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2016年5月31日 平成28年度第1回血液事業部会運営委員会議事録

医薬・生活衛生局血液対策課

○日時

平成28年5月31日(火)
18:00~20:00


○場所

厚生労働省19階 共用第8会議室


○出席者

委員:(6名)五十音、敬称略、◎委員長

大平 勝美 岡田 義昭 ◎田野崎 隆二 花井 十伍
室井 一男 山口 照英

日本赤十字社:

佐竹 正博 豊田 九朗 五十嵐 滋 平 力造

化学及血清療法研究所:

千北 一興
羽室 勉

事務局:

武井 貞冶(血液対策課長) 近藤 徹(血液対策課長補佐)
金子 健太郎(血液対策課需給専門官)

○議題

・議事要旨の確認
・感染症定期報告について
・血液製剤に関する報告事項について
・日本赤十字社からの報告事項について
・「血液製剤の使用指針」の一部改正について
・化学及血清療法研究所からの報告事項について
・その他

○議事

○近藤血液対策課課長補佐 それでは、定刻より少し早いのですけれども、委員の先生方皆さんお揃いいただきましたので、「平成28年度第1回血液事業部会運営委員会」を開催いたします。

 なお、本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におれかましては、御理解と御協力をお願いいたします。

 本日の出欠状況ですが、運営委員会委員6名全員の御出席をいただいております。

 本日は、日本赤十字社血液事業本部より、佐竹正博血液事業経営会議委員、豊田九朗参事監、五十嵐滋技術部次長、平力造技術部安全管理課長、以上4名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 以上、事務局からの報告とさせていただきます。

 カメラの頭撮りは、ここまででお願いいたします。

 それでは、以降の進行を田野崎委員長にお願いいたします。

○田野崎委員長 事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 本日、出席いただいた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況などを報告いたします。

 本日の検討事項に関して、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行いましたところ、議題4及び議題5に関して、岡田委員及び室井委員が関連企業より一定額の寄附金・契約金等の受取の申告がなされたため、議題4及び議題5の検討に当たっては、意見は述べることはできますが、議決には加わらないこととさせていただきます。

○田野崎委員長 ただいまの説明について、御意見・御質問ございませんでしょうか。特になければ、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了解いただいたものとさせていただきます。

 それでは、議題に入る前に事務局から資料の確認をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より資料の確認をさせていただきます。

 議事次第が1枚ありまして、次に座席表が2枚あります。その次に委員名簿、運営委員会規程があります。

 次に、議題1、議事要旨の確認に関して資料1が1枚。

 次に、議題2の感染症の定期報告に関して資料2-1が5枚ありまして、その次、資料2-2が一番分厚い文献報告の詳細版となりますけれども、264ページまでございます。その後に1枚、「感染症定期報告に関する今後の対応について」という紙があります。

 次に、議題3になりますが、血液製剤に関する報告事項について、資料3-1がページは振っていないのですけれども、5枚ございます。資料3-2は、血液製剤に関する医療機関からの感染症報告事例等について、A4の紙が2枚ありまして、その後にA3の紙が5枚ございます。その後にA4の紙が5枚続いております。

 次に、資料3-3になりますけれども、献血件数及びHIV抗体・核酸増幅検査陽性件数について3枚。

 次に、議題4になりますけれども、日本赤十字社からの報告について資料4-1が1枚。あと、机上配付限りの資料が1枚ついております。次に、資料4-2が1枚。

 次に、議題5「『血液製剤の使用指針』の一部改正について」という資料5が2枚。

 議題6、化学及血清療法研究所からの報告事項について、資料6が1枚。

 議題7、その他についてですけれども、資料7「トロンビンの供給停止について」が1枚。
  資料8「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」が1枚ございます。
 次に、参考資料1が7枚ございます。 

 参考資料2が2枚。

 参考資料3が77ページまでございます。

 参考資料4が4枚ございます。

 参考資料5が最後2枚になります。

 以上が、資料となります。

○田野崎委員長 引き続き、審議参加に関する確認事項の追加について、事務局より報告をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 引き続いて、事務局から審議参加に関する確認事項の追加について御説明いたします。

 参考資料1をごらんください。本件は、審議参加規程の運用改善を図るもので、平成28年3月25日の薬事分科会で了承され、4月から適用されていますので、御紹介いたします。

 薬事分科会審議規程については平成21年より運用しておりますが、独立した評価委員会で少なくとも年に1回、運用状況の評価等を行うこととしております。この評価委員会の検討結果を踏まえて、昨年度委員からの申告を事務局が製薬企業に確認する仕組みを試行的に導入することとし、平成27年4月より運用をしてまいりました。

 昨年4月から1月までの運用状況を見ますと、実際に申告の補正があったケースが医薬品第1部会、第2部会を中心として十数件ございましたので、一定程度の有用性があると考えられ、この仕組みを今年度より本格的に導入する運びとなりました。

 また、別添1にありますように、本格導入に当たり、試行的な段階では申告対象企業のうち申請企業のみに確認していたところ、対象を競合企業まで広げ、全ての申告対象企業に確認することといたしました。

 具体的な確認事項の追加内容は、別添2のとおりとなっております。

 また、手続の流れについては従前と変更ございませんが、手続の時間を確保できるよう別添3のとおり、委員への申告の依頼を1週間前倒しして、開催3週間前から確認することとしております。

 事務局として、審議の中立性・公平性等の確保に努めてまいりますので、委員におかれましても引き続き適切な申告等への御協力をお願いいたします。

○田野崎委員長 ありがとうございました。これについてはよろしいでしょうか。

 それでは、議題に入りたいと思います。議題1は議事要旨の確認です。これについて何か御意見ございますか。

 特になければ、これで議事要旨としたいと思います。

 議題2ですけれども、感染症の定期報告について、事務局から説明をお願いします。

○近藤血液対策課課長補佐 議題2に関して御説明させていただきます。

 まず、資料2-1「A 研究報告(概要一覧表)」という資料をごらんください。この資料は、平成28年2~4月までに報告された感染症定期報告のうち、文献の資料を概要としたものです。全部で今回は27件の文献が報告されており、その詳細は資料2-2にございますが、資料2-1の概要を用いて御説明いたします。資料が全部で27件と多いですので、途中15までと1627で説明を分けさせていただきます。

 まず、文献1~3はE型肝炎についての文献となります。

 文献1は、ドイツ、スウェーデンからの報告で、E型肝炎ウイルスのIgGアビディティーの値からE型肝炎に再感染したことが示唆される供血者が検出されたとの報告です。

 次に、文献2はデンマークからの報告ですが、移植後にALT上昇が見られた症例で、ALT上昇時の血液661検体を用いてHEVRNAを検査したところ、陽性となったのは1例のみであったことから、E型肝炎感染がALT上昇の原因となることはまれであるとの報告です。

 次に、文献3はオーストリアからの報告ですが、5万8,915名の献血者を対象にHEV RNAの検査を実施したところ、7名陽性で頻度は8,416分の1、全てジェノタイプ3でした。血清学的検査では全員IgG抗体、IgM抗体ともに陰性で、ALT、炎症反応(CRP)も正常でした。また、全員、生肉の喫食歴はなかったとの報告です。

 次に文献4ですが、B型肝炎について中国からの報告ですが、オカルトB型肝炎の父親から子どもに家族内の密接な接触で水平感染したことが遺伝子配列の分析で判明したとのことです。

 次に、文献5~11はジカウイルスについてですが、文献5は、今年2月に米国FDAから出された業界向けガイダンスです。ジカウイルスの輸血による伝播リスクを低減するためのドナースクリーニング、供血延期及び製品管理に関する勧告です。非流行地域では症状がなくなってから4週間、流行地では出発してから4週間、また、3カ月以内に流行地に渡航した男性パートナーとの最後の性的接触から4週間の供血延期が挙げられております。

 文献6は、同じく今年2月18日に出された、安全で十分な血液供給に関するWHOの暫定的なガイダンスとなります。

 文献7は、昨年1210日にECDCのジカウイルスのアウトブレイクと小頭症、GBSとの関連に関するリスクアセスメントです。最新のものは第6版となっておりまして、5月20日に出されております。

 文献8に関しては、今年2月10日に米国CDCMMWRに報告されたものですけれども、ジカウイルスと小頭症及び胎児死亡との関連が示されたとの報告です。

 文献9は、同じく米国CDCMMWRからですが、今年1月22日の報告です。アメリカ大陸の19地域とプエルトリコにおいて、ジカウイルスの局地的流行が見られているとのことです。

 文献10も同じくMMWRからですけれども、2月12日の報告で、性感染予防に関する暫定的ガイドラインになります。

 文献11は、3月7日のWHO感染症発生速報で、フランス領ポリネシアでギラン・バレー症候群が20倍に増加し、デングウイルス感染とジカウイルス感染、ギラン・バレー症候群発生について考察されております。

 文献12は、フランスのレ・ユニオン島からの報告ですけれども、20052006年にかけてチクングニアウイルスのアウトブレイクが起こり、その結果、脳炎になると致死率が16.6%で、小児が神経学的後遺症を残した割合も3045%に見られたとの報告です。

 文献13ECDCからの報告で、フランス領ポリネシアで20142015年に発生したチクングニア熱のアウトブレイクで、ギラン・バレー症候群の症例数が例年の4~9倍に増加したとの報告です。

 文献14はカンボジアでの研究ですが、不顕性感染または発症前の状態にあるデングウイルス患者の蚊に対する感染力は、発症した患者と比較して有意に高かったことから、人から蚊へのウイルス伝播において不顕性感染患者が関与している可能性が高いと考察されております。

 文献15は、ことし1月22日のWHOからの速報ですが、ブラジル全土でジカウイルス、チクングニアウイルス、デングウイルスが流行しているが、そのうちギラン・バレー症候群の報告数が増加しているのは6つの州だけで、その他の州では例年どおりか、むしろ減少していたとの報告です。

 以上が、前半となります。

○田野崎委員長 1~15までですけれども、これまでのところで先生方から何か御意見等ございましたら、お願いいたします。

 山口委員どうぞ。

○山口委員 今回はHEVが3件もあるのですけれども、3件目がオーストリアの調査で、6万人弱の調査をしているのですが、これはたしかミニプールでやっているので、日赤よりも今は感度が悪くなっているかと思うのですけれども、陽性率の比率からすると8,000人に1人で、それでも彼らにしてみればHEV PCRの導入の可否にまで言及しているということは、やはりそれだけのリスクを感じているのと、もう一つは陽性患者が生肉を食べていないという点です。多分、生肉以外の感染源があると想定していて、喫食だけで排除することがなかなか難しいということを意味しているのかなという気がいたします。

 もう一つ、1点目も再感染のことを述べているのですけれども、要するに、抗体陽性でもう一度RNA陽性になってしまっているということで、今多分、日赤のほうで調査されているかと思うのですけれども、その中でこういう再感染についても調査できるような経緯になっているのか、もしわかったら教えていただければありがたいと思います。

○田野崎委員長 これについては何かございますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 再感染に関してアクティブに調査するというシステムはございませんけれども、ただ、集まっているデータを見ますと、再感染は十分起きるものだなということは我々も把握しております。というのは、感染の中でIgMが全く出ないIgGが最初から出てくるという例もございますし、そういった例で再感染はあるだろうなということは思っています。

○田野崎委員長 ほかにいかがでしょうか。岡田委員どうぞ。

○岡田委員 HEVの再感染ですけれども、HEVは非常に不思議なウイルスで、血中に存在する形と実際に糞便中に存在するウイルスが若干違うんですね。血中にあるウイルスは抗体で中和できないというか、抗体との結合をしないというデータも報告されています。そういう面で、こういうふうにハイタイターのウイルスを持っている方は、IgGが陽性であっても感染源になる可能性はあります。ただし、経口感染とすると当然、消化管のほうに抗体が出ていますので、そこで感染が防げてもいいはずなのが、こういうふうに再感染を疑わせるような所見があるということで、まだE型肝炎は十分な理解ができていないのかなという印象を受けました。

 それと8番で、ジカウイルスが注目を浴びたのは、妊娠中のお母さんが感染すると小頭症の子どもが生まれるということでかなり衝撃を与えて、それで注目されるようになったのですけれども、8番で見ますと妊娠初期に感染しているんですね。ですので、そういう面では、よくこういう例として風しんとの比較が挙げられるのですが、やはり妊娠初期に感染すると胎児の方に影響が出るということで、輸血絡みですと妊婦さんが余り妊娠初期に輸血することがないので、6番とか10番で感染者のパートナーからの献血制限も考慮するということなのですけれども、一番考えなくてはいけない妊婦さんに対する輸血というとリスクは低いのかなということが考えられました。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。ほかにはよろしいでしょうか。

 そうしましたら、引き続いて御説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より、引き続いて説明させていただきます。文献16からとなります。

 文献16は、昨年12月にFDAから出されたエボラウイルス対策における供血ドナーの適格性、供血延期及び血液製剤管理の評価に関する業界向けガイダンス案です。既往歴がある者の無期限の供血延期、エボラウイルス流行地から出国後8週間以内の供血延期、また、エボラウイルス感染者、またはエボラウイルス病発症者と接触後8週間以内の供血延期が勧告されております。

17番はリベリアでの症例報告ですけれども、性交渉で女性がエボラウイルスに感染したことから、エボラウイルス病発症後179日目の精液中に感染性のエボラウイルスが存在したとの報告です。

 文献18は英国からですけれども、サイトメガロウイルス抗体陽性血液製剤の輸血により、造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス再活性化のリスクは上昇することはなかったとの報告です。

 文献19は日本での調査結果ですけれども、サイトメガロウイルスIgG抗体の陽性率は69.1%であり、1996年に調べられた結果の82.5%からは減少しており、このことから妊娠初期にサイトメガロウイルスに初感染する可能性もあることから、サイトメガロウイルス陽性時の唾液や尿などからの直接感染を避けるため、手洗い等の指導が先天性のサイトメガロウイルス感染症を減少させるのではないかと考察されております。

 文献20も、米国CDCからの去年12月のMMWRです。セントルイス脳炎ウイルスとウエストナイルウイルスの同時アウトブレイクの報告です。

 文献21は、中国南東部において2014年5月に発生した13例の重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)の集団感染についての調査です。SFTSウイルスは直接的な接触やエアロゾルなどにより、ヒトからヒトへ伝播する可能性があると報告されております。

 文献22は、中国からの鳥インフルエンザ(H5N6)の報告です。ウイルスは新たに進化しており、今後も長期的・網羅的な家禽市場の監視が必要と考察されております。

 文献23はデンマークからの報告ですが、カルジオウイルス属に属するサフォールドウイルスが、心筋炎で死亡した小児の心筋、肺及び血液から検出されたことから、カルジオウイルスと心筋炎との関連の可能性が示唆されたとの報告です。

 文献24はロシアからの報告ですが、新種のハンタウイルスであるソチウイルスについてです。ソチウイルスは人畜共通感染症ですが、20002003年にソチウイルスに感染した患者62例の致死率は14.5%であったとの報告です。

 文献25は、今年1月に米国FDAから出されたものですけれども、CJD及びvCJDの血液及び血液製剤を介した伝播リスクを低減するために、業界向けガイダンスが改訂されたものです。

 文献26は、スロベニアの牛1頭において非定型BSEが確認されたという報告です。

 文献27は米国からの報告ですけれども、ライム病を発症させる新たなBorrelia属の細菌が発見され、遺伝子検査によってBorrelia burgdorferiの近縁種であることが判明し、暫定的にBorrelia mayoniiと名づけられたとの報告です。

 以上になります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 以上、1627ですが、御意見ございますか。室井委員どうぞ。

○室井委員 山口委員と岡田委員にお聞きしたいのですけれども、文献19番、日本のサイトメガロ感染症のことなのですが、これは妊産婦がサイトメガロウイルスに感染していなくて、妊娠中に初感染した場合に、新生児に高率に感染を起こすと考えてよろしいのですか。

○山口委員 私はそう解釈したのですけれども。

○室井委員 結構大きな問題ではないかと思って。私は専門ではないものですから、内容がいまいちはっきりしなかったのですが、そのように理解してよろしいですか。

○岡田委員 これはそうです。2人目を妊娠しますと、第一子がいますので子どもの世界に母親が入りますから、感染する機会がふえるということです。ですので、年々サイトメガロ抗体陰性の妊婦さんがふえていますので、こういう事態を生じています。

 一部の小児科では先天性サイトメガロの感染を見つけるために、聴覚検査を導入しているところもあるんです。サイトメガロに感染していると、新生児であっても聴覚が低下するので、そういう場合には本当にサイトメガロの影響かどうかを解析して、場合によっては治療を開始しているようなところもあります。産科領域でも非常に注目されています。ただ、事態は結構厳しいです。

○室井委員 予防しかないのですか。いわゆるお母さんの手洗いとか、最初のお子さんからの感染とか、そういうことに関する予防措置しか方法がないということですか。

○岡田委員 ワクチンがないので。

 昔は、みんな子どものころに感染していたのが、衛生環境がよくなって感染しなくなったというのが根本にあると思います。

○室井委員 もう一つ追加で、E型肝炎で山口委員が3番の文献で、献血者のオーストリアの陽性率が8,416人中1人だと書いてあって、これは北海道のデータが出てくると思いますけれども、日本だと約7,000人に1人ぐらいです。そうすると、欧米でも日本でも生活習慣や食生活が変わっていても、健常人が持っているHEV陽性率はあまり変わらないと考えるのですか。

○山口委員 これは日赤の御意見を聞きたいのですけれども、オーストリアはミニプールでやっていますよね。ですから、恐らく拾い上げているのは少ないのではないかという気がいたします。

 あとのほうのHEVで質問しようと思っていたのですけれども、速報値で今年だけで2,000人に1人というかなり頻度が高くなってしまっている。ただ、ミニプールにしてから判定不能というのが結構増えているというのは、非常に低濃度のものを検出しているという理解をしております。だから、今の検査のこととか全部含めて、どれだけの頻度で見つかったときに、どう対応するかというところも考えて判断する必要があるのかなと思います。

○室井委員 一概にこのデータをもってして、健常人の欧米と日本の割合を比較するのはできないと考えてよろしいですか。

○山口委員 逆に気になったのは、あのときは質問しなかったのですけれども、オーストリアのデータでは年齢とともに抗体陽性率が急に上がっているのですね。60代で3040%にまで多分上がっていたと思うので、日本よりも高い比率になっているのかなという気がちょっといたしました。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 オーストリアのこの文献についてはおっしゃるとおりで、これはプールでやっていますので、かなり頻度が低くなっていると思います。個別にすればさらに高くなるかと思います。

 あとは、地域によるHEVのプレバレンスの差というのは全世界一様ではないかということは余りなくて、地域による差は極めて大きいものがあります。例えば、フランスの一番南の地域に行きますと7080%ぐらいが一次陽性になります。ヨーロッパ全体的に、日本よりは高いです。ただ、イギリスなどでもスコットランドとイングランドでは相当違いがありますし、オランダ、フランス、あの辺は日本よりはかなり高い陽性率を持っています。アメリカはかなり低いです。そういった状況があります。

○田野崎委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

 それでは、事務局は今後とも引き続き感染症定期報告の収集等をお願いいたします。

 次に、議題3の血液製剤に関する報告事項についてです。遡及調査の進捗状況や副作用感染症報告の状況、これまでに報告された事例のその後の対応状況等について、事務局から説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 議題3に関して説明させていただきます。

 まず、資料3-1をごらんください。供血者からの遡及調査の進捗状況についてです。3枚目に別紙-1がありますが、表の一番右下をごらんください。平成26年からスクリーニングで個別NATが導入されておりますけれども、この表はスクリーニングをプールNATで行っていた時代の検体が遡及調査で対象となった場合に、個別NATを行い陽性になった件数を載せております。したがって、平成26年度以降、プールNATで行っていた時代の検体を個別NATで行った結果、HBVHCVHIVに関して陽性になった例はございません。

 後で資料3-2で御説明いたしますけれども、現在はスクリーニングで個別NATが行われており、スクリーニングNAT陰性にもかかわらず輸血感染が確認された例に関しては、今後この表を工夫していくことなどを考えております。

 次に、資料3-2をごらんください。「血液製剤に関する医療機関からの感染者報告事例等について」を御説明いたします。

 1枚めくっていただきまして、感染症報告事例のまとめになりますけれども、今年2~4月までに報告があったのは、輸血用血液製剤で18件となります。その内訳はHBVが2件、HCVが7件、HIVが0件。その他の感染症報告ですが、10件とありますけれども、こちらは9件の誤りです、失礼いたしました。内訳は、HEVが2件、CMVが1件、細菌等が6件となります。

HBVHCVに関しては、保管検体の個別NAT陽性になった症例はありませんでした。

 細菌等感染報告事例では、無菌試験で陽性例になったものは0件でした。

 また、その他の感染の中にサイトメガロウイルスが1件、パルボウイルスが1件ございましたが、いずれも個別NATは陰性で、感染が確定した例はございませんでした。

 次に、A3の資料1「国内輸血用血液製剤」の1ページの1例目をごらんください。3-16-00011という症例ですけれども、この症例ではスクリーニング個別NATが陰性だったのですが、その後の献血でB型肝炎検査が陽転化したため、遡及が行われたものです。この症例では受血者が輸血後DNA-HBs抗原陽性となったことが判明しており、塩基配列の分析の結果、供血者と全て一致したというものです。ジェノタイプはAeという欧米型でした。

 供血者に関しては、その後、急性肝炎と診断されておりますが、受血者に関しては現在軽快されているという報告を受けております。

 次に、4ページ目をごらんください。3-16-00006という症例ですが、E型肝炎疑いの報告事例です。この方に関しては18名の保管検体がございましたが、赤血球ドナーの1名のみ個別NATが陽性でした。受血者は輸血後IgMIgG抗体、PCR全て陽転化しておりますが、増幅検査ができなかったため、供血者からの感染であったかどうかは確定できておりません。受血者は特に治療なく軽快されており、供血者の情報はございません。

 資料1のその他の症例及び資料2「国内血漿分画製剤」についても、今回重篤なものは含まれておりませんでしたので、委員の先生方から特に注目すべき症例については、後ほど御意見をいただければと存じます。

 次に、A44枚目の北海道での試行的HEV-NAT実施状況についての御報告です。平成28年1~3月ですけれども、6万5,471名の献血者に対して、HEV-RNA陽性者数は34名。うち男性が27名、女性は7名でしたが、陽性率は1,926名に1人で、0.052%でした。

 ジェノタイプは3型が27名、4型が2名で、検査不能例が5例でした。

 抗体については、IgM抗体、IgG抗体ともに陰性が22名、ともに陽性が7名、IgGのみ陽性が5名で、IgMのみ陽性の方はおりませんでした。

 続きまして、資料3-3をご覧ください。これは献血者におけるHIV抗体陽性件数の表となります。表の一番下の段に、今年1~3月までの速報値を示しておりますが、献血件数122688件に対して、HIV抗体陽性者は8名、うち女性は1名でした。前年同比は15名でしたので、4割減少しております。

 核酸増幅検査陽性者はおりませんでした。

 したがって、今年第一四半期の献血10万件当たりのHIV抗体陽性検数は0.655でした。

 2枚目の都道府県別の陽性者数(献血地別)の表をご覧ください。今年の第一四半期の8名の陽性者の内訳ですけれども、北から埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、香川県、福岡県、佐賀県、沖縄県で、それぞれ1名ずつの陽性者が出ておりました。

 次に、5枚目の表をご覧ください。この表は年齢区分別のHIV要精検数の推移ですけれども、一番右が平成27年の確定値となっております。一番多かったのは平成26年と同じく30代の献血者で、53名中21名、10万件当たりですと平成26年の2.317より若干下がって2.194でした。次に多かったのは20代の献血者です。53名中15名、10万件当たりですと1.829でした。3番目に多かったのが40代で13名、10万件当たりは0.914でした。50代は4名で、10万件当たり0.383と約半分に減少しております。10代、60代の献血者でHIV陽性者は平成27年はおりませんでした。

 次に、最後の6ページは2015年までの献血者におけるHIV陽性者数の推移をグラフで表したものですけれども、一番上が男性、次の線は男女を合わせた数、一番下は女性で、2015年は男女いずれも減少傾向でした。

 以上が、議題3の報告です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 それでは、資料3-1~3-3まで御意見をいただければと思います。

 大平委員どうぞ。

○大平委員 資料1のB型肝炎の感染のケースなのですけれども、上の段は献血者がかなり期間短く献血していて、その血液が同一の患者さんに行くという、これはまれなケースなのか、それともこういうことが起こり得るのか、医療機関の問題なのか、供給の血液センター等の狭い範囲での問題なのか、そこは教えていただけたらと思いますが。

○田野崎委員長 佐竹さん、お願いします。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 全くおっしゃるとおりで、我々も最初は非常にびっくりしたのですけれども、これはHLA-PCですので、恐らく患者さんのHLAに合ったドナーさんを選んでいたものですから、この方のものがたまたま2週続けて入ったという、それだったら起こり得ることだなと思いました。

 ただ、HLAのドナーが感染された、そしてすり抜けたということは、我々としては大変残念なことです。

○田野崎委員長 このように個別NATが導入されてから、B型肝炎の感染が確認されたケースは極めて珍しいのではないかと思うのですが、これに対する対策のようなものは日赤としては何か考えられていますか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 テクノロジー的にはこれが限界ですので、これ以上のことはそういう意味ではできせません。あとできることは、どのくらい効果的かはわかりませんが問診、そこではリスク行為の正確な申し出、大変文学的な方法ですけれども、それぐらいしかないと思われます。そういう意味で、今回のドナーがそれを言っていただけなかったことが大変残念だなという意味で申しました。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 B型肝炎の例なのですけれども、この供血者は一応リスク行動はあった方なのでしょうか。それとも全く自覚はされずに感染していたということなのでしょうか。それはわかりせんか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それはわかっていません。

○岡田委員 あと、もう一つ確認ですが、この供血者の方は結局、不顕性感染で終わったのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 いえ、立派な急性肝炎を起こして入院されています。

○岡田委員 供血者も受血者も両方ですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 受血者は、今のところは全く何も起きていません。

○岡田委員 わかりました。

○田野崎委員長 急性肝炎になったようなときに、各診療機関から厚生労働省やしかるべき機関に報告が上がる体制があると、もう少しわかるかもしれないというのはあるかもしれないですが、これに関しては事務局から何か御意見ございますか。

○近藤血液対策課課長補佐 急性のB型肝炎を発症された方で、献血者であったということがわかった段階で、こちらの血液対策課にもそういう情報が入ってくるような枠組みについて、検討していきたいと考えております。

○田野崎委員長 佐竹さん、どうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 このケースに関しましては、急性肝炎で入院されたところの主治医の先生が、そのようなところを非常に把握されていて、わざわざ日赤にレギュラーな献血者がこうなったので、そちらは大丈夫ですかという連絡を入れていただきました。大変ありがたかったです。当然こちらは、それ以前にNATのコンバージョンを把握しておりましたので、両方で把握できたということですので、主治医の先生方もそういったところを見ていただけると、大変ありがたいと思います。

○田野崎委員長 恐らく一般的にはそういうふうには周知されていないかと思いますので、そういうことがある程度周知されていると、自然に報告もふえるのかもしれないなとも思いますので、御検討いただければと思います。

 ほかにございますか。

○山口委員 今の件ですけれども、献血者にはそれを要望しているわけですよね。献血した後に症状が出たとき、そういうときにはちゃんと報告してくださいということは周知していると理解していいですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 一般的な意味で献血者に、献血後に何か異常がありましたらお伝えくださいということは、Bに限らずいろいろな意味でお話ししています。

○山口委員 ですから、急性肝炎が起きたときに、皆さんがB型、C型に感染したと理解されるかどうかは微妙ですけれども、一応そういう対応を献血時にお願いしているということで。

○日本赤十字社平安全管理課長 補足させていただきますけれども、今回、陽性ということで献血者には陽性通知をさしあげています。その通知と紹介書をお持ちになって医療機関を受診されています。そのときは基本的には肝機能障害などはなかったのですけれども、そういう意味で1カ月後くらいに肝機能障害を発症されて、急性肝炎ということで入院されたということを伺っております。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 相変わらずC型肝炎の発症の例が多くて、今、輸血ではないということなのですけれども、例えば、これ以上の共通の原因と思われるものは何かあるのでしょうか。日赤でも多分調査していると思うのですが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 おっしゃるとおりで、これだけBが減っているのに、Cについては全く減らない状況、前のことでも出ましたけれども、これは世界でも同じようなことが挙げられていまして、前回もお話ししましたけれども、一定の医療機関から複数こういった例が上がってくるという状況がありますし、そういった状況から見ますと院内感染と言ってしまってはあれなのですが、そういった意味での検査もずっと続いていると、そして対策がとれていないという状況があるのではないかと考えております。

○室井委員 7例の中には同一施設から出た例もあるのですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 今回はないようです。

○田野崎委員長 HIVがいつもだんだん減ってきているのは、全体の比率というよりは何らかの形でフィードバックがかかって、HIV陽性の方が来なくなったという理解なのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それは全くわかりません。一般人口の中でも陽性者・感染者が減っていることはありますので、それと並行しているのか、あるいは献血に関する意識の高まりなのか、その辺は全く知るよしはないです。

○田野崎委員長 大平委員どうぞ。

○大平委員 HIVの献血者の中での陽性率が下がってきているというのはとてもいい傾向だなと思うのですが、これは日本の一般的なHIVの検査を受ける輸血受検者と感染者、陽性者が減っているかどうかという増減について、何か対比したグラフみたいな形で見せていただけると、献血を行う方の陽性者がどれほど減ってきているという指標になるのではないかと思うので、健康局との御相談だと思うのですけれども、そこは何かうまい見え方を出していただけるとわかりやすいかなと思いますが、事務局でいかがでしょうか。

○武井血液対策課長 今、非常にいい御提案をいただきましたので、早速、健康局と相談の上、検討させていただきたいと思います。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 HIVの陽性率が低下したといっても、わずか3カ月のデータですので、まだ油断は禁物ですので、こういう報道が流れて逆に検査に来ないというのは困るので、まだ厳しい状況だということはマスコミの方、注意してお願いします。

○田野崎委員長 佐竹さん、どうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 先ほど大平委員より、いろいろなパラメーターを用いてということがありましたけれども、パラメーターということでありますと、個人でHIV陽性が唾液でわかる検査がありますが、そういうものがすごく売れていますので、そういったファクターも入れますと非常に複雑な減少で、一概に減ったと言えるかどうかまた問題があると思います。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 やはり保健所で検査を受けるというと時間が指定されたり、場所が悪いとか、なかなか検査を受けづらい環境だと思うんです。一方で、肝炎関係は病院で無料で検査を受けられるシステムができていますので、HIVもその中に組み込んでいただいて、医療機関でカルテなしで検査を受けられるようなシステムができれば、献血するよりも利便性もよくなるので、より検査を受けたい人は病院で検査を受けるという流れになるのかなと思うので、ぜひ肝炎と抱き合わせてHIVも検査できるようなシステムをつくるようにお願いしたいと思います。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。以上の御意見を参考にしていただければと思います。

 それでは、議題4に移りたいと思います。日本赤十字社から資料4-1「HTLV-1抗体のスクリーニング検査について」の御説明をお願いいたします。

○日本赤十字社平安全管理課長 資料4-1をごらんになってください。「HTLV-1抗体のスクリーニング検査について」でございます。

 「1.現状」でございます。

HTLV-1抗体のスクリーニング検査は、1986年に導入され、それ以後、輸血によるHTLV-1感染事例は報告されておりません。現在のスクリーニング検査は、CLEIA法で実施し、試薬の添付文書によりカットオフインデックス値(以下「COI」という)1.0以上を陽性と判定し、輸血用血液製剤等には使用しておりません。CLEIA法が陽性の場合、献血者への通知のためにウエスタンブロット法で確認試験を行っております。また、HTLV-1は白血球、特にTリンパ球に感染し、細胞と細胞の接着によってのみ伝播しますが、今日全ての輸血用血液製剤には、保存前白血球除去が施されております。これらの施策の導入によって、輸血によるHTLV-1の感染リスクは極めて低くなっていると認識しております。

 「2.HTLV-1プロウイルスDNAの検査」でございます。

 近年、HTLV-1母子感染予防対策が非常に強化されている中で、HTLV-1プロウイルスDNA、以下プロウイルスと呼ばせていただきますが、こちらの測定の重要性が非常にクローズアップされてきております。特に、判定の困難な例での確定診断法として有用であるということがわかってまいりました。このため、同測定法を用いまして、輸血用血液製剤のスクリーニング検査においても、カットオフ近傍の反応を評価・整理することとさせていただきました。そこで、CLEIA法検査が過去の献血時に陽性、今回陰性、いわゆる履歴陽性となった検体血液について、すなわちこの検体はカットオフ前後で陽性となったり陰性となったり繰り返す微妙な反応の検体を収集して、プロウイルスを測定いたしました。その結果、635本中15本、2.4%にプロウイルスが検出されております。これらの血液のCLEIA法のCOI価を見ますと、0.50.9の間に分布していたところでございます。

 このような状況の中、「3.現行の献血における調査」でございます。

 現行のスクリーニングの実態調査に当たって、新たなカットオフ値は次のように設定させていただいております。HTLV-1抗体価がカットオフ値近傍の極めて低い領域では、プロウイルス陽性例はCOIの高い低いにかかわらず点在していることが考えられます。一方、カットオフ値を下げるほど、感染していないにもかかわらず、いわゆる陽性としてキャリアと判定される献血者が増加することが懸念されております。例えば、COI0.60.9の範囲には、このような献血者が全国で年間3,360人いると推定されるのに対し、それを1つ0.5とふやして0.50.9で見ますと、6,100人ということで2倍に増加するということがございます。そういう中で、事前の調査ではCOI0.5を示すプロウイルス陽性者がこのときは1名見つかっておりますが、上記の2つの理由と現行の輸血用血液製剤のHTLV-1に関する安全性が、白血球除去などを加えることによって既に十分高いこと。さらに、元来HTLV-1の感染性は低いとされていることなどを踏まえて、暫定的に0.6をカットオフ値とさせていただきました。そして、COI0.60.9を示す献血血液についてプロウイルス陽性頻度を調査いたしました。ですので、今回調査に当たっては0.6以上のものについては輸血用血液製剤としないカットオフを設けて調査させていただいております。その際、調査自体は白血球からPCRを行うものですから、血清からすぐやれるというものではございません。そういう観点から東京地域、陽性率、いわゆるキャリアレートが高いと言われる九州地区の献血血液を対象として実施させていただいて、検査結果がプロウイルス陽性である献血者には陽性の通知をさせていただき、次回以降の献血を御辞退いただいております。

 また、当該献血者に過去の献血履歴がある場合は、保管検体を検査し、プロウイルス陽性の輸血用血液製剤を供給した医療機関へは当該情報を提供させていただきまして、受血者の輸血前後の感染状況を調査させていただきました。この感染自体は、細胞と細胞が接着することによって感染します、その観点からFFP(新鮮凍結血漿)では、凍結をして融解するとセルがパンクされるということと、FFPでの輸血によるHTLV-1感染がないということから、FFPの供給先には情報は提供しておりません。

 「4.調査結果」でございます。

()HTLV-1プロウイルスDNA陽性頻度でございます。COI0.60.9の範囲にあった1,066本中8本、0.75%がプロウイルス陽性でございました。COI別頻度で見ますと、0.6で2件0.43%、0.7で3件、0.8で2件、0.9で1件という結果でございました。

()、上記の陽性の8検体中4件は、過去の献血時のHTLV-1抗体のスクリーニング検査が陽性ですので、履歴陽性ということで製品は出庫されてございませんでした。ですので、残る4件の献血者の過去の献血時の保管検体についてプロウイルスの調査をいたしました。

 下には、献血者A~Dということで検査結果を示させていただいております。まず、献血者Aは3つ検査をやらせていただいて、プロウイルス陽性が3件。Bの方が6件あってプロウイルス陽性が6件。Cの方が9件あって陽性数が7件。Dの方が10本あってプロウイルス陽性が10件ということでございました。こちらは、プラスと判明したところから当該製剤が医療機関に供給されたところを追跡いたしまして情報提供した数が、Aの方で2件、Bの方で6件、Cの方で5件、Dの方で10件の合計23件について情報提供をやらせていただきました。

()、受血者の医療機関からいただいた情報では、プロウイルスが陽性であった血液を輸血された23名の患者について調査をいたしましたところ、輸血後の検体について検査できたものは2例でございましたが、ともに感染は確認されていないという状況でございました。

 「5.今後の対応(案)」といたしまして、2015年3月の本調査開始以降、COI0.60.9の血液は全国的に出庫を控えております。現在、私どもでは試薬メーカーと共同して検査試薬の改良に取り組んでおります。それが導入されるまでの間、この検査体制を暫定的に継続させていただいて、改良された試薬が認可を受け、血液センターでの評価が満足できるものであれば、早急に導入する予定でございます。

 説明は、以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 これに対して御意見はいかがでしょうか。山口委員どうぞ。

○山口委員 2枚目の4の()の話ですけれども、23人の患者さんに調査していただいて、検査できたのは2例ということで、ちょっと心配なのは、リスクはそんなに高いわけではないと思いますけれども、情報が十分伝わらずに受血者の方がそれほど協力的ではないのかなというその辺心配と、逆に言えば、皆さん検査をしてネガティブであれば、プロウイルスでしかも受白血球していれば感染のリスクが非常に低いということが逆に言えると思うのですけれども、この調査はきちんとやれればやったほうがいいなという気がしました。

○日本赤十字社平安全管理課長 こちらの23名の詳細なお話をしますと、12例については既に死亡されておられる。そして、検体がないということでございました。残る8例については、医療機関から追跡不能というお返事をいただいているというのが現状で、残る1名が結局、その製剤が供給されたけれども医療機関では使用されていなかったところでございます。実情はこういうところで、伝わらなかったというよりは、遡及調査の難しさというものを感じさせていただいているところでございます。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 8例陽性になった場合の感染細胞は、頻度的には例えば1万個に1個とか、どの程度の頻度なのでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 感染細胞数としては、0.01%の定量限界以下のものが圧倒的に多いです。たまに0.05%とか0.12%ぐらい、0.5%というのがあったかもしれません、そのぐらいのもので、いずれにしてもウイルスの濃度としては非常に低いものです。

○岡田委員 そうすると、感染細胞が白血球の1万個に1個ぐらいあるということですね。わかりました。

○田野崎委員長 室井委員どうぞ。

○室井委員 やはり赤血球と血小板製剤の話ですね。多分、使う前に全部照射していますよね。照射するとDNAが不活化するので、もともと白除しているし、感染するリスクが極めて低くなっていると考えていいですか、それは余り関係ないですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 ウイルスに関しては、それを不活化することはほとんどできないのではないかと思います。というのは、ゲノムの長さからいって、ラディエーションによる核酸の障害の頻度というのは数万ベースペアに1つぐらいですので、このくらいのウイルスですと余り障害を受けない状況だと思います。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 こういう新しい知見に基づいて基準を検討して、新たな基準で安全性と安定供給のバランスを見出すというのは極めて重要で、いいことだと思うのですが、手続として0.6にする以前の段階で「安全技術調査会」に報告して検討した上でやるべきではないかと思います。もちろん、血液は医薬品と違って、割と治験とかせずに安全性向上によければやる、この後の議題にも関連するかもしれませんが、そうすると、事実上「薬事・食品衛生審議会」が妥当かどうかという責任を負う形で日赤と連携してという形だと思うので、やった後に事後報告的になっているところが気になるので、そこは「安全技術調査会」に一応報告して了解を得てからやるというほうがいいように思うのですが、手続としては事務局としてどうなのですか。

○武井血液対策課長 今、花井先生から御指摘があった点については私も最初に気づきました。なるべく早く対応するということは重要ですけれども、実は机上配付しております資料の個別受血者の情報を入手するとか、プロウイルスのデータをとるのに若干時間がかかっていたことももう一つの事実としてあります。そのため、そういう意味では全体像がわかってからは早目に御相談いただいて、この運営委員会にも諮ることができましたが、もっと迅速になるように今後はさらに検討を進めていくということを考えております。

○田野崎委員長 佐竹さんどうぞ。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 今、花井委員のおっしゃられたことは全くそのとおりですので、その辺は我々も手続が遅かったなということは大変反省しておりますので、十分考えて正していきたいと思っております。

○田野崎委員長 私はHTLV-1のことはかなりこだわるところがあるのですが、資料4-1を見ると、最初は安全性が高まっている、HTLV-1感染がなくなってきているということから始まっているのですが、にもかかわらず今回やるのは、それでは不十分であるから、さらに厳しくしましょうというストーリーになっているということでよろしいわけですね。

 1つ問題かなと思うのは、今、妊婦検診もされていますので、妊婦検診で陽性になって、その後心配される妊婦さんがたくさんいて、必ずウエスタンブロットで確認してくださいということを広く言っていると思うんです。多分、妊婦検診よりも厳しい基準になるのかなと思うのですが、そことのバランスというか、結局HTLV-1陽性のキャリアの方が、あるいはこれですと擬陽性がふえることになるわけですけれども、そういう方々に対する対策というのは今基本的にはできませんので、そうすると、例えば献血に行って陽性ですということでウエスタンブロットをやってくださいというのもあるかもしれませんが、不安で結局検査も受けないという方もいらっしゃるでしょうし、全国的に見てHTLV-1陽性、キャリアに対する医療機関の対応もそこまでちゃんとできていないのではないかということを踏まえると、その点はいかがなものでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 確かに、これは献血にとどまらない、特に妊婦さんで非常に大きな問題になります。そこでの感度の違いというものも出てきますので、もうちょっと一緒に考えていかなければならないと思います。

 一番大きいのは、陽性とわかればお話しすることができるのですけれども、判定不能がどんどんふえてくるというのが我々も非常に困ることですので、それを核酸増幅検査ですと幾分かはある程度白黒をつけて正確な情報を提供できると。これは特に妊婦さんのほうで大事な問題かと思いますが、そういったことは医療全体として考えていかなければならないだろうとは思っております。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。花井委員どうぞ。

○花井委員 素人っぽい質問で恐縮なのですけれども、通常、臨床現場ではウエスタンブロットで確定検査ということですけれども、結局、プロウイルスが存在するということは確定検査と全くイコールと考えていいということですよね。そうすると、患者さんに伝えるときには、プロウイルス陽性というのは感染していますという説明になっているという理解でよろしいですか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 はい。

○花井委員 ありがとうございます。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。では、続きまして、資料4-2「洗浄血小板製剤の医薬品製造販売承認の取得について」の説明をお願いいたします。

○日本赤十字社五十嵐技術部次長 資料4-2をお願いいたします。「洗浄血小板製剤の医薬品製造販売承認の取得について」。

 平成27年3月12日に製造販売承認を申請しました洗浄血小板製剤につきましては、下記により平成28年3月28日付で承認をいただくことができました。現在、本年9月の供給開始を目指し、準備を進めているところです。

 「1.承認品目」ですけれども、照射洗浄血小板-LR「日赤」及び照射洗浄血小板HLA-LR「日赤」、各10単位、200mLの製剤です。

 「2.製造方法」ですけれども、自動血球洗浄装置(ACP215)を使用し、血小板保存液を用いて洗浄し、同液に浮遊した製剤となります。血小板保存液としましては、ACD-A液と重炭酸リンゲル液(ビカネイト輸液)を1対20で混和したものを使用しております。

 「3.効能又は効果」ですけれども、照射洗浄血小板-LR「日赤」につきましては、血小板減少症を伴う疾患に適応する。HLA-LR「日赤」につきましては、血小板減少症を伴う疾患で、抗HLA抗体を有するため通常の血小板製剤では効果が見られない場合に適応するとなっています。

 「4.有効期間」は、製造後48時間。ただし、原料の血小板と同様に、採血後4日間を超えないということで承認をいただきました。

 以上です。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。

 これに関しましては、よろしいでしょうか。洗浄に関しては引き続きありますので。

 そうしましたら、議題5の資料5の説明について、お願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 事務局より議題5に関して、御説明させていただきます。「『血液製剤の使用指針』の一部改正案について」という紙をご覧ください。

 洗浄血小板の製剤化については、かねてより医療機関からの要望があり、日本輸血・細胞治療学会及び日本血液学会からも製造及び供給に関する要望書が寄せられておりました。先ほど日本赤十字社から御説明があったように、洗浄血小板製剤は今年3月28日に承認されております。

 添付文書については、参考資料4と参考資料5を御参照ください。なお、HLA製剤の添付文書についても既に公表されておりますので、適宜、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のホームページなどを御参照いただければと存じます。

 製造販売承認されたことを受けまして、当該製剤の適正使用を推進するために、日本輸血・細胞治療学会及び事務局において、血液製剤の使用指針の一部改正を検討し、先日5月20日に行われました「薬事・食品衛生審議会平成28年度第1回血液事業部会適正使用調査会」にて審議か行われております。

 「改正主旨」をご覧ください。洗浄・置換血小板の適応及びその調整に関する項を新たに設けて、対象患者を示し、また根拠となる文献を掲載することで適正な使用を推進することを目的としております。

 参考資料2をご覧ください。これは「洗浄・置換血小板の適応およびその調整の指針(version5)」というものですけれども、これは輸血・細胞治療学会が策定しております指針でございます。中ほどにあります「適応」をご覧ください。今回の指針の改正は、この学会の指針に沿ったものとなっております。

 資料5にお戻りください。「改正案概要」ですけれども、どのような患者さんが洗浄血小板投与の対象となるかについては、こちらに載せさせていただいております。以下の状態にある患者に対して血小板の輸血による副作用を防止する目的で、血小板を洗浄した後、患者に投与することが望ましいことを項目として追加いたしました。

 対象となる患者さんは、1)~3)をご覧ください。まず、1)アナフィラキシーなどの重篤な副作用を起こした患者さん。2)一度、血小板製剤の輸血による副作用を起こした患者さんで、種々の薬剤による予防処置を講じても、なお蕁麻疹、発熱、呼吸困難、血圧低下などの副作用が2回以上見られる患者さん。3)やむを得ずABO血液型不適合の血液製剤を輸血する場合において、輸血する血小板製剤の抗体価が128倍以上の場合、または患者が低年齢の小児の場合となります。

 ページをめくっていただき「新旧対照表」をご覧ください。今回の改正ですけれども、参考資料3に現行の血液製剤の使用指針を添付させていただきました。そちらの33ページを御参照ください。今回の改正では、現行の血液製剤の使用指針の「III 血小板濃厚液の適正使用」の「6.使用上の注意点」という項目に追記することとなります。

 資料5の新旧対照表ですけれども、左カラムは現行法、右カラムは改正案となりますが、追記箇所は下線部となります。文献に関しても1つ追加されております。

 さらに、新旧対照表の紙の後ろをご覧ください。血液製剤の販売名の変更に伴い、ここに挙げております4つの記載についても、表記のとおり変更することといたします。

 先日行われた「適正使用調査会」で、改正案の3)に患者が低年齢の小児の場合とありますけれども、体重や年齢を規定すべきではないかという意見も委員から出ておりました。この件に関しては、具体的な年齢に関するエビデンスがまだ十分に蓄積されていないこと、また、個別の症例について臨床症状に応じた適切な対応が必要であること。また、できるだけ現場の医師が使いやすい指針とするために、このままの案で進める方向で考えております。

 以上、事務局からの説明となります。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 御意見などございますか。室井委員どうぞ。

○室井委員 この製剤は、非常に要望が多くて、医療機関ではすごく期待していると思うんです。私も非常に期待しているところですけれども、適応に関して新旧対照表を見ると、学会の洗浄血小板の適応から持ってきたので、ほぼ同じ内容が書いてあるのですが、2番が種々の薬剤の前投与の処置等で予防できない場合と書いてあって、「種々の」というのが入るのがすごく気になるんです。使いづらくなるのではないかという懸念があって、まともに考えると2つ以上の薬剤を前投与しても予防できない場合と考えられるのですが、通常、私たちもよく血小板等を輸血する前に前投薬はするのですけれども、抗ヒスタミン剤1剤とか1剤のことが多いです。それが「種々の」となると2つ以上という意味に読めてしまいますので、かなり厳しい縛りがあるのではないかと読めてしまうのですけれども、いかがでしょうか。「種々の」という言葉がないほうがいいような気がしないでもないです。

○近藤血液対策課課長補佐 この改正案の元になっておりますのは、日本輸血・細胞治療学会の指針にございまして、先生のおっしゃるとおり「種々の」という言葉が入っております。今いただいた意見に関しては、事務局及び学会と検討させていただくことにいたします。

○室井委員 多分、この製品は定義が後発医薬品という扱いなので、普通の血小板と同じように使っていいという扱いですよね。ですから、余り強い縛りはかけないほうがいいのではないかという気もしました。「種々の」という言葉はないほうが多分、医療機関としては使いやすいのではないかと思って発言しました。

○田野崎委員長 この安全性に関しては、血小板製剤を普通に使うと5%有害事象が出ますが、すぐに止めたりしますので、日常の臨床においてはこれで命取りになるようなことはなくて、一時的なものかなと思いますが、いずれにしても安全性としてははっきり有害事象がなくなりますので、いいなと思うのですが、実際には手がかかるので、製造側として安全にしっかりと供給できるのであれば、多く使っていいようにしてもいいと思いますし、そうでないのであれば、当面は少し段階的にという縛りがかかるようにというような対策も必要なのではないかと思うのですが、これに関してはいかがでしょうか。

○室井委員 多分、医療機関で洗浄血小板を使うような症例の方は、私もそうですけれども、使う人はずっと使うので、ある一定のオーダーが出てくると思います。ですから、「種々の」という言葉を使うと、その中でも限られた形が考えられるので、患者さんで使える人を絞るという意味ではいいと思いますが、ちょっと言葉がきついのではないかと思ったものですから、くどいですけれども質問しました。

○田野崎委員長 これは実際には供給状況はどのくらいになりそうな予測ですか。

○日本赤十字社五十嵐技術部次長 医療機関で洗浄されているものと、日本赤十字社が技術協力として洗浄しているものを合わせて年間1万2,000~1万3,000だったと記憶しております。

○室井委員 もう一点は、この製品は治験をやっていなくて後発品扱いというものが今回発売されるわけなので、田野崎委員長がおっしゃったように安全性と有効性がいまいちはっきりしていないと思うんです。ですので、発売後、日赤として市販後調査のようなものをする予定はあるのでしょうか。

○日本赤十字社五十嵐技術部次長 市販後調査は普通、承認時にPMDAから承認条件として付加されることが多くなっています。実際、我々も後発品ではありましたけれども、10%のIgG製剤を出したときには、使用成績調査を実施するようにという話をいただいて実際に実施いたしました。ただ、今回、洗浄血小板については、そのような指示は受けていないという状況です。

 あと、輸血学会のガイドラインにBRSA液について記載されて以降、医療機関あるいは日赤でBRSAを用いて洗浄するというのはかなり本数が増加してきています。日赤の洗浄でも80%、90%以上はBRSAで洗浄した血小板を技術協力として供給しているという状況があります。

○室井委員 しかし、洗浄血小板の国内の使用成績を大規模に調査した報告はないと思うんです。ですので、私個人的には、この後発売されましたら日本輸血・細胞治療学会と一緒になって、ぜひ、ある一定期間全例の調査をしたほうがいいと思います。有効性と安全性を確認するということを検討してほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 それは形の整ったオフィシャルな市販後調査という形でなくても、そういったデータをとるという意味でしょうか。それとも、オフィシャルな形のものをしなければならないという意味でしょうか。

○室井委員 形式ははっきりわかりませんけれども、例えば半年間とか期間を区切って、使った方全例の有効性と安全性を調査する必要があるのではないかと思います。形式はどのようなものでも私はいいと思いますが、曖昧にすると、この製剤の意義も問われると思うんです。ですので、私個人的には、学会と一緒になってやるのが一番いいのではないかと思って質問したのですが。

○日本赤十字社佐竹血液事業経営会議委員 御意見わかりました。先ほどもありましたように、実績としてはほとんどがBRSAでやったもので今日日本全国で技術協力していますので、そこからは何の有害事象も出ていないことは確かなわけですけれども、それは相当数数としては重ねられてはいるわけですが、何かのデータとしてきちんと出すようなリサーチのような形で調査することに関しては、こちらも考えてみたいと思います。

○室井委員 ぜひお願いいたします。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 今の件ですが、あらかじめ今ガイドラインに書いてあるような患者さんには、これを使うほうがよりいいと。エビデンスがあれば添付文書にも載せて、そこは市販後もやってくださいとやって、その代わりその分値段が変わるということとかあり得ると思うのですけれども、ただ、血液製剤、輸血用血液については、今回はこういう形というのは理解するのですけれども、本来はある程度コストの部分も考えて、調査をするとなると、ある程度有効性が追加されるので、その分単なるジェネリックということではなくて改良品として評価されるから、その分儲かるという話があり、しかし、ただ儲けるという話ではないですよと、市販後調査をちゃんとやってくださいという条件、そこにはコストがかかりますよということで、一般的な医薬品ではそういうさまざまな条件でなると思います。血液の場合はPMDAがどういう対応をしているかわからないのですけれども、結構今回は厳しい感じで添付文書も変えていなく、値段も据え置きということのようなのですが、そこの事情は私も詳しくはわかりませんが、今回これに関しては今、室井委員からあったように、何らかの研究班を国として考えていただいて、いわゆる薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)上の問題ではなくて、輸血療養としての研究班みたいなもので、市販後調査というよりも血小板の有効性、エビデンスがある程度出るようなことをやっていただくということをしてもらうほうがいいと思うのですが、事務局としては難しいのですか。今後もいろいろな改良をする、安全性を上げていくというときに、ほかの医薬品と違う部分をどう扱うかというのは、もうちょっとPMDAと相談の余地があるのではないかとは思います。

○田野崎委員長 武井課長どうぞ。

○武井血液対策課長 今、花井委員から御指摘がありましたように、今後似たような仕組みでほかの改善型の製剤が出てくる可能性は十分あると思います。そのときに、かかるコストは適切に評価する必要があると思いますし、それを適切に将来の価格として考えていくということも重要かと思います。そういったさまざまな面で今後、日赤と厚生労働省が省内の関係各課と、より連携しながら対応していきたいと考えておりますし、定期的な協議もこれから行っていきたいと考えているところです。

 それから、研究班に関しては、多分フォローアップを適切に行っていくという点が最も重要かと思いますので、研究班というオプションもありますし、ほかのいろいろなオプションもあるかと思いますので、どういった形できちんと副作用、副反応も含めて有効性・安全性といった点についてフォローアップできるか、検討させていただければと思います。

○田野崎委員長 まだ課題が多い、安全性はいいとして有効性は確認されていないものですし、コストの面もありますし、いろいろな課題があると思いますので、望ましい状態にある患者さんに対して適切に投与されるような指針の改正に努めていただくようにと思います。よろしいでしょうか。

 最後に室井委員どうぞ。

○室井委員 細かいことなのですけれども、改正案の言葉で、「事」と「こと」と「等」と「など」があって、統一されていないみたいなので、例えば新規の8)の一番下の「投与する事が望ましい」の「事」は、その上の表は平仮名になっていますので、多分平仮名が正しいのではないかと思いますが、統一したほうがいいと思います。

○近藤血液対策課長 ありがとうございます。検討させていただきます。

○田野崎委員長 それでは、よろしければ、議題6に移りたいと思います。本議題については参考人として、化学及血清療法研究所より参加者が出席されますので、事務局から参考人の御紹介などをしていただきます。席の移動までお待ちください。

(日本赤十字社 退席)

化学及血清療法研究所 着席)

○田野崎委員長 それでは、お願いします。

○金子血液対策課需給専門官 それでは、事務局より参考人の紹介をさせていただきます。本日は、化学及血清療法研究所より千北一興常務理事・分画事業部門長、羽室強分画事業部門製品開発部次長、以上2名に参加いただいています。よろしくお願いいたします。

 ここで、議題6、化学及血清療法研究所からの報告事項について、資料6により化血研から説明していただきますが、その前に、前回3月9日の運営委員会以降の動きについて報告いたします。

 3月9日の運営委員会で出荷が了承されました各製剤のうち、コンファクトF1,000単位について、3月27日に1ロット1,298本、4月12日に2ロット2,509本。コンファクトF500単位について、4月12日に1ロット2,751本。ノバクトM2,000単位について、4月6日に1ロット2,401本、4月12日に1ロット2,748本をそれぞれ出荷しております。

 それでは、平成28年熊本地震による被災状況等につきまして、化血研から説明していただきます。

○化学及血清療法研究所千北常務理事・分画事業部門長 それでは、平成28年度に起きました熊本地震による被災状況等につきまして、資料6をもって御説明させていただきます。

 まずは、平成28年熊本地震により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 幸いにして、私ども職員におきまして人的被害はございませんでしたことをつけ加えさせていただきます。

 弊所は熊本地震に伴う災害におきまして、弊所が社会に対して担っております製品の生産・供給体制の復旧を最優先に取り組み、製品の安定供給の確保に努めているところでございます。

 以下、簡単ではございますが、このたびの震災による弊所の状況につきまして、御説明・御報告申し上げます。

 まず「1.当初の被災状況」についてでございますが、生産設備・機械等が被害を受けたため、現在も大部分の生産ラインは停止しておりますが、一部の包装ライン等は稼働を開始したところです。今後も復旧した生産ラインから順次稼働を再開してまいりたいと考えているところです。また、受託業務として行っている臨床検査ですが、臨床検査義務は通常どおり実施しているところです。

 「2.震災復旧プロジェクトの設置」でございます。いわゆる前震、14日に起きた地震におきましては大きな被害はございませんでした。しかしながら、本震と言われる4月16日に発生した地震は、その被害の大きさが見ましたので、常務理事をプロジェクトリーダーとする震災復旧プロジェクトを4月16日中に発足して、被害状況の調査、また確認、並びに製品の生産・供給体制の復旧を現在も行っているところです。

 「3.今後の対応について」でございますが、被害の詳細調査を行った上で、本年6月上旬をめどに震災復旧プログラム、これは所内で私どもが読んでいるいわゆる工程表ですが、震災復旧プログラムを策定する予定でございます。この後の復旧状況につきましても、必要な範囲を適宜公表してまいりたいと考えております。

 各製品の生産・供給体制の復旧を最優先に取り組み、製品の安定供給の確保に努めたいと考えているところです。

 甚だ簡単ではございますが、被災状況についての御報告を終わります。

 以上でございます。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 何か御質問ございますか。山口委員どうぞ。

○山口委員 被災されたことにお見舞い申し上げますけれども、1つだけ確認をさせてください。多分、日本のメーカーはそんなに対応できているわけではないと思うのですけれども、今回のように一連のときに貴重な血液製剤もつくられているところがあって、その生産が止まるというのは患者にとっても非常にリスクが高いということで、海外のメーカーなどは生産設備を複数持ったりしていますね、フェイルセーフティーのために。化血の場合は熊本にだけ集中して、しかも、かなり破砕帯のあるようなところにあるような気がしていて、今予算とかそんなものはないのかもしれませんけれども、こういうフェイルセーフティーを考えた生産体制というものも今後は、ほかのことで今はいろいろ考えておられるのだろうと思いますけれども、そういうことも少し考えていただいたほうがいいのかなと思った次第です。

○化学及血清療法研究所千北常務理事・分画事業部門長 ありがとうございました。必要な事案だと思います。考慮いたします。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 復旧プログラム策定が6月上旬なので、この段階では説明が簡単だというのは承知しているのですが、端的に言って私どもが一番心配しているのは、安定供給は大丈夫ですかということだと思いますけれども、在庫を含めて現状ある程度この辺で復旧するだろうという目鼻も今は想定はしていると思います。正式発表は今言えないということだと思いますが、それは大丈夫という理解でいいですか。

○田野崎委員長 課長どうぞ。

○武井血液対策課長 今いただいた御質問は、多分今日皆さんの共通な懸念事項かと思います。実は、需給関係については1社だけでなく、日本国内にある3社全体の流通在庫について、また卸や販社で保管している量も含めて、厚生労働省において今どれくらいのストックとフローがあるのかを調べました。全般的な状況について申し上げると、販社・卸には数カ月以上の在庫があることが判明しており、直ちに供給に影響が生じることはないということで、当面の間安定供給が可能と考えております。

 復旧の進捗状況は引き続き確認させていただきますが、6月上旬に出てくる復旧のプロジェクト案と、他社、販社、卸にある分も含めて、安定供給を図っていくということを国としても考えており、現段階の状況に関して申し上げれば安定供給に当面の間、支障がないと言えると考えております。

○田野崎委員長 大平委員どうぞ。

○大平委員 今、ほかの委員の方たちからも質問がありましたけれども、供給の問題と復旧のプログラムが書かれているのですが、今日の御説明だと割と簡単な形で、今後どうなっていくのかというところは、まだ垣間見ることはできないというところで、今、安定供給には差し障りないという御説明が血液対策課長からありましたけれども、実際は今の生産ラインが大部分停止しているということ。これは、生産ラインとしてどのくらいのダメージがあるのか、あとは、今後どういう流れで、いつぐらいになったらかなりの回復を見込まれているのかというのは、多分少しは考えておられるのではないかと思うのですけれども、その辺は少しお話ししていただけるところはあるのでしょうか。

○化学及血清療法研究所千北常務理事・分画事業部門長 先ほど説明の中で申し上げましたとおり、震災復旧プログラムといういわゆる工程表を作成中でございます。今回の震災は熊本地方で起きましたが、かなり広範にまた激甚の震災でございましたので、例えば、1つの設備の復旧に当たっても、業者さんにお願いしても作業員の確保を業者であったり、優先度合いであったり、また原材料・部材の確保といったところに時間を要しているところがありまして、そこを非常に細かく詰めていっているところです。ですから、復旧プログラムはそういったリードタイムを織り込んで製品の状況について整理する、まとめるというところです。今、鋭意努力しているところでございます。

○田野崎委員長 花井委員どうぞ。

○花井委員 今の話なのですけれども、事務局としていつごろこれが出て、つまり現場は今は震災のニュースが多いので、化血研の状況を現場のお医者さんたちは知っていて、これでは供給はその先滞るのではないかと。だったら、あらかじめ輸入の算段をしなければいけないのではないかという声が現場からちょっと上がったりしていて、状況を速やかに現場に伝えないと、医療現場が混乱するということがあると思います。なので、現段階で大丈夫ですよというメッセージしか今はないので、なるべく速やかに確かな情報を現場に伝えるようにしていただきたいと思います。

○田野崎委員長 武井課長どうぞ。

○武井血液対策課長 なるべく速やかにお伝えしたいと思います。6月上旬と先ほどお話があったと思いますけれども、これは日数で言うと、もう間近ということになると思いますし、数カ月の間は在庫等でカバーできるということも申し上げました。これは裏を返して別の説明をさせていただくと、6月上旬に今後の工程表が出て、こういう形で復旧していくというお話を近々されることになると思います。当面の間は確かに在庫でつなぎますが、将来的には在庫分と新しくラインが復旧された後の新規製剤が、今後スムーズにつながっていくような流れなども、一つの案としてイメージできるかと思います。よろしくお願いいたします。

○田野崎委員長 岡田委員どうぞ。

○岡田委員 分画製剤はコーンの分画法でつくられるので、高濃度のエタノールを使ったりしますけれども、それで安全対策として今回の地震で化血研さんがとっていた安全対策、例えば、アルコールが漏れないようにした対策とか、そういうものが実際の地震を経験して有効に働いたのか、それとも想定以上の力でパイプラインが破損したりとかそういうことがあったのかどうか、参考のために教えていただけると助かるのですが。

○化学及血清療法研究所千北常務理事・分画事業部門長 先生から御質問いただいた点は、今後の私どもの復旧に対して非常に重要な部分でございますので、鋭意検討しております。

 御参考までということでございますが、どちらかというと空調関係等の被害が多うございました。特に場所を言うなら天井裏といった、かなり配管が固定的にされたところが、フレキシビリティーがないということで外れた、水漏れしたということが多うございました。

 一方、プラントそのもの、タンクであるとかクロマトといったものについては、ずれ、あるいは転倒があったのですが、その意味では比較的プラントそのものについての被害は少なかったと認識しております。やはり天井裏といった固定的な配管にひずみが生じたものと思います。

 1点だけでございますが、御参考までにお話ししいたしました。

○化学及血清療法研究所羽室分画事業部門製品開発部次長 補足させていただきます。もう一つ、電源供給につきましても、通常ほかの工場もとっておりますが、自家発電装置を常備しておりまして、今回も非常に短い時間ではあったのですが停電が起きた。ただし、非常発電装置にすぐに置きかわって、特に血漿を保管するような冷凍庫等の温度の逸脱はなかったということでいけば、ある程度の対策はとれていたと認識しております。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。不確定なところとかいろいろあるかもしれないのですが、大変な被災状況の中で復旧プログラムを立ち上げていただいて今やっている最中だとは思いますので、6月上旬ということで皆期待していると思いますので、よろしくお願いいたします。

 事務局、参考人におかれましては、血液製剤の安定供給に支障を来すことがないように、引き続き対応をお願いいたします。

 ここで化血研の関係者の方は、この後打ち合わせがあるために退室されます。どうもありがとうございました。

(化学及血清療法研究所 退室)

○田野崎委員長 では、最後の議題となります、議題7その他です。資料7について、事務局から説明をお願いいたします。

○金子血液対策課需給専門官 資料7「トロンビンの供給停止について」説明させていただきます。

 1.経緯としまして、トロンビンは通常の結紮によって止血困難な小血管、毛細血管、実質臓器からの出血に効能効果がある製剤です。国内3社が製造しておりまして、平成27年度の供給本数は約2.5万本、売上高は約3,700万円です。

 今般、一般社団法人日本血液製剤機構(JB)より、トロンビンについて供給停止としたいとの相談がありました。理由としましては、トロンビン製剤にはヒト由来製剤とウシ由来製剤がありますが、トロンビン市場が減少する中で、ヒト由来製剤のシェアが約2%と小さくなっていること。専用の設備で製造する必要がありまして、少量生産も相まって不採算の状況であることが挙げられ、市場の大半を占めるウシ由来製剤で代替できると考え、販売中止手続に入りたいとのことでした。

 なお、ウシ由来製剤を製造販売するメーカーには、代替品として紹介することを了解いただいており、関係学会からも御理解をいただいたとのことです。

 また、ウシ由来製剤の添付文書に重大な副作用の記載がありますが、国内での報告事例や発現頻度から見て問題ないと考えたとのことです。

 2ページに移りまして、JBからの相談を受け、他の国内2社に問い合わせましたところ、供給停止に関して異論はないとのことでした。

 2.対応案としまして、国内のトロンビン市場におけるヒト由来製剤のシェアが小さくなっており、ウシ由来製剤で代替可能と考えられること、不採算の状況であること、関係学会に御理解いただいたこと、ウシ由来製剤特有の副作用について問題は生じないと考えられることから、トロンビンについて供給停止に向けた手続を進めたいと考えております。

 ただし、原料血漿の有効利用の観点からは、各社において有効利用のためトロンビンを使用した新製品の研究開発の取り組みをお願いいたします。

 また、他製剤の製造工程においてトロンビンを使用している現状や、危機管理上の観点から、承認を整理することにつきましては別途慎重に検討を行います。なお、ウシ由来製剤の副作用について注意深く情報収集を継続し、緊急時に供給できるようフォローアップを行う予定です。

 今後の予定としましては、本日の「運営委員会」、6月の「血液事業部会」で御意見を伺った上で、その後、関係学会や医療機関から供給継続の希望がないかを確認いたします。これらの結果を踏まえた上で、12月開催予定の「血液事業部会」に諮りたいと考えております。

 以上、資料7について簡単ですが、説明させていただきました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。何か御質問ございますか。

 山口委員どうぞ。

○山口委員 多分、止血に使うだけというのだとウシでも結構いけるのだろうと理解いたします。ただ、今、気になっているのは再生医療分野で、フィブリノゲンとトロンビンで例えば軟骨を包埋してそれを使うというケースがあり得るので、いわゆる止血というだけではなくて、もう少し広いところに聞いていただいたほうがいいのかなと。包埋でやるときには、長期にわたってそれが生着するようなことを狙ってやる可能性がありますので、そうすると、抗原性の問題とかが出てくるのではないかとちょっと気になりましたので、もしかしたら再生医療学会とかあるいは別の再生医療関連の学会等にも問い合わせをしていただけるとありがたいなと思いました。

○田野崎委員長 どうもありがとうございます。

 ほかにございますか。大平委員どうぞ。

○大平委員 理由の1つとして不採算な状況というのが挙げられているのと、一番心配するのは、献血血液の有効利用というところにどういう影響があるのかなということです。もう一つは、今出ましたように、ウシ由来製剤特有の副作用としてはBSEの問題やこれまでもいろいろあったわけなので、ここの書きぶりですとそれほど心配していないような表現になっていますけれども、今日の感染症の報告でも出ていましたが、BSEは出ていないということはないということで、今後そういうものが出た場合の代替製剤の問題もきちんと確保しておくという、リスク管理がきちんとできるような体制が必要なのではないかと思います。JBとしては、日本の献血血液の有効利用の付託を負っているというところは、もう一度考えていただきたいなと思っています。

○田野崎委員長 どうもありがとうございました。

 ほかにはよろしいでしょうか。今の御意見を参考にしていただければと思います。

 では、最後に資料8について、事務局より説明をお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 最後に、資料8をご覧ください。「フィブリノゲン製剤納入先医療機関の追加調査について」を御説明いたします。

 フィブリノゲン製剤納入先医療機関を対象として、平成2510月に実施した書面調査についてですが、平成28年4月27日時点での調査結果の内容は、平成28年1月29日に公表した調査結果からの変更はございません。

 以上となります。

○田野崎委員長 よろしいでしょうか。

 そうしましたら、本日の議題は全て終了しましたが、ほかに何か御意見等ありますでしょうか。ないようでしたら、事務局に議事を戻したいと思います。よろしくお願いいたします。

○近藤血液対策課課長補佐 田野崎委員長、ありがとうございました。

 次回の運営委員会の日程は、別途御連絡さしあげたいと思います。

 本日は、長時間にわたり委員の皆様、本当にありがとうございました。これにて「平成28年度第1回血液事業部会運営委員会」を終了いたします。


(了)

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