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2016年10月25日 平成28年度第6回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会

医薬・生活衛生局安全対策課

○日時

平成28年10月25日(火)


○場所

専用第21会議室(厚生労働省17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)



○議事

 

事務局 それでは、定刻になりましたので、「平成28年度第6回医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を開催いたします。

 本日御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日の調査会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただいておりますので、御理解・御協力のほどお願いいたします。

 傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧噪にわたる行為はしないこと、座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと、などの留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠ですが、全ての委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。

 今回、参考人といたしまして、日本医科大学大学院医学研究科教授の大久保先生、東京歯科大学市川総合病院眼科教授の島崎先生、一般社団法人日本神経精神薬理学会理事の石郷岡先生、名古屋大学大学院医学系研究科講師の岩本先生に御出席いただいております。

 それでは、冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。

(報道関係者退室)

○事務局 以降の議事の進行は、五十嵐座長にお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。本日は、3つの要指導医薬品のリスク評価、使用上の注意の改訂について審議をいただきたいと思います。

 議事を始めたいと思います。まず、事務局から、審議の参加に関する遵守事項につきまして、御説明をお願いいたします。

○事務局 議事参加について御報告いたします。

 本日御出席の委員及び参考人の方々の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金・契約金などの受け取り状況を御報告いたします。

 本日の議題に関して、競合品目、競合企業については、事前に参考資料を各委員にお送りして確認いただいております。

五十嵐委員より、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円以下の受け取り。

 柿崎委員より、アルフレッサファーマ株式会社及び興和株式会社より50万円以下の受け取り。

 望月委員より、持田製薬株式会社より50万円以下の受け取り。

 大久保参考人より、エスエス製薬株式会社より50万円以下の受け取り、サノフィ株式会社及びグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社より50万円超~500万円以下の受け取り。

 島崎参考人より、千寿製薬株式会社より50万円超~500万円以下の受け取り。

 石郷岡参考人より、Meiji Seikaファルマ株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社及び持田製薬株式会社より50万円以下の受け取り、塩野義製薬株式会社及びファイザー株式会社より50万円超~500万円以下の受け取り。

 岩本参考人より、Meiji Seikaファルマ株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社及び持田製薬株式会社より50万円以下の受け取りと申告いただいたほかは、受け取りの申告はございませんでした。

 よって、全ての委員におかれまして、意見を述べ、議決にも加わることができるとともに、全ての参考人におかれましても、意見を述べることができます。

 これらの申告については、ホームページで公表させていただきます。

 審議参加に関する遵守事項についての説明は以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ただいま説明をいただきました審議参加に関する遵守事項につきまして、御理解いただけましたでしょうか。何か御意見ございますか。よろしいですか。

 それでは、特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたことにしたいと思います。

 では、事務局から。本日の配付資料の御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、御説明申し上げます。

 まず、机の上に本日の座席表をお配りさせていただいておりまして、1枚おめくりいただきますと本日の議事次第がございます。そちらをおめくりいただきまして、裏面に配付資料一覧として今回の資料を掲載しておりますので、これに沿って説明させていただきます。

 資料1 要指導医薬品のリスク評価について

 資料1-1 トラニラストのリスク評価について

 資料1-2 ペミロラストカリウム(点眼)のリスク評価について

 資料1-3 エバスチンのリスク評価について

 資料2 ミルナシプラン塩酸塩製剤、デュロキセチン塩酸塩製剤及びベンラファキシン塩酸塩製剤について

 参考資料 競合品目・競合企業リスト

 過不足等ございましたら、事務局まで御連絡をお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。皆さん、よろしいでしょうか。

○事務局 申しわけございません。配付資料への記載はございませんが、当日資料として、「自動車運転の適否を判断する際の考え方(案)」を卓上のみお配りしております。傍聴の方への配付はいたしておりませんが、後刻、厚生労働省ホームページに掲載いたしますので、御容赦いただきたく存じます。

 以上でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。よろしいですか。

 では、議題1の要指導のリスク区分に入りたいと思います。個別成分の審議の前に、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順につきまして、事務局から初めに説明していただきたいと思います。

○事務局 資料1「要指導医薬品のリスク評価について」を御覧ください。

 1ページの表に記載しております3品目は、現在、要指導医薬品に指定されており、このたび製造販売後調査の終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためリスク評価をお願いするものでございます。

 初めに、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順につきまして、簡単に説明いたします。2ページ「スイッチOTC薬等のリスク評価について」を御覧ください。

 こちらは、リスク評価手続について、平成2512月に開催された医薬品等安全対策部会において決定していただいたものでございます。本日の御審議は、この部会決定に基づいて実施していただくものでございます。

 背景から順に御説明いたしますが、平成25年の旧薬事法改正により、適正使用のために薬剤師による対面の情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に要指導医薬品という新たな医薬品カテゴリーが設けられました。この要指導医薬品のうちスイッチOTCやダイレクトOTCについては、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務づけられており、この調査期間が経過すると一般用医薬品に移行することとなっております。移行の際には、一般用医薬品としての販売の可否を確認するためのリスク評価を行う必要がございます。

 2.のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価は、原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととし、製造販売後2年以降の時点において製造販売後調査の中間報告の結果などをもとに、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくことになっております。

 この確認につきましては3.に記載されておりますとおり、この安全対策調査会にて行っていただくことにしており、本日の審議結果につきましては医薬品等安全対策部会に御報告することとしております。

 次に、要指導医薬品から一般用医薬品への移行についての流れを御説明いたします。最後のページを御覧ください。

 企業は、承認後原則3年間の製造販売後調査を実施し、その間は要指導医薬品として区分されております。調査期間中は1年ごとに年次報告書が提出され、また、製造販売後2年以上経過し、特別調査での目標症例数、内服薬で3,000例、外用薬で1,000例を集めた時点で中間報告書が提出されます。この中間報告書をもちまして安全対策調査会で一般用医薬品としての販売の可否を評価することが図中のマル1でございます。

 一般用医薬品への移行が認められた場合には、3年経過した時点で製造販売後調査が終了し、第1類医薬品に移行することになっております。製造販売後調査が終了後1年の間に企業から提出される最終報告書などの結果から、一般用医薬品としてのリスク区分を安全対策調査会及び部会での審議などを経て決定することが図中のマル2でございます。今回は図中のマル1、第1類医薬品としての販売の可否について御評価いただきたいと考えております。

 御説明は以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。何か御質問はございますか。よろしいですか。

 では、審議に入りたいと思います。初めに、トラニラストから審議をしたいと思います。御説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-1「トラニラストのリスク評価について」を御覧ください。

 販売名は、ロートアルガードプレテクトです。

 効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、なみだ目、異物感(コロコロする感じ)」です。

 用法・用量は、「成人(15歳以上)及び7才以上の小児:1回1~2滴、一日4回(朝、昼、夕方及び就寝前)点眼してください」となっております。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。個別に薬局と契約してモニター店舗でアンケート調査票を配りまして、そのアンケートによる調査が実施されている特別調査におきましては、調査症例数1,058例で、副作用が9例13件、発現率として0.85%となっております。内訳は、眼そう痒症4件、紅斑3件、腫脹3件などで、重篤と判断された症例はございませんでした。

 使用者もしくは薬剤師からの自発報告という形での一般調査におきましては、報告された副作用は9例16件で、内訳は、眼そう痒症6件、充血4件などでした。こちらも重篤と判断された症例はございませんでした。

 平成28年1月8日以降の中間報告書データロック後に、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、重篤な副作用報告はございませんでした。

 また、使用上の注意の改訂、指導もございませんでした。

 資料の説明は以上となります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、参考人としておいでいただいています島崎先生から御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○島崎参考人 よろしくお願いします。

 調査報告書は、平成2627年及び平成2728年の報告書を拝見させていただきました。今お話もありましたように、重篤な副作用は1つもなく、挙げられた症状は恐らく原病でありますアレルギー性結膜炎に起因するものが大半ではないかと考えます。

 以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局と島崎参考人の御意見に対しまして、何か御意見・御質問はございますか。島崎先生もおっしゃったように、報告されている副作用は、どうも原病に起因する症状が大半ではないかということですので、大きな副作用はないと判断してよろしいかと思いますが、よろしいですか。

 それでは、議決をとってよろしいでしょうか。特に御意見はないようですので、トラニラストにつきましては、一般用医薬品第1類として適切とすることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。では異議なしということにしたいと思います。

 続きまして、2つ目のペミロラストカリウムについて審議したいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-2「ペミロラストカリウム(点眼)のリスク評価について」を御覧ください。

 販売名は、ノアールPガード点眼液、ペミラストンAG点眼薬です。

 効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やにの多いときなど)、なみだ目、異物感(コロコロする感じ)」となっております。

 用法・用量は、「成人(15歳以上)及び7歳以上の小児:1回1滴、1日2回(朝・夕)」となっております。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。特別調査におきましては、調査症例数1,010例で、副作用が2例3件、副作用発現率は0.20%となっております。その内訳は、眼部不快感2件、眼脂1件で、重篤と判断された症例はございませんでした。

 また、自発報告という形の一般調査におきましては、報告された副作用はございませんでした。

 中間報告書データロック後に医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告ですが、こちらもございませんでした。

 また、使用上の注意の改訂、指導もございませんでした。

 資料の御説明は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、参考人の島崎先生から御意見をお願いいたします。

○島崎参考人 報告書を見させていただきましたが、2例とも眼部不快感と眼脂ということで、これも恐らく原病のアレルギーに起因する可能性が高いと思われ、いずれも重篤なものではないと判断いたしました。

 以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局と島崎参考人の御意見に対しまして、御意見・御質問ございますか。特にありませんか。

 それでは、議決をとりたいと思います。特に御意見はありませんでしたので、ペミロラストカリウムにつきましては、一般用医薬品第1類として適切とすることでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。異議なしとさせていただきます。

 島崎先生におかれましては、貴重な御意見をどうもありがとうございました。以後の議題につきましては、特に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席いただいて差し支えございません。どうもありがとうございました。

 続きまして、3つ目のエバスチンの審議に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 資料1-3「エバスチンのリスク評価について」を御覧ください。

 販売名は、エバステルALです。

 効能・効果は、「花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻水、鼻づまり、くしゃみ」となっております。

 用法・用量は、「成人(15歳以上):1回1錠、就寝前に水または温湯で服用してください。」となっております。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。特別調査におきましては、調査症例数3,007例で、副作用が1827件、副作用発現率は0.60%となっており、内訳は、傾眠10件、倦怠感6件、口渇4件などで、重篤と判断された症例はございませんでした。

 一般調査におきましては、報告された副作用は2例5件で、その内訳は、体位性めまい、湿疹、眼瞼浮腫、皮膚炎、腹部不快感各1件でございました。こちらも重篤と判断された症例はございませんでした。

 中間報告書データロック後に報告された医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく副作用報告もございませんでした。

 また、使用上の注意の改訂、指導もございませんでした。

 資料の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、参考人の大久保先生から御意見をいただきたいと思います。

○大久保参考人 今回の特別調査、一般調査を見せていただきますと、やはり傾眠、倦怠感、口渇、めまい等の第二世代抗ヒスタミン薬でも起こり得る副作用、そのほか一般的な湿疹、皮膚炎、腹部不快感などの副作用ですので、ほかの類薬と比べましても、副作用発現率は非常に低いので、特に問題ないかと思っています。

 以上です。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 それでは、事務局と大久保参考人の御意見に対しまして、御意見・御質問はいかがでしょうか。

○大久保参考人 もう一つ、いつもこの第二世代抗ヒスタミン薬で今回もアレルギー性鼻炎専用薬になっているのですけれども、皮膚科などで使われないような形の注意がこれからも必要かと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。御指摘も含めまして、何か御意見ございますか。

 望月委員どうぞ。

○望月委員 今の資料の4ページに調査結果の概要が載っていまして、下のほうに設問で、特にこれが安全上問題がある、ないという話ではないのですが、用法・用量を守っていない使い方をした人が若干いるというところが、設問Eの結果としては見えるところがあるのですけれども、ここについてはどのような形で御判断をされたかを教えていただきたいと思います。

○大久保参考人 医療現場からすると、ヨーロッパのアレルギー学会からガイドラインが出ておりまして、アトピーの非常にかゆみが強い場合は抗ヒスタミン薬の場合ですと、2倍を超えなければ比較的安全性は担保されると考えてよろしいと思います。ただし、服用する患者の状況によっては、先生御指摘のように十分副作用が生じ得ると思いますので、この辺の調査がもし行われて、これを評価するのであれば、会社も1日1錠を守りなさいというのを添付文書にもう少し厳しく書くべきかと思います。

○望月委員 ありがとうございます。安全上はあまり大きな問題ではないと思いますが、OTCで、用法・用量の遵守状況に関する調査はあまりされてこなかったので明らかになっていない部分かなと思います。今後、ほかの要指導医薬品でこうした調査をする必要性も含めて御検討いただけたらと思います。

○五十嵐座長 大変貴重な御指摘ですが、事務局から何か御意見はございますか。

○安全対策課長 貴重な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。こういった調査の中で、どうやって決められた用法・用量を守って適正にお使いいただくかを見ていくということは、自己申告という部分もあって限界はございますけれども、先生からいただいた課題も踏まえて今後も対応させていただこうと思います。この医薬品の資材ですけれども、19ページに、お客様用の情報提供ツールがございまして、一番右側がわかりやすいと思いますが「1日1回1錠の服用で、1日中効きめが持続します」というメッセージは明確に書いているのですけれども、どちらかというとポジティブなメッセージになっていて、制限的な感じになっていないところがあります。資材を提供する際にも文言を工夫していただいて、できるだけ適正な用法・用量でお使いいただく旨の注意にできるように、メーカー側にも指導させていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 そのほかいかがでしょうか。特にございませんか。

 それでは、議決をとりたいと思います。安全性に関しましては特に御意見がなかったようですので、エバスチンについては一般用医薬品第1類として適切とするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。御異議なしということにしたいと思います。

 大久保先生におかれましては、貴重な御意見をどうもありがとうございました。以後の議題につきましては、特に御意見を求める予定はありませんので、途中で御退席いただいて差し支えありません。どうもありがとうございました。

 それでは、今後の流れについてのお話をお願いしたいと思います。

○事務局 御審議ありがとうございました。本日御審議いただいた3品目につきましては、製造販売後調査が終了するまでの間、報告される副作用報告等を確認いたしまして、本日御審議いただきました結果に変更がないことを引き続き確認してまいります。

 また、本日の結果につきましては、次の医薬品等安全対策部会に報告させていただきます。どうもありがとうございました。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 ここまで何か御意見・御質問ございますか。よろしいですか。

 それでは、議題2に移りたいと思います。議題2は、使用上の注意の改訂についてでございます。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、ミルナシプラン塩酸塩、デュロキセチン塩酸塩及びベンラファキシン塩酸塩の使用上の注意の改訂について御説明いたします。資料2を御用意ください。

 本件については、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から調査結果報告書が提出されております。

 まず、今回至った背景・経緯について御説明いたします。2ページの「1.国内における状況」を御覧ください。

 ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシンは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)と呼ばれる抗うつ薬であり、うつ病・うつ状態を効能・効果としております。また、デュロキセチンは糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症に伴う疼痛にも使用されております。

 これらSNRI3剤の添付文書には、「重要な基本的注意」の項に「眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう注意すること」と記載され、自動車運転等の機械操作を禁止する旨、注意喚起がなされております。

 一方、類薬である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)では、フルボキサミンマレイン酸塩を除き、「重要な基本的注意」の項に「眠気、めまい等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること」と記載されており、自動車運転等の機械操作を禁止する注意喚起とはなっておりません。

 このような状況から、平成26年1月に日本神経精神薬理学会及び日本うつ病学会より、添付文書に関する要望書が厚生労働省に提出されました。要望書は18ページに掲載しております。要望書では、ほとんどの精神疾患患者では症状改善と再発予防のために向精神薬の服薬継続が不可欠であるが、本邦では抗うつ薬3剤(パロキセチン塩酸塩水和物、塩酸セルトラリン、エスシタロプラムシュウ酸塩)を除き、全ての向精神薬で自動車運転は禁止されております。大都市を除くと自動車運転なしには日常生活や就労が成り立たない本邦の現状では、恩恵があるはずの治療薬が患者の生活を奪うことになるばかりか、必要な治療を受けず症状の悪化、再発をしてしまう患者の増加も危惧されることから、添付文書の改訂を要望する旨記載されております。

 3ページの「2.海外における状況」を御覧ください。

 米国及び欧州における添付文書では、いずれも自動車運転は一律禁止とはされておらず、患者の状態によって判断することとされております。

 続いて「III.機構における調査」を御覧ください。

 今回の調査では、自動車運転に影響を与える可能性が想定される又は事故に関連する副作用として、脚注2にお示ししております21の事象、自動車運転関連事象について国内での集積状況を確認いたしました。

 まず「1.1 ミルナシプラン」ですが、383件の自動車運転関連事象が報告されており、主な副作用は浮動性めまい、傾眠、体位性めまいであり、投与開始日~7日に最も多く発現しておりました。脚注3にお示ししました5つの意識障害関連事象は16件報告され、うち4件は重篤と報告されております。重篤症例のうち2例は併用薬の影響が考えられ、残りは詳細不明でございました。また、意識消失及び意識変容状態として報告された症例で、自動車運転時に事故に至ったことが確認されております。これらの症例の投与開始から副作用発現までの期間は、それぞれ不明、投与開始10カ月後及び31カ月後であり、31カ月後の症例では服用中に意識変容状態が回復していますが、それ以外の症例では詳細な情報が不足しておりました。

 「1.2 デュロキセチン」ですが、1,493件の自動車運転関連事象が報告されており、主な副作用は傾眠、浮動性めまいであり、投与開始日~7日に最も多く発現しておりました。意識障害関連事象は57件報告され、詳細情報が入手できた事象43件には、併用薬、合併症、過量投与などを認め、意識障害関連事象に本剤の関与が明確な症例はございませんでした。交通事故は5例報告されており、うち2例の重篤症例はいずれも多剤併用の症例であり、判断力の低下及び意識消失(眠気)が報告されています。残りの非重篤症例3例については詳細不明でございました。

 「1.3 ベンラファキシン」ですが、201件の自動車運転関連事象が報告されており、主な副作用は傾眠、浮動性めまいであり、投与開始日~7日に最も多く発現しておりました。意識障害関連事象のうち、意識消失1例は重篤と判断されており、ベンラファキシンとの因果関係は否定できないが情報不足の症例でした。交通事故は1例報告されており、ベンラファキシン投与後に中途覚醒による不眠となった患者が、翌日居眠り運転により交通事故を起こしたと考えられる症例でした。

 自動車運転が禁止とはされていない海外での事故関連報告を5ページの「2.海外副作用報告のうち交通事故に関する集積状況」にまとめております。

 「2.1 ミルナシプラン」では、交通事故が11例確認されており、うち2例では交通事故の原因と考えられる意識消失及び失見当識が、それぞれ投与開始3日後及び9日後に発現していました。そのほかの9例については、交通事故につながる有害事象に関する情報はなく、複数の医薬品が併用されている症例及び詳細な情報が不足している症例でした。

 「2.2 デュロキセチン」では、交通事故が29例確認されており、うち15例は情報不足、そのほかの症例は他の中枢神経系作用薬などが複数併用されている症例でした。

 「2.3 ベンラファキシン」では、交通事故が7例確認されております。このうち2例は投与開始8日後及び13日後に発生していましたが、残りの5例では交通事故や事故に至った詳しい情報は不明でございました。

 続いて「3.SNRIの自動車運転への影響を評価した臨床試験」を御覧ください。

 「3.1 ミルナシプラン」では、健康成人への投与により、路上での実際の運転状況に対して著しい影響は認められなかったと報告されております。

 「3.2 デュロキセチン」では、うつ病患者を対象に運転シミュレータを用いて自動車運転能力を評価した結果、デュロキセチン服用前後で運転技能に有意な影響は認められなかったと報告されております。

 「3.3 ベンラファキシン」では、健康成人において四環系抗うつ薬のミアンセリンは自動車走行中の横揺れの程度を表すStandard Deviation of Lateral PositionSDLP)を有意に増加させたが、ベンラファキシンはSDLPに有意な影響を与えなかったと報告されています。また、うつ病患者へのベンラファキシン投与により、自動車運転能力指標(Global driving ability scores)が有意に改善されたとの報告、並びにベンラファキシンによる治療にて外来通院が可能となった患者を対象に、50分間一般道路を運転し、同乗するインストラクターが自動車運転能力を評価したところ、健康成人と有意な運転能力の差は認められなかったとの報告もございました。

 「4.SNRIと類薬との比較」を御覧ください。

 日本人うつ病患者を対象としたミルナシプランと、SSRIであるパロキセチンの国内臨床試験では、自動車運転関連事象の浮動性めまい、体位性めまい、傾眠の発現割合に大きな違いは認められませんでした。

 うつ病・うつ状態の患者を対象に、デュロキセチン、パロキセチンまたはプラセボを投与した国内臨床試験では、自動車運転関連事象として傾眠、浮動性めまい、体位性めまい、回転性めまいが発現し、副作用の種類はデュロキセチン群及びパロキセチン群で同様でした。

 うつ病を対象としたデュロキセチンとSSRIであるエスシタロプラムの海外臨床試験では、有害事象の種類及び発現割合は、デュロキセチンとエスシタロプラムで大きな差はなかったと報告されています。

 また、各種受容体に対する結合親和性と副作用の発現割合について検討した報告を9ページに記載しております。鎮静・眠気に対し、負の相関が示唆されるセロトニントランスポーターとの結合親和性を示す阻害定数(Ki値)は、デュロキセチンでは1nM程度、ミルナシプラン及びベンラファキシンでは60100nM程度であり、SSRIではエスシタロプラムのセロトニントランスポーターに対するKi値は2nM程度、パロキセチンについては0.3nM程度、塩酸セルトラリンについては1nM程度であったと報告されています。

 「5.機構における調査の概要」を御覧ください。

 今回調査したSNRIでは、めまい、傾眠などの自動車運転に影響を及ぼし得る副作用が少なからず報告されており、患者自身が兆候を自覚できず、自動車運転に影響する可能性のある意識障害関連事象も報告されていますが、報告された意識障害関連事象はいずれも併用薬や患者の状態が影響している可能性が否定できず、SNRIの関与が明確な症例はないこと、国内の交通事故症例で認められている意識障害関連事象とSNRIとの関連が明確な症例もないこと、運転が一律禁止されていない海外において、SNRI投与中の事故の症例の集積が多くはないこと、臨床試験において、プラセボ投与や非投与と比較し、運転能力が低下することは示唆されていないこと、安全性プロファイルをSSRIと比較しても自動車運転に影響を及ぼし得る副作用の発現は多くはないこと、薬理学的にも鎮静・眠気に関連する受容体への親和性に大きな違いは認められていないことから、機構はSNRIの自動車運転等の機械操作に関する注意喚起をSSRIの注意喚起に合わせ、一律禁止ではなく、患者の状態に応じた柔軟な対応ができるようにすることは科学的には理解できるものであり、SNRIの自動車運転等の機械操作に関する注意喚起をSSRIの注意喚起に合わせることは、治療の選択肢が広がり、患者に適切な治療薬が提供され、適切な治療により症状の悪化及び再発防止に寄与すると判断しております。

 ただし、めまい、傾眠などの副作用により事故が起こるリスクは患者本人のみならず、第三者にリスクを及ぼす可能性もあることから、SNRI投与患者において自動車運転等の機械操作に関する注意喚起を改訂する際には、処方医や医療従事者が患者の状態をよく観察し、患者に対してめまい、傾眠などの副作用を自覚した場合は運転をしないよう、自動車運転に際し必要な注意喚起を徹底する必要があると機構は判断しております。また、精神疾患の症状、合併症、併用薬など患者の背景によっては、SNRI投与中には依然として自動車運転などの機械操作を行うべきでない場合もあると考えられるが、どのような場合に運転可能であるかを詳細かつ具体的に検討して、添付文書の注意喚起として記載することには限界があるため、自動車運転の適否については実臨床において処方医が適切に判断し患者を指導できるよう、関連学会や製造販売業者から必要な情報提供が実施されることが重要であると機構は判断しております。

 なお、SSRIの自動車運転に関する注意喚起では、パロキセチンのみ眠気、めまいなどの症状は治療早期に多く見られる旨記載されております。今回調査したSNRIでは、いずれも傾眠やめまいの副作用は投与開始早期に多い傾向にありましたが、治療開始時なのか、他剤からの切り換え時なのかは不明であり、治療開始時の患者の状態が影響した可能性も否定できないため、SNRIについてはパロキセチンのように投与初期に副作用が多いとは言い切れず、薬の影響を一定期間観察してから運転の適否を判断する旨を添付文書に記載する必要はないと機構は判断しています。

 以上の検討を踏まえた添付文書の改訂案を1213ページにお示ししております。現行の添付文書では、「重要な基本的注意」の項に「眠気、めまい等が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること」として注意喚起しておりますが、「眠気、めまい等が起こることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること。また、患者に、これらの症状を自覚した場合は自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事しないよう、指導すること」とする改訂案でございます。

 これらの機構の検討結果については、機構の専門協議において指示されております。

 説明は以上です。なお、本日の資料を事前配付した際に、各先生方から御指摘いただいきました自動運転の適否を判断する際に考慮すべき点をまとめた紙をお手元に配付しております。審議の際の一助になれば幸いです。

 それでは、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。

 本日は、日本神経精神薬理学会から石郷岡先生、日本うつ病学会から岩本先生に参考人としておいでいただいております。先生方からこの要望に至った背景につきまして、御説明をしていただきたいと思います。

 初めに、石郷岡先生、よろしくお願いいたします。

○石郷岡参考人 資料2の18ページに、平成26年1月に両学会で出した要望書がございますので、御覧ください。先ほど事務局からお話がございましたが、社会的には精神疾患の患者様ないしはそういう治療薬による問題で、交通事故の問題が社会的にはかなり注目されたという背景がございます。そのため、従来の添付文書の注意喚起をかなり厳密に適用するという動きが強まりました。その結果、それまで以上に服用している患者様に対しましては、自動車運転への制限を強く求めることになり、かなり現在の日本の社会状況と合わない状況、すなわち一方で服薬遵守を勧めながら、一方では自動車の運転を制限しなければいけないという臨床現場でのコンフリクトが起こっている状況がございました。その結果、こういう要望書を出させていただきまして、御検討をお願いしたいということがあります。

 その背景には、今、事務局から御説明がありましたように、同じ抗うつ薬であるSSRIの記載とSNRIの記載の間に整合性がなくて、それに対します科学的な根拠が乏しいということは我々も理解していたということも背景にございます。

 もう一つの点としましては、現在の治療というのは従来のような一律の治療から個別性の問題を非常に重視していますので、一律規制というものも現在の治療のトレンドに少しそぐわなくなっているといったことが背景にございまして、今回の御審議をお願いしたという背景がございます。

 以上でございます。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 続きまして、岩本先生、よろしくお願いいたします。

○岩本参考人 名古屋大学の岩本です。よろしくお願いします。

 今、石郷岡先生がお話ししてくださったように、社会的には精神疾患の患者さんの運転というのがすごくクローズアップされていまして、運転適性判断に関するガイドラインが日本精神神経学会から発表されているのですけれども、お薬の問題が今のところ解決されておりません。病状としては運転が可能であるものの、お薬を飲んでいるために運転してはいけないということで乖離している状況がございます。

 実際に私も地方に住んでいますので、ほぼ大都市を除けば自動車の運転なしにはなかなか社会生活が成り立たないという現状がございます。病院に通院したり、買い物に行ったり、仕事に行ったりするにも運転は必要です。これを一律に禁止してしまうと、社会生活を破綻させてしまうことにつながるのと、治療と社会生活が二律背反になってしまっているというのが現状の問題ではないかと思っています。

 また、調査結果報告書にも記載いただいておりますが、海外の添付文書と日本の添付文書が大分乖離していて、本邦の注意喚起は現実に即していないと思います。海外の添付文書の記載を見ておりますと、一律に禁止してしまうということではなくて、リスクがあるものについてはそのリスクを説明し、患者さんと双方向性にちゃんと対話して、運転が可能と判断される場合には注意しながら運転してもらうというのが世の中の流れではないかと思いまして、今回このような要望書を出させていただいているということで理解しています。よろしくお願いします。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。

 ただいまの事務局からの御説明と、お二人の参考人の先生方からの御意見に対しまして、委員の先生方から御意見・御質問はいかがでしょうか。どうぞ。

○柿崎委員 参考人の先生方にお伺いしたいのですけれども、先ほど資料でSSRISNRIで副作用はほぼ同程度ということでしたが、実際の臨床現場でも副作用は同程度と考えてよろしいのでしょうか。

○石郷岡参考人 正確な統計的なものは持ち合わせておりませんけれども、臨床の実感としてほとんど差がないというのが実感でございます。

○岩本参考人 私も、自分の臨床をしていてSSRISNRIでものすごく差があるとは考えていません。

○柿崎委員 あと、個別化医療というお話が出たのですけれども、SNRIで特に副作用が出やすい人だとか、あるいはこういった併用薬を使っている人は特に注意しなければいけないといった群みたいなものはわからないのでしょうか。

○石郷岡参考人 特定の副作用を予測するような臨床的な属性については、まだよくわかっておりません。

○岩本参考人 私の理解でも、まだ事前に副作用を予測するところまでのオーダーメードの医療まではいっていないと考えています。

○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○望月委員 資料2の3ページで、「2.海外における状況」が書いてありまして、5行目ぐらいの「また」以降ですが、欧州で平成1823年に実施されたDRUID Projectの結果を踏まえてデュロキセチンとベンラファキシンについては、「重度ではないものの中枢神経系に影響を与える副作用が存在するとされており、投与初期は、眠気、めまいが起きやすいので、自動車運転を避けるよう注意されている」ということについても多分検討された上で、今回は投与の初期の注意喚起等は入れていないとは思うのですけれども、このあたり参考人の先生方、どのように御判断されたのかをお聞かせいただけたらと思います。

○石郷岡参考人 この調査報告は以前に見ただけで、詳しく記憶には残っておらないのですが、結論としてはそこに書いてありますように、投与初期の問題が指摘はされているということでございます。ただ、使用の仕方として、この薬の投与初期ではありますが、先ほど事務局の御説明にもありましたけれども、切り換え時とかにいろいろ問題も起きやすいということがございますので、そういうことを含めて必ずしも投与初期の問題だけに限定して考える必要はないと思います。

 あと、補足ですけれども、仮に今回こういう方向で添付文書の改訂を行う場合には、もう少し薬剤の個別性に関して説明の資料などを企業側に求めて、単なる緩和の方向だけではないのだということを周知徹底させることは同時に行うべきだと思っております。

○岩本参考人 DRUID Projectというのは確かにたくさん報告書がありまして、私も全てを見たわけではないのですが、確かにお薬のリスクのレベルみたいなものを分類しておりますが、服薬期間中のリスクが一律に持続的にそういうレベルだということではありません。先生御指摘のとおり、これらの薬剤では投与初期について注意喚起されておりますけれども、現状として欧州で必ず禁止されているということではなくて、そういったリスクもありますよということを患者さんにお伝えして、医師と薬剤師などが注意喚起もしながら状態を見極めて運転してもらっているのが実際ではないかと考えています。完全に絶対数日は避けなければならないということを言っているわけではないと考えています。

○五十嵐座長 よろしいですか。

 ほかはいかがでしょうか。どうぞ。

○遠藤委員 今の話の続きみたいなことですが、機構の調査も初期のほうに傾眠などが3剤とも多かったという記載があるのですが、石郷岡先生が先ほどおっしゃった、例えば企業に言って別の注意喚起のようなものというのは、どのようなものを想定されているのでしょうか。

○石郷岡参考人 添付文書改訂に伴うさまざまな資料の作成を、ぜひ企業側には作成していただいて、それとあわせて今回の添付文書の改訂という情報を周知していただくということをセットにしてやっていただければとは思っております。

○遠藤委員 本日の当日資料に配られている、例えば、医師が確認すべき事項をきちんと確認した上で処方するようにという意味合いなのでしょうか。

○石郷岡参考人 おっしゃるとおりでございます。今まである意味規制が厳しい中で我々はやってきたということがありますので、この添付文書の改訂だけが出ますと、緩和したという部分だけが強調されすぎはしないかという懸念はございますので、ここにありますような点も一応項目として入れたような資料を作成いただくとよろしいかと考えております。

○五十嵐座長 この資料は、患者さん用と処方する医師側と両方に向けての資料のようなのですけれども、そのように理解してよろしいですか。

○石郷岡参考人 これは、そのようなものになっております。両方必要だろうと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 岩本先生、いかがでしょうか。

○岩本参考人 私もそのように思います。いいとか悪いと白黒だけで判断するということではなくて、個別に応じてリスクを評価するときにどういうところを評価すればいいのかというのが困ると思いますので、評価すべき点を案内していただくと処方の助けになるのではないかと思います。

 当日資料に書いてあることに加え、例えば用法・用量をちゃんと守っているかといったことも、もしかしたら必要かもしれません。

○五十嵐座長 望月委員どうぞ。

○望月委員 補助的な注意喚起の資料等が医師向けにあるいは薬剤師向けに製造販売業者から出されるということで、かなり注意喚起が徹底できると期待したいと思います。そのときに提供される内容というのは、本日の当日配付資料だと考え方ということで、どうしろこうしろというのが書いてあるわけではなくて、こういうことを確認してくださいねというニュアンスで私はこれを読んでしまうのですが、機構の最終的な考え方の整理では、12ページの「また」以降に、「変更される注意喚起の内容に関する情報の伝達については、精神疾患のコントロール状況を考慮する必要性や投与開始時や増量時に病状が不安定になったり眠気やめまいを自覚することが多いなど副作用発現頻度及び傾向について十分な説明が必要」云々という書き方になっていまして、もう少し丁寧にこういったことも含めて情報提供していただけるとよいのかなと思いますが、いかがでしょうか。

○安全対策課長 どうもありがとうございます。機構の調査結果報告書の12ページの「また」以降に、これは特に情報伝達ということで資材を想定して書かせていただいていますけれども、例えば、精神疾患のコントロールの状況、当日配付資料でいくと原疾患の状況に対応する部分、投与開始時、増量時の病状の安定性という部分で、3つ目の投与初期、用法・用量変更など服薬の状況ということで、ここに書かれているものを例として、注意すべきポイントを当日資料には入れさせていただいております。我々のほうで決め打ちをするというよりは、むしろ当日配付資料の論点を見ながら、こういった注意が必要なのではないかとか、先生方の本日の議論の状況から御覧いただいて、また必要なものを挙げていただきたいと思っています。そのために、先生方の論点を惹起するような例示ということで、この資料をつくらせていただいています。先生がおっしゃるように恐らくここに書いてあるポイントを文章にすると、12ページの報告書のような形になるのだろうと思いますけれども、それにとらわれずに、本日はいろいろな御意見をいただきたいと思っております。

○五十嵐座長 参考人の先生方にお伺いしますが、当日配付資料に記載されている医師向けのチェックポイントと、医師が患者さんにチェックするポイントがそれぞれ4つ、3つと書いてあるわけですけれども、これらの点で何か追記すべき点はあるでしょうか。

 私から質問があるのですけれども、薬を変えたときなのか、開始したときなのかわかりませんけれども、飲み始めて1週間とか初めのころにいろいろ症状が出やすいということが書いてあるのですが、それは口頭で患者さんにお伝えすべきことなのでしょうか。この薬を開始するときに、めまいや眠気が出るのですぐに運転はしないで、例えば、ある一定の期間見てから大丈夫そうだったら運転しましょうというようなことを、例の3番目の投与初期、用法・用量変更など服薬の状況というところで何か説明する必要はありますか。それとも、先ほどのお話だと余り科学的根拠はないので、そこまで明示する必要はないのではないかという御意見もあったようですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○石郷岡参考人 投与初期などに副作用が起きやすいということは、比較対象になっていますSSRIでも同様です。ですから、我々は抗うつ薬などを使用する際の一般的な注意としてそういうことは申し上げていますので、SNRIに限って特に説明が必要としなくてもいいのかなという気はします。

○五十嵐座長 岩本先生、いかがですか。

○岩本参考人 石郷岡先生のご発言のとおりだと思います。確かに投与初期とか増量したというときには注意はしておくべきタイミングだと思いますけれども、SNRIに限っての話ではなく、一般的なことではないかと考えます。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 ほかにいかがですか。先生方、特にここに例として挙げていること等を医師あるいは患者さんに注意していれば、そして添付文書を変えるという両方の二本立てでいくということでいけるのではないかという御意見を承っているのですけれども、何度も聞くようで申しわけないですが、これ以外に何か追記すべきことはありますか。

○石郷岡参考人 今すぐこれ以上のものというのは思い当たりません。今まで一律禁止だったので、逆にいえば、むしろ原疾患の状態や副作用の状況を治療中、適宜確認するということを医療者側には改めて再確認することが大事かなと思います。

○岩本参考人 やはり精神疾患の場合は個別性が高いと思いますので、先ほど御指摘もあったように、少し漠然としているというお話もありましたけれども、こういった論点を挙げて実際の指導に生かすほうが応用性があるのではないかと考えるのと、確かに3番目の服薬の状況というところかもしれませんけれども、用法・用量を正しく守ってくださいということは、幾ら影響はないといっても用法・用量外でたくさん飲んでしまうことはよくないですので、その点は注意しておくべきなのかなと思います。これは当たり前のことではありますが。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 委員の先生方からは特に追加はございますか。

○柿崎委員 使い慣れている精神科の先生が処方される分にはいいと思うのですけれども、糖尿病性神経障害など内科領域で処方することもありますので、製造販売業者の方は、精神科以外の診療科への啓発や啓蒙をしっかりしていただければと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 委員の先生方にお伺いしますが、まず、添付文書の改訂そのものにつきましては、自動車運転の適否を判断する際に注意喚起を医師側と患者側にするという条件つきのもとで、改訂をすること自体についての御意見はいかがですか。特に反対意見はございませんでしょうか。よろしいですか。

 では、これについて、まず議決をとりたいと思いますが、御承認いただけますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 では、基本的には改訂案を承認するということにしたいと思います。

 そして条件としては医師側と患者さん側にそれぞれ注意喚起をするということを、これは業者に資料としてつくっていただくという御理解でよろしいですね。そのときに、ここにありますように、まず患者さん側には副作用がでていないかとか、睡眠不足等がないかどうか、服薬をちゃんと守っているかどうか、こういうことを注意して、今までは禁止されていて解禁になったけれども、どうしても眠たくなったり、めまいが症状としてはあるので注意してくださいというようなことは注意喚起しなければいけないと。それから、処方する側には、原疾患がどういう状態であるか、あるいは副作用等が今どういう状況なのかを聞いて必ず確認をすると。それから、正しく服薬しているかどうかも患者さんに問うて確認しなければいけないということと、ほかの薬品で、例えば運転してはいけないという薬を飲んでいる場合はもちろん運転しないのでしょうけれども、同等の症状・副作用が出るような薬もあるかもしれないので、それについても十分医師側は注意するというような注意点をそれぞれに挙げるということでよろしいでしょうか。参考人の先生方、よろしいですか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 委員の先生方はどうでしょうか。それでよろしいでしょうか。

○大野委員 一言だけ。先ほどから議論していて私も気になっていたのですけれども、投与初期の患者さんの状況は気をつけて見る必要があるかなと思います。そういう意味では例示のときに、これだけ見ると投与初期にちゃんと服薬しているかの状況を見なさいと読めてしまうので、投与初期の患者の状況のチェックと服薬の状況のチェックとを分けて書いていただいたら、会社側が案をつくるのにつくりやすいかなと思います。

○五十嵐座長 どうですか。先生方よろしいですか。そのような仕組みにしていただくということにしたいと思います。

 ほかに委員の先生方、御意見いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、基本的には改訂案をお認めし、条件として患者さん側と医師側にそれぞれ注意喚起の資料をつくっていただいて、それを徹底することを条件とするということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 では、この資材につきましては、学会とも協力していただきまして、適切に情報提供できるものをつくっていただきたいと思います。事務局はそれでよろしいでしょうか。どうぞ。

○石郷岡参考人 もし、今のような形で進んだ場合は、学会のホームページ上にも改訂についての背景を説明するような文章を出したいと思っております。

○五十嵐座長 ありがとうございます。ぜひ、医師側にも情報提供していただきたいと思います。

 それでは、確認しますけれども、今回の基本的注意の中で自動車運転等に従事させないよう注意するという記載については、運転禁止ではないと改訂したいと考えるということで、資材も適切なものを患者さん向けと医師側のものを学会と協力してつくっていただくという方向でお認めしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○五十嵐座長 それでは、そのようにしたいと思います。

 事務局よろしいですか。

○事務局 それでは、ただいまの御議論を踏まえまして、ミルナシプラン、デュロキセチン及びベンラファキシンの製造販売業者に対しては、今、御議論いただいた情報提供資材の作成ができ次第、使用上の注意を改訂するよう指示いたします。

 また、製造販売業者に対しては、本調査会での議論を踏まえ、関係学会とも相談して適切な資材をつくるよう指示したいと思います。

○五十嵐座長 この資材については、この委員会でチェックする必要はありますか。

○安全対策課長 事務方に御一任をいただければと思います。

○五十嵐座長 委員の先生方、それでよろしいですか。

○安全対策課長 もし必要であれば、先生方にも案をまた御覧いただくような機会を設けさせていただこうと思いますが、もしそのほうがよろしければ。

○五十嵐座長 どうですか、望月先生。

○望月委員 五十嵐委員長にご判断いただくことで結構かと思います。

○五十嵐座長 では、私が代表して見させていただくということで、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

 その他、何か御意見・御質問等ありますか、よろしいですか。

 それでは、予定されている議題は以上ですが、事務局から何かございますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐座長 それでは、本日の調査会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 


(了)

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