ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(2016年8月3日)




2016年8月3日 第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議

○日時

平成28年8月3日(水) 15:00~17:00


○場所

TKPガーデンシティ永田町 ホール3A(3階)
東京都千代田区平河町2-13-12 東京平河町ビル


○出席者

出席構成員

新構成員、五十嵐構成員、伊藤構成員、岩田構成員、岡部構成員
小国構成員、落合構成員、北田構成員、合田構成員、佐藤構成員
鈴木構成員、友池構成員、西川構成員、藤原構成員、堀田構成員
村島構成員、山本構成員、横谷構成員

出席参考人

戸高参考人、宮崎参考人

○議題

第II回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第III回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第IV回要望に係る専門作業班(WG)の検討状況等について
第IV回要望の未承認薬・適応外薬の開発要望について
要望品目の医療上の必要性について
企業から提出された開発工程表等について
その他

○議事

○医薬・生活衛生局審査管理課

 只今から、第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を開催いたします。

 本日は岡部構成員、鈴木構成員が少し遅れて参加されます。会議に先立ちまして、本検討会議の構成員に変更がありましたので、新たに御参画いただくことになりました構成員の先生方を御紹介いたします。鶴巻温泉病院副院長の新先生は少し遅れておりますので、後ほど御紹介いたします。京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻医療統計学教授の佐藤構成員です。本日は、後藤構成員、平安構成員より欠席との御連絡をいただいております。3名の先生方が後ほど御出席ということで、現在15名の先生に御出席いただいております。また、WGの検討状況を御報告するに当たり、各WGのメンバーから戸高参考人、宮崎参考人に御出席いただいております。

 続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。なお、組織再編により、621日から審査管理課が医薬品審査管理課に変更になっております。まず医薬・生活衛生局長の武田です。急用で欠席となりましたが、医政局研究開発振興課長の森光が新たに就任しております。カメラ撮りの方はここまででお願いいたします。以降の議事進行は堀田座長にお願いいたします。

 

○堀田座長

 本日は大変お忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。今年度、第2回の検討会議になりますけれども、通算で28回ということで、随分検討を重ねてまいりました。本日も重要な議題がありますので、皆さんの御協力で進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。事務局から、本日の配布資料の確認をお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 配布資料の確認をさせていただきます。席上に座席表、議事次第、その裏が配布資料一覧です。この配布資料一覧に従って確認していただければと思います。

 まず資料1として一枚紙ですが、「検討会議における検討の進め方」です。資料2-1として「第II回要望に係る専門作業班の検討状況の概要等について」、資料2-2として「第III回要望に係る専門作業班の検討状況の概要等について」、資料2-3として「第IV回要望に係る専門作業班の検討状況の概要等について」、資料2-4として一枚紙の横表ですが、「第IV回要望の未承認薬・適応外薬の開発要望について」というものです。資料3-1及び資料3-2は、「医療上の必要性に関する専門作業班の評価」というものが2つあります。資料4-1として一枚紙ですが、「企業から提出された開発工程表について」、横表の冊子ですが、資料4-2が「第I回要望関連」、資料4-3が「第II回要望関連」、資料4-4が「第III回要望関連」です。資料5として一枚紙で、「開発企業の募集を行った医薬品のリスト」です。資料6として「薬剤耐性感染症未承認薬迅速実用化スキーム(案)について」という一枚紙です。参考資料についてはひとまとめにお配りしております。参考資料1から参考資料6までです。なお参考資料6は、各構成員の先生方が執行部に所属されている学会についてお示しさせていただいております。前回会議の資料を、本日現在に更新した内容となっております。本検討会議の公平性の観点から、当面は構成員のうち、当該学会の執行部、具体的には理事会のメンバー以上の場合を想定しておりますが、そこに在籍されている方については、当該要望に係る背景事情等の説明は行うものの、議決には参加しないとすることとなっております。本資料の内容に誤り等がありましたら、この時点でお知らせいただければと思います。本日の審議については、こちらの内容に基づいて進めさせていただければと思います。

 新先生が只今お着きになりました。本会議から新しく構成員として御参加いただくことになりました、鶴巻温泉病院副院長の新構成員です。

 配布資料の確認は以上ですが、資料の不足等がありましたら事務局までお申し付けください。以上です。

 

○堀田座長

 前回の会議は518日でしたけれども、それ以降の検討の進捗について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料1を御覧ください。前回から更新した部分は、左下の要望品目数になります。第IV回の品目数を前回は16件と御報告しておりますが、本年1月から6月末までの要望件数15件を追加し、合計31件に更新しております。なお、第I回から第III回要望の品目数は前回御報告させていただいた件数から変更はありません。

 また、資料の右下にある開発要請の件数については、本年7月末までに新たに開発要請した品目がありますので更新しております。企業に開発要請したもののうち、第III回要望は、前回は31件と御報告しておりますが、5件追加して合計36件に更新しております。開発企業を募集したものについては、第III回要望について1件追加し、合計4件に更新しております。詳細については資料2-1から資料2-4で御報告いたします。裏面についても、同様の箇所について件数の更新を行っております。以上です。

 

○堀田座長

 只今の事務局の説明について御意見、御質問はありますか。よろしいようでしたら、第II回、第III回、第IV回の未承認薬・適応外薬の開発要望について、事務局から説明をお願いいたします。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 資料2-1を御覧ください。第II回要望については、前回会議までに1ページ目の上段の表の右上の合計欄になりますが、未承認薬26件、適応外薬78件、合計104件について、医療上の必要性が高いとの評価をいただいております。前回会議時点で検討中であった品目は3件ありましたが、これらについては本会議までに進捗はなく、引き続き検討中という状況です。詳細については3ページ目の別添1に示した3品目です。現在、学会内で確認を行っていたり、WGで実態を調査中というものです。

2ページ目を御覧ください。こちらは開発要請又は開発企業を募集した品目の状況を示ししております。前回時点で、開発要請をしていた86件のうち、前回会議時点で検討中だったものが、資料の中程になりますが、9件ありました。こちらについては、本会議までに進捗はなく、引き続き検討中という状況です。詳細については4ページ目の別添2に示した9品目です。現在の状況については、表の右から2列目の検討状況等に示したとおりです。なお、前回会議からの変更箇所は灰色で示した部分になります。

 資料2-2を御覧ください。第III回要望については、前回会議までに1ページ目の上段の表の右上の合計覧になりますが、未承認薬13件、適応外薬27件、合計40件について医療上の必要性が高いとの評価をいただいております。前回会議時点で検討中であった34件のうち、下段の表の抗菌・抗炎症WGにおいて1件が医療上の必要性が高いと評価されております。また、循環器WGにおいて3件が医療上の必要が高くないと評価されております。具体的な品目の概要は、資料3-1から資料3-2で後ほど御説明いたします。

 引き続き検討中のものは30品目あり、詳細については3ページ目の別添1に一覧としてまとめております。現在の状況については、表の検討状況等に示しておりますが、前回から変更はありません。

2ページ目を御覧ください。こちらは開発要請又は開発企業を募集した品目の状況を示しております。資料下段の「4.前回検討会議から本会議までの開発要請と公知申請の妥当性の確認に係る進捗状況について」の1ポツ目、前回会議で医療上の必要性が高いと評価された6品目のうち、5品目について620日に開発要請を行い、1品目について開発企業の公募を行っております。前回会議時点で検討中のものが、資料の中程になりますが、19件あります。今回開発要請を行った6品目と、前回検討中であった19品目を合わせた合計25品目のうち、1件は治験計画届が提出されたため、「既に開発に着手しているもの」に分類しております。

 引き続き検討中のものは、公募中の1品目を除き23品目あります。詳細については9ページ目の別添2に一覧として取りまとめております。現在の状況については、表の検討状況等に示しております。そこで灰色で示した部分が前回会議からの変更箇所となっております。

 続いて資料2-3を御覧ください。資料2-3は平成2771日から1231日までの第IV回要望について、進捗状況を取りまとめたものです。前回時点で検討中であった12件のうち、下段の表の代謝・その他WGにおいて既に承認申請済みということで、1件が検討対象外とされております。引き続き検討中のものは11品目あり、詳細については2ページ目の別添1に一覧としてまとめております。現在の状況については、表の検討状況等に示しております。

 資料2-4を御覧ください。資料2-4は平成2811日から630日までの第IV回要望をとりまとめたものです。この期間中は未承認薬4件、適応外薬9件、未承認薬迅速実用化スキーム対象品目2件の合計15品目の要望がありました。このうちNo.3のレボドバ/カルビドバは企業から承認申請されていたことが確認されたため取下げ、またNo.6のダントロレンナトリウムの小児用量の要望は、No.5の成人の要望で同時に対応することといたしましたので取り下げとなっております。今後は取り下げとなった2件を除く13件の検討を進めさせていただきます。以上です。

 

○堀田座長

 只今の説明に御意見、御質問がありましたらお願いいたします。第II回、第III回、第IV回が並行して動いているものですから、その辺がちょっと把握しづらい点かもしれません。

 

○藤原構成員

 第III回要望、資料2-2について2点お伺いします。私は、抗がん剤領域の専門なので、前回5月以降のいろいろな論文や学会の変化を見て、抗がん剤絡みで2つ気付いたところがあります。本日でなくてもいいので、事務局で検討状況を教えていただきたいのです。

1つ目は9ページ目です。代謝・その他WGNo.1のオランザピン、抗悪性腫瘍剤に伴う消化器症状(悪心嘔吐)についてです。これは、統合失調症に使う薬ですけれども、一般臨床では抗がん剤の非常にひどい吐気の場合に、既存の薬にadd-onしてよく使われています。日本イーライリリーが開発していると言いますけれども、実際はジェネリック医薬品もたくさん出ています。それで開発要望に対して、企業見解は公知申請を希望するとなっていて、WGで検討中となっています。

 この2ヵ月くらいの間に、714日の『The New England Journal of Medicine』に、プラセボとオランザピン10mgのランダム化比較試験の結果が出て、はっきりとした効果が示されております。また、6月に開催された米国臨床腫瘍学会でも、私どもがんセンターから、ポスターではありますけれども、オランザピン5mg10mgをランダムに比較して、5mg10mgも両方とも効くけれども、10mgの方が眠気は少し多いというデータも発表されました。アメリカのNCCのガイドラインでは、既にオランザピンを吐気予防に使うと書かれています。

 国内臨床試験成績もありますし、海外の有名なジャーナル、それからガイドラインにも出ているので、公知の基準に既に該当していると思いますから、WGは検討中ではなくて、公知承認を早く推奨した方が私はいいと思います。

 もう1つは11ページ目です。抗がんWGのブスルファン、造血幹細胞移植についてです。大塚製薬から公知申請を希望すると記載されていて、検討状況が細かく記載されています。検討状況を見ると、平成18年にブスルファンが承認された時の審査報告書の中で、国内事例は小児も成人もないのだが、14回投与を11回投与にしてほしいというのが、この要望の主な趣旨です。平成18年当時の臨床試験成績がないということをもって、もう一回臨床試験をやった方がいいのではないかという検討結果が出ています。

 これも今年の6月、7月あたりに、COIの関係で注意が必要だとは思いますが、大塚製薬の方がAuthorに入っている論文があるのですけれども、「Bone Marrow Transplantation」や「Biology of Blood and Marrow Transplantation」、いずれもインパクトファクター4くらいの雑誌ですけれども、これにブスルファンの11回投与が米国ではもう標準になっていますということがはっきりとわかるような多施設共同試験の結果あるいは総説が出ています。用法・用量の検討は非常に難しいですし、造血幹細胞移植領域での臨床試験実施は非常に難しく、成人も小児のいずれもその臨床試験を新たにやるというのは結構大変です。

 日本でも東京医科歯科大学から、症例報告がPKのデータとともに今年の6月に出ており、国内での使用成績もありますので、WGの状況判断はアップデートしていただいて、この6月、7月の状況でもう一度考え直した方がいいのではないかと思います。以上2点です。

 

○堀田座長

 新しいエビデンスがどんどん世界で発表されているので、それをアップデートしてほしいというお話です。事務局あるいはWGの方で何か御発言はありますか。

 

○医薬・生活衛生局審査管理課

 藤原構成員どうもありがとうございます。特に今回は関係するWGの先生は御出席されていませんので、今御提示いただいた論文等の状況については、またWGの方に御報告させていただいて、検討を進めたいと思います。

 

○堀田座長

 適切に対応していただきますよう、よろしくお願いします。その他に御意見はよろしいですか。ないようでしたら、続いて要望品目に係る医療上の必要性に関する検討状況について説明をお願いします。循環器WGから、戸高先生に御報告をお願いいたします。

 

○戸高参考人

 循環器WGの戸高から御報告いたします。資料3-1を御覧ください。最初の品目はトピラマートです。これは、日本神経学会より、片頭痛発作の発症抑制の適応に関する要望書が提出されております。御存じのように片頭痛は身体面・心理的・社会的側面において幅広く機能障害を生じさせうる慢性的な疾患であり、発作時はもちろんのこと、非発作時においても、発作への不安等により生活に支障を来すことから、適応疾病の重篤性は「ウ」、その他日常生活に著しい影響を及ぼすに該当すると判断いたしました。

 一方有用性については、本要望についてアメリカを含む海外6ヵ国で承認されており、海外ガイドラインでも片頭痛発作の予防に使用する薬剤として高い推奨度で推奨されております。また、本邦の診療ガイドラインにおいても、海外の成績を根拠として片頭痛発作の予防に使用する薬剤の1つとして推奨されているものの、以前に国内で実施された企業治験、プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験において、本要望効能・効果に対する本薬の有効性が示されなかったという事実があります。海外では標準的治療に位置付けられるものの、本邦の医療環境下では、海外と同様の有用性を期待できるとまでは言えないと考えております。

 また、本邦においては複数の薬剤が既に片頭痛発作の予防に対して承認されております。以上より、医療上の有用性は「ア」から「ウ」のいずれにも該当しないと判断いたしました。

 

○堀田座長

 ありがとうございました。ただいまのWGからの報告について、御意見があれば承ります。

 

○小国構成員

 確かにプラセボ対照無作為化二重盲検比較試験で日本では有意差が出ませんでした。また複数の薬剤が既に片頭痛発作の予防内服治療薬として承認されているのも事実なのですが、例えばその中のバルプロ酸に関しては、催奇形成の問題から妊娠可能女性については投与を避ける必要性がありますし、また食欲亢進、肥満の副作用の問題、プロプラノロールに関しては、喘息患者や及びうつ病やうつ状態には使用できない。カルシウムブロッカーに関してもやはりうつ病やうつ状態には慎重投与となっています。アミトリプチリンに関してもかなり副作用があるのも事実です。既存の片頭痛の予防薬は承認されているものの、それぞれ使いづらい側面もあるということは是非御承知おきいただければと思います。

 

○戸高参考人

 先生御指摘の点は、WGでも随分議論になりました。確かにおっしゃるとおりで、本薬の役割というのは、海外のガイドラインで推奨されるぐらいですからもちろんあるとは思うのです。やはり、以前の企業治験では、その時の条件でということにはなりますが、それで有効性が示されなかったというものを、どうやってこの会議で乗り越えるかということが非常に議論になりました。もちろんこの会議でも、そういう前例があるのは存じているのですが、本薬に関しては、その周りの公知のエビデンスの強さとか、疾患の生命予後に対する影響ということを考えると、それを乗り越えてまで推奨するには至らないのではないかというのが我々の結論です。

 

○小国構成員

 分かりました。

 

○堀田座長

 小国先生は、小児神経学会であって、要望団体である日本神経学会には直接関係していないのですか。

 

○小国構成員

 関係はしていません。小児神経学会です。

 

○堀田座長

 はい、分かりました。その他の御意見、御質問はよろしいですか。特になければ、この報告を了とさせていただきます。続いて、残りの2品目目をお願いします。

 

○戸高参考人

2番目は、2ページ目のメトプロロールです。これも同じく片頭痛発作の発症抑制の適応に関する要望です。疾患については先ほど述べたとおりです。医療上の有用性について、本要望についてはイギリス、ドイツ、フランス及びオーストラリアで承認されており、海外ガイドラインで片頭痛発作の予防に使用する薬剤として、高い推奨度で推奨されております。

 本邦の診療ガイドラインにおいても、予防に使用する薬剤の1つとして推奨されておりますが、その推奨用量は、海外での承認用法・用量やガイドラインでの推奨用量と異なっており、日本人で推奨される用法・用量の設定根拠が提示されておりません。また、国内臨床試験成績等の報告も提示されておらず、本邦での使用実態が確認できません。

 以上を踏まえると、海外では標準的治療に位置付けられるものの、本邦の医療環境下において、要望用法・用量での本薬の使用が、海外と同様の有用性を期待できるとまでは言えないと考えております。また本邦においては先ほどと同じになりますが、複数の薬剤が片頭痛発作の予防に対して既に承認されております。以上より、大変申し訳ございませんが、医療上の有用性は「ア」から「ウ」のいずれにも該当しないと判断いたしました。

 

○堀田座長

 只今の報告に何か御発言、御意見がありましたらお願いいたします。小国先生よろしいですか。

 

○小国構成員

 これもβ1ブロッカーです。プロプラノロールと非常に似ています。米国では確かこの薬剤は承認されていないと存じます。ただ、ヨーロッパでは承認されています。非常に似たような副作用がありますので、これはプロプラノロールがあればいいのではないかというような気がいたします。

 

○堀田座長

 岩田構成員お願いします。

 

○岩田構成員

 これは投与量が違って、日本では投与量が決まっているのですか。承認された用法・用量があるのですか。そうではなくて、ガイドラインの中で推奨されているのが少ないということなのですか。

 

○戸高参考人

 一般的にβブロッカーというのは用法・用量に内外差、民族差があることが知られている薬剤ですので、それがそのまま引き継がれているのではないかと思いますが、この要望に関しての用法・用量の根拠が示されていません。

 

○堀田座長

 それでは、この品目についても、WGの報告のとおり有用性の基準に該当しないということでよろしいでしょうか。特に御異議がなければ、3品目目をお願いします。

 

○戸高参考人

3ページ目を御覧ください。ドネペジル塩酸塩についての、日本老年精神医学会よりの要望書です。要望の内容がやや分かりにくいのですが、1日量として10mgへの増量を、軽度及び中等度アルツハイマー型認知症でも可能とする用法・用量への変更です。もちろんドネペジル塩酸塩ですので適応は持っているのですが、その用量の増量の要望です。アルツハイマー型認知症については、進行性の神経変成疾患であり、日常生活に支障を来すことから「イ」、病気の進行が不可逆的で、日常生活に著しい影響を及ぼす疾患に該当すると判断いたしました。

 有用性については、アメリカを含む海外6ヵ国において要望の用法・用量、10mgまでの増量について承認されているものの、本邦では既に本薬を含め、複数の製剤が軽度及び中等度アルツハイマーに対して承認されております。また、提出された資料からは、欧米の臨床試験において、他の薬剤と比べて軽度及び中等度アルツハイマー患者に対する、本薬の用法・用量の有効性及び安全性等が明らかに優れているとまでは判断できません。

 また、本要望で提出された公表文献から、日本人の軽度及び中等度アルツハイマー患者における、本薬の10mg投与の有効性及び安全性が明らかにされているとは言えず、国内のガイドラインにおいても、軽度及び中等度アルツハイマー型認知症に対して、要望の用法・用量での投与を推奨する記載はありません。

 さらに海外での開始用量は、115mgであるのに対し、本邦での開始用量は3mgとなります。日本人の軽度及び中等度アルツハイマー患者を対象とした使用成績調査における維持用量は、ほとんどの患者で5mg又はそれよりも少量の3mgであり、10mgが広く用いられているという情報は得られておりません。

 したがって、本要望用法・用量は、海外では標準的治療に位置付けられているものの、本邦の医療環境下で、海外と同様の有用性を期待できるとまでは言えないと考えております。以上より、「ア」から「ウ」のいずれにも該当しないと判断いたしました。

 

○堀田座長

 只今の報告に対して御意見、御質問がありましたらお願いいたします。確認ですけれども、海外では10mgまで承認は得られているのですか。

 

○戸高参考人

 そうです。軽度・中等度に関してですけれども、増量について承認が得られています。

 

○堀田座長

 しかし、国内での実績は、10mgまではほとんどないので、現状そこまで拡大する必要はないのではないかという報告だと思いますが、いかがでしょうか。特に御意見がないようでしたら、これについてもWGの報告を承認ということにいたします。それでは、続いて抗菌・抗炎症WGから、宮崎先生に御報告をお願いいたします。

 

○宮崎参考人

 それでは抗菌・抗炎症WGから報告させていただきます。資料3-2です。本日2品目ありますが、本日の要望というのが、この2つの薬の併用に関するものですのでまとめて報告させていただきます。

 要望内容はジェノタイプ3C型慢性肝炎又はC型の代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善です。まず、適応疾患の重篤性についての該当性について御報告いたします。C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎の大部分は、適切な治療を行わないまま放置しますと、肝線維化が進行して、肝硬変へと進展いたします。また、肝硬変は肝不全の原因となるほか、肝細胞がんを発症するリスクが高く、C型の肝炎ウイルス感染に関連した肝細胞がんによる患者死亡数は国内では年間約2万人と推定されているようです。

 また、我が国においてはジェノタイプ3C型肝炎ウイルスの感染者には、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)との重複感染の患者さんが多く含まれていることが知られています。これら重複感染されている患者さんでは、C型肝炎ウイルス単独感染者に比べて、肝の線維化の進行が早いことが知られており、要望された適応疾病は、「ア」の生命に重大な影響がある疾患(致死的な疾患)に該当するとWGでは判断いたしました。

 次に医療上の有用性についてです。ジェノタイプ3C型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変に対しては、既存療法としてはペグインターフェロン及びリバビリンの併用療法が現在行われております。この療法を行った場合のC型肝炎ウイルスRNA持続陰性化率は約70%とされておりますが、この療法を実施する時にインターフェロンによる様々な副作用等のために、この併用療法ではドロップアウトする症例が比較的多く観察され、治療を完遂できないことも問題点として指摘されております。

 今回要望されたソホスブビル及びリバビリンの併用療法レジメンでは、海外の臨床成績を見ますと、インターフェロン不応の患者さん、インターフェロンで治療できない、あるいは無効であった患者さんであっても、80%以上のC型肝炎ウイルスRNA持続陰性化率が確認されたと報告されております。

 また、安全性に関しても、要望のレジメンはペグインターフェロン及びリバビリンの現存の療法、レジメンと比較しても良好でありました。したがって、要望されたソホスブビル及びリバビリン併用のレジメンは、現在の治療と比べて明らかに優れていると考えられたことから、WGとしては「イ」の欧米等の臨床試験において有効性・安全性等が既存の療法と比べて明らかに優れているに該当すると判断いたしました。抗菌・抗炎症WGからは以上です。

 

○堀田座長

 これについてはリバビリンとの併用でということですね。

 

○宮崎参考人

 併用でということですね。

 

○堀田座長

 両方ともが未承認の場合に、こういう併用療法で限定して提案する際は、要望は11つになるのか、これは併用ということを限定して評価するのか、そのあたりはどういう取扱いになりますか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 事務局からお答えいたします。こういった場合、要望の内容としては1つですが、形式的にはそれぞれの成分になりますので、カウントは2成分としてカウントをしております。ただ、実際上、こちらでの御検討、あるいは薬事申請も同時に行われることになるかと思います。

 

○堀田座長

 ということで成分が違うので、一応、品目は別ということで、併用療法としての評価もするということでよろしいですか。その他、御意見はありますか。これについては、必要性の基準に該当するということで報告を受けていますが、皆さんは特に御異議はありませんか。

( 異議なし)

 

○堀田座長

 ありがとうございます。これは承認ということにします。続きまして、企業から提出されている開発工程表等について、事務局から説明をお願いします。

 

○医政局研究開発振興課治験推進室長

 研究開発振興課から御報告させていただきます。資料4-1から順に御説明いたします。資料4-1については、企業から提出された開発工程表に関する総括表ですが、変更点は上から2行目の1箇所だけです。2行目に「第III回要望が30件」と記載されています。前回は32件と記載しておりましたが、要望の取り下げがありましたので、2件減じられて30件という形で御報告させていただきます。具体的な品目については、資料4-2以降で御報告させていただきます。

 資料4-2は第1回要望で、この検討会議では医療上の必要性、公知の該当性は全て判断を終了いただきまして、あとは企業における開発を残すのみという形の品目ばかりです。基本的にはこの表の1ページ目の変更はありません。集計上の問題ですが、進行はしているのですが、630日現在で集計値をカットして集計し、今回御報告しております。承認のタイミングが合わないと、次の回は多いが、今回は少ないといったことはあります。資料については体裁を整えておりまして、5ページを御覧ください。体裁の御紹介ですが、承認された品目が、いわゆる公知で申請され、そして承認を取られたものとの判別を知りたいという御要請を、前回委員からいただきましたので、それが分かるように一番右のカラムに公知申請の欄を用意しております。

6ページから○が付いております。この品目については、こちらの検討会議で公知申請が妥当であろうという評価をいただいて、公知申請に及んで承認取得に至ったものになります。資料自身の変更はありませんが、体裁についてこのような情報を織り込んでおります。

1点だけ記載の変更です。26ページを御覧ください。2行目の「328a」というグレーの網掛けをしている所があります。こちらについては、企業における吸収合併、企業承継というのがあり、開発中のセクションにおきまして、グラクソ・スミスクラインから承継を受けたノバルティス・ファーマがこちらを担当されるという形になっておりますので、最初の承認自身はグラクソ・スミスクラインが取得しているのですが、要望があった開発効能の部分については、ノバルティス・ファーマが引き続き担当していただくことになっておりますので、資料のアップデートをさせていただいております。

 承認取得後に、承認の帰属情報の全てを追跡していくのは非常に大変なので、企業活動を全部網羅できませんが、開発中の品目についてはこのような形でフォローアップをさせていただければと思います。資料4-2は以上です。

 資料4-3について御覧いただきたいと思います。資料4-3は第II回要望の総括表です。品目の進展については、一番右のカラムを御覧いただきまして、74品目の承認となっております。前回73品目と御報告しましたが、1品目増えております。その下の承認申請済みが前回6品目と御報告しておりますが、1品目減りまして5品目という状況です。94品目中74品目が承認に至ったということです。

 具体的な品目で申しますと、12ページを御覧ください。上から3段目の品目、II-231、中外製薬のミコフェノール酸モフェチルのループス腎炎になります。こちらについて、今年の5月に公知申請で承認を取得されております。

16ページ、こちらは状態が変更したわけではないのですが、上から3つ目の品目のII-200CSLベーリングのプロトロンビン複合体です。前回、販売名をベリプレックスという形で御報告させていただいておりましたが、販売名が変更ということで、今回ここに記載しておりますとおり、コンフィデックス静注用ということになっております。資料4-3は以上です。

 資料4-4については、第III回要望の総括表です。1ページ目は非常に煩雑な表で恐縮ですが、第III回要望から随時募集という形で、期間を決めずに五月雨的に募集を受け付けており、御審議を頂いたものも五月雨的に要請をかけているものですから、非常に表が煩雑になっております。次回以降は、年度毎に纏めて掲載したいと考えております。

 なお、620日付けで、開発要請を行ったのですが、第7回要請分の所は「-」になっております。これは開発工程表を提出していただくのに1ヵ月程度かかるものですから、本日の資料には間に合わないということで、数字が入れられなかったということを御容赦いただきたいと思います。

 そのような状況ですので、事実上、今回は第6回要請分までの品目のアップデートということで御報告いたします。一番右のカラムの3つ目です。治験計画届出済みというのが前回2件でしたが、2件増えて4件治験計画届が提出されております。その下の公知申請予定の品目は、前回16件から2件減って14件。治験計画届出提出予定の品目は、前回5件から1件減って4件となっております。その他品目が前回3件から1件減って2件ということで、合計30件です。取り下げが2件増えて4件という形になっております。

 具体的な品目を順次御紹介していきます。7ページを御覧ください。III-1-69のポリエチレングリコールについて企業名を変更しております。こちらは前回、社名は味の素製薬で御報告させていただきましたが、社名が変更となっております。III-1-18III-1-192品目については、前回治験届出提出予定という形でしたが、治験届が提出され、治験が実施されているところです。

9ページに品目が並んでおります。こちらは企業からは公知申請でいきたいという話をいただいていたのですが、WGの方で臨床試験の実施が必要という判定をいただいたものについては、治験の計画を立てていただくということになりますので、一番上の品目のIII-1-41、大塚製薬のトルパプタンについては、治験計画届の提出を今年の8月の予定で進めていただいております。

 次の品目のIII-1-76.1III-1-76.2、全薬工業のリツキサン注についても公知予定でいただいたものが今年の8月の予定ということで、PMDAと対面助言を進めていることになります。一番下のIII-2-10、セルジーンのレナリドミドのカプセルですが、こちらも前回は公知申請予定でした。具体的な月日はまだ決まっておりませんが、こちらに記載させていただいております。

15ページの1番目の品目のIII-1-12については、前回治験届提出予定となっておりましたが、こちらに移動しております。普通は公知申請が妥当ということで企業から申請をいただいた場合には、WGで公知申請の御判定をいただいてから移るのですが、こちらについては、企業の自主的判断で治験を考えるという話でしたので、こちらの欄に移動しております。

 最後のページですが、2つほどグレーにしているものがあります。III -1-3III -1-4です。こちらは前回の資料6で御審議いただいたもので、要望者からの開発要望が取り下げられた品目ですので、こちらに記載させていただいております。資料4-4は以上です。

 資料5は開発公募の品目です。こちらは公募品目ですので、要請というよりは、むしろ手挙げでやっていただいているものです。表面が第I回要望で企業が決まっていなかったもののリストです。13番目のプロゲステロンについては、富士製薬工業が前回治験準備中という形で御報告させていただきましたが、治験実施に入ったということで、「治験実施中」とさせていただいております。

 裏面は第II回要望、第III回要望のリストになります。第II回要望の6番目です。カルグルミック酸については、企業の名前が前回は共同開発企業名未公表だったのですが、単独開発ということですので、記載を整備させていただいております。14番、15番については、前回いずれも未公表だったのですが、公表してよいということですので、企業名と進捗状況を記載させていただいております。第III回要望については、前回御審議いただいたものについて公募をかけておりますので、最後の欄に1行、イベルメクチンが公募品目に追加されたという点が、前回からの進捗ということになります。報告は以上です。

 

○堀田座長

 大変たくさんの資料を掻い摘まんでお話いただいたのですが、何か御質問ございますか。よろしいですか。粛々と進めていただいておりますが、なかなか開発企業があらわれないものとか結構残ってきていますが、そういうものに対して今後どのような対応をするのかということは、また引き続き検討していただきたいと思います。よろしいですか。

 続いて資料6です。新しい枠組みのお話で、薬剤耐性感染症(ARI)と申しますが、こういうものに対するスキームを作るという提案です。よろしくお願いします。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

 資料6ですが、先生方はカラーの資料です。傍聴者の方の資料は白黒です。資料6の薬剤耐性感染症(ARI)未承認薬迅速実用化スキームについて説明いたします。上段の四角囲みの所です。本年45日に策定された薬剤耐性(ARI)対策アクションプランにおいて、ARI治療薬の優先審査制度やARI治療薬に特化した薬事戦略相談の創設等が提言されております。

 これを踏まえて、今般、ARI治療薬に限り従来より実施している未承認薬迅速実用化スキームの要件を拡大して、ARI治療薬の実用化を加速するという案を検討しております。現在、未承認薬迅速実用化スキームの対象となる薬剤ですが、欧米で既承認薬の薬剤に加えて、真ん中の青い四角組みの所ですが、(1)~(3)のいずれかの要件を満たす場合は、欧米未承認薬も対象としているところです。

 今回、ARI未承認薬迅速実用化スキームにおいては、これらに加えて一定の要件を満たす場合は、開発初期の段階から欧米未承認薬についても対象とするよう、その対象を拡大することを考えております。具体的な要件については、別途検討しているARI治療薬臨床評価ガイドラインとあわせて、今後検討を行う予定としております。

 受け付けた要望については、現行のスキームと同様に「未承認薬・適応外薬検討会議」において医療上の必要性の評価が行われ、その後、企業に対する開発要請や開発企業の公募が行われることとなります。開発を行う企業に対するインセンティブについては、このページの下の段に示しております。赤い四角組みで示しておりますが、1点目として、ARI薬事戦略相談として、原則、月1回の薬事戦略相談を随時受け付けるような形を考えております。2つ目として、優先審査品目に指定して通常12ヵ月の総審査期間の目標を9ヵ月に短縮することとしております。

 その下には開発から製造販売開始までの流れのイメージを示しております。初期の第I相試験が終わったぐらいに日本感染症学会や化学療法学会等の関連学会から開発要望をいただき、未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性を確認していただいた上で、国から企業に対して開発要請又は公募を行います。そこからは、開発企業にARI版薬事戦略相談を活用していただいたり、要件に合致するものについては希少疾病用医薬品としてオーファン指定を行い、また、承認審査については優先審査として9ヵ月を目標に行い、ARI治療薬の早期開発、早期実用化を目指すこととしております。

 なお、裏面については現行の未承認迅速実用化スキームの検討の流れについて示した資料ですので、御参考として御覧いただければと思います。説明は以上です。

 

○堀田座長

 新しい枠組みのスキームが提案されましたが、世界でも未承認の薬を国内でもそれにあわせてというか、遅れないように開発に取り組むというスキームを作ったらどうかという提案です。御意見をいただけますでしょうか。このARI治療薬の臨床評価ガイドラインは、もう既にあるのですか。これからですか。その辺はどうなっていますか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

 現在、別途検討しているところで、近々まず骨格を完成させようということを考えております。

 

○堀田座長

 基本的にはそれを参考にというか、ここでもその枠に従って評価するということになるわけですね。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

 はい。枠組みについては、日本を中心にして欧米各国と歩調を合わせて作ろうと考えております。まずガイドラインの骨格を作り、その後、肉付けをしていくという作業になりますので、完成を待つのか、あるいは骨格を見た上で要件を並行して検討するのか、今後検討していきたいと考えております。

 

○岩田構成員

 とてもすばらしいスキームを考えていただいて、大変ありがたいと思います。お聞きしたいのですが、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を通す場合と、例えば、企業が独自に海外で未承認のものをもってきてそれを開発しようとする場合とがあると思うのですが、結果的にいずれも臨床試験をやらないと駄目なのですか。この検討会議を通す場合と直接企業が持ち込んだ場合とで、何か違いは出てくるのですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 国内での開発の過程、また承認申請に必要な資料については、いずれも大きな違いはないとお考えいただければと思います。ただ、国内での試験成績については、耐性菌の感染症になると症例を集めにくいということもありますので、先生が関与されている日本感染症学会や化学療法学会に御協力をお願いして今検討を進めているガイドラインを参考にしつつ、それぞれの耐性菌や感染症の種類に応じて考えていくことになると思います。

 この未承認薬等検討会議のスキームを通すものと通さないものがどのように違うかということについてですが、1つはこのスキームを通すことによって日本国内の開発を要請、あるいは公募を行うことになりますので、欧米で開発が進んでいても国内で受ける企業がないという場合には、この会議のスキームを使えば公募等によって国内で開発いただく企業を探すことができるということだと思います。

 

○堀田座長

 よろしいでしょうか。その前にこの1ページの下段にあるインセンティブという所ですが、この検討会議を通したものにだけにインセンティブを与えるのですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 優先審査等に該当するかどうかということについては一定の要件を決めますので、その一定の要件に合致するものは、この検討会議のスキームを通すもの、あるいは通さなくてもこれは同じ取扱いになろうかと思います。

 

○堀田座長

 他に御質問や御意見はございますか。

 

○落合構成員

 少し教えていただきたいのですが、オーファン指定のことがここに記載されているのですが、従来からオーファンドラッグの指定はあると思うので、ここでは開発企業の希望に応じてとありますが、オーファンの指定は企業の希望がないとできないものなのですか。

 

○堀田座長

 事務局、どうですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 オーファンの指定については、制度上、開発費用の公的な助成等もありますので、開発を行う企業が申請を行うことがまず第1になっています。オーファン指定をしなくても、最終的に承認申請のときにARI感染症の治療薬ということで条件を満たすようであれば優先審査の適応は別途検討できることになりますが、あくまでもオーファンの指定は医薬品医療機器法に基づいた審議会での御意見を伺った上での指定になり、指定を受けるといろいろなインセンティブが付きますので、それは、やはり開発企業がそういうインセンティブを受けることを希望するのかどうかということになります。

 

○堀田座長

 落合先生、よろしいですか。

 

○落合構成員

 はい。

 

○堀田座長

 その他に御意見、御質問はいかがですか。特にないですか。新しい一歩を踏み込んだ対応ということになると思いますので、それは時代に合ったものだと思います。よろしいですか。これはここで決めることではないのですが、こういう形の提案があって今後こういうものに沿って施策が打たれていくということです。よろしいですか。

 

○友池構成員

 このプランは平成2845日のアクションプランに基づいて立案されているスキームだと思います。これは日本だけではなくて、欧米でも同じことが実際進行中なのですか。我が国独自の仕掛けではないと思うのですが。

 

○堀田座長

 海外の動きはいかがですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 薬剤耐性菌の感染症の対策はもちろん世界中で行われており、特にサミットの場等で議論されてきました。ARIAMRに対する対策のアクションプランのようなものは、それぞれの国で独自のものが作られていると承知しております。

 

○堀田座長

 その他はいかがでしょうか。

 

○大臣官房審議官

 今のお話のとおりなのですが、AMRに対するアクションプランを作りましょうということはWHOが勧告を出していて、その勧告に従って各国が作成を進めてきております。実は日本は現場の対応がすごく行われていて、そのために逆にこのプランを作るのが後になってしまったということがあります。世界的に見るとどちらかというと日本はアクションプランを作ったのが遅い方だったのですが、日本でサミットを開くということもあり日本でもきちんと作ろうということで、塩崎大臣がリードしてアクションプランを作ったということです。

 ただ、ここで言っているのは、どちらかというとアクションプランの主たる骨格は、無駄な抗菌薬の使用を減らすことによって耐性化を抑制しようという考え方が基本になっていて、それとともに耐性菌に対するイノベーティブなものの開発も後押ししようという話しを受けての部分となります。

 実際にはこのように散発的にしか出てこない薬剤耐性菌については、ある程度まとまった数を集めて、例えば、二重盲検比較試験のような試験を行うことが極めて困難ですので、世界各国の規制当局が、ARIに対する新薬を開発するための臨床評価の方法論について非常に頭を悩ませているという現状があります。このような状況の中で、いろいろな国からARIに対する新薬に対する開発のガイドライン、評価のガイドラインを作ろうという提案が出されている中で、日本がこの際ドラフトを作って皆さんで検討しましょうという話も今動いております。

 この秋ぐらいに最初の骨格的な議論をしましょうということを今行っている最中です。これはPMDAの専門の担当の人たちや感染症学会、化学療法学会の先生方とタイアップして今そのようなことを行っております。その過程でFDAEMAとの電話会議を行っていますが、やはりそれぞれの規制当局が審査の水準を落とすことなくやりたいという要望があり、一方で、現実的に症例が集まりにくいということも考えていると、既存の臨床試験をただ行うという形の方法論だけでは限界があるという話もしております。そのようなところで新しいアイディアが必要かという話になっており、それを受けて、ARIに対する新薬の開発を今後日本でも行ってもらえるのであれば、できるだけ応援しましょうということで考えたということです。

 

○堀田座長

 だいぶバックグラウンドも分かってきました。

 

○鈴木構成員

 時間もあるようなので、確認いたします。薬剤耐性アクションプランは、新たな抗菌薬を開発するということだけではなくて、もっと幅広いものですね。それについて我が国も協力するという包括的な内容になっているのですか。我が国は抗生物質の使用量は現状でも少なく、欧米よりも院内感染も少なくて良好な環境です。それは非常に誇るべきことだと思います。むしろ畜産や養殖で使っている抗生物質が多いとか、あるいは途上国では抗生物質が雑貨屋で売られていてそれが耐性菌を増やしているとか、そちら問題の方が大きいと思うのですが、それらに対する規制や協力も必要ではないかと思います。

 

○大臣官房審議官

 これは厚生労働省で言いますと結核感染症課が担当しており、そこがとりまとめをして45日に公表しております。これは厚生労働省のホームページにも掲載されておりますので、また後で御案内したいと思います。内容的には日本ではかなり対策が進んでいる、いわゆるインフェクションコントロールチームを現場できちんと設けてしっかり行うですとか、医療の中での抗菌薬の適正使用についてしっかり行うといったものです。適正使用についてはしっかり行っているという認識ではありますが、それでも使用量を更に減らしていくようにということを目標として掲げており、注射の抗菌薬は2割、経口のセフェム系やキノロン系といった汎用されている経口抗菌薬については半分に減らすというかなり大胆な目標を掲げております。全体平均で言いますと、33%減と3分の2に減らしますということを目標として掲げております。

 一方で、飼料として使う畜産関係の抗菌薬の使用もきちんとコントロールしようという話も掲げております。正しく鈴木先生がおっしゃったような全般的な取り組みが一番の骨格になっております。それに加えてARIに対する耐性菌に対する新規の開発も盛り込まれているという全体像になっております。

 これが世界中、各国連携して行わないと1国だけで行っていても、すぐに東南アジア等でできた耐性菌がアメリカに行ったりとか日本に入ってきたりとかということは、1990年代ぐらいから非常に大きな問題になっていて、主要な医学雑誌には耐性菌のアウトブレイクの話がたくさん文献になって出ており、世界的な関心事であるということでよく知られている話です。それに対し、はっきりとした対応をしようということでサミットで話し合いが行われ、形になってきたというものです。

 

○堀田座長

 よろしいでしょうか。折角の機会ですから、他に何か御発言はありますか。いずれにしても新興感染とか薬剤耐性菌対策は1国だけでやれるものではないので、世界的な流れの中で対応していく必要があるという御指摘だと思います。ありがとうございました。その他に何かありますか。今日は折角局長がお見えですので、最後に一言、御挨拶や抱負をお願いします。

 

○医薬・生活衛生局長

621日に医薬・生活衛生局長になった武田です。この未承認薬・適応外薬検討会議は非常に大きな役割を果たしてきております。今日、御審議いただきましたように、これまでの要望品目の積み重ね、少しずつ積んできておりますが、なかなか難しいステージに入っていることも事実だと思います。また、先生方のお力をお借りして臨床現場で必要とされている、また、患者から必要とされている薬が迅速に臨床現場に届くように引き続き御支援、御協力をお願いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

○堀田座長

 どうもありがとうございました。それでは、今日予定している議題はここまでですが、最後に事務局から何かありますか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

 お暑い中、ありがとうございました。次回の検討会議は1116()16時からを予定しております。御多用のところ恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

○堀田座長

 それでは、第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議を終了いたします。皆様どうも御苦労さまでした。ありがとうございます。


(了)
<照会先>

厚生労働省医政局研究開発振興課
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

03-5253-1111(内線 4165、4229)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議> 第28回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議(2016年8月3日)

ページの先頭へ戻る