていただいている状況になります。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○村上委員 今回の人工手関節を臨床に使われるということで、痛みが取れるということと、かなりの可動域が実現できるということで、非常に期待されると思うのです。やはり長期的に使えるというところが大事だと思うのです。それで今回、疲労強度試験、一応最初のデータに加えて□□□□ですか、体を持ち上げるとか、そういうときを想定して追加されて、それで条件をクリアーしているということで評価されたところは非常によかったと思います。それに関して、資料の49ページの「総括」の所です。いわゆる摩耗特性の評価ということで加えられているのです。今回は、疲労試験の結果から摩耗特性もクリアーしているのではないかというような、ちょっとそのように考察されているところが気になったのです。今回の疲労試験は背屈の状態ですが、いわゆる繰り返し荷重だけです。ですから、いわゆる摩耗試験ではなくて押込み試験なのです。摩耗が起こるというのは、摩擦が起こる、滑りが起こることで摩耗が起こるわけです。ですから、この実験だと摩耗の起こりようが不明で、わずかに摩耗が起こる場合もあるのですが、余り量的には起こらないわけです。ですから、簡単な試験で結構だと思うのですが、やはりちょっとでも摩擦した場合、立ち上がり動作などでも摩擦挙動が出てきますので、何かそこを押さえていただきたいという、そういうところが気になりました。材料としては、超高分子量ポリエチレンとコバルトクロムモリブデン合金の組合せだったと思います。ほかの人工関節で非常に実績がある材料ですので、ほかの高分子に比べると摩耗は少ないと思いますが、ただ、そういう形態とか作動条件が変わると摩耗強度は変わるので、そこは追加ができるなら、やはり実際に評価していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○荒井部会長 今の村上委員からの御指摘は、資料3の丸5のタグの49ページのことでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 50ページです。

○荒井部会長 50ページですか。御免なさい、そうですね。

○医薬品医療機器総合機構 50ページの組合せ疲労強度試験については、これは追加で実施された試験ではありません。水平方向からの負荷をかけた場合の試験系での評価となっています。今回、実使用条件での評価のほうは追加してもらったのですが、摩耗についてはちょっとそこは要求していなかったこともありまして、実は評価データは持ち合わせていません。今後こちらについては、例えば改良した場合に同じような試験をやっていく場合には、追加も一緒に検討するように申請者のほうとも話をしていきたいと思っています。

○村上委員 今回の臨床評価では、4例の緩みが認められていますが、その原因が摩耗粉という可能性もあるわけです。今回の手関節の場合は、荷重が低いということで、ほかの下肢関節ほどは厳しくないと思うのですが。例えば、人工肩関節でも高荷重の作用する人工股関節よりも多く摩耗が発生することもありますし、荷重が軽いからといって楽だと判断すると、予想しない現象が起こったりすることがあるわけです。ですから、その辺をやはり十分に押さえていただいたほうがいいかと思います。今回は、表面粗さについて適切な限度以内に収めるということで、過剰な摩耗の発生はある程度抑えられると思うのです。ただし、実際の摩耗というのは非常に複雑な現象ですので、やはり実際に近い状態で確認していただきたいです。長期的な耐久性を確保するためには、そういうことが必要だと思いますので、よろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございました。かなり専門的な領域ですが、今後は、とても大事なところだと思いますので、対応をお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 今回、非常にいわゆるニッチな人工手関節というところで、医師主導治験をもって何とか開発にこぎ着けました。また、ほかの委員の先生からも、そもそもこれは壊れるではないか、これでいいのかという御指摘も頂いたところです。そういうことも踏まえて、先ほど御紹介した添付文書においても、そもそも荷重を、負荷を掛けるような患者さんに関しては、この機械が壊れてしまう、またいろいろな不具合が起こるということで、添付文書、資料3のタグの丸4です。その添付文書()の2ページ目の左側の「重要な基本的注意」の所に、発展途上と言うと語弊があるかもしれませんが、基本的注意として、○の下の三つ目のポツです。機器が破損する可能性があるため、手関節で体を支える等の過度の負荷や可動を与えないよう、患者に指導することとか、四つ目のポツに、本品はコンポーネントの固定に際して十分なボーンストック、これは骨量がないとグラグラしますので、そういうところに注意して使用すること。また、五つ目のポツで、手根骨ステムを固定する際には適切な長さのスクリューを選択すること。折損がありますので、そういったところも踏まえて、関節を跨ぎますと荷重が掛かって、そこが折れる可能性が高くなることがありますので、そういう一連の注意事項を警告欄と共にさせていただいて、使用成績調査を50例行う。その上で、恐縮ですが、今回新たに差し換え版の新旧対象表のほうで、当日配付資料4の1枚紙で御示ししたとおりです。横書きの当日配付資料4で、資料がバラバラで大変恐縮ですが、こちらの新旧対象表の最後の部分です。「新」のところに「指示事項」として、関節リウマチ等の原疾患の病態及び製造販売後の不具合情報等も踏まえて、本品の折損の原因分析を行い、製品の強度を上げる等の改善や改良について検討することという形で、更なる改善・改良を製造販売業者に指示する予定としています。そういう中で、今、村上先生からいただいた摩耗に関する御指摘についても製造販売業者に伝えて、次世代の人工手関節の改良の際にはこういうことを。一番いいのは、患者さんに、こんなにたくさん重いものを持つなとか、手を突いて立つなとか、そういうことを言わなくてもよい製品がベストですが、今の現時点での科学的水準ではここまでということですが、それを超えるものを開発しろという中で、摩耗についても、今のような御指摘があったことを踏まえて検討するようにきちんと伝えたいと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見よろしいですか。

○武谷委員 先ほども話題になったインフォームド・コンセントの件で、丸4の添付文書の1/2ページの「使用目的又は効果に関連する使用上の注意」という、先ほども御説明いただいた所の最後の表現の問題ですが、人工関節は負荷、作業及びスポーツがもたらす極めて過度のストレスに耐えられないということです。負荷というのが、過度のストレスに関わるのか。そうすると、負荷とストレスというのを分けて使っているわけですね。それで、作業及びスポーツとは分けて、負荷ということを表現しているかと思うのです。その負荷というのが、どこに掛かるのか、やはり極めて高度なストレスのような負荷なのか、それが分かりにくいということと、これはファーストジェネレーションか、まだdevelopingがあれなので、これから改良を加えなければいけないので、それほどconcretiveなことは言えないと思うのですが、あえて、その「極めて過度なストレス」という最高級の形容詞を使うということが必要なのでしょうか。極めて過度でなければ耐えられるという誤解を招くので、その辺の表現をもう少しリファインできないのかということがコメントです。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書に関しては、こちらはまだ案の段階ですので、この後、御指摘いただいた点も踏まえて改善を図りたく、修正していきたいと思います。

○荒井部会長 そのほか、よろしいでしょうか。それでは、ほかに御意見がないようですので議決に入りたいと思います。医療機器「DARTS 人工手関節」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に、期間を5年として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果につきましては、次の薬事分科会において報告させていただきます。それではこれで議題3を終了いたします。六角先生、どうもありがとうございました。

                                  ( 参考人退室)

 よろしければ、引き続いて議題4の医療機器「Absorb GT1生体吸収性スキャフォールドシステム」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についての審議を始めさせていただきます。申し訳ありませんが、一色委員におかれましては、議題4の審議の間、別室でお待ちいただきたいと思います。よろしくお願いします。

                                 ( 一色委員退室)

○荒井部会長 また、本議題の審議に当たりましては、参考人として、国立大学法人佐賀大学医学部循環器内科准教授の挽地裕先生に御出席いただいています。先生よろしくお願いします。それではまず、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題4について、事務局から御説明します。まず資料4を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Absorb GT1生体吸収性スキャフォールドシステム」の製造販売承認の可否、高度医療管理機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いします。

 まずは「一般的名称の新設について」というタグをお引きください。先ほども御説明しましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっています。今回、新設を予定する一般的名称は、「吸収性冠動脈ステント」で、冠血管の内側に留まる吸収性の支持構造で、その開存性を維持するために用いるステント等になります。

 1に記載してあるとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、高度管理医療機器に指定し、2に記載してあるとおり、保守点検、修理、その他の管理を必要とするものではないと考えられるため、特定保守管理医療機器としては指定しないことが適切と考えています。

 承認の可否等について、審議品目及び審査の概要は、機構の担当者の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いします。議題4「Absorb GT1生体吸収性スキャフォールドシステム」について、機構より御説明します。まず、当日配付資料8「専門協議委員一覧」を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする4名の専門協議委員の御意見を頂きました。また、事前に配付しました審査報告書に修正があります。前後して恐縮ですが、当日配付資料の6の新旧対照表にてお示しします。おわび申し上げます。

 はじめに、本品の概要について御説明します。資料4の緑のタグの審査報告書の5ページの2.審議品目の概要を御覧ください。本品は、冠動脈狭窄病変の治療に用いる医療機器になります。図1にお示ししますように、本品は、ポリ--乳酸製の吸収性ステントであるスキャフォールドとデリバリーシステムから構成されています。スキャフォールドは、血行再建に必要な期間のみ血管内腔を物理的に保持した後は分解・吸収されます。また、スキャフォールドの表面には、留置後の新生内膜の増殖を抑制する目的で、細胞増殖抑制作用を有する薬剤であるエベロリムスがコーティングされています。

 続いて、開発の経緯について御説明します。報告書6ページ下段の()開発の経緯を御覧ください。冠動脈狭窄病変の治療法として、薬物治療、外科的な開心術によるバイパス手術、そして本品などが用いられる冠動脈を拡張するカテーテル治療が行われています。カテーテル治療においては、主に金属ステントや、再狭窄発生防止のために薬剤を塗布した薬剤溶出型の金属ステントが用いられており、金属性ステントは体内に永久的に留置されます。そこで、一定期間のみ血管内腔を支えた後、体内で分解・吸収され血管内に残存しない本品が開発されました。報告書8ページ上段の図2は、本品の前世代品を留置した人の冠動脈内の画像になります。左から右に向かって留置後の経時的変化になります。左の写真の赤矢印で示した留置直後の本品が、5年後には残存していないことが確認されています。また、同じく8ページの表2に、初代開発モデルから本品までの改良の経緯についてお示ししました。本申請に提出された国内臨床試験及び米国臨床試験は、前世代品のAVJ-301を用いて評価していますが、本品との差分は、デリバリーシステムの改良のみでスキャフォールドの部分は本品と同一となっています。以後、本品を含む一連の製品を、Bioresorbable Vascular Scaffold(BVS)と呼ばせていただきます。

 続いて、報告書9ページ、諸外国における使用状況について御説明します。冠動脈病変を有する虚血性心疾患患者の治療を適応として、米国では、本品について2016年7月にPMAを取得し、欧州においては、前世代品であるAVJ-301は、2012年8月、本品は2015年4月に、CEマークを取得しています。また、本品とAVJ-301を合わせると、2016年8月時点で約万本の販売実績があります。

 本品の審査において、非臨床試験については特段大きな問題点は認められませんでしたので、臨床試験について御説明します。報告書30ページ表11を御覧ください。まず、別添資料について、国内試験であるAVJ-301治験、米国のABSORB III臨床試験及びABSORB III薬物動態試験の成績が提出されました。また、参考資料として、開発初期から現状で実施中の他の一連の臨床試験が提出されました。

 まず国内臨床試験についてです。報告書31ページから御覧ください。虚血性心疾患患者を対象に、AVJ-301の有効性及び安全性を既承認品である薬剤溶出型金属ステントのXIENCEステントと比較することを目的として、前向き、無作為化、多施設共同の試験が行われました。被験者数は合計400例が登録され、BVS群が266例、XIENCE群が134例になります。主要評価項目は、12か月時の標的病変不全TLFが設定されました。TLFとは、心臓死、標的血管筋の心筋梗塞、虚血性標的病変血行再建の3項目の複合評価項目になります。試験結果については、報告書38ページの表15の主解析を御覧ください。主要評価項目の12か月時のTLF発生率は、BVS群で4.2%、XIENCE群で3.8%であり、BVS群のXIENCE群に対する非劣性が検証されました。また、報告書39ページ下段の表17を御覧ください。ステント治療において、心筋梗塞や血行再建などのリスクとなる血栓症の12か月時までの発生率は、BVS群で1.5%、XIENCE群で1.5%という結果が出ています。

 続いて、米国試験について御報告します。報告書44ページ下段の()ABSORB III臨床試験を御覧ください。米国試験は国内試験と同様の試験デザインであり、被験者数は合計2,008例が登録され、BVS群1,322例、XIENCE686例になります。主要評価項目も国内試験と同様に、12か月時のTLFとなっています。

 試験結果については、45ページ下段の表24を御覧ください。12か月時のTLF発生率は、BVS群で7.8%、XIENCE群で6.1%であり、非劣性が検証されました。また、報告書47ページ上段の表27を御覧ください。12か月時までのステント血栓症の発生率については、BVS群で1.54%、XIENCE群で0.74%でした。

 続いて、審査における主な論点について御説明します。報告書53ページを御覧ください。一つ目の論点については、本品の有効性及び安全性についてです。手技後12か月時までの有効性及び安全性について、国内試験、米国試験の両試験ともに、主要評価項目でXIENCEステントに対して非劣性が検証されており、本品の有効性及び安全性は示されていると考えています。一方で、先ほど申し上げた米国試験においては、XIENCE群に対してBVS群で、ステント血栓症の発生率で有意差はないものの、高い経過を示していたことから、その点について評価を行いました。

 報告書54ページの表36を御覧ください。米国試験について、対照血管径の下限値を基に、小血管である2.25mm径未満と、2.25mm径以上の血管径に分けて評価したところ、2.25mm未満の小血管において血栓症の発生率がBVS群で4.6%、XIENCE群で1.5%と、BVS群で高い傾向が認められました。一方、国内試験の同様の解析では、ステント血栓症例が4例のみということもあり、明確な傾向は示されていませんでした。しかしながら、報告書の56ページの表39を御覧ください。この表に示しました4例の詳細な情報を見ますと、4例中3例で2.5mm径のBVSを留置していて、手技後の最小血管径であるMLD、真ん中の所になりますが、MLDが小さい数値を示していました。従来の金属ステント治療においても、小血管は血栓症の予測因子であり、また、金属ステントに比較して本品のストラットが厚いことが分かっており、小血管では十分な内腔が得られにくいことが想定されました。したがいまして、手技後12か月時までに生じ得る血栓症のリスクの低減化策としては、小血管への留置を防止するための適切な標的病変の選択と、留置後の血管内腔の確保をするための後拡張の実施が重要であり、報告書の59ページの上段の丸1丸2に示しますとおり、使用方法の規定と注意喚起を行うことが妥当と判断しました。

 また、本品は経時的に分解・吸収されるという特徴があるため、留置後12か月以降の有効性及び安全性についても確認をしました。報告書62ページ表43を御覧ください。2016年7月時点における各臨床試験の長期成績を示しました。ここで、BVS群のTLF発生率の1年から2年までの年間増加率が約2~3%であり、XIENCE群に対して高い傾向を示していました。しかしながら、国内試験であるAVJ-301試験では、本邦初のBVSの無作為化臨床試験であったこと、また、XIENCEステントにおいても最初の大規模試験においては、1年から2年のTLFの年間増加率は2%であり、類似の数字を示していたこと、また、AVJ-301試験の1年以降に増加したTLFの約半分は、1年以降に発生した超遅発性ステント血栓症(Very Late Stent Thrombosis:以下「VLST」という)由来のTLFであったことが分かっており、VLSTの発生を低減化できるのであれば、1年以降のTLF発生率も低減化できると判断しました。

 続いて、報告書67ページの表46を御覧ください。国内試験のBVS群において、術後1年以降に発生した5例のVLSTの詳細な情報を記載しています。各症例について評価したところ、その発生原因として、ストラットの不完全密着、拡張不足及びストラットの不完全被覆が観察されました。したがいまして、VLSTのリスク対策としても、12か月までに発生した血栓症に対する対策と同様に、適切な標的血管径の選択及び適切な後拡張の実施が重要と判断しました。

 なお、1枚紙で当日配付資料7としてお配りした資料を御覧ください。こちらに、国内試験であるAVJ-301治験の血栓症の発生率を、画像診断実施と未実施、後拡張の実施と未実施に分けて、血栓症の発生率を示しました。こちらの結果を見ますと、画像診断と後拡張の両方を実施した一番左側の列の一番下を見ますと、VLSTが発生していない、ゼロ%ということが確認されています。

 続いて、論点2に移ります。二つ目の論点としては、製造販売後の安全対策について御説明します。報告書の78ページの10行目の後半で、右端の所の「申請者は、これに対し丸1術者に対し」という文章を御覧ください。申請者は安全対策として、ここに記載する丸1~丸3の3点について説明しています。総合機構として、丸1からは、本品の安全性を担保するために必要となる後拡張などを含めた適正な手技を関連学会との協力の下、徹底する内容となっており、また丸2丸3からは、国内に初めて導入される吸収性ステントの使用成績に基づき設定された安全対策の充足性を適宜再検討できる体制となっていることから、申請者が提案された安全対策を受入れ可能と判断しています。

 次に、使用成績調査について御説明します。報告書の82ページ表52を御覧ください。本品は、使用成績評価の対象に指定し、症例数2,000例、重点評価項目は血栓症と手技の適切性、調査期間は販売準備期間3か月、登録期間1年3か月、追跡期間5年、解析期間6か月として、計7年とすることが妥当と判断しました。

 最後に、総合評価について御説明します。報告書84ページから御覧ください。本品が最終的に分解・吸収し消失することに伴う臨床上のメリットは、臨床試験の長期フォローアップ中であることから、現時点ではエビデンスとして明確に示されていません。しかしながら、機器の永久的な体内留置を望まない患者さんや、標的病変部位に対する将来的な追加治療のリスクが高い患者さんなどに対しては、最終的に消失する本品は有用と考えられます。また、デバイス機器のリスクを解消する可能性や頻度は低いものの、金属アレルギー患者に対する治療の選択肢の一つとなる可能性があることから、適切な体制下でリスクコントロールが徹底されるのであれば、本品を治療の選択肢の一つとして医療現場へ提供することは臨床的意義があると判断しました。

 また、血栓症対策については、関連学会の協力の下、トレーニングや血栓症に関する情報提供を含めた本品の適正使用を徹底することが重要であると判断し、適正使用に関する承認条件1と、血栓症の把握に関する承認条件3を付すことが妥当であるとしました。また、リスク低減化の適切性に関しては、使用成績調査により確認するとともに、臨床試験の経年報告と合わせて、その原因分析と対策を行うことが重要であると考え、使用成績調査に関する承認条件2と、提出された臨床試験の経年報告に関する承認条件4を付すことが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえまして、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器体外診断薬部会において御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。なお、薬事分科会では報告を予定しています。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございました。それでは初めに、参考人の挽地先生から何か追加の御説明はありますでしょうか。

○挽地参考人 今、詳細に御報告いただきましたので、重なる部分が多いかもしれません。BVSの利点は、第1に数年後には留置部血管が留置以前の状況に戻るということであり、現在のメタルステントと違い、治療部位に金属ステントが永久には残らないということになり、冠動脈の生理的機能が治療前までの回復が期待されます。第2に、再治療の選択肢を拡大することができる点です。第3に、将来に冠動脈バイパス治療が必要な患者さんに対してです。現在のステントは長く留置しますとバイパス可能部位を塞いでしまいますがBVSでは数年後に留置部位から消失するためバイパス手術の吻合部としての選択が可能になります。これらの特徴は特に比較的若い方、今後の生存の期間が長い方に対する期待が大きいのではないかと考えます。

 一方で、BVSの懸念される点としては、先ほどお話がありました中長期的なステント血栓症が上げられますが、資料4の631ページにあるように、XIENCEの1年以内の成績が、他の現存する薬剤溶出ステント、あるいはベアメタルステントと比較して極めて良好であり、BVSの血栓症が決して多いものではないということがわかり、安全性が劣るものではないと考えられます。さらにBVS留置後の成績を改善させる方法として、適切な血管内診断法を用いて、更に後拡張を追加することにより、血栓症の発生率を有意に低減できることも分かっております。適切な留置方法については、日本では特にベンチテストを用いた検証が行われており、適切な留置方法を提案することで、安定した治療効果が得られるものと期待します。

 また、留置する場所の選択も必要で、非常に屈曲が強い部位、高度石灰化病変など完全にBVSが圧着できないと推察される病変を除外することが必要かと思います。以上のように留置部位、あるいは患者さんの選択、そして適正な留置方法の徹底を行うことで、このBVSの効果を十分発揮できるということを期待しております。以上です。

○荒井部会長 委員の方々から御質問、御意見等、いかがでしょうか。

○荒川委員 これは臨床評価されているのがBVSで、本品は本質的にどこが違うのかがちょっとよく分からなかったのです。エベロリムスの効果に関しての評価はあるのですか。例えばエベロリムスがどのぐらい有効であったかとか、そういう評価ですが。

○医薬品医療機器総合機構 まず、本品と臨床試験で使ったAVJ-301との差分についてなのですが、デリバリーシステムについて差分があり、実際に留置するスキャフォールドとその表面に塗っているエベロリムスに関しては、同一のものになっております。エベロリムスの評価に関しては、XIENCEステントが最初、承認されたときに、金属ステントに対してエベロリムスの効果を検証されておりますので、実際に検証されたエベロリムスのDESと、それと同等であるということを今回の臨床試験では検証したということになります。

○荒川委員 もともと生体分解性なので、分解してしまえば、そういったものも要らなくなる可能性もあるという中で評価されたのだろうと思うのですが、初期はエベロリムスが必要だと思うのですが、どのレベル付加されていることが必要だとか、どのぐらいの期間、放出されることが必要だとか、そういった細かな検討はどこかの段階でされているという理解でよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 もともと薬剤溶出性ステントの臨床的位置付けというのはかなり確立されており、先生からまた補足いただきたいのですが、塗布された薬剤に対する効果というのは、XIENCEステントでも既に確立されていると理解しております。挽地先生、いかがでしょうか。

○挽地参考人 世界で薬剤溶出ステントの使用が開始されたのは2002年です。630ページにあるSESとEESのTLFの比較がありますが、2002年のCypherステントと比較しても、エベロリムスが薬剤の中で非常に優れており、安定した薬剤であるということがDESを使ってきた歴史の中で証明されています。そして、ベアメタルステント(BMS)薬剤を塗っていないステントと比較した場合では、BMSでは早期の新生内膜の増殖がステント留置後の6か月以内に起こりステント内再狭窄になりますが、DESはその部分を薬剤コーティング、この場合はエベロリムスコーティングによって抑制していることが確認されています。今回のBVSにもエベロリムスがコーティングされており再狭窄も予防できると期待しております。

○荒川委員 もちろん、それは理解しているつもりなのですが、生体分解性のステントでも、エベロリムスの効果に関して、やはり必要だという理解で開発が進んできたということですね。あと、エベロリムスの基質としてポリ乳酸を使ったときに、同じように何か月かの間放出するとか、そのようなデータも同等という理解でよろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 放出に関して、茶色のタブの添付資料の209ページを御覧ください。こちらは動物試験になりますが、表の下に棒グラフがあります。これは動物試験の中で放出特性の評価をしております。ここで表を見ますと、大体30日、1か月ぐらいで%が血管内に放出されて、60日ぐらいで%ぐらいが放出されるという設計になっております。既存のXIENCEステントに関しても、同等の放出の特性を取っております。

○荒井部会長 この評価は、もともと優越性試験ではなくて非劣性試験で組まざるを得ないというところがあります。先ほど御説明がありましたように、less toxic newとは予測されるが、それでは何が良いところなのかというと、はっきりしたエビデンスがないということが弱いところです。同等だからいいでしょうという話にしようにも、優れた部分のエビデンスが乏しい以上、論理としてはちょっと難しいところがありますよね。だから、先ほど挽地先生が御説明いただきましたが、多分溶けるということは、総合的に見ていいのだろうけれども、誰もまだ絶対に溶けることがいいのだと言い切れない段階での評価である訳です。そのことを批判しているのではなく、そういう弱点がある以上、ロジックとして難しいところがあるということを理解しておく必要があると思い、伺せていただきました。その他、御意見はよろしいでしょうか。

○梅津委員 これは意見というか、コメントですが、体の中で溶けていくメカニズムがどうなっているのかというのは、確かに科学的に何とか私どもも証明したい。結局、それよりも今回の場合はリスク・アンド・ベネフィットを考えたとき、今回ベネフィットをやって、これを通すのがいいのではないかと判断しているわけですが、それと同時に、溶けていくメカニズムが力学的にどうなっていくのかということについては、そこはちゃんと我々も追っていくという覚悟ですので、何とかこれも応援したいと、今のところはそういうことぐらいしか言えませんが、ちょっとコメントです。

○齋藤委員 拡張力といいますか、拡張性に関しては、恐らく金属のほうが優れているのですよね。そうすると、吸収性のステントの場合には、冠動脈の動脈壁に求められる要件は変わってきますか。割と拡張しやすいような柔らかい動脈壁でないと十分開かない。プラークなどが多いと駄目だとか、そういった要件は加わってくるのではないでしょうか。

○荒井部会長 バルーンでの圧着のところの話を少し説明していただいたほうがいいのではないですか。

○医薬品医療機器総合機構 拡張力に関して、純粋に同じ試験条件下で比較したデータはないのですが、おっしゃるとおり本品の金属ステントと同じ拡張力を保つために、ストラットを厚くして開発してきているというところがあります。臨床試験においても、血管内腔が少し小さくなるという結果も得られておりますので、その辺に関しては情報提供しながら、適切な血管径の選択は必要になってくるかとは思っております。ただ、現状としては、イベントに関しては特段、本品群がそれで何か悪くなるという結果も出ておりませんので、石灰化病変とか、そういった特殊な病変をできるだけ外して留置することが重要かと考えております。

○齋藤委員 適応要件にきちっと書かれてあればいいのではないかと思います。

○医薬品医療機器総合機構 添付文書のほうに臨床試験の除外基準に関しては周知するのと、トレーニングで周知することとなっております。

○医薬品医療機器総合機構 もう1点、補足なのですが、これは本品だけで拡げるのではなくて、本品を使う前にバルーンだけで拡張するというもので、病変を拡げてから本品を置くので、最初のステントだと確かに金属よりは弱いのですが、それよりも前に拡張である程度拡げることが重要になってきますので、そこについては恐らくその辺でカバーできるのではないかと考えます。

○齋藤委員 バルーンカテーテルを先に入れて、拡げてからそこに当てるような感じになるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そうです。

○齋藤委員 分かりました。

○武谷委員 資料4の審査報告書の79ページの上段ですが、ただいま部会長も御発言されたように、確たるエビデンスはないけれども、何となくresorbableのほうがよいのではないかと、印象的、感覚的な我々の気持ちが反映されて、これを採択してもよろしいのではないかといったコメントは私も正にそのとおりだと思うのです。そこの文言だと、79ページの最上段に、「本品特有のベネフィットは遠隔期にもたらされる」と断定しているのですが、これはどういう理由で書かれているのか、部会長のコメントとの整合性という点で、私はちょっと理解しがたいところがあったので。

○医薬品医療機器総合機構 これは「もたらされる」という断言というか、申し訳ありません。ちょっと書き方が不足だったかもしれませんが、遠隔期でないと分からないという意味で表現いたしました。

○武谷委員 そういう表現ならよろしいです。いろいろな意見もあるのですが、観念的には理解できるけれども、むしろあったほうが、こんなことはあり得ないことを私は信じたいのですが、血栓予防になるという逆説的なことも否定はできないわけですよね。

○医薬品医療機器総合機構 申し訳ありません。

○武谷委員 素人の発言ですから、自由に言わせていただくことをお許しいただければ。

○医薬品医療機器総合機構 あと、これは一応、申請者の説明という形で載せておりますので、よろしくお願いいたします。

○武谷委員 そうすると、我々がこれを全部了解したということは理解、そういう解釈でなくてよろしいのですね、ここに書いてある文言は。その扱いなのですけれども。

○医薬品医療機器総合機構 はい。

○荒井部会長 この議論につきましては、先ほどちょっと私が発言させていただきましたが、ロジックとしての脆弱性も踏まえた上で、御審議いただいているという理解でよろしいかと思います。

○中島委員 今の点にちょっと近いのですが、吸収されていく過程というのは余りよく分かっていないということが一つと、いつ吸収されて、つまりメリットとしてバイパス術を次に行うのであれば、当然、吸収されていたほうがやりやすい。残っているよりも吸収されたほうがやりやすい。とすると、いつ頃、吸収されるのかという辺りは、全部IVUSをやらなければいけないのか、あるいは他の画像診断で何とかなるのか。その辺に対することをちょっと教えていただきたいです。

○挽地参考人 現段階でIVUS、あるいはOCTという方法があります。これらは血管の中にデバイスを入れなくてはいけませんので、患者さんにとって侵襲的な検査になります。他の方法としては、標準的方法である血管造影検査がありますがこれも侵襲的でありBVSの状態を把握することは困難です。ほぼ低侵襲な検査として心臓CTがあります。しかし、資料にあるように心臓CTを行っても両端のマーカー以外は確認できません。ただし、今のメタルステントと比べますと、骨格である金属でのハレーションがなくなりますので、内腔の評価はきれいにできます。そういう意味では、今、御質問にありました、まだそこに残っているか、残っていないかという部分に関しての評価は実は不可能なのですが、内腔が確保されているかどうかという評価は、CTをもって行うことは可能であろうと期待されています。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。

○荒川委員 先ほどの長期のところでのベネフィットというのは、従来はステント・イン・ステントのような再治療をするケースが多いためということの理解でよろしいのですか。現状、どのぐらいの率で、ステント・イン・ステントをやることになるのですか。

○挽地参考人 オーバーオールでの数字は言えないのですが、当大学での薬剤溶出性ステントの金属性、留置した後の再狭窄率はおおむね4%前後です。その部分に関しても、最近では薬剤を溶出する方のバルーン(薬剤溶出性バルーン:DCB)が使用可能になりました。ステント内再狭窄部位に対して、もう一度前拡張を行った後に、新生内膜増殖予防効果のある薬剤を血管壁に塗布することのできるDCBを使用することでステント・イン・ステントを回避するようにしています。ただ、1本目に入れたステントというのは、金属ステントは抜くことは基本的に不可能なので、そうなりますと徐々に徐々に病変が長くなるに従って、全血管にわたりステントがフルメタルになってしまうという状況があります。やはり長期的に見ると、患者さんにとってはメリットではないのではないかと危惧するのです。

○荒井部会長 いろいろありがとうございます。そのほか、御意見はよろしいですか。よろしければ、議決に移らせていただきます。医療機器「Absorb GT1生体吸収スキャフォールドシステム」について、本部会として高度管理医療機器に指定して承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に、期間を7年として使用することとし、特定保守管理医療機器への指定を不要としてよろしいでしょうか。

 御異議ないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。挽地先生、どうもありがとうございました。

                                 ( 一色委員入室)

○荒井部会長 次の議題5に移らせていただきます。議題5、医療機器「Neuraceq自動合成装置Synthera」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として学校法人島津学園京都医療科学大学学長の遠藤啓吾先生にお越しいただいています。先生、よろしくお願いいたします。初めに、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題5について、事務局から説明いたします。資料5を御覧ください。先ほどと同様、1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Neuraceq自動合成装置Synthera」の生物由来又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いします。審議品目及び審査の概要について、機構の担当者の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料5、医療機器「Neuraceq自動合成装置Synthera」の製造販売承認申請の可否等について、機構より説明いたします。当日配付資料11、専門協議委員の一覧を御覧ください。本審査に当たりましては、4名の専門委員の御意見を頂きました。

 当日配付資料9は、審査報告書の新旧対照表となっております。審査報告書に関して、一部、誤解を与える表現があるとの御指摘を頂きましたので、再整理した次第です。

 本品の概要について、当日配付資料10のA3横向きの比較表と書かれた参考資料と、審査報告書を基に説明いたします。当日配付資料10ですが、今回の審議品目とこれまでに承認されている3種類の類似医療機器を比較した表となっております。まずは表の一番左側にある本申請品目と書かれた列を御覧ください。Neuraceq自動合成装置Synthera(以降、本品)は、PET検査において使用される放射性標識化合物の注射剤を製造する放射性医薬品合成設備です。フッ素18で標識された新規化合物フロルベタベン(18)の注射剤を製造いたします。本品が製造するフロルベタベン(18)(以降、本化合物)は、アルツハイマー型認知症が疑われる認知機能障害を有する患者の脳内Aβプラークの可視化を目的とするPET検査にて使用されます。

 当日配付資料10の比較表の使用目的欄中に、太字、アンダーラインでお示ししたように、本化合物の効能・効果は、これまでに承認されております類似医療機器が合成するフロルベタピル(18)及びフルテメタモル(18)と同一となっております。したがって、本化合物を投与する対象患者は、これらの類似医療機器と同様に認知機能障害を有する患者のうち、アルツハイマー型認知症が疑われる患者です。

 審査報告書の6ページの上から2段落目を御覧ください。アルツハイマー型認知症(以降、AD)は、本邦における認知症の最も一般的な形態の一つとして知られております。ADは、脳内におけるAβの沈着と神経原線維変化が病理学的所見とされております。ADの診断は、通常、患者やその家族の病歴、臨床所見、X線CTやMRIといった画像診断等によって総合的に判断されますが、これらの臨床診断でもADか否かの鑑別が困難な症例があることが課題となっておりました。

 そこで、患者脳内のAβの沈着を非侵襲的に可視化することを目的として、PET撮像用トレーサーとして、本化合物が開発されました。

 審査の概要について説明いたします。まず、非臨床試験成績についてです。非臨床試験成績については、合成装置と本化合物に関する試験成績がそれぞれ提出されました。これらの試験成績から、合成装置が本化合物の注射剤を適切な品質で製造できることと、合成された化合物を評価した結果、特段の問題は認められないということが確認されました。

 続きまして、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書では25ページ目から、各臨床試験のフェーズごとに試験成績をお伝えしております。このうち、本化合物の有効性及び安全性を評価した国際共同第III相試験について説明いたします。審査報告書の30ページを御覧ください。国際共同第III相試験は、死後の脳提供に同意した終末期の患者であり、脳内Aβの沈着の可能性が高い認知症患者と、Aβ沈着の可能性が低い非認知症志願者、認知症機能が正常な健常成人を対象として実施されました。主要評価項目は、被験者の死後脳標本の病理学的評価による脳内Aβ沈着の有無を真のスタンダードとして、脳の特定領域におけるPET画像の視覚的評価の感度及び特異度とされました。

 本化合物の有効性について説明します。審査報告書31ページの表10を御覧ください。主要評価項目として設定された脳の領域ごとのPET画像の診断能は、感度77.36%、特異度94.2%で、事前に設定されていた達成基準値である60%及び80%を上回っておりました。

 本試験結果について、機構は次のように考えます。審査報告書39ページの下から3行目からになります。本試験では、領域ごとの感度・特異度の診断結果に対しては、事前に計画された基準値を上回ることが確認できました。しかしながら、実臨床においては患者単位で脳内Aβの沈着が認められるか否かを判断するため、有効性評価項目では被験者ごとの評価の重要性を考慮するべきであったと考えます。また、事前に設定された主要評価項目の達成基準値は、実施可能性の観点から設定されていたと考えられ、アミロイドPET検査に求められる有効性という観点からは設定されてはいませんでした。したがって、単にこの基準値を上回っているという結果のみからでは、本化合物に十分な診断能があるというところまでは判断できなかったという状況でした。

 そこで、副次評価項目に設定されている被験者ごとの試験結果について着目しました。当日配付資料10の比較表の左下、下から2項目の主な臨床試験成績の項を御覧ください。国際共同第III相試験で副次評価項目として評価された被験者ごとの感度及び特異度は、それぞれ96.3%及び85%でした。この結果は、文献で示されている臨床診断の感度及び特異度よりも高く、また既承認の類似医療機器が合成する同種同効の化合物の臨床試験成績と比較しても、遜色のない結果であったと考えられます。以上のことから、本化合物が臨床的に有用と考えられる程度の臨床性能を有することが示されたと判断しました。

 化合物の安全性について説明いたします。審査報告書の41ページの4)安全性についての2段落目を御覧ください。国内外で実施された臨床試験において、本化合物は合計978回投与されていました。そのうち、本化合物の投与後に発現した有害事象は249例、発現率として25.5%でした。主な有害事象は注射部位での反応で、報告された有害事象のほとんどが軽度又は中程度の事象であり、本化合物との因果関係が否定できない死亡例及び重篤な有害事象は確認されませんでした。以上から、報告された有害事象に臨床上、問題となるものはなく、本化合物を用いたPET検査の安全性は臨床的に許容されると判断しました。

 本品の審査における主要な論点について説明します。審査報告書の46ページの5.総合評価を御覧ください。一つ目の論点ですが、5.総合評価見出しの5行下から始まる()本化合物の臨床的位置付けについてです。国内外の臨床試験成績により臨床的に有用と考えられる診断能が示されたことから、本化合物を用いたPET検査はAD診断の際の判断材料の一つとなる脳内Aβの蓄積状況に関する情報を与え得ることが示されました。また、本化合物の有効性及び安全性は、類似医療機器の合成する同種同効の化合物と比較して大きな差違はないと考えられます。したがって、アミロイドPET以外の既存の診断方法により、包括的な検討をしてもADか否かの診断が不確実な患者を対象とし、脳内Aβの集積状況を示す画像診断ツールとして、本邦の臨床現場に提供する意義はあると判断しました。

 なお、脳内Aβの沈着が認められたとしても、将来的にADを発症するか否かは現時点では不明であることから、認知症症状を有しておらず、臨床的にADが疑われていない人における本化合物を用いたPET検査の意義は不明確となっております。したがって、既存の同種同効の化合物と同様に、単に脳内Aβの沈着の有無を確認するためだけのスクリーニング検査としては用いるべきではないと判断しました。

 二つ目の論点は、審査報告書46ページの()医療現場における本剤の適正使用についてです。読影トレーニングプログラムの必要性について説明します。国際共同第II相試験の結果を受けて、読影トレーニングプログラムが新たに開発されております。このトレーニングプログラムの有用性を検討した結果、感度の向上が確認されていることから、本トレーニングプログラムの需要性は高いと考えております。国際共同第III相試験においても、読影のトレーニングが行われており、読影トレーニングプログラムを完了した医師であれば、本化合物を用いたPET画像の適切な読影が可能となると判断します。以上より、当該プログラムを修了した医師のみが読影を行うことを添付文書上で注意喚起する必要があると判断しました。

 医療現場における本剤の適正使用の2点目として、注射剤の品質保証について説明します。本化合物を医療現場に提供するに当たっては、本化合物の注射剤が適切な品質で製造される必要があります。放射性医薬品合成設備を用いた院内での注射剤の製造には、医薬品GMPは適応されず、医療施設の責任の下で製造、品質保証及び患者への投与が行われます。本化合物は、本邦において新規の成分であることから、類似の医療機器と同様に、医療施設において本化合物の注射剤の品質保証が適切に行われるよう措置を講ずる必要があると判断しました。具体的には、注射剤の製造後に行う品質検定において、申請者が提示する品質規格への適合性を確認すること。また、注射剤の無菌性を担保するため、日本核医学会が作成したガイドラインに準拠した作業環境を構築することです。以上のことを添付文書に注意喚起する必要があると判断しました。

 最後の論点は、審査報告書47ページにある使用成績評価の指定の要否についてです。()使用成績評価についてを御覧ください。本化合物は本邦未承認の新規の成分であり、本化合物を投与した際の有効性、及び安全性に関する情報は限られております。また、現在、類似医療機器が再審査又は使用成績評価の調査期間中であることを踏まえると、本邦の医療現場におけるアミロイドPET検査の使用経験は十分とは言えない状況だと考えております。また、本化合物の注射剤が患者に投与されることを踏まえると、最終生成物である注射剤の安全性及び合成装置が適切な品質の注射剤を製造できることについて、情報収集する必要があると考えます。以上のことを踏まえ、類似医療機器と同様の考え方に基づいて、実臨床での安全性が国内外の臨床試験成績と大きく異ならないことを確認するため、使用成績評価が必要であると判断しました。

 調査項目には、本化合物投与後の有害事象の発現割合や重篤性等を明らかにするために必要な項目、医療現場で製造された本化合物の注射剤の品質検定結果、読影トレーニングの受講に関する確認が含まれております。目標症例数については、本調査の目的に加え、サイクロトロンを有するなど、本品を設置可能な医療施設数が限定的であることも考慮し、目標症例数71例を下限値として、評価期間内で可能な限り全例の情報収集を行うことが適当と判断しました。評価期間は、販売準備期間として1年、症例登録期間に2年、症例追跡期間に1週間、及び解析期間に6か月、以上の各期間を合計し、3年6か月とすることが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の対象として指定し、使用成績評価期間は3年6か月とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。早速ですが、まず、参考人の遠藤啓吾先生から追加の御説明等はありますでしょうか。

○遠藤参考人 参考人の遠藤です。本品は、脳にアミロイドが沈着しているか否かを見るアミロイドイメージング製剤で、半減期が2時間のフッ素18で標識した製剤を作るものです。

 このアルツハイマー病のアミロイドイメージング製剤は、最近ですが、既に二つの製品が認可されております。先ほど報告がありましたように、有効性、安全性は、これまでの二つの製品とほぼ同等です。

 私は使う方なのですが、使う方としては、この検査を行って陰性の結果だったら、沈着がなかったらアルツハイマー病ではないと言える。要するに、アルツハイマー病を疑われた患者さんで、これが陰性だったらアルツハイマー病ではないと言えるように使えると思います。これまで既に2社であるのですが、ユーザー側としては二つよりは三つあったほうが、競争の原理が働いて、良いほうに働くのではないかと私自身は思っております。

 もう一つの理由は、欧米では、3社の合成装置を使って、これまでの2社と、もう一つ3社を使ってアルツハイマー病治療薬の臨床治験が行われております。アルツハイマー病は国際共同治験が行われる可能性が高いものですから、私としては我が国においても、この3社の合成装置があったほうが国際臨床治験に都合がいいのではないかと思っている次第です。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます、委員の方々から御意見・御質問はいかがでしょうか。

○齋藤委員 この表を見せていただきますと、今までの二つのものは合成設備になっていますね。これが今度、合成装置というように変わっていますが、よりコンパクトな形になって、製造が、より単純になったという違いで、このように名称が変わっているのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。特段、製造で異なる合成過程等を意図したものではないのですが、ものの大きさとしては今回の品目が1番小さな形となっているのは事実としてあります。

○齋藤委員 そうですか、製造過程に関してはほとんど同じですか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的には同一です。

○齋藤委員 コンパクトになって、場所を取らないという感じですか。

○医薬品医療機器総合機構 そのとおりです。

○荒井部会長 「設備」と「装置」という言葉には、特に定義としての違いがあるわけではないということでいいのですか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、特にはありません。

○医療機器審査管理課長 企業がある意味、独自に名前を付けているので、余りその辺を言っても。一般名称の場合はちょっと考えなければいけないのですが、企業のものにどこまで、いちゃもんを付けるかという話になってしまうので。申し訳ございません。

○荒井部会長 そのほか御意見はいかがでしょうか。

○川上委員 今の遠藤先生の御説明で、特異度が非常に問題だと思います。今日いただいた表を比べてみますと、例えばフロルベタピルでは特異度が100%となっているのに対し、本品が85%ということになりますと、この差というのは臨床的に重要な差になるのでしょうか。その辺、実際に使う場合の実用性という意味において、この辺の問題があるのかないのかを、ちょっと御説明いただけるとありがたいと思います。

○遠藤参考人 症例数が少ないものですから、それほど意味がないのではないかという感じがしております。

○荒井部会長 数十例規模のデータですよね。よろしいでしょうか。

○一色部会長代理 審査報告書の31ページから33ページに表10から表14までありますが、読影された方のばらつきが表10と表13とでは、読影されたIIIの方のほうが異常とする判断は結構大きく乖離しています。被験者ごとに見るとほとんど差がなくなっているので、臨床上、余り大きな問題ではないのかもしれませんが、これを読影された3人の医師は恐らくプロフェッショナルの方だと思います。先ほど御説明があったような講習を受けるだけで、このバラ付き以上の差が多分出るのだろうと予想するのですが、その辺はどのようにお考えなのですか。

○遠藤参考人 やはり、講習の効果はあると思います。もう既に、2社の製品については講習会が学会で行われております。この装置についても、もし認可されれば講習会を行うことになります。講習会を受ければバラ付きは減ると思います、もちろん全く同じになることはありませんが、かなり減るのではないかと思います。

○石井委員 本装置で製造された注射剤の品質の試験のことでお伺いします。承認申請書の別紙5に「操作方法又は使用方法」とあり、注射剤の検定試験の試験方法が表5-1で書かれています。実際には、これだけでは試験はできないと思いますが、例えばクロマトグラフィーに使うカラムや溶媒といった細かいことは、製造販売業者から病院に情報提供なり技術指導のようなことはなされるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 基本的には申請者というか、製造販売業者が指定した方法でしっかりと品質検定ができるようにということも規定しているところですので、具体的な方法、あるいはきちんと施設のほうでできるようにということは確認し、現場でトレーニングできるようにという点も伝えていきたいと思っております。

○石井委員 それは今後の対応ということでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 今後、確認も含めて対応させていただきたいと思います。

○石井委員 分かりました。

○医療機器審査管理課長 しっかりやらせます。そうでないと、使えませんので。当たり前のことのように思いますが、いろいろなことがありますので、きちんと現場で適切に注射剤を製造できるよう、品質を確保しなければいけませんから、それに必要なマニュアルなどの提供にはきちんとさせるということでですね。それは間違いなくさせますので。

○石井委員 分かりました。

○千葉委員 当日配付資料の10、先ほどの先生方の御質問とも関連しますが、既に承認ずみのものがある。それに対して、新たに今回のものを承認するというのは遠藤先生のおっしゃったとおり、選択肢が多いほうがいいのではないか、あるいは国際的に、共同での歩調を合わせられるということが恐らくメインの理由ではないかと推察しております。

 その場合、先ほどの先生のお話にあったとおり、前のものは、これはフロルベタピルですが、特異度が100%、陽性的中率も100%ある。症例数が少ないとはいえ、これは結構すごいことでございますので、いろいろな選択肢を増やすメリットと、既にこれだけ高い成績のものをもっと使って検証をしていくことと、どちらのメリットが今後患者さんにとって、あるいは支払う国にとっていいのかというように感じました。その意味で、この質問があるわけです。この新しいものは既承認のものに比べ、値段的にはいかがなのでしょうか。多分、まだ保険適用ではなくてということですよね。その辺をお教え願えますでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 既承認品で合成される薬剤も含め、この検査に使う薬剤として保険の適用にはなっていないという状況です。ここで御審議いただくお話ではありませんが、そのまま行くと、その前例にならうという形になるので自由価格での競争になると思います。

○荒井部会長 よろしいでしょうか、特に御意見がないようでしたら議決に移らせていただきたいと思います。医療機器「Neuraceq自動合成装置Synthera」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に、期間を3.5年として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます、御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題5を終了いたします。遠藤先生、どうもありがとございました。

                                ( 遠藤参考人退室)

○荒井部会長 引続き議題6、医療機器「コアバルブEvolut R」の使用成績評価の指定の要否についての審議を始めます。まず、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題6、医療機器「コアバルブEvolut R」の使用成績評価の指定について御説明いたします。

 左上に資料6と記載された資料を御用意ください。表紙のページが諮問書になります。2枚目が使用成績評価の指定について今回、御審議いただく「コアバルブEvolut R」の概要です。申請者は日本メドトロニック株式会社です。

 品目の概要欄を御覧ください。本品は、外科的な大動脈弁置換術の施行が困難な症候性重度大動脈弁狭窄症の患者に対し、経カテーテル的に自己大動脈弁上に弁留置、いわゆるTAVIを行う人工心臓弁システムです。

 本品は、上行大動脈との干渉による変形を低減すること等を目的として、前世代品として「コアバルブ」というものが承認されているのですが、そのコアバルブから流出部径、長さ等が改良された品目です。前世代品の「コアバルブ」には存在しない23mm径の講成品を含んでおります。また、再収納及び再回収を可能とすること等を目的として、デリバリーシステムも改良されております。

 裏面を御覧いただければと思います。(参考)にお示ししていますとおり、前世代品であるコアバルブのほかに、本品と同様、TAVIに用いられる既承認品として、エドワーズライフサイエンス株式会社のサピエンXTがあります。

本品を用いた治療は、これらの既承認品と同等となっております。そのため、本品はサピエンXTのサイズ追加の一部変更、及びコアバルブと同様の考え方に基づき、本品についても使用成績評価を行うことが妥当と考えております。なお、調査期間については既承認品と同様の考え方に基づき、準備期間年、症例登録期間年、フォローアップ期間年の計7年間の使用成績評価とすることが妥当であると考えております。以上の内容につきまして御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々から御質問、御意見等ございますか。よろしいですか。

 それでは議決させていただきます。医療機器「コアバルブEvolut R」につきまして、本部会として使用成績評価の対象に指定することとしてよろしいでしょうか。

 御異議ないようですので、そのように議決させていただきます。この審議結果につきましては、次の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題6を終了させていただきます。

 引続き、議題7に移らせていただきます。議題7、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否について審議を始めます。まず、事務局より御説明をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題7につきまして御説明いたします。まず、資料7-1を御用意ください。7-1から7-4に基づき、一通り御説明させていただきます。

 議題4でも御説明いたしましたとおり、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっております。

 資料7-1、3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称です。まず1つ目は、単回使用縫合器ガイドです。こちらは自動縫合器に取り付けて、切断部位に適切に誘導するために使う器具を指すものです。

 5ページに、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。この品目は、シリコーンゴム製のチューブで、使い方は裏面の図に記載されております。図2のように、予め本品を切断予定の組織の裏側に回しておき、その後、自動縫合器に取り付けることで、切断部位へ自動縫合器を確実に誘導することができます。

 3ページにお戻りください。本品と同様のもので複数回使用されることを意図した機器や侵襲的な手技に使用する機器を示す一般的名称があります。本品のように、侵襲的な手技に用いる単回使用の機具の一般的名称は存在しないため、このたび新設が必要となりました。本品は、クラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。

 続いて資料7-2について御説明いたします。3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、弁形成術用補助具です。弁形成術において人工腱索等を形成する際にテンプレートとして使用することを意図した機器を指すものです。

 5ページに、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。外観図をお示ししておりますが、本品は、このようなチューブ状の機器になっております。

 次に、6ページの下にある心臓の図を御覧ください。本品は僧帽弁と乳頭筋をつなぐ腱索を人工的に再建する際、人工腱索を本品の中に通して保持することで、術中にその長さが変わらないようにするものです。この機器が該当する適切な一般的名称は現在存在しておりませんので、このたび一般的名称の新設が必要になりました。

 本品は外科的に、侵襲的な手技に用いる単回使用の機器ですので、クラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。

 資料7-3について御説明いたします。3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、気管支肺胞洗浄用カテーテルです。気管支肺胞洗浄によって肺胞内の検体を採取するために用いるチューブ状の機器を指すものです。気管支肺胞洗浄とは、肺に生理食塩水を注入して洗浄し、その生理食塩水を回収することで細胞成分等の検体を採取する手技として知られております。

 5ページに、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。本品は気管支に挿入するカテーテルで、生理食塩水の注入と吸引を、この一つの機器で行えるようになっております。

 ページが戻ります。3ページ下段にお示ししているのですが、気管支に入り込んだ異物を吸引するために使用される機器、又は薬物を注入するための機器を指す一般的名称というのは既に存在するのですが、本品が該当する適切な一般的名称は存在しないことから、この度新設が必要となりました。

 本品は人体開口部に関与し、短期的使用を意図したものであるため、クラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。

 最後に資料7-4に関して御説明いたします。3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、肺動脈カテーテル交換用カテーテルです。ガイディング・カテーテル内でバルーンを膨らませてガイドワイヤを固定しておき、カテーテル交換を行う、いわゆるトラッピング法に用いる機器を指すものです。

 5ページに、この新一般的名称が付される予定の品目概要があります。本品は、経皮的冠動脈形成術におけるトラッピング法に用いるものとして既に承認されておりますが、このたび、経皮的肺動脈形成術におけるトラッピング法に用いるものとして一部変更申請がなされました。ただ、肺動脈におけるトラッピング法に用いる機器を指す一般的名称は存在しないことから、このたび新設が必要となりました。

 本品は、中心循環系の1部である肺動脈における治療に用いる機器であるため、クラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。

 説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問はよろしいでしょうか。四つの新規の名称につきましての案です、よろしいですか。

○鈴木委員 時間もないのでどうしようかと思ったのですが、7-3の気管支肺胞洗浄用カテーテルの目的は、洗浄によって検体を採取するためということなので、洗浄が目的ではないと思うのですが、このような名称でいいのですか。こういう言い方をするのですか、私も一般的な名前の付け方が分からないのですが、教えていただけますか。

○事務局 事務局よりお答えいたします。生理食塩水を中に放出して、それを回収することで検体を取ってくる。その手技自体を気管支肺胞洗浄と呼ぶというように聞いておりますので、この場合は、この「気管支肺胞洗浄」をそのまま使うことでいいと考えております。

○鈴木委員 要するに、たまたま検体も取れるけれども、純粋に気管支肺胞洗浄のために使うこともあるということですか。

○医療機器審査管理課長 実は、先生から御指摘をいただいて、すぐそれを調べました。成書で調べますと、気管支肺胞洗浄術だったかな、そういう形が既に成書に載っています。洗浄と書いてあるのですが、やっていることは検体の回収なのです。そういう形で、医学の書にも特定されておりましたので、我々のほうで勝手に名前を変えるのもあれだったものですから、この名前を使わせていただいたということです。そういうことです。

○荒井部会長 ありがとうございます、そのほかよろしいでしょうか。

 よろしければ議決に入らせていただきます、四つありますので順番に行きます。一つ目、「単回使用縫合器ガイド」については、本部会として管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないこととしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます、御異議ないようですのでそのように議決させていただきます。

 二つ目、「弁形成術用補助具」につきましては、本部会として管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないこととしてよろしいでしょうか。

 御異議ないものとして、3件目に進ませていただきます。

 今の「気管支肺胞洗浄用カテーテル」につきましては、本部会として管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないこととしてよろしいでしょうか。

 御異議ございませんので、このように議決させていただきます。

 最後、4件目、「肺動脈カテーテル交換用カテーテル」については、本部会として高度管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器に指定しないということでよろしいですか。

 ありがとうございます、御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この結果につきましても次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題7を終了させていただきます。

 続いて議題8、医療機器「IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル」についてに移らせていただきます。事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題8、医療機器「IMPELLA」について口頭で御報告いたします。前回、6月29日に開催した当部会でのIMPELLAの審議において、委員の皆様から幾つか御意見をいただきました。その時、回答し切れなかったものについて、どのような措置を行ったかを御報告いたします。

 まず一つ目として、市販後の使用成績評価においては、一定の症例数に達するまで全例を評価対象とすべきという御意見をいただきました。6月部会時点では、使用成績評価について評価期間4年、目標症例数350例としておりましたが、御意見を反映して、一定数の症例が集積されるまで症例全例を調査対象とすることに変更いたしました。なお、全例調査を行うことは、承認条件の一つとして加えております。

 二つ目として、適正使用の指針を検討する関連学会に人工心臓の関連学会を含めるべきという御意見をいただきました。6月部会時点では、適正使用指針を検討する関連学会の構成を日本循環器学会、日本心臓病学会、日本心臓血管外科学会、日本胸部外科学会、日本心血管インターベンション治療学会、日本心不全学会という六つの学会としておりましたが、御意見を反映して、日本人工臓器学会、日本経皮的心肺補助研究会を追加することといたしました。報告は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。委員の皆様から御意見はよろしいでしょうか。これは報告事項になります。特に御意見がありませんでしたら、これで議題8を終了させていただきたいと思います。

 続いて、議題9に進ませていただきます。医療機器の再審査結果についてです、事務局より報告をお願いいたします。

○事務局 事務局より議題9、医療機器の再審査結果について御報告いたします。関連資料は資料9になりますので、資料9を御用意ください。

 まず、再審査は改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則、新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるものです。調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。今回、再審査結果報告を行うのは、MULTI-LINKピクセルステントです。申請者はアボット バスキュラー ジャパン株式会社です。

 再審査報告書の1ページに記載があります。本品は対照血管径2.25mmから2.5mmでは病変長25mm以下の血管に対して適用することを目的とした冠動脈ステントです。なお、本品は平成17年1月24日に承認されました。本品を用いて治療した際の使用実態下における不具合発現状況、安全性、有効性等を確認することを目的として633例が評価対象となりました。それぞれの有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。このため、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を効能・効果や用法・用量などの承認事項について変更の必要がないカテゴリー1と判断しています。以上の報告につきましては、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。委員の皆様から御意見、御質問等よろしいでしょうか。特に御意見もないようですので、これで議題9を終了させていただきます。

 最後、議題10になります。議題10、部会報告品目につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 部会報告品目について、資料10に沿って御説明いたします。横向きの資料を御覧ください。

 平成28年4月から平成28年6月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。

 1ページから17ページが医療機器、18ページと19ページが体外診断用医薬品です。医療機器は68品目、体外診断用医薬品は8品目ございます。これらの資料については事前に送付しておりますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。ただ今の部会品目の報告について、御質問や御意見はよろしいでしょうか。御意見がないようでしたら、これで議題10を終了とさせていただきます。

 おかげ様で、これで本日の議題は全て終了いたしました。事務局から何かありますか。

○医療機器審査管理課長 本日も大変長時間、ありがとうございました。先生方、本当にお疲れのところ、ありがとうございます。

 次回の部会の御予定を報告させていただきたいと思います。次回の部会は11月になります。1125()、午後1時から3時ということです。実は御都合の悪い先生もおられたのですが、お集まりいただける先生が多い日で決めさせていただきました。申し訳ございません。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました、よろしいでしょうか。長時間にわたり、御討議をありがとうございました。これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録(2016年9月21日)

ページの先頭へ戻る