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2016年2月26日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 資料
○日時
平成28年2月26日(金)16:00~
○場所
厚生労働省専用第22会議室
○出席者
出席委員(18名) 五十音順
◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、○一 色 高 明、 |
生 出 泉太郎、 川 上 正 舒、 塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 |
鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 |
寺 崎 浩 子、 中 谷 武 嗣、 新 見 伸 吾、 濱 口 功、 |
菱 田 和 己、 桃 井 保 子 |
(注)◎部会長 ○部会長代理 |
他参考人1名 |
欠席委員(5名)五十音順
今 井 聡 美、 梅 津 光 生、 齋 藤 知 行、 中 島 康 雄、 |
村 上 輝 夫 |
行政機関出席者
中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長) |
森 和 彦 (大臣官房審議官) |
山 田 雅 信 (審査管理課長) |
宇 津 忍 (安全対策課長) |
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官) |
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長) |
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長) |
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) |
他 |
○議事
○参事官 それでは、まだ鈴木先生が遅れているのですが、間もなくお見えになるのではないかと思いますし、時間にもなりましたので、本日の「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきたいと思います。委員の先生方におかれましては、大変御多忙の中、御出席賜りまして、誠にありがとうございます。本日は医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、現時点で17名の御出席を頂いておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、まず御報告させていただきたいと思います。
○事務局 次に、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降について、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開とします。
これより議事に入りますので、傍聴の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、以後の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 それでは最初に、事務局より配布資料の確認をお願いいたします。
○事務局 公開案件について、資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配布資料一覧、そして当日配布資料の一覧が脇にありますので、これに従って御確認をお願いいたします。資料の数が多いため、資料のタイトルは省略させていただきます。
まずは、配布資料一覧と合わせて御確認ください。資料1-1、資料1-2。あと、1枚紙になるのですが、資料1-3、資料1-4、資料1-5、資料1-6、資料1-7。そして参考資料1となっております。次に当日配布資料の確認をさせていただきます。当日配布資料一覧と合わせて御確認ください。当日配布資料の1-1、1-2、1-3、1-4、1-5、1-6、1-7となっております。
事前に配布した資料のうちの一部を先生方に送付した後に、多少、文言の調整を行いましたので、当日配布資料を用意いたしました。その他の資料につきましては、事前と配布したものと全く同じですが、混乱を避けるために、議題1の資料を全て当日配布として用意し直しました。そのため、議題1においては、事前配布した資料ではなく、当日配布資料を御覧くださいますようお願いいたします。公開案件の資料は以上でございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。資料はおそろいでしょうか。よろしいですか。よろしければこれより議題に入らせていただきます。まず、議題1「高度管理医療機器及び管理医療機器の認証基準制定・改正について」を始めさせていただきます。事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、御説明させていただきます。議題1ではクラスIIIの医療機器の認証基準(案)の制定が2件、それからクラスII医療機器の認証基準の改正が5件あります。まずは当日配布資料1-1を御覧ください。今回、御報告する認証基準(案)は、「自己検査用グルコース測定器認証基準(案)」です。本基準は平成19年に発出している自己検査用グルコース測定器に関する承認基準というのを基にして、引用しているISO15197というISOの最新版である2013年度版を参考に認証基準を作成しております。主要評価項目としては、日間再現性など計5項目を規定しております。以上が資料1-1の御説明になります。
次に、当日配布資料1-2を御覧ください。こちらは「脳神経外科手術用ナビゲーションユニット認証基準(案)」です。2ページ目に参考として、当該基準の対象となる代表的な製品の外観を載せております。脳神経外科手術などの外科手術において、手術器具の位置情報をコンソール上に表示する医療機器です。クラスII医療機器の認証基準である手術用ナビゲーションユニット基準というものを基に、今回、作成しております。主要評価項目としては、距離及び角度計測の測定精度を規定しているものです。以上がクラスIIIの認証基準(案)です。
次に、クラスIIの認証基準の改正の御説明をさせていただきます。当日配布資料1-3から1-7です。こちら5つの認証基準の改正については、いずれの認証基準も当該機器に関する個別のJIS規格というものが制定されたことを受け、今般、改正しているものです。御説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの議題について委員の皆様から御意見、御質問等ありますでしょうか。いかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見がないようでしたら、これで議題1を終了させていただきます。
○参事官 ありがとうございました。それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、大変恐縮ですが、傍聴の皆様には御退席いただきますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。
それでは、準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開させていただきたいと思います。
○事務局 非公開案件について、資料の確認をさせていただきます。資料のタイトルは簡略化させていただきます。配布資料一覧と合わせて御確認ください。
資料2医療機器「iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」について。資料3-1「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」のうち、「心臓用電気手術ユニット」について。資料3-2は3-1と同様であり、こちらは「心臓用冷凍手術ユニット」について。資料3-3も同様で「人工心肺用安全弁」についてです。資料4「再審査報告書(RENASYS創傷治療システム)」について。資料5は部会報告品目について。そして資料6「競合品目・競合企業リスト」となっております。
また、当日配布資料2として、議題2のiStentにおける添付文書の修正(案)があります。非公開案件の資料は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。資料はよろしいでしょうか。それでは、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。まず、本日の審議事項に関与された委員と、利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いします。
○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程に基づき、審議に御参加いただけない委員はおりません。ただし、薬事分科会審議参加規程第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に御参加いただけない委員は、議題2については寺崎委員となっております。この際、御退室いただく必要はありません。
議題3について、委員より寄付金・契約金等の受取りの申告がありましたが、これは薬事分科会参加規程18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で公開することをもって、審議及び議決に加わることができるとなっております。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、特段、御意見等ありますでしょうか。よろしければ皆さんの御了承を頂けたものとして、議題に入らせていただきます。
それでは議題2「医療機器iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特殊保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について審議を始めさせていただきます。
本議題の審議に当たっては、参考人として国立大学法人秋田大学大学院医学系研究科教授であられる吉冨健志先生に御出席いただいております。先生、よろしくお願いいたします。
それではまず、審議品目について事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料2を御覧ください。1枚目が諮問書です。本議題では「医療機器iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御審議をお願いします。
まず、「一般的名称の新設について」という灰色のタグをお引きください。既存の一般的名称のいずれにも該当せず、一般的名称を新設する際には、その一般的名称が高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっております。
新設予定の一般的名称は「ヘパリン使用眼内ドレーン」で、眼内に植え込み、眼圧上昇を緩和するために用いるヘパリン使用人工ドレーンです。1番に示すとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与える恐れがあることからその適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2番に示すとおり、保守点検、修理その他の管理を必要とするものとは考えられないため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切であると考えております。承認の可否等について品目及び審査の概要は、機構、よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料2「iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」について、機構より御説明いたします。当日配布資料2として、添付文書の最終(案)をお配りしておりますので併せて御覧ください。以下の説明においては「iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」を本品と呼ばせていただきます。
本品は眼圧下降薬により治療中の軽度から中等度の開放隅角緑内障の成人患者に対して、眼圧下降を目的として白内障手術に併用することを使用目的とした新しい医療機器です。本品の概要については、審査報告書の4~6ページを御覧ください。
4ページ図1のように、本品はiStentとその挿入器であるインサーターで構成されております。サンプルも準備しておりますので、そちらも御覧ください。
6ページ上、図4、右側のように毛様体で作られた房水は、眼圧を維持しながら前房を通り主に線維柱帯からシュレム管を通って排出されます。iStentは房水排出が阻害されることによる眼圧上昇を抑えるため、図4の左側のように線維柱帯からシュレム管への房水流出路を開存させるように設計されたチタン合金製のL字型小口径管の緑内障インプラントです。少し戻りますが、詳細については、5ページの図2を御覧ください。また、iStentの表面には、ブタ由来のヘパリンによるコーティングが施されております。
次に、開発の経緯を説明します。審査報告書の6ページ中段、「起原又は発見の経緯」を御覧ください。通常の緑内障治療は、点眼剤による眼圧下降のための薬物治療を実施し、症状進行を抑える方法がとられます。疾患が進行するに従って、場合によってはレーザー治療により、眼圧下降させるために房水流出路を形成する方法などもとられます。しかしながら薬物治療にはアドヒアランス不良や副作用の問題があること、レーザー治療には術後に疼痛及び炎症を伴うことなどが報告されております。そのような中で、眼圧下降を目的とする低浸襲の緑内障手術という新しい術式が望まれており、本品はその一つのデバイスとして開発されました。
なお、本品は米国において2012年6月にPMAを取得、欧州において2004年8月にCEマークを取得しております。外国における認可・販売状況については、審査報告書の7ページ表1に示したとおりです。海外での本品の主な位置づけは、本邦と同様に軽度から中等度の開放隅角緑内障の患者において、白内障手術に併用されるデバイスであるとされています。
次に、非臨床試験成績について説明いたします。概略は審査報告書9~14ページに記載しております。本品の仕様設定に関する試験、安定性及び耐久性、物理的、化学的特性、生物学的安全性、磁場との相互作用、性能に関する試験、製造方法に関する試験の成績に関する資料が提出されました。
そのうち、磁場との相互作用については、MRI撮像時の磁場によるアーチファクトや熱の影響、iStentの移動等がないかどうかの評価が行われました。その結果、磁場との相互作用については、3テスラ以下のMRIであれば安全性に問題はないと判断しました。
また、性能に関する試験では、iStentの房水流出の原理に関わる性能評価として、iStentのヘパリンコーティングの親水性により期待される初期流動性の効果や、留置部位での房水流動性の評価として流体抵抗試験を実施し、線維柱帯での流体抵抗と比較してもその流体抵抗はかなり低く、差圧が小さくても房水を適切に排出するための機能が備わっていることの評価が行われました。その結果、iStentの房水流出性能が実証され、そのほかの試験の成績等も踏まえ、審査の結果、特段の問題はないと判断しました。
次に、臨床試験成績について説明いたします。審査報告書14ページ、中段以降に記載されておりますので御覧ください。臨床試験成績において眼圧をIOPとして記載しているため、これ以降、眼圧をIOPと表現いたします。本品の臨床評価に関する資料として、米国で実施された臨床試験成績が提出されました。審査報告書の15ページ、表3を御覧ください。白内障手術に併用し、軽度から中等度の開放隅角緑内障患者へ本品を適応する効果を実証するため、表3にある臨床試験の「主な患者選択基準及び除外基準」が設定され、被験者240眼を本品と白内障手術を併用した治療群又は白内障手術単独の対照群に振り分けて評価されました。
審査報告書17ページを御覧ください。有効性評価項目は、緑内障治療の方針であるIOP下降の効果であるとし、術後12か月時点において、IOP下降薬が不要でIOPが21mmHg以下を達成した被験者の割合と設定されました。また、副次評価項目は術後12か月時点においてIOP下降薬は不要で、ベースラインからのIOP下降が20%以上を達成した被験者の割合と設定されました。表4に示すとおり、主要評価項目及び副次評価項目において、対照群と比較して本品を併用した治療群の効果は有意に高くなっておりました。
安全性評価について、審査報告書18ページを御覧ください。有害事象の発生割合は両群とも低く、本品使用に係る有害事象の発生以外に、本品併用群と対照群に特徴的な差は見られず、また、本品使用に係る有害事象についても、重篤又は未知な安全上の懸念事項はありませんでした。
次に、本品の審査における主な論点について説明いたします。一つ目の論点は、「臨床的位置づけについて」です。審査報告書24ページを御覧ください。iStentは緑内障治療の方針とされるIOP下降を実現するため、房水の自然流出路である線維柱帯に挿入され、房水を排出しやすくするデバイスとして、非臨床での性能試験からも房水を適切に排出できる性能を持つことが確認されています。また、白内障手術と併用を考慮することで、眼の内側から挿入するため結膜を温存可能であり、将来の治療の選択肢が確保できること。水晶体を除去することで前房が深くなり隅角が開放され、iStentを留置しやすくなることから、白内障手術を必要とする軽度から中等度の開放隅角緑内障患者に対する新たな治療法に用いられる医療機器として、臨床的な意義はあると考えます。
一方で、既存の緑内障治療や重度の緑内障治療との関係性から、本品の適応となる軽度から中等度の開放隅角緑内障については、臨床試験でのエントリー基準等を考慮し、緑内障の視野欠損を有しており、静的視野計にて平均偏差が-12dBよりも良く、固視点近傍10度以内に絶対暗点のない症例として、添付文書において情報提供を行うことといたしました。
二つ目の論点は、「本邦への外挿性について」です。審査報告書26ページを御覧ください。本臨床試験の患者背景を詳細に解析した結果、白内障手術を受ける軽度から中等度の開放隅角緑内障において、本邦でも同様の背景を持つ患者は存在するため、米国の試験結果を本邦に外挿し、本品の有効性を検証することは妥当であると判断しました。
一方、欧米人に比べて、日本人は前房が浅い等の眼の構造の違いはありますが、臨床的位置づけにおいても説明したとおり、白内障手術の併用を前提としているため、水晶体を除去することで前房が深くなり隅角が開放されることから、眼の構造の違いによる本品適応に係るリスクは許容される範囲内であると考えました。
続いて、日本人の原発性開放隅角緑内障患者の92%は、IOPが正常範囲内である正常眼圧緑内障に分類されるとの報告があり、本品の正常眼圧緑内障への適応について御説明いたします。審査報告書27ページを御覧ください。正常眼圧緑内障についても、治療方針はIOPを下降することとされています。iStentは非臨床での性能試験からも、差圧が小さくても房水を適切に排出できる性能を持つことが確認されており、原理的には正常眼圧患者でも本品の有効性はあるものの、米国での臨床試験で検証された正常眼圧以外の患者と比較した場合には、その有効性が低くなる可能があると考えられます。したがって、本邦での本品の正常眼圧緑内障への適応については、使用上の注意として添付文書に記載する必要があると判断しました。
三つ目の論点は、有効性についてです。審査報告書28ページを御覧ください。まず、本品を適応した際の点眼剤として使用されるIOP下降薬の減少について御説明いたします。本臨床試験で評価項目とはされていませんでしたが、表11は臨床試験を行う前に休薬した後、白内障手術を受け、本品を適応した後の治療群と対照群のIOP下降薬の使用状況を示しています。また、表12には、臨床試験前のスクリーニング時から、臨床試験後のIOP下降薬の使用数の増減を示しています。本臨床試験成績は、術後12か月時点において、対照群と比較して治療群でIOP下降薬への使用数の減少を認めています。したがって、本品の使用によりIOP下降と使用薬剤の減少という有効性が得られると判断しました。
続いて、長期有効性について御説明いたします。審査報告書30ページ下段を御覧ください。本臨床試験は、術後12か月を有効性評価の主要エンドポイントとし、本臨床試験終了後の追加解析により術後24か月時点での有効性の評価をしていますが、症例の補足という点で、現時点では長期有効性の判断を行うにはデータが不十分であると考えました。本品を適応しながらIOPをコントロールし緑内障の症状進行がどの程度まで抑えられるのか、また病状進行を踏まえて個々の患者のその後の緑内障治療はどのようにするのか、検討する上でも必要な情報として、本臨床試験において1年を超えての長期の有効性及び安全性は十分に確認されていない旨を、添付文書によって記載することとしました。
四つ目の論点は、安全性についてです。審査報告書33ページを御覧ください。本臨床試験及び海外での使用成績調査における本品固有の有害事象として、iStent位置異常、抜去、再挿入、閉塞、及びインサーターに関する不具合が報告されていますが、発生割合が低く、重篤な後遺症は報告されておりません。一方、解剖学的に挿入部位に近い角膜内皮細胞に与える影響については、本臨床試験では評価項目に含まれてはいないものの、本品の米国製造販売後臨床試験でも求められているところであり、注視する必要があると考えます。
本臨床試験におけるiStent挿入成功までの回数を、審査報告書36ページ表16に記載しております。36ページを御覧ください。本品は既存の眼内ドレーンとは適応及び術式が異なり、眼の内側からの手技でシュレム管内及び線維柱帯に埋植する術式として一般的ではなく、本臨床試験においても正確に挿入できるまでに一定の経験を要しております。また、iStent挿入後に必要となる治療への影響を考慮し、iStentの挿入位置も含めて周知できる患者カードを作成し、製品ごとに提供するといった対応も行うことなどから、眼科学会が主体となり作成している適性使用指針を遵守した上で、本品の適応や有害事象への対処に関する知識を講習等により周知することについて、次の承認条件として付すことが妥当と判断しました。緑内障治療に対する十分な知識・経験を有する医師が、関連学会と協力して作成された適正使用指針を遵守し、講習の受講により、本品を用いた治療に関する技能や手技に伴う合併症等に関する知識を得る等、本品が適切に用いられるよう必要な措置を講じることとしております。
五つ目の論点は、使用成績調査についてです。審査報告書36ページ中段を御覧ください。臨床試験では、本品のIOP下降効果及び併用するIOP下降薬の減少に関して、12か月を超えた長期的な有効性について、再解析による24か月までの一定の評価はありつつもそのエビデンスが不足していること。角膜内皮細胞への影響や、前房の浅い日本人の眼の形態的特徴から、欧米人に比較して、iStentの閉塞が起こりやすい可能性があること。本邦では正常眼圧緑内障など開放隅角緑内障における病型の割合が欧米とは異なり、本品の適応に関して日本人特有の情報収集等が必要なため、使用成績調査が必要と判断しました。
本使用成績調査では、本邦での症例を踏まえた長期的な有効性を検証するため、症例の追跡期間は2年とし、その有効性の観点から200眼が必要と判断しています。また、販売準備に3か月、症例登録に1年6か月、調査票の回収及び解析に3か月が必要と考え、使用成績調査期間は計4年としました。以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。また、本品の原材料としてヘパリンナトリウムが用いられているため、生物由来製品に該当すると判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
最後になりますが、先ほど、当日配布資料として取り急ぎ配布させていただきました3名の専門委員の御意見を踏まえ、審査を行いましたことを申し添えます。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、参考人の吉冨先生より御意見を頂けますか。
○吉冨参考人 このiStentは非常に侵襲の低い緑内障手術として、今、注目されており、実はほかにもいろいろあるのですけれども、非常に簡単に挿入できるというところがメリットで非常に注目はされています。 iStentの性能自体は、今、御説明があったようにシュレム管に房水流出を促すということで非常に論理的、それから物理学的には有効であるというふうに考えられるのですが、ただ、米国臨床試験の結果を拝見しますと、17ページにありますように治療群と対照群で、白内障手術をしただけでも眼圧がある程度下がるということは昔から知られているのですが、21mmHg以下まで下がった例が治療群で68%、対照群が50%です。有意差は出ているので有効ではあるのですけれども、効果としてはものすごく有効というわけではないと思います。ただ、非常に手技として簡単と言ってはあれですが、低侵襲でできるというところが非常にメリットであると考えています。
ただ、先ほども御説明がありましたように、日本の場合には緑内障で正常眼圧緑内障という、眼圧がそれほど高くない症例が非常に多くを占めていますので、この有効性に関する結果につきましても我が国で独自に調べないと、これほどの差は出ないかもしれないという心配もありますので、使用成績調査というのは必要であろうと考えています。
白内障手術と同時にやるのを原則とするというのは、非常にいいと思いますけれども、更に海外では、1回で下がらなかったら何回か入れるということをしている施設もあると聞いたのですが、安全性としては1本分でMRIとかの3テスラで安全性が確認されていますけれども、2本も3本も入れてどうなるかというのは、まだエビデンスが不足していると思いますので、1本使用を原則とするというのは非常にいいことだと思います。
それから、適正使用に関してアメリカでも行われていますけれども、眼科学会の適正使用指針の中で適応となる条件を定めて、それから使用に関して技能及び知識が必要であるので、適正使用指針として医師基準を定め、それからトレーニングを含めた講習会を行うというのは非常に大事なことだと思います。緑内障は開放隅角緑内障にしても、40歳以上の人口の3.9%が開放隅角緑内障というのが多治見スタディで分かっています。また白内障の手術というのが、今、手術の中でも非常に多い手術ですので、際限なくやっていくと相当の手術件数になり、今まで報告されていないようなiStentの脱落とか、そういう副作用が出てきた場合に、いろいろ対処が大変なことになるかもしれないので、ある程度トレーニングを含めた講習会を行って、適正使用を厳密にすることは必要であろうと考えています。全体として、このiStentは侵襲性の低い緑内障手術として世界でいろいろと注目されていますし、日本で導入することに基本的に異議はありません。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、本件につきまして委員の皆様から御意見、御質問等、いかがでしょうか。
○寺崎委員 お願いします。一つ、添付文書の新しいものを当日配布資料2で頂きましたけれども、2ページで【使用上の注意】の<重要な基本的注意>の1番に、先ほど御説明がありました「正常眼圧緑内障患者に対する有効性及び安全性が確立されていない」と書いてあります。正常眼圧緑内障と思われても、逆に眼圧が夜間に高い人もいますので、これが書いてあると使いにくいというようなこともあるかと思います。これは確立されていないという説明でもいいのですが、<重要な基本的注意>の1番にこれが書いてあって、同じ所の7番に「小児」と書いてあるのです。ここに「有効性及び安全性が確立されていない」と書いてあり、重さが同じように書いてあるように見えますので、順番を変えてはどうでしょうか。
もう1点、続けてよろしいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○寺崎委員 関連してですが、添付文書の1枚目の【使用目的、効能又は効果】の所に、MD値が-12dBよりもあまり進んでいない緑内障に使用するということですけれども、-12dBは、現代的な考えではかなり進行した緑内障という考えもあると思いますので、このものを使うことによって、もっと眼圧を下げる正式な緑内障手術の時期を遅らせないかということが危惧されます。本方法で十分に下がらない場合には速やかに違う方法にするなどの文言がどこかにあったほうがいいと思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。第1点の書き振りですね。結構、この添付文書は使用上の注意の特に7番の中身が多いですね。この辺の内容の重みと書き振りのバランスということに関しては、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より説明させていただきます。正常眼圧緑内障につきましては、審査の論点で述べさせていただきましたように、日本では約9割の患者さんが正常眼圧緑内障と言われていますので、特に注意喚起する必要があるとして1番に挙げさせていただいています。小児につきましては、本品の使用目的を見ていただくと分かるのですが、開放隅角緑内障の成人患者に対してとさせていただいていますので、小児については適応外と考えています。こちらの7番については必要に応じて見直しをさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 7番の書き振りに関しては、適応外ということを言われたわけですが、要するに書き振りで重い、軽いを付けましょうということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。添付文書として、その記載振りについては調整させていただきます。
○荒井部会長 もう一つの御質問、「MDの値が-12dBよりも」という所ですが、ここについてはいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、眼圧の下降効果が微妙な場合には、観血的手術とかレーザー手術も含めて検討する必要がありますので、その点も注意喚起として見直しをさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 ここは臨床的な判断の部分かと思いますので、もし吉冨先生から御意見がありましたら、この点につきましていかがでしょうか。
○吉冨参考人 寺崎先生のおっしゃるとおりだと思います。ただ、この添付文書の一番最初の【禁忌・禁止】の所に、「続発閉塞隅角緑内障の眼に使用しないこと」と書いてあり、7番にある、ぶどう膜炎緑内障、血管障害を伴う緑内障、慢性炎症を有する眼というのは全て続発緑内障に入るものですので、さらにもう1回、付け加えているというところで、7番だけで駄目と言っているわけではないということだと思います。小児は確かに禁忌だと思いますので、禁忌に入れてしまってもいいかなという気もします。
○寺崎委員 分かりました。まさか小児に入れる人はいない。よく考えてから入れるでしょうということですので、分かりにくい正常眼圧緑内障のところを注意喚起するという意味では、これを1番に持って来るのは妥当なことかなとお聞きして思いましたので、それでいいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 あと<重要な基本的注意>の9番の所に、現状では「本品留置後の未知の有害事象の発生や症状進行に伴う他の治療の選択を検討するために、術後の経過観察を慎重に行うこと」という形で文言を追加しています。その辺の書き振りをもうちょっと充足したほうがいいということであれば、今後、添付文書の整備をさせていただきたいと思います。
○荒井部会長 添付文書につきましては、しばらく話題になって、最近は随分すっきりとしてきているのですが、全部を精読する人は希だと思います。よって、順位付けはとても大事だと思います。その辺の御意見を伺って、ここはまた検討していただくということでよろしいですか。お願いいたします。そのほか御意見、いかがでしょうか。
一つだけ、先ほど参考人の先生がおっしゃったのですが、これは質量が非常に小さいので1個ならいいのかなと思って伺っていましたが、最近は3テスラというのはマックスではなく、7テスラというのも入ってきています。また、ある意味MRIという特異な領域でもありますので、この辺についてはちょっと心配かなとも感じています。ちょっと見てもこんなものが入っているとは絶対に分かりませんから、その辺についての対応はいかがなものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 MRIにつきましては、添付文書において撮像条件を記載させていただいていますとともに、患者さんに対しては、確かに埋め込んだことを覚えておいてもらうことと把握してもらうためにも、患者カードという形で各患者さんにお渡しして、どこにiStentが入っているか、右眼なのか左眼なのかを含めて患者カードをお渡しする予定ですので、それで情報提供を行っていきたいと思います。
○荒井部会長 是非、その辺はお願いします。眼科で受けた処置に関して患者さんが、例えば脳外の領域で検査を行うといった場合に、あまり自己申告はしてくれませんし見ても分からない。MRの施行にあたっては金属探知器を使う所も結構ありますが、これは絶対引っ掛かりませんから、そういった点では十分な対応をお願いいたします。
○一色部会長代理 このデバイスに有用性が認められ、これを承認するということについて反対をする立場では全くないのですが、一つだけ質問させていただきたいと思います。海外データを外挿するのみで日本人を対象とした治験を行わないまま機器が承認されるということは、新規の埋植型のデバイスとしては、非常に珍しいケースではないかという印象を持っています。特に私の専門の心臓領域では決してあり得ないことだったからです。これまでに蓄積された海外データから安全性が証明されているためと判断されたものと理解はしているのですが、機構の審査の基準にダブルスタンダードが存在しているのではないのかと思えてしまうところがあります。
今後の機構の方針として、安全性に大きな問題がないことが海外データから想定されたものについては、今回のように前向きに認可し、その後のPMSでしっかりと評価をしていく。これが領域を問わずそういう方向にあるという理解をしていいのかについてお伺いしたいと思いました。
○荒井部会長 これは非常に重要な御指摘です。責任を持っての御発言をお願いします。
○医療機器審査第三部長 本品は植込型の医療機器ということですが、先ほど御説明がありましたとおり、本品に関しては大きな人種差はないというふうに判断しました。疾患や病態等、個々のデバイスに応じで判断すべきことだと思いますが、本品に関しては病態の特徴も欧米とそう変わらず、白内障手術によって隅角が確保されるので、新たな日本人の治験までは必要ないだろうと判断させていただきました。ただし、36ページの表16にありますとおり、挿入術に関しては1回できっちり操作ができなかったということで、手技的なトレーニングは必要です。販売開始の際のトレーニングとして、きっちり学会と協力してやっていってもらうということとしております。
他の領域の植込型デバイスに関しては、新規性の高い手技だから日本でも治験をやるというような考えではないのですが、今回のような考えを取り入れることで、より早く迅速に市場に投入できるよう前向きに考えています。ただし、個々に判断する必要があると考えております。
○荒井部会長 よろしいですか。
○一色部会長代理 日本人に独特の状況があるということを注意書きに書いてあるにもかかわらず、日本人のデータなしで承認することになったので、そこが気になったということです。ありがとうございます。
○荒井部会長 今の点につきまして何か御意見はありますか。
○中谷委員 私も実はそこのところを奇異に感じました。心臓などでもそうは言いながら6例とか、非常に少数例でも治験を行って確認しようということでこれまできているのですが、今の考え方でいくと、ある程度経験をふんできたからいけるというふうになると思います。その方向転換をする一つのきっかけだとするなら、それでもいいと思います。確かに今、一色先生が言われたところは今後の課題であると思います。その辺は、この部会としても個々に決めていくとして、今回はそうすべきだと思いますし、これに関する注意喚起等々を含めて今回は認めるとか、そういう断り書きと言ったらおかしいですが、この部会としてはそういうことも踏まえてということを明確にしておかないと、今後新たなものの審査において今回と同じではないかという論理に対してどう答えるのか。今だけの説明ではちょっと論破されるような気がします。ちょっとそこは危惧します。
○荒井部会長 この点につきましては、特に追加の御発言はありませんか。基本的には個別にある程度ジャッジしなければいけない段階に来ているという認識を、皆さんがお持ちだと思いますが。どうぞ。
○上席審議役 医療機器を担当しております上席審議役でございます。先ほど日本人のデータ、特に日本人に多い正常眼圧緑内障の適応に関する考え方につきましては、事務のほうから御説明させていただきました。具体的には審査報告書の27ページでございます。そういうところで理論的なものと解剖学的なものを含めて、今回は判断させていただいたというところです。さらに新たな今後の考え方として全て治験を求めるのではなく、症状、その他に応じて開発に関してデータを求めるか、求めないかを決めていく。それで積極的に早く医療機器を日本の世の中に出していくという考えは、部長のほうから御説明させていただきました。
もう一つは、これが実際に世の中に出た後のリスクがどの程度あるのかというところも、我々として考えなければいけないところがあります。そこも先ほど安全性について御説明を申し上げ、その中で施術の際のリスクに関してはトレーニングをしっかりやらせるということと、あと今日、当日配布で恐縮ですけれども、先ほどの<重要な基本的注意>の1番に、こういう形で有効性及び安全性については確立されていないということ。それから前後しますけれども、その前の【警告】の欄で実際に対象となるものを限定させていただく。この形でリスクについても私どもとしては確保できると。こういうことを判断して今回の場合には、この形で承認して差し支えないのではないかとして、お出しをした状況です。これが全て、今後も同じケースでいくかどうかというのはありますので、そこは今後のリスク・アンド・ベネフィットを考えながら、個々の製品ごとに判断していくことになるかと思います。
○中谷委員 今説明されたことを明確にしておいたほうがいいと思って質問させていただきました。もう1点、違うことでいいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○中谷委員 MRIのことですが、特に緊急患者において迅速に処置をするためにということで、できる限りMRIを撮ってということになってきています。2,3年前CRTD等々の審査でもMRIオーケーのものをどうするかで、だいぶ問題になったと思います。CRTDはまだ心臓絡みの話なので、国循など循環器をやっている病院では気にはするのですが、今回の検討を見ると、これだったらオーケーというのを眼科の人がやっていて、これだけで全科にわたる診療の可能性のあるのを大丈夫とするのはちょっと危険な気がします。少なくともMRIをやっている所に、こういう人が来たら注意するとか、どうするかは難しいですが、そういうのを周知することをやっておく必要があると思います。今回は特に3テスラとか制限がありますね。その取扱いによっては大問題になる可能性は十分あると思うのです。だから、これで使うなとは言いませんが、今後、このようなMRIへの対応が必要な医療機器がいっぱい出てくると思うので、これを契機に何らかの方策を考えておかないといけないのではないかと考えます。
○荒井部会長 ありがとうございます。以前、確かに循環器のペースメーカーのときに、そういったディスカッションがあったと思います。患者カードはいわゆる受けた側へのアクセスにあたりますが、逆にMRを使っている施設に対するアクセスなどの計画はいかがでしょうか。
○医療機器審査第三部長 特に、現状では、こういったインプラント製品を植込まれた患者さんには、インプラント手帳とかインプラントカードというものを発行し、他の疾患等で他病院に行かれてMRIを撮る場合、その病院でこれらのカードを提示するよう、植込み患者さんに説明しています。今、御指摘にあったのは、一方のMRIを撮る施設とか、放射線技師の方々に対し、こういった製品が世の中にあるよというアナウンスは、ということだと理解しましたが、まだ今はそこまで考えていませんでしたので、今後、放射線技師会などといったMRIを扱う学会等にどういうふうにアナウンスするか、考えたいと思います。ありがとうございます。
○荒井部会長 是非、この点は。どうぞ。
○参事官 今の話ですが、結局、これはMRI対応製品だということですけれども、多分、これからいろいろ強度の強いものが出てきた場合にどうするか。元のデータが非常に大事なので、ここの部分はリスクがある、ないというのは製造元にも定期的に情報をもらって、何かリスクがあり得るようなことがあれば、そこを重点的に情報提供していくことも考えたほうがいいのではないかと思います。そういうふうにお願いできませんか。
○荒井部会長 対象症例がかなり多くなるのかなとも感じています。患者さん側へのアクセスと、MRで検査をする側への両方へのアクセスを併せて御検討いただくということで、よろしいでしょうか。
先ほど、一色委員の御質問から始まったことに関してですが、この部会がダブルスタンダードで臨むということはあり得ません。今回のものについては、患者さんの背景、人種の違い、安全性も含めて判断できたので、まずは承認する。そして、きちっとPMSをやっていき、サーベイランスを行って、そこでも評価する。そういう手順も決して除外はしないという考え方だと思います。ただし、どのような機器について、どのような手順をとるかについては、個別に判断していくという理解でよろしいですか。
○川上委員 少ししつこいようですが、海外データだけというのは実は前にもございます。ここで審議させていただくのに、私は事前の意見書を出させていただいたのですが、そのときに全く日本人の臨床データがなくて承認されたことがあります。それは戻れば記録があると思いますが、体に埋め込む人工血管だったか何かそういったものです。その中の説明に、海外の臨床試験の中に日本人の体形と同じような体格の人たちが含まれているという文言があり、それでいいのだという形だったので、私はそのデータの中で日本人の体格に合う人だけを抽出して、有効性及び安全性を検証すべきなのではないかという意見を出させていただいたことがあります。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○参事官 海外臨床データの活用については非常に古くて新しい問題と言いますか、ずっと議論があるところだと思います。基本的には臨床試験ですから、デバイスの有効性及び安全性を臨床試験でしかどうしても見れないので、それを求めるのだと。それが海外の臨床試験の結果と日本の医療状況を考えたときに、外挿性があるのかというのが基本だと思います。デバイスの難しいところは、そこに手技が絡んでまいりますので、それをどういうふうに見込んでいくのかということだと思いますが、基本的に手技による差というものについては、どちらかというと、先ほどから話が出ているようにトレーニングで本当は考えていくべき問題だろうと思っています。そういったことも基本的にはケース、ケースで考えていくことですが、ただ、どういったものが本当に必要なのかとか、臨床試験に対する考え方など、なるべく文書化したものを作っていきたいという気持ちもあり、別途、研究班を立ち上げて臨床試験の考え方についてもやっていますので、そういった中で、今日もいろいろ御議論いただきましたけれども、また整理をしていきたいと思います。
○荒井部会長 ありがとうございます。大変重要な問題でしたが、この点について方向について御理解いただいたということでよろしいでしょうか。そのほかに御意見はございますか。よろしいですか。よろしければ議決に入らせていただきます。
医療機器「iStent トラベキュラー マイクロバイパス ステント システム」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、高度管理医療機器に指定し、特定保守管理医療機器へは指定せず、生物由来製品に指定すること、としてよろしいでしょうか。更に使用成績評価の対象期間を4年として指定させていただいて、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この結果につきましては次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題2を終了させていただきます。吉冨先生、ありがとうございました。
続きまして、議題3「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に進ませていただきます。まず、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。それでは議題3につきまして、資料3-1から3-3に基づき御説明させていただきます。議題2でも御説明させていただきましたとおり、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して、新たに一般的名称を新設する際には、当該一般的名称が高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて指定することになっています。
資料3-1を御覧ください。1ページ目の諮問書をおめくりいただき、2ページ目の「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設を予定する一般的名称は「心臓用電気手術ユニット」です。このページの中段、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由に記載していますとおり、電気手術ユニットに関するクラスIIIの一般的名称は複数存在しています。しかし、今回、一般的名称の新設が必要と考える品目は、外科的開胸手術で心臓に直接接触してプローブ等を用いて使用することを意図したものであり、クラスIVの高度管理医療機器に該当するため、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しています。当該一般的名称に該当する品目の概要に関しては4ページ目に記載しているとおりです。また、保守点検、修理、その他の管理に専門的な知識及び技能を必要とすることから、その適切な管理が求められるものと考えられるため、特定保守管理医療機器に指定されるものと考えています。
続きまして、資料3-2を御覧ください。1ページ目の諮問書をおめくりいただき、2ページ目の新設を予定する一般的名称は「心臓用冷凍手術ユニット」になります。先ほどは高周波を用いて心筋組織を焼灼するものでしたが、本一般的名称は心筋組織を冷凍凝固させるものになります。このページの中段、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由において、先ほどと同様に、冷凍手術ユニットに関するクラスIIIの一般的名称は複数存在していますが、今回、一般的名称の新設が必要と考える品目は、やはり心臓に直接接触して使用することを意図したものであり、クラスIVの高度管理医療機器に該当するため、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しています。当該一般的名称に該当する品目の概要は4ページ目の資料のとおりです。また、先ほどと同様の考え方に基づき、特定保守管理医療機器に指定されるものと考えています。
最後になりますが、資料3-3を御覧ください。1ページ目の諮問書をおめくりいただき、2ページ目の新設を予定する一般的名称は「人工心肺用安全弁」になります。このページの中段、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由に記載のとおり、人工心肺用の安全弁を含む一般的名称として「人工心肺用回路システム」というものが存在しますが、本品は安全弁のみでありクラス分類が異なります。また、安全弁単体としての名称としては「左心室ライン吸引コントロール用バルブ」が存在していますが、本品は左心室ラインに設置するものではなく、使用用途も違うため、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しています。当該一般的名称に該当する品目の概要は4ページ目の資料にあるとおりです。副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に与える影響の恐れがあることから、その適切な管理が必要と考えられるため、管理医療機器クラスIIに指定されるものと考えています。また、本品は単回使用であり、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えています。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。最初の2品目はもともとクラスIVがないというものです。最後のものに関してはクラス分類が該当しないということでの提案ですが、ただいまの御説明につきまして委員の方々から御意見、御質問等はございますか。よろしいでしょうか。特に御意見がございませんでしたら議決に入らせていただきます。
「心臓用電気手術ユニット」につきましては、本部会として高度管理医療機器、そして特定保守管理医療機器に指定することとして、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。
「心臓用冷凍手術ユニット」につきまして、本部会として高度管理医療機器、そして特定保守管理医療機器として指定することとして、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。
最後に「人工心肺用安全弁」につきまして、同じく本部会として管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器には指定しないこととして、よろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この結果につきましては、次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題3を終了といたします。
続きまして、議題4に進ませていただきます。医療機器「RENASYS創傷治療システム」の再審査結果について、まず、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より、議第4、医療機器の再審査結果について御報告いたします。資料4になります。再審査は、改正前の薬事法第14条の4に基づき、原則、新しい医療機器について再審査期間を定め、承認後の使用成績等の調査を行わせるもので、その調査資料に基づいて有効性及び安全性の再確認を行うことを目的とした制度です。
今回、再審査結果報告を行うのは「RENASYS創傷治療システム」です。申請者はスミス・アンド・ネフュー ウンド マネジメント株式会社です。1枚目中段にありますように、本品は管理された陰圧を付加することで、既存療法に奏効しない、あるいは奏効しないと考えられる難治性創傷の治癒の促進をする陰圧閉鎖療法システムです。承認から1年間の症例登録で105例が登録され、安全性及び有効性について調査されましたが、特段の問題はありませんでした。このため、旧薬事法第14条第2項第3号のイからハまでのいずれにも該当しない。すなわち再審査結果の区分を、効能・効果、用法・用量などの承認事項について、変更の必要がないカテゴリー1と判断しています。以上の報告については、事前に委員の先生方に資料をお送りさせていただいていますので、簡単な御説明とさせていただきました。以上、御報告いたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。本件につきまして、委員の方々から御意見、御質問等はありますでしょうか。よろしいですか。よろしければ、これで議題4を終了させていただきます。
それでは最後、議題5に進ませていただきます。「部会報告品目について」、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 議題5「部会報告品目について」、資料5に沿って御説明いたします。横向きの資料になります。平成27年10月から平成27年12月末までの3か月間に承認された品目のうち、クラスIVの医療機器、臨床評価が必要なクラスIIIの医療機器、承認基準外の体外診断用医薬品など、本部会への報告対象となっている品目についてまとめています。1ページから13ページが医療機器で、一番最後の14ページが体外診断用医薬品になります。医療機器は70品目、体外診断用医薬品は7品目あります。これらの資料につきましても事前に委員の先生方に送付していますので、この場では詳細な説明は割愛させていただきます。御報告は以上になります。
○荒井部会長 ありがとうございます。この件につきまして委員の方々から御意見、御質問、よろしいでしょうか。特に御意見がございませんでしたら、これにて議題5を終了させていただきます。これで本日、予定されました議題は全て終了いたしました。事務局のほうから何かございますか。
○参事官 ありがとうございました。私のほうからは次回の部会の予定を御報告させていただきたいと思います。少し空いてしまいますけれども、次回の部会といたしましては、5月13日(金)の10時から12時を予定しています。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。委員の方々から特に御発言はございますか。よろしいでしょうか。お陰様で今日は大変早く審議が進みました。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。
※ 備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。
連絡先:医薬・生活衛生局審査管理課 医療機器・再生医療製品等審査管理室 室長 柳沼(内線4226)
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医療機器・体外診断薬部会)> 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 資料(2016年2月26日)