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2016年12月14日 平成28年度第4回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成28年12月14日(水)
17:00~19:00


○場所

厚生労働省12階 専用第12会議室


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二
花井 十伍 室井 一男

欠席委員:(1名)敬称略

山口 照英

日本赤十字社:

佐竹 正博 豊田 九朗

化学及血清療法研究所:

羽室 勉

CSLベーリング株式会社:

モランジュ・ジャン・マルク・ジュル 内田 早苗 今村 亮一

バイエル薬品株式会社:

廣田 治 山本 倫行

事務局:

一瀬 篤(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐) 金子 健太郎(需給専門官)

○議題

・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・血液事業の実態に関する調査報告について
・化学及血清療法研究所の血液製剤について
・CSLベーリング株式会社からの報告について
・バイエル薬品株式会社からの報告について
・その他

○議事

○近藤血液対策課課長補佐 定刻になりましたので、平成28年度第4回血液事業部会運営委員会を開催いたします。なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、山口委員より御欠席との連絡を頂いております。本日は運営委員会委員6名中、5名の委員に御出席いただいていることを御報告いたします。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より佐竹正博血液事業経営会議委員、豊田九朗血液事業本部参事監、以上2名に参加いただいております。よろしくお願いいたします。以上、事務局からの報告とさせていただきます。カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 事務局から審議参加に関する遵守事項について、報告をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 本日、出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金、契約金などの受取状況を報告いたします。本日の検討事項に関して、薬事分科会審議参加規程に基づいて、利益相反の確認を行いましたところ、議題3に関して岡田委員及び室井委員が、議題5から議題7に関して室井委員が、関連企業より一定額の寄附金、契約金等の受取の申告がなされております。室井委員におかれましては議題5の検討に当たっては、意見を述べることはできますが、議決の際には参加いただけないこととなります。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見、御質問はありますでしょうか。特になければ、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了承いただいたものとさせていただきます。

 議題に入る前に、事務局から資料の確認及び前回の議事録に関しての御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より資料の確認をいたします。1枚目に議事次第、その後に座席表が4枚あります。その次に委員名簿、設置要綱が1枚。資料1-1が4枚あります。資料1-2は文献の本体で、最終ページは162ページで、その後、A4の紙が1枚付いております。資料2-1が5枚あります。資料2-2がA4が3枚、A3の紙が4枚、その後にA4の紙が5枚あります。資料2-3は3枚あります。資料3は1枚あります。資料4-1は2枚あります。資料4-2、問診表が28ページまであります。資料5-1が1枚、資料5--マル1が1枚、資料5--マル2が1枚、資料5--マル3も1枚あります。資料5-3、資料5-4と、それぞれ1枚ずつとなっております。資料6は4枚、8ページまであります。資料7は1枚、資料8は1枚。委員参考資料として10ページまであり、最後にA4の横の紙が1枚付いております。以上、不足がありましたら事務局までお知らせください。

 なお、第3回血液事業部会運営委員会は非公開で実施しましたが、議事録については企業機密に関わる箇所をマスキングした上で、近日中に公開いたします。以上となります。

○田野崎委員長 本日は議事審議事項が非常に多いので、効率的に議事を進行させていただきたいと思いますので、御協力いただければと存じます。議題1、「感染症定期報告について」、事務局から御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 議題1に関して、資料1-1、概要一覧表を御覧ください。この資料は、平成28年8月から10月までに報告された感染症定期報告のうち、文献の資料を概要としたものです。今回、全部で22件の文献が報告されており、その本文は資料1-2にありますが、資料1-1の概要を用いて、1~7と8~22に分けて説明いたします。なお、本日欠席の山口委員からもコメントを頂いておりますので、併せて御報告させていただきます。

 まず、1-7になりますが、肝炎ウイルスに関しての文献となります。1番は日本赤十字社からの報告ですが、現在、日赤ではHBc抗体が陽性でも、HBs抗体が200mIU/mL以上の場合、輸血用血液として供給されています。この研究では、ヒト肝臓置換マウス(PXBマウス)を用いて感染の阻止が確認されたこと、またGenotypeが異なるHBVでも、同様に感染の阻止が確認されたとの報告です。山口委員からは、抗HBs抗体の中和活性に関しては既に報告があり、この文献はin vivoモデル動物を用いた解析に特徴がある。2番の文献から、S領域の変異にある場合には同等の中和活性があるのか、という検討の必要性について、コメントを頂いております。

 2番、イタリアからの疫学研究報告です。B肝ワクチンの定期接種導入後の急性B型肝炎の調査をしたところ、1万1,311例のうち1万949例が適切なワクチン接種を受けていなかったということで、HBVワクチンの有効性を示した論文です。日本でも、今年10月から定期接種になっておりますが、山口委員からは、「定期接種を受けていない世代についても、HBVワクチンの接種が望ましいこと。また、ワクチンは接種後、必ずしも抗体価が上がらないこともあるが、メモリー細胞があることから感染したときに抗体が上がり、防御に作用するとの報告もあること。また、文献1の報告とも関連する点として、S領域に変異があると、HBs抗体の免疫を受けていても防御が効かないということが理論上あり得る」、以上のコメントを頂いております。

 3番は日本赤十字社からの報告で、この運営委員会でも御報告させていただいている医療機関からの感染症報告事例に関連しますが、C型肝炎ウイルス感染疑い例の中で、輸血感染の可能性が極めて低いと考えられた症例では、手術等の侵襲的処置、内視鏡カテーテル処置が実施されていたとの報告です。山口委員からは、「HCVの輸血後感染の報告事例の中に医原性の院内感染が含まれているのではないかという調査の趣旨であれば、特に医原性のHCV感染のリスクとして挙げられている手術器具や透析などで複数のHCV感染者が見つかった場合、そのHCVのゲノム解析などをすべきではないか」とのコメントを頂いております。

 4番は米国CDCからの報告で、全米、特にケンタッキー州でC型肝炎の垂直感染例と思われる症例が増加している、その可能性が指摘されております。

 5番はスペインからの症例報告ですが、E型肝炎ウイルス感染期の母乳からHEV RNAが検出されたことから、授乳はHEVの感染経路となり得るという報告です。山口委員からのコメントですが、「このように喫食以外の感染ルートに関連して、HEVのウイルス排出の実態について、もう少し調査をする必要があるのではないか」というコメントを頂いております。

 6番はオランダのE型肝炎に関する疫学研究ですが、約6万人の献血について調べたところ、HEVのRNA陽性が0.076%で、陽性率は経時的に増加したとの報告です。ウイルス血症の平均持続期間は68日であると推定されています。山口委員からは、「ミニプールNATでありながら、1,322人に1人というRNA陽性者がいたという高い陽性率は注目に値する。また、個別NATでは更にその陽性頻度は非常に高くなるのではないか」というコメントを頂いております。また、全ての陽性者でGenotypeは3型でしたが、最も高濃度のキャリアは2×10^6IU/mLの高濃度のケースもあったことから、HEV検査の必要性が考えられていると想定されること。また、ウイルス血症の平均期間が68日であることを考慮し、生肉の喫食期間の問診を再考する必要がないか」との意見を頂いております。

 7番はブラジルの症例ですが、献血後にA型肝炎を発症したドナーからの輸血により、A型肝炎ウイルスが伝播したという報告です。以上です。

○田野崎委員長 以上7番までですが、委員の先生方から御意見等ありますか。

○室井委員 日赤の3番の学会報告なのですが、C型肝炎がいわゆる医原性ではないかという大変重要なことだと思うのですが、これは例えば地域性の偏りとか、ベッド数の大小などで差があったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 地域性の偏りはありません。全国から報告されています。特徴としては、一定の病院から、何度も複数上がっているということが気付かれてはいます。

○室井委員 大変大きな問題のような気がしますが、ベッド数というのは大病院なのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 ベッド数も病院の規模もいろいろです。やはり大きな病院が、ベッド数の多い所が多いです。というのは、それは多い所が多いというよりは、やはりそういう病院だと非常に気を付けて見ているといいますか、しっかりしていて輸血後の状況をきちっと見ているところがあるのではないかとは思います。ただ、上がってくるのは残念ながら我々のデータはここにもありますように、全部、保管検体は完全な陰性、全てそうです。

○室井委員 そうすると、輸血以外でも、実は感染者がいるという可能性もあると考えてよろしいのですか。推測ですけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 可能性といいますよりは、世界的に出ている文献といろいろな論調では、現在のHCV感染の相当の部分は医原性であるというのは、ほとんど通説にはなっております。

○岡田委員 3番の文献ですが、そうしますと、輸血をされた方は輸血後感染症の検査をすることによって見つかるけれども、検査をやっていなければ、輸血が原因でなくても、院内で感染してもそれは分からずに退院してしまったりとか、外来でフォローされるという可能性があるということでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全くおっしゃるとおりです。ですから、その点を強調して、こちらとしてはいろいろな肝炎撲滅のための研究班等にも属していて、そういう所でこのことについて調査をする、そういう研究班に入っております。今、話されたことは非常に重要な点ですので、肝臓学会等でもこのことは日赤のほうからもアラートを流しているつもりです。

○大平委員 一定の病院というのがちょっと気になるところなのですが、そういった病院が感染管理のきちっとしたチームができているのかどうかというのは、そういう差は調べられてはおられるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そこまでは我々のほうでちょっと分かりません。一定と申しましても、多いところで3つ連続という所が4病院ということです。大体そういったところです。全部で40例ぐらいを精査しますと、3例続けて出している所が4病院ぐらい、2例出している所が5、6病院、そのような分布です。どういった輸血後の管理をされているかについては、そこまで調べてはおりません。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。C型に関しては、今後ともちょっと問題があるかなと思います。

○岡田委員 7番の文献なのですが、これはA型肝炎は大人が感染すると、ほぼ発症するのですね。この文献の重要なところは、要するにドナーがA型を発症したときに、自分は献血をしたことがあるということを情報提供したので、明らかになったのですね。ですので、献血をされた方が何らかの感染症を発症して医療機関にかかった場合に、献血を例えば1か月以内にしたとか、そういう情報を提供してもらうと、受血者のフォローなどが可能になって、場合によっては発症する前に何らかの治療をすることができるので、このように献血者に献血後の情報提供を呼び掛けるというのは非常に重要なことだと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そのことについては、当然、重要な点ですので、我々の献血者に渡すチラシ、それからインフォームド・コンセントの所には、献血後に具合が悪くなったときには、必ずこちらに知らせるようにという文言は、随分前から入っております。実際、後でも出てきますが、回収とか、いろいろなところで起こる事例というのは、結構そういった情報に基づくところがあります。それは献血者だけではなくて、献血者が具合が悪くなって病院にかかって、その病院での主治医の問診で、主治医が気付いてこちらに連絡してくれる、その例も非常に多いですね。

○田野崎委員長 ちなみに、A型に関しては、輸血での監視というか、感染の事例などはどうなっているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 日本では、我々が調べた限りですと、1984年と2011年に、日本での輸血によるA型肝炎の症例が報告されています。ただ、2例とも非常にラッキーなことに、患者さんがセロポジティブだったのです。全く症状を出さなかった、そういう2例です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。よろしければ8番から、また御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 続きまして、8から22に関して説明いたします。8番はフランスの症例ですが、ブラジルに渡航歴がある男性からフランス在住の女性に、性交渉でジカウイルスが感染したのではないかという報告です。山口委員からのコメントですが、「ジカウイルスの通常のウイルス排泄において、尿や唾液では10^3コピー/mL程度である。しかし、精液中では10^710^8コピー/mLと非常に高濃度であり、持続期間も少なくとも1か月近くになることが確認されており、恐らく精巣が免疫サーベイランスの効かない器官であることが、この高いジカウイルスの持続感染に寄与しているものと推測される。ジカウイルスの感染被害の拡大に、このような水平感染が寄与している可能性が高いことが考えられる」とのコメントを頂いております。

 9番は米国CDCからの週報です。女性から男性へジカウイルスが性感染した初めての報告です。物理的な避妊方法の重要性が述べられております。

10番は同じく米国CDCの週報ですが、プエルトリコにおいて今年4月から6月までの間にジカウイルスのスクリーニング検査を行ったところ、陽性率は平均0.5%で、最も高くて1.1%だったとの報告です。山口委員からは、「このことからもしアウトブレークが起きた際には、その発症頻度が1%近くになる可能性があるので、アウトブレークに備えておく必要性があるのではないか」というコメントを頂いております。

11番ですが、ジカウイルスの米国本土での蚊を媒介した地域内感染の最初の報告例を受け、スクリーニング検査又は病原体不活化技術の実施まで、採血を中止するようにという要求をFDAが出しておりました。

12番はブラジルからですが、血小板輸血によるジカウイルスの感染の報告です。ドナーからの遡及で、受血者のジカウイルスRNA陽性が確認されています。

13番は米国CDCですが、米国本土、フロリダ州での地域内の蚊媒介感染例、4例が報告されています。

14番は米国FDA発行のガイダンスですが、米国由来の全血及び輸血用血液製剤においては、ジカウイルスに対する個別NATの導入を行い、120日前まで遡及をすること、及び受血者の情報提供をするように求めた勧告です。血漿分画製剤用の原料血漿は対象外とされております。

15番はプエルトリコからの報告ですが、2014年のチクングニアウイルス流行期間に個別NATを行った結果、陽性率は10月が最も高く2.1%であったとのことです。ウイルス量はRNAコピー数10^4から1.3×10^8/mLと高値を示し、血清学的検査陰性例では、感染初期のウイルス血症ピーク時の供血者からの採血では、輸血感染のリスクがあるという報告です。なお、流行後、チクングニアウイルスの血清陽性率は約25%であったとのことです。

16番はカナダからの報告ですが、白血球除去処理後の血小板製剤及び赤血球製剤にデングウイルスを添加したところ、有効期間においてデングウイルスは存続したとの報告です。

17番はオーストラリアで2011年初めに壊滅的な降雨と洪水に見舞われましたが、気候変動がロスリバーウイルスやバルマフォレストウイルスなど、アルボウイルスの輸血感染リスクを増大させる可能性があるという報告です。

18番は日本赤十字社からの報告ですが、ヒトサイトメガロウイルスに感染した極低出生体重児の塩基配列を調べたところ、輸血感染は否定され、母乳による伝播が確認されたという報告です。

19番はイギリスでの疫学研究報告です。最新のvCJDの輸血感染調査結果によると、18名のvCJD献血者の血液が医療機関で使用され、現在までに3症例のvCJDが発生していますが、2007年以降はvCJDの新規輸血感染症例は報告されておりません。また、sCJDは輸血感染のエビデンスがなかったと示されました。これに関して、山口委員からのコメントですが、「vCJDは輸血で感染する可能性が高い。しかし、輸血後のvCJDの発症リスクを正確に評価するには、輸血後どのぐらいレシピエントが生存していたかということも考慮する必要があるのではないか」とのコメントを頂いております。

20番は米国からの報告ですが、vCJD及びsCJD感染のリスザルからリスザルに輸血感染するかどうか、7年間観察した研究ですが、臨床的、免疫組織化学的及び生化学的検査においても所見を認められなかったとのことです。なお、ヒトゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病を発症させたチンパンジーの白血球をサルの脳内に接種すると感染したとのことです。

21番はノルウェーからですが、Trypanosoma cruziの感染経路に関する報告で、経口感染者の多くが高熱などの急性期症状を示したということです。

22番は米国からですが、コンゴ民主共和国におけるサル痘のヒト症例が増加しているという報告です。以上です。

○田野崎委員長 ジカウイルスの報告が引き続き多いですが、委員の先生方から何かコメントなどあればお願いいたします。

○岡田委員 ジカウイルスが水平感染するという現象は分かっていたのですが、解析すると精液中に非常に高いウイルスがいるということで、それを証明したような報告だと思います。実際、血中にウイルスが存在する期間は短いのですが、例えば2次感染とか3次感染を防ぐというのはかなり難しいですね。もちろん蚊と違って、ヒトの場合は1対1とか1対2とか、流行には大きくは寄与しないと思うのですが、感染は起こりますね。それは防ぐのは厳しいのではないかと思います。

15番の文献ですが、今までチクングニアウイルスの感染は、発症したときは非常にウイルス量が高いというのは知られていたのですが、発症する前のウイルス量が高いのか低いのか、そういうのが分かっていなかったのですが、この15番の論文で、発症する前であっても1.3×10^8という非常に高いウイルス血症が存在するということも初めて分かったと思うのですが、これは対策を取るときに役に立つと思います。

20番のvCJDのリスザルの感染実験なのですが、この実験からすると、それではvCJDは血液で感染しないのかと。感染しなかったりとか、非常に感染しにくいとかという結論になるのかと思いますが、数年前にヒツジを使って、ヒツジは大きいので、ヒトの血液と同じぐらいの量を輸血することができるのです。その実験をやると、vCJDは血液を介して、輸血を介して感染することが証明されていますので、動物の種類が変わると感受性が違ったりするので、この実験から感染しないからvCJDはしないというのは、なかなか言えないのではないかと思います。

21番のシャーガスなのですが、シャーガス病は普通は昆虫というか、サシガメを介して感染するというのが今まで信じられてきたのですが、これを見ると経口感染が高いというので、今まで想像されていたものとちょっと違うので、対策を取るときには非常に重要かなと思うのです。実は数年前に定期感染症情報に上がってきたのですが、南米の国で生ジュースを作るときにサシガメが入っていて、それがすり潰されて、それを飲んだ数十人が感染したという報告があったのです。そのときにはたまたまそうかなと思ったのですが、21番の論文を見ると、それが比較的多く起こっているのかということを裏付けたような報告だと思います。以上です。

○室井委員 日赤のサイトメガロウイルス感染症のことなのですが、母乳に含まれるサイトメガロのDNAの量は、血液と比べてどのぐらいの違いがあるのでしょうかということが1点です。もう1つは、母乳に関する感染なのですが、母乳の授乳回数と感染の関係がお分かりになれば教えてください。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 母乳の回数については、聴き取りがそこまではできていませんので分かりませんが、授乳している期間については我々のほうでデータがあります。こちらへの副作用報告を見たところでは、大体30日とか40日とか、そのぐらい。結局、症状がひどくなって、授乳もできなくなるまで授乳しているのが実態だろうと思います。ですので、数週間ぐらいは授乳しているという感じです。

 それから、その中のウイルス量ですが、ウイルス量ははっきり覚えていません。ただ、実際には分娩してから4週目から6週目辺りが、母体においては一番、母乳の中のウイルスが高くなると言われてはいます。ですから、その辺が一番危ない時期かなという感じがします。

○室井委員 1回の母乳で移るかどうかということは分からなくて、その辺はまだ曖昧だということなのですね。1回の授乳で移るかどうかということは曖昧であって、ある期間、授乳しているから移るのでしょうけれども、その辺はよく分かっていないと考えてよろしいのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 1回で移るかどうか、その辺はちょっと分からないですね。インフェクシャス・ドーズというのは、やはりどんな感染症にもあるかとは思いますけれども。

○大平委員 1114で、ジカウイルスのアメリカでの厳格な対応が求められているのですが、これについて日本ではもしこういう事態というのですか、緊急に対応しなくてはいけないような事態になったときの対応策というのは、何か日赤、あるいは当局のほうでも考えられているのかどうか、ちょっと教えていただきたいです。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 これについては、昨年の3月ぐらいの時点から厚生労働省の血液対策課とは協議を重ねまして、どんな事例になったときにどのような対策を取るかということはずっと相談してまいりまして、安全技術調査会でもそれは承認を頂いてやってきているところです。簡単に申せば、少なくとも海外からの輸入感染だけ、つまりエンデミックな日本国内での感染が起こらない時点では、おそらく問診レベルで十分だろうというところです。海外からの輸入感染が膨大な数になったとき、それから先般のデングのように国内でのエンデミックな感染が起こったときは、次のステップが必要だろうと。次のステップというのは、おそらく献血制限、そういった国内感染が起こった地域に関しての何らかの献血制限が有効であろう。大きく言えば、大体その2点です。それとは別に検査体制等についても、我々の中ではどのような体制が取れるかということは検討はしております。その辺があらましです。

○岡田委員 ジカウイルスを検出するようなNATのシステムなどというのは、供給というか、入手することは可能なのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 スクリーニングのシステムですか。

○岡田委員 はい。一応、最悪というか、最後の手段になると思いますけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 これについては、当然こちらでも関心がありますので、実際には全世界で去年、2メーカーがようやく作ったところですが、そこの試薬を我々も、少なくとも試薬が導入できるように、随分以前より交渉しております。実際手に入ると思いますが、実態はアメリカでとにかく喉から手が出るように、全ての血液センターがこれを必要としていて、残念ながら日本に回すものはないと言われているのが実情です。ただ、我々としてはそのルートは持っていますので、限定的なスクリーニングですが、もしやるとすればそれは可能になるようには努めています。

○岡田委員 それは一応、今の日赤のシステムに載るような試薬ですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうですね。これは個別NATですので、それはメーカーとも協議していますので、すぐに載ることはあります。

○田野崎委員長 ジカウイルスに関しては、今のところは妊婦に対するリスクということだけでよろしいと考えているのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そこがアメリカと我々の決定的な違いです。アメリカ以外の国とアメリカは全然違うところで、アメリカは全ての献血についてこれを行うということを宣言したわけですが、国際学会等では、日本も含め本当に誰がリスクがあるのか。今、先生がおっしゃったように、通常は我々は妊婦さんだけだろうと考えております。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。時間の関係もありますので、引き続き厚生労働省のほうでは感染症定期報告の収集等をお願いして、また適切な対応などに努めていただければと思います。

 次に議題2、「血液製剤に関する報告事項について」になります。遡及調査の進捗状況や副作用・感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況について、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料2-1を御覧ください。「供血者から始まる遡及調査の進捗状況」です。3ページに表がありますので、一番右下を御覧ください。今年度HBV、HCV、HIVについて、20プール検査(NAT)を行っていた頃の保管検体への遡及調査では、今年度に輸血感染が確定した例はありません。

 次に資料2-2、「血液製剤に関する医療機関からの感染者報告事例等について」のうち、今年8~10月に報告があった感染者報告事例のまとめを御覧ください。今回は疑い例を含めて21例ありました。HBVが6件、HCVが7件、HIVが0件、その他が8件でした。その他の内訳はE型肝炎が2件、サイトメガロウイルスが1件、細菌感染等が5件でした。なお、HBV、HCV、HIVに関して、輸血感染が証明された例はありません。まず、HBVがA3の横の紙の1ページの上から2番目と5番目の症例、3-16-00046及び3-16-00054の症例です。投与後検査の欄に、検出感度以下陽性又は検出感度未満陽性という報告が医療機関から上がってきており、このまま記載しておりましたが、正確には定量限界以下又は未満だったので、定性的には反応があって陽性であったということを補足させていただきます。

 次がA3横の紙の3ページの下、「輸血によるHEV感染報告例」です。1例目が3-16-00059という症例です。80代の女性で現在、原料血漿のHEVのスクリーニング検査をしている血漿分画メーカーからの報告を受けて遡及した結果、レシピエントのHEV抗体が陽転化していたことが、輸血から約1年後に判明した例です。ドナーの保管検体からGenotype3と判明しましたが、レシピエントにおいては既にE型肝炎ウイルスは排除されて抗体ができていました。ですから完全に排除されたかどうかは分かりませんが、塩基配列の比較まではできなかったということです。

 次に裏のページ、3-16-00061を御覧ください。これもGenotype3の症例で、血液腫瘍の治療を受けた50代男性の症例です。個別NAT陽性となった血小板を6月に投与され、その後、寛解導入療法などで2か月後の8月にALTが上昇し、検査の結果、IgAが陽性となった例です。9月ではRNA、IgG、IgMともに陽性でしたが、これはちょうど免疫反応が回復し、抗原抗体反応が起きていたことからALTが上昇したと予想されます。その後は特に治療はなく、自然治癒したとの報告を受けております。なお、この血小板は分割された血小板でしたので、もう1つの血小板製剤を遡及したところ、悪性腫瘍の患者に投与されておりましたが、感染はしていないという報告を受けております。

 次に「輸血による細菌等報告例」の中の1番目、3-16-00060を御覧ください。これは未熟児のサイトメガロウイルス感染の症例ですが、肝機能悪化を契機にCMV、RNA陽性が判明しました。輸血された3本の血小板の保管検体は全てRNA陰性でしたが、2本はIgGが陽性でした。また、この症例ではほかの方の母乳も投与されており、感染経路は不明とのことです。

 次のページの3-16-00062という症例を御覧ください。これは細菌感染が疑われて報告があった症例ですが、患者は死亡されていることから、別紙にまとめておりますので、資料2-2の3枚目、A3資料の1つ前のA4の縦の資料を御覧ください。症例は70歳の男性で、拡張型心筋症や糖尿病の既往のある方で、僧帽弁と三尖弁の手術を受けています。術中推定出血1,200mLに対し、手術当日に赤血球8単位、血小板は合計60単位、FFP480も5本が術中に投与されたとの報告を受けています。その後、アシドーシスの進行と肝不全を来し、翌日、エンドトキシン測定不能高値及び血液培養で大腸菌陽性でした。抗菌薬投与、エンドトキシン吸着療法などの集中治療にもかかわらず、術後4日目に敗血症性ショックで亡くなられています。

 4つの血小板製剤が疑われましたが、全て採血3日後の製剤で、日本赤十字社の検査では全て無菌試験適合しており、エンドトキシン検査も基準値以下でした。また、院内で実施された赤血球製剤のセグメントの血液培養も全て陰性でした。担当医からは「本剤との関連性は不明」とのコメントを頂いております。採血時には細菌の混入を低減するために初流血除去が実施されておりますが、今後も同様の症例のデータ収集に当たるとともに、原因の究明に努めると、日本赤十字社からコメントを頂いております。その他注目すべき症例などがありましたら、後ほど御意見を頂ければと思います。

 続いて、A4の紙の3ページです。横長の表になっている、「輸血用血液製剤で感染が疑われる事例について」という紙を御覧ください。これは平成2810月時点で、過去5年間のここに挙げた2例に関しては、前回報告からの変更はありません。さらに4ページは、北海道で行われている試行的HEV-NATの実施状況に関しての御報告です。表の下から2段目を御覧ください。平成28年1~9月は189,867名の献血者に対し、HEV-RNA陽性者数が90名、そのうち男性が80名、女性が10名で、陽性率は2,110件に1件ということで、0.047%でした。Genotype3型が71件、4型が13件、ウイルス量が少ないなどで検査不能であった例が6件でした。男性に関しては、前年度より多い傾向が見られております。抗体についてはIgM、IgGともに陰性であったのが61件、ともに陽性が20件、IgMのみ陽性はなく、IgGのみ陽性が9件でした。

 続いて資料2-3を御覧ください。「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」の1枚目は、献血者におけるHIV抗体陽性件数の表です。表の一番下の欄に、今年1~9月までの速報値を示しております。献血件数3628,227件に対して、HIV抗体陽性件数は28件、そのうち女性は3件です。なお、核酸増幅検査陽性者はおりませんでした。献血10万件当たりのHIV抗体陽性検体数は0.772で、前年よりも下がっている傾向が見られています。

 3ページは、都道府県別の陽性者数の表です。今期、特に急に増えている都道府県はありません。

 最後のページを御覧ください。献血者におけるHIV陽性者数の推移をグラフで表したものです。去年から引き続き減少傾向が続いております。以上です。

○田野崎委員長 それでは委員の先生方から、何か御意見があればよろしくお願いいたします。

○花井委員 細菌感染の死亡例の報告の件です。結局、これは院内感染が疑われるということになるのでしょうか。ほかを見ますと、この資料だけでは回収式自己血輸血とありますが、これも別にそんなにリスクのあることではないのでしょうか。分からないとは思うのですが、日赤としてはどう考えておられるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 確かに回収式は非常にリスクの高いものです。どのぐらいの汚染手術をやっていて、そこからの回収なのかは症例によって全然違いますので、それについては分かりません。この症例の経過は主治医の先生が書かれているように、原因等については非常に難しいですね。分かりません。先ほど院内とおっしゃいましたが、院内かどうか、何か手順や処置によるものか。本当に予期せぬ合併症であるのか。その可能性をこちらとしては考えておりますが、輸血製剤の細菌汚染でここまでなるということは、非常に考えづらいと言えるかと思います。

○田野崎委員長 私も臨床などをやっていますと、こういうことはよくあることです。輸血とは関係なく、敗血症や何かがあって、たまたま輸血もしていたという事例ではないかと思うので、余り因果関係を結び付けなくてもいいのではないかと思います。ほかにはいかがでしょうか。E型肝炎では、感染が確認されている事例が2例見つかっているということはあります。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 一応感染例ではありますが、1例についてはシーケンスのアイデンティティーは見られていません。しかし経過から、そうすることが妥当だろうということです。

○大平委員 「献血者によるHIVの抗体・核酸増幅検査陽性者数の年次推移」で、かなり低くなってきているのですが、これは日赤の対応などを含めての分析では、どのようなものが心当たりとしてあるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 私どもでは特に何も変化はありません。喜ばしいことではありますが、どこかに隠れて地下に潜ったという意味でもないのではないかと思います。ただ証拠と言いますか、データはないのですが、あり得るのは手紙と言いますか、自分で唾液等で判断して陽性が判定できる、そのキットの売行きが非常に関係したのではないかと。ですから、そういったところで分かっていく人が非常に増えてきているという可能性もあるかと思います。もちろん我々はデータを持っていませんので、確実なことは言えません。

○田野崎委員長 これに関しては諸外国の状況なども参考になるかと思います。

○岡田委員 北海道でE型肝炎のNATをやっていますが、Genotype4が検出された献血者が、その後どうなったかというフォローなどはされているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 北海道のセンターで見つかった人は、できるだけフォローをして、ウイルスレベルや抗体のカイネティクスを全部調べております。どのぐらい発症したかということも調べております。発症する人は非常に少ないですね。

○岡田委員 Genotype4に感染すると、かなり重症化すると言われていますが、実際に調べてみると、このウイルスが検出された方から発症する方はどうなのでしょうか。もちろん症例は少ないのでしょうけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全部整理したのですが、忘れました。調べられた限りでGenotype4のほうが、確かにALTの値が高かったですね。ただ、最高でも3,000弱だったと思います。

○室井委員 細かいことですが、B型肝炎の疑い例で、3-16-00043というA3の紙の一番上の症例がありますね。この方は投与前のB型肝炎関係の検査は、全部陰性であったのですが、投与後DNAが陽性になったけれども、日赤では全部陰性というように出ているのです。これはどのように考えるのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 医療機関でのDNAが陽性というのは、この値を調べてみますと本当にシグナルが出ただけのもので、定量的にはできないと。

○室井委員 つまり偽陽性だと。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 いや、こういった不一致が出るには、大きく2つの理由があります。1つは非特異、もう1つは極めてウイルスの濃度が薄い場合には、バイチャンスでサンプルの中にウイルスが入っている又は入っていない、そういったポワソン分布での差が出ますので、それで片方は陽性になるけれども、片方は陰性になる。ですから、どちらが装置の感度がいいかというのとは別に、余りにも薄いとサンプルの中にウイルスが入っているか入っていないかの差になりますから、そういった差で片方は陽性、片方は陰性と出る場合があります。その2つの場合があって、この場合もどちらかというのは分かりません。

○室井委員 もう1つは、同じページの3-16-00051という、やはりB型肝炎が疑われた症例です。この症例は抗原抗体も含めて、輸血前の全てのB型肝炎検査が陰性です。こういう例は先ほどのC型肝炎と同じように医原性と考えるのか、それともリアクティベーションと考えるのか、どういうように考えたらよろしいのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 これは抗原が。

○室井委員 抗原抗体とも全部陰性の症例に輸血をした後にDNAが出た患者で、やはり医原性で移ったのか、それともリアクティベーションと考えるかということだと思うのです。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それが定量できる値かどうかは分かりませんが、1つはこの場合のS抗体とコア抗体、特にコア抗体の値を見てみたいと思います。ネガティブとはなっていますが、ポジティブに近いようなネガティブですと、感染既往の本当に弱くなった最後の最後の時期であった可能性もあります。そうであるとリアクティベーションです。ただ、リアクティベーションも普通はきっかけがあります。起こしやすい薬剤とか免疫抑制の時期が必ず来るかと思いますので、そういったことがあるかどうかで総合的に判断することはできるだろうと思います。ただ、そこまでのデータを我々は持ち合わせておりません。

○田野崎委員長 それでは、よろしければ議題3に移りたいと思います。議題3は「日本赤十字社からの報告事項について」ということで、資料3の説明を日本赤十字社からお願いいたします。

○日本赤十字社豊田参事監 シャーガス病に対する疫学調査については、この委員会でも度々報告いたしております。陽性者についての変更はありません。8月21日をもって終了しましたので、最終のものとして御報告させていただきます。シャーガス病の安全対策については、平成2410月から下表の条件に該当する献血者の血液は、原料血漿のみとする製造制限を開始し、平成25年1月からは並行して、疫学調査として同意の得られた献血者の血液について、T.cruzi抗体検査を実施してきました。平成27年度第2回血液事業部会安全技術調査会において、シャーガス病に対する安全対策の日赤移行案が了承され、平成28年8月22日採血分から、その移行案を開始したことから、その前日をもって本疫学調査を終了し、その結果をまとめましたので御報告させていただきます。

 実施期間は平成25年1月8日から平成28年8月21日まで。中南米諸国の居住者が多い愛知・岐阜・三重・静岡のセンターを先行実施しております。全国的な実施は、平成25年4月23日からです。結果です。条件1、2、3に該当される方は3万8,690人、献血者の比率にしますと0.227%の方が該当しております。この3万8,690人のうち、疫学調査に御同意いただいた1万3,706人に検査を実施したところ、陽性者は3人でした。一番下の表で、3人の方の内訳です。世界的にも厳しい条件3に該当する方はいらっしゃいません。1あるいは2の方で、40歳の男性が2人、20代の女性が1人です。2人は初回で、1人は複数回やっておられます。病院のほうに行った血液は、全て感染は確認されておりません。以上です。

○田野崎委員長 委員の先生方から御意見等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございます。それでは議題4、「血液事業の実態に関する調査報告について」に移りたいと思います。事務局より資料4の説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料4-1を御覧ください。「平成27年度諸外国における献血血液の安全対策等調査の報告書概要」を説明いたします。この調査の目的ですが、献血血液のHIVに対する安全性向上のため、虚偽申告に対する罰則規定や血液の安全対策等について、諸外国の状況を調査することを目的としております。その経緯についてですが、平成25年に日本国内で発生した輸血によるHIV感染例の発生を受け、献血時の虚偽申告に対する罰則規定や、HIV等の供血血液の安全対策等について、諸外国の状況調査を開始しております。平成25年度はオーストラリア、平成26年度はシンガポールです。こちらは訪問調査を行いましたが、平成27年度のイギリス、フランス、ドイツについては外部の調査会社に委託して報告いただきました。調査項目にありますように、今回3か国の血液事業、献血制度、献血事業におけるHIV検査、MSMの献血適格要件、HIV感染者とAIDS患者に対する国家的な取組について調査を頂いておりますので、その概要を御報告いたします。

 裏のページに「まとめ」というのがありますので、そちらから御覧ください。今回、調査対象とした欧州3か国では、問診時に虚偽申告をした献血者に対する罰則規定は設けられていませんでした。また、性行為を通じて故意又は過失によりHIVを感染した者に対して訴追し、刑法が適用された事例等はありましたが、献血の問診時に虚偽の申告をした、又は虚偽の申告により受血者が感染症に感染したことをもって、刑事罰が科された例については確認できるものがなかったとのことです。

 検査目的の献血への対策としては、献血における問診票による注意喚起、医師による問診時に献血者へ説明して理解を得ること、正確な申告を確認すること等が重要ですが、更に検査や輸血後のヘモビジランス、HIV感染者に対する国家的な取組等を通じて、HIV感染に関する総合的な対策がなされております。これに関しては国別に比較したデータを添付しております。

 資料4-2は、各国の問診票となっております。日本語訳が最初にきていますが、後ろに原本が付いております。また、資料4-1の3ページからは表形式にしており、欧州3か国と日本との比較ができるようにしております。表1に関してはHIVの新規感染者数を比較した表です。表2は、献血におけるHIVスクリーニングの検査方法や、HIV陽性件数のデータを示しております。4ページが表3で、リスクのある献血者へどのように対応しているかという対応状況に関して、表形式で比較できるようにしております。表4に関しては、HIVの匿名検査の実施体制について調べていただきましたので、このように表形式にさせていただいております。以上です。

○田野崎委員長 これについて何か御質問やコメントなど、委員の先生方からあればよろしくお願いいたします。

○花井委員 これを見ると、イギリスは陽性率に対して成績がいいということになると思いますし、ドイツはやはりもう1つというようにも見えます。しかし一方で、この資料だけではどれが功を奏しているかが分かりにくいのです。もちろん問診で訊ねる最終リスク行動期間とか、いろいろ違いがあることは分かるのですが、イギリスでやっていることを全部まねたら良くなるわけでもないと思うのです。検査機会が多いことが効いているのかなと推察するのですが、今後、具体的にこういうことを踏まえてどうしていくかというのは、どういう感じでこれを活かしていくことになるのでしょうか。まずは日赤としてそれをどう考えるかということと、国としてどう考えるかということの両方を聞きたいのです。

○田野崎委員長 それでは日赤のほうから、御意見への御回答を頂ければと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 このデータを基にした、これからのアクションというような考え方ですか。

○花井委員 そうです。問診票をいじる必要があるかどうかという検討ですよね。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 問診票については表3にもありますように、本人確認は生体認証まで入っていますので、そこはかなり大きな1つのバリアになっているかと思います。それから、問診票の文言を変えるということについては、文言は欧米とほとんど同じだろうと思いますので、そこについて変える余地は余りないかなと考えております。もともとこのデータは、表1で見ますと10万人当たりの掘り出す率を見ております。もともと感染の多い地域ですと、それが高くなってきますので、この数字を我々が見つける効率が悪いと見るのか、もともと感染率が低いので低い値でいるというのか、そこのところは判断が難しいかと思います。答えになっていませんが。

○花井委員 国は、これを踏まえてどうされますか。

○近藤血液対策課課長補佐 訪問調査の後にこういう委託事業をしており、今年、またこのような調査を引き続きしていきます。去年も御報告したように、今年は北米と台湾を調査させていただく予定です。それら様々な国の対策を踏まえて、今後、総合的に問診票がどうあるべきか、更なる献血血液の安全性の向上のために何ができるかを議論していきたいと思っております。

○大平委員 こうした調査報告は大切ですが、これまで平成25年、26年とやってきた継続性とは大分違って、民間に委託するという形に変わったことは、どこからも何も聞いていなかったのです。前はそれを継続するということを委員会でも出されていたはずだったのですが、方向転換したわけですよね。そして民間委託にして、研究としてやるということになったのですかね。それで、この調査を見ていくと、表面的に見ているところが多分にあると思うのです。向こうの国の行政当局と、資料などでヒアリングをしたりしている形の報告が余り見えなくて、形骸的な感じがするのです。そこから日本がどういう学び取りをするか、生かしていくかというところは、本来ならば当事者と言うのですか、日赤の方や行政のほうでこれまでも続けていたような調査が必要ではないかと、今回の資料を見せていただいた中で感じました。花井委員もおっしゃいましたが、これをどう活かしていくかということは、もう少し考えたほうがいいのではないかと思っております。

○田野崎委員長 貴重な御意見をどうもありがとうございました。事務局におかれましては参考にしていただければと思います。これについて、ほかにはよろしいでしょうか。

○岡田委員 イギリスでは献血で見つかる場合と、それとは別の新規の患者が非常に多いということが分かりました。どうしたらこういう差が出るのか、ターゲットの国が分かったので、あとはその差が生じる原因を調べればいいということで、それはこれでいい結果だと思います。

○田野崎委員長 あと、HIVが実際に減ってきているというのもあるので、まだ分からないところが多いのかなとは思いますから、引き続きこういうことが形骸化しないような形で、慎重に進めていただければと思います。

○大平委員 規定の問題ですが、刑事的な加害行為と献血での行為の罰則を、もう少しきちんと評価したほうがいいのではないかと思うのです。自発的な献血の問題として、ここには全然触れていないのです。シンガポールなど、これまでの東南アジアやオーストラリアの報告では、そこはもう少し丁寧に、どうした背景があるのかということが出ていたと思うのです。その背景なども、きちんと調べていただけたらと思います。

○近藤血液対策課課長補佐 3か国の濃淡はありますが、報告書の本体に多少書いてあることもあったので、この業者の方ともう少しヒアリングのデータなどを共有してもらって、今後の検討材料とさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○花井委員 今は調査ということですが、岡田委員がおっしゃったように、大体ここが関連しているのではないかという仮説が幾つかあったら、研究班でも立ててもらって、本当にその仮説が効いているかどうか、原因はこうではないかというところで、しかるべきタイミングで調査から研究という形に移ってもらったら、もうちょっといいかもしれないので、そういうことも検討していただけますか。

○近藤血液対策課課長補佐 貴重な御意見を頂き、ありがとうございます。検討させていただきます。

○田野崎委員長 議題5「化学及血清療法研究所の血液製剤について」に移ります。本議題については、化学及血清療法研究所より参考人の方が出席されますので、事務局から参考人の御紹介と資料の説明をお願いいたします。

○金子血液対策課需給専門官 参考人の紹介をさせていただきます。本日は化学及血清療法研究所より、羽室強生産本部技術推進部部長に参加いただいています。それでは、資料5-1について、事務局から説明いたします。

 資料5-1の表は、化血研の血液製剤について、一部変更承認の取得後に出荷された製剤のロット一覧になります。コンファクトF、ノバクトM、献血ベニロン、ヒスタグロビンの4製剤、50ロットが出荷されています。

 続いて、化血研から、資料5--マル1からマル3について、説明をお願いいたします。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 資料5--マル1平成28年熊本地震における化血研の復旧状況について。平成28年熊本地震により被災された方々に、心よりお見舞い申し上げます。弊所の復旧状況につきまして、以下のとおり御報告いたします。

 1.当初の被災と復旧の状況。生産設備・機械等が被害を受けましたが、血漿分画製剤の生産設備は全て復旧が完了し、稼働再開しております。一部の製剤、アナクトC、ベニロン、献血グロブリン、バイクロット、コンファクトF、ノバクトM、ヒスタグロビンにつきましては、震災前より継続して出荷を行っております。

 2.震災復旧プロジェクトによる対応。復旧直後の4月16日に発足した震災復旧プロジェクトを中心に、引き続き製品の生産・供給体制の復旧を行っております。

 3.今後の対応について。今後の復旧状況につきましては、ホームページ等で公表していきます。各製品の生産・供給体制の復旧を最優先に取り組み、製品の安定供給の確保に努めます。

 続いて、資料5--マル2組織改編について。弊所は信頼性保証体制の改善及び医薬品システムの再構築、ガバナンス・コンプライアンス体制の抜本的見直しに向けた是正策の一環として、本年1031日付けで組織改編を行いました。組織改編の基本方針は2点です。内部統制・ガバナンスを強化し、コンプライアンス遵守をより徹底した組織体制とする。本部・部間管理の横串を通し、人事交流のしやすい組織体制とする。

 組織改編の内容は3点です。1つ目は、機能本部制の導入です。これまでの事業部門制を廃止して、各本部の基盤となる機能の集約化、責任の明確化を目的とし、機能を中心とした機能本部制を導入しました。2つ目は、新たな委員会等の設置です。ガバナンス・コンプライアンス体制の強化を目的とし、以下の4つの機能を新設しました。アドバイザリーボードは外部有識者からなり、経営方針や経営課題等について進言・助言を頂き、経営の閉鎖性、独善性、硬直化を防止し、経営の透明性、ガバナンス・コンプライアンス体制の強化を図ります。リスクマネジメント委員会は、事業運営の堅実化を目的に、リスクの顕在化防止及び適切な危機対応を図ります。コンプライアンス委員会は、コンプライアンスを遵守する企業風土の醸成と定着並びに社会的信用の向上を図ります。監査室は業務監査を行い、コンプライアンス違反行為の発見及び同行為への牽制を図ります。

 3つ目は、信頼性保証体制の強化です。医薬品メーカーとして高い品質の製品を確実に供給するため、製品の安全性、有効性、品質を保証する、信頼性保証本部を増員するとともに、外部から高い見識のある人材を登用し、強化しました。また、生産本部内に各製造部等を監視するサイトQA、品質保証部を設置しました。新しい組織図を裏面に示しています。

 続いて、資料5--マル3厚生労働省の報告命令等に対する対応についてです。以下、ホームページに掲載した内容です。弊所は、本年10月4日付けで、厚生労働省より受けた報告命令に基づき、製造販売承認書と製造実態の相違に関する調査報告書を12月2日に提出しましたので、お知らせいたします。

 本調査の結果、薬機法に違反して承認書と異なる製造を行っている、いわゆる齟齬は認められませんでした。なお、齟齬には該当しないものの、品質や安全性には影響を与えないと考えられる誤記等が認められましたので、厚生労働省の御指導を仰ぎ、適切に対応してまいります。

 注射用アナクトC及びバイクロットについては、市場在庫の状況と薬事的な対応が必要と判断された場合の時間軸を鑑み、今後の出荷について血液対策課様に相談させていただいた次第です。今後も弊所の製剤を御使用の皆様とその御家族、医療関係者の皆様をはじめ、関係される皆様に安心して弊所製剤をお使いいただけるよう、安定供給と更なる信頼向上のために改革を進めてまいります。弊所製剤を御使用の皆様とその御家族、医療関係者の皆様をはじめ、多くの方々に多大な御迷惑をお掛けしておりますことを深くお詫び申し上げます。

○田野崎委員長 追加で御説明はよろしいですか。

○一瀬血液対策課長 事務局から質問いたします。資料5--マル1に、「アナクトCとコンファクトFについては出荷を行っております」と書いてあるのですが、今のお話では市場在庫の問題があるということでした。どういう意味なのか説明いただけますか。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 バイクロットとアナクトCにつきましては、これまで例外的出荷を認めていただきましたロットを継続して出荷しておりました。ですので、資料5--マル1については、その2つについては例外的出荷ロットでありますが、それを継続的に出荷させていただいている状況です。

 今回、次のアナクトCとバイクロットについては、一変承認後のロットを準備して、出荷の準備を整えていたところですが、今回の調査報告書の中に誤記等が確認されたので、そのまま薬事手当を行って出したほうがいいのかどうかを審査管理課様と相談しておりますので、新しい次のロットについての出荷ついて、御相談させていただいているという状況です。

○事務局 医薬品審査管理課の者です。先ほど化血研のほうの話がありまして、報告では承認書と製造実態との誤記は、薬機法上の齟齬はないという話がありましたが、薬機法を司っている当省が、製造書と製造実態の関係を評価する所ですので、今後、化血研の報告内容とヒアリング等を通じて、詳細調査を行って判断していきたいと思っています。

 先ほど部長がおっしゃったように、今、懸念のあるものについても、今後報告等を受けて、どのような対応が必要なのかを検討していきたいと思います。

○花井委員 審査管理課の話は取りあえず置いておいて、こことしては12月2日にそれを出して、当局と見解が違っているのですが、血液事業部会的には、安定供給を心配しなければいけないので、今のようにおっしゃられても、いつ頃それがはっきりするのかがある程度読めないと、今後の供給についてどこまで心配したらいいかという問題があるので、難しいと思うのですが、もしまた業務停止命令などが出た途端に、ここが慌てることになるわけなので、今は一応化血研が2日に提出したと。よく精査してみるけれども、こちらの見解と違うようだという話になっていて、今日は1214日ですが、それはいつ頃にはっきりするのですか。次の命令を出すのはいつのタイミングかとか、次にもう一回調査に行って、1月の半ば頃には結論が出るとか、少し示していただかないと、年明け早々に供給の問題で運営委員会を緊急招集しなければいけないというのもつらいと思うので、どういう目途でいたらいいのですか。

○大平委員 本来、両方からの資料が出て、ここで審議するという話の状況なのですが、その資料が両方でいろいろと食い違っているのだとしたら、私たちの判断というのは付きにくいところがあります。厚生労働省の見解もきちんと示してもらわないといけないし、今、正式には4品目が出ているわけですよね。ここのロットとして、コンファクトF、ノバクトM、献血ベニロン、ヒスタグロビンが、一変で正式に認められて出ている製剤と認識していいのですかね。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 一変後で出荷している製品は、この4品目ということでよろしいです。

○大平委員 あとのアナクトCとかバイクロットの問題というのは、まだ緊急的な措置で出ているという状況の認識でよろしいのでしょうか。

○金子血液対策課需給専門官 そうです。昨年、今年の5月に一変承認を取得する前に市場在庫が逼迫しましたので、緊急的に出している。それで、毎月消化されるような製剤ではありませんので、昨年出したもので今の市場の供給を賄っているという状況になっています。

○大平委員 それで、こちらの誤記があったということで、一変にはできないという形で、待っているということなのでしょうか。

○金子血液対策課需給専門官 12月2日に出てきた報告書の内容は精査中なのですが、一方でこの2つの製剤についてはかなり需給が逼迫しているという状況がありますので、この後に資料5-3と資料5-4で、供給上の対応を説明させていただきたいと考えております。こちらの資料の説明をしてもよろしいでしょうか。

○田野崎委員長 そちらの説明を進めていただければと思います。

○金子血液対策課需給専門官 厚生労働省としましては、化血研の調査報告書の内容を精査した上で、アナクトCやバイクロットのように需給が逼迫しているような製剤につきましては、必要に応じて専門家による品質確認を行った上で、運営委員会で医療上の必要性を確認いただき、出荷を認める手続としたいと考えています。具体的には資料5-3と資料5-4で説明させていただきます。

 資料5-3を御覧ください。注射用アナクトCの在庫の状況等について、販社在庫の推定消尽時期は来年7月中旬となっていますが、成人の新規患者が出れば1度に80本使用されるために、欠品の可能性が出てきます。裏に移ります。品質及び安全性等の確認の状況については、化血研より報告された全ての項目について確認したところでは、以下の3点のとおりとなっており、製品の品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断しております。以上より、成人の新規患者の発病等により需給が逼迫しないよう、注射用アナクトCのロットNo.SC014を出荷したいと考えております。出荷した場合には運営委員会に速やかに報告し、また特定生物由来製品としての記録の保存や市販後調査の徹底を図ります。

 続いて、資料5-4を御覧ください。バイクロットの在庫の状況等について、販社在庫の推定消尽時期が来年の4月下旬に迫ってきております。品質及び安全性等の確認の状況については、化血研より報告された全ての項目について確認したところでは、以下のとおり、製品の品質及び安全性等に重大な影響を及ぼす可能性は低いと判断しております。裏に移ります。バイクロットについては、類似のバイパス製剤を用いた際には、医療上の重大な支障を来す場合があることから、そうした患者の治療に応えるために、バイクロットのロットNo.BY007を出荷したいと考えます。出荷をした場合には、運営委員会に速やかに報告し、また特定生物由来製品としての記録の保存や市販後調査の徹底を図ります。以上、資料について説明させていただきました。

○大平委員 こういう過程の中で、厚生労働省では化血研の問題というのは、まだ未消化な部分などいろいろあって、組織としてどうなのかというところが問われているというところと、この製剤を安定的に供給できるのかどうかというところも、私たちは大変関心を持っているところです。製剤の安定供給の面だけをこちらに託されているというだけでは、運営委員会としても化血研の在り方がどうなっていくのかということが心配なところもあって、全体の供給の問題と関わってくる問題と、それからまた献血の問題に関わっているところがあるので、ここはどのように厚生労働省と化血研で話合いになっているのか私たちには分からないところが多分にあるのです。もしいろいろな問題点があるのだとしたら、ここで厚生労働省と化血研でやり合っているような場面というのは、私たちも好ましくないので、公開ではなくていろいろな場面もあると思うのですが、そこで私たちも入っても結構ですが、いろいろと話合いはしてもいいのではないかと思うのです。

 私たちは、ユーザーの立場としては、安全で安定的に安心な薬を供給していただくというのが一番大きな問題で、それを保障するのは国の責任だと思うのです。ですから、そこは国も化血研も、どういうところが一番の問題点になっているのかは、遡ると昨年の、私たちから言わせると出たら目なデータの管理という問題があったわけですが、その後、経営を立て直していくということはあったけれども、全体としては組織として社会的にも、厚生労働省のほうも認め難いところがあるのだろうと思うのです。ですから、そこと安定供給をどのように、私たち患者のための製剤を供給していく責任としての問題点というのは、どういうところで折合いを付けていくのか。そこのところは是非よく話し合っていただきたいと思うのです。そうしないと、私たちも国民も、どうなっているのだろうと思われるし、企業の信頼性もなくなっていくところもあるでしょうし、そこが一番私たちとしても心配です。

 そして、こうした薬が十分に供給されないとなると、逆に国内需給の問題にもいろいろ関わってくるところがあるので、そこの根幹が揺らいでくるというのが、日本の血液事業、献血者の方々に大変不安を誘発するようなことだと思うので、そこは是非両方で考えていただきたいと思うのです。私の個人的な見解です。

○花井委員 先ほどの質問に答えてもらいたいと思うのです。大平委員の言ったことは私も同じ意見なのですが、当面、次に処分するかしないかというような話が出てくるとしたらいつ頃か、この関係であれば追加処分があれば、既にマスコミの報道だけでも、いろいろな医療機関において製剤が化血研を、主に免疫グロブリンですが、それがいろいろな所に影響しているわけです。これで、またいきなり私たちが知らないところで「処分が出ました」という話が急に出ると、たちまちのうちに、せっかく保険上の適応拡大した話を正常化しようと、血液事業部会としては、そのように危機対応して、今度は正常化できるかという絵を描いて進めているわけで、そこで大平委員が言ったような話で、そこまで細かい話は今は問題にしませんが、少なくともいつ頃にこの話の国としての方針が出るのでしょうか。こことしては心の準備が要ると思うのです。いきなり処分が出た瞬間に、たちまちそれが報道されれば、医療機関等で不売とまではいかないけれども、化血研の製品は信頼できないというムードがまた広がり、そのことによってほかのメーカーの供給に影響してくるし、場合によっては保険上の緊急対応をしなければいけないという話になりかねないわけであって、そこはどうなのですか。はっきり言わなくてもいいですが、まさか半年先などではないですよね。

○一瀬血液対策課長 審査管理課が申しますには精査中でありますので、まだ時期は申し上げられないということです。

○花井委員  分かって言っている部分もあるのですが、ここの運営委員会で、これまでも大平委員が言ったように安定供給のために様々な多くの時間を割いて危機を乗り越えてきている中で、時期は言えないのかもしれませんが、またその関係で、こちらは後から慌てるという、「尻ぬぐい」という言い方は適切ではないですが、やはり省内で連携しているのであって、不意打ちのような形で、供給大忙しで考えなければいけないというのは、非常に遺憾なので、もちろん課長は情報を聞いて、分かってやってくれているのであれば、それはそれでもいいのかもしれません。運営委員会としてはそれなりに努力もしている話なのだから、それなりの情報提供はしていただいて、こちらもそれに対して対応すると。だから、公開か非公開という意味で言えば、逆に言えば、委員の先生方だけには、「こういうことなので、年明けはこういう対応が必要になるかもしれない」とか、あらかじめそういうことをしていただきたいし、運営委員会の機能として、24時間血液の番人になると言って作った委員会でもあるので、そこは運営委員の先生方に対する当然のものではないかと思うので、重ね重ねお願いをしておきます。時期が分かりましたら、この辺だということでもいいですから、あらかじめ予告をしていただければ、こちらもやりようがあると思います。

○一瀬血液対策課長 ありがとうございます。審査する側としましても、きっちりと審査していかなければならないということで、ある程度の時間は要するわけですが、今、明らかになっているものがアナクトとバイクロットについては、なかなかそれが間に合わないだろうということで、そこがありますので、まずはまその2製品だけは例外的にというか、そういった形での出荷ができないかということで、流通担当として考えているところです。

○大平委員 例外的にその2品目について考えていくというのは、当然必要だと思うのですが、これがいつまでも続いていくような形というのは、以前の例外的な措置というのも、私たちとしては苦渋の選択というところがあったわけです。その後、また今回もそういう形を取らなくてはいけないのかというと、そこは化血研にもきちんと理解してもらったり、反省してもらうとか、そういうことも必要ですし、本来なら、もうそういう過程を取らないで正当に出荷できるような形を取っていただきたいというのが、委員会としてはそのような思いだと思うのです。個人的にはそう思います。

 ですから、できるだけどのような形がいいのかというのを、厚生労働省のほうもお考えがあったら、是非提示していただくとか、そういうことも含めて、運営委員会に是非提示していただきたいとお願いしたいと思います。

○一瀬血液対策課長 当然、我々もこのイレギュラーな状態がずっと続いていくのはおかしいことだと思っておりますので、厚生労働省としても化血研に対して、全ての製品をもう一回見直してくださいと、何も問題がないか確認してくださいということで、12月2日に御報告いただいたわけですので、それをしっかりと又は間違いがないように見て、それから判断していくことになると考えておりますので、できるだけ早くこのイレギュラーな状態を改善したいと思っています。

○田野崎委員長 ちなみに、ここで生じていた今回の相違の理由に関しては、以前とは違うわけですが、それに対する御説明は頂けますでしょうか。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 今回の10月4日の調査報告を受けて、これまでの承認書をベースに全ての実際の試験記録、製造記録に加え、試験に使う試薬、試液等の記録まで全て遡りました。35製品55品目、全ての資料として60万ページに及ぶものを、300人超で2か月間で調査した結果です。

 主に、試験系に使っている試薬、試液の規格が、承認書等の書き方の違いであったり、あるいは単純な承認書への転記の際の誤記が見つかったりということで、膨大な資料を改めて承認書のほうから全て調査した結果、こういった誤記等が見つかってしまったということです。

 言い訳がましくなりますが、実際にそういったところまで、これまでに時間をかけて十分に見れていなかったというのが、正直なところです。

○田野崎委員長 この運営委員会でいろいろと審議してきた過程において、以前の齟齬の原因というのは、故意に隠してということがあったと思うのですが、それで体制を全部見直した状況で、今回、現場のニーズに早急に応えるようにということでいろいろやったので、ある程度、そこで完全ではないということも出てきても仕方がないというようなことは、推察できると思うわけなのですが、それで今までの過程で何とか現場に間に合わせられるようにいろいろな製品が出されるようにということをやってきたわけなので、是非とも連続的に、これまでやってきたものの中で、厚生労働省と化血研との中で、また一から同じことをやり直すというよりは、是非とも今までの議論の過程を踏まえた上での、現場で困らないような対応を進めていただければとは、委員会としては思っているところです。同じような細かいものを、この製剤を一つ一つのバッチ、ロットについて、ここで議論していかなくてはいけないということになりますと、極めて効率の悪いことでもありますので、そこのところは少し御配慮いただきたいと、委員会としては私は思いますが、皆様の御意見もそういうことに近いのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。更に御意見がございましたらお願いいたします。

○室井委員 化血研の組織体制のことです。これは第三者委員会の意見を踏まえて、新たに構築したものと考えてよろしいのですか。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 そのとおりです。

○室井委員 資料5-2の後ろに図があるのですが、理事会、評議員会というのは、昔のメンバーというのは結構入っているのでしょうか。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 理事会は全て理事9人が退任しまして、新しい理事が外から3人入っております。評議員会についても、OBがいましたが、OBは全員辞めました。外部の方の一部は評議員を継続されていますが、今は評議員は全て外部の方で構成されています。いわゆる評議員と理事会並びに監事2名も外部から入っており、評議員会、理事会、監事は、全て外部の方で構成されています。

○室井委員 分かりました。

○大平委員 今、一般財団法人にしてみても、評議員の力というのでしょうか、評議員会がその組織を握っていく形に、法人の改革の中ではそういう位置付けになってきていると思うのです。

 ですから、理事の方は経営のほうでやられますが、組織をきちんと理事の専任から、評議員がかなり力を持って運営していくという組織にだんだん変わってきていると思うので、その評議員の方たちが適切なのかどうかというのは、私たちもよく見えないので、そこは化血研としてどのように。今回の資料では見せていただきましたが、本当に脱皮できていくのかどうかというところは、厚生労働省もまだそこが見えていないところなのだろうと思いますが、私たちの製剤も生産しながら、どのように組織を改変していくということを考えていかれるのか。今日は技術畑の方なので、経営の問題というのは難しいのかもしれませんが、そういうことを是非持ち帰っていただいて、一番ダメージを受けるのは患者のほうなので、その患者がダメージを受けないような形を取っていただけるように進言していただければと思います。

○化学及血清療法研究所羽室生産本部技術推進部長 かしこまりました。帰って伝えるようにいたします。

○田野崎委員長 そうしましたら、これまでの議論も踏まえた上で、事務局案のとおりに、アナクトCとバイクロットに関しては、このロットに関しては出荷するということについては、反対の方がいらっしゃればと思いますが、よろしいでしょうか。

 異論はないということで、そうさせていただきたいと思います。引き続き、今の貴重な議論を踏まえた上で御対応いただければと思います。厚生労働省においても、化血研のほう、方々指導しながら、出荷のタイミングなどに適切に対応していただきまして、調整を行い、実際に安定供給に支障を来すことのないようにお願いいたします。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 議題6の「CSLベーリング株式会社からの報告について」に移ります。本議題については、CSLベーリング株式会社より参考人が出席されますので、事務局から参考人の御紹介と資料の説明をお願いいたします。

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局より参考人の紹介をいたします。本日はCSLベーリング株式会社より代表取締役社長モランジュ・ジャン・マルク・ジュル、品質保証部長の内田早苗、サプライチェーンマネジメント部長の今村亮一、以上3名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。CSLベーリング株式会社から、資料6について説明をお願いします。

○CSLベーリング株式会社モランジュ代表取締役社長 CSLベーリング株式会社代表取締役社長のモランジュです。本日はお時間を頂き、誠にありがとうございます。この度、弊社製品「アルブミナー5%静注」で発生しました事象について、御説明いたします。CSLベーリングが製造・販売をしておりますアルブミン製剤、アルブミナー5%の一部ロットにおきまして、バイアルラベルのプリントにかすれが発生しました。それにより、国内の需要に見合う在庫量を確保することが一時的に困難になりましたが、対策を講じることにより、欠品について回避できる見込みです。詳細はこの後、説明させていただきます。

 製薬企業の使命である医薬品の安定供給に不安を招き、御不便をかけましたことを、この場をお借りし、深くお詫び申し上げます。今後このようなことのないよう、予防や改善に努めてまいります。今後とも委員の皆様には変わらぬ御指導、御鞭撻を頂きますよう、よろしくお願いいたします。

 続きまして、これまでの詳細について、弊社品質保証部長の内田、サプライチェーンマネジメント部長の今村より御説明させていただきます。

○CSLベーリング株式会社内田品質保証部長 品質保証部の内田です。私からはこれまでの詳細について説明いたします。バイアルラベルの印字かすれは、弊社海外製造所で製造、表示、包装されたものであったため、製品の選別及び再包装を、当該製造所で行いました。

 印字かすれの原因として、3つを考えております。まずは印字に用いたインクのリボン、2つ目は包装工程中に発生するバイアル瓶や機器の部品との接触、3つ目は輸送中に発生する個装箱との摩擦です。

 是正措置として5つ実施しました。まず、インクリボンを摩擦に耐久性の高いものに変更しました。また、このリボンについて、摩擦耐久性試験を追加しました。

 また包装ラインのバイアル送りの速度を減速し、機器の部品の再調整を行いました。個装箱包装後に目視試験の工程を追加しました。

 以上、全ての是正処置の実施後に表示及び包装したロットについてサンプリングを行い、目視検査を行ったところ、印字かすれは認められませんでした。以上が私からの説明になります。次は欠品対策について、サプライチェーンマネジメント部今村より説明いたします。

○CSLベーリング株式会社今村サプライチェーンマネジメント部長 サプライチェーンマネジメント部の今村です。これまでに弊社が行ってきた欠品を回避するための対策を御説明いたします。まず、本件についての対策本部を弊社内に設置しました。印字かすれのあった17ロットのうち、既に日本に入荷していた10ロットについては最短のスケジュールにて海外製造所に送り返し、対応いたしました。7ロットは日本への送品前でしたので、そのまま海外製造元で対応しました。国家検定の開封日から製品の出荷日までは、通常では36日を見込んでおりますが、本製品の製造を最優先に取り組み、最短で14日に短縮しました。

 次に弊社外で働き掛けた対策について説明いたします。9月30日に各卸へ本製品の出荷調整についてお知らせを発出し、卸内在庫数量を可能な限り抑制するとともに、各卸における在庫の偏在をなくすよう対策を講じました。また、一般社団法人日本血液製剤機構及び日本製薬株式会社の供給協力の下、本製品が採用されているうちの一部施設で、代替製剤への切り替えを依頼させていただきました。

 加えて、等張アルブミン製剤の適正使用推進のお願いについて、11月1日より本製品を使用している1,205件に対して、弊社医薬情報担当者が訪問しました。全ての案内活動は1118日に完了しました。

 今後の供給の見通しについて御説明いたします。弊社が供給しているアルブミン5%製剤の消化量は月平均で約3万6,000本です。12月に約3万2,000本を弊社から出荷予定です。不足する分に関しては、他社からの供給でカバーできる見込みです。来年1月には4万2,000本出荷と、弊社製品の必要供給量を上回る出荷数量を計上できる見通しが立ちました。このことにより在庫は欠品にはならないと考えております。弊社からの説明は以上です。

○田野崎委員長 委員の皆さんから御意見をお願いいたします。我が国では非常に多くの施設がアルブミナーを使っていますので、影響が多大であると身を持って感じております。

○岡田委員 このかすれが発生した率は、1ロットで何パーセントぐらいあったのですか。

○CSLベーリング株式会社今村サプライチェーンマネジメント部長 25%程度でした。

○岡田委員 本来であれば、外観試験か何かをやっていれば、製造元でかすれが、しかも最初のロットで気付いて、あとのロットは貼替えさなくても済んだと思いますが、そういうのは今まで事例がないということで目視検査等はやっていなかったのですか。

○CSLベーリング株式会社内田品質保証部長 今回の件より以前に同様の事象はありませんでしたので、目視試験は行っておりませんでした。

○田野崎委員長 今回かすれがあった程度のものは日本では不合格だが、ほかの国では問題がないということはなかったのですが。

○CSLベーリング株式会社内田品質保証部長 各国によって規制が異なっておりますが、私どもとしては、日本の規制に見合う、日本の基準に見合う製品を製造すべきと考えております。

○田野崎委員長 先ほどインクのかすれとか、そういうことを言われたわけですが、出荷する際に、日本の基準を満たすものだけ、日本にちゃんと回していただけるということは可能だと考えているのか、実際には多少なりともラベルの読み取りが悪くても問題がないという国もあるのではないか。先ほど言われたように、日本の基準とほかの国では少し違っている可能性があるのではないかと私は思うのです。それを日本の基準と同じように海外の企業に要求することがどこまで可能なのかということに関してはいかがですか。

○CSLベーリング株式会社内田品質保証部長 既に是正措置を実施しまして、日本の基準に見合うべく改善を続けております。今後も日本の基準に見合う製品を供給すべく努力してまいります。

○大平委員 お伺いします。こういう事故が発覚してから当局に相談するまでの日数というか期間は、ここに書いてあるところから弾き出さなければいけないのですが、9月2日に血液対策課に相談しているという、そこから始まるのですか。発見までの期間というのが本当にどのぐらいだったのかというのは、実際にここに記載されているだけで、それが正確と考えていいのですか。

○CSLベーリング株式会社今村サプライチェーンマネジメント部長 資料に記載されている内容は間違いありません。

○大平委員 そうしますと、アルブミンの製剤というのは、市場としては大変大きいので、そこは早く手を打つということを考えていただかないと国内でのいろいろな準備もかなり時間が掛かると思います。ですから、そういった面で、今回はもう起きてしまったことですが、できれば早い時期に報告していただいて、最善の方法を取ることが是非望まれるのではないかと思いますので、よろしくお願いします。

○田野崎委員長 ほかに御意見はよろしいですか。そうしましたら、参考人におかれましては、ただいまの意見を踏まえて、アルブミナーの安定供給のための対応をお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

 それでは、議題7、「バイエル製品株式会社からの報告について」に移らせていただきます。本議題については、バイエル製品株式会社より参考人が出席されますので、事務局から参考人の御紹介をよろしくお願いします。

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局より参考人の紹介をさせていただきます。本日はバイエル薬品株式会社より廣田治信頼性保証本部品質統括部長、山本倫行メディカルアフェアーズ本部ファーマコビジランス部長、以上2名に参加いただいております。よろしくお願いいたします。

 バイエル薬品株式会社から、資料7について説明をお願いします。

○バイエル薬品株式会社廣田信頼性保証本部品質統括部長 バイエル薬品の廣田治と申します。本日はどうぞよろしくお願いします。この度は患者の皆様方、医療関係者の皆様方に御心配、御迷惑をお掛けしたことを、心よりお詫び申し上げます。本年10月3日より弊社の遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤「コージネイトFSバイオセット」の一部のロットの自主回収を行っております。本日はその進捗の状況を御報告いたします。資料7の説明に移ります。

 まず1の「医療機関及び薬局へのお知らせ及びお詫びの伝達の状況」です。10月3日より自主回収を開始し、1031日には対象の医療機関、並びに薬局への伝達を完了しました。順次、患者まで伝達されています。

 2の「自主回収の実施状況」です。回収数量は各容量4容量あって、250IU、500IU、1,000IU、2,000IUにより、0.1か月から4か月分と予測しておりましたが、11月までの回収状況から考えると、予測より少ない数量になると考えております。11月末の時点で、約4,300を回収しています。

 3は「自主回収開始後の在庫・供給状況」です。回収・交換する代替え数量が予想より少量だったことと、改善後の製品の輸入が順調であることから、弊社において十分な在庫量を確保できており、安定供給に支障を来す兆候は見られておりません。

 4は「弊社への問合せ状況」です。自主回収開始同日から回収専用のコールセンターを開設しており、11月は24時間体制で問合せ対応をしました。11月末現在までに問合せ件数は74件で、問合せ元は医療機関関係者から約80%です。内容としては、返品・代替方法等の流通関係が約80%でした。なお、11月に入ってからは週に1~3件程度の状況で、問合せは収束に向かっていると考えております。

 5は「安全性に関する状況」です。グローバルの情報を含め、回収対象ロットによるインヒビター、出血の増加や特記すべき安全性の懸念は認められておりません。また、回収対象ロット以外も含めたグローバル全体でのインヒビターの発生傾向は、過去のばらつきの範囲内です。自主回収開始後に全ての副作用や出血事象報告が、一時的に増加しましたが、10月の報告数は減少しており、回収によって報告が喚起されたと推定しております。

 6は「第VIII因子の活性のモニタリング状況」です。回収対象ロットについて、国内の参考品の力価を継続的に試験しております。回収開始後1.5か月を経過した時点で規格値、表示力価の80%を下回るに至ったロットが2バルクロット、4包装ロットに認められました。以上です。        

○田野崎委員長 以前の臨時運営委員会での報告後の現状報告ですが、委員の先生方、何か御意見があればと思います。

○花井委員 まず回収量が予測より少なくなっているのは、結構使われていたということですか。

○バイエル薬品株式会社廣田信頼性保証本部品質統括部長 通常は医療機関に1か月分、市場の卸に1か月分と考えておりまして、実際の患者の手元にある数量が我々としても予測しにくいところでした。そこを少し多めに予測していたのも影響していると思います。

 先週から今週の状況を申し上げますと、0本の日もありますし、5本、6本とか、10本以下が続いており、回収に関しては、ほぼ収束かと考えております。

○花井委員 いろいろ現場を聞いていると、割とうまく回収も順調に行っていると伺っていますし、そちらの説明も大体行き渡っていると伺っています。資料の6ポツを見ると、アウト・オブ・トレンドは規格外になってしまったということで、アウト・オブ・トレンドをさっさと回収の決断をするのは結果としては正しかったということが、これで明らかだと思います。

 これは行政へのお願いですが、今回、最終的にはバイエル薬品は、割とリカバリーをうまくやって対応されたと思いますが、最初の段階でちょっと混乱があったのは、情報が少なかったというのがあります。いろいろ聞いてみますと、自主回収の場合、最初は監麻課で前裁きをすると伺っており、そのときにある程度国のほうで自主回収で何が起こったかということは、多めに聞いて出していただいたほうが今後はいいかと思います。というのは、PMDAのページを調べると、そんなに情報は載っていないのですが、制度上そうなっているようなので、最初の段階で本省からこのぐらいの情報を出してくださいという指導をすれば、それをそのままPMDAのホームページに載せられ、それをこちらが見られるということになります。自主回収と言っても、クラス2なので、完全に安全というわけではないので、今回、何が一体起こったのかというのが非常に心配事としてあって、自主回収の情報については、厚労省で是非、メーカーに多くの情報を提供するように指導していただいて、それを最初に出していただければ、回収に至るまでのプロセスも、かなり円満に行ったのではないかと思うので、お願いしたいと思います。以上です。

○田野崎委員長 貴重な御意見ありがとうございました。

○大平委員 回収は花井委員が言われたように順調に行っているのだろうと思いますが、残念ながら、ほとんど使ってしまった人が、私の周辺でも多いので、もう残ってないという人が結構います。ですから、情報をもう少し早く出していただいて、発表された段階では病院単位でかなり早い対応を取っていたとは伺っています。ですから、発表の速度は、問題が起きたときに早く出していただくというのはリスク管理としては重要なのではないかと思います。

 あと、もう使ってしまった人が結構いるので、その後フォローとして、血栓止血学会とか、そういう所でもインヒビターの問題は結構多発しているというところで問題が多いので、これとの関係はよく分からないのですが、フォローしていっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○田野崎委員長 あとはよろしいですか。そうしましたら、参考人におかれましては、ここで議論した内容を参考にしていただいて、血液製剤の安定供給に支障を来すことのないように、引き続き対応をお願いします。どうもありがとうございました。

 それでは、最後の議題8「その他」について、事務局より説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局よりその他の議題に関して説明いたします。まず、参考資料として、「ワクチン・血液製剤産業タスクフォース、顧問からの提言」を配布しましたので、御参照ください。

 今後、この提言を基に、関係する審議会で御議論いただくために、現在、厚生労働省で必要な項目を整理しております。血液事業に関する事項に関しては、こちらの会議に御相談させていただく予定です。

 あと、資料8に関して説明いたします。平成25年度に実施したフィブリノゲン製剤納入医療機関の書面調査結果についてですが、既に平成28年1月29日付けで公表していたところです。この度、平成281130日時点での調査結果内容ですが、変更はありません。以上で説明を終わります。

○田野崎委員長 委員の先生方から、御意見があればお願いします。

○大平委員 タスクフォースの提言の中のここに書かれている中で、血液製剤について、どこの部分に入るのか分かりませんが、過去の反省が記載がないのです。ですから、そこはきちんと書いておいていただいて、その下に血液事業をどうしていくかというのは、一番大切な部分だろうと思いますので、そこをきちんと説明していただきたいと思います。

○田野崎委員長 ほかにいかがですか。

○室井委員 タスクフォース顧問からの提言とありますが、タスクというのはある命題に関して解決するために作られた組織だと思います。それに関して顧問が付くというのは違和感を感じるところですが、行政でタスクを作って、なおかつ顧問を置いて、両者で提言を作っていくというプロセスは結構あることですか。

○一瀬血液対策課長 よくあるかどうかは定かではありませんが、今回は顧問がいらっしゃって、専門家としての御意見を承って、こういう形で取りまとめているということです。

○室井委員 顧問の方はタスクのメンバーではないということですか。

○一瀬血液対策課課長 今、タスクフォースの設置要綱を手元に持っていないのですが、顧問は構成員としては記載されていなかったと思います。顧問として別に書かれていて、それはタスクフォースの構成員ではありません。

○花井委員 まあ、様々違和感は感じつつ、顧問と言われて、本当はここは次官トッブのタスクフォースだから、本当は、次官、局長の皆さんがメンバーなので、次官、局長名で、顧問からの意見を踏まえて、提言を出すということならばそのはずだったのですが、そんなにたくさん開かれていませんし、現実には顧問の意見を取りまとめたとなっているので、こういう形で出すと。タスクフォースのメンバーがそう決断したということになっています。大平委員が若干指摘していましたが、だから、このとおり血液をやらなければいけないというところまでも議論しているわけではないので、こういう大臣の私的諮問機関でこういう議論があって、このように取りまとめられたものと顧問としても受け止めています。これが例えば、経済財政諮問会議閣議決定みたいな扱いと同様なもののようにはなっているという認識は、出した顧問も思っていないのではないでしょうか。

○一瀬血液対策課長 正にそのとおりでして、この提言を大臣から発表したときに、大臣は、この提言を受けての具体的な話はそれぞれ関係の審議会で検討するという発言をしていますので、血液事業に関してはこちらの会議に検討をお願いすることを予定しています。

○田野崎委員長 よろしいですか。私は余りよく分からなくて、タスクフォースというのが、ある期間に何か具体的なものを成し遂げる、そのプランなどもちゃんと作ってということではないかと思っていたのです。例えば、血漿製剤1つを取っても、今、国内需給などに本当は向いているのかどうかということについては、現場から見ると、全くそういう方向に向いてないかのように思われていて、実際に厚労省の指針などには国内需給というのを昔からうたっているわけですが、改めてここに同じようなことが書いてあって、実際にタスクフォースという中で、それを言い換えて何か本当に変わっていくのだろうかというのが、よく見えないというのが正直なところです。

 今回、化血研の話なども踏まえて、タスクフォースが立ち上がるからということで、ちょっと期待をしていたところがあったのですが、余り一般的な今後の方向性の提言みたいな形で概論で止まっている感じがあると個人的には思ったのですが、今後より実効のある形に持っていっていただければと思います。

 よろしいですか。時間が延びてしまいましたが、本日の議題は全て終了しましたが、ほかに御意見はありますか。

 それでは、事務局に議事を戻したいと思います。よろしくお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 田野崎委員長、どうもありがとうございました。次回の運営委員会の日程は別途御連絡したいと思います。

 本日は長時間にわたり、委員の皆様、本当にありがとうございました。これにて平成28年度第4回血液事業部会運営委員会を終了いたします。


(了)

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