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2016年6月29日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成28年6月29日(水)13:00~


○場所

新橋会議室8E会議室


○出席者

出席委員(19名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、○一 色 高 明、 梅 津 光 生、
 川 上 正 舒、 齋 藤 知 行、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、
 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 寺 崎 浩 子、
 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 配 島 由 二、 濱 口   功、
 菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子
 (注)◎部会長 ○部会長代理
 他参考人1名

欠席委員(4名)五十音順

石 井 明 子、 今 井 聡 美、 生 出 泉太郎、 塩 川 芳 昭

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長) 森   和 彦 (大臣官房審議官)
磯 部 総一郎 (医療機器審査管理課長) 佐 藤 大 作 (安全対策課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) 梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○医療機器審査管理課長 少し遅れて来られる方もおられますが、時間になりましたので、始めさせていただきます。本日、委員の先生方におかれましては大変御多忙の中、御出席を賜りましてありがとうございます。本日は現時点で医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち17名の御出席をいただいております。後ほど齋藤先生と中島先生もお見えになろうかと思いますが、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしていることを、まずは御報告させていただきます。

 最初に委員の変更について、お知らせをさせていただきます。これまで国立医薬品食品衛生研究所の医療機器部長を務められていて、この委員をされていました新見先生が退官をされまして、後任の医療機器部長になられた配島先生に、新しく本部会の委員に御就任をしていただきましたので、配島先生によろしくお願いしたいと思います。一言、もしお願いできれば。

○配島委員 ただいま御紹介いただきました、国立衛研の医療機器部の配島です。4月1日から医療機器部の部長に着任しています。先生方は御存じのとおり、私どもの部署は医療機器の品質・有効性・安全性評価に関する業務を中心にやっています。今日の会議のメンバーを拝見しましても、知っているお顔の方々がいっぱいいらっしゃるので、少し安心していますが、今後ともよろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。続いて6月21日付けで厚生労働省の人事異動と組織の改編がありましたので、御紹介をさせていただきます。まず最初に武田局長が着任されています。

○医薬・生活衛生局長 医薬・生活衛生局長になりました武田です。どうぞよろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 佐藤安全対策課長です。

○安全対策課長 安全対策課長の佐藤です。よろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 続いて機構のほうですが、前安全対策課長で今度は機構の安全管理監に着任しました宇津です。

○安全管理監 宇津です、よろしくお願いします。

○医療機器審査管理課長 そのほか、うちの組織改編がありまして、大臣官房参事官ということでしたが、今度は新しく課が増えまして、医療機器審査管理課長になりました磯部です。どうぞよろしくお願いします。

○事務局 次に本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明します。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、2については会議を公開で行い、議題3以降については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開とします。

 これより議事に入りますので、傍聴の方、カメラ撮りはここまでとします。御協力のほど、よろしくお願いします。それでは、以後の進行について荒井部会長、よろしくお願いします。

○荒井部会長 よろしくお願いします。いつもと部屋の雰囲気が違いますが、いつもどおりの活発な御議論をお願いします。それでは、最初に事務局より配布資料の確認をお願いします。

○事務局 お配りしている配布資料一覧に沿って、資料の確認をさせていただきます。資料1-1、眼科用パルスレーザ手術装置承認基準(改正案)、資料1-2、眼科用レーザ光凝固装置承認基準(改正案)、資料1-3、眼科用レーザ光凝固装置プローブ等承認基準(改正案)、資料1-4、眼科用超音波画像診断・眼軸長測定装置等認証基準(改正案)、資料1-5、歯科鋳造用14カラット金合金向けプラスメタル認証基準(改正案)、資料2-1、次世代医療機器・再生医療等製品評価指標について、資料2-2、生体吸収性血管ステントに関する評価指標()となっています。

○荒井部会長 皆さん、資料はよろしいですか。よろしければ、これより議題に入らせていただきます。それでは議題1「高度管理医療機器の承認基準及び管理医療機器の認証基準の改正について」まずは事務局から御説明をお願いします。

○事務局 議題1、高度管理医療機器の承認基準及び管理医療機器の認証基準の改正について御報告します。資料1-1から資料1-5に基づき御説明します。まずクラス III 、高度管理医療機器の承認基準の改正について報告します。資料1-1と資料1-2を御覧ください。眼科用パルスレーザ手術装置承認基準及び眼科用レーザ光凝固装置承認基準の改正となりますが、こちらは引用規格と通知の改廃による記載整備を行う改正となります。使用目的又は効果、適用範囲、要求事項等に変更はありません。

 次に資料1-3を御覧ください。眼科用レーザ光凝固装置プローブ等承認基準の改正となりますが、こちらについても先ほどと同様、引用規格及び通知の改廃による記載整備を行うものとなります。また、本基準ではプローブ先端の径に関する事項などの細かな改正も合わせて行います。

 続いてクラスII、管理医療機器の認証基準の改正()について報告します。資料1-4を御覧ください。こちらは眼科用超音波画像診断・眼軸長測定装置等認証基準の改正となります。この改正は、現行の認証品及び上市の実態に合わせて、記載上、不明瞭であった使用目的又は効果の記載整備を行うものです。認証基準自体に大きな変更はありません。

 資料1-5、こちらは歯科鋳造用14カラット金合金向けプラスメタル認証基準の改正となります。この改正は他の法令との並びを取って記載整備をするものですので、認証基準自体に大きな変更はありません。以上、御報告します。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいま御説明いただいた点について、委員の皆様からの御意見、御質問等はありますか。よろしいですか。よろしければ、これで議題1を終了とさせていただきます。続いて議題2「次世代医療機器の評価指標について」まず事務局から御説明をお願いします。

○事務局 資料2-1及び2-2に基づき、議題2の次世代医療機器・再生医療等製品評価指標について報告させていただきます。まず資料2-1に基づき、御説明させていただきます。平成17年度より、医療ニーズが高く実用可能性のある次世代医療機器・再生医療等製品については、審査の迅速化、製品開発の円滑化を目的として、評価に当たってのポイントをまとめた評価指標を作るという、次世代医療機器・再生医療等製品評価指標作成事業というものを行っています。今般、資料2-2に付けている生体吸収性血管ステントに関する評価指標の検討が終了したので、御報告させていただきます。この評価指標については昨年度、平成27年度に専門家の作業グループの先生方に作成いただいた原案を基に、任意の意見募集、パブリックコメントを実施しまして、寄せられたコメントを踏まえた上での最終案となっていまして、今後、速やかに通知として公表していく予定にしています。

 資料2-1に戻りまして、2.評価指標の内容・位置付けについて御説明します。いわゆる次世代医療機器・再生医療等製品については、個別に試験が行われ、審査が行われるという点では通常の製品と変わらないのですが、評価に当たって着目すべき事項やポイントをまとめた評価指標をあらかじめ作成し、お示しすることで、製品の開発段階における申請資料の収集、更に審査も迅速化できないかと考えまして、このような評価指標を作成しています。

 この評価指標は、承認基準という位置付けではなく、あくまでも技術開発の著しい製品を対象として、現時点で考えられる評価のポイントを示した、評価に当たっての道しるべというものでして、法令的な基準とは位置付けが異なっています。これまでに次世代型人工心臓や角膜上皮細胞シートなど、医療機器について17件、再生医療等製品について8件、合計25の評価指標を公表していまして、今回、生体吸収性血管ステントの評価指標を加えるということで、御報告させていただきます。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいま御説明いただいた内容について、御質問、御意見等はありますか。

○村上委員 吸収性材料の評価ですが、いわゆる実質時間で評価されるということでしたので、それが適していると思いますが、実際製品に使われるものの分解時間というのは、何か月とか何年とか、どの程度のオーダーなのでしょうか。

○事務局 埋め込み期間については製品の特性にもよると思いますが、吸収性ということになりますので、最終的には吸収されていくことになりますので、期間を設定するものではないですが、臨床試験における評価の期間というのは、それぞれの製品の特性に応じて設定していくものと考えています。

○荒井部会長 そのほかに御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、これで議題2を終了とさせていただきます。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。一応、これで公開の案件は終わるということですので、以後の議論は非公開の案件ですので、大変恐縮ですが傍聴の皆様におかれましては、御退席を賜りますようによろしくお願いします。準備が整い次第、非公開案件の審議を再開したいと思います。                               (傍聴者退席)

○医療機器審査管理課長 それでは準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開します。よろしくお願いします。 

○事務局 それでは、非公開の議題に係る配布資料の確認をさせていただきます。先ほど御覧いただいた配布資料一覧の、非公開案件の部分を御覧ください。資料名については省略させていただきます。資料3、医療機器「ハートフローFFRct」の高度管理医療機器の指定などについて、資料4、医療機器「IMPELLA循環補助用ポンプカテーテル」及び「IMPELLA制御装置」に関する資料、これは資料4-1と資料4-2に分かれています。資料5、医療機器「チタンブリッジ」の希少疾病用医療機器としての指定の可否について、資料6、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について、そのうちの資料6-1は植込み型ペースメーカ用植込みアクセサリ、資料6-2は植込み能動型機器管理用プログラムについてになっています。資料7-1と資料7-2は再審査報告書で、どちらも粒子線治療装置、炭素イオン/陽子タイプについてで、資料7-1が初回に申請されたもの、資料7-2が一部変更申請されたものになっています。資料8、医療機器・体外診断薬部会報告品目、資料9、競合品目・競合企業リスト、そして参考資料1として薬事分科会審議参加規定となっています。

 また、本日配布した当日配布資料がありますので、当日配布資料一覧に沿って御確認いただきたく思います。当日配布資料1、議題3「ハートフローFFRct」の審査報告書、当日配布資料2、議題3「ハートフローFFRct」の正誤表、当日配布資料3「ハートフローFFRctについて」というパワーポイントの資料となっています。当日配布資料4、議題4「IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル」の諮問書、当日配布資料5、IMPELLAの添付文書()、当日配布資料6、IMPELLAの正誤表、当日配布資料7、IMPELLAのパワーポイント説明資料、当日配布資料8、議題5「植込み型ペースメーカ用植込みアクセサリ」についての諮問書、当日配布資料9、「植込み能動型機器管理用プログラム」の諮問書、当日配布資料10、ハートフローの専門委員リスト、当日配布資料11IMPELLAの専門委員リスト、当日配布資料12、競合品目と競合企業リストについて、再度先生方に御提出いただきましたが、競合企業について変更がありましたので、そのリストとなっています。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。結構量がありますが、資料はおそろいですか。よろしいでしょうか。よろしければ、これから非公開で行う議題に入らせていただきます。まず、本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規定に基づき、審議に参加いただけない委員はいらっしゃいません。ただし、薬事分科会審議参加規定第13条の「議決不参加の基準」に基づき、一色委員は議題4について、議決に御参加いただけません。この際、御退室いただく必要はありません。

 また、議題6について一色委員より、寄附金・契約金等の受取の申告がありましたが、これは薬事分科会審議参加規定第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で公開することをもちまして、審議及び議決に加わることができることとなっています。以上、御報告します。

○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの御報告について、特に御意見はありませんか。よろしいですか。よろしければ、これより議題に入らせていただきます。まず議題3、医療機器「ハートフローFFRct」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。

 本議題及び次の議題の審議に当たりましては、参考人として、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授であられる中村正人先生にお越しいただいています。中村先生、どうぞよろしくお願いします。それでは、まず審議品目について事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題3について、事務局から御説明します。まず当日配布資料1を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題におきましては、医療機器「ハートフローFFRct」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いしたいと思います。

 既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することになっています。

 今回新設を予定する一般的名称は、「循環動態解析プログラム」になります。「循環動態解析プログラム」は画像診断装置から得られた情報を基に、血行動態又は心機能に関する解析を行い、診断等のために使用する医療機器プログラムになります。

 こちらの一般的名称は1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に影響を与える恐れがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、管理医療機器に指定し、2.のとおり保守点検、修理その他の管理を必要とするものではないため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えています。

 また、こちらの30ページ目を御覧ください。委員の皆様に事前に郵送させていただいたものに加えて、この一番最後に指示事項として2点追記させていただいております。この指示事項の1.に関して、本品の治験における偽陰性、偽陽性の原因の特定を行うべきであることを、今回、指示事項として明確化し、2.に関しては、既に現在行われている臨床試験結果が出次第、報告することは指示していたところではありますが、それを指示事項として今回きちんと明確化させていただいた次第になります。

 審議品目及び審査の概要は、機構担当者の方より説明させていただきます。それでは担当者の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、当日配布資料10の専門委員リストを御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。初めに本品の概要について御説明いたします。当日配布資料3の「ハートフローFFRctについて」と書かれたスライドを御覧ください。その6ページ目から品目の説明をいたします。本品はプログラム医療機器でサンプルを御用意できないため、こちらのスライドで品目の説明をさせていただきます。

 今回の説明では、冠動脈予備量比をFFR、冠動脈コンピュータ血管断層撮像をcCTA又は心臓CTと言います。本品は、冠動脈疾患の疑いのある患者の診断に際し、既に撮像された心臓CTのデータから、非侵襲的に解析した仮想FFRをFFRctとして提供することにより、機能的虚血の評価を支援するプログラムです。スライドの5ページに示すとおり、現在機能性虚血の評価にはFFRという指標が用いられておりますが、FFRは侵襲的であり、煩雑な操作を要することから、本品は非侵襲的に虚血の評価を支援するための指標の一つとして、開発されました。

 続いて、スライドの7ページ、FFRctのシミュレーションを御覧ください。製造元のハートフロー社において受入要件を満たしたCTデータから、解剖学的モデル、生理学的モデルが作成されます。続いて、三次元ナビエ・ストークス方程式等を適応した数値、流体力学解析によって血流の流れが再現され、FFRct値が算出されるというシミュレーションのプログラムになっております。

 続いて、その下のスライド8の流通形態を御覧ください。本品による解析は、製造元であるハートフロー社にあるプログラムにより実施されます。医療機関では解析に必要な心臓CTデータの送信と、FFRctの解析依頼及び解析結果の閲覧を行います。医師は解析結果を今後の治療計画の一助とします。

 続いて、スライド9ページより医療機関での操作の流れについて、インターフェイスをお示ししながら御説明いたします。まず、9ページに示すWebページにアクセス、ログインしますと、10ページの上段に示すメイン画面に飛びます。このメイン画面で解析依頼や解析結果の閲覧ができます。一番上の症例が解析済みとなっていますので、そちらをクリックして進んでいくと、続く11ページに示すレポートや、1213ページに示す3Dモデルにて、解析結果が閲覧できます。

12ページに示すように、ドラッグにて3Dモデルを回転させたり、13ページに示すように、任意の血管部位にカーソルを合わせてクリックすると、そこのFFRct値が表示されます。

 続いて、当日配布資料1の審査報告書の9ページを御覧ください。()で、海外における使用状況について説明いたします。本品は冠動脈疾患の機能的評価をサポートすることを適応とし、欧州では2011年7月にCEマークを取得し、米国では同様の使用目的にて、201411月に510Kを取得しています。また、本品は経過措置適用を受けるプログラム医療機器であるため、本邦においては解析の提供をしながら製造販売承認申請を行っており、2016年4月30日時点で□□件の解析結果が提供されております。本品の非臨床試験については特段大きな問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。

 審査報告書の14ページ、ヘ.「臨床試験の成績に関する資料又はこれに代替するものとして厚生労働大臣が認める資料」を御覧ください。添付資料として、国際共同試験であるHFNXT試験の成績が提出されました。HFNXT試験は、心臓カテーテル術で、直接測定したFFRによって定義される閉鎖性冠動脈疾患に対するFFRctの診断性能を評価することを目的として、254症例、484枝を対象に実施された前向き試験です。試験結果について御説明いたします。

 審査報告書の17ページの表3を御覧ください。FFR、FFRctともに、0.80以下の場合を病変ありと定義した場合、主要評価項目であるFFRを基準とした場合の血管ごとのFFRctの感度は83.5%、特異度は85.8%でした。いずれも冠動脈疾患の診断に用いられるSPECTや負荷エコー等の既存モダリティの成績に関する文献レビューから設定した目標値を達成しました。また、安全性としては、本品と関連のある有害事象は報告されませんでした。

 続いて、本品の審査における論点について御説明いたします。審査報告書の21ページの冒頭を御覧ください。一つ目の論点、()本品の臨床的意義についてです。機構は、侵襲的なFFRの有用性は広く知られていること、本品は非侵襲的に機能性狭窄を評価できることから、本品を用いて算出されるFFRct値がプレッシャワイヤを用いて測定したFFRを一定の確度で反映することが確認できるのであれば、本品を心筋虚血の診断補助の選択肢の一つとして、本邦へ導入することの意義はあると考えます。

 続いて、二つ目の論点である審査報告書21ページの()HFNXT試験により示された本品の有効性及び安全性について御説明いたします。表8の下からです。機構は、本品の有効性の評価に当たり、FFRを参照基準に用いたことは適切であり、既存のモダリティの診断性能が示された文献等から、非侵襲の診断機器として必要な性能の達成基準を設定したことは、おおむね妥当と考えます。また、示された臨床試験結果は達成基準を満たしており、既存のモダリティと比べ高い診断性能を有することも示唆されたことから、本品の有効性は確認されたと考えます。

 安全性については、審査報告書の22ページの2段落目からお示しするとおり、FFRを測定するプレッシャワイヤに比べ侵襲性は低いことから、本品によって解析を実施することの安全性については問題ないとする申請者の見解は妥当であると考えます。ただし、FFRctを診断の参考とすることで、偽陰性による治療機会の逸失のリスクが懸念されます。HFNXT試験は長期フォローアップをしていませんが、海外で実施されているPLATFORM試験の中間成績では、FFRct介入によって追加検査や治療を実施しなかった117例について、検査後3か月の重篤な有害事象は認められなかったと報告されています。心血管イベントの評価には、より長期の成績が必要と考えますが、専門協議での論点も踏まえ、FFRctとFFR値の乖離が直ちに誤診断や予後につながる可能性は低いと判断しております。

 なお、当該リスクの低減化策として、審査報告書の23ページに記載している対応を取りました。まず、 . に示すとおり、添付文書やトレーニングプログラムにおける情報提供を取っています。HFNXT試験において確認された偽陽性及び偽陰性に関する情報について情報提供することにしました。また、偽陰性の症例については、臨床的に重大な事象が生じる恐れがあるため、治療施行の判断は本品の解析結果だけでなく、複数の所見を総合的に判断して実施する旨を注意喚起することが適切と判断しました。また、 . に示すとおり、本品の患者予後の関連性について、追加対策の必要性を検討するために、現在実施中の二つの臨床試験の結果が出次第、機構へ報告するよう申請者に指示しました。

 続いて三つ目の論点、HFNXT試験について、本邦における本品の有効性及び安全性を評価することの妥当性について御説明いたします。審査報告書の24ページの下段からです。機構は、本品の性能に大きな影響を及ぼし得る医療環境差はないと考えています。一方、一般的に画質の低下をもたらす石灰化病変の割合が日本人では高いことが言われていますが、表12に示すように、カルシウムスコア別のFFRctの診断性能には大きな差はなく、HFNXT試験における日本人の平均カルシウムスコアが約600であることを踏まえると、平均的な日本人の石灰化病変が本品の性能に及ぼす影響は少ないと考えています。よって、HFNXT試験を本申請のピボタル試験として、日本人における有効性と安全性の評価に用いることは妥当と機構は判断しました。

 続いて、審査報告書28ページを御覧ください。機構は、本品による新たなリスクは想定されないことから、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、先ほど御説明しましたように、現在進行中のPLATFORM試験及びADVANCE試験の成績が出次第、機構へ報告することを申請者に指示しました。

 以上の審査を踏まえまして、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 最後に、鈴木委員より本品の解析における個人情報の取扱いについて御質問いただきましたので、御説明いたします。本品の解析にはCTデータのみが必要であることから、個人情報については必須ではありません。ただし、患者を特定することができるのは医療機関のみであることから、医療機関で患者を識別するための情報を入力する必要があります。また、一般的に医療機関において撮像されるCTデータなどのDICOMデータには個人情報が自動的に含まれていることから、ハートフロー社に送信する前に個人情報を削除するなど、適切な管理をする必要があることを添付文書等において注意喚起することが重要と考えており、現在対応を取っているところです。

 機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 初めに参考人の中村先生から、追加の御意見等がありましたらお願いいたします。

○中村参考人 東邦大の中村です。今、説明がありましたように、冠動脈の狭窄度というのは見た目の狭さで評価されてきたわけですが、実際に狭窄度が必ずしも虚血とイコールではないということから、虚血を正確に評価できるモダリティが必要であると今日考えられています。

 従来、冠動脈造影を行うときにFFRといえば、ガイドワイヤを冠動脈の中に挿入して、そこの圧較差を測ることによって、虚血があるかどうかを判定しておりましたが、患者には実際に入院していただいて、カテーテル検査をやって評価するという2段階になってしまいますし、侵襲があるという中で、このモダリティは実際に虚血の有無をCT画像からおおよそ判定できるということから、冠動脈造影を回避できるという意味においても、患者にとって大きなメリットがあるのではないかと思っております。

 しかしながら、実際にこのような新規性のあるモダリティをどのように適応していくかということに関しては、まだまだ十分に検討の余地があると考えており、関連学会を含めたいろいろな所で更に検討し、適切な運用を決めるということが必要ではないかと考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。

 それでは委員の皆様から、御意見、御質問等はございますでしょうか。

○鈴木委員 お答えもいただいたようですが、今回医療機器ということにはなっていますが、そもそも疾患診断用プログラムというものを医療機器として認めるようになった経緯について、説明していただきたいと思います。今回が初めてではないかと思うのですが、唐突に出てきたような気がするので、どういう背景があって、いつそういうものが認められていたのか、教えていただきたいと思います。

 それから、今後こうした人工知能を利用した様々なプログラムが医療機器としての承認を希望してくると想定されますが、医療現場ではまだそうしたものが医療機器だという理解と受入が進んでおりません。一方、超高額医薬品の登場により、医療現場では医薬品の価格に対する考え方が大きく変わっております。このプログラム機器というものは、従来の医療機器の開発よりも、ある意味では簡単にできるのではないかという気がしますので、そうしたもので現場での医療機器に対する見方が大きく変わってしまうのではないか。それとともに、コスト意識が強くなる可能性があるので、そうしたものをどのように扱うのかも大きな課題だと思います。

 当機器については、外国にある診療診断プログラムを日本で承認するという話になるわけですが、それに問題はないのかという疑問もあります。また、個人情報の取扱いについては先ほど説明がありましたが、これもきちんとした確認が必要だと思います。日本人の情報が海外に流出することはあってはならないと思いますし、一部細かいところまで見ますと、例えば審査報告書の17ページの表3の下の所に、副次評価項目があります。「心臓CTに対して感度で非劣性を示すことができなかった」という記載もあるということは、理論的には良いように感じられますが、臨床的な意義は乏しいのではないかという気もしますが、それはどうなのでしょうか。

 それから、完全に自動ではなくて、データを送ってアメリカの操作スタッフが介在するというプログラムですので、医療機器とするには違和感も感じます。そうしたことから、更に本医療機器が当初の課題である、確実に不適切な血行再建を減らすことができるのかということは証明されていないと思いますし、我々からみたら、狭窄イコール循環が悪いと言われてきたわけですが、そうではないということは、そもそも今までの説明は何だったのかという気もいたしますし、そういう根本的なところも大きな問題だと思います。狭窄イコール虚血ではないということですから、今まで患者に説明されてきた循環器内科の先生は、それをどのように考えておられるのかということも問題だと思います。

 それらのことを含めて、当製品は初めてのプログラム機器ということになると思いますが、同様の機器がこれから医療現場の風景を大きく変える可能性もあると思われますし、臨床的意義とか、適正使用ということだけでなく、今後同様のプログラムをどこまで医療機器として取り扱うかとか、更に言えば、どこまで保険適用するのかというようなことは、学会だけでなく医療現場の医師会、医会などもあるわけですが、それらの意見を十分に聞いて合意形成を図る必要があると思います。それが十分になされていないうちに、急いで承認に持っていこうという感じがするのですが、我々としては、そうしたことが明らかにされないうちは、承認は認められないと思います。

○荒井部会長 ただいまの鈴木委員のご意見について、如何でしょうか。

○医療機器審査管理課長 今の御質問の中で、最初にプログラムが医療機器として規制を受けた経緯がどうだったのかとか、法的な話もありましたので、その辺りは私から回答させていただきます。

 こういったプログラムの取扱いに関して、欧米ではかなり前から医療機器としての規制を受けています。日本は長年、プログラムは薬事法の規制対象ではないとずっとやってきました。前回の薬事法改正で医薬品医療機器等法になったわけですが、長年のそういう状況を鑑み、しかも関係の団体での御意見もいろいろあったのですが、ワークステーションですとか、そういったものの中でプログラムを単体で提供する事業者の方も出てきまして、それがハードとのマッチングでいろいろな問題があるのではないかという御指摘を受けていたところです。

 そうなってきますと、欧米では規制の対象になっているにもかかわらず、我が国では規制の対象になっていないことで、既存の医療機器にいろいろと影響するということもありまして、これについては法律を改正し、きちんとした規制の下で、有効性と安全性、品質の確保することは大事だということで、法律改正し国会の承認も頂き、一昨年の11月からプログラム領域が規制対象になったという経緯です。

 2番目のことで申し上げますと、確かに鈴木委員がおっしゃるように、欧米ではプログラムは医療現場でも使われておりますが、我が国ではまだこれからの分野だと思っております。当然、これまでは未規制でしたので、いろいろな所でお使いになっている部分はあろうかと思いますが、薬事の世界でそういう評価をして使っていくということは初めてですので、適切な使用が大事だと思っていますし、そのプログラムの役割、位置付け、適切に使うためにはどのようなことに留意していったらいいのかということについては非常に重要な部分だと思っておりますので、そういったことは是非進めていかなければいけないと思っていますし、先ほど中村先生からもお話がありましたが、本品に関しては、学会でも適切な使用をどのように考えたらいいのかということについていろいろ検討いただけるのではないかと思っていますので、そういった取組が必要であると考えております。

○荒井部会長 鈴木委員からは広範な部分でのご意見を頂きましたが、今お答えいただいたのは主に法的な部分、すなわち、プログラムも医療機器という考え方が、どういう経緯で入ってきたのかという点です。先ほどの鈴木委員からの御指摘の中には、そのような経緯とは別に、現場の中でどのぐらいこのことが認識されているか、要するにプログラムを医療機器として認める考え方が医療現場に馴染んでいるかについての御質問も含まれていたかと思います。この点についてはいかがでしょうか。プログラムの医療機器としては初端ですので、新しい領域に足を踏み込むというニュアンスがあるかと思いますが、如何でしょう。

○一色部会長代理 このFFRという概念自体が先ほどの鈴木先生の御指摘にあったように、虚血を見付けるための大きな手段として既に定着しているわけです。ですから、このFFRの概念を更に非侵襲にしたソフトウェアという理解になるわけで、狭窄があるかないかということと虚血の関係というものについては、既に、従来のアバウトな目で見る指標よりは正確にそれを反映する手法として、冠動脈領域の先生方においてはしっかりと確立した手法になっていると私は理解しています。

 このFFRctについても、既に数年来、海外で使われるようになってから日本の冠動脈疾患に携わる専門の先生、あるいは学会、診断学にかかわるCT、放射線関連の先生方を含めて、非常に興味を持たれて、これが果たしてどのぐらいの意味があるのかについては、かなり検討されてきて、専門医の間では浸透していることは間違いなく言えると思っています。

 先ほど御指摘にありましたように、その専門医の中に浸透しているものが一般的な先生方に広がっているかについては、確かに御指摘のとおりだと思うのですが、虚血の評価をして、interventionを回避できるかということになりますと、そもそも一般の先生方の判断するところではなかったのではないかと私は理解しておりまして、そういう意味での価値は機構の方からの御説明がありましたように、十分にあるのではないかとは個人的には思っております。

 ただ、御懸念されるところも非常によく理解しておりまして、例えばソフトウェアですので、全くそういう知識のない方が単純に保険適用になったということで、CTを撮って、すぐに登録をして、依頼をしてということで、単純にデータの内容の解釈ができるできないにかかわらず、コストが発生するというリスクがあるという御懸念もおありなのだろうと思うのですが、そういうことについてはしっかりと規制あるいはガイドライン的なものがないと、適正な運用というものができないということに結び付くと理解しております。

○荒井部会長 今、一色委員より頂いた、サイエンスとしての科学的な評価の部分と、とは言っても「やたらと使われては困る」というサイエンスとは異なる臨床現場の実情があるとの御指摘については、私も同感なのですが、鈴木委員はいかがでしょうか。

○鈴木委員 専門家から見て意味があるということは、確かにそうなのでしょうけれども、この分野のものは今回が初めてですので、それだけでは済まないということです。それにまぎれて通してしまうと、いろいろなものがこれから出てきたときに、今の日本では薬事承認すれば保険適用ということになっていますが、果たしてそれでいいのかという話も出ているわけですから、こういったものがどんどん出てきた場合に、我々としては医療費の問題まで考えなければいけないということまでを含めて、少し厳格に扱ったらどうかというのが、我々の提案です。

○荒井部会長 このプログラム医療機器に関しては、鈴木委員から全体像についての捉え方について御指摘を頂きました。この部会でも、多くの場合は討議をした上で、最終的には概ね原案に近い形で承認する場合が多いわけですが、ここは一歩引き下がって、慎重に議論したほうが良いように思われます。この点については、恐らく異論をお持ちの委員はおられないと思いますが、まずこの点はよろしいでしょうか。

 それでは、ここは慎重に議論を進めたいと思います。今いろいろな御意見が出たと思います。プログラム医療機器が医療機器として扱われるようになった経緯以外に、もう一つ御指摘いただいた点で、恐らく全ての委員が気にしていらっしゃると思いますが、個人情報の取り扱いの問題があります。ゲノム解析にも同様な例があります。海外にデータを送って、向こうで解析して、それを受けて日本で使うということが医薬品の世界でも入ってきています。この機器は正にこれと同様で、データは日本で収集するけれども、それを海外に送って、返ってきたデータに基づいて臨床現場の判断を下すというものです。個人情報の取り扱いに限らず、このようなプロセスについては、私も専門ではありませんが、簡単に「それはいい」というところには結び付かず、引っ掛かるものがあります。御意見はいかがでしょうか。

○齋藤委員 少し話は変わりますが、例えば人工関節の適切なサイズの選定のときに、そういうCTのDICOMデータを海外に送って、そこで適切なサイズの情報を送ってくるということは、既に実際にやられていますので、例えばこのデータを海外に送って計算したものを得るということに関しては、もう実際にやられていることなのではないですか。

○荒井部会長 遺伝子解析についても、同様のことが実際に動いています。

○鈴木委員 その整形外科の場合は、保険の扱いはどうなっていますか。

○齋藤委員 ナビゲーションを手術中に使用すると保険的に加算されますが、術前計画においては現状では認められていません。

○鈴木委員 今まではそういうことで処理してきたわけです。要するに、これは診療報酬をアメリカに払うという話です。そういうことを簡単に認めていいのかという意味もあるのです。決して、これは小さな話ではないと思います。

○医療機器審査管理課長 私どもの考えとしては、齋藤先生からもお話がございましたようなこと、つまり今までは規制の対象ではありませんので、ある程度は自由にやられていて、個人情報の管理も法的にできるものがなかったということだと思います。

 ですから、今回入れているのは、こういう医薬品医療機器等法に基づいて、一定のきちんとした規制をして、必要な管理も法的にも要求できますので、そうした上で、そのものがきちんと臨床的価値があるのか、その臨床的価値を裏付けるエビデンスがあるのか、それをまた先生方に御覧いただいて、評価を頂いて、確かにこれはきちんと使えるというものはきちんと使えるということを、我々のこのレポートの中に入れ込んで、厚労大臣の承認として扱うというものですので、そういう意味で一定の管理をしていくという中では、必要なことではないかという気はしております。

○千葉委員 先ほど部会長が言ったようにゲノムの場合はもっと微妙です。日本の国家のゲノムのデータが海外に行ってしまっていいのかという議論があることは事実です。ですから、これもそれに近い印象を持つ医師も一般の方もおられるとは思います。

 ですから、その危惧を十分に払拭できるような、医療機器審査管理課長がおっしゃったような体制をしっかりと作っていって、それを納得できるように公表していただくことが大事ではないかと思います。

 では、逆にそれを本当に防ぐ絶対的な方法はもちろんないわけですが、どういう方法か分かりませんが、例えばプログラムの使用権を日本の国内で買う、公的機関か準公的機関か、国内で解析できるようにする。そういう方向に持っていくことはあり得ないことなのでしょうか。それを伺わせてください。

○荒井部会長 難しい点についてのご指摘ですが、即答できますか。

○医療機器審査管理課長 そういう交渉をハートフロー社としたことはないのですが、通常はこれは知的財産ですので、普通の感覚でいくとなかなかそういうことは応じにくいと思います。それが、正しくこの製品のノウハウたる由縁の部分ですので、それがこういうプログラムの提供という形で、物の提供ではなく、このプログラムの使用権という形でユーザーに提供されるというものですから、その本体そのものを売るということは、当然ほかの方にもコピーして提供できるということもあると思いますので、こういうプログラム独自の知的財産の管理というものは会社としても考えているでしょうから、そういったことの交渉はしたことはありませんが、通常はなかなか難しいのではないかという予想はできると思います。

○荒井部会長 難しい部分で、どうしても推測が入ってきますね。そのほかご意見は如何でしょうか。

○梅津委員 このようなソフトウェアをうまく使って、PCIをやるかやらないかとか、そういうことで使うというのは大変新しい考えでいいと思います。今日は説明がありませんでしたが、添付文書を見ても、「警告」と書いて、すごく注意をしながら進められているということは大変よく分かりました。

 私がお聞きしたいことは、一番初めに機構からの御説明の前に、厚労省から指示事項を出すということで御説明がありました。例えば「必要な改善や改良に取り組むこと」といったときの主語は、誰が指示をして、どういうときに問題だと思って、どのようにやるのかという辺りが分かりにくいのではないかという気がしたのですが、その辺りは基本的なお考えはございますか。例えば学会であれば分かるのですが、国がいきなり言うのかとか、機構が「ここが問題だ」と言うのか、そのタイミングとか、分かっている範囲で結構なのですが。

○医療機器審査管理課長 今の梅津先生の御指摘は、当日配布資料1、審査報告書の30ページの一番最後にある指示事項のことだと思います。

 ここでいっている趣旨は、先ほど機構から御説明させていただきましたように、どうしても100%一致にはならないのです。FFRとの検査値で、どうしても80数パーセントの感度、特異度しかないということで、どうしても偽陽性、偽陰性が出てしまうということがあります。

 その原因については、どういうケースの場合に偽陽性が出やすいのか、偽陰性が出やすいのかというのは、当然事業者として検討していただくべきことだと思っておりますが、これまでのお話を聞いていると、必ずしもそこの点は十分でないと聞いておりますので、これに関しては、厚労省、PMDAから、このハートフロー社に対する指示事項として、この製品についての偽陽性、偽陰性の原因分析をやって、どういう場合にそういうことが起こりやすいのか、そのための改良が必要であれば改良も含めて、そういう場合は一変申請ということになろうかと思いますが、そういったことも含めて是非考えてもらいたいということで、指示事項にさせていただいております。

○荒井部会長 そのほかに、ご意見ございますか。

○村上委員 今のセンサーでのデータと、こういう計算でのデータの違いのところで気になったのは、流体圧の評価ですので、血液の粘性の個人の違いが影響するのではないかと思うのですが、この解析では粘性は一定値です。本日配布の資料34ページ目の「FFRctのシミュレーション」の2番目の所に、粘度の値が出ています。桁数が非常に多いのですが、□□□□□□□□□□ /(mms)です。

 そこでもう一つ気になったのは、単位が「g/(mms)」という普通は使わない単位が使われています。国際単位でも国内でも、普通は「Pas」という単位を使います。これは、プログラムとの関係で、この単位を使っているのでしょうか。後ででも確認していただければと思いますが。

○医薬品医療機器総合機構 単位に関しては、今のところ資料から確認できないので、後日確認した上で先生に御連絡させていただきたいと思います。

○村上委員 このシミュレーションでは、水のだいたい5倍の粘度で、そういう一定値を計算では使っていますが、各患者で症状によっていろいろと違うのではないかということが気になりまして、そういうところがずれの一つの原因になっているのではないかということで、そういうところも把握していただければと思います。

○医薬品医療機器総合機構 やはり先生のおっしゃるとおりで、患者のパラメータは固定値を使っているので、少しずつのずれが、今回の感度が100%にならない結果として表れていると思います。それについては、ハートフロー社も認識しており、今これ以上に精度、感度を上げるのであれば、そういう個人パラメータをある程度入れた上で計算しないと、この性能は超えられないということで改善に取り組んでいるということなので、もしかすると、次世代のFFRctの計算プログラムについては、そのパラメータもより個人のパラメータに近いものをインプットした上で計算されるようなプログラムとして開発される可能性があると思っております。

○川上委員 これが保険に適用された場合に費用を集めて、そのお金はどこへ行くのですか。直接、基金からアメリカに行くのですか。今までたくさんの試薬等々で、もちろん外国からの知財を使っているものがありますけど、それは日本の検査センターなりが買って、そこに日本がお金を払って保険制度としては日本の国内でやっていますけど、今回は直接取引みたいな格好です。ちょっとそこのところの流れが、診療上、どういうふうになるのか。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。これは保険適用されるかまだ分かりません。承認されるかどうかまだ分かりませんので、保険適用されるかも、当然、仮想の話になります。ただ、例えばこちらを通って、もし保険適用されるとしたらどうなるかと言いますと、当然、その場合には何らかの保険点数が設定されることになります。つまり、このFFRctでシミュレーションした場合に幾ら技術料を支払いますということがあります。それは当然、支払基金なり国保から医療機関に支払われるわけです。医療機関がこういうことでシミュレーションを使った場合に医療機関に支払われる。医療機関のほうでは、医療機関とハートフロー社との契約に基づいて、1回、幾ら払うかという契約がされると思いますけれども、その契約に基づいて支払いが行われる。そういう意味では、通常の医薬品であったり医療機器も同じようなことになるのではないかと思います。

○中谷委員 今回、初めて、いわゆるプログラムを医療機器として認可するということで最初から気になっているのですが、バージョンアップした場合、あるいはバージョンが変わった場合、その扱いをどこでもってするのか。例えば一変という形で言われましたが、何か基準とかをある程度想定されているのか。こういうプログラムは、ある面、日々更新されて細かいところがどんどん変わっていくと思います。そこまではいいと思いますが、例えば基本コンセプトが変わったら、もう一度審査に出しなさいとか、そういう意味で規制を掛けると言われたところは正にそこにあると思いますが、その辺がはっきり分からなかったので明らかにしてほしいと思います。

○荒井部会長 これも大きい問題です。プログラム医療機器のバージョンアップについては、どこでバージョンが変わったとするのか、形が見えないものですから、これをどのように捉えるかという点です。

○医薬品医療機器総合機構 細かい手順と言いますか、とても細かいバージョンについては特に追ってはいないのですが、解析の肝となるシミュレーションの流れとか、使う数値、パラメータ等については、申請書の形状欄の中で押さえさせていただいておりますので、肝となる部分が変わるとき、制度に影響がある部分が変わるときは一変等の手続が必要になると考えております。

○医療機器審査管理課長 若干、補足しますと、一応、こういったもののスペックをどう押さえるかというのは結構悩ましい問題です。基本的にはアウトカムスペックと言いますか、今回のこのプログラムをやったときに、これだけの感度・特異度があるという形でスペックを押さえざるを得ないというのが現状です。そうすると、そういった性能の変更をやるようなプログラムの変更があった場合には、一部変更承認申請が要るという形になると思います。当然、そういうときには事業者もそういった改良をしたと言いたいわけですから、それとセットの話になっていくと思います。基本コンセプトまで変わってしまいますと別製品ではないかと思いますけれども、一応、考えとしては、スペックでそういった性能が変わるような場合、肝という言い方が若干抽象的でしたので補足しますが、そういうものが変わった場合は、基本的に一部変更承認申請が要るということではないかと思っています。それでいいですね。

○医薬品医療機器総合機構 基本的に大丈夫ですけど、スペックの押さえ方が、今、実は感度・特異度が幾つ以上となっているのです。だから普通の改善というのは良くするほうに動くので、良くする方向についてはスペックで押さえることが難しい現状がありますから、先ほど担当のほうから説明したとおり主要なプログラムのパラメータ、解析数値など、その辺についてはきちんと押さえてあるのですが、それの細かいところで若干の変更がどうしても抜けてしまうので、それに関しては、これは第1号製品になりますから、申請者のほうからどういう変更をしたのかについて報告していただき、今後、詳細にどこまでを一変として、どこまでを新規とするのかという整理が必要なのかなと思っています。

○中谷委員 肝と言われていることは感触として私もよく分かりますが、ただ、もしこれを医療機器として認めるなら、これまで医療機器の一変ですごく困っていたのが、えっ、これはバージョンが2とか3になっているのに、そのままかという形になりかねないところもあると思います。そこは押さえろという意味ではなく適正にされるようにすべきと思いますが、あまりその説明がなかったし、どういう形かというのはかなり大事だと思います。例えば認可するときに、これがこう変わったら、一変ですねという形は物によって違うと思うので、その辺も最初というのであれば、ある程度明確にしておき、次に出てくるときはこのような感じですねということを積み重ねていかないと、全然、進歩がない。いつまでたっても同じことになると思いますので、その辺はよろしくお願いします。

○荒井部会長 ありがとうございます。非常に重要なご指摘だと思います。

○千葉委員 言葉の問題で、例えば感度・特異度という言葉を大分使っておられますけれども、例えば当日配付資料3の14ページに、臨床試験(HFNXT試験)という言葉があります。その一番下の主要評価項目に、感度(陽性一致率)・特異度(陰性一致率)という言葉がありますけれども、これは基本的に前向き試験ですよね。感度とか特異度という言葉は、これは私の理解なので調べてほしいのですが、後ろ向きの試験のときに後からこうだったというときに使っているのが、多分、多いのかなと思っています。そうしますと前向きな場合には、むしろ括弧内にあるような陽性一致率とか、あるいは陽性的中率と言いますか、そちらの言葉のほうが前向きの場合には適切なのかなと思いましたので、そこを御検討いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。調べて対応させていただきます。

○千葉委員 お願いいたします。

○鈴木委員 さらに当日配付資料3の22ページを見ますと、国際共同試験が行われているようですけれども、600例の登録のうち、400例は日本人ということで圧倒的に日本人が多いのです。3分の2です。普通、薬だとほとんど日本人がいない国際共同試験がたくさん出ているわけです。これは日本のCT普及率が高いからだと思いますが、日本は大お得意様でカモと言ったら失礼かもしれませんけれども、使われ方によっては非常に大きな医療費になる可能性があります。こうした類のものがこれからどんどん出てきます。ここも慎重にしなければいけないという一つの根拠になると思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。いろいろな御意見を頂きかなり白熱いたしました。全体としては、プログラム医療機器という概念が出てきて、これは海外との整合性を考えても、そういう流れが明確になってきたこと。そして、その有用性については、非侵襲的という点である程度の誤差はあるにせよ、有用な部分があることについては、多分、皆さん納得していらっしゃる。反面、何人かの委員からご指摘頂いたように、簡単に非侵襲的にできることが別の問題を招く可能性がある。鈴木委員のご指摘のようにCTが日本はやたらと多いというのも事実です。カテーテル検査をしなければいけないと判断される患者さんの中で、これをあらかじめ行うことにより、やらずに済む患者さんが判るというような、非常に限定した使い方をされれば良いのですが。極端な例を挙げれば、心電図や心エコーをオーダーするのと同じ感覚でオーダーされると、とんでもないことになってしまう。

 さらに、お金の問題についてもご指摘を頂きました。この部会を通ったからといって、保険がつくかは分かりませんが、保険が付いた場合には、それが一旦は病院を通過するにせよ、最終的には海外にたれ流しになってしまうという点も考えなければいけない。本当に種々の問題が含まれていると思われます。議論をまとめれば、実際に使用される現場に、言葉は悪いですが、どのくらいきちんとした網をかけられるか、あるいは現場を節度ある使い方に誘導できるか、という点ではないかと思われます。中村参考人からも御意見を頂きましたが、その辺に関してはかなり具体的に動いているという理解で、よろしいでしょうか。

○中村参考人 ありがとうございます。御指摘のとおりで、この新規性のあるデバイスは非常に有益だと思いますけれども、今、御指摘にあったとおり、むしろ悪用するという懸念も全くないわけではありませんので、いかにそれを適切に運用するかということは、関連学会も含めて適正使用という、ある意味でのガイドラインというか指針みたいなものを作成する必要があろうと思いますし、実際にそれが行われているかどうかを検証する後ろでのチェックという、両面から見守っていく必要があると考えています。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。このプログラムの問題は今回が初めてで、大変重い議題です。最初に申し上げましたように、この議題についてはこの部会としても拙速な判断は下したくないと考えています。確認したところ、この部会でも最終的には多数決で判断してよいそうです。しかし、さまざまな領域の専門家にお集まり頂き、いろいろなスタンスからのご意見を頂くわけですが、このような意見交換、協議を行う場であることが、この部会の最も重要な役割ではないかと思います。さまざまな異なるご意見をお互いに理解して頂いた上で、最終的には、どのような議題についても同じ方向性をもった意見に集約して運営したいと考えています。

 このハートフローにつきましては、初のプログラム医療機器だというのが一番大きい理由ですが、今日、御議論に基づき、特に臨床現場でどのように節度ある使い方に持っていくか、適切な使用法に持っていくかということをもう少し詰めていただく必要があると思われます。具体的には、関連学会に事務局から働きかけていただき、適正使用のガイドラインといったものをまず作っていただく。それをお願いしてよろしいでしょうか。

○医療機器審査管理課長 はい。

○荒井部会長 それでは、そういったものをまず作っていただき、それを基として、このハートフローにつきましては、次回、再度、この部会で審議させていただくということでまとめさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。これで、このハートフローについての議論は終わりとさせていただきたいと思います。

○鈴木委員 確認ですが、ということは、継続審議ということですね。薬では今は全然珍しくないのですが、2回続けて継続審議というのも出ていまして、超高額薬剤が出てから薬食審の場でも、リスクベネフィットだけでは済まされないという話になってきていますので、その辺はもう少し幅広く議論していただければと思います。継続審議ということにしていただければ有り難いと思います。

○荒井部会長 継続審議と御理解いただいて結構です。よろしいでしょうか。ありがとうございます。引き続き、次の議題4に進ませていただきます。議題4、医療機器「IMPELLA循環補助用ポンプカテーテル」及び「IMPELLA制御装置」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について、審議を始めさせていただきます。まずは審議品目につきまして、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題4につきまして、事務局から御説明させていただきます。当日配付資料4を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「IMPELLA循環補助用ポンプカテーテル」及び「IMPELLA制御装置」の製造販売承認の可否等について、御審議をお願いしたいと思います。

 1枚目の諮問書をおめくりいただき、議題3の冒頭でも述べましたとおり、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、こちらの薬事食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっています。今回、新設を予定する一般的名称は、左のページの「補助循環用心内留置型ポンプカテーテル」、及び次のページの「補助循環用心内留置型ポンプカテーテル用制御装置」の二つになります。左のページの「補助循環用心内留置型ポンプカテーテル」は、心原性ショック等の急性心不全患者に救急的に循環補助をするポンプカテーテルになります。続いて、右のページの「補助循環用心内留置型ポンプカテーテル用制御装置」は、ここまでのポンプカテーテルを操作及び監視する駆動装置になります。

 下の1.については、どちらの一般的名称におきましても副作用又は機能障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.については、左のページのポンプカテーテルは保守点検、修理その他の管理を必要としないため、特定保守管理医療機器として指定はしませんが、右のページの制御装置においては、保守点検、修理その他の管理を必要とするものであり、特定保守管理医療機器として指定することが適切と考えています。

 審議の品目及び審査の概要は、機構の担当者の方より説明させていただきます。それでは、担当者の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 それでは、機構より御説明いたします。当日配布資料11の専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする6名の専門委員の御意見を頂きました。また、当日配付資料6、議題4の「IMPELLA補助循環用ポンプカテーテル」及び「IMPELLA制御装置」正誤表を御覧ください。審査報告書に記載している一般的名称及びその他の箇所に誤字がありましたので、この場をお借りしてお詫び申し上げます。

 初めに、審議品目の概要について説明させていただきます。当日配付資料7のスライド3を御覧ください。以降、説明においてはIMPELLA補助循環用ポンプカテーテルを本品1と呼び、また、IMPELLA制御装置を本品2、さらに、2品目を合わせて本申請品と呼ぶこととさせていただきます。本品1は、補助循環を行う小型軸流ポンプを搭載した血液ポンプです。補助流量が小さいLP2.5と大きいLP5.0があります。また、本品2は、本品1の制御、電源供給及び留置位置の監視を行う体外設置型制御装置です。

 補助循環の原理について説明します。ポンプカテーテルを大腿動脈から挿入します。その後、スライド3の図2にお示ししますように先端の吸入口が左心室に、吐出口が大動脈に位置するように留置して血流を発生させます。

 続きまして、本申請品による心不全改善の概念を説明します。スライド4を御覧ください。図3にお示ししますように、心筋梗塞等により心臓のポンプ機能が低下すると左心室の容積が過剰に増加して、左心室が十分拍出できない急性心不全状態に陥ってしまいます。一方、本申請品を使用しますと、図4にお示ししますように脱血によって過剰に増加した左心室の容積を減少させることができます。生理的に左心室の負荷が軽減することで心不全が改善し心機能の改善も期待されます。

 本申請品と使用目的が類似している医療機器としましては、スライド6のIABP、スライド9の体外設置型LVAD、さらにスライド10のPCPSがあります。詳細な説明は割愛させていただきます。

 続きまして、本申請品の外国における使用状況について御説明いたします。スライド14を御覧ください。本申請品は米国及び欧州において既に承認を受けており、平成27年2月までにスライドにお示しする台数が販売されています。また、有害事象及び不具合が発現しているものの、その発現率は極めて低く、また適切に対応がなされています。

 続きまして、主な非臨床試験について御説明いたします。スライド15を御覧ください。流量特性試験においては、本品1の前後の差圧が60mmHgの際に、LP2.5では□□□□ /min、LP5.0では□□□□ /minの拍出が可能であることが確認されました。また、本品1の構造的な特徴として屈曲耐久性が評価され、図にお示ししますように屈曲の限界はポンプ部を頂点とした際の近位側と遠位側の距離がLP2.552mm、LP5.069mmであることが示されました。

 続きまして、臨床試験について説明します。スライド16を御覧ください。ISAR-SHOCK試験は急性心筋梗塞後又は急性冠動脈症候群により、心原性ショックを起こした被験者を対象にLP2.5又はIABPを適用し、各々の血行動態パラメータの改善を比較した前向き試験です。試験結果については、スライドにお示ししますとおり左心室の拍出機能を示す心係数の変化は、LP2.5群で0.44 ± 0.53 、IABP群で0.13 ± 0.35 であり、LP2.5群が高い値を示しましたが、統計学的な優越性は検証できませんでした。また、安全性として評価された術後30日時点の生存率は、LP2.5群で54.5 ± 27.2 %、IABP群で58.3 ± 26.1 %で同等でした。

 スライド17を御覧ください。RECOVER I 試験は、人工心肺からの離脱後に補助循環が必要な開心術後の患者に対して、LP5.0とポンプ部が同一のLDを使用した場合の生存率及び有害事象発現率を評価した前向き試験です。試験結果について御説明いたします。30日の生存率は93.3%でした。また、安全性として評価された30日以内に発現した死亡以外の有害事象は、脳卒中1件、敗血症1件、溶血1件がありました。

 続いて、本申請品の審査における論点について説明させていただきます。詳細の部分もありますので、資料4-1の審査報告書に沿って御説明させていただきたいと思います。

 一つ目の論点は本申請品の臨床的意義についてです。審査報告書39ページ、一番下の段落を御覧ください。総合機構は、非臨床試験の結果を踏まえ、順行性の血流を発生できないIABPと比較して、本申請品は原理的に循環動態の改善が期待できること、また、経皮的に使用することで本申請品は使うことができますので、開胸手術が必要である体外設置型補助人工心臓と比較して低侵襲で使用できること、また、心肺機能の代替法であるPCPSとは原理的に異なり、心機能の改善に直接寄与することが期待できることから、治療の選択肢の一つとして本申請品を医療現場へ提供する臨床的意義はあると判断しました。

 二つ目の論点は、海外臨床試験の成績の本邦への外挿性についてです。審査報告書41ページ中段を御覧ください。本品1を左心室に送達させる手技は、本邦でも一般的な心臓カテーテル検査システム等の手技と類似しており、新規性は大きくありません。また、適用の可否判断は大動脈弓や左心室内腔の大きさを考慮して検討されるため、海外と比較し本邦の患者の体格が小さいことに関連した特有のリスクは想定されないと考えます。さらに、本邦における急性心不全の治療戦略において機械的循環補助法は標準的であるため、国内外の医療環境差はないと考えられます。

 以上のことから、機構は、海外臨床試験の成績を本邦に外挿することは妥当であると判断しました。

 三つ目の論点は、本申請品による補助循環法の有効性及び安全性についてです。まず有効性について御説明します。審査報告書43ページ中段を御覧ください。ISAR-SHOCK試験においてLP2.5群の心係数CIの改善は、点推定値ではIABPと比較して高く、また、文献においても本申請品の治療成績が既存のIABPの治療成績を明らかに下回ることを報告しているものはありませんでした。また、RECOVER I 試験は、30日の生存率は93.3%と良好な結果でした。

 以上のことから、機構は、本申請品を使用した補助循環はIABPと同等の有効性が認められると判断しました。

 続きまして、安全性について御説明します。審査報告書47ページの . を御覧ください。本申請品の溶血及び血栓症のリスクについてですが、海外臨床試験において溶血の発現率は低く、また、本申請品に起因する血栓形成の発現は確認されなかったことから、機構は、適切な抗凝固療法を行うのであれば本申請品の抗溶血性及び抗血栓性は臨床上、許容可能であると考えます。また、審査報告書48ページの . を御覧ください。本申請品は、左心室損傷等のリスクを低減するため、本品1の左心室内腔への挿入が必要な長さ、及び屈曲の限界等の構造から考えられる本品1の使用条件を理解し、ほかの既存の補助循環法に移行することも踏まえて適用の可否を判断する必要があります。よって、カテーテル治療において十分な経験のある医師、心臓血管外科専門医等で構成されるハートチームで使用することを注意喚起することが妥当と判断しました。

 以上のことから、機構は、本申請品は必要な注意喚起の実施を前提として安全性が確保されると判断しました。

 四つ目の論点は使用目的についてです。審査報告書49ページ中段を御覧ください。承認申請時の使用目的には、循環器系の手術において循環動態が悪化する前から予防的に適用すること、また、医療用輸送手段として使用することが含まれておりました。しかし、申請者は、これらの使用目的に対する根拠資料の提示、安全性の確保の説明が困難であることから、これらの使用目的を本申請から削除したため、使用目的は心原性ショック等の薬物治療抵抗性の急性心不全の補助循環となりました。

 五つ目の論点は製造販売後安全対策についてです。審査報告書50ページ中段を御覧ください。適正使用につきまして、機構は、関連学会と協力して、表22に整理しました使用者及び使用施設への要求事項を含め適正使用指針を策定し、それらを基に使用されることが適切であると判断し、これらを承認条件とすることが妥当であると判断しました。審査報告書51ページ中段を御覧ください。トレーニングにつきまして、機構は、表23に整理しました申請者が提案するプログラムに対して、本申請品の適用の可否判断を適切に行うためのハンズオントレーニングを追加した上で、トレーニング実施を承認条件とすることが妥当であると判断しました。審査報告書53ページ中段を御覧ください。使用成績評価につきまして、機構は、海外臨床試験における症例数が比較的少ないこと。本邦において使用経験がなく、本邦で販売されるモデルは海外臨床試験で用いられたモデルではないこと等を総合的に判断すると、使用成績評価で本申請品に関する死亡、溶血、血栓症等の有害事象の発現が十分に低減できていることを確認することが必要であると判断しました。使用成績評価における症例数については、海外臨床試験の成績及び米国の使用状況から検討され、死亡、溶血、血栓症等の有害事象が観察できるように設定されたため、申請者が提案した350例で妥当と判断しました。また、本邦において本申請品を補助循環に使用することが有用であることについても、使用成績調査において評価される生存率で確認可能と考えます。使用成績評価の期間については、各症例の観察期間を1か月とした上で、使用成績評価期間を4年とすることで差し支えないと判断しました。

 以上、審査を踏まえ、本申請品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会にて御審議いただくことが適切と判断しました。また、本申請品は使用成績評価の対象に指定し、評価期間4年とすることが妥当と判断しました。本申請品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。初めに、参考人の中村先生、御意見いただけますか。

○中村参考人 今、御説明がありましたように、心原性ショックを来した病態における補助循環装置として、既存のものでは不十分である病態が非常に多くございまして、そういった意味において、左室の負荷をこのように直接取るデバイスがある一定の役割を果たすことは、海外から報告されており、本邦においても多くの関連学会から望まれていたデバイスだと思っています。実際にどのような症例にということが問題になろうかと思いますが、現実的には、今、御指摘のありましたように、心原性ショックを来している病態には、急性の病態に対して使用するものに限定することが、現時点においては妥当ではないかと私も思っています。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○医薬品医療機器総合機構 事前に質問事項を伺っており、その報告を忘れてしまいましたので、すみません、よろしくお願いします。一色委員より頂いている御質問については、学会が作る施設基準が厳しいことになると伺っているが、余り厳しくすると本申請品を使用しづらくなるのではないかという御質問を伺っています。施設基準については、今、関連学会から2年後には見直すと伺っています。見直しにおいては、本申請品の使用実態に合わせて修正が行われるのではないかと考えています。

 川上委員からは、質問として二つ伺っておりまして、一つは、経緯の所には記載させていただいたのですが、簡単に申し上げますと、海外においては、本品1のほかに心内式のポンプとしてHemopumpというポンプが提案されたことがあります。それについては、臨床試験中に血栓形成、脳梗塞等の発現を認めたために、米国でも許認可されていないことが過去にありました。本品1については、心内留置型ということで、同じ部類に入るわけですが、本申請品では血栓は見られないという結果が出ています。これについて、本申請品の原理の違いか、材質の違いか、抗凝固療法の違いかは、どのような違いがあってこのようなことが起こっているのかと、どう考察されているのか御質問がありました。

 これについて、まず図を見ていただきたいのですが、本品1については、パージ用セットという原理があります。ですので、Hemopumpとの違いがあって、血栓形成が発現しなかったのではないかと考えています。資料4-1の審査報告書の9ページの図5を御覧ください。本品1については、パージ用セットというシステムがあり、羽根車であるインペラの底部に向かってヘパリン加ブドウ糖液を流し続けます。それによってインペラの底部の血栓形成を防ぐという原理があります。本申請品とHemopumpの血栓形成のリスクを評価した比較検証試験といったものについては、実施はされていないのですが、本申請品の臨床試験成績と海外の使用成績においては、ポンプ内で血栓が形成されたといった報告は確認されていません。以上のことから、機構は、本申請品の血栓形成のリスクは、臨床上許容されるのではないかと考えています。

 最後の質問ですが、添付文書の警告において、抗凝固療法が重要だということで、「医師の最善の医学的判断に従って」と書かせていただいているのですが、それで十分に抗凝固ができるのか、具体的に専門家の関与の義務付け等は必要ないかと御質問を伺っています。これについては、本申請品の使用の際の適切な抗凝固療法を実現するために、具体的な専門家の関与を義務付けする必要性はないと考えています。

 既に本邦においては、長期使用の植込み型補助人工心臓を使用する際に、抗凝固療法の効果が各患者によって異なることを踏まえて、臨床現場において適切な抗凝固療法が検討されているという実態があります。本品1は短期使用ではあるのですが、抗凝固療法は重要であると機構は考えていますので、添付文書に記載しました推奨の抗凝固療法を踏まえて、臨床現場において適切な抗凝固療法を検討するという注意喚起をすることとしました。

 なお、先ほど使用成績評価について御説明させていただいたのですが、血栓形成についても調査をされることになりますので、その結果は更なる安全対策に活用されると考えています。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございました。御質問、御意見をどうぞ。

○一色部会長代理 誤解が生じかねない、私がいかにも緩くしてほしいと言ったニュアンスでの御回答でしたので、少し補足をします。私はそこまで申し上げたつもりは全くなくて、ある程度の厳しい適用はどうしても必要だろうという中で、どの程度のレベルにすべきかという議論をしっかりやっていただきたいということで申し上げたつもりです。

 私からあえて質問ですが、50ページの表22の施設に要求される事項ということですが、これが恐らく現在の考え方だと思うのですが、非常に曖昧な表現の部分が多くて、例えば「心臓血管外科は専門医」と指定されているにもかかわらず、カテーテルについては、「十分な経験がある医師」としっかりと「専門医」という言葉が使われていません。例えば、このカテーテルの手技は、実質的には非常に簡単です。少し硬いですが、左心室にピッグテールのカテーテルを入れるだけです。はるかにTAVIとか、PCPSとか、そういう非常に複雑な、PCPSはそれほど複雑ではありませんが、アクセスルートも複数取らなくてはいけないものでもない、太さも細いということから考えて、技術レベルでのリスクは、それほど大きいものではないと私は考えているのです。

 そういう中で、それでも慎重な施設認定は必要だという概念は、全く私には異論はなくて、十分に検討はしていただきたいのですが、ここにTAVIのときにはあった、「心血管インタベーション治療学会の専門医」という言葉が入っていないことについては、非常に大きな違和感を感じます。もう一つ、心臓血管外科専門医認定機構の基幹施設、これもいいのですが、この具体的な基幹施設は、どういう施設になっているかについての御説明もお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。1点目の曖昧な表現と言われていましたカテーテル治療において、十分な経験がある医師ということですが、これについては御指摘のとおりだと思います。実はこの適正使用指針は少し前に作られたもので、具体性に欠ける表現が所々ありまして、今、先生方と具体的にどのように記載していくかを、少し相談させていただいているところです。先生の御指摘を踏まえて、「十分な経験のある」という所についても、必要に応じてより具体的な要件ができるのであれば、先生方と御相談させていただきたいと思います。

○一色部会長代理 5.0は外科的デバイスなのです。ですから、外科の先生が専門的にお使いになるデバイスということですが、2.5は恐らく、施設はともかくとして循環器内科の先生を中心にして行われると。そういうときに、ここに「専門医」という言葉が入っていないということは、大きな問題ではないかと私は認識しています。

○医薬品医療機器総合機構 機構から、心臓血管外科専門医認定機構の基幹施設のことについてお答えします。心臓血管外科専門医認定機構は認定施設を認定しており、既に日本国内に400施設以上ありますので、一つの県においても10施設程度の使用可能な施設ができると理解しています。

○荒井部会長 今の御説明でもいいのですが、かなり専門的な領域であり、どういうのがフェアでどういうのがニュートラルな決め方かの判断は、案外難しいところがあります。学会といっても、複数の学会が絡む場合には学会同士の利害関係も絡んできます。かなりデリケートな部分もあり、その領域の先生方にきちんとした合意を頂く、さらには、それを全国都道府県に浸透させるというのは、正に行政側の手腕の見せどころだと思います。是非、妥当な落とし所も検討していただきたいと思いますし、この製品に関してもやたら滅多に使われるというのは決してあり得ないと思いますので、そのような点も踏まえて適正な使用の指針、施設要件や実施要件などをご検討いただければ有り難いと思います。

○中谷委員 Hemopumpのことを話されましたが、誤解を招く形だったので少し補足させていただきますが、こういうカテーテル型の体外から挿入が簡単な補助循環というのは、人工心臓を開発している人間からいくと、一つの夢だったのですね。それが1988年に今回検討されているシステムと基本的なコンセプトが同じHemopumpが開発されました。最初の頃の臨床例では全例有効でした。その当時、このシステムの臨床試験をしようとしたところ、FDAがその新しいシステムのコンセプトを全く認めずに、結局、今回でもされているように、IABPと同等のシステムとされたのです。その考えによる比較試験だったために、いろいろな問題が起こりました。結局は認可されずに終わりました。その後、このIMPELLAという新しい技術を持ったポンプが開発されました。新しい技術を用いたポンプなので、血栓が少ないなど改善されているのは当然であって、それがどうのこうのというのは、説明の仕方が少し誤解を招くと私は思っています。

 もう一つの問題は、今日の配布の資料です。臨床試験を行うにあたってこういう新しいコンセプトが認められないから、IABPと同等としただけであって、このシステムをIABPと同等と見て話をすると、全くこのポンプの取扱いを間違ってしまう。というのが、本日配布の713ページですが、この概念図、これは絶対に訂正してほしいのです。IABPとIMPELLAの適応が同じレベルとなる、そのような話は絶対にないはずなのです。IABPを用いたが、循環補助がうまくできなかった。だからこそIMPELLAをやるのであって、そこのところの認識をきちんと示して、それで認可するという形を取らない限り、これは安易にIABPと同じレベルの補助循環ではないかという形で、先ほど言われた安易な使われ方を認めている形なのです。この図を出してIMPELLAの認可うんぬんという話をするのは、全くもっておかしい。

 そうではなくて、IMPELLAの補助能力はもう一歩進んでいるのです。ただし、PCPSとの比較からはこの図のように中間ぐらいとするのは、妥当と思います。そのIMPELLAのコンセプトの位置づけを明らかに示した上で、この新しいシステムの認可について検討しないと皆さんが分からないと思うのです。

 内科医が使いやすいカテーテルと同様のシステムですから、ひょっとしてIABPを用いているカテーテルだけができる内科施設が使うのではないかと。だからこそ、今お話ししたようにこの新しいシステムの位置づけをはっきり認識していれば、どういう網を掛けたらいいかも、もっと明確になってくると思っているのです。

 施設基準の所で、一番大事なのは、実は補助循環の十分な経験がある施設であることが全く出てこないことです。経験のある施設という条項であれば分かりますが、最初から経験のない所でも、認定施設でこれだけの医者がそろっていればできるというのとは違うでしょうと思うのです。その辺のところのコンセプトをもう少し明確にしてやらないと、思います。このシステムを10年以上前から、早く日本の医療現場に導入してほしいと願ってきたものとしては、きちんとしたフレームワークで、きちんとした形で導入されることにしておかないと、結局は混乱を招いてしまうのではないかと危惧します。

○医薬品医療機器総合機構 先生、御指摘ありがとうございました。機構より、本申請品のコンセプトについて御説明させていただきたいと思います。先生のおっしゃられていることは、何回も専門協議をする中で、皆さんから御指摘いただいたことではあるのですが、実はIABPを使った後に本申請品を使って本当によかったというデータが全くない状況で、そこをどう埋めるかというところと、そうは言っても、ニーズの高い医療機器ですので、本申請品が補助循環をきちんとできるというデータを持って医療現場へ提供したいと。使われ方については、正に適正使用のガイドラインを関連学会の皆さんで作っていただきまして、先生がおっしゃられたように、補助循環で精通したところで使わないと、これはおかしいだろうという御指摘を、専門委員の皆様からも頂きまして、そこのところをまた具体的に書き込むように、しっかりと対応してまいりたいと思っています。

○医薬品医療機器総合機構 補足的な御説明になるのですが、先生のおっしゃるとおり本申請品については原理的にIABPとは全く異なり、IABPと比べて流量が出るというところはこちらも理解しており、先方が実施した非臨床試験でも、IABPに比べて流量が出るというところは、きちんと検証がされていますので、その点は認識しています。ただ、この図の表現に誤解を招くという御指摘については、そのとおりの部分もありますので、きちんと認識したいと思います。

○中谷委員 結構、こういう概念図というのは、専門でない人たちにとっては、こういうものだというイメージを植え付けてしまいます。少なくともここはぼやかすとか、何らかの工夫をして提示してもらわないと、これでもって承認という話になっていくと、IABPとIMPELLAは同等のシステムと理解されます。この図は結構分かりやすい図なので、こだわるのですが、最初のときにIABPとIMPELLAは同等のシステムと理解されますと、なぜ使わせなかったのだということにまで発展すると思うので、是非、分かりやすく、かつ、いい概念図を作っていただければと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○梅津委員 今までの議論のプロセスの中で、このようなことは話し合われたのかどうかをお聞きしたいと思います。それは、これが臨床のニーズが非常に高くて、簡易的で使いやすいと。そういうことはよく分かるのですが、よくよく考えてみると、外国で作ったものが、本邦の中で確かめられずに日本の中で承認される。ところが、Abiomed社にとってみたら、こんな楽なことはないわけです。

 例えば、LVADなどのごく最近の例を見ても、EVAHEARTは日本で作ったので、しかも誰も臨床をやっていなかった。だから、日本できちんと15例しっかりやりなさいということになって、DuraHeartは、日本で作ったものでもヨーロッパでスタートして、向こうで随分やったので、日本では6例で認めましょうということで認めた。ほかのアメリカのLVADも、海外データがいっぱいあるので、日本で6例やって認めたと。その6例のことに関しては、要するに輸入業者から、そこの会社がちゃんと日本である程度使って、それでやったわけですよね。

 今回のもののように、外国でやって、それでポッと入ってくるということが、今後ずっと行われたら、本当に日本の中でもこのようなものは作ってもしょうがない。もうやめようという話がどんどん行って、日本の医療産業が何かすごく停滞するのではないのという議論が、今までのこういう承認の話の中でありましたか、そこだけお聞きしたいと思います。別に責めているわけではないです。それによって、私は次の世代に何を伝えなくてはいけないのかを考えなくてはいけないと、そういう義務が私にはあると思うので、そこを教えてください。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。この辺のお話は、前回のときに一色先生からも、どう考えていくのかということでお話もありました。非常に重要な点かと思っています。私どもは、特にデバイスラグの議論の中で、海外でピボタル試験があるようなケースについて、国内で治験をやるのかやらないのかというケースについては、個別個別でいろいろ判断をしてきたところですが、先ほど先生がおっしゃったとおり、国内でも少数例の治験はあったほうがいいのではないかということで、これまでやってきたところです。

 そもそもそういう形でやることが、そういう治験がどのぐらい必要性があるのかについては、もう一つ議論があるところだと思います。あくまで臨床試験の場合は、臨床でしか有効性が、なかなか評価できない。そのデバイスの性能の評価をすべきところだと思いますので、それが海外と日本との医療環境で、それは海外のピボタルスタディが、だから外挿しにくいのではないかという場合については、その評価をすることは非常に必要だと思いますが、そういうことではないのだけれども、ほぼ一律やることがどのぐらい意味があるのだろうかということはあろうかと思いますので、そういった取扱いが適切かどうかについては、別途、実際これまで求めてきた臨床試験の実例を、もう1回レビューをしまして、別途、研究班を組みまして、どういうケースで考えていったらいいのかを今やろうとしています。

 特に、私どもが気にしておりますのが、特に臨床ニーズが高くて、外国にあって、ピボタルがある場合に、医療関係はあまり差がないのに、例えば少数で求めることで、日本への導入が何年も遅れてしまうという問題もあるわけですので、そこら辺のバランスをどう考えていくのかと。

 もう一つ言うと、最初、ピボタル試験を日本でどうやっていくのかと。外国でやっても日本でも再現できるかというような、資源ではなくて、最初のこういう新しい発想、これもデバイスがどう見られるのかと、最初のピボタルスタディにどうやって日本が入っていくのかのほうが、重要だと思っていますので、そういうための臨床環境の整備も含めて努力していかなくてはいけないと思っています。

○荒井部会長 ありがとうございます。これもすごく重い問題です。先回もこの話題が出たのは御記憶かと思います。本当にどういうエビデンスをもって承認するかという問題です。極端にがちがちのことを要求すれば、最終的に国民に届くのが遅れてしまうことがある。無論。むしろ国益等々のこともある。

 大変に大きいテーマですが、根拠に基づいて適宜判断していくという現在の方向性を示していただきました。この部分は、ここでこれ以上議論してもすぐに結論を出せる問題ではないので、そのほかに何か御意見はありますか。

○一色部会長代理 今の議論の続きというわけではないのですが、総論的ではなくて、このデバイスについてのデータが十分でないことを踏まえての対策です。ここで明言されてはいないのですが、もし、これを認可されて、すぐ使用できる環境になったときの調査対象として、一定の症例数の、私は全例登録をしていただくことは、非常に重要ではないかと思っています。

 適正使用の考え方と、実際上、日本人に使っているどの程度の有効性と安全性と、その病態によっての使い方、そういうデータがしっかりと蓄積されることが、とても重要だと思いますし、その内容によっては、私が先ほど少し申し上げた施設基準等々にも大きな影響をしてくる部分ではないかと考えていますので、その辺は是非御検討をお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構から回答させていただきます。御意見ありがとうございました。企業から頂いている販売予測で考えてみたところ、ほぼ350例が4年間で売られる台数という予測をしていましたので、特に審査報告書の中では全調査をうたってはなかったのですが、今の御意見を伺いまして、そのように進めたいと申請者に伝えたいと思っています。

○荒井部会長 そのほか、よろしいでしょうか。この議題も結構長くなってしまいましたが、ほかに御意見がなければ、議決に入ります。

○一色部会長代理 私は議決に参加できないので、是非確認ですが、私が先ほど申し上げた「内科系の専門医」という言葉については、入れていただけるという約束でよろしいのでしょうか。そういう認識で。

○医薬品医療機器総合機構 その方向で調整したいと思います。

○一色部会長代理 どうもありがとうございました。

○中谷委員 そういう意味で確認したいと思います。関係学会というのは、外科系とか内科系と言われているのですが、例えばこういう新しい機器などは、日本人工臓器学会とか、PCPS研究会など、関連する学会、研究会、さらに高度な補助が必要な場合の受皿である補助人工心臓治療関連学会協議会とか、そういう所で広く意見を聞くことも踏まえて、これを導入するという形がいいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。御意見ありがとうございます。それについても、そういった要望があって、そのほうが適切であるという話になったことは、お伝えさせていただきます。

○荒井部会長 今の所も大切な部分です。いろいろな専門委員の先生方とか、その領域の専門家の意見を聞いていただいて、フェアに、かつ、きちっとした縛りというか適切なところで落とせる形で、まとめて頂きたいと思います。非常に大事な役目ですので、是非、そういう認識で当たっていただきたいと思います。

 そのほか、よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。医療機器「IMPELLA循環補助用ポンプカテーテル」及び「IMPELLA制御装置」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要としてよろしいでしょうか。また、使用成績評価の対象に、期間を4年として指定するということでよろしいでしょうか。さらに、循環補助用ポンプカテーテルについて、特定保守管理医療機器として指定しないこととし、制御装置については、特定保守管理医療機器として指定することとしてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決します。この結果については、次回の薬事分科会において報告させていただきます。長くなってしまって申し訳ありません。これで議題4を終了します。

○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。補足です。先ほどから本件について幾つか宿題を頂きました。一色先生からも頂きました。そういうことについて、私どももちゃんと受け止めて、それについて次回の部会のときにでも報告させていただくようにしたいと思います。以上です。

○荒井部会長 是非よろしくお願いします。ありがとうございます。よろしいですか。それでは、中村先生、長時間ありがとうございました。ようやくゴールが見えてきました。後半に進みます。議題5、医療機器「チタンブリッジ」の希少疾病用医療機器としての指定の可否について、審議を始めます。審議品目について、事務局より説明をお願いします。

○事務局 資料5を御覧ください。初めに希少疾病用医療機器の指定制度について簡潔に御説明いたします。本制度は、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、本邦では十分にその研究開発が進んでいないものについて、その試験研究を促進するための支援措置を講ずるものです。

 この指定基準として、用途に係る対象者の数が本邦において5万人未満、ただし指定難病の場合は人口のおおむね1/1,000程度であること。重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品等又は治療方法がないこと。既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること。対象疾病に対して、当該医療機器を使用する理論的根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められることとしております。

なお、この指定が直ちに医療機器の製造販売承認に結び付くものではありません。

 資料の医療機器概要、一番上の水色のタグの所をめくってください。本品チタンブリッジの予定される使用目的又は効能・効果は、内転型痙攣性発声障害における症状の改善。申請者はノーベルファーマ株式会社です。対象疾患については、痙攣性発声障害は、発声時に内喉頭筋の不随意的、断続的な痙攣による発声障害を来たす疾患であり、発声時に声帯が強く閉まり過ぎる内転型と、発声時に急に声帯が開いてしまう外転型に分類されます。本品の治療対象は内転型です。

 次に本品の形状等について、医療機器指定申請書。三つ目の青いタグをめくってください。2枚目、形状及び構造欄に形状等が示されております。3枚目、使用方法については、甲状軟骨を正中に切開し、両側甲状披裂筋の付着部を甲状軟骨ごと外側に広げて、チタンブリッジを挿入し固定します。

 次に対象患者数等については、医療機器該当性事前報告書、二つ目の青色のタグの所をめくってください。1.対象患者数について、痙攣性発声障害を本邦での平成25年度の研究において、有症率は10万人当たり4.308.60人と推定されております。本品の治療対象である内転型は約90%を占めており、そういたしますと、本邦におけるその患者数は約4,9009,800人と推定されておりますので、5万人未満という基準を満たしていると判断しております。

 2.医療上の必要性については、内転型痙攣性発声障害は、若年女性に多い原因不明の難治性疾患であり、社会生活が困難な状況が継続することにより、鬱や引きこもり、自殺企図にまで発展する場合もあります。既存療法として、A型ボツリヌス毒素の局所注入は、一過性の嗄声、嚥下障害等を生じ、治療効果の持続期間は短く限定的であり、また承認されておりません。

 外科的治療である甲状披裂筋切除術は侵襲が大きく、術後の声帯萎縮、瘢痕による嗄声が継続する等の後遺症が残る場合があります。

 本品による治療は、既存の外科的治療に比較して侵襲性は低く、既存の対象療法における治療の持続性の改善も見込まれます。本品を用いた臨床研究により、VHI-10スコア、声の障害の程度の改善が得られております。以上のことから、本品は医療上特に必要性が高く、指定基準を満たすと判断しております。

 3.開発の可能性については、医師主導で、国内臨床試験を実施中であり、本年3月に最終症例の手術が終了しております。2017年に承認申請予定であると聞いております。これらのことから、本品は開発の可能性は高く、指定基準を満たすと判断しております。以上より、本品は、内転型痙攣性発声障害における症状の改善に対して、希少疾病用医療機器の指定基準を満たすものと判断しております。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 本品について、委員の方々から御意見、御質問等ありますか。よろしいですか。特に御意見がなければ議決に入らせていただきます。このチタンブリッジにつきまして、本部会として希少疾病用医療機器として指定することとしてよろしいですか。御異議はないようですので、このように議決させていただきます。この審議結果については、次の薬事分科会におきまして報告させていただきます。これで議題5を終了いたします。

 続いて、議題6に入ります。議題6、「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題6については、資料6-1、資料6-2、当日配布資料8、9に基づき御説明いたします。

 当日配布資料8と9に関しては、6-1、6-2、それぞれ諮問書を付け忘れておりましたので配布させていただいております。大変申し訳ありませんでした。

 議題3、4でも御説明させていただきましたが、本議題では既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を申請する際に、いずれのクラス分類に該当するかなどについて御審議いただきます。

 まず、資料6-1の「新設する一般的名称()について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は、植込み型ペースメーカ用植込みアクセサリとなりまして、こちらはペースメーカのリードや、リードとペースメーカをつなぐコネクタ以外の付属品を指すものとなります。

 1枚めくりますと、新一般的名称が付される予定の品目概要があります。ここに示されている製品は、従来、ペースメーカの付属品と位置付けられてきましたが、今般、ペースメーカの申請と分けて申請が行われたため、一般的名称の新設が必要となりました。

 こちらについては、能動型ではなく、心臓に直接接触しない植込み型の医療機器として、クラスIII、つまり高度管理医療機器に指定されるものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う医療機器ではありませんので不要と考えております。

 続きまして、資料6-2を御覧ください。

 新設予定の一般的名称は植込み能動型機器管理用プログラムとなります。こちらは植込み能動型機器本体のパラメータを変更したり、保存データを呼び出したりするものとなります。従来からハードウェアとして存在しておりましたが、今般、新一般的名称が付される予定の品目概要の部分にあるように、プログラム部分を取り出した機器ということで、新しい一般的名称を新設したいと考えております。

 クラス分類については、既存のハードウェアと同様にクラスIII、高度管理医療機器と指定し、特定保守管理医療機器の指定については、プログラムであるということから不要であると考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ただいま御説明いただきました議題6に関して、委員の方々からの御意見、御質問等はよろしいですか。なければ、議決に入りたいと思います。まず1件目ですが、植込み型ペースメーカ用植込みアクセサリについて、本部会として高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器には指定しないこととしてよろしいですか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。2件目の植込み能動型機器管理用プログラムについて、本部会として高度管理医療機器として指定し、特定保守管理用医療機器には指定しないこととしてよろしいですか。御異議がありませんので、このように議決させていただきます。この結果についても、次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題6を終了いたします。

 引き続きまして、議題7「医療機器の再審査結果について」に入らせていただきます。事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題7、医療機器の再審査結果について御報告いたします。関連資料は資料7-1と7-2になります。再審査は改正前の薬事法第14条第4項に基づきまして、原則、新しい医療機器について再審査機関を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて、有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。

 今回、再審査結果報告を行うのは、粒子線治療装置(炭素イオン/陽子タイプ)です。申請者は、三菱電機株式会社です。資料7-1の中段にあるように、本品は、高エネルギーで加速された陽子線又は炭素イオン線を用いて、固形がん及び脳腫瘍の治療を行う粒子線治療装置です。本品は、平成141031日に、陽子線タイプが承認され、平成17年1月12日に炭素線タイプが追加されました。陽子線タイプの報告書が資料7-1、炭素線タイプの報告書が資料7-2です。

 陽子線又は炭素線で治療した際の使用実態下における不具合発現状況、有害事象等を確認することを目的として、陽子線のほうは102例、炭素線は100例が登録されました。それぞれの有効性及び安全性について調査したところ、特段の問題はありませんでした。

 このため、医薬品医療機器等法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないこと。すなわち再審査結果の区分を効能・効果、用法・用量などの承認事項について変更の必要がない、カテゴリー1と判断しております。以上の報告につきましては、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいておりますので、簡単な説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 本件について委員の皆様から御意見、御質問はよろしいですか。ありませんか。特に御意見等ありませんので、よろしければこれで議題7を終了させていただきます。

 続きまして、議題8「部会の報告品目について」、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題8、部会報告品目について、横向きの資料8で御説明いたします。

 平成28年1月から平成28年3月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラス IV の医療機器、臨床評価が必要なクラス III の医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめております。

 1~23ページが医療機器で、2426ページが体外診断用医薬品となっております。医療機器は106品目、体外診断用医薬品は12品目あります。これらの資料については、事前に送付しておりますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。以上です。

○荒井部会長 既にお目通しであるかと思いますが、議題8についての報告品目ですが、特に御意見、御質問等はよろしいですか。ありませんか。特に御意見がなければ、これで議題8を終了させていただきます。これで本日の議題が全て終了いたしました。事務局から連絡はありませんか。

○医療機器審査管理課長 本日も長時間ありがとうございました。次回の会合の予定ですが、一旦、7月29日とさせていただきましたが、FAXでも御連絡させていただきましたが、7月29日の分については中止とさせていただきまして、改めて、次回の部会を9月上旬を目途に調整をさせていただいておりますので、次回もよろしくお願いいたします。以上です。

○荒井部会長 最後に特に御意見等よろしいですか。今日は長時間にわたり、本当に活発な御議論をありがとうございました。それでは、本日の部会を終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室 室長 柳沼(内線4226)

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