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2016年8月1日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録

○日時

平成28年8月1日(月)17:30~


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

◎五十嵐   隆、 石 井 明 子、 乾    英 夫、 今 村 定 臣、
 薄 井 紀 子、 遠 藤 一 司、○大 野 泰 雄、 金 澤   實、
 國 頭 英 夫、 倉 根 一 郎、 小 松 康 宏、 戸 部 依 子、
 林    邦 彦、 日 野 治 子、 三 宅 良 彦、 望 月 眞 弓、
 矢 野   哲
 (注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(6名)五十音順

石 井 則 久、 柿 崎   暁、 斎 藤   充、 槇 田 浩 史、
三 村   將、 村 島 温 子

行政機関出席者

武 田 俊 彦 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
佐 藤 大 作 (安全対策課長)
上 野 清 美 (安全使用推進室長)
宇 津  忍 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 定刻を過ぎましたので、「平成28年度第1回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございます。本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと、部会長及び部会長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の会議の出欠状況ですが、石井則久委員、柿崎委員、齋藤委員、槇田委員、三村委員、村島委員より欠席、三宅委員、望月委員が少々遅れているという状況です。現時点で、15名の委員が出席しております。したがって、本部会の定員は23名ですので、定足数に達していることを御報告いたします。

 なお、当部会委員の交代がありましたので御紹介いたします。国立医薬品食品衛生研究所医療機器部部長であった新見伸吾委員の御退任に伴い、国立医薬品食品衛生研究所生物医薬品部長でおられる石井明子委員が御着任です。公益社団法人日本薬剤師会副会長でおられた生出泉太郎委員の御退任に伴い、公益社団法人日本薬剤師会副会長でおられる乾英夫委員が御着任いたしました。

 また、6月21日付けで事務局に人事異動がありましたので御紹介いたします。医薬・生活衛生局長に武田、安全対策課長に佐藤が着任しております。また、医薬品医療機器総合機構の安全管理監に宇津が着任しております。

 それでは冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事の進行は五十嵐部会長にお願いいたします。

○五十嵐部会長 これから議事を始めたいと思います。事務局から審議参加に関する遵守事項、配布資料について御説明をお願いいたします。

○事務局 平成28年3月に開催された薬事分科会において、審議参加に関する確認事項の追加が了承され、4月から適用されていますので、その内容について簡単に御説明いたします。

 当日資料1を御覧ください。「審議参加に関する確認事項の追加について」という資料です。薬事分科会審議参加規程については、昨年度から委員の先生方から頂きました寄附金、契約金等の受取額の自己申告を製薬企業に確認する仕組みを試行導入しておりましたが、今年度からこれを本格導入する運びとなりました。

 具体的には昨年度から審議対象品目の企業のみに確認をしておりましたが、今年度より対象をその競合企業まで広げることにいたしました。今回の部会開催より先生方には本規程に基づく御協力を頂いておりまして誠に感謝申し上げます。引き続き適切な申告等への御協力をお願いいたします。当日資料1については以上です。

 次に議事参加について御報告いたします。本日御出席の委員の方々の過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄附金、契約金などの受取状況を御報告いたします。本日の議題に関して、競合品目・競合企業については、事前に参考資料、競合品目・競合企業リストを各委員にお送りして確認いただいております。五十嵐委員よりグラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社より50万円以下の受取、乾委員より大正製薬株式会社より50万円超500万円以下の受取、薄井委員よりノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取、金澤委員よりノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取、國頭委員よりサノフィ株式会社より50万円以下の受取、小松委員より興和株式会社より50万円以下の受取、林委員より興和株式会社より50万円以下の受取、日野委員より大正製薬株式会社、佐藤製薬株式会社、グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社より50万円以下の受取、三宅委員よりサノフィ株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、興和株式会社より50万円以下の受取、望月委員よりノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取と申告を頂いたほかは、受取の申告がありませんでした。したがって、全ての委員が審議に参加できますが、乾委員におかれましては、イブプロフェンのリスク区分を審議する間、出席し意見を述べることはできますが、議決には参加できないことを御報告いたします。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。

 次に配布資料一覧について御説明いたします。配布資料一覧については、既に御紹介した当日資料1、参考資料に続いて、議題1について資料1、議題2.について資料2.議題3.については資料3-1~3-4.議題4については資料4-1~4-6、議題5.については資料5-1~5-2、議題6.については資料6-1~6-2、議題7.その他関連については、資料7と当日資料2、当日資料3がお手元の机上に配布されているかと思いますので御確認いただければと思います。以上です。

○五十嵐部会長 配布資料に漏れなどはありませんか。よろしいですか。議題1.の一般用黄体形成ホルモンキットのリスク区分について、事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 議題1、一般用黄体形成ホルモンキットのリスク区分について御説明いたします。お手元に資料1を御用意ください。1枚目に調査会における議論の概要を掲載しておりますが、ここを御説明する前に、これまでの経緯等も含めて御説明させていただきます。

 1ページ、平成261225日に発出した「体外診断用医薬品の一般用検査薬の転用について」という通知です。こちらは平成26年6月に閣議決定された規制改革実施計画におきまして、医療用検査薬から一般用検査薬への転用の仕組みの早期構築について検討することとされたため、医療機器・体外診断薬部会において、一般用検査薬の転用の仕組みの在り方について検討が行われ、この通知が発出されたところです。

18ページを御覧ください。こちらに転用の仕組みを図示しております。一番上に、業界において一般用検査薬として取り扱う際の使用上の注意や、性能等盛り込んだガイドラインの案を作成します。その案を厚生労働省に提出いただいて、厚生労働省と独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)において評価を行います。その評価を踏まえて、医療機器・体外診断薬部会において議論を行うことになっております。その後、パブリックコメントを実施して、再び医療機器・体外診断薬部会で議論の上、ガイドラインとして作成し一般用検査薬の検査項目に追加するという流れとなっております。現在ここまでの流れが終わっておりまして、右側にあるとおり、承認申請と並行して、医薬品等安全対策部会において一般用医薬品のリスク区分を審議するという段取りになっております。本日はこのリスク区分について御議論を頂きたいと考えております。

19ページを御覧ください。今申し上げた転用の仕組みに基づいて、本年2月22日に策定された黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬のガイドラインの通知です。

20ページを御覧ください。1.一般的名称は、一般用黄体形成ホルモンキット。その定義は2.生体中の尿検体を用いて、使用者自らが黄体形成ホルモンの検出を目的としたキット。使用者自らが検体を採取し、排卵日予測の補助として使用されるものとなっております。使用目的は尿中の黄体形成ホルモン(LH)の検出(排卵日予測の補助)となっております。

 イメージが別紙2として示されており、23ページを御覧ください。こちらから添付文書の案が示されております。「してはいけないこと」として、24ページの一番上に医療機器・体外診断薬部会等の議論を踏まえて、避妊目的という適用外使用がされるのではないかという懸念がありましたので、避妊の目的では用いてはいけないということを記載することとなっております。

49ページを御覧ください。こちらの資料は今申し上げたガイドラインが了承された本年1月15日開催の医療機器・体外診断薬部会において決定された本品目の適正使用調査等の概要をお示ししております。三つの事項が実施すべきとされております。一つ目が、検査薬の購入者が適正に使用しているかの実態を把握するための2年間の適正使用調査を実施すること、二つ目は、2.チェックシートの上、※にある、薬局に対して適正使用調査に係る説明の確認の調査、三つ目が、検査薬の購入者が自ら使用目的を確認可能とするためのチェックシートの配布です。

 これら三つの調査について、調査シートをイメージしたものを5052ページに示しております。以上を踏まえて、53ページの横表を御覧ください。一般用黄体形成ホルモンキットに係るリスク区分評価の流れという図です。本日の会議は、左側の点線で囲まれている部分の「安全対策部会」に位置しておりまして、制定されたガイドライン等に基づいて、本品目のリスク区分を検討頂くところです。真ん中に「2年間適正使用調査の実施」とありますが、こちらが予定されておりますので、その結果を踏まえて適正使用調査の右側の点線にあるとおり、改めて調査会・部会にてリスク区分の御検討をお願いしたいと考えております。

 最初のページにお戻りください。本件については、3月16日の安全対策調査会において御審議いただきまして、今御覧いただいた流れ図にあるとおり、一般用医薬品としての市販経験がないこと、避妊目的で使用され予定外に妊娠することによる健康上の問題を生ずる懸念等を踏まえ、使用状況が不明確な発売当初は、その使用に関し特に注意が必要なものとして、第1類医薬品へ分類し、2年間の適正使用調査等の結果を踏まえた上で、リスク区分を再度検討することが適当であるとされております。

 最後に54ページを御覧ください。3月16日の安全対策調査会の審議を踏まえて、パブリックコメントを実施しております。2件御意見を頂戴して、いずれも第2類医薬品が適当ではないかという御意見がありました。資料1の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ただいまの事務局からの説明に対して御意見、御質問等を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○今村委員 非常に長い議論を経て、こういうふうな決定に至りました。私自身としてもこの検査薬というものを一般検査薬として市販することが妥当であるかどうかということについてはかなりの懸念を持っておりました。ただ、いろいろな方の御意見の中で、こういった手順を踏んで市販されることになったことは評価できると思います。

 また、閣議決定を既にされているという状況の中で、これをどういうふうに扱っていくか非常に議論になったことと理解しておりますので、今後はこのフォローアップをきっちりしていただいて、2年後の再判定をやっていければと思っております。以上です。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。

○矢野委員 このキットは非常に有意義であると考えます。ですから、広く使われていく方向がよいと思います。

○五十嵐部会長 区分についても第1類医薬品ということでよろしいですか。

○矢野委員 取りあえずは、そういうことで。

○五十嵐部会長 今村委員もよろしいですか。

○今村委員 結構です。

○五十嵐部会長 ほかはいかがですか。特にありませんか。それでは議決を取りたいと思いますが、よろしいですか。特に御異議はなかったようですので、一般用黄体形成ホルモンキットのリスク区分については、第1類の医薬品とすることでよろしいですか。

                                  (異議なし)

○五十嵐部会長 ありがとうございました。それでは御異議はないということにしたいと思います。今後の事務局の手続について説明をしていただきたいと思います。

○事務局 御審議いただきましてありがとうございました。本日、御審議を頂いた結果に基づいて、リスク区分の告示の変更の手続を進めさせていただきます。どうもありがとうございました。

○五十嵐部会長 ここまで何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。議題1.の審議は以上で終了します。

 続きまして、議題2の一般用医薬品のリスク区分について審議に入りたいと思います。まず、個別成分の審議の前に、一般用医薬品のリスク区分の評価手順について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 議題2、一般用医薬品のリスク区分について御説明いたします。資料2の1ページを御覧ください。こちらは本日御審議いただく品目が1ページと2ページにあります。現在、リスク評価中であるため、第1類医薬品とされている1日最大用量600mgのイブプロフェン、フェキソフェナジン塩酸塩、セチリジン塩酸塩、アシタザノラスト水和物の4成分について、製造販売後調査が終了したことに伴い、リスク区分の変更の検討をお願いするものです。

 次に一般用医薬品のリスク区分の変更手順について御説明いたします。3ページを御覧ください。手順としては、3.()安全対策調査会の調査審議に当たり、必要に応じ、関係学会の有識者等の出席を求め、意見を聴取し、事前整理を行い、その結果、リスク区分等の変更を行う必要があるとされた場合、厚生労働省は、変更案についてパブリックコメントを行う。

()医薬品等安全対策部会を開催し、安全対策調査会における事前整理の結果、パブリックコメントの結果等について調査審議を行い、指定の変更の要否について答申を得るとなっております。本日は()の位置付けです。

 続きまして、一般用医薬品のリスク区分について御説明いたします。7ページを御覧ください。第1類医薬品は、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、その使用に関し特に注意が必要なものとして厚生労働大臣が指定するもの。また、新一般用医薬品として承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないものとされており、薬剤師により販売され、患者に対する文書による情報提供の義務があります。

 第2類医薬品については、その副作用等により日常生活に支障を来す程度の健康被害を生ずるおそれがある医薬品であって、第1類医薬品を除くもので厚生労働大臣が指定するものとされております。

 薬剤師又は登録販売者により販売され、情報提供については努力義務とされております。第2類医薬品のうち特別な注意を要するものとして厚生労働大臣が指定するものについて「指定第2類医薬品」とされております。販売は第2類医薬品と同様、薬剤師又は登録販売者により行われ、情報提供についても努力義務ですが、薬局開設者等は情報提供をするための設備から7メートル以内の範囲に陳列する、指定第2類医薬品を購入する際は、禁忌を確認すること及び専門家に相談することを勧める旨を購入者が確実に認識できるようにするなどの措置を取るとされております。

 第3類医薬品は、第1類医薬品、第2類医薬品に分類されないもので、薬剤師又は登録販売者により販売されるものです。

 続きまして、163ページに本日御審議の4品目について、5月26日に開催された安全対策調査会の結果を踏まえて、パブリックコメントを実施しております。御説明は以上です。

○五十嵐部会長 それではイブプロフェンについて審議をしたいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料2の9ページを御覧ください。イブプロフェンは販売名がナロンメディカルとリングルアイビー錠α200で、効能・効果は表にお示しのとおり、肩こり痛・頭痛等の鎮痛、それから、発熱・悪寒時の解熱となっております。用法・用量は1回200mgで、1日2回までで、再度症状が現れた場合は、3回目を服用できるとされております。

 製造販売後調査の概要を御覧ください。個別に薬局等と契約して、モニター店舗でアンケート調査表を配る形で行われた特別調査においては、ナロンメディカルは調査症例数3,133例で、副作用が4875件、副作用発現率は1.53%でした。内訳は上腹部痛13件、傾眠12件、腹部不快感11件等で重篤と判断された症例はありませんでした。

 リングルアイビー錠α200mgでは、調査例数1,030例で、副作用が8例21件、副作用発現率0.78%でした。内訳は腹部不快感13件、食欲減退3件、上腹部痛2件等で、こちらも重篤と判断された症例はありませんでした。

 使用者又は薬剤師からの自発報告である一般調査の副作用報告は、ナロンメディカルで2例3件寄せられており、内訳は味覚減退、傾眠、第7脳神経麻痺が各1件でした。このうち第7脳神経麻痺は入手した情報から重篤と判断されておりますが、医療機関調査ができなかった症例です。リングルアイビー錠α200mgについては、一般調査で副作用報告はありませんでした。

10ページを御覧ください。安全対策調査会での審議の概要を御説明いたします。調査会においては、整形外科及び産婦人科の専門科の参加の下で審議を行いました。既に1日最大用量450mgのイブプロフェンを成分とする一般用医薬品が、指定第2類医薬品として流通しており、この450mg製剤と600mg製剤で副作用の発現状況等に特段の違いはないこと、医療用医薬品等と比較しても重篤な副作用はなく、特記すべき点は認められないことを踏まえて、600mgのイブプロフェンは指定第2類医薬品へ分類することが適当であるとされました。資料の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 ただいまの事務局からの説明に対して御質問、御意見はありますでしょうか。

○薄井委員 確認ですが、これは副作用で第7脳神経麻痺、顔面神経麻痺ですね。これは結構重篤な障害だと思いますが、詳細なことはよく分からないというお話ですが、もう少し精査しないといけないのではないかと思いますが、情報は頂けるのでしょうか。

○事務局 資料の26ページを御覧ください。一般調査における副作用の発現症例一覧表がありまして、下の段に第7脳神経麻痺が挙げられております。経過等は症状・経過の欄にありますが、転帰は軽快となっています。

○薄井委員 分かりました、ありがとうございます。

○五十嵐部会長 確かに比較的重篤な症状だと思いますが、これ以上詳しいデータはないということですが。ほかにいかがですか。

○金澤委員 ロキソプロフェンが第一類に留まっていて、アスピリンとイブプロフェンが第2類になっているからということが、今回の600mgを第2類に変更することのひとつの後押しになっているように思うのですが、ロキソプロフェンが第1類に留まっている理由と、こうやってなし崩し的に、あの薬がいいからこれもいいやということで、副作用調査は3,000例とか1,000例ぐらいの調査なので、必ずしも十分な例数の調査が行われていないにもかかわらず、前例があるからということで進めていくことについて、少し懸念があるのですがいかがでしょうか。

○事務局 ロキソプロフェンが第1類になった経緯は、こちらは医療用ロキソプロフェンが高い頻度で使用されている解熱鎮痛剤であるという点、それから、患者にも広く服用経験があり、認知されている医薬品であるという点から、ほかのNSAIDsと比較してもより安易に本剤の服用経験が過去にある女性が、妊娠後期の腰痛等のために禁忌であることを知らず服用する潜在リスクが高まるのではないかという議論から、第1類医薬品とされました。今回のイブプロフェンについては、古くから一般用医薬品として流通しており、これまで特段問題となるような事象がなかったということ、それから、既存の用量と今回の600mgの用量で副作用の発現状況等に大きな変化はなかったということを調査会において確認を頂き、指定第2類医薬品が適当ではないかという御議論になったものです。

○金澤委員 ロキソプロフェンがやはり留まっている理由と、イブプロフェンは第2類でオーケーというところの差異については、少し説明が十分ではないかと思われるのです。

○五十嵐部会長 追加はありますか。

○安全対策課長 このロキソプロフェンとイブプロフェンの指定の経緯について事務局から御説明をさせていただきましたが、やはり医薬品自体で見た場合の副作用のこれまで医療用での経験や、実際の添付文書の中に書かれている注意事項において、どれだけ一般用医薬品として販売する際に注意を要するかどうかというところの違いが、一つの切口になってくるのだろうと思います。

 一方で、今回のイブプロフェンについては、用量を上げておりますが、特段、これまでのイブプロフェンでの450mgの実績と大きく変わりはない。確かに症例数的に言うと、先生御指摘のように少ないわけですが、やはり、こういった調査の中で集められる症例というのは必ず限りがありますので、そういった決められた範囲の中での調査と、一方でお使いになられている一般の方から来るような副作用の自発的な報告を両方併せて見た場合の全体の傾向として、従前のものと余り大きな変化がないというところから、こういった判断にしているという状況ですので、御理解を頂ければと思っております。

○金澤委員 よく分かりました。私は少し気になっていたのは、アスピリン喘息のようなものが重篤発作に結び付く例というのは、恐らく3,000例ぐらいではなかなか出てこなくて、今はアスピリン喘息はよく周知されていますのでチャンスは少ない。ただ、イブプロフェンにしても、ロキソプロフェンにしても、アスピリンにしても、患者さんが間違って服用すれば大変重篤な発作に至ることがあるのです。命にかかわることもあるということで、あえてお伺いした次第です。

○國頭委員 私はその数少ないアスピリン喘息の患者ですが、子供のころよく飲んで発作を起こして死にそうになったことがあるのです。この問題はこの薬に限らず生じますが、問診の段階で、患者さんが「私は過去にそういうことがある」と言って、薬剤師さんが「じゃあ、あなたは服用するのは駄目だよ」とブロックした人は、当然飲んでいないわけですから、副作用は出ていないわけです。

 そうすると、第1類、第2類でどこまで緩めたらブロックの目が漏れるのか、ということが一番懸念だろうと思うのです。当然、薬剤師さんが、「あなたは、服用するのは止めたほうがいいよ」とアドバイスをして、止めたという数は分からないわけですよね。それが区分が緩むことによって、一定の割合でそういう患者さんがいて、実際、私はここにいますので、多分、飲んだら起こすと思いますので、そういう人が薬を飲まないようにするというのが、どこまで緩めてもオーケーなのかというのは問題だろうと思います。結果的に飲んだ人で問題なかったというのは分かるのですが。

○五十嵐部会長 御意見分かりましたが、具体的に言いますと、このイブプロフェンについてはどうですか。

○國頭委員 第2類で大丈夫、その第2類でそういうことがブロックできるのかどうかということ。どこまで緩められるのかというのが、これだと私はよく分かり兼ねるのですが。

○安全対策課長 ありがとうございます。先生の御指摘はよく分かります。一般用医薬品ですので、どこまで適正使用をあらかじめ徹底しながら販売するかという部分と、やはり、一般用医薬品としての一般の方が購入するアクセスブルかどうかというところとのバランスの議論になってくるかと思います。

 今回のロキソプロフェンも、アスピリンも、イブプロフェンの類は第1類又は指定第2類という扱いになっております。先ほどのリスク区分の表を御覧いただければと思います。指定第2類というのは、第2類医薬品の特別注意を要するものとして指定するものということで、要するにどういったものが指定第2類になるかというと、やはり、先生がおっしゃられたように、これまでの既往などから実際の使用される際に、患者さんに条件がいるものです。こういったものを指定第2類という形にしています。言ってみれば、店舗における陳列の仕方や情報提供の仕方については、通常の第2類医薬品よりも、よりタイトな形での薬剤師さん等の介入ができるような形での仕組みにしております。

 そういう部分で、かなり第2類の中でも第1類に近い取り扱いをしているという部分が指定第2類です。あくまで一般用医薬品のこういった形での指定とか使用というのは、適正使用をされることが前提ということでの仕組みですので、こういう形での情報提供や陳列における規制、その他、薬剤師さんによる情報提供も、指定第2類という中で指定第1類と並んで努力義務という形ではありますが徹底していきたいということです。

○國頭委員 指定第2類まではそれだとして、この薬などはそのうち第2類になって、第3類になってということはあるのですか。あるとしたら、同じような基準でなるのですか。

○安全対策課長 指定の考え方というのは参考資料1にもありますが、まず一つの契機としては、市販後調査、PMS期間中に見られた副作用等に基づいて、最初に第1類に指定されているものから指定第2類にするのか、第2類にするのかという検討をするのがまず第一段階目ということです。その後もいろいろな専門的な知識や経験を基に、個々の成分について更に御審議を頂いて、指定区分を変更するという機会もある形にはなってはおります。ただこれはあくまで市販後の使用実態下での副作用や、そういったものの報告、その他の傾向に基づいて判断をされることになるかと思います。

○國頭委員 今のお話ですと、第2類になり第3類になるというのがもしあるとすれば、先ほど申し上げたように、飲んだ人の副作用がどうこうという情報だけでは多分不十分で、薬剤師などの指導で飲まなくて済んだ人、間違えて買おうとしたときに、誰がどこでブロックしてくれたケース、それはどのくらいあったかということまでやはり必要になるだろうと思います。ですから、今のは大丈夫ですが、これが更にもし緩むとすれば、それは飲んだ人の副作用の情報収集だけでは不十分になるのではないかと思います。

○五十嵐部会長 それは先の話ですね。ありがとうございます。他はいかがですか。

○乾委員 今の先生の御意見とほぼ同じですが、第1類から指定第2類になれば、この説明の文書等も付かなくなったり、お客様用というものですが、情報提供を薬剤師が自らすることで、なくなるものもあるということになりますので、その辺も含めて情報提供をしっかりとメーカーにお願いしていただきたいということです。特に出産予定日12週目以内の妊婦とか、長期連用をしないでくださいというものについては、大用量、数多くの購入をすることが可能になってくるのではないかという懸念がありますので、その辺も含めて検討していただけたらと思います。よろしくお願いします。

○五十嵐部会長 要望事項が出ましたが、これはよろしいですか。

○安全対策課長 御指摘は承りたいと思います。

○五十嵐部会長 ほかはいかがですか。特にありませんか。それでは、イブプロフェンにつきましては指定第2類医薬品とすることに議決を取ってよろしいですか。

                                  (異議なし)

○五十嵐部会長 御異議はないということにさせていただきます。ありがとうございました。続きまして、フェキソフェナジン塩酸塩の審議に移りたいと思います。御説明をお願いします。

○事務局 資料2の59ページを御覧ください。フェキソフェナジン塩酸塩、販売名アレグラFX。効能・効果は花粉・ハウスダストなどによる次のような鼻アレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻水、鼻づまり。用法・用量は1回1錠、1日2回朝夕となっております。

 製造販売後調査概要を御覧ください。特別調査では調査症例数が3,111例で、副作用は6087件、副作用発現率は1.93%でした。内訳は傾眠14件、口渇11件、倦怠感5件などで、重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査においては618852件あり、内訳は頭痛129件、鼻咽頭炎52件、倦怠感38件などでした。このうち重篤と判断された症例は1824件で、性器出血、眼瞼浮腫、血管浮腫各2件などがありました。このうち血管浮腫の1例は時間的関連から、本剤との因果関係が否定できない症例とされており、それ以外は因果関係を考察する十分な情報が得られず、評価が困難であったとされております。

 安全対策調査会における議論の概要を御説明いたします。下段を御覧ください。調査会においては、耳鼻咽喉科の専門家の参考人の参加の下で審議を行いました。類似成分を含有する一般用医薬品が第2類医薬品として流通していること、また、医療用医薬品及び一般用医薬品の他の鼻炎用内服薬と比較して、副作用報告に特記すべき点が認められないことを踏まえ、フェキソフェナジン塩酸塩は第2類医薬品へ分類することが適当であるとされました。資料の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明に対して御意見、御質問をお願いしたいと思います。特にありませんか。では、議決に入ってよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、フェキソフェナジン塩酸炎については、第2類医薬品とすることでよろしいでしょうか。

                                  (異議なし)

○五十嵐部会長 ありがとうございます。御異議ないものとさせていただきたいと思います。では、次のセチリジン塩酸塩の審議に移りたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料2の97ページを御覧ください。セチリジン塩酸塩は、販売名ストナリニZ、コンタック鼻炎Zです。効能・効果は花粉、ハウスダスト(室内じん)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻水、鼻づまりとなっております。用法・用量は1回1錠、1日1回となっております。

 特別調査は調査症例数3,166例で、副作用は4366件、副作用発現率は1.36%でした。内訳は傾眠27件、口渇9件、倦怠感6件などで、重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査では、副作用1934件あり、内訳は傾眠5件、浮動性めまい4件、倦怠感2件などでした。こちらも重篤と判断された症例はありませんでした。

 調査会における議論を御覧ください。こちらも耳鼻咽喉科の専門家の参加の下、審議を行いました。類似成分を含有する一般用医薬品が第2類医薬品として流通していること、医療用医薬品及び一般用医薬品の他の鼻炎用内服薬と比較して、副作用報告に特記すべき点が認められないことを踏まえ、セチリジン塩酸塩は第2類医薬品と分類することが適当であるとされました。資料の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明に対して御質問、御意見を頂きたいと思います。特にありませんか。それでは議決に入ってよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、セチリジン塩酸塩については、第2類医薬品とすることでよろしいでしょうか。

                                  (異議なし)

○五十嵐部会長 御異議がないものとさせていただきたいと思います。ありがとうございました。では、最後のアシタザノラスト水和物の審議に移りたいと思います。御説明をお願いいたします。

○事務局 資料2の143ページを御覧ください。アシタザノラスト水和物は、販売名アイフリーコーワAL、効能・効果は花粉、ハウスダストなどによる次のような目のアレルギー症状の緩和:目のかゆみ、目の充血、涙目、異物感(コロコロする感じ)、目のかすみ(目やにの多いときなど)となっております。用法・用量は1回1~2滴、1日4回点眼となっております。

 特別調査では、調査症例数1,187例で、このうち報告された副作用は目の異物感の1例1件、副作用発現率は0.08%でした。重篤と判断された症例はありませんでした。一般調査で報告された副作用は8例10件で、内訳は眼痛5件などでした。こちらも重篤と判断された症例はありませんでした。

 調査会における議論の項を御覧ください。こちらは眼科の専門家の参考人参加の下、審議を行いました。類似成分を含有する一般用医薬品が第2類医薬品として流通していること、医療用医薬品及び一般用医薬品の他のアレルギー用点眼薬と比較して、副作用報告に特記すべき点が認められないことを踏まえ、アシタザノラスト水和物は第2類医薬品へ分類することが適当であるとされました。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明に対して御意見、御質問を頂きたいと思います。特に御意見、御質問はありませんか。それでは議決に入ってよろしいでしょうか。特に御異議がないようですので、アシタザノラスト水和物の点眼薬は、第2類医薬品とすることでよろしいでしょうか。

                                  (異議なし)

○五十嵐部会長 ありがとうございます。御異議がないものとさせていただきます。では、今後の事務局の方針について、御説明をお願いいたします。

○事務局 御審議を頂きましてありがとうございました。本日御審議頂いた結果に基づき、リスク区分の変更に関する告示の改正の手続を進めていく予定としております。

○五十嵐部会長 ここまでの段階で何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。それでは、議題2.の審議はこれで終了したいと思います。続いて報告事項に移りたいと思います。はじめに議題3.医薬品等の市販後の安全対策について御説明頂きたいと思います。

○事務局 資料3-1を御覧ください。平成27年度の安全対策についての資料です。1ページの1.を御覧ください。副作用等報告については、医薬品医療機器法第68条の10第1項の規定により、医薬品の副作用による疾病の発生等を知ったときには報告することが義務付けられております。また医師、歯科医師、薬剤師等の医薬関係者についても、同条第7項の規定により、医薬関係者が保健衛生上の危害の発生拡大を防止するために必要と認められるときには、報告することが義務付られております。

 この制度に基づき報告された過去5年間の副作用等の報告数を、ここにお示ししております。()では医療用医薬品、要指導医薬品、一般用医薬品を含む医薬品の国内副作用等報告についてお示ししております。医薬品の副作用報告は年々増え続け、平成27年度には50,977件に達しました。また()及び()には、それぞれ平成2611月、平成26年4月の医薬品医療機器法改正により副作用等報告の対象になった、コンビネーション医薬品、医薬部外品・化粧品の副作用報告についてお示ししております。

 2ページの2.を御覧ください。ここでは過去5年間に厚生労働省が行った、使用上の注意の改訂指示等の安全対策上の措置数の推移をお示ししております。平成27年度は合計90件以上の使用上の注意改訂を行った他、部会、調査会にお諮りし、OTC医薬品のリスク評価を8件行ってまいりました。

  3ページの3.を御覧ください。()には平成27年度の当部会の開催結果概要が、4ページの()には安全対策調査会の開催結果概要をお示ししております。先ほど御紹介したOTC医薬品のリスク評価等、ワクチンの安全性等、様々な議題について御検討頂きました。そして6ページの()には、医薬品・医療機器等安全性情報へ掲載した注意喚起等の記事一覧をお示ししております。

 8ページを御覧ください。こちらは機構のWebサイトに公開している、過去5年間の副作用報告の公表数です。9ページには機構のWebサイトに公表した副作用報告のうち、因果関係が否定できない死亡例のラインリストをお示ししています。なお、因果関係不明なものも含めて公表した全ての死亡例のラインリストについては、15ページ以降にお示ししております。資料3-1については以上です。

 続いて資料3-2を御覧ください。医薬品等の使用上の注意の改訂について御説明いたします。平成28年2月に開催された平成27年度第3回医薬品等安全対策部会で、平成28年1月までの改訂を報告しておりますので、今回は2月から7月までに改訂の通知を発出したものの一覧を御報告いたします。2月に4件、3月に8件、4月に13件、5月に4件、7月に8件の改訂を行いました。これらの使用上の注意の改訂は、本部会の先生方に事前に御確認頂いたものです。また、改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、機構のホームページ等、医薬品・医療機器等安全性情報にも掲載しておりますので、詳細な御説明は省略させていただきます。なお、2ページのNo.15-65のフルニトラゼパム注射剤については使用上の注意改訂と同時に、関連学会への改訂内容を周知する通知を別途発出しましたので、参考として15ページに添付しております。資料3-2については以上です。

○事務局 続いて資料3-3、医薬品の使用上の注意の改訂における、3月16日の安全対策調査会審議分について御説明いたします。一つ目の品目、ヒドロキシエチルデンプン130000の使用上の注意の改訂です。改訂内容は、「禁忌」の項において「頭蓋内出血を有する患者」を「頭蓋内出血中の患者」に改訂したものです。改訂理由の欄を御覧ください。禁忌中の「頭蓋内出血を有する患者」に関しては、既に止血された頭蓋内血腫患者も含まれるという解釈がなされる可能性があるとの懸念から、「頭蓋内出血中の患者」に変更するという要望が日本脳神経外科学会及び日本麻酔科学会から提出されました。添付文書への記載経緯、公表文献、使用実態等を踏まえると、本剤の使用上の注意における禁忌のうち「頭蓋内出血を有する患者」という記載については、出血中の患者のことであり、既に止血している頭蓋内血腫患者は含まないと解釈できるため、誤解を生じない表現とするために改訂を行いました。

 二つ目が非脱分極性筋弛緩薬であるロクロニウム臭化物及びベクロニウム臭化物の使用上の注意の改訂です。改訂内容は、「禁忌」の項において「重症筋無力症、筋無力症候群の患者」を「重症筋無力症、筋無力症候群の患者のうち、スガマデクスナトリウムに対して過敏症の既往歴を有する患者」に改訂し、「慎重投与」の項に「重症筋無力症、筋無力症候群の患者」を追記したものです。改訂理由の欄を御覧ください。非脱分極性筋弛緩薬に対する感受性が極めて高いことから、重症筋無力症、筋無力症候群の患者は「禁忌」とされてきましたが、拮抗薬であるスガマデクスナトリウムが承認されて広く普及していること、重症筋無力症等の患者における気管挿管や術中の筋弛緩状態の維持に非脱分極性筋弛緩薬が必要であることから、重症筋無力症等の患者を「禁忌」から削除する要望が、日本麻酔科学会から提出されました。

 海外の添付文書における注意喚起の記載状況、国内外の教科書、ガイドライン等における記載状況、公表文献、副作用報告等を調査した結果、重症筋無力症等の患者に非脱分極性筋弛緩薬を使用する場合には、筋弛緩モニターによる確認を行うとともに、呼吸状態に十分に注意し、必要に応じてスガマデクスナトリウムによる筋弛緩状態からの回復を行う旨を注意喚起した上で、重症筋無力症等の患者を「慎重投与」とする改訂を行いました。

 三つ目が、ミコフェノール酸 モフェチルの使用上の注意の改訂です。改訂内容は、「原則禁忌」の項から「妊娠する可能性のある婦人」を削除し、「警告」の項に「本剤はヒトにおいて催奇形性が報告されているので、妊娠する可能性のある婦人に投与する際は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与を開始すること。また、本剤投与前から投与中止後6週間は、信頼できる確実な避妊法の実施を徹底させるとともに、問診、妊娠検査を行うなどにより、妊娠していないことを定期的に確認すること」を追記いたしました。

 本剤は催奇形性を有することから、承認時より「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人」を「禁忌」、「妊娠する可能性のある婦人」を「原則禁忌」としてきましたが、催奇形性、自然流産及び胎児死亡の国内症例が報告されました。また、公知申請に関する事前評価の結果、2040歳代の女性に好発する「ループス腎炎」に本剤が適応拡大されることも考慮し、現行の安全対策の妥当性及び更なる安全対策の必要性について検討を行いました。その結果、妊婦及び妊娠している可能性のある婦人については引き続き「禁忌」とするが、妊娠する可能性のある婦人については、妊娠検査が陰性であることを確認後に投与を開始すること、信頼できる確実な避妊法の実施を徹底することに加え、本剤投与中も妊娠していないことを定期的に確認する旨を新たに注意喚起し、妊婦への本剤の曝露を回避する必要があると判断し、改訂を行いました。

 これらの改訂については3月16日の安全対策調査会において、関係学会の先生方に参考人として御出席頂き審議の上、医薬品等安全対策部会委員の先生方に改訂内容について御確認頂き、いただいたコメントを踏まえ、最終改訂案を作成し、本年3月に使用上の注意の改訂を行いました。なお、ミコフェノール酸 モフェチルについては、本年5月に「ループス腎炎」の効能が追加されました。その際には、29ページに掲載している通知を発出し、催奇形性に関する安全管理について再度周知を行いました。資料3-3の説明は以上です。

○事務局 続いて資料3-4について説明いたします。こちらはワクチンの安全性に関する評価についてです。本年4月12日、5月23日及び7月8日に開催された安全対策調査会と、副反応検討部会との合同会議において、ワクチンの安全性について評価を頂きましたので、その結果について御報告させていただきます。

 はじめに1ページの麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌の各ワクチンの副反応報告の状況です。昨年7月から本年4月末までの副反応報告の状況について集計した結果は表1のとおりです。この期間の副反応報告を上から順番に申し上げますと、麻しん・風しん混合ワクチンが医療機関から41例、企業から8例、麻しんワクチンが報告なし、風しんワクチンが企業から2例、おたふくかぜが医療機関から28例、企業から14例、水痘ワクチンが医療機関から29例、企業から12例、A型肝炎ワクチンが報告なし、23価肺炎球菌ワクチンが医療機関から241例、企業から134例でした。全体としてこれまでに報告されている各ワクチンの副反応報告の状況に比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を取る必要はないとの評価を頂いております。

 2ページの()にその続きがあります。この中で死亡症例が10例ありますけれども、今回の対象期間中に計10報告されているものについては、専門家の評価の結果、いずれの症例についてもワクチン接種と死亡との、直接的な明確な因果関係は認められていないという評価を頂いております。

 2ページの百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ、7価及び13価肺炎球菌、ヒブ、BCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンによる副反応報告の状況です。結果については表2のとおりです。この期間の副反応報告は、上から順番にDPTワクチンが報告なし、DTトキソイドが医療機関から6名、ジフテリアトキソイドが報告なし、破傷風トキソイドが企業から3名、不活化ポリオワクチンが報告なし、4種混合ワクチンが医療機関から25名、企業から29名、7価肺炎球菌ワクチンが報告なし、13価肺炎球菌ワクチンが医療機関から29名、企業から144名、ヒブワクチンが医療機関から29名、企業から49名、BCGワクチンが医療機関から32名、日本脳炎ワクチンが医療機関から8名、企業から3名、B型肝炎ワクチンが医療機関から13名、企業から17名、ロタウイルスワクチンが医療機関から11名、企業から30名、5価ロタウイルスワクチンが医療機関から6名、企業から9名でした。これまでに報告されているワクチンの副反応報告の状況と比べて大きな差はなく、新たな安全対策措置を取る必要はないとの評価を頂いております。

()の死亡症例については、今回の対象期間中に同時接種症例で1例報告されております。これらの症例については、次回の調査会において評価を頂く予定としております。また、13価肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンの6か月間の10万接種当たりの死亡例の報告頻度は、いずれも0.050.2であり、対応を速やかに検討する目安とされている10万接種当たり0.5を下回っていることを確認しております。

 続いて3ページ中段、HPVワクチンの副反応報告の状況です。昨年7月から本4月末までの副反応報告の状況について集計した結果は、表3のとおりです。この期間の副反応報告は、サーバリックスが医療機関から133例、うち重篤が112例、製造販売業者から45例、ガーダシルが医療機関から51例、うち重篤が42例、医療から15例がそれぞれ報告されております。報告された症例のほとんどが、昨年7月以前に接種された症例であり、急性散在性脳脊髄炎、ギランバレー症候群などの診断可能な特定の疾患において評価を行いましたが、これまでどおり安全性の懸念となる集積は認められませんでした。

 4ページの()の死亡症例についてです。対象期間中にサーバリックスにおいて、1例の死亡症例が報告されましたが、専門家による評価の結果、ワクチン接種と死亡との直接的な明確な因果関係は認められないと評価頂いております。

 最後に4番、インフルエンザワクチンの副反応報告状況です。昨年10月から本年4月末までの副反応報告状況について、昨シーズンの状況の比較を表4に示しております。これらについては昨シーズンと比べて、特段高いという状況ではなく、新たな安全対策措置を取る必要はないという評価を頂いております。

 死亡症例については、対象期間内に7例の報告がされており、専門家による評価の結果、1例はワクチン接種と死亡との因果関係が否定できないという評価を頂いております。資料3について、事務局からの説明は以上です。

○五十嵐部会長 それでは、医薬品等の市販後安全対策に関する事務局からの説明について、御意見をお願いしたいと思います。

○倉根委員 二つほど質問いたします。まず、こちらは教えていただきたいのです。資料3-2の6ページの16-6の「重大な副作用」の項に、類天疱瘡という言葉が出ていますが、天疱瘡と類似の症状が類天疱瘡ですか。それとも類天疱瘡という病態と言いますか、天疱瘡とは別に類天疱瘡というものがあるのですか。

○日野委員 天疱瘡と類天疱瘡は全く違う疾患です。天疱瘡の場合は表皮内に亀裂が入っていくのですけれども、類天疱瘡の場合は表皮下に水疱ができてくるということで、疾患そのものが違うのです。

○倉根委員 教えていただきましてありがとうございます。あとは資料3-4に1番、2番とズラズラとワクチンがあります。恐らく同時接種がかなりというか、それなりのパーセントであると思うのです。ここの書き方は、同時接種で出たものについては、両方に数字が入っているという理解でよろしいのですか。

○事務局 資料3-4の表の見方ですが、ワクチンの関係については1ページの1番の麻しんから始まるほうが、大体単独で使われることが多いもので、2ページの百日せきから始まるほうが、比較的同時に接種されることが多いものです。2番の百日せき云々について、死亡症例が1名あるというように御説明いたしましたが、表2の中で一番右のカラムを縦に見ていただくと分かりますように、括弧内に書いてあるのが死亡です。ここを見ていただくと幾つかいろいろな所に、()というように書いてあります。こいった場合は幾つかのワクチンにそれぞれ数が集計されているという状況です。

○倉根委員 分かりました。では、同時接種のときにはそれぞれのワクチンの項にも数値が入っているという読み方ですね。

○事務局 はい、そのとおりです。

○薄井委員 資料3-1、9ページです。細かいことで申し訳ないのですけれども、これは死亡例なのでお聞きします。血液凝固阻止剤のアピキサバンは、平成26年度もそうでしたけれども、平成27年度も急に死亡例が多くなっております。これは何か原因というか、出血等々があるのでしょうか。急に多くなっているように思うのです。

○事務局 先生が御懸念の薬は、いわゆるNOAC(ノアック)と呼ばれる分類の薬で、これは先生も御承知のとおり、血液凝固を抑制するということで血栓予防を行い、しいては副次的なイベントを防止していこうという薬剤です。これらの薬剤については当初から、どうしても薬効との裏腹の関係もあり、出血の関連事象は非常に懸念されているところです。そのため、昨今ではRMPにおける、「重要な特定されたリスク」に該当するとしており、メーカーには市販後調査の実施とか、適正使用に関する理解を促すための情報提供を義務付けています。

 件数の増加についてですけれども、副作用報告はどうしても自発報告ということもあり、件数が増加していることをもって、発生率が増えているということは必ずしも言及できないところがあります。なぜ増えているのかというところについては、もしかすると製品の販売数量や使用量が増えているということが、一つの背景にあろうかとは思われますが、その理由はなかなか難しいかと考えております。

○薄井委員 やはり抗凝固剤ですから、適正使用をきちんと考えていかなくてはいけないので、その辺のことも注意していただきたいと思って御質問しました。

○事務局 御意見、ありがとうございます。

○安全対策課長 1点補足をさせていただきます。この薬は平成25年の承認ですので、恐らく平成25年度の集計は、途中段階の部分かと思っております。

○薄井委員 それにしても増えてはいないけれども、減ってもいないということなので、引き続き注意喚起は必要かと思います。

○安全対策課長 御指摘のとおりだと思います。ありがとうございます。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。

○今村委員 ちょっとプリミティブな質問かもしれませんが、HPVワクチンは日本では任意接種として、男性には認められているのですか。

○安全対策課長 HPVワクチンの医薬品医療機器法上の適用は、いわゆる健康な女性に打つということですので、男性に対する適用はありません。ですから、あくまでも適用外とか個別の判断で打たれることは、ひょっとするとあるのかもしれませんが、そこは医薬品医療機器法上の効能・効果の外です。

○今村委員 医療提供者と当事者が合意をすれば、接種もあり得るという意味でお答えになったのですか。

○安全対策課長 おっしゃるとおりです。

○今村委員 分かりました。

○日野委員 資料3-4の最後のインフルエンザワクチンについてです。今期からインフルエンザワクチンで、チメロサールの入ってない接種薬がなくなり、チメロサールが入ってないものはないと聞いたのです。そうすると、チメロサールで例えば水銀アレルギーの患者や子供たちに関して、どのように対処していったらいいのでしょうか。そういう子供たち又は妊婦、水銀アレルギーの人にはワクチンができなくなってしまうのでしょうか。これはここで出していいか分からなかったのですけれども、製薬会社に聞いたら、作らないというだけの返事しかもらえなかったのです。もし、このままいけばインフルエンザワクチンの副反応報告が増えるのではないかと思ったので伺ったのです。

○安全対策課長 私どもは、今冬のインフルエンザワクチンの組成でチメロサールなしの供給については、情報を持ち合わせておりませんので、こちらで調べて、また先生に御回答させていただこうと思います。

○五十嵐部会長 それでよろしいですね。ほかにはいかがですか。よろしいですか。それでは議題3.の報告は、これで終了したいと思います。続いて議題4.医薬品等の副作用等報告の状況について、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○事務局 資料4-1を御覧ください。医薬品・医療機器法第68条の12の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について御説明いたします。まず、今回の報告期間についてですが、平成2712月1日~平成28年3月31日までであり、前回の報告期間は平成27年8月1日~平成271130日までです。1.は製造販売業者からの報告数をお示ししております。()には医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品、要指導医薬品、一般用医薬品、医薬部外品、化粧品の国内症例の副作用等報告件数を示しており、その内訳については資料4-2にお示ししております。

 続きまして()です。医療用医薬品、医薬品たるコンビネーション製品の外国からの副作用等報告件数について、お示しております。

()には外国での新たな措置の報告件数を示しており、その内容については、また別資料4-3にお示ししております。

 続きまして()は、研究報告の報告件数をお示ししております。報告された文献等のリストについては資料4-4にお示ししております。

 資料4-1の2.は、医薬関係者からの報告についてお示ししております。ワクチン類を除く医薬品の副作用報告と、ワクチン類の副反応報告とに分けてお示ししており、ワクチン類を除く医薬品の重篤症例については企業もしくは独立行政法人医薬品医療機器総合機構が調査を行うこととしておりますので、重篤症例の件数及び重篤症例のうち機構が詳細調査を行った件数についてもお示ししております。なお、機構が詳細調査を行った報告の内訳については、資料4-5にまとめております。

 3.は、副作用救済給付又は感染症救済給付に係る報告です。報告期間内に救済給付に関する決定がなされたもののうち、安全対策に活用されたものの件数を副作用救済給付・感染症救済給付についてお示ししております。なお、その内訳は資料4-6にまとめてお示ししております。資料4-1~4-6までについては以上です。

○五十嵐部会長 ただいまの御説明に関しまして何か御意見、御質問ございますでしょうか。特にありませんか。では、議題4.の報告はこれで終了したいと思います。

 続きまして議題5.に移ります。医薬品の感染症定期報告の状況について、御説明お願いいたします。

○事務局 続きまして、議題5.医薬品の感染症定期報告の状況について御説明させていただきます。お手元の資料5-1及び5-2を御覧ください。感染症定期報告については医薬品医療機器法第68条の24に基づき、製造販売業者が製品又はその原材料による感染症に関する最新の論文等を報告する制度です。

 今回の報告では、昨年12月~本年3月末までに企業から報告された結果を取りまとめております。感染症定期報告が提出された全体については、資料5-2のとおりです。こちらについては合計365件でした。このうちこれまでに報告済みのものを除き、かつ、感染症ごとに取りまとめたものが資料5-1です。重複を除きますと、報告された文献等が今回83件ございました。今回、比較的報告が多かったものとしては、これまでの傾向と同様ですが、肝炎とかインフルエンザ関係といったものが1~2ページの辺りに載っております。委員の皆様には当会議の前に資料を送付しておりますが、国立感染症研究所の倉根委員、国立医薬品食品衛生研究所の石井明子委員には資料を御確認いただくとともに、事前にコメント、御意見をお願いしております。その結果、直ちに安全対策措置を講ずる必要があるものについては御意見いただいておりませんが、倉根委員及び石井明子委員より、本日コメントをいただけると伺っておりますので、よろしくお願いいたします。議題5に関する報告は以上です。

○五十嵐部会長 では、倉根委員からお願いいたします。

○倉根委員 随分いろいろなものがあるのですが、このうち特に、資料5-1の4ページの39にあります重症熱性血小板減少症候群ウイルスというウイルスによる病気のことなのですが、通常はダニにかまれて感染するのであります。医療従事者あるいは家族がこれまで濃厚に接触した、あるいは血液に家族が触って感染した例は幾つか報告され、この論文でもあるのですが、そのうち接触していない、血液には触っていないという方が感染している。そうすると、ここではエアロゾルによる感染という、やや特殊な感染ルートも考えられるかもしれないということでありました。これまで気管内挿管をした担当医が感染したというのも、この論文ではありませんが報告されているようでありますので、医療従事者にとっては、もう一つはこの疾患が日本にはあるということがありますので、エアゾルによる感染という可能性も考慮しつつ、医療を提供する必要があるのではないかということであります。以上です。

○五十嵐部会長 どうもありがとうございます。では、石井委員からお願いいたします。

○石井()委員 資料5-1の1ページ目のID 3を御覧ください。こちらでは日本において輸血が原因と確認された慢性E型肝炎感染症例2例が発生したという報告がなされております。その症例は免疫抑制剤を使用していた例であり、それにより慢性的感染に至ったという説明がなされております。免疫抑制剤の使用に際しまして、既にB型肝炎及びC型肝炎の再活性化については添付文書等で注意喚起がなされているところかと思いますけれども、この報告を受けまして、今後E型肝炎の新規感染について注意喚起する必要がないか、お伺いしたいと思います。

○事務局 事務局でございます。ただいまの石井委員からの御指摘の点でございますが、こちらのE型肝炎については御指摘のとおり、通常は慢性化するということはなかなかない状況ですけれども、臓器移植や血液がんで免疫抑制状態にある場合に、慢性肝炎化した事案が生じたということを踏まえまして、今後国内の詳細な実態を把握し、海外情報を踏まえ、更なる対策の必要性につきまして、血液事業部会のほうで検討していくと聞いております。

○五十嵐部会長 対応調査等を始めるという御返事でしたけれども、よろしいでしょうか。

○石井()委員 はい。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。それでは議題5.の報告はこれで終了したいと思います。ありがとうございました。

 では、議題6.の医薬品等の回収報告の状況について、御報告をお願いいたします。

○事務局 それでは医薬品・医療機器等の回収報告の状況につきまして、資料6-1、資料6-2に基づいて説明をさせていただきます。医薬品医療機器等法第68条の11に基づき、医薬品等の製造販売業者等はその製造販売をし、承認を受けた医薬品・医療機器等を回収するときは回収に着手した旨、及び回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならないとされております。また、製造販売業者等から回収の着手報告がなされた場合については、全ての事例をインターネット等で公開をしているところです。本件については、同じく医薬品医療機器等法第68条の12の規定に基づき、薬事・食品衛生審議会への報告を行うものです。

 1ページの1.回収件数年次推移です。平成27年度に関しては医薬品122件、医薬部外品6件、化粧品74件、更に医療機器、再生医療等製品がございまして、全体で658件となっております。平成26年度に比べると100件近く報告数が増加しているのですが、多くは医療機器の件数が増加していることによるものであり、医薬品、医薬部外品、化粧品については前年度とおおよそ同じ数字となっております。

 裏面を御覧ください。平成27年度の医薬品等の回収件数、クラス分類でございます。医薬品についてはクラスI回収が19件、クラスII 93件、クラスIII 10件。同じく医薬部外品についてはクラスI 0件、クラスII 8件、クラスIII 1件。化粧品についてはクラスI 0件、クラスII 69件、クラスIII 5件でございます。医薬品のクラスI回収19件の内訳です。うち18件がロットを構成しない医薬品であって、同種他製品に不良が及ばず、かつ、当該医薬品が他社に使用されないことが確実なもの、具体的に申し上げますと血液製剤の献血後、様々な情報等に基づき、投与前に事前に回収がなされたものが18件ございました。ちなみに、クラスIの残り1件ですが、資料6-2の3ページを御覧ください。こちらのリプラス3号輸液、ラクトリンゲルM注「フソー」という販売名です。このラクトリンゲルM注「フソー」と表示された容器に、実はリプラス3号輸液が充填されていることが判明をしたものでして、これはカリウムの容量が大分違っており、20mEq/Lと、それから4mEq/Lというような形で、カリウム量に相当な差があるということですので、クラスIという形での回収となったものです。その他、クラスII、それからクラスIIIに関しては資料の4~31ページ、更にはクラスIIIに関しては3234ページにそれぞれの製品名、回収理由が記載されております。以上でございます。

○五十嵐部会長 何か御質問ございませんでしょうか。よろしいですか。それでは議題6.の報告は、以上で終了したいと思います。

 続きまして議題7.その他関連にまいります。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○事務局 その他といたしまして、資料7、当日資料2、当日資料3とございますので、まとめて御説明させていただきます。

 まず、資料7を御覧ください。毛染めによる皮膚障害に係る消費者庁消費者安全調査委員会から、厚生労働大臣に対する意見への対応について、御説明いたします。1ページ、1.これまでの経緯です。平成271023日、消費者安全調査委員会が毛染めによる皮膚障害に関する調査報告書をまとめ、同日、厚生労働大臣に対し意見を提出いたしました。この意見では、一つ目として関係団体に対して、リスク等が消費者に分かる表示や情報提供の内容の検討及びリスク等が的確に消費者に伝わる伝達手段の検討を促すこと。二つ目として、厚生労働省が、消費者が実施しやすいセルフテストの導入の可能性を検討すること。この2点について行うこととされておりました。

 2.厚生労働省の対応を御覧ください。一つ目のポツへの対応ですが、平成28年7月12日付けで、「染毛剤、脱色剤及び脱染剤の使用上の注意について」の通知を改正いたしました。この通知の中で、使用説明書等において、今まで染毛剤でかぶれたことのある者は使用しないことを目立つように記載すること。それから染毛剤によるアレルギーのリスクについて、消費者に分かりやすく伝わるよう、具体的に記載すること。この2点を求めることといたしました。

 また、同日付けで日本ヘアカラー工業会が自主基準を二つ改正いたしました。一つは、染毛剤等に添付する文書に記載する使用上の注意事項自主基準で、主な改正内容としては、1点目は、折りたたまれた使用説明書を開かずとも見える場所に、今までにヘアカラーでかぶれたことのある人は絶対に使用しない旨を記載することを新たに規定しております。2点目は、使用説明書にヘアカラーによるアレルギーのリスクを注意喚起する具体的な文言、枠で囲っておりますが、こういった文言を記載することを、新たに規定しております。

 2ページを御覧ください。もう一つの改定された自主基準が、染毛剤の外箱等に表示する注意事項自主基準です。この主な改正内容は消費者向け製品の外箱正面に、下で枠で囲っております三つの事項を記載することを新たに規定しております。3~19ページにかけて、今申し上げました通知の改正、改正された自主基準について添付してございます。

 続きまして、上記2.への対応について御説明いたします。消費者の行う染毛剤のアレルギーに関するセルフテストの方法に関しては、平成27年度厚生労働科学研究費補助金、「染毛剤等による皮膚障害の防止方策に関わる調査研究」により、諸外国の規定等を情報収集いたしました。一番最後のページ、別紙2、20ページを御覧ください。

 1.セルフテストに係る規定の有無で、セルフテストの実施の規定や、その具体的な方法について指導を行っているかどうか、15の国及び地域を調査した結果、7か国はセルフテスト実施までは規定しているが、具体的方法は規定していない。2か国は実施の規定もないという状況でした。

 2.セルフテストの方法です。セルフテストの方法を規定している国及び地域において、その方法を表にまとめております。この調査研究では塗布薬剤、塗布部位、塗布管理、塗布時間、判定時間等、消費者の実施しやすさという点で、調査を行いましたが、日本と諸外国のセルフテストの方法に大きな違いはないことが明らかになりました。2ページに戻り、最後のところ、このため現時点では日本のセルフテストの方法を変更する必要はないと考えております。資料7についての御説明は以上です。

○事務局 続きまして、当日資料2について御説明いたします。まず、ニボルマブ(遺伝子組換え)製剤の適正使用に関して、御報告いたします。現在、ニボルマブの効能・効果は「根治切除不能な悪性黒色腫」及び「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」であり、いずれも単剤療法で承認されております。また、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与するよう、注意喚起をしています。しかしながら、海外から個人輸入をしたニボルマブを承認された効能・効果及び用法・用量とは異なる方法で投与した事例や、発現した副作用に適切な処置・対処がなされない事例などが散見されたことから、公益社団法人日本臨床腫瘍学会が7月13日に、当日資料2-1に掲載しております学会ステートメントを発出し、有効かつ安全に投与できる要件を満たす施設・医師で、適切な投与量・投与方法にて免疫チェックポイント阻害薬の投与を受けるよう、患者に呼び掛けております。

 厚生労働省では、ニボルマブと免疫療法を併用し、副作用を発現したとの報告があることも踏まえ、製造販売業者に対してニボルマブの適正使用を周知するよう指示し、当日資料2-2に掲載しております「オプジーボ点滴静注20mg100mg適正使用のお願い」の医療機関への配布を行いました。

 続きまして、当日資料3-1、上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤(EGFR-TKI)投与後の間質性肺疾患に係る安全対策に関して、御報告いたします。7月13日に日本臨床腫瘍学会から当日資料3-1に掲載しました「ニボルマブ(オプジーボ)投与後にEGFR-TKIを使用した患者に発生した間質性肺疾患について」との注意喚起が学会ホームページに掲載されたことを受けて、厚生労働省では、ニボルマブ投与後にEGFR-TKIを投与され、間質性肺疾患を発症した8例の副作用報告について検討を行いました。その結果、現時点ではニボルマブとEGFR-TKIの連続的使用が間質性肺疾患のリスクを高めるかは不明であると結論づけましたが、厚生労働省は、今後もこのような使用に関する安全性を注視する必要性があると考えています。なお、EGFR-TKIは間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者は慎重投与とされていますが、EGFR-TKI投与前に間質性肺疾患の既往や当該疾患が疑われる症例に投与され、重篤な転帰をたどった症例も報告されていました。このような実態を踏まえ、当日資料3-2に示す通知を、関連学会等に発出し、EGFR-TKIの適正使用の周知、及びニボルマブの前治療歴を含む副作用情報収集への協力を、関連学会等宛に依頼しました。当日資料についての説明は以上です。

○五十嵐部会長 二つの御説明をいただいたのですが、皆さんから御意見、御質問をいただきたいと思います。最初に、では染毛剤のほうについては何かございますか。

○戸部委員 この染毛剤の皮膚障害については、平成271023日に消費者庁消費者安全調査委員会から厚生労働大臣への意見ということで、ここの資料7の1ページ目の1.これまでの経緯のところでは、「以下の事項を行うこととされていた」ということで、消費者に伝わる、そのリスクを伝えるということと、あとセルフテスト導入の可能性の検討ということが書かれております。ほかに理・美容師への周知徹底ということがあったかと思うのですが、今日の報告ではその部分はないだけで、対応はされているということでよろしいのでしょうか。

○事務局 御質問ありがとうございます。昨年1023日に出されました消費者安全調査委員会からの意見の対応につきましては、昨年12月の部会でも一度御報告させていただいておりますが、その際に酸化染毛剤、アレルギー剤の特性、アレルギーを引き起こしやすいなどの特性について継続的実施することの要請は、都道府県等を通じて関係の製造販売業者等に継続して行うようにという依頼をしております。また、理・美容師への周知徹底というのも、理・美容師を所管している部署のほうから、1023日付けで通知が発出されている状況でございます。

○五十嵐部会長 その他、染毛剤については何かございますか。よろしいですか。 それでは二つ目のオプジーボについて何か御質問、御意見ございますでしょうか。

○國頭委員 最初の、要するに保険外使用で、データがないのに使って、どうにかなってしまうというのは、恐らくこの部会でも多分どうにもならない問題でありまして、この薬に対する期待が高まっているので、それを利用して、自由診療で行う所がありますが、自由診療については多分誰も規制が掛けられないので、無法地帯みたいなところがあります。それはもう医師の免状を持っていれば、自由診療であれば何やってもいいという、そのシステム自体に問題があるだろう。それは、だけどここの範ちゅうを超えてしまいますね。

 もう一つのTKIとの併用でありますけれども、恐らくお読みになって、何のことかお分かりになりにくいと思うのです。事実としては、治験のデータでありますけれども、チェックポイント阻害剤とEGFR-TKIとの同時併用で、肺毒性が非常に多かったというデータはあります。そのため、それぞれの薬剤を単独で使います。例えばEGFR-TKIでも、ほかの抗がん剤でも投与後2週間、3週間たちますと、体内から薬剤は消失します。消失後に次の薬剤を投与して発現した副作用は、その薬剤の毒性と判断していいのですが、もしかしたらチェックポイント阻害剤では、薬剤そのものは体内から消失しても、反応が残っている可能性があります。そうすると、消失後にTKIを投与しても同時併用と同じようなことが起こる可能性が十分にあります。ですから、順番によって、先にTKIを使った場合よりも、もしかしたらですけれどもチェックポイント阻害剤を先に使ったほうがひどい副作用が出る可能性は十分あると思います。

 ただ、それは証明されたことではないので、何だかよく分からない奥歯にものがはさまったような、そういうデータになっているのだろうと思います。我々のほうでは、やはり順番に気をつけるということは言われてはおります。

○五十嵐部会長 補足説明をしていただいたようで、本当にありがとうございます。少し理解が深まったのではないかと思いますが、何かありますか。いずれにせよ新しい薬で、しかも非常に重篤な疾患をお持ちの方にとってはこういうもの是非使ってもらいたいということで、予測できないいろいろなことがあると思うのですけれども、しかし、こういうふうに適切に対応することが非常に重要だと思いますので、これからもこうした体制を取っていただきたいと考えております。何かほかにございますでしょうか。

 事務局、よろしいですか、これについてもいいですか。

○事務局 はい。

○五十嵐部会長 それでは、本日の議題はこれで終了となりますけれども、何か全体通しまして、委員の先生方よろしいですか。事務局、何かありますか。

○安全対策課長 先ほど日野委員からの御質問がありましたインフルエンザワクチンの件なのですけども、ちょっと今会議中に情報を確認させていただいたところでは、今年度の供給として従来北里、第一、理研等がチメロサールフリーの製剤を供給していたのですが、今年は、供給上の理由でチメロサールフリーの製剤が確かに供給されない予定ということで、確認をさせていただきました。もともとインフルエンザワクチン添付文書に、「接種の際に要注意する方」という項目がございます。その中に、チメロサールの過敏症のある患者さんに対しては接種時によく注意をして、打たれるということが、「使用上の注意」に書かれてはいるのですけれども。先生御指摘のように、今年度そういう形でチメロサールフリーの製剤がないという状況かと思いますので、「使用上の注意」はきちんと現場でも御対応いただきたいと思うのです。

 また、この秋以降に副作用報告とこちらの調査会、健康局のほうの部会と合同で、定期的に見ていく形になります。その中でもやはり注意をして、チメロサール過敏症、水銀過敏症の患者さんの副作用等が出てないか等も含めて、注意深く見ていきたいと思いますので、またいろいろと御指導をよろしくお願いしたいと思います。

○五十嵐部会長 よろしいですか。

○日野委員 はい。チメロサールの、つまり水銀アレルギーの人はかなり全身性接触皮膚炎のような発疹を起こす人もいるのです。ですから、チメロサールフリーの、このワクチンがないと、多分今期はできないというふうに言ってあげなければならなくなってしまうと思うのです。非常に困ったなという患者さんはおられます。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。はい、どうぞ。

○望月委員 後になってしまって申し訳ないのですが、チェックポイント阻害薬の件で。当日資料2-1で、臨床腫瘍学会の理事長名で、チェックポイント阻害薬を使った治療を受ける患者さん向けの呼び掛けという文書になっていて、とても素晴らしい文章だと思うのですが、患者さんにこれがきちんと伝わっていくのかなというところが不安です。先ほどのお話では、適応外使用でかなり使われているケース、個人輸入で使われているケースというのがあるということです。多分患者さんがいろいろな治療を受けられて、もう最後ということで希望されて、それに対して医師も対応するという形で投与されている可能性もあるかなと思うのですが。

 こういう使い方にはかなり注意をしながら使っていって、医師の要件とか施設要件もかなりしばりがあって、気をつけて使うべきまだ段階であるということが、患者さんにきちんと伝わらないといけないと思います。これは臨床腫瘍学会から患者さんに対する呼び掛けなのですが、国として何か考えてらっしゃるのかとか、その辺お聞きしたいと思います。

○安全対策課長 今の先生の御指摘、非常に重要なポイントでございまして、いかに患者さんたちにこういった情報を適切に届けていくかということで、特に先ほども御指摘ありまして。この適用外使用というのは、なかなか規制を掛けるというのが難しい世界であるという前提の下でということになってまいります。今回このような形で、学会からの注意文書も出ているという状況につきまして、こういった文書は厚生労働省の個人輸入の注意喚起のホームページですとか、実際に薬監証明を発給してます地方厚生局で、皆さんが証明書を発給するときに見るホームページにも、この情報掲載させていただいております。できるだけ個人輸入をされる方にも見ていただけるような形での情報提供をしているのと同時に、メディナビでも配信をさせていただいております。

 あと、今回のその適正使用のお願い、これは注意喚起ということになってまいりますけれども、今回、小野薬品からこういった今日の資料の2-2のような形の適正使用の文書も出させていただいています。先週の28日でございますけれども、いわゆる再生医療という括りにはなりますけれども、免疫細胞療法をやられているような医療機関等に対して、適正使用のお願いの通知と、こういった部分で、まだ現時点で根拠が確立してないような治療法については注意喚起をするようにという形で、医政局のほうから通知を出させていただいている状況でございます。できるだけ我々行政のほうでも、できる範囲の注意喚起というものを進めてきております。また、これからも機会があれば、そういう対応をしていきたいと考えております。

○五十嵐部会長 ほかはいかがですか。よろしいですか。それでは、今日の議題はこれで終了したいと思いますが、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 追加は特にございません。次回の部会の開催日定でございますけれども、1121日、17時~19時の予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○五十嵐部会長 それでは本日の部会をこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 安全対策課 課長補佐 荒木(内線2752)

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