ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 平成28年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録(2016年11月4日)




2016年11月4日 平成28年度第7回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

医薬・生活衛生局安全対策課

○日時

平成28年11月4日(金)17:00~


○場所

厚生労働省12階専用第12会議室


○議事

○事務局 定刻になりましたので、平成 28 年度第7回医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催いたします。本日、御出席の委員、参考人の先生におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りにつきましては、議事に入る前までとさせていただいております。御理解、御協力のほどをお願いいたします。傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠ですが、柿崎委員が御欠席ではありますが、安全対策調査会委員4名の御出席を頂いておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。また、今回は参考人といたしまして、福岡歯科大学全身管理部門総合医学講座小児科学分野教授の岡田先生、川崎市健康安全研究所長の岡部先生、東京大学大学院医学系研究科国際生物医科学講座教授の水口先生、国際医療福祉大学病院長の桃井先生に御出席いただいております。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事進行につきましては、五十嵐座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 では、早速、議事をこれから始めたいと思います。事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加について御報告いたします。本日、御出席の委員及び参考人の方々の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況を御報告いたします。

 本日の議題に関して、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認いただいておりますが、五十嵐委員よりグラクソ・スミスクライン株式会社から 50 万円以下の受取、遠藤委員より中外製薬株式会社から 50 万円以下の受取、望月委員より中外製薬株式会社から 50 万円以下の受取、岡田参考人より塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社、中外製薬株式会社から 50 万円以下の受取、岡部参考人より塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社から 50 万円以下の受取、水口参考人よりグラクソ・スミスクライン株式会社から 50 万円以下の受取と申告いただいたほかは、受取の申告がありませんでした。

 よって全ての委員におかれまして、意見を述べ議決に加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても意見を述べることができます。これらの申告についてはホームページで公表させていただきます。審議参加に関する遵守事項については以上です。

○五十嵐座長 ただいまの御説明につきまして、何か御質問等ありますでしょうか。では、御了解いただいたものとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、競合品目、競合企業の妥当性を含め、皆さんの御了解を頂いたものといたします。

 それでは、事務局から今日の配布資料について、御説明お願いいたします。

○事務局 議事次第の次に配布資料の一覧がありますので、そちらを用いて御説明いたします。資料一覧の次に、委員・参考人一覧という1枚紙、その次に、資料1「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究」というパワーポイントの資料、資料2は横紙として「オセルタミビルリン酸塩の研究報告について」、資料3「オセルタミビルリン酸塩の国内副作用報告状況」、資料4「ザナミビル水和物の国内副作用報告状況」、資料5「ペラミビル水和物の国内副作用報告状況」、資料6「ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の国内副作用報告状況」。

 参考資料1「リン酸オセルタミビル ( タミフル ) について」、参考資料2「抗インフルエンザ薬の処方患者の推計」、参考資料3「抗インフルエンザウイルス薬の添付文書」、参考資料4は委員限りとなっておりますが、資料2で示したオセルタミビルリン酸塩に関する文献、最後に、競合品目、競合企業リストになります。配布資料につきましては、以上です。漏れ・落丁などがありましたら、お申し出ください。

○五十嵐座長 皆さん、よろしいでしょうか。では、抗インフルエンザウイルス薬について、これから審議したいと思います。まず、事務局から経緯並びに抗インフルエンザ薬の使用量についての御説明をお願いいたします。

○事務局 経緯及び抗インフルエンザウイルス薬の使用量につきまして、参考資料1及び参考資料2を用いて御説明します。まず、経緯ですが、参考資料1の3ページ目を御覧ください。

1 つ目の○ですが、一般名リン酸オセルタミビル、販売名タミフルは、平成 12 年に承認されました。

 2つ目の○ですが、平成 16 年に添付文書の「重大な副作用」の欄に、「精神・神経症状」があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うことを追記しております。

 3つ目の○ですが、平成 19 年2月に、タミフルを服用したと見られる中学生が自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという事例が2例報道されたことから、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、特に小児・未成年につきましては、タミフルの処方の有無にかかわらず、異常行動のおそれがあることから、自宅において療養を行う場合、 ( ) 異常行動の発現のおそれについて説明すること、 ( ) 少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮するなど、医療機関に注意喚起しております。

 4つ目の○ですが、さらに同年3月に、タミフル服用後の 12 歳の患者が2階から転落し、骨折するという報告が2例あったことから、添付文書の警告に、 10 歳以上の未成年の患者には、ハイリスク患者と判断される場合を除いて、原則、使用を差し控えること、及び、先に述べた小児・未成年者への予防的対応を追記するとともに、緊急安全性情報を医療機関に配布し、さらに医療関係者に注意喚起を行っております。その後、タミフルと異常行動との関係につきましては、動物実験、疫学調査などが行われ、その評価が行われました。

 参考資料1の1ページに戻り、3つ目の○を御覧ください。その結果として、2つの疫学調査の解析により、タミフルの有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴い発現する場合があることが、より明確になりました。一方で、この対策を変更する積極的な根拠も得られていないことから、現在の安全対策を継続することが妥当とされております。

 その後、本調査会にも定期的に御報告いただいておりますが、岡部参考人にインフルエンザ罹患時の異常行動について調査をお願いしており、昨年 11 月にもその後の結果を御報告いただいております。岡部先生の研究班では、抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無、種類にかかわらず異常な行動が観察されており、引き続き抗インフルエンザ薬について従来どおりの注意を行うことが妥当とされております。以上が全体的な経緯です。

 続いて、処方量についてですが、参考資料2を御覧ください。1ページ目は各製造販売業者が、日本医療データセンターのデータベースの情報等を用いて作成した昨シーズンの抗インフルエンザウイルス薬の使用状況についてまとめたものです。 2015/2016 シーズンですが、抗インフルエンザ薬の処方については、表を縦に見ていますが、全推定処方者数は、一般名オセルタミビルリン酸、販売名はタミフルですが、全推定処方患者数を見ると約 305 万人、一般名ザナミビル水和物、販売名はリレンザが約 255 万人、一般名ペラミビル水和物、販売名ラピアクタが約 29 万人、一般名ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、販売名イナビルについては約 392 万人が全体として処方されております。このうち、年齢別の処方数ですが、0~9歳ではタミフルが約 147 万人、リレンザが約 101 万人、ラピアクタが約3万人、イナビルが約 47 万人となっております。

 また、 10 代の推定処方患者数はタミフルが 8.5 万人、リレンザが約 81 万人、ラピアクタが約4万人、イナビルが約 105 万人となっております。 10 代につきましては、イナビル、リレンザがタミフルに比べて処方数は多くなっております。この傾向につきましては、タミフルの添付文書の警告欄に、 10 代での投与を控えるように記載された、 2007/2008 シーズン以降、継続しております。処方量や傾向等についての説明は以上です。

○五十嵐座長 最初に、事務局の御説明に何か御質問等ありますか。よろしいですか。それでは、資料1のほうにまいります。インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究、 2015/2016 シーズン報告ということで、今日は岡部参考人から御説明をしていただきたいと思います。岡部先生、よろしくお願いいたします。

○岡部参考人 川崎市健康安全研究所の岡部です。どうぞよろしくお願いします。今日は参考人として御説明するのはお手元に資料1として配布されているものですので、そちらを見ていただければと思います。今、事務局から御紹介がありましたように、商品名でいえばタミフル使用後の重大な飛び降り等の異常行動があってから現在まで毎シーズン、毎シーズン、インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究ということをお引き受けしております。AMEDで現在は研究費の配分を受けておりますが、結論から言うと、結果は大体毎年同じで、今回も全く同じですので、概要だけ御説明したいと思います。

 資料1、スライドでいうと2番、下の2ページになりますが、研究班の構成は、ここにありますように、大日先生、谷口先生、宮崎先生、桃井先生にお願いしております。

 9ページ、報告の内容ですが、これは同じことですので省略しますが、スライド番号でいうと5ページがインフルエンザの患者の報告数で、先シーズンは立ち上がりは遅かったけれども、いつもよりむしろ多いぐらいのインフルエンザの発生状況であることが分かります。

 スライドの枚数が右下にあるので、そこを見ていただければと思いますが、7枚目、8枚目で今までの調査概要が書いてあります。調査は、異常行動があった場合に私どもの方に教えていただくということになるのですが、重度であることについては全ての医療機関にお願いして、ここにあるような、飛び降り、急に走り出すなど、制止しなければ生命に影響が及ぶ可能性があるというので、放っておけば危ないということについて、インターネットあるいはFAXで教えていただくということを、全ての医療機関に厚生労働省から通知という形でお願いしてあります。

 報告基準はインフルエンザの届出と同じことですので、それに基づいたインフルエンザ様患者ということにしております。スライドの 10 枚目になりますが、服用した調剤の調査方法の変更について、これは今まで「不明」という所が非常に多かったのですが、枠で囲った左側にあるように、これまでは薬剤ごとにそれを使ったことがあるか、ないか、不明だと。例えばタミフル「有」「無」「不明」と書いていたのですが、これが薬ごとであったために「有」という所だけ記載があって、その後については「無」又は「不明」という所の記載がないため、これを「不明」という所に分類してしまったのが今まででした。

 それを右側の調査表に書いてあるように、最初に抗インフルエンザウイルス薬を使いましたか、「はい」「いいえ」「不明」、それでその場合の薬は何ですかというような聞き方に直したものが先シーズンの変更点になります。

 重度というものの報告の分析がスライドの 11 枚目から始まるのですが、図 2-1 、異常行動の ( 重度 ) の発熱週と発生動向調査、これは流行に一致しているということで、今までと全く同じであります。スライド番号 14 枚目になるのですが、患者の年齢は大体小学校に入る手前辺りから起き始めて年齢が大きくなるごとにだんだん少なくなってくる。平均値が 8.98 歳で中央値が8歳という辺りが昨シーズンです。

 スライドの 15 枚目、図3 - 2ですが、これは毎シーズン全くといっていいぐらい同じ状況にあります。それから、性別について、図4 - 1、スライドの枚数 16 になりますが、男性のほうが多い、女性のほうが少ないということも、右側の図4 - 2に毎シーズンのものが書いてありますが、従来と全く毎年同じような傾向であることが言えます。男の子で幼稚園ぐらいの年齢からこういった異常行動が見られるといっていいと思いますが、これを年齢の高い5歳で切って、それより手前か年長かで見ても、この点について性差というものは余りないということがあります。

 少し進めていただいて、表2になると、発熱から異常行動発現までの日数になりますが、その多くは発熱後1日から2日目に生じており、何日もたってから出るものではないということ。それはタミフルであっても、ほかの抗インフルエンザウイルス薬であっても、ほぼ同様の傾向があるということになります。最高体温が図6 - 1にありますが、これについても中央値 39.5 度という、かなり高い体温であったということがあります。これも年齢によって多少違うことがありますが、ほぼ高熱のときに起きる傾向は同じであります。

 次のページで図6 - 1、スライド番号の 23 24 、ワクチン接種の有無になりますが、これも大体毎年同じ傾向で、少し年によって差はありますが、大半がワクチン接種を受けているということで、先シーズンについていえば、 72 %が接種を受けていたということになります。小児ですので、2回接種を受けており、赤い色のほうは1回接種になり、色の薄いのが 18 %で接種なしということで、毎シーズンの状況は下の図6 - 2を見ていただければと思います。

 右側の図7 - 1、これはさすがに日本だなと思うのですけれども、迅速診断キットについては、報告のあったものの 100 %についてこれを行っているということがありますので、少なくとも、インフルエンザウイルス感染の証明ができている人に対する報告であったと言えると思います。これも多少のプラスマイナスはありますが、毎シーズン同じ傾向であります。

 図8 - 1、スライド番号 27 28 ですが、これはA型かB型かの分類です。迅速診断キットですからAとBまでしか分からないのですが、先シーズンについていえば、A型についてが 61 %、B型についてが 33 %、不明というのもありますが、この傾向はそのシーズンのインフルエンザの流行状況によって当然ながら異なるわけですが、インフルエンザの流行のウイルス株が変わっても全体の傾向が余り変わっていないというのも、これまで通して言えることと同じだと思います。

 図9 - 1が異常行動と睡眠の関係でありますが、 29 枚目が先シーズン、 30 枚目がこれまでのシーズンになります。色の配分はほぼ同じであり、いずれも赤っぽい色のほうの「異常行動」は、眠りから覚めてから直ちに起こった、 73 %、その次が、ちょっと色がブルーになってきて、「異常行動」は覚醒して徐々に起こったというところに分かれます。全くこの傾向も同じであります。

 その次のページで、スライドの 31 34 、服用した薬の組合せ、これが先シーズンから今までとちょっと違っているのは、いずれかが不明というのは今までは白色を用いていた所が少なからずあったのですが、それがほとんど、先シーズンについては、お送りいただいた報告の中で不明というのが消えてきたということがあります。したがって、今まで不明だったものが、例えばタミフルであるとか、あるいはリレンザやイナビルなど、それぞれの所に分散したという言い方をしていいと思います。

 その中での「全て服用なし」というものが、先シーズンでいえば 31 枚目の灰色の所ですが 14 %あります。これも、いずれかが不明だという所がなくなったとしても、それぞれの服用した薬に分散されたわけです。ずっと通して見ると、この「全て服用なし」というのが常に一定程度、その中に含まれている。その割合は多いときですと 30 %ぐらいのときもあると思うのですが、大体、十数%占めていることになります。

 私たちの最終的なところの結論としては、異常行動はインフルエンザによって起きるということが十分あり得るので、必ずしも、ある特定の薬剤にのみ偏って、そういうことが起きるのではない。あるいはアセトアミノフェンのみといったような、抗インフルエンザウイルス薬を用いていない所でも起きていることが、この研究の結果であると言えます。

 図 10- 5は薬の服用の有無で、その薬をどのぐらい使っているかということですが、これは全体の使用量に一致している形になっていると思います。それから、特定の薬に何か偏っていることがないということもあります。

 図 11- 1の 37 38 で、「異常行動の分類」になっておりますが、これはちょっと小さくなっていますが、突然走り出すとか、飛び降りとか、おびえるとか、いろいろと多少の凹凸はありますが、これも例年同じような状況になっております。

 次のページのスライド 40 枚目からが、重度ではないのですが、突然走り出す・飛び降りのみ分析してみると、これについても患者の年齢その他全て同様ということですので、これは後で必要があれば見ていただければと思いますが、傾向は全く同じであります。

 少し進んでスライド枚数 62 、後ろから2枚目ぐらいになりますが、 National Database を使って服用薬剤ごとの発症率の比較を始めております。これはシーズンが終わってみないと結局は分からないので、例えば今シーズンであれば、今シーズン中にこれを出すことはできないわけですけれども、シーズンが終わってから National Database を研究として倫理審査あるいは厚生労働省への請求といったようなことを行って、この Database を見せていただくわけです。それを行った結果としては、図でいくと 63 64 になりますが、処方数がこれで明らかになるわけで、処方している場合、していない場合ということの比較ができるようになってきております。

 それの結論的なところは 64 枚目に書いているのですが、異常な行動について、いずれの薬剤も、この下のところに、最も重度な異常行動の厳密検定の結果がありますが、ラピアクタについては、服用なしの場合に、有意差が出てきていますが、そのほかについては、服用なしの場合と、例えばリレンザ、イナビル、ラピアクタというのは、有意差がないということが出るのです。ラピアクタは非常に使用数が少なくて、対象も限られているということで、ちょっとこれだけでの結論はなかなか出しにくいというような結果だと思います。

65 枚目に暫定的な結論と書いてありますが、これをちょっと読ませていただきます。服用なしにおける重度の異常行動の発症率は、タミフル・リレンザ・イナビル服用例よりも有意に高いことが示されております。それから、ラピアクタ使用例における重度の異常行動の発症率が、タミフル・リレンザ・イナビル服用例および服用なし、よりも有意に高い数字となっているが、ラピアクタの使用数はその製剤の特徴から他の抗インフルエンザ薬に比較して極端に少ないため、 1 件の異常行動の報告であっても、その発症率の算出に与える寄与が大きいため、現時点では確定的なことは言えない、としております。

 異常行動における服用なしについては、本調査では、処方されたが服用前に異常行動が生じた場合には、服用なし群に含まれております。しかし、この National Database を使いますと服用なしの場合は処方されていないもののみということになるので、そこが少し、数の取り方として違ってくるところであり、処方された後の服用の有無にかかわらず、これは全て服用ありに含まれるということになります。

 全体の結果のまとめでありますが、まとめの ( ) としては、 2015/2016 シーズンについてもインフルエンザ流行は過去 10 年に比較して2番目であった。重度の異常な行動の報告数は、過去 10 シーズンで3番目に少なかった。年齢は8歳が最も多く、男性が 68 %、女性が 32 %と男性のほうが多い。重度な異常な行動の発生状況については、従来のインフルエンザ罹患者における報告と、概ね類似をしている。重度の異常な行動の服用薬別の報告件数は、タミフル、それからアセトアミノフェン、リレンザ、イナビルと、これはそれぞれの件数が書いております。 2014/2015 シーズンまでは、先ほどの説明の調査表の書き方の違いということで、いずれか不明ということがなくなってきたことが、ここに書いてあります。

 最後のページの裏側で、まとめの ( ) ですが、 2014/2015 シーズン以前の異常行動と、その発症と使用薬剤の関連については、「いずれかが不明」の症例を割り戻しても、その結果は変わらなかった。コンスタントに一定の数が服用なしと出ていることになります。それから National Database を用いたということは、先ほどの暫定的な結論と同じですので、読むことは割愛させていただきます。

 まとめの ( ) が最終的な結論になります。したがって、これまでと同様に、抗インフルエンザウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではないと考えられる。報告内容には、飛び降りなど、結果として重大な事案が発生しかねない報告もあった。以上のことから、インフルエンザ罹患時における異常行動による重大な転帰の発生を抑止するために、次の点に対する措置が引き続き必要であると考えられる。抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に対して、注意喚起を行うこと。

 「以上」としてあるのですが、従来のまとめは、この後にもう 1 点付いており、抗インフルエンザ薬につき、従来同様の注意喚起を徹底するとともに、異常行動の収集評価を継続して行うことというのが書いてありました。これで 10 シーズン続けて、結論的にはどうも同じような傾向なので、私たち研究班の考え方としては、従来同様の注意喚起は徹底するというところは、なくてもいいのではないかなとは思いました。

 しかし、これが妥当かどうかというのは、いろいろな問題も含まれると思いますので、最終結論としてこれを入れるか入れないかについては、この中で議論いただければ、研究班としての結論を出すときの参考にさせていただきたいばと思います。以上です。

○五十嵐座長 どうも御説明ありがとうございました。抗インフルエンザ薬全体の安全性については、これからそれぞれの薬剤につきまして、事務局から副作用の報告状況が説明されますので、それについての議論は後にしたいと思います。

 岡部先生からの御説明について、御意見あるいは御質問を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○遠藤委員 今、タミフルだけに、添付文書に年齢で投与しないことと書いてあるのですが、データを見せていただくと、余りタミフルに限った話ではないように思っているのですが。例えばこのタミフルをほかの抗インフルエンザ薬と同じようにするためには、何かまた別に調査が必要なのでしょうか。そこが気になるところなのですが。

○安全対策課長 今、遠藤先生から御質問いただいた件ですが、今回の調査も、これまで 10 年の調査もほぼ同じ傾向ということで、今回、御紹介を頂いております。今回の結果も、これまでの傾向も見ていったときに、確かにタミフル・リレンザ・イナビル、その他の薬剤をお使いいただいた方々と、服用していない方々も含めて、同じような傾向の異常行動が報告されているということを、数的に見ても、どれか突出して率が高いわけでは必ずしもないということで、御報告を頂いております。

 一方で、先ほどのお使いいただいている方々の年齢分布を見たときに、タミフルについては過去の安全対策上の措置を非常に現場でもよく守っていただいており、 10 代の方々での処方数が極端に少ない状況になっているとのことです。

 これはどういうことかというと、全体的な異常行動の発症の頻度、割合という部分については、各薬剤で見てもそれほど変わらないにしても、タミフルのデータについては 10 代のデータがほとんど入っていません。この部分について、これからまた添付文書を含めて御議論いただく際に、情報としてはミッシングな部分であって、今後、そこをどう考えていくかは、また、先生方のいろいろな御議論や御意見を頂ければと思っているところです。

○遠藤委員 ありがとうございます。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、資料2以降につきまして、事務局から説明していただきたいと思います。お願いします。

○事務局 事務局から御説明申し上げます。始めに資料2についてです。昨年 11 月の調査会以降、製造販売業者からタミフルに関する研究報告について、新たに4報告がありましたので、その概要を資料2にお示ししております。

 1ページ目の No 1の研究報告は、オセルタミビルリン酸塩の低体温作用を調べるため、神経型ニコチン性アセチルコリン受容体に対するオセルタミビルリン酸塩の直接作用を検討した in vitro の研究報告です。専門家に御確認いただいたところ、神経型ニコチン性アセチルコリン受容体と低体温との関係や、 in vivo への外挿性が不明であるため、今後も関連報告に留意し、情報収集、評価に努める必要があるとのことでした。

 2ページ目の No 2の研究報告は、オセルタミビルリン酸塩による治療がインフルエンザに対する免疫応答及び防御免疫の誘導に及ぼす影響について、マウスを用いて検討した研究報告です。専門家に御確認いただいたところ、一次感染時の抗インフルエンザ抗体力価は、1: 40 を超えており、本剤の免疫応答等へ及ぼす影響については、限定的と考えられるが、今後も関連報告に留意し、情報収集、評価に努める必要があるとのことでした。

No. 3の研究報告は、精神神経系有害事象とオセルタミビルリン酸塩との関連を検討するため、米国FDAの有害事象報告システムを用いた研究報告です。専門家に御確認いただいたところ、自発報告を用いた研究であるため症例毎との本剤との因果関係評価は行われておらず、また、報告バイアスも避けられないことから、オセルタミビルリン酸塩と、精神神経系有害事象との関連は不明であるが、今後も関連報告に留意し、情報収集、評価に努める必要があるとのことでした。

 3ページ目の No. 4の研究報告は、オセルタミビルリン酸塩の低体温作用を調べるため、オセルタミビルリン酸塩及び神経型及び筋型ニコチン性アセチルコリン受容体阻害作用を持つ薬剤を、それぞれマウスに投与し、その作用について調べた研究報告です。専門家に御確認いただいたところ、深部体温の低下は、いずれの薬剤でも高用量投与で見られること、対象薬のブプロピオンの低体温作用における、神経型及び筋型ニコチン性アセチルコリン受容体の関与が不明なこと、ニコチンの体温低下作用における末梢交感神経での寄与は低いとされていることから、本報告をもって、オセルタミビルリン酸塩投与後の体温低下のメカニズムが明らかになったとは言い難いが、今後も関連報告に留意し、情報収集、評価に努める必要があるとのことでした。資料2については、以上です。

 次に、資料3、オセルタミビルリン酸塩の副作用報告状況を御覧ください。オセルタミビルリン酸塩、販売名タミフルについて 2015 年9月1日から 2016 年8月 31 日、以下 (2015/2016 シーズン ) と呼びます。 2015/2016 シーズンまでの製造販売業者から寄せられた副作用等報告についてまとめております。

 1ページ目を御覧ください。 2015/2016 シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約 305 万人、製造販売業者からの重篤な副作用報告は 68 例、 108 件。そのうち異常行動は 21 件でした。

 3、4ページは、 2014 年9月1日から 2015 年8月 31 日、以下 (2014/2015 シーズン ) と呼びます。 2014/2015 シーズンまでの報告状況を示したものです。推定使用患者数は約 228 万人、製造販売業者からの重篤副作用報告数は 76 例、 109 件。異常行動は 23 件でした。

2015/2016 シーズンの重篤副作用症例数は、 2014/2015 シーズンのものと大きな変化はありませんでしたので、御報告いたします。

 続いて、5~ 19 ページまでは、 2015/2016 シーズンに報告された異常な行動、すなわち、報告された副作用名にかかわらず、急に走り出すなど、飛び降りや転落等に結び付くおそれのある行動が報告された症例について、経緯などの概要をまとめたものです。

25 症例があります。乳児、 10 歳未満の小児の症例は 17 症例、 10 歳代の症例はありません。そのほか、高齢者や成人による症例もありました。

20 ページを御覧ください。 2015/2016 シーズンに企業が入手した死亡例の症例をまとめたものであり、1例ありましたが異常な行動が報告されている症例ではありませんでした。

 症例番号1番ですが、 40 歳代の男性で、インフルエンザのため、本剤5日分が処方されましたが、処方の3日後に熱が下がったため、一旦出社したところ、会社に促されて、再度帰宅し、その途中に自動車事故を起こした症例です。専門家からは、情報不足等により、被疑薬との死亡との因果関係が評価できないものとされております。

21 ページです。こちらは、死亡症例の医薬品医薬機器総合機構の因果関係評価をまとめたものです。平成 16 年度以降の報告が評価されています。 95 症例のうち、被疑薬との因果関係が否定できないとされているA評価が、これまでに累積で 4 症例、因果関係が否定されているB評価が 14 症例、情報不足等で因果関係が評価できていないというC評価が 77 例あります。

22 ページ以降は、販売開始以降の本剤の死亡症例に関する集計データ等をまとめたものです。御参考までに示させていただいております。資料3については、以上です。

 続いて、資料4、ザナミビル水和物の副作用報告状況を御覧ください。ザナミビル水和物、販売名リレンザについて、 2015/2016 シーズンに製造販売業者から寄せられた副作用等報告についてまとめております。

 1ページ目を御覧ください。 2015/2016 シーズンの副作用状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約 255 万人、製造販売業者からの重篤な副作用症例は 33 例、 61 件です。異常行動は 4 件ありました。

 3、4ページです。こちらは、 2014/2015 シーズンについてまとめたものです。推定使用患者数は 137 万人、重篤副作用報告症例数は 33 例、 41 件でした。異常行動は1件ありました。

2015/2016 シーズンの重篤副作用報告症例数は、 2014/2015 シーズンのためより増加しておりますが、これは、推定使用患者数が増加していますので、そのためと考えられます。

 4ページ以降に、 2015/2016 シーズンに報告された異常な行動の症例について、経緯などの概要についてまとめています。4症例ありまして、 10 歳代の症例は2例あります。そのほか、成人による症例もありました。 10 歳代の症例について御説明すると、症例番号1番は、 10 歳代の男性で、本剤投与開始日に2階から飛び降りたという症例です。症例番号2番、 10 歳代の女性で、本剤投与日にマンションから飛び降りて、死亡した症例です。

 7ページ、 2015/2016 シーズンに企業が入手した死亡例の症例をまとめたもので、1例ありまして、先ほど御紹介した症例番号2番と同一症例になります。専門家からは、情報不足等により被疑薬との因果関係が評価できないという御評価を頂いております。資料4については、以上です。

 続いて資料5、ペラミビル水和物の国内副作用報告状況です。ペラミビル水和物、販売名ラピアクタについて、 2015/2016 シーズンに製造販売業者から寄せられた副作用等報告についてまとめております。1ページ、 2015/2016 シーズンの報告状況をまとめています。推定使用患者数は約 29 万人、重篤副作用報告症例数は 35 例、 44 件です。異常行動は0件です。

 2ページは、 2014/2015 シーズンについてまとめています。推定使用患者数は約 21 万人、重篤副作用報告症例数は 29 例、 32 件でした。異常行動は0件です。

2015/2016 シーズンの重篤副作用報告症例数は、 2014/2015 シーズンよりも増加していますが、これは推定使用患者数の増加によるものだと考えられます。

 3ページです。 2015/2016 シーズンに企業が入手した死亡症例をまとめたものです。3例ありまして、異常な行動が報告されている症例はありませんでした。症例番号1番、 40 歳代の男性で、本剤投与終了直前、アナフィラキシー ( ) ショック及びそれに続発した低酸素脳症により死亡した症例です。

 症例番号2番、糖尿病、心血管疾患の既往がある 70 歳代の男性で、本剤投与後、帰宅するも、心肺停止状態になり死亡した症例です。

 症例番号3番、うっ血性心不全、狭心症、慢性腎不全などの既往を持つ 80 歳代の女性で、心不全、腎不全悪化による入院中に本剤を投与するも、投与翌日、巡回中に心肺停止状態で死亡しているのが見付かった症例です。

 なお、専門家からは、症例1のみ被疑薬と死亡例との因果関係が否定できないと評価していただいており、症例2、症例3については情報不足等により、被疑薬と死亡との因果関係が評価できないという御評価を頂きました。資料5については、以上です。

 最後、資料6、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の国内副作用報告状況についてです。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、販売名イナビルについて、 2015/2016 シーズンに製造販売業者から寄せられた副作用等報告についてまとめております。

 1ページ、 2015/2016 シーズンの報告状況を示したものです。本剤の推定使用患者数は約 392 万人、重篤副作用報告症例数は 33 例、 51 件です。異常行動は 11 件です。

 2ページ、 2014/2015 シーズンについてまとめたものです。推定使用患者数は約 380 万人、重篤副作用報告症例数は 18 例、 33 件です。異常行動は3例ありました。

2015/2016 シーズンの重篤副作用報告症例数は、 2014/2015 シーズンのものより増加していますが、これも推定使用患者数増加によるものと考えられます。

 3ページ、 2015/2016 シーズンに報告された異常な行動の症例についてまとめたものです。 11 症例ありまして、 10 歳代の症例は8症例あります。そのほか、高齢者や成人による症例もありました。

10 歳代の症例について御説明すると、症例番号2番、 10 歳代の男性で、本剤投与開始日に、異常言動 ( 過呼吸、幻覚、異常行動 ) などを生じた症例です。

 症例番号3番、 10 歳代の男性で、本剤投与日に異常行動、ベッドから急に起き上がり、飛び降りる。歩き回るなどの異常行動が生じた症例です。

 症例番号4番、 10 歳代の男性で、本剤投与日に3階から転落した症例です。

 症例番号5番、 10 歳代の女性で、本剤投与3日後に奇声を発する。夜中に歩き回るなどの異常行動が生じた症例です。

 症例番号8番、 10 歳代の男性で、本剤投与翌日に目撃はされていないものの、恐らく屋根を歩いており、その後に庭で発見、手を骨折していたという症例です。

 症例番号9番、 10 歳代の男性で、本剤投与日の夕方頃から暴れる、怖がる、突然走るなのどの異常行動が生じた症例です。

 症例番号 10 番、 10 歳代の男性で、本剤投与4日後から 14 日後辺りにかけて、意識がぼんやりする。部屋着のまま学校に登校しようとするなどの異常行動が生じた症例です。

 症例番号 11 番、 10 歳代の男性で、本剤投与翌日に、何かに襲われた感覚に迫られて2階から転落したという症例です。

 7ページです。 2015 年、 2016 年に企業が入手した死亡例をまとめたものです。2例ありますが、異常な行動が報告されている症例ではありませんでした。御参考までに、症例番号1番は、 20 歳代の男性で、本剤投与 10 日後に自宅で死亡しているのが見付かったという症例です。

 症例番号2番、 20 歳代の男性で、本剤投与日に自宅で心肺停止、死亡しているという症例です。

 専門家からは、いずれの症例も情報不足等により、被疑薬と死亡との因果関係が評価できないという御評価を頂いております。以上でございます。

○五十嵐座長 タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルの副反応、特に異常行動、それから、死亡例について詳しく御説明いただきました。それでは、事務局からの説明と、岡部先生の調査結果も踏まえて御議論いただきたいと思います。何か御意見はありませんでしょうか。

 参考人の先生方に伺います。全体を見まして、異常行動は特に薬剤と直接的な関係があるというデータにはなっていないと考えてよろしいでしょうか。水口先生、いかがでしょうか。

○水口参考人 なかなか解釈の難しいデータですので、軽々なことは申しませんが、少なくとも、抗インフルエンザ薬が異常行動の主たる原因、あるいは単一の原因でないということは間違いなくて、ということなのですけれども、一方で、やはりこの 10 年間ほどで、 10 歳代の人たちがタミフルを飲んでいないという状況が続いていますので、飲んだらどうなることかということに関するデータは、もうその後出てこないわけですので、難しいかと思います。

10 年近くたちましたので、かつての大規模調査に関する研究は終わっているのかと思ったら、私の知り得た範囲内では、まだ、その追加の解析をしているようでありまして、新しい疫学的なモデルを用いたような研究を、かつての研究者たちが試みているようですので、またそういう違った観点からのデータないし、論文が出てくる可能性もあるかなと感じています。以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。

○岡田参考人 異常行動ではないのですが、別の視点でもよろしいですか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○岡田参考人 昨年の調査会で、乳糖水和物に対する乳蛋白のアレルギーのことが指摘されまして、日本小児科学会としても、会員に注意喚起をしました。

 今回の報告を見せていただくと、ザナミビルは、 2014/2015 シーズンは1例あったのが、昨シーズンはゼロ。ただ、ラニナミビルに関しては、 2014/2015 シーズンが5例で、昨シーズンが4例ということですが、アナフィラキシー例に関して、今回の異常行動と同じように、特出しをしていただいて、できれば乳製品に対するアレルギーが有る方なのかどうかがわかるとありがたいです。

また、年齢もこれでは全く分かりません。今後は、できれば定期的に報告をしていただけると、小児科学会としても注意喚起したその成果がどのようになるかというのが分かると思います。次年度からでもいいのですが、アナフィラキシー例、特に吸入薬のアナフィラキシー例に関しては分かる範囲内で特出しをしていただけると有り難いと思います。

○五十嵐座長 事務局、どうぞ。

○事務局 貴重な御意見をありがとうございます。どういう形で取りまとめてお示しするかというのは、また今後の検討かと思いますが、できる範囲で対応できないか、内部でも検討させていただきたいと考えております。

○五十嵐座長 ほかに委員の先生方、いかがですか、よろしいでしょうか。

○岡部参考人 1つだけ、訂正ではありませんが、先ほど 10 シーズンの調査と申し上げて、変化がないと。それ自体は変わらないのですけれども、一番最初は後ろ向き調査なので、前向き調査をやったのは9シーズンになります。訂正させてください。

○五十嵐座長 ありがとうございます。大野先生、どうぞ。

○大野委員 資料2の論文のコメントでよろしいですか。

○五十嵐座長 どうぞ。

○大野委員 参考資料4 - 1について、専門家の御意見では、ニコチン誘発性電流を遮断することが示されたけれども、うんぬん何とかで、今後も関連の報告に留意し、情報収集並びに評価していく必要があると考えるということについて、私も同意したいと思います。

 その理由は、人の血中濃度は大体 0.2 μmol弱ぐらいというか、この添付文書の中にはそのように書いてあります。大分大学の大橋先生の論文だと、人によって 10 倍ぐらい上がるというような論文もありますので、そうすると、 10 倍上がると 0.2 μmolぐらいということで。この中だと、3μmolで、結構抑制が出ていますので、そうすると、少し注意しておいたほうがいいかと思いました。だから直接、今、懸念するような状況ではないと思います。

 それから、参考資料4 - 4についても、作用が出ているのですが、その作用が出る用量というのは、臨床での投与量と比べると非常に大きな差がありますので、これも特に直接、今すぐ対応しなければいけないということはないと思いました。そういうことで、専門家の御意見で、今後も関連の報告に留意し、情報収集並びに評価していく必要があるということで、よろしいのではないかと思いました。以上です。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。ほかに御意見はありますでしょうか。

 それでは、まとめさせていただきます。抗インフルエンザウイルス薬の服用と、異常な行動、それから突然死については、昨シーズンの統計も踏まえても、因果関係を示唆する結果は得られていないというように考えられると思います。

 しかし、一方、現在の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠も実はまだ得られていないということから、これまでの安全対策を継続するということとして、併せて、インフルエンザ罹患時の注意喚起も、引き続き徹底するというようにするのが適当であると考えます。

 さらに、今後も引き続き、抗インフルエンザ薬の関連情報を収集することとして、新たな報告等が得られた場合には、得られた情報に基づいて、適切な評価もこれからしたいと考えております。このようなまとめ方でよろしいでしょうか。

 それでは、そのようにしたいと思います。岡部参考人、どうぞ。

○岡部参考人 となると、この委員会としては、まとめの結論のところは、昨年どおりに、2点並べて書いたほうが、今回についてはいいだろうということでしょうか。研究としては、まだもちろん National Database も続いて継続して行うので、先ほど 10 シーズンと言いましたけれども、後ろ向き調査ということであれば、もう1シーズン加えると、 10 年間やったということにはなりますので、またその点について御議論いただければと思います。

○五十嵐座長 今、御指摘いただいた点は、いかがでしょうか。

○事務局 すみません、僭越ですが事務局から一言申し上げます。岡部先生からの御指摘も重々、我々も重く受け止めております。事務局として、岡部先生の研究をいつまでやるということは明言できませんけれども、AMEDの研究としては、3年間を予定しておりまして、 2016/2017 シーズンは1年目ということです。3年間やるのか、あるいは、更にその後するのかという話は、この調査会の中でも御議論いただくのかなと思っております。

 もう一点は、研究班の作業とともに、今のタミフルの添付文書をどうするのかという点です。「 10 代の警告」をどうするのかという点については、岡部先生の研究と更にその取りまとめと並行して、安全性に関する文献の情報の収集など、総合的な評価が必要と考えておりまして、その時期がいつだということはなかなか申し上げにくいのですが、事務局としても、そういった情報を収集してまいりたいと考えております。

そういった意味では、五十嵐座長がおっしゃるように、現時点では明確な根拠というところがまだ不足している部分があるかと思います。このため、取扱いとしては、昨年同様、引き続き調査を行い、現行の安全対策を継続するというようなところでいかせていただければと考えております。

○五十嵐座長 委員の先生方、いかがでしょうか。

○望月委員 今回、昨年度と違うのが、 National Database を使った解析を4シーズン分でしょうか、やっていただいたところだと思います。岡部先生の印象として、NDBで今後、前向き調査を置き換えていくようなことが可能なのかどうかの辺りを教えていただければと思います。

○岡部参考人  National Database のほうはまだスタートし始めて、これ、2回目ぐらいなので、これ自体は、やはり継続する意味は私はあると思っています。

○望月委員 はい。

○岡部参考人 それから、AMEDの評価を頂かなければいけないのですが、AMEDでも非常に公衆衛生上、またその全体の状況を知るためには重要な研究であるという高い評価を、お陰さまでいただいています。何か新しいものを加えるということについては、今回、 National Database を加えたというのは、新しいことでもあるのですが、そう新規に次々にと新たな内容の研究ができているわけではなく、新しいものが次々と出ているわけではないということです。もうちょっと在り体に言うと、同じことをやり累積データーとするということに対してどんどん厳格になってきたわけです。研究は同じことをやるということについて、なかなか大変なところもあるということもあるので、その辺も御理解と御配慮を頂ければと思います。研究をやること自体は、もちろんやぶさかではないですし、きちんとしたデータをコンスタントに出していきたいと思います。

○望月委員 疫学的な研究というのは、非常に人手もかかりますし、お金も掛かることだと思います。今回、先生のほうの前向き調査とNDBの調査と、それから、副作用の自発報告とがちょうど3つが並行して走るという状況になっているのは、ここから貴重なものが得られると思っていまして、将来の安全対策上の情報の収集の在り方とか、分析しての提供の在り方に、すごく大きな示唆を頂けるのではないかと思っております。

○五十嵐座長 ほかはよろしいでしょうか。そうすると、岡部先生の先ほどの御質問に対しては、どうしたらよろしいですか。

○岡部参考人 一応、こういうようなところで、今後どうするのだということを議論いただければ、私自身は、これが復活、先ほどのポツの2つ目が、それが復活することはもちろん問題ないと考えております。

 ただ、今後の在り方として、これで同じことをやっているのではなくて、何らかのアクションを加えていくのだということになると、再度、この件については、ほかのデータも一緒に、ほかの研究グループのデータも加えて、このことについての議論がいるだろうと思っております。

○五十嵐座長 いかがでしょうか。そうすると、あと2年間研究を継続し、そのデータも踏まえた上で、今後、議論していくということでよろしいですか。

 では、そういうことにしたいと思います。事務局、それでよろしいですか。では、予定されている議題は、これで終わりですが、何か事務局からありますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐座長 それでは、本日の調査会、これで終了したいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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