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2016年1月15日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成28年1月15日(金)13:00~


○場所

厚生労働省講堂


○出席者

出席委員(17名) 五十音順

◎荒 井 保 明、 荒 川 義 弘、 石 井 明 子、 ○一 色 高 明、
今 井 聡 美、 梅 津 光 生、 生 出 泉太郎、 齋 藤 知 行、
塩 川 芳 昭、 正 田 良 介、 鈴 木 邦 彦、 武 谷 雄 二、
寺 崎 浩 子、 中 島 康 雄、 中 谷 武 嗣、 新 見 伸 吾、
村 上 輝 夫
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人3名

欠席委員(6名)五十音順

川 上 正 舒、 田 島 優 子、 千 葉 敏 雄、 濱 口 功、
菱 田 和 己、 桃 井 保 子

行政機関出席者

中 垣 英 明 (医薬・生活衛生局長)
森   和 彦 (大臣官房審議官)
山 田 雅 信 (審査管理課長)
宇 津   忍 (安全対策課長)
磯 部 総一郎 (大臣官房参事官)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
俵 木 登美子 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催したいと思います。委員の先生方におかれましては大変御多忙の中を御出席賜り、誠にありがとうございます。

 本日は医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、現時点で15名の御出席をいただいております。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、まず御報告させていただきたいと思います。

○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については医療機器の承認審査などに関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開とします。

 これより議事に入りますので、傍聴者の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは荒井部会長、以後の進行についてお願いいたします。

○荒井部会長 それでは始めさせていただきます。まず初めに事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 公開案件について資料の確認をいたします。議事次第の下に配布資料一覧、クリップで止めております当日配布資料の一覧がありますので、これに従って御確認をお願いいたします。資料の数が非常に多いため、資料のタイトルに関しては省略させていただきます。

 まずは配布資料一覧と合わせて御確認ください。資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料1-4、そして大きな資料の山の一番下にあると思いますが参考資料1となります。

 次に当日配布資料の確認をさせていただきます。当日配布資料の一覧と併せて御確認ください。当日配布資料1-1、当日配布資料1-2、当日配布資料1-3、当日配布資料1-4、当日配布資料1-5、当日配布資料1-6、公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。それでは議題1、「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」につきまして。はじめに、まずガイドライン()について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題1、「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」について事務局から御説明させていただきます。

 資料1-1から資料1-4について、事前に委員の先生方に配布させていただきました。資料1-4について、会議前に委員から御指摘を頂き一部修正をさせていただき、更に資料1-3も少しレイアウトの変更等がありました。混乱するかと思いましたので、同じ資料も含まれておりますが、当日配布資料1-1から1-4という形で丸々置き換えさせていただきました。申し訳ありません。なので、本日御確認いただく資料は当日配布資料1-1から1-6までのほうということで御議論いただければと思います、よろしくお願いいたします。

 それでは、内容について御説明させていただきます。本ガイドライン()については前回、11月の部会において議論を頂き、委員の皆様から様々な御意見を頂くとともに、パブリックコメントを実施して差し支えない旨の御了解を頂いたところです。本日は昨年1120日から1219日に実施したパブリックコメントの結果と、これを受けて私どもで検討させていただいた対応方針について御説明するとともに、その内容について御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、パブリックコメントの御意見と回答()ということで当日資料の1-3を御確認ください。1枚めくっていただき、中身を御説明させていただきます。各欄につきましては一番左が通番の番号を付番したもの、真ん中がパブリックコメントに対して頂いた御意見、右側が当省の考え方ということになります。

 1から御説明させていただきます。1について、以下に述べる医学的見地を踏まえ、適正使用を確認するための対策を含めた四つの条件付きで、転用には異議をはさまないという御意見を頂いております。

 その下に1から4とあります。まず1として、本検査薬は既に保険薬として収載をされているので、医療機関において実際に使用されている。したがって、今般のガイドラインにより、一般用検査薬となっても保険薬としての収載は変更しない。2、本検査薬は精度の点で「本検査薬が陰性だから、妊娠しない」ということから、避妊の目的で使用することは危険である。したがって、ガイドライン添付文書に注意事項として、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することには適していないので、避妊の目的で用いることを禁じる」と記載をする。3については、医師の指導が無い状況で使用した場合、適正に使用されたかどうかを調査して確認する。4として、購入した方が適正な使用ができるよう、自ら確認するためのチェックシートを用意することという4点を頂いております。

 それに対して当省側の考え方を右に書いております。まず、1の保険上の取扱いにつきましては今回パブリックコメントの対象ではありませんが、御意見として承り関係部局と共有し、今後の行政の参考とさせていただきたいと考えております。

 2について、添付文書の記載の修正については御指摘のとおり修正をして、避妊に使用できないことを明確化させていただきました。更には適正使用のため、購入者自身がメカニズムと原理を理解して、避妊目的に使えないことを理解いただく必要がありますので、製造販売業者に対し、説明資材を作成して販売業者が販売時に十分な説明を行えるよう努めさせることを、指導していきたいと考えております。さらには、適正使用確認のための調査及び適正使用を自己チェックできるチェックシートについても準備するべく、承認時に製造販売業者に対して指導をするというような対応を考えております。

 引続きその下、2の御意見についてです。これについても1と似たような御意見です。まず()()のほうで、本検査薬は使用に対して医学的知見を必要とする。なので薬局等での対面販売時の説明では十分に理解が得られないのではないかという御意見がありました。さらにはその下、()()として、医師による排卵日推測でも本検査薬は精度が低い。したがって目的外使用が一番懸念をされ、避妊目的に使用ができないのではないかという御意見を頂いています。これについて右側、1と同じような御回答ですけれども、販売者に向けて必要な知識について研修を行い、販売に当たっては十分説明をしていただくとともにチェックシート等の調査を行う。さらに()()として、品質確認についてはOTCといえども適切に担保されるので精度は担保されるのですが、やはり排卵日の予測に当たって限界があること、さらには次のページ、目的外に使用できないことについては十分説明を行って、調査等も行わせていただく形を設けております。

 さらに3として、避妊目的で使えない理由として、精子が3日以上生存する可能性があることを記載してほしいということを頂きました。これについてはガイドラインに反映させていただきました。

 4、販売者への説明は必須でも、購入者へは必須としないでほしいということでした。御意見はこれだけなのですが、多分説明なしで買いたいという購入者側からの御希望の御意見だろうと、こちらとして理解をしております。これにつきましてはその右、購入者への適切な配慮が必要な一方、今まで御説明したとおり適正使用のためには原理とメカニズムを把握をして、不適切使用が行われないことを十分理解していただく必要があります。それについては説明を適切に行いたいとさせていただいております。

 その下、5、LHと排卵の関係性に科学的根拠が乏しいのであれば、保険診療から排除すべきではという御意見を頂きました。これについては、尿中のLHサージと排卵には関係性があるということは科学的知見が示されている一方、御指摘のように陽性であっても排卵が確認されないケースがあります。この事象は限定的に発生するものなので、トータルとして臨床的意義を損なうものではないということを回答させていただきたいと思います。その他、誤記修正等ありましたので適切に修正をいたしました。以上がパブリックコメントの内容です。

 具体的に、どのようにガイドラインに反映をさせたかということについては、当日配布資料1-1と当日配布資料1-2を御覧ください。1-1が修正したガイドラインの本体、1-2のほうがその修正箇所を抜き出して横表のリストにまとめたものです。

 変更箇所については1-2のほうに従って御説明させていただきます。欄としては、左にガイドラインの該当箇所のページ、その右側に修正後のもの、更にその右が修正前ということで、修正後の所を御確認いただければと思います。

 まず、先ほどパブリックコメントの1で指摘がありましたように、避妊目的に使用しないことの理由を明確にということですので、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することは適していないので、避妊の目的で用いてはいけません」というように修正させていただきました。

 さらにはその下に括弧書で書いてありますが、これは非常に重要なことですので、上記内容については文字色などにより注意内容が適切に伝わるよう、各社工夫して表示をするということもガイドラインに含めております。

 その下の欄、13ページの所、使用上の注意の部分については上と同様の修正です。その下、これもパブリックコメント対応ですが、精子は体内で3日以上生存する可能性があることから避妊には使えませんということについて追記させていただいています。

 その下、15ページから下については、今御説明した2点を同じ場所にも反映させていただく。あと、誤記の記載整備の修正ということなので説明は割愛をさせていただきます。以上のような形でガイドライン()を修正し、案の最終とさせていただきたいと考えております。

 最後、パブリックコメントの1で御指摘いただきました、適正使用調査と購入者のセルフ・チェックシートの内容について、どういうことを考えているか、当日配布資料1-4を御確認ください。ここに今御説明させていただいた丸1適正使用調査と丸2セルフ・チェックシートということで、具体的にどういうことを考えているのかを書かせていただきました。

 まず丸1から御説明させていただきます。適正使用調査として、目的は検査薬の購入者が適正に使用しているかどうかの実態を把握するため、購入者が調査票を製造販売業者に送付する調査を製造販売業者の責任として行うことを考えています。

 内容にいきまして、調査内容は使用目的、販売時の説明等の分かりやすさを問う内容とする。その下に●がありますが、購入の目的の確認、販売時の説明、資材の分かりやすさの確認、さらには委員から御指摘いただいて追加したところになりますが、使用目的の確認のためのチェックシートの記載は理解できたか。このチェックシートの話は後で出てきます。さらにはその下、チェックシートの記載内容を守って使用することができたか、使用後の判定が自ら可能であったか、使用後の医師の診療の有無等について考えているところです。

 調査方法、期間としては、販売される全ての製品に調査票を同封するとともに、購入者に記入していただいた調査票を製造販売業者宛てに送付してもらうこととしています。調査期間については2年を設定させていただいているところです。その下、※で別途、製造販売業者が薬局に対して適正使用に係る説明の確認調査を行うことも考えているところです。以上が丸1適正使用の調査です。

 その下、丸2のチェックシートですが、目的は検査薬の購入者が自ら使用目的を確認するためのチェックシートを、販売時に販売店から購入者に提供することとしています。内容については、ガイドラインの添付文書に記載させていただいている「してはいけないこと」及び「相談すること」から抜粋し、避妊目的に使用できないとか異常がある場合は検査薬を使用せず医療機関を受診するといったことを確認することとする。そのチェックシートとして活用していただくための資料を作っていただきたいと考えています。以上が今般のパブリックコメントの御意見とその対応です。

 今後の流れとしては、本日の部会において御審議いただき、もし御了解いただきましたらパブリックコメント、回答ともに当該ガイドラインを通知として発出し、このガイドラインに従って具体的な製品が審査される予定となっています。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問等はありますでしょうか。

○荒川委員 パブリックコメントの内容ではないのですが、以前、この会で指摘させていただいたように、例えば1-1の4ページ目にある「相談すること」ということで、丸2、丸3に医師、薬剤師(又は登録販売者)に相談することとあります。登録販売者の現状からすると、これは削除すべきではないでしょうか。僅か1日、2日の講習会を受けただけで、フォローアップも全然されていない、これでは解説にあるような内容を理解できるとは思えません。これは以前も指摘させていただいたのですが、やはり削除したほうがよろしいのではないでしょうか。

○参事官 実は、ここの所で括弧書で記載させていただいているのは、こちらの医療機器・体外診断薬部会の御議論が終わった後、本日の資料で申し上げますと当日配布資料1-6を御覧いただけますでしょうか、当日配布資料1-6の一番裏のページ、最後のページにフローチャートがあります。これを御覧いただきながらお聞きください。業界において検討を行いガイドライン()を作成して厚生労働省がチェック、機構の評価を行い、医療機器・体外診断薬部会の報告書に基づき議論をしてパブリックコメントを実施、その下の医療機器・体外診断薬部会、ここに今議論がきているわけです。

 右のほうを御覧いただきますと、この部会が終わった後、販売規制をどうするのかということで、具体的には1類医薬品にするのか2類医薬品にするのかということですが、このリスク区分については医薬品等安全対策部会で御議論いただきます。この結果を受けて、実際に先ほどの括弧書を入れるのか入れないのか決まるということで、こちらの部会ではとりあえず括弧書がどうなるかまだ分かりませんので、入れさせていただいております。先生の御意見についてはきちんと担当の部局にもお伝えしたいと思います、以上です。

○鈴木委員 幾つか質問や意見を述べさせていただきたいと思います。まず、ガイドラインの添付文書案の所です。4ページを見ると修正はしていただいているのですが、1行目の所、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することには適していないので」という文章があります。「適していない」という表現は十分ではない可能性もあるように思われます。

 同じ所、例えば13ページ目、別紙3-2、販売者向けの説明資料事例です。下のほうに(解説)として「避妊目的に設計されていません」、一番下の所に「確実に避妊できるものではありません」とあるように、どうして駄目なのかをもう少しはっきり書いたほうが分かりやすいのではないかと思います。要するに、「適していない」という表現では使用してはいけない理由が十分に伝わらないのではないかと考えられます。

 同じく17ページ、これは「お客様用ご使用の手引き」ですから、別紙3-2が渡されるということだと思います。ここにも最初には「適していない」という言葉がありますが、20ページには「避妊目的に設計されていません」、「確実に避妊できるものではありません」と書いてあります。しかし、ここまで読まれる方がどのぐらいいるでしょうか。添付文書のみを御覧になってお使いになる方が、多いのではないのかという気がします。最初の部分に、「避妊目的に設計されていません」とか「確実に避妊できるものではありません」といった、はっきりとした表現を入れたほうがいいのではないか、御検討いただければと思います。

 資料1-3、3ページ、4のパブリックコメントに、「販売者への説明は必須でも購入者へは必須としないでほしい」とあります。これは黙って渡してほしいとも取れますが、プライバシーの配慮をもっとしてほしいとも考えられますので、プライバシーの配慮が十分されているかどうか。例えば医療機関なら個室とか、そうでなくても、関係者以外第三者はいないわけですけれども、周りに一般の人がいるような所で、先ほど説明があったような話をされるのは嫌だという方もいらっしゃると思います。だから説明をせず売るのではなく、必要だから誰がいてもやるというのでもなく、ほかの人に聞こえないようにするような距離やパーテーションの設置といった配慮は、必要ではないかと思いますので、御検討いただけたらと思いますし、お考えを伺えたらと思います。

 2ページの1のパブリックコメントの一つ目の質問に対する事務局の答え方ですが、ここは担当が違うからとして非常に曖昧な書き方になっています。担当が違うということは分かりますし、担当される所は、医療保険上の話ですから保険局のどこかということになるのでしょうが、そことは十分連携していると考えていいのかどうか。自分の所ではないから知らないということではなく、実際にはきちんと連携は取っていると考えていいのかを確認させていただきたいと思います。

 1-4の適正使用調査等の所ですが、これは適正使用調査、製造販売業者の薬局に対しての適正使用に係る説明の確認調査、それにチェックシートの3つがあると思います。この適正使用調査についてはやりっ放しではなく、PDCAサイクルを回して改善できるよう、中間報告や最終報告をしっかり当部会にしていただきたいと思います。

 また、丸1の下の※に「別途、製造販売業者が薬局に対して適正使用に係る説明の確認調査を行う」とありますが、これも言いっ放しではなく、しっかり中間報告や最終報告を当部会に行っていただきたいと思います。

 丸2のチェックシートですが、これも渡しっ放しではなく、利用状況の中間報告や最終報告を当部会に行うようにすべきだろうと考えます。これらについての事務局のお考えを聞かせていただければと思います。

 先ほども御説明や御質問もありましたが、リスク区分の検討は当部会ではなく、今後医薬品等安全対策部会で行われるとのことです。我々としては1類が望ましいと考えますけれども、2年間調査するので2年後に再検討ということになるのでしょうが、その際にも、これらの適正使用調査、確認調査やチェックシートの利用状況調査の結果を踏まえて十分議論をしていただきたいと思います。販売後もそれらの議論は医薬品等安全対策部会で行われると理解していいのかを確認させていただきたいと思います。

 最後、一般用検査薬はただ売ればいいというものではなく、医療機関へのアクセスが良い我が国においては、使用者が一般用検査薬を利用することによって、より医療機関へアクセスしやすくなることを目的として使用もすべきであり、そのような運用がされることが必要であると考えます。以上、質問と意見を述べさせていただきました。

○荒井部会長 ありがとうございます。大きく分けて6点ほどの御質問を頂いたと思います。まず、「避妊の目的でない」ということの表現形、ならびに、できればそれを誰もが読む最初のところに持ってきてはどうかという点、についていかがでしょうか。

 避妊の目的では使わないということをもう少しはっきりとした表現にして、かつ、誰もが見る添付文書の最初の所で示すべきではないかという御意見です。この点についていかがでしょうか。

○参事官 まず、今の御意見については確かにおっしゃる部分もあろうかと思います。表現ぶりについては、もう一度工夫させていただきたいと思います。

○荒井部会長 次にプライバシーへの配慮。実際に店頭で購入する場合には他人の目もあるが、その辺についての対応はどうか、ということについては。

○生出委員 薬剤師会の生出です。プライバシーの配慮に関しては二つ考え方があると思います。一つは気軽に薬局やドラッグストアの店頭で相談しながら購入したいという生活者の方々、それとプライバシーを守っていただいて、話し声が通らないような形で相談したいという方の2通りあると思います。現状、薬局には薬局の施設基準というものがあり、約5万8,000軒ほどの薬局のうち3万軒が施設基準に該当しているわけです。その中で、基準調剤加算の施設基準として、薬局の求められる機能と在るべき姿が一昨年の1月に公表されているのです。薬学管理等の内容がほかの患者に漏れ聞こえる場合があることを踏まえ、患者との会話のやり取りがほかの患者に聞こえないよう、パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有することということが今のところ、努力規定ではありますが、形としてどんどん増えてきております。今後はそのような対応ができる薬局がどんどん増えていくものと思われます。プライバシーへの配慮ということに関しては、薬局の対応はそのような形になっているということを御報告申し上げました。

○参事官 鈴木委員のお話について、確かに購入者の実際を考えますと、そういう御意見があるのはごもっともだという気がいたします。そういったことの注意喚起の通知をする際に何らかの形で記載をすることも含め、ちょっと考えてみたいと思います。

○荒井部会長 三つ目に御指摘いただいた点。いわゆる保険薬としての扱いについてですが、これについてはいかがでしょうか。

○参事官 一般用検査ができることにより、今、尿中の黄体形成ホルモン、LHの検査については保険適用になっています。その取扱いを変更するなという御意見です。それに関しては、先ほど鈴木委員からもお話がありましたが保険適用の可否については保険局のほうの所管ですので、この意見については既に保険局のほうにはきちんとお伝えしているところです。

 一応、事実関係として申し上げますと、これまでいわゆる一般用検査薬で認められているものが三つあります。妊娠検査薬と尿糖検査薬、それから尿たん白検査薬とございます。妊娠はちょっと別だと思いますが、尿糖検査薬と尿たん白検査薬については平成2年に承認されて提供されています。もう20数年たっていますが、保険上の取扱いが変わったのかというと変わっておりませんということは事実としてあります。

 保険局の立場をここで今御披露するのもあれですので、きちんとお伝えもして、私どもとしてはこういった御趣旨を保険局にきちんと伝えていることを、まずここではお話しさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 次は、適正使用調査、あるいはチェックリストといったものを必ずPDCAサイクルに乗せて、もう一度こちらにリターンしていただきたい、ひいてはその後のリスク区分にも、調査の結果が反映されるよう対応していただきたいという、これは要望というように伺いましたが、いかがでしょうか。

○参事官 こちらの御意見についても、ごもっともな意見と思っております。こういった調査はやりっ放しは意味がありません。調査した結果をこちらで大変御議論いただき、今回のガイドラインに進めていただいておりますので、この部会にきちんと御報告させていただき、どういう状況かも、きちんと委員の先生方に見ていただき、その後どうしていくのかについては、きちんとやらせていただきたいと思っています。

○荒井部会長 鈴木委員の最後の御質問、これはなかなか難しいところがありますが、いわゆる一般用検査薬によって医療機関へのアクセスがむしろ活発になるような方向に向けられないかという点について、その辺の考え方はいかがでしょうか。

○参事官 これにつきましては、もともと作った一般原則、当日配布資料1-6、先ほど通知を御覧いただきました。ページで言いますと当日配布資料1-6の7ページ、別添2という所を御覧いただきたいと思います。この4ページ、一般用検査薬の導入に関する一般原則についてということで、一番冒頭に、一般用検査薬を正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資するように体制を整えるとあります。こういう前提の下、こういう基本的考え方の下に進めていくということです。前回の部会でもお話申し上げたように、お子さんを欲しいと思っておられる御夫婦で、まだお子さんがおられない方々に関しては、まだ医療機関にかかられていない方もそれなりの数がいるという結果でした。そういった方々に対し、こういったものを提供することにより、自分の体調を確認して受診につなげていくというのが本旨ですので、我々としてはそういう考え方で進めていきたいと思っています。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見はございますか。

○今井委員 今井です。まず最初、先ほどの御意見についてなのですが、現実に忙しい生活を営んでいる女性で性交機会が少なく、それで不妊になっている人の中には病気が隠れている人もいると思います。そのような方は、単に機会が少なくて自分は妊娠しないと思っている可能性があります。このようなものを使うことによって、例えばずっと陰性、ずっと陽性という結果が出てきたときに恐らく怖くなって受診なさると思うので、受診機会を提供することにはなる。ここまでは意見です。

 あと、添付文書のほうで、まず2ページ目の用語で「スポット」の意味が分かりません。「スポットが認められた」、又は「スポットが認められた場合」というのがあるのですが、多分一般人はスポットと言われても分からないと思います。

 5ページ目の一番上、月経周期から検査開始日の表が出ています。*付きで「月経開始日から数えて何日目から検査するかを示します」と書いてあるのですが、パッと見てすぐに分からない部分があります。*を付けないで、検査開始日というのは月経開始から5日目、6日目、7日目というようにしてしまったほうが、もしかしたら分かりやすいのではないか。

 今度は7ページ、今時、説明書というのは病院で頂く説明書も言葉が非常にこなれて、堅苦しい表現が少なくて読みやすくなっています。7ページ目の使用に際しての注意という所、「検査前に、過剰に水分をとることを控えてください」とあります。この辺、非常に小さいことなのですが、「水分をとらないでください」ともう言ってしまっていいのではないかと思います。

 8ページ目の保管及び取扱い上の注意の所、前回御意見申し上げて入れていただいた丸3、冷蔵庫内保管についてはの後、長く書いてあって、最後に「避けること」と書いてあります。ここもまず禁止を言ってしまって、冷蔵庫内保管は避けること、その後ろに理由を書いたほうが読みやすいような気がします。

 7ページ目の判定に関する注意の所、正確に書こうとなさっていることで記述も多く、一般人にとっては気持ちがふっと離れてしまうような難しい表現が多くなっている部分があります。前の「相談すること」とも関わってくるのですが、結局自分がどこに該当するのかが一目で分かるような見出し、つまり検査初日に陽性になった場合、それから検査を続けていても陰性が続く場合、陽性が続く場合、順番が適切ではないかもしれませんが、検査をきちんとして適切な時期に性交しても妊娠しない場合と、四つに分かれていると思います。

 そのうち、医師の受診を必要とするものとそうでないものに分け、これは使ってからの注意になるのですが、妊娠、分娩後、流産後、胞状奇胎・絨毛がんなどというのはむしろ、購入前に相談できることに入るのではないかと私は感じます。ここに関しては、検査してから自分で気付くことと、購入前相談で購入を避けるように指導すべきことと、購入をするのではなくて受診するように指導することとが交ざっているように感じます。

 最後にQ&Aが付いていますが、Q&Aを付けてしまうほうがいいと私も思いました。Q&Aが付いている点は素晴らしいと思います。ただ、1、2日検査を忘れてしまうというケースが発生すると思います。そのときにどうすればいいのですかという点を付け加えていただけると、お金がかかっていることですので、今回はパスして次回の生理周期から始めたほうがいいのかとか、考え出す人が出てくるのではないかと想像しました。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます、かなり多数の御指摘がありました。

○参事官 全般的にごもっともだと思います。なるべく分かりやすく、誤解のないようにするのは大事なことだと思います。そういった方向で修文を作りたいと思います。作ったものについてはまた、今井先生に御覧いただいて、このようなものでいいのかどうか見ていただいた上で、またほかの先生方にも配布させていただき確認するという段取りで、もしよろしければ進めさせていただきたいと思います。

○荒井部会長 ありがとうございました。そういう手順でよろしいでしょうか。

○武谷委員 これは前回も議論されたようですが、私は欠席したので、今、発言するのもはばかられるところではありますが、お許しいただきたいと思います。この資料1-1で、今井委員も少し触れましたが、例えば、最初の2ページですが、このイラストが4、5か所出てきます。全部共通ですが、この結果という所で、LHサージが検出されましたというので、「初めて陽性になった日かその翌日が最も妊娠しやすい性交時期」というのは分かります。ただ、括弧で「検査初日から陽性になった場合は、陽性が続く場合もありますので、検査の結果がでるまで検査してください」という記載に関し、この場合に、これを使うユーザーは、いつが妊娠可能時期かが分からないのではないかと思います。この場合には性交を控えろというメッセージなのか、そこで直ちに性交を行うのかと。ですから、これは少し舌足らずな表現になるかと思います。恐らく最初に出たら、その日に性交していただきたいということがよろしいのではないかと思います。

 それから、陽性と確認できたら、陰性になるまで見なくてよくて、初日が陽性ならば、そのときだけ陰性になるまで見なければいけないと。この理由はどういうことなのでしょうか。恐らく今言った流産や分娩などの特殊な非特異的な背景があるかもしれないと。それだとしたら、陰性があってから陽転した場合には、その可能性は確かにないかもしれませんが、それらをチェックするために陰性を確認しろという指示をしていることになるのですか。少しそこが分かりにくいかと思うのですが。幾つかあるのですが、まず第1点です。

○参事官 一応、ここで書いた心は、実はこれまでの事例で、いろいろメーカーの方にもお聞きしていると、ずっと陽性が続く方がどうしてもいると。その場合は異常なので、受診ということを聞いており、そのことでこういう書きぶりにしております。もし、よろしければ、また修正したいと思います。

○武谷委員 そうですね、ちょっとその辺りが一般の方にどう伝わるのかが第1点と、それから、先ほどの性交のタイミングに、この場合には、ユーザーは迷うと思うのですね。最初から陽性だったら、これは妊娠しても何かまずいことがあるのではないかと思い、パスしてしまう人もいるかもしれないので、あえて書くのなら、初日から陽性になった場合にも、その日は性交時期ですとは書きづらいところはありますが、そういう機会を持つようにしていただきたいということを書いていただくほうがよろしいのではないでしょうか。

○参事官 ありがとうございます。案文を作り先生に見ていただいて、適切な表現にしたいと思います。

○武谷委員 それから、これも共通なのですが、例えば13ページに(解説)というものがありますが、これは販売者、薬局向け、あるいは添付文書、クライアント、ユーザー、全部に共通に書いてあるのですが、中段のほうです。不妊治療にはhCGとか、これはあっさり書いてありますね。例えば19ページのお客様用の所を見ていただくと分かるのですが、(判定に関する注意)で最下段の所で、少なくともFSH、TSH、hCG等々について判定結果への影響が認められた場合には記載を行うと。これはお客様にこういうことを要求するのですか。お客様にとってはFSHやTSHなどはさっぱり分からないのではないかと思うのですね。これは医師がやったとしても、これがどの影響を与えたかは分からないし、恐らく医師でさえも病院でこれをやっても、どれが影響したかは分からない。それから偽陽性か偽陰性かという判断も、どういう場合にするのでしょうか。

○参事官 これは間違いです。大変恥ずかしいことで、実はこれは、承認申請の際に、こういう交絡因子の確認をメーカーが実際にデータを取るときに、こういうものと交絡するかどうかを確認するためのもので、それがこんな所に入ってしまっていて、大変恥ずかしい話ですが、この部分は全く削除ということで。

○武谷委員 削除ですか。

○事務局 こちらの記載ですが、メーカーのほうで今後、個別の品目について、これらの物質が偽陰性・偽陽性に影響を与えるかどうか確認していただくことになります。その結果、偽陰性・偽陽性など、判定結果に影響が出ることが分かった暁には、その内容について、ここに追記していただきたいといった趣旨の次第です。ですから、「記載を行うこと」という記載が少し分かりにくかったのですが、記載を行うのはメーカー側になると御理解いただければと思います。

○荒井部会長 今の御意見は、むしろこれがお客様用の使用の手引きに、こういったことまで踏み込んで書くことが、本当に適切かどうかという御指摘だと思います。何でも正しいことを書けば全部いいというわけではなく、読んだ人が分からなければ意味がありませんから、そこは一度整理したほうがいいと思います。

○参事官 よく分かりました。例えばエタノールなどがあった場合、例えばアルコールを飲んだ後はとか、お酒を飲んだ後は少しぶれますよとか、そういうことはないのかもしれませんが、データに基づいて、いわゆる一般の方が読んで分かるような部分を考えるようにしたいと思います。確かにFSHとかホルモンの関係を書いても、さすがにあれなので、大変それは申し訳ないと思います。基本的には先ほど御説明したとおりで、一旦削除させていただいて、必要なものを記載するなどの修正をしたいと思います。

○荒井部会長 よろしくお願いします。

○武谷委員 もう一つ、20ページのQ&Aを御覧になっていただきたいのですが、これはパブコメでも説明されていましたが、(してはいけないことについて)の丸1避妊目的には使用してはいけないのでしょうか、その説明の中段から、赤字はいいとして、精子は体内で3日以上生存する可能性があること。その次、LHサージの前に排卵が起きる場合ですが、これは生殖生理学の根本的なパラダイムを変えてしまう表現なのです。これは恐らく本キットではLHサージが検出できなくても、この場面で検出できないということであって、LHサージの前に排卵が起きる場合と医師の国家試験に出して、これを排卵があるとしたらバツですので、これは一発で落ちますね。そこのところをあくまでも、実際にいろいろ使ってみて、いろいろな事情で使用が不適切だった、あるいは手技が不適切であった、あるいはタイミングが悪かったという、いろいろな理由で本キットでいうLHサージにしていただかないと。実際に生体内でLHサージが起こらないで、自然排卵が起こるということは、生殖生理学を根本から覆す表現になりますので、そこの言い回しを変えていただきたいと思います。

 要するに、これが一人歩きすると、本委員は全部LHサージがなくて排卵があるのだと認めたという立場になるのです。私も産婦人科を昔にやっていたので、これを看過したかというそしりを受けることになるので、そこは少し表現を書き換えていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○参事官 大変申し訳ございません。了解いたしました。実はここで記載したのは、海外の文献で尿中のLHの検出ができなくても、排卵との関係は必ずしもパラレルにならないというのがあり、それでここに表現したのですが、確かに正確には先生のおっしゃるとおりだと思います。実際に検出できなかったのは、いろいろな理由で検出できないことがあると思いますので、それらをはっきりとさせるように修正したいと思います。

○生出委員 この後、LHサージの件で排卵日検査薬が承認されていくと思うのですが、先ほども荒川委員や鈴木委員からもお話がありましたように、今後、医薬品等安全対策部会でリスク区分するということでしたが、当日配布している1-4を見ますと、調査表を入れて、今後、調査期間を2年間とすると書いてあります。従来の意味での内服におけるリスク区分とはまた違うと思うのですが、いろいろな形で今日のお話を聞いていても、薬剤師が説明しなければいけないことが多々あるような気がするので、是非、要望として、第1類医薬品に該当するのではないかと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○安全対策課長 御意見ありがとうございます。安全対策課ですが、先ほど、御説明がありましたように、この部会が終わった後、リスク区分については医薬品等安全対策部会のほうで御審議いただくことになっております。この部会で御意見があったことを御紹介しつつ、御検討いただきたいと思っております。ありがとうございました。

○荒井部会長 よろしくお願いします。そのほか、よろしいでしょうか。

○正田委員 本当に細かい話なのですが、先ほどから判定の所が少し気になっていて、判定の表が四つ、4ページにわたって出ているのですが、右側の表現が二つほど微妙に違った表現になっているので、これは最終的にはそろえてもらえるのですよね。2ページと6ページと12ページと18ページの判定の表の右側、翌日以降と書いてあったり、今回は出ませんでしたとあるのですが、それが違うことです。あと、先ほど今井委員がおっしゃったことで、私は医療従事者なのですが、やはりスポットのことは分からないので。それだけではなくて、その後の、「前日と比べてラインの本数が増加した場合」というのが分からない、例えば、初日は判定のラインがマイナスだったのが、翌日は下の陰性の所にあるように、薄い線が出たら、それは陽性と考えるのですか。と言うか、この例示自体が少し、全体として非常に分かりにくいのが少し気になるので、整理していただくといいと思います。例えばスポットの前に前日と比べてなのか、文言の中でスポットという言葉がどこにどのように掛かっているのか少し分かりにくい所があるので、これを例に各社が作って、肝心な判定の所でみんなが混乱してはしょうがないかなと心配になったので意見しました。

○参事官 もう一度よく確認したいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは特にほかに御意見がなければ、これで議題1を終了させていただきます。

○参事官 御議論ありがとうございました。本日の御意見で幾つか修正の箇所がありますが、その修正をした上でガイドラインとして認めていただけたと理解させていただきました。先ほどから申し上げたように、幾つかの点で修正する必要がありますので、事務局のほうで修文を作り、各委員に御確認をいただき、その上でガイドラインの発出を進めていきたいと思います。2月中のなるべく早いうちに出せればと思っていますが、それをめどに発出の準備をさせていただきたいと思います。ガイドラインの発出がされますと、メーカーのほうから、これに沿った形での一般用検査薬の申請があろうかと思います。そういった段取りで進めていきたいと思っております。以上です。

 以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様には申し訳ございませんが、御退室いただければと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。

○参事官 準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開させていただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、非公開の議題に係る配布資料の確認をさせていただきます。配布資料一覧及び当日の配布資料一覧に従って御確認をお願いいたします。公開案件の資料と同様に資料の数が多いため、資料のタイトルは省略させていただきます。まずは配布資料一覧と併せて御確認ください。資料2、医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」について。資料3、医療機器「サンコンKyoto-CS」について。資料4、医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」について。そして資料5、資料6、競合品目・競合企業リストとなります。

 次に、当日配布資料の確認を行います。当日配布資料一覧と併せて御確認ください。当日配布資料の2-1、2-2、2-3、3-1、3-2、3-3、3-4、4-1、4-2、4-3、非公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はおそろいでしょうか。よろしければ、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。まず、本日の審議事項に関与した委員と、利益相反に関する申出状況について事務局から報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程に基づき、審議に参加いただけない委員はございません。ただし、薬事分科会審議参加規定第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に御参加いただけない委員は、議題4について一色委員となっております。この際、御退室いただく必要はございません。議題5については、委員より寄付金・契約金等の受取の申告がありましたが、これは薬事分科会審議参加規定第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で公開することをもって、審議及び議決に加わることができるとなっております。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見等ありますでしょうか。よろしければ皆様の御了解を頂いたものとして、議題に入らせていただきます。

 それでは議題2、「医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、審議を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として国立大学法人千葉大学名誉教授であられる平澤博之先生にお越しいただいております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、審議品目について事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題2についてですが、資料2を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について御審議いただきますが、それに先立ちまして、本品の審査の概要について御説明いたします。機構の担当の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、資料の訂正があります。当日配布資料2-1を御覧ください。事前に配布した審査報告書に修正がありますので、正誤表にてお示ししました。また、添付文書案についても修正がありますので、当日配布資料2-2としてお配りしております。修正がありますことをお詫び申し上げます。

 次に、当日配布資料2-3の本品目の専門委員を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しします3名の専門委員の御意見を頂きました。それでは、品目の概要について御説明いたします。資料2、一番上のタブ、審査報告書、5ページの図1を御覧ください。本品は体温管理を行うことを目的に、下大静脈に留置して使用するバルーン付中心静脈カテーテルです。既承認品「サーモガードシステム」のコンソール/装置本体に設置した本品のスタートアップキットと、本品のバルーン付中心静脈カテーテルを接続し、コンソール/装置本体で目標体温を設定して使用します。動作を開始すると接続されたスタートアップキットとバルーン付中心静脈カテーテル内を温度が調節された生理食塩水が循環し、バルーン付中心静脈カテーテルを留置した下大静脈で血液と熱交換をすることで、全身の体温管理を行います。開発の経緯については、審査報告書6ページから10ページに概略を記載しております。

 審査報告書6ページ下、イ.項を御覧ください。低体温療法は、国内外の蘇生医療の現場で行われている心停止・心拍再開後の患者に対する集学的治療の一つであり、脳の虚血再灌流傷害を抑制し、神経学的転帰の改善を期待する治療法として行われています。本邦では、氷嚢や体表面を冷却する医療機器を使用する方法などで行われておりますが、体表面を冷却する方法では目標体温までの到達時間を要すること、医師・看護師をはじめとする医療従事者による管理作業の負担が少なくないことなどが課題として挙げられており、本品は、これらの課題を解決するために開発された医療機器です。

 審査報告書の8ページ、表1.を御覧ください。既承認品サーモガードシステムの構成品CLカテーテルと本品との差分を記載しております。既承認品は、中心静脈用カテーテルを必要とする急性重症脳障害に伴う発熱患者に対し、発熱負荷を軽減するための解熱剤、冷却用ブランケット等の補助としての使用目的で、平成24年6月に承認されております。本品はCLカテーテルの設計及び技術を基に、バルーンの数を増やし、血液との接触面積を増やすことで熱交換性能の向上を図り、効率的で管理された体温調節を可能としたため、JRC蘇生ガイドライン2010において推奨されている低体温療法を使用目的に追加する申請に至りました。しかしながら、本申請の審査期間中である201510月にJRC蘇生ガイドライン2015が発行され、それまで推奨されていた治療内容も変更されました。

 審査報告書の9ページ、表2.を御覧ください。推奨される体温管理の内容に関する比較を記載しております。JRC蘇生ガイドライン2015において、目標体温は3236℃に拡大されました。また、治療方法の呼称については、低体温療法ではなく、体温管理療法とすることが望ましいとされたことから、JRC蘇生ガイドライン2010において推奨される体温管理に基づく治療を低体温療法、JRC蘇生ガイドライン2015に基づく治療を体温管理療法と区別して使用しています。

 提示された非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書の13ページから記載しております。安定性及び耐久性、生物学的安全性、機器の性能を裏付ける試験、効能を裏付ける試験、及び使用方法を裏付ける試験成績が提出され、審査の結果、血栓に関するリスク評価以外は、特段の問題がないことが示されました。血栓に関するリスクについては、臨床試験成績と併せて検討することといたしました。

 提出された臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書19ページ下段に記載しております。2013月~2014月に国内で実施された、心原性が疑われる内因性心停止・心拍再開後の患者を対象として、低体温療法が行えることを検証することが目的の、非盲検、単一群、前向き、多施設共同試験です。登録被験者数25人、有効性評価採用被験者数24人、安全性評価採用被験者数25人で評価されました。

 審査報告書23ページ中段、主要評価項目を御覧ください。有効性評価項目として、冷却開始3時間以内に、深部体温が目標体温に達した被験者の割合が設定され、目標達成率は100%でした。副次的評価項目に設定された治験機器使用開始から14日後のCerebral Performance Categories及びmodified Rankin Scaleは、良好な神経学的転帰を示すCPC1又はCPC2の被験者が24人中12人、mRS0~2の被験者が24人中11人でした。

 審査報告書24ページの図4.を御覧ください。治験機器使用中の体温の推移は、低体温維持期設定温度33℃の平均体温は33.09±0.06℃、正常体温維持期設定温度36.5℃の平均体温は36.64±0.17℃でした。

 審査報告書27ページ、表11.に治験機器と因果関係がある有害事象を示しております。重篤ではありませんが、下大静脈血栓症が1例発現しています。

 次に本品の審査における主な三つの論点について御説明いたします。本審査の期間中に蘇生ガイドラインの変更が生じたため、JRC蘇生ガイドライン2015の内容に基づき審査を行いました。一つ目の論点は、本品の有効性及び使用目的についてです。概略は審査報告書35ページ下段から記載しております。国内臨床試験において、本品を用いて低体温療法を行える性能が示されました。心停止蘇生後における低体温療法の臨床的意義は、自己心拍再開後の脳の虚血再灌流傷害を低減し、神経学的転帰を可能な限り良好なものにすることであることから、本来、本品の有効性を評価するためには、心停止蘇生後の神経機能の悪化を本品により抑制できることを評価した上で、本品を臨床現場へ提供することが望ましいと考えます。しかしながら、これらの評価は対象患者の重症度のばらつきや、症例数の観点から、1企業の治験では実現可能性が乏しいと考えられます。国内臨床試験の計画時には、JRC蘇生ガイドライン2010において、自己心拍再開後の低体温療法の施行が推奨され、既に臨床現場で通常に行われている治療手技であったことから、低体温療法のサロゲートである、深部体温を調整できるという性能により、本品の有効性を評価することは可能と判断しました。

 また、JRC蘇生ガイドライン2015において拡大された目標管理体温の本品の有効性は、国内臨床試験における正常体温維持の体温管理のばらつきと、2013年に発表された大規模比較試験の36℃体温管理群の体温管理のばらつきを比較して評価されました。これらを総合的に判断し、本品は国内臨床試験で示された低体温療法より温度範囲が広い体温管理療法に用いることを使用目的として差し支えないと判断しました。

 二つ目の論点は、本品の安全性についてです。本品を使用することによるリスクについては、一つ目として、重篤ではありませんが国内臨床試験において下大静脈血栓症が1例生じていたこと。二つ目として、ヒツジを用いた非臨床において血栓形成が確認されていたこと。三つ目として、バルーンを有する形状から、本品は既存の中心静脈カテーテルよりも血栓関係のリスクが増大することが懸念されること。以上の3点から、血栓に関する懸念が払拭されたとはいえないと考え、血栓形成のリスクについては、添付文書で注意喚起をするとともに、引き続き使用成績調査において経過を観察していくことが妥当と判断しました。

 三つ目の論点は、本品の使用成績調査についてです。国内臨床試験では実施されなかった、3436℃の体温管理については、国内外での報告が少ないことから、3234℃とは分けて、一定の症例数を確保し、3236℃の体温管理療法の有効性及び安全性に関する情報を収集する必要があると判断しました。なお、症例数は105症例、使用成績調査期間は、調査期間を40か月、販売準備及び調査表の回収・チェック・解析期間を8か月とし、計4年とすることが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品の原材料として、ヘパリンナトリウムが使用されているため、生物由来製品に該当すると判断しました。また、使用成績調査の対象として指定し、使用成績調査期間は4年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、まずはじめに参考人としてお越しいただいている平澤先生から、御発言を頂けますでしょうか。

○平澤参考人 ありがとうございます。千葉大の平澤ですが、除細動器の普及などによって心拍が再開する人が非常に増えています。ただその後、心臓が1回止まった人は心停止後症候群と呼ばれている特殊な病態を示しますので、それをうまく治療して社会復帰をできるような感じで帰してあげないとあまり意味がないわけで、それに関する治療法は国際的なガイドラインがあり、それに則って行われています。

 国際的なガイドラインは4年ないし5年に1回、改定されるのですが、一番新しいのは2015年で、説明がありましたが、そこでは従来、低体温療法といわれていたのが体温管理療法という考えになり、3236℃の範囲で、高温にしないで、その範囲内の温度にするほうがいいという結果、エビデンス出まして、今、それが一般的に行われています。それをするためには従来の体表から冷やすというよりは、血管の中にカテーテルを入れて、その中にあるバルーンを冷却した生食水が環流して冷やすほうが体温管理のためのフィードバックもより精密になりますし、温度を下げる速度も速くなりますので、良いのではないかと思います。それに、こういう人たちはもともと必ずと言っていいほど中心静脈カテーテルを留置しますので、今回のデバイス留置による余計なリスクは発生しないだろうと思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問等ありますでしょうか。いかがでしょうか。ありませんか。よろしいでしょうか。マイクは聞こえていますでしょうか。質問が一つも出ないことは珍しいのですが。

○中島委員 無理やり質問しているわけではないのですが、やはりバルーンですので、血栓形成というのが気になるところなのですが、何かこれを使用するに当たって、例えばINRをどのぐらいにもっていくなどの目標値みたいなものは、今までの成績などで何かリコメンデーションみたいなものはあるのでしょうか。あるいはそういうものを適正な使用の所に記載したほうがいいという判断でしょうか。あるいはそれは必要ないという判断でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現段階ではINRに関しての縛りなどについては検討されておりません。これまでの臨床試験の中で血栓形成が認められた症例は1例ありますが、起こった時点での対応という形になっております。

○平澤参考人 一般的に臨床の場では、このカテーテルを入れたために、例えば薄くヘパリナイゼーションして血栓を予防するというようなことは行われておりませんが、それでも特段に血栓が多くなったようなことはありませんので、懸念はされますが、それほどのリスクではないと考えます。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○齋藤委員 海外の使用実績で見ますと、冷却不可、温熱不可という項目が結構多いように見られて、その原因があまりここには記載されておりませんが、これはこういったタッチパネルなどの操作上の問題なのでしょうか。その辺についての検討や、あるいは国内で実施された場合でこういった事例があるのか、その辺に関しての情報はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 海外での有害事象での加温ができなかった、冷却しなかったといったことについては、カテーテルや装置本体が返却されておらず、製造元で詳細な調査がなされていなかったため、はっきりした原因は分かりません。口頭でのインタビュー等によると、本体とスタートアップキットの設置がうまくいっていなかった等のユーザーエラーが原因と考えられていたことから、取扱説明書で使用方法を説明することにしております。

○齋藤委員 では、構造的な問題などではなくて、単なる操作上のミスと理解してよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そういうことになります。

○齋藤委員 分かりました。

○塩川委員 この使用目的についてお尋ねしたいというか、37ページに蘇生後の、心停止後の、と使われているのは今までの議論でよく分かりましたが、私は脳外科なのですが、重症頭部外傷、脳損傷の低体温というのは一昔前まではかなり行われていたのですが、結局、なかなか得られるところがないということで、ほぼ多くの施設では高体温にさせないというぐらいの使い方になっているのです。使用目的の二つ目の黒ポツの「中心静脈カテーテルを必要とする患者に対して、正常体温維持に用いる」というのは、どういう状況を想定しているのですか。何か、感染を起こして熱が高い人に熱を下げるみたいなことが想定されているのですか。どういう患者さんを想定された記述なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 具体的には偶発性の低体温の患者、熱中症の患者に対しての体温管理目的などが想定されます。先生のおっしゃったような、脳外科の頭部外傷術後の高体温の患者様を、なるべく正常体温維持のほうに持っていくというのも適用の範囲に含められるかと思います。

○塩川委員 ここに含まれるということなわけですか。分かりました。

○武谷委員 少し教えていただきたいのは、資料2の9ページで、JRC蘇生ガイドラインの2010年バージョンと2015年バージョンを比較しているわけですが、2015年バージョンを見ましても、海外では相当、10ページを見ても分かるように、精力的に多数の症例に応用されているにもかかわらず、あまりエビデンスレベルは高くないということかと思うのですね。そこで今回こういう臨床試験を計画したということですが、海外でなかなか決定的なエビデンスが得られにくい理由はどこにあるのかというのと、今回の我が国の計画した臨床試験で、少しエビデンスレベルに影響を与えるようなデータが期待されるのかどうかと。永久にこういう状態が続くのかどうかということに関して、いかがなものなのでしょうか。

○平澤参考人 この32℃から33℃以下ではなくて、36℃でも同じですよというのは、2013年にThe New England Journal of Medicineに発表されたエビデンスであり、それでは33℃でも36℃でも同等ですよと。その前に低体温にすればいいですよというデータは2000年代に二つ、エビデンスがあります。それを踏まえて、ILCORとAHAのガイドラインでは心肺停止の人で、心拍再開した人は低体温をやりましょうということになっているのだと思います。それで、やはり、非常に限られた状況の中で治験をやらなければいけませんので、非常に多くの症例を集めるのは難しいところもあると思います。それをやはり、ランダマイズドしなければいけませんので。それで今あるエビデンスは、ほかのものに比べればNが多いわけでもなくて、ものすごく立派な、きちんとしたエビデンスに裏打ちされている他の領域のものに比べると、少しエビデンスの質が落ちているのだと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」について本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品と指定させていただくことでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、そのように議決させていただきます。この結果については次回の薬事分科会において報告いたします。それではこれで議題2を終了いたします。平澤先生、どうもありがとうございました。

 それでは続いて、議題3、「医療機器「サンコン Kyoto-CS」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について」議論を始めます。本議題の審議に当たりましては、参考人として国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座教授であられる前田直之先生にお越しいただいております。前田先生、よろしくお願いいたします。まず、審議品目について事務局から説明をお願いします。

○事務局 事務局から御説明いたします。資料3、1枚目が諮問書です。本議題では医療機器「サンコン Kyoto-CS」の製造販売承認の可否、高度管理、管理又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。

 まず、1枚目の諮問書をめくり、「一般的名称の新設について」というタグが付いたページです。既存の一般的名称のいずれにも該当せず、一般的名称を新設する際には、その一般的名称が高度管理、管理、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっております。今回、新設予定の一般的名称は「輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズ」で、レンズサイズが大きく、角膜を完全に覆い、かつ涙液交換できる角膜形状異常眼の視力補正が可能なコンタクトレンズです。1.に示すとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.に示すとおり保守点検、修理等を必要とするものとは考えられないため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えております。承認の可否等について品目及び審査の概要は機構担当者、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、「サンコン Kyoto-CS」について機構より御説明いたします。本審査に当たり当日配布資料3-4に記載しております3名の専門委員の御意見を頂きました。また事前に配布いたしました審査報告書に修正がございますので、当日配布資料3-1正誤表にてお示しいたします。添付文書についても当日配布資料3-2として、訂正案をお配りしておりますので、併せて御覧ください。修正がありましたこと、おわび申し上げます。

 以降の説明において、「サンコン Kyoto-CS」を本品と呼ばせていただきます。本品の概要についてはまず、審査報告書4ページです。本品はスティーヴンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症による眼後遺症患者に使用する、輪部支持型ハードコンタクトレンズになります。サンプルも準備しておりますので、そちらも御覧ください。以降の説明においてスティーヴンス・ジョンソン症候群をSJS、中毒性表皮壊死症をTENと呼ばせていただきます。

 SJS及びTENの患者では角膜表面を結膜上皮が覆い、眼表面全体が高度に瘢痕化することで、眼表面全体に及ぶ凹凸や癒着が生じる角膜上皮幹細胞疲弊症を生じます。角膜表面は不正乱視による光の散乱で視力の低下の要因となり、また涙液が少ないために常に乾燥状態となります。審査報告書4ページ下の表1.を御覧ください。左が装用前の状態で、右のように本品を装用することにより、レンズと角膜の間に涙液が入り、角膜表面の不正を補正して視力補正効果を発揮し、さらにレンズが涙液の蒸発を抑制し、ドライアイに伴う症状を緩和することが可能となります。

 続いて審査報告書5ページ表2.を御覧ください。図右のように既存のハードコンタクトレンズである角膜レンズの直径は6~12mmと小さく、眼表面の凹凸や乾燥によって脱落しやすいのに対して、図左のように本品のレンズ直径は1116.5mmと角膜を完全に覆い、角膜輪部から結膜の範囲で本レンズを支えるよう設計されています。以降、既存のハードコンタクトレンズを角膜レンズと呼ばせていただきます。

 次のページを御覧ください。さらに審査報告書6ページの上の図1.のように、本品の特徴はレンズの縁から中心に向かってカーブがなだらかになるよう、多段階カーブで設計されており、これにより瞬き時に角膜全体をレンズが覆った状態のままレンズが上下に動くため、瞬くことで涙液交換が可能となっております。なお海外において、本品は販売されておらず、SJSによる眼後遺症患者に使用可能な強膜レンズとして本品と同一の原材料のものが、審査報告書8ページの表3.のように販売されております。また平成261219日に希少疾病用医療機器に指定されております。

 次に非臨床試験成績について説明いたします。概略は次のページの9~12ページに記載しております。本品の物理的、化学的特性、生物学的安全性、安定性及び耐久性、性能に関する試験、使用方法に関する試験の成績に関する資料が提出され、審査の結果、特段の問題はないと判断しました。

 次に臨床試験成績について説明いたします。審査報告書14ページ中段を御覧ください。SJS及びTENによる眼後遺症患者10例に対して医師主導治験が実施されました。審査報告書15ページ表4.にあるように、SJS及びTEN発症後、1年以上経過した慢性期の眼後遺症があり、角膜不正乱視や角膜混濁により、視力検査時に眼鏡を装用した上で得られる最良矯正視力が0.01以上、0.7未満である患者を対象としております。主要評価項目は治験レンズ補正による最良矯正視力の改善と設定されました。まず視力について当日配布資料3-3で簡単に説明しますので、当日配布資料3-3を御覧ください。視力はランドルト環の隙間を識別できるかで測定するものですが、馴染みのある視力を小数視力と言います。眼科においては視力を統計的に評価する際に、logMARという値に換算して評価するのが一般的です。本品装用による改善の平均はlogMAR値で約0.52であり、こちらは約3.3倍細かい隙間を識別可能となるのですが、イメージとしては下のスライドになります。

 続いて審査報告書の15ページに戻ります。logMAR換算値0.20以上の減少を「改善」とし、改善率が50%以上であれば、本品に有効性があると治験開始前に設定されました。logMAR換算値0.2以上というのは例えば、小数視力でいいますと0.6から1.0くらいの改善に相当します。治験の結果として10例中8例で改善が見られ、改善率は80%であり、悪化は見られませんでした。各症例の変化については16ページの表5.に記載しております。A01とA06の2例において、最良矯正視力の改善が得られなかったことについて、後ほど審査の論点で説明します。

 副次評価項目について、17から18ページにかけて御覧ください。副次評価項目として、最良矯正視力の変化、「自覚症状の変化」、問診用スケールであるVRSを用いた「眼の痛みの程度」及び「目の乾燥の程度」の変化が設定されました。最良矯正視力のlogMAR換算値における改善の平均は0.52で有意差がありました。また視力障害が普段の生活に及ぼす影響を評価するために、国際的に認められているNEI VFQ-25を用いた自覚症状は「眼の痛み」及び「見え方による心の健康」において有意に改善しておりました。VRSによる調査の詳細は審査報告書18ページの表7.に記載しております。後ほど審査の論点において表7.を御確認いただく予定ですので、お手元の付箋などで目印を付けていただけますでしょうか。

 装用後2段階以上の改善を「改善」、同一又は1段階以上の改善を「不変」、1段階以上の悪化を「悪化」と定義いたしました。結果は表8.に記載したとおりです。VRSにおいて明確な改善が得られなかったことについて後ほど審査の論点で説明いたします。

 次に本品の審査おける主な五つの論点を説明いたします。一つ目の論点は臨床的位置づけについてです。審査報告書19ページ下段()を御覧ください。SJS及びTENによる眼後遺症患者の主要な症状は視力障害と涙液減少に伴う眼乾燥感、痛みや不快感です。ソフトコンタクトレンズや角膜レンズでは十分な視力が得られない特徴があり、角膜移植等でも長期予後が不良もしくは十分な視力が得られません。また眼乾燥感に対して、人工涙液等の点眼が行われておりますが、繰り返し点眼をする必要があり、不快な症状をなくすことは困難です。本品に臨床的に許容可能な有効性及び安全性が認められれば、臨床現場に提供する意義があると判断しました。

 二つ目の論点は有効性についてです。審査報告書22ページ下段()を御覧ください。2例において最良矯正視力の改善が得られなかった理由として、1例はSJSを発症後長期間経過しており、廃用性内斜視により、もう1例は角膜実質混濁及び高度な瞳孔領への血管侵入により視力改善が軽微になったと考えられます。したがってこれらの症例においては視力改善効果が得られない可能性があることから、添付文書においてその旨の記載を行いました。

 続いて副次評価項目における有効性について説明します。審査報告書23ページ中段2)を御覧ください。NEI VFQ-25は視力障害が普段の生活に及ぼす影響を調査するための国際的評価指標で、痛みの調査項目は2324ページに記載する質問4と9がそれに当たります。また各症例における結果は25ページの表9.、2列目の「目の痛み」(NEI VFQ-25)スコアになります。一方、VRSは目の痛みにフォーカスを当て、その感覚を数値化したもので、表9.左列の「目の痛みの程度」(VRS)の結果がそれに当たります。二つの結果に乖離が生じている原因としては、VRSとNEI VFQ-25での評価尺度の違いが影響して表われたと考えます。またVRSでは治験患者のうち8例が装用開始時に程度0もしくは1であり、2段階の改善があり得ないこと、1段階でも改善した被験者は6例であったことから、本品の装用により痛みの低減及びそれに付随する生活の改善は得られたと考えますが、2段階の改善を「改善」と厳しく評価したことも影響しています。ここについては承認後の使用成績調査において、引き続き痛みの低減効果に関しても、明確な論拠となるよう工夫した評価を行うことが適切と判断しております。

 続いて目の乾燥について説明いたします。審査報告書26ページ上段3)を御覧ください。先ほど目印を付けていただいたVRSの評価項目は18ページの表7.に記載したとおりになります。目の乾燥感を点眼回数で評価しております。治験にエントリーされた10例は全て高度ドライアイでしたが、自覚症状が少なく、もともと点眼回数が少ない症例が含まれていました。本品装用中に最低でも1日6回の点眼をするよう指導された結果、必要ないにもかかわらず1日6回以上点眼している症例が、目の乾燥の程度が悪化したと判定されたためであり、乾燥感の評価について認識不足と検討不足であったことが要因と考えられます。

 一方で本品の形状の特性として、涙液が本品と角膜の間に貯留されたことにより、眼表面上皮の微細な凹凸が軽減して、表面がスムーズ化したと推測できることと、レンズ周辺部の形状の特殊性より、涙液交換が行われていることは臨床研究におけるフルオレセイン染色からも明らかであり、原理的に考えて乾燥感は低減されることは予想され、その裏付けを明確にすることが目的でしたが、示されませんでした。したがって使用成績調査において、乾燥感の評価についても尺度を明確にして、評価を行うことが適切と判断しております。

 以上のことから有効性のうち、視力補正効果は明らかであり、涙液交換可能な設計である本品の特性及びVRSとNEI VFQ-25の評価により、痛みと乾燥感の改善効果は見込まれることから、本品の使用目的において視力補正だけでなく、自覚症状の緩和を追加することが可能と機構は判断しました。

 三つ目の論点は安全性についてです。審査報告書27ページを御覧ください。本治験では有害事象として、結膜びらんが2例3件、眼脂が1例1件生じております。結膜びらんについては本品のフィッティングの影響が懸念されます。結膜びらん後に1例はレンズサイズを変更しており、変更により一時的に結膜びらんが消失しております。2例に生じた理由として、上下非対称の結膜嚢癒着が考察されました。上下非対称の結膜嚢癒着、特に上方がより高度な場合には、結膜びらんの発生に留意することが添付文書に記載されたとともに、使用成績調査に結膜びらんの発生が含められました。

 四つ目の論点であるレンズ処方に関する情報提供を説明します。審査報告書29ページを御覧ください。本品の適応患者は角膜及び結膜の状態が異常であり、フィッティング判断が難しいと考えられます。実際に本治験での初回処方時におけるトライアルレンズの装着回数は30ページの表13.に示したとおりですが、例えばA07の症例では6回目で最適なフィッティングが得られております。

 続いて31ページを御覧ください。一般的な角膜レンズ処方時に活用される角膜曲率等のデータでは、トライアルレンズの選択が困難であり、処方頻度の高いレンズを装着した上で、そのフィッティングパターンを個別に判断する必要があります。処方後にフィッティングが不適切だと、結膜びらんや不快感を伴う場合があります。したがいましてSJS又はTENによる眼後遺症に対する知識と、角膜形状異常眼に対するハードコンタクトレンズの処方経験を有する医師が適切に処方する必要があるため、34ページから35ページにかけての承認条件を付す必要があると判断しました。

 五つ目の論点は使用成績調査についてです。審査報告書31ページの下段を御覧ください。本品については希少疾病用医療機器であり、治験における症例数が限られること、フィッティング等の指導が患者に伝わり、有害事象なく、適切なレンズケアの下で安全に使用されること、また目の痛みの程度の変化、目の乾燥の程度の変化について期待される効果を明確に示すことができるよう、尺度を工夫すること等を含め、使用成績調査が必要であると考えます。有効性の観点から70眼が必要と判断し、販売準備期間に6か月、症例登録期間に2年6か月、各症例の追跡期間に6か月、解析期間に6か月必要と考え、調査期間を4年としました。

 審査報告書34ページの下段を御覧ください。機構は以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。なお薬事分科会での報告を予定しております。

 最後に事前に川上委員から御意見を頂きましたので、御紹介します。審査結果について異論はないとの御意見を頂いております。機構からの報告は以上です。御審議、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それではまず初めに参考人の前田先生から追加で何か御発言ございますでしょうか。

○前田参考人 よろしくお願いします。私は大阪の大学病院で本品の対象となるSJSやTENを含む前眼疾患を専門に診療していますが、まず本SJSやTENという症例は本当に少ない希少疾病です。本当に少ないのですけれども、疾患の性質上、両眼が同時にやられてしまって、慢性化しておりますので、なかなか患者さんがつらいという状況にあります。最近では再生医療や特殊な角膜移植で、角膜を透明化させることができているのですけれども、そこがひずんでしまいますと、眼鏡で視力が出ないというところで、患者さんは視力障害がある状態で通院されているという状況がありますので、本品のように画期的に視力が改善するようなものがあると、非常に有り難いなと思っております。

 一方で通常のハードコンタクトレンズの処方と違いまして、恐らくこのコンタクトレンズの場合には、かなりの技術がないとフィッティングができないということと、対象となる疾患が本当に希少疾患ですので、このことをきっちり分かっている方が処方しないと、問題があると考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。それではこの件につきまして委員の方から御意見、御質問ございますでしょうか。

○寺崎委員 眼科の専門ですが、審査報告書は見させていただきまして、非常に希少な疾患であり、視力障害も重篤なことから、こういうものは必要と思っております。添付文書ですが、コンタクトレンズの処方について、警告の所に「講習の受講等により適応に関連する十分な知識及び技能を有する医師が処方すること」ということで、眼科医を規定していないのですが、講習の受講等でそこを規定するようになっているのか、それとも眼科専門医なのか。つまりコンタクトレンズ専門でコンタクトレンズのことだけを知っていればいいのか、眼科全般にも広い知識がある医師を規定するのか、その辺が少し不明だというところが1点です。

 もう1点は、添付文書の使用目的又は効果に「自覚症状の緩和」ということで、この審査文書の中にも視力の効果が十分ではなくても、自覚症状が良くなるという効果が期待できるのではないかという話がありました。使用目的又は効果の「自覚症状の緩和」というのは、十分な視力が得られない患者に対する視力補正とは別に、自覚症状の緩和ということになっているのか。それとも十分な視力が得られない患者に対する視力補正、自覚症状の緩和ということになっているのか、少し分かりにくいなと思いました。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 処方する医師としましては基本的に眼科医と考えておりましたので、警告欄については修正させていただきます。承認書の記載状況も含めて検討のうえ、必要に応じて修正させていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 もともと承認条件、添付文書の一番裏を見ていただければ分かりますが、本品は承認条件を付す予定で考えており、製造販売業者及び製造者氏名又は名称等の上に承認条件とあると思いますが、これで「本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師」という前提があり、もうほぼ眼科医しか存在し得ないということで、警告欄等の記載については、適宜修正させていただきます。そういった意味で、基本的には眼科医を考えているということで御理解いただければと思います。

○荒井部会長 2点目の御質問に関してはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 2点目についてですが、基本的には別々にと考えておりまして、視力補正が得られる患者さんもおりますし、視力補正だけでなく自覚症状も得られる患者さんもいるということが目的と、達成できると考えております。

○寺崎委員 つまり視力改善がなかった場合に、自覚症状が良ければこれを継続するのかどうかという質問ですが。

○医薬品医療機器総合機構 そこは最終的には医師の判断等が入ってくると思いますが、基本的には使えると。視力改善効果がなくても実際にA01とか、2例の患者さんにおいては実際の治験の中でも、視力改善効果が明確に得られなかったのですが、アンケート調査、問診の結果等ではかなり使いやすいと、使っていて良かったという御意見を頂いていますので、そういった患者さんも使うことができる、使っていただくことが適切と考えております。

○荒井部会長 よろしいですか。そのほか特に御意見ございませんか。よろしければ議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「サンコン Kyoto-CS」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に、期間を4年として指定することでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで、議題3を終了いたします。前田先生、どうもありがとうございました。

 すみません。少し進行が遅れてしまいました。引き続き議題4に入ります。「医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について」審議を始めます。

 本議題の審議に当たり、参考人として市立奈良病院放射線科部長であられる穴井洋先生にお越しいただいております。穴井先生、よろしくお願いいたします。まず初めに審議品目について事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料4です。1枚目が諮問書です。本議題では医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御議論をお願いいたします。

 一般的名称の新設についてです。議題3の冒頭でも申し上げましたとおり、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して新たに一般的名称を新設する際には、当概一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて指定することとなっております。新設を予定する一般的名称は、ヘパリン使用血管用ステントグラフト及びヘパリン使用中心循環系ステントグラフトの二つです。

 ヘパリン使用血管用ステントグラフトは、ヘパリンを被覆した血管の内側に留置するステントグラフトで、末梢血管への留置を目的とした一般的名称です。一方、ヘパリン使用中心循環系ステントグラフトは、中心循環系への留置を目的とした一般的名称です。どちらの一般的名称についても1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.のとおり、保守点検、修理、その他の管理を必要とするものではないため、特定保守管理医療機器には指定しないことが適切と考えております。

 一般的名称を二つ新設する理由についてですが、中心循環系への留置を目的としている場合はクラスIV、末梢血管への留置を目的としている場合はクラスIIIです。本品は中心循環系の血管にも末梢血管にも使用することを想定しておりますので、一般的名称を二つ新設し、複数の一般的名称に該当する医療機器として承認することを予定しております。承認の可否等について、審議品目及び審査の概要は機構より御説明させていただきます。それでは担当の方、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 当日配布資料4-3の専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり資料にお示しする5名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前に配布した審査報告書に修正がありますので、当日配布資料の正誤表にてお示しをいたします。おわび申し上げます。また、添付文書についても当日配布資料として修正案をお配りしておりますので、併せて御覧ください。

 初めに品目概要を説明いたします。資料4の灰色のタブです。審査報告書5ページの2.審議品目の概要を御覧ください。審査報告書5ページの図1.にお示ししますように、本品はグラフト外側にニチノール製のステントワイヤーが巻かれたステントグラフトと、デリバリーカテーテルから構成されます。ステントグラフトのグラフト部分はPTFE製であり、ステントグラフトの両面にはヘパリンボンディング層が施されております。本品は二つの使用目的を持ち、一つは外傷性又は医原性の血管損傷が起きた際の止血デバイスとして、もう一つは狭窄や閉塞した血管の開存治療デバイスとして使用されます。

 開発の経緯を説明いたします。審査報告書6ページ、下段の()開発の経緯から御覧ください。初めに損傷治療の背景について説明いたします。損傷治療においては救命を第一とし、迅速な止血が求められます。本邦においては外科的治療のほかにコイルやバルーンカテーテルなどを用いた血管内治療が行われておりますが、止血が困難であると判断された場合は、適応外使用ではあるものの胆管用カバードステントなどを緊急避難的に使用した治療が行われている現状があります。

 また、現在本邦において末梢動脈の損傷治療に対して適応を取得している血管内治療デバイスはなく、本品を本邦に導入する意義は大きいと考えられます。このような状況を踏まえて、本品は2009年に開催された「第15回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において早期導入すべき医療機器として選定されました。

 開存治療について説明いたします。末梢動脈疾患PADは、末梢動脈の狭窄又は閉塞によって引き起こされる循環障害です。近年、PAD患者が世界中で増加傾向にあることを踏まえ、国際的な診療ガイドラインのTASCIIが策定されております。

 審査報告書の8ページ表2.を御覧ください。TASCIIでは病変の長さや形態に応じて病変をA~Dに分類しております。一般的なバルーンや金属性ステントを用いた血管内治療の成績は、病変長が長くなるにつれて開存率が低下することが知られていることから、病変長の短いAやB型病変においては血管内治療が、病変長が長いC、D型病変では外科術治療が推奨されております。そのため、既存の浅大腿動脈SFA用ステントにおいてはB型の定義の一つである病変長15cmまでを治療対象としております。

 一方、本品は人工血管バイパス術と同様の役割を果たす血管内治療デバイスとして開発されており、病変長にかかわらず一定の成績をもたらすこと、従来のステントに比べて柔軟性が高いため屈曲の強い血管にも追従することが期待されており、外科手術が望ましいとされているC、D型病変へも適応することを目的に開発されました。

 海外の販売状況について、審査報告書8ページの下段の丸3、本品の開発の経緯を御覧ください。米国においては、本品の前世代品が2005年に、その改良品である本品は2007年にSFAにおける開存治療デバイスとしてPMAを取得しております。なお、米国においては損傷治療に対する適応は取得しておりません。一方、欧州では前世代品が1996年に、本品は2008年に末梢血管用ステントグラフトとしてCEマークを取得しております。2015年6月までに約□□本の販売実績があります。

 本品の非臨床試験については特段の大きな問題が認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。初めに血管損傷の評価について説明いたします。審査報告書19ページから御覧ください。損傷治療の評価に当たっては適応範囲である胸部・腹部・骨盤内の動脈において損傷治療が行われました。文献22報の調査による臨床評価報告書が提出されました。

 審査報告書29ページから御覧ください。この文献で用いられた症例については、中段の2)対象疾患、対象部位及び患者背景に記載したとおり、鎖骨下動脈23例、腸骨動脈8例、上腸間膜動脈1例、肝動脈1例の合計33例の結果を用いて、有効性及び安全性の評価が行われております。本品の有効性として止血性能について評価を行った結果、アクセス部位を閉鎖する前に治療の対象とした損傷を適切にシールして得られた止血率、以降、一次止血率と呼びますが、一次止血率は97.0%、33例中32例において適切に止血されたことが確認されました。本品の安全性については本品と関連があった有害事象として31ページの表11.に示しており、グラフト閉塞、狭窄、血栓症などが確認されております。

 損傷治療に関する審査における主な論点について説明いたします。一つ目の論点は、本品の臨床的位置づけと臨床評価を文献にて行うことの妥当性についてです。審査報告書32ページ、中段から御覧ください。本品が損傷治療デバイスとして留置性能、止血性能、耐久性などを有し、緊急時の一時的な止血が可能であるかを確認するためには、臨床データによる評価が必要であると考えております。

 一方、血管損傷に対する臨床試験の実現可能性が低いこと、本邦における医療ニーズが高く救命デバイスとしてのベネフィットが大きいこと、適応部位は異なるものの既承認の血管損傷用ステントグラフトがあり、一定のデリバリー性能やシーリング性能が確認できれば同様の有効性は見込まれると考えられることから、文献により末梢血管適応部位への留置可能性と止血が成功した症例を確認できれば、総合的に本品の有効性及び安全性の評価を行うことは受入可能と判断いたしました。

 二つ目の論点は、本品の有効性、安全性についてです。審査報告書34ページ、上段6行目からを御覧ください。本品の有効性については、本文献調査結果、類似医療機器を含めたステントグラフトの血管損傷への使用実績、非臨床試験結果などから、本品の臨床的有効性は一定程度あると判断し、緊急用のデバイスとして医療現場に新たな選択肢を提供する意義はあると判断いたしました。

 一方で、文献調査では症例数や確認できる情報が限られており、また、エンドリークなどのリスクもあることから、本品の使用目的が救命のための緊急措置に用いるものであることを明確にした上で、添付文書においても既存治療法も考慮して治療方法を選択するよう注意喚起することが妥当と判断しております。本品の安全性については、有害事象として閉塞関連事象が報告されているものの再出血や本品に起因する死亡は認められませんでした。

 また、血管損傷の際には本幹を閉塞して止血を得ることもありますので、専門委員の意見も踏まえ、これらの有害事象は臨床的に許容可能と判断しております。しかしながら、本品のベネフィットとして血流温存が期待されていること、安全性に関するデータが限られていることから、使用成績調査において情報収集を行うとともに、長期安全性については、文献調査から十分なデータが得られていない旨を添付文書にて注意喚起することが必要と判断いたしました。

 三つ目の論点は、適用部位の妥当性についてです。審査報告書35ページの4)を御覧ください。ニーズ検討会において学会要望があった腸骨動脈などに限らず、臨床上適切な対象疾患・部位への使用が可能となるよう、できる限りの情報収集が望ましいとする意見が多数あったと報告されております。また、専門委員からも、放置すれば死に至るような症例に対する本品のベネフィットは大きく、明らかにリスクが高いと想定される部位を除外すれば、適用血管を細かく規定しないほうが臨床的に有用となるとの御意見を頂いております。

 機構は、本品の原理、非臨床試験の結果、そのほかの部位での止血効果に加えて、手技の新規性が少なく臨床上のベネフィットが大きいと考えられることから、文献が多く確認された鎖骨下動脈や腸骨動脈だけではなく、腹部大動脈分枝血管についても適用部位に含めることが妥当と判断いたしました。

 なお、36ページの5)に記載いたしましたが、本品を用いた治療のリスクを最小限にするためには、損傷部位の解剖学的要件を十分に熟知し、止血できなかった又は合併症が生じた場合の対応等について、十分な経験を有する医師が既存の治療法も含め適切な治療方法、デバイスを選択することが重要であることから、添付文書において注意喚起を行うことに加え、日本インターベンショナルラジオロジー学会が主体となり現在、適正使用指針を作成しております。

 開存治療について説明いたします。審査報告書37ページから御覧ください。当該使用目的の評価資料として、国内臨床試験の成績が提出されております。主要有効性評価項目は、12か月時点での補助一次開存率と設定され、達成基準は外科的バイパス術に関する文献に基づき65%と設定されました。また、主要安全性評価項目は「侵襲性(術後入院日数、全身麻酔回避率)」と設定され、別途行われた外科的バイパス術のレトロスペクティブ調査結果との比較評価が行われました。

 次に試験結果について説明いたします。審査報告書41ページから御覧ください。主要有効性評価項目の補助一次開存率は91%であり、事前に設定した達成基準の65%を満たしました。主要安全性評価においても、術後入院日数が平均3.5日、全身麻酔回避率100%と、外科的バイパス術の術後平均日数16.2日、全身麻酔回避率25%と比べても侵襲性が低いことが示されました。

 開存治療に関する審査における主な論点について説明いたします。一つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。審査報告書48ページの上段を御覧ください。参考にした外科的バイパス術文献の一次開存率が80%前後であったこと、本治験に登録された症例はTASCIIのC型が多く、C、D型の中でも特に外科手術が行われる、より重篤な重症な患者が少なかったことを考えると、本治験において設定された達成基準はやや低い設定であった懸念がございます。

 一方、本治験にはC、D型に該当する長病変の病変は多く含まれており、長病変の症例を含めても良好な成績が得られておりました。本品と本邦既承認のSFA用ステントとの臨床試験成績の比較では、これらは別試験成績で患者背景も異なり単純な比較は困難であるものの、本治験成績は対象病変長が15cm以下である既承認ステントとの成績に対して劣るものとはいえない結果でした。

 以上より、ガイドラインなどにおいて示されているエビデンスに鑑み、本品による血管内治療を外科手術が第一選択として推奨されているC、D型病変全てに対して第一選択として推奨する根拠はいまだ十分ではないものの、本治験結果よりC、D型病変のうち本邦既承認の対象病変よりも、より長い病変に対しては有効性が認められると判断いたしました。

 本品の安全性について説明いたします。審査報告書49ページの下段から御覧ください。本治験の有害事象として血栓症に関する報告はなかったものの、試験器関連の重篤な有害事象として、ステントグラフト閉塞8件、再狭窄3件が確認されております。そのうち血栓除去術又は血栓溶解術の追加治療は7件行われており、血栓による閉塞あるいは狭窄であった可能性が考えられました。

 審査報告書51ページの上段から御覧ください。閉塞の原因を血栓で特定することは困難である一方、本治験において確認された全てのステントグラフト閉塞10例のうち6例において抗血小板薬が休薬されていたこと、50ページの表19.に示す本品とベアメタルステントの成績を比較した文献報告においても、急性下肢虚血が1件発生していることを踏まえると、本品におけるステント血栓症発生のリスクが低いとはいえないと考えております。

 また、本品は既存のSFA用ステントとは異なるカバードステント構造であること、既存品よりもより長い病変へ適応されること、ヘパリンボンディング層を持つ特徴などを踏まえ、添付文書などにおいて、2種類以上の抗血小板剤投与、DAPTの推奨期間については明確に情報提供するとともに、一定期間DAPTが必要となるリスクについても適切な注意喚起をすることが妥当と判断しております。

 二つ目の論点は、本品の対象病変長についてです。審査報告書51ページの4)を御覧ください。本品の使用目的には、対象病変長の上限値は設定されておりません。本治験では平均21.8cmの病変長に対して治療が行われており、TASCII、A、B型血管内治療と同様の成績が見られたこと、表20.に示すとおり病変長が長くなっても成績が大きく下がる現象は見られなかったこと、邦人のSFAの長さが一般的に30cm前後と考えられることから、対象病変長の上限値を設定せずとも、有効性及び安全性が担保されていると判断いたしました。

 使用成績調査について説明いたします。初めに損傷治療について説明いたします。審査報告書の53ページ上段から御覧ください。本品を用いた損傷治療は現時点において、前向きな臨床データは得られておらず、文献報告においても非常に限られた症例数での評価しかなされていないことから、使用成績調査により実臨床での情報収集を行い、得られた情報を基に適切な対応を取る必要があると判断いたしました。症例数は30例、調査期間は登録期間年、観察期間1年として計5年とすることが妥当と判断しております。

 さらに本品の性能を十分に発揮し、より安全に使用するためには、適切な体制と設備が整った施設において、十分な教育訓練を受けた医師によって使用される必要があることから、本品を使用する医師及び施設に関する承認条件1及び2を付すことが妥当と考えました。

 開存治療について説明いたします。海外においては一定程度の長期成績が確認されているものの、本邦で実施した国内治験での症例数は限られており、使用成績調査において本邦の実臨床における、特に長病変での安全性について情報収集を行い、得られた情報を基に適切な対応を取る必要があると判断いたしました。

 対象病変長15cm以上の症候性PAD患者250例を対象に登録期間か月、追跡期間5年として計6年10か月の使用成績調査を行うことが妥当と判断いたしました。また、本邦で先行して実施された国内治験の長期成績については、本邦での適切な安全対策が重要であることから、承認条件1として当該治験成績の経年報告を課すことが妥当と判断しております。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また、本品を使用成績評価の対象に指定して、血管損傷治療の評価期間を5年、血管開存治療の評価期間を6年10か月とすることが妥当と判断しております。本品は生物由来製品に該当いたします。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 最後に事前に川上委員より御意見を頂きましたので紹介いたします。総合評価については異論ないとの御意見を頂いております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○荒井部会長 ありがとうございました。まず、参考人としてお越しいただいております穴井先生から御発言をお願いいたします。

○穴井参考人 よろしくお願いします。市立奈良病院放射線科の穴井と申します。本品を専門協議させていただき、まず、今御説明がありましたように二つの目的で今回申請がされていると思いますので、それぞれについて少しお話をさせていただければと思います。

 一つは、血管損傷に対する治療として本品がどう必要かということになるわけですが、大動脈の一次分枝であるとか主幹動脈の損傷というのは、背景として決して多くありません。

 ただ、一方で、この血管が損傷することは非常に生命に危機を及ぼす状況であると考えられています。想像は容易でありますように、非常に大きい血管ですので、大量の出血が短時間で起こってしまう。それを可及的速やかに対処するには、従来であれば動脈塞栓術、若しくは手術しかなかったわけです。手術に到達するには、やはり時間を要する、若しくは血管塞栓術をした場合には、やはり末梢の血流遮断が不可逆的に起こってしまいますので、末梢の臓器虚血が起こるという背景があります。

 その中で、従来、我々は適応外ではありましたが同様の機能を持ったステントグラフトとなる胆管ステント、若しくは大動脈ステントグラフト用のステントを流用して患者さんを救命していたということになります。そういう背景から、今回、本品に対する我々のニーズは非常に高いものであると考えております。

 一方、次に相反するような疾患への適応になるのですが、血管を広げるということになるわけです。従来、浅大腿動脈の閉塞性動脈硬化症に対する治療としては、短区域であれば通常のベアメタルステント、いわゆる被覆のないステントで十分治療が低侵襲に行えておりました。今回、長区域の閉塞に対して従来のベアメタルのステントでは、やはり治療の成績が劣る。かといって外科手術が全部できるかというと、閉塞性動脈硬化症は、もちろん生活習慣もありますが加齢に伴って発生するということもありますので、どうしても合併症を有して簡単には外科的な治療を勧められないということもあります。

 また、先ほど御紹介がありましたように、低侵襲治療で血管内治療はありますので、非常に入院期間が短期間で済むということもあります。その中で、外科的手術と治療成績が同等であるというステントグラフトの導入は、我々としても非常に求めていたと、そういった背景です。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問等ありますか。よろしいですか。1点だけ私から、適正使用指針は、何か起こった場合の扱いはどのようになるのでしょう。例えば、夜間の緊急的な止血などで、今、穴井先生からお話がありましたように、胆管ステントに慣れている医師で血管撮影の技術があれば使えないというものではない、しかし講習は受けていないというような場合です。そういう場合に緊急的に使ったが、それでも患者さんが亡くなってしまって訴訟になった場合、適正使用指針を守っていないということで、刑事処分を受ける可能性があるのではないか。その辺の難しいところが気になったのですが、いかがなものでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。先生の御懸念はもっともだと思います。適正使用の指針の趣旨は、腹部分枝の治療に慣れていない、ただ手技としてはそれほど難しいものではないので、解剖学的な要件もよく分からないままに、とにかく止血すればよいでしょうということになると、かえって患者さんに取って不利益になるのではないかという懸念から発しております。基本的には普段そのような手技を行っている先生方に使用していただきたいというところから、適正使用指針を設定すべきではないかという専門委員の御意見もありましたので、そのように取り扱うということになっております。

 ただ、本品に関する講習を受けていないが、普段治療を行っている医師が、そのようなことになったらどうするのだという点については、少し適正使用指針の書きぶりをIVR学会様と協議して考慮したいと思いますが、穴井先生、いかがでしょうか。

○穴井参考人 全くそのとおりだと思います。実際のところ十分に解剖学的把握をして使える医者がいれば、主目的からするとそれを妨げるものではないと考えております。ただ、一方で、適正使用ガイドライン、適正使用指針が一人歩きしないような文言にしておく必要はあるのではないかと考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。少し老婆心的な心配ではありますが、その辺を整理して、逆手に取られて出血している人を助けるための行為が裏目に出るということがないように配慮いただければと思います。

○一色部会長代理 私から一つ確認いたします。12ページの表の中にHITに関することが出ているのですが、製品がヘパリンコーティングということがあって、御説明の中にはHITの話が全然出てこなかったので、あえてお伺いしたいのです。非常にたくさんの症例に海外では使われているという中で、非常に低率の発生頻度なので、現実的に余り問題にはならないのかもしれないのですが、これに対しては何か特別な考慮がされたかどうかということと、もし、過去にHIT抗体が陽性だということが分かっている症例に対しての使用は避けるべきなのかとか、その辺のことについて何か考慮する必要はないのかという2点でお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。HITについては、まず添付文書の重要な基本的注意で注意喚起をしております。添付文書の3/5から4/5にかけての、重要な基本的注意の3、4、5でHITについて注意喚起しております。これは、本品はヘパリンボンディング層を持つのですが、本品と同じように、PTFEに同じようなヘパリンボンディングを施しているプロパテンという製品があり、そちらと同じような対応になっております。

 また、海外でHITが確認されておりますので、そのときにどのように対応したかということも確認をしたのですが、今、一色先生から御意見がありましたとおり、その場合はまず、陽性がある患者さんに対しては使わない。また、もしHITが起きてしまった場合はヘパリンの全身投与を中止したり、必要がある場合には医師の判断で本品の摘出を行うなどの対応がされていると伺っております。また、禁忌・禁止の項の2番目の項目において、HITを含むヘパリン過敏症患者については適用外としております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見ございますか。

○梅津委員 臨床のニーズが極めて高くて、非常にこれが有効であり期待されているということはよく分かったと思います。これは私の単なる疑問として聞きたいことなのですが、審査報告書の8ページ、アメリカで、これがPMAで認められたと、しかしそのときは、ここの説明によると「血管損傷治療に対する適応は取得していない」と書いてあるのですが、それは一体なぜだったのかということについて説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。申請者に米国において承認を取得していない背景を確認しました。その結果、米国のゴア社では□□□□□□□□□□□に承認を取得しております。例えば米国ですと、まずは気管支の狭窄に対して承認を取得して、その後にSFA、その後で腸骨動脈の狭窄という形で承認を取得している背景があります。

 御存じのとおり損傷治療は症例数が非常に少ないものですから、優先順位もかなり低いということで、適応の取得に至っていないという説明がありました。また、米国においては日本と保険制度が異なり、手技に対して費用が支払われるという制度がございますので、承認を取得していなくても適用外で普通に使われてしまっているような背景があると伺っております。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 追加で川上委員からも、その点については御意見を頂いております。非常に救命するのに必要なデバイスであるものの、米国で適応を取っていないのはなぜでしょうということを御指摘いただき、今のようなお答えをいたしました。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○塩川委員 血管の場所についてお尋ねします。私は脳外科で血管外科をやっていて血管内治療は専門ではないのですが、頸動脈、椎骨動脈、腕頭動脈が適応から除外されているという理由を簡単に説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。頸動脈や椎骨動脈については、腹部等の血管と異なり、閉塞した場合のリスクがかなり高いということがありましたので、今回、適応には含めることはいたしませんでした。

○塩川委員 そうすると鎖骨下動脈のいろいろ治療例があるのですが、細かなことで恐縮ですが、椎骨動脈は鎖骨下動脈の近位部から枝が出ているので、そうすると鎖骨下動脈の近位部の所は何らかの問題で椎骨動脈が詰まってしまう可能性があるのですが、そこのところは現場の判断に委ねるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そもそも鎖骨下動脈に関しては、ニーズの高い医療機器でも要望が上がっており、おそらくサイズ的なことと、文献からも使用実態が確認できたという背景があります。ただ、椎骨動脈はサイズの問題もありますし、より閉塞のリスクが高まるだろうということで、脳神経外科の先生からもそのような御意見を頂いて、わざわざ使わないようにというようなリスク低減措置として記載した背景があります。

○塩川委員 ただ、現場としては頸部のいろいろな外傷などで、頻度は少ないですが、おそらく使用のニーズがあるかもしれないので、そういうことがあるということを御承知おきいただければと思います。

○荒井部会長 そのほかよろしいでしょうか。

○中島委員 このデバイスが早く世に出てくることを期待していますし、今、御議論があった頸動脈も、頸動脈は実際に耳鼻科領域の大きな悪性腫瘍で頸動脈が損傷しほかに手段がないということもあるので、今回は無理かもしれませんが今後何らかの形で頸動脈に対する適応も考えていただきたいと思います。血管閉塞のリスクといっても他の方法(外科的結、動脈塞栓術)は、どちらも血管を閉塞させる方法でありリスクという考え方自体成り立たない気がします。

 御質問したのは、添付文書です、当日配布資料の4-2の4/5のページにMRIの安全性及び適合性という記載があります。ここに書いてある言葉に余り適切でない言葉が結構あると見させていただきました。例えば画像品質の最初の所、T1-加重、スピンエコー法とか、これは当然T1強調スピンエコー法だと思います。傾斜エコーパルスシーケンス、これはグラジエントエコーで、傾斜という言葉を使いますと、傾斜磁場を反転して180度パルスをうってやるのがグラジエントエコーパルス法ですので意味が異なります。英語をそのまま直訳されて、現実に今、我々は使っていない言葉が使われていると思います。それ以外にも幾つかあるのですが、ここの訂正に是非協力をさせていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。御指摘いただきまして、ありがとうございます。後ほど御相談させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。また、先ほど御指摘いただきました頸動脈等の適応についても日本ゴア社にお伝えするようにいたします。

○荒井部会長 御指摘ありがとうございます。頸動脈については、脳底動脈の所の交通の関与もあり、臨床的な判断は結構難しいところがあると思います。ただ、今回につきましては、そこまで踏み込むことも難しいということで、鎖骨下動脈で止めさせていただいているという理解でよろしいかと思います。そのほかよろしいですか。よろしければ議決に入ります。

 医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」について本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品へ指定するということでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に、期間は、血管損傷治療の適応については5年、血管開存治療の適応については6年10か月として指定させていただいてよろしいでしょうか。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。穴井先生、どうもありがとうございました。

 続いて、最後の議題5に入ります。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題5について、資料5に基づき説明いたします。議題3と4でも御審議いただきましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する必要がある際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて御審議いただいております。今回1件の新設がありますので、それについて御審議いただきます。

 3ページの新設する一般的名称()についてです。今回、新設する一般的名称、電気刺激治療装置用パラメータ選択プログラムは、iPadなどの汎用コンピューターにインストールするプログラムで、主に体内に植え込まれた電気刺激治療装置と通信し、そのパラメータを変更するために用いられるものです。植込み型の電気刺激治療装置は、ペースメーカーや電気刺激により疼痛を緩和する機器などのことを指します。

 4ページです。今回、新設する一般的名称と同様の機能を持ち、プログラム単体ではなくハードウェアを有する機器として植込み能動型機器用プログラマがあります。分かりやすく表現すると、植込み機器用のリモコンのようなものです。今回、新設する一般的名称は、このハードウェアを有するプログラマからプログラム部分だけを取り出したものです。既存の機器からプログラム部分だけを取り出したプログラム医療機器については、その既存の機器と同じクラス分類にすることとしております。

 そのため、今回、新設する一般的名称については、クラスIII、高度管理医療機器に指定し、また、特定保守管理医療機器への指定についてはプログラムであることから不要と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 本件について委員の皆様から御意見、御質問等よろしいでしょうか。よろしいですか。特に御意見ございませんでしたら、議決に入ります。「電気刺激治療装置用パラメータ選択プログラム」について、本部会として高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器には指定しないこととして、よろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告いたします。これで議題5を終了いたします。

 これにて本日、予定された議題は全て終了いたしました。事務局からそのほかありますか。

○参事官 本日は大変、長時間お時間も頂きましたし、また、種々の御議論を頂きまして誠にありがとうございます。事務局からは、次回の部会の予定を連絡しているところですが、確認のため申し上げたいと思います。次回は2月26()1618時の予定ですので、よろしくお願いしたいと思います。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 本日は長時間になってしまいまして申し訳ございません。これをもちまして、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

( 了 )

 

 

 

 

 

 

 

○参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当) 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催したいと思います。委員の先生方におかれましては大変御多忙の中を御出席賜り、誠にありがとうございます。

 本日は医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、現時点で15名の御出席をいただいております。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを、まず御報告させていただきたいと思います。

○事務局 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降については医療機器の承認審査などに関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開とします。

 これより議事に入りますので、傍聴者の方によるカメラ撮りはここまでといたします。御協力のほどよろしくお願いいたします。それでは荒井部会長、以後の進行についてお願いいたします。

○荒井部会長 それでは始めさせていただきます。まず初めに事務局より配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 公開案件について資料の確認をいたします。議事次第の下に配布資料一覧、クリップで止めております当日配布資料の一覧がありますので、これに従って御確認をお願いいたします。資料の数が非常に多いため、資料のタイトルに関しては省略させていただきます。

 まずは配布資料一覧と合わせて御確認ください。資料1-1、資料1-2、資料1-3、資料1-4、そして大きな資料の山の一番下にあると思いますが参考資料1となります。

 次に当日配布資料の確認をさせていただきます。当日配布資料の一覧と併せて御確認ください。当日配布資料1-1、当日配布資料1-2、当日配布資料1-3、当日配布資料1-4、当日配布資料1-5、当日配布資料1-6、公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はよろしいでしょうか。それでは議題1、「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」につきまして。はじめに、まずガイドライン()について事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題1、「黄体形成ホルモンキットに係る一般用検査薬ガイドライン()」について事務局から御説明させていただきます。

 資料1-1から資料1-4について、事前に委員の先生方に配布させていただきました。資料1-4について、会議前に委員から御指摘を頂き一部修正をさせていただき、更に資料1-3も少しレイアウトの変更等がありました。混乱するかと思いましたので、同じ資料も含まれておりますが、当日配布資料1-1から1-4という形で丸々置き換えさせていただきました。申し訳ありません。なので、本日御確認いただく資料は当日配布資料1-1から1-6までのほうということで御議論いただければと思います、よろしくお願いいたします。

 それでは、内容について御説明させていただきます。本ガイドライン()については前回、11月の部会において議論を頂き、委員の皆様から様々な御意見を頂くとともに、パブリックコメントを実施して差し支えない旨の御了解を頂いたところです。本日は昨年1120日から1219日に実施したパブリックコメントの結果と、これを受けて私どもで検討させていただいた対応方針について御説明するとともに、その内容について御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず最初に、パブリックコメントの御意見と回答()ということで当日資料の1-3を御確認ください。1枚めくっていただき、中身を御説明させていただきます。各欄につきましては一番左が通番の番号を付番したもの、真ん中がパブリックコメントに対して頂いた御意見、右側が当省の考え方ということになります。

 1から御説明させていただきます。1について、以下に述べる医学的見地を踏まえ、適正使用を確認するための対策を含めた四つの条件付きで、転用には異議をはさまないという御意見を頂いております。

 その下に1から4とあります。まず1として、本検査薬は既に保険薬として収載をされているので、医療機関において実際に使用されている。したがって、今般のガイドラインにより、一般用検査薬となっても保険薬としての収載は変更しない。2、本検査薬は精度の点で「本検査薬が陰性だから、妊娠しない」ということから、避妊の目的で使用することは危険である。したがって、ガイドライン添付文書に注意事項として、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することには適していないので、避妊の目的で用いることを禁じる」と記載をする。3については、医師の指導が無い状況で使用した場合、適正に使用されたかどうかを調査して確認する。4として、購入した方が適正な使用ができるよう、自ら確認するためのチェックシートを用意することという4点を頂いております。

 それに対して当省側の考え方を右に書いております。まず、1の保険上の取扱いにつきましては今回パブリックコメントの対象ではありませんが、御意見として承り関係部局と共有し、今後の行政の参考とさせていただきたいと考えております。

 2について、添付文書の記載の修正については御指摘のとおり修正をして、避妊に使用できないことを明確化させていただきました。更には適正使用のため、購入者自身がメカニズムと原理を理解して、避妊目的に使えないことを理解いただく必要がありますので、製造販売業者に対し、説明資材を作成して販売業者が販売時に十分な説明を行えるよう努めさせることを、指導していきたいと考えております。さらには、適正使用確認のための調査及び適正使用を自己チェックできるチェックシートについても準備するべく、承認時に製造販売業者に対して指導をするというような対応を考えております。

 引続きその下、2の御意見についてです。これについても1と似たような御意見です。まず()()のほうで、本検査薬は使用に対して医学的知見を必要とする。なので薬局等での対面販売時の説明では十分に理解が得られないのではないかという御意見がありました。さらにはその下、()()として、医師による排卵日推測でも本検査薬は精度が低い。したがって目的外使用が一番懸念をされ、避妊目的に使用ができないのではないかという御意見を頂いています。これについて右側、1と同じような御回答ですけれども、販売者に向けて必要な知識について研修を行い、販売に当たっては十分説明をしていただくとともにチェックシート等の調査を行う。さらに()()として、品質確認についてはOTCといえども適切に担保されるので精度は担保されるのですが、やはり排卵日の予測に当たって限界があること、さらには次のページ、目的外に使用できないことについては十分説明を行って、調査等も行わせていただく形を設けております。

 さらに3として、避妊目的で使えない理由として、精子が3日以上生存する可能性があることを記載してほしいということを頂きました。これについてはガイドラインに反映させていただきました。

 4、販売者への説明は必須でも、購入者へは必須としないでほしいということでした。御意見はこれだけなのですが、多分説明なしで買いたいという購入者側からの御希望の御意見だろうと、こちらとして理解をしております。これにつきましてはその右、購入者への適切な配慮が必要な一方、今まで御説明したとおり適正使用のためには原理とメカニズムを把握をして、不適切使用が行われないことを十分理解していただく必要があります。それについては説明を適切に行いたいとさせていただいております。

 その下、5、LHと排卵の関係性に科学的根拠が乏しいのであれば、保険診療から排除すべきではという御意見を頂きました。これについては、尿中のLHサージと排卵には関係性があるということは科学的知見が示されている一方、御指摘のように陽性であっても排卵が確認されないケースがあります。この事象は限定的に発生するものなので、トータルとして臨床的意義を損なうものではないということを回答させていただきたいと思います。その他、誤記修正等ありましたので適切に修正をいたしました。以上がパブリックコメントの内容です。

 具体的に、どのようにガイドラインに反映をさせたかということについては、当日配布資料1-1と当日配布資料1-2を御覧ください。1-1が修正したガイドラインの本体、1-2のほうがその修正箇所を抜き出して横表のリストにまとめたものです。

 変更箇所については1-2のほうに従って御説明させていただきます。欄としては、左にガイドラインの該当箇所のページ、その右側に修正後のもの、更にその右が修正前ということで、修正後の所を御確認いただければと思います。

 まず、先ほどパブリックコメントの1で指摘がありましたように、避妊目的に使用しないことの理由を明確にということですので、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することは適していないので、避妊の目的で用いてはいけません」というように修正させていただきました。

 さらにはその下に括弧書で書いてありますが、これは非常に重要なことですので、上記内容については文字色などにより注意内容が適切に伝わるよう、各社工夫して表示をするということもガイドラインに含めております。

 その下の欄、13ページの所、使用上の注意の部分については上と同様の修正です。その下、これもパブリックコメント対応ですが、精子は体内で3日以上生存する可能性があることから避妊には使えませんということについて追記させていただいています。

 その下、15ページから下については、今御説明した2点を同じ場所にも反映させていただく。あと、誤記の記載整備の修正ということなので説明は割愛をさせていただきます。以上のような形でガイドライン()を修正し、案の最終とさせていただきたいと考えております。

 最後、パブリックコメントの1で御指摘いただきました、適正使用調査と購入者のセルフ・チェックシートの内容について、どういうことを考えているか、当日配布資料1-4を御確認ください。ここに今御説明させていただいた丸1適正使用調査と丸2セルフ・チェックシートということで、具体的にどういうことを考えているのかを書かせていただきました。

 まず丸1から御説明させていただきます。適正使用調査として、目的は検査薬の購入者が適正に使用しているかどうかの実態を把握するため、購入者が調査票を製造販売業者に送付する調査を製造販売業者の責任として行うことを考えています。

 内容にいきまして、調査内容は使用目的、販売時の説明等の分かりやすさを問う内容とする。その下に●がありますが、購入の目的の確認、販売時の説明、資材の分かりやすさの確認、さらには委員から御指摘いただいて追加したところになりますが、使用目的の確認のためのチェックシートの記載は理解できたか。このチェックシートの話は後で出てきます。さらにはその下、チェックシートの記載内容を守って使用することができたか、使用後の判定が自ら可能であったか、使用後の医師の診療の有無等について考えているところです。

 調査方法、期間としては、販売される全ての製品に調査票を同封するとともに、購入者に記入していただいた調査票を製造販売業者宛てに送付してもらうこととしています。調査期間については2年を設定させていただいているところです。その下、※で別途、製造販売業者が薬局に対して適正使用に係る説明の確認調査を行うことも考えているところです。以上が丸1適正使用の調査です。

 その下、丸2のチェックシートですが、目的は検査薬の購入者が自ら使用目的を確認するためのチェックシートを、販売時に販売店から購入者に提供することとしています。内容については、ガイドラインの添付文書に記載させていただいている「してはいけないこと」及び「相談すること」から抜粋し、避妊目的に使用できないとか異常がある場合は検査薬を使用せず医療機関を受診するといったことを確認することとする。そのチェックシートとして活用していただくための資料を作っていただきたいと考えています。以上が今般のパブリックコメントの御意見とその対応です。

 今後の流れとしては、本日の部会において御審議いただき、もし御了解いただきましたらパブリックコメント、回答ともに当該ガイドラインを通知として発出し、このガイドラインに従って具体的な製品が審査される予定となっています。事務局からの説明は以上です。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、御質問等はありますでしょうか。

○荒川委員 パブリックコメントの内容ではないのですが、以前、この会で指摘させていただいたように、例えば1-1の4ページ目にある「相談すること」ということで、丸2、丸3に医師、薬剤師(又は登録販売者)に相談することとあります。登録販売者の現状からすると、これは削除すべきではないでしょうか。僅か1日、2日の講習会を受けただけで、フォローアップも全然されていない、これでは解説にあるような内容を理解できるとは思えません。これは以前も指摘させていただいたのですが、やはり削除したほうがよろしいのではないでしょうか。

○参事官 実は、ここの所で括弧書で記載させていただいているのは、こちらの医療機器・体外診断薬部会の御議論が終わった後、本日の資料で申し上げますと当日配布資料1-6を御覧いただけますでしょうか、当日配布資料1-6の一番裏のページ、最後のページにフローチャートがあります。これを御覧いただきながらお聞きください。業界において検討を行いガイドライン()を作成して厚生労働省がチェック、機構の評価を行い、医療機器・体外診断薬部会の報告書に基づき議論をしてパブリックコメントを実施、その下の医療機器・体外診断薬部会、ここに今議論がきているわけです。

 右のほうを御覧いただきますと、この部会が終わった後、販売規制をどうするのかということで、具体的には1類医薬品にするのか2類医薬品にするのかということですが、このリスク区分については医薬品等安全対策部会で御議論いただきます。この結果を受けて、実際に先ほどの括弧書を入れるのか入れないのか決まるということで、こちらの部会ではとりあえず括弧書がどうなるかまだ分かりませんので、入れさせていただいております。先生の御意見についてはきちんと担当の部局にもお伝えしたいと思います、以上です。

○鈴木委員 幾つか質問や意見を述べさせていただきたいと思います。まず、ガイドラインの添付文書案の所です。4ページを見ると修正はしていただいているのですが、1行目の所、「本品は、避妊の目的で排卵日を予測するために使用することには適していないので」という文章があります。「適していない」という表現は十分ではない可能性もあるように思われます。

 同じ所、例えば13ページ目、別紙3-2、販売者向けの説明資料事例です。下のほうに(解説)として「避妊目的に設計されていません」、一番下の所に「確実に避妊できるものではありません」とあるように、どうして駄目なのかをもう少しはっきり書いたほうが分かりやすいのではないかと思います。要するに、「適していない」という表現では使用してはいけない理由が十分に伝わらないのではないかと考えられます。

 同じく17ページ、これは「お客様用ご使用の手引き」ですから、別紙3-2が渡されるということだと思います。ここにも最初には「適していない」という言葉がありますが、20ページには「避妊目的に設計されていません」、「確実に避妊できるものではありません」と書いてあります。しかし、ここまで読まれる方がどのぐらいいるでしょうか。添付文書のみを御覧になってお使いになる方が、多いのではないのかという気がします。最初の部分に、「避妊目的に設計されていません」とか「確実に避妊できるものではありません」といった、はっきりとした表現を入れたほうがいいのではないか、御検討いただければと思います。

 資料1-3、3ページ、4のパブリックコメントに、「販売者への説明は必須でも購入者へは必須としないでほしい」とあります。これは黙って渡してほしいとも取れますが、プライバシーの配慮をもっとしてほしいとも考えられますので、プライバシーの配慮が十分されているかどうか。例えば医療機関なら個室とか、そうでなくても、関係者以外第三者はいないわけですけれども、周りに一般の人がいるような所で、先ほど説明があったような話をされるのは嫌だという方もいらっしゃると思います。だから説明をせず売るのではなく、必要だから誰がいてもやるというのでもなく、ほかの人に聞こえないようにするような距離やパーテーションの設置といった配慮は、必要ではないかと思いますので、御検討いただけたらと思いますし、お考えを伺えたらと思います。

 2ページの1のパブリックコメントの一つ目の質問に対する事務局の答え方ですが、ここは担当が違うからとして非常に曖昧な書き方になっています。担当が違うということは分かりますし、担当される所は、医療保険上の話ですから保険局のどこかということになるのでしょうが、そことは十分連携していると考えていいのかどうか。自分の所ではないから知らないということではなく、実際にはきちんと連携は取っていると考えていいのかを確認させていただきたいと思います。

 1-4の適正使用調査等の所ですが、これは適正使用調査、製造販売業者の薬局に対しての適正使用に係る説明の確認調査、それにチェックシートの3つがあると思います。この適正使用調査についてはやりっ放しではなく、PDCAサイクルを回して改善できるよう、中間報告や最終報告をしっかり当部会にしていただきたいと思います。

 また、丸1の下の※に「別途、製造販売業者が薬局に対して適正使用に係る説明の確認調査を行う」とありますが、これも言いっ放しではなく、しっかり中間報告や最終報告を当部会に行っていただきたいと思います。

 丸2のチェックシートですが、これも渡しっ放しではなく、利用状況の中間報告や最終報告を当部会に行うようにすべきだろうと考えます。これらについての事務局のお考えを聞かせていただければと思います。

 先ほども御説明や御質問もありましたが、リスク区分の検討は当部会ではなく、今後医薬品等安全対策部会で行われるとのことです。我々としては1類が望ましいと考えますけれども、2年間調査するので2年後に再検討ということになるのでしょうが、その際にも、これらの適正使用調査、確認調査やチェックシートの利用状況調査の結果を踏まえて十分議論をしていただきたいと思います。販売後もそれらの議論は医薬品等安全対策部会で行われると理解していいのかを確認させていただきたいと思います。

 最後、一般用検査薬はただ売ればいいというものではなく、医療機関へのアクセスが良い我が国においては、使用者が一般用検査薬を利用することによって、より医療機関へアクセスしやすくなることを目的として使用もすべきであり、そのような運用がされることが必要であると考えます。以上、質問と意見を述べさせていただきました。

○荒井部会長 ありがとうございます。大きく分けて6点ほどの御質問を頂いたと思います。まず、「避妊の目的でない」ということの表現形、ならびに、できればそれを誰もが読む最初のところに持ってきてはどうかという点、についていかがでしょうか。

 避妊の目的では使わないということをもう少しはっきりとした表現にして、かつ、誰もが見る添付文書の最初の所で示すべきではないかという御意見です。この点についていかがでしょうか。

○参事官 まず、今の御意見については確かにおっしゃる部分もあろうかと思います。表現ぶりについては、もう一度工夫させていただきたいと思います。

○荒井部会長 次にプライバシーへの配慮。実際に店頭で購入する場合には他人の目もあるが、その辺についての対応はどうか、ということについては。

○生出委員 薬剤師会の生出です。プライバシーの配慮に関しては二つ考え方があると思います。一つは気軽に薬局やドラッグストアの店頭で相談しながら購入したいという生活者の方々、それとプライバシーを守っていただいて、話し声が通らないような形で相談したいという方の2通りあると思います。現状、薬局には薬局の施設基準というものがあり、約5万8,000軒ほどの薬局のうち3万軒が施設基準に該当しているわけです。その中で、基準調剤加算の施設基準として、薬局の求められる機能と在るべき姿が一昨年の1月に公表されているのです。薬学管理等の内容がほかの患者に漏れ聞こえる場合があることを踏まえ、患者との会話のやり取りがほかの患者に聞こえないよう、パーテーション等で区切られた独立したカウンターを有することということが今のところ、努力規定ではありますが、形としてどんどん増えてきております。今後はそのような対応ができる薬局がどんどん増えていくものと思われます。プライバシーへの配慮ということに関しては、薬局の対応はそのような形になっているということを御報告申し上げました。

○参事官 鈴木委員のお話について、確かに購入者の実際を考えますと、そういう御意見があるのはごもっともだという気がいたします。そういったことの注意喚起の通知をする際に何らかの形で記載をすることも含め、ちょっと考えてみたいと思います。

○荒井部会長 三つ目に御指摘いただいた点。いわゆる保険薬としての扱いについてですが、これについてはいかがでしょうか。

○参事官 一般用検査ができることにより、今、尿中の黄体形成ホルモン、LHの検査については保険適用になっています。その取扱いを変更するなという御意見です。それに関しては、先ほど鈴木委員からもお話がありましたが保険適用の可否については保険局のほうの所管ですので、この意見については既に保険局のほうにはきちんとお伝えしているところです。

 一応、事実関係として申し上げますと、これまでいわゆる一般用検査薬で認められているものが三つあります。妊娠検査薬と尿糖検査薬、それから尿たん白検査薬とございます。妊娠はちょっと別だと思いますが、尿糖検査薬と尿たん白検査薬については平成2年に承認されて提供されています。もう20数年たっていますが、保険上の取扱いが変わったのかというと変わっておりませんということは事実としてあります。

 保険局の立場をここで今御披露するのもあれですので、きちんとお伝えもして、私どもとしてはこういった御趣旨を保険局にきちんと伝えていることを、まずここではお話しさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 次は、適正使用調査、あるいはチェックリストといったものを必ずPDCAサイクルに乗せて、もう一度こちらにリターンしていただきたい、ひいてはその後のリスク区分にも、調査の結果が反映されるよう対応していただきたいという、これは要望というように伺いましたが、いかがでしょうか。

○参事官 こちらの御意見についても、ごもっともな意見と思っております。こういった調査はやりっ放しは意味がありません。調査した結果をこちらで大変御議論いただき、今回のガイドラインに進めていただいておりますので、この部会にきちんと御報告させていただき、どういう状況かも、きちんと委員の先生方に見ていただき、その後どうしていくのかについては、きちんとやらせていただきたいと思っています。

○荒井部会長 鈴木委員の最後の御質問、これはなかなか難しいところがありますが、いわゆる一般用検査薬によって医療機関へのアクセスがむしろ活発になるような方向に向けられないかという点について、その辺の考え方はいかがでしょうか。

○参事官 これにつきましては、もともと作った一般原則、当日配布資料1-6、先ほど通知を御覧いただきました。ページで言いますと当日配布資料1-6の7ページ、別添2という所を御覧いただきたいと思います。この4ページ、一般用検査薬の導入に関する一般原則についてということで、一番冒頭に、一般用検査薬を正しく用いて健康状態を把握し、速やかな受診につなげることで疾病の早期発見に資するように体制を整えるとあります。こういう前提の下、こういう基本的考え方の下に進めていくということです。前回の部会でもお話申し上げたように、お子さんを欲しいと思っておられる御夫婦で、まだお子さんがおられない方々に関しては、まだ医療機関にかかられていない方もそれなりの数がいるという結果でした。そういった方々に対し、こういったものを提供することにより、自分の体調を確認して受診につなげていくというのが本旨ですので、我々としてはそういう考え方で進めていきたいと思っています。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかに御意見はございますか。

○今井委員 今井です。まず最初、先ほどの御意見についてなのですが、現実に忙しい生活を営んでいる女性で性交機会が少なく、それで不妊になっている人の中には病気が隠れている人もいると思います。そのような方は、単に機会が少なくて自分は妊娠しないと思っている可能性があります。このようなものを使うことによって、例えばずっと陰性、ずっと陽性という結果が出てきたときに恐らく怖くなって受診なさると思うので、受診機会を提供することにはなる。ここまでは意見です。

 あと、添付文書のほうで、まず2ページ目の用語で「スポット」の意味が分かりません。「スポットが認められた」、又は「スポットが認められた場合」というのがあるのですが、多分一般人はスポットと言われても分からないと思います。

 5ページ目の一番上、月経周期から検査開始日の表が出ています。*付きで「月経開始日から数えて何日目から検査するかを示します」と書いてあるのですが、パッと見てすぐに分からない部分があります。*を付けないで、検査開始日というのは月経開始から5日目、6日目、7日目というようにしてしまったほうが、もしかしたら分かりやすいのではないか。

 今度は7ページ、今時、説明書というのは病院で頂く説明書も言葉が非常にこなれて、堅苦しい表現が少なくて読みやすくなっています。7ページ目の使用に際しての注意という所、「検査前に、過剰に水分をとることを控えてください」とあります。この辺、非常に小さいことなのですが、「水分をとらないでください」ともう言ってしまっていいのではないかと思います。

 8ページ目の保管及び取扱い上の注意の所、前回御意見申し上げて入れていただいた丸3、冷蔵庫内保管についてはの後、長く書いてあって、最後に「避けること」と書いてあります。ここもまず禁止を言ってしまって、冷蔵庫内保管は避けること、その後ろに理由を書いたほうが読みやすいような気がします。

 7ページ目の判定に関する注意の所、正確に書こうとなさっていることで記述も多く、一般人にとっては気持ちがふっと離れてしまうような難しい表現が多くなっている部分があります。前の「相談すること」とも関わってくるのですが、結局自分がどこに該当するのかが一目で分かるような見出し、つまり検査初日に陽性になった場合、それから検査を続けていても陰性が続く場合、陽性が続く場合、順番が適切ではないかもしれませんが、検査をきちんとして適切な時期に性交しても妊娠しない場合と、四つに分かれていると思います。

 そのうち、医師の受診を必要とするものとそうでないものに分け、これは使ってからの注意になるのですが、妊娠、分娩後、流産後、胞状奇胎・絨毛がんなどというのはむしろ、購入前に相談できることに入るのではないかと私は感じます。ここに関しては、検査してから自分で気付くことと、購入前相談で購入を避けるように指導すべきことと、購入をするのではなくて受診するように指導することとが交ざっているように感じます。

 最後にQ&Aが付いていますが、Q&Aを付けてしまうほうがいいと私も思いました。Q&Aが付いている点は素晴らしいと思います。ただ、1、2日検査を忘れてしまうというケースが発生すると思います。そのときにどうすればいいのですかという点を付け加えていただけると、お金がかかっていることですので、今回はパスして次回の生理周期から始めたほうがいいのかとか、考え出す人が出てくるのではないかと想像しました。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます、かなり多数の御指摘がありました。

○参事官 全般的にごもっともだと思います。なるべく分かりやすく、誤解のないようにするのは大事なことだと思います。そういった方向で修文を作りたいと思います。作ったものについてはまた、今井先生に御覧いただいて、このようなものでいいのかどうか見ていただいた上で、またほかの先生方にも配布させていただき確認するという段取りで、もしよろしければ進めさせていただきたいと思います。

○荒井部会長 ありがとうございました。そういう手順でよろしいでしょうか。

○武谷委員 これは前回も議論されたようですが、私は欠席したので、今、発言するのもはばかられるところではありますが、お許しいただきたいと思います。この資料1-1で、今井委員も少し触れましたが、例えば、最初の2ページですが、このイラストが4、5か所出てきます。全部共通ですが、この結果という所で、LHサージが検出されましたというので、「初めて陽性になった日かその翌日が最も妊娠しやすい性交時期」というのは分かります。ただ、括弧で「検査初日から陽性になった場合は、陽性が続く場合もありますので、検査の結果がでるまで検査してください」という記載に関し、この場合に、これを使うユーザーは、いつが妊娠可能時期かが分からないのではないかと思います。この場合には性交を控えろというメッセージなのか、そこで直ちに性交を行うのかと。ですから、これは少し舌足らずな表現になるかと思います。恐らく最初に出たら、その日に性交していただきたいということがよろしいのではないかと思います。

 それから、陽性と確認できたら、陰性になるまで見なくてよくて、初日が陽性ならば、そのときだけ陰性になるまで見なければいけないと。この理由はどういうことなのでしょうか。恐らく今言った流産や分娩などの特殊な非特異的な背景があるかもしれないと。それだとしたら、陰性があってから陽転した場合には、その可能性は確かにないかもしれませんが、それらをチェックするために陰性を確認しろという指示をしていることになるのですか。少しそこが分かりにくいかと思うのですが。幾つかあるのですが、まず第1点です。

○参事官 一応、ここで書いた心は、実はこれまでの事例で、いろいろメーカーの方にもお聞きしていると、ずっと陽性が続く方がどうしてもいると。その場合は異常なので、受診ということを聞いており、そのことでこういう書きぶりにしております。もし、よろしければ、また修正したいと思います。

○武谷委員 そうですね、ちょっとその辺りが一般の方にどう伝わるのかが第1点と、それから、先ほどの性交のタイミングに、この場合には、ユーザーは迷うと思うのですね。最初から陽性だったら、これは妊娠しても何かまずいことがあるのではないかと思い、パスしてしまう人もいるかもしれないので、あえて書くのなら、初日から陽性になった場合にも、その日は性交時期ですとは書きづらいところはありますが、そういう機会を持つようにしていただきたいということを書いていただくほうがよろしいのではないでしょうか。

○参事官 ありがとうございます。案文を作り先生に見ていただいて、適切な表現にしたいと思います。

○武谷委員 それから、これも共通なのですが、例えば13ページに(解説)というものがありますが、これは販売者、薬局向け、あるいは添付文書、クライアント、ユーザー、全部に共通に書いてあるのですが、中段のほうです。不妊治療にはhCGとか、これはあっさり書いてありますね。例えば19ページのお客様用の所を見ていただくと分かるのですが、(判定に関する注意)で最下段の所で、少なくともFSH、TSH、hCG等々について判定結果への影響が認められた場合には記載を行うと。これはお客様にこういうことを要求するのですか。お客様にとってはFSHやTSHなどはさっぱり分からないのではないかと思うのですね。これは医師がやったとしても、これがどの影響を与えたかは分からないし、恐らく医師でさえも病院でこれをやっても、どれが影響したかは分からない。それから偽陽性か偽陰性かという判断も、どういう場合にするのでしょうか。

○参事官 これは間違いです。大変恥ずかしいことで、実はこれは、承認申請の際に、こういう交絡因子の確認をメーカーが実際にデータを取るときに、こういうものと交絡するかどうかを確認するためのもので、それがこんな所に入ってしまっていて、大変恥ずかしい話ですが、この部分は全く削除ということで。

○武谷委員 削除ですか。

○事務局 こちらの記載ですが、メーカーのほうで今後、個別の品目について、これらの物質が偽陰性・偽陽性に影響を与えるかどうか確認していただくことになります。その結果、偽陰性・偽陽性など、判定結果に影響が出ることが分かった暁には、その内容について、ここに追記していただきたいといった趣旨の次第です。ですから、「記載を行うこと」という記載が少し分かりにくかったのですが、記載を行うのはメーカー側になると御理解いただければと思います。

○荒井部会長 今の御意見は、むしろこれがお客様用の使用の手引きに、こういったことまで踏み込んで書くことが、本当に適切かどうかという御指摘だと思います。何でも正しいことを書けば全部いいというわけではなく、読んだ人が分からなければ意味がありませんから、そこは一度整理したほうがいいと思います。

○参事官 よく分かりました。例えばエタノールなどがあった場合、例えばアルコールを飲んだ後はとか、お酒を飲んだ後は少しぶれますよとか、そういうことはないのかもしれませんが、データに基づいて、いわゆる一般の方が読んで分かるような部分を考えるようにしたいと思います。確かにFSHとかホルモンの関係を書いても、さすがにあれなので、大変それは申し訳ないと思います。基本的には先ほど御説明したとおりで、一旦削除させていただいて、必要なものを記載するなどの修正をしたいと思います。

○荒井部会長 よろしくお願いします。

○武谷委員 もう一つ、20ページのQ&Aを御覧になっていただきたいのですが、これはパブコメでも説明されていましたが、(してはいけないことについて)の丸1避妊目的には使用してはいけないのでしょうか、その説明の中段から、赤字はいいとして、精子は体内で3日以上生存する可能性があること。その次、LHサージの前に排卵が起きる場合ですが、これは生殖生理学の根本的なパラダイムを変えてしまう表現なのです。これは恐らく本キットではLHサージが検出できなくても、この場面で検出できないということであって、LHサージの前に排卵が起きる場合と医師の国家試験に出して、これを排卵があるとしたらバツですので、これは一発で落ちますね。そこのところをあくまでも、実際にいろいろ使ってみて、いろいろな事情で使用が不適切だった、あるいは手技が不適切であった、あるいはタイミングが悪かったという、いろいろな理由で本キットでいうLHサージにしていただかないと。実際に生体内でLHサージが起こらないで、自然排卵が起こるということは、生殖生理学を根本から覆す表現になりますので、そこの言い回しを変えていただきたいと思います。

 要するに、これが一人歩きすると、本委員は全部LHサージがなくて排卵があるのだと認めたという立場になるのです。私も産婦人科を昔にやっていたので、これを看過したかというそしりを受けることになるので、そこは少し表現を書き換えていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

○参事官 大変申し訳ございません。了解いたしました。実はここで記載したのは、海外の文献で尿中のLHの検出ができなくても、排卵との関係は必ずしもパラレルにならないというのがあり、それでここに表現したのですが、確かに正確には先生のおっしゃるとおりだと思います。実際に検出できなかったのは、いろいろな理由で検出できないことがあると思いますので、それらをはっきりとさせるように修正したいと思います。

○生出委員 この後、LHサージの件で排卵日検査薬が承認されていくと思うのですが、先ほども荒川委員や鈴木委員からもお話がありましたように、今後、医薬品等安全対策部会でリスク区分するということでしたが、当日配布している1-4を見ますと、調査表を入れて、今後、調査期間を2年間とすると書いてあります。従来の意味での内服におけるリスク区分とはまた違うと思うのですが、いろいろな形で今日のお話を聞いていても、薬剤師が説明しなければいけないことが多々あるような気がするので、是非、要望として、第1類医薬品に該当するのではないかと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○安全対策課長 御意見ありがとうございます。安全対策課ですが、先ほど、御説明がありましたように、この部会が終わった後、リスク区分については医薬品等安全対策部会のほうで御審議いただくことになっております。この部会で御意見があったことを御紹介しつつ、御検討いただきたいと思っております。ありがとうございました。

○荒井部会長 よろしくお願いします。そのほか、よろしいでしょうか。

○正田委員 本当に細かい話なのですが、先ほどから判定の所が少し気になっていて、判定の表が四つ、4ページにわたって出ているのですが、右側の表現が二つほど微妙に違った表現になっているので、これは最終的にはそろえてもらえるのですよね。2ページと6ページと12ページと18ページの判定の表の右側、翌日以降と書いてあったり、今回は出ませんでしたとあるのですが、それが違うことです。あと、先ほど今井委員がおっしゃったことで、私は医療従事者なのですが、やはりスポットのことは分からないので。それだけではなくて、その後の、「前日と比べてラインの本数が増加した場合」というのが分からない、例えば、初日は判定のラインがマイナスだったのが、翌日は下の陰性の所にあるように、薄い線が出たら、それは陽性と考えるのですか。と言うか、この例示自体が少し、全体として非常に分かりにくいのが少し気になるので、整理していただくといいと思います。例えばスポットの前に前日と比べてなのか、文言の中でスポットという言葉がどこにどのように掛かっているのか少し分かりにくい所があるので、これを例に各社が作って、肝心な判定の所でみんなが混乱してはしょうがないかなと心配になったので意見しました。

○参事官 もう一度よく確認したいと思います。ありがとうございます。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは特にほかに御意見がなければ、これで議題1を終了させていただきます。

○参事官 御議論ありがとうございました。本日の御意見で幾つか修正の箇所がありますが、その修正をした上でガイドラインとして認めていただけたと理解させていただきました。先ほどから申し上げたように、幾つかの点で修正する必要がありますので、事務局のほうで修文を作り、各委員に御確認をいただき、その上でガイドラインの発出を進めていきたいと思います。2月中のなるべく早いうちに出せればと思っていますが、それをめどに発出の準備をさせていただきたいと思います。ガイドラインの発出がされますと、メーカーのほうから、これに沿った形での一般用検査薬の申請があろうかと思います。そういった段取りで進めていきたいと思っております。以上です。

 以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様には申し訳ございませんが、御退室いただければと思います。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を再開したいと思います。

○参事官 準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開させていただきます。よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、非公開の議題に係る配布資料の確認をさせていただきます。配布資料一覧及び当日の配布資料一覧に従って御確認をお願いいたします。公開案件の資料と同様に資料の数が多いため、資料のタイトルは省略させていただきます。まずは配布資料一覧と併せて御確認ください。資料2、医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」について。資料3、医療機器「サンコンKyoto-CS」について。資料4、医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」について。そして資料5、資料6、競合品目・競合企業リストとなります。

 次に、当日配布資料の確認を行います。当日配布資料一覧と併せて御確認ください。当日配布資料の2-1、2-2、2-3、3-1、3-2、3-3、3-4、4-1、4-2、4-3、非公開案件の資料は以上です。

○荒井部会長 資料はおそろいでしょうか。よろしければ、これより非公開で行う議題に入らせていただきます。まず、本日の審議事項に関与した委員と、利益相反に関する申出状況について事務局から報告をお願いします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程に基づき、審議に参加いただけない委員はございません。ただし、薬事分科会審議参加規定第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に御参加いただけない委員は、議題4について一色委員となっております。この際、御退室いただく必要はございません。議題5については、委員より寄付金・契約金等の受取の申告がありましたが、これは薬事分科会審議参加規定第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で公開することをもって、審議及び議決に加わることができるとなっております。以上、御報告いたします。

○荒井部会長 ただいまの事務局からの説明について、特段の御意見等ありますでしょうか。よろしければ皆様の御了解を頂いたものとして、議題に入らせていただきます。

 それでは議題2、「医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」、審議を始めさせていただきます。本議題の審議に当たりましては、参考人として国立大学法人千葉大学名誉教授であられる平澤博之先生にお越しいただいております。先生、どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、審議品目について事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題2についてですが、資料2を御覧ください。1枚目が諮問書になります。本議題では、医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について御審議いただきますが、それに先立ちまして、本品の審査の概要について御説明いたします。機構の担当の方、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、資料の訂正があります。当日配布資料2-1を御覧ください。事前に配布した審査報告書に修正がありますので、正誤表にてお示ししました。また、添付文書案についても修正がありますので、当日配布資料2-2としてお配りしております。修正がありますことをお詫び申し上げます。

 次に、当日配布資料2-3の本品目の専門委員を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しします3名の専門委員の御意見を頂きました。それでは、品目の概要について御説明いたします。資料2、一番上のタブ、審査報告書、5ページの図1を御覧ください。本品は体温管理を行うことを目的に、下大静脈に留置して使用するバルーン付中心静脈カテーテルです。既承認品「サーモガードシステム」のコンソール/装置本体に設置した本品のスタートアップキットと、本品のバルーン付中心静脈カテーテルを接続し、コンソール/装置本体で目標体温を設定して使用します。動作を開始すると接続されたスタートアップキットとバルーン付中心静脈カテーテル内を温度が調節された生理食塩水が循環し、バルーン付中心静脈カテーテルを留置した下大静脈で血液と熱交換をすることで、全身の体温管理を行います。開発の経緯については、審査報告書6ページから10ページに概略を記載しております。

 審査報告書6ページ下、イ.項を御覧ください。低体温療法は、国内外の蘇生医療の現場で行われている心停止・心拍再開後の患者に対する集学的治療の一つであり、脳の虚血再灌流傷害を抑制し、神経学的転帰の改善を期待する治療法として行われています。本邦では、氷嚢や体表面を冷却する医療機器を使用する方法などで行われておりますが、体表面を冷却する方法では目標体温までの到達時間を要すること、医師・看護師をはじめとする医療従事者による管理作業の負担が少なくないことなどが課題として挙げられており、本品は、これらの課題を解決するために開発された医療機器です。

 審査報告書の8ページ、表1.を御覧ください。既承認品サーモガードシステムの構成品CLカテーテルと本品との差分を記載しております。既承認品は、中心静脈用カテーテルを必要とする急性重症脳障害に伴う発熱患者に対し、発熱負荷を軽減するための解熱剤、冷却用ブランケット等の補助としての使用目的で、平成24年6月に承認されております。本品はCLカテーテルの設計及び技術を基に、バルーンの数を増やし、血液との接触面積を増やすことで熱交換性能の向上を図り、効率的で管理された体温調節を可能としたため、JRC蘇生ガイドライン2010において推奨されている低体温療法を使用目的に追加する申請に至りました。しかしながら、本申請の審査期間中である201510月にJRC蘇生ガイドライン2015が発行され、それまで推奨されていた治療内容も変更されました。

 審査報告書の9ページ、表2.を御覧ください。推奨される体温管理の内容に関する比較を記載しております。JRC蘇生ガイドライン2015において、目標体温は3236℃に拡大されました。また、治療方法の呼称については、低体温療法ではなく、体温管理療法とすることが望ましいとされたことから、JRC蘇生ガイドライン2010において推奨される体温管理に基づく治療を低体温療法、JRC蘇生ガイドライン2015に基づく治療を体温管理療法と区別して使用しています。

 提示された非臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書の13ページから記載しております。安定性及び耐久性、生物学的安全性、機器の性能を裏付ける試験、効能を裏付ける試験、及び使用方法を裏付ける試験成績が提出され、審査の結果、血栓に関するリスク評価以外は、特段の問題がないことが示されました。血栓に関するリスクについては、臨床試験成績と併せて検討することといたしました。

 提出された臨床試験成績について御説明いたします。概略は審査報告書19ページ下段に記載しております。2013月~2014月に国内で実施された、心原性が疑われる内因性心停止・心拍再開後の患者を対象として、低体温療法が行えることを検証することが目的の、非盲検、単一群、前向き、多施設共同試験です。登録被験者数25人、有効性評価採用被験者数24人、安全性評価採用被験者数25人で評価されました。

 審査報告書23ページ中段、主要評価項目を御覧ください。有効性評価項目として、冷却開始3時間以内に、深部体温が目標体温に達した被験者の割合が設定され、目標達成率は100%でした。副次的評価項目に設定された治験機器使用開始から14日後のCerebral Performance Categories及びmodified Rankin Scaleは、良好な神経学的転帰を示すCPC1又はCPC2の被験者が24人中12人、mRS0~2の被験者が24人中11人でした。

 審査報告書24ページの図4.を御覧ください。治験機器使用中の体温の推移は、低体温維持期設定温度33℃の平均体温は33.09±0.06℃、正常体温維持期設定温度36.5℃の平均体温は36.64±0.17℃でした。

 審査報告書27ページ、表11.に治験機器と因果関係がある有害事象を示しております。重篤ではありませんが、下大静脈血栓症が1例発現しています。

 次に本品の審査における主な三つの論点について御説明いたします。本審査の期間中に蘇生ガイドラインの変更が生じたため、JRC蘇生ガイドライン2015の内容に基づき審査を行いました。一つ目の論点は、本品の有効性及び使用目的についてです。概略は審査報告書35ページ下段から記載しております。国内臨床試験において、本品を用いて低体温療法を行える性能が示されました。心停止蘇生後における低体温療法の臨床的意義は、自己心拍再開後の脳の虚血再灌流傷害を低減し、神経学的転帰を可能な限り良好なものにすることであることから、本来、本品の有効性を評価するためには、心停止蘇生後の神経機能の悪化を本品により抑制できることを評価した上で、本品を臨床現場へ提供することが望ましいと考えます。しかしながら、これらの評価は対象患者の重症度のばらつきや、症例数の観点から、1企業の治験では実現可能性が乏しいと考えられます。国内臨床試験の計画時には、JRC蘇生ガイドライン2010において、自己心拍再開後の低体温療法の施行が推奨され、既に臨床現場で通常に行われている治療手技であったことから、低体温療法のサロゲートである、深部体温を調整できるという性能により、本品の有効性を評価することは可能と判断しました。

 また、JRC蘇生ガイドライン2015において拡大された目標管理体温の本品の有効性は、国内臨床試験における正常体温維持の体温管理のばらつきと、2013年に発表された大規模比較試験の36℃体温管理群の体温管理のばらつきを比較して評価されました。これらを総合的に判断し、本品は国内臨床試験で示された低体温療法より温度範囲が広い体温管理療法に用いることを使用目的として差し支えないと判断しました。

 二つ目の論点は、本品の安全性についてです。本品を使用することによるリスクについては、一つ目として、重篤ではありませんが国内臨床試験において下大静脈血栓症が1例生じていたこと。二つ目として、ヒツジを用いた非臨床において血栓形成が確認されていたこと。三つ目として、バルーンを有する形状から、本品は既存の中心静脈カテーテルよりも血栓関係のリスクが増大することが懸念されること。以上の3点から、血栓に関する懸念が払拭されたとはいえないと考え、血栓形成のリスクについては、添付文書で注意喚起をするとともに、引き続き使用成績調査において経過を観察していくことが妥当と判断しました。

 三つ目の論点は、本品の使用成績調査についてです。国内臨床試験では実施されなかった、3436℃の体温管理については、国内外での報告が少ないことから、3234℃とは分けて、一定の症例数を確保し、3236℃の体温管理療法の有効性及び安全性に関する情報を収集する必要があると判断しました。なお、症例数は105症例、使用成績調査期間は、調査期間を40か月、販売準備及び調査表の回収・チェック・解析期間を8か月とし、計4年とすることが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品の原材料として、ヘパリンナトリウムが使用されているため、生物由来製品に該当すると判断しました。また、使用成績調査の対象として指定し、使用成績調査期間は4年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それでは、まずはじめに参考人としてお越しいただいている平澤先生から、御発言を頂けますでしょうか。

○平澤参考人 ありがとうございます。千葉大の平澤ですが、除細動器の普及などによって心拍が再開する人が非常に増えています。ただその後、心臓が1回止まった人は心停止後症候群と呼ばれている特殊な病態を示しますので、それをうまく治療して社会復帰をできるような感じで帰してあげないとあまり意味がないわけで、それに関する治療法は国際的なガイドラインがあり、それに則って行われています。

 国際的なガイドラインは4年ないし5年に1回、改定されるのですが、一番新しいのは2015年で、説明がありましたが、そこでは従来、低体温療法といわれていたのが体温管理療法という考えになり、3236℃の範囲で、高温にしないで、その範囲内の温度にするほうがいいという結果、エビデンス出まして、今、それが一般的に行われています。それをするためには従来の体表から冷やすというよりは、血管の中にカテーテルを入れて、その中にあるバルーンを冷却した生食水が環流して冷やすほうが体温管理のためのフィードバックもより精密になりますし、温度を下げる速度も速くなりますので、良いのではないかと思います。それに、こういう人たちはもともと必ずと言っていいほど中心静脈カテーテルを留置しますので、今回のデバイス留置による余計なリスクは発生しないだろうと思います。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問等ありますでしょうか。いかがでしょうか。ありませんか。よろしいでしょうか。マイクは聞こえていますでしょうか。質問が一つも出ないことは珍しいのですが。

○中島委員 無理やり質問しているわけではないのですが、やはりバルーンですので、血栓形成というのが気になるところなのですが、何かこれを使用するに当たって、例えばINRをどのぐらいにもっていくなどの目標値みたいなものは、今までの成績などで何かリコメンデーションみたいなものはあるのでしょうか。あるいはそういうものを適正な使用の所に記載したほうがいいという判断でしょうか。あるいはそれは必要ないという判断でしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 現段階ではINRに関しての縛りなどについては検討されておりません。これまでの臨床試験の中で血栓形成が認められた症例は1例ありますが、起こった時点での対応という形になっております。

○平澤参考人 一般的に臨床の場では、このカテーテルを入れたために、例えば薄くヘパリナイゼーションして血栓を予防するというようなことは行われておりませんが、それでも特段に血栓が多くなったようなことはありませんので、懸念はされますが、それほどのリスクではないと考えます。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○齋藤委員 海外の使用実績で見ますと、冷却不可、温熱不可という項目が結構多いように見られて、その原因があまりここには記載されておりませんが、これはこういったタッチパネルなどの操作上の問題なのでしょうか。その辺についての検討や、あるいは国内で実施された場合でこういった事例があるのか、その辺に関しての情報はあるのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 海外での有害事象での加温ができなかった、冷却しなかったといったことについては、カテーテルや装置本体が返却されておらず、製造元で詳細な調査がなされていなかったため、はっきりした原因は分かりません。口頭でのインタビュー等によると、本体とスタートアップキットの設置がうまくいっていなかった等のユーザーエラーが原因と考えられていたことから、取扱説明書で使用方法を説明することにしております。

○齋藤委員 では、構造的な問題などではなくて、単なる操作上のミスと理解してよろしいのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 はい、そういうことになります。

○齋藤委員 分かりました。

○塩川委員 この使用目的についてお尋ねしたいというか、37ページに蘇生後の、心停止後の、と使われているのは今までの議論でよく分かりましたが、私は脳外科なのですが、重症頭部外傷、脳損傷の低体温というのは一昔前まではかなり行われていたのですが、結局、なかなか得られるところがないということで、ほぼ多くの施設では高体温にさせないというぐらいの使い方になっているのです。使用目的の二つ目の黒ポツの「中心静脈カテーテルを必要とする患者に対して、正常体温維持に用いる」というのは、どういう状況を想定しているのですか。何か、感染を起こして熱が高い人に熱を下げるみたいなことが想定されているのですか。どういう患者さんを想定された記述なのでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 具体的には偶発性の低体温の患者、熱中症の患者に対しての体温管理目的などが想定されます。先生のおっしゃったような、脳外科の頭部外傷術後の高体温の患者様を、なるべく正常体温維持のほうに持っていくというのも適用の範囲に含められるかと思います。

○塩川委員 ここに含まれるということなわけですか。分かりました。

○武谷委員 少し教えていただきたいのは、資料2の9ページで、JRC蘇生ガイドラインの2010年バージョンと2015年バージョンを比較しているわけですが、2015年バージョンを見ましても、海外では相当、10ページを見ても分かるように、精力的に多数の症例に応用されているにもかかわらず、あまりエビデンスレベルは高くないということかと思うのですね。そこで今回こういう臨床試験を計画したということですが、海外でなかなか決定的なエビデンスが得られにくい理由はどこにあるのかというのと、今回の我が国の計画した臨床試験で、少しエビデンスレベルに影響を与えるようなデータが期待されるのかどうかと。永久にこういう状態が続くのかどうかということに関して、いかがなものなのでしょうか。

○平澤参考人 この32℃から33℃以下ではなくて、36℃でも同じですよというのは、2013年にThe New England Journal of Medicineに発表されたエビデンスであり、それでは33℃でも36℃でも同等ですよと。その前に低体温にすればいいですよというデータは2000年代に二つ、エビデンスがあります。それを踏まえて、ILCORとAHAのガイドラインでは心肺停止の人で、心拍再開した人は低体温をやりましょうということになっているのだと思います。それで、やはり、非常に限られた状況の中で治験をやらなければいけませんので、非常に多くの症例を集めるのは難しいところもあると思います。それをやはり、ランダマイズドしなければいけませんので。それで今あるエビデンスは、ほかのものに比べればNが多いわけでもなくて、ものすごく立派な、きちんとしたエビデンスに裏打ちされている他の領域のものに比べると、少しエビデンスの質が落ちているのだと思います。

○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御意見ございませんでしたら、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「Quattro・ICY IVTMカテーテル」について本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品と指定させていただくことでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に期間を4年として指定することとしてよろしいでしょうか。御異議ないようですので、そのように議決させていただきます。この結果については次回の薬事分科会において報告いたします。それではこれで議題2を終了いたします。平澤先生、どうもありがとうございました。

 それでは続いて、議題3、「医療機器「サンコン Kyoto-CS」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について」議論を始めます。本議題の審議に当たりましては、参考人として国立大学法人大阪大学大学院医学系研究科視覚情報制御学寄附講座教授であられる前田直之先生にお越しいただいております。前田先生、よろしくお願いいたします。まず、審議品目について事務局から説明をお願いします。

○事務局 事務局から御説明いたします。資料3、1枚目が諮問書です。本議題では医療機器「サンコン Kyoto-CS」の製造販売承認の可否、高度管理、管理又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。

 まず、1枚目の諮問書をめくり、「一般的名称の新設について」というタグが付いたページです。既存の一般的名称のいずれにも該当せず、一般的名称を新設する際には、その一般的名称が高度管理、管理、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて指定することとなっております。今回、新設予定の一般的名称は「輪部支持型角膜形状異常眼用コンタクトレンズ」で、レンズサイズが大きく、角膜を完全に覆い、かつ涙液交換できる角膜形状異常眼の視力補正が可能なコンタクトレンズです。1.に示すとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.に示すとおり保守点検、修理等を必要とするものとは考えられないため、特定保守管理医療機器として指定しないことが適切と考えております。承認の可否等について品目及び審査の概要は機構担当者、よろしくお願いします。

○医薬品医療機器総合機構 議題3、「サンコン Kyoto-CS」について機構より御説明いたします。本審査に当たり当日配布資料3-4に記載しております3名の専門委員の御意見を頂きました。また事前に配布いたしました審査報告書に修正がございますので、当日配布資料3-1正誤表にてお示しいたします。添付文書についても当日配布資料3-2として、訂正案をお配りしておりますので、併せて御覧ください。修正がありましたこと、おわび申し上げます。

 以降の説明において、「サンコン Kyoto-CS」を本品と呼ばせていただきます。本品の概要についてはまず、審査報告書4ページです。本品はスティーヴンス・ジョンソン症候群及び中毒性表皮壊死症による眼後遺症患者に使用する、輪部支持型ハードコンタクトレンズになります。サンプルも準備しておりますので、そちらも御覧ください。以降の説明においてスティーヴンス・ジョンソン症候群をSJS、中毒性表皮壊死症をTENと呼ばせていただきます。

 SJS及びTENの患者では角膜表面を結膜上皮が覆い、眼表面全体が高度に瘢痕化することで、眼表面全体に及ぶ凹凸や癒着が生じる角膜上皮幹細胞疲弊症を生じます。角膜表面は不正乱視による光の散乱で視力の低下の要因となり、また涙液が少ないために常に乾燥状態となります。審査報告書4ページ下の表1.を御覧ください。左が装用前の状態で、右のように本品を装用することにより、レンズと角膜の間に涙液が入り、角膜表面の不正を補正して視力補正効果を発揮し、さらにレンズが涙液の蒸発を抑制し、ドライアイに伴う症状を緩和することが可能となります。

 続いて審査報告書5ページ表2.を御覧ください。図右のように既存のハードコンタクトレンズである角膜レンズの直径は6~12mmと小さく、眼表面の凹凸や乾燥によって脱落しやすいのに対して、図左のように本品のレンズ直径は1116.5mmと角膜を完全に覆い、角膜輪部から結膜の範囲で本レンズを支えるよう設計されています。以降、既存のハードコンタクトレンズを角膜レンズと呼ばせていただきます。

 次のページを御覧ください。さらに審査報告書6ページの上の図1.のように、本品の特徴はレンズの縁から中心に向かってカーブがなだらかになるよう、多段階カーブで設計されており、これにより瞬き時に角膜全体をレンズが覆った状態のままレンズが上下に動くため、瞬くことで涙液交換が可能となっております。なお海外において、本品は販売されておらず、SJSによる眼後遺症患者に使用可能な強膜レンズとして本品と同一の原材料のものが、審査報告書8ページの表3.のように販売されております。また平成261219日に希少疾病用医療機器に指定されております。

 次に非臨床試験成績について説明いたします。概略は次のページの9~12ページに記載しております。本品の物理的、化学的特性、生物学的安全性、安定性及び耐久性、性能に関する試験、使用方法に関する試験の成績に関する資料が提出され、審査の結果、特段の問題はないと判断しました。

 次に臨床試験成績について説明いたします。審査報告書14ページ中段を御覧ください。SJS及びTENによる眼後遺症患者10例に対して医師主導治験が実施されました。審査報告書15ページ表4.にあるように、SJS及びTEN発症後、1年以上経過した慢性期の眼後遺症があり、角膜不正乱視や角膜混濁により、視力検査時に眼鏡を装用した上で得られる最良矯正視力が0.01以上、0.7未満である患者を対象としております。主要評価項目は治験レンズ補正による最良矯正視力の改善と設定されました。まず視力について当日配布資料3-3で簡単に説明しますので、当日配布資料3-3を御覧ください。視力はランドルト環の隙間を識別できるかで測定するものですが、馴染みのある視力を小数視力と言います。眼科においては視力を統計的に評価する際に、logMARという値に換算して評価するのが一般的です。本品装用による改善の平均はlogMAR値で約0.52であり、こちらは約3.3倍細かい隙間を識別可能となるのですが、イメージとしては下のスライドになります。

 続いて審査報告書の15ページに戻ります。logMAR換算値0.20以上の減少を「改善」とし、改善率が50%以上であれば、本品に有効性があると治験開始前に設定されました。logMAR換算値0.2以上というのは例えば、小数視力でいいますと0.6から1.0くらいの改善に相当します。治験の結果として10例中8例で改善が見られ、改善率は80%であり、悪化は見られませんでした。各症例の変化については16ページの表5.に記載しております。A01とA06の2例において、最良矯正視力の改善が得られなかったことについて、後ほど審査の論点で説明します。

 副次評価項目について、17から18ページにかけて御覧ください。副次評価項目として、最良矯正視力の変化、「自覚症状の変化」、問診用スケールであるVRSを用いた「眼の痛みの程度」及び「目の乾燥の程度」の変化が設定されました。最良矯正視力のlogMAR換算値における改善の平均は0.52で有意差がありました。また視力障害が普段の生活に及ぼす影響を評価するために、国際的に認められているNEI VFQ-25を用いた自覚症状は「眼の痛み」及び「見え方による心の健康」において有意に改善しておりました。VRSによる調査の詳細は審査報告書18ページの表7.に記載しております。後ほど審査の論点において表7.を御確認いただく予定ですので、お手元の付箋などで目印を付けていただけますでしょうか。

 装用後2段階以上の改善を「改善」、同一又は1段階以上の改善を「不変」、1段階以上の悪化を「悪化」と定義いたしました。結果は表8.に記載したとおりです。VRSにおいて明確な改善が得られなかったことについて後ほど審査の論点で説明いたします。

 次に本品の審査おける主な五つの論点を説明いたします。一つ目の論点は臨床的位置づけについてです。審査報告書19ページ下段()を御覧ください。SJS及びTENによる眼後遺症患者の主要な症状は視力障害と涙液減少に伴う眼乾燥感、痛みや不快感です。ソフトコンタクトレンズや角膜レンズでは十分な視力が得られない特徴があり、角膜移植等でも長期予後が不良もしくは十分な視力が得られません。また眼乾燥感に対して、人工涙液等の点眼が行われておりますが、繰り返し点眼をする必要があり、不快な症状をなくすことは困難です。本品に臨床的に許容可能な有効性及び安全性が認められれば、臨床現場に提供する意義があると判断しました。

 二つ目の論点は有効性についてです。審査報告書22ページ下段()を御覧ください。2例において最良矯正視力の改善が得られなかった理由として、1例はSJSを発症後長期間経過しており、廃用性内斜視により、もう1例は角膜実質混濁及び高度な瞳孔領への血管侵入により視力改善が軽微になったと考えられます。したがってこれらの症例においては視力改善効果が得られない可能性があることから、添付文書においてその旨の記載を行いました。

 続いて副次評価項目における有効性について説明します。審査報告書23ページ中段2)を御覧ください。NEI VFQ-25は視力障害が普段の生活に及ぼす影響を調査するための国際的評価指標で、痛みの調査項目は2324ページに記載する質問4と9がそれに当たります。また各症例における結果は25ページの表9.、2列目の「目の痛み」(NEI VFQ-25)スコアになります。一方、VRSは目の痛みにフォーカスを当て、その感覚を数値化したもので、表9.左列の「目の痛みの程度」(VRS)の結果がそれに当たります。二つの結果に乖離が生じている原因としては、VRSとNEI VFQ-25での評価尺度の違いが影響して表われたと考えます。またVRSでは治験患者のうち8例が装用開始時に程度0もしくは1であり、2段階の改善があり得ないこと、1段階でも改善した被験者は6例であったことから、本品の装用により痛みの低減及びそれに付随する生活の改善は得られたと考えますが、2段階の改善を「改善」と厳しく評価したことも影響しています。ここについては承認後の使用成績調査において、引き続き痛みの低減効果に関しても、明確な論拠となるよう工夫した評価を行うことが適切と判断しております。

 続いて目の乾燥について説明いたします。審査報告書26ページ上段3)を御覧ください。先ほど目印を付けていただいたVRSの評価項目は18ページの表7.に記載したとおりになります。目の乾燥感を点眼回数で評価しております。治験にエントリーされた10例は全て高度ドライアイでしたが、自覚症状が少なく、もともと点眼回数が少ない症例が含まれていました。本品装用中に最低でも1日6回の点眼をするよう指導された結果、必要ないにもかかわらず1日6回以上点眼している症例が、目の乾燥の程度が悪化したと判定されたためであり、乾燥感の評価について認識不足と検討不足であったことが要因と考えられます。

 一方で本品の形状の特性として、涙液が本品と角膜の間に貯留されたことにより、眼表面上皮の微細な凹凸が軽減して、表面がスムーズ化したと推測できることと、レンズ周辺部の形状の特殊性より、涙液交換が行われていることは臨床研究におけるフルオレセイン染色からも明らかであり、原理的に考えて乾燥感は低減されることは予想され、その裏付けを明確にすることが目的でしたが、示されませんでした。したがって使用成績調査において、乾燥感の評価についても尺度を明確にして、評価を行うことが適切と判断しております。

 以上のことから有効性のうち、視力補正効果は明らかであり、涙液交換可能な設計である本品の特性及びVRSとNEI VFQ-25の評価により、痛みと乾燥感の改善効果は見込まれることから、本品の使用目的において視力補正だけでなく、自覚症状の緩和を追加することが可能と機構は判断しました。

 三つ目の論点は安全性についてです。審査報告書27ページを御覧ください。本治験では有害事象として、結膜びらんが2例3件、眼脂が1例1件生じております。結膜びらんについては本品のフィッティングの影響が懸念されます。結膜びらん後に1例はレンズサイズを変更しており、変更により一時的に結膜びらんが消失しております。2例に生じた理由として、上下非対称の結膜嚢癒着が考察されました。上下非対称の結膜嚢癒着、特に上方がより高度な場合には、結膜びらんの発生に留意することが添付文書に記載されたとともに、使用成績調査に結膜びらんの発生が含められました。

 四つ目の論点であるレンズ処方に関する情報提供を説明します。審査報告書29ページを御覧ください。本品の適応患者は角膜及び結膜の状態が異常であり、フィッティング判断が難しいと考えられます。実際に本治験での初回処方時におけるトライアルレンズの装着回数は30ページの表13.に示したとおりですが、例えばA07の症例では6回目で最適なフィッティングが得られております。

 続いて31ページを御覧ください。一般的な角膜レンズ処方時に活用される角膜曲率等のデータでは、トライアルレンズの選択が困難であり、処方頻度の高いレンズを装着した上で、そのフィッティングパターンを個別に判断する必要があります。処方後にフィッティングが不適切だと、結膜びらんや不快感を伴う場合があります。したがいましてSJS又はTENによる眼後遺症に対する知識と、角膜形状異常眼に対するハードコンタクトレンズの処方経験を有する医師が適切に処方する必要があるため、34ページから35ページにかけての承認条件を付す必要があると判断しました。

 五つ目の論点は使用成績調査についてです。審査報告書31ページの下段を御覧ください。本品については希少疾病用医療機器であり、治験における症例数が限られること、フィッティング等の指導が患者に伝わり、有害事象なく、適切なレンズケアの下で安全に使用されること、また目の痛みの程度の変化、目の乾燥の程度の変化について期待される効果を明確に示すことができるよう、尺度を工夫すること等を含め、使用成績調査が必要であると考えます。有効性の観点から70眼が必要と判断し、販売準備期間に6か月、症例登録期間に2年6か月、各症例の追跡期間に6か月、解析期間に6か月必要と考え、調査期間を4年としました。

 審査報告書34ページの下段を御覧ください。機構は以上の審査を踏まえ、記載の使用目的及び承認条件により、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと考えております。なお薬事分科会での報告を予定しております。

 最後に事前に川上委員から御意見を頂きましたので、御紹介します。審査結果について異論はないとの御意見を頂いております。機構からの報告は以上です。御審議、よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 それではまず初めに参考人の前田先生から追加で何か御発言ございますでしょうか。

○前田参考人 よろしくお願いします。私は大阪の大学病院で本品の対象となるSJSやTENを含む前眼疾患を専門に診療していますが、まず本SJSやTENという症例は本当に少ない希少疾病です。本当に少ないのですけれども、疾患の性質上、両眼が同時にやられてしまって、慢性化しておりますので、なかなか患者さんがつらいという状況にあります。最近では再生医療や特殊な角膜移植で、角膜を透明化させることができているのですけれども、そこがひずんでしまいますと、眼鏡で視力が出ないというところで、患者さんは視力障害がある状態で通院されているという状況がありますので、本品のように画期的に視力が改善するようなものがあると、非常に有り難いなと思っております。

 一方で通常のハードコンタクトレンズの処方と違いまして、恐らくこのコンタクトレンズの場合には、かなりの技術がないとフィッティングができないということと、対象となる疾患が本当に希少疾患ですので、このことをきっちり分かっている方が処方しないと、問題があると考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。それではこの件につきまして委員の方から御意見、御質問ございますでしょうか。

○寺崎委員 眼科の専門ですが、審査報告書は見させていただきまして、非常に希少な疾患であり、視力障害も重篤なことから、こういうものは必要と思っております。添付文書ですが、コンタクトレンズの処方について、警告の所に「講習の受講等により適応に関連する十分な知識及び技能を有する医師が処方すること」ということで、眼科医を規定していないのですが、講習の受講等でそこを規定するようになっているのか、それとも眼科専門医なのか。つまりコンタクトレンズ専門でコンタクトレンズのことだけを知っていればいいのか、眼科全般にも広い知識がある医師を規定するのか、その辺が少し不明だというところが1点です。

 もう1点は、添付文書の使用目的又は効果に「自覚症状の緩和」ということで、この審査文書の中にも視力の効果が十分ではなくても、自覚症状が良くなるという効果が期待できるのではないかという話がありました。使用目的又は効果の「自覚症状の緩和」というのは、十分な視力が得られない患者に対する視力補正とは別に、自覚症状の緩和ということになっているのか。それとも十分な視力が得られない患者に対する視力補正、自覚症状の緩和ということになっているのか、少し分かりにくいなと思いました。よろしくお願いいたします。

○荒井部会長 よろしいですか。

○医薬品医療機器総合機構 処方する医師としましては基本的に眼科医と考えておりましたので、警告欄については修正させていただきます。承認書の記載状況も含めて検討のうえ、必要に応じて修正させていただきます。

○医薬品医療機器総合機構 もともと承認条件、添付文書の一番裏を見ていただければ分かりますが、本品は承認条件を付す予定で考えており、製造販売業者及び製造者氏名又は名称等の上に承認条件とあると思いますが、これで「本品の適応に関連する十分な知識・経験を有する医師」という前提があり、もうほぼ眼科医しか存在し得ないということで、警告欄等の記載については、適宜修正させていただきます。そういった意味で、基本的には眼科医を考えているということで御理解いただければと思います。

○荒井部会長 2点目の御質問に関してはいかがですか。

○医薬品医療機器総合機構 2点目についてですが、基本的には別々にと考えておりまして、視力補正が得られる患者さんもおりますし、視力補正だけでなく自覚症状も得られる患者さんもいるということが目的と、達成できると考えております。

○寺崎委員 つまり視力改善がなかった場合に、自覚症状が良ければこれを継続するのかどうかという質問ですが。

○医薬品医療機器総合機構 そこは最終的には医師の判断等が入ってくると思いますが、基本的には使えると。視力改善効果がなくても実際にA01とか、2例の患者さんにおいては実際の治験の中でも、視力改善効果が明確に得られなかったのですが、アンケート調査、問診の結果等ではかなり使いやすいと、使っていて良かったという御意見を頂いていますので、そういった患者さんも使うことができる、使っていただくことが適切と考えております。

○荒井部会長 よろしいですか。そのほか特に御意見ございませんか。よろしければ議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「サンコン Kyoto-CS」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に、期間を4年として指定することでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで、議題3を終了いたします。前田先生、どうもありがとうございました。

 すみません。少し進行が遅れてしまいました。引き続き議題4に入ります。「医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定について」審議を始めます。

 本議題の審議に当たり、参考人として市立奈良病院放射線科部長であられる穴井洋先生にお越しいただいております。穴井先生、よろしくお願いいたします。まず初めに審議品目について事務局から説明をお願いします。

○事務局 資料4です。1枚目が諮問書です。本議題では医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」の製造販売承認の可否、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否及び使用成績評価の指定の要否について、御議論をお願いいたします。

 一般的名称の新設についてです。議題3の冒頭でも申し上げましたとおり、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対して新たに一般的名称を新設する際には、当概一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて指定することとなっております。新設を予定する一般的名称は、ヘパリン使用血管用ステントグラフト及びヘパリン使用中心循環系ステントグラフトの二つです。

 ヘパリン使用血管用ステントグラフトは、ヘパリンを被覆した血管の内側に留置するステントグラフトで、末梢血管への留置を目的とした一般的名称です。一方、ヘパリン使用中心循環系ステントグラフトは、中心循環系への留置を目的とした一般的名称です。どちらの一般的名称についても1.のとおり、副作用又は機能の障害が生じた場合において人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものであると考えられるため、高度管理医療機器に指定し、2.のとおり、保守点検、修理、その他の管理を必要とするものではないため、特定保守管理医療機器には指定しないことが適切と考えております。

 一般的名称を二つ新設する理由についてですが、中心循環系への留置を目的としている場合はクラスIV、末梢血管への留置を目的としている場合はクラスIIIです。本品は中心循環系の血管にも末梢血管にも使用することを想定しておりますので、一般的名称を二つ新設し、複数の一般的名称に該当する医療機器として承認することを予定しております。承認の可否等について、審議品目及び審査の概要は機構より御説明させていただきます。それでは担当の方、よろしくお願いいたします。

○医薬品医療機器総合機構 当日配布資料4-3の専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり資料にお示しする5名の専門委員の御意見を頂きました。また、事前に配布した審査報告書に修正がありますので、当日配布資料の正誤表にてお示しをいたします。おわび申し上げます。また、添付文書についても当日配布資料として修正案をお配りしておりますので、併せて御覧ください。

 初めに品目概要を説明いたします。資料4の灰色のタブです。審査報告書5ページの2.審議品目の概要を御覧ください。審査報告書5ページの図1.にお示ししますように、本品はグラフト外側にニチノール製のステントワイヤーが巻かれたステントグラフトと、デリバリーカテーテルから構成されます。ステントグラフトのグラフト部分はPTFE製であり、ステントグラフトの両面にはヘパリンボンディング層が施されております。本品は二つの使用目的を持ち、一つは外傷性又は医原性の血管損傷が起きた際の止血デバイスとして、もう一つは狭窄や閉塞した血管の開存治療デバイスとして使用されます。

 開発の経緯を説明いたします。審査報告書6ページ、下段の()開発の経緯から御覧ください。初めに損傷治療の背景について説明いたします。損傷治療においては救命を第一とし、迅速な止血が求められます。本邦においては外科的治療のほかにコイルやバルーンカテーテルなどを用いた血管内治療が行われておりますが、止血が困難であると判断された場合は、適応外使用ではあるものの胆管用カバードステントなどを緊急避難的に使用した治療が行われている現状があります。

 また、現在本邦において末梢動脈の損傷治療に対して適応を取得している血管内治療デバイスはなく、本品を本邦に導入する意義は大きいと考えられます。このような状況を踏まえて、本品は2009年に開催された「第15回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において早期導入すべき医療機器として選定されました。

 開存治療について説明いたします。末梢動脈疾患PADは、末梢動脈の狭窄又は閉塞によって引き起こされる循環障害です。近年、PAD患者が世界中で増加傾向にあることを踏まえ、国際的な診療ガイドラインのTASCIIが策定されております。

 審査報告書の8ページ表2.を御覧ください。TASCIIでは病変の長さや形態に応じて病変をA~Dに分類しております。一般的なバルーンや金属性ステントを用いた血管内治療の成績は、病変長が長くなるにつれて開存率が低下することが知られていることから、病変長の短いAやB型病変においては血管内治療が、病変長が長いC、D型病変では外科術治療が推奨されております。そのため、既存の浅大腿動脈SFA用ステントにおいてはB型の定義の一つである病変長15cmまでを治療対象としております。

 一方、本品は人工血管バイパス術と同様の役割を果たす血管内治療デバイスとして開発されており、病変長にかかわらず一定の成績をもたらすこと、従来のステントに比べて柔軟性が高いため屈曲の強い血管にも追従することが期待されており、外科手術が望ましいとされているC、D型病変へも適応することを目的に開発されました。

 海外の販売状況について、審査報告書8ページの下段の丸3、本品の開発の経緯を御覧ください。米国においては、本品の前世代品が2005年に、その改良品である本品は2007年にSFAにおける開存治療デバイスとしてPMAを取得しております。なお、米国においては損傷治療に対する適応は取得しておりません。一方、欧州では前世代品が1996年に、本品は2008年に末梢血管用ステントグラフトとしてCEマークを取得しております。2015年6月までに約□□本の販売実績があります。

 本品の非臨床試験については特段の大きな問題が認められませんでしたので、臨床試験成績について説明いたします。初めに血管損傷の評価について説明いたします。審査報告書19ページから御覧ください。損傷治療の評価に当たっては適応範囲である胸部・腹部・骨盤内の動脈において損傷治療が行われました。文献22報の調査による臨床評価報告書が提出されました。

 審査報告書29ページから御覧ください。この文献で用いられた症例については、中段の2)対象疾患、対象部位及び患者背景に記載したとおり、鎖骨下動脈23例、腸骨動脈8例、上腸間膜動脈1例、肝動脈1例の合計33例の結果を用いて、有効性及び安全性の評価が行われております。本品の有効性として止血性能について評価を行った結果、アクセス部位を閉鎖する前に治療の対象とした損傷を適切にシールして得られた止血率、以降、一次止血率と呼びますが、一次止血率は97.0%、33例中32例において適切に止血されたことが確認されました。本品の安全性については本品と関連があった有害事象として31ページの表11.に示しており、グラフト閉塞、狭窄、血栓症などが確認されております。

 損傷治療に関する審査における主な論点について説明いたします。一つ目の論点は、本品の臨床的位置づけと臨床評価を文献にて行うことの妥当性についてです。審査報告書32ページ、中段から御覧ください。本品が損傷治療デバイスとして留置性能、止血性能、耐久性などを有し、緊急時の一時的な止血が可能であるかを確認するためには、臨床データによる評価が必要であると考えております。

 一方、血管損傷に対する臨床試験の実現可能性が低いこと、本邦における医療ニーズが高く救命デバイスとしてのベネフィットが大きいこと、適応部位は異なるものの既承認の血管損傷用ステントグラフトがあり、一定のデリバリー性能やシーリング性能が確認できれば同様の有効性は見込まれると考えられることから、文献により末梢血管適応部位への留置可能性と止血が成功した症例を確認できれば、総合的に本品の有効性及び安全性の評価を行うことは受入可能と判断いたしました。

 二つ目の論点は、本品の有効性、安全性についてです。審査報告書34ページ、上段6行目からを御覧ください。本品の有効性については、本文献調査結果、類似医療機器を含めたステントグラフトの血管損傷への使用実績、非臨床試験結果などから、本品の臨床的有効性は一定程度あると判断し、緊急用のデバイスとして医療現場に新たな選択肢を提供する意義はあると判断いたしました。

 一方で、文献調査では症例数や確認できる情報が限られており、また、エンドリークなどのリスクもあることから、本品の使用目的が救命のための緊急措置に用いるものであることを明確にした上で、添付文書においても既存治療法も考慮して治療方法を選択するよう注意喚起することが妥当と判断しております。本品の安全性については、有害事象として閉塞関連事象が報告されているものの再出血や本品に起因する死亡は認められませんでした。

 また、血管損傷の際には本幹を閉塞して止血を得ることもありますので、専門委員の意見も踏まえ、これらの有害事象は臨床的に許容可能と判断しております。しかしながら、本品のベネフィットとして血流温存が期待されていること、安全性に関するデータが限られていることから、使用成績調査において情報収集を行うとともに、長期安全性については、文献調査から十分なデータが得られていない旨を添付文書にて注意喚起することが必要と判断いたしました。

 三つ目の論点は、適用部位の妥当性についてです。審査報告書35ページの4)を御覧ください。ニーズ検討会において学会要望があった腸骨動脈などに限らず、臨床上適切な対象疾患・部位への使用が可能となるよう、できる限りの情報収集が望ましいとする意見が多数あったと報告されております。また、専門委員からも、放置すれば死に至るような症例に対する本品のベネフィットは大きく、明らかにリスクが高いと想定される部位を除外すれば、適用血管を細かく規定しないほうが臨床的に有用となるとの御意見を頂いております。

 機構は、本品の原理、非臨床試験の結果、そのほかの部位での止血効果に加えて、手技の新規性が少なく臨床上のベネフィットが大きいと考えられることから、文献が多く確認された鎖骨下動脈や腸骨動脈だけではなく、腹部大動脈分枝血管についても適用部位に含めることが妥当と判断いたしました。

 なお、36ページの5)に記載いたしましたが、本品を用いた治療のリスクを最小限にするためには、損傷部位の解剖学的要件を十分に熟知し、止血できなかった又は合併症が生じた場合の対応等について、十分な経験を有する医師が既存の治療法も含め適切な治療方法、デバイスを選択することが重要であることから、添付文書において注意喚起を行うことに加え、日本インターベンショナルラジオロジー学会が主体となり現在、適正使用指針を作成しております。

 開存治療について説明いたします。審査報告書37ページから御覧ください。当該使用目的の評価資料として、国内臨床試験の成績が提出されております。主要有効性評価項目は、12か月時点での補助一次開存率と設定され、達成基準は外科的バイパス術に関する文献に基づき65%と設定されました。また、主要安全性評価項目は「侵襲性(術後入院日数、全身麻酔回避率)」と設定され、別途行われた外科的バイパス術のレトロスペクティブ調査結果との比較評価が行われました。

 次に試験結果について説明いたします。審査報告書41ページから御覧ください。主要有効性評価項目の補助一次開存率は91%であり、事前に設定した達成基準の65%を満たしました。主要安全性評価においても、術後入院日数が平均3.5日、全身麻酔回避率100%と、外科的バイパス術の術後平均日数16.2日、全身麻酔回避率25%と比べても侵襲性が低いことが示されました。

 開存治療に関する審査における主な論点について説明いたします。一つ目の論点は、本品の有効性及び安全性についてです。審査報告書48ページの上段を御覧ください。参考にした外科的バイパス術文献の一次開存率が80%前後であったこと、本治験に登録された症例はTASCIIのC型が多く、C、D型の中でも特に外科手術が行われる、より重篤な重症な患者が少なかったことを考えると、本治験において設定された達成基準はやや低い設定であった懸念がございます。

 一方、本治験にはC、D型に該当する長病変の病変は多く含まれており、長病変の症例を含めても良好な成績が得られておりました。本品と本邦既承認のSFA用ステントとの臨床試験成績の比較では、これらは別試験成績で患者背景も異なり単純な比較は困難であるものの、本治験成績は対象病変長が15cm以下である既承認ステントとの成績に対して劣るものとはいえない結果でした。

 以上より、ガイドラインなどにおいて示されているエビデンスに鑑み、本品による血管内治療を外科手術が第一選択として推奨されているC、D型病変全てに対して第一選択として推奨する根拠はいまだ十分ではないものの、本治験結果よりC、D型病変のうち本邦既承認の対象病変よりも、より長い病変に対しては有効性が認められると判断いたしました。

 本品の安全性について説明いたします。審査報告書49ページの下段から御覧ください。本治験の有害事象として血栓症に関する報告はなかったものの、試験器関連の重篤な有害事象として、ステントグラフト閉塞8件、再狭窄3件が確認されております。そのうち血栓除去術又は血栓溶解術の追加治療は7件行われており、血栓による閉塞あるいは狭窄であった可能性が考えられました。

 審査報告書51ページの上段から御覧ください。閉塞の原因を血栓で特定することは困難である一方、本治験において確認された全てのステントグラフト閉塞10例のうち6例において抗血小板薬が休薬されていたこと、50ページの表19.に示す本品とベアメタルステントの成績を比較した文献報告においても、急性下肢虚血が1件発生していることを踏まえると、本品におけるステント血栓症発生のリスクが低いとはいえないと考えております。

 また、本品は既存のSFA用ステントとは異なるカバードステント構造であること、既存品よりもより長い病変へ適応されること、ヘパリンボンディング層を持つ特徴などを踏まえ、添付文書などにおいて、2種類以上の抗血小板剤投与、DAPTの推奨期間については明確に情報提供するとともに、一定期間DAPTが必要となるリスクについても適切な注意喚起をすることが妥当と判断しております。

 二つ目の論点は、本品の対象病変長についてです。審査報告書51ページの4)を御覧ください。本品の使用目的には、対象病変長の上限値は設定されておりません。本治験では平均21.8cmの病変長に対して治療が行われており、TASCII、A、B型血管内治療と同様の成績が見られたこと、表20.に示すとおり病変長が長くなっても成績が大きく下がる現象は見られなかったこと、邦人のSFAの長さが一般的に30cm前後と考えられることから、対象病変長の上限値を設定せずとも、有効性及び安全性が担保されていると判断いたしました。

 使用成績調査について説明いたします。初めに損傷治療について説明いたします。審査報告書の53ページ上段から御覧ください。本品を用いた損傷治療は現時点において、前向きな臨床データは得られておらず、文献報告においても非常に限られた症例数での評価しかなされていないことから、使用成績調査により実臨床での情報収集を行い、得られた情報を基に適切な対応を取る必要があると判断いたしました。症例数は30例、調査期間は登録期間年、観察期間1年として計5年とすることが妥当と判断しております。

 さらに本品の性能を十分に発揮し、より安全に使用するためには、適切な体制と設備が整った施設において、十分な教育訓練を受けた医師によって使用される必要があることから、本品を使用する医師及び施設に関する承認条件1及び2を付すことが妥当と考えました。

 開存治療について説明いたします。海外においては一定程度の長期成績が確認されているものの、本邦で実施した国内治験での症例数は限られており、使用成績調査において本邦の実臨床における、特に長病変での安全性について情報収集を行い、得られた情報を基に適切な対応を取る必要があると判断いたしました。

 対象病変長15cm以上の症候性PAD患者250例を対象に登録期間か月、追跡期間5年として計6年10か月の使用成績調査を行うことが妥当と判断いたしました。また、本邦で先行して実施された国内治験の長期成績については、本邦での適切な安全対策が重要であることから、承認条件1として当該治験成績の経年報告を課すことが妥当と判断しております。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。また、本品を使用成績評価の対象に指定して、血管損傷治療の評価期間を5年、血管開存治療の評価期間を6年10か月とすることが妥当と判断しております。本品は生物由来製品に該当いたします。なお、薬事分科会では報告を予定しております。

 最後に事前に川上委員より御意見を頂きましたので紹介いたします。総合評価については異論ないとの御意見を頂いております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○荒井部会長 ありがとうございました。まず、参考人としてお越しいただいております穴井先生から御発言をお願いいたします。

○穴井参考人 よろしくお願いします。市立奈良病院放射線科の穴井と申します。本品を専門協議させていただき、まず、今御説明がありましたように二つの目的で今回申請がされていると思いますので、それぞれについて少しお話をさせていただければと思います。

 一つは、血管損傷に対する治療として本品がどう必要かということになるわけですが、大動脈の一次分枝であるとか主幹動脈の損傷というのは、背景として決して多くありません。

 ただ、一方で、この血管が損傷することは非常に生命に危機を及ぼす状況であると考えられています。想像は容易でありますように、非常に大きい血管ですので、大量の出血が短時間で起こってしまう。それを可及的速やかに対処するには、従来であれば動脈塞栓術、若しくは手術しかなかったわけです。手術に到達するには、やはり時間を要する、若しくは血管塞栓術をした場合には、やはり末梢の血流遮断が不可逆的に起こってしまいますので、末梢の臓器虚血が起こるという背景があります。

 その中で、従来、我々は適応外ではありましたが同様の機能を持ったステントグラフトとなる胆管ステント、若しくは大動脈ステントグラフト用のステントを流用して患者さんを救命していたということになります。そういう背景から、今回、本品に対する我々のニーズは非常に高いものであると考えております。

 一方、次に相反するような疾患への適応になるのですが、血管を広げるということになるわけです。従来、浅大腿動脈の閉塞性動脈硬化症に対する治療としては、短区域であれば通常のベアメタルステント、いわゆる被覆のないステントで十分治療が低侵襲に行えておりました。今回、長区域の閉塞に対して従来のベアメタルのステントでは、やはり治療の成績が劣る。かといって外科手術が全部できるかというと、閉塞性動脈硬化症は、もちろん生活習慣もありますが加齢に伴って発生するということもありますので、どうしても合併症を有して簡単には外科的な治療を勧められないということもあります。

 また、先ほど御紹介がありましたように、低侵襲治療で血管内治療はありますので、非常に入院期間が短期間で済むということもあります。その中で、外科的手術と治療成績が同等であるというステントグラフトの導入は、我々としても非常に求めていたと、そういった背景です。以上です。

○荒井部会長 ありがとうございます。それでは委員の皆様から御意見、御質問等ありますか。よろしいですか。1点だけ私から、適正使用指針は、何か起こった場合の扱いはどのようになるのでしょう。例えば、夜間の緊急的な止血などで、今、穴井先生からお話がありましたように、胆管ステントに慣れている医師で血管撮影の技術があれば使えないというものではない、しかし講習は受けていないというような場合です。そういう場合に緊急的に使ったが、それでも患者さんが亡くなってしまって訴訟になった場合、適正使用指針を守っていないということで、刑事処分を受ける可能性があるのではないか。その辺の難しいところが気になったのですが、いかがなものでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えします。先生の御懸念はもっともだと思います。適正使用の指針の趣旨は、腹部分枝の治療に慣れていない、ただ手技としてはそれほど難しいものではないので、解剖学的な要件もよく分からないままに、とにかく止血すればよいでしょうということになると、かえって患者さんに取って不利益になるのではないかという懸念から発しております。基本的には普段そのような手技を行っている先生方に使用していただきたいというところから、適正使用指針を設定すべきではないかという専門委員の御意見もありましたので、そのように取り扱うということになっております。

 ただ、本品に関する講習を受けていないが、普段治療を行っている医師が、そのようなことになったらどうするのだという点については、少し適正使用指針の書きぶりをIVR学会様と協議して考慮したいと思いますが、穴井先生、いかがでしょうか。

○穴井参考人 全くそのとおりだと思います。実際のところ十分に解剖学的把握をして使える医者がいれば、主目的からするとそれを妨げるものではないと考えております。ただ、一方で、適正使用ガイドライン、適正使用指針が一人歩きしないような文言にしておく必要はあるのではないかと考えております。

○荒井部会長 ありがとうございます。少し老婆心的な心配ではありますが、その辺を整理して、逆手に取られて出血している人を助けるための行為が裏目に出るということがないように配慮いただければと思います。

○一色部会長代理 私から一つ確認いたします。12ページの表の中にHITに関することが出ているのですが、製品がヘパリンコーティングということがあって、御説明の中にはHITの話が全然出てこなかったので、あえてお伺いしたいのです。非常にたくさんの症例に海外では使われているという中で、非常に低率の発生頻度なので、現実的に余り問題にはならないのかもしれないのですが、これに対しては何か特別な考慮がされたかどうかということと、もし、過去にHIT抗体が陽性だということが分かっている症例に対しての使用は避けるべきなのかとか、その辺のことについて何か考慮する必要はないのかという2点でお願いしたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。HITについては、まず添付文書の重要な基本的注意で注意喚起をしております。添付文書の3/5から4/5にかけての、重要な基本的注意の3、4、5でHITについて注意喚起しております。これは、本品はヘパリンボンディング層を持つのですが、本品と同じように、PTFEに同じようなヘパリンボンディングを施しているプロパテンという製品があり、そちらと同じような対応になっております。

 また、海外でHITが確認されておりますので、そのときにどのように対応したかということも確認をしたのですが、今、一色先生から御意見がありましたとおり、その場合はまず、陽性がある患者さんに対しては使わない。また、もしHITが起きてしまった場合はヘパリンの全身投与を中止したり、必要がある場合には医師の判断で本品の摘出を行うなどの対応がされていると伺っております。また、禁忌・禁止の項の2番目の項目において、HITを含むヘパリン過敏症患者については適用外としております。

○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見ございますか。

○梅津委員 臨床のニーズが極めて高くて、非常にこれが有効であり期待されているということはよく分かったと思います。これは私の単なる疑問として聞きたいことなのですが、審査報告書の8ページ、アメリカで、これがPMAで認められたと、しかしそのときは、ここの説明によると「血管損傷治療に対する適応は取得していない」と書いてあるのですが、それは一体なぜだったのかということについて説明いただけますか。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。申請者に米国において承認を取得していない背景を確認しました。その結果、米国のゴア社では□□□□□□□□□□□に承認を取得しております。例えば米国ですと、まずは気管支の狭窄に対して承認を取得して、その後にSFA、その後で腸骨動脈の狭窄という形で承認を取得している背景があります。

 御存じのとおり損傷治療は症例数が非常に少ないものですから、優先順位もかなり低いということで、適応の取得に至っていないという説明がありました。また、米国においては日本と保険制度が異なり、手技に対して費用が支払われるという制度がございますので、承認を取得していなくても適用外で普通に使われてしまっているような背景があると伺っております。

○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。

○医薬品医療機器総合機構 追加で川上委員からも、その点については御意見を頂いております。非常に救命するのに必要なデバイスであるものの、米国で適応を取っていないのはなぜでしょうということを御指摘いただき、今のようなお答えをいたしました。

○荒井部会長 ありがとうございます。

○塩川委員 血管の場所についてお尋ねします。私は脳外科で血管外科をやっていて血管内治療は専門ではないのですが、頸動脈、椎骨動脈、腕頭動脈が適応から除外されているという理由を簡単に説明してください。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。頸動脈や椎骨動脈については、腹部等の血管と異なり、閉塞した場合のリスクがかなり高いということがありましたので、今回、適応には含めることはいたしませんでした。

○塩川委員 そうすると鎖骨下動脈のいろいろ治療例があるのですが、細かなことで恐縮ですが、椎骨動脈は鎖骨下動脈の近位部から枝が出ているので、そうすると鎖骨下動脈の近位部の所は何らかの問題で椎骨動脈が詰まってしまう可能性があるのですが、そこのところは現場の判断に委ねるのですか。

○医薬品医療機器総合機構 そもそも鎖骨下動脈に関しては、ニーズの高い医療機器でも要望が上がっており、おそらくサイズ的なことと、文献からも使用実態が確認できたという背景があります。ただ、椎骨動脈はサイズの問題もありますし、より閉塞のリスクが高まるだろうということで、脳神経外科の先生からもそのような御意見を頂いて、わざわざ使わないようにというようなリスク低減措置として記載した背景があります。

○塩川委員 ただ、現場としては頸部のいろいろな外傷などで、頻度は少ないですが、おそらく使用のニーズがあるかもしれないので、そういうことがあるということを御承知おきいただければと思います。

○荒井部会長 そのほかよろしいでしょうか。

○中島委員 このデバイスが早く世に出てくることを期待していますし、今、御議論があった頸動脈も、頸動脈は実際に耳鼻科領域の大きな悪性腫瘍で頸動脈が損傷しほかに手段がないということもあるので、今回は無理かもしれませんが今後何らかの形で頸動脈に対する適応も考えていただきたいと思います。血管閉塞のリスクといっても他の方法(外科的結、動脈塞栓術)は、どちらも血管を閉塞させる方法でありリスクという考え方自体成り立たない気がします。

 御質問したのは、添付文書です、当日配布資料の4-2の4/5のページにMRIの安全性及び適合性という記載があります。ここに書いてある言葉に余り適切でない言葉が結構あると見させていただきました。例えば画像品質の最初の所、T1-加重、スピンエコー法とか、これは当然T1強調スピンエコー法だと思います。傾斜エコーパルスシーケンス、これはグラジエントエコーで、傾斜という言葉を使いますと、傾斜磁場を反転して180度パルスをうってやるのがグラジエントエコーパルス法ですので意味が異なります。英語をそのまま直訳されて、現実に今、我々は使っていない言葉が使われていると思います。それ以外にも幾つかあるのですが、ここの訂正に是非協力をさせていただきたいと思います。

○医薬品医療機器総合機構 機構より申し上げます。御指摘いただきまして、ありがとうございます。後ほど御相談させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。また、先ほど御指摘いただきました頸動脈等の適応についても日本ゴア社にお伝えするようにいたします。

○荒井部会長 御指摘ありがとうございます。頸動脈については、脳底動脈の所の交通の関与もあり、臨床的な判断は結構難しいところがあると思います。ただ、今回につきましては、そこまで踏み込むことも難しいということで、鎖骨下動脈で止めさせていただいているという理解でよろしいかと思います。そのほかよろしいですか。よろしければ議決に入ります。

 医療機器「ゴア バイアバーン ステントグラフト」について本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品へ指定するということでよろしいでしょうか。さらに使用成績評価の対象に、期間は、血管損傷治療の適応については5年、血管開存治療の適応については6年10か月として指定させていただいてよろしいでしょうか。御異議がないようですのでこのように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。穴井先生、どうもありがとうございました。

 続いて、最後の議題5に入ります。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」、事務局より説明をお願いします。

○事務局 議題5について、資料5に基づき説明いたします。議題3と4でも御審議いただきましたが、既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する必要がある際には、当該一般的名称のリスク分類に応じて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれに該当するかなどについて御審議いただいております。今回1件の新設がありますので、それについて御審議いただきます。

 3ページの新設する一般的名称()についてです。今回、新設する一般的名称、電気刺激治療装置用パラメータ選択プログラムは、iPadなどの汎用コンピューターにインストールするプログラムで、主に体内に植え込まれた電気刺激治療装置と通信し、そのパラメータを変更するために用いられるものです。植込み型の電気刺激治療装置は、ペースメーカーや電気刺激により疼痛を緩和する機器などのことを指します。

 4ページです。今回、新設する一般的名称と同様の機能を持ち、プログラム単体ではなくハードウェアを有する機器として植込み能動型機器用プログラマがあります。分かりやすく表現すると、植込み機器用のリモコンのようなものです。今回、新設する一般的名称は、このハードウェアを有するプログラマからプログラム部分だけを取り出したものです。既存の機器からプログラム部分だけを取り出したプログラム医療機器については、その既存の機器と同じクラス分類にすることとしております。

 そのため、今回、新設する一般的名称については、クラスIII、高度管理医療機器に指定し、また、特定保守管理医療機器への指定についてはプログラムであることから不要と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○荒井部会長 本件について委員の皆様から御意見、御質問等よろしいでしょうか。よろしいですか。特に御意見ございませんでしたら、議決に入ります。「電気刺激治療装置用パラメータ選択プログラム」について、本部会として高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器には指定しないこととして、よろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告いたします。これで議題5を終了いたします。

 これにて本日、予定された議題は全て終了いたしました。事務局からそのほかありますか。

○参事官 本日は大変、長時間お時間も頂きましたし、また、種々の御議論を頂きまして誠にありがとうございます。事務局からは、次回の部会の予定を連絡しているところですが、確認のため申し上げたいと思います。次回は2月26()1618時の予定ですので、よろしくお願いしたいと思います。連絡事項は以上です。

○荒井部会長 本日は長時間になってしまいまして申し訳ございません。これをもちまして、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


(了)

備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局審査管理課 医療機器・再生医療製品等審査管理室 室長補佐 柳沼(内線4226)

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