ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(血液事業部会運営委員会)> 平成28年度第2回血液事業部会運営委員会議事録(2016年9月14日)




2016年9月14日 平成28年度第2回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成28年9月14日(水)
17:00~19:00


○場所

航空会館7F 701+702会議室
(港区新橋1-18-1)


○出席者

委員:(6名)五十音順、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

日本赤十字社:

中西 英夫 佐竹 正博 五十嵐 滋 平 力造
籏持 俊洋

化学及血清療法研究所:

早川 堯夫 尾本 裕昭 羽室 強

日本血液製剤機構(JB)

伊藤 浩和 飯島 毅彦

事務局:

一瀬 篤(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐) 金子 健太郎(血液対策課需給専門官)

○議事

○近藤血液対策課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、「平成28年度第2回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におれかましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、運営委員会委員6名全員の御出席をいただいております。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より、中西英夫血液事業経営会議委員、佐竹正博血液事業経営会議委員、五十嵐滋技術部次長、平力造技術部安全管理課長、籏持俊洋経営企画部供給管理課長、以上5名に参加いただいています。よろしくお願いします。

 以上、事務局からの報告とさせていただきます。

 カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 事務局から、審議参加に関する遵守事項について御報告をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 本日、出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。

 本日の検討事項に関して、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題3から議題6に関して、岡田委員及び室井委員が関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受け取りの申告がなされたため、議題3から議題6の検討に当たっては、意見は述べることはできますが、議決には加わらないこととさせていただきます。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見・御質問ございますか。なければ、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものとさせていただきます。

 それでは、議題に入る前に事務局から資料の確認をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。

 議事次第の次に座席表が3枚ございます。その後、委員名簿が1枚、運営委員会規程が1枚。

 次に、資料1-1が文献概要ですけれども2枚。次に、個別の文献になりますけれども、119ページまでございまして、プラス1枚になっております。

 議題2の資料2-1に関しては5枚、8ページまでございます。資料2-2に関しては、A4が2枚ありまして、A3横が2枚、その後にA4が5枚続いております。資料2-3が3枚、6ページまでございます。

 資料3-1は、合計8枚ございます。

 資料4に関しては、全部で8枚ございます。

 資料5に関しては、A4が1枚、A3縦が1枚、その次にA4が4枚と、またA3の縦が4枚続きます。その後、A4が4枚入っております。

 資料6-1は4枚、8ページまでございます。あと、参考資料といたしまして5枚ついております。資料6-2に関しては1枚です。

 資料7-1も1枚です。資料7-2に関しては6枚ございます。

 資料8-1が1枚。参考資料として1枚ございまして、さらに参考資料マル1という委員限りのものが1枚ございます。資料8-2は1枚、資料8-3は2枚ございます。

 あと、机上配付資料として、参考資料1、参考資料2、参考資料3と置かせていただいておりますので、御確認いただければと思います。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、これまで議題1として実施していました議事要旨の確認について、事務局から御説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 運営委員会が開始された当初は、議事録を公開しておりませんでしたので議事要旨がございました。平成21年ごろから議事録が毎回公開されるようになりましたが、慣習的に事務局で議事要旨を作成させていただいておりました。しかしながら、先生方にはより正確な議事録を毎回御確認いただいていることから、議事要旨の作成について見直しを行いました。今後は、議事要旨の作成を割愛させていただくという方針にさせていただきたいと思っております。また、冒頭において前回の議事録について、もし御意見があればということで御意見を伺う等の運用を検討させていただきます。

 以上です。

○田野崎委員長 ただいまの御説明でよろしいでしょうか。

 議事要旨は作成しないわけですけれども、前回の議事録について何か御付議・御意見があればと思いますが、既に公開されているものですので、よろしいですね。

 特になければ、これで前回の議事録は承認されたということで確認させていただきました。

 では、議題1「感染症定期報告について」、事務局から説明をお願いいたします。まず最初の1~6まででお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 議題1に関しまして、資料1-1の概要一覧表をごらんください。

 この資料は、平成28年5~7月までに報告された感染症定期報告のうち、文献の資料を概要としたものです。今回、全部で12件の文献が報告されており、その詳細は資料2-2にございますが、資料2-1の概要を用いて御説明いたします。1~6と7~12に分けて説明させていただきます。

 まず、1~6はジカウイルス感染症に関しての文献となります。

 まず、1番ですが、ECDCユーロサーベイランスのイタリアからの報告ですが、ジカウイルス流行国であるドミニカ共和国からイタリアに帰国した渡航者が、ジカウイルス感染症を発症し、ウイルスDNAは血漿中には発症後10日目まで、唾液と尿には発症後29日目まで認められたことから、唾液による感染の可能性や唾液を用いた診断の可能性についての報告です。

 2番は、『New England Journal of Medicine』に掲載されましたスロベニアからの報告です。2015年2月末に妊娠が成立し、妊娠13週にブラジルでジカウイルス感染症状を呈した妊婦さんですが、スロベニアに帰国後、子宮内胎児発育遅延と胎児の脳内の多数の石灰化と小頭症を指摘され、胎内感染が疑われました。32週に母親の希望で人工妊娠中絶が実施されておりますが、剖検したところ、小頭症と大脳皮質と白質に多数の石灰化を認め、脳組織からはPCR及び電子顕微鏡によりジカウイルスが検出されたとの報告です。

 3番は、CDCですけれども、2016年1月3日から3月5日まで米国においてジカウイルス流行地に渡航した4,534例、うち妊婦が3,335例ですけれども、ジカウイルス検査を実施したところ、1回以上ジカウイルス関連症状があった1,541例のうち182例、11.8%でジカウイルス感染が確認されました。一方、無症候であった2,557例(妊婦は2,425例)のうち7例、すなわち0.3%で、これは全て妊婦さんですが、ジカウイルス感染が確認されたとの報告です。

 4番は、アメリカのAABBからの週報ですけれども、プエルトリコにて献血のジカウイルスに対するスクリーニング検査が開始されたとの報告です。この検査はHIV、B型肝炎、C型肝炎、ウエストナイルウイルスなど、ほかのスクリーニングと同じプラットフォームが使用されております。

 5番は、米国の研究ですが、in vitroにおいてヒト抗デングウイルスモノクローナル抗体及びデングウイルス免疫血清がジカウイルス感染を増強したことから、既存のデングウイルス免疫はジカウイルス感染を増強し、疾患を重症化させている可能性が示唆されると報告されております。

 6番は、フレンチポリネシアからの研究報告ですが、アモトサレンとUVA照射を用いた病原体不活化法が、ジカウイルスの不活化において有効であったとの報告です。

 あと机上配付参考資料としてお配りしています参考資料1をごらんください。これは先日FDAから出ましたステートメント、原文のままで恐縮ですがごらんください。輸血用血液製剤おけるジカウイルスの輸血感染のリスク軽減化の業界向けガイダンスの改訂版となっております。

 この中では、国内感染が起こっている状況から、全ての州で3カ月以内に個別NATによるジカウイルスのスクリーニングを全ての血液製剤に対して行うように勧告されております。

 なお、9月7日の米国CDCの発表では、プエルトリコでの国内感染例は1万5,541件で、50州の中ではフロリダ州のみですが、国内感染例は43件。渡航歴のある症例も合わせると2,964件の報告があり、そのうち性交渉による感染は24例、ギラン・バレー症候群発症例は7例と報告されております。

 日本ではデングウイルスと同様ヒトスジシマカ、いわゆるヤブ蚊が媒介しますが、飛距離は50100mですので、国内感染例発生時は、例えば2年前のデング熱の場合と同じく、献血制限の対策が日赤によってなされる予定です。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。全部ジカウイルス絡みでございますけれども、委員の先生方から御質問・御意見があればお願いいたします。

 室井委員からお願いします。

○室井委員 山口委員か岡田委員にお聞きしたいのですけれども、ジカウイルスが今すごく注目を浴びていて、いろいろな論文や発表があると思うのですが、ウイルスが出ている検体の出て来る期間というのがいろいろ違うみたいなのですが、血漿と赤血球と唾液とか尿とか。それは、どういう理由で、例えば尿だと長く出るということになるのでしょうか。

○山口委員 おっしゃっているのは期間のことですか。

○室井委員 なぜ、いろいろな臓器組織由来のもの関して、出ているウイルスの長さが違うのかすごく疑問に思うんです。その辺の原因がわかりましたら、教えてほしいのですが。難しい質問で済みません。

○田野崎委員長 これに対して何かコメントはございますか。

○山口委員 答えはわからないのですけれども、例えば、5番の論文でジカウイルスというのは抗原性がほかのフラビウイルスと重なっている。5番の論文の意図は、抗原性は重なっているのだけれども、例えば、この場合出てくるデングの抗体とクロスはするのだけれども中和されない。むしろ、抗体があることによって感染性が強くなるということが起きるので、正確な答えはわからないのですが、場合によっては感染している患者ごとのバックグラウンドによって変わってくる。例えば、ほかのフラビウイルスに対する抗体があることによって感染が増強されたりとか、そういう可能性も1つは考えられるかと思います。

○室井委員 抗体ができても、その抗体が反応する場所によって反応しにくいような、例えば、膀胱とかそういうところのウイルスは、なかなか排除されない可能性があることになりますか。

○山口委員 ただ、まだジカに関して抗体で中和できるという報告はないような気がします。

○室井委員 あともう一点は、ジカウイルスが実際に輸血で感染したという事例は世界でどのくらい報告があるのでしょうか。

○山口委員 多分これは日赤のほうが調べておられるかなという気がしますが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 輸血による感染は、これまで正確に言うと4例言われているのですけれども、1例については一切詳しいことが報告されていませんので、実際には3例についてしかわかりません。全てブラジルで起こっております。全部血小板輸血で起こっています。

○室井委員 アメリカのFDAのことになるのですけれども、全部の血液でウイルス検査をしなさいということなんですよね。今はまだ発症例が少ないにもかかわらず、FDAがこういうことをリコメンドしている理由はおわかりになりますか。リスクを考えてそうしているのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 コメントしていいのかどうかわかりませんが、実際、先週ずっとこれに関する国際会議も行われておりまして出席していますが、これはあくまでも感触ですけれども、アメリカの血液事業当事者の中でも非常に戸惑いがあるというのが実態だろうと思います。これはこちらの感想になるかもしれませんけれども、一方的にFDAによる提起がなされたのが実情です。先ほども課長補佐から話がありましたように、国内感染というのはフロリダの43例しかまだないわけです。ただ、FDAの考えは、カリブ海あるいは南アメリカからアメリカ本土へ渡ったスピードの速さを非常に気にしているということ。もう一つは、無症状でいる人が80%ですので、こういった国内感染があるということは、その5倍ぐらいの症状が出ていてない感染が見えないところでずっと広がっているに違いないと。その2つが恐らく根拠になって、このようなストラテジーになったのだと思います。スピードと不顕性感染の怖さがあると思います。

 それから、輸血感染でどのような病態が起こるかについては、残念ながら余り突っ込んだ議論はされませんでした。そこは我々としては、ちょっと不思議だなというところがございます。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 FDAのリコメンデーションはかなりびっくりするぐらいの反応だったのですけれども、プレコーショナリーと書いてありますので、ジカの病原性とかがはっきりわからないので、かなり予防的に対策をとっているという印象を強く受けました。正直いって、ジカウイルスの感染は蚊によって媒介されますので、蚊の対策が十分とられれば、輸血による感染がジカウイルスの拡大にどの程度貢献するかはまだわからないのですけれども、輸血を受けられる患者さんは健常人とは限らないので、例えば、免疫抑制を受けているような方だと、場合によっては病原性が非常に強くなるということも否定できないので、そういうことで予防的に対策をとっているのだろうと考えています。

 あと、血中からは10日目ぐらいにウイルスは消えてしまうのですけれども、血中に存在するウイルスというのは感染している細胞から排出された細胞が血液の中に入るので、例えば、ターゲットとなる臓器にまだウイルスが残っていれば、例えば唾液腺に感染しているのであれば、唾液の中には恐らく血中よりも長くウイルスが存在しているだろうし、今は性感染ということで精液の中にということになると、例えば、睾丸の細胞の中で感染があって、睾丸は免疫系からある程度隔離されているところなので、長期間抗体とかが入ってこないので、感染が成立しているという考えもあるかなと思います。

 あと、例えば、E型肝炎も血中からは消えても便の中には長く検出されますので、ジカに特化したわけではなくて、ほかのウイルスにおいても血中と便など、場所によってウイルスが検出できる時期が異なるということはありますので、特別なことではないと思います。

○田野崎委員長 ほかにいかがでしょうか。大平委員どうぞ。

○大平委員 今、特段日本でどう対策を立てるかというのは緊急性が、今の岡田委員からの話ですと、それほど逼迫した問題ではないのかなということは印象としては受けるのですけれども、ただ、アメリカだけではなくて、中南米、東南アジアなどでも広がってきているという情報を聞くと、心配は心配だなというところがあるので、今後日赤での対応というのはどういうふうに考えられているのか、そういうところもお聞きしたいなと思います。

○田野崎委員長 佐竹委員どうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 どのようなストラテジーをとっていくかということに関しましては、疫学上のどこをポイントとするかということが1つ考え方としてあるかと思います。現在は、輸入感染例だけで8例ございます。そのうち7例は中南米関係ですが、直近の1例が東南アジアからです。ですので、日本としてはどちらかというと中南米よりはアジアから入ってくるほうが、これからふえてくることがあるかどうか、そこが非常に大きいと思います。いずれにしましても、海外からの輸入感染例がわっとふえるということが1つのポイントかと思います。

 あと一番大事なのは、国内感染・地域内感染が起こるかどうかが1つのポイントです。そうなりますと、そこで新しい方策をとる可能性があるということです。ですので、輸入感染例がどんどんふえてくるということも1つのポイントですが、大事なのは国内感染が起こりますと、相当の地域でふえてくる可能性がありますので、輸入感染例だけを防いでいる今の方策、すなわち海外から帰って4週間は献血をしないと。それで輸入感染はほぼ防げるかとは思いますけれども、国内感染が出るとなるとそれだけでは不十分ですので、今度は地域を限定した献血の中止といったストラテジー、これは2年前のデングでとられた方策と全く同じですけれども、そういうことが有効ではないかと思われます。実際アメリカでもフロリダで行われているのは、その方法です。フロリダでは、その地域での献血をずっと禁止しておりますので、それは非常に有効な法則かと思います。ただ、それは比較的限られた地域での、できれば複数の国内感染と思われる陽性者が出たといったところが1つの目印かなと思われます。そうなった場合には、そこの地域での献血をやめるということを現在考えております。

○田野崎委員長 確認なのですが、アメリカではフロリダの地域を限定してということでよろしいでしょうか。FDAから出ているものは全米にわたってしようとしているものではなくて。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 献血の禁止はフロリダだけで行われています。ただ、これから先ほど出ました全米での検査が行き渡りましたら、フロリダでの献血禁止は全部なくして構わないということがFDAからも言われていますので、それによって献血禁止は解除されるという道筋になっています。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 今の対策でそれほどではないのではないかと思うのですけれども、1つは例えば関東圏みたいなところで感染が起きたときに、かなり人数も多いですので、ウエストナイルのときの最初のほうでは、地域を限定したNATをやったりしたと思うのですけれども、そういうNATの対応というのも考えられるのか。要するに、FDAは全米でやろうとしているのですが、特定の地域に対してだけNATを適用するとかそういう可能性はありますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全くおっしゃるとおりで、先ほど限られた地域でという断りがつきましたのはそういうことでして、例えば東京都内だと大変困った話になりまして、東京のかなり広い地域にこれが適用された場合、血液事業はやっていけなくなります。血液が足りなくなりますので、そのときは検査を考えなければならないのだろうと考えております。既にNATのメーカーとはかなり接触しておりまして、数に限りはありますけれども、そうなった場合には患者さんを限定する方策を一緒に入れないとやっていけないかと思います。すなわち、どういった患者さんがジカのリスクがあるかということを考えますと、やはり妊婦さんが非常に大きくなりますので、妊婦さんへの輸血が必要になった場合に、その血液を特別に検査するといった考え方もあるかと思います。それが現在ブラジルの一部の先進地域ではとられている方法です。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 海外からの輸入例は一応献血制限で対応ということで、国内感染が問題なのですけれども、その場合はジカに関しては、症状的には死亡は非常に少ないのでわかりにくいことは確かです。そうなると、蚊のモニタリング、デングのときにやったようにいろいろな公園とか、空港の周辺とかの蚊を採集して、ジカだけではなくデングとかチクングニアという蚊を媒介するウイルスのモニタリングをやって、早期に日本にそういうウイルスを持った蚊がいるかどうかをチェックして、見つかれば、その地域の蚊を徹底的に駆除するというほうが輸血の安全性を保つ上では重要ではないかと思います。

 実際今、例えば代々木公園などではモニタリングはやられているのですか。恐らくデングはやっていると思うのですけれども、その中にジカが入っているというような情報はどうなのでしょうか。

○近藤血液対策課課長補佐 結核感染症課に確認いたします。

○田野崎委員長 佐竹委員どうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それに関しましては、南米と中南米で起こっている今のジカの感染例は、全てネッタイシマカによって起こっているものです。日本にはネッタイシマカは1匹も生存しておりません。

 向こうのウイルス学者に、ヒトスジシマカで起こった例はないかどうか確認したのですが、それは現在ないのだそうです。ただ、歴史上は二千何年かに、アフリカの一部でヒトスジシマカで起こった事例があるという報告はあります。ただ、現在起こっているのは、全てネッタイシマカであるという話を聞いております。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。一応、米国は確かに動き出してはいますけれども、現時点においてはNAT導入までする必要性、そういう情報まではいっていないということかと思いますが。

 よろしければ、次をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 続きまして、文献報告にお戻りいただいて、7番から御説明いたします。

 今年4月にH7N9のヒト感染症の追加の検査確定例17例、うち死亡が5例ですけれども、WHOに報告されました。15例においては家禽への暴露が確認されましたが、ヒト-ヒト感染が疑われる症例も含まれているという報告です。

 8番は、沖縄のコホート研究ですが、糞線虫感染はHTLV-1感染者のほうが非感染者より2.4倍多く見られ、また、HTLV-1感染が肝臓がん及び成人T細胞白血球/リンパ腫以外のリンパ腫の発症率を有意に上昇させることが報告されております。

 9番は、IHRからでポリオウイルスの国際的拡大に関し、第8回会議がEmergency Committeeで開催されました。野生型ポリオウイルスの国際的拡大の発生は、全体的に減少していますが継続しており、201510月と11月にパキスタンからアフガニスタンへ新規輸出例が2件報告されているという内容です。

10番は、米国からの研究報告ですが、血小板製剤の培養を行う積極的サーベイランスと、医療機関からの報告を受ける受動的サーベイランスを、2007年から7年間した実施した報告です。積極的サーベイランスでは、輸血された5万1,440本の血小板製剤のうち20本に細菌感染が判明しましたが、これらは284件の受動的サーベイランス報告例にこれらの細菌陽性例が含まれていなかったことから、受動的サーベイランスの限界が示されました。

11番は、フランスにおけるBSEの報告です。アウトブレークの発生日は2016年3月1日で、ウシにおいて疑い例394例、症例は1例、処分例1例が報告されました。感染源は不明もしくは結論に達しておりません。

12番は、FDAからの業界向けガイダンスですけれども、輸血用の血液製剤のドナースクリーニングに使用される、容認され得る供血者の履歴問診と附属資料の導入について、今年5月に出されたものです。FDAの要件と勧告を満たした血液及び血液成分のドナー履歴、情報収集のための有効な方法として、2016年2月付でAABBより作成されたドナー履歴問診票及び付随した文書がFDAにより承認されたことが示されております。

 以上になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 委員の先生方から御意見をお願いいたします。よろしいですか。

 最後のFDAのガイドラインは、ここでもまたジカについてはちょっと触れていること、あとは日本と違っていて、がんの患者さんや移植を受けた方も適用になっているということが書かれていますけれども、少し温度差があるところがあるかと思いますが、御意見よろしいでしょうか。

 それでは、事務局は今後とも情報収集に努めていただければと思います。

 次に、議題2「血液製剤に関する報告事項について」になります。遡及調査の進捗状況や副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応などについて、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料2-1「供血者からの遡及調査の進捗状況について」をごらんください。

 3枚目をごらんください。「供血者から始まる遡及調査実施状況」の表の一番右下ですが、報告件数は0、0、0とHBVHCVHIVともに0で報告されております。この表は、例えば、献血で陽転化したドナーの前回の献血が、プールNATでスクリーニングが行われていた平成26年8月以前の場合に、その保管検体が個別NAT陽性になった件数を載せております。

 前回御報告させていただいた、個別NATが陰性でしたが、医療機関からの報告でHBVのウインドウピリオドに献血されていたことが判明した例に関しましては、真ん中のカラムの一番下に括弧つき数字で示されております。表外にも*1として注釈が入っております。

 なお、()のマル1に挙がってくるのは、プールNAT陰性、個別NAT陽性例ですけれども、これは前回献血が平成26年8月以前で、かつ今回の献血までに症状もなく検査で診断されていなかったドナーですので、今後は次第に減っていくものと考えられます。

 次に、資料2-2をごらんください。「血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について」です。

 1枚めくっていただきまして、感染症報告事例のまとめをごらんください。

 今年5~7月までに報告がございましたのは、疑い例を含めて16件です。その内訳はHBVが5件、HCVが7件、HIVが0件、その他が4件で、全て細菌例です。

HBVHCVHIVに関しては感染が確定した例はございませんが、細菌感染の4例の報告のうち1例は5の()にありますように、使用済みバッグを用いた無菌検査が陽性となった事例が1件でした。

 次に、1枚めくっていただきまして、A3の資料1「国内輸血用血液製剤」の裏にございます「輸血による細菌等報告例」の1例目をごらんください。3-16-00032という症例ですけれども、スワーリング等外観の異常が見られなかった採血3日目の血小板製剤ですが、輸血終了後に発熱があり、血液培養で得られた菌株と使用済み血液製剤バッグの残留血液及びセグメントの菌株との遺伝子型試験及び薬剤感受性試験で違いが見られなかったことから、輸血による感染と確定した例となります。

 次に、「国内血漿分画製剤」というA3横の資料をごらんください。

 今回、HCV感染疑い報告例が4件ございますけれども、そのうち1番目と3番目と4番目の症例は、いずれもフィブリン糊を使った製剤ですが、同じ血漿プールから製造されておりました。

 プール血漿に関しましては、Paul-Ehrlichまたはswissmedicによりウイルス検査されており、また、日本へ輸入された後も最終製品のNAT検査で陰性が確認されております。現在これ以外の報告例は、企業及び医療機関からは来てございません。

 その他、注目すべき症例などございましたら、後ほど御意見をいただければと思います。

 3枚めくっていただきまして、「輸血用血液製剤で感染が疑われる事例について」ですが、平成28年7月時点、過去5年間分ですけれども、ここに挙げました2例ともに前回報告からの変更はございません。

 また、さらに1枚めくっていただきまして、今度は北海道で行っていただいております試行的HEV-NATの実施状況に関しての御報告です。

 平成28年1~7月は、149,473名の献血者に対して、HEV-RNA陽性者数が64名。そのうち男性が56名、女性は8名で、陽性率は2,336名に1名ということで0.043%でした。ジェノタイプは3型が49名、4型が9名。ウイルス量が少ないなどで検査不能であった例が6例でした。

 前年同期は、156,692名の献血者に対してNAT陽性者数は54名、うち男性は47名、女性は7名で、陽性率は2,902名に1人で0.034%でした。ジェノタイプは、前年同期は3型が41名、4型が6名で、検査不能が7例でした。

 抗体についてですけれども、IgM抗体、IgG抗体ともに陰性であったのが42名、ともに陽性が14名。IgMのみ陽性者はおらず、IgGのみ陽性の方が8名おられました。

 今回、ジェノタイプのところで3カ所※がついておりますけれども、ここは注釈が加わっております。ここに関しては下に書いてありますように、再検査等でのデータの更新・修正がなされております。詳しくは、後ほど日本赤十字社から御説明いただきます。

 続きまして、資料2-3「献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数」をごらんください。

 1枚目は、献血者におけるHIV抗体陽性件数の表となりますが、表の一番下の欄に、今年1~6月までの速報値を示しております。献血件数2429,770件に対してHIV抗体陽性者数は18名、うち女性は3名でした。前年同期は27名で、女性はおりませんでした。

 なお、核酸増幅検査陽性者はおりませんでした。

 したがって、今年上半期の献血10万件当たりのHIV抗体陽性検体数は0.741で、前年同期の1.096より下がっております。

 3ページですけれども、都道府県別の陽性者数の表をごらんください。第2四半期では大阪から5例報告がございました。東京からは、今年はまだ3件しか報告はございません。

 最後の6ページをごらんください。献血者におけるHIV陽性者数の推移をグラフで表したものですけれども、一番上が男性、次が男女合わせた数、一番下は女性です。男女いずれも減少傾向が続いております。女性は、今年は少し出ておりますけれども、いずれにしろ減少傾向が続いていると考えております。

 以上が報告となります。

○田野崎委員長 ありがとうございました。

 日本赤十字社から追加説明があるということを伺っていますけれども、よろしいでしょうか。

○日本赤十字社平安全管理課長 私のほうから御説明させていただきます。先ほど補佐から言われた試行的HEV-NATの実施状況について補足で追加説明させていただきます。

 最近、個別NATということで検査法の感度が非常によくなりまして、そういう中でウイルスのジェノタイプを測定するのになかなか苦労しているという現状がございます。今までは、遺伝子を特定できなかったものには同定不能ということで表記していたところですけれども、今後は検査できないものはできないということで、不能と書かせていただければということで、まず入れさせていただきました。

 そういう中で、実は検査をやる側にするとバックがございますので、出なかったものでも何回か濃縮等も含めてチャレンジしたいというところがあって、平成23年は31と4ということで御訂正をお願いしておりますが、このときに実は平成2312月の検体で、当時検査したときには遺伝子型がはっきりしなかったということで、同定不能で1ということで挙げさせていただいておりました。その当時の運営委員会から、なお4回分に関してはここのカラムが34で、同定不能が1ということで掲載されていたのですけれども、平成25年に濃縮等で再検査したところ遺伝子型が判明したと。そのときに3型と判明したのですけれども、資料で4型という形で集計させていただいてしまったということで、この訂正以降はジェノタイプ3が30、4が5ということで御報告を12回程度させていただいておりましたが、今回この辺の見直しを全てするに当たって再確認させていただいたところ、集計上のミスが出ましたので、お詫びさせていただくとともに、31と4ということで訂正させていただきたいと思っております。なお、その他についても再度、全て資料と検査結果等を引き合わせて確認しましたが、そこに関して変更等はございませんでした。

 なお、これは実際に北海道ブロックでやっておりますが、この辺のデータも全て、今までも数などジェノタイプは確認しているのですけれども、中身までこういった形で情報を共有しながら、ミスがないような形で御報告していきたいと思いますので、本当に申しわけございませんでした。

 以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、委員の皆さんから御質問などをお願いできればと思いますが、幾つかあるかと思いますけれども、HEVでないところから、まずお願いできればと思います。

 室井委員、お願いします。

○室井委員 細菌感染症のデータはすごく印象に残ったのですけれども、これは外観検査をしても全く異常はなかったと書いてあるのですが、通常、輸血部門から製剤を出すときに、輸血部門で外観検査をして、実際は使用前に多分看護師さん等が外観検査をして、異常がないものを入れていると思うのですが、そうしますと、外観検査をしても細菌感染症の混入はわからない場合があると、この例は考えていいのでしょうか。それは極めて特殊な場合なのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 一般に血小板製剤の中で細菌がミリリットル当たり7乗とか8乗になりましても、外観に全く変化を来さない血小板というのは幾らでもございます。我々もスパイク実験を随分行いましたけれども、外観検査というのは実際には感度はかなり低いです。ですので、外観検査というのは目の前を流れてくる多くのPCの中で感度よく汚染したものをピックアップするという検査ではなくて、実際にはもっとあるかもしれないけれども、その中で少しでも汚染したものを拾い上げて、それが臨床に供されないようにするという検査ですので、外観検査で全てがつかまるというものではありません。

○室井委員 そうしますと、臨床の現場ではもちろん外観検査はしますけれども、必ずしも細菌混入の可能性は否定できないというスタンスで輸血をしたほうがいいということですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 もちろんそうです。外観検査というのは、そういう形の検査です。

○室井委員 わかりました。

 もう一点、製剤と患者さんの血液の両者に差異は認められなかったという書き方なのですけれども、これは逆に、ポジティブに相同性があると書いてはまずいのでしょうか。見るほうとしては、ネガティブな表現よりも、相同性が認められると書いたほうがわかりやすいと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 わかりました、そのようにいたします。

 ちなみに、これは採血3日目のものなのですけれども、このバクテリアが外観に変化を来さないバクテリアかどうかということですけれども、もう1日置くと外観に凝集が出てくる例は経験しております。それは臨床に供した例ではありませんけれども、こちらで外観検査をチェックしたもので、Citrobacter koseriが4日目では示しています。ですので、そのタイミング。また、凝集もその後溶けてしまう場合もしょっちゅう見られますので、外観検査というのはその中で少しでも減らそうという意味の検査です。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 この血小板の供血者は、特に健康状態等は問題なかったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 はい。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 これについては、何かデータなどはございますか。特に供血者の方についての情報が何かあれば。それについてはわからないですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 供血者につきましては、当時、問診票にも問題となる記載は一切ございませんし、リピーターですけれども、それまでの献血でも問題になったことはございません。若い男性の方です。

○日本赤十字社平安全管理課長 その後も、もう一回採血に来ていただきまして無菌試験等をやらせていただきましたけれども、結果は陰性ということでございました。そのときにいろいろお伺いしておりますけれども、何か特筆すべきものは検出されなかったということでございます。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 資料1のA3の資料ですけれども、B型肝炎の感染症報告例の中で、これはいつも悩ましいデータになっているのですが、日赤でも投与前の検体を使って、これは保管検体でやられたのだろうと思いますが、抗体だけがプラスになっていて、後でDNAがプラスになったりしているので、これはもちろんワクチンを接種していたという方ではないですよね。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 この例はワクチンではないと思います。というのは、コア抗体が0.9ですので定義上は陰性なのですけれども、恐らくコア抗体がギリギリの方だったかと思われます。

○山口委員 わかりました。

○田野崎委員長 ほかはいかがでしょうか。

 これは血漿分画正製剤で同じプールからのC型肝炎が3例報告されていますが、これについて何か御意見等ございますか。

○山口委員 投与された製剤のロットが違うかどうかという。特定のロットではないですよねということだけ確認させてください。

○近藤血液対策課課長補佐 製剤のロットは、タコシールが2つ載っていますけれども、それぞれは違うロット番号でした。

○山口委員 特定のロットに何かそういうことがあるという場合は、別な調査が必要かと思うのですけれども、このデータだけではなかなか判断できないのですけれども、先ほどの御報告にありましたように、ほかで報告が全く知られていないということを考えると、この製剤によるというのは、なかなか考えにくいことはにくいのですが、もし追加の情報があれば、ぜひ出してもらいたいと思います。

○近藤血液対策課課長補佐 追加の情報などありましたら、御報告させていただきます。○田野崎委員長 原料血漿が同じだったというわけでもなかった症例ですね。先ほど同じと伺ったように思ったので。

○近藤血液対策課課長補佐 この3つの製剤の血漿プールは同一だったということです。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 この分画製剤ですけれども、実は3症例のうち2症例に関しては、抗体は陽性となっていますけれども、核酸が検出されていないんです。もう一つの症例も、RNAの定量結果が一応正常範囲を超えたということなのですけれども、これが唯一のポジティブな所見で、あとはみんな感度以下とか検出不能と書いてあって、本当にこれが陽性だったかどうかわからないです。ただ、抗体だけが陽性になっているので、例えば、キットを変えると陰性になったりする可能性もあるので、この3症例は本当にCだったのかどうか。追加で試験ができるのであれば、違うメーカーのキットで本当に抗体が陽性だったかどうかとか、そういうことも確認していただけると、その辺がわかるかもしれません。

○田野崎委員長 これまでのところについて御意見があれば。

HEVは先ほど外してと言いましたけれども、今度は全部含めて御意見があればお願いいたします。

○岡田委員 実は今回、血小板製剤による感染が起こったのですけれども、製剤の回収情報が資料2-1の7ページにあるのですが、従来FFPが圧倒的に多かったのですが、今回、血小板製剤が3つ回収の対象になっているんです。しかも、回収開始がかなり限られた期間なので、これはどうして回収になったのかという理由があれば。もちろん、この場で突然言われてもわからないと思いますので、次回報告していただければいいと思うのですけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 回収の状況ですね、中身でしょうか。

○岡田委員 血小板が3つの。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 この血小板は分割PCGです。分割PCで片方に凝集塊が認められたものですから、その片割れを急いで回収したということです。

○岡田委員 分割があったのですね、わかりました。私は3つの製剤があったので、偶然、分離装置か何かにトラブルでもあったのかなとそれを心配したものですから。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 いいえ。ここの回収は、ドナーの方の献血後の健康情報が入ってきて、まだ輸血されていないものがあったので、それを回収したということです。薬を服用していたとか、実は輸血歴がありましたとか、欧州渡航歴で間違ったことを言いましたとかそういったものです。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 細菌感染症のことなのですけれども、先ほどのブラッドの論文で、Septic transfusion reactionsという定義を用いて細菌感染症を判断している論文があったと思うのですけれども、その場合には細菌は検出されなくてもSTRに合致すれば、コンタミした製剤によってうつったと考えているのでしょうか。多分、日本だったら細菌が出ないと、きっと細菌感染症によるものという断定はしていないと思うのですが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 我々の立場も、一定のいろいろな施設あるいは組織が輸血による細菌感染の定義等をいろいろ定めていますけれども、そんなに大きな違いはないのですが、我々としてもそれに合ったものを上げるということを基本にはしております。症状で発熱とかいろいろなことがあって、全部それを何とかというふうには考えておりません。

○室井委員 最初に細菌が出て、両者が一致しないと細菌感染症にうつったとは言えないということですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうですね。

○室井委員 これを見ると、このブラッドのクライテリアはそれを余り書いていないみたいなんですよね。なので、かなり広くとらえているのではないかと思ったのですが、欧米の考えというのはその辺はどうなのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 この論文は、そういう点で新しい考え方を入れるべきだろうとは言っているかと思います。アクティブに探せばもっとあるでしょうということは2008年の別の論文にも同じような結果が出ておりますので、そういった考えも必要かと思います。ただ、臨床医が重大だと考えたものと全然一致しないということもあるのですけれども。

○室井委員 広くとらえているということなのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 そうだとは思います。

○田野崎委員長 確認までに、このようにセグメントとかそちらからも同時に証明されているケースは年間どのくらいあったのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 日赤がちゃんとここまでパルスフィールドあるいは遺伝子レベルで一致しているものを確認しているのは年間1例か2例です。

○田野崎委員長 あとは、感染症報告につきましてよろしいでしょうか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 E型肝炎の問題なのですけれども、今回北海道のデータが出ているわけですけれども、これ以外に献血者対象のデータですが、北海道でほかの地域のいろいろなE型肝炎の分布の状況、また、北海道以外の地域でいろいろと検査をやられているということはあると思いますけれども、その辺の状況というのは今回の資料の中には出ていないので、北海道では献血だけではなくて、いろいろな層の人たちのE型肝炎の広がりは何かつかまれているのか。あと、首都圏でもE型肝炎の広がりはどのように把握されているのか、教えていただければと思います。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 まず、北海道以外につきましては、きょうの話題になっておりますので、資料4に東京地域におけるHEV感染実態調査がございます。そこで後ほど詳しく話があるかと思います。つまり、以前の調査で北海道と並んで関東地方が非常に感染率が高いということが出ていましたので、北海道は今までNATをやっていますが、東京地方ではどうなのかということで、東京地方でもう一度NATをやった成績がそれでございます。

 それと同時にこれからのことですけれども、日本全国でHEVに対するIgGの陽性率を感染症研究所と協力して、もう一度大規模な調査を今始めるところです。そういった計画がございます。

○田野崎委員長 E型に関しましては後ほどまた出てきますので、次に進めさせていただきたいと思います。

 次は、議題3「日本赤十字社からの報告事項について」に移りたいと思います。日本赤十字社から資料3-1及び資料3-2の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 日本赤十字社の中西でございます。平成27年度の血液事業の取り組みについて御報告をさせていただきます。

 まず2ページでございますが、平成27年度の事業報告といたしまして、血液製剤の安定供給につきましては、輸血を必要とする全ての患者に必要な血液を適時に提供することを使命として実施してまいりました。

 全国に輸血を行う医療機関は1万カ所あり、年間で1,877万本の血液製剤を供給いたしました。そのために488万人の献血者の御協力をいただきまして、年間を通じて適正な在庫量を確保し、円滑に供給することができました。

 3ページをご覧いただきたいと思います。輸血用血液の供給量の推移でございます。内視鏡手術など最新の医療機器の普及で、輸血を余り必要としない手術が行われてきている傾向があることから、この棒グラフの中央の平成25年度以降、わずかではありますけれども、血漿製剤、赤血球製剤の減少が続いておりまして、平成27年度は全体として対前年度で99.9%という供給量の推移になっております。

 4ページは、献血者数の推移でございます。棒グラフの一番上の成分献血につきましては、平成26年度から開始した血小板製剤の分画製造を推進した結果、献血者数が減少しております。

 また、医療機関からの要請や安全性、効率性の観点から、200mL献血が減少し、全体の献血者数は減少しておりますが、必要な献血量は賄えている状況でございます。

 5ページは、年代別献血者数の推移でございます。折れ線グラフの青、赤、緑が1030代の献血者数の推移でございまして、減少傾向にございます。また、これは少子化による人口の減少がベースにあると考えられますが、それ以上に若い世代の献血者が減少しておりまして、今後の重点事項として減少に歯止めがかかるよう、具体的な取り組みを進めていくこととしております。

 その基礎的な対策として、これからの献血を担う若年層に対する普及啓発の取り組みを継続して実施しております。特に2つ目の学校教育等における献血セミナーの実施においては、平成27年度は小・中・高・大学等におきまして1,211回開催しており、17万人の参加がございました。赤十字施設におきましても361回開催しており、約9,000人の参加がございました。

 3つ目の学生献血ボランティアの育成につきましては、ボランティアによる自主性を持った取り組みを進めており、学生自らイベント等を企画運営し、同世代からの働きかけにより献血への理解、共鳴と参加を推進しております。

 7ページをご覧いただきたいと思います。血液製剤の安全性の向上につきましては、輸血による副作用低減を目的として、1点目は9月13日から供給を開始いたしました洗浄血小板製剤の製造準備を進めてまいりました。

 2点目は、E型肝炎やシャーガス病等の新興再興感染症に対しまして、新たな検査の実施や混入した病原体等の感染症を低減する技術等に向けた準備を進めてまいりました。

 8ページの図ですけれども、これまで御説明いたしました事業に対する収支決算の概要について御説明いたします。右上に表記しております収益的収入の大半を占める輸血用血液製剤供給収益は1,476億円であり、対前年比で1億円の減少に留まりましたが、2つ目の分画製剤供給収益については、日本血液製剤機構との分画製剤の販売受託契約が終了し、収益がなくなったこと。さらに、3つ目の原料血漿供給収益は、国内製薬企業各社への配分量が減少したことなどによりまして、一番下に記載しております事業収益合計では前年より92億円の減少となっております。収益的な収入全体では1,613億円と、前年に対しまして5.1%、87億円の減少になっております。

 9ページをお願いいたします。続いて、収益的支出でございますが、全体としてこの図の一番下の枠の上段にある収益的支出合計では1,631億円と、平成26年度に対しまして12.1%、224億円の大幅な減少となりました。

 右の表記の中断にありますその他供給原価については、分画製剤の販売終了による同製剤の仕入額がなくなりましたので80億円が減少しているほか、一番上の人件費、次の材料費、上から4つ目の経費がいずれも大きく減少しており、一番下の枠内に表記している平成27年度の収支差引額は、前年の155億円の赤字から17億円の赤字まで、138億円改善いたしました。この費用の減少の内容について、次に御説明申し上げます。

 収支改善の主な要因といたしましては、一過性の費用の減少と、費用削減努力によるものの2つに分かれます。

 まず、平成26年度における一過性費用の最も大きいものが、アにございます退職給付債務割引率の変更による引当金の計上54億円でございまして、その他血液事業情報システム等の導入や、放射線照射装置の機器廃止に伴う費用、合わせて103億円の費用が減少しております。

 一方、事業改善による削減努力により45億円が減少しております。資材の価格交渉や効率的な採血を推進することで、材料費で22億円の削減ができました。また、経費では血液製剤の搬送に伴うルートの見直しや、価格交渉、血液事業情報システム運用委託費の削減、その他事業全般にわたる経費抑制を図った結果、21億円削減できました。

 これらの費用削減額は148億円となりますが、先ほど述べました収益が10億円減少しておりまして、トータルいたしますと138億円の収支改善となりました。

11ページでございます。平成23年度以降の収支状況を示したものでございます。平成2426年までの3カ年は、公益事業運営のための施設整備や血液事業情報システムの更新整備などによる費用が増大いたしまして大幅な赤字を計上いたしましたが、平成27年度は、これまでの改善の積み重ねが形となって表れた結果となりました。平成27年度は、収支が改善したとはいえ依然として赤字であることから、早期の黒字化に向けて収支改善の取り組みを継続してまいります。

 次に、資本的収支でございますが、固定資産支出では血液センターの移転・新築のほか、成分採血装置や移動採血車、血液事業情報システムのソフトウェアなど66億円を整備いたしまして、借入金償還の4億円と合わせて総額で70億円となりました。これらの整備財源としての収入は補助金が8億円、自己資金の62億円を充当して整備いたしました。

13ページをごらんいただきたいと思います。最後に、収支状況の改善を含む今後の課題について申し上げます。

 まず、血液事業の運営体制の充実では、社会環境の変化に伴う対応可能な事業運営を追求するとともに、日常的な改善活動の浸透に努めてまいります。昨年より血液事業本部では、全国の血液センターに改善委員会を設置いたしまして、全職員が事業全般にわたる改善活動の取り組みを指導しているところでございます。

 次に、献血者の確保対策では、年齢層に応じた確保対策と献血リピーターの拡充を目指してまいります。特に、若年層の献血率向上については、個別の血液センターでの具体的な成功事例等を共有して、今後の推進に努めていくこととしております。

 血液製剤の安全性向上では、新たな血液製剤や新興再興感染症に対する必要な検査法の導入等を進めていくこととしております。

 説明は以上でございますが、平成27年度事業計画及び実績の詳細を資料3-2として別途添付しておりますので、参考にしていただければ幸いでございます。

 最後に、今後とも日本赤十字社への御指導・御支援のほどよろしくお願い申し上げまして、平成27年度の血液事業の概要報告とさせていただきます。ありがとうございました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 今の御説明に対して、何か御質問はありますか。山口委員どうぞ。

○山口委員 3ページと4ページの表でちょっと気になったのは、高齢化ということもあるのでしょうけれども、ほかの製剤が減少傾向にあるのに血小板製剤が微増。その一方で、成分献血は多分、血小板採血が一番多いと思うのですけれども、この5年間で1割減っていることになりますね。需要はふえているのに成分採血が減ってきてしまっている。多分この改善が一番重要なポイントかなと思ったのですが、その辺について日赤としてどう取り組まれるのか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 血小板の需要動向でございますけれども、今現在、昨年もそうなのですが、首都圏でふえているという状況がございまして、全国で考えますと横ばいないし減少という傾向がございます。東京並びにその近辺でふえているところが、要は今の需要が横ばいの数字をつくっています。全国的にセンター別で見ると減っているところが多いという状況がございます。

 それから、成分献血の減少でございますが、おっしゃるとおり平成26年度から血小板の分割製造を始めまして、かなり進んでおりますので、そういったところで減っているという状況があると思います。

○田野崎委員長 ほかはよろしいですか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 3ページの()輸血用血液製剤の供給量推移ですけれども、今後、日本の人口が減っていく傾向にあるところで、輸血用血液製剤の供給量というのも減少していく方向にあるのかなと考えられるのですが、献血者の推移を見ますと、かなり若い人たちの献血者が伸びていないというところ。

 それから、5ページの()のグラフを見させていただくと、40代ですとかシニア層の人たちの貢献度が高いのかなと。若い人たちがなかなか出てこないとなると、献血者の確保も今後どういうふうに考えていくのかというところはあると思います。今回提示されている献血者の確保の中では、若年層の献血ということをメインにされているのですけれども、そろそろいろいろ議論していただかないといけない問題かもしれないですが、1回手術した方たちも献血者の対象として今後献血されたいという方たちは多いと思うので、そういう方たちの希望をかなえてあげられるような方向性というのは、少し検討を始めてもいいのではないかと思います。やはり今、検査も結構精度が増していて、安全性を確保できるような状況に移ってきていると思います。ですから、そういうことを考えると、将来の検討課題として、もうそろそろいろいろ考えていただいてもいい時期に入ってきているのではないかと。やはり、そういう方たちというのは献血へのインセンティブが高いと思うので、そういう方たちのせっかくの機会というのも日赤のほうでも考えていただきたいと思います。

○田野崎委員長 貴重な御意見として参考にしていただければと思います。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 わかりました。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 ()の若年層に対する献血の普及啓発というところで3点挙げられておりますけれども、学校献血の重要性というのが実は結構重要だということがわかっておりまして、それに対する言及がないのですが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 学校献血の実施数は今、ほぼ横ばいの状態です。全体の高校の数が若干減っている傾向にございまして、率でいうと実施高校の数は微増といった状況にございます。これを私どもとしては継続していくのはもちろんですけれども、さらに今まで中断している高校とか、あるいはしていない高校についても、献血に協力していただくような何らかの形がとれないかと。まずはセミナーをしたり、あるいは学校内で献血をしていただけない場合には、放課後献血ルームへの誘導といったことも進めています。

 それから、いろいろなチャンネルを通じて高校にアクセスして、なるべく献血への理解を深めてもらって、献血していただくような手だても今考えているところでございまして、今後、少しずつだとは思いますが、ふやしていきたいと考えております。

○室井委員 もう一点は、多分御存じだとは思いますけれども、かなり地域差があります。私の栃木県はほぼ100%やっているのですけれども、少ない都道府県というのがございまして、そういう地域格差をどのように解消するかということは何かアイデアがありましたら、ぜひお示しください。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 まさしく今申し上げたとおりなのですけれども、今まで献血を受け入れてもらえなかったところの成功事例をなるべく共有していこうということで、私どもの献血推進部門の担当者を指導している状況でございまして、いろいろなところでこれから若年層対策を実際のセミナーなどにしたものが、献血者の増につながるような取り組みを今進めているところでございますので、今後何とか実数でも伸ばしていきたいと考えております。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 今、学校献血をふやしていこうとおっしゃったのですけれども、それは各地域もそういうモチベーションを持っているかというところで、何が言いたいかというと、4ページの表の200mLは減らしているわけですよね。200mLは減らしたいというインセンティブは働いていつつ、しかし学校はふやそうというのは、本部はそのように言っていて、そこがいつも問題になるのですけれども、学校献血は今後の献血者確保の上で重要ということで進めつつ、そのモチベーションについてセンターごとに格差はないのですか。

○日本赤十字社中西血液事業経営会議委員 今200mL献血の推進と、いわゆる高校生の献血というところがリンクしているわけですけれども、基本的には現在、高校生、初めて献血する方や、400mLの基準に達していない方たちに対しては200mL献血をお受けしているという状況がございます。実際に200mL献血も確かに20代は少し減っているわけですが、各年代で見ても200mL献血は減っております。むしろ、10代よりもさらに他の年代のほうが200mL献血は減っているという状況がございまして、そういった意味では、これからの若年層を大切にしていきたいと考えているところでございまして、血液センターにも浸透させていきたいと思っております。

○田野崎委員長 よろしければ、議題4「HEV感染実態調査の結果について」に移りたいと思います。事務局から資料4の説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料4の説明をさせていただきます。委員の先生方には、机上配布参考資料2をごらんください。

 前回の平成28年度第1回安全技術調査会が8月3日に開催されまして、日本赤十字社より東京地域におけるHEV感染実態調査結果及びこれまでのHEVの輸血感染事例及び諸外国の対応状況について説明がなされました。

 東京地域におけるHEV感染実態調査の結果ですけれども、1万5,039本のうち11本が陽性で、HEV-RNAの陽性率は0.073%、1,367本に1本でしたが、これは北海道で試行的になされているNAT検査の陽性率が0.036%、2,816本に1本ということですので、東京地域のほうが高かったという結果でしたが、東京地域で陽性になった検体は、全てジェノタイプに関しましては3型でした。この結果に関しましては、平成17年度に行われました調査で、東京のIgG抗体の陽性率が高かったことと一致しております。

 また、陽性になった11例は、献血時のウイルス量に関しまして最大10の4乗IU/mLALT値は最高でも51IU/Lで、HEVIgA抗体の陽性例は3例のみ、IgM抗体陽性例は3例、IgG抗体陽性例は5例でした。このあたりのデータに関しましては、日赤からの資料4のスライド7~9で主に報告されております。

 一方、これまで輸血によるE型肝炎の感染が判明した事例は17年間で20例であったということで、背景には臨床的に問題にならなかった感染も多かったのではないか、また医療現場では原因不明の肝機能異常に対して、E型肝炎感染を疑うことが少なかったのではないかという事情が考えられております。

 また、厚労科研で今はAMEDなのですけれども、研究班からの報告で去年、免疫抑制状態にある患者でE型肝炎が持続感染している事例が明らかになりました。それを受けまして、難病対策課移植医療対策推進室より事務連絡といたしまして、参考資料としてつけさせていただいていますけれども、「臓器移植時の輸血を原因とするE型肝炎ウイルス感染への対応について」という注意喚起が、日本移植学会及び日本造血細胞移植学会に対して、平成271116日付で発出されております。

 諸外国の対応状況に関しましては、英国では、対象疾患を規定の上、追加料金を請求してE型肝炎ウイルスの陰性の血液製剤を供給しております。オランダは抗体陽性率が高いことから、HEV-NATの導入は行わないという判断をしたとの報告もございましたし、アイルランドですと、3年間限定でNAT検査を行った上で政策決定をするなど、諸外国の対応事例が紹介されました。

 以上の日赤の報告を受けまして、委員の先生方からは今後の検討課題といたしまして、先ほど日本赤十字社から御説明がありましたように、国立感染症研究所及び日本赤十字社が共同して、年代別、地域別、男女別でのIgG抗体陽性率の全国調査の準備をしているということでした。

 委員からは、選択的にHEV-NATを導入するという意見も出されました。しかし、臓器移植や血液がん、新生児等免疫機能が十分でない状態の患者さんへの輸血が年間どのくらいされているのかについて、まずは調査が必要です。

HEV-NATの陰性血の投与が必要かどうかに関しては、個々の症例において主治医が判断することになりますし、抗体医薬等の治療を行っている患者も対象となるのではないかという意見をいただきました。

 選択的に導入する場合であっても、検査費用の負担の考え方も課題としてあります。また、北海道での試行的NATを継続するかどうかという課題もございます。

 全てにHEV-NATを導入するのかに関しましては、設備投資や試薬の購入や人件費等、供給体制の構築に係る費用も大きくなりますので、その負担の考え方について整理が必要かと考えております。

 あと対策としまして、献血者への周知・啓発という観点からは、献血ルームでポスター等によるHEVの周知と啓発を図るなど検討していただいております。

 また、医療機関でのRNA検査の体制を充実すべきではないかという意見もいただきました。

 以上の意見や検討事項を踏まえ、さらなる実態調査や諸外国の対応状況について情報収集を行うとともに、今後どのように対応していくかに関しては検討を継続することとされております。

 以上が報告になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 調べてみたら北海道よりも東京のほうが少し高かったということですが、委員の先生方、御意見などをお願いできますでしょうか。

 このベースが高いというのは、どういう理由からと言うとあれですが、同じようなことが日本全国で想定されるのかどうか含めまして、何か御意見ありますか。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 幾つか論点があると思いますけれども、1つは、今まで北海道地域に限定して調査してきて、これを継続してきて今後どうするかという課題があった中で、では、関東はどうなのかということで今回結果が出たわけですが、実際には関東のほうが高いというデータが出ました。全国レベルを患者数で見ると、西が少なく、東が多いということが何となくわかってきて、どうするかというときにまだ疑問なのは、ジェノタイプが北海道では4型が検出されるけれども、関東では全部3型であるということで、これをどう考えるかというのが、まずあると思います。その根拠がわかるかという質問が1つ。

 あと、明らかに食生活が問題なわけですけれども、西側は恐らく豚肉は余り食べないということが要因かなと思うのですが、そうなのかどうか。また、ジェノタイプに関しても何を食べたというのは関係するのかどうなのか。幾つかまだクエスチョンがあって、それを踏まえて今後の対応を検討しなければいけないと思うのですが、こういうものはデータとしてはわかっているのですか。まず、食べ物との関係とジェノタイプの関係について、もしわかっていれば教えてほしいのですが。あと、なぜジェノタイプが北海道だけ4が検出されているのか、これがわかれば教えてほしいのですが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 今回の東京の調査の11人は、全部ジェノタイプ3でございます。なぜ、こちらに見つからないかというのは我々も全くわかりません。ただ、ジェノタイプ4が北海道だけにあるかというとそうではなくて、本州、九州にもジェノタイプ4はイノシシやブタにも認められていますので、あくまでも頻度の差だけではないかという感じはいたします。なぜ北海道かと言われますと、それは我々も全くわかりません。

 それから、食生活については、北海道ではずっと継続的にHEVの陽性者に関してアンケート調査をしております。今回の東京においてもアンケート調査をしておりますが、全体としてブタの生焼けの肉とかレバー、いわゆるホルモンの生焼けみたいなものを食べているという傾向はもちろんわかるわけですけれども、その特異性はかなり低くて、そういう人たちを問診レベルで絞るということはほとんど不可能です。物すごく多くの人が食べていますし、逆に食べていない人でなっている人もいますので、献血のところでは残念ながら食生活で何かをするということは不可能かとは思います。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 多分、前回の調査で、東京が抗体が高かったから今回の調査ということになったのだと思うのですけれども、東京という非常に特定なところで高いというのが、いわゆる肉の生食だけでは多分説明できないのだろうと思います。だから、安全技術調査会のほうで、学会発表なのですけれども、イギリスで加工肉で入ってきているのではないかという報告もありまして、多分、生食だけで限定して言ったのでは説明はできないのだろうと思います。ですから、どこがリスクが高いかという話は、なかなか1つにはできない。ただ、一般的に言えるのは、免疫抑制でない方に関しては、もともと献血された方の兆候は出ていないということを考えたときに、私が安全技術調査会でやったときには、特定の免疫抑制の方だけに特別な製剤をつくるほうが、ベネフィットの関係からもいいのではないかとは思いました。

○田野崎委員長 ほかは御意見ございますか。大平委員どうぞ。

○大平委員 1つは、資料4の10ページに、輸血血液中のHEVは感染性が低いか、感染しても臨床的にほとんど問題ないということを書かれているのですが、ここの文言というのは本当に適切なのかどうかというのが1つあります。

 それを参考にすると、英国では選択的検査ということで、新生児とか臓器移植の患者さんに対しては陰性のラベルが表示されているものを使うと書かれているのですけれども、そういうことを考えると、選択的に治療として用いるとなると、いろいろ条件が厳しくなっていくのではないかと思いますので、今後こういう対応としてはどういうやり方があるのか、前もってリスクがわかっていると、臓器移植の患者さんについて、こういった血液を供給するのは可能なのかどうかとか、そういうことも含めて対応は考えていかないといけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 おっしゃるとおりで、10ページの一番下の文言は適切ではないかもしれません。その上で、安全技術調査会でも議論されたところですけれども、今、大平委員から挙げられた点については、日赤内でも、また安全技術調査会と一緒に十分議論しておりますので、その中から適切な方法を見出すことができるのではないかと思っています。その方法については、こちらも鋭意考えているところです。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 そういうことだとは思うのですけれども、さっきのFDAのジカのリコメンデーションとは違って、実際2016年1月にはアイルランドで、英国では3月ということが実態としてはあり、かつ、今回こういうデータが出てきたということだから、何らかの結論を早急に出さないわけにはいかないということだと思うのですけれども、これから検討していくといっても、時間はある程度のところで決めてしまわなければいけないと思いますが、これは日赤にお任せということですか、国としては何か方向性があるのですか。もしくは安全技術調査会が決めるとか、ディシジョンメークの話なので、どういうプロセスで決めるのかは、この段階で明確にしておかないとまずいように思いますが。

○近藤血液対策課課長補佐 前回の安全技術調査会では、選択的にそういうNATをして免疫不全の患者さんに提供すべきではないかという御意見を伺いまして、それを実際に導入するに当たってどういう問題点があるのかというのは日赤とも打ち合わせまして、いろいろな問題点があるというのはわかりました。1つには、イギリスのように薬価を上乗せするというようなシステムは、現在の薬価のシステムでは少し難しいということになりますので、安全性を高めた血液製剤を供給する場合に、日赤さんにかぶってもらわなければいけないところも出てきてしまいますので、それが少ない症例であればいいのですけれども、免疫不全状態にある患者さんの数はかなり多いと聞いておりますので、その分の費用負担の考え方といったところも今現在、課題としては残っております。

 一応、E型肝炎の輸血感染例に関しては、昨年は慢性感染の症例報告がありましたけれども、幸い今のところは劇症化や死亡の報告はありませんが、引き続き実態調査を検討していただくということを考えております。

○花井委員 現実問題としてそういういろいろな事情はわかるのですが、流れとすると、安全技術調査会で、免疫抑制状態の患者さんについては、一定程度そういう表記をされることは望ましいだろうという意見が出て、それが現実問題として運営委員会に上がってきて、親部会もあるのでしょうけれども、それが望ましいという合意があったとして、では、日本赤十字社さんはどうですかといったら、うちは体力的に厳しいと。お金がないというのはそういう意味だし、そういう問題があったときに、これはもちろん供給者が責任をとるという話もかもしれないのですが、現実には費用的手当をしてくれないのは、また別の国の仕組みの話だから、しかし、患者もしくは輸血医療を行っている先生方にとっては、それは必要だということであれば、そのお金はみんなで負担を考えなければいけない問題でもあるし、ここで抱えてしまって、お金も厳しいし、ずるずる検討していましたということをここで判断してしまうと、せっかく安全技術調査会で判断したことが無駄になるというか、判断したけれども結局お金の事情もあるから、引き続き様子を見てということを結論にするのは、ちょっと受け入れがたい気がするんです。だから、必要性があって、各部署にこういう状況にあるという理解を得て、何らかの費用負担も含めて調整の可能性を探るんだという結論では踏み込み過ぎなのですか。できなかった責任はどこにあるかといったら、最終的にあるかもしれませんが、ここではそれは望ましいということは言ってもいいように思うのですけれども、そこを確認しておきたいのですが。そうしないと、結局ここでしなかったということになる話だし、できないなら、財源の問題も含めてとなると、それぞれに責任があるところで、ここで必要なことは必要だと言い切ることは必要かなと思いますが、いかがでしょうか。

○近藤血液対策課課長補佐 ありがとうございます。安全技術調査会のほうで確かに対象の免疫不全の患者さんに対しては、E型肝炎の検査済みのものを投与すべきだという意見をせっかくいただいたので、その導入に向けて何か方策を考えていくというところは、各部署でも考えていかなければいけないところですけれども、一方、E型肝炎に関しては、輸血だけではなく経口感染ももちろんございます。あと、E型肝炎に関しては、例えば、慢性化した例というのもございますけれども、医療機関で調べた結果わかったということで、早く見つけて治療していただくという面も必要かなということは考えております。ですので、例えば、安全技術調査会からも、医療機関でのRNAの検査体制を充実してほしいという御意見もいただいております。そういった意味で、免疫不全の患者さんの出口と入り口の両方で、どちらが効率的に患者さんを救えるかという話にもなるかとは思います。

○田野崎委員長 山口委員どうぞ。

○山口委員 ここの議論も、割と特定の患者さんに対してNATをできるだけ導入すべきではないかという結論になるような気がするんですね。花井委員がおっしゃったのは、多分、事務局としてはそういうときに先ほど説明があった、薬価の問題をどう解決していくか、薬価で解決できるのか、それとも薬価以外の解決がないのかというのを探ってほしいということになるし、もう1つは、日赤さんにお願いするとなると、そこはどういう人を対象にすれば、より効率的か。もし導入したら、免疫抑制の方全員を対象にするのか、例えば、移植医療あるいは特定の免疫抑制剤を導入している方にするのか、割と限定した探りを検討していただく、そういうものが持ち集まって、最後もう一つの結論を出すというのが一番いいのかなと思います。

○花井委員 ボールがどこにあるかわからないような結論はちょっと。

○田野崎委員長 そうですね。ここで要らないとか、そういうところに持っていくのは無理があるかなとは思います。本当は、きっちりと1つの結論をという御意向があったみたいなのですが、ただ、安全技術調査会の委員からの主な意見をこちらの運営委員会でもかなり異論なくというふうにも思いますし、現時点ではHEV-RNAの検査体制を確立していくとか、個別に検査済みのものを提供できるようにするとか、そういうことについても検討していく余地があると思いますが、結論としては引き続きということにはなってしまいますが、御検討を続けていただければと思いますけれども、いかがですか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 結論はなかなか難しいのかもしれないですけれども、ただ1つ、移植の推進室からはこういうペーパーが出ていて、リスクを考えろという話だと思うんです。ですからそこの問題と、それから、安全技術調査会から出てきているこのペーパーを見ると、そこはどう考えていくかというところは矛盾があるかなというところもあるのですけれども、移植の患者さんたちのことも考えると、きちんとした検査をして、陰性のラベルを張ったものを供給することになると、今の日本人の感覚だとなかなかそこは不公平だなと。本当は、自分たちも陰性の血液を使いたいと多分なってくるだろうと思います。ですから、今、私が日赤に対応を検討していただきたいところは、そこを皆さんが合意できるようなことが考えられるのかどうか、本当に技術的な問題だけではなくて、社会的な影響をどう考えていくかというのは、多分に考えていかないといけないのではないかと思いました。ですから、そこは厚労省も費用的な問題が多分にあるのだとしたら、そこをどう支援していくのか。それから、現状としては必要ないと判断するとしたら、その根拠は何だろうかというところをはっきりしないといけないのではないかと思います。

 ただ、今のヨーロッパの推移を見ると、各国の対応はまちまちですけれども、英国の例を見ますと、ある程度NAT検査というのは推進していく方向で検討しないと、まずい世の中になってきているのではないかという私の感覚です。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 いろいろこれから検討しなくてはいけないことがあるのですけれども、現状としては免疫抑制状態の患者さんは肝機能異常等があれば、積極的にE型の抗体を調べて早く見つけて治療する、もしくは経過を見るということは今でもできますので、それは臨床現場でやってもらいたいというのが1つです。その間に、方向性をどうするかを決めなくてはいけないということですけれども、これは費用対効果を考えたりすると、いろいろな可能性があると思うし、もしくは選択制で検査をするときには、確かに費用をどうするかというのが現状の薬事法ではなかなか難しいですけれども、それをどう変えるかというのも必要かなと思います。

○田野崎委員長 臨床現場で、造血幹細胞移植にしても、肝移植とかそういうところでは、きっちりとしたデータがないと抗体でというのは間違った判断にも導かれやすいので、恐らくここまでのデータがあればということになると思いますが。そういうことがベースとして、今エビデンスが出ているのではないかと思いますので。

○岡田委員 あと1つ言いたいのですけれども、2ページのE型肝炎の報告数の推移で、北海道と関東が同じくらいの感染報告が上がっているのですが、人口比を考えると関東は4,000万人ぐらい、北海道は500万人ですので、人口が8倍違うんですね。8倍少ないところで関東と同じくらいの感染者数が出ているということは、北海道はE型肝炎の感染が現時点でも起こっているということなので、輸血の安全性を考えると、北海道はE型肝炎のNATは関東に比べれば必要性が高いのではないかと思います。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 日赤のスライドの5番でしょうか、過去17年間の20例の内訳が書いてあって、5例が慢性化したということなのですけれども、血液疾患のリンパ腫なども2例とか入っているんですね。あとAML。もちろん母数も大きかったのでしょうけれども、これを見るといわゆる移植ではなくても、通常の化学療法でも慢性化することがあるのではないかということが考えられるので、意外と対象は広いのではないかと思いました。

 以上です。

○田野崎委員長 貴重な御意見として参考にしていただければと思いますが、実は次のことも少し関連してくるかと思いますし、検討しないといけないことが多いので、議題5に進ませていただければと思います。「血小板製剤に係る病原因子低減化技術導入の検討状況について」、事務局から御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 資料5をごらんください。委員の先生方には、机上配布参考資料3を御参照ください。

 前回の安全技術調査会において、感染性因子低減化技術導入に関して検討が行われました。その中で、ミラソルとインターセプトをおのおの実運用した場合の想定や、諸外国での導入状況等の最新状況の報告がありました。日本赤十字社からは、細菌に対する安全性向上のため、血小板製剤にミラソルを導入する提案がなされたところです。

 それに関して委員から出された意見ですけれども、ミラソルに関しては、処理を短期間で終えることができるなどの実運用の面で導入しやすいということもありますので、治験に向けて相談を進めてもいいのではないかという意見もございました。

 実際にミラソルを導入したときに、置換血小板へ導入できるのかという話もありました。

 インターセプトに関しましても、この血小板の感染性因子低減化のターゲットが細菌からウイルスに変化してきていることも踏まえますと、抗ウイルス活性の高いインターセプトの導入を考慮すべきではないかという意見もございました。

 そのほかですが、承認を得た後に薬価収載がありますけれども、そのタイミングに関してどの段階で薬価収載するのかに関しては、今後行政とも相談を進めるべきではないかという御意見をいただきました。

 また、血小板製剤に低減化技術を導入した場合に、有効期限が延長できるのかどうかを 検討していただくようにという意見がありました。

 また、委員からは、この病原因子低減化処理による血小板機能の低下や凝固因子活性低下に関する報告があったということで、これに関しても今後、引き続き検討することになっております。

 いろいろな意見をいただいたわけですけれども、不活化技術の導入に関して、検討が始まったときと現在では大分状況が変わっているということで、改めて技術導入の目的や、最終的に患者さんの利益をもたらすかどうかも含めまして、引き続き慎重な検討を進めてくださいという結論になっております。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 委員の先生方から御意見をいただければと思います。今までの話題があった中で、これがまた出てくると非常に複雑なのですが。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 とりあえず薬価収載しておくということはできるのですか。つまり、全部こういうものを供給するという話にすると、また結構大変な話になるのかと思うのですけれども。かといって、さあやろうとしたときに、一応承認をとっていればすぐ出せるとか、そういうことは可能なのですか。

○日本赤十字社五十嵐技術部次長 薬価収載をしたら供給義務がありますので、売らなければいけないです。山口委員からは、薬価をとらないで承認だけとっておいて、必要なときがあったらすぐさま薬価をつけてもらえばいいのではないかという御意見をいただきました。

 ただ、日赤側の話をさせていただきますと、承認をとるまでには多分、臨床試験が必須になると思いますので膨大な費用がかかる。使わないまま承認だけとっておくと、その費用をどうするのかという、また費用の話になって申しわけございませんけれども、そういう問題がどうしても残ってしまうというところがあります。

○田野崎委員長 今までの流れでは、いざというとき使えるようにしておきたいというのが、ここでの皆さんの意見だったように思うのですが、そこのところで今みたいな問題が生じるわけですが、何かうまい手だてがないのかどうかについて、事務局からの御意見はございますか。

 花井委員どうぞ。

○花井委員 例えば、同じ血小板とすれば同じものなのですけれども、適応をある程度限定するという方向にして、そこに薬価を乗せて一定の条件で使えますよと。その一定の条件はこういう患者さんで、こういう患者さんの場合はリスク低減の恩恵が、費用対効果が極めて高いというような設計にして、一定程度のところに供給すると。これは、もちろん支払う人の意向もあるでしょうけれども、そのかわりに限定した患者さんについては、より費用対効果が高い製剤をチョイスできますよと、適応がありますよというのはテクニカルには難しいですか。

○田野崎委員長 佐竹委員どうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 低減化技術のターゲットになるのは、メインはバクテリアと考えているのですけれども、新興再興感染ウイルスなども含まれるかと思います。そうしますと、対象としましては全ての製剤にリスクがあることになりますので、その意味だと製剤だけから見ると、どの患者さんに対しても同じリスクがかかりますので、患者さんを絞るということも難しいかなという感じがいたします。

○田野崎委員長 現時点で、不活化技術を導入する必要はないという結論はちょっと難しいのかなと思いますので、引き続き検討していただくということになるのかと思いますが、方向性をタームを決めて何かすべきであるとかそういうものがあれば、それはまたあれなのですが。

 室井委員、お願いします。

○室井委員 多分、血小板に関しては、欧米等は有効期限が3日を超えていますよね。5日とかたっていると思うのですけれども、一応低減化も含めてですが。日本では3日間なので、低減化を血小板に取り入れて期間を延長して、その上で収益を含めてメリットを図ろうという考えはいかがなのですか。つまり、低減化プラス有効期限の延長とセットで一般化するということですけれども。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 期間を延長することによって、具体的に言えば何らかのコスト面で有利な面があって、その分ある程度費用を吸収できるといったことをお考えかと思います。現在、我々が検討しているミラソルですと、安全性は高まる、その分有効期限が長くなるかというと、ここにも書いてありますように、血小板へのダメージが結構あるものですので、期間が長くなるにつれてどんどん悪くなってきます。欧米では5日のものを7日にとか、あるいは5日のものを6日にといったところがありますけれども、我々のこれまでの評価ですと、現在の有効期限を延ばすことは血小板のクオリティーに関しては少し難しいかなと考えています。そこは欧米と我々のデータで少し違うところです。

 それから、今、御指摘がありましたように、日本はもともと有効期限が世界で最も短い、それによるメリットは非常に大きいものがあります。どこのレポートを聞いても、細菌感染による死亡例や事故例は、全品培養をやっている国に比べても日本のほうが少ないわけです。そういう意味では、現在でも安全性は全品培養をやっているところよりも我々のほうが高いとは考えています。不活化とは関係ないですが、現在の状況としてはそうです。

○田野崎委員長 例えば、現時点で緊急にこういうものを使用しないといけないということになった場合に、どのくらいの速さでそれに対応できるのでしょうか。承認もとれていなくて、薬価もついていなくて、ただ、ジカとかそういうものが同じようなスピードで問題になってくるということが今後急に出てきたような場合、対応ができるものなのかというのは。

○日本赤十字社五十嵐技術部次長 今はまだ臨床試験の準備などを全然していない状況ですので、今から始めたとしても臨床試験に入るまでは1年ぐらいの時間は必要だろうと思いますし、もうちょっと必要かもしれません。それから臨床試験を始めて終了して、それから申請してということになりますので、少なくとも数年単位になります。

 あと、もう一つですけれども、例えば、ジカとかデングが国内感染したというような状況においては、血小板だけではなくて我々は赤血球や血漿のほうも対策をとらないといけない。そう考えますと、先ほど言ったような採血地域を限定してお断りするとか、あるいはNATを導入するということをまず考えないといけないと思っています。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 不活化の必要性というと、要するにNATが立ち上がるまでのつなぎという意味合いが現在のところあると思います。というのは、赤血球製剤の不活化法がないので、かなり拡大してしまったら血小板だけ不活化しても余り効果はないということですので。不活化すると血小板のダメージがあると。あとは、今現在の日赤の血小板の安全性を考えると、年に1例か2例ぐらいの敗血症があるということを考えると、新興再興の感染症が起こったときに、NATで対応が速やかにできるのだったら、現状技術での不活化というのは余り必要ないのかなという気がします。その分、日赤としては速やかにNATシステムを立ち上げる必要性が今度は出てきます。そうなると、例えば、今海外の試薬メーカーから供給されているシステムがありますけれども、日赤としてユニバーサルな気質をつくっておいて、そこに目的のシステムが出るようなプライマーを放り込むと。今の低減化技術から考えると、そちらのほうが現実的という考えもあると思います。

 今、いろいろなメーカーが赤血球の病原体不活化の研究をしていますので、それが実用化されると、また話が変わってくると思うのですけれども、現在の状況を考えると、NATでどうにか対応してほしい、もしくは地域の献血制限ということで対応せざるを得ないかなと思います。そうなると、今度は血液だけではなくて、感染症のモニタリングがより重要になってくるんですね。知らないうちに感染が広がらないようにモニタリングして、日本で地域的に起こっている感染症を見つけて、そこに封じ込めるということが新興再興感染症に対しては必要だと思います。

○田野崎委員長 貴重な御意見どうもありがとうございました。今のような御意見を参考にしていただいて、引き続き検討していただければと思います。

 そうしましたら、議題6「原料血漿の貯留保管期間について」に移りたいと思います。日本赤十字社から資料6-1の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 供給管理課の籏持でございます。私のほうからは資料6-1に基づきまして。本件に関しましては、平成261217日の運営委員会でも取り上げていただきまして、改めてここで取り上げていただいたことに感謝申し上げます。早速、説明をさせていただきます。

 タイトル「原料血漿の貯留保管見直しについて」でございます。

 初めに、本件に関しましては、日赤では血漿分画製剤用原料血漿について、ウイルス陽性血漿の混入による最終製品の回収を回避するため、貯留保管を自主的に導入し、その期間を段階的に6カ月とし、現在に至っております。

 これまで検査精度の向上、HBC抗体検査の強化、個別NATの導入等の安全対策を上乗せする一方で、6カ月貯留保管体制を継続してきましたが、昨今の採血事業者の役割や原料血漿を取り巻く環境の変化等を踏まえて、貯留保管体制の見直しについて検討しました。

 次の「2 経緯」でございます。

 まず、()平成9年当時、血漿分画製剤の製造後にウイルス陽性の原料血漿が混入していたことが判明した場合には、最終製品を回収せざるを得ませんでした。その対応策と原料血漿の安全性を確保するために、日赤では自主的に、まずは2カ月間の貯留保管を開始いたしました。

()平成10年には、製造後にウイルス陽性血漿の混入が判明した製品は回収するという旨の厚生省の事務連絡、いわゆる3課事務連絡が発出されております。

()その後、貯留保管の期間を徐々に延長しまして、平成12年には凝固因子製剤用原料血漿の有効期間が採血後1年間であること、そして、献血後情報の多くが採血後6カ月以内に寄せられていることや、HCVの遡及期間等を勘案しまして、効果的にウイルス陽性血漿を排除できる期間として6カ月間を設定いたしました。

()平成10年には、日赤の中で北海道の千歳にございます血漿分画センター、平成12年には、京都の福知山にございます日本赤十字社血液管理センター、それぞれに貯留施設を設置しました。これらの施設の稼働によりまして、平成13年度からは、国内製造3社にも6カ月間貯留後の原料血漿の送付を開始している状況でございます。

()平成15年には、混入したウイルスの種類及び量が特定され、かつ、製造工程において当該ウイルスが十分に除去・不活化されていることが確認されれば、個別の分離血漿の段階にある原血漿を除き、当該製剤を回収する必要はない旨の「血漿分画製剤ウイルス安全対策について」というタイトルの厚生労働省4課長通知が発出されました。この通知をもちまして、平成1011月2日付の先ほど言いました3課事務連絡は廃止されてございます。

()平成22年には、貯留保管しました原料血漿が日赤の施設では保管可能量を上回ることが予想されたことから、危機管理と輸送費削減を目的に、九州のほうにも貯留保管施設を設置しております。

 (7)平成2410月からは、血漿分画事業の統合により日赤の血漿分画センターが担ってきました原料血漿に係る業務を当面の間、日本血液製剤機構に委託することとし、現在に至っております。

()平成2610月には、安全技術調査会において貯留保管期間の見直しについて審議いただき、その結果HBVHCVHIVに関しては個別NATの導入や製造工程での不活化により安全性は確保されているが、新興感染症等が存在するという理由から、それらの影響を定期的に検証することを条件に、貯留期間を漸減していくことについて了承をいただきました。

()先ほど申しましたとおり、平成2612月の運営委員会におきまして、安全技術調査会の審議結果を報告したところ、未知の病原体が混入する可能性があることを考慮して、貯留期間のあり方を再考しましょうということになりました。

 今回、改めて資料としまして「3 海外規制当局の状況」を掲載させていただいております。

 まず、WHOで貯留保管期間の定義がなされております。四角の枠の中でございます。ウインドウ期に供血された可能性のある分画用血漿を特定し排除するために保留しておく期間が貯留保管期間になってございます。

 3ページの欧州の定義でございます。こちらも枠の中でございます。遡及調査では、過去の供血にさかのぼり、最後に陰性であった供血から少なくとも6カ月前までに採血され保存されている全供血の検体の検査を行う。遡及期間を6カ月以外にする場合は、正当な理由と明確な記述が必要である。その場合、最後に陰性であった供血からの遡及期間を当該試験による最長のウインドウピリオドより短くしてはならない。以下の点を考慮すべきであるということで、製造工程に投入されていない供血を特定し、調査の結果が出るまでの製造工程への投入を保留とする。そのためには適切な貯留保管(例:60日間)の実施が有用と考えられるとされています。

 米国における定義につきましては、次の枠の中でございます。ドナー管理戦略とその標準化に加えて、PPTA(血漿蛋白製剤協会)はインベトリホールドと呼ばれる個々の原料血漿の管理基準を発行した。この管理基準には、採血時点から少なくとも60日間は在庫として保持される。貯留保管により、供血者として不適格である供血後情報により、当該原料血漿の排除が可能となる。供血後情報にはマル1、HIVHBVまたはHCVが陽性となった。マル2、危険性の高い行為の告白。マル3、海外渡航に関する謝った情報の提供が含まれます。

 次に、「4 血漿分画製剤販売業者の対応」を記載させていただいてございます。

CSLベーリング社、バクスター社、日本血液製剤機構、これらのウェブサイトにはウインドウ期に採血されました血液を排除するため、PPTAが策定した基準に基づき、6カ月の間に2回の検査で陰性が確認された供血者を適格供血者と認定し、適格供血者から採血された血漿は60日間貯留保管した後に原料血漿として使用する旨、記載がされています。

 次に、「5 見直し案」でございます。

 日赤が自主的に貯留保管を開始した当初の目的は、さきに述べましたようにHBVHCVHIV陽性の血漿が原料血漿プールに混入し、製剤が回収となることを防止するためでした。そのためには、赤血球製剤を輸血した患者のHBVなどの感染情報から特定されます同一採血番号の原料血漿を可能な限り排除する必要がありました。血液凝固因子製剤用原料血漿の有効期間は採血後1年間です。そして、HBVなどが混入している原料血漿を効率よく排除し、かつ、血漿分画製剤の製造現場に大きな影響を与えない貯留保管期間として6カ月という期間が採用されました。しかしながら、現在は全献血血液を個別NATでスクリーニングしております。50プールNAT陰性の血液が混入しても、血漿分画製剤の安全性に問題はないという旨の4課長通知も出されておりますので、貯留保管期間を6カ月とする必要性は消失していると考えています。

 また、先述しましたように、現在の貯留保管の考え方については、WHOや欧州の血漿分画製剤ガイドライン及び米国薬局方に、ウインドウ期に採血した原料血漿の排除を目的としていることが記載されております。各国の血漿分画製剤製造販売業者も、同じ目的でPPTAが策定した基準により、60日間の貯留保管を実施しているところでございます。

 そして、シャーガス病やvCJDのように数年から数十年後に感染が明らかとなる特殊な感染症もありますが、このような疾患の場合は貯留保管で対応することは不可能です。

 一方、多くの新興再興感染症は、感染後1~2週間で感染が明らかになるものがほとんどであり、さらに日本においては入国後4週間は献血の延期をお願いしております。したがいまして、献血後2カ月間の貯留保管は、ウインドウ期に採血されました原料血漿を排除するための期間としては十分な期間と考えられます。

 一方、製造工程に病原体の除去、不活化工程のない新鮮凍結血漿については6カ月間の貯留保管を継続すること。そして、全献血血液の検体を11年間保管していることから、原料血漿の貯留保管期間を短縮したとしても、受血者の安全性や遡及調査への影響はありません。

 以上により、日赤においては原料血漿の貯留保管期間は2カ月間が妥当と考えています。

 次に、「6 安全性の検証について」を書かせていただきました。

 平成26年の安全技術調査会におきまして、在庫を漸減していくことにより、2カ月貯留分が実際に血漿分画製剤製造販売業者に払い出されるのは数年先になるというシミュレーションを示させていただきました。こちらは8ページに、10年間かけて漸減していくという資料をつけさせていただいています。この間に、安全性の検証を行いながら進めていくという前提のもとに、貯留保管期間を見直すことの了承が得られております。

 そして、7番に、見直すことにより期待される効果を4つ挙げさせていただいています。

 まず、()血液凝固因子製剤用原料血漿の運用の安定化です。凝固因子製剤用原料血漿の有効期間は採血後1年です。しかし、6カ月間の貯留保管後に流通在庫を調整して血症分画製剤製造販売業者へ払い出しを行うため、実際の払い出しは採血後7~8カ月となっており、有効期限までの余裕が少なくなっています。

 貯留保管期間が短縮されれば有効期限までの余裕ができることから、原料血漿を送付する日本赤十字社、原料血漿を処理します血漿分画製剤製造販売業者の双方に余裕ができます。原料血漿の送付や、製剤の製造のスケジュールを状況に応じて柔軟に調整することが可能となります。

()凝固因子製剤の製造効率向上が挙げられます。凍結保存中におきましても、血漿中の凝固因子活性が低下することが示されておりまして、貯留保管期間を短縮することにより、活性低下の抑制が可能となるため、血液凝固因子製剤の製造効率が向上します。現状よりも少ない原料血漿で必要な製剤を確保できることから、原料血漿確保や血液凝固因子製剤の薬価抑制という観点からも有効な対策と考えております。

()保管施設の削減による費用効果です。

 ア、保管量に合わせて保管施設を最小限にすることにより、保管施設の維持にかかる費用を削減することができます。

 イ、全国に3カ所ございます原料血漿の貯留保管施設のうち、北海道の千歳、京都の福知山にございます貯留施設、それぞれ平成10年、平成12年の竣工で施設の老朽化が進んでおります。また、平成32年には製造廃止となる特定フロンを使用した冷凍機の更新も必要とされています。

 施設を改修するには構造上、両施設ともに保管機能を停止する必要性が高く、現在の貯留保管期間のまま原料血漿保管量を維持するには、改修期間における代替施設の設置ないしは新規施設の整備が必要となります。これら2つの施設の設置には、当時総額約51億円の投資をしています。仮に、同等規模の施設を建設した場合には、昨今の建築事情等を加味しますと、同等以上の金額が必要となるのではないかと見込まれます。これらの投資は、原料血漿価格に反映せざるを得ず、その結果、製造コストが大幅に上昇し、ひいては血漿分画製剤の販売価格にも影響します。貯留保管の期間短縮は、原料血漿の保管量を減少させまして、保管施設の小規模化が図られることから、保管施設の更新にかかる費用を抑制し、製造コストへの影響を低減することもできます。

()にプラスアルファで書かせていただいています。原料血漿必要量の急激な増減への対応でございます。原料血漿の確保においては、年単位での大幅な増減が課題となっております。平成27年度の原料血漿必要量が91.5万リットル、これに対し、平成28年度の必要量は97万リットルであり、5.5万リットルの差があります。これは、献血ルーム7カ所分、1ルーム一日当たり大体献血者平均53になっていますので、そうしますと7カ所分の増量に当たるということになります。

 原料血漿の必要量の大幅な増減は、年ごとに必要な献血の種類、献血者数が異なりますので、献血者の理解を得るのが難しくなります。そして、長期的な献血者確保にも支障を来す可能性があります。また、確保の急激な増加に対応するには、最もコストがかかります血漿成分献血を増加させる必要があり、原料血漿確保に要する費用の急激な増大を招きます。

 なお、平成28年度におきましては、前年度との差を6カ月以上経過しました在庫を経過日数の限界近くまで切り崩すことにより必要量の確保に対応しましたが、今後平成28年度のような前年度からの急激な必要量の増加がある場合には、貯留保管分の在庫を払い出すことにより対応する必要があると考えています。

 以上のことから、貯留期間2カ月に向けての漸減を進めていきたいと考えてございます。なお、参考資料としまして、平成261021日の安全技術調査会の資料をつけさせていただいてございます。

 私からの説明は以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 原料血漿の貯留保管期間を漸減して2カ月にしていくという御提案ですが、委員の先生方から御意見をお願いします。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 多分、前の審議のときに私が慎重であってほしいと言ったことに対して、いろいろな条件を並べていただいたのだろうと思います。ただ、国内需給の1つの大きな柱である日赤の血液事業というのは、一括して分画の原料血漿の確保をしている日赤のあり方から、安全性や安定供給を常に考えていく責務があると思います。ですから、ここに費用的な問題とかそういうものが書かれているのですけれども、本来の日赤が全て献血血液から国内需給を賄っているということを考えると、安易に結論を出していいのかどうかというところは考えていかないといけないのかなと思って、慎重であってほしいと申し上げました。

 これまでのリスクの問題は、いろいろな経緯がありました。増産を行うために貯留保管の血液を回していただくとか、そういうものもあったわけですけれども、そういうことを見ていくと、急激に貯留保管の施設としてのコストの問題と、今後何が起こるかわからないようなリスクについての対応策は、また慎重に考えていかないといけない問題ではないかと思います。

 ただ、どうしてもコストがかなりかかっていくということ、多分コストの問題が一番大きいのだろうと思います。ですから、今後、国内の製造メーカーとどういうふうに安定的に、そして何かリスクがあったときにも対応できるような保管のシステムを考えていただくことは一つ条件としてお願いしたいと思います。そのコストについてのいろいろな製造メーカー側の負担というのは、日赤が行うか、いろいろ考え方があると思いますので、そこは慎重に考えていただくと。ただ、急激に貯留保管の期間を下げていくというのは、もう少し様子を見ながら段階的にやっていただくという安全技術調査会の結論は妥当だと思いますので、そこはきちんと見ていっていただきたいと思います。

 あと、コストがそれだけ下がるとしたら、原料血漿の価格も下げていただく方向の努力も日赤でしていただかないと合理的にならないのではないかと思いますので、そこの努力はぜひお願いいたします。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。ほかは御意見よろしいですか。

 室井委員どうぞ。

○室井委員 これは、新鮮凍結血漿には適用しないで、あくまでも原料血漿の話と理解してよろしいですか。

○日本赤十字社籏持供給管理課長 はい。

○室井委員 そうしますと、参考資料に「4.世界の情勢」というわかりやすい表がございますけれども、原料血漿は欧米では60日というのが標準的なようですね。ですから、日本は過剰にしているかなと思われました。

 以上です。

○田野崎委員長 貴重な御意見をどうもありがとうございました。慎重にという御意見もありますので、参考にしていただければと思います。

 では、事務局におかれましては、ただいまの意見を踏まえた上で、対応をお願いできればと思います。

 それでは、議題7「化学及血清療法研究所の血液製剤について」に移りたいと思います。本議題については、化学及血清療法研究所からの参考人の方々が出席されますので、席をかわっていただいてから、事務局から参考人の紹介と資料の説明をお願いしたいと思います。

(日本赤十字社 退席)

化学及血清療法研究所 着席)

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局より参考人の紹介をさせていただきます。

 本日は、化学及血清療法研究所より、早川堯夫所長、尾本裕昭生産部門・部門長代理、羽室強分画事業部門・部門長代理、以上3名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 それでは、化血研から資料7-1について説明をお願いいたします。

○化学及血清療法研究所早川理事長・所長 化血研の早川でございます。

 平成28年の熊本地震では、関係者の皆様にいろいろな御心配をおかけいたしましたこと、それから、いろいろな激励を賜りましたことに対しまして、この場をおかりいたしまして厚く御礼申し上げます。弊所は熊本地震に伴う災禍におきまして、弊所が社会に対して担っております製品の生産供給体制の復旧を最優先に取り組みまして、製品の安定供給の確保に努めております。

 詳細につきましては、担当者より御報告させていただきます。よろしくお願いいたします。

○化学及血清療法研究所尾本生産部門長代理 生産部門長代理の尾本でございます。私のほうから資料7-1を用いまして、化血研の被災状況、それから供給状況について簡単に御説明させていただきます。

 「1.当所の被災と復旧の状況」につきましてですが、生産設備・機械等に関して一定の被害を受けましたが、血漿分画製剤の生産設備の大部分については復旧作業を終えまして、稼働を再開しております。残る生産設備につきましても、9月末までに復旧する見込みになっております。一部製剤につきましては、既に出荷を再開しておりまして、それを継続している状況でございます。

 供給状況につきましては裏面に整理してございますので、そちらを参考にしていただければと思います。

 「2.震災復旧プロジェクトによる対応」ですけれども、震災の起こりました直後、4月16日に発足いたしました震災復旧プロジェクトを中心にしまして、その直後から製品の生産・供給体制の復旧作業に当たってきたということになります。現在では、先ほど申しましたとおり、大部分で生産設備に関する稼働を再開しておりまして、血漿分画製剤に関しては今月中に復旧が終わる見通しとなっております。

 「3.今後の対応について」ですけれども、復旧状況につきましては「製品供給の見通し」といたしまして、ホームページ等で公開してまいりたいと思います。

 それから、今後も各製品の生産・供給体制の復旧を最優先に取り組みまして、製品の安定供給の確保に努めてまいりたいと思っております。

 以上、簡単ですけれども、御報告とさせていただきました。

○金子血液対策課需給専門官 続きまして、事務局から資料7-2について説明させていただきます。資料7-2の通知をごらんください。

 昨年6月に、化血研の免疫グロブリン製剤(献血ベニロン)につきまして、承認書との不整合が判明したことから出荷停止となりました。献血ベニロンは、ギラン・バレー症候群、チャーグ・ストラウス症候群に対して唯一適応がある製剤でありましたことから、運営委員会にお諮りしまして、これらの疾患に対して他社製剤による適応外使用を可能とし、他社製剤を使用した際には、医療保険上、副作用・感染被害救済制度上の特段の配慮を行うこととしました。献血ベニロンについては、今年3月に承認書と製造実態との不整合解消に関する一部変更承認が取得され、また、今年4月に発生した熊本地震の影響により停止していた化血研の生産設備について、9月中には復旧することが見込まれております。

 こうした状況を踏まえまして、今後の献血ベニロンの安定供給にめどがついたことから、他社製剤の適応外使用の措置を終了することとしました。ただし、医療機関への周知や医療機関での他社製剤から献血ベニロンへの切りかえ手続に一定の期間を要することや、他社製剤の医療機関からの返品を防ぐため一定の経過期間を設けることとしまして、本年12月末をもって適応外使用の措置及び医療保険上、副作用・感染被害救済制度上の特段の配慮を終了することとしました。こうした内容を盛り込んだ通知を8月30日付で関係機関宛てに発出しております。

 以上、資料7-2について報告させていただきました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上について、委員の先生方から何か御意見ございますか。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 震災によっての生産の滞りというのが解決されているのかどうかというところで、今回復旧する見込みということなのですけれども、結構コンファクトとかバイクロットというのはニーズが大きくて、特に血友病のITI(免疫寛容導入療法)をしている方たちが、ほかの製剤ではなかなか難しい免疫寛容導入療法の治療をコンファクトが十分供給されるのを待って、今、待ちの状態でいるという情報も出てきております。そういうこともありまして、早急にできるだけそういった方たちにも治療の製剤としての供給が滞りなく行くように、ぜひ、そこはお願いしたいと思います。研究のいろいろな製剤もあると思いますので、そこを十分供給できるような体制を改めてお願いしたいと思います。

○化学及血清療法研究所尾本生産部門長代理 ありがとうございました。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。山口委員どうぞ。

○山口委員 免疫グロブリン製剤の適応外使用を今まで認めてきたのですが、今年いっぱいで適応外使用ができなくなると。これは前から要望してきたことなので、そのとおりで結構だと思います。ただ、エンドユーザーへの情報が一番重要かなと。結局、平成29年1月以降にそれを使った場合には、ほかの製剤だと保険適用になってしまうという理解でよろしいのですよね。

○金子血液対策課需給専門官 そうです。

○田野崎委員長 では、ほかに御意見があればあれですけれども、この方向で進めていただければと思います。

 事務局、参考人におかれましては、血液製剤の安定供給に支障を来たすことのないように、引き続き御対応をお願いいたしたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、最後の議題に移らせていただきます。また、席をかわっていただきます。

(化学及血清療法研究所 退室)

(日本血液製剤機構 着席)

○田野崎委員長 本議題については、日本血液製剤機構より参考人が御出席されますので、事務局から参考人の紹介と資料の説明をお願いいたします。

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局より参考人の紹介をさせていただきます。

 本日は、日本血液製剤機構より、伊藤浩和理事、飯島毅彦経営本部経営戦略部経営企画課長、以上2名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 それでは、資料8-1「血液事業部会等で出されたご意見」について、事務局から説明させていただきます。

 5月の運営委員会と6月の血液事業部会に、トロンビンの供給停止についてお諮りしたところ、幾つか御意見または御質問をいただきましたので、資料としてまとめました。

 まず、ウシ由来製剤がほとんどのシェアを占めるようになった理由について御質問いただきましたが、ヒト由来製剤は特定生物由来製品に指定され、使用に当たり患者への説明や記録の保存が必要なこと、また、ウシ由来製剤のうち多くのシェアを占める製剤が液剤であり、生理食塩水に溶解させるといった手間が不要であることが主な理由と考えられます。

 次に、ヒト由来製剤とウシ由来製剤のコストについて。主なヒト由来製剤の薬価とウシ由来製剤のうち、多くのシェアを占める持田製薬の製品の薬価を比較しますと、ほぼ同程度の価格となっております。

 委員限りでお配りした参考資料1をごらんください。血漿分画製剤は連産品ですので、1製剤に限定してコストを計算することが適当かはわかりませんが、JBのトロンビン製剤に係るコストを試算しますと、かなりの額の赤字となっております。

 戻りまして資料の2ページをごらんください。体外診断薬、医療機器、再生医療分野等におけるトロンビンの需要について御意見・御質問をいただきました。

 委員限りでお配りした参考資料2をごらんいただきますと、ヒト由来製剤の多くは体外診断薬の原料に使用されております。なお、体外診断薬メーカーとは、ウシ由来製剤を原料として使用することで調整済みと聞いております。

 資料の2ページに戻りまして、医療機器に関しましては、外科手術での局所止血剤として海外非献血由来のヒトトロンビンが使われている例があるようです。

 また、再生医療分野に関しましては、適応外の使用であることから、これを理由に承認や薬価の維持を検討することは適当ではないと考えておりますが、他製剤の製造工程にトロンビンを使用する国内メーカーがありまして、当該メーカーは当分の間、承認を維持した上で他製剤用にトロンビンを製造する予定と聞いております。また、他社においてもトロンビンを使用した製剤の開発を進める予定です。こうしたトロンビンの製造体制が維持されることで、再生医療分野での需要に対応できると考えております。

 また、薬価削除に向けた手続が少し早過ぎるのではないかとの御意見をいただきましたが、トロンビンの製造体制が維持されることで、ウシ由来製剤に問題が発生した場合等にヒト由来製剤を供給する体制を確保しておくことができると考えます。

 以上、資料8-1について説明させていただきました。

 医療機器や再生医療分野の新たな需要や、ウシ由来製剤に問題が発生した場合などに備えまして、ヒト由来製剤を製造する体制は維持することで、供給停止の手続は進めさせていただければと考えております。

 説明は以上になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 今までのところで何か御質問・御意見ございますか。

 山口委員どうぞ。

○山口委員 最終的な結論は代替品であるということでいいのかもしれないのですが、1点だけ気になっていることを。血液製剤ですので、コストの面からの供給停止ということがどんどん広がっていくことを非常に懸念しています。血液製剤というのは、献血からつくられていることがありますので、それなりに重要な製剤という観点から、赤字であるとかそういうところを理由にされてしまうと、ほかのものにも影響してくるので、赤字であればみんな切っていくのかということも考えていただきたいと思います。

○田野崎委員長 ほかはよろしいでしょうか。貴重な御意見として参考にしていただければと思います。

 次の資料8-2の御説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より、資料8-2を説明させていただきます。「フィブリノゲンの製剤納入先医療機関の追加調査について」をごらんください。

 フィブリノゲン製剤納入先医療機関を対象といたしまして、平成2510月に実施いたしました書面調査についてですが、平成28年8月31日時点での調査結果の内容は、平成28年1月29日に公表した調査結果からの変更はございません。

 以上となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。よろしいですね。

 そうしましたら、資料8-3について、引き続き御説明をお願いいたします。

○金子血液対策課需給専門官 資料8-3「薬事分科会血液事業部会運営委員会規程(改正案)」ですが、これは平成2611月の薬事法改正により法律名が変わり、感染症定期報告に関する条文が移動しましたので、今回、運営委員会の規程に反映いたしました。あくまで形式的な改正になりますが、御報告いたします。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上で、本日の議題は全て終了しました。大変時間を超過してしまいましたが、何か最後に御意見などございましたら。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 今、運営委員会の規程を説明されたのですけれども、今回、化血研から出席をいただいているわけですが、化血研の推移についていろいろな情報が社会では流れています。化血研のあり方というのは、本来運営委員会でもきちんと議論すべき問題なので、運営委員会で国内需給の問題、また、安定供給の問題、そして、いろいろな要素を含めて監視、また、いろいろな意見を出していくということが運営委員会の所掌だと、私たちは設置したときからそういう気持ちで参加しています。化血研のいろいろな問題について、最近は全く運営委員会では議論されず、水面下でいろいろな形で動いているように見受けられるので、そういうことが運営委員会を通さずにやられていることについては大変遺憾だなと思っております。運営委員会の経緯を厚労省として少し考えていただきたいと思うので、意見として出させていただきました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ほかはよろしいでしょうか。血漿分画製剤に関するタクスフォースが動いていたかと思うのですが、その結論とか報告は、こちらの委員会にはいつぐらいになったら反映されてくるかとか、そういうことについては何かございますか。

○一瀬血液対策課長 タスクフォースにつきましては、まだ現在動いておりますので、それがまとまりしたら、こちらの委員会にも御報告させていただきたいと考えております。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、事務局に議事を戻したいと思います。

○近藤血液対策課課長補佐 田野崎委員長、ありがとうございました。

 次回の運営委員会の日程は、別途御連絡さしあげたいと思います。

 本日は、長時間にわたり委員の皆様、本当にありがとうございました。これにて「平成28年度第2回血液事業部会運営委員会」を終了いたします。

 


(了)

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